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特許7565085増幅モジュールが外側導体上に配置された高周波増幅ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】増幅モジュールが外側導体上に配置された高周波増幅ユニット
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/60 20060101AFI20241003BHJP
   H01P 5/12 20060101ALI20241003BHJP
   H01P 5/103 20060101ALI20241003BHJP
   H03F 3/189 20060101ALI20241003BHJP
   H05H 13/04 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H03F3/60
H01P5/12 B
H01P5/103 B
H03F3/189
H05H13/04 D
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021184532
(22)【出願日】2021-11-12
(62)【分割の表示】P 2019070169の分割
【原出願日】2019-04-01
(65)【公開番号】P2022044584
(43)【公開日】2022-03-17
【審査請求日】2022-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】519116920
【氏名又は名称】クリオエレクトラ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Cryoelectra GmbH
【住所又は居所原語表記】Linde 72,42287 Wuppertal,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート ピール
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイ コレショフ
(72)【発明者】
【氏名】ニコ プーペーター
【審査官】間宮 嘉誉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10164667(US,B1)
【文献】特表2016-507191(JP,A)
【文献】特開平11-168308(JP,A)
【文献】特開昭63-260307(JP,A)
【文献】特開平2-196501(JP,A)
【文献】特開平4-229701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 3/60
H01P 5/12
H01P 5/103
H03F 3/189
H05H 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
増幅システムであって、
- いくつかの高周波増幅ユニット(100、200、300)と、
- 高周波導波管(402、502)と、
を備え、
前記高周波増幅ユニット(100、200、300)の各々は、
- 高周波入力信号を高周波出力信号に増幅するためのいくつかの増幅モジュール(10、10’)と、
- 前記増幅モジュール(10、10’)の前記高周波出力信号を合成するための、外側導体(104、204、304)とこれに同軸に配置された内側導体(106、206、306)とを有する、同軸合成器(102、202、302)と、
を備えた、
増幅システムにおいて、
- 前記増幅モジュール(10、10’)は、前記同軸合成器(102、202、302)の前記外側導体(104、204、304)の外面に配置され、
- 前記高周波出力信号を前記同軸合成器(102、202、302)に送信するために、前記増幅モジュール(10、10’)は前記同軸合成器(102、202、302)の前記同軸の内側導体(106、206、306)に接続され、
- 前記高周波導波管(402、502)が前記高周波増幅ユニット(100、200、300)の出力電力を合成できるように、前記高周波増幅ユニット(100、200、300)は前記高周波導波管(402、502)の長手方向軸線に沿って前記高周波導波管(402、502)上に配置される、
ことを特徴とする増幅システム。
【請求項2】
前記いくつかの高周波増幅ユニットの各々において、前記同軸合成器(102、202、302)は長手方向に延び、前記外側導体(104、204、304)は前記外面の横断面が多角形に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の増幅システム。
【請求項3】
前記いくつかの高周波増幅ユニットの各々において、前記増幅モジュール(10、10’)は平坦に形成され、前記同軸合成器(102、202、302)の前記外側導体(104、204、304)に平らに配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載の増幅システム。
【請求項4】
前記いくつかの高周波増幅ユニットの各々において、前記同軸合成器(102、202、302)の前記外側導体(104、204、304)は、前記増幅モジュール(10、10’)を冷却するための冷媒回路の一部として形成されることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の増幅システム。
【請求項5】
