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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】縦グリッドパターンを使用した距離測定
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/25 20060101AFI20241003BHJP
   G06T 7/521 20170101ALI20241003BHJP
【FI】
G01B11/25 H
G06T7/521
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020519793
(86)(22)【出願日】2018-10-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 US2018054183
(87)【国際公開番号】W WO2019070867
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-08-04
(31)【優先権主張番号】62/569,543
(32)【優先日】2017-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517145315
【氏名又は名称】マジック アイ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 昭輝
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/182985(WO,A1)
【文献】特開2016-166810(JP,A)
【文献】特表2011-504586(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0150124(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/25
G06T 7/521
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
距離センサの投射点から物体の表面に投射パターンを投射するステップであって、前記投射パターンは、前記投射点から投射された複数の光ビームによって生成され、前記複数の光ビームは、前記物体の前記表面に、経度方向及び緯度方向に2次元配列された複数のドットからなり、それぞれが前記経度方向に並ぶ複数のドットからなる複数の列、及び、それぞれが前記緯度方向に並ぶ複数のドットからなる複数の行が形成されたグリッドパターンに配置された複数の投射アーチファクトを生成し、前記複数の投射アーチファクトの中心のドットは、前記グリッドパターンの複数の前記列の中心列である経度線と前記グリッドパターンの複数の前記行の中心行である緯度線との交点に位置する、投射するステップと、
前記経度線が前記距離センサの投射中心を通る位置から第1の角度だけ回転され、前記緯度線が前記投射中心を通る位置から前記第1の角度とは異なる第2の角度だけ回転されるように前記複数の光ビームの投射を調整し、その結果、調整された投射パターンが前記物体の前記表面に投射されるステップと、
前記調整された投射パターンの少なくとも一部を含む、前記物体の画像を撮影するステップと、
前記画像からの情報を用いて、前記距離センサから前記物体までの距離を計算するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項に記載の方法であって、
前記複数の列は、共通の列に存在する複数のアーチファクトのそれらの投射アーチファクトが非平行であるように、千鳥状に配置される、
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記距離は、前記距離センサのレンズの主点を中心とした球面の半径に対応する、
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記投射パターンの平面は、前記距離センサのベースラインに平行であり、
前記ベースラインは、前記投射点の中心軸と前記距離センサのレンズの中心軸との間の横方向の距離として定義される、
ことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項に記載の方法であって、
前記複数の投射アーチファクトの各投射アーチファクトは軌跡を有し、前記複数の投射アーチファクトのうちの所定の投射アーチファクトの前記軌跡は、前記ベースラインから前記物体までの距離が変化するにつれて、前記物体の前記表面上での前記所定の投射アーチファクトの動きを記述する、
ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項に記載の方法であって、
複数の前記投射点のうちの所定の投射点の軌跡と別の投射点の軌跡との重なりは、前記調整によって最小化される、
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記投射点と前記距離センサのレンズは、前記投射点が撮像素子の光軸方向に前記レンズが接続されている撮像素子の主点と水平になるように、共通の平面内に取り付けられている、
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項に記載の方法であって、
前記主点は、前記レンズの前結節点である、
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記画像を撮影するのに使用される画像装置の視野は半球状である、
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
プロセッサによって実行可能な命令がコード化された非一時的な機械読み取り可能な記憶媒体であって、前記命令が実行されると、前記命令は前記プロセッサに、
