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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】物品の回転支持装置
(51)【国際特許分類】
   C25D 17/16 20060101AFI20241003BHJP
   C25D 17/20 20060101ALI20241003BHJP
   C25D 21/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C25D17/16 B
C25D17/20 Z
C25D21/00 B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020191937
(22)【出願日】2020-11-18
(65)【公開番号】P2022080720
(43)【公開日】2022-05-30
【審査請求日】2023-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100156177
【弁理士】
【氏名又は名称】池見 智治
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 直行
(72)【発明者】
【氏名】神戸 渉吾
(72)【発明者】
【氏名】福島 渉
(72)【発明者】
【氏名】高橋 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】上村 龍一
【審査官】石岡 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-129392(JP,A)
【文献】特開平10-081984(JP,A)
【文献】特開平04-310344(JP,A)
【文献】特開2013-075246(JP,A)
【文献】実開昭63-173386(JP,U)
【文献】特開2003-293191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D1/00-21/22
C23F1/00-17/00
C23G1/00-5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が出し入れされる開口と、前記開口に連なる収容空間とが形成され、前記収容空間に収容された前記物品が載置され、前記収容空間に収容された前記物品に対して、前記開口に向かう方向と前記開口から離れる方向となる収容空間奥側方向に移動することを許容したうえで、前記開口に向かう方向と前記収容空間奥側方向以外の前記物品の移動を規制する規制面が形成される載置部と、
前記収容空間奥側方向に対して垂直に設けられ、前記収容空間奥側方向への前記物品の移動を規制する奥側規制部と、
前記載置部の前記開口を水平方向一方側に向けた初期状態から、前記開口を上方に向けた上向き状態、前記開口を水平方向他方側に向けた反対向き状態、前記開口を下方に向けた下向き状態を順次経て前記初期状態に戻るように、前記載置部の開口から離れた位置に設定されて水平方向に延びる所定の回動軸線周りに、前記載置部を360度以上回転可能に支持する回転支持部と、
前記載置部の姿勢変化に応じて、自重によって、前記載置部が前記初期状態から前記上向き状態へと移行する間に前記開口を開放する退避姿勢に変位し、前記載置部が前記上向き状態から前記下向き状態へと移行する間に前記開口を塞ぐ突出姿勢に変位可能に前記載置部に支持されるストッパであって、前記開口に向かう前記物品の移動によって前記物品と係合して、前記開口を塞ぐ状態を維持するストッパと、
を備える物品の回転支持装置。
【請求項2】
請求項1記載の物品の回転支持装置であって、
前記ストッパは、前記載置部が前記上向き状態から前記反対向き状態に移行する間に自重によって前記突出姿勢に変位し、前記載置部が前記反対向き状態から前記下向き状態に移行する間に、前記開口に向う前記物品の移動によって前記物品と係合し、この係合状態が、前記載置部が前記初期状態に戻るまで継続し、前記載置部が前記初期状態から前記上向き状態に移行する間に、前記収容空間奥側方向への前記物品の移動によって前記物品との係合が解除されて、自重によって前記退避姿勢に変位する、物品の回転支持装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の物品の回転支持装置であって、
前記載置部が前記上向き状態から前記反対向き状態に移動する間に、水平方向における、前記退避姿勢における前記ストッパの重心の位置が、前記収容空間の前記奥側から前記開口側に移動することによって、前記ストッパが前記退避姿勢から前記突出姿勢に変位し、
前記ストッパが前記物品に係合した状態で、前記載置部が前記初期状態から1周を超えて前記上向き状態に移動する間に、前記収容空間奥側方向への前記物品の移動によって
前記物品との係合が解除され、かつ、水平方向における、前記突出姿勢における前記ストッパの重心の位置が、前記収容空間の前記開口から前記奥側に移動することによって、前記ストッパが前記突出姿勢から前記退避姿勢に変位する、物品の回転支持装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の物品の回転支持装置であって、
前記ストッパは、支軸部周りに両方向に回転可能に支持された長尺状の基部と、前記基部の先端部から前記基部と交差する方向に延びる受部と、前記受部の先端部から前記支軸部側に突出する返り部とを含み、前記突出姿勢で前記受部が前記収容空間内の前記物品が前記開口に向う方向へ延長された領域に突出して前記収容空間から出る物品に接触すると共に、前記返り部が前記基部とは反対側から前記物品に係合する、物品の回転支持装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の物品の回転支持装置であって、
前記物品を前記載置部に挿入する際に前記載置部を前記初期状態に保ち、前記初期状態から、前記上向き状態、前記反対向き状態及び前記下向き状態を経て前記初期状態に戻るように、前記載置部を1回転以上回転させ、さらに、前記載置部を、前記初期状態を超えて回転させた後前記初期状態に戻す、回転機構部をさらに備える、物品の回転支持装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の物品の回転支持装置であって、
前記ストッパが前記所定の回動軸線方向に間隔をあけて複数設けられている、物品の回転支持装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の物品の回転支持装置であって、
前記載置部は、その開口から前記奥側に向かう少なくとも1つのガイドレールを含む、物品の回転支持装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の物品の回転支持装置であって、
前記ストッパが前記突出姿勢から前記退避姿勢に姿勢変更した状態で、前記ストッパに接触する退避姿勢側位置規制部材をさらに備える物品の回転支持装置。
【請求項9】
請求項8に記載の物品の回転支持装置であって、
前記退避姿勢側位置規制部材が前記載置部を構成する強度部材を兼ねる、物品の回転支持装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1つに記載の物品の回転支持装置であって、
前記物品は、作業対象物と、前記作業対象物が載置されるトレイとを含み、前記ストッパは前記突出姿勢で前記トレイに接触する、物品の回転支持装置。
【請求項11】
請求項10に記載の物品の回転支持装置であって、
前記トレイに、前記ストッパと係合可能な凸部が設けられている、物品の回転支持装置。
【請求項12】
請求項10又は請求項11に記載の物品の回転支持装置であって、
前記トレイは、高さが異なる複数種類のトレイを含み、
前記物品の高さに応じて前記複数種類のトレイから選択された種類のトレイ上に前記物品が載置されて、前記収容空間に収容される、物品の回転支持装置。
【請求項13】
請求項1から請求項11のいずれか1つの記載の物品の回転支持装置であって、
