(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】宿主細胞タンパク質の検出のための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
C07K 16/18 20060101AFI20241003BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20241003BHJP
C07K 1/22 20060101ALI20241003BHJP
C07K 17/00 20060101ALI20241003BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20241003BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20241003BHJP
C12P 21/02 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
C07K16/18
A61K39/395 D
A61K39/395 N
C07K1/22
C07K17/00
G01N33/53 D
G01N33/543 545A
C12P21/02 C
(21)【出願番号】P 2018553973
(86)(22)【出願日】2017-04-12
(86)【国際出願番号】 EP2017058775
(87)【国際公開番号】W WO2017178526
(87)【国際公開日】2017-10-19
【審査請求日】2020-03-11
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-28
(32)【優先日】2016-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391003864
【氏名又は名称】ロンザ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LONZA LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マオ、グオジエ
【合議体】
【審判長】長井 啓子
【審判官】中村 浩
【審判官】中根 知大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/071410(WO,A1)
【文献】特表2015-533378(JP,A)
【文献】Biotechnology and Bioengineering,2014年,Vol.111,No.12,pp.2367-2379
【文献】USP 39:The United States Pharmacopeia;NF 34:The National Formulary:2016,USP 39 Published General Chapter,<1132>Residual Host Cell Protein Measurement in Biopharmaceuticals,Official:May 1,2016
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N33
C12P21
C12N15
C07K1
C07K16
CAPlus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリクローナル抗宿主細胞タンパク質(HCP)抗体
調製物を産生する方法であって、該方法は、
a)宿主細胞のHCPで免疫化したヒツジ又はヤギから、抗体を含むサンプルを獲得するステップ;
b)該サンプルをプロテインA親和性試薬と接触させることによって、該サンプルから抗体を分離して抗体調製物を得るステップ;及び
c)ステップb)により得られた該抗体調製物を、基質連結したHCPを含むHCP親和性試薬と接触させることによって、
ポリクローナル抗HCP抗体調製物を分離するステップ
を含み、それにより、
ポリクローナル抗HCP抗体
調製物を産生する方法。
【請求項2】
前記HCPに連結した基質は、臭化シアン(CNBr)誘導体化基質又はN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)誘導体化基質である、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記HCPに連結した基質は、臭化シアン(CNBr)誘導体化基質である、請求項
1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記宿主細胞は、哺乳動物細胞である、請求項
1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記哺乳動物細胞は、CHO細胞である、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記精製が、
i)少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の非HCP特異的IgG、又は
ii)50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%を超える非HCP特異的IgG
を除去する、請求項
1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリクローナル抗HCP抗体が、
i)0.5%、1%、2%、3%、5%、10%、20%、30%、40%、又は50%以下の非HCP特異的IgGを含有する、又は
ii)50%、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%未満の非HCP特異的IgGを含有する、請求項
1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項
1から7までのいずれか一項に記載の方法によって産生される、
ポリクローナル抗HCP抗体
調製物。
【請求項9】
組換えポリペプチドを含むサンプル中の宿主細胞タンパク質(HCP)を検出、モニタリング、同定、又は定量する方法であって、
a)組換えポリペプチドを含むサンプルを準備又は取得するステップ;
b)該サンプルを、固体支持体に固定化された請求項1から
7までのいずれか一項に記載の方法によって産生されたポリクローナル抗HCP抗体
調製物と接触させインキュベートして、固定化された抗体-HCP複合体を形成するステップ;
c)該サンプルを該固定化された抗体-HCP複合体から分離するステップ;
d)該固定化された抗体-HCP複合体を該HCPに結合する検出可能な抗体と接触させるステップ;及び
e)該検出可能な抗体に結合したHCPの存在を該検出可能な抗体を検出手段を使用して検出するステップ
を含む方法。
【請求項10】
組換えポリペプチドを含むサンプル中の宿主細胞タンパク質(HCP)を検出、モニタリング、同定、又は定量する方法であって、
a)組換えポリペプチドを含むサンプルを準備又は取得するステップ;
b)請求項
1から7までのいずれか一項に記載の方法によって、
ポリクローナル抗HCP抗体
調製物を産生するステップ;
c)該サンプルを、
固体支持体に固定化された
該ポリクローナル抗HCP抗体
調製物と接触させインキュベートして、固定化された抗体-HCP複合体を形成するステップ;
d)該サンプルを該固定化された抗体-HCP複合体から分離するステップ;
e)該固定化された抗体-HCP複合体を該HCPに結合する検出可能な抗体と接触させるステップ;及び
f)該固定化された抗体に結合したHCPの存在を、該検出可能な抗体を検出する手段を利用して検出するステップ
を含む方法。
【請求項11】
前記検出可能な抗体は、i)直接的に検出可能である、ii)蛍光試薬によって増幅される、又はiii)ビオチン化され、検出手段は、アビジン又はストレプトアビジン-ペルオキシダーゼ及び3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジンである、請求項
9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記HCPは、CHO細胞HCPである、請求項
9から11までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
i)前記サンプルは、組換えポリペプチドの産生プロセスにおける下流の処理ステップから得られる、
ii)前記サンプルは、組換えポリペプチドの産生プロセスにおける上流の処理ステップから得られる、
iii)前記サンプルは、組換えポリペプチドの最終産物から得られる、又は
iv)前記サンプルは、組換えポリペプチドの産生プロセスにおける1つ又は複数のステップから得られる、少なくとも2つのサンプルを含む、請求項
9から12までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
組換えポリペプチドを含むサンプル中の宿主細胞タンパク質(HCP)を検出、モニタリング、同定、又は定量するための、請求項
1から7までのいずれか一項に記載の方法によって産生されたポリクローナル抗HCP抗体
調製物の使用。
【請求項15】
前記組換えポリペプチドは、モノクロナール抗体である、請求項
9から13までのいずれか一項に記載の方法、又は請求項
14に記載の使用。
【請求項16】
前記組換えポリペプチドは、治療抗体である、請求項
9から13までのいずれか一項に記載の方法、又は請求項
14に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2016年4月14日に出願された米国仮特許出願第62/322,621号の優先権を主張するものであり、その内容は、参照することによってその全体が本明細書に組込まれる。
(発明の分野)
本開示は、産物、例えば、組換えタンパク質、例えば、抗体の産生の間の宿主細胞タンパク質不純物を検出する及び/又は定量する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
宿主細胞タンパク質(HCP)は、さまざまな製造プロセス後の最終産物中に存在し得る、宿主タンパク質の望まれない複合体混合物である。それらのHCPは、特に、製品の有効性及び患者の安全性に対するリスクを提示し得る。したがって、最終的な生物薬剤製品中のHCPを検出する及び定量するための方法について必要性が存在する。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、特に、HCPの検出のための非常に高感度な方法を提供する。一態様では、組換えポリペプチドを含むサンプル中のGS-CHO宿主細胞タンパク質(HCP)の検出、モニタリング、同定、又は定量の方法であって、a)組換えポリペプチドを含むサンプルを準備又は取得するステップ;b)該サンプルを、固体支持体に固定化されたポリクローナル抗GS-CHO HCP抗体と接触させインキュベートして、固定化された抗体-GS-CHO HCP複合体を形成させるステップ;c)該サンプルを該固定化された抗体-GS-CHO HCP複合体から分離するステップ;d)該固定化された抗体-GS-CHO HCP複合体をGS-CHO HCPに結合する検出可能な抗体と接触させるステップ;e)該抗体に結合したGS-CHO HCPの存在を該検出可能な抗体に対する検出手段を使用して検出するステップ;並びにf)任意選択で、検出されたGS-CHO HCPのレベルを定量するステップ;g)任意選択で、1つ又は複数の検出されたGS-CHO HCPを同定するステップ;及びh)任意選択で、1つ又は複数の同定されたGS-CHO HCPを定量するステップを含む方法が、本明細書に開示される。
【0004】
いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、ホモポリマー又はヘテロポリマーポリペプチド、例えば、ホルモン、成長因子、受容体、抗体、サイトカイン、受容体リガンド、転写因子又は酵素、好ましくは、抗体又は抗体断片、例えば、ヒト抗体又はヒト化抗体又はその断片、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、又はウシ抗体から由来し、典型的にはウサギ起源のヒト化抗体又はその断片である。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、治療ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、表1に開示されるものである。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、表2に開示されるものである。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体は、治療抗体である。
【0005】
いくつかの実施形態では、サンプルは、組換えポリペプチドの産生プロセスにおける下流の処理ステップから得られる。いくつかの実施形態では、サンプルは、組換えポリペプチドの産生プロセスにおける上流の処理ステップから得られる。いくつかの実施形態では、サンプルは、組換えポリペプチドの最終産物から得られる。いくつかの実施形態では、方法は、組換えポリペプチドの産生プロセスにおける1つ又は複数のステップから得られる、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は10を超えるサンプルを含む。いくつかの実施形態では、検出可能な抗体は、直接的に検出可能である。いくつかの実施形態では、検出可能な抗体は、蛍光試薬(fluorimetric reagent)によって増幅される。いくつかの実施形態では、検出可能な抗体はビオチン化され、検出手段はアビジン又はストレプトアビジン-ペルオキシダーゼ及び3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジンである。
【0006】
一態様では、本開示は、組換えポリペプチド医薬品を製造する方法であって、a)組換えポリペプチド調製物のサンプルを準備又は取得するステップ;b)該サンプルを、固体支持体に固定化されたポリクローナル抗GS-CHO HCP抗体と接触させインキュベートして、固定化された抗体-GS-CHO HCP複合体を形成させるステップ;c)該サンプルを該固定化された抗体-GS-CHO HCP複合体から分離するステップ;d)該固定化された抗体-GS-CHO HCP複合体をGS-CHO HCPに結合する検出可能な抗体と接触させるステップ;e)捕捉試薬に結合したGS-CHO HCPのレベルを該検出可能な抗体に対する検出手段を使用して定量するステップ;及びf)GS-CHO HCPの該レベルが事前に選択した参照レベル未満である場合、該調製物の少なくとも一部を医薬品として処理するステップを含み、それにより、組換えポリペプチド医薬品を製造する方法を提供する。
【0007】
いくつかの実施形態では、処理するステップは、ポリペプチド調製物を配合するステップ;該ポリペプチド調製物を医薬品に処理するステップ;該ポリペプチド調製物を第二成分、例えば、賦形剤又は緩衝剤と組み合わせるステップ;該調製物中の該ポリペプチドの濃度を変化させるステップ;該ポリペプチド調製物を凍結乾燥させるステップ;該ポリペプチドの第一及び第二のアリコートを組み合わせて、第三の、より大きい、アリコートを準備するステップ;該ポリペプチド調製物をより小さいアリコートに分けるステップ;該ポリペプチド調製物を容器、例えば、気密性又は液密性容器に配置するステップ;該ポリペプチド調製物を包装するステップ;該ポリペプチド調製物を含む容器に標識を付けるステップ(例えば、標識化);該ポリペプチド調製物を異なる位置に輸送するステップ又は移動させるステップの1つ又は複数を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、処理するステップは、ポリペプチド調製物を賦形剤又は緩衝剤と組み合わせるステップを含む。いくつかの実施形態では、参照レベルは、約100ppm(例えば、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、1ppm未満)である。いくつかの実施形態では、参照レベルは、1ppmから1000ppmの間である。いくつかの実施形態では、参照レベルは、少なくとも1ppm、10pppm、50ppm、100ppm、500ppm、又は1000ppmである。いくつかの実施形態では、参照レベルは、1ppm、5ppm、10pppm、20ppm、30ppm、40ppm、50ppm、100ppm、500ppm、又は1000ppm以下である。いくつかの実施形態では、参照レベル未満のGS-CHO HCPのレベルは、医薬品の市販向け発売のための仕様である。いくつかの実施形態では、参照レベル未満のGS-CHO HCPのレベルは、公衆衛生局(PHS)法の351条(a)下の医薬品の市販向け発売のための仕様である。いくつかの実施形態では、GS-CHO HCPのレベルは、1、2、若しくはそれを超えるサンプル又はバッチについて獲得される。
【0009】
いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、ホモポリマー又はヘテロポリマーポリペプチド、例えば、ホルモン、成長因子、受容体、抗体、サイトカイン、受容体リガンド、転写因子又は酵素、好ましくは、抗体又は抗体断片、例えば、ヒト抗体又はヒト化抗体又はその断片、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、又はウシ抗体から由来し、典型的にはウサギ起源のヒト化抗体又はその断片である。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、治療ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、表1に開示されるものである。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、表2に開示されるものである。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体は、治療抗体である。
【0010】
いくつかの実施形態では、サンプルは、組換えポリペプチドの産生プロセスにおける下流の処理ステップから得られる。いくつかの実施形態では、サンプルは、組換えポリペプチドの産生プロセスにおける上流の処理ステップから得られる。いくつかの実施形態では、サンプルは、組換えポリペプチドの最終産物から得られる。いくつかの実施形態では、方法は、組換えポリペプチドの産生プロセスにおける1つ又は複数のステップから得られる、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は10を超えるサンプルを含む。いくつかの実施形態では、検出可能な抗体は、直接的に検出可能である。いくつかの実施形態では、検出可能な抗体は、蛍光試薬によって増幅される。いくつかの実施形態では、検出可能な抗体はビオチン化され、検出手段はアビジン又はストレプトアビジン-ペルオキシダーゼ及び3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジンである。
【0011】
一態様では、本開示は、組換えポリペプチド医薬品を製造する方法であって、a)組換えポリペプチドの産生、例えば、発現及び分泌に適切な条件下でGS-CHO細胞を培養するステップ、b)分泌された組換えポリペプチドを宿主細胞から分離するステップ;c)分泌された組換えポリペプチドを1つ又は複数の精製ステップに供して組換えポリペプチド調製物を産生するステップ;d)組換えポリペプチド調製物のサンプルを採取するステップ;e)該サンプルを、固体支持体に固定化されたポリクローナル抗GS-CHO HCP抗体と接触させインキュベートして、固定化された抗体-GS-CHO HCP複合体を形成させるステップ;c)該サンプルを該固定化された抗体-GS-CHO HCP複合体から分離するステップ;f)該固定化された抗体-GS-CHO HCP複合体をGS-CHO HCPに結合する検出可能な抗体と接触させるステップ;g)捕捉試薬に結合したGS-CHO HCPのレベルを該検出可能な抗体に対する検出手段を使用して定量するステップ;及びh)GS-CHO HCPの該レベルが事前に選択した参照レベル未満である場合、該調製物の少なくとも一部を医薬品として処理するステップを含み、それにより、組換えポリペプチド医薬品を製造する方法を提供する。
【0012】
