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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】個室ブース
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/007 20060101AFI20241003BHJP
   A61L 2/10 20060101ALI20241003BHJP
   F24F 8/22 20210101ALI20241003BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F24F7/007
A61L2/10
F24F8/22
A61L9/20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021035038
(22)【出願日】2021-03-05
(65)【公開番号】P2022135304
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 真伊知
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】谷口 明
(72)【発明者】
【氏名】安嶋 明日香
(72)【発明者】
【氏名】羽切 理恵
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-130786(JP,A)
【文献】特開2004-245490(JP,A)
【文献】特開2008-249306(JP,A)
【文献】米国特許第05225167(US,A)
【文献】特開2003-232547(JP,A)
【文献】中国実用新案第210508531(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/007
A61L 2/10
F24F 8/22
A61L 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気システムを備える建物内に設けられる個室ブースであって、
人がデスクワークを行える作業台と、
前記作業台の上でデスクワークを行う人の正面に位置する第1側壁,前記第1側壁の一側に連接する第2側壁および前記第1側壁の他側に連接する第3側壁を含み、前記建物の内部に周囲から区画された空間を形成する周壁と、
前記第1側壁に設けられた吸気口と、
前記第1側壁の内側に設けられ、前記吸気口と前記排気システムとを繋ぐ排気通路と、
前記排気通路内に設置されたフィルタと、
前記排気通路内に設置され、前記フィルタを消毒又は殺菌する光線を前記フィルタに照射する光源と、
前記吸気口と前記フィルタとの間に設置され、前記作業台に置かれた電子機器と接続可能なマイクと、有し、
前記排気システムが作動すると、前記個室ブース内の空気が前記吸気口に吸い込まれ、前記フィルタを通過して前記個室ブース外に排気される、個室ブース。
【請求項2】
前記光源,前記フィルタおよび前記マイクは、前記光源から放出される光線が前記フィルタおよび前記マイクの両方に同時に照射される位置関係で配置されている、請求項1に記載の個室ブース。
【請求項3】
排気システムを備える建物内に設けられる個室ブースであって、
上下に移動可能であって、人がデスクワークを行える作業台と、
前記作業台の上でデスクワークを行う人の正面に位置する第1側壁,前記第1側壁の一側に連接する第2側壁および前記第1側壁の他側に連接する第3側壁を含み、前記建物の内部に周囲から区画された空間を形成する周壁と、
前記第1側壁に設けられた吸気口と、
前記第1側壁の内側に設けられ、前記吸気口と前記排気システムとを繋ぐ排気通路と、
前記排気通路内に設置されたフィルタと、
前記排気通路内に設置され、前記フィルタを消毒又は殺菌する光線を前記フィルタに照射する光源と、
前記吸気口の一部を開閉可能な第1シャッタと、
前記吸気口の他の一部を開閉可能な第2シャッタと、を有し、
前記排気システムが作動すると、前記個室ブース内の空気が前記吸気口に吸い込まれ、前記フィルタを通過して前記個室ブース外に排気され、
前記第1シャッタおよび前記第2シャッタは、前記作業台の移動方向と同方向に並んで配置され、前記作業台の高さに応じて前記吸気口を部分的に開閉可能である、個室ブース。
【請求項4】
前記第1側壁は、隙間を介して対向する内壁および外壁からなる二重壁であり、
前記隙間は、前記排気通路の少なくとも一部を形成している、請求項1~3のいずれか一項に記載の個室ブース。
【請求項5】
