(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】振れ補正機能付き光学ユニットおよび撮像装置
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20241003BHJP
【FI】
G03B5/00 J
(21)【出願番号】P 2020106664
(22)【出願日】2020-06-22
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-077393(JP,A)
【文献】特開2018-189816(JP,A)
【文献】特開平09-269519(JP,A)
【文献】特開2016-224245(JP,A)
【文献】特開2008-304693(JP,A)
【文献】特開2005-227568(JP,A)
【文献】特開2018-077395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00-5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置に搭載される振れ補正機能付き光学ユニットであって、
光学素子、および、前記光学素子の光軸上に配置される撮像素子を備える可動体と、
前記可動体を揺動可能に支持する揺動支持機構と、
前記揺動支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、
前記可動体を揺動させる磁気駆動機構と、
前記磁気駆動機構を制御する駆動制御部と、を有し、
前記磁気駆動機構は、前記可動体および前記固定体の一方に固定されたコイルと、前記可動体および前記固定体の他方に固定された磁石と、を備え、予め設定した軸線と前記光軸とが一致する原点位置、および、前記軸線に対して前記光軸が所定の角度で傾斜する最大傾斜位置の間で前記可動体を揺動させ、
前記駆動制御部は、前記撮像装置が撮像モードであるときは第1制御モードであり、前記撮像装置が非撮像モードであるときは第2制御モードであり、
前記第2制御モードでは、
前記撮像装置の動きが検知されたことに基づき、前記原点位置で前記可動体を保持するための基準電流を前記コイルに通電して前記可動体を前記固定体に対して停止させることを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項2】
撮像装置に搭載される振れ補正機能付き光学ユニットであって、
光学素子、および、前記光学素子の光軸上に配置される撮像素子を備える可動体と、
前記可動体を揺動可能に支持する揺動支持機構と、
前記揺動支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、
前記可動体を揺動させる磁気駆動機構と、
前記磁気駆動機構を制御する駆動制御部と、を有し、
前記磁気駆動機構は、前記可動体および前記固定体の一方に固定されたコイルと、前記可動体および前記固定体の他方に固定された磁石と、を備え、
前記駆動制御部は、前記撮像装置が撮像モードであるときは第1制御モードであり、前記撮像装置が非撮像モードであるときは第2制御モードであり、
前記第2制御モードでは、
前記撮像装置の動きが検知されたことに基づき、前記コイルに通電して前記可動体を前記固定体に対して停止させ、
前記コイルに通電して前記可動体を前記固定体に対して停止させた状態で、前記撮像装置の動きが所定時間検知されない場合に、前記コイルへの通電を停止することを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項3】
撮像装置に搭載される振れ補正機能付き光学ユニットであって、
光学素子、および、前記光学素子の光軸上に配置される撮像素子を備える可動体と、
前記可動体を揺動可能に支持する揺動支持機構と、
前記揺動支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、
前記可動体を揺動させる磁気駆動機構と、
前記磁気駆動機構を制御する駆動制御部と、を有し、
前記磁気駆動機構は、前記可動体および前記固定体の一方に固定されたコイルと、前記可動体および前記固定体の他方に固定された磁石と、を備え、
前記駆動制御部は、前記撮像装置が撮像モードであるときは第1制御モードであり、前記撮像装置が非撮像モードであるときは第2制御モードであり、
前記第2制御モードでは、
前記撮像装置に設けられたジャイロスコープの信号に基づき、前記撮像装置の動きの有無を判定し、前記撮像装置の動きが検知されたことに基づき、前記コイルに通電して前記可動体を前記固定体に対して停止させることを特徴とす
る振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項4】
撮像装置に搭載される振れ補正機能付き光学ユニットであって、
光学素子、および、前記光学素子の光軸上に配置される撮像素子を備える可動体と、
前記可動体を揺動可能に支持する揺動支持機構と、
前記揺動支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、
前記可動体を揺動させる磁気駆動機構と、
前記磁気駆動機構を制御する駆動制御部と、
前記
磁気駆動機構の磁石に対向するホール素子と、を有し、
前記磁気駆動機構は、前記可動体および前記固定体の一方に固定されたコイルと、前記可動体および前記固定体の他方に固定された
前記磁石と、を備え、
