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特許7565153車両用レドーム及び前記レドームを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】車両用レドーム及び前記レドームを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/42 20060101AFI20241003BHJP
   H01Q 1/32 20060101ALI20241003BHJP
   B60R 11/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H01Q1/42
H01Q1/32 Z
B60R11/00
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019155777
(22)【出願日】2019-08-28
(65)【公開番号】P2020036321
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-03
(31)【優先権主張番号】18382634.6
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519313105
【氏名又は名称】ザニーニ オート グルーポ,ソシエダ アノニマ
【氏名又は名称原語表記】Zanini Auto Grup,S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】マスカロ ヘレザ,マルサル
(72)【発明者】
【氏名】カサノヴァス セフエラ,ミケル
(72)【発明者】
【氏名】サナフヤ クロット,ホセ
(72)【発明者】
【氏名】ボーヴァー バルデリッヒ,マルク
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー プハダス,アウグスト
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-215242(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014002438(DE,A1)
【文献】特開2018-066705(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102013207482(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0176384(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/42
H01Q 1/32
B60R 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共に熱可塑性材料からできた前部層(1)及び後部層(2)を含む車両用レドームであって、前記前部層(1)上で、前記後部層(2)とは反対側の前記前部層(1)の面に配置された加熱要素(3)をさらに含み、
前記前部層(1)及び/又は前記後部層(2)はまた、前記前部層の周縁全体に沿って配置された、はんだ付け可能なトラックを含むことを特徴とする車両用レドーム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用レドームにおいて、前記加熱要素(3)は導電ワイヤを含む薄膜であることを特徴とする車両用レドーム。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用レドームにおいて、前記導電ワイヤは、前記薄膜に埋め込まれることを特徴とする車両用レドーム。
【請求項4】
請求項2に記載の車両用レドームにおいて、前記薄膜の前記導電ワイヤと接続された少なくとも1つの導電要素(5)を含むことを特徴とする車両用レドーム。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用レドームにおいて、前記導電要素(5)は、前記加熱要素(3)内に形成された凹部(4)に配置されることを特徴とする車両用レドーム。
【請求項6】
請求項1に記載の車両用レドームにおいて、前記後部層(2)は、コネクタ用のケース(6)を含むことを特徴とする車両用レドーム。
【請求項7】
請求項6に記載の車両用レドームにおいて、前記ケース(6)は導電ピン(7)を配置するための穴を含むことを特徴とする車両用レドーム。
【請求項8】
請求項4に記載の車両用レドームにおいて、前記導電要素(5)はパッド又はベースであることを特徴とする車両用レドーム。
【請求項9】
