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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   A61C 19/00 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
A61C19/00 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020194632
(22)【出願日】2020-11-24
(65)【公開番号】P2022083281
(43)【公開日】2022-06-03
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】390011121
【氏名又は名称】株式会社モリタ東京製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【弁理士】
【氏名又は名称】水戸 洋介
(72)【発明者】
【氏名】中山 真一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 響子
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-196400(JP,A)
【文献】国際公開第2019/008890(WO,A1)
【文献】特開2017-143874(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0353275(US,A1)
【文献】特開2010-253087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用診療装置の各々にて発生した事象についての情報を記憶する記憶部と、
対象となる歯科用診療装置である対象装置が撮影されることにより得られた映像および前記記憶部に記憶された情報に基づき、当該対象装置にて起こりうる事象を把握する事象把握手段と、
を備え
前記記憶部には、現実に発生した事象と当該事象が現実に発生した歯科用診療装置の装置構造についての情報とが互いに対応付けられた状態で登録され、
前記事象把握手段は、前記対象装置を撮影することにより得られた前記映像に含まれる装置構造に対応付けられて前記記憶部に登録されている事象を、当該対象装置にて起こりうる前記事象として把握する情報処理システム。
【請求項2】
前記事象把握手段により把握された、前記起こりうる事象についての情報を、前記対象装置又は予め定められた者へ出力する情報出力手段をさらに備える請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記事象把握手段により把握された、前記起こりうる事象が前記対象装置にて発生しないようにするための情報を前記対象装置及び/又は予め定められた装置に対して出力する情報出力手段をさらに備える請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記情報出力手段は、前記起こりうる事象が実際に発生するにあたって必要となる条件のうちの少なくとも一部の条件が満たされた場合に、前記発生しないようにするための前記情報を出力する請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記情報出力手段は、前記対象装置が撮影されることにより得られた映像を解析して、前記少なくとも一部の条件が満たされたか否かを判断し、当該少なくとも一部の条件が満たされた場合、前記発生しないようにするための前記情報を出力する請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記情報出力手段は、前記発生しないようにするための前記情報として、前記事象把握手段により把握された事象が前記対象装置にて発生しないようにするための動作を人に促すための情報を当該対象装置及び/又は前記予め定められた装置に対して出力する請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記情報出力手段は、前記発生しないようにするための前記情報として、前記事象把握手段により把握された事象が前記対象装置にて発生しないようにするための制御用情報を当該対象装置に対して出力する請求項3に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムおよび歯科用診療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、患者を支持する診療シートと、診療シートに固定されるベースンポールとを備えた歯科診療装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-33569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
歯科用診療装置では、可動部も多く、この可動部が物や人に触れるなど、様々な事象が発生しうる。この事象を予め予測し、発生しうる事象を予め把握しておくことが好ましい。
しかしながら、新製品の歯科用診療装置では、どのような事象が発生するかが未知である場合がある。また、既に使用を開始している歯科用装置であっても、未だ事象が現実に発生していない場合には、発生しうる事象を把握することが難しい場合がある。
本発明の目的は、歯科用診療装置にて発生しうる事象を把握できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと、本発明が適用される情報処理システムは、歯科用診療装置の各々にて発生した事象についての情報を記憶する記憶部と、対象となる歯科用診療装置である対象装置が撮影されることにより得られた映像および記憶部に記憶された情報に基づき、対象装置にて起こりうる事象を把握する事象把握手段と、を備える情報処理システムである。