いくつかの実施形態では、処理するステップは、ポリペプチド調製物を配合するステップ;該ポリペプチド調製物を医薬品に処理するステップ;該ポリペプチド調製物を第二成分、例えば、賦形剤又は緩衝剤と組み合わせるステップ;該調製物中の該ポリペプチドの濃度を変化させるステップ;該ポリペプチド調製物を凍結乾燥させるステップ;該ポリペプチドの第一及び第二のアリコートを組み合わせて、第三の、より大きい、アリコートを準備するステップ;該ポリペプチド調製物をより小さいアリコートに分けるステップ;該ポリペプチド調製物を容器、例えば、気密性又は液密性容器に配置するステップ;該ポリペプチド調製物を包装するステップ;該ポリペプチド調製物を含む容器に標識を付けるステップ(例えば、標識化);該ポリペプチド調製物を異なる位置に輸送するステップ又は移動させるステップの1つ又は複数を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、処理するステップは、ポリペプチド調製物を賦形剤又は緩衝剤と組み合わせるステップを含む。いくつかの実施形態では、参照レベルは、約100ppm(例えば、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、1ppm未満)である。いくつかの実施形態では、参照レベルは、1ppmから1000ppmの間である。いくつかの実施形態では、参照レベルは、少なくとも1ppm、10pppm、50ppm、100ppm、500ppm、又は1000ppmである。いくつかの実施形態では、参照レベルは、1ppm、5ppm、10pppm、20ppm、30ppm、40ppm、50ppm、100ppm、500ppm、又は1000ppm以下である。いくつかの実施形態では、参照レベル未満のGS-CHO HCPのレベルは、医薬品の市販向け発売のための仕様である。いくつかの実施形態では、参照レベル未満のGS-CHO HCPのレベルは、公衆衛生局(PHS)法の351条(a)下の医薬品の市販向け発売のための仕様である。いくつかの実施形態では、GS-CHO HSPのレベルは、1、2、若しくはそれを超えるサンプル又はバッチについて獲得される。
【0014】
いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、ホモポリマー又はヘテロポリマーポリペプチド、例えば、ホルモン、成長因子、受容体、抗体、サイトカイン、受容体リガンド、転写因子又は酵素、好ましくは、抗体又は抗体断片、例えば、ヒト抗体又はヒト化抗体又はその断片、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、又はウシ抗体から由来し、典型的にはウサギ起源のヒト化抗体又はその断片である。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、治療ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、表1に開示されるものである。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、表2に開示されるものである。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体は、治療抗体である。
いくつかの実施形態では、サンプルは、組換えポリペプチドの産生プロセスにおける下流の処理ステップから得られる。いくつかの実施形態では、サンプルは、組換えポリペプチドの産生プロセスにおける上流の処理ステップから得られる。いくつかの実施形態では、サンプルは、組換えポリペプチドの最終産物から得られる。いくつかの実施形態では、方法は、組換えポリペプチドの産生プロセスにおける1つ又は複数のステップから得られる、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は10を超えるサンプルを含む。いくつかの実施形態では、検出可能な抗体は、直接的に検出可能である。いくつかの実施形態では、検出可能な抗体は、蛍光試薬によって増幅される。いくつかの実施形態では、検出可能な抗体はビオチン化され、検出手段はアビジン又はストレプトアビジン-ペルオキシダーゼ及び3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジンである。
【0015】
一態様では、本開示は、組換えポリペプチド医薬品を製造する方法であって、a)GS-CHO細胞の培養物から組換えポリペプチド調製物のサンプルを準備又は取得するステップ;b)該サンプル中のGS-CHO宿主細胞タンパク質(HCP)についての値を獲得するステップであって、該値は、該サンプルに対するポリクローナルGS-CHO抗体の結合の関数である、それに比例する、又はそれによって取得されたものである該ステップを含み、それにより、組換えポリペプチド医薬品を製造する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、例えば、獲得された値を参照値と比較することによって獲得された値を評価するステップを含む。いくつかの実施形態では、方法は、評価に応じて、分類するステップ、選択するステップ、許容するステップ、放出するステップ、医薬品へと処理するステップ、輸送するステップ、異なる位置に移動するステップ、配合するステップ、標識化するステップ、包装するステップ、商取引に放出するステップ、販売するステップ又は調製物を販売するため申し出るステップを含む。いくつかの実施形態では、値は、本明細書に記載される方法によって決定された。
【0016】
いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、ホモポリマー又はヘテロポリマーポリペプチド、例えば、ホルモン、成長因子、受容体、抗体、サイトカイン、受容体リガンド、転写因子又は酵素、好ましくは、抗体又は抗体断片、例えば、ヒト抗体又はヒト化抗体又はその断片、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、又はウシ抗体から由来し、典型的にはウサギ起源のヒト化抗体又はその断片である。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、治療ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、表1に開示されるものである。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、表2に開示されるものである。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体は、治療抗体である。
【0017】
いくつかの実施形態では、サンプルは、組換えポリペプチドの産生プロセスにおける下流の処理ステップから得られる。いくつかの実施形態では、サンプルは、組換えポリペプチドの産生プロセスにおける上流の処理ステップから得られる。いくつかの実施形態では、サンプルは、組換えポリペプチドの最終産物から得られる。いくつかの実施形態では、方法は、組換えポリペプチドの産生プロセスにおける1つ又は複数のステップから得られる、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は10を超えるサンプルを含む。いくつかの実施形態では、検出可能な抗体は、直接的に検出可能である。いくつかの実施形態では、検出可能な抗体は、蛍光試薬によって増幅される。いくつかの実施形態では、検出可能な抗体はビオチン化され、検出手段はアビジン又はストレプトアビジン-ペルオキシダーゼ及び3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジンである。
【0018】
一態様では、本開示は、GS-CHO宿主細胞における組換えポリペプチドの製造のプロセスを評価する方法であって、a)組換えポリペプチドの産生、例えば、発現及び分泌に適切な条件下でGS-CHO細胞を培養するステップ、b)分泌された組換えポリペプチドを宿主細胞から分離して、第一のポリペプチド調製物を準備するステップ;c)任意選択で、該第一のポリペプチド調製物のサンプルを採取するステップ;d)該第一のポリペプチド調製物を精製ステップに供して第二のポリペプチド調製物を産生するステップ;e)該第二のポリペプチド調製物のサンプルを採取するステップ;f)任意選択で、該第二のポリペプチド調製物を第二、第三、第四、第五、又は第六の精製ステップに供して続くポリペプチド調製物を準備するステップ;g)任意選択で、ステップf)で準備された、任意の続くポリペプチド調製物のサンプルを採取するステップ;h)取られた該サンプルの各々を、固体支持体に固定化されたポリクローナル抗GS-CHO HCP抗体と接触させインキュベートして、固定化された抗体-GS-CHO HCP複合体を形成させるステップ;i)該サンプルの各々を該固定化された抗体-GS-CHO HCP複合体から分離するステップ;j)該固定化された抗体-GS-CHO HCP複合体をGS-CHO HCPに結合する検出可能な抗体と接触させるステップ;k)捕捉試薬に結合したGS-CHO HCPのレベルを該検出可能な抗体に対する検出手段を使用して定量するステップ;及びl)該定量に基づいて、該プロセスについての決定を下すステップを含み、それにより、組換えポリペプチドの製造のプロセスを評価する方法を提供する。
【0019】
いくつかの実施形態では、方法は、GS-CHO HCPのレベルと参照レベルを比較するステップを含み、例えば、GS-CHO HCPのレベルが、組換えポリペプチドの産生における使用のためにプロセスを検証する該参照レベル未満であるかを比較する。
【0020】
いくつかの実施形態では、参照レベルは、i)1ppmから1000ppmの間、ii)少なくとも1ppm、10pppm、50ppm、100ppm、500ppm、又は1000ppm、又はiii)1ppm、5ppm、10pppm、20ppm、30ppm、40ppm、50ppm、100ppm、500ppm、又は1000ppm以下である。
【0021】
いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、ホモポリマー又はヘテロポリマーポリペプチド、例えば、ホルモン、成長因子、受容体、抗体、サイトカイン、受容体リガンド、転写因子又は酵素、好ましくは、抗体又は抗体断片、例えば、ヒト抗体又はヒト化抗体又はその断片、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、又はウシ抗体から由来し、典型的にはウサギ起源のヒト化抗体又はその断片である。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、治療ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、表1に開示されるものである。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、表2に開示されるものである。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体は、治療抗体である。
【0022】
いくつかの実施形態では、サンプルは、組換えポリペプチドの産生プロセスにおける下流の処理ステップから得られる。いくつかの実施形態では、サンプルは、組換えポリペプチドの産生プロセスにおける上流の処理ステップから得られる。いくつかの実施形態では、サンプルは、組換えポリペプチドの最終産物から得られる。いくつかの実施形態では、方法は、組換えポリペプチドの産生プロセスにおける1つ又は複数のステップから得られる、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は10を超えるサンプルを含む。いくつかの実施形態では、検出可能な抗体は、直接的に検出可能である。いくつかの実施形態では、検出可能な抗体は、蛍光試薬によって増幅される。いくつかの実施形態では、検出可能な抗体はビオチン化され、検出手段はアビジン又はストレプトアビジン-ペルオキシダーゼ及び3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジンである。
【0023】
一態様では、本開示は、組換えポリペプチドの精製のプロセスを評価する方法であって、a)第一のポリペプチド調製物を精製ステップに供して第二のポリペプチド調製物を産生するステップ;b)該第二のポリペプチド調製物のサンプルを採取するステップ;c)任意選択で、該第二のポリペプチド調製物を第二、第三、第四、第五、又は第六の精製ステップに供して続くポリペプチド調製物を準備するステップ;d)任意選択で、ステップc)で準備された、任意の続くポリペプチド調製物のサンプルを採取するステップ;e)取られた該サンプルの各々を、固体支持体に固定化されたポリクローナル抗GS-CHO HCP抗体と接触させインキュベートして、固定化された抗体-GS-CHO HCP複合体を形成させるステップ;f)該サンプルの各々を該固定化された抗体-GS-CHO HCP複合体から分離するステップ;g)該固定化された抗体-GS-CHO HCP複合体をGS-CHO HCPに結合する検出可能な抗体と接触させるステップ;h)捕捉試薬に結合したGS-CHO HCPのレベルを該検出可能な抗体に対する検出手段を使用して定量するステップ;及びi)該定量に基づいて、該プロセスについての決定を下すステップを含み、それにより、組換え治療薬の精製のプロセスを評価する方法を提供する。
【0024】
いくつかの実施形態では、方法は、GS-CHO HCPのレベルと参照レベルを比較するステップを含む。いくつかの実施形態では、GS-CHO HCPのレベルが参照レベル未満である場合、組換えポリペプチドの産生における使用のためのプロセスが検証される。いくつかの実施形態では、参照レベルは、1ppmから1000ppmの間である。いくつかの実施形態では、参照レベルは、少なくとも1ppm、10pppm、50ppm、100ppm、500ppm、又は1000ppmである。いくつかの実施形態では、参照レベルは、1ppm、5ppm、10pppm、20ppm、30ppm、40ppm、50ppm、100ppm、500ppm、又は1000ppm以下である。
【0025】
いくつかの実施形態では、精製ステップは、1つ若しくは複数の又は任意の組合せでのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、イオン交換クロマトグラフィー(IEX)、疎水的相互作用クロマトグラフィー(HIC)、逆相クロマトグラフィー(RPC)、固定化金属キレートクロマトグラフィー、硫安塩析、チオール基吸着(thiophilic adsorption)、プロテインAクロマトグラフィー、プロテインGクロマトグラフィー、プロテインLクロマトグラフィー、及び親和性クロマトグラフィーを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、精製ステップは、1つ若しくは複数のアフィニティークロマトグラフィーステップを含む。いくつかの実施形態では、精製ステップは、プロテインAクロマトグラフィー及び1つ又は複数のアフィニティークロマトグラフィーステップを含む。いくつかの実施形態では、精製ステップは、プロテインAクロマトグラフィー及びCNBrクロマトグラフィーを含む。いくつかの実施形態では、精製ステップは、プロテインAクロマトグラフィー及び続くCNBrクロマトグラフィーを含む。いくつかの実施形態では、精製ステップは、プロテインAクロマトグラフィー及びNHSクロマトグラフィーを含む。いくつかの実施形態では、精製ステップは、プロテインAクロマトグラフィー及び続くNHSクロマトグラフィーを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、精製ステップは、i)プロテインAクロマトグラフィー及び1つ又は複数のアフィニティークロマトグラフィーステップ、ii)プロテインAクロマトグラフィー及びCNBrクロマトグラフィー、例えば、プロテインAクロマトグラフィー及び続くCNBrクロマトグラフィー、又はiii)プロテインAクロマトグラフィー及びNHSクロマトグラフィー、例えば、プロテインAクロマトグラフィー及び続くNHSクロマトグラフィーを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、ホモポリマー又はヘテロポリマーポリペプチド、例えば、ホルモン、成長因子、受容体、抗体、サイトカイン、受容体リガンド、転写因子又は酵素、好ましくは、抗体又は抗体断片、例えば、ヒト抗体又はヒト化抗体又はその断片、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、又はウシ抗体から由来し、典型的にはウサギ起源のヒト化抗体又はその断片である。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、治療ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、表1に開示されるものである。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、表2に開示されるものである。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体は、治療抗体である。
【0029】
いくつかの実施形態では、サンプルは、組換えポリペプチドの産生プロセスにおける下流の処理ステップから得られる。いくつかの実施形態では、サンプルは、組換えポリペプチドの産生プロセスにおける上流の処理ステップから得られる。いくつかの実施形態では、サンプルは、組換えポリペプチドの最終産物から得られる。いくつかの実施形態では、方法は、組換えポリペプチドの産生プロセスにおける1つ又は複数のステップから得られる、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は10を超えるサンプルを含む。いくつかの実施形態では、検出可能な抗体は、直接的に検出可能である。いくつかの実施形態では、検出可能な抗体は、蛍光試薬によって増幅される。いくつかの実施形態では、検出可能な抗体はビオチン化され、検出手段はアビジン又はストレプトアビジン-ペルオキシダーゼ及び3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジンである。
【0030】
一態様では、a)固体支持体に固定化されたポリクローナル抗GS-CHO HCP抗体;b)任意選択で、検出可能な抗体;c)任意選択で、洗浄緩衝剤;及びd)任意選択で、検出試薬を含むキットが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、検出試薬は、捕捉試薬と同じである。いくつかの実施形態では、検出試薬は、蛍光試薬によって増幅されるように修飾されている点だけを除き捕捉試薬と同じである。いくつかの実施形態では、検出抗体はビオチン化され、検出手段はアビジン又はストレプトアビジン-ペルオキシダーゼ及び3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジンである。
【0031】
一態様では、ポリクローナル抗GS-CHO抗体の精製調製物が本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、抗GS-CHO抗体は、ヒツジ抗体である。いくつかの実施形態では、抗GS-CHO抗体は、ヤギ、ウマ、ウサギ、ウシ、マウス、ハムスター、又はヒト抗体である。いくつかの実施形態では、調製物は、実質的に非HCP特異的IgG非含有である。いくつかの実施形態では、調製物は、0.5%、1%、2%、3%、5%、10%、20%、30%、40%、又は50%以下の非HCP特異的IgGを含有する。いくつかの実施形態では、調製物は、50%、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%未満の非HCP特異的IgGを含有する。いくつかの実施形態では、精製方法は、プロテインAクロマトグラフィー、及び1つ又は複数の親和性クロマトグラフィーステップ(例えば、CNBrクロマトグラフィー、NHSクロマトグラフィー)を含む。
【0032】
一態様では、抗GS-CHO抗体のポリクローナル調製物(例えば、本明細書に記載されるポリクローナル調製物)及び表1又は表2から選択される組換えポリペプチドを含む反応混合物が本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、反応混合物は、抗GS-CHO抗体に結合する抗体を含む。
【0033】
