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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】連結金具セット、及び連結方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/34 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
E02D5/34 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2024005721
(22)【出願日】2024-01-17
【審査請求日】2024-07-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】309004596
【氏名又は名称】株式会社丸和
(74)【代理人】
【識別番号】100096080
【弁理士】
【氏名又は名称】井内 龍二
(74)【代理人】
【識別番号】100194098
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 一
(72)【発明者】
【氏名】豊増 勝則
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-121040(JP,A)
【文献】特開2011-74569(JP,A)
【文献】特開2001-193059(JP,A)
【文献】中国実用新案第215759662(CN,U)
【文献】特開2023-140927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
場所打ち杭の構築に用いる鋼管と鉄筋籠とを連結するための連結金具セットであって、
前記鋼管の開口縁部に取り付けられる金具本体と、
該金具本体と前記鉄筋籠の主筋とを連結するための棒状継手とを含み、
該棒状継手が、
一端側に前記金具本体を前記鋼管の位置に合わせて締結可能とする締結部と、
他端側に前記鉄筋籠の主筋と重ね合わせた状態で固定可能な重ね合わせ部とを備え、
該重ね合わせ部と前記鉄筋籠の主筋とが鉄筋固定用金具で固定可能に構成され、
前記金具本体が、
前記鋼管の開口縁部に嵌め込み可能な嵌め込み部と、
前記棒状継手の前記締結部を挿入可能な挿入部と、
前記嵌め込み部に嵌め込まれた状態の前記鋼管に押圧力を作用させた状態で前記鋼管を前記嵌め込み部に固定するための固定部とを備えていることを特徴とする連結金具セット。
【請求項2】
前記金具本体が、対向配置される一対の板状部材と、前記挿入部を構成する管状部材とを含み、
前記嵌め込み部が、前記1対の板状部材の対向位置に形成された切り欠け部で構成され、
前記管状部材が、前記1対の板状部材の間に前記切り欠け部の深さ方向と平行に配設され、
前記固定部が、前記1対の板状部材のそれぞれの外側面に固着されるナットと、これらナットに螺着可能な止めネジとを含んで構成され、
前記ナットが、前記切り欠け部の深さ方向に対して直交する方向に前記止めネジを螺進可能な向きに固着されていることを特徴とする請求項1記載の連結金具セット。
【請求項3】
前記切り欠け部に、前記鋼管の内側面に形成された環状の突起部に係止可能な係止部が形成されていることを特徴とする請求項2記載の連結金具セット。
【請求項4】
前記管状部材が、前記切り欠け部の両側に配設されていることを特徴とする請求項2記載の連結金具セット。
【請求項5】
前記金具本体が、略L字形状をした切り欠け部を有する板状部材と、前記挿入部を構成する管状部材とを含み、
前記板状部材の前記切り欠け部の短辺側先端部と前記管状部材の一側面とが、前記切り欠け部の長辺と前記管状部材の一側面とを対向させた状態で固着され、
前記嵌め込み部が、前記切り欠け部と前記管状部材の一側面とで形成され、
前記固定部が、前記切り欠け部の短辺の延長方向に平行な向きで前記管状部材の両側面に固定されるナットと、これらナットに螺着可能な止めネジとを含んで構成され、
前記ナットが、前記切り欠け部の長辺の延長方向に対して直交する方向に前記止めネジを螺進可能な向きに固着されていることを特徴とする請求項1記載の連結金具セット。
【請求項6】
前記金具本体が、
前記管状部材の一側面と反対側の他側面に固着された補強部材をさらに備え、
前記ナットが、前記管状部材と前記補強部材とに固着されていることを特徴とする請求項5記載の連結金具セット。
【請求項7】
前記切り欠け部に、前記鋼管の内側面に形成された環状の突起部に係止可能な係止部が形成されていることを特徴とする請求項5記載の連結金具セット。
【請求項8】
前記棒状継手が、
前記鋼管の外径又は内径と前記鉄筋籠の籠径との差に応じて曲げ加工された棒鋼で構成され、
前記締結部が、
前記棒鋼の一端側がネジ加工されたネジ部で構成され、
該ネジ部に前記金具本体を位置決め締結するための一組のナットが螺着可能に構成されていることを特徴とする請求項1~7のいずれかの項に記載の連結金具セット。
【請求項9】
前記重ね合わせ部となる前記棒鋼の他端側に、前記鉄筋籠の主筋との連結位置ずれを防止するためのずれ防止筋が固着され、
前記重ね合わせ部及び前記ずれ防止筋が、前記鉄筋籠の主筋に前記鉄筋固定用金具で固定可能な構成となっていることを特徴とする請求項8記載の連結金具セット。
【請求項10】
前記棒状継手が、
前記鋼管の外径又は内径と前記鉄筋籠の籠径との差に応じて曲げ加工された棒鋼を含んで構成され、
前記締結部が、
前記棒鋼の一端側に取り付けられたネジ部材で構成され、
該ネジ部材に前記金具本体を位置決め締結するための一組のナットが螺着可能に構成されていることを特徴とする請求項1~7のいずれかの項に記載の連結金具セット。
【請求項11】
前記棒鋼が異形棒鋼で構成され、
前記棒鋼の他端側となる前記重ね合わせ部が、前記鉄筋籠の主筋に前記鉄筋固定用金具で固定可能な構成となっていることを特徴とする請求項10記載の連結金具セット。
【請求項12】
請求項1記載の連結金具セットを用いて鋼管と鉄筋籠とを連結する方法であって、
杭孔上部のケーシングに前記鉄筋籠を仮受けした後、該鉄筋籠の主筋に前記棒状継手の前記重ね合わせ部を重ね合わせて鉄筋固定用金具で前記棒状継手を前記主筋に取り付ける工程と、
前記主筋に取り付けられた前記棒状継手の前記締結部に前記金具本体の前記挿入部を挿し込み、前記嵌め込み部を上に向けた状態で前記金具本体を前記締結部に仮止めする工程と、
前記鋼管の下部を所定の定着位置まで前記鉄筋籠に被せる工程と、
前記鋼管の下部開口縁部に前記金具本体の前記嵌め込み部を嵌め込んだ状態で前記金具本体を前記締結部に位置決め締結する工程と、
前記金具本体の前記固定部で前記鋼管に押圧力を作用させた状態で前記鋼管を前記嵌め込み部に固定する工程と、を含むことを特徴とする連結方法。
【請求項13】
請求項1記載の連結金具セットを用いて鋼管と鉄筋籠とを連結する方法であって、
杭孔上部のケーシングに前記鋼管を仮受けした後、該鋼管の中に前記鉄筋籠を建て込む工程を含み、
該建て込み工程が、
前記鉄筋籠の主筋に前記棒状継手の前記重ね合わせ部を重ね合わせて鉄筋固定用金具で前記棒状継手を前記主筋に取り付ける工程と、
前記棒状継手を前記主筋に取り付けた後、さらに、前記鉄筋籠を前記鋼管の中に建て込み、前記棒状継手の前記締結部が前記鋼管の上部開口縁部に位置したときに、前記金具本体の前記嵌め込み部を下に向けた状態で前記棒状継手の前記締結部に前記挿入部を挿し込み、前記鋼管の上部開口縁部に前記嵌め込み部を嵌め込んだ状態で前記金具本体を前記締結部に位置決め締結する工程と、
