(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】表示装置及び殺菌装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20241003BHJP
A61L 2/24 20060101ALI20241003BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A61L2/10
A61L2/24
G06F3/044 120
(21)【出願番号】P 2020157861
(22)【出願日】2020-09-18
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高畑 昌志
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-039876(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0271280(US,A1)
【文献】特開2017-097794(JP,A)
【文献】特開2019-091291(JP,A)
【文献】特開2010-009584(JP,A)
【文献】特開2011-108236(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0030196(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/10
A61L 2/24
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面側に表示面を有する表示パネルと、
前記表示パネルに対して前記一面側に設けられた電極を有し、前記電極に対する外部
からのヒトの手の近接又は接触を検出することで前記表示面に近接又は接触する
前記手を検出するセンサと、
前記表示パネルに対して前記一面側かつ前記電極に対して前記表示パネル側に設けられて前記表示面に紫外線を照射する紫外線照射部と、
前記電極及び前記紫外線照射部に対して前記表示パネル側に設けられて前記紫外線照射部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記手が前記表示面に近づくに従って前記紫外線照射部による紫外線照射量を増やし、
前記手が前記表示面から遠ざかるに従って前記紫外線照射部による紫外線照射量を減らし、
前記手が前記表示面に近づく場合の
前記手と前記表示面との距離の変化量に対する紫外線照射量の増加量に比して、
前記手が前記表示面から遠ざかる場合の
前記手と前記表示面との距離の変化量に対する紫外線照射量の減少量が小さい
表示装置。
【請求項2】
前記手がより近接又は接触している前記表示面の一部に対して紫外線照射が行われる
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記センサは、前記電極の静電容量の変化に基づいて
前記手を検出する
請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記電極は、前記表示面において画像が表示される多角形状の表示領域の外縁に沿って配置される
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示パネルは、反射型の液晶表示パネルであり、
前記表示パネルに可視光を照射するフロントライトを備える
請求項1から4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示パネルは、透過型の液晶表示パネルであり、
前記表示パネルの背面側から可視光を照射するバックライトを備える
請求項1から4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記手がより近接又は接触している前記表示面の一部に対して紫外線照射が行われ、当該一部に対する可視光照射量が当該一部以外に比して少ない
請求項5又は6に記載の表示装置。
【請求項8】
検出面として機能する面部を一面側に有する
表示パネルの前記一面側に設けられた電極を有し、前記電極に対する外部
からのヒトの手の近接又は接触を検出することで前記検出面に近接又は接触する
前記手を検出するセンサと、
前記表示パネルに対して前記一面側かつ前記電極に対して
前記表示パネル側に設けられて紫外線を照射する紫外線照射部と、
前記電極及び前記紫外線照射部に対して
前記表示パネル側に設けられて前記紫外線照射部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記手が前記センサに近づくに従って前記紫外線照射部による紫外線照射量を増やし、
前記手が前記センサから遠ざかるに従って前記紫外線照射部による紫外線照射量を減らし、
前記手が前記検出面に近づく場合の
前記手と
前記表示パネルとの距離の変化量に対する紫外線照射量の増加量に比して、
前記手が前記検出面から遠ざかる場合の
前記手と前記検出面との距離の変化量に対する紫外線照射量の減少量が小さい
殺菌装置。
【請求項9】
前記手が近接又は接触している位置に向かって紫外線照射が行われる
請求項8に記載の殺菌装置。
【請求項10】
前記センサは、前記電極の静電容量の変化に基づいて
前記手を検出する
請求項8又は9に記載の殺菌装置。
【請求項11】
前記電極は、画像を表示する表示パネルによって画像が表示される多角形状の表示領域の外縁に沿って配置される
請求項10に記載の殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置及び殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネル方式の表示装置において、タッチ操作面を紫外線で殺菌する方法が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の表示装置では、紫外線の照射の有無を切り替えるのみであり、殺菌の必要性に応じた紫外線照射量の増減を行うことができなかった。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたもので、紫外線照射量を増減できる表示装置及び殺菌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による表示装置は、表示面を有する表示パネルと、前記表示面に近接又は接触する外部の物体を検出するセンサと、前記表示面に紫外線を照射する紫外線照射部と、前記紫外線照射部の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記物体が前記表示面に近づくに従って前記紫外線照射部による紫外線照射量を増やし、前記物体が前記表示面から遠ざかるに従って前記紫外線照射部による紫外線照射量を減らす。
【0007】
本開示の一態様による殺菌装置は、外部の物体の近接又は接触を検出するセンサと、紫外線を照射する紫外線照射部と、前記紫外線照射部の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記物体が前記センサに近づくに従って前記紫外線照射部による紫外線照射量を増やし、前記物体が前記センサから遠ざかるに従って前記紫外線照射部による紫外線照射量を減らす。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、殺菌装置を備えた表示装置の主要構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、表示パネルとセンサ部との位置関係例を示す平面図である。
【
図3】
図3は、センサ部がユーザの近接操作及びユーザの接触操作を検出する仕組みを示す説明図である。
【
図5】
図5は、表示装置に対するユーザの近接時と表示装置に対するユーザの離隔時の各々の場合の紫外線照射量制御例を示す表である。
【
図6】
図6は、センサ部が検出した外部の物体との距離の遠近と、紫外線照射量の多少との関係の一例を示すタイムチャートである。
【
図7】
図7は、制御部の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、複数の部分検出領域A1,A2,A3,A4を有する表示装置の構成例を示す平面図である。
【
図9】
図9は、外部の物体が検出された部分検出領域により近い範囲に紫外線を照射するよう設けられた複数の紫外線照射部の配置例を示す平面図である。
【
図10】
図10は、変形例1における制御部の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施形態2の表示装置における主要構成の積層順序を示す概念図である。
【
図12】
図12は、液晶表示パネルと、保護層と、可視光照射部との積層構造例及び表示パネルの主要構成例を示す模式図である。
【
図13】
図13は、可視光源と導光板との位置関係例を示す平面図である。
【
図14】
図14は、変形例2における紫外線照射制御と可視光照射制御との関係の一例を示す模式図である。
【
図15】
図15は、紫外線照射対象とされる部分検出領域と外部の物体との距離の遠近と、当該部分検出領域に紫外線を照射する紫外線照射量の多少と、当該部分検出領域に可視光を照射する可視光照射部による可視光照射量の多少との関係の一例を示すタイムチャートである。