前記駆動制御部は、前記撮像装置が撮像モードであるときは第1制御モードであり、前記撮像装置が非撮像モードであるときは第2制御モードであり、前記ホール素子の信号に基づき、前記撮像装置の動きの有無を判定し、
前記第2制御モードでは、
前記撮像装置の動きが検知されたことに基づき、前記コイルに通電して前記可動体を前記固定体に対して停止させることを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項5】
前記第2制御モードから前記第1制御モードに切り換わったことに基づき、
前記基準電流を前記コイルに通電することを特徴とする請求項
1に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項6】
前記可動体に接続されるフレキシブルプリント基板を備え、
前記基準電流は、前記フレキシブルプリント基板から前記可動体に加わる反力に抗して前記可動体を前記原点位置に保持する電流であることを特徴とする請求項1
または5に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項7】
振れ補正機能付き光学ユニットおよび通電制御部を備え、撮像モードおよび非撮像モードに切り換え可能な撮像装置であって、
前記振れ補正機能付き光学ユニットは、
光学素子、および、前記光学素子の光軸上に配置される撮像素子を備える可動体と、
前記可動体を揺動可能に支持する揺動支持機構と、
前記揺動支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、
前記可動体を揺動させる磁気駆動機構と、を有し、
前記磁気駆動機構は、前記可動体および前記固定体の一方に固定されたコイルと、前記可動体および前記固定体の他方に固定された磁石と、を備え、予め設定した軸線と前記光軸とが一致する原点位置、および、前記軸線に対して前記光軸が所定の角度で傾斜する最大傾斜位置の間で前記可動体を揺動させ、
前記撮像モードでは前記通電制御部が第1制御モードであり、前記非撮像モードでは前記通電制御部が第2制御モードであり、
前記第2制御モードでは、
前記撮像装置の動きが検知されたことに基づき、前記原点位置で前記可動体を保持するための基準電流を前記コイルに通電して前記可動体を前記固定体に対して停止させることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
振れ補正機能付き光学ユニットおよび通電制御部を備え、撮像モードおよび非撮像モードに切り換え可能な撮像装置であって、
前記振れ補正機能付き光学ユニットは、
光学素子、および、前記光学素子の光軸上に配置される撮像素子を備える可動体と、
前記可動体を揺動可能に支持する揺動支持機構と、
前記揺動支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、
前記可動体を揺動させる磁気駆動機構と、を有し、
前記磁気駆動機構は、前記可動体および前記固定体の一方に固定されたコイルと、前記可動体および前記固定体の他方に固定された磁石と、を備え、
前記撮像モードでは前記通電制御部が第1制御モードであり、前記非撮像モードでは前記通電制御部が第2制御モードであり、
前記第2制御モードでは、
前記撮像装置の動きが検知されたことに基づき、前記コイルに通電して前記可動体を前記固定体に対して停止させ、
前記コイルに通電して前記可動体を前記固定体に対して停止させた状態で、前記撮像装置の動きが所定時間検知されない場合に、前記コイルへの通電を停止することを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
振れ補正機能付き光学ユニットおよび通電制御部と、ジャイロスコープと、を備え、撮像モードおよび非撮像モードに切り換え可能な撮像装置であって、
前記振れ補正機能付き光学ユニットは、
光学素子、および、前記光学素子の光軸上に配置される撮像素子を備える可動体と、
前記可動体を揺動可能に支持する揺動支持機構と、
前記揺動支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、
前記可動体を揺動させる磁気駆動機構と、を有し、
前記磁気駆動機構は、前記可動体および前記固定体の一方に固定されたコイルと、前記可動体および前記固定体の他方に固定された磁石と、を備え、
前記撮像モードでは前記通電制御部が第1制御モードであり、前記非撮像モードでは前記通電制御部が第2制御モードであり、
前記第2制御モードでは、
前記ジャイロスコープの信号に基づき、前記撮像装置の動きの有無を判定し、前記撮像装置の動きが検知されたことに基づき、前記コイルに通電して前記可動体を前記固定体に対して停止させることを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
振れ補正機能付き光学ユニットおよび通電制御部を備え、撮像モードおよび非撮像モードに切り換え可能な撮像装置であって、
前記振れ補正機能付き光学ユニットは、
光学素子、および、前記光学素子の光軸上に配置される撮像素子を備える可動体と、
前記可動体を揺動可能に支持する揺動支持機構と、
前記揺動支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、
前記可動体を揺動させる磁気駆動機構と、
前記
磁気駆動機構の磁石に対向するホール素子と、を有し、
前記磁気駆動機構は、前記可動体および前記固定体の一方に固定されたコイルと、前記可動体および前記固定体の他方に固定された
前記磁石と、を備え、