前記いくつかの高周波増幅ユニットの各々において、前記増幅モジュール(10、10’)は前記同軸合成器(102、202、302)の前記外側導体(104、204、304)の周囲に配置されることを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の増幅システム。
【請求項6】
前記いくつかの高周波増幅ユニットの各々において、前記増幅モジュール(10、10’)のうちの少なくとも一部が前記同軸の内側導体(106、206、306)に、長手方向に見て同じ高さにおいて、接続されることを特徴とする、請求項1~5の何れか一項に記載の増幅システム。
【請求項7】
前記いくつかの高周波増幅ユニットの各々において、第1増幅モジュール(10、10’)群の増幅モジュール(10、10’)が、前記同軸合成器(102、202、302)の第1の長手方向区間(220)において、前記同軸合成器(102、202、302)の前記外側導体(104、204、304)の前記外面に配置され、第2増幅モジュール(10、10’)群の増幅モジュール(10、10’)が、前記同軸合成器(102、202、302)の第2の長手方向区間(230)において、前記同軸合成器(102、202、302)の前記外側導体(104、204、304)の前記外面に配置されることを特徴とする、請求項1~6の何れか一項に記載の増幅システム。
【請求項8】
前記いくつかの高周波増幅ユニットの各々において、前記第1増幅モジュール(10、10’)群の前記増幅モジュール(10、10’)は前記同軸合成器(102、202、302)の前記第1の長手方向区間(220)の端部領域(222)において前記同軸の内側導体(106、206、306)に接続され、前記端部領域(222)は前記同軸合成器(102、202、302)の前記第2の長手方向区間(230)に面する、および/または
前記第2増幅モジュール(10、10’)群の前記増幅モジュール(10、10’)は、前記同軸合成器(102、202、302)の前記第2の長手方向区間(230)の端部領域(232)において前記同軸の内側導体(106、206、306)に接続され、前記端部領域(232)は前記同軸合成器(102、202、302)の前記第1の長手方向区間(220)に面する、
ことを特徴とする、請求項7に記載の増幅システム。
【請求項9】
前記いくつかの高周波増幅ユニットの各々において、前記同軸の内側導体(106、206、306)は前記同軸合成器(102、202、302)の前記第2の長手方向区間(230)の端部領域(232)内まで延在し、前記端部領域(232)は前記同軸合成器(102、202、302)の前記第1の長手方向区間(220)に面することを特徴とする、請求項7または8に記載の増幅システム。
【請求項10】
前記いくつかの高周波増幅ユニットの各々において、前記第1増幅モジュール(10、10’)群の前記増幅モジュール(10、10’)は、前記同軸合成器(102、202、302)の長手方向に見て第1の同じ高さにおいて、前記同軸の内側導体(106、206、306)に接続されること、および前記第2増幅モジュール(10、10’)群の前記増幅モジュール(10、10’)は、前記同軸合成器(102、202、302)の長手方向に見て第2の同じ高さにおいて、前記同軸の内側導体(106、206、306)に接続されることを特徴とする、請求項7~9の何れか一項に記載の増幅システム。
【請求項11】
前記いくつかの高周波増幅ユニットの各々において、前記同軸合成器(102、202、302)は、前記同軸合成器(102、202、302)の入力側電波インピーダンスが前記同軸合成器(102、202、302)の出力側電波インピーダンスに変成されるように、変成挙動を有する変成部(112、212)を有することを特徴とする、請求項1~10の何れか一項に記載の増幅システム。
【請求項12】
前記いくつかの高周波増幅ユニットの各々において、前記変成部(112、212)において、前記同軸合成器(102、202、302)の前記同軸の内側導体(106、206、306)は第1の外径(d)を有し、前記同軸合成器(102、202、302)の前記外側導体(104、204、304)は第1の内径(D)を有し、前記変成部(112、212)に接続されている出力部(114、214)において、前記同軸合成器(102、202、302)の前記同軸の内側導体(106、206、306)は第2の外径(d)を有し、前記同軸合成器(102、202、302)の前記外側導体(104、204、304)は第2の内径(D)を有することを特徴とする、請求項11に記載の増幅システム。
【請求項13】
前記いくつかの高周波増幅ユニットの各々において、前記変成部(112、212)における前記内側導体(106、206、306)の前記第1の外径(d)に対する前記外側導体(104、204、304)の前記第1の内径(D)の比は、前記出力部(114、214)における前記内側導体(106、206、306)の前記第2の外径(d)に対する前記外側導体(104、204、304)の前記第2の内径(D)の比より小さいことを特徴とする、請求項12に記載の増幅システム。
【請求項14】
前記いくつかの高周波増幅ユニット(100、200、300)の各々は少なくとも2kWの出力電力を供給できることを特徴とする、請求項1~13の何れか一項に記載の増幅システム。
【請求項15】
前記高周波増幅ユニット(100、200、300)の長手方向軸線は、前記高周波導波管(402、502)の前記長手方向軸線に対して横方向に、それぞれ延びることを特徴とする、請求項1~14の何れか一項に記載の増幅システム。
