(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】異型生地及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
D04B 1/00 20060101AFI20241003BHJP
D06M 15/61 20060101ALI20241003BHJP
D01F 1/10 20060101ALI20241003BHJP
D01F 6/92 20060101ALI20241003BHJP
D04B 5/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
D04B1/00 B
D04B1/00 Z
D06M15/61
D01F1/10
D01F6/92 301Q
D04B5/00
(21)【出願番号】P 2023215812
(22)【出願日】2023-12-21
【審査請求日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】202310687838.1
(32)【優先日】2023-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523422048
【氏名又は名称】常熟市華坤針紡織有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHANGSHU HUAKUN KNITTING CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Zhiwang Road, Dongbang Town, Changshu, Suzhou, Jiangsu 215500, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】呉健
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-201056(JP,A)
【文献】特開昭62-057973(JP,A)
【文献】特開2016-000870(JP,A)
【文献】国際公開第2017/018305(WO,A1)
【文献】特開平08-188960(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105220503(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第114717840(CN,A)
【文献】特開2000-314055(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103789918(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D 1/00-27/18
29/00-51/46
D04B 1/00- 1/28
21/00-21/20
D06M13/00-15/715
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異型生地
の製造方法であって、平織面及び起毛面を含み、前記平織面に用いる糸の収縮率は14~16%であり、前記起毛面に用いる糸の収縮率は9~10%であり、平織面と起毛面をつなぐ接結糸の収縮率は29~31%であり、
前記異型生地は丸編機で作製され、丸編機における針釜の高さは124mmであり、丸編機におけるカム(1)に針運び溝(2)が開設され、前記針運び溝(2)は順に針入れ部(21)、針突き上げ部(22)、針引き下げ部(23)、段付け部(24)、給糸部(25)、針返し部(26)に分けられ、前記針突き上げ部(22)と針引き下げ部(23)との間に弧状角(3)が設けられ、弧状角(3)は上頂点(31)及び下頂点(32)を含み、前記カム(1)の高さは25.5mmであり、前記弧状角(3)の下頂点(32)からカム(1)の底面までの距離は18.85~21.35mmであり、前記針返し部(26)の下内壁からカム(1)の底面までの距離は6.35~7.85mmであり、前記針運び溝(2)の幅は3.151~3.153mmであ
り、
前記起毛面に用いる糸の表面にポリドーパミン膜が被覆され、糸は、重量部で、100~120部のポリエステルチップ、10~12部のシラングラフトマイカ粉により製造され、
前記ポリエステルチップは高分子長鎖シランで変性され、前記シラングラフトマイカ粉は低分子シランとマイカ粉のグラフトである、ことを特徴とする異型生地
の製造方法。
【請求項2】
前記平織面に用いる糸の収縮率は15%であり、前記起毛面に用いる糸の収縮率は9.5%であり、平織面と起毛面をつなぐ接結糸の収縮率は30%である、ことを特徴とする請求項1に記載の異型生地
の製造方法。
【請求項3】
前記平織面の密度は起毛面の密度より大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の異型生地
