IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 川崎重工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-液化ガス貯留構造および液化ガス運搬船 図1
  • 特許-液化ガス貯留構造および液化ガス運搬船 図2
  • 特許-液化ガス貯留構造および液化ガス運搬船 図3
  • 特許-液化ガス貯留構造および液化ガス運搬船 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】液化ガス貯留構造および液化ガス運搬船
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/08 20060101AFI20241003BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F17C13/08 302A
B63B25/16 P
B63B25/16 101B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021511073
(86)(22)【出願日】2019-04-05
(86)【国際出願番号】 JP2019015226
(87)【国際公開番号】W WO2020202577
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-10-05
【審判番号】
【審判請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川本 英樹
(72)【発明者】
【氏名】今井 達也
(72)【発明者】
【氏名】間城 啓介
(72)【発明者】
【氏名】奥村 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤村 遼平
(72)【発明者】
【氏名】田中 一雄
(72)【発明者】
【氏名】神▲崎▼ 大輔
(72)【発明者】
【氏名】中土 洋輝
(72)【発明者】
【氏名】村岸 治
(72)【発明者】
【氏名】坂野 好伸
【合議体】
【審判長】有家 秀郎
【審判官】津熊 哲朗
【審判官】加藤 範久
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-117998(JP,U)
【文献】実開平1-102600(JP,U)
【文献】特開2017-207085(JP,A)
【文献】実開昭50-56254(JP,U)
【文献】特開平11-82889(JP,A)
【文献】特開2017-194166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/06
B63B 25/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスを貯留する球形の内槽、および前記内槽を収容する外槽を含む二重殻タンクと、
船体の床面から立ち上がって前記外槽を支持する、筒状のスカートである第1支持部材と、
前記第1支持部材と異なる位置で前記外槽の内側面から立ち上がって前記内槽を支持する、前記第1支持部材と直径が異なる筒状のスカートである第2支持部材と、を備え、
前記第1支持部材は、前記内槽、前記第2支持部材および前記外槽の荷重を受ける、液化ガス貯留構造。
【請求項2】
前記外槽は球形であり、
前記第2支持部材は、前記内槽に接合され、
前記第1支持部材は、前記外槽に接合されている、請求項1に記載の液化ガス貯留構造。
【請求項3】
前記第2支持部材は、前記内槽と同じ材質の上部と、前記外槽と同じ材質の下部と、前記内槽および前記外槽よりも熱伝導率の低い材質の中間部を含む、請求項1または2に記載の液化ガス貯留構造。
【請求項4】
前記内槽および前記第2支持部材の上部の材質と、前記外槽および前記第2支持部材の下部の材質は同じである、請求項3に記載の液化ガス貯留構造。
【請求項5】
上下方向において、前記第2支持部材の前記上部および前記下部のそれぞれの長さは、前記中間部の長さよりも短い、請求項3または4に記載の液化ガス貯留構造。
【請求項6】
前記第1支持部材は、前記外槽と同じ材質の上部と、前記船体と同じ材質の下部と、前記外槽および前記船体よりも熱伝導率の低い材質の中間部を含む、請求項1~5の何れか一項に記載の液化ガス貯留構造。
【請求項7】
前記内槽と前記外槽の間の空間には前記液化ガスが気化したボイルオフガスが充填されている、請求項1~6の何れか一項に記載の液化ガス貯留構造。
【請求項8】
前記内槽と前記外槽の間の空間に詰め込まれて、前記内槽の外側面および前記外槽の内側面を覆う断熱材をさらに備える、請求項1~7の何れか一項に記載の液化ガス貯留構造。
【請求項9】
前記外槽の外側面を覆う断熱材をさらに備える、請求項1~8の何れか一項に記載の液化ガス貯留構造。
【請求項10】
船体と、
液化ガスを貯留する球形の内槽、および前記内槽を収容する外槽を含む二重殻タンクと、
前記船体の床面から立ち上がって前記外槽を支持する、筒状のスカートである第1支持部材と、
前記第1支持部材と異なる位置で前記外槽の内側面から立ち上がって前記内槽を支持する、前記第1支持部材と直径が異なる筒状のスカートである第2支持部材と、を備え、