前記金具本体の前記固定部で前記鋼管に押圧力を作用させた状態で前記鋼管を前記嵌め込み部に固定する工程と、を含むことを特徴とする連結方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は連結金具セット、及び連結方法に関し、より詳細には、場所打ち杭の構築に用いる鋼管と鉄筋籠とを連結するための連結金具セット、及び該連結金具セットを用いて鋼管と鉄筋籠とを連結する連結方法に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物の建設現場では、構造物の耐震強度等を高めるために、地盤に杭を打ち込み、構造物を支える杭基礎を形成する工法が一般に採用されている。杭基礎の施工法の一つに場所打ち杭による施工法があり、このような場所打ち杭の一つに杭頭部に鋼管を用いた場所打ち鋼管コンクリート杭がある。
【0003】
図9は、従来の場所打ち鋼管コンクリート杭の一例を概略的に示す側断面図である。
場所打ち鋼管コンクリート杭80は、鉄筋籠81が配設される下部の鉄筋コンクリート部82と、鋼管83が配設される上部の鋼管コンクリート部84とを有し、鋼管コンクリート部84上部の杭頭接合部(フーチングともいう)85を介して構造物の柱や基礎梁に連接される構造となっている。
【0004】
鋼管コンクリート部84の下部には、鋼管83と鉄筋籠81とを連結する継手部86が構築されている。従来、継手部86を構築するために行われる鋼管83と鉄筋籠81との連結作業は、現場溶接によって行われていた。現場溶接による作業は、例えば、次のような手順で行われていた。
まず、杭孔87上部のケーシング(図示せず)に鉄筋籠81を仮受け状態とした後、クレーン等で吊り下げた鋼管83の下部を鉄筋籠81の上部に所定の深さ分だけ被せた状態にする。
【0005】
そして、鋼管83の下から鋼管83の外径よりも少し長い連結用棒材(平鋼、角鋼など)を鉄筋籠81に略水平方向に挿し込んだ後、鋼管83の下端付近の外周面に短棒材(短い異形棒鋼)を前記連結用棒材と交差するように、かつ、前記連結用棒材と鉄筋籠81の主筋(縦筋)とが交差する状態に配置する。そして、鋼管83の下端付近の外周面と前記短棒材、該短棒材と前記連結用棒材との交差部、及び前記連結用棒材と鉄筋籠81の主筋との交差部を現場溶接により接合していた。
【0006】
その他の連結方式として、下記の特許文献1には、鋼管の下端付近の内周面に継手鉄筋を溶接部に溶接で固着した後、杭孔の上部で鉄筋籠の上端部と前記鋼管から下方に突出している前記継手鉄筋とを重ね合わせて、前記鋼管の前記継手鉄筋と前記鉄筋籠の上端部とをラップ(重ね継手)させた後に、前記鋼管と前記鉄筋籠とを一緒に杭孔の所定深さまで建て込む方法が開示されている。
【0007】
[発明が解決しようとする課題]
上記のように鋼管83と鉄筋籠81とを連結する継手部86において、鋼管83と鉄筋籠81とを前記連結用棒材、前記短棒材、又は前記継手鉄筋などを用いて現場溶接によって接合する場合、施工品質を確保するために現場に技量の高い溶接員を確保しておく必要があり、また、その溶接作業に時間を要するため作業効率が悪くなるという課題があった。
【0008】
また、「道路橋示方書・同解説」(社団法人 日本道路協会 平成29年11月)によれば、溶接による施工は、鉄筋の断面減少等の欠陥が生じるおそれがあるため、鉄筋籠の主要構成部材である主筋に直接の溶接を用いてはならないように規定されており、近年、場所打ち杭の構築に用いる鋼管と鉄筋籠とを連結する作業においても溶接を用いないで行う方法が要望されているという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2015-121040号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段及びその効果】
【0010】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、場所打ち杭の構築に用いる鋼管と鉄筋籠とを連結する作業を、溶接を用いることなく効率良く行うことができる連結金具セット、及び連結方法を提供することを目的としている。
【0011】
上記目的を達成するために本発明に係る連結金具セット(1)は、
場所打ち杭の構築に用いる鋼管と鉄筋籠とを連結するための連結金具セットであって、
前記鋼管の開口縁部に取り付けられる金具本体と、
該金具本体と前記鉄筋籠の主筋とを連結するための棒状継手とを含み、
該棒状継手が、
一端側に前記金具本体を前記鋼管の位置に合わせて締結可能とする締結部と、
他端側に前記鉄筋籠の主筋と重ね合わせた状態で固定可能な重ね合わせ部とを備え、
該重ね合わせ部と前記鉄筋籠の主筋とが鉄筋固定用金具で固定可能に構成され、
前記金具本体が、
前記鋼管の開口縁部に嵌め込み可能な嵌め込み部と、
前記棒状継手の前記締結部を挿入可能な挿入部と、
前記嵌め込み部に嵌め込まれた状態の前記鋼管に押圧力を作用させた状態で前記鋼管を前記嵌め込み部に固定するための固定部とを備えていることを特徴としている。
【0012】
上記連結金具セット(1)によれば、前記嵌め込み部と前記挿入部と前記固定部とを備える前記金具本体と、前記締結部と前記重ね合わせ部とを備える前記棒状継手とを用いることにより、前記鋼管と前記鉄筋籠とを連結する作業を、溶接を用いることなく効率良く行うことができる。
【0013】
また本発明に係る連結金具セット(2)は、上記連結金具セット(1)において、
前記金具本体が、対向配置される一対の板状部材と、前記挿入部を構成する管状部材とを含み、
前記嵌め込み部が、前記1対の板状部材の対向位置に形成された切り欠け部で構成され、
前記管状部材が、前記1対の板状部材の間に前記切り欠け部の深さ方向と平行に配設され、
前記固定部が、前記1対の板状部材のそれぞれの外側面に固着されるナットと、これらナットに螺着可能な止めネジとを含んで構成され、
前記ナットが、前記切り欠け部の深さ方向に対して直交する方向に前記止めネジを螺進可能な向きに固着されていることを特徴としている。
【0014】
上記連結金具セット(2)によれば、前記金具本体を前記棒状継手の前記締結部に容易に取り付けることができ、また、前記1対の板状部材の対向位置に形成された前記切り欠け部で構成された前記嵌め込み部を前記鋼管の開口縁部に容易に嵌め込むことができ、連結作業の効率を高めることができる。さらに、前記固定部を構成する前記ナットと前記止めネジとによって、前記金具本体を前記鋼管の開口縁部に強固かつ確実に固定することができる。
【0015】
また本発明に係る連結金具セット(3)は、上記連結金具セット(2)において、
前記切り欠け部に、前記鋼管の内側面に形成された環状の突起部に係止可能な係止部が形成されていることを特徴としている。
【0016】
上記連結金具セット(3)によれば、前記切り欠け部に形成された前記係止部を前記鋼管の内側面に形成された環状の突起部に係止させることが可能となり、前記金具本体を前記鋼管の開口縁部に、より強固かつ確実に固定することができ、連結された前記鉄筋籠の位置ズレ防止効果を高めることができる。
【0017】
また本発明に係る連結金具セット(4)は、上記連結金具セット(2)又は(3)において、前記管状部材が、前記切り欠け部の両側に配設されていることを特徴としている。
【0018】
上記連結金具セット(4)によれば、前記管状部材が、前記切り欠け部の両側に配設されているので、前記金具本体を前記鋼管の下部で前記鉄筋籠と連結する場合と、前記鋼管の上部で前記鉄筋籠と連結する場合とに使用することができる。
すなわち、前記金具本体を前記鋼管の下部開口縁部に取り付け、前記管状部材に前記棒状継手の前記締結部を挿入して締結し、前記棒状継手の前記重ね合わせ部を前記鉄筋籠の主筋と重ね合わせた状態で固定することができる。また、前記金具本体を前記鋼管の上部開口縁部に取り付け、前記管状部材に前記棒状継手の前記締結部を挿入して締結し、前記棒状継手の前記重ね合わせ部を前記鉄筋籠の主筋と重ね合わせた状態で固定することができる。