【請求項16】
前記同軸合成器(102、202、302)の出力電力を前記高周波導波管(402、502)に結合するために、前記高周波増幅ユニット(100、200、300)の前記同軸の内側導体(106、206、306)は出力側端部においてアンテナ(116、216)の役割をそれぞれ果たすことを特徴とする、請求項1~15の何れか一項に記載の増幅システム。
【請求項17】
前記高周波増幅ユニット(100、200、300)は前記高周波導波管(402、502)の横方向に互いにずらして、および/または前記高周波導波管(402、502)の両側に、配置されることを特徴とする、請求項1~16の何れか一項に記載の増幅システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波入力信号を高周波出力信号に増幅するためのいくつかの増幅モジュールと、これら増幅モジュールの高周波出力信号を合成するための、外側導体とこれに同軸に配置された内側導体とを有する、同軸合成器とを備えた高周波増幅ユニットに関する。更に、本発明は増幅システムに関する。
【背景技術】
【0002】
加速共振器、特に粒子加速器の超伝導空洞、は、加速器(サイクロトロン、線形加速器、およびシンクロトロン)の構造によって、および加速される粒子の種類によって、規定される。必要な加速場強度と加速される粒子の所望のエネルギー利得とを保証するために、高HF電力を供給する必要性は全ての共振器に共通している。近年開発されたトランジスタベースの増幅モジュールは、増幅モジュール当たり最大500Wの、場合によってはこれより大きい、出力電力を可能にする。
【0003】
加速器、特に加速共振器、を作動させるために、小型の加速器においても、10kWを大幅に超えるHF電力が既に必要とされている。大型のサイクロトロンにおいては、またはシンクロトロンおよび蓄積リングの加速共振器においては、最大100kW以上のHF電力が必要とされている。したがって、作動のために、数十の増幅モジュール(増幅ユニット)の出力電力をまとめる、すなわち合成する、または積み重ねる、必要がある。この目的のために、これら増幅モジュールによって増幅された高周波出力信号は、複数の同軸ケーブルによって所謂HF電力合成器に案内される。HF電力合成器は、増幅された高周波出力信号を合成する。ここで、高周波技術において、合成器とは、(通常、同じ周波数の)いくつかの弱い信号を合成して1つのより強い信号にする組立体であると理解されたい。通常、合成器は、同時に、これら入力が互いに影響し合わないように、またはそれぞれ他の信号発生器に影響を及ぼさないように、これら入力を互いに隔離する。
【0004】
一方で、問題となるのは、ここで増幅ユニットは、通常、かなりの排熱を発生させるので、この排熱を放散させる必要があることである。これら要件の故に、個々の高周波増幅ユニットおよび増幅システム全体の両方に可能な設計は限定され、高電力の場合は相応に空間を占めるシステムになる。他方、これに加え、この方式は、同軸ケーブル内で急に増大するジュール損失のため、組み合わされる増幅された高周波出力信号の周波数の増大に伴い、ますます魅力がなくなる。
【0005】
したがって、電力合成器を有する高周波増幅ユニットにとって重要な要件は、
1.高い経済効率(できる限り低い投資および運転コスト)、
2.できる限り低い給電線(ケーブル)損失および合成損失、ひいては高い効率、
3.コンパクトな設計、および
4.高周波増幅ユニットおよび/または増幅モジュールの容易なアクセス可能性および交換可能性、
である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、これら要件のうちの1つまたは全てを満たす高周波増幅ユニットおよび増幅システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によると、上記目的は、高周波入力信号を高周波出力信号に増幅するためのいくつかの増幅モジュールと、これら増幅モジュールの高周波出力信号を合成するための、外側導体とこれに同軸に配置された内側導体とを有する、同軸合成器とを備えた高周波増幅ユニットであって、これら増幅モジュールは同軸合成器の外側導体の外面に配置され、これら増幅モジュールは、高周波出力信号を同軸合成器に送信するために、同軸合成器の同軸の内側導体に接続される、高周波増幅ユニットによって解決される。
【0008】
これら増幅モジュールは同軸合成器の外側導体の外面に配置され、同時に、これら増幅モジュールは、高周波出力信号を同軸合成器に送信するために同軸合成器の同軸の内側導体に接続されるので、特に(内側導体のない)導波管に比べ、コンパクトな設計の極めて省スペースの高周波増幅ユニットを実現できる。(増幅された)高周波出力信号の送信は、すなわち、増幅モジュールから同軸合成器への電力の伝送は、同軸合成器の外側導体への増幅モジュールの配置の故に、ケーブルなしに行うことができる。増幅モジュールと同軸合成器との間にケーブルが不要であるので、高周波増幅ユニットが蒙る合成損失は小さく、必要であれば素速いアクセスが可能である。特に、同軸合成器の内側導体への接続部を介して増幅モジュールの出力電力を同軸合成器に直接伝送できる一方で、同時に、増幅モジュールを冷却するために同軸合成器の外側導体を好都合に使用できることが分かっている。
【0009】