【
図16】
図16は、変形例2における制御部の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、殺菌灯と可視光源の配置の別の例を示す平面図である。
【
図18】
図18は、変形例3の表示装置における主要構成の積層順序を示す概念図である。
【
図19】
図19は、液晶表示パネルの概略断面構造を表す断面図である。
【
図20】
図20は、センサ部の主要構成例を示す模式図である。
【
図21】
図21は、バックライトの構成例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
(実施形態1)
図1は、殺菌装置1を備えた表示装置100の主要構成例を示すブロック図である。殺菌装置1は、紫外線照射部40と、センサ部50と、制御部60と、を備える。紫外線照射部40は、殺菌する対象に紫外線を照射する。紫外線照射部40からの光によって殺菌が行われる対象は、例えば表示パネルPである。
【0011】
表示パネルPは、画像を表示する表示領域AAが設けられる。表示領域AAには、後述する画素SPix(
図12参照)のような複数の画素が複数配置される。表示パネルPは、複数の画素の動作を制御するDDIC(Display Driver Integrated Circuit)19を備える。DDIC19は、画素に画素信号を供給するソースドライバ、画素のスイッチング素子を動作させるゲートドライバ、ソースドライバとゲートドライバの動作タイミングを制御するタイミングコントローラ等、複数の機能が統合された集積回路である。表示パネルPは、これらの複数の機能のうち一部の機能が実装された他の回路をさらに備えていてもよい。その場合、DDIC19から当該一部の機能は省略される。
【0012】
紫外線照射部40は、少なくとも電力供給に応じて紫外線を含む光UVを照射する殺菌灯を備える。以下、符号なしで単に殺菌灯と記載した場合、特筆しない限り紫外線照射部40が備える殺菌灯をさす。紫外線照射部40は、殺菌灯と、当該殺菌灯に供給される電流及び電圧を制御する回路とが組み合わせられた紫外線照射ユニットであってもよい。殺菌灯は、紫外線を照射する発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)であってもよいし、いわゆる蛍光物質が塗布されていない石英ガラスが管体として採用された蛍光灯形式の殺菌灯であってもよい。ここで、石英ガラスは、紫外線を良好に透過させる透光体の一例であってこれに限られるものでなく、同様に機能する他の部材によってもよい。
【0013】
より具体的には、殺菌灯から照射される紫外線が波長222nm付近をピークとする紫外線であることで、紫外線による殺菌効果とヒトへの有害な影響の抑制とをより両立しやすくなる。また、殺菌灯から照射される紫外線が波長253.7nm付近をピークとする紫外線であることで、紫外線による殺菌効果をより高められる。紫外線のピーク波長はこれらに限られるものでなく、例えば200nm~280nm又は200nm~240nmとすることが望ましい。また、殺菌灯は、照射される紫外線の波長のピークを中心とした±20nm程度、より好ましくは±10nmの波長帯の紫外線が殺菌に有効な強度で照射するよう設けられることが望ましい。
【0014】
センサ部50は、ユーザの近接操作及びユーザの接触操作を検出する。ユーザは、紫外線照射部40から照射される光によって殺菌される対象(例えば、表示パネルP)を利用するユーザである。
【0015】
図2は、表示パネルPとセンサ部50との位置関係例を示す平面図である。なお、本明細書における平面図とは、H方向及びV方向に沿う平面(H-V平面)を正面として見た場合の図をさす。
図2に示すように、センサ部50は、表示領域AAの周囲に配置される。より具体的には、センサ部50は、矩形状の表示領域AAの四辺の各々に沿って個別に配置された検出電極51,52,53,54と、後述する検出回路55(
図3参照)と、を備える。
図2に示す表示領域AAは矩形状であるが、表示領域AAの具体的形状はこれに限られるものでなく、5辺以上または3辺を有する多角形状であってもよいし、辺の一部又は全部が円弧状であってもよい。センサ部50は、表示領域AAの外周編に沿って配置される複数の検出部を備える。
【0016】
図2に示す検出電極51,53は、矩形状の表示領域AAの四辺のうちV方向に沿う二辺の各々に沿うよう表示領域AAを挟んでH方向に対向するよう配置される。検出電極51,53のV方向の長さは、当該V方向に沿う二辺のV方向の長さとほぼ同一である。
図2に示す検出電極52,54は、矩形状の表示領域AAの四辺のうちH方向に沿う二辺の各々に沿うよう表示領域AAを挟んでV方向に対向するよう配置される。検出電極52,54のV方向の長さは、当該H方向に沿う二辺のH方向の長さとほぼ同一である。表示パネルPと検出電極51,52,53,54との位置関係は、表示装置100の筐体FLによって支持される。筐体FLは、
図1に示す殺菌装置1と表示パネルPとを内包する。
【0017】
図2に示す表示領域AAの四辺のうち直交する二辺の一方に沿う方向をH方向とする。また、当該二辺の他方に沿う方向をV方向とする。また、H方向及びV方向に直交する方向をZ方向とする。
【0018】
図3は、センサ部50がユーザの近接操作及びユーザの接触操作を検出する仕組みを示す説明図である。検出電極51は、検出回路55と接続されている。検出回路55は、検出電極51の自己静電容量によって生じる電流を検出する。
図3に示すように、ユーザの指Fのような外部の物体が検出電極51に近接又は接触した場合、検出電極51と筐体FLとの間に相互静電容量が生じることで検出電極51の自己静電容量が変化する。このため、検出電極51に対して近接又は接触する外部の物体の有無及び検出電極51と当該物体との距離に応じて検出回路55が検出する電流の大きさが変化する。センサ部50は、検出回路55が検出する電流に基づいてユーザの近接操作及びユーザの接触操作を検出する。
【0019】
また、センサ部50による外部の物体の検出は、時間の経過に伴って複数回行われる。具体的には、センサ部50は、例えば所定期間周期で繰り返し外部の物体の検出動作を行う。検出回路55が検出する電流の時系列変化パターンに基づいて、外部の物体がセンサ部50に近づく位置変化を生じているのか、外部の物体がセンサ部50から遠ざかる位置変化を生じているのかを判別できる。
【0020】
なお、
図2に示すような表示領域AAの範囲内におけるユーザの近接操作又はユーザの接触操作のH-V平面視点での位置に応じて、検出電極51,52,53,54の各々の自己静電容量の変化の度合いが変わる。従って、検出回路55が検出した電流に基づいて検出電極51,52,53,54の各々の自己静電容量の変化の度合いを特定することで、ユーザの近接操作又はユーザの接触操作のH-V平面視点での位置を特定することもできる。
【0021】
図3を参照した説明では、検出電極51を例として検出の仕組みを説明しているが、検出電極52,53,54も検出電極51と同様、検出回路55と接続されている。検出電極51,52,53,54は個別に設けられた検出回路55と接続されていてもよいし、検出回路55を共有してもよい。実施形態のセンサ部50は、検出回路55によって検出された検出電極51,52,53,54の各々からの電流に基づいて、表示パネルPに対するユーザの近接操作及びユーザの接触操作を検出する。
【0022】
図4は、
図2のA-A断面図である。表示パネルPは、表示領域AAの表示面側に保護層PR1が設けられている。また、保護層PR1を挟んで表示パネルPの反対側に導光板41が設けられている。また、導光板41を挟んで保護層PR1の反対側に保護層PR2が設けられている。保護層PR2は、表示面側が外部に露出する。すなわち、表示装置100では、Z方向に沿って表示パネルP側から保護層PR2側に向かって、表示パネルP、保護層PR1、導光板41、保護層PR2の順に積層されている。
【0023】
図4に示すように、検出電極51,53は、紫外線照射部40よりも表示面側に位置する。
図4では、検出電極51,53のZ方向の位置が保護層PR2と同じであるが、検出電極51,53の表示面側の面が保護層PR2又は他の保護層で覆われていてもよい。
図4では図示しないが、検出電極52,54のZ方向の位置は、検出電極51,53のZ方向の位置と同じである。なお、
図4では検出電極51,53のZ方向の厚みが保護層PR2のZ方向の厚みと同じであるが、これは模式的な図示によるものであって検出電極51,52,53,54のZ方向の厚みと保護層PR2のZ方向の厚みの関係を厳密に示すものでない。
【0024】
紫外線照射部40は、Z方向の位置が導光板41と同じになるように配置される。具体的には、紫外線照射部40は、例えば
図4に示すように、導光板41を挟んでH方向に対向するよう複数配置される。図示しないが、紫外線照射部40は、導光板41を挟んでV方向に対向するようさらに配置されていてもよい。紫外線照射部40は、表示面側に光UVを照射する。光UVは、導光板41及び保護層PR2を透過して保護層PR2の表示面側の露出面を殺菌する。殺菌灯は、表示面側に光UVを照射するよう設けられる。具体例を挙げると、殺菌灯の表示パネルP側及び導光板41の反対側に紫外線を良好に反射する反射面部を設けることで、より良好に保護層PR2側に光UVを誘導できる。当該反射面部には、例えばアルミニウム等、紫外線を良好に反射する材料を利用したコーティングが施される。