前記撮像モードでは前記通電制御部が第1制御モードであり、前記非撮像モードでは前記通電制御部が第2制御モードであり、前記ホール素子の信号に基づき、前記撮像装置の動きの有無を判定し、
前記第2制御モードでは、
前記撮像装置の動きが検知されたことに基づき、前記コイルに通電して前記可動体を前記固定体に対して停止させることを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子の傾きを補正する振れ補正機能付き光学ユニット、および、振れ補正機能付き光学ユニットを備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末や車両、無人ヘリコプターなどの移動体に搭載される光学ユニットの中には、光学ユニットの揺れに起因する撮影画像の乱れを抑制するために、光学素子を揺動させて振れを補正するものがある。特許文献1に記載の振れ補正機能付き光学ユニットは、光学素子を備える可動体と、可動体を揺動可能に支持する揺動支持機構と、揺動支持機構を介して可動体を支持する固定体と、可動体を揺動させる磁気駆動機構を備える。揺動支持機構は、可動体を、予め設定した軸線と光学素子の光軸とが一致する原点位置と、軸線に対して光軸が傾斜する傾斜位置との間で揺動可能に支持する。磁気駆動機構は、可動体に固定されたコイルと、固定体に固定されてコイルに対向する磁石とを備える。
【0003】
特許文献1の振れ補正機能付き光学ユニットは、磁気駆動機構のコイルを間に挟んで磁気駆動機構の磁石と対向する磁性部材を備える。磁性部材と磁石は、可動体を原点位置に復帰させるための磁気バネを構成する。特許文献1では、磁性部材は可動体に配置され、磁石は固定体に配置される。可動体が原点位置から傾くと、磁性部材の中心は、径方向から見て磁石の着磁分極線からずれるため、可動体には、原点位置に復帰させる方向の磁気吸引力が働く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
磁気バネを設けるために可動体に磁性部材を配置する場合には、可動体の揺動中心に対してバランスよく磁性部材を配置できないと、磁気バネの磁気吸引力によって振れ補正機能付き光学ユニットの特性が悪化する。例えば、可動体の動作が不安定になるおそれがある。また、磁性部材が磁石に吸着されて光軸が傾くおそれがある。
【0006】
可動体に磁性部材を配置しなければ、振れ補正機能付き光学ユニットの特性の悪化を回避できるが、磁気バネがないため、可動体を原点位置に復帰させて保持することができない。可動体を保持できないと、振れ補正機能付き光学ユニットを搭載した装置が動いたときに、可動体が固定体に対して動いてカタカタ音がしたり、可動体が固定体に衝突して破損するおそれがある。
【0007】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、磁気バネなどの原点復帰機構を用いることなく、固定体に対して可動体が動かないように保持することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、撮像装置に搭載される振れ補正機能付き光学ユニットであって、光学素子、および、前記光学素子の光軸上に配置される撮像素子を備える可動体と、前記可動体を揺動可能に支持する揺動支持機構と、前記揺動支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、前記可動体を揺動させる磁気駆動機構と、前記磁気駆動機構を制御する駆動制御部と、を有し、前記磁気駆動機構は、前記可動体および前記固
定体の一方に固定されたコイルと、前記可動体および前記固定体の他方に固定された磁石と、を備え、前記駆動制御部は、前記撮像装置が撮像モードであるときは第1制御モードであり、前記撮像装置が非撮像モードであるときは第2制御モードであり、前記第2制御モードでは、前記撮像装置の動きが検知されたことに基づき、前記コイルに通電して前記可動体を前記固定体に対して停止させることを特徴とする。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明は、振れ補正機能付き光学ユニットおよび通電制御部を備え、撮像モードおよび非撮像モードに切り換え可能な撮像装置であって、前記振れ補正機能付き光学ユニットは、光学素子、および、前記光学素子の光軸上に配置される撮像素子を備える可動体と、前記可動体を揺動可能に支持する揺動支持機構と、前記揺動支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、前記可動体を揺動させる磁気駆動機構と、を有し、前記磁気駆動機構は、前記可動体および前記固定体の一方に固定されたコイルと、前記可動体および前記固定体の他方に固定された磁石と、を備え、前記撮像モードでは前記通電制御部が第1制御モードであり、前記非撮像モードでは前記通電制御部が第2制御モードであり、前記第2制御モードでは、前記撮像装置の動きが検知されたことに基づき、前記コイルに通電して前記可動体を前記固定体に対して停止させることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、振れ補正機能付き光学ユニットが搭載される撮像装置が非撮像モードのときには、撮像装置の動きが検知された場合に、コイルに通電して可動体を固定体に対して停止させる。従って、磁気バネなどの原点復帰機構がなくても、磁気駆動機構の通電制御によって、慣性によって固定体に対して可動体が動かないように保持できる。よって、可動体が動くときの音の発生や、可動体と固定体との衝突による破損を抑制できる。また、コイルへの通電は撮像装置の動きが検知されたときだけ行うので、コイルへの通電時間を減らすことができる。従って、消費電力を低減させることができる。