前記載置部は、前記初期状態において前記物品が載置される載置支持部と、前記載置支持部に対して前記収容空間を隔てて対向する天井部とを含み、
前記載置支持部と前記天井部のうちの少なくとも一方が、前記載置支持部と前記天井部との間隔を変更可能に支持される、物品の回転支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、物品を保持して回転させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、保持した品物を回転させるバレルを開示している。バレルには、出入口の方向に開放する収納部が設けられている。特許文献1に開示の技術では、収納部が水平姿勢とされた状態で、収納部に品物が収納される。その状態から、品物がバレルの出入り口に向けて、重力によって滑り出さない角度範囲(180度)でバレルを回転させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-129392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物品の処理として、さらに回転範囲を増やすことが望まれる場合がある。
【0005】
特許文献1に開示の技術によると、バレルが上記回転方向において180度を超えた場合、品物が収納部から出てしまう可能性がある。
【0006】
そこで、本開示は、回転範囲を拡大できる物品の回転支持装置を提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、物品の回転支持装置は、物品が出し入れされる開口と、前記開口に連なる収容空間とが形成され、前記収容空間に収容された前記物品が載置され、前記収容空間に収容された前記物品に対して、前記開口に向かう方向と前記開口から離れる方向となる収容空間奥側方向に移動することを許容したうえで、前記開口に向かう方向と前記収容空間奥側方向以外の前記物品の移動を規制する規制面が形成される載置部と、前記収容空間奥側方向に対して垂直に設けられ、前記収容空間奥側方向への前記物品の移動を規制する奥側規制部と、前記載置部の前記開口を水平方向一方側に向けた初期状態から、前記開口を上方に向けた上向き状態、前記開口を水平方向他方側に向けた反対向き状態、前記開口を下方に向けた下向き状態を順次経て前記初期状態に戻るように、前記載置部の開口から離れた位置に設定されて水平方向に延びる所定の回動軸線周りに、前記載置部を360度以上回転可能に支持する回転支持部と、前記載置部の姿勢変化に応じて、自重によって、前記載置部が前記初期状態から前記上向き状態へと移行する間に前記開口を開放する退避姿勢に変位し、前記載置部が前記上向き状態から前記下向き状態へと移行する間に前記開口を塞ぐ突出姿勢に変位可能に前記載置部に支持されるストッパであって、前記開口に向かう前記物品の移動によって前記物品と係合して、前記開口を塞ぐ状態を維持するストッパと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
この物品の回転支持装置によると、回転範囲を拡大できる物品の回転支持装置を提示できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る物品の回転支持装置を示す概略側面図である。
図2】物品の回転支持装置を示す概略正面図である。
図3図2のIII-III線における概略断面図である。
図4】ストッパ部分の拡大図概略側面図である。
図5】物品の回転支持装置の動作を示す説明図である。
図6】変形例に係る物品の回転支持装置を示す概略断面図である。
図7】他の変形例に係る物品の回転支持装置を示す概略側面図である。
図8】変形例に係るストッパを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係る物品の回転支持装置について説明する。図1は物品の回転支持装置30を示す概略側面図である。図2は同物品の回転支持装置30を示す概略正面図である。図3図2のIII-III線における概略断面図である。
【0011】
物品の回転支持装置30は、物品10を回転可能に支持する装置である。一例として、物品10は、めっきされる物品である。物品10がめっき処理される前に、当該物品10に対して前処理が施される。前処理は、例えば、脱脂洗浄工程、酸洗い工程、水洗い工程等である。各洗浄工程において、物品10が処理液に浸漬された状態で回転されることで、洗浄が促進され得る。また、物品10が洗浄液から取出された状態で、物品10が回転されることで、物品10から洗浄液が落下除去される。これにより、洗浄液の持出し、前工程の洗浄液が次工程の洗浄液に持込まれること等が抑制される。本回転支持装置30は、例えば、物品10を、洗浄液内で又は洗浄液から取出された状態で、回転させる設備として用いられる。
【0012】
本実施形態では、物品10が、作業対象物12と、トレイ20とを含む例が説明される。作業対象物12は、例えば、上記したように、めっきされるめっき対象物である。トレイ20は、作業対象物12が載置される物であり、作業対象物12を安定して支える役割を果す。作業対象物12は、トレイ20上に載置された状態で、回転支持装置30における載置部40にセットされる。
【0013】
物品の回転支持装置30は、載置部40と、奥側規制部60と、回転支持部80と、ストッパ70とを備える。
【0014】
載置部40は、物品10を載置状態で支持する部分である。載置部40内における物品10の収容空間48は、載置部40の外側空間と連通している。載置部40は、回転支持部80によって回転可能に支持されている。載置部40が回転することによって、載置部40内の物品10は、載置部40の外側の気体又は液体に曝された状態で回転することができる。
【0015】
載置部40は、開口47を有しており、物品10は、当該開口47を通って載置部40内の収容空間48内に収容される。奥側規制部60は、収容空間48の奥側に設けられている。開口47を通じて収容空間48内に収容される物品10は、奥側規制部60に接触することで、収容空間48の奥側に抜出ないように保持される。
【0016】
ストッパ70は、載置部40の回転に伴う姿勢変化に応じて、開口47を開放する状態と塞ぐ状態とに切り替る部分である。また、ストッパ70は、載置部40の姿勢変化による物品10の移動によって、当該物品10と係合して、開口47を塞ぐ状態を維持する。
【0017】
すなわち、開口47が重力に対して垂直な水平方向を向いた初期状態で、物品10が開口47を通って収容空間48内に収容されるとする。この状態で、載置部40が回転し、開口47が下方を向くと、物品10が開口47を通じて脱落してしまう。そこで、載置部40が初期状態から開口47を下方に向けるまで回転するまでの間に、水平方向におけるストッパ70の支点とストッパ70の重心位置との相対的位置関係が変動することを利用して、ストッパ70が変位して開口47を塞ぐ状態に切り替るようにする。
【0018】
また、ストッパ70が開口47を塞いだ状態で、載置部40がさらに回転すると、水平方向におけるストッパ70の支点とストッパ70の重心位置との相対的位置関係が上記初期状態に戻って、ストッパ70が開口を開放させる状態に変位しようとする。そこで、ストッパ70が開口47を塞いだ状態で、載置部40の回転によって物品10が自重によって開口47側に移動することを利用して、ストッパ70を物品10に係合させて、ストッパ70が開口47を塞いだ状態を維持するようにする。
【0019】
これにより、モータ、流体シリンダ等のアクチュエータを用いることなく、ストッパを変位させて物品10が載置部40から出ないように保つことができる。
【0020】
より具体的には、載置部40は、2つの板部42と、載置支持部46と、天井部50とを備える。
【0021】
板部42は、板状の部材であり、本実施形態では、円板状に形成されている。板部42は、円板状でなくてもよく、多角形状(四角形状等)でもよい。2つの板部42は、間隔をあけて対向するように配置される。板部42の外面の中央部には、回転支持部80によって回転可能に支持される軸部43が設けられている。