距離センサの投射点から物体の表面に投射パターンを投射するステップであって、前記投射パターンは、前記投射点から投射された複数の光ビームによって生成され、前記複数の光ビームは、前記物体の前記表面に、経度方向及び緯度方向に2次元配列された複数のドットからなり、それぞれが前記経度方向に並ぶ複数のドットからなる複数の列、及び、それぞれが前記緯度方向に並ぶ複数のドットからなる複数の行が形成されたグリッドパターンに配置された複数の投射アーチファクトを生成し、前記複数の投射アーチファクトの中心のドットは、前記グリッドパターンの複数の前記列の中心列である経度線と前記グリッドパターンの複数の前記行の中心行である緯度線との交点に位置する、投射するステップと、
前記経度線が前記距離センサの投射中心を通る位置から第1の角度だけ回転され、前記緯度線が前記投射中心を通る位置から前記第1の角度とは異なる第2の角度だけ回転されるように前記複数の光ビームの投射を調整し、その結果、調整された投射パターンが前記物体の前記表面に投射されるステップと、
前記調整された投射パターンの少なくとも一部を含む、前記物体の画像を撮影するステップと、
前記画像からの情報を用いて、前記距離センサから前記物体までの距離を計算するステップと、
を含む操作を実行させることを特徴とする、非一時的な機械読み取り可能な記憶媒体。
【請求項11】
請求項10に記載の非一時的な機械読み取り可能な記憶媒体であって、
前記投射パターンの平面は、前記距離センサのベースラインに平行であり、
前記ベースラインは、前記投射点の中心軸と前記距離センサのレンズの中心軸との間の横方向の距離として定義される、
ことを特徴とする非一時的な機械読み取り可能な記憶媒体。
【請求項12】
請求項11に記載の非一時的な機械読み取り可能な記憶媒体であって、
前記複数の投射アーチファクトの各投射アーチファクトは軌跡を有し、
前記複数の投射アーチファクトのうちの所定の投射アーチファクトの前記軌跡は、前記ベースラインから前記物体までの距離が変化するにつれて、前記物体の前記表面上での前記所定の投射アーチファクトの動きを記述する、
ことを特徴とする非一時的な機械読み取り可能な記憶媒体。
【請求項13】
請求項12に記載の非一時的な機械読み取り可能な記憶媒体であって、
複数の前記投射点のうちの所定の投射点の軌跡と別の投射点の軌跡との重なりは、前記調整によって最小化される、
ことを特徴とする非一時的な機械読み取り可能な記憶媒体。
【請求項14】
請求項10に記載の非一時的な機械読み取り可能な記憶媒体であって、
前記投射点と前記距離センサのレンズは、前記投射点が撮像素子の光軸方向に前記レンズが接続されている撮像素子の主点と水平になるように、共通の平面内に取り付けられている、
ことを特徴とする非一時的な機械読み取り可能な記憶媒体。
【請求項15】
請求項14に記載の非一時的な機械読み取り可能な記憶媒体であって、
前記主点は、前記レンズの前結節点である、
ことを特徴とする非一時的な機械読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年10月8日に出願された米国仮特許出願第62/569,543号の優先権を主張し、その全体を本願に引用して援用する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願第14/920,246号、15/149,323号、及び15/149,429号は、距離センサの様々な構成を説明している。そのような距離センサは、セキュリティ、ゲーム、無人車両の制御、及びその他の用途を含む、様々な用途で役立つ可能性がある。
【0003】
これらの出願に記載されている距離センサは、光源(例えば、レーザ)、回折光学素子、及び/又は視野内にパターン(例えば、ドット、ダッシュ、又はその他のアーチファクトのパターン)を生成する光ビームを投射するために連携する他の構成要素を含む。パターンが視野内の物体に入射すると、センサから物体までの距離は、視野の1つ以上の画像におけるパターンの外観(例えば、ドット、ダッシュ、又はその他のアーチファクトの位置関係)に基づいて計算することができる。物体の形状及び寸法を決定することもできる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一例において、方法は、距離センサの投射点から物体の表面に投射パターンを投射することであって、投射パターンは、投射点から投射された複数の光ビームによって生成され、複数の光ビームは、物体の表面にグリッド状に配置された複数の投射アーチファクトを生成し、複数の投射アーチファクトの中心の投射アーチファクトは、グリッドの経度線とグリッドの緯度線との交点に位置する、投射することと、経度線及び緯度線の少なくとも一方が元の位置から新しい位置に所定量だけ回転されるように複数のビームの投射を調整し、その結果、調整された投射パターンが物体の表面に投射されることと、調整された投射パターンの少なくとも一部を含む、物体の画像を撮影することと、画像からの情報を用いて、距離センサから物体までの距離を計算することと、を含む。
【0005】
別の例では、非一時的な機械読み取り可能な記憶媒体がプロセッサによって実行可能な命令でコード化され、命令が実行されると、命令はプロセッサに、操作を実行させる。操作は、距離センサの投射点から物体の表面に投射パターンを投射することであって、投射パターンは、投射点から投射された複数の光ビームによって生成され、複数の光ビームは、物体の表面にグリッド状に配置された複数の投射アーチファクトを生成し、複数の投射アーチファクトの中心の投射アーチファクトは、グリッドの経度線とグリッドの緯度線との交点に位置する、投射することと、経度線及び緯度線の少なくとも一方が元の位置から新しい位置に所定量だけ回転されるように複数のビームの投射を調整し、その結果、調整された投射パターンが物体の表面に投射されることと、調整された投射パターンの少なくとも一部を含む、物体の画像を撮影することと、画像からの情報を用いて、距離センサから物体までの距離を計算することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】距離センサの要素を説明する概略図である。