請求項1に記載の車両用レドームにおいて、前記前部層(1)及び前記後部層(2)は共に、互いに相補的な窪み及び突起を有することを特徴とする車両用レドーム。
【請求項10】
請求項4、5、8の何れか一項に記載の車両用レドームを製造する方法であって、以下のステップ、すなわち、
-前記加熱要素(3)を前記前部層(1)の面に配置した形で前記前部層(1)を形成するステップと、
-前記導電要素(5)を前記加熱要素(3)に配置するステップと、
-前記後部層(2)を形成するステップと、
-前記前部層(1)のうちの前記後部層(2)とは反対側の面に前記加熱要素(3)が存在するように、前記前部層(1)及び前記後部層(2)を組み立てるステップと、
前記はんだ付け可能なトラックを前記前部層(1)及び/又は前記後部層(2)に配置するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、前記前部層(1)及び前記後部層(2)を組み立てる前に、導電ピン(7)を前記後部層(2)に配置するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法において、前記導電要素(5)を前記前部層(1)に配置する前記ステップは溶接によって行われることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属的なイメージがあるエンブレムとして使用される装飾レドームなどの車両用レドーム、特に、レーダの前で車両のフロントグリルに配置され、加熱機能を組み入れたレドームに関する。本発明はまた、前記レドームを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
センサの周囲環境を検出できるセンサを有する車両は、交通事故死を減らすための成功の鍵である。センサを通じて運転者支援機能が実施され、リスクを最小限にし、衝突を回避する可能性を高める。
【0003】
車両は、見た目に感じのよい印象をもたらすように設計される。したがって、センサは、車両内で、センサの機能を実施可能にし、センサを人の視線から隠し、車両の美観設計と調和したカバーの裏に組み込まれなければならない。
【0004】
レーダ型センサの場合、そのようなカバーはレドームとして公知である。上記のように、レドームは、その存在がレーダ放射及び受信波に及ぼす影響を最小限にしなければならない。これは、悪天候において、視認性の低下及び道路地盤状態などにより、運転がより危険な状況になった場合に特に重要である。当然ながら、水、氷、及び雪は、レーダ波を遮断し、レドーム表面に積もることがあるので、レーダの機能性にとって明瞭な危険物である。
【0005】
したがって、レドームは、そのような層を除去する、例えば、層を溶かすことができなければならない。加熱機能を装飾レドームに組み込むことは、設計を複雑にし、様々な材料を使用し、ブランドロゴを正確に再現するために装飾技術を必要とする困難な課題である。
【0006】
自動車のレドームに対する加熱の使用が開示された、いくつかの発明がある。
【0007】
(特許文献1)は、導電構造が1つの平面に置かれないように、導電体トラックを湾曲した絶縁体に配置することに関して開示している。この文献は、レドームを製造するための問題解決策を提示せず、製造するのに必要な概念のみを提示している。
【0008】
(特許文献2)は、熱可塑性プラスチックで射出成形されたフレキシブル印刷回路板を開示している。電流を送るために、導電ワイヤの代わりに回路トラックが使用される。電気接触要素は、プラグインバスケット(plug-in basket)が電気接触要素と接触できるように基板に設けられる。
【0009】
この技術を使用するレドームの性能は、導電ワイヤを使用するものよりも大きく劣ることから、この発明の主要な限界は、回路トラックを使用することから生じる。
【0010】
(特許文献3)は、ブランドロゴを示すプラスチック部分の後面に付けられた導体路を開示しており、この導体路は、さらに第2のプラスチック部分にも付けられ、そのため、導体路は両方のプラスチック材料間に挟み込まれる。
【0011】
導体路と、氷又は雪が堆積し、この氷又は雪を除去する必要がある前面との間が離れていることが問題である。
【0012】
(特許文献4)は、ポリマー部の内面に配置された胴体ストリップ埋込みフィルムを開示している。制御ユニットは、ストリップを環流する電流量を制御し、したがって、熱出力を制御する。この場合も同様に、導体要素と、氷又は雪が堆積し、この氷又は雪を除去する必要がある前面との間が離れていることが問題である。
【0013】
(特許文献5)は、導電ワイヤを埋め込んだ凹部を有する薄膜が成形され、インサートモールドされる加熱可能なレドームを製造するプロセスを開示している。要素とワイヤとの間の電気接触は薄膜の凹部でなされる。