【0022】
載置支持部46は、物品10を載置状に支持可能な棚状部分である。載置支持部46は、板であってもよいし、線状部材又は棒状部材を同一平面に沿って並列状態又は交差するように並べた部分であってもよい。本実施形態では、載置支持部46は、複数の棒状部46aと、複数の載置ガイドレール46bと、2つの横ガイドレール46cとを備える。本実施形態の構成だと、洗浄工程等で液体に回転支持装置30を浸漬する場合、液体の落下除去に有利となる。
【0023】
複数(ここでは4本)の棒状部46aは、2つの板部42の間に掛渡すように設けられている。棒状部46aの端部は、板部42に対して一定位置に固定される。板部42に対する棒状部46aの端部の固定構造は任意である。例えば、棒状部46aの端部は、板部42に対してネジ止固定されていてもよいし、板部42に形成された凹部に嵌込固定されていてもよい。複数の棒状部46aの端部の全てが板部42に固定されてもよい。複数の棒状部46aは、載置ガイドレール46b又は横ガイドレール46cを介して連結されるので、複数の棒状部46aの端部の一部が板部42に固定されてもよい。複数の棒状部46aは、同一平面に沿って間隔をあけて並列配置されている。本実施形態では、複数の棒状部46aが並ぶ方向の一方側に開口47が設けられる。載置部40における奥側とは、複数の棒状部46aが並ぶ方向の他方側である。開口47に対して奥側に、収容空間48が設けられる。
【0024】
複数の載置ガイドレール46bが、複数の棒状部46aが並ぶ方向に沿って、複数の棒状部46a同士を連結するように設けられる。載置ガイドレール46bは、複数(ここでは4本)の棒状部46aに対して、当該棒状部46aが並ぶ平面に直交する一方側(ここでは板部42の中心軸側)に突出している。載置ガイドレール46bのうち当該突出部分は、複数の棒状部46aが並ぶ方向に沿って延在する、即ち、開口47から奥側に向う細長板状に形成されている。複数の載置ガイドレール46bは、複数の棒状部46aの長手方向中央に設けられた載置ガイドレール46bと、その両側に設けられた2つの載置ガイドレール46bとを含む。開口47を通じて載置支持部46上に載置された物品10は、複数の載置ガイドレール46b上を滑って奥側に移動し、又は、逆に、奥側から開口47側に移動することができる。
【0025】
2つの横ガイドレール46cは、複数の載置ガイドレール46bの両側外側に設けられる。横ガイドレール46cは、複数の棒状部46aが並ぶ方向に沿って、複数の棒状部46a同士を連結するように設けられる。横ガイドレール46cは、当該棒状部46aが並ぶ平面に直交する一方側(ここでは板部42の中心軸側)に向けて、載置ガイドレール46bよりも大きく突出している。横ガイドレール46cのうち当該突出部分は、複数の棒状部46aが並ぶ方向に沿って延在し、開口47から奥側に向う細長板状に形成されている。横ガイドレール46cのうち開口47側の部分は、開口に向うに連れて外側(板部42側)に向う挿入ガイド部に形成されている。
【0026】
物品10が開口47内に入れられる際に、物品10が横ガイドレール46cのうちの挿入ガイド部に接触することで、物品10が2つの横ガイドレール46cの間に誘い込まれる。物品10が複数の載置ガイドレール46b上に載置された状態で、2つの横ガイドレール46cが物品10の両側外面に接触する。このため、物品10は、両側部が2つの横ガイドレール46cによって位置規制された状態で、開口47から奥側へ移動し、また、逆に移動することができる。なお、横ガイドレール46cが省略され、板部42によって物品10の横方向への移動が規制されてもよい。
【0027】
天井部50は、載置支持部46に対して収容空間48を隔てて対向する部分である。収容空間48のうち載置支持部46と天井部50との間隔寸法は、物品10の高さ寸法に応じて設定される。例えば、載置支持部46と天井部50との間隔寸法は、物品10の高さ寸法と同じであってもよいし、物品10の高さ寸法に対してトレイ20からの作業対象物12の脱落を抑制できる程度の余裕寸法(例えば、5cm以下、好ましくは、2cm以下又は1cm以下)を付加した寸法以下であってもよい。
【0028】
天井部50は、載置支持部46から隔てた位置で、物品10が載置支持部46から脱落しないように支持できる形状であれば、特にその形状は限定されない。天井部50は、例えば、板であってもよいし、線状部材又は棒状部材を同一平面に沿って並列状態又は交差するように並べた部分であってもよい。
【0029】
本実施形態では、天井部50は、載置支持部46と同様に、複数の棒状部46aに対応する複数の棒状部50aと、複数の載置ガイドレール46bに対応する複数の天井側ガイドレール50bとを備える。
【0030】
天井部50が、載置支持部46に対して間隔をあけた位置に、当該載置支持部46と平行な姿勢で、板部42に固定される。これにより、載置支持部46と天井部50との間に、収容空間48が設けられる。収容空間48は、2つの板部42の間に設定される。収容空間48は、2つの横ガイドレール46cの間に設定されると把握されてもよい。
【0031】
載置支持部46及び天井部50のうちの少なくとも一方は、載置支持部46と天井部50との間隔を変更可能に支持されていてもよい。この場合の変形例が後に説明される。
【0032】
載置支持部46及び天井部50のうちの少なくとも一方は、板部42に支持されている必要は無い。例えば、載置支持部46の周り(板部42の外周部)に連結支持棒49aが設けられている。連結支持棒49aの両端部は、2つの板部42に固定されている。板部42に対する連結支持棒49aの固定構造は、任意である。例えば、連結支持棒49aの端部は、板部42に対してネジ止固定されていてもよいし、板部42に形成された凹部に嵌込固定されていてもよい。載置支持部46は、当該連結支持棒49aによって支持されていてもよい。また、例えば、天井部50の周り(板部42の外周部)に連結支持棒49bが設けられている。連結支持棒49aと同様に、連結支持棒49bの両端部は、2つの板部42に固定されている。天井部50は、当該連結支持棒49bによって支持されていてもよい。
【0033】
本載置部40では、上記開口47を通じて物品10が出し入れされる。載置部40と天井部50との間に開口47に連なる収容空間48が形成される。物品10は、開口47を通じて収容空間48内に収容され、載置支持部46上に載置される。また、載置支持部46上の物品10は、開口47を通じて外に取出される。収容空間48内において、物品10は、開口47側に向う方向に移動することができ、かつ、開口47から離れる方向、即ち、収容空間48の奥側方向に移動することができる。この際、開口に向う方向及び収容空間48の奥側方向以外への物品10の移動は、複数の載置ガイドレール46bのうち収容空間48側の面と、複数の天井側ガイドレール50bのうち収容空間48側の面と、2つの横ガイドレール46cのうち収容空間48側の面とを含む規制面40fによって規制される。
【0034】
上記収容空間48における奥側の位置に奥側規制部60が設けられる。奥側規制部60は、収容空間48の奥側方向に対して垂直に設けられており、収容空間48の奥側への物品10の移動を規制する。ここで、奥側規制部60が収容空間48の奥側方向に対して垂直に設けられるとは、奥側規制部60が収容空間48の奥側方向に対して垂直成分を含む方向に突出して物品10の奥側への移動を規制する状態となっていることを意味している。このため、例えば、奥側規制部60が奥側方向に対して斜めに突出していたとしても、当該奥側規制部60が奥側で物品10に当接可能であれば、奥側規制部60が収容空間48の奥側方向に対して垂直に設けられる場合に含まれる。
【0035】
本実施形態では、両側の載置ガイドレール46bのうちの奥側端部から天井部50に向けて奥側規制部60が立設されている。つまり、奥側規制部60は、収容空間48の奥側に複数(ここでは2つ)設けられる。物品10が収容空間48内を奥側に移動すると、当該複数(2つ)の奥側規制部60が物品10に接触して、物品10の奥側への移動を規制する。
【0036】
