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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】コラゲナーゼ製剤およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/48 20060101AFI20241003BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20241003BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20241003BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241003BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20241003BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20241003BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20241003BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20241003BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20241003BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20241003BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20241003BHJP
   C12N 9/48 20060101ALN20241003BHJP
   C12N 9/52 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
A61K38/48
A61P17/00
A61P19/00
A61P43/00 105
A61P15/00
A61K47/26
A61K47/18
A61K47/14
A61K47/10
A61K9/19
A61K9/08
C12N9/48 ZNA
C12N9/52
【請求項の数】 38
(21)【出願番号】P 2021539410
(86)(22)【出願日】2020-01-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 US2020012202
(87)【国際公開番号】W WO2020142701
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】62/788,916
(32)【優先日】2019-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521011813
【氏名又は名称】エンド グローバル エステティックス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】スクル、カルナカル
【審査官】濱田 光浩
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-530873(JP,A)
【文献】特表2009-516692(JP,A)
【文献】特表2003-510369(JP,A)
【文献】特表2003-520764(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0099049(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0333536(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/48
A61P 17/00
A61P 19/00
A61P 43/00
A61P 15/00
A61K 47/26
A61K 47/18
A61K 47/14
A61K 47/10
A61K 9/19
A61K 9/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製剤であって、
コラゲナーゼと、
約30mM~約240mMの二糖類と、
112.5mM~約337.5mMのマンニトールと、および
約6mM~約10mMのTris-HClと、
を含む、製剤。
【請求項2】
請求項1記載の製剤において、前記コラゲナーゼはコラゲナーゼIを含む、製剤。
【請求項3】
請求項2記載の製剤において、前記コラゲナーゼIは配列ID番号:1のアミノ酸配列を含む、製剤。
【請求項4】
請求項1記載の製剤において、前記コラゲナーゼはコラゲナーゼIIを含む、製剤。
【請求項5】
請求項4記載の製剤において、前記コラゲナーゼIIは配列ID番号:2のアミノ酸配列を含む、製剤。
【請求項6】
請求項1記載の製剤において、前記コラゲナーゼはコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの混合物を含む、製剤。
【請求項7】