前記光源は、波長が200nm以上300nm以下の紫外線を放出する紫外線ランプ又は紫外線レーザーである、請求項1~のいずれか一項に記載の個室ブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事務作業,勉強,文筆活動などのデスクワークを行うのに適した個室ブースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物内に周囲から区画された個室ブースが設けられることがある。例えば、オフィスビルの1つのフロアや1つのフロアの一部のエリアに、人がデスクワーク等を行える個室ブースが1つ又は2つ以上設けられることがある。
【0003】
ここで、近年の新型コロナウイルスの流行に伴って、オフィスや教室などの人が利用する空間の換気が強く推奨されており、上記のような個室ブースもその例外ではない。
【0004】
特許文献1には、上記個室ブースと同様のワークスペースを効率良く換気することを目的とした換気装置が記載されている。しかし、個室ブースは周囲から区画された比較的狭い空間であり、仮にウイルス感染者や細菌感染者が利用すると、個室ブース内の空気が短時間のうちにウイルスや細菌で汚染されてしまう虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-130786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
個室ブースのウイルス汚染や細菌汚染の主な原因の1つは、当該個室ブースを利用する人が発する飛沫に含まれるウイルスや細菌である。そこで、個室ブースのウイルス汚染をより確実に防止するためには、ブース利用者が話をしたり、くしゃみをしたりしたときに発せられた飛沫中のウイルスや細菌を当該個室ブース内に拡散する前に捕集し、外部に排出することが重要である。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ブース利用者から発せられた飛沫に含まれているウイルスや細菌が効率良く外部に排出される個室ブースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の個室ブースは、排気システムを備える建物内に設けられる個室ブースである。この個室ブースは、人がデスクワークを行える作業台と、前記作業台の上でデスクワークを行う人の正面に位置する第1側壁,前記第1側壁の一側に連接する第2側壁および前記第1側壁の他側に連接する第3側壁を含み、前記建物の内部に周囲から区画された空間を形成する周壁と、前記第1側壁に設けられた吸気口と、前記第1側壁の内側に設けられ、前記吸気口と前記排気システムとを繋ぐ排気通路と、前記排気通路内に設置されたフィルタと、前記排気通路内に設置され、前記フィルタを消毒又は殺菌する光線を前記フィルタに照射する光源と、を有する。そして、前記排気システムが作動すると、前記個室ブース内の空気が前記吸気口に吸い込まれ、前記フィルタを通過して前記個室ブース外に排気される。
【0009】
本発明の一態様では、前記第1側壁は、隙間を介して対向する内壁および外壁からなる二重壁であり、前記隙間は、前記排気通路の少なくとも一部を形成する。
【0010】
本発明の他の一態様では、前記吸気口と前記フィルタとの間に設置されたマイクが設けられ、前記マイクは、前記作業台に置かれた電子機器と接続可能である。
【0011】
本発明の他の一態様では、前記光源,前記フィルタおよび前記マイクは、前記光源から放出される光線が前記フィルタおよび前記マイクの両方に同時に照射される位置関係で配置される。
【0012】
本発明の他の一態様では、前記吸気口の一部を開閉可能な第1シャッタと、前記吸気口の他の一部を開閉可能な第2シャッタと、が設けられる。前記作業台は、上下に移動可能であり、前記第1シャッタおよび前記第2シャッタは、前記作業台の移動方向と同方向に並んで配置され、前記作業台の高さに応じて前記吸気口を部分的に開閉可能である。
【0013】
本発明の他の一態様では、前記光源は、波長が200nm以上300nm以下の紫外線を放出する紫外線ランプ又は紫外線レーザーである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ブース利用者から発せられた飛沫に含まれているウイルスや細菌が効率良く外部に排出される個室ブースが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係る個室ブースの全体構成を示す説明図である。
図2】第2実施形態に係る個室ブースの全体構成を示す説明図である。
図3】第3実施形態に係る個室ブースの全体構成を示す説明図である。