【0019】
また本発明に係る連結金具セット(5)は、上記連結金具セット(1)において、
前記金具本体が、略L字形状をした切り欠け部を有する板状部材と、前記挿入部を構成する管状部材とを含み、
前記板状部材の前記切り欠け部の短辺側先端部と前記管状部材の一側面とが、前記切り欠け部の長辺と前記管状部材の一側面とを対向させた状態で固着され、
前記嵌め込み部が、前記切り欠け部と前記管状部材の一側面とで形成され、
前記固定部が、前記切り欠け部の短辺の延長方向に平行な向きで前記管状部材の両側面に固定されるナットと、これらナットに螺着可能な止めネジとを含んで構成され、
前記ナットが、前記切り欠け部の長辺の延長方向に対して直交する方向に前記止めネジを螺進可能な向きに固着されていることを特徴としている。
【0020】
上記連結金具セット(5)によれば、前記金具本体を前記棒状継手の前記締結部に容易に取り付けることができ、また、前記略L字形状をした切り欠け部と前記管状部材の一側面とで形成された前記嵌め込み部を前記鋼管の開口縁部に容易に嵌め込むことができ、連結作業の効率を高めることができる。さらに、前記固定部を構成する前記ナットと前記止めネジとによって、前記金具本体を前記鋼管の開口縁部に強固かつ確実に固定することができる。また、前記略L字形状をした切り欠け部を有する前記板状部材を前記金具本体に用いることにより、前記金具本体の軽量化、及びコストの削減を図ることができる。
【0021】
また本発明に係る連結金具セット(6)は、上記連結金具セット(5)において、
前記金具本体が、
前記管状部材の一側面と反対側の他側面に固着された補強部材をさらに備え、
前記ナットが、前記管状部材と前記補強部材とに固着されていることを特徴としている。
【0022】
上記連結金具セット(6)によれば、前記管状部材の両側面に固定される前記ナットが前記管状部材と前記補強部材とに固着されているので、前記ナットの取付強度を高めることができ、前記嵌め込み部に嵌め込まれた前記鋼管を前記ナットに螺着された前記止めネジで強固に固定することができる。
【0023】
また本発明に係る連結金具セット(7)は、上記連結金具セット(5)又は(6)において、
前記切り欠け部に、前記鋼管の内側面に形成された環状の突起部に係止可能な係止部が形成されていることを特徴としている。
【0024】
上記連結金具セット(7)によれば、前記切り欠け部に形成された前記係止部を前記鋼管の内側面に形成された環状の突起部に係止させることができ、前記金具本体を前記鋼管の開口縁部に、より強固かつ確実に固定することができ、連結された前記鉄筋籠の位置ズレ防止効果を高めることができる。
【0025】
また本発明に係る連結金具セット(8)は、上記連結金具セット(1)~(7)のいずれかにおいて、
前記棒状継手が、
前記鋼管の外径又は内径と前記鉄筋籠の籠径との差に応じて曲げ加工された棒鋼で構成され、
前記締結部が、
前記棒鋼の一端側がネジ加工されたネジ部で構成され、
該ネジ部に前記金具本体を位置決め締結するための一組のナットが螺着可能に構成されていることを特徴としている。
【0026】
上記連結金具セット(8)によれば、前記棒状継手が、前記鋼管の外径又は内径と前記鉄筋籠の籠径との差に応じて曲げ加工された棒鋼で構成されているので、前記棒状継手の前記締結部を前記鋼管に、前記重ね合わせ部を前記鉄筋籠の主筋にそれぞれ近接させた状態で配置することができる。
また、前記締結部が、前記ネジ部で構成され、該ネジ部に前記一組のナットが螺着可能に構成されているので、前記ネジ部に挿着された前記金具本体の締結位置を前記一組のナットで容易に調整することができる。
【0027】
また本発明に係る連結金具セット(9)は、上記連結金具セット(8)において、
前記重ね合わせ部となる前記棒鋼の他端側に、前記鉄筋籠の主筋との連結位置ずれを防止するためのずれ防止筋が固着され、
前記重ね合わせ部及び前記ずれ防止筋が、前記鉄筋籠の主筋に前記鉄筋固定用金具で固定可能な構成となっていることを特徴としている。
【0028】
上記連結金具セット(9)によれば、前記重ね合わせ部となる前記棒鋼の他端側に、前記ずれ防止筋が固着されているので、前記重ね合わせ部と前記鉄筋籠の主筋とを前記鉄筋固定用金具で強固に固定することができる。
【0029】
また本発明に係る連結金具セット(10)は、上記連結金具セット(1)~(7)のいずれかにおいて、
前記棒状継手が、
前記鋼管の外径又は内径と前記鉄筋籠の籠径との差に応じて曲げ加工された棒鋼で構成され、
前記締結部が、
前記棒鋼の一端側に取り付けられたネジ部材で構成され、
該ネジ部材に前記金具本体を位置決め締結するための一組のナットが螺着可能に構成されていることを特徴としている。
【0030】
上記連結金具セット(10)によれば、前記棒状継手が、前記鋼管の外径又は内径と前記鉄筋籠の籠径との差に応じて曲げ加工された棒鋼で構成されているので、前記棒状継手の前記締結部を前記鋼管に、前記重ね合わせ部を前記鉄筋籠の主筋にそれぞれ近接させた状態で配置することができる。
また、前記締結部が、前記ネジ部材で構成され、該ネジ部材に前記一組のナットが螺着可能に構成されているので、前記棒鋼の一端側に取り付けられた前記ネジ部材に挿着された前記金具本体の締結位置を前記一組のナットで容易に調整することができる。
【0031】
また本発明に係る連結金具セット(11)は、上記連結金具セット(10)において、
前記棒鋼が異形棒鋼で構成され、
前記棒鋼の他端側となる前記重ね合わせ部が、前記鉄筋籠の主筋に前記鉄筋固定用金具で固定可能な構成となっていることを特徴としている。
【0032】
上記連結金具セット(11)によれば、前記棒鋼が異形棒鋼で構成されているので、前記棒鋼の他端側となる前記重ね合わせ部と前記鉄筋籠の主筋とを前記鉄筋固定用金具で強固に固定することができる。
【0033】
また本発明に係る連結方法(12)は、上記連結金具セット(1)~(11)のいずれかを用いて鋼管と鉄筋籠とを連結する方法であって、
杭孔上部のケーシングに前記鉄筋籠を仮受けした後、該鉄筋籠の主筋に前記棒状継手の前記重ね合わせ部を重ね合わせて鉄筋固定用金具で前記棒状継手を前記主筋に取り付ける工程と、
前記主筋に取り付けられた前記棒状継手の前記締結部に前記金具本体の前記挿入部を挿し込み、前記嵌め込み部を上に向けた状態で前記金具本体を前記締結部に仮止めする工程と、
前記鋼管の下部を所定の定着位置まで前記鉄筋籠に被せる工程と、
前記鋼管の下部開口縁部に前記金具本体の前記嵌め込み部を嵌め込んだ状態で前記金具本体を前記締結部に位置決め締結する工程と、
前記金具本体の前記固定部で前記鋼管に押圧力を作用させた状態で前記鋼管を前記嵌め込み部に固定する工程と、を含むことを特徴としている。
【0034】
上記連結方法(1)によれば、前記嵌め込み部と前記挿入部と前記固定部とを備える前記金具本体と、前記締結部と前記重ね合わせ部とを備える前記棒状継手とを備えた前記連結金具セットを用いることにより、前記鋼管の下部と前記鉄筋籠の上部とを連結する作業を、溶接を用いることなく効率良く行うことができる。
【0035】
また本発明に係る連結方法(2)は、上記連結金具セット(1)を用いて鋼管と鉄筋籠とを連結する方法であって、
杭孔上部のケーシングに前記鋼管を仮受けした後、該鋼管の中に前記鉄筋籠を建て込む工程を含み、
該建て込み工程が、
前記鉄筋籠の主筋に前記棒状継手の前記重ね合わせ部を重ね合わせて鉄筋固定用金具で前記棒状継手を前記主筋に取り付ける工程と、
