(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】保冷ボックス
(51)【国際特許分類】
A45C 11/00 20060101AFI20241003BHJP
A45C 3/00 20060101ALI20241003BHJP
A45F 3/04 20060101ALI20241003BHJP
B65D 6/02 20060101ALI20241003BHJP
B65D 81/18 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A45C11/00 L
A45C3/00 P
A45C3/00 Q
A45F3/04 300
B65D6/02
B65D81/18 Z
(21)【出願番号】P 2019156530
(22)【出願日】2019-08-29
【審査請求日】2022-04-20
【審判番号】
【審判請求日】2023-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】391036404
【氏名又は名称】株式会社ロゴスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100104569
【氏名又は名称】大西 正夫
(72)【発明者】
【氏名】浜西 千尋
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】長馬 望
【審判官】米倉 秀明
(56)【参考文献】
【文献】意匠登録第1213384(JP,S)
【文献】実開平2-68719(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 11/00
A45C 3/00
A45F 3/04
B65D 6/02
B65D 81/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側に位置する開口が蓋部により開閉自在に塞がれる縦長のボックス本体と、このボックス本体をその上側を上にして背負うことが可能なように前記ボックス本体の外面に設けられたリュックベルトとを備え、
前記ボックス本体は、
左ケースと、右ケースと、
前記左ケースと
前記右ケースとの間に介在して設けられた折り畳み容易な部材であって上面に前記開口が形成されるとともに前記開口の周りに前記蓋部が設けられた収容部と、
ロック機構とを有し、
前記左ケースと前記右ケースとが、閉状態で箱状に組み合わせ可能になっており、
前記収容部は、前記左ケースと
前記右ケースとの間に配置された第1外側面と、前記左ケースと
前記右ケースとの間に配置された前記第1外側面の反対側の第2外側面を有しており、前記第1外側面は、背負った際に背中に接する面であり、前記第1外側面及び前記第2外側面は、前記
左ケースと前記右ケース
とが閉じられるに伴って前記ボックス本体の内側に折り畳まれるようになっており、
前記ロック機構は、前記左ケースと前記右ケースとを組み合わせた前記閉状態を維持するようになっており、
前記収容部の前記第1外側面に前記リュックベルトが取り付けられていることを特徴とする保冷ボックス。
【請求項2】
請求項1記載の保冷ボックスにおいて、
前記左ケースと前記右ケースとが前記閉状態で、前記リュックベルトは、
前記左ケース及び前記右ケース内に収容可能になっていることを特徴とする保冷ボックス。
【請求項3】
請求項2記載の保冷ボックスにおいて、
前記左
ケースと前記右ケース
とが閉じられるに伴って前記収容部が折り畳まれ、前記リュックベルトが前記第1外側面の折り畳まれた部分の間に入り込むようになっていることを特徴とする保冷ボックス。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の保冷ボックスにおいて、
前記リュックベルトは、ベルト本体と、
前記ベルト本体の開放端部に設けられたフック部とを有し、前記フック部は、前記収容部の前記第1外側面に設けられたベルト固定具に係合可能になっている一方、
前記リュックベルトをハンドル又はショルダーベルトとして利用するために、前記収容部の前記第2外側面に設けられたハンドル等固定具に係合可能になっていること特徴とする保冷ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主としてアウトドア用に使用される保冷ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の保冷ボックスは、キャンプの食材等を運搬するのに広く使用されている。従来の保冷ボックスは、上側に位置する開口が蓋部により開閉自在に塞がれる横型のボックス本体と、このボックス本体の外側面に設けられたショルダーベルト等を備えた構成になっているのが一般的である(特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例による場合、大型化に伴って内容物が重くなると、使用者の肩等に荷重が集中的に作用し運搬性が悪化するという問題が指摘されている。また、大型化に伴って開口面積が大きくなり、同ボックス内の冷気が外に逃げて保温性が悪化し易いという問題もある。もっとも、これらの問題を解消するためには、大幅な設計変更が必要になり、これに伴ってコスト高になるという別の問題を招来する。