前記第1支持部材は、前記内槽、前記第2支持部材および前記外槽の荷重を受ける、液化ガス運搬船。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化ガス貯留構造およびこれを含む液化ガス運搬船に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、LNGや液化水素などの液化ガスを貯留するタンクが知られている。例えば、特許文献1には、液化水素を貯留する球形のタンクが船体に搭載された液化水素運搬船が開示されている。
【0003】
この液化水素運搬船では、船体の床面から立ち上がる筒状のスカートによってタンクが支持されている。また、タンクの外側面は全面的に絶縁層で覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2019-501064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された液化水素運搬船では、床面からスカートを通じたタンク内への熱侵入が大きいという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、床面からタンク内への熱侵入を低減することができる液化ガス貯留構造、およびこれを含む液化ガス運搬船を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の1つの側面からの液化ガス貯留構造は、液化ガスを貯留する球形の内槽、および前記内槽を収容する外槽を含む二重殻タンクと、床面から立ち上がって前記外槽を支持する第1支持部材と、前記第1支持部材と異なる位置で前記外槽の内側面から立ち上がって前記内槽を支持する第2支持部材と、を備える、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の液化ガス運搬船は、船体と、液化ガスを貯留する球形の内槽、および前記内槽を収容する外槽を含む二重殻タンクと、前記船体の床面から立ち上がって前記外槽を支持する第1支持部材と、前記第1支持部材と異なる位置で前記外槽の内側面から立ち上がって前記内槽を支持する第2支持部材と、を備える、ことを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、床面から内槽までの熱侵入経路は、第1支持部材、外槽における第1支持部材と第2支持部材の間の部分、第2支持部材となる。従って、外槽に沿った第1支持部材と第2支持部材の離間距離分、熱侵入経路の長さを確保できる。これにより、床面から二重殻タンク内への熱侵入を低減することができる。
【0010】
例えば、前記外槽は球形であり、前記第2支持部材は、前記内槽に接合された筒状のスカートであり、前記第1支持部材は、前記外槽に接合された筒状のスカートであってもよい。
【0011】
前記第2支持部材は、前記内槽と同じ材質の上部と、前記外槽と同じ材質の下部と、前記内槽および前記外槽よりも熱伝導率の低い材質の中間部を含んでもよい。この構成によれば、第2支持部材を内槽および外槽へ容易に接合することができるとともに、第2支持部材の中間部により第2支持部材を通じた熱伝導を阻害することができる。
【0012】
例えば、前記内槽および前記第2支持部材の上部の材質と、前記外槽および前記第2支持部材の下部の材質は同じであってもよい。
【0013】
上下方向において、前記第2支持部材の前記上部および前記下部のそれぞれの長さは、前記中間部の長さよりも短くてもよい。この構成によれば、上部、中間部および下部の長さが同じである場合に比べて、二重殻タンク内への熱侵入をより低減することができる。
【0014】
前記床面は船体の床面であり、前記第1支持部材は、前記外槽と同じ材質の上部と、前記船体と同じ材質の下部と、前記外槽および前記船体よりも熱伝導率の低い材質の中間部を含んでもよい。この構成によれば、第1支持部材を外槽および船体へ容易に接合することができるとともに、第1支持部材の中間部により第1支持部材を通じた熱伝導を阻害することができる。
【0015】
前記内槽と前記外槽の間の空間には前記液化ガスが気化したボイルオフガスが充填されていてもよい。内槽と外槽の間の空間に気体が充填されている場合には、内槽に貯留されている液化ガスの温度によっては内槽と外槽の間で気体が液化または固化する可能性があるが、その気体がボイルオフガスであれば内槽と外槽の間での気体の液化または固化を防ぐことができる。
【0016】
例えば、上記の液化ガス貯留構造は、前記内槽と前記外槽の間の空間に詰め込まれて、前記内槽の外側面および前記外槽の内側面を覆う断熱材をさらに備えてもよい。
【0017】
上記の液化ガス貯留構造は、前記外槽の外側面を覆う断熱材をさらに備えてもよい。この構成によれば、外槽の外側面が断熱材で覆われていない場合に比べて、内槽から外槽までの距離、換言すれば外槽の直径を小さくすることができる。
【0018】
また、本発明の別の側面からの液化ガス貯留構造は、液化ガスを貯留する球形の内槽、および前記内槽を収容する外槽を含む二重殻タンクと、前記外槽の内側面から立ち上がって前記内槽を支持する支持部材と、を備え、前記支持部材は、前記内槽と同じ材質の上部と、前記外槽と同じ材質の下部と、前記内槽および前記外槽よりも熱伝導率の低い材質の中間部を含む、ことを特徴とする。
【0019】