【0006】
ここで、事象把握手段により把握された、起こりうる事象についての情報を、対象装置又は予め定められた者へ出力する情報出力手段をさらに備えることを特徴とすることができる。
また、事象把握手段により把握された、起こりうる事象が対象装置にて発生しないようにするための情報を対象装置及び/又は予め定められた装置に対して出力することを特徴とすることができる。
また、情報出力手段は、起こりうる事象が実際に発生するにあたって必要となる条件のうちの少なくとも一部の条件が満たされた場合に、発生しないようにするための情報を出力することを特徴とすることができる。
また、情報出力手段は、対象装置が撮影されることにより得られた映像を解析して、少なくとも一部の条件が満たされたか否かを判断し、少なくとも一部の条件が満たされた場合、発生しないようにするための情報を出力することを特徴とすることができる。
また、情報出力手段は、発生しないようにするための情報として、事象把握手段により把握された事象が対象装置にて発生しないようにするための動作を人に促すための情報を対象装置及び/又は予め定められた装置に対して出力することを特徴とすることができる。
また、情報出力手段は、発生しないようにするための情報として、事象把握手段により把握された事象が対象装置にて発生しないようにするための制御用情報を対象装置に対して出力することを特徴とすることができる。
また、記憶部には、現実に発生した事象と事象が発生した装置構造についての情報とが互いに対応付けられた状態で登録され、事象把握手段は、対象装置を撮影することにより得られた映像に含まれる装置構造に対応付けられて記憶部に登録されている事象を、対象装置にて起こりうる事象として把握することを特徴とすることができる。
【0007】
また、本発明を歯科用診療装置と捉えた場合、本発明が適用される歯科用診療装置は、歯科の診療に用いられる歯科用診療装置であって、歯科用診療装置を撮影する撮影手段と、撮影手段により得られた映像を基に把握された事象であって、歯科用診療装置にて起こりうる事象についての情報を取得する取得手段と、歯科用診療装置である。
【0008】
他の観点から捉えると、本発明が適用される歯科用診療装置は、歯科の診療に用いられる歯科用診療装置であって、歯科用診療装置を撮影する撮影手段と、撮影手段により得られた映像を基に把握された、歯科用診療装置にて起こりうる事象が、歯科用診療装置にて発生しないようにするための情報を取得する取得手段と、歯科用診療装置である。
【0009】
ここで、取得手段により取得された、発生しないようにするための情報に基づき、歯科用診療装置の制御を行う制御手段を更に備えることを特徴とすることができる。
また、制御手段は、発生しないようにするための情報に基づき、歯科用診療装置の制御を行い、起こりうる事象が発生しないようにするための動作を人に促す通知を行うことを特徴とすることができる。
また、制御手段は、発生しないようにするための情報に基づき、歯科用診療装置の一部の動きを制限する制御を行うことを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、歯科用診療装置にて発生しうる事象を把握できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】情報処理システムの全体構成を示した図である。
図2】複数設けられた歯科用診療装置に含まれる一部の歯科用診療装置の一例を示した図である。
図3】歯科用照明装置の正面図である。
図4図2の矢印IVで示す方向から、供給装置を眺めた場合の図である。
図5】管理サーバのハードウエアの構成を示した図である。
図6】管理サーバにより実現される機能を示した図である。
図7】歯科用診療装置の各々に設けられた制御装置のハードウエアの構成を示した図である。
図8】歯科用診療装置の制御装置により実現される機能を示した図である。
図9】事象の登録処理の際に実行される処理の流れを示したフローチャートである。
図10】歯科用診療装置にて起こりうる事象を把握する際に実行される処理の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態にかかる情報処理システムの全体構成を示した図である。
同図に示すように、本実施形態の情報処理システム1には、歯科の診療に用いられる複数の歯科用診療装置100が設けられている。さらに、この情報処理システム1には、管理サーバ200が設けられている。
本実施形態では、複数設けられた歯科用診療装置100と管理サーバ200とが、インターネット回線などの通信回線を介して互いに接続される。
なお、本実施形態では、複数設けられた歯科用診療装置100には、様々な種類、型番の歯科用診療装置100が含まれる。
【0013】
図2は、複数設けられた歯科用診療装置100に含まれる一部の歯科用診療装置100の一例を示した図である。
図2にて示すこの歯科用診療装置100では、床面の上に、患者を下方から支持する歯科用の診療台2が設けられている。診療台2は、基台2a、基台2aにより昇降される座板2bを備える。さらに、診療台2は、背もたれ2cを有する。
背もたれ2cは、一端が座板2bに取り付けられ、この一端を中心に回転する。
さらに、診療台2には、背もたれ2cに取り付けられ、患者の頭を支えるヘッドレスト2dが設けられている。
また、診療台2には、患者の脚部を支持する脚部支持部2eが設けられている。
【0014】
本実施形態では、座板2bの表面が、患者の臀部を支持する支持面2fとなっており、診療の際には、まず、座板2bの上に患者が座る。
なお、この際(患者が座る際)、背もたれ2cは、図2にて示している状態とは異なり、立った状態(起きた状態)となっている。また、患者が座る際、脚部支持部2eは、図2にて示している状態とは異なり、垂れ下がった状態となっている。