図2】距離センサの投射点によって投射された例示的なパターンの一部である複数のドットの軌跡を示す図である。
図3A】投射点から投射されたビームの配置の一例の側面図である。
図3B図3Aのビームの配置によって生成された投射パターンの正面図である。
図3C図3A及び3Bに図示された投射パターンの簡略化された等角図である。
図3D図3A-3Cの投射パターンの全体的な形状を半球状の視野で示す図である。
図4A】投射点から投射されたビームの配置の一例の側面図である。
図4B図4Aのビームの配置によって生成された投射パターン402の正面図である。
図4C図4A及び4Bのパターンが平坦な表面に投射されたときの、図4A及び4Bの投射アーチファクトの軌跡を示す正面図である。
図5A】投射点から投射されたビームの配置の一例を示す側面図である。
図5B図5Aのビームの配置によって生成された投射パターンの正面図である。
図5C】平坦な表面に投射された図5A及び5Bの投射パターンの側面図である。
図5D】平坦な表面に投射された図5A及び5Bの投射パターンの正面図である。
図5E図5A-5Dのパターンが平坦な表面に投射されたときの、図5A-5Dの投射アーチファクトの軌跡の正面図である。
図5F図5A-5Eの投射パターンの全体的な形状を半球状の視野で示す図である。
図6A】投射点から投射されたビームの配置の一例の側面図である。
図6B図6Aのビームの配置によって生成された投射パターンの正面図である。
図6C】平坦な表面に投射された図6A及び6Bの投射パターンの側面図である。
図6D】平坦な表面に投射された図6A及び6Bの投射パターンの正面図である。
図6E図6A-6Dのパターンが平坦な表面に投射されたときの、図6A-6Dの投射アーチファクトの軌跡の正面図である。
図7】本開示の例示的な投射ビームアライメントを示す図である。
図8】センサから物体までの距離を計算するための例示的な方法のフロー図である。
図9】センサから物体までの距離を計算するための例示的な電子装置の高レベルブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、縦グリッドパターンを用いた距離測定のための装置、方法、及び非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体を広く記載している。上述したように、米国特許出願第14/920,246号、第15/149,323号、及び第15/149,429号に記載されているような距離センサは、物体を含む視野内にパターン(例えば、ドット、ダッシュ、又は他のアーチファクトのパターン)を生成する光ビームを投射することによって、物体までの距離(及び潜在的には、物体の形状及び寸法)を決定する。いくつかの例では、センサは、複数の「投射点」を含み、ここで、複数のビームが各投射点から投射されてもよい。複数のビームは、パターンの一部を形成するように扇状に広がってもよい。パターンの外観は、物体までの距離に応じて変化してもよい。例えば、パターンがドットのパターンを含む場合、物体がセンサに近いときにはドットは互いに近くに見え、物体がセンサから遠くにあるときにはドットは互いに遠くに見え得る。
【0008】
図1は、例えば、米国特許出願第14/920,246号、第15/149,323号、及び第15/149,429号に記載されたセンサに類似した距離センサの要素を示す概略図である。図示されているように、センサは、撮像装置のレンズ100を含み得る。レンズ100の視野は、fで示されてもよい。センサはまた、レンズ100の周囲に配置された(例えば、光源、回折光学素子、及び/又は他の構成要素の組合せによって形成される)複数の投射点を含み得る。図1は、1つのそのような投射点102を例示しているが、他の投射点は、レンズ100の周囲の異なる位置に同様に構成されて配置されてもよい。レンズ100の中心軸から投射点102の中心軸までの距離dは、センサの「ベースライン」として参照されてもよい。
【0009】
投射点102は、複数の光のビーム104-104(以下、個別に「ビーム104」と称するか、又は「ビーム104」と総称する)を投射し、ビーム104が表面に入射すると、扇状に広がり、投射アーチファクトのパターン106(例えば、ドット、ダッシュなど)を形成する。パターン106の平面は、センサのベースラインdと平行であってもよい。図1に示された例では、投射アーチファクトはドットである。図1は、パターン106がベースラインdからの第1の距離D1で現れるように、また、ベースラインdからの第2の距離D2で現れるように、パターン106を図示している。
【0010】
同じ投射点102から投射されたすべてのビーム104は、上述したように、物体距離に応じて、ベースラインdに沿って同じ方向に移動する。しかしながら、同じ投射点102から投射されるビーム104の数が増加するにつれて、ビーム104によって生成されるアーチファクト(例えば、ドット)の軌跡(すなわち、移動範囲)は、より接近して現れることがあり、場合によっては、重なり合うことさえある。
【0011】
投射アーチファクトの軌跡は、距離センサの投射光学系(例えば、光源、回折光学素子、及び光ビームを投射する他の構成要素を含む光学系のセット)と、受光光学系(例えば、レンズ、撮像装置、及び投射アーチファクトの画像を撮像する他の構成要素)との間の平面方向(例えば、横方向)及び高さ方向(例えば、横方向に垂直な方向)における位置関係によって決定される。投射アーチファクトの軌跡は、放射状のパターン又は線として現れてもよく、センサと投射パターンが投射される物体との間の距離が変化するにつれて、投射アーチファクトの動きを記述する。より具体的には、投射アーチファクトの軌跡は、距離センサの撮像装置に対する投射アーチファクトの動きを距離の変動とともに記述する。
【0012】
