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特許7565215自動車の画像センサー表面の洗浄乾燥システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】自動車の画像センサー表面の洗浄乾燥システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20241003BHJP
   B60S 1/62 20060101ALI20241003BHJP
   B08B 5/00 20060101ALI20241003BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20241003BHJP
   H04N 23/52 20230101ALN20241003BHJP
【FI】
G01S7/481 Z
B60S1/62 110B
B60S1/62 120B
B60S1/62 120C
B08B5/00 A
B08B3/02 F
H04N23/52
B60S1/62 110A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020536768
(86)(22)【出願日】2018-12-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-08
(86)【国際出願番号】 US2018067789
(87)【国際公開番号】W WO2019133773
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-12-01
(31)【優先権主張番号】62/612,362
(32)【優先日】2017-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516300944
【氏名又は名称】ディエルエイチ・ボウルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】dlhBOWLES Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】ヂァオ,チュンリン
(72)【発明者】
【氏名】ゴパラン,シュリダル
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-078688(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10016221(DE,A1)
【文献】特開2015-224032(JP,A)
【文献】特開2013-001246(JP,A)
【文献】特表2017-520443(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1534934(KR,B1)
【文献】国際公開第2012/138455(WO,A1)
【文献】特開2004-188315(JP,A)
【文献】特開昭50-156019(JP,A)
【文献】特開昭50-146917(JP,A)
【文献】特開2013-212480(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0272998(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
G01S 17/00 - 17/95
H04N 5/222 - 5/257
H04N 23/40 - 23/76
H04N 23/90 - 23/959
B60S 1/00 - 1/68
B05B 1/00 - 3/18
B05B 7/00 - 9/08
B08B 1/00 - 1/04
B08B 5/00 - 13/00
B08B 3/00 - 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のセンサー表面をクリーニングするためのセンサー表面クリーニングシステムであって、
入口と、出口とを有する通路が内部に形成され、前記通路の出口側部分が、スロート状になっている風乾燥ノズルアセンブリ本体と、
前記風乾燥ノズルアセンブリ本体の前記通路の前記出口の脇から外側に突出する一対の突出部材と
を含み、
前記一対の突出部材は、いずれも平板状で互いに対向するように配置され、それぞれ前記出口の近傍に吸気口を含み、
前記風乾燥ノズルアセンブリ本体の出口側の面における前記一対の突出部材の間には、スリットが形成され、前記通路の前記出口は、前記スリットの底に形成されたスロットであり、
前記出口から前記スリットを通して空気が噴射されると、前記空気が前記一対の突出部材に沿って扇形の空気流として広がるとともに、前記空気の噴射に伴い前記一対の突出部材の前記吸気口から前記一対の突出部材の間の空間に外部空気が吸い込まれ、
前記扇形の空気流の照準、センサー表面目標領域に定まるように、前記風乾燥ノズルアセンブリ本体がセンサー表面近傍に配置される、センサー表面クリーニングシステム。
【請求項2】
第1の供給洗浄液の流れから、扇形の洗浄液の噴霧を生成するように構成された洗浄ノズルアセンブリをさらに含み、
前記扇形の洗浄液の噴霧の照準が、前記センサー表面目標領域に定まるように、前記洗浄ノズルアセンブリがセンサー表面近傍に配置される、請求項1に記載のセンサー表面クリーニングシステム。
【請求項3】
前記扇形の洗浄液の噴霧と前記扇形の空気流との両方の照準が、前記センサー表面目標領域に定められている、請求項2に記載のセンサー表面クリーニングシステム。
【請求項4】
前記風乾燥ノズルアセンブリ本体は、ハウジング部材内に配置され
前記ハウジング部材は、照準固定具に回転可能かつ旋回可能に取り付けられている、請求項1~3の何れか一項に記載のセンサー表面クリーニングシステム。
【請求項5】
前記風乾燥ノズルアセンブリ本体は、車両の外側部分に配置されている、請求項1~4の何れか一項に記載のセンサー表面クリーニングシステム。
【請求項6】
入口と、出口とを有する通路が内部に形成され、前記通路の出口側部分が、スロート状になっている風乾燥ノズルアセンブリ本体と、
前記風乾燥ノズルアセンブリ本体の前記通路の前記出口の脇から外側に突出する一対の突出部材と
を含み、
前記一対の突出部材は、いずれも平板状で互いに対向するように配置され、それぞれ前記出口の近傍に吸気口を含み、
