(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ダクト継手構造
(51)【国際特許分類】
F24F 13/02 20060101AFI20241003BHJP
F16L 27/04 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F24F13/02 A
F16L27/04
(21)【出願番号】P 2020204049
(22)【出願日】2020-12-09
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【氏名又は名称】原田 三十義
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】小池 甲一
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-205467(JP,A)
【文献】実開昭52-037628(JP,U)
【文献】特開平04-078395(JP,A)
【文献】実開昭63-024484(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0026751(US,A1)
【文献】特開2010-229633(JP,A)
【文献】中国実用新案第202469306(CN,U)
【文献】米国特許第10746332(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/02
F16L 27/02-27/073
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の空調設備又は換気設備における、水平に対し斜めに配置された2つのダクトの端部どうしを角度調節可能に接続するダクト継手
と、支持手段と、を備えたダクト継手構造であって、
前記ダクト継手が、
前記2つのダクトのうち一方の端部に連なる環状の内側継手部と、
前記2つのダクトのうち他方の端部に連なるとともに、前記内側継手部より大径の環状に形成されて、前記内側継手部の外周に相対回転可能に嵌められた外側継手部と、
を備え、これら継手部のうち少なくとも内側継手部の下側の内周面部分が平坦であ
り、
前記支持手段は、前記下側の内周面部分が、前記2つのダクトの一方側から他方側へ向かって上又は下へ傾くようにして、前記ダクト継手を支持し、前記下側の内周面部分の水平に対する傾き角度が、0°超10°以下であることを特徴とするダクト継手
構造。
【請求項2】
前記内側継手部及び前記外側継手部の各々が、球面部と、前記球面部における少なくとも底部に介在された平坦部とを有し、これら継手部の球面部どうしが重なり、かつこれら継手部の平坦部どうしが重なっていることを特徴とする請求項1に記載のダクト継手
構造。
【請求項3】
前記内側継手部及び前記外側継手部の各々の上側部及び底部が、それぞれ前記平坦部を構成し、
前記内側継手部及び前記外側継手部の各々の両側部が、前記球面部を構成していることを特徴とする請求項2に記載のダクト継手
構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建物の空調設備や換気設備における2つのダクトどうしを接続するダクト継手構造に関し、特に2つのダクトを角度調節可能に接続するダクト継手構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、2つのダクトどうしを接続するダクト継手が開示されている。ダクト継手は、一方のダクトの端部に接続された内側継手部と、他方のダクトの端部に接続された外側継手部を備えている。内側継手部及び外側継手部は、それぞれ球形状に形成されており、内側継手部の外周に外側継手部が角度調節可能に嵌っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前掲特許文献1のダクト継手においては、継手内の底部が球面状に凹んでいるため、内部で結露した水や外部から侵入した水、その他の液体が前記底部に溜まりやすい。
本発明は、かかる事情に鑑み、ダクト継手の底部に液体が溜まるのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明は、水平又は水平に対し斜めに配置された2つのダクトの端部どうしを角度調節可能に接続するダクト継手であって、
前記2つのダクトのうち一方の端部に連なる環状の内側継手部と、
前記2つのダクトのうち他方の端部に連なるとともに、前記内側継手部より大径の環状に形成されて、前記内側継手部の外周に相対回転可能に嵌められた外側継手部と、
を備え、これら継手部のうち少なくとも内側継手部の下側の内周面部分が平坦であることを特徴とする。
これによって、例えば、ダクト内又はダクト継手内で結露が起きたり、外部から水がダクト内に侵入したりしても、内側継手部の下側の内周面部分(内底面)が平坦であるために、ダクト継手の底部には水が溜まりにくい。
【0006】
前記内側継手部及び前記外側継手部の各々が、球面部と、前記球面部における少なくとも底部に介在された平坦部とを有し、これら継手部の球面部どうしが重なり、かつこれら継手部の平坦部どうしが重なっていることが好ましい。
これによって、球面部どうしの案内作用によって、内側継手部及び外側継手部どうしを円滑に角度調節できる。
内側継手部の底部の平坦部の内面(上面)が、前記下側の内周面部分(内底面)を構成する。
【0007】
前記内側継手部及び前記外側継手部の各々の上側部及び底部が、それぞれ前記平坦部を構成し、
前記内側継手部及び前記外側継手部の各々の両側部が、前記球面部を構成していることが好ましい。
これによって、上下の平坦部どうしの対向方向に沿う軸線のまわりに、内側継手部及び外側継手部どうしが相対回転可能となる。
【0008】
本発明に係るダクト継手構造は、前記のダクト継手と、
前記下側の内周面部分が、前記2つのダクトの一方側から他方側へ向かって上又は下へ傾くようにして、前記ダクト継手を支持する支持手段と、
を備えたことを特徴とする。
これによって、結露水や侵入水、その他の液体を、ダクト継手の下側の内周面部分の傾斜に沿って流下させることができ、ダクト継手内の底部に液体が溜まるのを確実に防止できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ダクト継手内の底部に液体が溜まるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るダクト継手構造を建物に設置した状態で示す、
図2のI-I線に沿う側面断面図である。
【
図2】
図2は、