【0014】
この問題解決策は、レドームの最外面に薄膜を配置することを可能にし、ひいては、熱伝導及び効率を最適化するが、接触領域の保護が不十分である。その結果、そのような箇所にある金属は、環境に露出しているために、経時的に腐食及び変質する。
【0015】
(特許文献6)は、(特許文献5)と同様な発明を開示しており、そのため、同じ限界が当てはまる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】独特許出願公開第19724320A1号明細書
【文献】独特許出願公開第2017055182A1号明細書
【文献】独特許出願公開第10156699A1号明細書
【文献】米国特許出願公開第20060086710号明細書
【文献】独特許出願公開第102014002438A1号明細書
【文献】独特許出願公開第102013207482A1号明細書
【0017】
加熱可能なレドームという問題解決策の設計及び製造に影響を及ぼす問題が示された。本発明の目的は、これらの問題を解決し、その一方で、見た目に心地よく、機能的で、容易に製造できる問題解決策を提供することである。
【発明の概要】
【0018】
本発明によるレドームでは、前記欠点を解決し、下記に説明する他の利点をもたらすことが可能である。
【0019】
本発明による車両用レドームは、共に熱可塑性材料からできた前部層及び後部層を含み、このレドームはまた、前部層上で後部層とは反対側の前部層の面に配置された導電ワイヤ付き薄膜などの加熱要素を含むことを特徴とする。
【0020】
有利にも、導電ワイヤは前記薄膜に埋め込まれる。
【0021】
さらに、レドームは、前記薄膜の導電ワイヤと接続された導電要素を含み、前記導電要素は、薄膜後面に形成された凹部に配置されるのが好ましい。
【0022】
本発明によるレドームでは、後部層はまた、コネクタ用のケースを含むのが好ましく、前記ケースは、導電ピンを配置するための穴を含む。
【0023】
2つの代替実施形態によれば、導電要素はパッド又はベースである。
【0024】
さらに、本発明によるレドームでは、前部層及び後部層は共に、レドームを通るレーダ波の通過を最適にし、車両のロゴを明確にするために、互いに相補的な窪み及び突起を有する。
【0025】
前部層及び/又は後部層はまた、前部層の周縁全体に沿って配置されたトラック、及び/又は前記導電要素用の凹部を囲んで配置されたトラックを含むことができる。
【0026】
第2の態様によれば、本発明はまた、すでに説明した車両用レドームを製造する方法に関し、その方法は、以下のステップ、すなわち、
-例えば、導電ワイヤ付きの薄膜などの加熱要素を前部層の面に配置する形で前部層を形成するステップと、
-導電要素を加熱要素に配置するステップと、
-後部層を形成するステップと、
-前部層のうちの後部層とは反対側の面に薄膜が存在するように前部層及び後部層を組み立てるステップと、
を含む。
【0027】
本発明による方法はまた、
-前部層及び後部層を組み立てる前に、前記後部層に導電ピンを配置するステップ、並びに/又は、
-前記前部層及び/又は後部層にはんだ付け可能なトラックを配置し、導電要素を前部層に配置するステップは、好ましくは溶接によって行われる、ステップと、
を含むこともできる。
【0028】
さらに、前部層及び後部層の両方の形成は、熱可塑性材料を第1及び第2のツールに射出することで行われるのが好ましい。
【0029】
本発明は、加熱機能と目を引く外観とを有するレドームを開示する。さらに、本発明は、レドームの加熱要素を電気コネクタに接続する単純で堅牢なプロセスを提供し、電気コネクタは、通常、レドームの最内面に配置され、車両のエンジンの方を向く。
【0030】
最適な加熱性能を得るために、加熱要素は、水、氷、又は雪が集積し得る最外面に可能な限り接近して配置される。
【0031】
すでに説明したいくつかの発明では、加熱要素は前部層の後面に配置される。熱可塑性材料は断熱材として機能し、そのため、この場合に、特定の温度に達するために、加熱要素が最外面に直接存在する本発明と比較して、大きな電力が加熱要素によって消費される必要がある。
【0032】
本発明はまた、薄膜に埋め込まれた加熱ワイヤが到達可能な電気接触領域での腐食を、
-前部層の後面に凹部を有することと、
-凹部を熱可塑性材料で囲むことと、
-後部層内のケースに導電材料を導入することと、
-領域全体を囲む、はんだ付け可能なトラックを用いて、空気及び水の直接浸入をなくすことと、
によって防止する。
【0033】
本発明はまた、
-パッド又はベースなどの導電要素を凹部を通って到達可能なワイヤに付加し、それにより、薄い埋込みワイヤに作用する機械応力を導電要素のより頑強な構造に移すことと、