高周波信号は、電波、特にマイクロ波範囲、の周波数を有する信号であることが好ましい。すなわち、高周波信号は、少なくとも50MHz、好ましくは少なくとも70MHz、より好ましくは少なくとも100MHz、特に好ましくは少なくとも300MHz、の周波数を有する電波であることが好ましい。同様に、最大300GHz、好ましくは最大3GHz、の周波数を有する電波であることが好ましい。好適な一範囲は、例えば、1~3GHzである。粒子加速器の実施の形態のための一般的な周波数は、例えば約70MHzと3GHzの間にある(例えば、1.3GHz、1.5GHz、または1.75GHz)。対応して、このようなマイクロ波を生成、増幅、または案内するように設計された、好ましくは高周波増幅ユニット、増幅モジュール、および同軸合成器に言及する。ここで、これら信号のエネルギーは、外側導体と内側導体との間の誘電体(ここでは好ましくは空気)内を移送される。
【0010】
増幅モジュールは、特にトランジスタ増幅器を備える。この増幅器は、例えば1つ以上のパワートランジスタを備えることができ、プッシュプル動作の場合は、例えば2つのパワートランジスタを備えることができる。更に、増幅モジュールは、上流側トランジスタを保護するために役立つサーキュレータを備えることができる。増幅モジュールは、例えば、回路基板またはアレイとして形成可能である。この回路基板またはアレイは単一部品とすることもできるが、例えば、トランジスタ回路基板とサーキュレータ回路基板とを備えることもできる。増幅モジュールは、少なくとも300W、好ましくは少なくとも400W、より好ましくは少なくとも500W以上、の(定格)電力を供給することが好ましい。増幅モジュールは、特に銅製またはアルミニウム製の、金属層を同軸合成器側に向いた面(特に、据え付け面または下面)に有する。
【0011】
高周波増幅ユニットは、1つ(以上)のドライバ、1つ(以上)前置増幅器、および/または1つのスプリッタを更に備えることができる。スプリッタは、信号をいくつかの増幅モジュールのためのいくつかの高周波入力信号に分配する役割を果たす。このような構成要素は、増幅モジュールのように、同軸合成器の外面に同様に配置することも、その一部にすることもできる。ただし、特にこれら増幅モジュールが同軸合成器の外側導体上のほぼ全空間を既に占めている場合は、代わりに、このような構成要素を別個に配置することもできる。高周波増幅ユニットは、少なくとも4つの、好ましくは少なくとも6つの、より好ましくは少なくとも8つの、増幅モジュールを備えることが好ましい。
【0012】
同軸合成器は、好ましくは長手方向に延在し、この点に関して、長手方向に延在する(外側導体によって形成された)複数の側面を有する塔様の形状を有すると有利であることが実証されている。同軸合成器、特に外側導体および同軸の内側導体、は金属製、特に銅製および/またはアルミニウム製、であることが好ましい。
【0013】
各増幅モジュールを同軸の内側導体にそれぞれ接続することによって、特に、増幅モジュール(例えば、増幅モジュールの結合回路)の出力が内側導体に電気的に接続されることを理解されたい。この接続は、例えば、導電性の連結ピンを介して行える。この場合、このようにして、増幅モジュールは、同軸の内側導体に、特に同軸の内側導体の入力側端部において、接続される。その後、例えば、同軸の内側導体の出力側端部を介して、高周波増幅ユニットからの電力の切り離しが行われる。これは、例えば、同軸の内側導体が出力側において外側導体を越えて突出し、例えば、導波管に結合するためのプローブとして(特に(ロッド)アンテナとして)の役割を果たすことになる。
【0014】
高周波増幅ユニットの1つの実施形態によると、同軸合成器は長手方向に延在し、外側導体は外面の横断面が多角形、特に矩形、に形成される。これにより、同軸合成器は、または同軸合成器の外側導体は、増幅モジュールのための組立体の表面としての役割を果たすことができる外面または側面を外側に簡素に形成できる。これにより、高周波増幅ユニットの極めてコンパクトな設計および更なる合成器への配置を十分な冷却と低い合成損失とで実現できることが分かっている。
【0015】
外側導体の外面のみが対応する横断面形状を有し、外側導体の内面および/または内側導体の外面は異なる、特に丸い、横断面形状を有することが好ましい。ただし、外側導体の外面ばかりでなく、外側導体の内面および/または内側導体の外面も対応する、または異なる、多面状の横断面を有することも可能である。
【0016】
1つの例において、横断面がn個の角(ひいてはn個の面)を有する形状の場合は、好ましくはn個の増幅モジュールが同軸合成器の外側導体の外面に(各側面に1つ)配置される。同軸合成器または外側導体が長手方向に十分に長い場合は、例えば、全体として2n個の増幅モジュールを同軸合成器の外側導体の外面に配置できるように、一側面当たり2つの増幅モジュールを長手方向に配置することもできる。
【0017】
高周波増幅ユニットの好適な一実施形態によると、増幅モジュールはほぼ平坦に形成され、同軸合成器の外側導体にほぼ平らに配置される。増幅モジュールは外側導体の外面をほぼ覆うことが好ましい。既に説明したように、周方向に見て、各側面に好ましくは少なくとも1つの増幅モジュールが配置される。
【0018】
高周波増幅ユニットの好適な一実施形態によると、同軸合成器の外側導体が増幅モジュールを冷却する役割を果たすことができるように、増幅モジュールは同軸合成器の外面に配置される。これにより、増幅モジュールの特に能動的冷却を僅かな所要スペースで実現できる。これに対して、従来技術における複数の先行アプローチは、省スペースのために増幅ボードが両側に当てがわれた中心冷却ボードを供給することを明記している。ただし、この場合、冷却装置は増幅モジュールの間に設けられているので、出力電力を同軸ケーブルによって上側で放散させる必要があった。記載の実施形態によると、同軸合成器への熱および電力の両方の放出がモジュールの下側で、特に、追加の別個の冷却装置をその間に配置することなく、可能である。この目的のために、各増幅モジュールは、特に、同軸合成器の外側導体に直接配置される。
