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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】保持器、軸受、減速機
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/54 20060101AFI20241003BHJP
   F16C 19/26 20060101ALI20241003BHJP
   F16C 19/46 20060101ALI20241003BHJP
   F16C 33/56 20060101ALI20241003BHJP
   F16H 1/32 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F16C33/54 Z
F16C19/26
F16C19/46
F16C33/56
F16H1/32 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020084679
(22)【出願日】2020-05-13
(65)【公開番号】P2021179232
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】鎌形 州一
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-231831(JP,A)
【文献】特開2013-221545(JP,A)
【文献】特開2016-065634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 19/00-19/56,33/30-33/66
F16H 1/28-1/48,48/00-48/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線回りに前記中心軸線と平行な軸線を有する円柱状の外形のコロを複数保持する軸受の保持器であって、
前記中心軸線の周囲に沿って複数の前記コロが収納される矩形の開口空間を備えて前記中心軸線回りに円筒面を形成する側周部と、
前記中心軸線に沿った方向における前記側周部の両端部から前記中心軸線の径方向に向けて配置された円環板状の端面部と、
前記端面部の前記中心軸線に対する径方向端部の全周に互いに対向する突条として一体的に形成されるとともに、前記開口空間の輪郭を形成する前記側周部の輪郭端面よりも前記中心軸線に沿った方向において前記コロの端面に近接する位置に突出する規制部と、
を有し、
前記端面部が、いずれも、前記側周部の前記中心軸線に対する径方向の外側に配置され、
前記コロの前記軸線は、前記側周部よりも前記中心軸線に対する径方向外側に位置し、前記規制部は、前記コロの前記軸線よりも前記中心軸線に対する径方向外側に位置し、
複数の前記コロは、前記中心軸線の周方向に対して、互いに等距離になるように配置され、
前記中心軸線に対する径方向位置が前記コロの前記軸線を含むピッチ円と等しい位置における前記中心軸線の周方向隣接する前記コロの間の距離は、前記中心軸線に対する径方向位置が前記側周部の前記円筒面と等しい位置における前記中心軸線の周方向隣接する前記開口空間の間の距離より小さい、
保持器。
【請求項2】
中心軸線回りに前記中心軸線と平行な軸線を有する 円柱状の外形のコロを複数保持する軸受の保持器であって、
前記中心軸線の周囲に沿って複数の前記コロが収納される矩形の開口空間を備えて前記中心軸線回りに円筒面を形成する側周部と、
前記中心軸線に沿った方向における前記側周部の両端部から前記中心軸線の径方向に向けて配置された円環板状の端面部と、
前記端面部の前記中心軸線に対する径方向端部の全周に互いに対向する突条として一体的に形成されるとともに、前記開口空間の輪郭を形成する前記側周部の輪郭端面よりも前記中心軸線に沿った方向において前記コロの端面に近接する位置に突出する規制部と、
を有し、
前記端面部は、前記中心軸線に沿った方向における前記側周部の両端部から前記中心軸線に対する径方向内側に向けて突出し、
前記コロの前記軸線は、前記側周部よりも前記中心軸線に対する径方向内側に位置し、
前記規制部は、前記コロの前記軸線よりも前記中心軸線に対する径方向内側に位置し、
前記側周部の形成する前記円筒面は、コロ配列のピッチ円直径よりも大径であり、
複数の前記コロは、前記中心軸線の周方向に対して、互いに等距離になるように配置され、
前記中心軸線に対する径方向位置が前記コロの前記軸線を含むピッチ円と等しい位置における前記中心軸線の周方向隣接する前記コロの間の距離は、前記中心軸線に対する径方向位置が前記側周部の前記円筒面と等しい位置における前記中心軸線の周方向隣接する前記開口空間の間の距離より小さい、
保持器。
【請求項3】
請求項1または2記載の保持器において、
前記端面部と前記規制部とが、プレス加工で一体成型される
保持器。
【請求項4】
請求項1または2記載の保持器において、
前記中心軸線の径方向に向けて見た前記開口空間の輪郭における前記中心軸線に沿った方向の端部と、前記開口空間から視認できる前記コロの前記中心軸線に沿った方向の端部とが、互いに離間している、
保持器。
【請求項5】
円環状に形成され径方向の内側を向く外転動面を有するアウターレースと、
前記アウターレースと同軸に配置され前記径方向の外側を向く内転動面を有するインナーレースと、
前記内転動面上および前記外転動面上を転動する複数の前記コロと、
複数の前記コロを保持する請求項1または2に記載の保持器と、
を有する、
軸受。
【請求項6】
周方向に沿って配列された内歯が内周面に形成された外筒と、
前記外筒の前記内歯と噛み合う外歯を有した偏心揺動歯車と
駆動源に接続されて前記偏心揺動歯車を揺動させるクランク軸と、
前記クランク軸を支持して前記外筒に対して相対回転するキャリアと、
を備え、
前記クランク軸が請求項5記載の軸受により前記キャリアに支持される
減速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は保持器、軸受、減速機に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボットや工作機械等においては、ニードルベアリングを備えた減速機が用いることがある。ニードルベアリングでは、保持器の抜き窓(開口)に保持された多数の転動体(コロ)がインナーレースとアウターレースとで挟まれて軸受を形成している。保持器は、抜き窓(開口)が軸受の中心軸線に対して周方向に複数配置される。保持器は、隣接する抜き窓(開口)の間に柱部が形成される。
【0003】
減速機RVは、出力密度が増すにしたがい、クランクシャフト部に使用されるニードルベアリングのコロ充填率が増加する傾向にある。特に偏心揺動型の減速機では、コロ充填率増加の傾向が顕著である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第2628674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、コロ充填率が増加すると、保持器では、コロが挿入される抜き窓(開口)が増える。このため、中心軸線の周方向において、隣接する抜き窓(開口)の間の距離が小さくなり、柱部の周方向寸法が小さくなる。これにより、保持器の強度が低下する場合がある。