前記風乾燥ノズルアセンブリ本体の出口側の面における前記一対の突出部材の間には、スリットが形成され、前記通路の前記出口は、前記スリットの底に形成されたスロットであり、
前記出口から前記スリットを通して空気が噴射されると、前記空気が前記一対の突出部材に沿って扇形の空気流として広がるとともに、前記空気の噴射に伴い前記一対の突出部材の前記吸気口から前記一対の突出部材の間の空間に外部空気が吸い込まれる、エアノズルアセンブリ。
【請求項7】
前記風乾燥ノズルアセンブリ本体は、第1のノズル部材と、第2のノズル部材とを含み、
前記第1のノズル部材が、前記第2のノズル部材と当接し、それらの間に、前記第1及び第2のノズル部材の当接面に形成されたトラフ又は溝によって前記通路が形成されている、請求項6に記載のエアノズルアセンブリ。
【請求項8】
前記第1のノズル部材は、前記第2のノズル部材に対して対称である、請求項7に記載のエアノズルアセンブリ。
【請求項9】
前記入口、前記通路、ならびに前記出口は、共通の中心流動軸に沿って整列している、請求項6~8の何れか一項に記載のエアノズルアセンブリ。
【請求項10】
前記一対の突出部材の前記吸気口から吸い込まれた前記外部空気を、前記出口からの空気流と結合するように構成されている、請求項6~の何れか一項に記載のエアノズルアセンブリ。
【請求項11】
前記通路の前記出口側部分は、前出口からの空気流の加速を助ける形状を有する、請求項6~10の何れか一項に記載のエアノズルアセンブリ。
【請求項12】
前記通路の出口側端部は、球形または矩形の形状を有する、請求項11に記載のエアノズルアセンブリ。
【請求項13】
前記一対の突出部材は、互いにほぼ対称である、請求項~12の何れか一項に記載のエアノズルアセンブリ。
【請求項14】
前記スリットは、前記入口から前記出口へ向かう方向に、前記通路から延び、かつ前記通路と整列されている第1のプラットフォーム表面第2のプラットフォーム表面の間に形成され
前記第1のプラットフォーム表面は、前記第2のプラットフォーム表面から垂直方向に離間され、前記第1及び第2のプラットフォーム表面の各々が、前記共通の中心流動軸に直交し、かつ前記垂直方向に直交する方向に細長い形状を有している、請求項9を引用する請求項10~13の何れか一項に記載のエアノズルアセンブリ。
【請求項15】
前記吸気口は、前記一対の突出部材の一方に形成された第1の吸気口と、前記一対の突出部材の他方に形成された第2の吸気口とを含み、
前記第1のプラットフォーム表面及び前記第2のプラットフォーム表面は、ほぼV字形構成を形成し
前記第1及び第2のプラットフォーム表面は、前記一対の突出部材の内面よりも内側にある、請求項14に記載のエアノズルアセンブリ。
【請求項16】
前記吸気口は、前記一対の突出部材の一方に形成された第1の吸気口と、前記一対の突出部材の他方に形成された第2の吸気口とを含み、
前記第1の吸気口は、前記第2の吸気口に対してほぼ対称な形状であり
前記第1及び第2の吸気口は、互いにほぼ垂直方向に整列、かつ、前記スリットに隣接してい、請求項6~14の何れか一項に記載のエアノズルアセンブリ。
【請求項17】
前記吸気口は、前記一対の突出部材の一方に形成された第1の吸気口と、前記一対の突出部材の他方に形成された第2の吸気口とを含み、
前記第1及び第2の吸気口は、前記入口から前記出口へ向かう方向において、前記第1及び第2のプラットフォーム表面とそれぞれ整列され、かつ前記第1及び第2のプラットフォーム表面にそれぞれ隣接している、請求項14に記載のエアノズルアセンブリ。
【請求項18】
前記吸気口は、前記一対の突出部材の一方に形成された第1の吸気口と、前記一対の突出部材の他方に形成された第2の吸気口とを含み、
前記第1及び第2の吸気口は、細長い形状に形成され、その長さは、記スロットの長手方向の長さよりも長い、請求項6~14の何れか一項に記載のエアノズルアセンブリ。
【請求項19】
入口と、出口とを有する通路が内部に形成され、前記通路の出口側部分が、スロート状になっている風乾燥ノズルアセンブリ本体と、前記風乾燥ノズルアセンブリ本体の前記通路の前記出口の脇から外側に突出する一対の突出部材とを含むエアノズルアセンブリであって、前記一対の突出部材が、いずれも平板状で互いに対向するように配置され、それぞれ前記出口の近傍に吸気口を含み、前記風乾燥ノズルアセンブリ本体の出口側の面における前記一対の突出部材の間には、スリットが形成され、前記通路の前記出口は、前記スリットの底に形成されたスロットであり、前記出口から前記スリットを通して空気が噴射されると、前記空気が前記一対の突出部材に沿って扇形の空気流として広がるとともに、前記空気の噴射に伴い前記一対の突出部材の前記吸気口から前記一対の突出部材の間の空間に外部空気が吸い込まれ、前記入口、前記通路、ならびに前記出口が、共通の中心流動軸に沿って整列しているエアノズルアセンブリを作成する方法であって、
前記中心流動軸に沿ってトラフ又は溝が形成された通路支持面を有する、ノズルインサート半体である第1のノズル部材を準備し、
前記中心流動軸に沿ってトラフ又は溝が形成された通路支持面を有する、ノズルインサート半体である第2のノズル部材を準備し、
各ノズルインサート半体のトラフ又は溝が相手方のノズルインサート半体のトラフ又は溝と位置合わせされるように、前記第1のノズル部材と前記第2のノズル部材とを一つに固定して、通路を有する前記エアノズルアセンブリを形成すること
を含む、方法。
【請求項20】
前記第1のノズル部材は、位置決めピン及び位置決めピン受入れソケットを含み、前記第2のノズル部材は、位置決めピン及び位置決めピン受入れソケットを含み、前記第1のノズル部材と前記第2のノズル部材がほぼ対称となるように構成され、
前記固定することは、
ノズル部材の位置決めピンを対向する受入れソケットに押し込み、それによって、各ノズルインサート半体のトラフ又は溝が、相手方のノズルインサート半体のトラフ又は溝と位置合わせされるようにし、前記第1のノズル部材と前記第2のノズル部材とを一つに固定し、前記通路を有する前記エアノズルアセンブリを形成すること