一態様では、組換えポリペプチド医薬品のバッチ又はロットは、発売仕様を満足する又は満たすかどうかを決定する方法であって、該発売仕様は、GS-CHO HCPの事前に選択した参照レベルであり、a)組換えポリペプチド調製物のサンプルを準備又は取得するステップ;b)該サンプルを、固体支持体に固定化されたポリクローナル抗GS-CHO HCP抗体と接触させインキュベートして、固定化された抗体-GS-CHO HCP複合体を形成させるステップ;c)該サンプルを該固定化された抗体-GS-CHO HCP複合体から分離するステップ;d)該固定化された抗体-GS-CHO HCP複合体をGS-CHO HCPに結合する検出可能な抗体と接触させるステップ;e)捕捉試薬に結合したGS-CHO HCPのレベルを該検出可能な抗体に対する検出手段を使用して定量するステップ;及びf)GS-CHO HCPの該レベルが該発売仕様を満足する、満たす、又は未満である場合、該調製物の少なくとも一部を医薬品として処理するステップを含み、それにより、組換えポリペプチド医薬品のバッチ又はロットが、発売仕様を満足する又は満たすかどうかを決定する方法が本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、処理するステップは、分類するステップ、選択するステップ、許容するステップ、放出するステップ、医薬品へと処理するステップ、輸送するステップ、異なる位置に移動するステップ、配合するステップ、標識化するステップ、包装するステップ、商取引に放出するステップ、販売するステップ又は調製物を販売するため申し出るステップを含む。いくつかの実施形態では、値は、本明細書に記載される方法によって決定された。
【0034】
一態様では、ポリクローナル抗HCP抗体調製物を作製する方法であって、a)宿主細胞(例えば、細胞系、例えば、哺乳動物、げっ歯類、若しくは昆虫細胞又は細胞系、例えば、CHO、SP2、NSO宿主細胞)のHCPで免疫化した動物(例えば、ヒツジ、ウサギ、マウス、ラット、ハムスター、ヤギ、など)から、抗体、例えば、抗血清を含むサンプルを獲得するステップ;及びb)例えば、該サンプルをHCP親和性試薬と接触させることによって、該サンプルから抗HCP抗体を分離するステップを含み、それにより、ポリクローナル抗HCP抗体調製物を産生する方法が、本明細書に開示される。
【0035】
いくつかの実施形態では、ステップb)は、b.1)サンプルから抗体、例えば、IgG抗体を分離して、抗体調製物を準備するステップ;及びb.2)該抗体調製物から抗HCP抗体を分離するステップを含む。いくつかの実施形態では、抗体を分離するステップは、抗体を、親和性試薬、例えば、プロテインAと接触させるステップを含む。いくつかの実施形態では、抗体を分離するステップは、ポリクローナル抗HCP抗体を、抗血清からプロテインAクロマトグラフィーを含む精製方法により精製するステップを含む。いくつかの実施形態では、抗体調製物から抗HCP抗体を分離するステップは、該抗体調製物をHCP親和性試薬と接触させるステップを含む。いくつかの実施形態では、HCP親和性試薬は、基質、例えば、不溶性又は固体基質、例えば、アガロースビーズ、例えば、Sepharase、例えば、臭化シアン(CNBr)又はN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)クロマトグラフィー)誘導体化基質と連結したHCPを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、精製は、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の非HCP特異的IgGを除去する。いくつかの実施形態では、精製は、少なくとも99%の非HCP特異的IgGを除去する。いくつかの実施形態では、精製は、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%を超える非HCP特異的IgGを除去する。いくつかの実施形態では、精製は、99%を超える非HCP特異的IgGを除去する。いくつかの実施形態では、ポリクローナル抗体調製物は、実質的に非HCP特異的IgG非含有である。いくつかの実施形態では、ポリクローナル抗体調製物は、0.5%、1%、2%、3%、5%、10%、20%、30%、40%、又は50%以下の非HCP特異的IgGを含有する。いくつかの実施形態では、ポリクローナル抗体調製物は、50%、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%未満の非HCP特異的IgGを含有する。
【0037】
一態様では、組換えポリペプチド調製物中のHCPを検出するELISAにおける使用のための、ポリクローナル抗HCP抗体調製物を作製する方法であって、a)宿主細胞(例えば、細胞系、例えば、哺乳動物、げっ歯類、若しくは昆虫細胞又は細胞系、例えば、CHO、SP2、NSO宿主細胞)のHCPで免疫化した動物(例えば、ヒツジ、ウサギ、マウス、ラット、ハムスター、ヤギ、など)から、抗体、例えば、抗血清を含むサンプルを獲得するステップ;b)該抗血清をプロテインA親和性試薬と接触させることによって、該抗血清から抗体を分離して、抗体調製物を準備するステップ;c)該抗体調製物をHCP親和性試薬と接触させることによって、該抗体調製物から抗HCP抗体を分離するステップを含み、それにより、ポリクローナル抗HCP抗体調製物を産生する方法が本明細書に開示される。
【0038】
いくつかの実施形態では、精製は、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の非HCP特異的IgGを除去する。いくつかの実施形態では、精製は、少なくとも99%の非HCP特異的IgGを除去する。いくつかの実施形態では、精製は、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%を超える非HCP特異的IgGを除去する。いくつかの実施形態では、精製は、99%を超える非HCP特異的IgGを除去する。いくつかの実施形態では、ポリクローナル抗体調製物は、実質的に非HCP特異的IgG非含有である。いくつかの実施形態では、ポリクローナル抗体調製物は、0.5%、1%、2%、3%、5%、10%、20%、30%、40%、又は50%以下の非HCP特異的IgGを含有する。いくつかの実施形態では、ポリクローナル抗体調製物は、50%、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%未満の非HCP特異的IgGを含有する。
【0039】
一態様では、組換えポリペプチドを含むサンプル中の宿主細胞タンパク質(HCP)(例えば、CHO HCP)の検出、モニタリング、同定、又は定量の方法であって、a)組換えポリペプチドを含むサンプルを準備又は取得するステップ;b)該サンプルを、固体支持体に固定化されたポリクローナル抗HCP抗体(例えば、抗CHO HCP抗体)と接触させインキュベートして、固定化された抗体-HCP複合体を形成させるステップであって、該ポリクローナル抗体が、本明細書に記載される任意の方法によって産生されている、該ステップ;c)該サンプルを該固定化された抗体-HCP複合体から分離するステップ;d)該固定化された抗体-HCP複合体をGS-CHO HCPに結合する検出可能な抗体と接触させるステップ;e)該抗体に結合したHCPの存在を該検出可能な抗体に対する検出手段を使用して検出するステップ;及びf)任意選択で、検出されたHCPのレベルを定量するステップ;g)任意選択で、1つ又は複数の検出されたHCPを同定するステップ;及びh)任意選択で、1つ又は複数の同定されたHCPを定量するステップを含む方法が本明細書に開示される。
【0040】
一態様では、組換えポリペプチド、例えば、治療ポリペプチドを含むサンプル中のGS-CHO宿主細胞タンパク質(HCP)の検出、モニタリング、同定、又は定量の方法であって、a)組換えポリペプチドを含むサンプルを準備又は取得するステップ;b)該サンプルを、支持体、例えば、不溶性又は固体支持体に固定化されたポリクローナル抗GS-CHO HCP抗体とインキュベートして、固定化された抗体-GS-CHO HCP複合体を形成させるステップ;c)該サンプルを該固定化された抗体-GS-CHO HCP複合体から分離するステップ;d)該固定化された抗体-GS-CHO HCP複合体をGS-CHO HCPに結合する検出可能な試薬、例えば、抗体と接触させるステップ;e)該抗体に結合したGS-CHO HCPの存在を該検出可能な抗体に対する検出手段を使用して検出するステップ;並びにf)任意選択で、検出されたGS-CHO HCPのレベルを定量するステップ;g)任意選択で、1つ又は複数の検出されたGS-CHO HCPを同定するステップ;及びh)任意選択で、1つ又は複数の同定されたGS-CHO HCPを定量するステップを含む方法が、本明細書に開示される。
【0041】
いくつかの実施形態では、i)組換えポリペプチドは、ホモポリマー又はヘテロポリマーポリペプチド、例えば、ホルモン、成長因子、受容体、抗体、サイトカイン、受容体リガンド、転写因子又は酵素、好ましくは、抗体又は抗体断片、例えば、ヒト抗体又はヒト化抗体又はその断片、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、又はウシ抗体から由来し、典型的にはウサギ起源のヒト化抗体又はその断片である、又はii)組換えポリペプチドは、表1又は2に開示された1つである。
【0042】
いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、抗体、例えば、モノクローナル抗体、例えば、治療抗体である。
【0043】
いくつかの実施形態では、i)サンプルは、組換えポリペプチドの産生プロセスにおける下流の処理ステップから得られる、ii)サンプルは、組換えポリペプチドの産生プロセスにおける上流の処理ステップから得られる、iii)サンプルは、組換えポリペプチドの最終産物から得られる、又はiv)方法は、組換えポリペプチドの産生プロセスにおける1つ又は複数のステップから得られる、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は10を超えるサンプルを含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、検出可能な抗体は、i)直接的に検出可能である、ii)蛍光試薬によって増幅される、又はiii)ビオチン化され、検出手段は、アビジン又はストレプトアビジン-ペルオキシダーゼ及び3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジンである。
【0045】
一態様では、組換えポリペプチド、例えば、治療ポリペプチド、医薬品の製造方法であって、a)組換えポリペプチド調製物のサンプルを準備又は取得するステップ;b)該サンプルを、固体支持体に固定化されたポリクローナル抗GS-CHO HCP抗体と接触させインキュベートして、固定化された抗体-GS-CHO HCP複合体を形成させるステップ;c)該サンプルを該固定化された抗体-GS-CHO HCP複合体から分離するステップ;d)該固定化された抗体-GS-CHO HCP複合体をGS-CHO HCPに結合する検出可能な抗体と接触させるステップ;e)捕捉試薬に結合したGS-CHO HCPのレベルを該検出可能な抗体に対する検出手段を使用して定量するステップ;及びf)GS-CHO HCPの該レベルが事前に選択した参照レベル未満である場合、該調製物の少なくとも一部を医薬品として処理するステップであって、任意選択で、処理するステップは、該ポリペプチド調製物を配合するステップ;該ポリペプチド調製物を医薬品に処理するステップ;該ポリペプチド調製物を第二成分、例えば、賦形剤又は緩衝剤と組み合わせるステップ;該調製物中の該ポリペプチドの濃度を変化させるステップ;該ポリペプチド調製物を凍結乾燥させるステップ;該ポリペプチドの第一及び第二のアリコートを組み合わせて、第三の、より大きい、アリコートを準備するステップ;該ポリペプチド調製物をより小さいアリコートに分けるステップ;該ポリペプチド調製物を容器、例えば、気密性又は液密性容器に配置するステップ;該ポリペプチド調製物を包装するステップ;該ポリペプチド調製物を含む容器に標識を付けるステップ(例えば、標識化);該ポリペプチド調製物を異なる位置に輸送するステップ又は移動させるステップの1つ又は複数を含む、該ステップを含み、それにより、組換えポリペプチド医薬品を製造する方法が本明細書に開示される。
【0046】
一態様では、組換えポリペプチド、例えば、治療ポリペプチド、医薬品を製造する方法であって、a)組換えポリペプチドの産生、例えば、発現及び分泌に適切な条件下でGS-CHO細胞を培養するステップ、b)分泌された組換えポリペプチドを宿主細胞から分離するステップ;c)分泌された組換えポリペプチドを1つ又は複数の精製ステップに供して組換えポリペプチド調製物を産生するステップ;d)組換えポリペプチド調製物のサンプルを採取するステップ;e)該サンプルを、固体支持体に固定化されたポリクローナル抗GS-CHO HCP抗体と接触させインキュベートして、固定化された抗体-GS-CHO HCP複合体を形成させるステップ;c)該サンプルを該固定化された抗体-GS-CHO HCP複合体から分離するステップ;f)該固定化された抗体-GS-CHO HCP複合体をGS-CHO HCPに結合する検出可能な抗体と接触させるステップ;g)捕捉試薬に結合したGS-CHO HCPのレベルを該検出可能な抗体に対する検出手段を使用して定量するステップ;及びh)GS-CHO HCPの該レベルが事前に選択した参照レベル未満である場合、該調製物の少なくとも一部を医薬品として処理するステップであって、任意選択で、該処理するステップは、該ポリペプチド調製物を配合するステップ;該ポリペプチド調製物を医薬品に処理するステップ;該ポリペプチド調製物を第二成分、例えば、賦形剤又は緩衝剤と組み合わせるステップ;該調製物中の該ポリペプチドの濃度を変化させるステップ;該ポリペプチド調製物を凍結乾燥させるステップ;該ポリペプチドの第一及び第二のアリコートを組み合わせて、第三の、より大きい、アリコートを準備するステップ;該ポリペプチド調製物をより小さいアリコートに分けるステップ;該ポリペプチド調製物を容器、例えば、気密性又は液密性容器に配置するステップ;該ポリペプチド調製物を包装するステップ;該ポリペプチド調製物を含む容器に標識を付けるステップ(例えば、標識化);該ポリペプチド調製物を異なる位置に輸送するステップ又は移動させるステップの1つ又は複数を含む、該ステップを含み、それにより、組換えポリペプチド医薬品を製造する方法が本明細書に開示される。
【0047】
いくつかの実施形態では、参照レベルは、i)約100ppm(例えば、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、1ppm未満)、ii)1ppmから1000ppmの間、iii)少なくとも1ppm、10pppm、50ppm、100ppm、500ppm、若しくは1000ppm、又はiv)1ppm、5ppm、10pppm、20ppm、30ppm、40ppm、50ppm、100ppm、500ppm、若しくは1000ppm以下である。
【0048】
いくつかの実施形態では、参照レベル未満のGS-CHO HCPのレベルが、例えば、公衆衛生局(PHS)法の351条(a)下の、医薬品の市販向け発売のための仕様であり、及び任意選択で、GS-CHO HCPの該レベルが、1、2、若しくはそれを超えるサンプル又はバッチについて獲得される。
【0049】
いくつかの実施形態では、i)組換えポリペプチドが、ホモポリマー又はヘテロポリマーポリペプチド、例えば、ホルモン、成長因子、受容体、抗体、サイトカイン、受容体リガンド、転写因子又は酵素、好ましくは、抗体又は抗体断片、例えば、ヒト抗体又はヒト化抗体又はその断片、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、又はウシ抗体から由来し、典型的にはウサギ起源のヒト化抗体又はその断片である、又はii)該組換えポリペプチドが、表1又は2に開示された1つである。
【0050】
いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは、抗体、例えば、モノクローナル抗体、例えば、治療抗体である。
【0051】
いくつかの実施形態では、i)サンプルが、組換えポリペプチドの産生プロセスにおける下流の処理ステップから得られる、ii)サンプルが、組換えポリペプチドの産生プロセスにおける上流の処理ステップから得られる、iii)サンプルが、組換えポリペプチドの最終産物から得られる、又はiv)方法が、組換えポリペプチドの産生プロセスにおける1つ又は複数のステップから得られる、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は10を超えるサンプルを含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、検出可能な抗体は、i)直接的に検出可能である、ii)蛍光試薬によって増幅される、又はiii)ビオチン化され、検出手段が、アビジン又はストレプトアビジン-ペルオキシダーゼ及び3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジンである。
【0053】
一態様では、組換えポリペプチド医薬品を製造する方法であって、a)GS-CHO細胞の培養物から組換えポリペプチド調製物のサンプルを準備又は取得するステップ;b)該サンプル中のGS-CHO宿主細胞タンパク質(HCP)についての値を獲得するステップ、及び、c)任意選択で、例えば、獲得された値を参照値と比較することによって獲得された値を評価するステップ;及びd)任意選択で、評価に応じて、分類するステップ、選択するステップ、許容するステップ、放出するステップ、医薬品へと処理するステップ、輸送するステップ、異なる位置に移動するステップ、配合するステップ、標識化するステップ、包装するステップ、商取引に放出するステップ、販売するステップ又は該調製物を販売するため申し出るステップを含み、該値は、該サンプルに対するポリクローナルGS-CHO抗体の結合の関数である、それに比例する、又はそれによって取得されたものであり、それにより、組換えポリペプチド医薬品を製造する方法が本明細書に開示される。
【0054】
いくつかの実施形態では、値は、本明細書に記載される何れかの方法によって決定された。
【0055】
一態様では、a)固体支持体に固定化されたポリクローナル抗GS-CHO HCP抗体;b)任意選択で、検出可能な抗体;c)任意選択で、洗浄緩衝剤;及びd)任意選択で、検出試薬、例えば、捕捉試薬と同じであるか、又は蛍光試薬によって増幅されるように修飾されている点だけを除き捕捉試薬と同じである検出試薬を含み、任意選択で、検出可能な抗体はビオチン化され、検出手段はアビジン又はストレプトアビジン-ペルオキシダーゼ及び3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジンである、キットが本明細書に開示される。
【0056】
一態様では、ポリクローナル抗GS-CHO抗体の精製調製物であって、任意選択で、該抗GS-CHO抗体が、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウサギ、ウシ、マウス、ハムスター、又はヒト抗体である精製調製物が本明細書に開示される。
【0057】
いくつかの実施形態では、調製物は、実質的に非HCP特異的IgG非含有である、例えば、調製物は、0.5%、1%、2%、3%、5%、10%、20%、30%、40%、又は50%以下の非HCP特異的IgGを含有する又は調製物は、50%、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%未満の非HCP特異的IgGを含有する。
【0058】
一態様では、組換えポリペプチド医薬品のバッチ又はロットが、発売仕様を満足する又は満たすかどうかを決定する方法であって、該発売仕様が、GS-CHO HCPの事前に選択した参照レベルであり、a)組換えポリペプチド調製物のサンプルを準備又は取得するステップ;b)該サンプルを、固体支持体に固定化されたポリクローナル抗GS-CHO HCP抗体と接触させインキュベートして、固定化された抗体-GS-CHO HCP複合体を形成させるステップ;c)該サンプルを該固定化された抗体-GS-CHO HCP複合体から分離するステップ;d)該固定化された抗体-GS-CHO HCP複合体をGS-CHO HCPに結合する検出可能な抗体と接触させるステップ;e)捕捉試薬に結合したGS-CHO HCPのレベルを該検出可能な抗体に対する検出手段を使用して定量するステップ;及びf)GS-CHO HCPの該レベルが該発売仕様を満足する、満たす、又は未満である場合、該調製物の少なくとも一部を医薬品として処理するステップであって、任意選択で、処理するステップは、分類するステップ、選択するステップ、許容するステップ、放出するステップ、医薬品へと処理するステップ、輸送するステップ、異なる位置に移動するステップ、配合するステップ、標識化するステップ、包装するステップ、商取引に放出するステップ、販売するステップ又は該調製物を販売するため申し出るステップを含む、該ステップを含み、それにより、組換えポリペプチド医薬品のバッチ又はロットが、発売仕様を満足する又は満たすかどうかを決定する方法が本明細書に開示される。