奥側規制部の構成例は上記例に限られない。奥側規制部は、天井部50の奥側部分から載置支持部46に向けて突出するように設けられてもよい。奥側規制部は、収容空間48の奥側の位置を通過するように、2つの板部42の間に掛渡された棒状部分であってもよい。
【0037】
載置部40は、回転支持部80によって360度以上回転可能に支持されている。回転支持部80は、例えば、2つの回転支持板部82を含む。2つの回転支持板部82は、間に載置部40を配置可能な間隔をあけて対向配置される。2つの回転支持板部82の下端部には、板部42の軸部43を回転可能に支持する軸受部83が設けられる。軸受部83は、水平方向に沿って対向した位置に設けられている。2つの軸受部83の中心軸は一致しており、水平方向に沿って延びている。また、2つの軸部43の中心軸Xは一致しており、開口47から離れた位置、より具体的には、開口47から奥側に離れた位置に設定される。このため、2つの板部42の軸部43のそれぞれが、2つの回転支持板部82の軸受部83によって回転可能に支持されることによって、載置部40が、載置部40の開口47から離れた位置に設定されて水平方向に延びる所定の回動軸(回転軸線)X周りに、360度以上回転可能に支持される。
【0038】
ここで、天井部50を載置支持部46の上方に配置した状態で、開口47が水平方向の一方側を向いている状態を初期状態とする(図1参照)。初期状態では、物品10は、開口47を通じて収容空間48内に収容されて載置支持部46上に載置される。この初期状態から載置部40が中心軸X周りに回転し、開口47を上方に向けた状態を上向き状態とする。また、載置部40がさらに回転し、開口47を水平方向の他方側に向けた状態を反対向き状態とする。この状態では、天井部50は、載置支持部46の下側に位置する状態となる。載置部40がさらに回転し、開口47を下方に向けた状態を下向き状態とする。載置部40は、初期状態から上向き状態、反対向き状態、下向き状態を経て初期状態に戻るように回転する。
【0039】
上記載置支持部46は、移動機構部88によって移動可能に支持されていてもよいし、建物の天井等に対して一定位置に支持されていてもよい。移動機構部88は、モータ等の駆動源と、ギヤ、駆動ベルト等の動力伝達機構とを含む構成であってもよい。移動機構部88は、垂直移動機構と水平移動機構の一方又は双方を含む構成であってもよい。移動機構部88が垂直移動機構を含む構成であれば、載置部40を液槽(図示省略)内の処理液に浸漬したり、処理液から取出したりする工程が容易に実施され得る。移動機構部88が水平移動機構を含む構成であれば、載置部40が、所定の処理場所(液槽)から次の処理場所(次工程の液槽)に容易に移動され得る。
【0040】
載置部40は、手動によって回転されてもよいし、モータ等を含む回転機構部90の駆動によって回転されてもよい。回転機構部90の一例について説明する。例えば、2つの載置支持部46間に掛渡すように駆動軸部92が支持されていてもよい。駆動軸部92は、2つの載置支持部46に対して軸受等を介して回転可能に支持される。一方の載置支持部46にモータ94が設けられ、モータ94の回転駆動力が駆動軸部92に伝達される。駆動軸部92に対して中継ギヤ93が固定される。中継ギヤ93は、駆動軸部92の長手方向において1つの板部42が設けられる位置に設けられる。1つの板部42の外周囲に中継ギヤ93のギヤ歯と噛合うギヤ歯が設けられる。そして、モータ94の回転駆動力が、駆動軸部92、中継ギヤ93を介して板部42に伝達されて、載置部40が回転することができる。モータ94の回転量、回転方向を制御することによって、載置部40の回転量、回転方向が制御される。モータ94の回転駆動力は、さらに多数のギヤを介して載置部40に伝達されてもよい。モータ94の回転駆動力は、駆動ベルトを介して載置部40に伝達されてもよい。
【0041】
モータ94は、制御ユニット96によって回転量、回転方向が制御されてもよい。制御ユニット96は、例えば、プロセッサ及び記憶部を備える。記憶部は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のコンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体を含む。記憶部には、モータ94を制御するためのプログラムが記憶されている。プロセッサが記憶部内のプログラムを実行することによってモータ94の回転量、回転方向を制御することができる。
【0042】
モータ94は、載置支持部46に設けられている必要は無い。例えば、複数のモータ94が複数の液槽のそれぞれに設けられ、載置支持部46がいずれかの液槽に移動されると、モータ94に設けられた歯車が板部42のギヤ歯に噛合う構成であってもよい。
【0043】
ここで載置部40に載置される物品10の一具体例について説明しておく。
【0044】
物品10は、作業対象物12とトレイ20とを含む。トレイ20の上面は作業対象物12の凹凸形状に応じた凹凸形状に形成されている。例えば、作業対象物12の下部に凸部が形成される場合、トレイ20の上面に当該凸部を嵌込可能な凹部が形成される。これにより、作業対象物12の下部の凹凸形状部分を、トレイ20の上面の逆凹凸形状部分に合わせるようにして、作業対象物12をトレイ20上に載置することで、作業対象物12が安定してトレイ20上に載置される。また、トレイ20の厚み寸法と作業対象物12の厚み寸法との和が、載置支持部46と天井部50との間隔寸法程度になるように、トレイ20の厚みを設定することで、収容空間48内でがたつきが少なくなるように物品10が収容空間48内に収容される。
【0045】
トレイ20の周囲の一部、より具体的には、載置支持部46上に載置された状態で開口47側の部分に凸部22が形成される。凸部22は、ストッパ70と対向する位置に設けられる。ここでは、後述するように、開口47の幅方向に沿って間隔をあけて2つのストッパ70が設けられる。このため、トレイ20の1つの側面に、間隔をあけて2つの凸部22が設けられる。凸部22は、ストッパ70が突出姿勢に変位した状態で、当該ストッパ70が係合するのに適した形状に形成される。
【0046】
載置部40は、ストッパ70を退避姿勢と突出姿勢との間で姿勢変更可能に支持する。図4にストッパ70部分の拡大図概略側面図が示される。図1図3ではストッパ70が退避姿勢とされた状態が示されている。図4において退避姿勢のストッパ70が実線で示され、突出姿勢のストッパ70が1点鎖線及び2点鎖線で示される。
【0047】
退避姿勢は、開口47を開放する姿勢である。開口47を開放するとは、物品10が開口47を通って収容空間48に対して出し入れできる状態とすることをいう。突出姿勢とは、開口47を塞ぐ姿勢である。開口47を塞ぐとは、物品10が開口47を通って収容空間48に対して出入りすることを規制することをいう。ストッパ70の全体が載置ガイドレール46bのうち収容空間48側の面より外側に変位した状態は、物品10は、開口47を通って収容空間48内に出入りできるため、退避姿勢の一例である。また、ストッパ70のすくなくとも一部が載置ガイドレール46bのうち収容空間48側の面より収容空間側に突出するように変位した状態では、開口47を通った物品10の出入りは、ストッパ70によって規制される。このため、当該状態は、突出状態の一例である。
【0048】
ストッパ70は、載置部40のうち開口47の周りにおいて揺動可能に支持されている。初期状態においては、ストッパ70は、退避姿勢となっており、物品10は、開口47を通じて収容空間48内に収容される。そして、載置部40の回転に伴う載置部40の姿勢変化に応じて、自重によってストッパ70は突出姿勢から退避姿勢に変位したり、突出姿勢から退避姿勢に変位したりすることができる。より具体的には、載置部40が初期状態から上向き状態へと移行する際に、ストッパ70が突出姿勢であれば、ストッパ70は自重によって退避姿勢へと変位することができる。また、載置部40が上向き状態から下向き状態へと移行する間に、ストッパ70は自重によって突出姿勢に変位することができる。
【0049】