図2は、例えば、距離センサの投射点(例えば、図1の投射点102など)によって投射された例示的なパターンの一部である複数のドットの軌跡200を示している。網掛けされていないドットは、センサのベースラインから第1の距離にあるドットの位置を表し、網掛けされたドットは、センサのベースラインから第2の距離にあるドットの位置を表す。網掛けされていないドットと網掛けされたドットとを結ぶ線又は軌跡200は、センサベースラインからの異なる距離で描かれた網掛けされていないドットと網掛けされたドットとが同じドットであることを表す。図2に示すように、いくつかのドットの軌跡200は、重なってもよい。重複する軌跡200は、円202によって示される。軌跡200の重なりが発生すると、投射点から投射されたどのビームが投射パターンのどのドットに対応するかを判断することが困難になる場合がある。これは、正確な計算が、画像内で視認可能なドットを生成したビームを識別する能力に依存する可能性があることから、同様に距離測定の計算を複雑にする可能性がある。
【0013】
このように、距離センサの投射点から投射されるビームの数の増加は、ビームによって生成された投射アーチファクトの軌跡に重なりがある可能性を増加させ得る(そのため距離計算の困難さを増加させる)。一方で、ビームの数が多いことは、距離計算の目的のためにセンサの視野のより良い空間的カバレッジを提供するので、一般的に有利であると考えられる。追加の考慮事項として、製造コスト、センサのサイズ、及び部品の損傷によるセンサの故障を最小限に抑えるために、投射点の数を最小限に抑えることが望ましい場合がある。しかし、より少ない投射点で空間的カバレッジを維持するためには、投射点からより多くのビームを投射することが必要であるかもしれない。
【0014】
本開示の例は、センサの投射点から投射されるビームの数が増加するにつれて、投射アーチファクト軌跡の重なりを最小化する距離センサのためのビーム配置を提供する。特に、本開示の例は、空間的カバレッジの必要性と投射アーチファクト軌跡の重なりを最小化する必要性とのバランスをとる投射アーチファクトの分布を有するパターンを提供する。開示されたパターンの例は、各投射点から、中心ビームに関して対称的に(少なくともx方向及びy方向に)扇状に広がる複数のビームを投射することによって達成され得る。
【0015】
上述したように、投射アーチファクトの軌跡は、放射状のパターン又は線として現れてもよい。本開示の例では、投射アーチファクトの軌跡及び複数の投射アーチファクトを含む投射パターンの線の両方が、線形に現れ得るという事実を考慮している。このように、投射アーチファクトと距離センサの撮像装置との間の位置関係、中心投射アーチファクトの方向、又は複数の投射アーチファクトによって生成される投射パターンの回転位相は、投射パターンを形成する複数の投射アーチファクトの軌跡の重なりを最小にするように調整することができる。本開示のさらなる例は、投射パターンを形成する平面が湾曲している場合、投射アーチファクトの軌跡と投射パターンの線とによって形成される角度が徐々に変化する可能性があり、それによって、投射パターン全体にわたる軌跡の重なりを一様に排除することがより困難になるという事実を考慮している。
【0016】
本開示の例では、投射アーチファクトが複数の行及び列に配置された全体的に長方形の形状を有する投射パターン(すなわち、複数の投射アーチファクトによって作成されたパターン)が記載されている。この文脈では、投射パターンの中心に位置する投射アーチファクトは、投射パターンの「原点」と見なされてもよい。原点と交差する行は、投射パターンの「緯度」線と呼ばれてもよく、原点と交差する列は、投射パターンの「経度」線と呼ばれてもよい。本開示のさらなる例は、投射パターンの緯度線及び経度線のうちの1つ以上を所定の角度だけ回転させて、投射アーチファクト軌跡の重なりを最小化する調整された投射パターンを達成するように、投射点からの1つ以上のビームの投射角度を調整してもよい。
【0017】
図3Aは、投射点300から投射されたビームの配置の一例の側面図を示し、図3Bは、図3Aのビームの配置によって生成された投射パターン302の正面図を示す。図3A及び3Bの例では、ビームの配置は、球面304、すなわち、丸みを帯びた(平坦でない)形状を有する表面に投射される。
【0018】
図示されているように、投射点300は、複数のビーム306-306(以下、個別に「ビーム306」と称するか、又は「ビーム306」と総称する)を投射する。複数のビーム306は、中心ビーム306を含む。残りのビーム306は、中心ビーム306からx軸に沿った両方向に、かつy軸に沿った両方向に扇状に広がる。図面を簡略化するために、第1のビーム306と中心ビーム306との間、及び中心ビーム306と最後のビーム306との間に存在し得るビーム306は、図3Aでは図示されていない。
【0019】
複数のビーム306によって生成される結果パターン302は、図3Bに示すように、長方形のグリッド内に配置された複数の投射アーチファクト(例えば、ドット)を含む。グリッドの行は、図示された座標系のx軸に沿って延び、グリッドの列はy軸に沿って延びる。行及び列は、所定の規則(例えば、等しい角度間隔、等しい正弦値間隔など)に従って間隔をおいて、中心ビーム306からのx軸及びy軸に対応する方位に配置される。
【0020】
投射アーチファクトは、千鳥状のパターン(例えば、行又は列に沿ったすべての投射アーチファクトが平行にならないように各行又は列が隣接する行又は列からオフセットされている)で配置されてもよいし、連続したパターン(例えば、行又は列に沿ったすべての投射アーチファクトが平行になるように各行又は列が隣接する行又は列と整列している)で配置されていてもよい。投射アーチファクトのパターンが千鳥状であろうと連続的であろうと、パターンは規則的であり(すなわち、投射アーチファクトの配置は、ランダムではなく規則的である)、中心ビーム306によって生成された中心投射アーチファクト308から外方に延びていてもよい。中心投射アーチファクト308は、「経度線」310(又は中心列)と「緯度線」312(又は中心行)との交点に位置し、パターン302の「原点」と見なされてもよい。
【0021】
