(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】背凭れリクライニング構造
(51)【国際特許分類】
A47C 3/021 20060101AFI20241003BHJP
A47C 7/40 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A47C3/021
A47C7/40
(21)【出願番号】P 2023197569
(22)【出願日】2023-11-21
【審査請求日】2023-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504183861
【氏名又は名称】宣禹實業股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】COMFORDY co., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.22-1, Beishizhou Minghe Village, Shanshang Dist. Tainan City TAIWAN
(73)【特許権者】
【識別番号】593209080
【氏名又は名称】中央可鍛工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596040231
【氏名又は名称】株式会社チューキョー
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】呉玉玲
(72)【発明者】
【氏名】サンダー、アーミン ローランド
(72)【発明者】
【氏名】ベレンウィンケル、マルクス
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-132401(JP,A)
【文献】米国特許第5758925(US,A)
【文献】米国特許第4585272(US,A)
【文献】特開2007-181489(JP,A)
【文献】特開2010-279515(JP,A)
【文献】実公平4-7794(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 3/02-03
A47C 7/40-48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの背凭れサポートと、2つの弾性体と、2つの固定片と、複数のロック部材とを備えた、背凭れリクライニング構造であって、
前記背凭れサポートは、前記背凭れサポートの左右両側に横向きに貫通されるとともに、縦向きに形成された長形孔を有し、前記背凭れサポートの後側には、前記長形孔の位置に対応した箇所に切欠きが形成され、前記切欠きは、前記長形孔と連通し、前記背凭れサポートの後側に形成された前記切欠きは、上方に位置規制孔が形成され、下方に固定孔が形成され、前記位置規制孔及び前記固定孔は、前記長形孔とそれぞれ連通し、前記位置規制孔は縦向き槽孔であり、前記背凭れサポートの前記長形孔の上方には、背板組立部が設けられ、2つの前記背凭れサポートの前記背板組立部の間には、背凭れ板が取り付けられ、
前記弾性体は、2つの前記背凭れサポートの前記長形孔中にそれぞれ対応して組み合わされ、前記弾性体の後側には、前記背凭れサポートの後側の切欠きに対応して配設し得るように、バンプが成形され、前記弾性体内には、チャンバが形成され、前記弾性体の後側の前記バンプの上方及び下方には、穿孔がそれぞれ形成され、前記穿孔は、前記チャンバと連通し、前記弾性体の2つの前記穿孔の位置は、前記背凭れサポートの前記位置規制孔及び前記固定孔にそれぞれ対応し、
前記固定片は、金属プレートであるとともに、2つの前記弾性体の前記チャンバ内に収容され、前記固定片上には、2つのロック孔が形成され、2つの前記ロック孔の位置は、前記弾性体の2つの前記穿孔にそれぞれ対応し、
前記ロック部材は、2つの前記背凭れサポートの前記位置規制孔及び前記固定孔にそれぞれ挿通されるとともに、前記位置規制孔及び前記固定孔の位置に対応した前記弾性体の2つの前記穿孔に挿通され、前記弾性体の2つの前記穿孔の位置にそれぞれ対応した前記固定片の2つの前記ロック孔に螺着固定されることを特徴とする、
背凭れリクライニング構造。
【請求項2】
前記背凭れサポートの前記位置規制孔の上端孔壁には、上斜め前方に傾斜した傾斜角が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の背凭れリクライニング構造。
【請求項3】
前記背凭れサポートの上端には、前方に延びたアームレストが接続されていることを特徴とする請求項1に記載の背凭れリクライニング構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子に関し、特に、背凭れリクライニング構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の背凭れリクライニング構造は、背凭れの底端及びシートの後側にリクライニング調整機構が設けられていることが一般的である。リクライニング調整機構は、ばねにより背凭れの底端を引っ張り、ばねの弾性力により背凭れに弾性リクライニング作用を発生させ、ねじ軸により摺動部材又は揺動部材を駆動させ、ばねにより背凭れのリクライニング幅を調整していた。