図4】複数の個室ブースのレイアウトの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明が適用された個室ブースの一例について図面を参照しながら詳細に説明する。尚、本発明の実施形態を説明するための全図において、同一または実質的に同一の部材などには同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る個室ブース1Aの全体構成を示す説明図である。個室ブース1Aは、内部の空気を外部に排気する排気システムを備える建物内に設けられている。より特定的には、個室ブース1Aは、排気システムを備える建物内の一室の所定エリアを周囲から区画することによって形成されている。
【0018】
個室ブース1Aは、第1側壁11,第2側壁12,第3側壁13および第4側壁14を含む周壁10によって四方が囲われ、周囲から区画されている。言い換えれば、第1側壁11,第2側壁12,第3側壁13および第4側壁14を含む周壁10は、建物内の一室に周囲から区画された空間を形成する間仕切り壁やパーテイション等である。
【0019】
個室ブース1A内には、人がデスクワークなどを行える作業台(本実施形態では、机天板20)が設けられている。机天板20は、第1側壁11の前に、第1側壁11に対して垂直に設置されている。机天板20は、第1側壁11の幅方向を長手方向とする長方形の平面形状を有し、机天板20の一方の長辺は第1側壁11に接している。
【0020】
個室ブース1Aを利用する人(以下、“ブース利用者X”と呼ぶ場合がある。)は、机天板20の前に座って様々なデスクワークを行うことができる。例えば、ブース利用者Xは、机天板20の上にパーソナルコンピュータ(PC)を置き、PCを使った事務作業を行うことができる。この際、第1側壁11は、机天板20の上でデスクワークを行うブース利用者Xの正面に位置する。別の見方をすると、ブース利用者Xは、個室ブース1Aの利用中、第1側壁11の正面に座ることになる。そこで、以下の説明では、第1側壁11を“正面壁11”と呼ぶ場合がある。また、正面壁11と対向している第4側壁14を“背面壁14”と呼ぶ場合がある。さらに、正面壁11および背面壁14の一側に連接している第2側壁12を“右側壁12”と呼び、正面壁11および背面壁14の他側に連接している第3側壁13を“左側壁13”と呼ぶ場合がある。
【0021】
個室ブース1Aは、周壁10に加えて、天井30および床31を有する。また、背面壁14には、ブース利用者Xが個室ブース1Aに出入りするための出入口32が設けられている。尚、出入口32には、開き戸や引き戸などを設置してもよい。
【0022】
図1に示されるように、周壁10の一部である正面壁11は、隙間15を介して対向する内壁11aおよび外壁11bからなる二重壁である。本実施形態の内壁11aは、石膏ボード,鉄板,木材等の壁材によって形成されている。一方、本実施形態の外壁11bは、建物の躯体の一部であって、鉄筋コンクリート等によって形成されている。言い換えれば、外壁11bは建物の外壁の一部である。尚、右側壁12,左側壁13,背面壁14および天井30も、内壁11aと同様の壁材によって形成されている。なお、背面壁14は設けなくともよい。
【0023】
二重構造を有する正面壁11の内側には、建物の排気システムと繋がる排気通路40が隙間15によって形成されている。別の見方をすると、内壁11aと外壁11bとの間の隙間15は、排気通路40を形成しているか、少なくとも排気通路40の一部を形成している。隙間15によって排気通路40の一部が形成される場合、排気通路40の他の一部は、個室ブース1Aの内部に設けられていてもよい。
【0024】
正面壁11には、排気通路40に連通する吸気口50が設けられている。ここで、排気通路40が建物の排気システムと繋がっていることは既述のとおりである。よって、排気システムが作動すると、個室ブース1A内の空気が吸気口50に吸い込まれる。
【0025】
吸気口50は、内壁11aに形成された長方形の開口部であって、内壁11aの幅方向(右側壁12と左側壁13の対向方向)の全域または略全域に亘って延在している。また、吸気口50の高さ寸法は、通常の背丈のブース利用者Xが机天板20の前に座った際に、当該ブース利用者Xの顔と吸気口50とが正対するように設定されている。よって、机天板20の長手方向におけるブース利用者Xの着座位置に関わらず、ブース利用者Xの顔が吸気口50と常に正対する。
【0026】
したがって、机天板20の前に座ったブース利用者Xが話をしたり、くしゃみをしたりしたときに発せられた飛沫中のウイルスや細菌を含む空気の全部または大部分は、個室ブース1A内に拡散する前に吸気口50に吸い込まれる。
【0027】