【0006】
ロボット等で使用される減速機において、ニードルベアリングのコロにはスキューカが発生する。このスキューカによって、コロが傾く場合がある。
ニードルベアリングのコロが傾いた場合には、保持器の抜き窓(開口)の輪郭にコロが傾いた状態で衝突する。すると、コロが、抜き窓(開口)の輪郭において中心軸線に沿った端面側と、中心軸線の周方向となる柱側に衝突する。これによって、保持器の抜き窓(開口)の輪郭における角となる柱部根元R部に応力集中が生じる。
【0007】
ここで、強度が低下した保持器では、応力集中により保持器の抜き窓付近が折損するといった問題が発生することがある。
【0008】
本発明は、ニードルベアリング保持器強度向上可能な構造を提供する、スキューカによる破損の発生を簡単な構成で防止することが可能な保持器、軸受、減速機を提供するという目的を達成しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る保持器は、
中心軸線回りに前記中心軸線と平行な軸線を有する円柱状の外形のコロを複数保持する軸受の保持器であって、
前記中心軸線の周囲に沿って複数の前記コロが収納される矩形の開口空間を備えて前記中心軸線回りに円筒面を形成する側周部と、
前記中心軸線に沿った方向における前記側周部の両端部から前記中心軸線の径方向に向けて配置された円環板状の端面部と、
前記端面部の前記中心軸線に対する径方向端部の全周に互いに対向する突条として一体的に形成されるとともに、前記開口空間の輪郭を形成する前記側周部の輪郭端面よりも前記中心軸線に沿った方向において前記コロの端面に近接する位置に突出する規制部と、
を有し、
前記端面部が、いずれも、前記側周部の前記中心軸線に対する径方向の外側に配置され、
前記コロの前記軸線は、前記側周部よりも前記中心軸線に対する径方向外側に位置し、前記規制部は、前記コロの前記軸線よりも前記中心軸線に対する径方向外側に位置し、
複数の前記コロは、前記中心軸線の周方向に対して、互いに等距離になるように配置され、
前記中心軸線に対する径方向位置が前記コロの前記軸線を含むピッチ円と等しい位置における前記中心軸線の周方向隣接する前記コロの間の距離は、前記中心軸線に対する径方向位置が前記側周部の前記円筒面と等しい位置における前記中心軸線の周方向隣接する前記開口空間の間の距離より小さい、
ことにより上記課題を解決した。
本発明の一態様に係る保持器は、
中心軸線回りに前記中心軸線と平行な軸線を有する 円柱状の外形のコロを複数保持する軸受の保持器であって、
前記中心軸線の周囲に沿って複数の前記コロが収納される矩形の開口空間を備えて前記中心軸線回りに円筒面を形成する側周部と、
前記中心軸線に沿った方向における前記側周部の両端部から前記中心軸線の径方向に向けて配置された円環板状の端面部と、
前記端面部の前記中心軸線に対する径方向端部の全周に互いに対向する突条として一体的に形成されるとともに、前記開口空間の輪郭を形成する前記側周部の輪郭端面よりも前記中心軸線に沿った方向において前記コロの端面に近接する位置に突出する規制部と、
を有し、
前記端面部は、前記中心軸線に沿った方向における前記側周部の両端部から前記中心軸線に対する径方向内側に向けて突出し、
前記コロの前記軸線は、前記側周部よりも前記中心軸線に対する径方向内側に位置し、
前記規制部は、前記コロの前記軸線よりも前記中心軸線に対する径方向内側に位置し、
前記側周部の形成する前記円筒面は、コロ配列のピッチ円直径よりも大径であり、
複数の前記コロは、前記中心軸線の周方向に対して、互いに等距離になるように配置され、
前記中心軸線に対する径方向位置が前記コロの前記軸線を含むピッチ円と等しい位置における前記中心軸線の周方向隣接する前記コロの間の距離は、前記中心軸線に対する径方向位置が前記側周部の前記円筒面と等しい位置における前記中心軸線の周方向隣接する前記開口空間の間の距離より小さい、
ことにより上記課題を解決した。
【0010】
本発明の一態様に係る保持器は、
中心軸線回りに複数の転動体を保持する軸受の保持器であって、
前記中心軸線の周囲に沿って複数の前記転動体が収納される側周部と、
前記側周部の端部に前記中心軸線の径方向に向けて配置された円環板状の端面部と、 前記端面部に配置された補強部と、
を備えた、
ことができる。
本発明の一態様に係る保持器によれば、スキュー力によって転動体が中心軸線に対して傾いて側周部に当接する際に、補強部によって側周部の強度が向上されていることにより、保持器の破損を防止することができる。
【0011】
本発明の一態様に係る保持器は、
上記の保持器において、
前記補強部が円環状に形成されている、
ことができる。
【0012】
本発明の一態様に係る保持器は、
上記の保持器において、
前記補強部が前記端面部と一体的に形成されて前記端面部の前記中心軸線に沿った方向の厚みよりも厚い厚肉部である、
ことができる。
【0013】
本発明の一態様に係る保持器は、
上記の保持器において、
前記補強部と前記転動体の端部とが、前記中心軸線に沿った方向において互いに接触可能である、
ことができる。
【0014】
本発明の一態様に係る保持器は、
上記の保持器において、
前記側周部が、前記中心軸線に沿った方向における両端部に前記端面部を備える、
ことができる。
【0015】
本発明の一態様に係る保持器は、
上記の保持器において、
前記補強部が、前記端面部の対向する面に形成されている、
ことができる。
【0016】
本発明の一態様に係る保持器は、
上記の保持器において、
前記端面部と前記補強部とが、プレス加工で一体成型される
ことができる。
【0017】
本発明の一態様に係る保持器は、
中心軸線回りに複数の転動体を保持する軸受の保持器であって、
前記中心軸線の周囲に沿って複数の前記転動体が収納される矩形の開口空間を備えた側周部と、
前記側周部の前記中心軸線に沿った方向における端部から前記中心軸線の径方向に向けて配置された円環板状の端面部と、
前記側周部において前記開口空間の輪郭を形成する端面よりも前記転動体に近接する位置に突出する規制部と、
を有する、
ことにより上記課題を解決した。
【0018】
本発明の一態様に係る保持器によれば、スキュー力によって転動体が中心軸線に対して傾いた際に、規制部に当接して開口空間には直接当接しない。これによって側周部の開口空間輪郭における角部分に応力が集中することがない。したがって、保持器の破損を防止することができる。
【0019】
本発明の一態様に係る保持器は、
上記の保持器において、
規制部は端面部と一体的に形成され、
前記規制部が前記端面部と一体的に形成されて、前記端面部の内周から前記中心軸線方向に沿って前記転動体に近接する位置に配置される、
ことができる。
【0020】
本発明の一態様に係る保持器は、
上記の保持器において、
前記端面部と前記規制部とが、プレス加工で一体成型される
ことができる。
【0021】
本発明の一態様に係る保持器は、
上記の保持器において、
前記中心軸線の径方向に向けて見た前記開口空間の輪郭における前記中心軸線に沿った方向の端部と、前記開口空間から視認できる前記転動体の前記中心軸線に沿った方向の端部とが、互いに離間している、