の製造方法。
【請求項4】
前記ポリエステルチップは、ポリエステルチップと高分子長鎖シランを100:(2~3)の質量比で混合し、60~70℃で継続的に撹拌し混合し、乾燥した後、処理後のポリエステルチップを得ることにより製造される、ことを特徴とする
請求項1に記載の異型生地
の製造方法。
【請求項5】
前記高分子長鎖シランはオクタデシルトリメトキシシラン又はヘキサデシルトリメトキシシランである、ことを特徴とする
請求項1に記載の異型生地
の製造方法。
【請求項6】
前記シラングラフトマイカ粉は、マイカ粉を低分子シランの水溶液に投入し、60~70℃まで加熱し、反応させた後に濾過し、乾燥し、シラングラフトマイカ粉を得ることにより製造される、ことを特徴とする
請求項1に記載の異型生地
の製造方法。
【請求項7】
糸の表面にポリドーパミン膜が被覆される製造プロセスは、糸を塩酸ドーパミン溶液に浸漬し、40~60℃で2~3h混合反応させ、取り出し、乾燥し、表面にポリドーパミン膜が被覆された糸を得ることである、ことを特徴とする請求項1に記載の異型生地
の製造方法。
【請求項8】
収縮率が14~16%の糸を選択して平織面用糸とし、収縮率が9~10%の糸を選択して起毛面用糸とし、収縮率が29~31%の糸を選択して平織面と起毛面をつなぐ糸とし、続いて丸編機を用いて紡織し、異型生地を製造する、ことを特徴とする
請求項1~7のいずれか一項に記載の異型生地の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は生地の分野に関し、より具体的には、異型生地及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
起毛織物は起毛仕上げにより、織物の表面に毛羽層又は柔らかい外観を有する織物であり、織物を起毛加工すると、織物のスタイル及び外観を改善することができ、織物の表面に毛のような質感及び保温性を増加することができ、織物がふわふわで厚くなり、手触りが柔らかくなり、織物の付加価値も上がる。
【0003】
現在、起毛生地の厚さを増加させるために、単層の起毛織物と他の単層の平織り織物を複合するか、又は丸編機により平織面と起毛面を一体に紡織することが一般的に用いられ、前者の複合方式には、複合する時に接着剤を用いることが必要であるが、接着剤中に多かれ少なかれ有害物質が存在し、生地の生産加工過程において、さらに後続に生地を使用する過程において、用いられる接着剤は人体に一定程度の影響を与えることがあり、後者の紡織方式には、得た生地の厚さは平織面に起毛面を加える厚さだけであり、生地の厚さは企業が生地の厚さの増加を求めるという要件を満たすには足りない。
【0004】
このため、上記問題をどのように解決するかは非常に必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生地の厚さを増加させるために、本願は異型生地及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の側面において、本願は異型生地を提供し、以下の技術的解決手段を採用する。
耐ピリング性異型生地であって、平織面及び起毛面を含み、前記平織面に用いる糸の収縮率は14~16%であり、前記起毛面に用いる糸の収縮率は9~10%であり、平織面と起毛面をつなぐ接結糸の収縮率は29~31%であり、
異型生地を製造するための丸編機における針釜の高さは124mmであり、丸編機におけるカムに針運び溝が開設され、前記針運び溝は順に針入れ部、針突き上げ部、針引き下げ部、段付け部、給糸部、針返し部に分けられ、前記針突き上げ部と針引き下げ部との間に弧状角が設けられ、弧状角は上頂点及び下頂点を含み、前記カムの高さは25.5mmであり、前記弧状角の下頂点からカムの底面までの距離は18.85~21.35mmであり、前記針返し部の下内壁からカムの底面までの距離は6.35~7.85mmであり、前記針運び溝の幅は3.151~3.153mmである。
【0007】
上記技術的解決手段を採用することにより、紡織する時に、起毛面中の糸は一般的にループの方式で配列され、収縮率がより大きい接結糸を選択して平織面と起毛面をつなぐことにより、後続に処理する時に、接結糸は起毛面より大きく収縮し、接結糸は収縮する時に起毛面中のループをしっかり引っ張り、ループの高さを増加させ、それにより起毛面の厚さを増加させ、さらに生地の全体の厚さを増加させることができる。
【0008】
また、カムにおける弧状角の下頂点からカム底面までの距離は一般的に18mm未満であり、本願は、下頂点からカム底面までの距離を増加させることにより、弧状角の上頂点と下頂点が持ち上げられ、それにより、起毛面中のループの高さが増加し、さらに起毛面の厚さが増加する。また、丸編機における針釜の高さは一般的に124mmより大きく、本願は針釜の高さを低く調整することにより、起毛面中のループの高さが増加する。以上の技術的解決手段をまとめると、本願で得られた生地の厚さが効果的に増加し改善され、接着剤を用いて複合せず、省エネルギーで環境に優しく、丸編機で紡織すれば厚さが厚い生地を得ることができる。