その後、本実施形態では、座板2bが上昇し、さらに、背板2cが倒れるようになる。また、脚部支持部2eが、一端部2gを中心に回転し、脚部支持部2eの他端部2hが、上昇する。
図2に示すように、背もたれ2cが倒れた状態では、診療台2は、破線1Aで示すように、一方向に延びるように配置される。
【0015】
また、歯科用診療装置100には、診療台2の脇に(診療台2の周囲に)、医師用のトレーテーブル3が設けられ、さらに、医師用のインスツルメントホルダ10が設けられている。さらに、診療台2を挟みトレーテーブル3の反対側には、アシスタント用のインスツルメントホルダ4が設けられている。
さらに、可動する支持腕13が設けられており、トレーテーブル3、インスツルメントホルダ10は、この支持腕13により支持されている。これにより、トレーテーブル3、インスツルメントホルダ10は、水平方向および上下方向へ移動可能となっている。
また、患者の口腔への光照射を行う歯科用照明装置90、歯科用照明装置90を支持するアーム6b、アーム6bを支持する支柱6cが設けられている。
【0016】
さらに、本実施形態では、図3(歯科用照明装置90の正面図)に示すように、歯科用照明装置90に、光源90Aの他に、カメラ91が設けられている。撮影手段の一部として機能するこのカメラ91は、CCDやCMOSなどの撮像素子を含んで構成されている。
また、本実施形態では、図2に示すように、歯科用診療装置100の全体を撮影する撮影装置92が設けられている。撮影手段の他の一部として機能するこの撮影装置92は、床面に対して垂直に立つ支柱93により支持されている。この撮影装置92は、CCDやCMOSなどの撮像素子を含んで構成されている。
【0017】
本実施形態では、後述するように、歯科用診療装置100の各々にて歯科用診療装置100の撮影が行われる。この場合に、歯科用照明装置90に設けられたカメラ91だけでは、歯科用診療装置100の全体を撮影できないおそれがある。このため、本実施形態では、撮影装置92を設置し、歯科用診療装置100がより広い範囲に亘って撮影されるようにしている。
なお、撮影装置92は、必須ではない。後述する、起こりうる事象についての把握は、歯科用照明装置90に設けられたカメラ91により得られた映像のみに基づいて行ってもよい。
【0018】
ドクター用のインスツルメントホルダ10(図2参照)及びアシスタント用のインスツルメントホルダ4には、歯科用の診療用器具11(患者の診療に用いる診療用器具、インスツルメント)が抜差し自在に保持される(図2では、アシスタント用の診療用器具11のみを図示)。
ドクター用の診療用器具11としては、例えば、エアタービンハンドピース、マイクロモータハンドピース、スケーラ、スリーウェーシリンジ、根管長測定器、根管拡大器、口腔内カメラを挙げることができる。
また、アシスタント用の診療用器具11としては、例えば、患者の口腔内の唾液、血液、切削屑など(以下、「廃液」と称することがある)を吸引する吸引用器具20を挙げることができる。
【0019】
なお、図2では、インスツルメントホルダ4によって、吸引用器具20の一例としてのサクションシリンジ(バキュームシリンジ)21、サライバエジェクタ22が保持されている。
なお、吸引用器具20の各々は、真空ポンプやコンプレッサーなどの不図示の吸気源(後述)に接続されており、この吸気源にて吸気が行われることで、上記廃液の吸引を行う。
【0020】
また、診療台2の脇(周囲)には、患者がうがいに用いるコップ(不図示)に水を供給する供給装置5が設けられている。
供給装置5には、患者の口腔内から排出された廃液を受ける廃液受け部52、コップに対し水を供給するコップ用給水部53、清掃用の水を廃液受け部52に供給する清掃用給水部54が設けられている。
【0021】
さらに、供給装置5には、その内部に、廃液を収容する収容容器(サクションタンク)60が設けられている。
収容容器60には、上記吸引用器具20(サクションシリンジ21、サライバエジェクタ22等)によって吸引された廃液(患者の口腔内から吸引された廃液)が収容される。
また、供給装置5の内部には、歯科用診療装置100の各部の制御を行う制御装置61が設けられている。
【0022】
図4は、図2の矢印IVで示す方向から、供給装置5を眺めた場合の図である。
供給装置5は、可動体であり、診療台2に設けられた座板2b(図2参照)の昇降に伴い昇降する。言い換えると、供給装置5は、座板2bに連動可能な状態で設けられ、座板2bが上下動すると、座板2bに付随して上下動する。
図4では、供給装置5が最も下降した状態を示しており、この状態では、供給装置5と床面との間に、間隙Gが生じている。
【0023】
図5は、管理サーバ200のハードウエアの構成を示した図である。
管理サーバ200は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203を備える。さらに、ハードディスク装置などにより構成される情報記憶装置204を備える。
ROM202は、CPU201により実行されるプログラムを記憶する。プロセッサの一例としてのCPU201は、ROM202に記憶されているプログラムを読み出し、RAM203を作業エリアにして、プログラムを実行する。
【0024】
ここで、CPU201によって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で、管理サーバ200へ提供し得る。
また、CPU201によって実行されるプログラムは、インターネットなどの通信手段を用いて管理サーバ200にダウンロードしてもよい。
【0025】
図6は、管理サーバ200により実現される機能を示した図である。
管理サーバ200は、記憶部211と、事象把握部212と、情報出力部213とを備える。
記憶部211は、上記の情報記憶装置204により実現される。また、事象把握部212、情報出力部213は、CPU201がROM202に格納されているプログラムを実行することで実現される。