ことができる。
【0022】
本発明の一態様に係る保持器は、
上記の保持器において、
前記側周部が、前記中心軸方向における両端部に前記端面部を備える、
ことができる。
【0023】
本発明の一態様に係る保持器は、
上記の保持器において、
前記規制部が、前記端面部の対向する面に形成されている、
ことができる。
【0024】
本発明の他の態様に係る軸受は、
円環状に形成され径方向の内側を向く外転動面を有するアウターレースと、
前記アウターレースと同軸に配置され前記径方向の外側を向く内転動面を有するインナーレースと、
前記内転動面上および前記外転動面上を転動する複数の前記転動体と、
複数の前記転動体を保持する上記のいずれかに記載の保持器と、
を有する、
ことができる。
【0025】
本発明の他の態様に係る減速機は、
周方向に沿って配列された内歯が内周面に形成された外筒と、
前記外筒の前記内歯と噛み合う外歯を有した偏心揺動歯車と
駆動源に接続されて前記偏心揺動歯車を揺動させるクランク軸と、
前記クランク軸を支持して前記外筒に対して相対回転するキャリアと、
を備え、
前記クランク軸が上記の軸受により前記キャリアに支持される
ことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ニードルベアリングにおいて保持器強度向上可能な構造を提供する、スキューカによる破損の発生を簡単な構成で防止することが可能な保持器、軸受、減速機を提供することができるという効果を奏することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係る保持器、軸受の第1実施形態を示す中心軸線方向に一部断面視した正面図である。
図2】本発明に係る保持器の第1実施形態を示す中心軸線と一致する方向の断面図である。
図3】本発明に係る保持器の第1実施形態を示す中心軸線と直交する方向視した側面図である。
図4】本発明に係る保持器の第1実施形態において中心軸線と一致する方向の断面における諸元を示す模式拡大図である。
図5】本発明に係る保持器、軸受、減速機の第2実施形態を示す中心軸線と一致する方向の断面図である。
図6】本発明に係る保持器の第3実施形態を示す中心軸線と一致する方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る保持器、軸受、減速機の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における保持器、軸受を示す中心軸線方向に一部断面視した正面図である。図2は、本実施形態における保持器を示す中心軸線に沿った側断面図である。図3は、本実施形態における保持器を示す中心軸線に直交する方向外側から見た側面図である。図4は、本実施形態における保持器の寸法を示す中心軸線に沿った模式図である。
図において、符号1は、保持器である。
【0029】
本実施形態に係る保持器1は、図1図3に示すように、中心軸線F3回りに複数の転動体(コロ)2を保持する軸受に用いられる。
本実施形態に係る保持器1は、図1図3に示すように、中心軸線F3の周囲に沿って複数の転動体(コロ)2が収納される抜き窓となる開口空間1pを有する側周部1aと、側周部1aの中心軸線F3方向における両端部1a1,1a2から中心軸線F3の径方向に向けて配置された円環板状の端面部1b,1cと、端面部1b、1cに配置された補強部1d,1eと、を備える。
【0030】
言い換えると、保持器1は、コロ配列のピッチ円直径よりも大径となる略円筒面を形成する側周部1aと、この環状となる側周部1aの中心軸線F3方向における両端部1a1,1a2から中心軸線F3に対する径方向内側に向けて突出するフランジ状の端面部1b,1cと、側周部1aの円筒面に周方向に並んで複数形成されて互いの間で柱部を形成し内部にコロ2がそれぞれ入る複数のポケットである開口空間1pと、コロ2の中心軸線F3方向における端面における位置決めをおこなう規制部(補強部)となる凸部(突条)1d,1eと、を有する。
【0031】
転動体(コロ)2は、図1図3に示すように、略円柱状の外形を有する。転動体(コロ)2は、中心軸線F3と平行な軸線F4を有する。複数の転動体(コロ)2は、互いに軸線F4が平行になるように中心軸線F3の回りに配置される。複数の転動体(コロ)2は、中心軸線F3の周方向に対して、互いに等距離になるように配置される。保持器1は、複数の転動体(コロ)2をこのような状態で中心軸線F3の周方向に移動しつつ回転可能に保持する。
【0032】
側周部1aは、中心軸線F3回りに略円筒面を形成する。側周部1aは、中心軸線F3に沿った方向における幅寸法T1a(図4参照)が、中心軸線F3回りの全周で略同一とされる。側周部1aは、中心軸線F3に沿った方向における厚さ寸法Ta(図4参照)が、中心軸線F3回りの全周で略同一とされる。
【0033】
側周部1aは、中心軸線F3との離間距離つまり径方向寸法が、中心軸線F3に沿った方向の全長で略等しくされる。
なお、側周部1aの形状は上記で説明した形状に限定されるものではなく、収納される軸受の形状に応じて変形することが可能である。
側周部1aの周方向には、複数の開口空間1pが形成される。開口空間1pは、側周部1aの周方向に複数設けられる。開口空間1pは、コロ(転動体)2の収納位置となる。
【0034】
開口空間1pは、図1図3に示すように、側周部1aの径方向外側から見て、略矩形の輪郭形状を有する。
開口空間1pは、中心軸線F3に沿った方向の寸法Tp(図4参照)が、中心軸線F3に沿った方向におけるコロ(転動体)2の長さ寸法T2(図4参照)よりも大きく形成される。
開口空間1pは、中心軸線F3の周方向の寸法が、中心軸線F3に直交する方向におけるコロ(転動体)2の長さ寸法よりも大きく形成される。
【0035】
側周部1aには、中心軸線F3方向における端部1a1に、中心軸線F3に対する径方向内側に向けて突出するフランジ状の端面部1bを備える。また、側周部1aには、中心軸線F3方向における端部1a2に、中心軸線F3に対する径方向内側に向けて突出するフランジ状の端面部1cを備える。
【0036】
端面部1b,1cは、図1図3に示すように、中心軸線F3に直交する方向に延びる円環状の板(円環板状)とされる。端面部1b,1cは、中心軸線F3視して、略同一の輪郭形状を有する。端面部1b,1cは、側周部1aと直交するように形成されている。
端面部1b,1cは、中心軸線F3の回りの全周で、ほぼ等しい外径寸法を有する。端面部1b,1cは、中心軸線F3の回りの全周で、ほぼ等しい内径寸法を有する。
端面部1b,1cは、中心軸線F3の回りの全周で、ほぼ等しい径方向寸法を有する。
端面部1b,1cの中心軸線F3に対する径方向寸法は、コロ(転動体)2の軸線F4回りの半径寸法よりも大きく設定される。端面部1b,1cの中心軸線F3に対する径方向寸法は、コロ(転動体)2の軸線F4回りの半径寸法よりも小さくてもよい。
【0037】
端面部1bは、中心軸線F3に沿った方向における厚さ寸法Tb(図4参照)が、中心軸線F3回りの全周で略同一とされる。端面部1bは、中心軸線F3に沿った方向における厚さ寸法Tb(図4参照)が、中心軸線F3の径方向に沿った全長で略同一とされる。