【0003】
しかし、従来のリクライニング調整機構は、ばね、ねじ軸及び摺動部材又は揺動部材など、多くの部材を含んでいたため、その構造は複雑で製造コストが高いだけでなく、組み立てに多くの時間がかかった。また、背凭れのリクライニング動作を何度も繰り返した場合、ねじ軸が緩み、調整済みの背凭れの弾力に悪影響を与え、椅子に座ったときの快適性が損なわれてしまうことがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、背凭れを適切に曲げて後方に倒し、リクライニングさせることができる上、構造が簡素で、製造コストを減らして組立時間を短縮することができる、背凭れリクライニング構造を提供することにある。
【発明の効果】
【0005】
本発明の背凭れリクライニング構造は、背凭れサポートの長形孔内に弾性体を配設し、背凭れサポートの後側に切欠きを形成し、弾性体に設けたバンプを切欠きに位置させ、背凭れサポートの後側の切欠きの上方には、位置規制構造が設けられている。
このような構造により、使用者が椅子の背凭れ板に寄り掛かると、背凭れサポートを押圧する作用力が発生して背凭れサポートが切欠きで曲がるとともに、背凭れサポートの位置規制構造により、背凭れサポートの曲げ角度が適宜な角度に制限され、使用者が身体を起こして背凭れサポートを押圧する作用力が無くなると、弾性体の弾性力により背凭れサポートが元の状態に戻る。このように、本発明は、簡素な背凭れリクライニング構造により、椅子の座り心地が良くなるとともに、背凭れリクライニング構造にかかる製造コストを減らし、組立時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の一実施形態に係る背凭れリクライニング構造を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る背凭れリクライニング構造の別の角度からの斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る背凭れリクライニング構造を示す部分拡大分解斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る背凭れリクライニング構造を示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る背凭れリクライニング構造を示す部分拡大断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る背凭れリクライニング構造の使用状態の断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る背凭れリクライニング構造を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
まず、
図1及び
図2を参照する。
図1及び
図2に示すように、本発明の一実施形態に係る背凭れリクライニング構造は、2つの背凭れサポート(Backrest Support)1と、2つの弾性体2と、2つの固定片3と、複数のロック部材4とから構成される。
【0008】
2つの背凭れサポート1は、ポリプロピレンなどのプラスチックからなる。
図3を併せて参照する。背凭れサポート1は、背凭れサポート1の左右両側に横向きに貫通され、縦向きに形成された長形孔11を有する。背凭れサポート1の後側には、切欠き12が形成される。切欠き12は、長形孔11の中央部に位置し、長形孔11と連通する。背凭れサポート1の後側に形成された切欠き12は、上方に位置規制孔13が形成され、下方に固定孔14が形成される。
図4及び
図5を併せて参照する。位置規制孔13は縦向き槽孔である。位置規制孔13及び固定孔14は、長形孔11と連通する。位置規制孔13の上端孔壁には、上斜め前方に12度傾いた傾斜角(θ)が形成され、背凭れサポート1の長形孔11の上方には、背板組立部15が設けられる。2つの背凭れサポート1の背板組立部15の間には、背凭れ板5が取り付けられる。背凭れサポート1の底端には、シート組立部16が設けられる。背凭れサポート1の上端には、前方に延びたアームレスト17が接続される。
【0009】
2つの弾性体2は、熱可塑性弾性体(Thermoplastic Elastomer:TPE)である。2つの弾性体2は、2つの背凭れサポート1の長形孔11中にそれぞれ対応して組み合わされる。弾性体2の後側には、背凭れサポート1の後側の切欠き12に対応するバンプ21が成形される。弾性体2内には、チャンバ22が形成される。チャンバ22のチャンバ口221は、弾性体2の底端に位置する。弾性体2の後側のバンプ21の上方及び下方には、穿孔23がそれぞれ形成される。穿孔23は、チャンバ22と連通する。弾性体2の2つの穿孔23は、背凭れサポート1の位置規制孔13及び固定孔14にそれぞれ対応して位置する。
【0010】
2つの固定片3は、金属プレートであるとともに、2つの弾性体2の底端に形成されたチャンバ口221を介して2つの弾性体のチャンバ22内に収容される。固定片3上には、2つのロック孔31が形成されている。2つのロック孔31の位置は、弾性体2の2つの穿孔23の位置にそれぞれ対応する。