を含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2017年12月30日に出願された「Automotive Image Sensor Surface Washingand Drying system including a Large Coverage Drying Air Nozzle Assembly adaptedfor use with 2-D image sensors and 3-D image systems such as LIDAR systems onvehicles and Method for Making and Aiming Washing and Drying Nozzles」と題する米国仮出願第62/612,362号に対して優先権と利益を主張するものであり、この米国仮出願の開示全体が、参照により本明細書に組み込まれる。この出願は、センサーの対物レンズ表面の洗浄システム及び方法に関する、出願人が共通に所有する次の特許出願にも関連している。すなわち、2011年3月10日に出願された米国仮出願第61/451,492号、2012年3月12日に出願されたPCT出願第PCT/US12/28828号、2013年11月21日に出願された米国特許出願第14/086,746号、2014年4月11日に出願された米国仮出願第61/978,775号、及び米国特許出願公開第2017/0036647号として公開された米国特許出願第15/304,428号である。これらの開示全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
開示の分野
本開示は、汚れた環境にさらされる構成で取り付けられた場合のLIDAR(ライダー:光による検知と測距)センサーの対物レンズのような、汚れた外部画像センサーの表面をクリーニングし、乾燥させるための自動化された、又は遠隔制御による方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ドライバーの視界を向上させ、安全性を向上させるために、外部ビュー(例えば、フロントバンパー、サイドビュー、リアビュー、又はバックアップ)2D撮像システムが、RV車や自動車に追加されている。図1A及び図1Bは、(Bingle他に付与された米国特許第7,965,336号に開示されている)支援カメラシステムを備えた車両の一例を示している。このようなカメラシステムは、路面の汚れを蓄積する外部対物レンズ表面を有し、出願人の先の研究(例えば、「Integrated Multi Image Sensor and Lens Washing Nozzle Assembly andMethod for Simultaneously Cleaning a Plurality of Image Sensors」と題する米国特許出願公開第2017/0036647号)に記載したように、クリーニングを必要とする。図1Cに示されるように、例えば、既存のフロントガラス洗浄システム202(「フロントウォッシュ」)やリアウィンドウ洗浄システム200(「リアウォッシュ」)は、洗浄液リザーバとポンプシステムとを使用して、加圧洗浄液を供給する必要がある。ウォッシャータンク又はリザーバ206は、通常、内部ポンプ208を含み、内部ポンプ208を作動させることにより、リザーバ206から洗浄液を引き出し、加圧された液を導管網210(例えば、管腔、管、又はホースを含む)に供給し、導管網210が、レンズ洗浄ノズルアセンブリ100からフロントガラス洗浄ノズル212及びリアウィンドウ洗浄ノズル214に供給する。
【0004】
出願人の外部カメラレンズウォッシャーは、レンズクリーニングを大幅に改善したが、ウォッシャー液の液滴が、ときどき画像センサーの視野内に残ることがある。自動車の設計者は、車両経路上の物体を検出し、物体との衝突を回避することにより、自動運転や、画像センサーを使用してドライバーが操縦する車両の安全性を高めることが可能な車両に、大きな開発努力を注いできた。現代の安全システムとしては、3D画像生成や物体検出システムによる、衝突回避システムやアダプティブ・クルーズ・コントロールが挙げられる。3D画像生成と物体の識別、物体の追跡、道路の危険回避、及び短距離自動車衝突回避などの応用事例は、車両の本体パネルに取り付けられたハウジング内に組み込まれた、レーザートランスミッター、レーザーセンサー、及びデジタルプロセッサを備えた3D(例えば、LiDAR)センサーアセンブリを含むことがある。半自動運転車や全自動運転車に適した3D(例えば、LIDAR)センサーアセンブリの種々の例(例えば、Lipsonに付与された米国特許第9,831,630号やStettner他に付与された米国特許第9,834,209号参照)があり、それらは、汚れやすい外部カバー表面や対物レンズ表面をさらに備えている。例えば、図1D図1E図1F、及び図1Gに示されるように、LIDARセンサー10は、システム80内でアレイ30を成して使用されるように容易に構成され、各センサーシステムは、レンズ94、110を介して動作する、レーザーエミッタ及び反射レーザーエネルギーレシーバを含む。
【0005】
出願人自身が所有するようなカメラ洗浄ノズルは、ウォッシャー液を噴霧することにより、3D画像(例えば、LIDAR)センサーのレンズ表面から汚れや他の付着物を取り除くように構成される場合がある。しかしながら、ウォッシャー液の液滴が外部レンズ表面に残っていると、放射又は反射されたレーザーエネルギーが乱され、センサーの有効性は低下する。そのため、外部レンズ表面から液滴を除去し、又は外部レンズ表面を乾燥させるための、何らかの方法又は装置が必要とされる。レンズ表面からウォッシャー液の液滴を乾燥させるために使用される一般的な従来技術のエアノズルは、ジェットノズル又はせん断ノズルとして構成されるが、どちらも、極度に狭い有効到達範囲であるという制限がある。何れの乾燥システムも、空気の供給源をさらに必要とすること、及び、車両設計には常に、軽量、省スペース、及び低コストの要求があることから、空気の流速、大型の高価なコンプレッサー、又は複数のノズルに対して過剰な要件を有するシステムは、現代の自動車(例えば、図1Fに示した46)での使用には、適さないことになる。図1Fに示したように、複数のセンサーを使用する場合、外部センサー表面を乾燥させるために必要な空気が、大きな課題となる。大量の空気が必要な場合、ある種の車載ブロワーや車載式圧縮空気貯蔵システムから、空気流を生成しなければならない。ほとんどの乗用車は、圧縮空気システムを備えていない。圧縮空気システム(コンプレッサーと、通常はアキュムレーターをさらに含む)の追加は、車両への追加コスト、パッケージ空間、及び複雑さといった幾つかの理由から、費用がかかり、面倒である。
【0006】