端面部1cは、中心軸線F3に沿った方向における厚さ寸法Tc(図4参照)が、中心軸線F3回りの全周で略同一とされる。端面部1cは、中心軸線F3に沿った方向における厚さ寸法Tc(図4参照)が、中心軸線F3の径方向に沿った全長で略同一とされる。
【0038】
端面部1bの厚さ寸法Tb(図4参照)と、端面部1cの厚さ寸法Tc(図4参照)とは、いずれも等しく形成される。端面部1bの厚さ寸法Tb(図4参照)と、端面部1cの厚さ寸法Tc(図4参照)とは、いずれも側周部1aの厚さ寸法Ta(図4参照)と等しく設定される。
【0039】
端面部1bには、図1図3に示すように、中心軸線F3に対する径方向内側端部で、端面部1cに対向する位置に、規制部あるいは補強部となる凸部(突条)1dが形成される。端面部1cには、中心軸線F3に対する径方向内側端部で、端面部1bに対向する位置に、凸部(突条)1dに対応して、規制部あるいは補強部となる凸部(突条)1eが形成される。凸部(突条)1d,1eは、端面部1bと端面部1cとの互いに対向する面に形成される。
【0040】
規制部あるいは補強部となる凸部(突条)1d,1eは、それぞれ中心軸線F3回りの全周に円環状に連続して形成される。凸部(突条)1d,1eは、規制部あるいは補強部として、それぞれ端面部1b,1cにおける中心軸線F3に沿った方向における厚みよりも厚い厚肉部として形成される。
規制部あるいは補強部となる凸部(突条)1dは、端面部1bと一体的に形成される。規制部あるいは補強部となる凸部(突条)1eは、端面部1cと一体的に形成される。
【0041】
規制部あるいは補強部となる凸部(突条)1dは、中心軸線F3の径方向に沿った幅寸法Td(図4参照)が、中心軸線F3回りの全周で略同一とされる。規制部あるいは補強部となる凸部(突条)1eは、中心軸線F3の径方向に沿った幅寸法Te(図4参照)が、中心軸線F3回りの全周で略同一とされる。
【0042】
規制部あるいは補強部となる凸部(突条)1dの幅寸法Td(図4参照)と、規制部あるいは補強部となる凸部(突条)1eの幅寸法Te(図4参照)とは、いずれも等しく形成される。
規制部あるいは補強部となる凸部(突条)1dの幅寸法Td(図4参照)と、規制部あるいは補強部となる凸部(突条)1eの幅寸法Te(図4参照)とは、いずれも側周部1aの厚さ寸法Ta(図4参照)と等しく形成される。
【0043】
規制部あるいは補強部となる凸部(突条)1dは、中心軸線F3に対する径方向外側から見て、開口空間1pから視認できる。つまり、規制部あるいは補強部となる凸部(突条)1dは、中心軸線F3に沿った方向において、開口空間1pの輪郭となる端面(輪郭端面)1p1よりも開口空間1pの中心側にむけて突出している。
規制部あるいは補強部となる凸部(突条)1eは、中心軸線F3に対する径方向外側から見て、開口空間1pから視認できる。つまり、規制部あるいは補強部となる凸部(突条)1eは、中心軸線F3に沿った方向において、開口空間1pの輪郭となる端面(輪郭端面)1p1よりも開口空間1pの中心側にむけて突出している。
【0044】
中心軸線F3に沿った方向において、凸部(突条)1dと凸部(突条)1eとの間の距離Tde(図4参照)は、中心軸線F3に沿った方向における開口空間1pの輪郭で対向する一対の平行な辺の間の距離Tp(図4参照)よりも小さい。同様に、中心軸線F3に沿った方向において、凸部(突条)1dと凸部(突条)1eとの間の距離Tde(図4参照)は、中心軸線F3に沿った方向における転動体(コロ)2の長さT2(図4参照)とほぼ等しいかやや大きく設定される。
距離Tde(図4参照)と距離Tp(図4参照)との差は、矩形輪郭である開口空間1pにおいて中心軸線F3に対する周方向に延びる一辺の全長で等しくなるように設定されている。
【0045】
距離Tde(図4参照)と長さT2(図4参照)との差は、中心軸線F3に対する周方向において矩形輪郭である開口空間1pの一辺の全長で等しくなるように設定されている。
互いに対向する凸部(突条)1dと凸部(突条)1eとの端面は、中心軸線F3に直交する方向で平行となっている。互いに対向する凸部(突条)1dと凸部(突条)1eとの端面には、平滑化、バリ取り等の表面処理が施されている。
【0046】
凸部(突条)1dと凸部(突条)1eとの端面は、中心軸線F3に対する径方向で同一距離Tde(図4参照)を維持する。つまり、凸部(突条)1dと凸部(突条)1eとの端面は、その厚さ方向で同一距離Tde(図4参照)を維持する。
凸部(突条)1dと凸部(突条)1eとの端面は、中心軸線F3に対する周方向で同一距離Tde(図4参照)を維持する。つまり、凸部(突条)1dと凸部(突条)1eとの端面は、中心軸線F3に対する周方向で同一距離Tde(図4参照)を維持する。
【0047】
凸部(突条)1dと凸部(突条)1eとの端面は、中心軸線F3に対する径方向において、軸線F4よりも中心軸線F3に近接する位置とされることができる。あるいは、凸部(突条)1dと凸部(突条)1eとの端面は、中心軸線F3に対する径方向において、軸線F4を含む位置とされることができる。
【0048】
本実施形態における保持器1は、中心軸線F3まわりの周方向に沿った側周部1aと、側周部1aの周方向に複数設けられてコロ(転動体)2の収納位置となる開口空間1pと、側周部1aの中心軸線F3に沿った方向の端部1a1,1a2から中心軸線F3に対する径方向内側に張り出すフランジ状の端面部1b,1cと、端面部1b,1cの中心軸線F3に対する径方向の内周端部から開口空間1pの輪郭の中心に向けて中心軸線F3に沿った方向に突出する凸部(補強部、規制部)1d,1eと、を備え、凸部(補強部、規制部)1d,1eが、中心軸線F3に沿った方向において矩形輪郭である開口空間1pの辺1p1よりも開口空間1pの輪郭の中心に向けて突出する。
【0049】
次に、本実施形態における保持器の形成方法を説明する。
【0050】
本実施形態における保持器1の形成方法は、板材からプレス加工で一体成型される。このとき、保持器1の形成は、側周部1aと端面部1b,1cとを折り曲げて、中心軸線F3に対する径方向断面が略コ字状とし、中心軸線F3に対する周方向の端部を連結して円環状に形成する。
さらに、端面部1b,1cにおいて、中心軸線F3に対する内周側端部を互いに対向して近接する向きに折り曲げて、凸部(補強部、規制部)1d,1eを形成する。
【0051】
さらに、凸部(補強部、規制部)1d,1eの端面にはバリ取り等の表面処理が施される。
このように、中心軸線F3に対する径方向断面が略矩形に近いC形状として保持器1を形成する。
【0052】
なお、折り曲げの順番、表面処理をおこなう順番等に関しては、加工の容易性などから適宜設定すればよく、上記の順番に限定されない。
【0053】
本実施形態における保持器1とコロ(転動体)2との状態を説明する。
【0054】
ここで、保持器1において、軸線F4が傾斜して中心軸線F3に対して傾くようにコロ(転動体)2が傾斜した場合を考える。
ここで、保持器1は軸受として用いられるものである。このため、中心軸線F3に対する径方向において保持器1の外側には、図1に示すように、アウターレースOrが位置する。また、中心軸線F3に対する径方向において保持器1の内側には、図1に示すように、インナーレースIrが位置する。