尚、吸気口50には、ルーバー50aが設けられている。ルーバー50aは、所定間隔で平行に並べられた複数の羽板によって形成されている。ルーバー50aは、後述するフィルタ60や紫外線ランプ70の露出を防いで見た目を向上させるとともに、ブース利用者Xが紫外線ランプ70を直視することを防ぐ役割も果たす。
【0028】
排気通路40内には、フィルタ60が設置されている。より具体的には、フィルタ60は、隙間15の下部であって、かつ、吸気口50の近傍(内側)に設置されている。さらに、フィルタ60の上部は内壁11aに当接し、下部は外壁11bに当接している。この結果、排気システムの作動に伴って吸気口50に吸い込まれた個室ブース1A内の空気は、排気通路40を介して個室ブース1A外に排気される過程で、必ずフィルタ60を通過する。
【0029】
したがって、吸気口50に吸い込まれた個室ブース1A内の空気にウイルスや細菌が含まれていた場合、それらがフィルタ60によって捕集される。尚、フィルタ60は、中性能フィルタ又はHEPA(High Efficiency Particulate Air Filter)フィルタであって、ウイルスや細菌だけなく、空気中の塵や埃なども捕集する。
【0030】
排気通路40内には、フィルタ60と共に光源70が設置されている。光源70は、殺菌力や消毒力のある光線を放出する。本実施形態の光源70は、紫外線を放出する紫外線ランプである。紫外線ランプ70は、ガラス管やガラス管の両端に設けられた電極および口金などを有し、蛍光灯と類似の外形を有する。ガラス管には微量の水銀と希ガスが封入されており、ガラス管の両端に設けられている電極に電圧が印加されると、所定波長の紫外線を放出する。本実施形態の紫外線ランプ70は、波長が200nm以上300nm以下の紫外線を放出する。
【0031】
紫外線ランプ70は、隙間15の下部であって、かつ、吸気口50とフィルタ60との間に設置されている。よって、紫外線ランプ70から放出される紫外線がフィルタ60に照射され、フィルタ60が殺菌又は消毒される。つまり、フィルタ60によって捕集されたウイルスや細菌が死滅したり、無害化したりする。この結果、交換,清掃,除菌などといったフィルタ60のメンテナンスを行う頻度が低くなる。
【0032】
(第2実施形態)
以下、本発明が適用された個室ブースの他の一例について図面を参照しながら詳細に説明する。もっとも、本実施形態に係る個室ブースは、第1実施形態に係る個室ブース1A(図1)と同一の構成を有する。そこで、第1実施形態に係る個室ブース1Aと同一の構成については説明を省略し、第1実施形態に係る個室ブース1Aとの相違点についてのみ説明する。
【0033】
図2は、本実施形態に係る個室ブース1Bの全体構成を示す説明図である。本実施形態に係る個室ブース1Bの排気通路40内には、フィルタ60および紫外線ランプ70に加えて、マイク80が設置されている。
【0034】
図2に示されるように、マイク80は、吸気口50の内側中央に設置されている。具体的には、マイク80は、隙間15の下部であって、かつ、吸気口50とフィルタ60との間に設置されている。より特定的には、マイク80は、紫外線ランプ70とフィルタ60との間に配置されている。したがって、紫外線ランプ70から放出される紫外線がフィルタ60およびマイク80の両方に同時に照射され、これらが殺菌されたり、消毒されたりする。つまり、紫外線ランプ70,フィルタ60およびマイク80の三者は、紫外線ランプ70から放出される紫外線がフィルタ60およびマイク80の両方に同時に照射される位置関係で配置されている。
【0035】
また、マイク80は、机天板20に置かれた電子機器(PC等)と接続可能である。図示は省略するが、マイク80から延びるケーブルが個室ブース1A内に引き込まれている。さらに、ケーブルの端部には電子機器が備えるコネクタに接続可能なコネクタやプラグが設けられている。かかるケーブルの一例としては、USBケーブルが挙げられる。もっとも、マイク80は、電子機器と無線接続可能であってもよい。
【0036】
マイク80が吸気口50の内側に設置されているので、ブース利用者Xは、リモート会議などでマイク80を利用する際、吸気口50に向かって話すようになる。この結果、ブース利用者Xが話をしたときに発せられた飛沫中のウイルスや細菌を含む空気が吸気口50に吸い込まれる確率がさらに高くなる。
【0037】
尚、マイク80の設置場所は、紫外線ランプ70から放出される紫外線が照射される場所であればよく、図2に示されている場所に限定されない。例えば、マイク80を図2に示されている紫外線ランプ70と吸気口50(ルーバー50a)との間に設置してもよい。
【0038】
(第3実施形態)
以下、本発明が適用された個室ブースのさらに他の一例について図面を参照しながら詳細に説明する。もっとも、本実施形態に係る個室ブースは、第1実施形態に係る個室ブース1A(図1)と同一の構成を有する。そこで、第1実施形態に係る個室ブース1Aと同一の構成については説明を省略し、第1実施形態に係る個室ブース1Aとの相違点についてのみ説明する。