【0009】
1つの具体的な実施可能形態では、前記平織面に用いる糸の収縮率は15%であり、前記起毛面に用いる糸の収縮率は9.5%であり、平織面と起毛面をつなぐ接結糸の収縮率は30%である。
【0010】
上記技術的解決手段を採用することにより、平織面と接結糸、起毛面と接続糸の間の収縮率に大きな差があり、それにより、後続に処理する時に、起毛面の厚さが効果的に増加する。
【0011】
1つの具体的な実施可能形態では、前記平織面の密度は起毛面の密度より大きい。
【0012】
上記技術的解決手段を採用することにより、服装を作製する場合に、平織面は外側にあり、起毛面は内側にあり、平織面の密度が大きいため、服装の防風、保温効果を効果的に向上させることができるとともに、耐ピリング効果を適切に増強することができる。
【0013】
1つの具体的な実施可能形態では、前記起毛面に用いる糸の表面にポリドーパミン膜が被覆され、糸は、重量部で、100~120部のポリエステルチップ、10~12部のシラングラフトマイカ粉により製造される。
【0014】
上記技術的解決手段を採用することにより、マイカ粉は優れた耐酸・耐アルカリ性能、弾性及び靭性を有し、マイカ粉自体のシート状構造は滑らかな質感を有するとともに、耐摩耗性に優れ、糸を製造する時にマイカ粉を添加すると、糸に耐摩耗性を付与し、糸中の繊維に低い耐摩耗性でピリング現象が発生する可能性を低減することができ、また、シランとマイカ粉をグラフトすると、糸成形過程において、シランの体系における遷移作用はマイカ粉を糸の表層に配列するようにすることができ、それにより、糸の表面をより滑らかで摩耗に耐えるようにし、それにより、織物にピリング現象が発生する可能性をさらに低減することができる。また、シラングラフトマイカ粉の配合量を限定することにより、糸は耐摩耗性と靭性を兼ね備え、シラングラフトマイカ粉の添加量が少なすぎると、糸の耐摩耗性を向上させる効果を果たすことができず、添加量が多すぎると、糸の靭性が低減される可能性がある。
【0015】
糸を成形した後、糸の表面にポリドーパミン膜をさらに被覆すると、まず、ポリドーパミン膜の緻密で滑らかな構造は糸の表面の滑らかさを高め、糸の摩擦によるピリング現象の発生を減少させることができ、次に、ポリドーパミン表面は豊かな活性基であるフェノール性水酸基とアミノ基を含有し、フェノール性水酸基の酸素原子はsp2混成を用い、一対の孤立電子対を提供してベンゼン環の炭素原子と非局在化した結合を形成し、水酸基の電子供与性効果は酸素-水素結合の極性を強化し、ポリドーパミン中のこのような活性基はシラン中の基と分子間作用力を生成することができ、ポリドーパミン膜を糸の表面に強固に接着可能にし、それにより、摩擦によりポリドーパミン膜が糸の表面から脱落する可能性を低減し、糸の表面に持続的な滑らかさを保持させることができる。
【0016】
シラングラフトマイカ粉と糸の表面へのポリドーパミン膜被覆を組み合わせて使用すると、まず、ポリドーパミン膜により糸の耐ピリング効果を実現し、糸の使用過程において摩耗を受けることでポリドーパミン膜が糸から脱落した場合、糸の表層に配列凝集されたマイカ粉は耐ピリング効果を果たし、それにより、両者の組み合わせは糸に持続的な耐ピリング性能を備えさせることができる。
【0017】
1つの具体的な実施可能形態では、前記ポリエステルチップは高分子長鎖シランで変性され、前記シラングラフトマイカ粉は低分子シランとマイカ粉のグラフトである。
【0018】
上記技術的解決手段を採用することにより、高分子長鎖シランと低分子シランはいずれも遷移する傾向があり、且つ低分子シランは高分子長鎖シランより遷移しやすく、糸の成形過程において、低分子シランは糸の表層へのマイカ粉の凝集を促進し、高分子長鎖シランの長鎖は糸の内部から糸の表層へ延び、高分子長鎖シランの長鎖構造はポリドーパミン中の活性基と相互作用力を生成可能な基を提供するだけでなく、また、低分子シランを、体系中をより均一に分散するようにし、マイカ粉を糸の表層に均一に配列可能にし、それにより、糸の構造及び性能をより均一且つ安定的にし、織物の長期間使用中におけるピリング問題の発生を低減する。
【0019】
1つの具体的な実施可能形態では、前記ポリエステルチップは、ポリエステルチップと高分子長鎖シランを100:(2~3)の質量比で混合し、60~70℃で継続的に撹拌し混合し、乾燥した後、処理後のポリエステルチップを得ることにより製造される。
【0020】
1つの具体的な実施可能形態では、前記高分子長鎖シランはオクタデシルトリメトキシシラン又はヘキサデシルトリメトキシシランである。
【0021】
上記技術的解決手段を採用することにより、高分子長鎖シランはポリエステルチップにグラフトすることができ、それにより、後続に糸を製造する時に、ポリエステルチップ上の高分子長鎖シランはマイカ粉をより均一に分散させることができ、また、ポリドーパミン膜と相互作用を生成することができ、ポリドーパミン膜を糸の表面に強固に付着可能にする。