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みて創作されたものであり、その目的とするところは、簡単な設計変更でありながら、大型化に伴って運搬性や保温性が悪化することがない保冷ボックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る保冷ボックスは、上側に位置する開口が蓋部により開閉自在に塞がれる縦長のボックス本体と、このボックス本体をその上側を上にして背負うことが可能なように前記ボックス本体の外面に設けられたリュックベルトとを備え、前記ボックス本体は、左ケースと、右ケースと、左ケースと右ケースとの間に介在して設けられた折り畳み容易な部材であって上面に前記開口が形成されるとともに前記開口の周りに前記蓋部が設けられた収容部と、ロック機構とを有し、前記左ケースと前記右ケースとが、閉状態で箱状に組み合わせ可能になっており、前記収容部は、前記左ケースと前記右ケースとの間に配置された第1外側面と、前記左ケースと前記右ケースとの間に配置された前記第1外側面の反対側の第2外側面を有しており、前記第1外側面は、背負った際に背中に接する面であり、前記第1外側面及び前記第2外側面は、前記左ケースと前記右ケースとが閉じられるに伴って前記ボックス本体の内側に折り畳まれるようになっており、前記ロック機構は、前記左ケースと前記右ケースとを組み合わせた前記閉状態を維持するようになっており、前記収容部の前記第1外側面に前記リュックベルトが取り付けられている。
【0007】
このような構成の保冷ボックスによる場合、リュックベルトを有した構成になっていることから、使用者の背中に背負って運ぶことが可能になり、使用者の体に作用する荷重が分散され、同ボックスの大型化に伴って内容物が重くなったとしても運搬性が悪化することがない。また、縦型のボックス本体を有した構成になっていることから、従来に比べて同ボックスの大型化に伴って開口面積が大きくなり難く、保温性が悪化することがない。しかも大幅な設計変更を行う必要がないことからコスト高になることもない。
【0009】
また、同ボックスを背負った際に背中に接する収容部の該当面が背中に沿って若干変形し得ることから、同ボックスを安定して背負うことが可能になり、この点で運搬性が一層良好になる。また、折り畳み可能になっていることから、ボックス自体をコンパクトにすることができ、この点で使い勝手が良好になる。
【0010】
前記リュックベルトについては、好ましくは、前記左ケースと前記右ケースとが前記閉状態で、前記左ケース及び前記右ケース内に収容可能になった構成にすると良い。この場合、前記左ケースと前記右ケースとが閉じられるに伴って前記収容部が折り畳まれ、前記リュックベルトが前記第1外側面の折り畳まれた部分の間に入り込むようになった構成にすると更に良い。
【0011】
このような形態の保冷ボックスによる場合、非使用時にリュックベルトが邪魔になることがなく、この点で使い勝手が良好になる。
【0012】
前記リュックベルトについては、好ましくは、ベルト本体と、このベルト本体の開放端部に設けられたフック部とを有し、前記フック部は、前記収容部の前記第1外側面に設けられたベルト固定具に係合可能になっている一方、前記リュックベルトをハンドル又はショルダーベルトとして利用するために、前記収容部の前記第2外側面に設けられたハンドル等固定具に係合可能になっている構成にすると良い。
【0013】
このような形態の保冷ボックスによる場合、リュックベルトがハンドル等として利用可能な構成になっていることから、この点で使い勝手が良好になり、部品点数の削減による低コスト化を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る保冷ボックスの正面図である。
【
図7】同保冷ボックスの正面及び平面から見た斜視図であって、蓋部を開けた状態を示した図である。
【
図8】同保冷ボックスの参考斜視図であって、リュックべルトをハンドルとして利用した場合を示した図である。
【
図9】同保冷ボックスの参考斜視図であって、同ボックスを閉状態にする前の状態を示した図である。
【
図10】同保冷ボックスの参考斜視図であって、同ボックスの閉状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の保冷ボックスの実施形態について図面を参照して説明する。保冷ボックスAは、主としてアウトドア用に使用される折り畳み可能な携帯用保冷バッグであって、上側に位置する開口1211が蓋部1212により開閉自在に塞がれる縦型のボックス本体10と、ボックス本体10の正面側の外側面122に設けられたリュックベルト20とを備えている。
【0016】
リュックベルト20については、長さ調整用のバックル211が付けられた長尺状のベルト本体21と、ベルト本体21の開放両端部に各々取り付けられたフック部22,22とを有し、本実施形態ではハンドル(ベルト本体21の長さ調整が短いとき)又はショルダーベルト(ベルト本体21の長さ調整が長いとき) としても利用可能になっている。
【0017】
ボックス本体10は、箱状に組み合わせ可能な左ケース11L・右ケース11Rと、左ケース11Lと右ケース11Rとの間に介在して設けられた折り畳み容易な部材であって上面121に矩形状の開口1211が形成されるとともに開口1211の周りに蓋部1212が設けられた収容部12と、左ケース11Lと右ケース11Rとを組み合わせた閉状態を維持するためのロック機構13とを有した構成になっている。