【0059】
一態様では、ポリクローナル抗HCP抗体調製物を作製する方法であって、該方法は、a)宿主細胞(例えば、細胞系、例えば、哺乳動物、げっ歯類、若しくは昆虫細胞又は細胞系、例えば、CHO、SP2、NSO宿主細胞)のHCPで免疫化した動物(例えば、ヒツジ、ウサギ、マウス、ラット、ハムスター、ヤギ、など)から、抗体、例えば、抗血清を含むサンプルを獲得するステップ;及びb)例えば、該サンプルをHCP親和性試薬、例えば、プロテインAと接触させることによって、該サンプルから抗HCP抗体を分離するステップを含み;及び任意選択で、b)は、b.1)該サンプルから抗体、例えば、IgG抗体を分離して、抗体調製物を準備するステップ;及びb.2)例えば、該抗体調製物をHCP親和性試薬と接触させることによって、該抗体調製物から抗HCP抗体を分離するステップを含み、それにより、ポリクローナル抗HCP抗体調製物を産生する方法が本明細書に開示される。
【0060】
いくつかの実施形態では、精製は、i)少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の非HCP特異的IgG、例えば、少なくとも99%の非HCP特異的IgG、又はii)50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%を超える非HCP特異的IgG、例えば、99%を超える非HCP特異的IgGを除去する。
【0061】
いくつかの実施形態では、ポリクローナル抗体調製物は、実質的に非HCP特異的IgG非含有である、例えば、0.5%、1%、2%、3%、5%、10%、20%、30%、40%、又は50%以下の非HCP特異的IgGを含有する又は50%、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%未満の非HCP特異的IgGを含有する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】
図1は、ヒツジGS-CHO HCP抗体のための例示的な精製プロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
ヒト患者に対する投与のため許容される組換え生物薬剤タンパク質に関して、製造及び精製プロセスからもたらされる残留夾雑物が最終的な生物学的産物から除去されることが重要である。これらのプロセス夾雑物には、培養培地タンパク質、免疫グロブリン親和性リガンド、ウイルス、エンドトキシン、DNA、及び宿主細胞タンパク質(HCP)が含まれる。HCPにより、免疫応答、アジュバント活性、直接的な生物活性又は産物相互作用/分解を含む、産物の安全性プロファイルに影響を及ぼし得る、ある範囲の望ましくない影響が生成され得る。これらの宿主細胞夾雑物には、組換えDNAテクノロジーから由来する生物製剤中のプロセス関連の不純物/夾雑物である、プロセス特異的なHCPが含まれる。
【0064】
米国及び外国の規制では、そのような夾雑物の除去が要求されることが多い。例えば、米国食品医薬品局(FDA)は、インビボでのヒト使用を意図する生物製剤が、外来性免疫グロブリン及び非免疫グロブリン夾雑物をできる限り非含有であるべきことを要求しており、また潜在的な夾雑物、例えば、HCPの検出及び定量化のための試験を要求している。International Conference on Harmonization(ICH)は、生物工学的/生物学的製品についての試験手順及び受諾判定基準におけるガイドラインを提供している。ガイドラインは、HCPについて広範囲のタンパク質不純物を検出することが可能な感度の高いイムノアッセイが利用されることを示唆している。免疫グロブリン、DNA、エンドドキシン、ウイルスなどを検出するため利用可能な市販のアッセイ及び試薬が存在するにもかかわらず、細胞系特異的なGS-CHO HCPの検出及び定量のため利用可能な市販の試薬又は分析方法は現在存在しない。
【0065】
本開示は、特に、哺乳動物発現系、例えば、CHOK1SV発現系を含む、複数の発現系を支持する、頑健で、感度の高いHCP ELISAプラットホームアッセイ及び使用方法を提供する。HCP ELISA方法の質は、主に2つのパラメータ(1)定量化限界(LOQ)、及び(2)夾雑物として存在する可能性があるHCPのパーセンテージ範囲によって規定される。現在、利用可能なHCP ELISAは、LOQについて200ng/ml~1000ng/ml及びスポット計数による範囲について40%~60%を提供する。本明細書に記載されるELISAは、2ng/mgのLOQ及びスポットマッチング(これは、スポット計数よりも良好なアプローチである)による71%範囲を提供し、これらのパラメータの両方を満たす。プラットホームアッセイは、安定な細胞系及びプロセス(例えば、GS-CHO)からの異なる産物中のHCP検出を支持することができる。
【0066】
定義
別途規定しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法及び材料と類似又は均等な任意の方法及び材料が、本発明の実施又は試験において使用され得るが、好ましい材料及び方法は、本明細書に記載される。本発明の記載及び請求項において、以下の用語は、ある規定が提供される場合、どのように用語が規定されるかに応じて使用される。
【0067】
本明細書に使用される用語は特定の実施態様を記載する目的のためだけに使用され、限定されることを意図するものではないことも理解される。
【0068】
文字「1つ(a)」及び「1つ(an)」は、文字の1つ又は1つを超える(すなわち、少なくとも1つ)の文法上の対象を指すため、本明細書に使用される。例示として、「1つの細胞」は、1つの細胞又は1つを超える細胞を意味し得る。
【0069】
本明細書で使用するように、用語「宿主細胞タンパク質」又は「HCP」は、組換えポリペプチド産物を産生するため使用される生物によって産生される又はコードされる及び意図する組換え産物と無関係の任意のタンパク質を指す。HCPは、最終的な原薬において望ましくない。
【0070】
本明細書で使用するように、用語「GS-CHO」は、組換えグルタチオン合成酵素(GS)を発現する、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を指す。例えば、CHO-K1SV GS(Lonza Biologics、Inc.)である。
【0071】
本明細書で使用するように、用語「GS-CHO HCP」は、GS-CHO細胞から由来する宿主細胞タンパク質を指す。
【0072】
本明細書で使用するように、用語「内因性」は、生物、細胞、組織若しくは系からの又は内部で天然で産生される任意の物質を指す。
【0073】
本明細書で使用するように、用語「外来性」は、生物、細胞、組織若しくは系に導入される又は外部で産生される任意の物質を指す。したがって「外来性核酸」は、生物、細胞、組織若しくは系に導入される又は外部で産生される核酸を指す。一実施形態では、外来性核酸の配列は、外来性核酸が導入される、生物、細胞、組織若しくは系の内部で、天然で産生されない、又は天然で見出すことができない。一実施形態では、外来性核酸の配列は、非天然で生じる配列である、又は非天然で生じる産物をコードする。
【0074】
本明細書で使用するように、用語「異種性」は、異なる種からの生物、細胞、組織若しくは系に導入される場合、1つの種からの任意の物質を指す。
【0075】
本明細書で使用するように、用語「核酸」、「ポリヌクレオチド」又は「核酸分子」は、交換可能に使用され、デオキシリボ核酸(DNA)若しくはリボ核酸(RNA)、又はDNA若しくはそのRNA、及びそのポリマーの単一若しくは二本鎖形態のいずれかの組合せを指す。用語「核酸」には、遺伝子、cDNA、又はmRNAが含まれるが、限定されない。一実施形態では、核酸分子は、合成(例えば、化学的な合成又は人工)又は組換えである。特に限定されない限り、用語は、参照核酸として類似の結合特性を有する及び天然で又は非天然で生じるヌクレオチドと類似する様式で代謝される、天然ヌクレオチドの類似体又は誘導体を含有する分子を包含する。別途示されない限り、特定の核酸配列はまた、保存的に修飾されたそのバリアント(例えば、縮重コドン置換)、対立遺伝子、オルソログ、SNP、及び相補的な配列並びに明示的に示される配列を暗示的に包含する。特に、縮重コドン置換は、第三の位置の1つ又は複数の選択された(又は全ての)コドンが、混合された塩基及び/又はデオキシイノシン残基で置換された、配列を生成させることによって達成され得る(Batzerら、Nucleic Acid Res. 19:5081 (1991);Ohtsukaら、J. Biol. Chem. 260:2605~2608ページ(1985);及びRossoliniら、Mol. Cell. Probes 8:91~98ページ(1994))。
【0076】
本明細書で使用するように、用語「ペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、交換可能に使用され、ペプチド結合によって又はペプチド結合以外の手段によって共有結合的に連結されるアミノ酸残基を含む化合物を指す。タンパク質又はペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸を含有しなければならない、タンパク質の又はペプチドの配列に含まれ得るアミノの最大数に限界は設定されない。一実施形態では、タンパク質は、1つを超える、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれを超える、ポリペプチドを含み得、各ポリペプチドは、共有結合性の又は非共有結合性の結合/相互作用のいずれかによって他と関連する。ポリペプチドには、ペプチド結合によって又はペプチド結合以外の手段によって互いに結合される2つ又はそれを超えるアミノ酸を含む任意のペプチド又はタンパク質が含まれる。本明細書で使用するように、用語は、短鎖(これは、ペプチド、オリゴペプチド及びオリゴマーなどとも当技術分野において一般に呼ばれる)及び長鎖(これは、多くのタイプが存在するタンパク質と当技術分野において一般に呼ばれる)の両方を指す。「ポリペプチド」には、例えば、生物学的に活性な断片、実質的に相同的なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドのバリアント、修飾されたポリペプチド、誘導体、類似体、融合タンパク質がとりわけ含まれる。
【0077】
本明細書で使用するように、「産物」は、産物を産生させるため修飾又は操作されている細胞によって産生される(例えば、発現される)、分子、核酸、ポリペプチド、又は任意のそのハイブリッドを指す。一実施形態では、産物は、天然で生じる産物又は非天然で生じる産物、例えば、合成製品である。一実施形態では、産物の一部は、天然で生じるが、産物の別の部分は、非天然で生じる。一実施形態では、産物は、ポリペプチド、例えば、組換えポリペプチドである。一実施形態では、産物は、診断上の又は前臨床使用のため適切である。別の実施形態では、産物は、治療使用のため、例えば、疾患の処置のため適切である。一実施形態では、産物は、表1又は表2から選択される。一実施形態では、修飾された又は操作された細胞は、発現を制御する又は産物をコードする外来性核酸を含む。他の実施形態では、修飾された又は操作された細胞は、例えば、核酸ではなく、細胞における産物の発現又は構築を制御する、他の分子を含む。
【0078】
一実施形態では、細胞の修飾は、内因性核酸配列、例えば、内因性遺伝子の発現を制御する又は変更する、例えば、増加させる、核酸配列を含む外来性核酸の導入を含む。そのような実施形態では、修飾された細胞は、細胞によって天然で又は内因性に発現される内因性ポリペプチド産物を産生するが、修飾は、未修飾細胞と比較して、例えば、内因性産物又はポリペプチドの質と比較して、産物の産生及び/又は産物の質を増加させる。
【0079】
別の実施形態では、細胞の修飾は、本明細書に記載されるような、組換えポリペプチドをコードする外来性核酸の導入を含む。そのような実施形態では、修飾された細胞は、天然で生じ得る又は非天然で生じ得る組換えポリペプチド産物を産生する。そのような実施形態では、修飾された細胞は、細胞によって内因性にも発現され得る又はされ得ない、組換えポリペプチド産物を産生する。組換えポリペプチド産物が細胞によって内因性にも発現される実施形態では、修飾は、未修飾細胞と比較して、例えば、内因性産物又はポリペプチドの質と比較して、産物の産生及び/又は産物の質を増加させる。
【0080】
本明細書で使用するように、「組換えポリペプチド」又は「組換えタンパク質」は、本明細書に記載される細胞によって産生され得るポリペプチドを指す。組換えポリペプチドは、ポリペプチドをコードする配列の少なくとも1つのヌクレオチド又はポリペプチドの発現を制御する配列の少なくとも1つのヌクレオチドが、(細胞の又は前駆細胞の)遺伝的な操作によって形成されたものである。例えば、少なくとも1つのヌクレオチドは、変更され、例えば、それは細胞に導入され又はそれは遺伝的に操作された再構成の産物である。一実施形態では、組換えポリペプチドの配列は、ポリペプチド又はタンパク質の天然で生じるアイソフォームと異なっていない。一実施形態では、組換えポリペプチドのアミノ酸配列は、ポリペプチド又はタンパク質の天然で生じるアイソフォームの配列と異なる。一実施形態では、組換えポリペプチド及び細胞は、同じ種からのものである。一実施形態では、組換えポリペプチドは、細胞に対して内因性であり、換言すれば、細胞は、第一の種からのものであり、組換えポリペプチドは、その第一の種に対してネイティブである。一実施形態では、組換えポリペプチドのアミノ酸配列は、細胞の内因性ゲノムによってコードされるポリペプチドと同じ又は実質的に同じ、又は1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%以下で異なる。一実施形態では、組換えポリペプチド及び細胞は、異なる種からのものであり、例えば、組換えポリペプチドは、ヒトポリペプチドであり、細胞は、非ヒト、例えば、げっ歯類、例えば、CHO、又は昆虫細胞である。一実施形態では、組換えポリペプチドは、細胞に対して外来性であり、換言すれば、細胞は、第一の種からのものであり、組換えポリペプチドは、第二の種からのものである。一実施形態では、ポリペプチドは、合成ポリペプチドである。一実施形態では、ポリペプチドは、非天然で生じる供給源から由来する。一実施形態では、組換えポリペプチドは、ヒトポリペプチド又はタンパク質の天然で生じるアイソフォームとアミノ酸配列において異ならない、ヒトポリペプチド又はタンパク質である。一実施形態では、組換えポリペプチドは、ヒトポリペプチド又はタンパク質の天然で生じるアイソフォームと、1、2、3、4、5、10、15又は20アミノ酸残基以下で異なる。一実施形態では、組換えポリペプチドは、ヒトポリペプチドの天然で生じるアイソフォームと、そのアミノ酸残基の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は15%以下まで異なる。
【0081】
用語として「獲得」又は「獲得すること」が、本明細書に使用され、物理的な実体又は値を「直接的に獲得すること」又は「間接的に獲得すること」とは、物理的な実体、又は値、例えば、数的な値の保持を得ることを指す。「直接的に獲得すること」は、物理的な実体又は値を取得するため、プロセスを実施すること(例えば、合成又は分析方法を実施すること)を意味する。「間接的に獲得すること」は、別のパーティー又は供給源(例えば、物理的な実体又は値を直接的に獲得した第三者の研究室)から物理的な実体又は値を受けいれることを指す。物理的な実体を直接的に獲得することには、身体物質、例えば、出発原料における物理的な変化を含むプロセスを実施することが含まれる。例示的な変化には、物理的な実体を2つ又はそれを超える出発原料から作製すること、物質を剪断すること又は断片化すること、物質を分離すること又は精製すること、2つ又はそれを超える分離した実体を混合物に組み合わせること、共有結合又は非共有結合を破壊すること又は形成することを含む化学反応を実施することが含まれる。値を直接的に獲得することには、サンプル又は別の物質における物理的な変化を含むプロセスを実施すること、例えば、物質、例えば、サンプル、分析物、又は試薬における物理的な変化を含む分析用プロセスを実施すること(時々、本明細書で「物理的な分析」と呼ばれる)、分析方法、例えば、物質、例えば、分析物、又は断片又は他のその誘導体を別の物質から分離するステップ又は精製するステップ;分析物、又は断片又は他のその誘導体を、別の物質、例えば、緩衝剤、溶媒、又は反応物と組み合わせるステップ;又は分析物、又は断片又は他のその誘導体の構造を、例えば、分析物の第一と第二の原子の間で、共有又は非共有結合を破壊又は形成することによって、変化させるステップ;又は試薬、又は断片又は他のその誘導体の構造を、例えば、試薬の第一と第二の原子の間で、共有又は非共有結合を破壊又は形成することによって、変化させるステップの一つ1つ又は複数を含む方法を実施することが含まれる。
【0082】
用語として「サンプルを獲得すること」が、本明細書に使用され、サンプルを「直接的に獲得すること」又は「間接的に獲得すること」とは、サンプル、例えば、組織サンプル又は核酸サンプルの保持を得ることを指す。「サンプルを直接的に獲得すること」は、サンプルを取得するため、プロセスを実施すること(例えば、物理的な方法、例えば、手術又は抽出を実施すること)を意味する。「サンプルを間接的に獲得すること」は、別のパーティー又は供給源(例えば、サンプルを直接的に獲得した第三者の研究室)からサンプルを受けいれることを指す。サンプルを直接的に獲得することには、身体物質、例えば、出発原料、例えば、組織、例えば、ヒト患者における組織又は患者から以前に単離されていた組織における物理的な変化を含むプロセスを実施することが含まれる。例示的な変化には、物理的な実体を出発原料から作製すること、組織から摘出すること又は擦過すること;物質(例えば、サンプル組織又は核酸サンプル)を分離すること又は精製すること;2つ又はそれを超える実体を混合物に組み合わせること;共有結合又は非共有結合を破壊すること又は形成することを含む化学反応を実施することが含まれる。サンプルを直接的に獲得することには、例えば、上記のような、サンプル又は別の物質における物理的な変化を含むプロセスを実施することが含まれる。
【0083】
用語として「下流の処理するステップ」が、本明細書に使用され、組換えタンパク質産物を含有する培地からの細胞の分離の後/のちなどの、選択された分離ステップの後/のち、に続く、組換えポリペプチドの産生プロセスにおける任意のステップを指す。
【0084】
用語として「上流の処理するステップ」が、本明細書に使用され、細胞含有培地からの組換えタンパク質産物の分離の前などの、選択された分離ステップの先行する又は前にある、組換えポリペプチドの産生プロセスにおける任意のステップを指す。
【0085】
用語として「最終産物」が、本明細書に使用され、他の細胞成分から実質的に精製される組換えポリペプチドを指す。いくつかの実施形態では、最終産物は、薬として、貯蔵、輸送、及び/又は使用のため配合される組換えポリペプチドである。
【0086】
用語として「産生プロセス」が、本明細書に使用され、組換えポリペプチドを産生する方法又は一連のステップを指す。いくつかの実施形態では、産生プロセスは、組換えポリペプチドを産生するため設計された製造プロセスである。いくつかの実施形態では、産生プロセスは、組換えポリペプチドを精製するための方法である。いくつかの実施形態では、産生プロセスは、評価ステップ、分析ステップ、及び/又は前記評価及び分析に基づく決定ステップを更に含む。いくつかの実施形態では、産生プロセスの最終産物は、薬としての使用のため配合される組換えポリペプチドである。
【0087】
各及びすべての特許、特許出願、及び本明細書に引用された文献の開示は、参照することによってその全体が本明細書に組込まれる。本発明は特定の態様を参照して開示されているが、本発明の他の態様及びバリエーションが、真の本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、他の当業者によって考案され得ることは明らかである。添付の特許請求の範囲は、全てのそのような態様及び均等物バリエーションを含むと解釈されることを意図している。