【0022】
1つの具体的な実施可能形態では、前記シラングラフトマイカ粉は、マイカ粉を低分子シランの水溶液に投入し、60~70℃まで加熱し、反応させた後に濾過し、乾燥し、シラングラフトマイカ粉を得ることにより製造される。
【0023】
1つの具体的な実施可能形態では、前記低分子シランは3-アミノプロピルトリエトキシシランである。
【0024】
上記技術的解決手段を採用することにより、低分子シランをマイカ粉にグラフトすることができ、マイカ粉を低分子シランの遷移作用で糸の表層に配列凝集可能にし、それにより、糸の表面の滑らかさ及び耐摩耗性を向上させ、糸のファジング・ピリングの現象の発生を低減することができる。
【0025】
1つの具体的な実施可能形態では、糸の表面にポリドーパミン膜が被覆される製造プロセスは、糸を塩酸ドーパミン溶液に浸漬し、40~60℃で2~3h混合反応させ、取り出し、乾燥し、表面にポリドーパミン膜が被覆された糸を得ることである。
【0026】
上記技術的解決手段を採用することにより、ドーパミンを糸の表面に自己重合させ、ポリドーパミン膜を形成する。
【0027】
第2の側面において、本願は異型生地の製造方法を提供し、以下の技術的解決手段を採用する。
異型生地の製造方法は、収縮率が14~16%の糸を選択して平織面用糸とし、収縮率が9~10%の糸を選択して起毛面用糸とし、収縮率が29~31%の糸を選択して平織面と起毛面をつなぐ糸とし、続いて丸編機を用いて紡織し、異型生地を製造する。
【0028】
上記技術的解決手段を採用することにより、耐ピリング性能を有する繊維生地を製造することができる。
【0029】
第3の側面において、本願は異型生地の応用を提供し、以下の技術的解決手段を採用する。
異型生地の応用は、服装の作製に適用される。
【発明の効果】
【0030】
以上をまとめると、本願は以下の有益な効果を有する。
1、収縮率がより大きい接結糸を選択して平織面と起毛面をつなぐことにより、後続の処理過程において、起毛面中のループが引っ張られ、それにより起毛面の厚さが増加し、また、カムにおける弧状角の高さと針釜の高さを調整することにより、生地の厚さがさらに増加する。
【0031】
2、本願は、まず、シラングラウトマイカ粉を用いてマイカ粉を糸の表層に配列凝集させ、続いて糸の表面にポリドーパミン膜を被覆し、それにより、糸に優れた耐ファジング・ピリング性能を備えさせ、織物に優れた使用上の質感を備えさせる。
【0032】
3、本願は高分子長鎖シランを利用してポリエステルチップを処理し、低分子シランを利用してマイカ粉をグラフトし、マイカ粉を糸の表層に均一に分散させ、配列させ、また、ポリドーパミン膜を糸の表面に強固に付着させ、それにより、糸に持続的な耐ファジング・ピリング効果を備えさせる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、実施例に合わせて、本願をさらに詳しく説明する。
【0035】
本願における原料はいずれも市販されるものである。
【0036】
(製造例1)
マイカ粉を質量濃度が3%の3-アミノプロピルトリエトキシシランの水溶液に投入し、60℃まで加熱し、30min反応させ、反応が終了した後に濾過し、乾燥し、シラングラフトマイカ粉を得た。
【0037】
(製造例2)
ポリエステルチップ及びヘキサデシルトリメトキシシランを100:2の質量比で均一に混合し、60℃で、800r/minで15min混合し、続いて80℃で乾燥し、処理後のポリエステルチップを得た。
【0038】
(製造例3)
ポリエステルチップ及びヘキサデシルトリメトキシシランを100:3の質量比で均一に混合し、70℃で、800r/minで15min混合し、続いて80℃で乾燥し、処理後のポリエステルチップを得た。
【0039】
(製造例4)
ポリエステルチップ及びオクタデシルトリメトキシシランを100:2の質量比で均一に混合し、60℃で、800r/minで15min混合し、続いて80℃で乾燥し、処理後のポリエステルチップを得た。
【0040】
(実施例1)
異型生地であって、平織面及び起毛面を含み、平織面の密度は起毛面の密度より大きく、平織面に用いる糸の収縮率は14%であり、起毛面に用いる糸の収縮率は9%であり、平織面と起毛面をつなぐための接結糸の収縮率は29%であった。丸編機及び以上の3種類の糸を利用して異型生地を紡織し、生地の幅は150cmであり、重さは400GSMであった。本実施例で用いた糸はポリエステルチップを紡糸し、紡績して得られた。
【0041】
ここで、
図1に示すように、丸編機におけるカム1に針運び溝2が開設され、針運び溝2は順に針入れ部21、針突き上げ部22、針引き下げ部23、段付け部24、給糸部25、針返し部26に分けられ、針突き上げ部22と針引き下げ部23との間に弧状角3が設けられ、弧状角3は上頂点31及び下頂点32を含み、カム1の高さは25.5mmであり、弧状角3の下頂点32からカム1の底面までの距離は18.85mmであり、針返し部26の下内壁からカム1の底面までの距離は6.35mmであり、針運び溝2の幅は3.151mmであった。丸編機における針釜の高さは124mmであった。