前記棒状継手を前記主筋に取り付けた後、さらに、前記鉄筋籠を前記鋼管の中に建て込み、前記棒状継手の前記締結部が前記鋼管の上部開口縁部に位置したときに、前記金具本体の前記嵌め込み部を下に向けた状態で前記棒状継手の前記締結部に前記挿入部を挿し込み、前記鋼管の上部開口縁部に前記嵌め込み部を嵌め込んだ状態で前記金具本体を前記締結部に位置決め締結する工程と、
前記金具本体の前記固定部で前記鋼管に押圧力を作用させた状態で前記鋼管を前記嵌め込み部に固定する工程と、を含むことを特徴としている。
【0036】
上記連結方法(2)によれば、前記嵌め込み部と前記挿入部と前記固定部とを備える前記金具本体と、前記締結部と前記重ね合わせ部とを備える前記棒状継手とを備えた前記連結金具セットを用いることにより、前記鋼管の上部と前記鉄筋籠の上部とを連結する作業を、溶接を用いることなく効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の実施の形態(1)に係る連結金具セットの組付け前の状態を示す正面図である。
図2図1の右面図である。
図3】実施の形態(1)に係る連結金具セットを用いて場所打ち杭の構築に用いる鋼管と鉄筋籠とを連結する作業手順の一例を説明するための側面図である。
図4】実施の形態(2)に係る連結金具セットを構成する金具本体の概略構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図である。
図5】実施の形態(3)に係る連結金具セットの組付け前の状態を示す正面図である。
図6図5の右面図である。
図7】実施の形態(3)に係る連結金具セットを用いて場所打ち杭の構築に用いる鋼管と鉄筋籠とを連結する作業手順の一例を説明するための側面図である。
図8】実施の形態(4)に係る連結金具セットを構成する金具本体の概略構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は平面図である。
図9】従来の場所打ち鋼管コンクリート杭の一例を概略的に示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明に係る連結金具セット、及び連結方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0039】
図1は本発明の実施の形態(1)に係る連結金具セット1の組付け前の状態を示す正面図である。図2図1の右面図である。
連結金具セット1は、場所打ち杭の構築に用いる鋼管83と鉄筋籠81と(図3参照)を連結するためのものであり、鋼管83の下部開口縁部に取り付けられる金具本体10と、金具本体10と鉄筋籠81の主筋81a(図3参照)とを連結するための棒状継手50とを含んでいる。
【0040】
棒状継手50は、一端(上端)側に金具本体10を鋼管83の位置に合わせて締結可能とする締結部52と、他端(下端)側に鉄筋籠81の主筋81aと重ね合わせた状態で固定可能な重ね合わせ部55とを備え、重ね合わせ部55と鉄筋籠81の主筋81aとが鉄筋固定用金具70(図3参照)で固定可能となっている。
【0041】
棒状継手50は、鋼管83の外径と鉄筋籠81の籠径との差に応じて両端部を平行にずらした形状(レジューサー形状ともいう)に曲げ加工された丸鋼(棒鋼)51で構成されている。
棒状継手50の締結部52は、丸鋼51の一端側がネジ切り加工されたネジ部53を含んで構成され、ネジ部53に金具本体10を位置決め締結するための下ナット54a、及び上ナット54bからなる一組のナットが螺着可能に構成されている。
【0042】
棒状継手50の重ね合わせ部55には、鉄筋籠81の主筋81aとの連結位置ずれを防止するためのずれ防止筋56が丸鋼51に固着されている。ずれ防止筋56は、例えば、丸鋼51と略同一径の異形棒鋼で構成されている。そして、重ね合わせ部55の丸鋼51及びずれ防止筋56が、鉄筋籠81の主筋81aに鉄筋固定用金具70で固定可能な構成となっている。
【0043】
金具本体10は、鋼管83の下部開口縁部に嵌め込み可能な嵌め込み部11と、棒状継手50の締結部52を構成するネジ部53を挿入可能な挿入部13と、嵌め込み部11に嵌め込まれた状態の鋼管83に押圧力を作用させた状態で鋼管83を嵌め込み部11に固定するための固定部16とを含んで構成されている。
【0044】
より具体的には、金具本体10は、対向配置される一対の板状部材12と、挿入部13を構成する管状部材14とを含み、嵌め込み部11が、1対の板状部材12の対向位置に形成された略U字形状をした切り欠け部12aで構成されている。
これら1対の板状部材12の間に管状部材14と補強板15とが設けられている。管状部材14は、切り欠け部12aの深さ方向と平行、かつ嵌め込み部11に嵌め込まれた状態の鋼管83の外側に配置される位置に設けられている。補強板15は、切り欠け部12aの深さ方向と平行、かつ切り欠け部12aを介して管状部材14と対向する位置に設けられている。一対の板状部材12は、例えば鋼板で構成され、該鋼板の厚さは、要求される強度などの仕様に応じて適宜設定される。管状部材14は、例えば長さ100mm~150mm程度の細径鋼管で構成され、補強板15は、例えば、管状部材14の直径と同じ幅を有する短冊形状をした平鋼で構成されている。管状部材14と補強板15とは一対の板状部材12に、例えば、溶接により固着されている。
【0045】
嵌め込み部11を構成する切り欠け部12aには、鋼管83の内側面に形成された環状の突起部(リブともいう)83a(図3を参照)に係止可能な係止部12bが形成されている。係止部12bは、鋼管83の突起部83aの間隔と同程度の間隔で形成されている。係止部12bの形状は、正面視で三角形をしているが、この形状に限定されるものではなく、鋼管83の突起部83aに係止可能な他の形状に形成されていてもよい。切り欠け部12a及び係止部12bは、例えば、板状部材12を構成する鋼板をレーザー切断加工することにより形成される。
【0046】
固定部16は、1対の板状部材12のそれぞれの外側面に固着されるナット17と、これらナット17に螺着可能な止めネジ18とを含んで構成されている。
ナット17は、切り欠け部12aの深さ方向に対して直交する方向に止めネジ18を螺進可能な向きに固着されている。なお、ナット17の取付個数は特に制限されないが、鋼管83との固定力を高めるために、1対の板状部材12のそれぞれの外側面に2箇所以上設けることが好ましい。
【0047】
止めネジ18は、例えば、六角穴付き止めネジ(ホーローセットともいう)で構成されている。止めネジ18は、様々な先端の形状(くぼみ先、平先、とがり先、棒先、ダブルポイントなど)のものがあるが、鋼管83との固定力を高めるために、先端が尖っているとがり先形状のものを使用することが好ましい。
【0048】
次に、図3を用いて、実施の形態(1)に係る連結金具セット1を用いて場所打ち杭の構築に用いる鋼管83と鉄筋籠81とを連結する作業手順の一例について説明する。
図3は、場所打ち鋼管コンクリート杭の下部の鉄筋コンクリート部を構成する鉄筋籠81の上部に鋼管83の下部を被せた状態で鉄筋籠81と鋼管83とを連結する方法(被せタイプの連結方法)の一例を示している。
【0049】
図3(a)は、杭孔に配設されたケーシング88内に鉄筋籠81を建て込み、鉄筋籠81の上部をケーシング88の開口部に受け治具(図示せず)を用いて支持した仮受け状態を示している。
鉄筋籠81は、円周上の中心軸方向に配列された多数の主筋81aと、主筋81aにほぼ直交する多数のフープ筋81bと、鉄筋籠81の内側から主筋81aに接し、主筋81aとの交差部で固定されている複数の補強リング81cとを含んで構成されている。
【0050】