【0088】
プロセスの一般的な記載
本明細書に記載される方法は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)として特徴付けされ得る。ELISA及びELISAバリエーションの一般的な方法は、当業者に公知である。以下は、方法に関与するステップの時系列を説明する単に本明細書に記載される方法の一般的な記載である。開示は、この記載に何らか、限定され又は制限されるべきでない。要素は、説明の目的のために単に記載される。
【0089】
コーティング剤(例えば、抗GS-CHO HCP抗体)は、固体支持体(例えば、マイクロタイタープレート)に固定化される。ひとたびコーティング剤が固体支持体に固定化されていると、固体支持体における残存する結合部位は、ブロッキング緩衝剤(例えば、1X DPBS中の0.2%カゼイン)を使用してブロックされる。ブロッキング緩衝剤は、オープン結合部位を飽和させるため、固体支持体に対して非特異的に結合することが可能な成分を含有し、したがって、固体支持体における任意の過剰部位に対する遊離リガンドの結合を防止する。コーティング及びブロッキングインキュベーション期間の特定条件は、固体支持体のコーティングを最大化するため選択され;及びバリエーションは、当業者に公知である。固体支持体のコーティング及びブロッキング後、分析される標準及び/又はサンプル(例えば、HCPについて試験されるサンプル)は、適切な希釈緩衝剤(例えば、1X DPBS中の0.2%カゼイン)において適切に希釈され、固定化支持体に添加される。標準/サンプルインキュベーション期間の特定条件は、アッセイの感度を最大化し、解離を最小化するため選択され;バリエーションは、当業者に公知である。
【0090】
任意の非固定化標準/サンプル(例えば、HCP)は、固体支持体を、適切な洗浄緩衝剤(例えば、1X DPBS中の0.05% Tween(登録商標)20)、適切な回数(例えば、300μlで3X)で洗浄するによって除去される。任意の洗浄ステップでの特定の洗浄緩衝剤及び洗浄数は、バックグラウンドを最小化し、感度を最大化するため選択され;及びバリエーションは、当業者に公知である。任意の固定化標準/サンプルは、次に、間接的又は直接的のいずれかで検出することができる。間接的な検出に関して、標準/サンプルにおける対象とする抗原に対する抗体(一次抗体)(例えば、抗GS-CHO HCP抗体)は、固体支持体に添加され;及びインキュベーション条件はシグナル増幅を最大化するため選択される。任意の非固定化抗体は、次に、固体支持体を、適切な洗浄緩衝剤で適切な回数洗浄することによって除去される。いくつかの手段(検出抗体)によって検出可能及びサンプル中の固定化された標準又はHCPに対して結合することが可能な部分にコンジュゲートした抗体は、次に、固体支持体に添加される。いかなる非結合性の検出抗体も、次に、固体支持体を、適切な洗浄緩衝剤で適切な回数洗浄することによって除去される。コーティング剤に結合した標準/サンプル(例えば、HCP)中の対象とする抗原のレベルは、利用される検出抗体に適合する検出系を使用して決定することができる。適切な検出手段は、当業者に公知である。
【0091】
標準/サンプル中の対象とする抗原の直接検出が利用される例では、一次抗体は、いくつかの手段(検出抗体)によって検出可能な部分にコンジュゲートされ、したがって、検出抗体でもあり、すなわち、一次抗体及び検出抗体は同じである。いかなる非結合性の検出抗体も、次に、固体支持体を、適切な洗浄緩衝剤で適切な回数洗浄することによって除去される。コーティング剤に結合した標準/サンプル(例えば、HCP)中の対象とする抗原のレベルは、利用される一次/検出抗体に適合する検出系を使用して決定することができる。適切な検出系は、当業者に公知である。
【0092】
結果は、特に、例えば、CHOK1SV発現系及びGS-CHO発現系を含む、複数の宿主細胞発現系を支持する頑健で、感度の高いHCP ELISAプラットホームアッセイを実証している。ELISAアッセイの改善された感度は、本明細書に記載されるように、精製されたポリクローナルHCP抗体を使用しないHCP ELISA方法よりも、少なくとも約40倍良好である。HCP抗体精製の間、99%超の全IgGは、HCPに対して免疫応答を示さず、したがって、最終的なHCP抗体から除去された。産業と規制にまたがって正確にマッチする定量化のための標準は存在しないので、HCPアッセイの感度は、細胞系及びプロセスに関してアッセイ特異的である。本明細書に記載される方法は、例えば、哺乳動物宿主細胞(例えば、CHO、例えば、GS-CHO)、真核生物宿主細胞、原核生物宿主細胞、昆虫細胞を含むが、限定されない、任意の組換え宿主細胞についての頑健で、感度の高いHCP ELISAプラットホームアッセイを生成させるため使用することができる。さらに、本発明の方法は、組換えタンパク質の生産に関する規制要件と関連させて使用することができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、本発明のHCP ELISAアッセイは、0.1~100、0.5~100、1~100、1.5~100、2~100、2.5~100、3~100、0.1~90、0.5~90、1~90、1.5~90、2~90、2.5~90、3~90、0.1~80、0.5~80、1~80、1.5~80、2~80、2.5~80、3~80、0.1~70、0.5~70、1~70、1.5~70、2~70、2.5~70、3~70、0.1~60、0.5~60、1~60、1.5~60、2~60、2.5~60、又は3~60ng/mlを含む濃度範囲での頑健及び信頼のおけるHCP検出について許容される正確性、精度、及び直線性を実証している。いくつかの実施形態では、HCP ELISAアッセイは、2から60ng/mlを含む濃度範囲での頑健及び信頼のおけるHCP検出について許容される正確性、精度、及び直線性を実証している。いくつかの実施形態では、HCP ELISAアッセイは、3から80ng/mlを含む濃度範囲での頑健及び信頼のおけるHCP検出について許容される正確性、精度、及び直線性を実証している。いくつかの実施形態では、本発明のHCP ELISAアッセイの検出限界は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10ng/mlである。いくつかの実施形態では、本発明のHCP ELISAアッセイの検出限界は、0.5ng/mlである。いくつかの実施形態では、本発明のHCP ELISAアッセイの検出限界は、2ng/mlである。いくつかの実施形態では、本発明のHCP ELISAアッセイの定量化限界は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10ng/mlである。いくつかの実施形態では、本発明のHCP ELISAアッセイの検出限界は、3ng/mlである。
【0094】
抗GS-CHO HCP抗体
本明細書に記載される方法は、HCPの検出のための、抗GS-CHO HCP抗体を提供することができる。抗GS-CHO HCP抗体は、標準的な分子生物学技術によって作製することができる。抗体は、任意の種から由来し得る。抗体は、モノクローナル若しくはポリクローナル又は本明細書に記載される「抗体」の任意のバリエーションであってもよい。いくつかの実施形態では、抗体は、ポリクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒツジにおいて作製されるポリクローナル抗体である。抗体は、検出可能な標識、例えば、化学修飾、酵素コンジュゲーション、蛍光色素標識化、ルミネセンス標識化などの付着により直接的に検出可能であり得る。抗体は、直接的に検出可能でなく、検出のための二次的な手段を必要としてもよい。これらのさまざまな特性を有する抗体は、購入又は標準的な分子生物学技術によって作製することができる。
【0095】
サンプル
サンプルには、組換えタンパク質産生の間の任意の期間(上流又は下流の処理するステップの間の任意の時点)での細胞培養から取られるサンプルが含まれるが、限定されない。例えば、サンプルは、細胞培養(例えば、組換えタンパク質産物の分離の前)から取られ得る。サンプルは、下流の処理するステップの間、例えば、組換えタンパク質産物を含有する培地からの細胞の分離ののちに取られ得る。サンプルは、精製プロセスの間の任意の及び複数の時点に取られ得る。サンプルには、最終産物のサンプルが含まれ得る。したがって、サンプルには、インプロセス産物(最終的な配合の前)及び最終産物(例えば、全ての精製ステップののちの最終的な配合産物)の両方が含まれ得る。
【0096】
固体支持体
固体支持体には、コーティング剤、例えば、抗GS-CHO HCP抗体、又はその均等物が固定化され得る、任意の表面が含まれ得る。固定化のために使用される固体支持体は、本質的に水不溶性であり、イムノメトリックアッセイに有用である、任意の不活性な支持体又は担体であってもよく、例えば、表面、粒子、多孔性マトリックスなどの形態における支持体を含む。一般に使用される支持体の例には、96ウェルマイクロタイタープレート、並びに粒子性材料、例えば、濾紙、アガロース、架橋デキストラン、及び他の多糖を含む、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどから製造された、小シート、セファデックス、塩化ビニル、プラスチックビーズ、及びアッセイプレート又は試験管が含まれる。或いは、反応性水不溶性マトリックス(reactive water insoluble matrix)、例えば、臭化シアン活性化炭水化物が、試薬固定化のコーティングのため適切に利用される。固定化コーティング剤は、マイクロタイタープレート、一例を挙げると、いくつかのサンプルを一度に分析するため使用することができるマルチウェルマイクロタイタープレートにコーティングすることができる。固体支持体表面には、膜、例えば、ニトロセルロース膜、ポリテトラフルオロエチレン(polytetraluorethylene)膜、セルロースアセテート膜、硝酸セルロース膜、疎水性基を含有する分子でコーティングされた固体表面、親水性基を含有する分子でコーティングされた固体表面も含まれ得るが、限定されない。固体支持体表面は、マイクロタイタープレート、例えば、ポリスチレンマイクロタイタープレート、細胞培養プレート、又は任意のそのバリエーションの形態においてであってもよい。
【0097】
捕捉試薬
用語「捕捉試薬」は、対象とする抗原(例えば、GS-CHO HCP)に直接的に結合する抗体を指す。捕捉抗体はまた、タンパク質修飾、例えば、ビオチン標識を有する検出抗体であり得る。抗体は、ヒト、ウサギ、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、ヒト、ウマ、イヌ、ネコ、ハムスター、サル、チンパンジー、ヒツジ、ウマ、ブタ、ウシ、霊長類などを含むが、限定されない、異なる種から由来し得る。いくつかの実施形態では、一次抗体は、ヒツジにおいて産生され、親和性精製される抗GS-CHO HCP抗体である。
【0098】
検出試薬
用語「検出試薬(detecting reagent)」又は「検出試薬(detection reagent)」は、「抗原」又は「抗体」を検出するため使用される標識抗体を指す。検出抗体はまた、一次抗体であり得る。抗体は、ヒト、ウサギ、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、ヒト、ウマ、イヌ、ネコ、ハムスター、サル、チンパンジー、ヒツジ、ウマ、ブタ、ウシ、霊長類などを含むが、限定されない、異なる種から由来し得る。検出抗体において使用される標識は、抗体に対するHCPの結合に干渉しない、任意の検出可能な機能性であってもよい。適切な標識の例は、直接的に検出され得る部分、例えば、蛍光染料、化学発光(chemiluminscent)、及び放射性標識、並びに検出されるため反応又は誘導体化されなければならない部分、例えば、酵素を含む、イムノアッセイを使用するため公知の多数の標識である。本発明において使用し得る適切な標識化方法には、同位体標識化、化学修飾、酵素コンジュゲーション、蛍光色素標識化、ルミネセンス標識化、及び当業者に一般に公知の他の標識化方法が含まれるが、限定されない。
【0099】
多種多様な抗原に対する市販の抗体は、当技術分野において公知である。当業者は、抗体又は他の検出剤に関する様々な標識化方法を認識している。標識化方法には、酵素、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(horse radish peroxide)(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)、ベータ-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、サッカライドオキシダーゼ(saccharide oxidase)、例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ(glactose oxidase)、及びグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、過酸化水素を利用して色素前駆体を酸化する酵素、例えば、HRP、ラクトペルオキシダーゼ、又はマイクロペルオキシダーゼと連結した、複素環オキシダーゼ(heterocyclic oxidase)、例えば、ウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼ、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、ビオチン/ストレプトアビジン-β-ガラクトシダーゼとMUG、スピンラベル、バクテリオファージ標識、安定フリーラジカル、又は他の酵素などが含まれるが、限定されない。検出剤はまた、放射性同位体、例えば、125I、32P、14C、3H、及び131I、又は他の同位体で標識され得る。蛍光色素標識には、フルオロフォア、例えば、希土類錯体(rare earth cheat)又はフルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシフェラーゼ(luceriferases)、例えば、ホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、フルオレセインイソチオシアネート(fluorescin isothiocynate)(FITC)、ローダミン、Texas Red、Alexa488、Cy5、Cy3、Alexa610、7-AAD、ヨウ化プロピジウム、Cy7、フィコエリトリンなどが含まれ得るが、限定されない。検出剤は、蛍光プレートリーダー、蛍光顕微鏡、蛍光光度計、カメラ、又はスキャナーによって検出することができる蛍光染料(蛍光色素)によって標識することができる。検出剤はまた、ルミネセンス方法によって検出することができるルミクロムによって標識することができる。或いは、検出剤は、アビジン又はストレプトアビジンに結合することができる、標識ビオチンであってもよい。アビジン又はストレプトアビジンは、ビオチン、ビオチン化抗体、又はビオチン化されたポリペプチドに結合することができる検出剤として使用することができる。
【0100】
従来の方法は、これらの標識をタンパク質又はポリペプチドに共有結合的に結合させるため利用可能である。一例を挙げると、カップリング剤、例えば、ジアルデヒド、カルボジイミド、ジマレイミド、ビス-イミデート、ビス-ジアゾ化ベンジジンなどは、抗体を上記の蛍光、化学発光、及び 酵素標識でタグ化するため使用され得る。例えば、米国特許第3,940,475号(蛍光定量法)及び同第3,645,090号(酵素);Hunterら Nature 144:945ページ(1962);Davidら Biochemistry 13:1014~1021ページ(1974);Painら J. Immunol. Methods 40:219~230ページ(1981);及びNygren J. Histochem. and Cytochem. 30:407~412ページ(1982)を参照されたい。本明細書における好ましい標識は、8pg/mlに増幅度及び感度を増加させるための蛍光であり、より好ましくは、シグナルを増幅するための、ビオチンとストレプトアビジン-β-ガラクトシダーゼ及びMUGである。
【0101】
酵素を含む、このような標識の抗体に対するコンジュゲーションは、イムノアッセイ技術における当業者にとって標準的な操作手順である。例えば、O’Sullivanら 酵素イムノアッセイにおける使用のための酵素-抗体コンジュゲートの調製のための方法(Methods for the Preparation of Enzyme-antibody Conjugates for Use in Enzyme Immunoassay) in Methods in Enzymology、ed. J. Langone and H. Van Vunakis、Vol. 73(Academic Press、New York、N.Y.、1981)、pp.147~166ページを参照されたい。
【0102】
検出系
用語「検出系」は、サンプル中のタンパク質又は因子の量又は相対量に関連する情報を含む読み出し情報を与えるため使用することができる手段を指す。検出系の選択は、使用される検出抗体の選択に依存する。例えば、検出抗体が酵素での標識である場合、化学反応が色又は化学発光シグナルをもたらし得る;検出系には、適切な基質及び化学反応に関連する任意の必要な試薬及び化学反応を検出する手段、例えば、視覚的検査、シグナルを検出することが可能な装置、例えば、吸光度プレートリーダー、化学発光プレートリーダー、CCDカメラなどが含まれ得る;或いは、検出抗体が蛍光性に標識される場合、蛍光顕微鏡、蛍光プレートリーダー、蛍光セルソーター、蛍光スキャナー、カメラなどが使用され得る;或いは、検出抗体が同位体標識される場合、X線フィルム又は他の同位体感受性材料が使用され得る。
【0103】
当業者は、使用のため適切な異なる検出系を認識する。これらの検出系には、例えば、レポーター酵素、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)又はアルカリホスファターゼ(alkaline phoshatase)(AP)などの発色反応を使用する検出系が含まれ得る。レポーター酵素は、発色検出のため異なる基質を使用することができる、例えば、HRPは、発色検出のための基質として4CN(4-クロロ-1-ナフトール(napthol))、DAB/NiCl2(3,3’-ジアミノベンジジン/NiCl2)又はTMBを使用することができる。蛍光標識には、フルオレセインイソチオシアネート(fluorescin isothiocynate)(FITC)、ローダミン、Texas Red、Alexa488、Cy5、Cy3、Alexa610、7-AAD、ヨウ化プロピジウム、Cy7、フィコエリトリンなどが含まれるが、限定されない。さまざまな及び適切な停止剤は、検出反応を終了させるため使用することができる。使用される特異的な停止剤は、使用される検出剤に依存し、当業者に公知である。例えば、1M硫酸は、西洋ワサビペルオキシダーゼ酵素を使用する検出系のための停止基質として使用することができる。
【0104】
ブロッキング緩衝剤
コーティング剤でのインキュベーションののちに、固体支持体における残存するいかなる結合部位もブロックするため使用されるブロッキング緩衝剤が、使用され得る。ブロッキング緩衝剤の例には、カゼイン、例えば、1XPBS中のカゼイン、1XPBS中の0.1~1%カゼイン、1XPBS中の0.1~0.5%カゼイン、1XPBS中の0.2%カゼイン;BSA、例えば、1XPBS中のBSA、例えば、1XPBS中の1%BSA、1XPBS中の1~10%BSA、1XPBS中の1~20%BSA、1XPBS中の1~50%BSA;脱脂乳、魚ゼラチン、又は他の化学試薬が含まれるが、限定されない。上記の任意の試薬又は他の適切な化学試薬は、任意の適切な緩衝剤、例えば、リン酸緩衝食塩水(PBS)又はトリス緩衝食塩水(TBS)中に希釈され得る。
【0105】