【0025】
紫外線照射部40とセンサ部50は、制御部60と接続される。
図4では、制御部60が基板61に設けられた構成例を示している。
図4に示す例では、表示パネルPを挟んで基板61の反対側には基板62が配置されている。基板61及び基板62のZ方向の位置は、検出電極51,53よりも表示パネルP側である。図示しないが、基板61と基板62とは電気的に接続されている。基板61と基板62には、制御部60と他の構成とを接続する配線が実装されている。
図4に示す紫外線照射部40は、配線63を介して基板61又は基板62と接続されることで、制御部60と接続される。
図4に示す検出電極51は、配線64を介して基板62と接続されることで、制御部60と接続される。
図4に示す検出電極53は、配線64を介して基板61と接続されることで、制御部60と接続される。図示しないが、検出電極52,54も配線64と同様の配線等を介して制御部60と接続される。例えば、検出電極52,54の表示パネルP側にも基板62と同様の基板が配置されていてもよい。また、
図4では図示しないが検出回路55は、例えば基板61,62に実装される。
【0026】
制御部60は、センサ部50が検出したユーザの近接操作又はユーザの接触操作によるセンサ部50とユーザとの距離に基づいて紫外線照射部40からの紫外線照射量を制御する回路である。制御部60は、センサ部50に対するユーザの距離が近いほど紫外線照射部40からの紫外線照射量を多くする。紫外線照射部40からの紫外線照射量を制御するための具体的な方法は、任意である。紫外線照射部40からの紫外線照射量の制御は、例えば、殺菌灯の単位時間あたりの発光時間の長短の制御によってもよいし、発光強度の強弱を制御可能に設けられた殺菌灯の発光強度の強弱の制御によってもよいし、その両方の組み合わせによってもよい。
【0027】
実施形態では、検出電極51,52,53,54が個別に筐体FL等の外部の物体を検出可能に設けられる。従って、検出電極51,52,53,54のうち複数が同時に外部の物体を検出することがある。その場合、最も近距離にあるものとして検出された外部の物体との検出距離がセンサ部50とユーザとの距離として扱われる。
【0028】
また、実施形態では、制御部60は、外部の物体が表示面に近づく場合の外部の物体と表示面との距離の変化量に対する紫外線照射量の増加量に比して、外部の物体が表示面から遠ざかる場合の外部の物体と表示面との距離の変化量に対する紫外線照射量の減少量が小さくなるように紫外線照射部40からの紫外線照射量を制御する。
【0029】
図5は、表示装置100に対するユーザの近接時と表示装置100に対するユーザの離隔時の各々の場合の紫外線照射量制御例を示す表である。
図5を参照して、制御部60による紫外線照射部40の動作制御例を説明する。なお、
図5では、説明を分かりやすくする目的で、紫外線照射量を0,1,2,3,4,5の6段階で数値化している。当該数値がより大きいほど紫外線照射量が多い。紫外線照射量が5である場合が「殺菌灯が最大発光量で点灯制御される」ことを示し、紫外線照射量が1である場合が「殺菌灯が最小発光量で点灯制御される」ことを示している。なお、紫外線照射量が0である場合は、「殺菌灯が非点灯とされる」ことを示している。
【0030】
また、
図5では、「A:近づく」場合と、「B:遠ざかる」場合とでユーザと表示装置100との位置関係の変化を概念化して示している。「A:近づく」場合とは、ユーザが表示装置100に対する離隔状態からより表示装置100に近接するように筐体FL等の外部の物体の位置を変ずる場合である。「B:遠ざかる」場合とは、ユーザが表示装置100に対する近接状態からより離隔するように筐体FL等の外部の物体の位置を変ずる場合である。
【0031】
「A:近づく」場合、表示装置100と外部の物体との距離が2cmを超えている限り、制御部60は、紫外線照射部40からの紫外線照射量を0にする。「A:近づく」場合、表示装置100と外部の物体との距離が2cmになったことがセンサ部50によって検出されたとき、制御部60は、紫外線照射部40からの紫外線照射量を1にする。「A:近づく」場合、表示装置100と外部の物体との距離が1cmになったことがセンサ部50によって検出されたとき、制御部60は、紫外線照射部40からの紫外線照射量を3にする。「A:近づく」場合、表示装置100と外部の物体との距離が接触状態(0cm)になったことがセンサ部50によって検出されたとき、制御部60は、紫外線照射部40からの紫外線照射量を5にする。
【0032】
「5:遠ざかる」場合、表示装置100と外部の物体との距離が接触状態(0cm)であり続けていることがセンサ部50によって検出されている限り、制御部60は、紫外線照射部40からの紫外線照射量を5にする。「5:遠ざかる」場合、表示装置100と外部の物体との距離が1cmになったことがセンサ部50によって検出されたとき、制御部60は、紫外線照射部40からの紫外線照射量を4にする。「5:遠ざかる」場合、表示装置100と外部の物体との距離が2cmになったことがセンサ部50によって検出されたとき、制御部60は、紫外線照射部40からの紫外線照射量を3にする。「5:遠ざかる」場合、表示装置100と外部の物体との距離が3cmになったことがセンサ部50によって検出されたとき、制御部60は、紫外線照射部40からの紫外線照射量を2にする。「5:遠ざかる」場合、表示装置100と外部の物体との距離が4cmになったことがセンサ部50によって検出されたとき、制御部60は、紫外線照射部40からの紫外線照射量を1にする。
図5では図示しないが、「5:遠ざかる」場合、表示装置100と外部の物体との距離が4cmを超えたことがセンサ部50によって検出されたとき、制御部60は、紫外線照射部40からの紫外線照射量を0にするようにしてもよい。
【0033】
なお、実施形態において紫外線照射部40からの紫外線照射量を0にする量が最大(5)になるのは、ユーザが筐体FL等の外部の物体で表示装置100の保護層PR2の表示面側の面に接触操作を行っている場合に検出される電流を検出回路55が検出した場合である。
図5における「接触」は、この場合をさす。
【0034】
一方、ユーザが表示装置100からどの程度離れれば紫外線照射部40からの紫外線照射量を0にする量がゼロ(0)でない最小(1)になるのかの基準は
図5に示す「A:近づく」場合の「2cm」や「B:遠ざかる」場合の「4cm」に限られるものでなく、任意である。例えば、「B:遠ざかる」場合に、センサ部50による外部の物体の検出がない場合に紫外線照射部40からの紫外線照射量がゼロ(0)になり(非点灯)、センサ部50による外部の物体の検出がある場合に紫外線照射部40からの紫外線照射量がゼロ(0)でなくなるようにしてもよい(点灯)。また、センサ部50による外部の物体の検出がある場合であっても、予め定められた表示装置100とユーザとの距離の閾値に対応した電流が検出回路55に検出されるまでは紫外線照射部40を点灯させないようにしてもよい。このように、紫外線照射部40からの紫外線照射量の制御パターンは、
図5で示す例に限定されるものでない。
【0035】
制御部60は、センサ部50に対する外部の物体の位置変化が「A:近づく」場合に該当するのか「B:遠ざかる」場合に該当するのかを判別可能に設けられている。具体的には、制御部60は、例えばセンサ部50が時間の経過に伴って複数回行う外部の物体の検出動作の各々の結果を示すデータ(例えば、電流値等)のうち、少なくとも直前の1回分以上のデータを保持するメモリを備える。制御部60は、当該メモリに記憶されたデータが示す表示装置100と外部の物体との距離と、センサ部50による最新の検出結果が示す表示装置100と外部の物体との距離との関係によって、「A:近づく」場合に該当するのか「B:遠ざかる」場合に該当するのかを判別する。
【0036】
図6は、センサ部50が検出した外部の物体との距離の遠近と、紫外線照射部40による紫外線照射量の多少との関係の一例を示すタイムチャートである。
図6では、期間T1中に外部の物体が「A:近づく」ことで、表示装置100と外部の物体との距離が距離D1から距離D2に近づいている。距離D1は、例えば
図5に示す「4cm」の距離である。距離D2は、例えば
図5に示す「接触」の距離である。また、
図6では、期間T2中に表示装置100と外部の物体との距離が変化せず、距離D2で維持されている。
図6では、期間T3中に外部の物体が「B:遠ざかる」ことで、表示装置100と外部の物体との距離が距離D2から距離D3に遠ざかっている。距離D3は、例えば
図5に示す「4cm」の距離である。
【0037】
図6に示すように、期間T1中に外部の物体が「A:近づく」場合、制御部60は、表示装置100と外部の物体との距離が距離D4になるまで紫外線照射部40を点灯させない。距離D4は、例えば
図5に示す「2cm」の距離である。また、期間T1中に外部の物体が「A:近づく」場合、制御部60は、表示装置100と外部の物体との距離が距離D4から距離D2に近づくことに応じて紫外線照射部40による紫外線照射量を多くするよう紫外線照射部40の点灯を制御する。また、期間T2中に表示装置100と外部の物体との距離が距離D2で維持されている間、制御部60は、紫外線照射部40による紫外線照射量を維持するよう紫外線照射部40の点灯を制御する。また、期間T3中に外部の物体が「B:遠ざかる」場合、制御部60は、表示装置100と外部の物体との距離が距離D2から距離D5を経て距離D3に遠ざかることに応じて紫外線照射部40による紫外線照射量を少なくするよう紫外線照射部40の点灯を制御する。距離D5は、距離D4と同じ距離である。