一例では、パターン302が球面304に投射されているとき、経度線310は、y軸の周りに第1の所定角度だけ回転されてもよい。代替的に、又はそれに加えて、緯度線312は、x軸の周りに第2の所定角度だけ回転されてもよい。これは図3Bに示されている、パターン302の形状が球面304の丸みを帯びた形状に準拠するように湾曲している。
【0022】
中心投射アーチファクト308、回転経度線310、及び/又は回転緯度線312が投射される球面304は常に平面であるので、パターン302の各行又は列は、中心投射アーチファクト308を通過する平面を含む。図3A及び3Bに図示された投射パターン302の簡略化された等角図を示す図3Cに示されるように、球面304の平面上に投射される投射アーチファクトの各線は、直線となる。
【0023】
図3Cに示された例では、投射点300及びパターン302の緯度線によって形成される表面は、(円錐の頂点又は細い端部としての投射点300を有する)円錐形であり、一方、投射点300及びパターン302の経度線によって形成される表面は平坦又は平面である。このため、投射点によって形成されるグリッド線は曲線となる。経度線上に配置されたグリッド線は直線であり、長方形の形状(それぞれの線によって形成された角度)は、3次元の位置の差に対して一様である。一例では、例示的な投射パターン302によれば、距離センサから物体までの距離は、距離センサのレンズの主点を中心とする球面304の半径に対応する。センサは、投射点300を含む複数の投射点の中心に配置されてもよく、主点は、センサのレンズの前結節点であってもよい。
【0024】
図3Dは、図3A-3Cの投射パターン302の全体的な形状を半球状の視野で示している。より具体的には、図3Dは、投射点300に対する投射パターンのグリッド線の配向を図示している。図示されているように、投射パターン302は、緯度線326及び経度線328のうちの1つ以上を、それぞれ所定の角度η及びθだけ回転させることによって調整されてもよい。η及びθは、投射パターン302が投射される物体の用途及び形状に応じて、等しくても等しくなくてもよい。
【0025】
例えば、緯度線326は、y方向(すなわち、y軸に沿った方向)に新しい位置322にシフトしてもよい。一例では、新しい位置322への緯度線326のシフトは、緯度線326をηの角度だけ回転させることによって達成される。
【0026】
経度線328は、x方向(すなわち、x軸に沿った方向)に新しい位置324にシフトされてもよい。一例では、新しい位置324への経度線328のシフトは、経度線328をθの角度だけ回転させることによって達成される。
【0027】
図3Dは、このビームレイアウトによって生成され得る例示的な投射アーチファクトのいくつかを示している。緯度線326の元の位置(η=0の場合)と経度線328の元の位置(θ=0の場合)との交点に位置する中心投射アーチファクト308に加えて、以下の投射アーチファクト、すなわち中心投射アーチファクト308から(θ,η)の座標に位置し(例えば、x方向及びy方向の両方にシフトされている)、調整されたパターンにおける中心投射アーチファクト308の新しい位置を表す投射アーチファクト330、座標(θ,0)に位置する投射アーチファクト332、及び座標(0,η)に位置する投射アーチファクト334も示されている。
【0028】
図4Aは、投射点400から投射されたビームの配置の一例の側面図を示し、図4Bは、図4Aのビームの配置によって生成された投射パターン402の正面図を示す。図4A及び4Bの例では、ビームの配置は、平坦な表面404に投射されている。
【0029】
図示されているように、投射点400は、複数のビーム406-406(以下、個別に「ビーム406」と呼ぶか、又は「ビーム406」と総称する)を投射する。複数のビーム406は、中心ビーム406を含む。残りのビーム406は、中心ビーム406からx軸に沿った両方向に、及びy軸に沿った両方向に扇状に広がる。図面を簡略化するために、第1のビーム406と中心ビーム406との間、及び中心ビーム406と最後のビーム406との間に存在し得るビーム406は、図4Aでは図示されていない。
【0030】
複数のビーム406によって生成される結果パターン402は、図4Bに示すように、長方形のグリッド内に配置された複数の投射アーチファクト(例えば、ドット)を含む。グリッドの行は、図示された座標系のx軸に沿って延び、グリッドの列はy軸に沿って延びる。行及び列は、所定の規則(例えば、等しい角度間隔、等しい正弦値間隔など)に従って間隔をおいて、中心ビーム406からのx軸及びy軸に対応する方位に配置される。
【0031】
投射アーチファクトは、千鳥状のパターン(例えば、行又は列に沿ったすべての投射アーチファクトが平行にならないように各行又は列が隣接する行又は列からオフセットされている)で配置されてもよいし、連続したパターン(例えば、行又は列に沿ったすべての投射アーチファクトが平行になるように各行又は列が隣接する行又は列と整列している)で配置されていてもよい。投射アーチファクトのパターンが千鳥状であろうと連続的であろうと、パターンは規則的であり(すなわち、投射アーチファクトの配置は、ランダムではなく規則的である)、中心ビーム406によって生成された中心投射アーチファクト408から外方に延びていてもよい。中心投射アーチファクト408は、経度線410と緯度線412との交点に位置し、パターン402の「原点」と見なされてもよい。
【0032】
図4Cは、図4A及び4Bのパターン402が平面404に投射されたときの図4A及び図4Bの投射アーチファクトの軌跡414の正面図を示す。図示されているように、軌跡414は重なり合っていない。
【0033】
図4Cはまた、投射点400に対するレンズ416の位置を示す。ベースライン418によって示されるように、投射点400は、レンズ416から半径方向又はx方向にある程度の距離aの位置にある。しかし、y方向においては、投射点400の位置とレンズとの間の差はゼロである。言い換えれば、レンズ416及び投射点400は、例えば、投射点400が、撮像装置の光軸の方向において、レンズの撮像装置の主点(例えば、前結節点)と水平になるように、同じ平面内に取り付けられていてもよい。
【0034】