【0042】
(実施例2)
異型生地であって、平織面及び起毛面を含み、平織面の密度は起毛面の密度より大きく、平織面に用いる糸の収縮率は15%であり、起毛面に用いる糸の収縮率は9.5%であり、平織面と起毛面をつなぐための接結糸の収縮率は30%であった。丸編機及び以上の3種類の糸を利用して異型生地を紡織し、生地の幅は150cmであり、重さは400GSMであった。本実施例で用いた糸はポリエステルチップを紡糸し、紡績して得られた。
【0043】
ここで、
図1に示すように、丸編機におけるカム1に針運び溝2が開設され、針運び溝2は順に針入れ部、針突き上げ部22、針引き下げ部23、段付け部24、給糸部25、針返し部26に分けられ、針突き上げ部22と針引き下げ部23との間に弧状角3が設けられ、弧状角3は上頂点31及び下頂点32を含み、カム1の高さは25.5mmであり、弧状角3の下頂点32からカム1の底面までの距離は21.35mmであり、針返し部26の下内壁からカム1の底面までの距離は6.35mmであり、針運び溝2の幅は3.153mmであった。丸編機における針釜の高さは124mmであった。
【0044】
(実施例3)
異型生地であって、平織面及び起毛面を含み、平織面の密度は起毛面の密度より大きく、平織面に用いる糸の収縮率は16%であり、起毛面に用いる糸の収縮率は10%であり、平織面と起毛面をつなぐための接結糸の収縮率は31%であった。丸編機及び以上の3種類の糸を利用して異型生地を紡織し、生地の幅は150cmであり、重さは400GSMであった。本実施例で用いた糸はポリエステルチップを紡糸し、紡績して得られた。
【0045】
ここで、
図1に示すように、丸編機におけるカム1に針運び溝2が開設され、針運び溝2は順に針入れ部、針突き上げ部22、針引き下げ部23、段付け部24、給糸部25、針返し部26に分けられ、針突き上げ部22と針引き下げ部23との間に弧状角3が設けられ、弧状角3は上頂点31及び下頂点32を含み、カム1の高さは25.5mmであり、弧状角3の下頂点32からカム1の底面までの距離は20.35mmであり、針返し部26の下内壁からカム1の底面までの距離は7.85mmであり、針運び溝2の幅は3.153mmであった。丸編機における針釜の高さは124mmであった。
【0046】
(実施例4)
本実施例と実施例2との相違点は以下のとおりである。
起毛面に用いる糸は以下の方法で製造される。
S1において、1000gのポリエステルチップと100gの製造例1におけるシラングラフトマイカ粉を正確に秤量し、均一に混合した後にスクリュー押出機に投入して押し出して造粒し、続いて粒子を紡糸装置に入れ、紡糸温度を280℃に制御し、3.4の牽引延伸倍率で牽引延伸処理して紡糸繊維を収集し、紡糸繊維を静置して室温まで冷却し、続いて紡績し、糸を得、
S2において、糸を塩酸ドーパミン溶液に浸漬し、塩酸ドーパミン溶液は0.2gの塩酸ドーパミンを100mlで、0.01mol/Lで、pHが8.5に調整されたTris緩衝溶液に溶解して製造され、40℃で2h反応させ、糸を取り出し、乾かし、起毛面に用いる糸を得た。
【0047】
(実施例5)
本実施例と実施例2との相違点は以下のとおりである。
起毛面に用いる糸は以下の方法で製造される。
S1において、1100gのポリエステルチップと110gの製造例1におけるシラングラフトマイカ粉を正確に秤量し、均一に混合した後にスクリュー押出機に投入して押し出して造粒し、続いて粒子を紡糸装置に入れ、紡糸温度を280℃に制御し、3.4の牽引延伸倍率で牽引延伸処理して紡糸繊維を収集し、紡糸繊維を静置して室温まで冷却し、続いて紡績し、糸を得、
S2において、糸を塩酸ドーパミン溶液に浸漬し、塩酸ドーパミン溶液は0.2gの塩酸ドーパミンを100mlで、0.01mol/Lで、pHが8.5に調整されたTris緩衝溶液に溶解して製造され、40℃で2h反応させ、糸を取り出し、乾かし、起毛面に用いる糸を得た。
【0048】
(実施例6)
本実施例と実施例2との相違点は以下のとおりである。
起毛面に用いる糸は以下の方法で製造される。
S1において、1200gのポリエステルチップと120gの製造例1におけるシラングラフトマイカ粉を正確に秤量し、均一に混合した後にスクリュー押出機に投入して押し出して造粒し、続いて粒子を紡糸装置に入れ、紡糸温度を280℃に制御し、3.4の牽引延伸倍率で牽引延伸処理して紡糸繊維を収集し、紡糸繊維を静置して室温まで冷却し、続いて紡績し、糸を得、
S2において、糸を塩酸ドーパミン溶液に浸漬し、塩酸ドーパミン溶液は0.2gの塩酸ドーパミンを100mlで、0.01mol/Lで、pHが8.5に調整されたTris緩衝溶液に溶解して製造され、40℃で2h反応させ、糸を取り出し、乾かし、起毛面に用いる糸を得た。