【0011】
本発明において、前記磁気駆動機構は、予め設定した軸線と前記光軸とが一致する原点位置、および、前記軸線に対して前記光軸が所定の角度で傾斜する最大傾斜位置の間で前記可動体を揺動させ、前記第2制御モードでは、前記撮像装置の動きが検知されたことに基づき、前記原点位置で前記可動体を保持するための基準電流を前記コイルに通電することが好ましい。このように、予め基準電流を決定しておくことにより、可動体を原点位置で保持する制御が容易である。また、可動体を保持する位置を原点位置にすることで、可動体と固定体とが衝突するおそれを少なくすることができる。
【0012】
本発明において、前記第2制御モードから前記第1制御モードに切り換わったことに基づき、前記原点位置に前記可動体を保持するための基準電流を前記コイルに通電することが好ましい。例えば、撮像モードになった直後に基準電流を流して可動体を原点位置に位置決めすれば、可動体の傾きを補正しやすい。
【0013】
本発明において、前記可動体に接続されるフレキシブルプリント基板を備えており、前記基準電流は、前記フレキシブルプリント基板から前記可動体に加わる反力に抗して前記可動体を前記原点位置に保持する電流である。このようにすると、可動体に反力が加わる形状にフレキシブルプリント基板を引き回した場合でも、可動体を原点位置に保持することができる。
【0014】
本発明において、前記第2制御モードでは、前記コイルに通電して前記可動体を前記固定体に対して停止させた状態で、前記撮像装置の動きが所定時間検知されない場合に、前記コイルへの通電を停止することが好ましい。このように、可動体を保持する必要がなくなったときには通電を停止することにより、消費電力を低減させることができる。
【0015】
本発明において、前記撮像装置に設けられたジャイロスコープの信号に基づき、前記撮像装置の動きの有無を判定する。このように、ジャイロスコープの信号を利用すれば、新たに検知手段を設ける必要がない。あるいは、前記磁石に対向するホール素子を備え、前記ホール素子の信号に基づき、前記撮像装置の動きの有無を判定することもできる。このように、可動体の傾きを検知するために設けられたホール素子を用いて撮像装置の動きを検知すれば、新たに検知手段を設ける必要がない。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、振れ補正機能付き光学ユニットが搭載される撮像装置が非撮像モードのときには、撮像装置の動きが検知された場合に、コイルに通電して可動体を固定体に対して停止させる。従って、磁気バネなどの原点復帰機構がなくても、磁気駆動機構への通電によって、慣性によって固定体に対して可動体が動かないように保持できる。よって、可動体が動くときの音の発生や、可動体と固定体との衝突による破損を抑制できる。また、コイルへの通電は撮像装置の動きが検知されたときだけ行うので、コイルへの通電時間を減らすことができる。従って、消費電力を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットを光軸を含む面で切断した断面図である。
【
図2】
図1の振れ補正機能付き光学ユニットを光軸に垂直な面で切断した断面図である。
【
図3】
図1の振れ補正機能付き光学ユニットを備えた撮像装置のブロック図である。
【
図4】第1制御モードと第2制御モードにおける通電制御のフローチャートである。
【
図5】本発明を適用した撮像装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(全体構成)
以下に、図面を参照して、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット1の実施形態を説明する。
図1は、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット1を光軸Lを含む面で切断した断面図である。
図2は、
図1の振れ補正機能付き光学ユニット1を光軸Lに垂直な面で切断した断面図である。
【0019】
図1、
図2に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1(以下、光学ユニット1という)は、光学素子2および撮像素子10を備える可動体3と、可動体3を揺動可能に支持する揺動支持機構4と、揺動支持機構4を介して可動体3を支持する固定体5と、を備える。また、光学ユニット1は、可動体3を揺動させる磁気駆動機構6と、磁気駆動機構6を制御する駆動制御部7(
図3参照)と、可動体3に接続されるフレキシブルプリント基板8、9を備える。
【0020】
可動体3は、揺動支持機構4により、予め定めた軸線Z0と光学素子2の光軸Lとが一致する原点位置、および、軸線Z0に対して光軸Lが所定の角度(例えば、3°)傾斜する最大傾斜位置の間で揺動可能に支持される。駆動制御部7は、磁気駆動機構6に通電する駆動電流を制御して、原点位置と最大傾斜位置との間で可動体3を揺動させる。本形態では、軸線Z0は固定体5の中心軸線である。
図1、
図2は、可動体3が原点位置に停止し、光軸Lと軸線Z0が一致している状態を示す。
【0021】
図1に示すように、光軸L方向の一方側L1は光学ユニット1の被写体側であり、他方側L2は反被写体側(像側)である。本明細書において、XYZの3軸は互いに直交する方向である。軸線Z0はZ軸方向と一致する。光学ユニット1は、可動体3をX軸回りおよびY軸回りに揺動させて振れ補正を行う。