-ケースに導電要素を導入することと、
-レーザ溶接を用いてすべての要素(薄膜及び前部層から後部層まで)を頑強にくっつけることと、
によって、加熱ワイヤとコネクタピンとの間の電気接触を最適化する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
上記の説明をより深く理解するために、及び単に例示を目的として、実用的な実施形態を概略的に示すいくつかの非限定的図面が収録されている。
【0035】
図1図1は本発明による車両用レドームの第1の実施形態を示す断面図である。
図2図2は本発明による車両用レドームの第1の実施形態を示す断面図である。
図3図3は本発明による車両用レドームの第2の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明による車両用レドームの第1の実施形態が図1及び図2に示されている。
【0037】
レドームは、互いに組み立てられた前部層1及び後部層2を含む。両方の層は、熱可塑性材料でできている。
【0038】
本発明によれば、加熱要素3は、前部層1の前面、すなわち、レドームの外面に配置されている。
【0039】
好ましい実施形態によれば、この加熱要素3は、複数の導電ワイヤを設けられた薄膜であり、導電ワイヤは、薄膜に埋め込まれるのが好ましい。
【0040】
加熱要素3は、この実施形態ではパッドである導電要素5を収容する凹部4を含む。
【0041】
後部層2は、車両の電源に直接接続されたコネクタ(図示せず)用のケース6を含む。さらに、このケース6は、穴を通ってケースと後部層2の一部とを横断する導電ピン7をケース内部に含む。
【0042】
したがって、コネクタから加熱要素3までの接続は、ピン7及び導電要素5によって行われ、それにより、電気はコネクタから加熱要素3の導電ワイヤに送られる。
【0043】
図面では、簡単にするために、ただ1つの導電要素、ケース、及びピンが示されているが、本発明によるレドームは、任意の適切な数量の導電要素、ケース、及びピンを含むことができることを指摘しておかなければならない。
【0044】
さらに、本発明によるレドームでは、前部層1及び後部層2は共に、レドームを通るレーダ波の通過を最適にし、車両のロゴを明確に示すために、互いに相補的な窪み及び突起を有する。
【0045】
前部層1及び/又は後部層2はまた、好ましくは、前部層の周縁全体に沿って配置された、はんだ付け可能なトラック、及び/又は前記導電要素5用の凹部を囲んで配置された、はんだ付け可能なトラックを含むことができる。これらの導電トラックは図面に示されていない。
【0046】
第1の実施形態にきわめて類似した第2の実施形態が図3に示されている。簡単にするために、同じ又は同等の要素を特定するのに同じ数字の参照符号が使用されている。
【0047】
第1の実施形態に対する主な相違は、導電要素5が導電ピン7用のベースとして使用されるベースであることである。
【0048】
最適な加熱性能を得るために、加熱要素3は、水、氷、又は雪が集積し得る最外面に可能な限り接近して配置されるのが好ましい。
【0049】
すでに説明したように、レドームの最外面に加熱要素3を配置するために、サンドイッチ構成で導電ワイヤを埋め込むプラスチック薄膜を使用することが好ましい。
【0050】
ワイヤはまた、前部層1にある凹部4に沿って配置することができ、次いで、後部層2を上乗せ導入することができる。これは、同様のサンドイッチ構造をもたらすが、前部層1の厚さは、導入要件のために薄膜厚さよりも厚くなる。
【0051】
加熱要素3は、エンブレム本体自体に隠れた前記コネクタから給電される。コネクタは、加熱要素3を環流する電気エネルギの供給を担う動力伝達系から来たケーブルに接続される。
【0052】
したがって、レドームの最外面に配置された加熱要素3と、レドームの最内面に配置されたコネクタとの間の電気接続は、可能な限り単純かつ確実に行われなければならない。
【0053】
本発明の方法によれば、加熱要素3は、前部層1を形成する第1の熱可塑性材料を用いて第1のツール内でインサートモールドされ、加熱要素の後面は、熱可塑性の前部層1の前面にと直接接触する。
【0054】
加熱要素3は、たとえ前部層1の前面を完全に覆うことができるとしても、前部層1の前面を部分的に覆うのが好ましい。
【0055】
前部層1は、凹部4の位置に前部層の前面から前部層の後面までの穴を有するので、加熱要素3に埋め込まれた導電ワイヤには、前部層1の後面から到達可能である。
【0056】
レドームの第1の部分の成形が完了すると、それに限定するものではないが、パッドなどの導電要素5が凹部4の上に直接配置され、超音波、圧力、温度、又は他の任意の適切な手段によって、埋め込まれたワイヤの到達可能な部分に溶接される。代替案として、導電要素は第1の射出成形(injection)前に配置することができる。