したがって、コロ(転動体)2が、中心軸線F3に対する周方向に沿って傾く状態を考慮すればよい。
【0055】
このように、本実施形態における保持器1では、軸線F4が傾斜して中心軸線F3に対して傾くようにコロ(転動体)2が傾斜した場合に、コロ(転動体)2の端面に、まず、凸部(補強部、規制部)1d,1eが接触する。この状態では、開口空間1pの矩形輪郭の辺には、コロ(転動体)2が接触しない。したがって、コロ(転動体)2の接触によって、開口空間1pの輪郭付近となる側周部1aには応力が発生しない。特に、開口空間1pにおける矩形輪郭の角付近には、コロ(転動体)2が接触せず、応力集中が発生しない。
【0056】
さらに、このようにコロ(転動体)2が傾斜して、まずコロ(転動体)2が凸部(補強部、規制部)1d,1eに接触した場合には、凸部(補強部、規制部)1d,1eが中心軸線F3方向に互いに離間するように、端面部1b,1cが変形する。つまり、端面部1bと端面部1cとが、互いに離間するように変形する。このとき、端面部1bと端面部1cとは、いずれも凸部(補強部、規制部)1dと凸部(補強部、規制部)1eとが形成された内周側が、中心軸線F3に沿った方向に離間するように変形する。これに対して、端面部1bと端面部1cとは、側周部1aに接続された外周側では変形が抑制される。
【0057】
これにより、側周部1aにおける応力集中の発生を防止することができる。また、コロの充填率を高くした場合に、細くなって強度が低下している側周部1aでも、破損の発生を防止することができる。さらに保持器1の長寿命化を図ることができる。
【0058】
また、保持器1において、スキュー力が作用して、軸線F4は傾斜しないが中心軸線F3に沿ってコロ(転動体)2が中心軸線F3に沿って移動した場合を考える。
【0059】
このように、本実施形態における保持器1では、軸線F4は傾斜せずに中心軸線F3に沿ってコロ(転動体)2が移動した場合に、コロ(転動体)2の端面に、まず、凸部(補強部、規制部)1d,1eが接触する。この状態では、開口空間1pの矩形輪郭の辺には、コロ(転動体)2が接触しない。したがって、コロ(転動体)2の接触によって、開口空間1pの輪郭付近となる側周部1aには応力が発生しない。
【0060】
さらに、このようにコロ(転動体)2が移動して、まずコロ(転動体)2が凸部(補強部、規制部)1dまたは凸部(補強部、規制部)1eに接触した場合には、凸部(補強部、規制部)1d,1eが中心軸線F3方向に互いに離間するように、端面部1bまたは端面部1cが変形する。つまり、端面部1bと端面部1cとが、互いに離間するように変形する。このとき、端面部1bと端面部1cとは、いずれも凸部(補強部、規制部)1dと凸部(補強部、規制部)1eとが形成された内周側が、中心軸線F3に沿った方向に離間するように変形する。これに対して、端面部1bと端面部1cとは、側周部1aに接続された外周側では変形が抑制される。
【0061】
これにより、本実施形態の保持器1は、側周部1aにおける応力集中の発生を防止して、破損の発生を防止して長寿命化を図ることができる。したがって、開口空間1pの輪郭の隅に形成する曲率Rを大きくして強度を保持する必要がないため、保持器1と転動体2との隙間を小さくでき、小型化を図ることができる。
また、本実施形態の保持器1は、4条の折り曲げ加工で一体成形可能な簡単な構成により、形成工程数の削減が可能で、形成部品点数の削減を図ることができ、低コストで製造することが可能である。
【0062】
本実施形態の保持器1においては、図4に示す寸法を、以下に示すように、それぞれの関係を満たすように設定することができる。
T2 ≦ Tde
Tde < Tp
Tp < Tbc
Tbc < T1a
Td = Te = Tb = Tc = Ta
【0063】
次に、本実施形態における軸受について説明する。
【0064】
本実施形態における軸受1Aは、図1に示すように、上述した保持器1および複数の転動体(コロ)2と、アウターレースOrと、インナーレースIrと、を有する。
軸受1Aは、中心軸線F3を回転中心とする。
アウターレースOrは、円環状に形成されて中心軸線F3に対する径方向の内側を向く外転動面を有する。
【0065】
インナーレースIrは、アウターレースOrと同軸に配置され中心軸線F3に対する径方向の外側を向く内転動面を有する。
なお、図1において、アウターレースOrとインナーレースIrとは、それぞれの転動面の位置のみを示している。
複数の転動体(コロ)2は、内転動面上および外転動面上を転動する。
【0066】
本実施形態における軸受1Aは、上述したように、保持器1における応力集中を防止して、破損抑制を図ることができる。したがって、軸受1Aとしての破損防止と、長寿命化と小型化とを図ることが可能となる。
【0067】
以下、本発明に係る保持器、軸受、減速機の第2実施形態を、図面に基づいて説明する。
図5は、本実施形態における保持器、軸受、減速機を示す軸方向に沿った断面図である。図において、符号100は、減速機である。本実施形態において、上述した第1実施形態と異なるのは、減速機に関する点であり、これ以外の上述した第1実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0068】
本実施形態に係る減速機100は、図5に示すように、筐体筒200と、歯車部(外歯部材)300と、3つのクランク組立体400と、を備える。筐体筒200は、歯車部300と、3つのクランク組立体400と、を収容する。
本実施形態において、減速機100は、偏心揺動減速機とされる。
【0069】
筐体筒200は、ケース(外筒部)210と、キャリア部(キャリア)220と、2つの主軸受230と、を含む。キャリア部220は、ケース(外筒部)210内に配置される。2つの主軸受230は、ケース(外筒部)210とキャリア部220との間に配置される。2つの主軸受230は、ケース(外筒部)210と、キャリア部220と、の間の相対的な回転運動を可能にする。本実施形態における減速機100の出力部は、ケース(外筒部)210およびキャリア部220のうち一方によって例示される。
【0070】
図5には、2つの主軸受230の回転中心軸として規定される減速機100の中心軸(主軸)F0を示す。ケース(外筒部)210が固定されている場合には、キャリア部220が、主軸F0周りに回転する。キャリア部220が固定されている場合には、ケース(外筒部)210が、主軸F0周りに回転する。すなわち、ケース(外筒部)210およびキャリア部220のうち一方は、ケース(外筒部)210およびキャリア部220のうち他方に対して、主軸F0周りに相対的に回転することができる。
本実施形態において、2つの主軸受230の回転中心軸として減速機100の中心軸(主軸)F0に沿った方向を軸方向という。
【0071】
円筒状であるケース(外筒部)210の外周には、フランジ部(取付フランジ)215が周設されている。フランジ部215の周縁には、取付穴216が互いに間隔を有して複数形成されている。フランジ部215は、たとえば、インローとして減速機100を嵌め込み部に取り付ける際に用いられる。