【0026】
記憶部211は、歯科用診療装置100の各々にて発生した事象についての情報を記憶する。言い換えると、本実施形態では、記憶部211に、複数設けられた歯科用診療装置100の各々にて発生した事象についての情報が登録される。
事象把握手段の一例としての事象把握部212は、対象となる歯科用診療装置(以下、「対象装置」と称する)が撮影されることにより得られた映像および記憶部211に記憶されている情報に基づき、この対象装置にて起こりうる事象を把握する。
情報出力手段の一部として機能する情報出力部213は、対象装置にて起こりうる事象についての情報や、この起こりうる事象が対象装置にて発生しないようにするための情報を、通信インタフェース(不図示)等と協働して出力する。
【0027】
図7は、歯科用診療装置100の各々に設けられた制御装置61(図2参照)のハードウエアの構成を示した図である。
歯科用診療装置100の各々に設けられた制御装置61は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103を備える。さらに、ハードディスク装置などにより構成される情報記憶装置104を備える。
ROM102は、CPU101により実行されるプログラムを記憶する。CPU101は、ROM102に記憶されているプログラムを読み出し、RAM103を作業エリアにして、プログラムを実行する。
【0028】
ここで、CPU101によって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で、歯科用診療装置100へ提供し得る。
また、CPU101によって実行されるプログラムは、インターネットなどの通信手段を用いて歯科用診療装置100にダウンロードしてもよい。
【0029】
図8は、歯科用診療装置100の制御装置61により実現される機能部を示した図である。なお、図8では、事象の把握処理に関連する機能部のみを表示している。
歯科用診療装置100の制御装置61は、情報取得部111と、制御部112とを備える。ここで、情報取得部111、制御部112は、CPU101がROM102に格納されているプログラムを実行することで実現される。
【0030】
取得手段の一例としての情報取得部111は、歯科用診療装置100にて起こりうる事象についての情報を取得する。
より具体的には、情報取得部111は、この情報取得部111が設けられている歯科用診療装置100(自装置)にて起こりうる事象についての情報を取得する。
言い換えると、情報取得部111は、自装置が事象の把握の対象となる対象装置である場合に、この対象装置にて起こりうる事象についての情報を取得する。
【0031】
より具体的には、本実施形態では、後述するように、事象の把握の対象となる対象装置に設けられたカメラ91や撮影装置92により得られた映像を基に、管理サーバ200が、この対象装置にて起こりうる事象を把握する。そして、管理サーバ200は、把握したこの事象についての情報を対象装置に送信する。
そして、対象装置の情報取得部111は、管理サーバ200から送信されてきた、この事象についての情報を取得する。
【0032】
また、対象装置の情報取得部111は、後述するように、対象装置(自装置)にて起こりうる事象が、この対象装置にて発生しないようにするための情報を、管理サーバ200から取得する。
そして、本実施形態では、制御手段の一例としての制御部112が、この発生しないようにするための情報に基づき、自装置(対象装置)の制御を行い、自装置にて事象が発生しないようにする。
【0033】
〔発生する事象の登録処理〕
本実施形態では、管理サーバ200に記憶部211が設けられ、本実施形態では、歯科用診療装置100の各々にて発生した事象についての情報がこの記憶部211に登録される。これにより、記憶部211が、歯科用診療装置100の各々にて発生した事象についての情報を記憶する。
言い換えると、本実施形態では、歯科用診療装置100の各々にて発生した事象についての情報が、管理サーバ200に集約される。
【0034】
具体例を挙げて説明すると、例えば、図2~4にて示した歯科用診療装置100では、供給装置5と床面との間に間隙Gが存在する。
本実施形態では、この間隙Gに物が入り、下降する供給装置5と床面との間にこの物が挟まれる事象が発生した場合に、この事象が、管理サーバ200の記憶部211に登録される。
より具体的には、例えば、患者の所有物や、診療に用いられる各種の物品などが間隙Gに入り、さらに、この所有物や物品が、供給装置5と床面との間に挟まれる事象が発生した場合に、この事象が管理サーバ200の記憶部211に登録される。
【0035】
より具体的には、間隙G内に物が入り、この物が供給装置5と床面との間に挟まれた事象が発生した場合は、例えば、歯科用診療装置100を製造した会社の担当者などによって、タブレット端末やPC(Personal Computer)などの端末装置が操作されて、この事象についての情報が入力される。そして、入力されたこの情報が、管理サーバ200の記憶部211に登録される。
より具体的には、端末装置から管理サーバ200へ、事象についての情報が送信され、この事象についての情報が、記憶部211に登録される。
【0036】
さらに、本実施形態では、このとき、上記の担当者は、端末装置を操作し、上記の事象が起きた部分の装置構造についての情報を登録する。
具体的には、担当者は、端末装置を操作して、例えば、「供給装置5が移動可能になっており、さらに、移動する供給装置5と床面との間に間隙Gが存在する」を旨とする装置構造についての情報を登録する。
そして、本実施形態では、この装置構造についての情報も、端末装置から管理サーバ200へ送信される。
【0037】
そして、最終的に、本実施形態では、発生した事象についての情報と、この事象が発生した部分の装置構造についての情報とが、互いに対応付けられた状態で記憶部211に登録される。