【0049】
(実施例7)
本実施例と実施例2との相違点は以下のとおりである。
起毛面に用いる糸は以下の方法で製造される。
S1において、1000gのポリエステルチップと100gの製造例1におけるシラングラフトマイカ粉を正確に秤量し、均一に混合した後にスクリュー押出機に投入して押し出して造粒し、続いて粒子を紡糸装置に入れ、紡糸温度を280℃に制御し、3.4の牽引延伸倍率で牽引延伸処理して紡糸繊維を収集し、紡糸繊維を静置して室温まで冷却し、続いて紡績し、糸を得、
S2において、糸を塩酸ドーパミン溶液に浸漬し、塩酸ドーパミン溶液は0.2gの塩酸ドーパミンを100mlで、0.01mol/Lで、pHが8.5に調整されたTris緩衝溶液に溶解して製造され、60℃で3h反応させ、糸を取り出し、乾かし、起毛面に用いる糸を得た。
【0050】
(実施例8)
本実施例と実施例2との相違点は以下のとおりである。
起毛面に用いる糸は以下の方法で製造される。
S1において、1000gの製造例2におけるポリエステルチップと100gの製造例1におけるシラングラフトマイカ粉を正確に秤量し、均一に混合した後にスクリュー押出機に投入して押し出して造粒し、続いて粒子を紡糸装置に入れ、紡糸温度を280℃に制御し、3.4の牽引延伸倍率で牽引延伸処理して紡糸繊維を収集し、紡糸繊維を静置して室温まで冷却し、続いて紡績し、糸を得、
S2において、糸を塩酸ドーパミン溶液に浸漬し、塩酸ドーパミン溶液は0.2gの塩酸ドーパミンを100mlで、0.01mol/Lで、pHが8.5に調整されたTris緩衝溶液に溶解して製造され、40℃で2h反応させ、糸を取り出し、乾かし、起毛面に用いる糸を得た。
【0051】
(実施例9)
本実施例と実施例2との相違点は以下のとおりである。
起毛面に用いる糸は以下の方法で製造される。
S1において、1000gの製造例3におけるポリエステルチップと100gの製造例1におけるシラングラフトマイカ粉を正確に秤量し、均一に混合した後にスクリュー押出機に投入して押し出して造粒し、続いて粒子を紡糸装置に入れ、紡糸温度を280℃に制御し、3.4の牽引延伸倍率で牽引延伸処理して紡糸繊維を収集し、紡糸繊維を静置して室温まで冷却し、続いて紡績し、糸を得、
S2において、糸を塩酸ドーパミン溶液に浸漬し、塩酸ドーパミン溶液は0.2gの塩酸ドーパミンを100mlで、0.01mol/Lで、pHが8.5に調整されたTris緩衝溶液に溶解して製造され、40℃で2h反応させ、糸を取り出し、乾かし、起毛面に用いる糸を得た。
【0052】
(実施例10)
本実施例と実施例2との相違点は以下のとおりである。
起毛面に用いる糸は以下の方法で製造される。
S1において、1000gの製造例4におけるポリエステルチップと100gの製造例1におけるシラングラフトマイカ粉を正確に秤量し、均一に混合した後にスクリュー押出機に投入して押し出して造粒し、続いて粒子を紡糸装置に入れ、紡糸温度を280℃に制御し、3.4の牽引延伸倍率で牽引延伸処理して紡糸繊維を収集し、紡糸繊維を静置して室温まで冷却し、続いて紡績し、糸を得、
S2において、糸を塩酸ドーパミン溶液に浸漬し、塩酸ドーパミン溶液は0.2gの塩酸ドーパミンを100mlで、0.01mol/Lで、pHが8.5に調整されたTris緩衝溶液に溶解して製造され、40℃で2h反応させ、糸を取り出し、乾かし、起毛面に用いる糸を得た。
【0053】
(比較例1)
異型生地であって、平織面及び起毛面を含み、平織面の密度は起毛面の密度より大きく、平織面に用いる糸の収縮率は15%であり、起毛面に用いる糸の収縮率は9.5%であり、平織面と起毛面をつなぐための接結糸の収縮率は5%であった。丸編機及び以上の3種類の糸を利用して異型生地を紡織し、生地の幅は150cmであり、重さは400GSMであった。本比較例で用いた糸はポリエステルチップを紡糸し、紡績して得られた。
【0054】
ここで、
図1に示すように、丸編機におけるカム1に針運び溝2が開設され、針運び溝2は順に針入れ部、針突き上げ部22、針引き下げ部23、段付け部24、給糸部25、針返し部26に分けられ、針突き上げ部22と針引き下げ部23との間に弧状角3が設けられ、弧状角3は上頂点31及び下頂点32を含み、カム1の高さは25.5mmであり、弧状角3の下頂点32からカム1の底面までの距離は21.35mmであり、針返し部26の下内壁からカム1の底面までの距離は6.35mmであり、針運び溝2の幅は3.153mmであった。丸編機における針釜の高さは124mmであった。
【0055】
(比較例2)
異型生地であって、平織面及び起毛面を含み、平織面の密度は起毛面の密度より大きく、平織面に用いる糸の収縮率は15%であり、起毛面に用いる糸の収縮率は9.5%であり、平織面と起毛面をつなぐための接結糸の収縮率は30%であった。丸編機及び以上の3種類の糸を利用して異型生地を紡織し、生地の幅は150cmであり、重さは400GSMであった。本比較例で用いた糸はポリエステルチップを紡糸し、紡績して得られた。