請求項6記載の製剤において、前記コラゲナーゼIは配列ID番号:1のアミノ酸配列を含み、前記コラゲナーゼIIは配列ID番号:2のアミノ酸配列を含む、製剤。
【請求項8】
請求項6または7記載の製剤において、前記コラゲナーゼはコラゲナーゼクロストリジウムヒストリチクム(CCH)である、製剤。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の製剤において、前記二糖類はスクロースまたはトレハロースを含む、製剤。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の製剤において、前記製剤のpHは約7.8~約8.8である、製剤。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の製剤であって、前記製剤は、
CCHと、
約60mMのスクロースと、
約225mMのマンニトールと、および
約10mMのTris-HClと、を含み、
前記製剤は、約8.5のpHを有する、製剤。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の製剤であって、ポリソルベート20、ポリソルベート80、またはポロキサマー188を含む界面活性剤をさらに含む、製剤。
【請求項13】
請求項12記載の製剤において、約0.01%~約2%の前記界面活性剤を含む、製剤。
【請求項14】
請求項13記載の製剤において、約0.02%の前記界面活性剤を含む、製剤。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の製剤において、前記製剤は液体である製剤。
【請求項16】
凍結乾燥製剤であって、
コラゲナーゼと、
二糖類と、
約112.5mM~約337.5mMのマンニトールと、および
Tris-HClと、
を含む、凍結乾燥製剤。
【請求項17】
請求項16記載の凍結乾燥製剤において、前記コラゲナーゼはコラゲナーゼIを含む、凍結乾燥製剤。
【請求項18】
請求項17記載の凍結乾燥製剤において、前記コラゲナーゼIは配列ID番号:1のアミノ酸配列を含む、凍結乾燥製剤。
【請求項19】
請求項16記載の凍結乾燥製剤において、前記コラゲナーゼはコラゲナーゼIIを含む、凍結乾燥製剤。
【請求項20】
請求項19記載の凍結乾燥製剤において、前記コラゲナーゼIIは配列ID番号:2のアミノ酸配列を含む、凍結乾燥製剤。
【請求項21】
請求項16記載の凍結乾燥製剤において、前記コラゲナーゼはコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの混合物を含む、凍結乾燥製剤。
【請求項22】
請求項21記載の凍結乾燥製剤において、前記コラゲナーゼIは配列ID番号:1のアミノ酸配列を含み、前記コラゲナーゼIIは配列ID番号:2のアミノ酸配列を含む、凍結乾燥製剤。
【請求項23】
請求項21または22記載の凍結乾燥製剤において、前記コラゲナーゼはコラゲナーゼクロストリジウムヒストリチクム(CCH)である、凍結乾燥製剤。
【請求項24】
請求項16~23のいずれか1項に記載の凍結乾燥製剤において、前記二糖類はスクロースまたはトレハロースを含む、凍結乾燥製剤。
【請求項25】
請求項16~24のいずれか1項に記載の凍結乾燥製剤において、凍結乾燥の前に、前記製剤は、
CCHと、
60mMのスクロースと、
225mMのマンニトールと、および
10mM Tris-HClと、を含み、および
前記製剤は、約8.5のpHを有する、凍結乾燥製剤。
【請求項26】
請求項16~25のいずれか1項に記載の凍結乾燥製剤において、前記凍結乾燥製剤は380μbar以上の圧力で安定する、凍結乾燥製剤。
【請求項27】
請求項26記載の凍結乾燥製剤において、前記凍結乾燥製剤は、約4000μbarの圧力で安定する、凍結乾燥製剤。
【請求項28】
請求項16~27のいずれか1項に記載の凍結乾燥製剤において、前記凍結乾燥製剤は、
(i)2~8℃で少なくとも36ヶ月、
(j)25℃および60%の相対湿度で少なくとも36ヶ月、
(k)40℃および75%の相対湿度で少なくとも6ヶ月、または
(l)(a)~(c)の任意の組み合わせ、で安定する凍結乾燥製剤。
【請求項29】
請求項16~28のいずれか1項に記載の凍結乾燥製剤を製造するための方法であって、前記方法は、
凍結製剤を形成するために、コラゲナーゼ、二糖類、マンニトール、および、Tris-HClを含む製剤を約-25℃~-55℃の間の温度で凍結する工程と、および
前記凍結乾燥製剤を形成するために、前記凍結製剤を約25℃~約50℃の間の温度で乾燥させる工程と、
を含む、方法。
【請求項30】
請求項29記載の方法において、
前記凍結する工程は、凍結製剤を形成するために、約-25℃~-55℃の間の単一温度であり、および
前記凍結製剤を乾燥させる工程は、前記凍結乾燥製剤を形成するために、約25℃~約50℃の間の単一温度である、
方法。
【請求項31】
請求項29または30記載の方法において、前記方法は72時間未満で行われる、方法。
【請求項32】
請求項29~31のいずれか1項に記載の方法において、前記方法は、約380μbar~約4000μbarの間の圧力で行われる、方法。
【請求項33】
請求項16~28のいずれか1項に記載の凍結乾燥製剤において、ユニットドーズバイアル、マルチドーズバイアル、カートリッジ、またはシリンジに入っている、凍結乾燥製剤。