【0022】
(揺動支持機構)
揺動支持機構4は、ジンバル機構である。
図2に示すように、本形態では、可動体3は、固定体5の中央に配置される。可動体3は、揺動支持機構4により、軸線Z0と交差する第1軸線R1回りに揺動可能に支持されるとともに、軸線Z0および第1軸線R1と交差する第2軸線R2回りに揺動可能に支持される。第1軸線R1および第2軸線R2は、固定体5の対角方向であり、固定体5の中心軸線である軸線Z0と直交する。また、第1軸線R1および第2軸線R2は、互いに直交する。本形態では、第1軸線R1回りの回転と第2軸線R2回りの回転を合成することにより、可動体3をX軸回りおよびY軸回りに揺動させる。これにより、X軸回りの振れ補正、およびY軸回りの振れ補正を行う。
【0023】
図2に示すように、揺動支持機構4は、可動体3を固定体5に対して組み付けたときに第1軸線R1方向で離間する2か所に配置される第1揺動支持部41と、第2軸線R2方向で離間する2か所に配置される第2揺動支持部42と、第1揺動支持部41および第2揺動支持部42によって支持される可動枠43を備える。可動枠43はジンバルばねである。可動枠43は、第1軸線R1方向の対角位置に設けられた第1支点部44と、第2軸線R2方向の対角位置に設けられた第2支点部45と、軸線Z0回りで隣り合う第1支点部44と第2支点部45を繋ぐ4か所の連結部46を備える。連結部46は蛇行部を備えており、軸線Z0に対して直交する方向に弾性変形可能である。
【0024】
可動枠43の第1支点部44と第2支点部45には、溶接等によって金属製の球体47が固定される。第1揺動支持部41は可動体3に設けられており、第2揺動支持部42は固定体に設けられている。第1揺動支持部41には、第1支点部44の球体47と第1軸線R1方向に点接触する凹曲面(図示省略)が設けられている。また、第2揺動支持部42には、第2支点部45の球体47と第2軸線R2方向に点接触する凹曲面(図示省略)が設けられている。各凹曲面は接点ばねなどの弾性部材に設けられており、球体47に弾性接触する。これにより、可動体3と固定体5とが揺動支持機構4を介して接続される。
【0025】
(固定体)
図1、
図2に示すように、固定体5は、可動体3の外周側を囲む筒状の第1ケース11と、第1ケース11の反被写体側(像側)の端部に固定される第2ケース12を備える。第1ケース11は、X軸方向に対向する側板13、14と、Y軸方向に対向する側板15、16とを備える。Y軸方向に対向する側板15、16の内周面には、それぞれ、第1駆動用磁石61Xが固定される。また、X軸方向に対向する側板13、14の内周面には、それぞれ、第2駆動用磁石61Yが固定される。第1ケース11は磁性材料から構成されているので、第1駆動用磁石61Xおよび第2駆動用磁石61Yに対するヨークとして機能する。
【0026】
図2に示すように、第2ケース12は、第2軸線R2上の対角位置に配置される接点部材保持部17を備える。接点部材保持部17には、揺動支持機構4の第2揺動支持部42を構成する接点ばねなどの弾性部材(図示省略)が保持される。
【0027】
(可動体)
図2に示すように、可動体3は、光学モジュール31と、光学モジュール31を保持するホルダ32を備える。光学モジュール31は、レンズなどの光学素子2と、光学素子2の光軸L上に配置される撮像素子10を備える。ホルダ32は、光学モジュール31が嵌まる保持孔が設けられた枠部33と、枠部33のX軸方向の両端から被写体側L1に立ち上がりY軸方向に延在する一対の壁部35、36と、枠部33のY軸方向の両端から被写体側L1に立ち上がりX軸方向に延在する一対の壁部37、38とを備える。
【0028】
各壁部35、36、37、38において径方向の外側を向く外側面には、コイル固定部39が設けられている。Y軸方向に対向する壁部37、38のコイル固定部39には、それぞれ、第1駆動用コイル62Xが固定される。X軸方向に対向する壁部35、36のコイル固定部39には、それぞれ、第2駆動用コイル62Yが固定される。また、壁部35のコイル固定部39、および、壁部37のコイル固定部39には、ホール素子63が固定される。
【0029】
ホルダ32は、枠部33の第1軸線R1上の対角位置に配置される接点部材保持部34を備える。接点部材保持部34には、揺動支持機構4の第1揺動支持部41を構成する接点ばねなどの弾性部材(図示省略)が保持される。
【0030】
可動体3の底部からは、フレキシブルプリント基板8、9が引き出されている。フレキシブルプリント基板8、9は、可動体3の揺動が可能となるように撓んだ形状に引き回されており、第1ケース11および第2ケース12の外部に引き出されている。フレキシブルプリント基板8には、撮像素子10に接続される信号線や給電線が設けられている。また、フレキシブルプリント基板9には、磁気駆動機構6の第1駆動用コイル62Xおよび第2駆動用コイル62Yに接続される給電線が設けられている。
【0031】
(磁気駆動機構)
磁気駆動機構6は、可動体3をX軸回りに揺動させる第1磁気駆動機構6X、および、可動体3をY軸回りに揺動させる第2磁気駆動機構6Yを備える。第1磁気駆動機構6Xは、Y軸方向で対向する第1駆動用磁石61Xと第1駆動用コイル62Xとからなる組を2組備える。2つの第1駆動用コイル62Xは、通電時にX軸回りの同一方向の磁気駆動力が発生するように配線接続されている。また、第2磁気駆動機構6Yは、Y軸方向で対向する第2駆動用磁石61Yと第2駆動用コイル62Yとからなる組を2組備える。2つの第2駆動用コイル62Yは、通電時にY軸回りの同一方向の磁気駆動力が発生するように配線接続されている。