杭孔上部のケーシング88の開口部に鉄筋籠81を仮受け状態にした後、図3(b)に示すように、鉄筋籠81の主筋81aに棒状継手50の下端側の重ね合わせ部55を重ね合わせて、鉄筋固定用金具70を用いて棒状継手50を主筋81aに取り付ける。このとき、棒状継手50の重ね合わせ部55は、多数の主筋81aで形成される鉄筋籠81の円周上に位置するように主筋81aの側方に重ね合わせた状態で配設される。また、棒状継手50の上端側のネジ部53の位置が後工程で鋼管83を鉄筋籠81に被せたときの鋼管83の下端開口部の位置(所定の定着位置)付近となるように、棒状継手50の重ね合わせ部55と鉄筋籠81の主筋81aとの重ね合わせ位置が調整される。また、棒状継手50は、多数の主筋81aで形成される鉄筋籠81の円周上に所定間隔を設けて複数配設される。前記所定間隔は、鉄筋籠81のサイズ(直径、外周長)や重量等を考慮して適宜設計される。
【0051】
鉄筋固定用金具70は、Uボルト71と、Uボルト71の先端ネジ部に挿し込み可能な通孔が形成されたプレート72と、Uボルト71の先端ネジ部に螺着可能なナット73とを含んで構成されている。
鉄筋固定用金具70の取付けは、上記のように主筋81aと重ね合わせ部55とを重ね合わせた状態で、Uボルト71を主筋81aと重ね合わせ部55とに嵌め合わせた後、Uボルト71にプレート72とナット73を取り付け、ナット73を締結する。なお、この段階では、ナット73を必ずしも強固に締結する必要はなく、主筋81aと重ね合わせ部55とが外れない程度にナット73を締結しておけばよい。
【0052】
主筋81aに重ね合わせ部55を仮止めした後、棒状継手50の一端側のネジ部53に下ナット54aを螺着する。なお、下ナット54aをネジ部53に予め螺着しておいてもよい。そして、棒状継手50のネジ部53に、切り欠け部12aを上向きにした状態で金具本体10の管状部材14を挿し込み、金具本体10をネジ部53に挿着して、金具本体10が、図3(c)に示すように、ネジ部53に螺着された下ナット54aによって支持された状態にする。
【0053】
次に図3(c)、(d)に示すように、クレーン等で吊り下げられた鋼管83を鉄筋籠81の主筋81aにマーキングした所定の定着位置(継手長さ)まで被せた状態にする。このとき、棒状継手50に支持された状態の金具本体10の切り欠け部12aには、図3(d)に示すように、鋼管83の下端開口部が幾らか嵌め込まれた状態となっている。
【0054】
その後、棒状継手50のネジ部53に螺着された下ナット54aの高さ位置を調整しながら、図3(d)、(e)に示すように、金具本体10の切り欠け部12aに形成された係止部12bが鋼管83の内側に形成された突起部83aに係止される位置となるように金具本体10の位置決めを行う。
【0055】
そして、下ナット54aによる金具本体10の位置調整が完了した後、図3(e)、(f)に示すように、上ナット54bを棒状継手50のネジ部53に螺着して、これら上下一組のナット54a、54bで金具本体10をネジ部53に締結(固定)する。
また、金具本体10の固定部16を構成するナット17に螺着された止めネジ18を鋼管83の外周面に向けて螺進させて、止めネジ18の先端部で鋼管83の外周面を強く押圧した状態にして、金具本体10と鋼管83とを固定する。また、主筋81aと重ね合わせ部55とを仮止めした鉄筋固定用金具70のナット73も増し締めを行い、主筋81aと棒状継手50とを固定する。これら鉄筋固定用金具70、一対のナット54a、54b、止めネジ18などは、インパクトレンチなどの電動工具を用いて取り付けることが可能である。
【0056】
鉄筋籠81の円周上に複数配設された、全ての連結金具セット1による鉄筋籠81の主筋81aと鋼管83との連結作業を終えた後、連結された鋼管83と鉄筋籠81とを吊り上げて、ケーシング88上部に配設された鉄筋籠81の受け治具(図示せず)を取り外した後、杭孔内へ建て込む作業を行う。
【0057】
上記した実施の形態(1)に係る連結金具セット1によれば、嵌め込み部21と挿入部13と固定部16とを備える金具本体10と、締結部52と重ね合わせ部55とを備える棒状継手50とを用いることにより、鋼管83と鉄筋籠81とを連結する作業を、溶接を用いることなく効率良く行うことができる。
【0058】
また、金具本体10の管状部材14を棒状継手50の締結部52(ネジ部53)に容易に取り付けることができ、また、1対の板状部材12の対向位置に形成された切り欠け部12aで構成された嵌め込み部11を鋼管83の下部開口縁部に容易に嵌め込むことができ、連結作業の効率を高めることができる。さらに、固定部16を構成するナット17と止めネジ18とによって、金具本体10を鋼管83の下部開口縁部に強固かつ確実に固定することができる。
【0059】
金具本体10の切り欠け部12aに、係止部12bが形成されているので、係止部12bを鋼管83の内側面に形成された環状の突起部83aに係止させることが可能となり、金具本体10を鋼管83の下部開口縁部に、より強固かつ確実に固定することができ、連結された鉄筋籠81の位置ズレ防止効果を高めることができる。
【0060】
また、棒状継手50が、鋼管83の外径と鉄筋籠81の籠径との差に応じて曲げ加工された丸鋼51で構成されているので、棒状継手50の締結部52を鋼管83に、重ね合わせ部55を鉄筋籠81の主筋81aにそれぞれ近接させた状態で配置することができる。
また、締結部52が、ネジ部53で構成され、ネジ部53に上下一組のナット54a、54bが螺着可能に構成されているので、ネジ部53に挿着された金具本体10の締結位置を上下一組のナット54a、54bで容易に調整することができる。
また、棒状継手50の重ね合わせ部55となる丸鋼51の他端側に、ずれ防止筋56が固着されているので、重ね合わせ部55と鉄筋籠81の主筋81aとを鉄筋固定用金具70で強固に固定することができる。
【0061】
また、図3を用いて説明した、実施の形態(1)に係る連結金具セット1を用いて鋼管83と鉄筋籠81とを連結する方法によれば、嵌め込み部11と挿入部13と固定部16とを備える金具本体10と、締結部52と重ね合わせ部55とを備える棒状継手50とを備えた連結金具セット1を用いることにより、鋼管83の下部と鉄筋籠81の上部とを連結する作業を、溶接を用いることなく効率良く行うことができる。
【0062】
なお、図3に示した場所打ち杭の構築には、鋼管83として、内側に突起部83aが形成されているものを用いた例を示したが、連結金具セット1は、内側に突起部83aが形成されていない鋼管83と鉄筋籠81とを連結する場合にも適用可能である。
【0063】
図4は、実施の形態(2)に係る連結金具セット1Aを構成する金具本体20の概略構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図である。なお、実施の形態(2)に係る連結金具セット1Aを構成する棒状継手は、実施の形態(1)に係る連結金具セット1の棒状継手50(図1、2を参照)と同じもので構成されているので、ここでは同一符号を付し、その説明を省略する。
【0064】
実施の形態(2)に係る連結金具セット1Aを構成する金具本体20は、鋼管83の下部開口縁部に取り付けられるものである。
金具本体20は、鋼管83の下部開口縁部に嵌め込み可能な嵌め込み部21と、棒状継手50の締結部52を挿入可能な挿入部23と、嵌め込み部21に嵌め込まれた状態の鋼管83に押圧力を作用させた状態で鋼管83を嵌め込み部21に固定するための固定部26とを含んで構成されている。
【0065】
より具体的には、金具本体20は、略L字形状をした切り欠け部22aを有する板状部材22と、挿入部23を構成する管状部材24とを含み、板状部材22の切り欠け部22aの長辺と管状部材24の一側面とを対向させた状態で、板状部材22の切り欠け部22aの短辺側先端部と管状部材24の一側面とが固着されている。この切り欠け部22aと管状部材24の一側面とで略U字形状をした嵌め込み部21が形成されている。