エアドライヤーのノズルは通常、かなりの空気の流速(例えば、30LPM)を必要とする。センサー表面の近くの周囲空間に向かって放出された空気は、急速に拡散される。さらに、この空気流の質量は、複数回のブロー動作を必要とせずに、残っているウォッシャー液の液滴の質量に打ち勝つだけの十分な大きさでなければならない。大量の空気を必要とすることは、クリーニングと乾燥を必要とする多くのセンサー(例えば、30から40ものセンサー)を備えた比較的新しい高性能の車両では、特に厄介である。図1Fに示したシステムのような応用事例では、必要な空気の量は、驚異的である。その空気を得るために利用可能な供給源(例えば、12V~40Vのオンボードコンプレッサー)は、せいぜいその程度の量の空気しか供給できないため、従来技術のシステムを使用した場合、要求される圧力及び流速では、不十分である。
【0007】
ウォッシャーやドライヤーが2D又は3Dの画像センサーの視野内に配置された場合、それらは、通常ならばセンサーが監視可能であろう領域のかなりの部分を妨げる可能性がある。センサー洗浄の応用事例に影響を与える3つ目の制約は、センサーは、フロントグリルやリアリフトゲートのような通常のウォッシャーノズルの取り付け場所よりも、汚染レベルが高い車両の領域に配置されることが多い点である。これらの場所にあるウォッシャーやドライヤーのノズルは、センサーを遮っているものと同じ物質によって詰まる危険性が高くなる。したがって、車両の外部対物レンズや画像センサーの外部表面をクリーニングし、その後、乾燥させるための経済的で効率的で視覚的に目立たないシステム及び方法が必要とされている。
【0008】
概要
したがって、本開示の目的は、画像センサーの外部レンズ表面又は3Dセンサー(例えば、LIDAR)の外部表面をクリーニングし、その後、乾燥させることにより、蓄積された堆積物(例えば、蓄積されたほこり、塵、泥、道路塩、又は他の積み上がった堆積物)を取り除き、クリーニング動作が完了した後に残っている液滴を乾燥させ、又は除去するための経済的かつ効果的で目立たないシステム及び方法を提供することによって、上記の困難を克服することである。
【0009】
本開示の例示的実施形態によれば、外部レンズ表面洗浄乾燥システムは、(a)画像センサーの外部レンズ表面又は3Dセンサー(例えば、LIDAR)の外部表面に噴霧して、汚れや堆積物を洗い流し、その後、(b)扇形の乾燥空気流を効率的に生成し、表面に照準を定め、洗浄後に残っている水滴を乾燥させ、又は除去するように構成された照準固定具を含む、複数の構成を有する。
【0010】
本開示のシステム及び方法は、ハウジングを構成し、画像センサーの外部レンズ表面又は3Dセンサー(例えば、LIDAR)の外部表面を乾燥させることを目的とする、新規な低流量のエアノズル設計を含む。せん断ファン幾何形状を使用するが、本開示では、せん断ファン生成ノズルは、せん断ファン生成ノズルアセンブリの出口オリフィスの近くに配置された複数(例えば、第1及び第2)の巻き込み空気入口ポートを有するように構成される。その結果、巻き込みにより、せん断ファン生成ノズルの出口の流速は、入口の流速よりもはるかに大きくなり、そのクリーニング/乾燥の効率は、大幅に向上する。出力ファンも、非常に厚くなる。これは、出力有効到達範囲が非常に広くなることを意味する。2つの同一の成形部品からノズルインサートを作成する簡単で低コストの製造方法も、開示する。この新しい風乾燥ノズルの幾何形状は、水、油、又他の流体を用いて噴霧を生成するのにも役立つ。
【0011】
本開示の上記及びさらなる目的、特徴及び利点は、その特定の実施形態に関する以下の詳細な説明を考慮したときに、特に、添付の図面を併せて考慮したときに、明らかになるであろう。添付の図面では、様々な図において、同様の参照符号は、同様の構成要素を指し示すのに使用されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】従来技術による、米国特許第7,965,336号(Bingle他)に開示されているような支援カメラシステムを備えた車両の後方斜視図を示している。
図1B図1Aの平面図である。
図1C】出願人の従来技術による、撮像システムの外部対物レンズ表面をクリーニングするように構成されたノズルアセンブリを有する自動車用撮像システムを示す概略図である。
図1D】従来技術による、自動車の応用事例で使用するためのLIDAR3D撮像システムを示す図である。
図1E】従来技術による、自動車の応用事例で使用するためのLIDAR3D撮像システムを示す図である。
図1F】従来技術による、自動車の応用事例で使用するためのLIDAR3D撮像システムを示す図である。
図1G】従来技術による、自動車の応用事例で使用するためのLIDAR3D撮像システムを示す図である。
図2A】本開示による、扇形の乾燥空気流を効率的に生成し、表面に照準を定めることにより、洗浄後に画像センサーの外部レンズ表面又は3Dセンサー(例えば、LIDAR)の外部表面に残っていることがある水滴を乾燥させ、又は除去するように構成された、外部レンズ表面洗浄乾燥アセンブリシステムのための風乾燥ノズルアセンブリの断面図である。
図2B】本開示による、外部レンズ表面洗浄乾燥アセンブリシステムのための風乾燥ノズルアセンブリの一実施形態を示す斜視図である。
図2C】本開示による、外部レンズ表面洗浄乾燥アセンブリシステムのための風乾燥ノズルアセンブリの一実施形態を示す斜視図である。
図3】本開示による、外部レンズ表面洗浄乾燥アセンブリシステムの一実施形態を示す斜視図である。
図4】本開示による、外部レンズ表面洗浄乾燥アセンブリシステムのための風乾燥ノズルアセンブリの一実施形態を示す斜視図である。
図5】本開示による、外部レンズ表面洗浄乾燥アセンブリシステムのための風乾燥ノズルアセンブリの一実施形態を示す拡大斜視図である。
図6A】本開示による、外部レンズ表面洗浄乾燥アセンブリシステムのハウジング内の照準固定具の一実施形態を示す斜視図である。
図6B図6Aの照準固定具のノズルインサート部材を示す斜視図である。
図6C図6Aの照準固定具のノズルインサート部材を示す斜視図である。
図7】本開示による、外部レンズ表面洗浄乾燥システムの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
好ましい実施形態の説明
車両の2D又は3D撮像システムの命名法