言い換えると、本実施形態では、歯科用診療装置100にて現実に発生した事象についての情報と、この事象が発生した部分の装置構造についての情報とが互いに対応付けられた状態で記憶部211により記憶される。
具体的には、例えば、「供給装置5と床面との間に物が挟まれた」という事象についての情報と、「供給装置5が移動可能になっており、さらに、移動する供給装置5と床面との間に間隙Gが存在する」という装置構造についての情報が、記憶部211に記憶される。
【0038】
図9は、事象の登録処理の際に実行される処理の流れを示したフローチャートである。
本実施形態では、図1に示すように、複数台の歯科用診療装置100が設けられており、この複数台の歯科用診療装置100の各々にて、上記のような事象が発生した場合に(ステップS101)、この事象についての情報、および、この事象が起きた部分の装置構造についての情報が、管理サーバ200へ送信される(ステップS102)。
【0039】
具体的には、本実施形態では、上記のように、例えば、端末装置から管理サーバ200へ、事象についての情報、装置構造についての情報が送信される。
そして、本実施形態では、この事象についての情報、装置構造についての情報が、互いに対応付けられた状態で、管理サーバ200の記憶部211に登録される(ステップS103)。
【0040】
本実施形態では、歯科用診療装置100の各々にて、物や人に影響を与える事象が生じる度に、この事象についての情報、および、装置構造についての情報が記憶部211に登録される。
言い換えると、本実施形態では、物や人に影響を与える事象が生じる度に、この事象の内容、および、この事象が発生する要因となった装置構造についての情報が、記憶部211に登録される。
ここで、「人」には、患者のみならず、医師、補助者なども含まれる。また、「人」には、患者の家族や、歯科用診療装置100のメンテナンスを行う者など、診療とは直接関係ない者も含まれる。
【0041】
なお、上記では、事象についての情報、装置構造についての情報の、記憶部211への登録を、人手(担当者)を介して行う場合を説明したが、記憶部211へのこれらの情報の登録は、人手を介さずに行ってもよい。
人手を介さずに情報の登録を行う場合は、例えば、歯科用診療装置100に設置されたカメラ91や、撮影装置92により得られた映像を管理サーバ200に送信するようにする。
【0042】
そして、この場合、管理サーバ200は、歯科用診療装置100の各々から送信されてきたこの映像を解析し、歯科用診療装置100の一部が物や人に触れる事象が、歯科用診療装置100にて発生しているか否かを判断する。
より具体的には、管理サーバ200では、歯科用診療装置100毎に、物や人に影響を与える事象が歯科用診療装置100にて発生しているか否かを判断する。
そして、管理サーバ200は、物が挟まれるなど、歯科用診療装置100の一部であって可動する一部が、物や人に触れる事象が発生した場合、歯科用診療装置100の一部が物や人に触れるというこの事象についての情報を取得する。
【0043】
また、管理サーバ200は、この場合、映像をさらに解析し、この、歯科用診療装置100の一部が物や人に触れるという事象が発生した要因となった装置構造についての情報を取得する。
具体的には、この場合、管理サーバ200は、歯科用診療装置100のうちの、人や物に触れた移動体を特定する。そして、管理サーバ200は、この移動体についての情報を含んだ情報を、装置構造についての情報として取得する。
そして、管理サーバ200は、取得した事象についての情報と、取得した装置構造についての情報とを互いに対応付けた状態で、記憶部211に登録する。
【0044】
〔起こりうる事象の把握処理〕
図10は、歯科用診療装置100にて起こりうる事象を把握する際に実行される処理の流れを示したフローチャートである。
本実施形態では、歯科用診療装置100の各々では、歯科用診療装置100に設けられたカメラ91、撮影装置92によって歯科用診療装置100が撮影され、この歯科用診療装置100についての映像が取得される(ステップS201)。
【0045】
より具体的には、例えば、新たな歯科用診療装置100が設置されると、この歯科用診療装置100では、以後、この歯科用診療装置100に設けられたカメラ91、撮影装置92によってこの歯科用診療装置100が撮影される。そして、この撮影により、この歯科用診療装置100についての映像が取得される。
そして、本実施形態では、歯科用診療装置100についての映像が、管理サーバ200へ順次送信される(ステップS202)。
【0046】
そして、管理サーバ200では、事象把握部212が、複数設けられた歯科用診療装置100の各々から順次送信されてくる映像を取得する(ステップS203)。
そして、事象把握部212は、歯科用診療装置100から送信されてきたこの映像、および、記憶部211に記憶されている情報に基づき、この歯科用診療装置100にて起こりうる事象を把握する(ステップS204)。
【0047】
この場合、この歯科用診療装置100が、起こりうる事象の把握の対象となる対象装置であり、事象把握部212は、この対象装置から送信されてきたこの映像、および、記憶部211に記憶されている情報に基づき、この対象装置にて起こりうる事象を把握する。
具体的には、管理サーバ200の事象把握部212は、この起こりうる事象の把握にあたっては、まず、対象装置が撮影されることにより得られた映像を解析し、記憶部211に登録されている装置構造(以下、「登録装置構造」と称する)をこの対象装置が有するか否かを判断する。
【0048】
そして、事象把握部212は、対象装置が登録装置構造を有すると判断した場合、この登録装置構造に対応付けられて記憶部211に記憶されている事象についての情報(以下、「登録事象情報」と称する)を取得する。
そして、この場合、事象把握部212は、取得したこの登録事象情報により特定される事象を、対象装置にて起こりうる事象として把握する(ステップS204)。