上記の構成によれば、支持部材を内槽および外槽へ容易に接合することができる。しかも、支持部材の中間部により支持部材を通じた熱伝導を阻害することができるので、二重殻タンク内への熱侵入を低減することができる。
【0020】
例えば、前記内槽および前記支持部材の上部の材質と、前記外槽および前記支持部材の下部の材質は同じであってもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、床面から二重殻タンク内への熱侵入を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る液化ガス貯留構造を含む液化ガス運搬船の断面図である。
図2図1の一部の拡大図である。
図3】変形例の液化ガス貯留構造を含む液化ガス運搬船の断面図である。
図4】別の変形例の液化ガス貯留構造を含む液化ガス運搬船の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に、本発明の一実施形態に係る液化ガス貯留構造を含む液化ガス運搬船1を示す。この液化ガス運搬船1は、船体11と、船体11に搭載された二重殻タンク2と、船体11と共に二重殻タンク2の周囲に保持空間13を形成するタンクカバー12を含む。
【0024】
本実施形態では、保持空間13に窒素ガスが充填される。ただし、保持空間13には、乾燥空気が充填されてもよいし、推進用エンジンの排気ガスが充填されてもよい。
【0025】
二重殻タンク2は、液化ガスを貯留する内槽3と、内槽3を収容する外槽4を含む。例えば、液化ガスは、LNG、液化窒素、液化水素、液化ヘリウムなどである。
【0026】
内槽3は、球形である。内槽3は、必ずしも球対称である必要はなく、球対称に近似する形状であってもよい。例えば、内槽3は、球対称に比べて、内槽3の中心から上45度の角度方向および/または下45度の角度方向が膨らんだ形状であってもよい。あるいは、内槽3は、上半球体と下半球体との間に短い筒状体が挟まれた形状であってもよい。
【0027】
本実施形態では、外槽4も球形である。外槽4の中心は内槽3の中心と一致している。内槽3と同様に、外槽4も、必ずしも球対称である必要はなく、球対称に近似する形状であってもよい。例えば、外槽4は、内槽3と同様に、球対称に比べて、外槽4の中心から上45度の角度方向および/または下45度の角度方向が膨らんだ形状であってもよい。あるいは、外槽4は、上半球体と下半球体との間に短い筒状体が挟まれた形状であってもよい。
【0028】
本実施形態では、外槽4の材質が内槽3の材質と同じである。ただし、外槽4の材質は内槽3の材質と異なってもよい。
【0029】
内槽3と外槽4の間の空間には第1断熱材7が詰め込まれている。第1断熱材7は、外槽4の内側面および内槽3の外側面を全面的に覆う。さらに、外槽4の外側面は、第2断熱材8により全面的に覆われている。
【0030】
第1断熱材7は、例えば、ポリウレタン(PU)やフェノール樹脂(PF)などの樹脂からなる発泡体であってもよいし、パーライトやガラス中空体などの粒状体であってもよいし、グラスウールなどの無機繊維であってもよい。
【0031】
第2断熱材8は、例えば、ポリウレタンやフェノール樹脂などの樹脂からなる発泡体である。上述したように保持空間13には窒素ガスが充填されるため、第2断熱材8が発泡体である場合は、保持空間13から窒素ガスが第2断熱材8内に侵入し、第2断熱材8内の空隙が窒素ガスで充填される。また、ガス発生装置(図示せず)から第2断熱材8に窒素ガスを供給してもよい。なお、保持空間13に乾燥空気が充填される場合は、第2断熱材8内の空隙にも乾燥空気が充填されてもよい。
【0032】
本実施形態では、内槽3と外槽4の間の空間に内槽3内の液化ガスが気化したボイルオフガスが充填されている。ただし、内槽3と外槽4の間の空間には、内槽3内の液化ガスの温度では液化しないその他のガスが充填されてもよい。あるいは、内槽3と外槽4の間の空間は真空であってもよい。
【0033】
内槽3と外槽4の間の空間にボイルオフガスを充填する方法としては種々の方法が採用可能である。例えば、内槽3の上部に連通穴を設けてもよい。あるいは、図示は省略するが、内槽3からボイルオフガスを他の機器へ導く移送管に分岐管を設け、この分岐管の先端を内槽3と外槽4の間で開口させてもよい。
【0034】
船体11の床面11aと外槽4との間には第1支持部材6が配置されており、外槽4と内槽3との間には第2支持部材5が配置されている。第1支持部材6は、床面11aから立ち上がって外槽4を支持し、第2支持部材5は、第1支持部材6と異なる位置で外槽4の内側面から立ち上がって内槽3を支持する。
【0035】
本実施形態では、第1支持部材6および第2支持部材5が共に鉛直方向を軸方向とする筒状のスカートである。第1支持部材6の上端は、外槽4の赤道部(外槽4の鉛直中心線から最も遠くに位置する最大径部分)に接合されている。同様に、第2支持部材5の上端は、内槽3の赤道部(内槽3の鉛直中心線から最も遠くに位置する最大径部分)に接合されている。
【0036】
図2に示すように、第1支持部材6は、上部61、中間部62および下部63を含む。図例では、上下方向において、上部61、中間部62および下部63の長さが同じになっているが、それらの長さは適宜変更可能である。
【0037】