物品10が収容空間48内の奥側に位置する状態では、ストッパ70は、突出姿勢と退避姿勢との間で変位することができる。ストッパ70が突出姿勢に変位した状態で、物品10が開口47側に移動すると、ストッパ70が物品10に係合する。この状態では、ストッパ70が突出姿勢から退避姿勢に変位することが妨げられ、当該ストッパ70が開口47を塞ぐ状態が維持される。
【0050】
ストッパ70の構成例についてより具体的に説明する。
【0051】
ストッパ70は、回転軸Xに平行な支軸X2を中心として揺動可能に支持されている。より具体的には、複数の棒状部46aと平行な方向に支軸部78が設けられる。支軸部78は、丸棒状に形成されており、最も開口47に近い棒状部46aとそれよりも奥側の棒状部46aとの間に設けられる。支軸部78は、中央の載置ガイドレール46bを貫通しており、支軸部78の両端部が両側の載置ガイドレール46bに嵌込構造、ネジ止等によって固定されている。ストッパ70は、支軸部78の軸心である支軸X2周りに揺動可能に支持される。
【0052】
ここでは、ストッパ70は、開口47の幅方向(中心軸X方向)に間隔をあけて複数(ここでは2つ)設けられる。より具体的には、2つのストッパ70が、中央の載置ガイドレール46bと両側の載置ガイドレール46bとのそれぞれ間に設けられる。各ストッパ70は、中央の載置ガイドレール46bよりも両側の載置ガイドレール46b寄りに設けられる。
【0053】
ストッパ70は、筒部71と、基部72と、受部73と、返り部74とを備える。筒部71は、上記支軸部78に外嵌めされており、支軸部78周りに自由に回転できる。基部72は、長尺状、ここでは、細長板状に形成されている。基部72は、筒部71の外周部の一部から筒部71の径方向外側に向けて延びる。筒部71が支軸部78周りに回転することによって、基部72は支軸部78周りに回転可能に支持される。基部72は、載置支持部46に対して収容空間48とは反対側に延出しており、当該収容空間48に対して反対側の空間で回転する。受部73は、細長板状に形成されている。受部73は、基部72の先端部から基部72と交差し(ここでは直交)、載置支持部46側に向けて延びる。基部72が載置支持部46側に変位した状態で、受部73は、載置支持部46を超えて収容空間48側に突出する。返り部74は、板状に形成されている。返り部74は、受部73の先端部から支軸部78側に突出する。上記基部72、受部73及び返り部74は、細長い金属板状部品を2箇所で折曲げることによって形成されてもよい。その他、ストッパ70は、金属棒を曲げることや、あるいは樹脂によって形成されてもよいが、金属によって形成されることで、曲げ荷重が集中する71~73の各部分の接続部の耐荷重性を向上させることができる。
【0054】
支軸部78周りにおけるストッパ70の変位範囲は次の構成によって規制される。ストッパ70が載置支持部46側に変位すると、基部72が複数の棒状部46aのうち、開口47に最も近い棒状部46aに接触する。これにより、受部73及び返り部74が収容空間48側に変位する方向への移動が規制される。つまり、当該棒状部46aは、ストッパ70の突出姿勢範囲を規制している。
【0055】
また、載置支持部46に対して収容空間48とは反対側に、連結支持棒49aが設けられる。より具体的には、支軸部78に対して収容空間48とは反対側に離れた位置に連結支持棒49aが設けられる。ストッパ70が収容空間48から離れる側に変位すると、基部72が連結支持棒49aに接触する。これにより、ストッパ70の受部73及び返り部74が収容空間48から離れる方向へ移動することが規制される。つまり、連結支持棒49aは、ストッパ70が突出姿勢から退避姿勢に姿勢変更した状態で、ストッパ70に接触する退避姿勢側位置規制部材としての役割を果す。上記したように、連結支持棒49aは、2つの板部42を連結しているため、2つの板部42を含む載置部40を一定の形状に保つ強度部材を兼ねている。
【0056】
ストッパ70の変位動作についてより具体的に説明する。図4においてストッパ70が収容空間48から離れるように変位した退避姿勢が実線で示される。この状態では、ストッパ70は連結支持棒49aに接触している。ストッパ70が収容空間48側に向けて最も大きく変位した状態が1点鎖線で示される。上記したように、この状態では、ストッパ70が開口47側の棒状部46aに接触する。ストッパ70が1点鎖線で示された状態からわずかに戻って物品10に係合した状態が2点鎖線で示される。1点鎖線で示されるストッパ70も、2点鎖線で示されるストッパ70も、開口47を上記した意味で塞いでいるので、突出姿勢である。便宜上、1点鎖線で示す状態を最突出姿勢、2点鎖線で示す状態を係合姿勢と表現する場合がある。
【0057】
退避姿勢では、ストッパ70の全体が、載置支持部46のうち収容空間48側の載置面が存在する面に対して、収容空間48から離れる側に位置する。このため、ストッパ70は、開口47を通じた物品10の出し入れを規制しない。
【0058】
突出姿勢では、受部73及び返り部74が、収容空間48内の物品10が開口47に向う方向へ延長された領域に突出する。収容空間48内の物品10が開口47に向う方向へ延長された領域とは、載置支持部46のうち収容空間48側の載置面が存在する面よりも天井部50側の領域である。つまり、受部73及び返り部74は、載置支持部46のうち収容空間48側の載置面が存在する面を超えて、収容空間48側に突出する。この状態では、受部73は収容空間48から開口47を経て出ようとする物品10に接触することができる。また、突出姿勢では、返り部74は、物品10の一部、より具体的には、トレイ20の凸部22を越えて天井部50側に位置する。最突出姿勢において、物品10が開口47に移動すると、返り部74と載置支持部46との間に凸部22が入り込んだ状態となる。この状態で、ストッパ70が退避姿勢に戻ろうとすると、返り部74が基部72とは反対側から凸部22に係合し、係合姿勢となる。これにより、ストッパ70が物品10に係合した状態が保たれ、収容空間48からの物品10の脱出が規制される。
【0059】
中心軸Xに沿って観察した場合において、ストッパ70が揺動する支軸X2と、ストッパ70の重心との関係は次のように設定されている。下記では、水平方向における支軸X2とストッパ70の重心との位置関係が説明される。
【0060】
載置部40が上向き状態から反対向き状態に移動する途中で、退避姿勢におけるストッパ70の重心の位置が、支軸X2に対して、収容空間48の奥側から開口47側に移動するように設定される。このため、載置部40が上向き状態でストッパ70が退避姿勢であるとして、載置部40がさらに反対向き状態に向けて回転すると、ストッパ70は突出姿勢に変位することがでる。
【0061】
また、載置部40が初期状態から上向き状態に移動する間において、突出姿勢におけるストッパ70の重心の位置が、支軸X2に対して、開口47側に位置するように設定される。このため、初期状態において、突出姿勢のストッパ70が物品10に係合していたとしても、載置部40が上向き状態に向けて移動する途中に、ストッパ70と物品10との係合が解除されれば、ストッパ70が突出姿勢から退避姿勢に変位することができる。
【0062】
本物品10の回転支持装置30の全体動作について説明する。図5は載置部40が初期状態から上向き状態、反対向き状態、下向き状態を経て初期状態に戻り、初期状態からさらに予備回転をした後、初期状態に戻る動作を示す説明図である。なお、載置部40の回転は、制御ユニット96によって制御されるモータ94によって動作制御される。
【0063】
まず、物品10が載置部40に挿入される際、モータ94の静止によって載置部が初期状態に保たれる(状態(a)参照)。この状態では、載置支持部46は水平状態となっており、また、開口47は水平方向一方側を向いて開口している。この状態では、ストッパ70は、自重によって退避姿勢に変位しており、従って、開口47はストッパ70によって塞がれず開口している。物品10は、水平方向に沿って移動し、開口47を通って収容空間48内に収容され、載置支持部46に載置される。
【0064】