【0032】
図1に示すように、第1駆動用磁石61Xおよび第2駆動用磁石61Yは、Z軸方向に2つに分極着磁されている。従って、第1駆動用磁石61Xおよび第2駆動用磁石61Yは、内周面側の磁極が軸線Z0と垂直で周方向に延びる着磁分極線61aを境にして異なるように着磁されている。第1駆動用コイル62Xおよび第2駆動用コイル62Yは空芯コイルであり、+Z方向側および-Z方向側の長辺部分が有効辺として利用される。可動体3が原点位置のときに、各ホール素子63は、各ホール素子63の外周側に位置する磁石の着磁分極線61aと対向する。
【0033】
磁気駆動機構6は、第1駆動用コイル62Xに通電することにより、光学モジュール31備えた可動体3をX軸回りに揺動させる。また、第2駆動用コイル62Yに通電することにより、光学モジュール31備えた可動体3をY軸回りに揺動させる。これにより、X軸回りの振れ補正、およびY軸回りの振れ補正を行う。
【0034】
(撮像装置)
光学ユニット1は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ドライブレコーダー等の光学機器や、ヘルメット、自転車、ラジコンヘリコプター等の移動体に搭載されるアクションカメラやウエアラブルカメラ等の光学機器に搭載される。光学ユニット1は、光学素子2を通過した光を撮像素子10に入射させて撮像する撮像部を構成している。以下、本明細書において、光学ユニット1が搭載される光学機器を撮像装置100と呼ぶ。
【0035】
図3は、
図1の振れ補正機能付き光学ユニットを備えた撮像装置100のブロック図である。なお、
図3では、光学ユニット1の制御に関連する構成のみを図示し、光学ユニッ
ト1の制御に関連しない構成は図示を省略する。撮像装置100は、制御部101およびジャイロスコープ102を備える。撮影時に撮像装置100の振れ(動き)が発生すると、光学ユニット1は、撮影画像が乱れることを回避するため、ジャイロスコープ102によって検出された加速度や角速度、振れ量等に基づき、可動体3の傾きを補正する。
【0036】
光学ユニット1は、第1駆動用コイル62Xおよび第2駆動用コイル62Yに駆動電流を流す駆動回路を備えた駆動制御部7を有する。駆動制御部7は、例えば、フレキシブルプリント基板8、9が接続される図示しない制御基板に設けられている。駆動制御部7は、通電制御プログラムを実行することにより、後述する
図4のフローチャートの通りに第1駆動用コイル62Xおよび第2駆動用コイル62Yの通電制御を行う。
【0037】
駆動制御部7には、ホール素子63の信号が入力される。また、駆動制御部7には、制御部101からの制御信号が入力されるとともに、ジャイロスコープ102からの信号が入力される。可動体3の傾きを補正するとき、駆動制御部7は、ジャイロスコープ102の信号に基づき、第1駆動用コイル62Xおよび第2駆動用コイル62Yに流す駆動電流を制御する。
【0038】
撮像装置100は、撮像モードと非撮像モードの2つの制御モードを備える。撮像モードと非撮像モードでは、光学ユニット1の制御が異なる。例えば、撮像装置100が携帯機器である場合には、制御部101は、図示しないカメラスイッチの操作に基づき、撮像モードと非撮像モードを切り換える。制御部101は、撮像モードに切り換わると、駆動制御部7を第1制御モードに切り換える。また、制御部101は、非撮像モードに切り換わると、駆動制御部7を第2制御モードに切り換える。
【0039】
(基準電流)
光学ユニット1は、可動体3を原点位置に保持するための原点復帰機構として従来設けられていた磁気バネを備えておらず、第1駆動用コイル62Xおよび第2駆動用コイル62Yにそれぞれ、予め設定した基準電流を流すことによって可動体3を原点位置に保持する。基準電流の値は、撮像装置100の製造後に個体ごとに設定され、駆動制御部7に記憶されている。駆動制御部7は、可動体3の振れ補正を行うときは、基準電流を流して可動体3を原点位置に戻す。そして、基準電流に対する駆動電流の増減量を制御することにより、軸線Z0に対する光軸Lの傾きを調節して、可動体3の傾きを補正する。
【0040】
(第1制御モード(撮像モード))
図4は、第1制御モードと第2制御モードにおける通電制御のフローチャートである。カメラスイッチのオン操作により、撮像装置100が撮像モードに切り換わると、光学ユニット1では、駆動制御部7が第1制御モードに切り換わる(ステップST1)。駆動制御部7は、第1制御モードに切り換わった直後に第1駆動用コイル62Xおよび第2駆動用コイル62Yに基準電流を流す(ステップST2)。これにより、可動体3は原点位置に位置決めされる。そして、ジャイロスコープ102からの信号に基づき、可動体3の傾きを補正する(ステップST3)。これにより、撮影画像の乱れを抑制する。
【0041】
(第2制御モード(非撮像モード))
次に、カメラスイッチのオフ操作により、撮像装置100が非撮像モードに切り換わると、光学ユニット1では、駆動制御部7が第2制御モードに切り換わる(ステップST4)。非撮像モードでは撮像を行わないため、光学ユニット1は使用されず、可動体3の振れ補正は不要である。そこで、駆動制御部7は、第2制御モードに切り換わった直後に第1駆動用コイル62Xおよび第2駆動用コイル62Yへの通電を停止する(ステップST5)。これにより、可動体3に原点位置に保持する保持力が作用しなくなる。
【0042】