【請求項34】
再構成製剤であって、
コラゲナーゼと、
二糖類と、
約112.5mM~約337.5mMのマンニトールと、
Tris-HClと、
塩化カルシウムと、および
塩化ナトリウムと、
を含む再構成製剤。
【請求項35】
請求項34記載の再構成製剤において、前記コラゲナーゼは、コラゲナーゼクロストリジウムヒストリチクム(CCH)である、再構成製剤。
【請求項36】
請求項34または35記載の再構成製剤において、前記二糖類はスクロースまたはトレハロースを含む、再構成製剤。
【請求項37】
請求項34~36のいずれか1項に記載の再構成製剤において、前記再構成製剤は、ヒトの血液に対して等張である、再構成製剤。
【請求項38】
キットであって、
請求項16~28のいずれか1項に記載の凍結乾燥製剤を含む容器と、および
塩化カルシウムと塩化ナトリウムを含む無菌希釈剤を含む容器と、
を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年1月6日に出願された米国仮出願第62/788,916号に優先権主張するものであり、その開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、2020年1月3日に作成された17,447バイトのサイズの「117326_000001_Sequence_Listing.txt」というタイトルのテキストファイルとして電子提出された配列表を含む。本配列表は参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本明細書では、安定性と保存性が改善されたコラゲナーゼ含有製剤を開示する。
【背景技術】
【0004】
XIAFLEX(登録商標)(Clostridium histolyticum(CCH)由来コラゲナーゼ)は、現在、デュピュイトレン拘縮(DC)およびペイロニー病(PD)の治療薬として承認される。現在承認されるXIAFLEX(登録商標)の製剤は、0.9mgのCCHを含む凍結乾燥ケーキとして、希釈剤の入った3CCバイアルで提供される。現在のXIAFLEX(登録商標)の製剤(凍結乾燥前)は、バイアルで約72時間の凍結乾燥サイクルタイムを有する。保存性と酵素の安定性のためには、効率的な凍結乾燥が必要である。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 国際公開第2013/059619号
(特許文献2) 国際公開第2007/100675号
(特許文献3) 国際公開第2018/160905号
(特許文献4) 米国特許出願公開第2011/033464号明細書
(特許文献5) 米国特許出願公開第2018/099049号明細書
(特許文献6) 米国特許出願公開第2006/263347号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、コラゲナーゼ、約30mM~約240mMの二糖類;約50mM~約800mMのマンニトール、および約6mM~約10mMのTris-HClを含む製剤を開示する。
【0006】
また、本明細書では、コラゲナーゼ、二糖類、マンニトール、およびTris-HClを含む凍結乾燥製剤が提供される。
【0007】
コラゲナーゼ、二糖類、マンニトール、Tris-HCl、塩化カルシウム、および塩化ナトリウムを含む再構成製剤も開示される。
【0008】
キットも提供されており、キットは、開示されるいずれかの凍結乾燥製剤を含む容器と、塩化カルシウムおよび塩化ナトリウムを含む滅菌希釈剤を含む容器とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
この要約、および以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むことでさらに理解される。開示された製剤を説明する目的で、図面には製剤の例示的な実施形態が示されるが、製剤は開示された特定の実施形態に限定されるものではない。
【0010】
図1図1は、トレハロース、マンニトール、および様々なコラゲナーゼを含む例示的な製剤における、タンパク質の相互作用に対するpHの影響を示す。
図2A図2Aおよび図2Bは、濁度に対するpHおよび賦形剤の影響を分析する例示的な過酸化水素の課題を示す。NTU-Nephelometric Turbidity Units(ネフェロメトリック濁度単位)、PS-Polysorbate(ポリソルベート)、T-Trehalose(トレハロース)、S-Sucrose(スクロース)、M-Mannitol(マンニトール)、H-Hydrogen peroxide(過酸化水素)、7.5、8.0、および8.5は製剤のpHを示す。
図2B図2Aおよび図2Bは、濁度に対するpHおよび賦形剤の影響を分析する例示的な過酸化水素の課題を示す。NTU-Nephelometric Turbidity Units(ネフェロメトリック濁度単位)、PS-Polysorbate(ポリソルベート)、T-Trehalose(トレハロース)、S-Sucrose(スクロース)、M-Mannitol(マンニトール)、H-Hydrogen peroxide(過酸化水素)、7.5、8.0、および8.5は製剤のpHを示す。