【0039】
図3は、本実施形態に係る個室ブース1Cの全体構成を示す説明図である。本実施形態に係る個室ブース1Cに設けられている机天板20は、正面壁11に沿って上下に移動可能である。具体的には、机天板20は、段階的に伸縮可能な一対の脚21によって支持されており、脚21を伸縮させることによって机天板20の高さを調節することができる。
【0040】
また、本実施形態では、第1実施形態に比べて吸気口50の高さ寸法が拡大されている。具体的には、吸気口50は、正面壁11の略半分(1/2)の高さ寸法を有する。さらに、吸気口50に、第1シャッタ51および第2シャッタ52が設けられている。
【0041】
第1シャッタ51および第2シャッタ52は、机天板20の移動方向と同方向(上下方向)に並んで配置されている。そして、第1シャッタ51は、吸気口50の一部(下半分)を開閉可能であり、第2シャッタ52は、吸気口50の他の一部(上半分)を開閉可能である。
【0042】
第1シャッタ51および第2シャッタ52は、図1に示されているルーバー50aと同様のルーバーである。もっとも、第1シャッタ51および第2シャッタ52としてのルーバーは、可動式ルーバーである。具体的には、第1シャッタ51としてのルーバーを構成している複数の羽板は、吸気口50の一部(下半分)を閉鎖する状態と開放する状態とに変更可能である。同じく、第2シャッタ52としてのルーバーを構成している複数の羽板は、吸気口50の他の一部(上半分)を閉鎖する状態と開放する状態とに変更可能である。第1シャッタ51や第2シャッタ52の羽板の状態は、例えば回動操作によって変更することができる。
【0043】
本実施形態に係る個室ブース1Cでは、第1シャッタ51および第2シャッタ52を選択的に開閉させることにより、吸気口50を部分的に開閉させることができる。具体的には、吸気口50の下半分が閉じられ、上半分が開かれた状態と、吸気口50の下半分が開かれ、上半分が閉じられた状態と、を選択的に実現することができる。この結果、机天板20の高さに応じて吸気口50を部分的に開閉させることができる。例えば、立った状態でデスクワークを行うために机天板20の高さを高くしたときには、吸気口50の上半分を開き、下半分を閉じることができる。一方、座った状態でデスクワークを行うために机天板20の高さを低くしたときには、吸気口50の下半分を開き、上半分を閉じることができる。
【0044】
吸気口50を部分的に開閉可能な個室ブース1Cでは、ブース利用者Xの利用態様や背丈に関わらず、ブース利用者Xから発せられる飛沫中のウイルスや細菌を含む空気を効率的に排出することができる。さらに、冷房や暖房の効率低下を抑制しつつ、ウイルスや細菌を含む空気を排出することができる。
【0045】
尚、机天板20を支持する脚21は、無段階に伸縮可能であってもよい。また、第3,第4のシャッタを増設し、吸気口50をさらに細かく開閉可能とすることもできる。一方、単一の可動式ルーバーによって吸気口50の全体を覆ってもよい。この場合、可動式ルーバーを構成している複数の羽板のうち、任意の幾つかの羽板を開放状態にする一方、残りの羽板を閉鎖状態にすることにより、吸気口50を部分的に開閉させることができる。
【0046】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上記実施形態では、建物の外壁を利用して二重構造の正面壁11が実現されていた。しかし、正面壁11の二重構造を石膏ボード等の壁材のみで実現してもよい。例えば、図1に示されている外壁11bは、同図に示されている内壁11aを形成している石膏ボード等の壁材と同様の壁材によって形成してもよい。つまり、必ずしも建物の外壁を利用して周壁10の一部を形成する必要はない。また、正面壁11の全面または略全面を吸気口50としてもよい。また、紫外線ランプ70は、紫外線レーザーに置換してもよい。さらに、図4に示されるように、複数の個室ブース1A,1B又は1Cを並べて設けてもよい。もっとも、図4に示されている個室ブース1A,1B又は1Cのレイアウトは一例に過ぎない。
【符号の説明】
【0047】
1A,1B,1C:個室ブース、5:吸気口、10:周壁、11…第1側壁(正面壁)、11a…内壁、11b…外壁、12…第2側壁(右側壁)、13…第3側壁(左側壁)、14…第4側壁(背面壁)、15…隙間、20…机天板、21…脚
30…天井、31…床、32…出入口、40…排気通路、50…吸気口、50a…ルーバー、51…第1シャッタ、52…第2シャッタ、60…フィルタ、70…光源(紫外線ランプ),80…マイク
図1
図2
図3
図4