図5Aは、投射点500から投射されるビームの配置の一例の側面図を示し、図5Bは、図5Aのビームの配置によって生成される投射パターン502の正面図を示す。図5A及び5Bの例では、ビームの配置は、球面504、すなわち、丸みを帯びた(平坦でない)形状を有する表面に投射される。
【0035】
図示されているように、投射点500は、複数のビーム506-506(以下、個別に「ビーム506」と呼ぶか、又は「ビーム506」と総称する)を投射する。複数のビーム506は、中心ビーム506を含む。残りのビーム506は、中心ビーム506からx軸に沿った両方向に、及びy軸に沿った両方向に扇状に広がる。図面を簡略化するために、第1のビーム506と中心ビーム506との間、及び中心ビーム506と最後のビーム506との間に存在し得るビーム506は、図5Aでは図示されていない。
【0036】
複数のビーム506によって生成される結果パターン502は、図5Bに示すように、長方形のグリッド内に配置された複数の投射アーチファクト(例えば、ドット)を含む。グリッドの行は、図示された座標系のx軸に沿って延び、グリッドの列はy軸に沿って延びる。行及び列は、所定の規則(例えば、等しい角度間隔、等しい正弦値間隔など)に従って間隔をおいて、中心ビーム506からのx軸及びy軸に対応する方位に配置される。
【0037】
投射アーチファクトは、千鳥状のパターン(例えば、行又は列に沿ったすべての投射アーチファクトが平行にならないように各行又は列が隣接する行又は列からオフセットされている)で配置されてもよいし、連続したパターン(例えば、行又は列に沿ったすべての投射アーチファクトが平行になるように各行又は列が隣接する行又は列と整列している)で配置されていてもよい。投射アーチファクトのパターンが千鳥状であろうと連続的であろうと、パターンは規則的であり(すなわち、投射アーチファクトの配置は、ランダムではなく規則的である)、中心ビーム506によって生成された中心投射アーチファクト508から外方に延びていてもよい。中心投射アーチファクト508は、経度線510と緯度線512との交点に位置し、パターン502の「原点」と見なされてもよい。
【0038】
図5Cは、平面516に投射された図5A及び5Bの投射パターン502の側面図を示し、図5Dは、平面516に投射された図5A及び5Bの投射パターン502の正面図を示す。図5Cに図示されているように、パターン502が平面516に投射されているときとは異なり、パターン502は曲がっている。以下の図5Eに関連して議論されるように、これは、投射アーチファクトの軌跡が重なり合うことを引き起こす可能性がある。これは、パターン502が球面504に投射され、その一般的に長方形のグリッド形状を維持する、図5A及び5Bの例とは対照的である。
【0039】
図5Eは、図5A-5Dのパターン502が平面520に投射されたときの、図5A-5Dの投射アーチファクトの軌跡514の正面図を示す。図示されているように、軌跡514は、平面520に投射されたときに重なっている。
【0040】
図5Eはまた、投射点500に対するレンズ516の位置も示している。ベースライン518によって示されるように、投射点500は、レンズ516から半径方向又はx方向にある程度の距離aの位置にある。しかし、y方向においては、投射点500の位置とレンズ516との間の差はゼロである。言い換えれば、レンズ516及び投射点500は、例えば、投射点500が、撮像装置の光軸の方向において、レンズの撮像装置の主点(例えば、前結節点)と水平になるように、同じ平面内に取り付けられていてもよい。
【0041】
図5Fは、図5A-5Eの投射パターン502の全体的な形状を半球状の視野で示している。より具体的には、図5Fは、投射点500に対する投射パターンのグリッド線の配向を図示している。図示されているように、投射パターン502は、緯度線526及び経度線528のうちの1つ以上を、それぞれ所定の角度η及びθだけ回転させることによって調整されてもよい。η及びθは、投射パターン502が投射される物体の用途及び形状に応じて、等しくても等しくなくてもよい。
【0042】
例えば、緯度線526は、y方向(すなわち、y軸に沿った方向)に新しい位置522にシフトしてもよい。一例では、新しい位置522への緯度線526のシフトは、緯度線526をηの角度だけ回転させることによって達成される。
【0043】
経度線528は、x方向(すなわち、x軸に沿った方向)に新しい位置524にシフトされてもよい。一例では、新しい位置524への経度線528のシフトは、経度線528をθの角度だけ回転させることによって達成される。
【0044】
図5Fは、このビームレイアウトによって生成され得る例示的な投射アーチファクトのいくつかを示している。緯度線526の元の位置(θ=0の場合)と経度線528の元の位置(η=0の場合)との交点に位置する中心投射アーチファクト508に加えて、以下の投射アーチファクト、すなわち中心投射アーチファクト508から(θ,η)の座標に位置し(例えば、x方向及びy方向の両方にシフトされている)、調整されたパターンにおける中心投射アーチファクト508の新しい位置を表す投射アーチファクト530、座標(0,η)に位置する投射アーチファクト532、及び座標(θ,0)に位置する投射アーチファクト534も示されている。
【0045】
図6Aは、投射点600から投射されるビームの配置の一例の側面図を示し、図6Bは、図6Aのビームの配置によって生成される投射パターン602の正面図を示す。図6A及び6Bの例では、ビームの配置は、球面604、すなわち、丸みを帯びた(平坦でない)形状を有する表面に投射される。
【0046】
図示されているように、投射点600は、複数のビーム606-606(以下、個別に「ビーム606」と呼ぶか、又は「ビーム606」と総称する)を投射する。複数のビーム606は、中心ビーム606を含む。残りのビーム606は、中心ビーム606からx軸に沿った両方向に、及びy軸に沿った両方向に扇状に広がる。図面を簡略化するために、第1のビーム606と中心ビーム606との間、及び中心ビーム606と最後のビーム606との間に存在し得るビーム606は、図6Aでは図示されていない。