【0019】
ここで、増幅モジュールの冷却は、好ましくはもっぱら同軸合成器の外側導体を通して(増幅モジュールおよび周囲空気自体を通しての避けられない低速の熱伝達は別として)実現される。
【0020】
高い冷却効率、ひいては高い出力電力、を実現するために、高周波増幅ユニットの好適な一実施形態によると、同軸合成器の外側導体は、増幅モジュールを冷却するための冷媒回路の一部として形成される。ここで、冷媒として、例えば水(例えば純水)が供給される。この目的のために、同軸合成器は、例えば、少なくとも1つの冷媒入力部と少なくとも1つの冷媒出力部とを有する。同軸合成器の外側導体は、少なくとも部分的に長手方向に延びる冷媒ライン(例えば、中ぐり穴)を一体に(特に、各コーナー領域に)有することが好ましい。
【0021】
高周波増幅ユニットの出力電力および冷却力を更に最適化するために、高周波増幅ユニットの好適な一実施形態によると、増幅モジュールは同軸合成器の外側導体の周囲に配置される。既に説明したように、ここで、周方向に見て、外側導体によってもたらされる各側面に、好ましくは(少なくとも)1つの増幅モジュールが配置される。換言すると、これら増幅モジュールは、周方向に見て列状に配置される。
【0022】
高周波増幅ユニットの好適な一実施形態によると、これら増幅モジュールのうちの少なくとも一部は同軸の内側導体に、長手方向に見て同じ高さにおいて、接続される。これにより、同軸合成器の、特に同軸の内側導体の、できる限り簡素な形状が、同軸合成器への高周波出力信号の送信時にできる限り少ない損失で、もたらされる。この場合、対応する増幅モジュールを接続するための各電気接続部(例えば連結ピン)は一平面に、特に同軸合成器の長手方向に対して垂直に、延びる。ただし、複数の異なる増幅モジュール群を設けることもできる。この場合、以下に詳細に説明するように、1つの群の増幅モジュールは、同軸の内側導体に同じ高さで接続されるが、複数の異なる群の増幅モジュールはそれぞれ異なる高さで接続される。
【0023】
高周波増幅ユニットの好適な一実施形態によると、第1増幅モジュール群の増幅モジュールは同軸合成器の外側導体の外面に同軸合成器の第1の長手方向区間に配置され、第2増幅モジュール群の増幅モジュールは同軸合成器の外側導体の外面に同軸合成器の第2の長手方向区間に配置される。複数の増幅モジュールが長手方向にずらされているにも拘らず、同軸合成器への高周波出力信号の送信を高効率で実現でき、これにより、高周波増幅ユニットの出力電力を最終的に二倍にできることが分かっている。
【0024】
ここで、第1の長手方向区間は第2の長手方向区間に直接接続されることが好ましい。ここで、高周波増幅ユニットの全ての増幅モジュールの出力電力は、既に説明したように、更に、同軸の内側導体の出力側端部を介して(例えば導波管において)切り離されることが好ましい。この場合、この出力側端部は、第1の長手方向区間の端部領域に位置する。前記端部領域は、第2の長手方向区間とは反対の側に面する。
【0025】
高周波増幅ユニットの好適な一実施形態によると、第1群の増幅モジュールは、同軸合成器の第2の長手方向区間に面する、同軸合成器の第1の長手方向区間の端部領域において、同軸の内側導体に接続される、および/または第2群の増幅モジュールは、同軸合成器の第1の長手方向区間に面する、同軸合成器の第2の長手方向区間の端部領域において、同軸の内側導体に接続される。
【0026】
これは、同軸合成器の内側導体への各増幅モジュールの接続部が幾何学的に互いに極めて近接し、同軸合成器の形状の複雑度が低い場合は、合成損失が低く維持されるという利点を有する。ここで、同軸合成器の内側導体への増幅モジュールの接続(ひいては、同軸合成器への高周波出力信号の送信)は、必ずしも(長手方向に見て)全て厳密に同じ高さで行われる必要はないことが認識されており、それは複数の増幅モジュールを長手方向にずらして配置することを可能にする。ここで、第1の長手方向区間および第2の長手方向区間は、ほぼ同じ長さであることが好ましい。
【0027】
第2増幅モジュール群の接続(ひいては二倍の出力電力)をできる限り低い合成損失およびコンパクトな設計で実現するために、高周波増幅ユニットの好適な一実施形態によると、同軸合成器の、同軸合成器の第1の長手方向区間に面する、第2の長手方向区間の端部領域内まで同軸の内側導体が延在すると有利であることが実証されている。同軸合成器の第2の長手方向区間は、必要であれば、増幅モジュールと内側導体との間の接続領域(連結領域)から第2の長手方向区間の方向への合成された高周波出力信号の拡散を防止する(例えば、第2の長手方向区間の領域の内側領域内に中実に実現された外側導体または内側導体までの或る距離に回路基板によって形成された)終端装置を有する。
【0028】
高周波増幅ユニットの好適な一実施形態によると、第1群の増幅モジュールおよび第2群の増幅モジュールは同軸の内側導体に、同軸合成器の長手方向に見て同じ高さにおいて、接続される。換言すると、第1群の増幅モジュールは同軸の内側導体に、同軸合成器の長手方向に見て第1の高さにおいて、接続され、第2群の増幅モジュールは同軸の内側導体に、同軸合成器の長手方向に見て第2の高さにおいて、接続される。
【0029】