第1駆動用コイル62Xおよび第2駆動用コイル62Yへの通電を停止して可動体3に保持力が作用しない状態で、撮像装置100が動くと、慣性によって可動体3が固定体5に対して動くので、可動体3がカタカタ動く音などの動作音の発生、および、可動体3と固定体5との衝突による光学ユニット1の破損のおそれがある。そこで、第2制御モードでは、撮像装置100の動きの有無を監視する(ステップST6)。本形態では、ジャイロスコープ102からの信号に基づき、撮像装置100の動きを検知し、動きが検知されるまでは、第1駆動用コイル62Xおよび第2駆動用コイル62Yへの通電を停止し続ける。
【0043】
駆動制御部7は、撮像装置100の動きが検知された場合は(ステップST6:Yes)、第1駆動用コイル62Xおよび第2駆動用コイル62Yに基準電流を流す(ステップST7)。これにより、可動体3が原点位置に保持されるので、動作音や光学ユニット1の破損が抑制される。その後は、撮像装置100の動きを検知しない状態が所定時間続いたか否かを判定し(ステップST8)、撮像装置100の動きを検知しない状態が所定時間続くまで、基準電流の通電を続ける。撮像装置100の動きを検知しない状態が所定時間続いた場合は(ステップST8:Yes)、第1駆動用コイル62Xおよび第2駆動用コイル62Yへの通電を停止する(ステップST9)。そして、ステップST6に戻る。
【0044】
駆動制御部7は、カメラスイッチのオン操作によって撮像装置100が撮像モードに切り換わるまで、第2制御モードの制御(ステップST6~ST9)を続ける。第2制御モードのときに、再びカメラスイッチのオン操作が行われると、ステップST1に戻り、撮像装置100が撮像モードに切り換わるとともに、駆動制御部7は第1制御モードに切り換わる。
【0045】
(本形態の主な作用効果)
以上のように、本形態の光学ユニット1は、光学素子2、および、光学素子2の光軸L上に配置される撮像素子10を備える可動体3と、可動体3を揺動可能に支持する揺動支持機構4と、揺動支持機構4を介して可動体3を支持する固定体5と、可動体3を揺動させる磁気駆動機構6と、磁気駆動機構6を制御する駆動制御部7と、を有する。磁気駆動機構6は、可動体3および固定体5の一方に固定された第1駆動用コイル62Xおよび第2駆動用コイル62Yと、可動体3および固定体5の他方に固定された第1駆動用磁石61Xおよび第2駆動用磁石61Yと、を備える。駆動制御部7は、撮像装置100が撮像モードであるときは第1制御モードであり、撮像装置100が非撮像モードであるときは第2制御モードである。第2制御モードでは、撮像装置100の動きが検知されたことに基づき(ステップST6:Yes)、第1駆動用コイル62Xおよび第2駆動用コイル62Yに通電して可動体3を固定体5に対して停止させる(ステップST7)。
【0046】
本形態では、撮像装置100が撮像モードであるか非撮像モードであるかによって光学ユニット1の制御モードを切り換えており、非撮像モード(第2制御モード)では、撮像装置100の動きが検知されたときだけ、第1駆動用コイル62Xおよび第2駆動用コイル62Yに通電して可動体3を停止させる。このように、磁気駆動機構6の通電制御によって可動体3を保持できるので、磁気バネなどの原点保持機構を備えていなくても、慣性によって可動体3が動かないように保持できる。従って、可動体3が動くときの音の発生や、可動体3と固定体5との衝突による破損を抑制できる。また、本形態では、撮像装置100の動きが検知されていないときには(ステップST6:No、ステップST8:Yes)、第1駆動用コイル62Xおよび第2駆動用コイル62Yに通電しない。従って、通電時間を減らすことができ、消費電力を低減させることができる。
【0047】
例えば、本形態の光学ユニット1が搭載される撮像装置100が携帯機器である場合には、携帯機器を所持した人が走ったときにその加速度を検知して可動体3が動かないよう
に保持できる。従って、走っている最中に可動体3がカタカタ鳴らないようにすることができる。また、撮像装置100が携帯電話機である場合には、通話するために携帯電話機を持ち上げたときや、通話中に携帯電話機の姿勢が変化した場合などに、可動体3がカタカタ鳴らないようにすることができる。また、これらの機器を落下させるなどして強い衝撃が加わった際に、可動体3が固定体5にぶつかって壊れないようにすることができる。
【0048】
本形態では、磁気駆動機構6は、予め設定した軸線Z0と光軸Lとが一致する原点位置、および、軸線Z0に対して光軸Lが所定の角度で傾斜する最大傾斜位置の間で可動体3を揺動させる。そして、第2制御モードでは、撮像装置100の動きが検知されたことに基づき、原点位置で可動体3を保持するための基準電流を第1駆動用コイル62X、第2駆動用コイル62Yに流す。このように、このように、予め基準電流を決定しておくことにより、可動体3を原点位置で保持する制御が容易である。また、可動体3を保持する位置を原点位置にすることで、可動体3と固定体5とが衝突するおそれを少なくすることができる。
【0049】
本形態では、第2制御モードから第1制御モードに切り換わったことに基づき、原点位置に可動体3を保持するための基準電流を第1駆動用コイル62X、第2駆動用コイル62Yに通電する。例えば、撮像装置100が撮像モードになった直後に基準電流を通電すれば、撮像装置100が撮像モードになった直後に可動体3が原点位置に復帰する。従って、可動体3の傾きを補正しやすい。
【0050】
本形態では、可動体3に接続されるフレキシブルプリント基板8、9を備えている。基準電流は、フレキシブルプリント基板8、9から可動体3に加わる反力に抗して可動体3を原点位置に保持する電流である。従って、可動体3に反力が加わる形状にフレキシブルプリント基板8、9を引き回した場合でも、可動体3を原点位置に保持できる。