【0047】
複数のビーム606によって生成される結果パターン602は、図6Bに示すように、長方形のグリッド内に配置された複数の投射アーチファクト(例えば、ドット)を含む。グリッドの行は、図示された座標系のx軸に沿って延び、グリッドの列はy軸に沿って延びる。行及び列は、所定の規則(例えば、等しい角度間隔、等しい正弦値間隔など)に従って間隔をおいて、中心ビーム606からのx軸及びy軸に対応する方位に配置される。
【0048】
投射アーチファクトは、千鳥状のパターン(例えば、行又は列に沿ったすべての投射アーチファクトが平行にならないように各行又は列が隣接する行又は列からオフセットされている)で配置されてもよいし、連続したパターン(例えば、行又は列に沿ったすべての投射アーチファクトが平行になるように各行又は列が隣接する行又は列と整列している)で配置されていてもよい。
【0049】
投射アーチファクトのパターンが千鳥状であろうと連続的であろうと、パターンは規則的であり(すなわち、投射アーチファクトの配置は、ランダムではなく規則的である)、中心ビーム606によって生成された中心投射アーチファクト608から外方に延びていてもよい。中心投射アーチファクト608は、経度線610と緯度線612との交点に位置し、パターン602の「原点」と見なされてもよい。
【0050】
一例では、パターン602が中心投射アーチファクト608を中心とする球面604上に投射されているとき、パターン602は、図6Bに示すように、地球の赤道の真上から地球の経度(例えば、子午線)及び緯度(例えば、赤道)線を直接見ることに似た形状になり得る。
【0051】
図6Cは、平面に投射された図6A及び6Bの投射パターン602の側面図を示し、図6Dは、平面に投射された図6A及び6Bの投射パターン602の正面図を示す。
【0052】
図6Eは、図6A-6Dのパターン602が平面614に投射されたときの、図6A-6Dの投射アーチファクトの軌跡620の正面図を示す。図示されているように、軌跡620は重なり合っていない。
【0053】
図6Eはまた、投射点600に対するレンズ616の位置も示している。ベースライン618によって示されるように、投射点600は、レンズ616から半径方向又はx方向にある程度の距離aの位置にある。しかし、y方向においては、投射点600の位置とレンズ616との間の差はゼロである。言い換えれば、レンズ616及び投射点600は、例えば、投射点600が、撮像装置の光軸の方向において、レンズの撮像装置の主点(例えば、前結節点)と水平になるように、同じ平面内に取り付けられていてもよい。
【0054】
図7は、本開示の例示的な投射ビームアライメントを示す。特に、図7は、レンズ/撮像デバイスの前結節点700、第1の投射点702、及び第2の投射点702を含む距離センサの様々な構成要素を示している。
【0055】
図示されるように、前結節点700は、第1の投射点702及び第2の投射点702のそれぞれから(例えば、x軸に沿って)横方向の距離aだけ離れた位置に配置される。第1の投射点702及び第2の投射点702は、(例えば、z軸に沿って)前結節点700の後方に距離bだけ離れた位置に配置されている。さらに、第1の投射点702と第2の投射点702との間(及び距離センサの一部であり得る任意の他の投射点間)には、角度ωが定義されている。
【0056】
第1の投射点702を例にとると、第1の投射点702は、中心ビーム704を含む複数の光ビームを投射する。簡略化のために、中心ビーム704のみが図7に示されている。中心ビーム704は、複数のビームによって生成される投射パターンの中心投射アーチファクト706を生成する。単純化のために、中心投射アーチファクト706のみが図7に示されている。
【0057】
第1の投射点702に対する中心ビーム704の向きは、複数の角度によって記述されてもよい。例えば、中心ビーム704によって定義される平面708と、前結節点700の中心軸712及び第1の投射点702を通る放射状線710との間に角度αが定義されてもよい。
【0058】
回転軸εは、中心投射アーチファクト706の位置を調整するために、中心ビーム706をどのように回転させ得るかを示している。中心ビームは、y軸に沿った角度θ及び/又はx軸に沿った角度ηによって回転されてもよい。さらに、中心ビーム706と第1の投射点702を通る線との間に、前結節点700の中心軸712と平行な角度でδの角度が定義されている。
【0059】
図8は、センサから物体までの距離を計算するための例示的な方法800のフロー図を示す。一実施形態では、方法800は、図9に図示され、以下に論じられるように、撮像センサ(距離センサの任意の撮像センサなど)又は汎用コンピューティングデバイスに統合されたプロセッサによって実行されてもよい。
【0060】
方法800は、ステップ802で始まる。ステップ804では、投射パターンが、距離センサの投射点から物体に投射され得る。上述したように、投射パターンは、複数のビームが物体に入射したときに、投射アーチファクトのパターン(例えば、ドット、ダッシュ、X’sなど)が少なくとも撮像センサによって視認されるように、投射点から複数のビームを投射することによって作成されてもよい。このパターンは、投射アーチファクトが配置される(例えば、複数の行及び複数の列としての)長方形のグリッドを含み得る。
【0061】
また、上述したように、投射パターンの中心投射アーチファクトは、投射パターンの経度線(例えば、中心の列)と緯度線(例えば、中心の行)との交点に作成される。
【0062】
ステップ806において、経度線及び緯度線の少なくとも一方が投射される角度は、投射パターンの形状を調整するために所定の量だけ回転させてもよく、その結果、調整された投射パターンが物体に投射される。一例では、投射パターンの形状は、投射パターンが投射される物体の形状を補正するように調整される。例えば、物体が球形又は丸みを帯びた表面を有する場合、適切に調整されないと、投射パターンが歪んで見えることがある。この歪みは、いくつかの投射アーチファクトの軌跡が重なり合う原因となることがある。一例では、経度線は、第1の所定角度だけ元の位置から回転されてもよく、緯度線は、第2の所定角度だけ元の位置から回転される。第1の所定角度と第2の所定角度とは、等しくてもよいし、等しくなくてもよい。