【0038】
図6に示すように、「B:遠ざかる」場合における距離D5に対応した紫外線照射量は、「A:近づく」場合における距離D4に対応した紫外線照射量よりも多い。これは、制御部60が、外部の物体が表示面に近づく場合の外部の物体と表示面との距離の変化量に対する紫外線照射量の増加量に比して、外部の物体が表示面から遠ざかる場合の外部の物体と表示面との距離の変化量に対する紫外線照射量の減少量が小さくなるように紫外線照射部40からの紫外線照射量を制御することによる。
【0039】
図7は、制御部60の処理の流れを示すフローチャートである。まず、センサ部50による外部の物体の検出が行われる(ステップS1)。制御部60は、ステップS1の処理で外部の物体が検出されたか判定する(ステップS2)。ステップS1の処理で外部の物体が検出されなかった場合(ステップS2;No)、制御部60は、紫外線照射部40を非点灯とし、紫外線照射が行われないようにする(ステップS3)。
【0040】
ステップS1の処理で外部の物体が検出された場合(ステップS2;Yes)、制御部60は、ステップS1の処理で得られた検出結果が表示装置100に対する外部の物体の接触を示すか判定する(ステップS4)。ステップS1の処理で得られた検出結果が表示装置100に対する外部の物体の接触を示す場合(ステップS4;Yes)、制御部60は、紫外線照射部40からの紫外線照射量が最多となるよう紫外線照射部40の点灯を制御する(ステップS5)。
【0041】
ステップS1の処理で得られた検出結果が表示装置100に対する外部の物体の接触を示さない場合(ステップS4;No)、制御部60は、ステップS1の処理で得られた最新の検出結果が、その直前、すなわち紫外線照射部40による前回の検出結果と異なる表示装置100と外部の物体との距離を示すか判定する(ステップS6)。なお、ステップS6の処理は、表示装置100と外部の物体との距離が変化したかをチェックするための判定である。ステップS6の処理では、ステップS1の処理で得られた最新の検出結果が前回の検出結果と同じ距離を示すか判定するようにしてもよい。
【0042】
ステップS1の処理で得られた最新の検出結果が前回の検出結果と同じ表示装置100と外部の物体との距離を示す場合(ステップS6;No)、制御部60は、紫外線照射部40からの紫外線照射量が維持されるよう紫外線照射部40の点灯を制御する(ステップS7)。
【0043】
ステップS1の処理で得られた最新の検出結果が前回の検出結果と異なる表示装置100と外部の物体との距離を示す場合(ステップS6;Yes)、制御部60は、ステップS1の処理で得られた最新の検出結果が前回の検出結果よりも短い距離を示すか判定する(ステップS8)。なお、ステップS8の処理は、表示装置100と外部の物体との距離が短くなったか長くなったかをチェックするための判定である。ステップS8の処理では、ステップS1の処理で得られた最新の検出結果が前回の検出結果よりも長い距離を示すか判定するようにしてもよい。
【0044】
ステップS1の処理で得られた最新の検出結果が前回の検出結果よりも短い距離を示す場合(ステップS8;Yes)、制御部60は、近接時の照射量での紫外線照射が行われるよう紫外線照射部40の点灯を制御する(ステップS9)。近接時の照射量での紫外線照射とは、例えば上述の「A:近づく」場合における紫外線照射をさす。ステップS1の処理で得られた最新の検出結果が前回の検出結果よりも長い距離を示す場合(ステップS8;No)、制御部60は、離隔時の照射量での紫外線照射が行われるよう紫外線照射部40の点灯を制御する(ステップS10)。離隔時の照射量での紫外線照射とは、例えば上述の「B:遠ざかる」場合における紫外線照射をさす。
【0045】
以上、外部の物体が表示面に近づく場合の外部の物体と表示面との距離の変化量に対する紫外線照射量の増加量に比して、外部の物体が表示面から遠ざかる場合の外部の物体と表示面との距離の変化量に対する紫外線照射量の減少量が小さくなる場合について例示したが、制御部60による紫外線照射部40の点灯制御はこれに限られるものでない。例えば、外部の物体がセンサ部50に近づくときの紫外線照射量の増える割合と外部の物体がセンサ部50から遠ざかるときの紫外線照射量の減る割合とが同一であってもよい。
【0046】
以上、実施形態1によれば、表示面を有する表示パネルPと、表示面に近接又は接触する外部の物体を検出するセンサ部50と、表示面に紫外線を照射する紫外線照射部40と、紫外線照射部40の動作を制御する制御部60と、を備える。制御部60は、外部の物体が表示面に近づくに従って紫外線照射部40による紫外線照射量を増やし、外部の物体が表示面から遠ざかるに従って紫外線照射部による紫外線照射量を減らす。
【0047】
これによって、外部の物体が近づくほど紫外線照射量を増やせる。また、外部の物体が遠ざかる程紫外線照射量を減らせる。従って、紫外線照射量を増減できる。また、外部の物体が近づくということは、外部の物体が接触することによって細菌等の病原体が伝染する可能性があるということである。従って、このように殺菌の必要性がより高まる場合に紫外線照射量をより増やすことで、殺菌の必要性に応じたより効率的な殺菌を行える。
【0048】
また、外部の物体が表示面に近づく場合の外部の物体と表示面との距離の変化量に対する紫外線照射量の増加量に比して、外部の物体が表示面から遠ざかる場合の外部の物体と表示面との距離の変化量に対する紫外線照射量の減少量が小さい。これによって、外部の物体が離れた後の殺菌をより長時間行える。従って、外部の物体から伝染した可能性のある病原体の殺菌を当該外部の物体が遠ざかった後により確実に行える。
【0049】
また、センサ部50は、電極(例えば、検出電極51,52,53,54)を備え、当該電極の静電容量の変化に基づいて外部の物体を検出する。これによって、簡便な仕組みで外部の物体を検出できる。
【0050】
また、電極は、表示面において画像が表示される多角形状の表示領域の外縁に沿って配置される。これによって、表示パネルPに近接する外部の物体を検出できる。
【0051】
図1から
図7を参照して説明した実施形態1では、紫外線照射部40が点灯することで表示領域AAの表示面側全体が殺菌される。これに対し、後述する
図8から
図10を参照して説明する実施形態の変形例のように、表示領域AAのうち筐体FLが近接又は接触した位置を含む一部分が殺菌されるようにしてもよい。
【0052】
(変形例1)
図8は、複数の部分検出領域A1,A2,A3,A4を有する表示装置100Aの構成例を示す平面図である。
図8に示すように、H-V視点で矩形状の表示領域AAの四辺のうちV方向に沿う一辺に沿うよう設けられた検出電極51aと検出電極51bは、V方向に並ぶ。検出電極51aと検出電極51bは、V方向の長さが同じである。検出電極51aと検出電極51bは、
図2を参照して説明した検出電極51をV方向に二分割して互いに非接触にするよう設けられた電極である。
【0053】
また、表示領域AAの四辺のうちV方向に沿う他の一辺に沿うよう設けられた検出電極53aと検出電極53bは、V方向に並ぶ。検出電極53aと検出電極53bは、V方向の長さが同じである。検出電極53aと検出電極53bは、
図2を参照して説明した検出電極53をV方向に二分割して互いに非接触にするよう設けられた電極である。
【0054】
また、表示領域AAの四辺のうちH方向に沿う一辺に沿うよう設けられた検出電極52aと検出電極52bは、H方向に並ぶ。検出電極52aと検出電極52bは、H方向の長さが同じである。検出電極52aと検出電極52bは、
図2を参照して説明した検出電極52をH方向に二分割して互いに非接触にするよう設けられた電極である。
【0055】
また、表示領域AAの四辺のうちH方向に沿う他の一辺に沿うよう設けられた検出電極54aと検出電極54bは、H方向に並ぶ。検出電極54aと検出電極54bは、H方向の長さが同じである。検出電極54aと検出電極54bは、
図2を参照して説明した検出電極54をH方向に二分割して互いに非接触にするよう設けられた電極である。
【0056】
検出電極51a,51b,52a,52b,53a,53b,54a,54bは、個別に上述の検出回路55と接続される。表示装置100Aでは、検出電極51a,51b,52a,52b,53a,53b,54a,54bの各々を用いて個別に外部の物体の検出が行われる。これによって、表示装置100Aでは、表示領域AAに接触又は近接する外部の物体が複数の部分検出領域A1,A2,A3,A4のいずれの範囲に接触又は最も近接しているのか判別できる。
【0057】
部分検出領域A1,A2,A3,A4はそれぞれ、矩形状の領域である。部分検出領域A1の四辺のうち一辺に沿うように検出電極51aが位置し、当該一辺に直交する他の一辺に沿うように検出電極52aが位置する。部分検出領域A2の四辺のうち一辺に沿うように検出電極52bが位置し、当該一辺に直交する他の一辺に沿うように検出電極53aが位置する。部分検出領域A3の四辺のうち一辺に沿うように検出電極51bが位置し、当該一辺に直交する他の一辺に沿うように検出電極54aが位置する。部分検出領域A4の四辺のうち一辺に沿うように検出電極54bが位置し、当該一辺に直交する他の一辺に沿うように検出電極53bが位置する。