洗浄緩衝剤は、さまざまなステップで非結合性の成分を除去するため使用され得る。洗浄緩衝剤の例には、カゼイン、例えば、1XPBS中のカゼイン、1XPBS中の0.1~1%カゼイン、1XPBS中の0.1~0.5%カゼイン、1XPBS中の0.2%カゼイン;BSA、例えば、1XPBS中のBSA、例えば、1XPBS中の1%BSA、1XPBS中の1~10%BSA、1XPBS中の1~20%BSA、1XPBS中の1~50%BSA;Tween(登録商標)20を含有する1XPBS中のBSA、例えば、0.05% Tween(登録商標)20を含有する1XPBS中のBSA、0.05%Tween(登録商標)20を含有する1XPBS中の1%BSA、0.05~1% Tween(登録商標)20を含有する1XPBS中の1%BSA;Tween(登録商標)20、例えば、1XPBS中のTween(登録商標)20、例えば、1XPBS中の0.05% Tween(登録商標)20;脱脂乳、カゼイン、魚ゼラチン、又は他の化学試薬が含まれるが、限定されない。洗浄緩衝剤には、Triton X100又はTween(登録商標)20などを有する溶液中に以下の任意のBSA、脱脂乳、カゼイン、魚ゼラチン、又は他の化学薬品が含まれ得る。これらの溶液は、リン酸緩衝食塩水(PBS)、トリス緩衝食塩水(TBS)を含むが、限定されない、任意の適切な緩衝剤中に希釈され得る。
【0106】
洗浄ステップは、複数回実施することができ、また利用される洗浄緩衝剤に依存することになる。例えば、洗浄するステップは、所与の洗浄期間に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は10回を超えて繰り返すことができる。当業者は、使用される洗浄緩衝剤及び他の実験条件に基づいて必要な洗浄ステップの数を決定することができる。
【0107】
任意の標準、サンプル、抗体、又は検出剤を希釈するため使用される緩衝剤は、当業者に公知であり、カゼイン、例えば、1XPBS中のカゼイン、1XPBS中の0.1~1%カゼイン、1XPBS中の0.1~0.5%カゼイン、1XPBS中の0.2%カゼイン;BSA、例えば、1XPBS中のBSA、例えば、1XPBS中の1%BSA、1XPBS中の1~10%BSA、1XPBS中の1~20%BSA、1XPBS中の1~50%BSA;脱脂乳、カゼイン、魚ゼラチン、又は他の化学試薬を含み得るが、限定されない。いくつかの事例では、任意の標準、サンプル、抗体、又は検出剤を希釈するため使用される緩衝剤は、ブロッキング緩衝剤として使用される同じ剤である。
【0108】
インキュベーション期間及び温度
さまざまなステップのための適切なインキュベーション期間は、当業者によって決定され得る。特定のインキュベーションステップのための期間は、インキュベーションステップの温度における変化に起因して変更されてもよく、同様に、インキュベーションステップの時間における変化は、インキュベーションステップの温度における変化を必要としてもよい。コーティングステップは、例えば、4℃又は約4℃で終夜、2~10℃又は約2~10℃で終夜、37℃又は約37℃で4時間、37℃又は約37℃で2~4時間、37℃又は約37℃で1~4時間、32℃又は約32℃で4時間、32℃又は約32℃で2~4時間、32℃又は約32℃で1~4時間実施されてもよい。ブロッキングステップは、例えば、32℃又は約32℃で1時間;32℃又は約32℃で1~2時間;4℃又は約4℃で終夜実施されてもよい。標準/サンプルインキュベーションステップは、例えば、32℃又は約32℃で2時間;32℃又は約32℃で1~2時間;4℃又は約4℃で終夜実施されてもよい。一次抗体又は一次/検出抗体インキュベーションステップは、例えば、32℃又は約32℃で1時間;32℃又は約32℃で1~2時間;4℃又は約4℃で終夜実施されてもよい。いかなる検出系のインキュベーション期間及び温度も、厳密に利用される検出抗体に依存的であり、当業者に公知である。
【0109】
キット
本明細書に記載される方法を実施するため有用な1つ又は複数の要素を含むキットは、任意の必要な成分、試薬、又は本明細書に記載される方法を実施するため必要な材料、及び/又は本明細書に記載される方法を実施するための説明書を含み得るが、限定されない。キットは、任意選択で、本明細書に記載される方法を実施するための、任意の追加の洗浄剤、インキュベーション容器、固体支持体表面などを含み得る。
【0110】
キットは、別々のエレメントとして提供され得る又はコーティング剤が前もって固定化されている、コーティング剤のための固体支持体を含み得る。したがって、キットにおけるコーティング剤は、固体支持体に固定化されてもよく、又はそれらは、キットに含まれる若しくはキットと別に提供される支持体に固定化されてもよい。コーティング剤は、マイクロタイタープレートにコーティングされてもよい。一次抗体は、未標識であってもよい又は標識されてもよい。一次抗体は、標識され、検出抗体中にあってもよい。標識が酵素である場合、キットは、酵素によって必要とされる基質及び補助因子を含み得る並びに標識がフルオロフォアである場合、キットは、検出可能な発色団を提供する色素前駆体を含み得る。キットはまた、アッセイを実施するための説明書、及び/又は参照標準、並びに他の添加物、例えば、安定化剤、洗浄及びインキュベーション緩衝剤などを含み得る。
【0111】
産物及びそれらをコードする核酸
産物を産生することが可能な細胞又は細胞系を、同定する、選択する、又は作製するための方法が本明細書において提供される。本発明の開示によって包含される産物には、細胞によって産生され得る、例えば、細胞において発現される、分子、核酸、ポリペプチド(例えば、組換えポリペプチド)、又はそのハイブリッドが含まれるが、限定されない。いくつかの実施形態では、細胞は、産物を産生させるため、操作される又は修飾される。そのような修飾には、産物の産生を制御する又はもたらす分子を導入することが含まれる。例えば、細胞は、ポリペプチド、例えば、組換えポリペプチドをコードする外来性核酸を導入することによって修飾され、細胞は、ポリペプチド、例えば、組換えポリペプチドの産生、例えば、発現及び分泌に適切な条件下で培養される。別の例では、細胞が、例えば、未修飾細胞において、内因性に産生されるレベル又は量よりも高いレベル又は量のポリペプチドを産生するように、細胞によって内因性に発現されるポリペプチドの発現を制御、例えば、増加させる外来性核酸を導入することによって細胞は修飾される。
【0112】
実施形態では、本明細書に記載される方法によって同定される、選択される、又は生成される細胞又は細胞系は、医学的な状態、障害又は疾患の処置に有用な、産物、例えば、組換えポリペプチドを産生する。医学的な状態、障害又は疾患の例には、代謝病又は障害(例えば、代謝酵素欠損)、内分泌障害(例えば、ホルモン欠損)、止血(haemostasis)、血栓症、造血障害、肺障害、胃腸障害、免疫調節(例えば、免疫不全)、不妊症、移植、がん、及び感染性疾患が含まれるが、限定されない。
【0113】
いくつかの実施形態では、産物は、外来性タンパク質、例えば、細胞によって天然で発現されないタンパク質である。産物は、例えば、薬物スクリーニングのため有用な治療タンパク質又は診断上のタンパク質であり得る。治療又は診断上のタンパク質は、抗体分子、例えば、抗体又は抗体断片、融合タンパク質、ホルモン、サイトカイン、成長因子、酵素、糖タンパク質、リポタンパク質、レポータータンパク質、治療ペプチド、又はこれらの任意の構造上の及び/又は機能的な断片又はハイブリッドであり得る。
【0114】
一実施形態では、産物、例えば、組換えポリペプチドは、抗体分子である。本明細書に包含される産物は、診断及び治療抗体分子を含む。診断抗体分子には、イメージング技術のため有用な、抗体、例えば、モノクローナル抗体又はその抗体断片が含まれる。治療抗体分子は、例えば、疾患又は障害の処置又は予防のため、対象への投与に適切である。
【0115】
抗体分子は、タンパク質、又は抗原と特異的に結合する免疫グロブリン分子から由来するポリペプチド配列である。一実施形態では、抗体分子は、完全長抗体又は抗体断片である。抗体及びマルチフォーマットタンパク質は、ポリクローナル又はモノクローナル、複数又は単一鎖、又はインタクトな免疫グロブリンであり得、天然供給源から又は組換え供給源から由来し得る。抗体は、免疫グロブリン分子の四量体であり得る。一実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。抗体は、ヒト又はヒト化抗体であり得る。一実施形態では、抗体は、IgA、IgG、IgD、又はIgE抗体である。一実施形態では、抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4抗体である。
【0116】
「抗体断片」は、インタクトな抗体の少なくとも一部、又はその組換えバリアントを指す、並びに抗原結合ドメイン、例えば、抗原などの標的に対する抗体断片の認識及び特異的な結合を付与するため十分であるインタクトな抗体の抗原性決定可変領域を指す。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片、scFv抗体断片、直鎖状抗体、単一ドメイン抗体、例えば、sdAb(VL又はVHのいずれか)、ラクダ科(camelid)VHHドメイン、及び抗体断片から形成される多重特異的抗体、例えば、ヒンジ領域でのジスルフィド架橋によって連結される2つのFab断片を含む二価断片、及び抗体の単離されたCDR又は他のエピトープ結合断片が含まれるが、限定されない。抗原結合断片はまた、単一ドメイン抗体、マキシボディ(maxibody)、ミニボディ、ナノボディ、イントラボディ(intrabody)、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、v-NAR及びbis-scFvに組込むことができる(例えば、Hollinger and Hudson、Nature Biotechnology 23:1126~1136ページ、2005を参照されたい)。抗原結合断片はまた、ポリペプチド、例えば、フィブロネクチンタイプIII(Fn3)に基づく足場にグラフトされ得る(フィブロネクチンポリペプチドミニボディを記載する、米国特許第:6,703,199号を参照されたい)。
【0117】
本明細書に記載される方法又は細胞において産生される、例示的な産物、例えば、ポリペプチド、例えば、組換えポリペプチドは、以下の表に提供される。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0118】
別の実施形態では、産物は、二重特異性分子である。本明細書に記載の二重特異性分子は、2つ又はそれを超える別個の抗原又は標的に結合することができる分子を含む。一実施形態では、二重特異性分子は、抗体断片を含む。一実施形態では、二重特異性分子は、二重特異性抗体、二重特異性抗体融合タンパク質、又は二重特異性抗体コンジュゲート、Bi-specific T cell Engager(BiTE)分子、Dual Affinity Re-Targeting(DART)分子、Dual Action Fab(DAF)分子、ナノボディ、又は2つの別個の抗原を認識する又は結合する能力を有する分子をもたらす抗体断片の他の配置を含む。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【0119】
他の例示的な又は診断上のタンパク質には、Leaderら、「Protein therapeutics: a summary and pharmacological classification」、Nature Reviews Drug Discovery、2008、7:21~39ページ(本明細書に参照によって組込まれる)の表1~10に記載される任意のタンパク質;又は本明細書に記載される組換えポリペプチドの任意のコンジュゲート、バリアント、類似体、又は機能的な断片が含まれるが、限定されない。
【0120】
他の組換え産物には、非抗体足場又は代替タンパク質足場、例えば、DARPins、アフィボディ及びアドネクチンが含まれるが、限定されない。そのような非抗体足場又は代替タンパク質足場は、1つ又は2つ、又はそれを超える、例えば、1、2、3、4、又は5又はそれを超える、異なる標的又は抗原を認識する又は結合するため操作され得る。
【0121】
本明細書に記載される、産物、例えば、ポリペプチド、例えば、組換えポリペプチドをコードする核酸、例えば、外来性核酸も本明細書において提供される。所望の組換えポリペプチドをコードする核酸配列は、例えば、標準技術を使用して、所望の核酸配列、例えば、遺伝子を発現する細胞のライブラリーをスクリーニングすることによる、同じものを含むことが公知のベクターから核酸配列を誘導することによる、又は同じものを含有している細胞及び組織から直接的に単離することによる、当技術分野において公知である組換え方法を使用して取得することができる。或いは、組換えポリペプチドをコードする核酸は、クローン化というよりも合成的に産生することができる。組換えDNA技術及びテクノロジーは、当技術分野において高度に進歩しており、確立している。したがって、本明細書に記載される組換えポリペプチドのアミノ酸配列の知識を有する当業者は、組換えポリペプチドをコードするであろう核酸配列を容易に想定又は生成させることができる。
【0122】
いくつかの実施形態では、外来性核酸は、宿主細胞によって内因性に発現される産物の発現を制御する。そのような実施形態では、外来性核酸は、内因性産物(本明細書で「内因性産物トランス活性化配列」とも呼ばれる)の発現を増加させる、1つ又は複数の核酸配列を含む。例えば、内因性産物の発現を増加させる核酸配列は、構成的に活性なプロモーター又は、例えば、所望の部位での転写を増加させる、例えば、所望の内因性遺伝子産物の発現を増加させる、より強力なプロモーターを含む。内因性産物トランス活性化配列を含む外来性核酸の導入後、前記外来性核酸は、内因性産物トランス活性化配列が、所望の内因性産物のトランス活性化又は発現を増加するように、例えば、内因性産物をコードするゲノム配列に対して近位である事前に選択した位置で、細胞の染色体ゲノムに組込まれる。内因性産物の発現を増加させるため、細胞を修飾する、例えば、外来性核酸を導入する、他の方法は、例えば、参照することによってその全体が本明細書に組込まれる米国特許第5,272,071号に記載されている。
【0123】
本明細書に記載される産物の発現は、組換えポリペプチド又はその部分をコードする核酸をプロモーターに作動可能に連結すること、及び構築物を発現ベクターに組込むことによって典型的に達成される。ベクターは、真核生物又は原核生物に複製及び組込むため適切であり得る。典型的なクローニングベクターは、所望の核酸配列の発現の制御のため有用な、他の制御エレメント、例えば、転写及び翻訳ターミネーター、開始配列、及びプロモーターを含有する。
【0124】
産物、例えば、組換えポリペプチドをコードする又は内因性産物の発現を制御することができる核酸配列を含む、本明細書に記載される核酸配列は、いくつかのタイプのベクターにクローン化することができる。例えば、核酸は、プラスミド、ファージミド、ファージ誘導体、動物ウイルス、及びコスミドを含むが、限定されないベクターにクローン化することができる。特に対象とするベクターには、発現ベクター、複製ベクター、プローブ生成ベクター(probe generation vector)、及びシークエンシングベクターが含まれる。実施形態では、発現ベクターは、ウイルスベクターの形態で細胞に提供され得る。ウイルスベクターテクノロジーは、当技術分野において周知であり、例えば、Sambrookら、2012、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、volumes 1~4、 Cold Spring Harbor Press、NY)、及び他のウイルス学及び分子生物学マニュアルに記載されている。ベクターとして有用であるウイルスは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、及びレンチウイルスを含むが、限定されない。一般に、適切なベクターは、少なくとも1つの生物において機能的な複製起点、プロモーター配列、簡便な制限酵素部位、及び1つ又は複数の選択可能なマーカーを含有する(例えば、WO01/96584;WO01/29058;及び米国特許第6,326,193号)。ウイルスから由来するベクターは、長期の遺伝子移動を達成させるための適切なツールである、というのも、それらは、導入遺伝子の長期の安定な組込み及び娘細胞におけるその伝播を可能にするからである。
【0125】
ベクターはまた、例えば、分泌を促進させるためのシグナル配列、ポリアデニル化シグナル及び転写ターミネーター(例えば、ウシ成長ホルモン(BGH)遺伝子由来)、エピソーム複製及び原核生物における複製を可能にするエレメント(例えば、SV40起源及びColE1又は当技術分野において公知である他のもの)及び/又は選択を可能にするエレメント、例えば、選択マーカー又はレポーター遺伝子を含み得る。
【0126】
一実施形態では、ポリペプチド、例えば、組換えポリペプチドをコードする核酸配列を含むベクターは、ポリペプチド、例えば、組換えポリペプチドの発現のため転写開始を可能にするポリメラーゼの動員に関わるプロモーター配列を更に含む。一実施形態では、本明細書に記載される方法のため適切なプロモーター配列は、多量の転写を駆動し、それ故、標的外来性mRNAの大量のコピーを送達する、エンハンサーと通例では関連する。一実施形態では、プロモーターは、両方とも、それらの同名のウイルス又はそれから由来するプロモーターから由来する、サイトメガロウイルス(CMV)主要初期プロモーター(Xia、Bringmannら 2006)及びSV40プロモーター(Chernajovsky、Moryら 1984)を含む。いくつかの他の頻度の低いウイルスプロモーターは、ラウス肉腫ウイルス末端反復配列 (RSV-LTR)及びモロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)LTR(Papadakis、Nicklinら 2004)を含む発現ベクターに含める際に転写を駆動するため首尾よく利用されている。別の実施形態では、特異的な内因性哺乳動物プロモーターを、対象とする遺伝子の構成的な転写を駆動するため利用することができる(Pontiller、Grossら 2008)。CHO特異的チャイニーズハムスター伸長因子1-アルファ(CHEF1α)プロモーターは、ウイルスベース配列を代替する高い収量を提供する(Deer、Allison 2004)。プロモーターに加えて、本明細書に記載されるベクターは、上記のようなエンハンサー領域(転写の割合を上方制御する転写因子を動員することができる、コアプロモーターに対して近位である、特異的なヌクレオチドモチーフ領域)を更に含む(Riethoven 2010)。これらの領域は、プロモーター配列と類似して、ウイルスから由来することが多く、プロモーター配列内に包含され、例えば、hCMV及びSV40エンハンサー配列である又はアデノウイルス由来配列などに追加的に含まれ得る(Gaillet、Gilbertら 2007)。
【0127】
一実施形態では、本明細書に記載される、産物、例えば、ポリペプチド、例えば、組換えポリペプチドを含むベクターは、選択マーカーをコードする核酸配列を更に含む。一実施形態では、選択可能なマーカーは、グルタミン合成酵素(GS);ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、例えば、メトトレキセート(MTX)に対する耐性を付与する酵素;又は抗生物質マーカー、例えば、抗生物質、例えば、ハイグロマイシン、ネオマイシン(G418)、ゼオシン、ピューロマイシン、又はブラストサイジンに対する耐性を付与する酵素を含む。別の実施形態では、選択マーカーは、Selexis選択系(例えば、SUREテクノロジープラットホーム(商標)及びSelexis Genetic Elements(商標)、Selexis SAから市販される)又はCatalant選択系を含む又はそれに適合する。
【0128】
一実施形態では、本明細書に記載される組換え産物をコードする核酸配列を含むベクターは、細胞を同定することに有用である選択マーカーを含む又は細胞は、本明細書に記載される組換え産物をコードする核酸を含む。別の実施形態では、選択マーカーは、本明細書に記載されるように、組換え産物をコードする核酸配列のゲノムへの組込みを含む細胞(単数又は複数)を同定することに有用である。組換えタンパク質をコードする核酸配列が組込まれている細胞(単数又は複数)の同定は、産物を安定的に発現する細胞又は細胞系の選択及び操作のため有用であり得る。
【0129】