【0049】
具体的に説明すると、事象把握部212は、例えば、対象装置についての映像の中に、上記の「供給装置5が移動可能になっており、さらに、移動する供給装置5と床面との間に間隙Gが存在する」という登録装置構造が含まれている場合、この登録装置構造に対応付けられて記憶部211に記憶されている登録事象情報を取得する。
具体的には、事象把握部212は、この場合、「供給装置5と床面との間に物が挟まれた」という登録事象情報を取得する。
そして、この場合、事象把握部212は、この「供給装置5と床面との間に物が挟まれた」という事象を、対象装置にて起こりうる事象として把握する。
【0050】
ここで、事象把握部212は、対象装置についての映像の中に、上記の「供給装置5が移動可能になっており、さらに、移動する供給装置5と床面との間に間隙Gが存在する」という登録装置構造が含まれているか否かを判断にするにあたっては、まず、対象装置についての映像の中から、供給装置5を特定する。
具体的には、事象把握部212は、廃液受け部52などの特徴部分を基に、供給装置5を特定する。
【0051】
より具体的には、歯科用診療装置100に設けられた装置構造の各々は、様々な特徴部分を有しており、本実施形態では、管理サーバ200に設けられた不図示のデータベースに、装置構造と、この装置構造が有する特徴部分とが対応付けられた状態で登録されている。
事象把握部212は、このデータベースに登録されている情報を参照し、廃液受け部52などの特徴部分を基に、供給装置5を特定する。
【0052】
そして、事象把握部212は、対象装置についての映像をさらに解析し、特定した供給装置5が移動し、また、最も下方まで移動した供給装置5と床面との間に間隙Gがあるか否かを判断する。
そして、事象把握部212は、対象装置に設けられた供給装置5が移動可能になっており、さらに、移動するこの供給装置5と床面との間に間隙Gが存在すると判断した場合、対象装置が登録装置構造を有すると判断する。
【0053】
そして、本実施形態では、この場合、上記の通り、事象把握部212が、この登録装置構造に対応付けられて記憶部211に記憶されている登録事象情報を取得する。
具体的には、事象把握部212は、「供給装置5と床面との間に物が挟まれた」という登録事象情報を取得する。そして、事象把握部212は、この「供給装置5と床面との間に物が挟まれた」という事象を、対象装置にて起こりうる事象として把握する。
【0054】
そして、本実施形態では、情報出力部213が、事象把握部212により把握された、この起こりうる事象についての情報を、対象装置へ送信する(ステップS205)。これにより、この対象装置の情報取得部111(図8参照)が、この起こりうる事象についての情報を取得する(ステップS206)。具体的には、情報取得部111は、「供給装置5と床面との間に物が挟まれた」という情報を取得する。
その後、本実施形態では、情報取得部111が取得した、この起こりうる事象についての情報が、例えば、対象装置に設けられたモニタ(不図示)に表示される(ステップS207)。
【0055】
具体的には、対象装置に設けられたモニタには、例えば、「供給装置と床面との間に物が挟まれた、という事象が他の装置で過去に発生しています」と表示される。
これにより、歯科医師などが、供給装置5と床面との間に、物が挟まれる可能性があることを知るようになる。
【0056】
なお、起こりうる事象についての情報は、対象装置に限られず、この対象装置を管理する歯科医師や、対象装置の製造メーカの担当者など、予め定められた者へ出力してもよい。
具体的には、起こりうる事象についての情報は、この予め定められた者が有するスマートフォン、タブレット端末、PCなどの端末装置へ出力してもよい。
この場合も、上記と同様、歯科医師や製造メーカの担当者が、供給装置5と床面との間に物が挟まれる可能性があることを知るようになる。
【0057】
〔事象の発生を未然に防ぐための処理〕
また、本実施形態では、管理サーバ200の情報出力部213は、事象把握部212により把握された、起こりうる事象が対象装置にて発生しないようにするための情報を、対象装置に対して出力する。
なお、上記と同様、事象が発生しないようにするためのこの情報は、対象装置に限らず、上記の端末装置など、予め定められた他の装置へ出力してもよい。また、この情報は、対象装置およびこの他の装置の両者へ出力してもよい。
ここで、この他の装置としては、上記と同様、スマートフォン、タブレット端末、PCなどが挙げられる。
【0058】
情報出力部213は、起こりうる事象が対象装置にて発生しないようにするための情報を、予め定められた条件が満たされた場合にこの対象装置へ出力する。
具体的には、情報出力部213は、例えば、起こりうる事象が実際に発生するにあたって必要となる条件のうちの少なくとも一部の条件が満たされた場合に、起こりうる事象が発生しないようにするためのこの情報を対象装置へ出力する。
【0059】
より具体的には、情報出力部213は、対象装置が撮影されることにより得られた映像(対象装置から順次送信されてくる映像)を順次解析して、上記の、少なくとも一部の条件が満たされたか否かを順次判断する。
そして、情報出力部213は、少なくとも一部の条件が満たされた場合、上記の、事象が発生しないようにするための情報を出力する。
【0060】
より具体的には、情報出力部213は、対象装置から順次送信されてくる映像(対象装置についての映像であって、この対象装置のカメラ91や撮影装置92により得られた映像)を順次解析する。
具体的には、情報出力部213は、対象装置から順次送信されてくる映像を基に、例えば、上記の間隙Gに相当する箇所に物が入ったか否かの判断を、予め定められた一定の時間間隔毎に行う。
【0061】
そして、情報出力部213は、間隙Gに相当する箇所に物が入ったと判断した場合、事象が発生する可能性があると判断する。具体的には、情報出力部213は、供給装置5と床面との間に物が挟まれる可能性があると判断する。