【0058】
一例として、部分検出領域A1内に外部の物体が接触又は最も近接している場合を想定する。この場合、検出電極51aと検出電極52aを用いた外部の物体の検出結果が、検出電極51b,52b,53a,53b,54a,54bを用いた当該外部の物体の検出結果に比して、当該外部の物体がより近い位置にあることを示す検出結果になる。
【0059】
また、部分検出領域A2内に外部の物体が接触又は最も近接している場合を想定する。この場合、検出電極52bと検出電極53aを用いた外部の物体の検出結果が、検出電極51a,51b,52a,53b,54a,54bを用いた当該外部の物体の検出結果に比して、当該外部の物体がより近い位置にあることを示す検出結果になる。
【0060】
また、部分検出領域A3内に外部の物体が接触又は最も近接している場合を想定する。この場合、検出電極51bと検出電極54aを用いた外部の物体の検出結果が、検出電極51a,52a,52b,53a,53b,54bを用いた当該外部の物体の検出結果に比して、当該外部の物体がより近い位置にあることを示す検出結果になる。
【0061】
また、部分検出領域A4内に外部の物体が接触又は最も近接している場合を想定する。この場合、検出電極53bと検出電極54bを用いた外部の物体の検出結果が、検出電極51a,51b,52a,52b,53a,54aを用いた当該外部の物体の検出結果に比して、当該外部の物体がより近い位置にあることを示す検出結果になる。
【0062】
このように、H方向に並ぶ複数の電極の各々を用いた外部の物体の検出結果と、V方向に並ぶ複数の電極の各々を用いた外部の物体の検出結果と、の組み合わせによって、外部の物体がH-V平面視点でどの位置により近いのかをより詳細に検出できる。
【0063】
表示装置100Aでは、部分検出領域A1,A2,A3,A4のうち外部の物体がより近くにある一部の部分検出領域に対応する範囲を紫外線照射対象とすることができる。
【0064】
図9は、外部の物体が検出された部分検出領域により近い範囲に紫外線を照射するよう設けられた複数の紫外線照射部40a,40b,40c,40d,40e,40f,40g,40hの配置例を示す平面図である。紫外線照射部40a,40b,40c,40d,40e,40f,40g,40hはそれぞれ、機能的には紫外線照射部40と同様の構成である。
【0065】
図9に示すように、H-V視点で矩形状の導光板41の四辺のうちV方向に沿う一辺に沿うよう設けられた紫外線照射部40aと紫外線照射部40eは、V方向に並ぶ。紫外線照射部40aと紫外線照射部40eは、V方向の長さが同じである。紫外線照射部40aのZ方向の位置は、検出電極51aの背面側である。紫外線照射部40eのZ方向の位置は、検出電極51bの背面側である。
【0066】
また、導光板41の四辺のうちV方向に沿う他の一辺に沿うよう設けられた紫外線照射部40dと紫外線照射部40hは、V方向に並ぶ。紫外線照射部40dと紫外線照射部40hは、V方向の長さが同じである。紫外線照射部40dのZ方向の位置は、検出電極53aの背面側である。紫外線照射部40hのZ方向の位置は、検出電極53bの背面側である。
【0067】
また、導光板41の四辺のうちH方向に沿う一辺に沿うよう設けられた紫外線照射部40bと紫外線照射部40cは、H方向に並ぶ。紫外線照射部40bと紫外線照射部40cは、H方向の長さが同じである。紫外線照射部40bのZ方向の位置は、検出電極52aの背面側である。紫外線照射部40cのZ方向の位置は、検出電極52bの背面側である。
【0068】
また、導光板41の四辺のうちH方向に沿う他の一辺に沿うよう設けられた紫外線照射部40fと紫外線照射部40gは、H方向に並ぶ。紫外線照射部40fと紫外線照射部40gは、H方向の長さが同じである。紫外線照射部40fのZ方向の位置は、検出電極54aの背面側である。紫外線照射部40gのZ方向の位置は、検出電極54bの背面側である。
【0069】
導光板41には、
図8を参照して説明した部分検出領域A1,A2,A3,A4とZ方向に重なる位置に部分領域B1,B2,B3,B4があるものと考えることができる。部分領域B1は、部分検出領域A1と重なる。部分領域B1の四辺のうち一辺に沿うように紫外線照射部40aが位置し、当該一辺に直交する他の一辺に沿うように紫外線照射部40bが位置する。部分領域B2は、部分検出領域A2と重なる。部分領域B2の四辺のうち一辺に沿うように紫外線照射部40cが位置し、当該一辺に直交する他の一辺に沿うように紫外線照射部40dが位置する。部分領域B3は、部分検出領域A3と重なる。部分領域B3の四辺のうち一辺に沿うように紫外線照射部40eが位置し、当該一辺に直交する他の一辺に沿うように紫外線照射部40fが位置する。部分領域B4は、部分検出領域A4と重なる。部分領域B4の四辺のうち一辺に沿うように紫外線照射部40gが位置し、当該一辺に直交する他の一辺に沿うように紫外線照射部40hが位置する。
【0070】
制御部60は、部分検出領域A1,A2,A3,A4のいずれに外部の物体が接触又は最も近接しているかに応じて、紫外線照射部40a,40b,40c,40d,40e,40f,40g,40hのいずれを点灯させるかを制御する。
【0071】
例えば、部分検出領域A1に外部の物体が接触又は最も近接している場合、制御部60は、紫外線照射部40a,40bを点灯させる。これによって部分領域B1から部分検出領域A1に紫外線が照射される。すなわち、この場合、外部の物体が接触又は最も近接している部分検出領域A1を紫外線照射対象とすることができる。これによって、外部の物体が接触又は最も近接している部分検出領域A1の表示面側をより効率的に殺菌できる。
【0072】
また、部分検出領域A2に外部の物体が接触又は最も近接している場合、制御部60は、紫外線照射部40c,40dを点灯させる。これによって部分領域B2から部分検出領域A2に紫外線が照射される。また、部分検出領域A3に外部の物体が接触又は最も近接している場合、制御部60は、紫外線照射部40e,40fを点灯させる。これによって部分領域B3から部分検出領域A3に紫外線が照射される。また、部分検出領域A4に外部の物体が接触又は最も近接している場合、制御部60は、紫外線照射部40g,40hを点灯させる。これによって部分領域B4から部分検出領域A4に紫外線が照射される。これらのように、外部の物体が接触又は最も近接している部分検出領域を紫外線照射対象とすることができる。これによって、外部の物体が接触又は最も近接している部分検出領域の表示面側をより効率的に殺菌できる。
【0073】
図10は、変形例1における制御部60の処理の流れを示すフローチャートである。変形例1では、ステップS2の判定処理において「ステップS1の処理で外部の物体が検出された場合(ステップS2;Yes)」の処理の後に行われているステップ4の判定処理の前に、紫外線照射エリアの決定処理(ステップS21)の処理が行われる。ステップS21の処理では、制御部60が、外部の物体が接触又は最も近接している部分検出領域を紫外線照射対象とするように紫外線照射部40a,40b,40c,40d,40e,40f,40g,40hのいずれを点灯させるかを制御する。例えば、部分検出領域A1に外部の物体が接触又は最も近接している場合、制御部60は、紫外線照射部40a,40bを点灯させる。
【0074】
以上、H方向×V方向に2×2の部分検出領域A1,A2,A3,A4及び部分領域B1,B2,B3,B4があることを前提として変形例1を説明したが、部分検出領域及び部分検出領域の各々に重なる部分領域の配置は2×2に限られるものでない。例えば、
図2に示す検出電極51,53を3つ以上に分割することで、V方向に並ぶ部分検出領域を3つ以上にできる。また、
図2に示す検出電極52,54を3つ以上に分割することで、H方向に並ぶ部分検出領域を3つ以上にできる。また、3つ以上に分割された電極の各々と個別に重なる複数の紫外線照射部40を設けるようにすることで、これらの部分検出領域に個別に紫外線を照射しやすくなる。
【0075】
なお、例えばH方向×V方向に3×3の部分検出領域がある場合、中央の部分検出領域には隣接するよう配置された紫外線照射部40がないことになる。この場合、当該中央の部分検出領域により近い1つ以上の紫外線照射部40を点灯させることで、当該中央の部分検出領域をより効率的に殺菌できる。具体的には、当該中央の部分検出領域を挟んでV方向に対向する2つの紫外線照射部40を点灯させればよい。H方向×V方向にα×βの部分検出領域がある場合であって表示領域AAの外縁に接しない部分検出領域については、当該中央の部分検出領域と同様の考え方を適用してよい。α,βはともに3以上の自然数である。
【0076】
以上、変形例1によれば、外部の物体がより近接又は接触している表示面の一部に対して紫外線照射が行われる。これによって、外部の物体から病原体が伝染した可能性のある箇所及び当該箇所の付近に限定して紫外線照射を行える。従って、より低い消費電力でより効率的に殺菌を行える。
【0077】
なお、
図1に示すように殺菌装置1は、さらに、可視光照射部35を備えていてもよい。可視光照射部35は、可視光VL(