高電力出力信号の望ましくない反射、ひいては合成損失、を減らすために、またはそれらをできる限り防止するために、高周波増幅ユニットの好適な一実施形態によると、同軸合成器は、同軸合成器の(特に、接続された増幅モジュールによって引き起こされた)入力側電波インピーダンスが同軸合成器の出力側電波インピーダンスに変成されるように、変成挙動を有する変成部を有する。その結果、線路変成の過程で、(増幅モジュールへの同軸の内側導体の接続領域における)入力側電波インピーダンスが異なる出力側電波インピーダンスに変成される。したがって、N個の増幅モジュールを有する(それぞれの線路が一般にR=50Ohmの電波インピーダンスを有する)同軸合成器の入力側電波インピーダンスは、その(並列接続として見ることができる)合成の故に、約R/Nに過ぎない。線路を所望の電波インピーダンスR(一般には再び元の電波インピーダンスR)に変成するために、λ/4変成器、またはλ/4変成器として機能する変成器、を、例えば変成部として、設けることができる。その長さは、高周波信号の波長λの(必ずしも厳密ではなく)ほぼ4分の1になる。したがって、例えば、変成部の長さがλ/4より明らかに短いように、内側導体および/または外側導体の直径が段状に変化する「ステップインピーダンス(stepped impedance)」設計の変成部を設けることもできる。変成部の電波インピーダンスRは、(R/N*R1/2で推定可能である。例えば、N=4およびR=R=50Ohmの場合、変成部の電波インピーダンスはほぼR=25Ohmになる。ただし、Rおよび/またはRの値は、必ずしも50Ohmになる必要はない。
【0030】
同軸合成器の有利な一形状が実証されているのは、高周波増幅ユニットの好適な一実施形態によると、変成部において、同軸合成器の同軸の内側導体が第1の外径を有し、同軸合成器の外側導体が第1の内径を有し、変成部に接続されている出力部において、同軸合成器の同軸の内側導体が第2の外径を有し、および/または同軸合成器の外側導体が第2の内径を有する場合である。ここで、出力部における同軸の内側導体の外径は、変成部における同軸の内側導体の外径より小さいことが好ましい。代わりに、または加えて、出力部における外側導体の内径は、変成部における外側導体の内径より小さいことが好ましい。ただし、ここで、生産技術の観点から有利であるのは、同軸の内側導体の外径のみが第1の外径から異なる(より小さな)第2の外径に変化する場合、または同軸合成器の外側導体の内径のみが第1の内径から第2の異なる(より小さな)第2の内径に変化し、それぞれ異なる直径が同じままである場合である。これは、第2の内径または外径が第1の内径または外径と同じであることも可能なことを意味する。
【0031】
高電力出力信号の望ましくない反射、ひいては合成損失、を減らすために、またはこれらをできる限り防止するために、高周波増幅ユニットの好適な一実施形態によると、変成部における内側導体の第1の外径に対する外側導体の第1の内径の比は、出力部における内側導体の第2の外径に対する外側導体の第2の内径の比より小さい。電波インピーダンスは内側導体の外径に対する外側導体の内径の比に依存するので、これにより電力変成が起こり得る。例えば、出力部における内側導体の外径に対する外側導体の内径の比は、1.5より大きく、好ましくは2より大きい。
【0032】
高周波増幅ユニットの好適な一実施形態によると、高周波増幅ユニットは、少なくとも2kW、好ましくは少なくとも4kW、の出力電力を供給できる。記載の高周波増幅ユニットは、対応して高い電力をコンパクトな設計で供給できることが分かっている。
【0033】
本発明の第2の態様によると、上記目的は、第1の態様によるいくつかの高周波増幅ユニットと高周波導波管とを備えた増幅システムであって、高周波導波管が複数の高周波増幅ユニットの出力電力を合成できるように、高周波増幅ユニットが高周波導波管の長手方向に沿って高周波導波管上に配置された、増幅システムによっても解決される。高周波導波管は、特に、好ましくは矩形の断面を有する導波管である。例えば、少なくとも2つの、好ましくは少なくとも4つの、より好ましくは少なくとも8つの、高周波増幅ユニットが高周波導波管の一方の側に配置される。これら高周波導波管が高周波導波管の両側に配置される場合は、高周波増幅ユニットの数、ひいては出力電力、を二倍にできる。
【0034】
特に省スペースの設計がもたらされるのは、増幅システムの好適な一実施形態によると、各高周波増幅ユニットの長手方向軸線が、横方向に、特に高周波導波管の長手方向軸線に対して垂直に、それぞれ延びている場合である。
【0035】
増幅システムの1つの実施形態によると、各高周波増幅ユニットの同軸の内側導体は、出力側端部において、同軸合成器の電力を高周波導波管に結合するためのプローブとしての(例えば(ロッド)アンテナとしての)役割を果たすので特に有利である。
【0036】
記載の高周波増幅ユニットにより、増幅システムは、例えば、少なくとも24kW、48kW、または96kW、の出力電力を供給できる。
【0037】
増幅システムの好適な一実施形態によると、高周波増幅ユニットは、高周波導波管の横方向に互いにずらして、および/または高周波導波管の両側に、配置される。ここで、これら高周波増幅ユニットは、特に、長手方向に(導体)波長の2分の1の距離に配置される。これにより、特に、高周波増幅ユニットのほぼ正方形の横断面との組み合わせにおいて、特に省スペースの設計がもたらされる。
【0038】
上記の本発明の全ての態様の例および実施形態は、全ての組み合わせで開示されると理解されるべきである。
【0039】