モータ94によって載置部40が初期状態から上向き状態に向けて回転する。その途中において、載置支持部46は、奥側を開口47よりも下方に位置させるように傾くので、載置支持部46上の物品10は自重によって奥側に移動する(状態(b)参照)。載置部40が上向き状態となると、物品10は奥側規制部60に接し、収容空間48内の奥に位置する状態となる(状態(c)参照)。
【0065】
モータ94によって載置部40が上向き状態から反対向き状態に向けて回転する。その途中で、ストッパ70は、自重によって突出姿勢に変位する(状態(d)参照)。すなわち、上記したように、載置部40が上向き状態から反対向き状態に移動する際に、水平方向における、退避姿勢のストッパ70の重心位置が、支軸X2に対して奥側から開口47に移動する。これにより、ストッパ70が退避姿勢から突出姿勢に変位する。ストッパ70が突出姿勢を保ったまま反対向き状態に回転する(状態(e)参照)。
【0066】
モータ94によって載置部40が反対向き状態から下向き状態に向けて回転する。その途中で、天井部50は、開口47を奥側よりも低く位置させるように、傾斜した状態となり、物品10は、その天井部50上に支持された状態となる(状態(f)参照)。物品10は、天井部50上を滑って開口47側に向けて移動する。ストッパ70は、突出姿勢に保たれているので、物品10はストッパ70の受部73に接触する。また、ストッパ70の返り部74は、天井部50側からトレイ20の凸部22に係合可能な状態となる。このように、物品10の移動によって、ストッパ70がトレイ20の凸部22と係合する。このため、物品10が、開口47から外部に脱落することが抑制される。載置部40が下向き状態となっても、ストッパ70と物品10との係合状態が保たれており、物品10の脱落が抑制される(状態(g)参照)。
【0067】
モータ94によって載置部40が下向き状態から初期状態に向けて回転する。上記係合状態は、載置部40が初期状態に戻るまで継続する。このため、載置部40が下向き状態と初期状態との間にある状態においても、物品10が開口47から脱落することが抑制されている(状態(h)参照)。
【0068】
載置部40が初期状態に戻っても、ストッパ70と物品10との係合状態は維持されている(状態(i)参照)。必要性に応じて、載置部40は、上記回転を繰返してもよい。すなわち、載置部40は、初期状態を基準として、n回(nは整数)回転を繰返してもよい。
【0069】
載置部40が1回転以上回転した後、初期状態を超えてさらに回転する。載置部40が初期状態から上向き状態に回転する間に、物品10は、載置支持部46上に載置された状態となる。載置支持部46は、開口47を奥側より高く位置させた傾斜状態となる。このため、物品10は、自重によって、奥側規制部60に接するまで奥側に移動する。これにより、ストッパ70と物品10との係合が解除される(状態(j)参照)。載置部40を複数回回転させる場合には、モータ94は、載置部40を続けて上向き状態、反対向き状態、下向き状態を経るように回転させるとよい。
【0070】
載置部40の回転を終了させる場合には、モータ94は、載置部40を、初期状態を超えて回転させて、ストッパ70と物品10との係合を解除した後、載置部40を逆方向に回転させて、初期状態に戻すとよい。載置部40を、初期状態を超えて回転させた後、初期状態に戻すと、ストッパ70と物品10との係合が解除され、ストッパ70は、退避姿勢に変位している(状態(k)参照)。このため、物品10は、ストッパ70が邪魔にならずに、開口47を通って収容空間48から外部に容易に取出される。
【0071】
このように構成された物品10の回転支持装置30によると、物品10が載置部40に載置されていない初期状態において、ストッパ70が退避姿勢に変位している。このため、ストッパ70が邪魔にならずに、物品10を載置部40内に容易に収容できる。そして、載置部40を回転させると、ストッパ70が突出姿勢に変位して、物品10に係合するようになる。これにより、載置部40が下方を向いても物品10が載置部40から脱落することが抑制される。
【0072】
より具体的には、ストッパ70は、上向き状態から反対向き状態に移行する間に自重によって突出姿勢に変位し、反対向き状態から下向き状態に移行する間に、物品10の移動によって物品10と係合し、この係合状態が初期状態に戻るまで継続することによって、物品10の脱落が抑制される。これにより、物品10を360度以上回転させる場合において、物品10の脱落がより確実に抑制される。
【0073】
このように、上記ストッパ70の姿勢変更及びストッパ70と物品10との係合及び係合解除は、ストッパ70の自重、物品10の自重等を利用して行われる。より具体的には、載置部40の回転によって、ストッパ70の支軸X2に対してストッパ70の重心の位置関係が変動することを利用して、ストッパを退避姿勢に又は突出姿勢に変位させる。仮に、ストッパを姿勢変更するためのアクチュエータを載置部に組込むと、構成が複雑化すると共に、処理液に対するアクチュエータの腐食抑制対策を行う必要が生じる。本回転支持装置30では、そのようなアクチュエータを組込む必要が無く、構成の簡易化、腐食対策が容易となる。
【0074】
また、上記構成によって、物品10を360度以上回転させることが容易となる。これにより、物品10を処理液内で360度を超えて十分に回転させることができるので、処理液による処理の効率化が図られる。また、物品10を処理液から出した状態で、物品10を、360度を超えて十分に回転させることによって、物品10から処理液を効果的に落すことができる。これにより、処理液の外部への持出し、複数の処理液間で前工程の処理液が次の処理液に持込まれること等が抑制される。これにより、処理液が減りにくくなり、また、濃度変更が生じ難くなる。これにより、液の管理省力化、処理の均一化等が図られる。
【0075】
また、ストッパ70は受部73の先端部に返り部74を有しており、その返り部73が物品10に係合するので、ストッパ70がより確実に物品10に引っ掛り、物品10が収容空間48から出ることが抑制される。
【0076】
また、物品10を取出す際には、載置部40を、1回転以上回転後、初期状態を超えてさらに回転させた後、初期状態に戻す。これにより、物品10が奥側に移動し、ストッパ70と物品10との係合が解除され、ストッパ70が退避姿勢に変位する。これにより、初期状態において、物品10を容易に収容空間48から取出すことができる。
【0077】
また、ストッパ70が中心軸Xに沿って間隔をあけて複数設けられている。複数のストッパ70が物品10に接触することができるため、物品10を安定して脱落しないように規制することができる。また、複数のストッパ70が存在する領域全体に1つのストッパ70を設ける場合と比較して、1つ1つのストッパ70の幅を小さくできる。これにより、例えば、載置部40が処理液中で回転する場合等に、ストッパ70の変位が処理液による流体抵抗によって妨げられ難い。これにより、ストッパ70が円滑に変位することができる。
【0078】
また、載置部40は、開口47から奥側に向うすくなくとも1つのガイドレールとして、載置ガイドレール46b、横ガイドレール46c、天井側ガイドレール50bを含む。このため、物品10は、開口47から奥側に向けて及びその逆向きに円滑に移動することができる。
【0079】
また、ストッパ70が突出姿勢から退避姿勢に姿勢変更した状態で、ストッパ70は、退避姿勢側位置規制部として開口47側の連結支持棒49aに接触する。このため、ストッパ70の退避姿勢が安定し、支軸X2に対するストッパ70の重心位置が安定する。このため、載置部40の回転に伴う、ストッパ70の退避姿勢から突出姿勢への姿勢変更動作がより確実になされる。
【0080】
上記退避姿勢側位置規制部としての連結支持棒49aは、載置部40の強度部材でもあるため、部品点数の削減を図りつつ、載置部40の強度向上及びストッパ70の退避姿勢安定化を図ることができる。
【0081】
また、物品10は、トレイ20と作業対象物12とを含み、ストッパ70は、トレイ20に接触する。このため、作業対象物12の形状に関係無く、ストッパ70をトレイ20に接触させて、物品10を安定して脱落防止することができる。
【0082】