図11参照)を照射する光源(可視光源)を備える。以下、符号なしで単に可視光源と記載した場合、特筆しない限り可視光照射部35が備える可視光源をさす。可視光源は例えばLEDであるが、これに限られるものでなく、電力供給に応じて可視光を発する発光素子等であればよい。表示パネルPが自発光型の画像表示パネルである場合、可視光照射部35は省略される。自発光型の画像表示パネルとして、例えばOLED(Organic Light Emitting Diode)パネルが挙げられる。実施形態1及び変形例では、表示パネルPとして自発光型の画像表示パネルが採用される。
【0078】
(実施形態2)
実施形態2では、実施形態1の表示パネルPに代えて可視光VLを発する外部の光源を必要とする液晶表示ディスプレイパネルが採用される。このような外部の光源として機能する可視光照射部35は、例えば、後述する
図11に示す反射型の液晶表示パネルPAを照明するフロントライトとして設けられる。以下、実施形態1の表示パネルPを反射型の液晶表示パネルPAとした実施形態2の表示装置100Aについて、
図11と
図12を参照して説明する。
【0079】
図11は、実施形態2の表示装置100Aにおける主要構成の積層順序を示す概念図である。表示装置100Aでは、
図4を参照して説明した表示装置100における保護層PR1と導光板41との間に導光板36が設けられる。
【0080】
図12は、液晶表示パネルPAと、保護層PR1と、可視光照射部35との積層構造例及び液晶表示パネルPAの主要構成例を示す模式図である。
図12に示すように、液晶表示パネルPAは、第1パネル2と、第2パネル3と、液晶層30を含む。液晶表示パネルPAは、保護層PR1を挟んで導光板36と対向するよう積層される。導光板36は、H-V視点で導光板41と同じ大きさの矩形状の可視光導光板である。導光板36の側方には、可視光照射部35が設けられる。
図12では、可視光照射部35が導光板36に対してH方向に隣接するが、これに限られるものでない。例えば、可視光照射部35が導光板36に対してV方向に隣接してもよい。また、後述する
図13に示す可視光源35a,35b,35c,35d,35e,35f,35g,35hのように複数の可視光源が設けられてもよい。
【0081】
第2パネル3は、第1パネル2と対向して配置される。導光板36は、第2パネル3のZ方向側の主面に貼り合わされている。液晶層30は、第1パネル2と第2パネル3との間に設けられる。
【0082】
可視光照射部35が可視光VLを出射していない期間において、表示面側の外部から入射した光は、第1パネル2の画素電極(反射電極)15によって反射されて表示面から出射する。液晶表示パネルPAは、この反射光に含まれる可視光を利用して、表示面側に画像を表示出力する。
【0083】
また、可視光照射部35が可視光VLを出射している期間において、可視光照射部35から導光板36の側面に入射した可視光VLは、保護層PR1の反対側の一面36aによって、Z方向と反対側に反射される。そして、可視光VLは、画素電極15によって反射されて表示面から出射する。
図12では図示を省略しているが、導光板36を挟んで保護層PR1の反対側である表示面側には、
図11に示すように、導光板41が積層される。導光板36よりも導光板41側の構成は、
図4に示す導光板41側の構成と同様である。
【0084】
第1パネル2は、第1基板11と、絶縁層12と、画素電極15と、配向膜18とを有する。第1基板11は、ガラス基板又は樹脂基板が例示される。第1基板11の表面には、図示しない回路素子や、ゲート線、データ線等の各種配線が設けられる。回路素子は、TFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング素子や、容量素子を含む。
【0085】
絶縁層12は、第1基板11の上に設けられ、回路素子や各種配線等の表面を全体として平坦化している。画素電極15(以下以降も「(反射電極)」という記載は不要です)は、絶縁層12の上に複数設けられる。配向膜18は、画素電極15と液晶層30との間に設けられる。画素電極15は、画素SPix毎に矩形状に設けられている。画素電極15は、アルミニウム(Al)又は銀(Ag)で例示される金属で形成されている。また、画素電極15は、これらの金属材料と、ITO(Indium Tin Oxide)で例示される透光性導電材料と、を積層した構成としても良い。画素電極15は、良好な反射率を有する材料が用いられ、外部から入射する光を拡散反射させる反射板として機能する。
【0086】
画素電極15によって反射された光(例えば、可視光VL)は、拡散反射によって散乱されるものの、表示面側に向かって一様な方向に進む。また、画素電極15に印加される電圧レベルが変化することにより、当該画素電極15上の液晶層30における光の透過状態、すなわち画素SPix毎の反射光の透過状態が変化する。
【0087】
第2パネル3は、第2基板21と、共通電極23と、配向膜28と、1/4波長板24と、1/2波長板25と、偏光板26とを含む。第2基板21の両面のうち、第1パネル2と対向する面に、共通電極23が設けられる。共通電極23と液晶層30との間に配向膜28が設けられる。第2基板21の、表示面側の面に、1/4波長板24、1/2波長板25及び偏光板26が、この順で積層されている。
【0088】
第2基板21は、ガラス基板又は樹脂基板が例示される。共通電極23は、ITOで例示される透光性導電材料で形成されている。共通電極23は、複数の画素電極15と対向して配置され、各画素SPixに対する共通の電位を供給する。
【0089】
液晶層30は、ネマティック(Nematic)液晶を含んでいることが例示される。液晶層30は、共通電極23と画素電極15との間の電圧レベルが変更されることにより、液晶分子の配向状態が変化する。これによって、液晶層30を透過する光を画素SPix毎に変調する。
【0090】
外光又は可視光VLが液晶表示パネルPAの表示面側から入射する入射光となり、第2パネル3及び液晶層30を透過して画素電極15に到達する。そして、入射光は各画素SPixの画素電極15で反射される。かかる反射光は、画素SPix毎に変調されて表示面から出射される。これにより、画像の表示が行われる。
【0091】
なお、反射型の液晶表示ディスプレイでは、各画素SPixに与えられる電位を保持するメモリが画素SPix毎に設けられていてもよい。この場合、当該メモリは、バックプレーン部98に設けられる。
【0092】
以上、特筆した事項を除いて、実施形態2は、実施形態1と同様である。実施形態2によれば、液晶表示パネルPAは、反射型の液晶表示パネルであり、液晶表示パネルPAに可視光を照射するフロントライトとして機能する可視光照射部35を備える。これによって、反射型の液晶表示パネルを備える表示装置100Aでも紫外線照射量を増減可能になる。
【0093】
(変形例2)
次に、上述の変形例1において液晶表示パネルPAが採用された変形例2について、
図13から
図17を参照して説明する。変形例2の説明において変形例1と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略することがある。
【0094】
図13は、可視光源35a,35b,35c,35d,35e,35f,35g,35hと導光板36との位置関係例を示す平面図である。
図13に示す可視光源35a,35b,35c,35d,35e,35f,35g,35hは、
図1に示す可視光照射部35に含まれる。
【0095】
図13に示すように、H-V視点で矩形状の導光板36の四辺のうちV方向に沿う一辺に沿うよう設けられた可視光源35aと可視光源35eは、V方向に並ぶ。可視光源35aと可視光源35eは、V方向の長さが同じである。可視光源35aのZ方向の位置は、
図9に示す紫外線照射部40aの背面側である。可視光源35eのZ方向の位置は、
図9に示す紫外線照射部40eの背面側である。
【0096】
また、導光板36の四辺のうちV方向に沿う他の一辺に沿うよう設けられた可視光源35dと可視光源35hは、V方向に並ぶ。可視光源35dと可視光源35hは、V方向の長さが同じである。可視光源35dのZ方向の位置は、
図9に示す紫外線照射部40dの背面側である。可視光源35hのZ方向の位置は、
図9に示す紫外線照射部40hの背面側である。
【0097】
また、導光板36の四辺のうちH方向に沿う一辺に沿うよう設けられた可視光源35bと可視光源35cは、H方向に並ぶ。可視光源35bと可視光源35cは、H方向の長さが同じである。
図9に示す可視光源35bのZ方向の位置は、
図9に示す紫外線照射部40bの背面側である。可視光源35cのZ方向の位置は、
図9に示す紫外線照射部40cの背面側である。
【0098】
また、導光板36の四辺のうちH方向に沿う他の一辺に沿うよう設けられた可視光源35fと可視光源35gは、H方向に並ぶ。可視光源35fと可視光源35gは、H方向の長さが同じである。可視光源35fのZ方向の位置は、
図9に示す紫外線照射部40fの背面側である。可視光源35gのZ方向の位置は、
図9に示す紫外線照射部40gの背面側である。
【0099】
導光板36には、