上部61は、外槽4と同じ材質(例えば、アルミニウム)で構成され、下部63は、船体11と同じ材質(例えば、炭素鋼)で構成される。中間部62は、外槽4および船体11よりも熱伝導率の低い材質(例えば、ステンレス鋼)で構成される。図示は省略するが、上部61と中間部62の間および中間部62と下部63の間には異材継手が設けられる。ただし、中間部62は、船体11と同じ材質で構成されてもよいし、外槽4と同じ材質で構成されてもよい。
【0038】
同様に、第2支持部材5は、上部51、中間部52および下部53を含む。図例では、上下方向において、上部51および下部53のそれぞれの長さが中間部52の長さよりも短くなっているが、それらの長さは適宜変更可能である。
【0039】
上部51は、内槽3と同じ材質(例えば、アルミニウム)で構成され、下部53は、外槽4と同じ材質(上述した通り、例えば、アルミニウム)で構成される。中間部52は、内槽3および外槽4よりも熱伝導率の低い材質(例えば、ステンレス鋼)で構成される。図示は省略するが、上部51と中間部52の間および中間部52と下部53の間には異材継手が設けられる。ただし、第2支持部材5は、上部51、中間部52および下部53が一体化され、上部51から下部53まで熱伝導性の低い材質(例えば、ステンレス鋼)で構成されてもよい。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の液化ガス貯留構造では、床面11aから内槽3までの熱侵入経路は、第1支持部材6、外槽4における第1支持部材6と第2支持部材5の間の部分、第2支持部材5となる。従って、外槽4に沿った第1支持部材6と第2支持部材5の離間距離分、熱侵入経路の長さを確保できる。これにより、床面11aから二重殻タンク2内への熱侵入を低減することができる。
【0041】
また、本実施形態では、第2支持部材5の上部51および下部53がそれぞれ内槽3および外槽4と同じ材質で構成されているので、第2支持部材5を内槽3および外槽4へ容易に接合することができる。しかも、第2支持部材5の中間部52は上部51および下部53よりも熱伝導率が低いので、その中間部52により第2支持部材5を通じた熱伝導を阻害することができる。
【0042】
しかも、本実施形態では、第2支持部材5の上部51および下部53のそれぞれの長さが中間部52の長さよりも短くなっているので、上部51、中間部52および下部53の長さが同じである場合に比べて、二重殻タンク2内への熱侵入をより低減することができる。
【0043】
さらに、本実施形態では、第1支持部材6の上部61および下部63がそれぞれ外槽4および船体11と同じ材質で構成されているので、第1支持部材6を外槽4および船体11へ容易に接合することができる。しかも、第1支持部材6の中間部62は上部61および下部63よりも熱伝導率が低いので、その中間部62により第1支持部材6を通じた熱伝導を阻害することができる。
【0044】
また、本実施形態では、内槽3と外槽4の間の空間にボイルオフガスが充填されている。内槽3と外槽4の間の空間に気体が充填されている場合には、内槽3に貯留されている液化ガスの温度によっては内槽3と外槽4の間で気体が液化または固化する可能性があるが、本実施形態のようにその気体がボイルオフガスであれば内槽3と外槽4の間での気体の液化または固化を防ぐことができる。
【0045】
(変形例)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0046】
例えば、本発明の液化ガス貯留構造は、必ずしも液化ガス運搬船1に含まれる必要はなく、陸上設備に含まれてもよい。すなわち、第1支持部材6が立ち上がる床面は地上面であってもよい。
【0047】
また、内槽3と外槽4の間の空間には、必ずしも第1断熱材7が詰め込まれている必要はない。例えば、内槽3と外槽4の間の空間が真空である場合は、内槽3の外側面のみが、輻射シールドフィルムとスペーサが交互に積層された積層真空断熱材で覆われてもよい。
【0048】
さらに、外槽4の外側面は必ずしも第2断熱材8で覆われている必要はなく、図3に示すように露出していてもよい。しかし、この場合には、内槽3から外槽4までの距離を大きくして断熱性能を確保する必要がある。これに対し、前記実施形態のように外槽4の外側面が第2断熱材8で覆われていれば、外槽4の外側面が第2断熱材8で覆われていない場合に比べて、内槽3から外槽4までの距離、換言すれば外槽4の直径を小さくすることができる。
【0049】
また、外槽4は、必ずしも球形である必要はなく、例えば、図4に示すような形状であってもよい。
【0050】
また、第1支持部材6および第2支持部材5は必ずしも筒状のスカートである必要はない。例えば、第1支持部材6および第2支持部材5のそれぞれは、複数の支柱で構成されてもよい。この場合、第1支持部材6および第2支持部材5が同一円周上に位置し、第1支持部材6を構成する支柱と第2支持部材5を構成する支柱とが周方向に交互に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 液化ガス運搬船
11 船体
11a 床面
2 二重殻タンク
3 内槽
4 外槽
5 第2支持部材
51 上部
52 中間部
53 下部
6 第1支持部材
61 上部
62 中間部
63 下部
7,8 断熱材
図1
図2
図3
図4