【0072】
ケース(外筒部)210は、外筒211と、複数の内歯ピン(内歯)212と、を含む。外筒211は、キャリア部220、歯車部300およびクランク組立体400が収容される円筒状の内部空間を規定する。各内歯ピン212は、主軸F0に略平行に延びる円柱状の部材である。各内歯ピン212は、外筒211の内壁に形成された溝部に嵌入される。したがって、各内歯ピン212は、外筒211によって適切に保持される。
【0073】
複数の内歯ピン212は、主軸F0周りに略一定間隔で配置される。各内歯ピン212の半周面は、外筒211の内壁から主軸F0に向けて突出する。したがって、複数の内歯ピン212は、歯車部300と噛み合う内歯として機能する。
【0074】
キャリア部220は、基部(第1部材)221と、端板部(第2部材)222と、位置決めピン223と、支柱ボルト(固定ボルト)224と、を含む。キャリア部220は、全体的に、円筒形状をなす。キャリア部220には、主軸F0と同心となる貫通孔229が形成される。
【0075】
基部(第1部材)221は、基板部225と、3つのシャフト部226と、を含む。3つのシャフト部226それぞれは、基板部225から端板部(第2部材)222に向けて延びる。3つのシャフト部226それぞれの先端面には、ネジ孔227およびリーマ孔228が形成される。位置決めピン223は、リーマ孔228へ挿入される。この結果、端板部(第2部材)222は、基部(第1部材)221に対して精度よく位置決めされる。
【0076】
支柱ボルト224は、ネジ孔227に締結される。この結果、端板部(第2部材)222は、基部(第1部材)221に適切に固定される。
支柱ボルト224による基部(第1部材)221と端板部(第2部材)222との固定は、所定の予圧となるように設定される。端板部(第2部材)222はホールドと称される。
【0077】
歯車部300は、基板部225と端板部(第2部材)222との間に配置される。3つのシャフト部226は、歯車部300を貫通し、端板部(第2部材)222に接続される。
【0078】
歯車部300は、2つの歯車310,320を含む。歯車310は、基板部225と歯車320との間に配置される。歯車320は、端板部(第2部材)222と歯車310との間に配置される。
【0079】
歯車310は、形状および大きさにおいて、歯車320と略等しい。歯車310,320は、内歯ピン212に噛み合いながら、外筒211内を周回移動する。したがって、歯車310,320の中心は、主軸F0周りを周回することとなる。
【0080】
歯車310の周回位相は、歯車320の周回位相から略180°ずれている。歯車310は、ケース(外筒部)210の複数の内歯ピン212のうち半数に噛み合う間、歯車320は、複数の内歯ピン212のうち残りの半数に噛み合う。したがって、歯車部300は、ケース(外筒部)210またはキャリア部220を回転させることができる。
【0081】
本実施形態において、歯車部300は、2つの歯車310,320を含む。あるいは、歯車部として、2を超える数の歯車を用いてもよい。さらに代替的に、歯車部として、1つの歯車を用いてもよい。
【0082】
3つのクランク組立体400それぞれは、クランク軸410と、4つの軸受421,422,423,424と、伝達歯車(外歯)430と、を含む。伝達歯車430は、一般的なスパーギアであってもよい。本実施形態の減速機100において、伝達歯車430は特定の種類に限定されない。
【0083】
伝達歯車430は、駆動源(例えば、モータ)が発生させた駆動力を直接的または間接的に受ける。減速機100は、その使用環境や使用条件に応じて駆動源から伝達歯車430までの駆動力の伝達経路を適宜設定することができる。したがって、本実施形態は、駆動源から伝達歯車430までの特定の駆動伝達経路に限定されない。
【0084】
図5には、クランク軸線(伝達軸)F2を示す。伝達軸F2は、主軸F0に対して略平行である。クランク軸410は、伝達軸F2周りに回転する。
クランク軸410は、2つのジャーナル(クランクジャーナル)411,412と、2つの偏心部(偏心体)413,414と、を含む。ジャーナル411,412は、伝達軸F2に沿って延びる。ジャーナル411,412の中心軸は、伝達軸F2に一致する。偏心部413,414は、ジャーナル411,412間に形成される。偏心部413,414それぞれは、伝達軸F2から偏心している。
【0085】
ジャーナル411は、軸受421に挿入される。軸受421は、ジャーナル411と端板部(第2部材)222との間に配置される。したがって、ジャーナル411は、端板部(第2部材)222と軸受421とによって支持される。ジャーナル412は、軸受422に挿入される。軸受422は、ジャーナル412と基部(第1部材)221との間に配置される。したがって、ジャーナル412は、基部(第1部材)221と軸受422とによって支持される。
本実施形態において、軸受421は、ニードル軸受とされ、複数のコロ431がジャーナル411の周囲に配置される。軸受422は、ニードル軸受とされ、複数のコロ432がジャーナル412の周囲に配置される。
【0086】
偏心部413は、軸受423に挿入される。軸受423は、偏心部413と歯車310との間に配置される。偏心部414は、軸受424に挿入される。軸受424は、偏心部414と歯車320との間に配置される。
本実施形態において、軸受423は、ニードル軸受とされ、複数のコロ433が偏心部(偏心体)413の周囲に配置される。軸受424は、ニードル軸受とされ、複数のコロ434が偏心部(偏心体)414の周囲に配置される。
【0087】
伝達歯車430に駆動力が入力されると、クランク軸410は、伝達軸F2周りに回転する。この結果、偏心部413,414は、伝達軸F2周りに偏心回転する。軸受423,424を介して偏心部413,414に接続された歯車310,320は、ケース(外筒部)210によって規定された円形空間内で揺動する。歯車310,320は、内歯ピン212に噛み合うので、ケース(外筒部)210とキャリア部220との間で相対的な回転運動が引き起こされる。
【0088】
本実施形態に係る減速機100において、軸受421は、第1実施形態における軸受1Aに対応して構成することができる。この場合、クランク軸線(伝達軸)F2は、第1実施形態における中心軸線F3に対応する。また、コロ431は、第1実施形態における転動体(コロ)2に対応する。ジャーナル411は、第1実施形態におけるインナーレースIrに対応する。端板部(第2部材)222は、第1実施形態におけるアウターレースOrに対応する。
【0089】
同様に、減速機100において、軸受422は、第1実施形態における軸受1Aに対応して構成することができる。この場合、クランク軸線(伝達軸)F2は、第1実施形態における中心軸線F3に対応する。また、コロ432は、第1実施形態における転動体(コロ)2に対応する。ジャーナル412は、第1実施形態におけるインナーレースIrに対応する。端板部(第2部材)222は、第1実施形態におけるアウターレースOrに対応する。
【0090】