【0056】
ここで、
図1に示すように、丸編機におけるカム1に針運び溝2が開設され、針運び溝2は順に針入れ部、針突き上げ部22、針引き下げ部23、段付け部24、給糸部25、針返し部26に分けられ、針突き上げ部22と針引き下げ部23との間に弧状角3が設けられ、弧状角3は上頂点31及び下頂点32を含み、カム1の高さは25.5mmであり、弧状角3の下頂点32からカム1の底面までの距離は16.5mmであり、針返し部26の下内壁からカム1の底面までの距離は6.35mmであり、針運び溝2の幅は3.153mmであった。丸編機における針釜の高さは124mmであった。
【0057】
(比較例3)
異型生地であって、平織面及び起毛面を含み、平織面の密度は起毛面の密度より大きく、平織面に用いる糸の収縮率は15%であり、起毛面に用いる糸の収縮率は9.5%であり、平織面と起毛面をつなぐための接結糸の収縮率は30%であった。丸編機及び以上の3種類の糸を利用して異型生地を紡織し、生地の幅は150cmであり、重さは400GSMであった。本比較例で用いた糸はポリエステルチップを紡糸し、紡績して得られた。
【0058】
ここで、
図1に示すように、丸編機におけるカム1に針運び溝2が開設され、針運び溝2は順に針入れ部、針突き上げ部22、針引き下げ部23、段付け部24、給糸部25、針返し部26に分けられ、針突き上げ部22と針引き下げ部23との間に弧状角3が設けられ、弧状角3は上頂点31及び下頂点32を含み、カム1の高さは25.5mmであり、弧状角3の下頂点32からカム1の底面までの距離は21.35mmであり、針返し部26の下内壁からカム1の底面までの距離は6.35mmであり、針運び溝2の幅は3.153mmであった。丸編機における針釜の高さは125mmであった。
【0059】
(比較例4)
本比較例と実施例4との相違点は以下のとおりである。
起毛面に用いる糸は以下の方法で製造される。
S1において、1000gのポリエステルチップと100gのマイカ粉を正確に秤量し、均一に混合した後にスクリュー押出機に投入して押し出して造粒し、続いて粒子を紡糸装置に入れ、紡糸温度を280℃に制御し、3.4の牽引延伸倍率で牽引延伸処理して紡糸繊維を収集し、紡糸繊維を静置して室温まで冷却し、続いて紡績し、糸を得、
S2において、糸を塩酸ドーパミン溶液に浸漬し、塩酸ドーパミン溶液は0.2gの塩酸ドーパミンを100mlで、0.01mol/Lで、pHが8.5に調整されたTris緩衝溶液に溶解して製造され、40℃で2h反応させ、糸を取り出し、乾かし、起毛面に用いる糸を得た。
【0060】
(比較例5)
本比較例と実施例4との相違点は以下のとおりである。
起毛面に用いる糸は以下の方法で製造される。
S1において、1000gのポリエステルチップと100gの製造例1におけるシラングラフトマイカ粉を正確に秤量し、均一に混合した後にスクリュー押出機に投入して押し出して造粒し、続いて粒子を紡糸装置に入れ、紡糸温度を280℃に制御し、3.4の牽引延伸倍率で牽引延伸処理して紡糸繊維を収集し、紡糸繊維を静置して室温まで冷却し、続いて紡績し、起毛面に用いる糸を得た。
【0061】
(比較例6)
本比較例と実施例8との相違点は以下のとおりである。
シラングラフトマイカ粉は以下の方法で製造される。
マイカ粉を質量濃度が3%のヘキサデシルトリメトキシシラン水溶液に投入し、60℃まで加熱し、30min反応させ、反応が終了した後に濾過し、乾燥し、シラングラフトマイカ粉を得た。
【0062】
(比較例7)
本比較例と実施例8との相違点は以下のとおりである。
ポリエステルチップは以下の方法で処理される。
ポリエステルチップと3-アミノプロピルトリエトキシシランを100:2の質量比で均一に混合し、70℃で、800r/minで15min混合し、続いて80℃で乾燥し、処理後のポリエステルチップを得た。
【0063】
性能検査
一、実施例1~実施例3、比較例1~比較例3で製造された生地を95℃の水浴で30min加熱し、乾かした後、生地を平らに広げ、生地の厚さを測定し記録した。
【0064】
【0065】
表1を参照すると、実施例1~実施例3の生地は、比較例1に比べて、より厚い厚さを有し、これは、高い収縮率の糸を選択して平織面と起毛面をつなぐことにより、起毛面中のループを引っ張り、起毛面中のループの高さを増加させることができることを示している。また、比較例2と比較例3に合わせて、実施例1における生地の厚さがより厚く、これは、カムにおける弧状角の頂点位置を上方に調整し、針釜の高さを適切に低く調整することにより、起毛面のループの高さを増加させることができ、それにより、最終的な生地の厚さを増加させることを示している。
【0066】