また、トレイ20に凸部22が設けられており、ストッパ70は当該凸部22に係合する。このため、作業対象物12の形状に関係無く、物品10の一部であるトレイ20に、ストッパ70への係合に適した凸部22の形状を設けることができ、ストッパ70と物品10との係合が安定してなされる。
【0083】
本実施形態に関し、異なる高さの作業対象物12への対応に適した変形例を説明する。
【0084】
図6に示すように、載置部40と天井部50のうちの少なくとも一方が、載置支持部46と天井部50との間隔を変更可能に支持されていてもよい。図6に示す例では、天井部50における複数の棒状部50aのうち開口47に最も近い棒状部50aと最も奥側の棒状部50aとが、他の棒状部50aよりも側方に突出している。この天井部50における複数の棒状部50aのうち開口47側及び奥側の2つの棒状部50aを利用して板部42に対して一定位置に支持される。なお、図6図2のVI-VI線に対応する概略断面図である。
【0085】
板部42の内向き面に、端部支持部44が設けられる。端部支持部44は、載置支持部46に対して間隔をあけて離れた位置で、板部42にネジ止等で固定されている。端部支持部44は、開口47側に向けて開口するU字状のU字状部45を含む。U字状部45の奥側には、奥側に向けて凹む保持溝45a、45b、45cが形成されている。保持溝45a、45b、45cは、載置支持部46に対してこの順で順次離れる位置に形成される。U字状部45のうち載置支持部46側の側部45dは、保持溝45aの一側部から開口側に向けて延びている。側部45dの長手方向中間部に、載置支持部46から離れる側に突出する突出部45eが形成されている。突出部45eのうち奥側の縁は奥側に向うに連れて徐々に載置支持部46に向う曲線状に形成されている。この縁によって棒状部50aの端部が保持溝45aに向けて円滑に案内される。U字状部45のうち載置支持部46とは反対側の側部45fは、保持溝45cの一側部から開口側に向けて延びている。側部45dの開口側部分と側部45fの開口側部分との間に、中間支持部45p、45qが設けられる。側部45dと中間支持部45pとの間、中間支持部45pと中間支持部45qとの間、中間支持部45qと側部45fとの間のそれぞれに、棒状部50aの端部を配置可能な隙間が設けられる。
【0086】
そして、天井部50における奥側の棒状部50aの端部が保持溝45a内に保持されると共に、開口47側の棒状部50aの端部が側部45dと中間支持部45pとの間に保持されることで、天井部50が載置支持部46に対して第1間隔H1をあけて対向する第1位置に支持される。また、天井部50における奥側の棒状部50aの端部が保持溝45b内に保持されると共に、開口47側の棒状部50aの端部が中間支持部45p、45qの間に保持されることで、天井部50が載置支持部46に対して上記第1位置よりも大きい第2間隔H2をあけて対向する第2位置に支持される。また、天井部50における奥側の棒状部50aの端部が保持溝45c内に保持されると共に、開口47側の棒状部50aの端部が中間支持部45qと側部45fとの間に保持されることで、天井部50が載置支持部46に対して第2位置よりも大きい第3間隔H3をあけて対向する第3位置に支持される。
【0087】
なお、天井部50が上記いずれかの位置に保持された状態で、天井部50の開口47側への移動を規制するように、載置部40と天井部50とが長尺状の連結部材52によって連結されていてもよい。図6では、奥側の連結支持棒49bと開口47側の棒状部50aとが長尺状の連結部材52によって連結されている。連結部材52は、ねじりコイルばねのような弾性部材を含んでおり、少なくとも一部で弾性的に伸びた状態で、天井部50を奥側に向けて引っ張っていてもよい。これにより、天井部50と載置部40との間でもがたつきが抑制される。
【0088】
このように、天井部50が第1位置、第2位置、及び第3位置に対して選択的に保持されることで、処理対象となる物品10の高さに合わせて、載置支持部46と天井部50との間隔が調整され得る。これにより、種々高さの物品10を作業対象としても、物品10が載置支持部46と天井部50との間で大きくがたつき難くなり、安定した位置で支持され易くなる。
【0089】
図7に示すように、トレイ20として、高さが異なる複数種のトレイ20A、20B、20Cが準備されてもよい。トレイ20A、20B、20Cとしては、載置支持部46と天井部50との間隔と、作業対象物12A、12B、12Cの高さに応じた高さのものが準備される。例えば、トレイ20A、20B、20Cの高さHtと、作業対象物12A、12B、12Cの高さHwとの和が、載置支持部46と天井部50との間隔Hと同じ又は上記余裕寸法を減じた程度の大きさに設定される。
【0090】
この例によると、載置支持部46と天井部50との間隔を変更しなくても、トレイ20A、20B、20Cを変更することによって、各種高さの作業対象物12A、12B、12Cをなるべくがたつき無く、載置支持部46と天井部50との間に安定して収容できる。
【0091】
なお、回転支持装置30によって支持される物品10は、めっき対象物となる作業対象物12を含んでいなくてもよい。回転支持装置30は、各種液中又は気体中において、各種物を回転させる装置として用いられ得る。
【0092】
また、物品10は、トレイ20を含んでいる必要は無い。作業対象物12が単独で載置部40に収容されてもよい。
【0093】
上記実施形態では、基部72に対して受部73が直交する方向に連なり、受部73に対して返り部74が直交する方向に連なる例が説明されたが、それらは直交していなくてもよい。
【0094】
図6に示す変形例に係るストッパ170では、基部72の先端部に受部73に対応する受部173が連なる。受部173の基端部173aは基部72に対して直交している。受部173の先端部173bは、受部173の基端部173aに対して基部72側に鈍角をなして曲っている。返り部74に対応する返り部174は、受部173の先端部173bに対して基部72が延出する方向に鈍角をなして曲っている。ストッパ70の回転軸Xに対して垂直な面において、基部72の延長線Lに対して平行でかつ受部173と返り部174との交点を通る直線Mを考える。返り部174は、基部72とは反対側に直線Mに対して鋭角をなす方向に延在する。このため、基部72に対して返り部174は先端側に向って徐々に広がる方向に延びている。これにより、基部72に対して平行な方向に返り部74が延びている場合と比較して、返り部174の先端部が、支軸部78から大きい距離(距離S参照)離して配置される。
【0095】
これにより、ストッパ170が物品10に引っ掛かり易くなる。例えば、載置部40が上向き状態から反対向き状態に向けて回転する途中で、ストッパ170は、自重によって突出姿勢に変位する(図5(d)参照)。この際、物品10の奥側部分が載置支持部46側に残ったまま、物品10の開口側部分が天井部50に傾いた姿勢となることが考えられる。この場合、物品10の開口側部分は、載置支持部46側にあるストッパ170の支軸部78から離れてしまう。そこで、上記のように、返り部174の先端部を、基部72から離れる側に開くように延すことによって、帰り部174が物品10の引っ掛り部分(ここでは凸部22)に引っ掛り易くなる。
【0096】
なお、図8に表現された角度は、一例であって、ストッパ170の構成は図8に表現された角度に限定されない。また、図8のストッパ170は変形例として説明されたものであって、回転支持装置に備えられるストッパが当該ストッパ170である必要は無い。ストッパは、下記の第4の態様に係る構成であればよい。
【0097】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0098】
以上のように、本明細書及び図面は、下記の各態様を含んでいる。
【0099】