使用のため適切なベクターは、市販されており、Lonza Biologics、Incから利用可能である、GS発現系(商標)、GS Xceed(商標)遺伝子発現系、又はPotelligent(登録商標)CHOK1SVテクノロジーに関連するベクター、例えば、参照することによってその全体が本明細書に組込まれる、Fanら、Pharm. Bioprocess. (2013); 1(5):487~502ページに記載されるようなベクターを含む。GS発現ベクターは、GS遺伝子、又はその機能的な断片(例えば、GSミニ遺伝子)、及び1つ又は複数、例えば、1、2、若しくは3、又はそれを超える、対象とする遺伝子、例えば、本明細書に記載される組換えポリペプチドをコードする核酸の発現のための効率の高い転写カセットを含む。GSミニ遺伝子は、ゲノムCHO GS遺伝子のイントロン6を含む、例えば、からなる。一実施形態では、GSベクターは、SV40Lプロモーター及び1つ又は2つのpolyAシグナルと作動可能に連結しているGS遺伝子を含む。別の実施形態では、GSベクターは、SV40Eプロモーター、SV40スプライシング及びポリアデニル化シグナルと作動可能に連結しているGS遺伝子を含む。そのような実施形態では、例えば、対象とする遺伝子の発現のための転写カセット又は本明細書に記載される組換えポリペプチドには、第一のイントロンを含む、hCMV-MIE遺伝子からのhCMV-MIEプロモーター及び5’非翻訳配列が含まれる。他のベクターは、例えば、他の選択マーカーが、本明細書に記載される発現ベクターにおけるGS遺伝子に関して置換された、GS発現ベクターに基づいて構築することができる。
【0130】
本明細書に記載される方法における使用のため適切なベクターには、他の市販のベクター、例えば、pcDNA3.1/Zeo、pcDNA3.1/CAT、pcDNA3.3TOPO(Thermo Fisher、以前はInvitrogen);pTarget、HaloTag(Promega);pUC57(GenScript);pFLAG-CMV(Sigma-Aldrich);pCMV6(Origene);pEE12又はpEE14(Lonza Biologics)、又はpBK-CMV/pCMV-3Tag-7/pCMV-Tag2B(Stratagene)が含まれるが、限定されない。
【0131】
細胞及び細胞培養
実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞である。他の実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞以外の細胞である。一実施形態では、細胞は、マウス、ラット、チャイニーズハムスター、シリアンハムスター、サル、類人猿(ape)、イヌ、ウマ、フェレット、又はネコである。実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞又はげっ歯類細胞、例えば、ハムスター細胞、マウス細胞、又はラット細胞である。別の実施形態では、細胞は、カモ、オウム、魚、昆虫、植物、真菌、又は酵母からの細胞である。一実施形態では、細胞は、古細菌である。一実施形態では、細胞は、アクチノバクテリアの種である。
【0132】
一実施形態では、細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。一実施形態では、細胞は、CHO-K1細胞、CHO-K1 SV細胞、DG44 CHO細胞、DUXB11 CHO細胞、CHOS、CHO GSノックアウト細胞、CHO FUT8 GSノックアウト細胞、CHOZN、又はCHO-由来細胞である。CHO GSノックアウト細胞(例えば、GSKO細胞)は、例えば、CHO-K1SV GSノックアウト細胞(Lonza Biologics、Inc.)である。CHO FUT8ノックアウト細胞は、例えば、Potelligent(登録商標)CHOK1 SV(Lonza Biologics、Inc.)である。
【0133】
一実施形態では、細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。一実施形態では、細胞は、CHO-K1細胞、CHO-K1 SV細胞、CHO-GSKO細胞、CHOXceed細胞である。CHO GSノックアウト細胞(例えば、GS-CHO細胞)は、例えば、CHO-K1SV GSノックアウト細胞(Lonza Biologics、Inc.)である。CHO FUT8ノックアウト細胞は、例えば、Potelligent(登録商標)CHOK1 SV(Lonza Biologics、Inc.)である。
【0134】
別の実施形態では、細胞は、HeIa、HEK293、HT1080、H9、HepG2、MCF7、Jurkat、NIH3T3、PC12、PER.C6、BHK(ベビーハムスター腎臓細胞)、VERO、SP2/0、NS0、YB2/0、Y0、EB66、C127、L cell、COS、例えば、COS1及びCOS7、QC1-3、CHOK1、CHOK1SV、Potelligent CHOK1SV、CHO GSノックアウト、CHOK1SV GS-KO、CHOS、CHO DG44、CHO DXB11、及びCHOZN、又はそれから由来する任意の細胞である。一実施形態では、細胞は、幹細胞である。一実施形態では、細胞は、本明細書に記載される任意の細胞の分化型である。一実施形態では、細胞は、培養における任意の初代細胞から由来する細胞である。
【0135】
一実施形態では、細胞は、組換えポリペプチドをコードする、例えば、組換えポリペプチド、例えば、表1又は2から選択される組換えポリペプチドを発現する外来性核酸を含む、本明細書に記載される、いずれか1つの細胞である。
【0136】
一実施形態では、細胞培養は、バッチ培養、フェッド-バッチ培養、ドロー及び充填培養(draw and fill culture)、又は連続培養として実施される。一実施形態では、細胞培養は、浮遊培養である。一実施形態では、細胞又は細胞培養は、組換えポリペプチドの発現のためインビボに配置され、例えば、モデル生物又はヒト対象に配置される。
【0137】
一実施形態では、培養培地は、血清非含有である。無血清及び無タンパク質培地は、市販されている、例えば、Lonza Biologics。
【0138】
哺乳動物細胞系のため適切な培地及び培養方法は、一例を挙げると、米国特許第5,633,162号に記載されるように、当分野において周知である。研究室でのフラスコ又は低密度細胞培養のための及び特定の細胞タイプの必要性に適合される標準的な細胞培養培地の例は、一例を挙げると:Roswell Park Memorial研究所(RPMI)1640培地(Morre、G.、The Journal of the American Medical Association、199、p. 519 f. 1967)、L-15培地(Leibovitz、A.ら、Amer. J. of Hygiene、78、1p. 173 ff、1963)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、イーグル最小必須培地(MEM)、ハムF12培地(Ham、R.ら、Proc. Natl. Acad. Sc.53、p288 ff. 1965)又はアルブミン、トランスフェリン及びレシチンを欠くIscovesの改変DMEM(Iscovesら、J. Exp. med. 1、p. 923 ff.、1978)である。一例を挙げると、ハムのF10又はF12培地は、特にCHO細胞培養のため設計された。特にCHO細胞培養に適合させた他の培地は、EP-481791に記載される。そのような培養培地がウシ胎児血清(FBS、ウシ胎児血清FCSとも称される)を添加されてもよいことが公知であり、後者は多量のホルモン及び成長因子の天然の供給源を提供する。哺乳動物細胞の細胞培養は、現在では日常的な操作であり、科学のテキストブック及びマニュアル中によりよく記載され、例えば、R. Ian Fresney、Culture of Animal cells、a manual、4th edition、Wiley-Liss/N.Y.、2000に詳細に論じられている。
【0139】
他の適切な培養方法は、当業者に公知であり、利用される組換えポリペプチド産物及び宿主細胞に依存し得る。細胞によって発現される組換えポリペプチドの発現及び産生のため適切な条件を決定又は至適化することは、当業者の能力の範囲内である。
【0140】
一態様では、細胞又は細胞系は、産物、例えば、組換えポリペプチドをコードする、外来性核酸を含む。一実施形態では、細胞又は細胞系は、産物、例えば、治療又は診断上の産物を発現する。所望の ポリペプチド又はタンパク質を発現させるため細胞を遺伝的に修飾する又は操作するための方法は、当技術分野において周知であり、例えば、トランスフェクション、トランスダクション(例えば、ウイルストランスダクション)、又はエレクトロポレーションを含む。
【0141】
本明細書に記載される外来性核酸又はベクターなどの核酸を宿主細胞に導入するための物理的方法には、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、微粒子銃、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどが含まれる。ベクター及び/又は外来性核酸を含む細胞を産生するための方法は、当技術分野において周知であり、例えば、Sambrookら、2012、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、volumes 1~4、Cold Spring Harbor Press、NY)を参照されたい。
【0142】
本明細書に記載される外来性核酸又はベクターなどの核酸を宿主細胞に導入するための化学的方法には、コロイド性分散系、例えば、高分子複合体(macromolecule complex)、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ、及び水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセル、及びリポソームを含む、脂質ベース系が含まれる。インビトロ及びインビボで送達ビヒクルとして使用するための例示的なコロイド系は、リポソーム(例えば、人工膜ベシクル)である。核酸の最新の標的化された送達の他の方法が、利用可能であり、例えば、標的化されたナノ粒子又は他の適切なサブミクロンサイズの送達系でのポリヌクレオチドの送達である。
【0143】
実施形態では、外来性核酸の宿主細胞の核酸、例えば、宿主細胞のゲノム又は染色体核酸への組込みが、所望される。外来性核酸の宿主細胞のゲノムへの組込みが起こっているかどうかを決定するための方法には、GS/MSX選択方法が含まれ得る。GS/MSX選択方法は、細胞からのタンパク質の高レベル発現に関して選択するため、組換えGS遺伝子によるグルタミン栄養要求性の補完性を使用する。簡潔に述べると、GS/MSX選択方法は、組換えポリペプチド産物をコードする外来性核酸を含むベクターにおけるグルタミン合成酵素をコードする核酸を含めることを含む。メチオニンスルホキシイミン(MSX)の投与により、組換えポリペプチド及びGSの両方をコードする外来性核酸がゲノムに安定的に組込まれた細胞が選択される。GSはいくつかの宿主細胞、例えば、CHO細胞によって内因性に発現され得るので、MSXでの選択の濃度及び持続時間は、組換えポリペプチド産物の宿主ゲノムへの安定的な組込みを有する高産生細胞を同定するため、最適化され得る。GS選択及びその系は、参照することによってその全体が本明細書に組込まれる、Fanら、Pharm. Bioprocess. (2013); 1(5):487~502ページに更に記載されるようなベクターを含む。
【0144】
外来性核酸が宿主細胞ゲノムに安定的に組込まれている細胞を同定する及び選択するための他の方法には、外来性核酸にレポーター遺伝子を含めること及び細胞におけるレポーター遺伝子の存在の評価、及び外来性核酸のPCR分析及び検出が含まれるが、限定されない。
【0145】
一実施形態では、本明細書に記載される方法を使用して選択される、同定される、又は生成される細胞は、安定的な発現、例えば、組換えポリペプチドをコードする外来性核酸の組込みのための選択方法のみを使用して選択される細胞よりも高い収量のタンパク質産物を産生することが可能である。一実施形態では、本明細書に記載される方法を使用して選択される、同定される、又は生成される細胞は、タンパク質分解の阻害剤と接触されていなかった細胞、又は安定的な発現、例えば、組換えポリペプチドをコードする外来性核酸の組込みのための選択のみされた細胞と比較して、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、又は10倍又はそれを超える産物、例えば、組換えポリペプチドを産生する。
【0146】
細胞系及び組換えポリペプチド産生のための方法
哺乳動物及び微生物選択系の両方における当技術分野における現在の最新技術は、RNAへのDNAの転写のレベルで選択圧を適用することである。対象とする遺伝子は、対象とする遺伝子の高発現をもたらす可能性が高い、選択マーカーを高レベルで発現させる選択マーカーに厳密に連結される。高レベルで選択マーカーを発現する細胞は、生存及び増殖することができ、発現しないものは、生存及び増殖する可能性が低く、例えば、アポトーシス(apoptose)及び/又は死亡する。このような方法で、細胞の集団は、選択マーカーを発現する細胞に関して富化され得ることから、対象とする遺伝子が高レベルであることが含意され得る。この方法は、直接的なタンパク質の発現について非常に成功することが証明されている。
【0147】
一態様では、本開示は、産物、例えば、組換えポリペプチドを産生する細胞又は細胞系を生成するための方法を提供する。別の態様では、本開示は、本明細書に記載される方法を使用して同定される、分類される、選択される、又は生成される細胞を使用して本明細書に記載される産物、例えば、組換えポリペプチドを産生するための方法を提供する。任意の前述の方法には、産物、例えば、組換えポリペプチドを高産生する能力を有する細胞を、同定する又は作製するため、例えば、細胞をタンパク質分解の阻害剤と接触させることによって、本明細書に記載されるような細胞を評価するステップ、同定するステップ、分類するステップ、又は選択するステップが含まれる。本明細書に記載される方法は、例えば、産生、組換えポリペプチドの発現及び/又は分泌を増加させる。
【0148】
理論に縛られることを望まないが、より高い生産が可能な細胞は、タンパク質分解の阻害剤に対して感受性が低いと考えられ、したがって、細胞を、本明細書に記載される外来性核酸を含むタンパク質分解の阻害剤と接触させるステップが、より高い生産が可能な細胞に対する選択をもたらすと考えられる。
【0149】
いくつかの実施形態では、追加ステップが、産物の発現、例えば、産物の転写、翻訳、及び/又は分泌、或いは産物の質、例えば、適切なフォールディング及び/又は一次配列の忠実度を改善するため、実施されてもよい。そのような追加ステップには、産物の発現又は産物の質を改善する因子を導入することが含まれる。一実施形態では、産物の発現又は産物の質を改善する因子は、小分子、ポリペプチド、又はタンパク質フォールディングを改善するポリペプチド、例えば、シャペロンタンパク質をコードする核酸であり得る。一実施形態では、核酸は、阻害核酸、例えば、マイクロRNA又はlncRNAを含む。一実施形態では、タンパク質フォールディングにおいて支援する因子は、シャペロンタンパク質、例えば、BiP、PD1、又はERO1をコードする核酸を含む(Chakravarthi及びBulleid 2004;Borthら 2005;Davisら 2000)。産物の収量及び質を改善するための他の追加ステップには、転写因子、例えば、SBP1及びATF6 (Tigges及びFussenegger 2006;Cainら 2013;Kuら 2008)の及びレクチン結合性シャペロンタンパク質、例えば、カルネキシン及びカルレティキュリン(Chungら 2004)の過剰発現が含まれる。本明細書に記載されるタンパク質フォールディング及び産物の質及びタンパク質の収量を支援する又は改善する物質の過剰発現は、タンパク質をコードする外来性核酸の導入によって達成することができる。別の実施形態では、産物の発現又は産物の質を改善する因子は、産物の発現又は産物の質を増加させるため細胞培養に添加することができる小分子である。一実施形態では、細胞の培養は、細胞を通常増殖させる温度よりもより低い温度、例えば、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、又は10℃低い温度で行う。
【0150】
本明細書に記載される任意の方法には、高い生産性を有する又は高品質産物を産生する細胞を同定するための追加の選択ステップが更に含まれ得る。例えば、FACS選択は、所望の特性、例えば、タンパク質フォールディングタンパク質、例えば、シャペロンのより高い発現;又は産物の改善された発現を有する特定の細胞を選択する及び単離するため、利用することができる。
【0151】
一態様では、本開示は、組換えポリペプチド産物を回収する又は回復するためのステップを含む方法を提供する。組換えポリペプチドが細胞から分泌される実施形態では、方法には、細胞、細胞集団、又は細胞が培養される培養培地から組換えポリペプチドを、回復する、収集する、又は分離するためのステップが含まれ得る。組換えポリペプチドが細胞内にある実施形態では、組換えポリペプチド産物の精製は、1つ又は複数の任意の以下の細胞によって産生される組換えポリペプチドの分離を含む:宿主細胞タンパク質、宿主細胞核酸、宿主細胞脂質、及び/又は宿主細胞からの他の残屑。
【0152】
実施形態では、本明細書に記載されるプロセスは、実質的に純粋なタンパク質産物を提供する。本明細書で使用するように、「実質的に純粋」は、実質的に発熱性物質非含有、実質的に核酸非含有、及び/又は実質的にポリメラーゼ、リボソームタンパク質、及びシャペロンタンパク質などの宿主細胞からの内因性細胞タンパク質酵素及び成分非含有であることを意味する。実質的に純粋なタンパク質産物は、例えば、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%未満の夾雑内因性タンパク質、核酸、又は宿主細胞からの他の高分子を含有する。
【0153】
産物、例えば、組換えポリペプチドの回収及び精製のための方法は、当技術分野において確立している。組換えポリペプチド産物を回収するため、物理的な又は化学的な又は物理化学的な方法が使用される。物理的な又は化学的な又は物理化学的な方法は、ろ過方法、遠心分離方法、超遠心方法、抽出方法、凍結乾燥方法、沈殿方法、結晶化方法、クロマトグラフィー方法又はその2つ若しくはそれを超える方法の組合せであり得る。一実施形態では、クロマトグラフィー方法は、1つ又は複数のサイズ排除クロマトグラフィー(又はゲル濾過)、イオン交換クロマトグラフィー、例えば、陰イオン若しくは陽イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、疎水的相互作用クロマトグラフィー、及び/又は多モードのクロマトグラフィーを含む。
【実施例】
【0154】
本発明は、以下の実験例を参照することによって、更に詳細に記載される。これらの例は、単に例示目的のために提供され、別途特定しない限り、限定されることを意図していない。したがって、本発明は、以下の例に限定されるものとして決して解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書において提供される教示の結果として明らかとなる、あらゆるバリエーションを包含すると解釈されるべきである。
【0155】
更に記載されなくとも、当業者は、先行する記載及び以下の例示的な例を使用して、本発明の化合物を作製し、利用し、請求項に記載される方法を実施することができると考えられる。以下の例は、本発明のさまざまな態様を具体的に示しており、残りの開示をいかなる点においても限定するものとして解釈されない。
【0156】
(例1)
抗GS-CHO宿主細胞タンパク質ポリクローナル抗体の調製
この例に提供される方法は、抗GS-CHO宿主細胞タンパク質(HCP)ポリクローナル抗体の調製に関する。抗体を、例2に記載されるELISA実験に使用した。
【0157】
抗GS-CHO HCP抗体の産生
3頭のヒツジを、GS-CHOヌル細胞系(すなわち、ブランクGSベクターをトランスフェクトされたCHO-K1SV細胞)からのHCPで免疫化した。抗原として使用されたHCPは、細胞抽出物(CE)又は細胞上清(SN)からのHCPであった。抗原を、標準方法(例えば、米国薬局方(USP)を参照されたい、米国薬局方(USP)は、公式のアッセイ手順及びガイドラインに関する全てのガイドラインを公開している。USP<1132>は、「生物製剤中の残留宿主細胞タンパク質測定」(USP38-NF33に対する第二補遺、7647~7667)を記載し、2015年12月に公開された)に従って調製した。
ヒツジ抗血清を、さまざまな日付で放血させ、収集した。貯蔵したヒツジ抗血清を、抗GS CHO HCP抗体を親和性精製するために使用した。
【0158】
抗GS-CHO HCP抗体の精製