図8を参照して説明した部分検出領域A1,A2,A3,A4とZ方向に重なる位置に可視光照射領域C1,C2,C3,C4があるものと考えることができる。可視光照射領域C1は、部分検出領域A1と重なる。可視光照射領域C1の四辺のうち一辺に沿うように可視光源35aが位置し、当該一辺に直交する他の一辺に沿うように可視光源35bが位置する。可視光照射領域C2は、部分検出領域A2と重なる。可視光照射領域C2の四辺のうち一辺に沿うように可視光源35cが位置し、当該一辺に直交する他の一辺に沿うように可視光源35dが位置する。可視光照射領域C3は、部分検出領域A3と重なる。可視光照射領域C3の四辺のうち一辺に沿うように可視光源35eが位置し、当該一辺に直交する他の一辺に沿うように可視光源35fが位置する。可視光照射領域C4は、部分検出領域A4と重なる。可視光照射領域C4の四辺のうち一辺に沿うように可視光源35gが位置し、当該一辺に直交する他の一辺に沿うように可視光源35hが位置する。
【0100】
図14は、変形例2における紫外線照射制御と可視光VLの照射制御との関係の一例を示す模式図である。
図14に示す例では、部分検出領域A1に筐体FLが最も近接している。このため、変形例1と同様、制御部60は、部分検出領域A1を紫外線照射対象として、紫外線照射部40a,40bを点灯させる。
【0101】
変形例2の制御部60は、さらに、紫外線照射対象となっている部分検出領域(
図14の例では、部分検出領域A1)に対する可視光照射部35からの可視光VLの照射量を他の部分検出領域よりも少なくするよう複数の可視光源(例えば、可視光源35a,35b,…,35h)の点灯を制御する。
【0102】
図14のように部分検出領域A1が紫外線照射対象となっている場合、制御部60は、
図13に示す可視光源35a,35b,…,35hのうち、部分検出領域A1とZ方向に重なる可視光照射領域C1に隣接する可視光源35a,35bからの可視光VLの照射量を他の可視光源35c,35d,35e,35f,35g,35hからの可視光VLの照射量よりも少なくする。これによって、部分検出領域A1における可視光照射部35からの可視光VLの照射量は、部分検出領域A2,A3,A4に比して少なくなる。
【0103】
可視光照射部35からの可視光VLの照射量を制御するための具体的な方法は、任意である。可視光照射部35からの可視光VLの照射量の制御は、例えば、可視光源の単位時間あたりの発光時間の長短の制御によってもよいし、発光強度の強弱を制御可能に設けられた可視光源の発光強度の強弱の制御によってもよいし、その両方の組み合わせによってもよい。
【0104】
部分検出領域A1には筐体FLを含むユーザの手が位置しているため、部分検出領域A2,A3,A4に比して画像の視認性が重視されない。このため、部分検出領域A1に対する可視光VLの照射量を少なくすることで、消費電力を低減できる。一方、部分検出領域A1には筐体FLのような外部の物体が接触している可能性があるため、部分検出領域A1の表示面側を殺菌する必要性が生じる。そこで、制御部60は、変形例1と同様、部分検出領域A1を紫外線照射対象として、紫外線照射部40a,40bを点灯させる。
【0105】
図14に示す例では、可視光源35a,35bからの可視光VLの照射量が他の可視光源35c,35d,35e,35f,35g,35hからの可視光VLの照射量よりも少なくなることで、部分検出領域A1が他の部分検出領域よりも相対的に暗くなる。また、部分検出領域A1とH方向に隣接する部分検出領域A2及び部分検出領域A1とV方向に隣接する部分検出領域A3に比して、部分検出領域A1とH方向にもV方向にも隣接しない部分検出領域A4は、相対的に部分検出領域A2及び部分検出領域A3よりも明るくなる。従って、
図14に示す例では、H方向の輝度グラフFL1で示すように、部分検出領域A1,A3側に比して部分検出領域A2,A4側が明るく見える。また、
図14に示す例では、V方向の輝度グラフFL2で示すように、部分検出領域A1,A2側に比して部分検出領域A3,A4側が明るく見える。
図14では、部分検出領域A1,A2,A3,A4の明るさの相対的な差をドットパターンの密度で模式的に図示しており、ドットが粗いほど明るいことを示す。
【0106】
以上、
図13に示すようにH方向×V方向に2×2の可視光照射領域C1,C2,C3,C4があることを前提として変形例2を説明したが、可視光VLの照射量制御はこれに限定されるものでない。例えば、H方向に並ぶ可視光源を3つ以上にしてもよいし、V方向に並ぶ可視光源を3つ以上にしてもよい。
【0107】
なお、例えばH方向×V方向に3×3の可視光源が並ぶ場合、中央の部分検出領域には隣接するよう配置された可視光源がないことになる。この場合、当該中央の部分検出領域により近い1つ以上の可視光源からの可視光VLの照射量を相対的に少なくすることで、当該中央の部分検出領域を他の部分検出領域に比して相対的に暗くできる。具体的には、当該中央の部分検出領域を挟んでV方向に対向する2つの可視光源からの可視光VLの照射量を相対的に少なくすればよい。さらに、当該中央の部分検出領域を挟んでH方向に対向する2つの可視光源からの可視光VLの照射量を相対的に少なくするようにしてもよい。H方向×V方向にγ×Δ部分検出領域がある場合であって表示領域AAの外縁に接しない部分検出領域については、当該中央の部分検出領域と同様の考え方を適用してよい。γ,Δはともに3以上の自然数である。
【0108】
図15は、紫外線照射対象とされる部分検出領域と外部の物体との距離の遠近と、当該部分検出領域に紫外線を照射する紫外線照射部40による紫外線照射量の多少と、当該部分検出領域に可視光VLを照射する可視光源による可視光VLの照射量の多少との関係の一例を示すタイムチャートである。なお、
図15における紫外線照射対象とされる部分検出領域と外部の物体との距離の遠近と、当該部分検出領域に紫外線を照射する紫外線照射部40による紫外線照射量の多少との関係は、
図6を参照して説明した内容と同様である。従って、
図15を参照した説明においても、上述の「A:近づく」場合及び「B:遠ざかる」場合という表現を用いた説明を行う。
【0109】
図6に示すように、期間T1中に外部の物体が「A:近づく」場合、制御部60は、表示装置100と外部の物体との距離が距離D4になるまで可視光源からの可視光VLの照射量を下げない。ここでいう「可視光VLの照射量を下げない」とは、通常の画像表示出力に必要な可視光VLの照射量が与えられるように可視光源を動作させることをいう。
【0110】
また、期間T1中に外部の物体が「A:近づく」場合、制御部60は、表示装置100と外部の物体との距離が距離D4から距離D2に近づくことに応じて可視光源による可視光VLの照射量を少なくするよう可視光照射部35を制御する。また、期間T2中に表示装置100と外部の物体との距離が距離D2で維持されている間、制御部60は、可視光源による可視光VLの照射量を少なくしたまま維持するよう可視光照射部35を制御する。
図15では、期間T2中の可視光VLの照射量がゼロになっているが、これに限られるものでなく、ある程度の可視光VLの照射が行われてもよい。また、期間T3中に外部の物体が「B:遠ざかる」場合、制御部60は、表示装置100と外部の物体との距離が距離D2から距離D5を経て距離D3に遠ざかることに応じて可視光源による可視光VLの照射量を多くするよう可視光照射部35を制御する。
【0111】
図15に示すように、「B:遠ざかる」場合における距離D5に対応した可視光VLの照射量は、「A:近づく」場合における距離D4に対応した可視光VLの照射量よりも少ない。これは、可視光VLの照射量の制御が紫外線照射量の制御と逆の制御であることによる。
【0112】
図16は、変形例2における制御部60の処理の流れを示すフローチャートである。変形例2では、
図10を参照して説明した変形例1における制御部60の処理に加えて、ステップS3、ステップS5、ステップS7、ステップS9又はステップS10の処理後に可視光源の点灯制御が行われる(ステップS31)。ステップS31の処理では、ステップS21で紫外線照射エリアとされた部分検出領域に隣接又はより近い配置の可視光源を対象として、ステップS3、ステップS5、ステップS7、ステップS9又はステップS10の処理で決定された紫外線照射量制御の増減を逆転させた可視光VLの照射量制御を行う。
【0113】
なお、殺菌灯と可視光源のH-V平面視点での配置は、
図9に示す紫外線照射部40a,40b,40c,40d,40e,40f,40g,40hの配置と
図13に示す可視光源35a,35b,35c,35d,35e,35f,35g,35hの配置との組み合わせに限定されない。
【0114】
図17は、殺菌灯と可視光源の配置の別の例を示す平面図である。
図17で例示するように、殺菌灯と可視光源がH-V平面視点で重ならないように殺菌灯と可視光源を配置してもよい。
図17に示す例では、
図9に示す紫外線照射部40a,40b,40c,40d,40e,40f,40g,40hのうち紫外線照射部40a,40b,40c,40eが配置されている。また、
図17に示す例では、
図13に示す可視光源35a,35b,35c,35d,35e,35f,35g,35hのうち可視光源35d,35f,35g,35hが配置されている。
【0115】
以上、変形例2によれば、外部の物体がより近接又は接触している表示面の一部に対して紫外線照射が行われ、当該一部に対する可視光照射量が当該一部以外に比して少ない。これによって、可視光の必要性が相対的に低いと考えられる外部の物体の近接箇所及びその付近を照明するための電力消費を抑制できる。従って、消費電力をより低減できる。
【0116】
変形例2では、可視光照射部35がいわゆるフロントライトである場合について説明したが、可視光照射部35はいわゆるフロントライトに限定されない。また、液晶表示パネルは反射型のものに限定されない。