また、金具本体20は、板状部材22が固着される管状部材24の一側面と反対側の他側面に固着された補強部材25を備えている。板状部材22は鋼板で構成され、該鋼板の厚さは、要求される強度等の仕様に応じて適宜設定される。管状部材24は長さ200mm~250mm程度の細鋼管で構成され、補強部材25は、横幅が管状部材24の直径と略同一で長さが管状部材24よりも短い短冊形状の平鋼で構成されている。
【0066】
嵌め込み部21を構成する切り欠け部22aには、鋼管83の内側面に形成された環状の突起部83a(図3を参照)に係止可能な係止部22bが形成されている。係止部22bは、鋼管83の突起部83aの間隔と同程度の間隔で形成されている。係止部22bの形状は、鋭利な三角形状をしているが、この形状に限定されるものではなく、鋼管83の突起部83aに係止可能な他の形状に形成されてもよい。切り欠け部22a及び係止部22bは、例えば、板状部材22を構成する鋼板をレーザー切断加工することにより形成される。
【0067】
固定部26は、切り欠け部22aの短辺の延長方向に平行な向きで管状部材24の両側面及び補強部材25の両側面に固定されるナット27と、これらナット27に螺着可能な止めネジ28とを含んで構成されている。
ナット27は、切り欠け部22aの長辺の延長方向に対して直交する方向に止めネジ28を螺進可能な向きに固着されている。なお、ナット27の取付個数は特に制限されないが、鋼管83との固定力を高めるために、管状部材24の両側面に2箇所以上設けることが好ましい。
【0068】
止めネジ28は、例えば、六角穴付き止めネジで構成されている。止めネジ28は、鋼管83との固定力を高めるために、先端が尖っているとがり先形状のものを使用することが好ましい。
【0069】
実施の形態(2)に係る連結金具セット1Aを用いて場所打ち杭の構築に用いる鋼管83と鉄筋籠81とを連結する作業手順は、図3に示した作業手順と略同一であるので、ここではその説明を省略する。
【0070】
上記した実施の形態(2)に係る連結金具セット1Aによれば、嵌め込み部21と挿入部23と固定部26とを備える金具本体20と、締結部52と重ね合わせ部55とを備える棒状継手50(図1、2を参照)とを用いることにより、上記した実施の形態(1)に係る連結金具セット1と同様に、鋼管83と鉄筋籠81とを連結する作業を、溶接を用いることなく効率良く行うことができる。
【0071】
また、金具本体20の管状部材24を棒状継手50の締結部52(ネジ部53)に容易に取り付けることができ、また、略L字形状をした切り欠け部22aと管状部材24の一側面とで形成された嵌め込み部21を鋼管83の下部開口縁部に容易に嵌め込むことができ、連結作業の効率を高めることができる。さらに、固定部26を構成するナット27と止めネジ28とによって、金具本体20を鋼管83の下部開口縁部に強固かつ確実に固定することができる。また、略L字形状をした切り欠け部22aを有する板状部材22を金具本体20として用いることにより、実施の形態(1)に係る連結金具セット1と比べて、金具本体20の軽量化、及びコストの削減を図ることができる。
【0072】
金具本体20の切り欠け部22aに、係止部22bが形成されているので、係止部22bを鋼管83の内側面に形成された環状の突起部83aに係止させることが可能となり、金具本体20を鋼管83の下部開口縁部に、より強固かつ確実に固定することができ、連結された鉄筋籠81の位置ズレ防止効果を高めることができる。
【0073】
また、実施の形態(2)に係る連結金具セット1Aを用いて鋼管83と鉄筋籠81とを連結する方法によれば、嵌め込み部21と挿入部23と固定部26とを備える金具本体20と、締結部52と重ね合わせ部55とを備える棒状継手50とを備えた連結金具セット1Aを用いることにより、上記した実施の形態(1)に係る連結金具セット1を用いた場合と同様に、鋼管83の下部と鉄筋籠81の上部とを連結する作業を、溶接を用いることなく効率良く行うことができる。
【0074】
図5は本発明の実施の形態(3)に係る連結金具セット1Bの組付け前の状態を示す正面図である。図6図5の右面図である。
場所打ち鋼管コンクリート杭には、図3に示したような鉄筋籠81の上部に鋼管83の下部を一部被せて連結した形態、すなわち、鋼管83に鉄筋籠81が挿通されていない鋼管無鉄筋コンクリート構造の鋼管コンクリート部84を有する形態の他に、鋼管83に鉄筋籠81が挿通されている鋼管鉄筋コンクリート構造の鋼管コンクリート部84を有する形態のものがある。
【0075】
実施の形態(3)に係る連結金具セット1Bは、前記鋼管鉄筋コンクリート構造の鋼管コンクリート部84を有する場所打ち鋼管コンクリート杭80の構築に用いる鋼管83と鉄筋籠81とを連結するためのものである。
連結金具セット1Bは、鋼管83の上部開口縁部に取り付けられる金具本体30と、金具本体30と鋼管83に挿通された鉄筋籠81上部の主筋81aとを連結するための棒状継手60とを含んでいる。
【0076】
棒状継手60は、一端(上端)側に金具本体30を鋼管83の位置に合わせて締結可能とする締結部63と、他端(下端)側に鉄筋籠81の主筋81aと重ね合わせた状態で固定可能な重ね合わせ部66とを備え、重ね合わせ部66と鉄筋籠81の主筋81aとが鉄筋固定用金具70(図7参照)で固定可能となっている。
【0077】
棒状継手60は、鋼管83の内径と鉄筋籠81の籠径との差に応じて両端部を平行にずらした形状(レジューサー形状ともいう)に曲げ加工された異形棒鋼61を含んで構成されている。異形棒鋼61の一端(上端)側には連結用ナット62を螺着するためのネジ切り部61aが形成され、他端(下端)側が重ね合わせ部66となっている。
締結部63は、異形棒鋼61の一端側のネジ切り部61aに連結用ナット62で取り付けられるネジ棒64を含んで構成され、ネジ棒64に金具本体30を位置決め締結するための下ナット65a、及び上ナット65bからなる一組のナットが螺着可能に構成されている。
【0078】
金具本体30は、鋼管83の上部開口縁部に嵌め込み可能な嵌め込み部31と、棒状継手60の締結部63を構成するネジ棒64を挿入可能な挿入部33と、嵌め込み部31に嵌め込まれた状態の鋼管83に押圧力を作用させた状態で鋼管83を嵌め込み部31に固定するための固定部36とを含んで構成されている。
【0079】
より具体的には、金具本体30は、対向配置される一対の板状部材32と、挿入部33を構成する管状部材34とを含み、嵌め込み部31が、1対の板状部材32の対向位置に形成された略逆U字形状をした切り欠け部32aで構成されている。
これら1対の板状部材32の間に管状部材34と補強板35とが設けられている。管状部材34は、切り欠け部32aの深さ方向と平行、かつ鋼管83の内側に配置可能な位置に配設されている。補強板35は、切り欠け部32aの深さ方向と平行、かつ切り欠け部32aを介して管状部材34と対向する位置に配設されている。一対の板状部材32は、例えば鋼板で構成され、該鋼板の厚さは、要求される強度などの仕様に応じて適宜設定される。管状部材34は、例えば長さ100mm~150mm程度の細径鋼管で構成され、補強板35は、管状部材34の直径と同じ幅を有する短冊形状をした平鋼で構成されている。管状部材34と補強板35とは一対の板状部材32に、例えば、溶接により固着されている。
【0080】