上記のさまざまな態様の更なる有利な実施形態を、特に図と組み合わせて、これら態様のいくつかの例示的実施形態の以下の詳細な説明において説明する。ただし、本出願に含まれている図は、本発明の保護の範囲を規定するためではなく、説明のためにのみ使用されるものとする。含まれている図面は必ずしも一定比例の縮尺でなく、単に本発明の態様の一般概念を例示的形態で反映しようとするものである。特に、各図に含まれている特徴は、本発明の必須要素として決して見做されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1a】本発明による高周波増幅ユニットの一例示的実施形態を横断面図で示す。
図1b】本発明による高周波増幅ユニットの一例示的実施形態を長手方向断面図で示す。
図2】本発明による高周波増幅ユニットの別の例示的実施形態を長手方向断面図で示す。
図3】本発明による高周波増幅ユニットの別の例示的実施形態を横断面図で示す。
図4a】本発明による増幅システムの一例示的実施形態を横断面図で示す。
図4b】本発明による増幅システムの一例示的実施形態を上面図で示す。
図5】本発明による増幅システムの別の例示的実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
最初に、図1は、本発明による高周波増幅ユニット100を横断面図(図1a)および長手方向区間図(図1b)で示す。高周波増幅ユニット100は、高周波入力信号を高周波出力信号に増幅するための増幅モジュール10をいくつか(ここでは4つ)備える。各増幅モジュール10は、回路基板として平坦に形成され、トランジスタ増幅器11とサーキュレータ12とをそれぞれ備える。各増幅モジュール10は、金属層13を下面に有する。高周波増幅ユニット100は、これら増幅モジュール10の高周波出力信号を合成するための、外側導体104とこれに同軸に配置された内側導体106とを有する、同軸合成器102を更に有する。同軸合成器102は長手方向に延在し、外側導体104は、横断面で見ると、外面が正方形に形成され、したがって4つの外側面を形成する一方で、外側導体104は円形の横断面を内面に有し、内側導体106は円形の形状を外面に有する。
【0042】
増幅モジュール10は、同軸合成器102の外側導体104の外面に平らに配置される。ここで、外側導体104によってもたらされた4つの外面の各々に一増幅モジュール10が配置される。ここで、これら増幅モジュール10は、同軸合成器102の外側導体104の周囲に周方向に配置される。
【0043】
更に、同軸合成器102の外側導体104が作動中に増幅モジュール10を冷却できるように、これら増幅モジュール10は同軸合成器102上に配置される。この目的のために、冷媒を冷媒ライン110に通して外側導体に流せるように、同軸合成器102の外側導体104は、増幅モジュール10を冷却するための冷媒回路の一部として形成される。
【0044】
高周波出力信号を同軸合成器102に送信するために、各増幅モジュール10は同軸合成器102の同軸の内側導体106に連結ピン108を介して接続される。ここで、4つの増幅モジュール10は、長手方向に見て同じ高さにおいて、同軸の内側導体106に接続される。
【0045】
同軸合成器102は、変成部112を更に有する。これにより、同軸合成器102は変成挙動を有する。この変成挙動により、同軸合成器102の連結ピン108の領域における入力側電波インピーダンスは同軸合成器102の出力部114の領域における出力側電波インピーダンスに変成される。この場合、変成部112はλ/4変成器を構成し、その入力部には、50Ohmの線路抵抗をそれぞれ有する4つの増幅モジュール10の故に、50Ohm/4の電波インピーダンスが存在する。ここで、この電波インピーダンスを出力部114の50Ohmの出力側電波インピーダンスに適合化するために、変成部112の電波インピーダンスは約25Ohmになる。
【0046】
この目的のために、変成部112において、同軸合成器102の同軸の内側導体106は第1の外径dを有し、同軸合成器102の外側導体104は第1の内径Dを有する。変成部112に接続されている出力部114において、同軸合成器102の同軸の内側導体106は第2の外径dを有し、同軸合成器102の外側導体104は第2の内径Dを有する。ここで、変成部112における内側導体106の第1の外径に対する外側導体104の第1の内径の比D/dは、出力部114における内側導体106の第2の外径に対する外側導体104の第2の内径の比D/dより小さい。
【0047】
同軸の内側導体106は出力側で外側導体104を越えて突出するので、ロッドアンテナ116の役割を果たすことができ、電力を高周波増幅ユニット100から切り離す、および/または電力を高周波導波管に結合する、ことができる(図4または図5を参照)。
【0048】
本例において、高周波増幅ユニット100が作動中に約2kWの出力電力を供給できるように、個々の増幅モジュール10は約500Wの電力を供給する。
【0049】
図2は、本発明による高周波増幅ユニット200の別の例示的実施形態を長手方向断面図で示す。高周波増幅ユニット200は高周波増幅ユニット100と同様に構築されるので、最初に図1を参照する。以下においては、特に違いを述べる。そのため、参照符号100の代わりに、対応する参照符号200が使用される。
【0050】