図12を参照して説明したフロントライトを有する液晶表示パネルPAに代えて、バックライトBLからの可視光VLで照明される透過型の液晶表示パネルPBが採用された変形例3について、
図18から
図21を参照して説明する。
【0117】
(変形例3)
図18は、変形例3の表示装置100Bにおける主要構成の積層順序を示す概念図である。表示装置100Bでは、液晶表示パネルPBを挟んで背面側にバックライトBLが設けられ、表示面側に保護層PR2が設けられる。
図18に示す液晶表示パネルPBは、透過型の液晶表示装置として機能するディスプレイ部DPと外部の物体の近接又は接触を検出するセンサ部50Aとが一体的に設けられた、いわゆるインセル方式のタッチパネルである。変形例3では、上述のセンサ部50に代えて、センサ部50Aが外部の物体の近接又は接触を検出する。
【0118】
図19は、液晶表示パネルPBの概略断面構造を表す断面図である。液晶表示パネルPBは、第1基板2Aと、第2基板3Aと、液晶層96と、を備えている。第1基板2Aは、ガラス基板91、絶縁層94及び回路層90と、絶縁層94上にマトリックス状に配置された複数の画素電極92とを有する。第2基板3Aは、ガラス基板81と、ガラス基板81の一方の面に形成されたカラーフィルタ82と、カラーフィルタ82の表面上に形成された複数の駆動電極COMLとを含む。駆動電極COMLは、ガラス基板81の反対側に形成されている。ガラス基板81の他方の面には、センサ部50Aの検出電極であるタッチ検出電極TDLが形成されている。さらに、このタッチ検出電極TDLの上には、図示しない偏光板が配置され、さらにその上に保護層PR2が配置されている。
【0119】
カラーフィルタ82は、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の3色に着色されたカラーフィルタを周期的に配列して、上述した
図13に示す各画素PixにR、G、Bの3色が1組として対応付けられている。カラーフィルタ82は、Z方向において、液晶層96と対向する。なお、カラーフィルタ82の色は、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の組み合わせに限られるものでなく、他の色の組み合わせであってもよい。例えば、白(W)を含んでいてもよい。また、カラーフィルタは、無くてもよく、この場合白色となる。あるいは、カラーフィルタに光透過性の樹脂を用いて白色としてもよい。
【0120】
実施形態の駆動電極COMLは、ディスプレイ部DPの共通駆動電極として機能するとともに、センサ部50Aの駆動電極としても機能する。本実施形態では、一つの駆動電極COMLが一つの画素電極92(一行を構成する画素電極92)に対応するように配置されている。実施形態の駆動電極COMLは、Z方向において、画素電極92と対向する。駆動電極COMLは、図示しない導電性を有するコンタクト導電柱を介して、図示しないドライバ回路から駆動電極COMLに駆動信号Vcomが印加されるようになっている。
【0121】
液晶層96は、電界の状態に応じてそこを通過する光を変調するものであり、例えば、FFS(Fringe Field Switching:フリンジフィールドスイッチング)を含むIPS(In Plane Switching:インプレーンスイッチング)、TN(Twisted Nematic:ツイステッドネマティック)、VA(Vertical Alignment:垂直配向)、ECB(Electrically Controlled Birefringence:電界制御複屈折)等の各種モードの液晶LCが用いられる。
【0122】
なお、液晶層96と第1基板2Aとの間、及び液晶層96と第2基板3Aとの間には、それぞれ配向膜が配置され、また、第1基板2Aの下面側には入射側偏光板が配置されてもよい。
【0123】
図20は、センサ部50Aの主要構成例を示す模式図である。実施形態のセンサ部50Aは、第2基板3Aに設けられた、駆動電極COML及びタッチ検出電極TDLにより構成されている。なお、駆動電極COMLは、第1基板2Aに設けられていてもよい。その場合、駆動電極COMLは、例えば画素電極92の背面側に画素電極92及び回路層90と絶縁されて積層される。
【0124】
複数の駆動電極COMLは、各々がH方向に延出し、複数のストライプ状の電極パターンを形成している。タッチ検出動作を行う際は、各駆動電極COMLに上述のドライバ回路によって駆動信号Vcomが順次供給され、時分割的に線順次走査駆動が行われるようになっている。複数のタッチ検出電極TDLは、各々がV方向に延出し、ストライプ状の電極パターンを形成している。タッチ検出電極TDLは、Z方向において、駆動電極COMLと対向している。タッチ検出電極TDLの各電極パターンは、検出回路55と同様に静電容量の変化に基づいたタッチ検出を行う回路にそれぞれ接続されている。駆動電極COMLとタッチ検出電極TDLにより互いに交差した電極パターンは、その交差部分に静電容量を生じさせる。当該静電容量は、いわゆる相互静電容量である。
【0125】
センサ部50Aでは、タッチ検出動作を行う際、上述のドライバ回路が駆動電極ブロックとして時分割的に線順次走査するように駆動することにより、駆動電極COMLの1検出ブロックが順次選択される。また、センサ部50Aでは、タッチ検出電極TDLからタッチ検出信号Vdetを出力することにより、1検出ブロックのタッチ検出が行われる。駆動電極COMLとタッチ検出電極TDLとが交差した電極パターンは、静電容量式タッチセンサをマトリックス状に構成している。よって、表示領域AAの表示面全体にわたって筐体FL等の外部の物体の近接又は接触が生じた位置の検出が可能となっている。変形例3におけるセンサ部50Aは、
図2を参照して説明した検出電極51,52,53,54を備えるような実施形態1のセンサ部50に代えて設けられる。
【0126】
画素電極92、駆動電極COML及びタッチ検出電極TDLはITOで例示される透光性導電材料で形成された透光性を有する電極である。変形例3では、
図18に示すように、バックライトBLが光UV及び可視光VLを背面側から液晶表示パネルPBに照射する。
【0127】
図21は、バックライトBLの構成例を示す平面図である。
図21に示すように、変形例3のバックライトBLは、H方向×V方向にm×nの分割領域に分けられている。
図21では、H方向の分割を座標H1,H2,…,Hmで示し、V方向の分割を座標V1,V2,…,Vnで示している。各分割領域は、1つ以上の殺菌灯400と、1つ以上の可視光源350と、を備える。殺菌灯400は、紫外線照射部40が備える殺菌灯と同様、点灯することで光UVを発する。可視光源350は、可視光照射部35が備える可視光源と同様、点灯することで可視光VLを発する。
図21では、1つの分割領域にH方向×V方向に3×2となるよう配置された6つの可視光源350と、H方向×V方向に1×2となるよう配置された2つの殺菌灯400とが設けられているが、これは殺菌灯400及び可視光源350の配置例であってこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。
【0128】
変形例3では、センサ部50Aが外部の物体を検出したH-V平面視点での位置に重なる分割領域の殺菌灯400を点灯させる。また、変形例3では、変形例2と同様の考え方で、殺菌灯400が点灯している分割領域と同一の分割領域に配置されている可視光源350からの可視光VLの照射量を他の分割領域に比して少なくするようにしてもよい。
【0129】
以上、変形例3によれば、液晶表示パネルPBのディスプレイ部DPは、透過型の液晶表示パネルであり、ディスプレイ部DPの背面側から可視光を照射するバックライトBLを備える。これによって、透過型の液晶表示パネルを備える表示装置100Bでも紫外線照射量を増減可能になる。
【0130】
なお、変形例3では、センサ部50Aとディスプレイ部DPとが一体的に設けられたいわゆるインセル方式のパネルが採用されているが、相互静電容量方式のセンサ部50Aの具体的な形態はこれに限られるものでない。センサ部50Aとディスプレイ部DPとが個別に駆動電極COMLを備え、各々が独立したパネルとして設けられるいわゆるオンセル方式であってもよい。
【0131】
また、上述の説明では、殺菌装置1のような殺菌装置が設けられる表示パネルが自発光型の表示パネル、反射型の液晶表示パネル又は透過型の液晶表示パネルである場合を例示したが、表示パネルはこれらに限られるものでない。例えば、半透過型の液晶表示パネル又は電気泳動素子等を有する電子ペーパー型表示装置等、あらゆるフラットパネル型の表示パネルを採用可能である。また、中小型から大型まで、特に限定することなく適用が可能であることは言うまでもない。
【0132】
また、殺菌装置1のような殺菌装置が設けられる構成は表示パネルに限られない。殺菌装置1は、筐体FL等の外部の物体の近接又は接触によって殺菌の必要性が生じるあらゆる構成において採用可能である。
【0133】
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本開示によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0134】
1 殺菌装置
35 可視光照射部
40 紫外線照射部
50 センサ部
60 制御部
P 表示パネル
PA,PB 液晶表示パネル