例示的文脈及び基本的命名法を提供するために、まず、図1A図1Gを参照する。これらは、米国特許第7,965,336号(Bingle他)及び米国特許第9,831,630号(Lipson)に開示されているような従来技術による2D及び3D撮像システムを示している。これらの参考文献は、先行技術に従って命名法及び自動車業界の標準的用語を確立するために、本明細書に組み込まれる。
【0014】
次に、図1A図1Bを参照すると、2D画像取込みシステム又はカメラシステムは、車両8に配置され、例えば車両8の後方外側部分8aに配置され、車両の内部や外部に発生するシーン、例えば車両の後方の画像を取り込み、その画像を車両の表示装置や表示システム9aに表示するように動作可能であり、車両のドライバーや乗員は、表示装置や表示システム9aを見ることができる(例えば、図1A及び図1B参照)。撮像システムは、車両の外部や内部に発生するシーンの画像を受け取るために車両上に、車両に、又は車両内に取り付け可能なカメラモジュール10と、カメラモジュール10内の画像センサーによって取り込まれた画像を処理するように動作可能な制御装置9bとを含む。
【0015】
車両8の後部8aに示されているが、カメラモジュール10は、車両8の任意の適当な場所に配置されてよく、例えば、車両のリアパネル若しくは後部、車両のサイドパネル若しくは側部、車両のナンバープレート取り付け領域、車両の外部ミラーアセンブリ、車両の内部バックミラーアセンブリ、または、車両の外部や内部に発生するシーンの望ましい眺めが得られるようにカメラを配置し、方向付けることが可能な他の場所に配置される場合がある。カメラに取り込まれた画像は、車両のキャビン内に配置された表示画面等に表示されてよく、表示画面等は、例えば、米国特許第5,550,677号;5,670,935号;5,796,094号;6,097,023号、6,201,642号、及び/又は米国特許米国特許第6,717,610号に開示された原理を使用することにより、車両キャビン内若しくは車両キャビンのルームミラーアセンブリ(米国特許第6,690,268号に開示されているようなもの)又はどこか他の場所に配置される場合がある。
【0016】
次に、図1Cのシステム図を参照すると、レンズ洗浄システムは、多くの自動車及び他の車両(例えば、8)に含めるためにすでに仕様が定められた標準的洗浄液ポンプ装置と一体化されている。図1Cから最もよくわかるように、既存のフロントガラス洗浄システム(「フロントウォッシュ」)又はリアウィンドウ洗浄システム(「リアウォッシュ」)を有するように構成された車両(例えば、8)は、洗浄液リザーバとポンプシステムとを使用して、加圧洗浄液の供給を行わなければならない。ウォッシャータンク又はリザーバ206は、通常、内部ポンプ208を含み、内部ポンプ208を作動させることにより、リザーバ206から洗浄液を引き出し、加圧された液を導管網210(例えば、管腔、管又はホースを含む)に供給し、導管網210が、フロントガラス洗浄ノズル212及びリアウィンドウ洗浄ノズル214に供給する。本開示の一実施形態によれば、本開示のシステムは、ドライバーの制御入力に応答して、又は自動的に、外部レンズの洗浄乾燥機能を作動させる。
【0017】
次に、図1D図1Gを参照すると、本開示のシステム及び方法は、米国特許第9,831,630号に記載され、例示されたタイプの3D画像生成システム及び物体検出システムを使用する自動運転車や半自動運転車にもよく適している。なぜなら、それらは、汚れやすい外部カバー表面又は対物レンズ表面をさらに備えているからである。例えば、図1D図1E図1F及び図1Gに示されているように、LIDARセンサー10Bは、システム80内でアレイ30を成して使用されるように容易に構成され、複数のLIDARセンサー10Bが、車両46の周囲に並べられている。各センサーシステムは、レンズ94、110を介して動作する、レーザーエミッタ及び反射レーザーエネルギーレシーバを含む。
【0018】
一体型センサー表面洗浄乾燥システム
次に、例示的実施形態を詳しく参照すると、それらの例が、添付の図面に示されている。他の実施形態が使用されてもよいし、構造的及び機能的な変更が行われてもよいことを理解されたい。さらに、様々な実施形態の特徴を、組み合わせたり、変更したりしてもよい。したがって、以下の説明は、例としてのみ提示されるものであり、例示された実施形態に対して行われ得る様々な代替や修正を、何ら制限するものではない。
【0019】
本明細書で使用される場合、「例」及び「例示的」という語は、実例又は例示を意味している。「例」又は「例示的」という語は、重要又は好ましい局面又は実施形態を示すものではない。「または」という語は、文脈からそうではないと示唆されない限り、排他的ではなく包括的であることを意図している。例として、「AはB又はCを使用する」という句には、任意の包括的順列(例えば、AがBを使用すること、AがCを使用すること、又はAがBとCの両方を使用すること)が含まれる。
【0020】
全図を通して、類似の参照符号が使用される。したがって、システム又はアセンブリの機能がすべての図で同一であってよい場合であっても、図によっては、選択された要素のみが示される。同様に、本開示の特定の態様がそれらの図に示されているが、以下で説明されるように、他の態様及び配置も可能である。
【0021】
次に、図2A図6Cを参照すると、本開示によれば、外部レンズ表面洗浄乾燥システム500は、風乾燥ノズルアセンブリ512を支持するとともに、その照準を定めるように構成された照準固定具510を含む。風乾燥ノズルアセンブリ512は、扇形の乾燥空気流520を効率的に生成し、その照準を定めるように構成される。扇形の乾燥空気流520は、洗浄後に画像センサーの外部レンズ表面又は3Dセンサー(例えば、LIDAR)の外部表面530に残っていることがあるウォッシャー液噴霧ノズル514からの水滴を、素早く乾燥させ、又は除去する。
【0022】
上記のように、例えばLIDARシステムの外部レンズ表面(図3及び図7)を洗浄し(又は雨にさらし)、その後、水滴を取り除こうとする場合、克服しなければならない幾つかの課題がある。カメラウォッシャー液噴霧ノズルアセンブリ514を使用して、ウォッシャー液を噴霧することにより、レンズやセンサー表面530から汚れや他の付着物を取り除く場合、これらの液滴を乾燥させ、または除去するために必要な風乾燥ノズルアセンブリ512は、十分な有効到達範囲を有していなければならない。上記のように、従来技術のジェットノズル及びせん断ノズルは、不十分な有効到達範囲しか有していないため、過剰な量の乾燥空気を消費しなければならない。図3及び図7は、1つの風乾燥ノズルアセンブリ512及び1つのウォッシャー液噴霧ノズルアセンブリ514のみを示しているが、車両上の同じ場所に、又は複数の場所に、512と514の何れか一方、又は両方が、複数あってもよいことに留意されたい。