同様に、減速機100において、軸受423は、第1実施形態における軸受1Aに対応して構成することができる。この場合、コロ433は、第1実施形態における転動体(コロ)2に対応する。偏心部(偏心体)413は、第1実施形態におけるインナーレースIrに対応する。歯車310は、第1実施形態におけるアウターレースOrに対応する。
【0091】
同様に、減速機100において、軸受424は、第1実施形態における軸受1Aに対応して構成することができる。この場合、コロ434は、第1実施形態における転動体(コロ)2に対応する。偏心部(偏心体)414は、第1実施形態におけるインナーレースIrに対応する。歯車320は、第1実施形態におけるアウターレースOrに対応する。
【0092】
本実施形態に係る減速機100においても、各軸受421~424において、上述した保持器1を収納する。
これにより、上述した実施形態と同等の作用効果を奏することができる。
【0093】
さらに、本実施形態においては、2つの主軸受230を、第1実施形態における軸受1Aに対応して構成することができる。
【0094】
以下、本発明に係る保持器、軸受の第3実施形態を、図面に基づいて説明する。
図6は、本実施形態における保持器、軸受を示す軸方向に沿った断面図である。
本実施形態において上述した第1および第2実施形態と異なるのは端面部の配置に関する点であり、これ以外の対応する構成要素に関しては、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0095】
本実施形態の保持器1においては、端面部1b、1cが、いずれも、側周部1aの中心軸線F3に対する径方向の外側に配置される。
【0096】
側周部1aには、中心軸線F3方向における端部1a1に、中心軸線F3に対する径方向外側に向けて突出するフランジ状の端面部1bを備える。また、側周部1aには、中心軸線F3方向における端部1a2に、中心軸線F3に対する径方向外側に向けて突出するフランジ状の端面部1cを備える。
【0097】
端面部1b,1cは、図6に示すように、中心軸線F3に直交する方向に延びる円環状の板(円環板状)とされる。端面部1bと端面部1cとは、中心軸線F3に沿った方向に見て、略同一の輪郭形状を有する。端面部1b,1cは、いずれも側周部1aと直交するように形成されている。
端面部1b,1cは、中心軸線F3の回りの全周で、ほぼ等しい外径寸法を有する。端面部1b,1cは、中心軸線F3の回りの全周で、ほぼ等しい内径寸法を有する。
端面部1b,1cは、中心軸線F3の回りの全周で、ほぼ等しい径方向寸法を有する。
端面部1b,1cの中心軸線F3に対する径方向寸法は、コロ(転動体)2の軸線F4回りの半径寸法よりも大きく設定される。端面部1b,1cの中心軸線F3に対する径方向寸法は、コロ(転動体)2の軸線F4回りの半径寸法よりも小さくてもよい。
【0098】
端面部1bは、中心軸線F3に沿った方向における厚さ寸法Tbが、中心軸線F3回りの全周で略同一とされる。端面部1bは、中心軸線F3に沿った方向における厚さ寸法Tbが、中心軸線F3の径方向に沿った全長で略同一とされる。
端面部1cは、中心軸線F3に沿った方向における厚さ寸法Tcが、中心軸線F3回りの全周で略同一とされる。端面部1cは、中心軸線F3に沿った方向における厚さ寸法Tcが、中心軸線F3の径方向に沿った全長で略同一とされる。
【0099】
端面部1bの厚さ寸法Tbと、端面部1cの厚さ寸法Tcとは、いずれも等しく形成される。端面部1bの厚さ寸法Tbと、端面部1cの厚さ寸法Tcとは、いずれも側周部1aの厚さ寸法Taと等しく設定される。
【0100】
端面部1bには、図6に示すように、中心軸線F3に対する径方向外側端部で、端面部1cに対向する位置に、規制部あるいは補強部となる凸部(突条)1dが形成される。端面部1cには、中心軸線F3に対する径方向外側端部で、端面部1bに対向する位置に、凸部(突条)1dに対応して、規制部あるいは補強部となる凸部(突条)1eが形成される。凸部(突条)1d,1eは、端面部1bと端面部1cとの互いに対向する面に形成される。
【0101】
規制部あるいは補強部となる凸部(突条)1d,1eは、それぞれ中心軸線F3回りの全周に円環状に連続して形成される。凸部(突条)1d,1eは、規制部あるいは補強部として、それぞれ端面部1b,1cにおける中心軸線F3に沿った方向における厚みよりも厚い厚肉部として外縁に形成される。
規制部あるいは補強部となる凸部(突条)1dは、端面部1bと一体的に形成される。規制部あるいは補強部となる凸部(突条)1eは、端面部1cと一体的に形成される。
【0102】
規制部あるいは補強部となる凸部(突条)1dは、中心軸線F3の径方向に沿った幅寸法Tdが、中心軸線F3回りの全周で略同一とされる。規制部あるいは補強部となる凸部(突条)1eは、中心軸線F3の径方向に沿った幅寸法Teが、中心軸線F3回りの全周で略同一とされる。
【0103】
規制部あるいは補強部となる凸部(突条)1dの幅寸法Tdと凸部(突条)1eの幅寸法Teとは、いずれも等しく形成される。
規制部あるいは補強部となる凸部(突条)1dの幅寸法Tdと、凸部(突条)1eの幅寸法Teとは、いずれも側周部1aの厚さ寸法Taと等しく形成される。
【0104】
規制部あるいは補強部となる凸部(突条)1dは、中心軸線F3に対する径方向内側から外向きに覗いて見て、開口空間1pから視認できる。つまり、規制部あるいは補強部となる凸部(突条)1dは、開口空間1pの中心軸線F3に沿った方向の輪郭端部となる辺1p1よりも端面部1cに近接する向きに突出している。すなわち、凸部(突条)1dは、中心軸線F3に沿った方向において、開口空間1pの輪郭となる端面1p1よりも開口空間1pの中心側にむけて突出している。
【0105】
規制部あるいは補強部となる凸部(突条)1eは、中心軸線F3に対する径方向内側から外向きに見て、開口空間1pから視認できる。つまり、規制部あるいは補強部となる凸部(突条)1eは、中心軸線F3に沿った方向において、矩形輪郭である開口空間1pの端面1p1よりも開口空間1pの中心側にむけて突出している。
【0106】
中心軸線F3に沿った方向において、凸部(突条)1dと凸部(突条)1eとの間の距離Tdeは、中心軸線F3に沿った方向における開口空間1pの輪郭で対向する一対の平行な辺の間の距離Tpよりも小さい。同様に、中心軸線F3に沿った方向において、凸部(突条)1dと凸部(突条)1eとの間の距離Tdeは、中心軸線F3に沿った方向における転動体(コロ)2の長さT2とほぼ等しいかやや大きく設定される。
距離Tdeと距離Tpとの差は、矩形輪郭である開口空間1pにおいて中心軸線F3に対する周方向に延びる一辺の全長で等しくなるように設定されている。
【0107】
距離Tdeと長さT2との差は、中心軸線F3に対する周方向において開口空間1pの矩形輪郭である一辺の端面1p1の全長で等しくなるように設定されている。
互いに対向する凸部(突条)1dと凸部(突条)1eとの端面は、中心軸線F3に直交する方向で平行となっている。互いに対向する凸部(突条)1dと凸部(突条)1eとの端面には、平滑化、平坦化、バリ取り等の表面処理が施されている。凸部(突条)1dと凸部(突条)1eとの端面は、コロ2の端面との摩擦低減が可能なように、開口空間1pの端面1p1よりも高い平滑化・平坦化の処理がおこなわれる。
【0108】