嵌め込み部31を構成する切り欠け部32aには、鋼管83の上部開口部の内側面に形成された環状の突起部83a(図7を参照)に係止可能な係止部32bが形成されている。係止部32bは、鋼管83の突起部83aの間隔と同程度の間隔で形成されている。係止部32bの形状は、鋭利な三角形状をしているが、この形状に限定されるものではなく、鋼管83の突起部83aに係止可能な他の形状に形成されてもよい。切り欠け部32a及び係止部32bは、例えば、板状部材32を構成する鋼板をレーザー切断加工することにより形成される。
【0081】
固定部36は、1対の板状部材32のそれぞれの外側面に固着されるナット37と、これらナット37に螺着可能な止めネジ38とを含んで構成されている。
ナット37は、切り欠け部32aの深さ方向に対して直交する方向に止めネジ38を螺進可能な向きに固着されている。なお、ナット37の取付個数は特に制限されないが、鋼管83との固定力を高めるために、1対の板状部材32のそれぞれの外側面に2箇所以上設けることが好ましい。
【0082】
止めネジ38は、例えば、六角穴付き止めネジで構成されている。止めネジ38は、先端が尖っているとがり先形状のものを使用することが好ましい。
【0083】
次に、図7を用いて、実施の形態(3)に係る連結金具セット1Bを用いて場所打ち杭の構築に用いる鋼管83と鉄筋籠81とを連結する作業手順の一例について説明する。
図7では、場所打ち鋼管コンクリート杭の上部の鋼管コンクリート部を構成する鋼管83に鉄筋籠81を挿通させた状態で鉄筋籠81の上部と鋼管83の上部開口縁部とを連結する場合(中通しタイプの連結方法)について説明する。
【0084】
図7(a)は、杭孔に配設されたケーシング88内に鋼管83を建て込み、鋼管83の上部をケーシング88の開口部に受け治具(図示せず)を用いて支持した仮受け状態とした後、鋼管83の中に鉄筋籠81を建て込む工程の途中の状態を示している。
【0085】
図7(a)に示すように、鋼管83よりも上側に鉄筋籠81の上部を残した状態まで鉄筋籠81を鋼管83に建て込み、鉄筋籠81を吊り下げた状態とした後、次に図7(b)に示すように、鉄筋籠81の上部の主筋81aに棒状継手60の重ね合わせ部66を重ね合わせて、鉄筋固定用金具70で棒状継手60を主筋81aに取り付ける。このとき、棒状継手60の重ね合わせ部66は、多数の主筋81aで形成される円周上に位置するように主筋81aの側方に重ね合わせた状態で配設される。
【0086】
なお、棒状継手60の重ね合わせ部66と鉄筋籠81の主筋81aとの重ね合わせ位置は、後工程で鉄筋籠81を鋼管83にさらに建て込み、鋼管83の上部開口縁部の位置に棒状継手60のネジ棒64を位置させたときに、鋼管83よりも上側に所定長さの主筋81aが残る位置に調整される。また、棒状継手60は、多数の主筋81aで形成される鉄筋籠81の円周上に所定間隔を設けて複数配設される。前記所定間隔は、鉄筋籠81のサイズ(直径、外周長)や重量等を考慮して適宜設計される。
【0087】
鉄筋固定用金具70の取付けは、上記した実施の形態(1)に係る連結金具セット1と同様にして行うことができるが、本実施の形態では、この段階で、主筋81aと重ね合わせ部66とを鉄筋固定用金具70でしっかりと固定する。
【0088】
主筋81aに重ね合わせ部66を鉄筋固定用金具70で固定した後、棒状継手60の一端側のネジ棒64に下ナット65aを螺着して、棒状継手60のネジ棒64に、切り欠け部32aを下向きにした状態で金具本体30の管状部材34を挿し込み、金具本体30をネジ棒64に挿着し、金具本体30が、図7(c)に示すように、ネジ棒64に螺着された下ナット65aによって支持された状態にする。
【0089】
次に図7(c)、(d)に示すように、クレーン等で吊り下げられた状態の鉄筋籠81を鋼管83内にさらに建て込み、棒状継手60のネジ棒64に挿着された金具本体30の切り欠け部32aに、鋼管83の上部開口縁部が嵌め込まれた状態にする。
【0090】
その後、棒状継手60のネジ棒64に螺着された下ナット65aの高さ位置を調整しながら、図7(e)、(f)に示すように、金具本体30の切り欠け部32aに形成された係止部32bが鋼管83の内側に形成された突起部83aに係止される位置となるように金具本体30の位置決めを行う。
【0091】
そして、下ナット65aによる金具本体30の位置調整が完了した後、図7(e)、(f)に示すように、上ナット65bを棒状継手60のネジ棒64に螺着して、これら上下一組のナット65a、65bで金具本体30をネジ棒64に締結(固定)する。
また、金具本体30の固定部36を構成するナット37に螺着された止めネジ38を鋼管83の外周面に向けて螺進させて、止めネジ38の先端部で鋼管83の外周面を強く押圧した状態にして、金具本体30と鋼管83とを固定する。
【0092】
鉄筋籠81の円周上に複数配設された、全ての連結金具セット1Bによる鉄筋籠81の主筋81aと鋼管83との連結作業を終えた後、連結された鋼管83と鉄筋籠81とを吊り上げて、ケーシング上部に配設された鋼管83の受け治具(図示せず)を取り外したのち、杭孔内へ建て込む作業を行う。
【0093】
上記した実施の形態(3)に係る連結金具セット1Bによれば、嵌め込み部31と挿入部33と固定部36とを備える金具本体30と、締結部63と重ね合わせ部66とを備える棒状継手60とを用いることにより、鋼管鉄筋コンクリート構造の鋼管コンクリート部を構成する鋼管83と鉄筋籠81とを連結する作業を、溶接を用いることなく効率良く行うことができる。
【0094】
また、金具本体30の管状部材34を棒状継手60の締結部63(ネジ棒64)に容易に取り付けることができ、また、1対の板状部材32の対向位置に形成された切り欠け部32aで構成された嵌め込み部31を鋼管83の上部部開口縁部に容易に嵌め込むことができ、連結作業の効率を高めることができる。さらに、固定部36を構成するナット37と止めネジ38とによって、金具本体30を鋼管83の上部開口縁部に強固かつ確実に固定することができる。
【0095】
金具本体30の切り欠け部32aに、係止部32bが形成されているので、係止部32bを鋼管83の内側面に形成された環状の突起部83aに係止させることが可能となり、金具本体30を鋼管83の上部開口縁部に、より強固かつ確実に固定することができ、連結された鉄筋籠81の位置ズレ防止効果を高めることができる。
【0096】
また、棒状継手60が、鋼管83の内径と鉄筋籠81の籠径との差に応じて曲げ加工された異形棒鋼61で構成されているので、棒状継手60の締結部63を鋼管83の内側に、重ね合わせ部66を鉄筋籠81の主筋81aにそれぞれ近接させた状態で配置することができる。
また、締結部63が、異形棒鋼61の一端側に連結用ナット62で取り付けられたネジ棒64で構成され、ネジ棒64に上下一組のナット65a、65bが螺着可能に構成されているので、ネジ棒64に挿着された金具本体30の締結位置を上下一組のナット65a、65bで容易に調整することができる。
また、棒状継手60の重ね合わせ部66が異形棒鋼61で構成されているので、重ね合わせ部66と鉄筋籠81の主筋81aとを鉄筋固定用金具70で強固に固定することができる。
【0097】
また、図7を用いて説明した、実施の形態(3)に係る連結金具セット1Bを用いて鋼管83と鉄筋籠81とを連結する方法によれば、嵌め込み部31と挿入部33と固定部36とを備える金具本体30と、締結部63と重ね合わせ部66とを備える棒状継手60とを備えた連結金具セット1Bを用いることにより、鋼管鉄筋コンクリート構造の鋼管コンクリート部を構成する鋼管83の上部と鉄筋籠81とを連結する作業を、溶接を用いることなく効率良く行うことができる。
【0098】
なお、上記した実施の形態(3)に係る連結金具セット1Bにおいて、棒状継手60に代えて、棒状継手50(図1,2を参照)を用いることも可能であり、また、上記した実施の形態(1)、(2)に係る連結金具セット1、1Aにおいて、棒状継手50に代えて、棒状継手60(図5、6を参照)を用いることも可能である。