【0023】
以下に含まれる開示から明らかになるように、本発明の風乾燥ノズルは、強力な狭い扇形の乾燥空気流520を効率的に生成し、照準を定めることによって、従来技術のノズルに関連する課題を克服する。この風乾燥ノズルの効率は、一つには、出口の床の上部と下部の位置に、巻き込み空気吸気口(例えば、第1及び第2の吸気穴542、544)を含めることにより、出口オリフィス546を通過した入口空気流518と結合された2つの周囲空気流552、554を巻き込むことによって得られる。巻き込み周囲空気流552、554は、遠位突出部材534、536の間で、処理された入口空気流518と結合し、乾燥空気ファン520をもたらす。この空気の巻き込みの利点は、出力ファン520が厚くなり、出口流速が入口流速よりも非常に大きくなることである。したがって、同じ入口流動条件(流速、寸法など)でも、有効到達範囲は、大幅に拡大される。巻き込みによる流速によって、ファン520のクリーニング能力は、従来技術のブロワーノズルよりも大幅に向上する。
【0024】
本開示の構造及び方法は、入口条件(流速、寸法など)を変更することなく、扇形の乾燥空気流520の有効出力到達範囲を拡大する新規の方法を提供する。図2Aは、風乾燥ノズルアセンブリ512の断面を示す図である。風乾燥ノズルアセンブリ512は、流体ノズル514からウォッシャー液によるクリーニングが行われた後、巻き込み空気の流れを取り込んで、LIDARレンズ530を乾燥させるために使用することを意図したものである。この乾燥空気出力ファン520は、約90°の幅及び約20°の厚み(図2A及び図2Cから分かるように、上から下まで)を有する場合がある。入口流速は、ノズル部材入口540が25psiであるときに、約20L/分である場合がある。図2Bに示されるように、巻き込み周囲吸込み空気流552、554は、遠位突出部材534、536の上部吸気口及び下部吸気口542、544を通り、中央通路558及び出口オリフィス又はスロート546を通って遠位方向に押し出された供給入口空気流518と結合される。巻き込み入口ポート542、544を介して取り込まれた巻き込み周囲空気流552、554は、ノズル部材入口540からの入口流速の約60%に達する場合がある。乾燥空気出力ファン520は、空気巻き込み効果によって、非常に厚くなる。したがって、扇形の空気流520の有効到達範囲は、空気の巻き込みによって非常に広くなる。
【0025】
図2Aに示されるように、風乾燥ノズルアセンブリ512は、本体又はノズルインサート部材532を含み、本体又はノズルインサート部材532は、供給された入口空気流518(または、同じ作用を持つウォッシャー液除去ガス若しくは乾燥ガス)を受け取る中央通路558と連通している管腔開口部又は入口540を画定する円筒形状を有する場合がある。本体532は、様々な構成又は形状を有する場合があり、この開示は、本明細書では限定されない。中央通路558及び管腔入口540は、中心流動軸CLに対して整列され、近位の入口540から遠位に配置された出口スロート又はオリフィス546へ向かう風乾燥ノズルアセンブリの流体の流れに対し、透明で障害物のない管腔を提供することができる。これらの特徴はそれぞれ、中心流動軸CLに沿って定義される場合がある。出口スロート又はオリフィス546を越えたノズル本体532の遠位部分は、第1及び第2の実質的に平坦な遠位突出部材534、536を画定している。遠位突出部材534、536は、互いに対向する実質的に平坦な床面556であって、それらの間に画定されたスロート孔546から遠位に押し出される空気を導き、照準を定める床面556を画定している。
【0026】
好ましくは、風乾燥ノズルアセンブリ512は、風乾燥ノズルインサート部材若しくは本体532、又は複数のインサート部材560(図6A図6Cを参照)を含む。これらは、照準固定具510、又はインサート受入れソケット若しくはチャンバ550(図4図6C参照)内に、摺動可能に受け入れられ、保持される場合があり、インサート受入れ開口部と、乾燥空気ファン520の中心照準軸と一致する軸に沿って整列された中心軸とを含む場合がある。インサート受入れソケット又はチャンバ550は、加圧空気又は乾燥ガスの供給源と連通している場合がある。加圧空気又は乾燥ガスは、ノズルインサート部材の入口管腔を通ってスロートに向かって遠位方向に流れ、乾燥空気又はガスの排気流520を生成し、液滴を蒸発、または移動させることができる。インサート受入れソケット又はチャンバ550は、風乾燥ノズルインサート(例えば、532、560)を受け入れ、支持するための空洞部又はソケットを有するコンフォーマルで実質的に剛性のインサート受入れハウジングを画定している。この空洞部は、風乾燥インサート又はチップ部材を受け入れ、乾燥空気ファン軸の中心に沿って照準を定めるように構成され、位置決めされている。チャンバ550は、照準固定具510内に調整可能に挿入される場合があり、風乾燥ノズルアセンブリ512の角度位置は、要望に応じて、照準固定具510内で旋回又は回転されてもよい。
【0027】
使用時には、ノズル部材の入口540からの入口空気流518が、通路558を通り、さらに出口オリフィス又はスロート546の開放スロット559を通って移動する。入口空気流518は、開放スロット559を出ると、開放スロット559から遠位方向にあり、かつ開放スロット559に隣接する巻き込み口542、544を介して巻き込まれた空気と合流する。図2Aに示した実施形態では、スロート546は、開放スロット559が内部に画定された球状の端部出口548を含み、入口空気流518を、開放スロット559から遠位方向に加速させ、吸気口542、544からの巻き込み空気流552、554と結合させ、図2Cに示したような乾燥空気のスプレッドシート520を生成することを、助けることができる。図2Bに示した別の実施形態では、出口オリフィス又はスロート546は、矩形の端部出口548‘を有する場合がある。矩形の端部出口548‘は、図6A図6Cのノズルインサート部材560の容易な製造及び位置合わせが可能となる5度の抜き勾配を有する出口半径を有する場合がある。特に、端部出口548の形状及び構成は非限定的である。
【0028】