例えば、高周波増幅ユニット200は、同軸合成器202を有する。同軸合成器202は長手方向により長く、特により長い外側導体204を有する。これにより、第1(下側の)増幅モジュール10群の(この場合は4つの)増幅モジュール10を同軸合成器202の第1の長手方向区間220において同軸合成器202の外側導体204の外面に配置できるばかりでなく、第2(上側の)増幅モジュール10’群の(この場合は4つの)更なる増幅モジュール10’も同軸合成器202の第2の長手方向区間230において同軸合成器202の外側導体204の外面に配置できる。これにより、同軸合成器202の出力電力が二倍になる。
【0051】
ここで、第1(下側の)群の増幅モジュール10は、同軸合成器202の第1の長手方向区間220の端部領域222において同軸の内側導体206に接続される。前記端部領域は、同軸合成器202の第2の長手方向区間230に面する。第2(上側の)群の増幅モジュール10’は、同軸合成器202の第1の長手方向区間220に面する同軸合成器202の第2の長手方向区間230の端部領域232において、同軸の内側導体206に接続される。この目的のために、同軸の内側導体206は、同軸合成器202の第2の長手方向区間230の端部領域232内まで延在する。前記端部領域は、同軸合成器202の第1の長手方向区間220に面する。更に、同軸合成器202の第2の長手方向区間230は、高周波場が所望の方向に対して上方に同軸合成器202の内外に拡大しないように、内側導体206の端部の後ろの空隙の後ろに外側導体204を中実に延在させて形成される。ただし、代わりに、壁(回路基板)を終端装置として設けることでも十分であろう。
【0052】
同軸合成器102の場合のように、第1群の増幅モジュール10は、同軸合成器202の長手方向に見てそれぞれ同じ高さにおいて、連結ピン208によって同軸の内側導体206に接続される。同様に、第2群の増幅モジュール10’は、同軸合成器202の長手方向に見てそれぞれ同じ高さにおいて、連結ピン208’によって同軸の内側導体206に接続される。前記内側導体は第2の長手方向区間230内まで延在する。
【0053】
図3は、本発明による高周波増幅ユニット300の別の例示的実施形態を横断面図で示す。長手方向断面で見ると、高周波増幅ユニット300は、図1bまたは図2に示されている高周波増幅ユニット100、200のように構築可能である。ただし、本ケースにおいては、これらの例示的実施形態と異なり、同軸合成器302の外側導体304は、外面の横断面が矩形ではなく八角形に形成される。これにより、8つの増幅モジュール10を外側導体304の外面に平らに配置できる。同様に、各増幅モジュール10を内側導体306に接続するために、増幅モジュール10の数に対応する数の、半径方向内方に延びる連結ピン308が設けられる。内側導体306のように、同軸合成器302の外側導体304も円形または環状に形成される。
【0054】
図4は、本発明による増幅システム400の一例示的実施形態を横断面図(図4a)および上面図(図4b)で示す。増幅システム400は、図2の高周波増幅ユニット200をいくつか備える。ただし、図1の高周波増幅ユニット100または図3の高周波増幅ユニット300も同様に設けることができる。更に、増幅システム400は、矩形の断面を有する高周波導波管402を備える。各高周波増幅ユニット200は、高周波導波管402の長手方向に沿って高周波導波管402上に配置される。ここで、各高周波増幅ユニット200の長手方向軸線は、高周波導波管402の長手方向軸線に対してそれぞれ垂直に延びる。更に、高周波増幅ユニット200は、高周波導波管402の中心軸線に対して高周波導波管402の横方向にずらして、および互いに交互にずらして、長手方向に半波長の距離に、高周波導波管402上に更に配置される。ただし、代わりに、高周波増幅ユニット200を高周波導波管402の中心軸線上の中心にのみ配置することもできる。同様に、高周波増幅ユニット200を中心軸線に対して横方向にずらして、しかし長手方向に見て同じ高さに2つずつ対にして、配置することもできる。高周波増幅ユニット200を対向する両側壁に配置することもできる(図4bには、高周波導波管402の正面側のみが見える)。言及されている可能性の組み合わせも予想される。認識されるように、同軸合成器202の特に矩形または正方形の設計は、コンパクトな設計になる。
【0055】
各高周波増幅ユニット200の出力電力は、高周波導波管402によって合成される。(高周波導波管の領域のみを示している)図4aにおいて分かるように、同軸の内側導体206は出力側が高周波導波管402内に突出する。これにより、高周波増幅ユニット200の同軸の内側導体206は、出力側端部において、同軸合成器202の電力を高周波導波管402に結合するために、ロッドアンテナ216の形態のプローブの役割をそれぞれ果たす。
【0056】
個々の高周波増幅ユニット200の出力電力が8×500W=4kWであると、この増幅システムは24kWの出力電力を供給できる。
【0057】
図5は、本発明による増幅システム500の別の例示的実施形態を示す。増幅システム500は、図4に既に示されている増幅システム400と同様である。ここでも、高周波増幅ユニット200は高周波導波管502上に配置される。ここで、他の高周波増幅ユニット200も原則として使用可能である。図4に示されているシステム400と異なり、高周波増幅ユニット200は高周波導波管502の両側に配置される。これにより、増幅システム400に比べ二倍の48kWの出力電力がもたらされる。同様に、増幅モジュール10、10’と同軸合成器202との間に別の冷却装置を必要とせずに、同軸合成器202の外側導体204に冷媒を流して増幅モジュール10、10’の排熱を案内して逃すように、冷媒を高周波増幅ユニット200に移送する冷媒ライン504を認識できる。
図1a
図1b
図2
図3
図4a
図4b
図5