【0051】
本形態では、第2制御モードでは、第1駆動用コイル62Xおよび第2駆動用コイル62Yに通電して可動体3を固定体5に対して停止させた状態で(ステップST7)、撮像装置100の動きが所定時間検知されない場合に(ステップST8:Yes)、第1駆動用コイル62X、第2駆動用コイル62Yへの通電を停止する(ステップST9)。このように、可動体3を保持する必要がなくなったときは通電を停止することにより、消費電力を低減させることができる。
【0052】
本形態では、駆動制御部7は、撮像装置100に設けられたジャイロスコープ102の信号に基づき、撮像装置100の動きの有無を判定する。従って、振れ補正を行う際に用いるジャイロスコープ102の信号を利用するので、新たに検知手段を設ける必要がない。
【0053】
なお、本形態では、磁気駆動機構6は、第1駆動用磁石61Xおよび第2駆動用磁石61Yに対向するホール素子63を備えており、ホール素子63の信号に基づいて可動体3の傾きを検知して可動体3の傾きを補正する。そこで、駆動制御部7は、ホール素子63の信号に基づき、撮像装置100の動きの有無を判定するように構成してもよい。このようにすると、既存のホール素子63を用いて撮像装置100の動きを検知できるので、新たに検知手段を設ける必要がない。
【0054】
(変形例)
(1)上記形態では、磁気駆動機構6は、第1駆動用磁石61Xおよび第2駆動用磁石61Yが固定体5に設けられ、第1駆動用コイル62Xおよび第2駆動用コイル62Yが可動体3に設けられているが、第1駆動用コイル62Xおよび第2駆動用コイル62Yが固定体5に設けられ、第1駆動用磁石61Xおよび第2駆動用磁石61Yが可動体3に設け
られている構成を採用してもよい。
【0055】
(2)上記形態では、揺動支持機構4はジンバル機構であったが、他の構成の揺動支持機構であってもよい。例えば、ピボット機構であってもよい。
【0056】
(他の実施形態)
上記形態は、撮像モードと非撮像モードで異なる通電制御を行う駆動制御部7が光学ユニット1に設けられている形態であったが、本形態は、撮像装置100Aの制御部101Aが通電制御部103を備えており、通電制御部103は、撮像モードと非撮像モードで異なる通電制御を行う。
【0057】
図5は、本発明を適用した撮像装置100Aのブロック図である。撮像装置100Aは、光学ユニット1Aと、制御部101Aと、ジャイロスコープ102を備える。制御部101Aは、通電制御部103を備えている。通電制御部103は、通電制御プログラムを実行することにより、
図4のフローチャートの通りに第1駆動用コイル62Xおよび第2駆動用コイル62Yの通電制御を行う。
【0058】
光学ユニット1Aは、上記形態と同様に、光学素子2、および、光学素子2の光軸L上に配置される撮像素子10を備える可動体3と、可動体3を揺動可能に支持する揺動支持機構4と、揺動支持機構4を介して可動体3を支持する固定体5と、可動体3を揺動させる磁気駆動機構6と、磁気駆動機構6を制御する駆動制御部7と、を有する。磁気駆動機構6は、可動体3および固定体5の一方に固定された第1駆動用コイル62Xおよび第2駆動用コイル62Yと、可動体3および固定体5の他方に固定された第1駆動用磁石61Xおよび第2駆動用磁石61Yと、を備える。
【0059】
撮像装置100Aは、上記形態と同様に、撮像モードおよび非撮像モードに切り換え可能である。撮像装置100Aが撮像モードであるときは、通電制御部103が第1制御モードであり、撮像装置100Aが非撮像モードであるときは、通電制御部103が第2制御モードである。第2制御モードでは、撮像装置100Aの動きが検知されたことに基づき(ステップST6:Yes)、第1駆動用コイル62Xおよび第2駆動用コイル62Yに通電して可動体3を固定体5に対して停止させる(ステップST7)。また、撮像装置100Aの動きが検知されていないときには(ステップST6:No、ステップST8:Yes)、第1駆動用コイル62Xおよび第2駆動用コイル62Yに通電しない。
【0060】
従って、撮像装置100Aは、上記形態と同様に、磁気駆動機構6の通電制御によって可動体3を保持できるので、磁気バネなどの原点保持機構を備えていなくても、慣性によって可動体3が動かないように保持できる。よって、可動体3が動くときの音の発生や、可動体3と固定体5との衝突による破損を抑制できる。また、撮像装置100の動きが検知されたときだけ通電するので、通電時間を減らすことができ、消費電力を低減させることができる。
【符号の説明】
【0061】
1、1A…光学ユニット(振れ補正機能付き光学ユニット)、2…光学素子、3…可動体、4…揺動支持機構、5…固定体、6…磁気駆動機構、6X…第1磁気駆動機構、6Y…第2磁気駆動機構、7…駆動制御部、8、9…フレキシブルプリント基板、10…撮像素子、11…第1ケース、12…第2ケース、13、14、15、16…側板、17…接点部材保持部、31…光学モジュール、32…ホルダ、33…枠部、34…接点部材保持部、35、36、37、38…壁部、39…コイル固定部、41…第1揺動支持部、42…第2揺動支持部、43…可動枠、44…第1支点部、45…第2支点部、46…連結部、47…球体、61X…第1駆動用磁石、61Y…第2駆動用磁石、61a…着磁分極線、
62X…第1駆動用コイル、62Y…第2駆動用コイル、63…ホール素子、100、100A…撮像装置、101、101A…制御部、102…ジャイロスコープ、103…通電制御部、L…光軸、R1…第1軸線、R2…第2軸線、Z0…軸線