そして、この場合、情報出力部213は、上記の通り、事象が発生しないようにするための情報を出力する。
【0062】
具体的には、情報出力部213は、この場合、事象が発生しないようにするための情報として、例えば、この事象が対象装置にて発生しないようにするための動作を人に促すための情報を対象装置に対して出力する。
具体的には、情報出力部213は、例えば、間隙Gから物を取り出してもらうようにするための情報を出力する。より具体的には、情報出力部213は、例えば、対象装置に対して、「間隙Gから物を出してください」など、物を出すことを人に指示するための情報を出力する。
【0063】
そして、本実施形態では、情報出力部213から出力されたこの情報が、対象装置へ送信され、対象装置の情報取得部111がこの情報を取得する。即ち、対象装置の情報取得部111は、対象装置にて事象が発生しないようにするための情報を取得する。
より具体的には、この場合、対象装置の情報取得部111は、例えば、「間隙Gから物を出してください」など、物を出すことを人に指示するための情報を取得する。
【0064】
そして、対象装置では、制御部112(図8参照)が、情報取得部111により取得された、上記の発生しないようにするための情報に基づき、対象装置の制御を行う。
具体的には、制御部112は、この発生しないようにするための情報に基づき、対象装置の制御を行い、例えば、上記の起こりうる事象が発生しないようにするための動作を人に促す通知を行う。
【0065】
具体的には、制御部112は、例えば、対象装置に設けられた表示装置(不図示)やスピーカ(不図示)から、間隙Gにある物を取り出すことを指示する情報を出力する。
具体的には、制御部112は、対象装置に設けられた表示装置(不図示)やスピーカ(不図示)を通じて、「間隙Gから物を出してください」など、物を出すことを人に指示する情報を出力する。
これにより、間隙Gから物が取り出される可能性が高まる。
【0066】
また、その他に、情報出力部213は、事象が発生しないようにするための情報として、事象把握部212により把握された事象が対象装置にて発生しないようにするための制御用情報を対象装置に対して出力してもよい。
具体的には、この場合、情報出力部213は、例えば、対象装置の間隙Gに物が入った場合に、供給装置5の下降を禁止する制御信号を出力する。
また、その他に、情報出力部213は、例えば、対象装置の間隙Gに物が入り、且つ、供給装置5の下降が実際に開始された場合に、供給装置5の下降を停止させる制御信号を出力する。
これにより、供給装置5の下降が禁止され、又は、移動を開始していた供給装置5が途中で停止するようになり、供給装置5と床面との間に物が挟まれることが起きにくくなる。
【0067】
より具体的には、この場合、歯科用診療装置100の制御部112が、供給装置5の下降を行わないようになり、又は、移動を開始していた供給装置5を停止させるようになり、供給装置5と床面との間に物が挟まれることが起きにくくなる。
言い換えると、歯科用診療装置100の制御部112は、この場合、歯科用診療装置100の一部である供給装置5の動きを制限する制御を行う。
【0068】
この処理例では、制御部112は、管理サーバ200から送信されてきた制御用情報に基づき供給装置5の制御を行う。
この処理例では、管理サーバ200から制御用情報が送信されてくると、制御部112は、供給装置5の下降を行わず、又は、移動を開始していた供給装置5を停止させる。これにより、供給装置5と床面との間に物が挟まれることが起きにくくなる。
【0069】
歯科用診療装置100では、可動部も多く、この可動部が物や人に触れるなど、様々な事象が発生しうる。この事象を予め予測し、発生しうる事象を予め把握しておくことが好ましい。
しかしながら、例えば、対象装置が新製品の歯科用診療装置100である場合には、どのような事象が発生するかが未知である場合がある。また、既に使用を開始している対象装置であっても、未だ事象がこの対象装置にて現実に発生していない場合には、この対象装置にて発生しうる事象を把握することが難しい場合がある。
これに対し、本実施形態では、未だ事象が発生していない対象装置であっても、この対装置にて起こりうる事象を把握できるようになり、上記の物が挟まれるなどの事象が起きにくくなる。
【0070】
本実施形態では、対象装置が登録装置構造を有しているか否かの判断にあたり、上記の通り、対象装置が映った映像を解析して、対象装置が登録装置構造を有しているか否かを判断する。
この処理を行う場合、対象装置と、実際に事象が発生し登録装置構造についての情報が記憶部211に登録された歯科用診療装置100(以下、「事象発生装置」と称する)とが互いに異なる装置であったとしても、この対象装置に対して、発生しうる事象についての情報を送信できる。
【0071】
ここで、対象装置が登録装置構造を有しているか否かの判断は、この対象装置の型番と、事象発生装置の型番とを比較することで行ってもよい。
この場合、対象装置の型番と、事象発生装置の型番とが一致する場合、対象装置に対し、この対象装置にて発生しうる事象についての情報を送信できる。
ところで、このように型番に基づく場合、対象装置と事象発生装置とが僅かでも異なると、この対象装置に対して、発生しうる事象についての情報を送信できなくなる。
【0072】
これに対し、上記のように、対象装置についての映像を解析し、対象装置が、登録装置構造により特定される構造を有しているか否かを判断する場合、装置の型番が異なっていても、対象装置に対して、発生しうる事象についての情報の送信を行える。
言い換えると、この場合、対象製品と事象発生装置とが類似する場合や異なる場合であっても、対象装置に対して、発生しうる事象についての情報の送信を行える。
【0073】