【0018】
左ケース11L及び右ケース11Rについては、硬質樹脂製等の断面視凹状部材であって、左ケース11L及び右ケース11Rの開放端側の周縁部にはスライドファスナーがロック機構13として設けられている。
【0019】
収容部12については、軟質樹脂製等の略直方体状部材であって、左ケース11Lと右ケース11Rとの間に固着されている。収容部12の上面121には、蓋部1212に対応した長方形の開口1211が形成されている。上面121の中央部分が蓋部1212となっており、蓋部1212の一辺が開口1211の一辺と連なっている。この連なった部分を軸として蓋部1212が開口1211に対して開閉自在になっている。蓋部1212の外周縁部と開口1211の内周縁部との間には、蓋部1212を開閉自在にするためのスライドファスナー1213が設けられている。
【0020】
収容部12の正面側の外側面122の上方位置には、リュックベルト20のベルト本体21を通して保持するためのベルト保持具141が固着されている一方、同様に外側面122の下方位置には、リュックベルト20の両端部のフック部22,22に係合可能なベルト固定具142,142が固着されている。収容部12の背面側の外側面123の上方位置には、リュックベルト20の両端部のフック部22,22に係合可能なハンドル等固定具143が固着されている。
【0021】
ベルト保持具141は環状の金具である。ベルト固定具142は三角状金属板にフック係合穴が形成された金具である。ハンドル等固定具143は環状の金具である。これらの金具については、収容部12の外側面122又は123に各々縫い合わされている。
【0022】
このように左ケース11Lと右ケース11Rとの間に介在された収容部12が折り曲げ自在な材質であることから、左ケース11Lと右ケース11Rとを近づけて閉状態にすると、収容部12が折り畳まれてリュックベルト20とともに同ボックス内に収容される。
【0023】
このような保冷ボックスAの使用方法について説明する。まず、 ロック機構1213を外して、左ケース11Lと右ケース11Rとを引き離して同ボックスAを開状態にする。これに伴って収容部12が元通りに拡げられ、蓋部1212及びリュックベルト20等が露出される。
【0024】
この状態で蓋部1212を開けて食材等を保冷剤と一緒に収容部12に入れて蓋部1212を閉じる。このように食材等が入れられた保冷ボックスAを運搬するには、リュックベルト20を両肩にかけて同ボックスAを背負うようにする。リュックベルト20のフック部22,22をベルト固定具142,142から各々外してハンドル等固定具143に一括して付け替えると、リュックベルト20をハンドル又はショルダーベルトとして利用することができる。即ち、ベルト本体21を長さ調整してリュックベルト20の長さを短くしたときには、同ボックスAを手に持って運搬可能になる一方、長くしたときには肩にかけて運搬可能になる。
【0025】
その後、収容部12内から全ての食材等が取り出されて、
図10に示されている通り、同ボックスAを閉状態にするには、蓋部1212の先部分を開口1211の奥側に入れる他、リュックベルト20をまとめて収容部12の外側面122に置き(
図9参照)、左ケース11Lと右ケース11Rとを近づけるようにする。この閉状態ではリュックベルト20等がボックス内に収容されるとともに同ボックスA自体がコンパクトとなる。
【0026】
上記のように構成された保冷ボックスAによる場合、リュックベルト20を有していることから、使用者の背中に背負って運ぶことが可能になり、使用者の体に作用する荷重が分散され、同ボックスAの大型化に伴って内容物が重くなったとしても運搬性が悪化することがない。使用者が同ボックスAを背負った際に背中に接する収容部12の外側面 123が背中に沿って若干変形し得ることから、同ボックスAを安定して背負うことが可能になり、この点でも運搬性が良好になる。また、縦型のボックス本体10を有していることから、従来に比べて開口1211の開口面積が大きくなり難く、これに伴って保温性が悪化することがない。更に、リュックベルト20がハンドル又はショルダーベルトとしても利用可能である。非使用時にボックス本体10自体がコンパクトになるだけでなくリュックベルト20がボックス内に収容されてこれが邪魔にならない。これらの点で、使い勝手が良好になる。しかも大幅な設計変更が必要ないことから、コスト高になることもない。
【0027】
なお、本発明に係る保冷ボックスは上記実施形態に限定されず、アウトドア用だけでなく魚介類等を運ぶ営業用等にも同様に適用可能である。例えば、ボックス本体については、上側に位置する開口が蓋部により開閉自在に塞がれる縦型のものである限り、その形状等が問われることがない。例えば、蓋部はボックス本体とは別体とし開口を開閉自在に塞ぐ形態でも良く、閉状態を維持するためのロック機構はボックス本体に応じたものを適宜使用すれば良い。また、リュックベルトについては、形状等が問われず、その基端部をボックス本体の外面に固着する形態でも構わない。
【符号の説明】
【0028】
A 保冷ボックス
10 ボックス本体
11L 左ケース
11R 右ケース
12 収容部
1211 開口
1212 蓋部
13 ロック機構
20 リュックベルト
21 ベルト本体
22 フック部