凸部(突条)1dと凸部(突条)1eとの端面は、中心軸線F3に対する径方向の全長で同一距離Tdeを維持する。つまり、凸部(突条)1dと凸部(突条)1eとの端面は、その厚さ方向で同一距離Tdeを維持する。
凸部(突条)1dと凸部(突条)1eとの端面は、中心軸線F3に対する周方向の全周で同一距離Tdeを維持する。つまり、凸部(突条)1dと凸部(突条)1eとの端面は、中心軸線F3に対する周方向で同一距離Tdeを維持する。
【0109】
凸部(突条)1dと凸部(突条)1eとの端面は、中心軸線F3に対する径方向において、軸線F4よりも中心軸線F3から離間する位置とされることができる。あるいは、凸部(突条)1dと凸部(突条)1eとの端面は、中心軸線F3に対する径方向において、軸線F4を含む位置とされることができる。
【0110】
本実施形態における保持器1は、中心軸線F3まわりの周方向に沿った側周部1aと、側周部1aの周方向に複数設けられてコロ(転動体)2の収納位置となる開口空間1pと、側周部1aの中心軸線F3に沿った方向の端部1a1,1a2から中心軸線F3に対する径方向外側に張り出すフランジ状の端面部1b,1cと、端面部1b,1cの中心軸線F3に対する径方向の外周端部から開口空間1pの輪郭の中心に向けて中心軸線F3に沿った方向に突出する凸部(補強部、規制部)1d,1eと、を備え、凸部(補強部、規制部1d,1eが、中心軸線F3に沿った方向において開口空間1pの矩形輪郭の辺よりも開口空間1pの輪郭の中心に向けて突出する。
【0111】
次に、本実施形態における保持器の形成方法を説明する。
【0112】
本実施形態における保持器1の形成方法は、板材からプレス加工で一体成型される。このとき、保持器1の形成は、側周部1aと端面部1b,1cとを折り曲げて、中心軸線F3に対する径方向断面が略コ字状とし、中心軸線F3に対する周方向の端部を連結して円環状に形成する。
さらに、端面部1b,1cにおいて、中心軸線F3に対する外周側端部を互いに対向して近接する向きに折り曲げて、凸部(補強部、規制部)1d,1eを形成する。
【0113】
さらに、凸部(補強部、規制部)1d,1eの端面には、接触時にコロ(転動体)2の回転を阻害しないようにバリ取り等の表面処理が施される。
このように、中心軸線F3に対する径方向断面が略矩形に近いC形状として保持器1を形成する。
【0114】
なお、折り曲げの順番、表面処理をおこなう順番等に関しては、加工の容易性などから適宜設定すればよく、上記の順番に限定されない。
【0115】
本実施形態における保持器1とコロ(転動体)2との状態を説明する。
【0116】
ここで、保持器1において、軸線F4が傾斜して中心軸線F3に対して傾くようにコロ(転動体)2が傾斜した場合を考える。
ここで、保持器1は軸受として用いられるものである。このため、中心軸線F3に対する径方向において保持器1の外側には、第1実施形態における図1に示すように、アウターレースOrが位置する。また、中心軸線F3に対する径方向において保持器1の内側には、同様に、インナーレースIrが位置する。
したがって、コロ(転動体)2が、中心軸線F3に対する周方向に沿って傾く状態を考慮する。
【0117】
本実施形態における保持器1では、軸線F4が傾斜して中心軸線F3に対して傾くようにコロ(転動体)2が傾斜した場合に、コロ(転動体)2の端面に、まず、凸部(補強部、規制部)1d,1eが接触する。この状態では、開口空間1pの矩形輪郭の辺端面1p1には、コロ(転動体)2が接触しない。したがって、コロ(転動体)2の接触によって、開口空間1pの輪郭付近となる側周部1aには応力が発生しない。特に、開口空間1pにおける矩形輪郭の角付近には、コロ(転動体)2が接触せず、応力集中が発生しない。
【0118】
さらに、このようにコロ(転動体)2が傾斜して、まずコロ(転動体)2が凸部(補強部、規制部)1d,1eに接触した場合には、凸部(補強部、規制部)1d,1eが中心軸線F3方向に互いに離間するように、端面部1b,1cが変形する。つまり、端面部1bと端面部1cとが、互いに離間するように変形する。このとき、端面部1bと端面部1cとは、いずれも凸部(補強部、規制部)1dと凸部(補強部、規制部)1eとが形成された外周側が、中心軸線F3に沿った方向に離間するように変形する。これに対して、端面部1bと端面部1cとは、側周部1aに接続された内周側では変形が抑制される。
【0119】
これにより、側周部1aにおける応力集中の発生を抑制することができる。また、コロの充填率を高くした場合に、細くなって強度が低下している側周部1aでも、破損の発生を防止することができる。さらに保持器1の長寿命化を図ることができる。
【0120】
また、保持器1において、スキュー力が作用して、軸線F4は傾斜しないが中心軸線F3に沿ってコロ(転動体)2が中心軸線F3に沿って移動した場合を考える。
【0121】
このように、本実施形態における保持器1では、軸線F4は傾斜せずに中心軸線F3に沿ってコロ(転動体)2が移動した場合に、コロ(転動体)2の端面に、まず、凸部(補強部、規制部)1d,1eが接触する。この状態では、開口空間1pの矩形輪郭辺の端面1p1には、コロ(転動体)2が接触しない。したがって、コロ(転動体)2の接触によって、開口空間1pの輪郭付近となる側周部1aには応力が発生しない。
【0122】
さらに、このようにコロ(転動体)2が移動して、まずコロ(転動体)2が凸部(補強部、規制部)1dまたは凸部(補強部、規制部)1eに接触した場合には、凸部(補強部、規制部)1d,1eが中心軸線F3方向に互いに離間するように、端面部1bまたは端面部1cが変形する。つまり、端面部1bと端面部1cとが、互いに離間するように変形する。このとき、端面部1bと端面部1cとは、いずれも凸部(補強部、規制部)1dと凸部(補強部、規制部)1eとが形成された外周側が、中心軸線F3に沿った方向に離間するように変形する。これに対して、端面部1bと端面部1cとは、側周部1aに接続された内周側では変形が抑制される。
【0123】
これにより、本実施形態の保持器1は、側周部1aにおける応力集中の発生を抑制して、破損の発生を防止して長寿命化を図ることができる。したがって、開口空間1pの矩形輪郭の隅に形成する曲線の半径を小さくすることができ、保持器1と転動体2との隙間を小さくでき、小型化を図ることができる。
【0124】
また、本実施形態の保持器1は、4条の折り曲げ加工で一体成形可能な簡単な構成により、形成工程数の削減が可能で、形成部品点数の削減を図ることができ、低コストで製造することが可能である。
【0125】
本実施形態においては、上述した実施形態と同等の作用効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明の活用例として、ニードルベアリングを連結して用いるような減速機や駆動装置(動力伝達装置)を挙げることができる。
【符号の説明】
【0127】
1…保持器
1A…軸受
1a…側周部
1a1,1a2…端部
1b,1c…端面部
1d,1e…凸部(補強部、規制部)
1p…開口空間
1p1…端面
F3…中心軸線
F4…軸線
2…コロ(転動体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6