精製プロセスは、MabSelect SuRe(MSS)アフィニティークロマトグラフィー、濃縮/ダイアフィルトレーション、臭化シアン(CNBr)アフィニティークロマトグラフィー及び最終的なダイアフィルトレーションステップから構成された。独自に、本発明の例示的なプロセスは、プロテインA及びCNBrクロマトグラフィーを、2ステップ親和性精製に組み合わせた。この2ステップ親和性精製により、大多数の非特異的なIgG(すなわち、HCPに対して結合しないIgG)が除去された。現行の精製方法は、粗抗血清(すなわち、精製なし)又は全IgG(これは、およそ99%の非特異的なIgGを有する)の混合物からのHCP抗体を利用する。
【0159】
2つのラウンドの精製を実施した、第1及び第2ラウンドは同じ条件であった。精製方法を、1800mlのヒツジ抗血清での第1ラウンド精製において試験し、確認した。親和性精製した抗GS-CHO HCP抗体を、GS-CHO HCPに対する免疫範囲(immunocoverage)について、ELISA、SDS-PAGE、ウエスタンブロット、及び2D SDS-PAGEで試験した。8000mlの抗血清で開始される第2ラウンド精製において、フロースルーで繰り返しのローディングを実施して、MSS及びCNBr精製両方におけるGS-CHO HCP抗体の産生を最大化した。
【0160】
未処理(raw)のヒツジ抗血清(aintisera)のIgG力価はPrA HPLCにより決定され、MSSステップの収量は、GS-CHOヌル細胞抽出物で免疫化したCEヒツジ抗血清について第1ラウンド精製において96.33%及び第2ラウンド精製において122.86%であった(100%を超える収量の矛盾は、タンパク質濃度についての異なる方法により引き起こされた)。全体で、第1ラウンド精製において10,315mgのIgG及び第2ラウンド精製において60,518mgのIgGを、MSSクロマトグラフィーから溶出させた。溶出したMSS IgGが、濃縮及びダイアフィルトレーション後の次のステップのCNBrのため使用された。CNBrクロマトグラフィーにおいては、CNBr樹脂を、GS-CHO細胞抽出物と連結し、CE MSS IgGからの抗GS-CHO HCP抗体を親和性精製するため使用した。0.37%の収量で39.6mgの抗HCP抗体を第1ラウンド精製において精製し、0.62%の収量で361.2mgのHCP抗体を第2ラウンド精製において産生した。第1ラウンド精製からの抗GS-CHO HCP抗体を、2DEウエスタンブロットにより免疫範囲について試験した。GS-CHOヌル細胞系抽出物に対する範囲は、スポット計数に基づいて、GS-ノックアウト細胞系からの細胞抽出物に対して72%及び82%であった。
【0161】
第1及び第2ラウンドからの抗GS-CHO HCP抗体を、均一な抗GS-CHO HCP抗体調製物を生成させるため一緒にプールした。A280により決定された391mg抗体の全てを、全精製プロセスについて0.65%の全累積収量で取得した。最終的な抗GS-CHO HCP抗体を、2DEウエスタンブロットにより免疫範囲について試験した。GS-CHOヌル細胞系抽出物に対する範囲は、全スポット計数に基づいてGS-CHO細胞系からの細胞抽出物に対して77%、及びマッチングスポットに基づいて71%であった。
【0162】
この例に記載された例示の精製プロセスは、
図1に示される。最終的な抗GS-CHO HCP抗体を、例2に記載したELISAに使用した。最終的な抗体はまた、例2に記載したELISAに使用するためビオチン化された。
【0163】
(例2)
GS-CHO HCP ELISA
この例に提供される方法は、GS-CHO HCPを検出し、定量化するため開発されたサンドイッチELISAに関連する。ELISAアッセイ条件が、現行の方法に対して優れた性能であるためであった(例えば、例3を参照されたい)。
ELISAを、例1に記載した親和性精製したGS-CHO HCP抗体で最適化した。ELISAプレートを、1ウェル当たり炭酸塩/炭酸水素塩(biocarbonate)緩衝剤中の2μg/ml GS-CHO HCP抗体の100μlでコーティングし、5±3℃で終夜(18±2時間)インキュベートした。コーティングしたプレートを、300μlの洗浄緩衝剤(1X DPBS中の0.05% Tween20)で3回洗浄し、続いて1ウェル当たり300μlのブロッキング緩衝剤(1X DPBS中の0.2%カゼイン)を添加し、60±5分間、23±2℃で300±50rpmで振盪してインキュベートした。9つの標準(80ng/mlから0.31ng/ml)を、ブロッキング緩衝剤でのGS-CHO HCP標準の2分の1段階希釈によって調製した。例の希釈スキームは、表3に提供される。
【表3】
【0164】
HCPスパイク溶液を、表4中の例に従って調製した。
【表4】
【0165】
サンプルを、予め決められた希釈、例えば、5分の1希釈、10分の1希釈などでブロッキング緩衝剤で希釈した。プレートを、300μlの洗浄緩衝剤(1X DPBS中の0.05% Tween20)で3回洗浄した。100μl調製サンプル、及びサンプルを、ウェル毎に三連でローディングした。プレートを、次に90±5分間、23±2℃で300±50rpmで振盪してインキュベートした。プレートを、300μlの洗浄緩衝剤(1X DPBS中の0.05% Tween20)で3回洗浄し、ウェル毎にブロッキング緩衝剤で希釈した100μlの2μg/mlビオチン化SG-CHO HCP抗体をローディングした。プレートを、60±5分間、23±2℃で300±50rpmで振盪してインキュベートした。プレートを300μlの洗浄緩衝剤(1X DPBS中の0.05% Tween20)で3回洗浄し、ブロッキング緩衝剤において10,000分の1希釈した100μlのストレプトアビジン-HRPをウェル毎にローディングした。プレートを、60±5分間、23±2℃で300±50rpmで振盪してインキュベートした。プレートを300μlの洗浄緩衝剤(1X DPBS中の0.05% Tween20)で3回洗浄し、100μlのTMB 1Cをウェル毎にローディングした。プレートを、10±1分間、23±2℃で300±50rpmで振盪してインキュベートした。インキュベーション後、1ウェル当たり50μlの停止液(2.5M硫酸、室温保存)を添加することによって反応を停止させた。プレートリーダーによって630nmを参照して450nm波長でプレートを読み取った。データをSoftMax Pro(Ver 5.4.3)によって分析し、標準曲線を4パラメータロジスティックフィッティングでプロットした。
【0166】
(例3)
GS-CHO HCP ELISAの評価
以下の例は、例2に記載したGS-CHO HCPサンドイッチELISAの評価を提供する。評価の結果は、以下に記載される。
【0167】
結果的に、5つのGS-CHOバルク精製産物、3つのGS-CHOインプロセス産物及び1つの最終配合緩衝剤を、GS-CHO HCP ELISAを評価するため試験した。これらの試験サンプルは、GS-CHO HCP ELISAに関する産物サンプルの代表であった。GS-CHO産物を、2分の1連続希釈を使用して希釈し、例2に記載されたELISAにおいて試験した。5つのスパイクレベル、1、2、5、10、及び20ng/mlを、産物希釈で試験した。スパイク回収を、各産物に対するアッセイ性能を評価するため使用した。
【0168】
5つのバルク精製産物(BDS Mab DV、Mab BM、産物A15、Mab DU、及びMab DH)及び3つのインプロセスサンプル(Mab CZ、Mab BM、Mab MSS溶出物)及びMab BM最終配合緩衝剤を、試験した。正確性、精度、直線性、作用範囲、検出限界、定量限界、及び特異性を、分析し、以下に記載した。
【0169】
正確性
ELISAの正確性を、全て5つのスパイクレベルの回収により分析した。スパイクレベル5、10、及び20ng/mlの正確性は、75%から125%回収の許容される範囲内であった。2ng/mlに関して、大多数の産物希釈は、75%から125%回収内の許容される回収を有していた。高レベルの内因性HCP濃度は、スパイク2ng/mlの正確性に影響を及ぼした。1ng/mlでのスパイクレベルの全体的な正確性は、高い内因性HCPレベルの影響に起因して許容されるものではなかった。
【0170】
GS-CHO産物、BDS MAb DV、MAb BM、MAb DU及びMAb DHを、最終的なELISA方法で各々3つの希釈で試験した。2、5、10及び20ng/mlでのスパイク対照の回収に関して、全ての結果(n=38)は、75%から125%内であった。1ng/mlでのスパイク対照に関する38回収のうち5つは、許容される回収の範囲外であった。5つの異なるスパイクレベルからのスパイク回収を算出し、方法の正確性をスパイク回収に基づいて評価した。各HCPスパイクレベルでの全平均パーセンテージ回収が75%から125%回収の間であった場合、アッセイの正確性は許容されると考えられた。5、10及び20ng/mlのHCPスパイクレベルに関して、各々3つの異なる希釈での4つ全ての試験したBDS産物の全スパイク回収は、75%から125%回収の間であり、許容された。試験した内因性HCPは、1.395ng/mlから24.044ng/mlで変動した。
【0171】
2ng/mlのHCPスパイクレベルに関して、各々2つの異なる希釈での4つ全ての試験したBDS産物に関するスパイク回収は、低希釈のBDS産物(例えば、BDS MAb DVにおいて2分の1希釈(2分の1))を除き、75%から125%回収の間であり、許容された。失敗したスパイク回収でのBDS産物希釈の内因性HCP濃度は、13.467ng/mlから24.044ng/mlで変動した。許容されたスパイク回収でのBDS産物希釈の内因性HCP濃度は、1.395ng/mlから4.536ng/mlの範囲であった。
【0172】
1ng/mlのHCPスパイクレベルに関して、異なる希釈での4つの試験したBDS産物に関するスパイク回収は、75%から125%回収の間であり、許容された。それらの内因性HCP濃度は、1.395ng/mlから4.536ng/mlの範囲であった。MAb DV、MAb DU、MAb BMに関して2分の1希釈(2分の1)及びMAb DHに関して32分の1希釈(32分の1)などの、BDS産物の最低希釈に関する回収は、75%から125%の範囲外であった。失敗したスパイク回収でのBDS産物希釈の内因性HCP濃度は、13.467ng/mlから24.044ng/mlの範囲であった。
【0173】
スパイク回収及びスパイクレベルから、試験サンプル中に存在する高レベル内因性HCPが、低スパイクレベル、例えば、1ng/ml又は2ng/mlでのスパイク回収の測定の信頼性に影響を及ぼすことが結論付けられた。したがって、全体的な正確性は、許容されると考えられた。
【0174】
精度
4つのGS-CHO BDS(バルク精製)産物におけるHCP測定を、再現性精度(repeatability precision)及び中間精度(intermediate precision)について分析した。再現性及び中間精度の両方は、20%CV未満であった。GS-CHO産物におけるHCP濃度の再現性は、20%CVの許容される範囲の上限であった。精度を、評価全体にわたってアッセイ間対照及びスパイク対照からのHCP測定で更に分析した。再現性及び中間精度は、高い及び低いアッセイ間対照(IAC)の両方に関して15%CV未満であった。1、2、5、10及び20ng/mlのスパイク対照に関して、再現性精度及び中間精度は、全て15%CV未満であった。
【0175】
GS-CHO BDS産物におけるHCP濃度の測定に関する再現性(アッセイ内)及び中間(アッセイ間)精度を、BDS産物における内因性HCP不純物の6回の機会の測定から各々決定した。各BDS産物における内因性HCP濃度を、アッセイ希釈係数を補正して各測定における未スパイクサンプルから算出した。各測定に関して、HCPを、各産物についての3つの異なる希釈から測定した。各産物におけるHCP濃度の再現性%CV及び中間精度%CVを、算出した。4つ全てのGS-CHO BDS産物についての再現性精度%CVは、10.7%から15.0%の範囲であった。再現性精度%CVは、20%の標的と比較して、許容された。再現性は、全ての希釈にわたる結果について算出されたことに留意されたい。4つ全てのGS-CHO BDS産物についての中間精度%CVは、7.5%から16.2%(n=18)の範囲であり、これは、≦20%の標的と比較して、許容されると考えられた。
【0176】
直線性
直線性は重要なアッセイパラメータであり、これにより、アッセイ応答が、試験サンプル中の分析物濃度と比例し、したがって、サンプルからの応答は、用量反応キャリブレーション曲線から直接的に解釈できることが実証される。GS-CHO HCP ELISAの直線性を、5つのレベルのHCPスパイクGS-CHO産物でのHCP測定で評価した。直線性(r2)値は、正確性調査及び4つの試験したGS-CHO HCP産物の各アッセイにおいて、0.984から1.000の範囲であった。
【0177】
作用範囲
GS-CHO HCP ELISA標準曲線の作用範囲は、許容される正確性を伴って、2ng/mlから80ng/mlの範囲と決定された。作用範囲は、GS-CHO BDS産物についてのHCP測定でも試験され、確認された。
【0178】
検出限界
GS-CHO HCP ELISAの検出限界(LOD)は0.9ng/mlと決定され、これは、4つのGS-CO BDS産物についての41プレートでの6つ全てのアッセイ機会における標準曲線から算出された最大LODであった。各アッセイ(プレート)のLODを、ブランク対照(0ng/mlの標準)の平均吸光度プラスその標準偏差の2.5倍(有意に異なるシグナルを提供する)での標準曲線から解釈したHCP濃度から算出した。全ての試験したプレートからの最大LODは0.875ng/mlであり、これは0.9ng/mlに切り上げられた。0.9 ng/mlは、GS-CHO HCP ELISAのLODと規定された。
【0179】
定量限界
GS-CHO HCP ELISAの検出限界(LOQ)は、2ng/mlと決定された。GS-CHO HCP ELISAの定量化限界(LOQ)を、試験したGS-CHO産物に関する、許容される逆算した標準及び許容される正確性の組合せと規定した。許容される逆算(%RE≦15%)及び再現性精度(%CV≦20%)でのGS-CHO HCP ELISAの最低標準は、1.25ng/mlであった。許容される回収(6回の機会のうち少なくとも3回において75%から125%の間)での各産物についてのLOQは、表12に要約される。現行の標準CHO HCP ELISAについてのLOQは、約200ng/mlである。
【表5】
【0180】
特異性
GS-CHO HCP ELISAの特異性を、精製プロセス中にCHPと共精製される可能性がある、プロテインA及びCHO DNAの不純物について試験した。プロテインA及びCHO DNA両方に関する特異性%は、97%から103%以内であった。交差反応性%は、プロテインA及びCHO DNA両方において1%未満であった。プロテインA及びCHO DNAからの潜在的な陰性又は陽性バイアスは、抗体産物中のHCPを測定している間にGS-CHO HCP ELISAにおいて観察されなかったことを特異性の結果は示唆した。
【0181】
要約すると、本明細書に記載される例示的な結果は、哺乳動物発現系、例えば、CHOK1SV発現系を含む、複数の発現系を支持する頑健で、感度の高いHCP ELISAプラットホームアッセイを実証している。ヒツジ中で産生されたポリクローナルHCP抗体が親和性精製され、モックトランスフェクトされたヌル細胞からの細胞抽出物に対する抗体の免疫範囲は二次元(2D)ウエスタンブロットのスポットマッチングによって評価された71%であった。抗体濃度、緩衝系及び検出系を、優れた免疫範囲及びLOQのため、ELISA開発の間に最適化した。
【0182】
最終的な頑健及び感度の高いHCP ELISAを、International Council on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use (ICH) Q2(R1)ガイドラインにより評価した。HCP ELISAに関するアッセイパラメータを、予め決められた判定基準に対して評価した。測定したHCP濃度に対する理論上のHCP濃度の正確性、アッセイ内精度、中間精度及び直線性は、許容された。このELISAの作用範囲は、2ng/mlから80ng/mlと決定された。LOQ(HCP ELISAの定量化限界)は、複数のバルク精製産物に基づいた許容されるスパイク回収で、2ng/mlと規定された。HCPと一緒に主要な不純物供給源である、プロテインA及びCHO DNAに対する特異性も許容されることが証明された。
【0183】
HCP ELISAは、バイオ精製プロセスの間のHCP不純物及び最終的なバルク原薬をモニターするためのプラットホームアッセイとして役立ち得る。アッセイは、GS-CHO発現系において産生される産物の検証及びバッチ発売のためにも役立ち得る。更に、本明細書に記載された方法は、組換えタンパク質の生産に関する規制要件と関連させて使用することができる;その理由は、ICH Q6B 6.2ガイドラインが、適切な感度の高いイムノアッセイが、生物学的産物中に存在することがあるHCPの範囲を検出するため使用されるべきことを述べているからである。
【0184】
安定性
GS-CHO HCP ELISA試薬(具体的にはHCP分析物)を、貯蔵温度、時間、及び凍結融解条件について試験した。MAbサンプル内のGS-CHO HCPの又はMAbサンプル中にスパイクした追加のGS-CHO HCPの安定性を、5±3℃又は-65℃以下のいずれかで保存された後のさまざまな時点で評価した。結果は、t=0日からt=1日貯蔵期間において両方の温度でHCP不安定性及び潜在的な分解を示したが、t=1日からt=85日貯蔵期間においてHCP安定性を示した。追加のHCPがサンプル中にスパイクされない3つのMAbサンプルのうちの2つに関して、HCPにおける変化は、両方の貯蔵温度で30%未満又は30%と等しく、許容された。これにより、MAbサンプル中に存在する内因性HCPが、5±3℃又は-65℃以下で85日まで貯蔵する間に安定であることが実証された。HCP試験のため-65℃以下の貯蔵温度がバルク精製サンプルの試験に適切であることが結論付けられ、そのサンプルは-65℃以下で85日まで保存することができる。
【0185】
頑健性
サンプル調製手順における小さいバリエーションが方法の性能に影響しないことを実証するため、アッセイドリフト、アッセイインキュベーション時間、アッセイインキュベーション温度、及びアッセイ試薬寿命(assay reagent age)における頑健性を評価した。
【0186】
アッセイドリフトにおける頑健性を、高サンプルpg/ml又は低サンプルpg/mlを含有するアッセイ間対照(IAC)をELISAプレートのウェルに適用すること、及び、次に、5分間の遅延後、第二セットのIACをELISAプレートに適用すること、及び、IACにおける差を評価することにより検査した。HCP ELISAにおける異なる時間でのサンプルの添加は、アッセイの結果の正確性又は精度に影響せず、全ての結果は、正常なアッセイ変動性内にあり、HCP ELISAは、サンプルをELISAプレートに添加するため必要とされる時間(5分間まで)に関して頑健であると規定された。
【0187】
アッセイインキュベーション時間における頑健性を、高サンプルpg/ml又は低サンプルpg/mlを含有する2つのMAbサンプル及びIACを3つのELISAプレートのウェルに適用すること、及び、次に、ELISAプレートが供されるアッセイステップのインキュベーション時間を変動させることにより検査した。3つのプレートに関するIACの結果及びMAbサンプルの結果は、許容された。全ての結果は、正常なアッセイ変動性内にあり、試験方法は、アッセイインキュベーション時間におけるバリエーションに対して頑健であると規定された。
【0188】
アッセイインキュベーション温度における頑健性を、高サンプルpg/ml又は低サンプルpg/mlを含有する2つのMAbサンプル及びIACを3つのELISAプレートのウェルに適用すること、並びに、次に、1つのプレートを17℃、1つのプレートを23℃、及び1つのプレートを27℃で試験することにより検査した。IACの結果及びMAbの結果は、許容された。MAbサンプルにおけるスパイク対照及びHCPスパイクに関する中間精度は、3つ全てのプレートに関して許容された。全体的に、全ての結果は、正常なアッセイ変動性内にあり、試験方法は、17±2℃から25±2℃のアッセイインキュベーション温度におけるバリエーションに対して頑健であると規定された。
【0189】
アッセイ試薬寿命における頑健性を、初期調製の1週間、2週間、3週間、及び4週間後に調製したアッセイ試薬(コーティング緩衝剤、ブロッキング緩衝剤、及び洗浄緩衝剤)を使用することにより検査した。全体的に、アッセイ試薬が一か月まで安定であることが結論付けられた。