図2A図2Bの両方の実施形態において、出口オリフィス又はスロート546は、端部出口548、開放スロット559、並びに、第1のプラットフォーム表面570及び第2のプラットフォーム表面572を含む場合がある。これらのプラットフォーム表面570、572は、通路558から延び、遠位側において通路558と整列されている。第1のプラットフォーム表面570は、第2のプラットフォーム表面572から離間され、ノズルインサート部材532に沿って、中心軸CLに対してほぼ垂直に延びている場合がある。第1のプラットフォーム表面570及び第2のプラットフォーム表面572は、ほぼV字形構成を形成するように互いにわずかな角度を有し、かつ、開放スロット559と整列される場合がある。プラットフォーム表面570、572は、遠位突出部材534、536の入口ポート542、544及び平坦な床面556から、それぞれ半径方向に離間されている場合がある。この構成により、巻き込み空気流552、554は、ポート542、544を通って流れることができ、開放スロット559を通って供給され、さらにプラットフォーム表面570、572の間を通過した後の空気流と結合することができる。
【0029】
さらに、上部、すなわち第1の吸気口542は、底部、すなわち第2の吸気口544に類似した形状の開口部を有することができる。第1及び第2の吸気口542、544は、互いに概ね対称的に整列される場合があり、さらに、開放スロット559に対しても、整列され、中心合わせされる場合がある。さらに、吸気口542、544は、プラットフォーム表面570、572にも整列され、プラットフォーム表面570、572に隣接している場合がある。吸気口542、544は、開放スロット559の幅よりも広い幅を有する細長い形状を有する場合がある。これらの幅は、中心軸CLに対して概ね横方向である。
【0030】
空気の巻き込みがなければ、乾燥空気ファンは、薄いシートになるであろう。空気取入れ口(図2Aに示した542、544)を通る空気の巻き込みがあると、扇形の乾燥空気流520は、非常に厚くなる。厚いファンの利点は、クリーニング/乾燥目標530上の有効到達範囲を拡大できることである。上記のように、図3は、風乾燥LIDARレンズ530におけるこの開示の応用事例を示している。さらに、本開示の方法によれば、ウォッシャーノズル514が、ウォッシャー液を噴霧することによりレンズ530をクリーニングし、風乾燥ノズルアセンブリ512が、広くて厚い扇状の高速空気520を吹き付けることにより、残っているウォッシャー液の液滴を乾燥させ、又は除去する。好ましくは、洗浄ノズル514から洗浄のために噴霧された流体と、乾燥空気ファン520との両方が、レンズ530上の同じ目標領域に照準を定められ、実質的に等しくてもよいファン幅(例えば、>80°)を有する。この応用事例では、液体ファンと空気ファンとの両方の出力厚(上から下までの噴霧厚を意味する。)が、20°よりも大きいことが好ましい。出願人の試作品開発では、好ましい空気入口流速は、25psiのときに20L/分である。遠位突出出口床部材に配置された巻き込み入口ポート、すなわち空気穴542、544から巻き込まれた空気によって、空気出力流速は、驚くほど大きくなり、効果的な32L/分となる場合がある。出願人の初期開発テストでは、その風乾燥ノズルアセンブリ512からの2秒間の空気の吹き付けの後、大きな液滴(例えば、直径>2mm)は、レンズ表面530に残されない。さらに、図2Aは、突出部材534、536の床面556が、乾燥空気ファンのパターンに影響を与えると思われる幅を有することを示している。扇形の乾燥空気流520の所望の均一な出力パターンを達成するために、各遠位突出部材534、536の(インサート部材532の中心軸を横切る)幅と、出口オリフィス又はスロート546(図5に示されている)の開放スロット559の幅との比は、好ましくは、約3:1である。
【0031】
風乾燥ノズルアセンブリ512のインサート部材(例えば、532)は、図2Aに示されるように一体に成形されてもよいし、あるいは、図6A図6Cに示されるように複数の部品から組み立てられてもよい。出口オリフィスまたはスロート546における球形の端部出口548の形状は、製造上、金型の制約から、形成が難しい場合がある。図4及び図5から最もよく分かるように、スロート幅は、好ましくは、約1.2mmである。出口又は出口オリフィスを画定しているスロートにおけるバリは、扇形の乾燥空気流520の出力パターンに悪影響を及ぼす可能性が非常に高い。図6A図6B及び図6Cは、2つの半体、すなわちノズルインサート半体部材560から風乾燥ノズルアセンブリ512を成形及び製造するための驚くほど効率的な代替方法を示している。2つの半体、すなわちノズルインサート半体部材560は、個別に成形され、一つにパチンと嵌合され、固定され、または当接された後、球形又は円形のハウジング部材のような上述のインサート受入れソケット又はチャンバ550の中に取り付けられ、そこから照準を定められる。このインサート部品又はインサート半体部材560の金型は、成形が簡単であり、組み立てられた後、スロート546を画定する部分に、苛立たしい分割線でのバリを形成しない。さらに、積層造形を実施することにより、風乾燥ノズルアセンブリ512を、単一の連続した部品(すなわち、532)の形で製造してもよいし、または、インサート半体部材(すなわち、560)から製造してもよいことが意図される。
【0032】
図6A図6B及び図6Cを再び参照すると、低コストで頑丈な風乾燥ノズルアセンブリ512を作製するための1つの方法は、(a)第1及び第2の同一のノズル部材(560、図6Cから最もよく見て取れる)を提供することを含む。各ノズルインサート部材半体560は、通路支持面562を画定しており、そこに、流体流入口540と、流動軸に沿って(入口から出口まで)画定された通路558のトラフ又は溝とが画定されている。通路支持面562は、通路の溝の第1の側に、横向き又は上向きに突出する位置決めピン564をさらに有し、通路558の反対の側に、対称的に配置された位置決めピン受入れソケット又は目隠し穴566を有している。各ノズル部材560は、スプルーやフラッシング、又は組み立て後のノズルに問題を生じさせる可能性がある他の起こり得る欠陥なしに、容易に成形することができる。次に、各部材を位置合わせした後、当接及び締結し、押し付け、又は一つに結合することによって、第1及び第2の同一の部材560を、図6Bに示されるように一つに固定する。一実施形態において、ノズルインサート部材560は、対称であってもよく、位置決めピン564を、位置決めピン受入れソケット566と嵌合し、各インサート半体の流路の溝が、相手方の半体の溝(流動軸に沿って入口から出口まで画定される)と整列されるようにすることで、2つの部品からなるノズルインサートの通路に、透明で障害物のない、流体密で漏れのない管腔を提供する。この風乾燥ノズルの幾何形状(及びノズルアセンブリ512)は、主に、乾燥空気又は他のガスに関連するの応用事例に関して説明されているが、水、油、又は他の流体の噴霧を生成するの応用事例(すなわち、液体が、ポンプで入口に送られることを意味する。)にも容易に適合する。