【0099】
図8は、実施の形態(4)に係る連結金具セット1Cを構成する金具本体40の概略構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図である。なお、図1、2に示した実施の形態(1)に係る連結金具セット1の金具本体10と同一機能を有する構成部品には同一符号を付し、その説明を省略する。
また、実施の形態(4)に係る連結金具セット1Cを構成する棒状継手には、実施の形態(1)に係る連結金具セット1の棒状継手50を用いることもできるし、実施の形態(3)に係る連結金具セット1Bの棒状継手60を用いることもできるので、ここではその説明を省略する。
【0100】
上記した実施の形態(1)に係る連結金具セット1は、鋼管無鉄筋コンクリート構造の鋼管コンクリート部を構成する鋼管83の下部開口縁部に金具本体10を取り付けて、鋼管83と鉄筋籠81とを連結する機能を備えたものであった。また、実施の形態(3)に係る連結金具セット1Bは、鋼管鉄筋コンクリート構造の鋼管コンクリート部を構成する鋼管83の上部開口縁部に金具本体30を取り付けて、鋼管83と鉄筋籠81とを連結する機能を備えたものであった。
実施の形態(4)に係る連結金具セット1Cは、実施の形態(1)に係る連結金具セット1と、実施の形態(3)に係る連結金具セット1Bとの両方の機能を兼ね備えたものとなっている。
【0101】
金具本体40は、対向配置される一対の板状部材42と、挿入部43を構成する2つの管状部材44、45とを含み、嵌め込み部41が、1対の板状部材42の対向位置に形成された略U字形状をした切り欠け部42aで構成されている。
2つの管状部材44、45が、1対の板状部材42の間に切り欠け部42aの深さ方向と平行に、かつ切り欠け部42aを介して互いに対向する位置に配設されている。
板状部材42は鋼板で構成され、該鋼板の厚さは、要求される強度などの仕様に応じて適宜設定される。2つの管状部材44、45は、それぞれ長さ100mm~150mm程度の細径鋼管で構成されている。2つの管状部材44、45は一対の板状部材42に、例えば、溶接により固着されている。
切り欠け部42aには、鋼管83の内側面に形成された環状の突起部83aに係止可能な係止部42bが形成されている。
【0102】
固定部46は、1対の板状部材42のそれぞれの外側面に固着されるナット47と、これらナット47に螺着可能な止めネジ48とを含んで構成されている。
ナット47は、切り欠け部42aの深さ方向に対して直交する方向に止めネジ48を螺進可能な向きに固着されている。なお、ナット47の取付個数は特に制限されないが、鋼管83との固定力を高めるために、1対の板状部材42のそれぞれの外側面に2箇所以上設けることが好ましい。
【0103】
止めネジ48は、例えば、六角穴付き止めネジで構成されている。止めネジ48は、鋼管83との固定力を高めるために、先端が尖っているとがり先形状のものを使用することが好ましい。
【0104】
実施の形態(4)に係る連結金具セット1Cを構成する金具本体40には、一対の板状部材42の切り欠け部42aの両側に管状部材44、45が配設されている。
したがって、実施の形態(1)に係る連結金具セット1のように、鋼管83の下部開口縁部に金具本体40を取り付けて鋼管83と鉄筋籠81とを連結する場合には、図3を用いて説明した作業手順と同様の手順で連結作業を行うことができる。
すなわち、金具本体40の切り欠け部42aを上に向けた状態で使用し、鋼管83の外側に位置する一方の管状部材44に棒状継手50(60)の締結部52(63)のネジ部53(ネジ棒64)を挿着して使用することができる。
【0105】
また、実施の形態(3)に係る連結金具セット1Bのように、鋼管83の上部開口縁部に金具本体40を取り付けて鋼管83と鉄筋籠81とを連結する場合には、図7を用いて説明した作業手順と同様の手順で連結作業を行うことができる。
すなわち、金具本体40の切り欠け部42aを下に向けた状態で使用し、鋼管83の内側に位置する他方の管状部材45に棒状継手60(50)の締結部63(52)のネジ棒64(ネジ部53)を挿着して使用することができる。
【0106】
上記した実施の形態(4)に係る連結金具セット1Cによれば、金具本体40の切り欠け部42aの両側に、管状部材44、45が配設されているので、金具本体40を鋼管83の下部で鉄筋籠81と連結する場合と、鋼管83の上部で鉄筋籠81と連結する場合とに使用することができ、1種類の金具本体40で2種類の施工方法に対応することができ、汎用性を高めることができる。
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上記した実施の形態(1)では、金具本体10を構成する一対の板状部材12と管状部材14とが別部材で構成されていたが、必ずしも別部材で構成される必要はなく、1つの部材に嵌め込み部11と挿入部13とを形成したもので金具本体を構成してもよい。
【符号の説明】
【0107】
1、1A、1B、1C 連結金具セット
10、20、30、40 金具本体
11 嵌め込み部
12 一対の板状部材
12a 切り欠け部
12b 係止部
13 挿入部
14 管状部材
15 補強板
16 固定部
17 ナット
18 止めネジ
21 嵌め込み部
22 板状部材
22a 切り欠け部
22b 係止部
23 挿入部
24 管状部材
25 補強部材
26 固定部
27 ナット
28 止めネジ
31 嵌め込み部
32 一対の板状部材
32a 切り欠け部
32b 係止部
33 挿入部
34 管状部材
35 補強板
36 固定部
37 ナット
38 止めネジ
41 嵌め込み部
42 一対の板状部材
42a 切り欠け部
42b 係止部
43 挿入部
44、45 管状部材
46 固定部
47 ナット
48 止めネジ
50 棒状継手
51 丸鋼
52 締結部
53 ネジ部(ネジ切り部)
54a 下ナット、54b 上ナット(一組のナット)
55 重ね合わせ部
56 ずれ防止筋
60 棒状継手
61 異形棒鋼(棒鋼)
61a ネジ切り部
62 連結用ナット
63 締結部
64 ネジ棒(ネジ部材)
65a 下ナット、65b 上ナット(一組のナット)
66 重ね合わせ部
70 鉄筋固定用金具
71 U字ボルト
72 プレート
73 ナット
80 場所打ち杭鋼管コンクリート杭
81 鉄筋籠
81a 主筋
81b フープ筋
81c 補強リング
82 鉄筋コンクリート部
83 鋼管
83a 突起部
84 鋼管コンクリート部
85 杭頭接合部(フーチング)
86 継手部
87 杭孔
88 ケーシング
【要約】
【課題】場所打ち杭の構築に用いる鋼管と鉄筋籠とを連結する作業を、溶接を用いることなく効率良く行うことができる連結金具セットを提供すること。
【解決手段】場所打ち杭の構築に用いる鋼管と鉄筋籠とを連結するための連結金具セット1であって、鋼管の開口縁部に取り付けられる金具本体10と、金具本体10と鉄筋籠の主筋とを連結するための棒状継手50とを含み、棒状継手50が、一端側に金具本体10を鋼管の位置に合わせて締結可能とする締結部52と、他端側に鉄筋籠の主筋と重ね合わせた状態で固定可能な重ね合わせ部55とを備え、金具本体10が、鋼管の開口縁部に嵌め込み可能な嵌め込み部11と、棒状継手50の締結部52を挿入可能な挿入部13と、嵌め込み部11に嵌め込まれた状態の鋼管に押圧力を作用させた状態で鋼管を嵌め込み部11に固定するための固定部16とを装備する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9