二、GB/T4802.2『テキスタイル 織物のファジング・ピリング性能の測定 第2部分:修正されたマーティンデール法』を参照して、生地の起毛面に対してピリング・ファジング測定を行い、各実施例及び各比較例はいずれも3つの試料を取り、試料をYG401G型番の織物マーティンデールデバイスで2000回回転させた後、YG982Dピリング等級判定キャビネットにおいて標準サンプル写真と対照して判定し、3回の平均値を取った。続いて、引き続き、サンプルをYG401G型番の織物マーティンデールデバイスで3000回回転させ、さらに、YG982Dピリング等級判定キャビネットにおいて標準サンプル写真と対照して判定し、3回の平均値を取った。
【0067】
【0068】
表2を参照すると、実施例4から実施例6における生地は、比較例4に比べて、より優れた耐ピリング・ファジング性能を有し、これは、シラングラフトマイカ粉を利用すると、マイカ粉の糸の表層における凝集を促進することができ、それにより糸の滑らかさを増加させ、糸の耐摩耗性を向上させることができ、さらに生地が優れた耐ピリング・ファジング性能を有すると表現することを示している。
【0069】
実施例1及び実施例7における生地は、比較例5に比べて、より優れた耐ピリング性能を表現し、これは、糸の表面にポリドーパミン膜を被覆し、ポリドーパミン膜の滑らかで緻密な構造に頼ると、糸に優れた滑らかさ及び耐摩耗性を付与し、糸が摩擦を受けることによるピリング現象の発生を低減することができることを示している。実施例1及び実施例7の生地は、5000回摩擦した後でも、優れた耐ピリング・耐ファジング性能を示し、分析によると、過度摩擦した後、糸の表面に被覆されたポリドーパミン膜が摩擦によって除去される可能性があり、このとき、糸の表面に配列されたマイカ粉が主な耐ピリング・ファジング効果を果たし、それにより、糸は優れた耐ピリング・ファジング効果を有することを表現する。
【0070】
実施例1、実施例8から実施例10に合わせて、ポリエステルチップを高分子長鎖シランで予め処理し、高分子長鎖シランが提供する活性基に頼ると、ポリドーパミン膜と相互作用力を生成し、ポリドーパミン膜を糸の表面に強固に付着させ、糸の耐ピリング性能の持続性を向上させることができ、また、低分子シランの体系における分散均一性を促進し、さらにマイカ粉の糸の表層における分散をより均一にし、糸の耐ピリング性能をさらに向上させることができる。
【0071】
実施例8及び比較例6に合わせて、実施例8における糸の耐ピリング効果がより優れ、分析によると、ポリエステルチップ及びマイカ粉がいずれも高分子長鎖シランで処理された後、体系全体において、ポリエステルチップ上のシラン長鎖とマイカ粉上のシラン長鎖は絡みつく可能性があり、それによりマイカ粉の体系における移動に影響を与え、マイカ粉の糸の表層における凝集を妨げ、それにより比較例6における糸の耐ピリング性能が実施例8より弱いことを引き起こす。
【0072】
実施例8及び比較例7に合わせて、比較例7における糸の耐ピリング効果が低く、分析によると、ポリエステルチップ及びマイカ粉がいずれも低分子シランで処理された後、糸の成形過程において、マイカ粉は低分子シランの遷移作用で糸の表層へ凝集し、ポリエステルチップ上の低分子シランは鎖長が短いため糸の表層まで延びることができず、それによりポリドーパミン膜はマイカ粉上の低分子シランしかと相互作用力を生成することができない。そのため、実施例8における糸上のポリドーパミン膜は高分子長鎖シラン及び低分子シランと同時に相互作用力を生成することができることに比べて、比較例7におけるポリドーパミン膜の糸上における堅牢度が相対的に低く、そのため、比較例7における糸の耐ピリング効果は実施例8に比べて低い。
【0073】
本具体的な実施例は本願を説明するためのものに過ぎず、本願を限定するものではなく、当業者が本明細書を読んだ後に、必要に応じて本実施例に対して創造的な寄与をしない補正を行うことはできるが、本願の特許請求の範囲内にあればいずれも特許法に保護される。
【符号の説明】
【0074】
1...カム、2...針運び溝、21...針入れ部、22...針突き上げ部、23...針引き下げ部、24...段付け部、25...給糸部、26...針返し部、3...弧状角、31...上頂点、32...下頂点。
【要約】 (修正有)
【課題】厚さが増加し、且つ製造プロセスは省エネルギーで環境に優しい生地の製造方法を提供する。
【解決手段】異型生地及びその製造方法を開示する。異型生地は平織面と起毛面を含み、平織面に用いる糸の収縮率は14~16%であり、起毛面に用いる糸の収縮率は9~10%であり、平織面と起毛面をつなぐ接結糸の収縮率は29~31%であり、前記異型生地は丸編機で作製され、丸編機における針釜の高さは124mmであり、カム1に針運び溝2が開設され、針運び溝は順に針入れ部21、針突き上げ部22、針引き下げ部23、段付け部24、給糸部25、針返し部26に分けられ、針突き上げ部と針引き下げ部との間に弧状角3があり、弧状角の下頂点からカム底面までの距離は18.85~21.35mmであり、針返し部の下内壁からカム底面までの距離は6.35~7.85mmであり、針運び溝の幅は3.151~3.153mmである。
【選択図】
図1