【0033】
上記のように、本開示のシステム(例えば、500)及び方法によって対処される重要な課題は、空間の不足、及び圧縮空気の車載貯蔵の経済性である。ほとんどの乗用車は、圧縮空気システムを備えておらず、圧縮空気システム(好ましくはコンプレッサーとアキュムレーター)の追加は、費用がかかり、貴重な空間を占め、複雑さを増大させるが、本開示のシステムは、費用と空間要件を最小限に抑えるのに役立つ。なぜなら、本開示のエアノズル(例えば512)は、30LPMよりもはるかに少ない流速しか必要とせず、乾燥空気ファン520が、表面530に向かって加速され、急速に拡散されないからである。したがって、必要な空気は、少なくなる。さらに、扇形の流れ520を形成する空気流の質量及び速度は、液滴の質量に打ち勝つのに十分なほど大きいので、液滴は乾燥され、又は表面530から押し出され、複数のエアノズルを必要とすることなく、センサー表面の十分に広い部分をクリーニングするように、空気が分配される。この試作実施形態では、ノズルアセンブリ512は、乾燥空気流の振動パターンを生成する流体ではないことに留意されたい。可聴振動を有する流体の性質は、好ましくないと考えられたからである。
【0034】
大量の空気を必要性を単一のセンサーで扱える可能性もあるが、新しい高性能車両は、クリーニング及び乾燥が必要となる2以上のセンサーを搭載し始めている。極端な場合、種々のゾーンで別々に、すなわち、30から40ものセンサーを一度に、乾燥する必要があると予想され、従来技術の乾燥システムを使用する場合、必要な量の空気を扱うことができない。本開示のシステム(例えば、500)を使用すれば、種々のゾーンにある複数のセンサーアレイを非常に効率的に乾燥させることができ、システムは、あるゾーンから次のゾーンへ移行しながら、如何なる場合でも、必要な空気量を制限するより小さなチャンクを扱うことが可能になる。これによって、本開示のシステムは、ゾーンアプローチを使用する12~40Vのオンボードコンプレッサーを用いて、必要な圧力及び流量で、効率的に(LIDARシステムを有する場合であっても)動作することができる。好ましくは、このシステムは、構成に関係なく、センサーのブローオフの必要性を満たす十分な圧縮空気を貯蔵できるようなサイズのアキュムレーター及びコンプレッサーを含む。多数のセンサーアレイを有する車両のような極端な応用事例では、乾燥空気を生成するための必要な空気を用意するために、複数の自動車用コンプレッサーが必要になる場合がある。
【0035】
本開示のシステム(例えば、500)及び方法は、センサーで追加の空気を巻き込むことによってシステムレベルのパッケージサイズを低減し、それにより、システムから供給要件を低減し、したがって、そのシステム内のあらゆる構成要素のサイズ(例えば、供給管サイズ、コンプレッサーサイズ、及びアキュムレーターサイズ)を低減する。一実施形態において、本開示のノズルアセンブリ512は、限定はしないが、任意の適当なプラスチック材料又はポリマー材料を含む任意の適当な材料から、射出成形によって作成することができる。あるいは、ノズルアセンブリ512は、限定はしないが、任意の適当なプラスチック材料又はポリマー材料を含む任意の適当な材料から、3Dプリンターのような積層造形を使用して印刷されてもよい。照準固定具510及びインサート受入れソケット若しくはチャンバ550は、任意の金属、金属合金、プラスチック又はポリマーのような任意の適当な材料から形成することができ、成形、鋳造、射出成形、又は3D印刷によって作成することができる。
【0036】
視野の検討
多くの既存のカメラは、120度~170度の視野角(例えば、放射状の線で示される)を有することを理解されたい。システムの機能に対する主な制約は、カメラの表示視野(例えば、10、10B)に何も侵入しないようにすることである。これにより、制御システム又はユーザーが、センサー表面洗浄乾燥システム500又はその一部の部分の外観によって邪魔されたり、気を取られたりすることがなくなる。したがって、洗浄乾燥ノズル部材(例えば、512、514)は、センサーの視野の外側に配置され、かつ、後ろからセンサーの視野に照準を定められなければならない。本開示の例示した種々の実施形態では、ノズル(例えば、512、514)は、センサーの視野から(例えば、下に)離れた固定位置から、方向付けられ、照準を定められる。図2A図6Cの実施形態では、システム500のノズルは、センサー表面530の全体又は可能な限り全体が、選択された照準角度でセンサー表面に衝突する洗浄液及び乾燥空気の有効到達範囲に入るような流体及び乾燥空気の分布を生成する。
【0037】
新しい改善されたアセンブリ、システム、及び方法の好ましい実施形態を説明してきたが、本明細書に記載された教示に鑑みて、他の修正、変形、及び変更が、当業者に示唆されると考えられる。したがって、そのような変形、修正、及び変更もすべて、本発明の範囲内にあると考えられることを理解されたい。
【0038】
本実施形態は、添付の図面に示され、上記の詳細な説明に記載されているが、外部レンズの洗浄乾燥方法及びアセンブリが、開示した実施形態だけに限定されることなく、本明細書に記載されたシステム及びアセンブリは、多数の再配置、修正、及び置換が可能であるものと考えられる。例示的実施形態は、好ましい実施形態を参照して説明されている。明らかに、前述の詳細な説明を読んで理解したとき、他にも修正や変更が行われるであろう。したがって、本明細書は、添付の特許請求の範囲の思想及び範囲内にあるすべてのそのような変更、修正、及び変形を包含することを意図している。なお、「含む」という語が、詳細な説明と特許請求の範囲の何れかで使用される限り、その語は、特許請求の範囲で遷移語として使用される場合の「含む」という語の解釈と同様に、包括的であることを意図している。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7