なお、上記では、供給装置5の下方の間隙Gに物が入るという事象を、記憶部211に登録する場合を一例に説明したが、記憶部211に登録する事象は、間隙Gに物が入るという事象に限られず、物や人に影響を与えうる事象であれば、他の事象であってもよい。
歯科用診療装置100には、様々な可動部が存在し、この可動部が物や人に接触することで物や人に影響を与える。本実施形態では、この可動部が物や人に接触する事象を、記憶部211に登録することで、上記の通り、対象装置に対して、発生しうる事象についての情報の送信を行える。
【0074】
〔他の処理例〕
他の処理例について説明する。
上記では、供給装置5と床面との間の間隙Gに物が挟まれる事象が発生した場合に、現実に発生した事象についての情報と、この事象が発生した部分の装置構造についての情報とを互いに対応付けた状態で記憶部211に登録する場合を一例に説明した。
ここで、記憶部211に登録する情報については、これに限らず、例えば、物が挟まれたことを示す情報(事象についての情報)と、装置の上下動が行われたことを示す情報とを互いに対応付けた状態で、記憶部211に登録してもよい。
【0075】
言い換えると、事象が発生した部分の装置構造についての情報としては、「供給装置5が移動可能になっており、さらに、移動する供給装置5と床面との間に間隙Gが存在する」という具体的な情報に限られず、例えば、「上下動する部分が存在する」などの上位概念化した情報(事象が発生した部分の動きを示す情報)を、記憶部211に登録するようにしてもよい。
この場合、対象装置に、上下動する部分(同じ動きを行う部分)が存在することが把握されると、記憶部211から、起こりうる事象についての情報として、物が挟まれたことを示す情報が抽出される。
【0076】
具体例を挙げてさらに説明する。ここでは、図2の診療台2が対象装置であるとする。
この診療台2では、脚部支持部2eが上下動する構造となっており、脚部支持部2eが下降することにより、脚部支持部2eと床面との間に物が挟まれる事態が生じるおそれがある。
この場合、管理サーバ200は、対象装置であるこの診療台2についての映像を解析し、脚部支持部2eが上下動することを把握する。
【0077】
そして、この場合、管理サーバ200は、記憶部211に登録されている事象についての情報であって、「上下動する部分が存在する」という情報に対応付けて登録されている事象についての情報を取得する。
具体的には、管理サーバ200は、この場合、例えば、物が挟まれた、という事象についての情報を取得する。
そして、この場合、上記と同様の処理が行われ、物が挟まれたという事象を通知する処理や、脚部支持部2eの下降を制限する制御が行われたりする。
【0078】
ここで、この例では、記憶部211への、装置構造についての情報の登録の対象となった装置構造は、供給装置5であり、その一方で、発生しうる事象の把握の基となった装置構造は、脚部支持部2eであり、装置の種類が互いに異なる。
上記のように、「上下動する部分が存在する」などの上位概念化した情報を登録する場合、このように装置の種類が互いに異なる場合であっても、対象装置において起こりうる事象の把握を行える。
【0079】
また、この処理を行う場合、装置構造についての情報が記憶部211に登録された診療台2(既に事象が発生した診療台2)と、起こりうる事象をこれから把握しようとする診療台2とが同じである場合であっても、この診療台2にて発生しうる事象についての情報の取得を行える。
言い換えると、ある診療台2にて既に起きた事象を基に、この診療台2のうち、未だ事象が起きていない箇所にて起こりうる事象についての情報を取得できる。
【0080】
また、他の処理例として、例えば、供給装置5と床面との間の間隙Gに物が挟まれる事象が発生した場合に、物が挟まれたことを示す事象についての情報と、装置の可動部の隙間という概念とを互いに対応付けて、この2つの情報を記憶部211に登録するようにしてもよい。
より具体的には、事象が発生した部分の装置構造についての情報として、例えば、「装置の可動部と他の部材との間に間隙が存在する」などの情報(可動する対象物及びこの対象物の周囲に位置する物の状況を表す情報)を、記憶部211に登録するようにしてもよい。
【0081】
ここで、本実施形態の診療台2(図2参照)では、背もたれ2cと座板2bの間に間隙G2が存在する。
そして、この場合、この診療台2が対象装置であると、管理サーバ200は、この対象装置に間隙G2があることを把握する。
そして、この場合、管理サーバ200は、上記の「装置の可動部と他の部材との間に間隙が存在する」という情報に対応付けられて記憶部211に登録されている、起こりうる事象についての情報を取得する。具体的には、物が挟まれた、という事象についての情報を取得する。
そして、この場合、上記と同様、この事象についての情報が出力されて通知処理が行われたり、また、背もたれ2cの可動が制限されたりする制御が行われる。
【0082】
この場合も、上記と同様、記憶部211への、装置構造についての情報の登録の対象となった装置構造の種類と、発生しうる事象の把握の基となった装置構造の種類とが互いに異なる。
また、この場合も、上記と同様、装置構造についての情報が記憶部211に登録された診療台2(既に事象が発生した診療台2)と、起こりうる事象をこれから把握しようとする診療台2とが同じである。
以上の処理の場合、診療台2にて既に起きた事象を基に、この診療台2のうち、未だ事象が起きていない箇所にて起こりうる事象についての情報の取得を行える。
【符号の説明】
【0083】
1…情報処理システム、91…カメラ、92…撮影装置、100…歯科用診療装置、111…情報取得部、112…制御部、211…記憶部、212…事象把握部、213…情報出力部
図1
図2
図3
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図8
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図10