【0057】
好ましくは、パッドは2つであり、加熱要素3に実装される平行回路の数量当たり最大で2つのパッドとすることができる。
【0058】
各パッド対は、電流が流れるのに必要とされるプラス及びマイナスの電位端子に対応する。
【0059】
すでに説明したように、前部層1はまた、その後面に2つの突出した、又は窪んだトラックを有し、第1のものは周縁全体に沿って配置され、第2のものは導電パッドが配置されたワイヤ凹部を囲んで配置される。
【0060】
これらのトラックは、例えば、レーザ溶接によって前部層1及び後部層2を合わせて組み立てるのに必要とされる。
【0061】
後部層2は、第2のツールで射出成形され、後部層の前面は、第1の熱可塑性射出成形部の後面にあるものと相補的な窪み及び突起を有する。これは、レドームを通るレーダ波の通過を最適化するために行われる。
【0062】
後部層2はまた、すでに説明したように、ピン7を埋め込んだケース6を含む。ピン7は、車両につながったコネクタと電気接触し、ピン7は、レドームの最外面の加熱要素と電気接触する。
【0063】
この接続によって、電気エネルギは車両の動力伝達系からレドームの最外面に環流する。
【0064】
ケース6は、ピン7の位置を固定する穴を含む。穴径は、ピン7の直径よりも小さいが、ピン7の縁部が穴を通って導入されるのを可能にするほど十分に大きい。
【0065】
ピン7の埋込みは、ロボットによって行うことができ、ロボットは、最初にピン7をケース穴の内部に配置する。次いで、ロボットは、前面から後面まで後部層7に入り込むのに十分な圧力をピン7に加える。ピン7は、後部層2の前面を越えて突出する部分に平坦で幅の広い領域を有する。
【0066】
すでに説明したように、後部層2はまた、その前面に第1の射出成形部分の後面にあるものと相補的な、2つの突出した、又は窪んだトラックを有し、第1のものは周縁全体に沿って配置され、第2のものはピンケースのまわりに配置される。
【0067】
前部層1及び後部層2がすでに説明した通りに製造されると、両方の部分が組み立てられる。導電要素5とピン7との間の電気接触は、これらの構成要素を互いに溶接することでより堅牢になる。後部層2の前面より上にあるピン領域は、導電性のUV硬化性レジンに浸漬されるか、又は弾性発泡体、若しくは導電要素5とピン7との間の接触堅牢性を高める他の任意の適切な材料を充填することができる。したがって、レドームの寿命をより長くすることができる。
【0068】
さらに、このレジン又は弾性発泡体は、導電要素5及びピン7の両方が配置されたケース空間を埋めて、空気を除去し、ケースへの水の浸入の可能性を大きく低める。したがって、最終的に、導電領域を浸食することで、電流が車両コネクタから加熱面に最適に環流するのを妨げる腐食に対する耐性を大幅に改善することができる。したがって、加熱されるレドームの寿命をより長くすることができる。
【0069】
その後、前部層1及び後部層2の両方は、それらの窪み及び突起によって整列する。同時に、凹部4はピン領域と整列する。
【0070】
次いで、レーザ溶接が周縁部でトラックに沿って施され、前部層1の後面と後部層2の前面との間を接触させる。レーザ溶接は、両方の部分からの材料を溶融させ、次いで、単一の一体レドームブロックが得られる。レーザ溶接は、ケース6を囲む溶接トラックにも施され、したがって、電気接触領域の防水性を保証する。
【0071】
この場合に、前部層1及び後部層2の両方がくっつけられる。これはまた、ピン7と凹部4を通じて到達可能な加熱要素ワイヤとの間に、特定の大きさの圧力を生じさせる。さらに、導電要素5が前部層1及び後部層2の両方の穴と凹部4とを占める場合に、電気接触の堅牢さが大幅に改善される。したがって、ピン7と加熱要素3との間の電気接触が確実になる。
【0072】
第2の実施形態において、方法はきわめて類似している。
【0073】
この場合に、導電要素5は、平坦なベースと突出部材とによって形成され、超音波溶接又は他の任意の適切な手段によって加熱要素3に配置及び固定される。ワイヤは、電気接触が堅牢に保証されるように、ベース上で突出部材に巻き付けられる。
【0074】
本発明の特定の実施形態について言及したが、本明細書で説明したレドームは、様々な変形及び修正が可能であり、説明した細部のすべては、添付の特許請求の範囲によって規定される保護の範囲から逸脱することなく、他の技術的に等価なものに置き換えることができるのは当業者には明らかである。
【符号の説明】
【0075】
1 前部層
2 後部層
3 加熱要素
4 凹部
5 導電要素
6 ケース
7 導電ピン
図1
図2
図3