【0063】
ステップ808では、物体の少なくとも1つの画像が撮影され得る。調整された投射パターンの少なくとも一部は、物体の表面上で視認可能であってもよい。
【0064】
ステップ810では、ステップ808で撮影された画像からの情報を使用して、距離センサから物体までの距離が計算されてもよい。一実施形態では、三角測量技術が距離を計算するために使用される。例えば、投射パターンを構成する複数の投射アーチファクトの間の位置関係を計算の基礎として使用することができる。
【0065】
方法800は、ステップ812で終了する。方法800は、距離センサの追加の投射点について(平行して、又は順次に)繰り返されてもよい。
【0066】
明示的に規定されていないが、上述した方法800のブロック、機能、又は操作のいくつかは、特定のアプリケーションのために格納、表示、及び/又は出力することを含み得ることに留意すべきである。言い換えれば、方法800で論じられた任意のデータ、レコード、フィールド、及び/又は中間結果は、特定のアプリケーションに応じて、別のデバイスに格納、表示、及び/又は出力することができる。さらに、決定操作を列挙する、又は決定を伴う図8のブロック、機能、又は操作は、決定操作の両方の分岐が実行されることを意味するものではない。言い換えれば、決定操作の結果によっては、決定操作の分岐のいずれかが実行されない場合がある。
【0067】
図9は、センサから物体までの距離を計算するための例示的な電子デバイス900の高レベルブロック図を描いている。このように、電子デバイス900は、距離センサなどの電子デバイス又はシステムのプロセッサとして実装されてもよい。
【0068】
図9に描かれているように、電子デバイス900は、例えば中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、又はマルチコアプロセッサなどのハードウェアプロセッサ要素902と、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)及び/又は読み取り専用メモリ(ROM)などのメモリ904と、センサから物体までの距離を計算するためのモジュール905と、例えばテープドライブ、フロッピードライブ、ハードディスクドライブ又はコンパクトディスクドライブを含むがこれらに限定されないストレージデバイス、受信機、送信機、ディスプレイ、出力ポート、入力ポート、及びキーボード、キーパッド、マウス、マイクなどのユーザ入力デバイスなどの様々な入出力デバイス906と、を含む。
【0069】
1つのプロセッサ要素が示されているが、電子デバイス900は複数のプロセッサ要素を採用してもよいことに留意すべきである。さらに、図には1つの電子デバイス900が示されているが、上記の方法が特定の例示的な例について分散型又は並列方式で実装される場合、すなわち、上記の方法のブロック又は方法全体が複数の又は並列の電子デバイスにわたって実装される場合、この図の電子デバイス900は、それらの複数の電子デバイスのそれぞれを表すことを意図している。
【0070】
本開示は、機械可読命令及び/又は機械可読命令とハードウェアとの組合せにより、例えば、特定用途集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含むプログラマブルロジックアレイ(PLA)、又はハードウェアデバイス上に配置されたステートマシン、汎用コンピュータ又は任意の他のハードウェア等価物を使用して実装することができ、例えば、上記で論じられた方法に関するコンピュータ可読命令は、上記で開示された方法のブロック、機能、及び/又は動作を実行するようにハードウェアプロセッサを構成するために使用され得ることに留意すべきである。
【0071】
一例では、センサから物体までの距離を計算するための現在のモジュール又はプロセス905のための命令及びデータ、例えば機械可読命令は、メモリ904にロードされ、方法800に関連して上で議論されたようなブロック、機能又は操作を実施するためにハードウェアプロセッサ要素902によって実行され得る。さらに、ハードウェアプロセッサが「操作」を実行するための命令を実行する場合、これは、ハードウェアプロセッサが直接操作を実行すること、及び/又は操作を実行するために、別のハードウェアデバイス又は構成要素、例えばコプロセッサなどを促進し、指示し、又は協働することを含み得る。
【0072】
上述の方法に関連する機械可読命令を実行するプロセッサは、プログラムされたプロセッサ又は特殊なプロセッサとして認識することができる。このように、本開示のセンサから物体までの距離を計算するための本開示のモジュール905は、有形又は物理的な(広くは非一時的な)コンピュータ可読記憶装置又は媒体、例えば、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ROMメモリ、RAMメモリ、磁気ドライブ又は光学ドライブ、デバイス又はディスケットなどに記憶することができる。より具体的には、コンピュータ可読記憶装置は、プロセッサ、又はコンピュータ又は安全センサシステムのコントローラなどの電子デバイスによってアクセスされるデータ及び/又は命令などの情報を格納する機能を提供する任意の物理デバイスを含み得る。
【0073】
上記に開示された特徴及び機能並びに他の特徴及び機能の変形、又はそれらの代替物は、他の多くの異なるシステム又はアプリケーションに組み合わせることができることが理解されよう。現時点で不測の又は予期されない様々な代替、修正、又は変更がその後行われる可能性があり、これらも以下の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
図1
図2
図3A-3C】
図3D
図4A-4C】
図5A-5B】
図5C-5E】
図5F
図6A-6B】
図6C-6D】
図6E
図7
図8
図9