【0011】
複数のロック部材4は、ボルトである。複数のロック部材4は、2つの背凭れサポート1の位置規制孔13及び固定孔14にそれぞれ挿通されるとともに、位置規制孔13及び固定孔14の位置にそれぞれ対応した弾性体2の2つの穿孔23に挿通され、弾性体2の2つの穿孔23の位置にそれぞれ対応した固定片3の2つのロック孔31に螺着固定される。
【0012】
実際に組み立てるときは、背凭れ板5を2つの背凭れサポート1間に設置するとともに、背凭れ板5の両側を2つの背凭れサポート1の背板組立部15と組み合わせ、2つの背凭れサポート1の底端に設けたシート組立部16をシートに接続し、椅子構造を構成する。
【0013】
本発明の椅子に使用者が座り、使用者の背中で背凭れ板5に寄り掛かると、
図6及び
図7に示すように、背凭れ板5に対して後方に押圧する作用力が発生し、それと組み合わされた背凭れサポート1が連動して後方に曲がる。背凭れサポート1の後側に切欠き12が設けられているため、背凭れサポート1が力を受けると、容易に切欠き12で曲がり、この際、背凭れサポート1の長形孔11及び切欠き12に設けられた弾性体2及び弾性体2のバンプ21が圧縮され、それに伴って背凭れサポート1が曲がり続け、背凭れサポート1の位置規制孔13の上端孔壁により、位置規制孔13中に挿通されたロック部材4が係止される。位置規制孔13の上端孔壁の傾斜角度を12度にすると、背凭れサポート1のリクライニング最大角度を12度に制限することができる。このように背凭れサポート1を適切なリクライニング角度に設定することができるため、椅子に座ったときの快適度を高めることができる。
【0014】
使用者が身体を起こして背凭れ板5から背中が離れると、背凭れ板5を後方に押圧していた作用力が無くなり、圧縮された状態の弾性体2と、弾性体2のバンプ21とが復元力により元の状態に戻り、背凭れサポート1を反対方向に押す作用力が発生し、復元力により背凭れサポート1が元の状態に戻る。このように、本発明は簡素な構造により、背凭れに弾性力を発生させてリクライニング効果を得るとともに、製造コストを減らして組立時間を短縮することもできる。また、従来の背凭れリクライニング構造の欠点であった、ねじ軸が緩んで背凭れの弾性力に悪影響を与えてしまう問題点を改善することもできる。
【0015】
椅子に座っている使用者が身体を起こす際、2つの背凭れサポート1に接続されたアームレスト17に両手を置き、力を加えてアームレスト17を押し下げるが、弾性体2内に金属固定片3及び複数のロック部材4が配設されているため、背凭れサポート1の構造強度は高い。このような構造により、背凭れサポート1がアームレスト17により力を受けて押し下げられ、不用意に前方に曲がってくることを防ぎ、椅子に座ったときの快適性及び安全性を高めることができる。
【0016】
上述したことから分かるように、本発明の背凭れリクライニング構造は、以下(1)~(3)の長所を有する。
(1)背凭れサポートは、長形孔を有する。背凭れサポートの後側の長形孔の位置には、切欠きが形成され、長形孔及び切欠きには、弾性体が設置されている。使用者が背凭れに寄り掛かって背凭れサポートに力が加わると、切欠きの箇所で曲がり、身体を起こして背凭れサポートに力が加わらなくなると、弾性体の付勢力により背凭れサポートが元の状態に戻る。
(2)背凭れサポートの後側に形成された切欠きの上方には、縦向き槽孔状の位置規制孔が形成され、位置規制孔にロック部材が挿通されている。そのため、位置規制孔の上端孔壁に至るまで背凭れサポートが曲げられてロック部材が係止されると、背凭れサポートが適切な曲げ角度で位置決めされるため、椅子の座り心地を高めることができる。
(3)弾性体内に金属固定片が配設されているため、使用者が力を加えてアームレストを押し下げても、固定片及び複数のロック部材により、背凭れサポートの構造強度は高い。そのため、背凭れサポートが不用意に前方に曲がることを防ぎ、椅子に座ったときの快適性及び安全性を高めることができる。
【符号の説明】
【0017】
1 背凭れサポート
2 弾性体
3 固定片
4 ロック部材
5 背凭れ板
11 長形孔
12 切欠き
13 位置規制孔
14 固定孔
15 背板組立部
16 シート組立部
17 アームレスト
21 バンプ
22 チャンバ
23 穿孔
31 ロック孔
221 チャンバ口
θ 傾斜角
【要約】
【課題】背凭れを適切に曲げて後方に倒し、リクライニングさせることができる上、構造が簡素で、製造コストを減らして組立時間を短縮することができる、背凭れリクライニング構造を提供する。
【解決手段】背凭れリクライニング構造は、2つの背凭れサポート1と、2つの弾性体2と、2つの固定片3と、複数のロック部材4とを備える。背凭れサポートは、背凭れサポートの左右両側に横向きに貫通されるとともに、縦向きに形成された長形孔11を有する。背凭れサポートの後側には、長形孔の位置に対応した箇所に切欠き12が形成される。切欠きは、長形孔と連通する。背凭れサポートの後側に形成された切欠きは、上方に位置規制孔13が形成され、下方に固定孔14が形成される。位置規制孔及び固定孔は、長形孔とそれぞれ連通する。背凭れサポートの長形孔の上方には、背板組立部15が設けられる。
【選択図】
図3