図1のII-II線に沿う前記ダクト継手構造の底面図である。
【
図3】
図3は、前記ダクト継手構造のダクト継手の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1のIV-IV線に沿うダクト継手構造の正面断面図である。
【
図5】
図5は、角度調節されたダクト継手構造の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1は、建物の空調設備や換気設備の2つのダクト1a,1b間に設けられたダクト継手構造2を示したものである。ダクト継手構造2は、ダクト1a,1bどうしを接続するダクト継手3と、該ダクト継手3を支持する支持手段4を備えている。
【0012】
図1及び
図2に示すように、ダクト継手3は、第1継手管10と、第2継手管20を含む。第1継手管10は、環状の内側継手部11と、接続管部15を有している。接続管部15に、一方のダクト1aの端部が接続されている。ダクト1a及び第1継手管10の管軸L
10は、水平であるか、又は水平に対して少し(0°~10°程度)傾斜されている。
【0013】
図2及び
図3に示すように、内側継手部11は、接続管部15から他方のダクト1bへ向かって拡開されるようにして開口されている。内側継手部11は、部分球面状をなす一対の球面部12と、平坦な一対の平坦部13とを含む。内側継手部11の上側部及び底部がそれぞれ平坦部13となっている。したがって、2つの平坦部13が上下に離れて平行に対向されている。下側の平坦部13の内面(上面)が、内側継手部11の下側の内周面部分13b(内底面)を構成している。
【0014】
図2及び
図3に示すように、内側継手部11の両側部(
図2において上下の側部)がそれぞれ球面部12となっている。2つの球面部12どうしが、180°離れて対向されている。2つの球面部12は、互いに同一の仮想の球面上に配置されている。言い換えると、球面部12の周方向の一部(少なくとも底部)に平坦部13が介在されている。
図4に示すように、管軸L
10と直交する内側継手部11の断面は、概略長円形状に形成されている。
図3に示すように、内側継手部11の開口縁11eは、平坦部13によって作られた一対の直線部13eと、球面部12によって作られた一対の円弧部12eとを有し、概略長円形状に形成されている。
【0015】
図1及び
図2に示すように、第2継手管20は、環状の外側継手部21と、接続管部25を有している。接続管部25に、ダクト1bの端部が接続されている。ダクト1b及び第2継手管20の管軸L
20は、水平であるか、又は水平に対して少し(0°~10°程度)傾斜されている。
【0016】
図2及び
図3に示すように、外側継手部21は、接続管部25からダクト1aへ向かって拡開されるようにして開口されている。外側継手部21は、部分球面状をなす一対の球面部22と、平坦な一対の平坦部23とを含む。外側継手部21の上側部及び底部がそれぞれ平坦部23となっている。2つの平坦部23が上下に離れて平行に対向されている。外側継手部21の両側部がそれぞれ球面部22となっている。2つの球面部22どうしが、180°離れて対向されている。これら球面部22は、互いに同一の仮想の球面上に配置されている。
図4に示すように、管軸L
20と直交する外側継手部21の断面は、概略長円形状に形成されている。
図3に示すように、外側継手部21の開口縁21eは、平坦部23によって作られた一対の直線部23eと、球面部22によって作られた一対の円弧部22eとを有し、概略長円形状に形成されている。
【0017】
図4に示すように、内側継手部11の外周に外側継手部21が嵌ることで、これら継手部11,21が雌雄嵌合されている。内側継手部11の球面部12の外側に外側継手部21の球面部22が重ねられている。内側継手部11の平坦部13の外側に外側継手部21の平坦部23が重ねられている。
【0018】
図1及び
図5に示すように、内側継手部11及び外側継手部21は、管軸L
10,L
20と直交(交差)する軸線L
3のまわりに互いに相対回転可能になっている。すなわち、内側継手部11は、外側継手部21に対して軸線L
3のまわりに角度調節可能である。軸線L
3は、鉛直であるか又は鉛直に対して斜めになっており、平坦部13,23ひいては平坦面13bに対して直交(交差)されている。
【0019】
図1において二点鎖線にて示すように、建物の梁、柱、壁等の躯体部材5とダクト継手3との間には支持手段4が設けられている。図においては、支持手段4は、ダクト1a,1bを介してダクト継手3を支持しているが、ダクト継手3を直接支持していてもよい。また、ダクト継手2を吊り支持しているが、ダクト継手3を下から支えていてもよい。このような支持手段4の支持によって、下側の内周面部分13bが、2つのダクト1a,1bの一方側から他方側へ向かって上又は下へ傾けられている。ここでは、下側の内周面部分13bが、ダクト1aからダクト1bへ向かって下へ傾斜されている。
【0020】
ダクト継手構造2によれば、例えば、ダクト内で結露が起きたり、外部から水がダクト内に侵入したりしても、ダクト継手3の下側の内周面部分13bが平坦であるために、ダクト継手3内の底部には水等の液体が溜まりにくい。さらに、下側の内周面部分13bが傾斜されているために、液体を傾斜に沿って流下させて排出することができる。これによって、ダクト継手3内の底部に液体が溜まるのを確実に防止できる。
【0021】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、内側継手部11の少なくとも下側の内周面部分が平坦であれば、内側継手部11の上側の内周面部分は球面状であってもよく。
内側継手部11及び外側継手部21の上側部は、必ずしも平坦部でなくてもよく、球面部であってもよい。
更に、内側継手部11の少なくとも下側の内周面部分が平坦であれば、内側継手部11の外周面及び外側継手部21の内周面は全周にわたって球面状であってもよい。これによって、ダクト継手が、全方向に角度調節可能な自在継手となる。
或いは、内側継手部11の両側部を球面部12に代えて円筒状に形成してもよく、外側継手部21の両側部を球面部22に代えて円筒状に形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、例えば建物の空調設備や換気設備のダクトに適用できる。
【符号の説明】
【0023】
1a 一方のダクト
1b 他方のダクト
2 ダクト継手構造
3 ダクト継手
4 支持手段
5 躯体部材
10 第1継手管
11 内側継手部
12 球面部
13 平坦部
13b 下側の内周面部分(内底面)
15 接続管部
20 第2継手管
21 外側継手部
22 球面部
23 平坦部
25 接続管部