第1の態様は、物品が出し入れされる開口と、前記開口に連なる収容空間とが形成され、前記収容空間に収容された前記物品が載置され、前記収容空間に収容された前記物品に対して、前記開口に向かう方向と前記開口から離れる方向となる収容空間奥側方向に移動することを許容したうえで、前記開口に向かう方向と前記収容空間奥側方向以外の前記物品の移動を規制する規制面が形成される載置部と、前記収容空間奥側方向に対して垂直に設けられ、前記収容空間奥側方向への前記物品の移動を規制する奥側規制部と、前記載置部の前記開口を水平方向一方側に向けた初期状態から、前記開口を上方に向けた上向き状態、前記開口を水平方向他方側に向けた反対向き状態、前記開口を下方に向けた下向き状態を順次経て前記初期状態に戻るように、前記載置部の開口から離れた位置に設定されて水平方向に延びる所定の回動軸線周りに、前記載置部を360度以上回転可能に支持する回転支持部と、前記載置部の姿勢変化に応じて、自重によって、前記載置部が前記初期状態から前記上向き状態へと移行する間に前記開口を開放する退避姿勢に変位し、前記載置部が前記上向き状態から前記下向き状態へと移行する間に前記開口を塞ぐ突出姿勢に変位可能に前記載置部に支持されるストッパであって、前記開口に向かう前記物品の移動によって前記物品と係合して、前記開口を塞ぐ状態を維持するストッパと、を備える物品の回転支持装置である。
【0100】
この物品の回転支持装置によると、初期状態において、物品を載置部に保持し、この後、載置部を回転させると、ストッパが突出姿勢に姿勢変更する。そして、載置部が下向き状態で、ストッパが突出姿勢を保つ。この状態では、物品が開口から出ようとすると、物品がストッパに接触するので、その脱落が抑制される。このため、物品を保持して回転させる際に、物品の脱落を抑制できる。
【0101】
第2の態様は、第1の態様に係る物品の回転支持装置であって、前記ストッパは、前記載置部が前記上向き状態から前記反対向き状態に移行する間に自重によって前記突出姿勢に変位し、前記載置部が前記反対向き状態から前記下向き状態に移行する間に、前記開口に向う前記物品の移動によって前記物品と係合し、この係合状態が、前記載置部が前記初期状態に戻るまで継続し、前記載置部が前記初期状態から前記上向き状態に移行する間に、前記収容空間奥側方向への前記物品の移動によって前記物品との係合が解除されて、自重によって前記退避姿勢に変位するものである。この場合、下向き状態において、開口に向う物品が前記ストッパに係合して前記ストッパを突出姿勢に保つ。このため、物品の脱落がより確実に抑制される。
【0102】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る物品の回転支持装置であって、前記載置部が前記上向き状態から前記反対向き状態に移動する間に、水平方向における、前記退避姿勢における前記ストッパの重心の位置が、前記収容空間の前記奥側から前記開口側に移動することによって、前記ストッパが前記退避姿勢から前記突出姿勢に変位し、前記ストッパが前記物品に係合した状態で、前記載置部が前記初期状態から1周を超えて前記上向き状態に移動する間に、前記収容空間奥側方向への前記物品の移動によって前記物品との係合が解除され、かつ、水平方向における、前記突出姿勢における前記ストッパの重心の位置が、前記収容空間の前記開口から前記奥側に移動することによって、前記ストッパが前記突出姿勢から前記退避姿勢に変位するものである。これにより、載置部の回転によるストッパの重心の位置変動によって、ストッパを退避姿勢に又は突出姿勢に変位させることができる。
【0103】
第4の態様は、第1から第3のいずれか1つの態様に係る物品の回転支持装置であって、前記ストッパは、支軸部周りに両方向に回転可能に支持された長尺状の基部と、前記基部の先端部から前記基部と交差する方向に延びる受部と、前記受部の先端部から前記支軸部側に突出する返り部とを含み、前記突出姿勢で前記受部が前記収容空間内の前記物品が前記開口に向う方向へ延長された領域に突出して前記収容空間から出る物品に接触すると共に、前記返り部が前記基部とは反対側から前記物品に係合するものである。これにより、返り部が物品に係合するので、ストッパがより確実に物品が収容空間から出ることを抑制できる。
【0104】
第5の態様は、第1から第4のいずれか1つの態様に係る物品の回転支持装置であって、前記物品を前記載置部に挿入する際に前記載置部を前記初期状態に保ち、前記初期状態から、前記上向き状態、前記反対向き状態及び前記下向き状態を経て前記初期状態に戻るように、前記載置部を1回転以上回転させ、さらに、前記載置部を、前記初期状態を超えて回転させた後前記初期状態に戻す、回転機構部をさらに備えるものである。この場合、物品を脱落させずに1回転以上回転させることができる。そして、載置部を、前記初期状態を超えて回転させた後前記初期状態に戻すため、物品が載置部奥側に移動し、ストッパが突出姿勢から退避姿勢に戻り易い。
【0105】
第6の態様は、第1から第5のいずれか1つの態様に係る物品の回転支持装置であって、前記ストッパが前記所定の回動軸線方向に間隔をあけて複数設けられているものである。この場合、複数のストッパによって物品を安定して脱落しないように規制することができる。また、各ストッパの幅を小さくできるため、姿勢変更動作を確実に行われる。
【0106】
第7の態様は、第1から第6のいずれか1つの態様に係る物品の回転支持装置であって、前記載置部は、その開口から前記奥側に向かう少なくとも1つのガイドレールを含むものである。これにより、ガイドレールによって、物品が開口から奥側に向けて及びその逆向きに円滑に移動することができる。
【0107】
第8の態様は、第1から第7のいずれか1つの態様に係る物品の回転支持装置であって、前記ストッパが前記突出姿勢から前記退避姿勢に姿勢変更した状態で、前記ストッパに接触する退避姿勢側位置規制部材をさらに備えるものである。この場合、ストッパの退避姿勢が安定する。このため、退避姿勢から突出姿勢に姿勢変更する動作が確実になされる。
【0108】
第9の態様は、第8の態様に係る物品の回転支持装置であって、前記退避姿勢側位置規制部材が前記載置部を構成する強度部材を兼ねるものである。これにより、部品点数の削減を図りつつ、載置部の強度向上及びストッパの退避姿勢安定を図ることができる。
【0109】
第10の態様は、第1から第9のいずれか1つの態様に係る回転支持装置であって、前記物品は、作業対象物と、前記作業対象物が載置されるトレイとを含み、前記ストッパは前記突出姿勢で前記トレイに接触するものである。これにより、作業対象物の形状に関係無く、ストッパをトレイに接触させて脱落防止を図ることができる。
【0110】
第11の態様は、第10の態様に係る物品の回転支持装置であって、前記トレイに、前記ストッパと係合可能な凸部が設けられているものである。このように、トレイに凸部が設けられることによって、ストッパがトレイにより確実に係合する。
【0111】
第12の態様は、第10又は第11の態様に係る物品の回転支持装置であって、前記トレイは、高さが異なる複数種類のトレイを含み、前記物品の高さに応じて前記複数種類のトレイから選択された種類のトレイ上に前記物品が載置されて、前記収容空間に収容されるものである。これにより、高さが異なる複数種類の物品に対して同種の載置部によって対応できる。
【0112】
第13の態様は、第1から第11のいずれか1つの態様に係る物品の回転支持装置であって、前記載置部は、前記初期状態において前記物品が載置される載置支持部と、前記載置支持部に対して前記収容空間を隔てて対向する天井部とを含み、前記載置支持部と前記天井部のうちの少なくとも一方が、前記載置支持部と前記天井部との間隔を変更可能に支持されるものである。これにより、高さが異なる複数種類の物品に対して同種の載置部によって対応できる。
【0113】
上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0114】
10 物品
12、12A、12B、12C 作業対象物
20、20A、20B、20C トレイ
22 凸部
30 回転支持装置
40 載置部
40f 規制面
44 端部支持部
46 載置支持部
46b 載置ガイドレール
46c 横ガイドレール
47 開口
48 収容空間
49a 連結支持棒
50 天井部
50b 天井側ガイドレール
60 奥側規制部
70 ストッパ
71 筒部
72 基部
73 受部
74 返り部
80 回転支持部
90 回転機構部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8