図3A-3D】図3A図3B図3C図3D図3E図3F図3G図3H図3I図3J図3K図3L図3M図3N図3O図3P図3Q、および図3Rは、さまざまな凍結乾燥製剤(Va:0.93mg/ml CCH;60mM スクロース;112.5mM マンニトール;10mM Tris/HCl緩衝液(バッファー)pH8.5;Vb:0.93mg/ml CCH;60mMスクロース;225mMマンニトール;10mM Tris/HCl緩衝液(バッファー)pH8.5;およびVc:0.93mg/ml CCH;60mM スクロース;337.5mM マンニトール;10mM Tris/HCl緩衝液(バッファー)pH8.5)。
図3E-3H】図3A図3B図3C図3D図3E図3F図3G図3H図3I図3J図3K図3L図3M図3N図3O図3P図3Q、および図3Rは、さまざまな凍結乾燥製剤(Va:0.93mg/ml CCH;60mM スクロース;112.5mM マンニトール;10mM Tris/HCl緩衝液(バッファー)pH8.5;Vb:0.93mg/ml CCH;60mMスクロース;225mMマンニトール;10mM Tris/HCl緩衝液(バッファー)pH8.5;およびVc:0.93mg/ml CCH;60mM スクロース;337.5mM マンニトール;10mM Tris/HCl緩衝液(バッファー)pH8.5)。
図3I-3L】図3A図3B図3C図3D図3E図3F図3G図3H図3I図3J図3K図3L図3M図3N図3O図3P図3Q、および図3Rは、さまざまな凍結乾燥製剤(Va:0.93mg/ml CCH;60mM スクロース;112.5mM マンニトール;10mM Tris/HCl緩衝液(バッファー)pH8.5;Vb:0.93mg/ml CCH;60mMスクロース;225mMマンニトール;10mM Tris/HCl緩衝液(バッファー)pH8.5;およびVc:0.93mg/ml CCH;60mM スクロース;337.5mM マンニトール;10mM Tris/HCl緩衝液(バッファー)pH8.5)。
図3M-3P】図3A図3B図3C図3D図3E図3F図3G図3H図3I図3J図3K図3L図3M図3N図3O図3P図3Q、および図3Rは、さまざまな凍結乾燥製剤(Va:0.93mg/ml CCH;60mM スクロース;112.5mM マンニトール;10mM Tris/HCl緩衝液(バッファー)pH8.5;Vb:0.93mg/ml CCH;60mMスクロース;225mMマンニトール;10mM Tris/HCl緩衝液(バッファー)pH8.5;およびVc:0.93mg/ml CCH;60mM スクロース;337.5mM マンニトール;10mM Tris/HCl緩衝液(バッファー)pH8.5)。
図3Q-3R】図3A図3B図3C図3D図3E図3F図3G図3H図3I図3J図3K図3L図3M図3N図3O図3P図3Q、および図3Rは、さまざまな凍結乾燥製剤(Va:0.93mg/ml CCH;60mM スクロース;112.5mM マンニトール;10mM Tris/HCl緩衝液(バッファー)pH8.5;Vb:0.93mg/ml CCH;60mMスクロース;225mMマンニトール;10mM Tris/HCl緩衝液(バッファー)pH8.5;およびVc:0.93mg/ml CCH;60mM スクロース;337.5mM マンニトール;10mM Tris/HCl緩衝液(バッファー)pH8.5)。
図4図4A図4B、および図4Cは、128μbar(図4A)、380μbar(図4B)、および1030μbar(図4C)の圧力下での様々な凍結乾燥製剤からのケーキの画像を示す。
図5図5Aおよび図5Bは、128μbar(図5A)および4000μbar(図5B)の圧力下での様々な凍結乾燥製剤からのケーキの画像を示す。
図6図6は、様々な凍結乾燥製剤の経時的な水分含有量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
開示された製剤は、本開示の一部をなす添付の図に関連した以下の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解することができる。開示された製剤は、本明細書に記載および/または示された特定の製剤に限定されるものではなく、また、本明細書で使用される用語は、例示として特定の実施形態を説明するためのものであり、請求項の製剤を限定することを意図したものではないことを理解されたい。
【0012】
特に明記しない限り、可能性のあるメカニズムや作用様式、改善の理由に関する記述は、例示のみを目的としたものであり、開示された製剤は、そのように示唆されたメカニズムや作用様式、改善の理由の正しさや不正解に制約されるものではない。
【0013】
本文中では、製剤および製剤を調製する方法について記載する。本開示が製剤に関連する特徴または実施形態を記載または主張する場合、そのような特徴または実施形態は、製剤を形成する方法にも同様に適用される。同様に、本開示が製剤を形成する方法に関連する特徴または実施形態を記載または主張する場合、そのような特徴または実施形態は、製剤にも同様に適用される。
【0014】
本明細書で数値の範囲が記載または確立されている場合、その範囲には、その端点およびその範囲内のすべての個々の整数および分数が含まれ、さらに、それらの端点および内部の整数および分数のすべての可能な組み合わせによって形成されるその中の狭い範囲のそれぞれが含まれ、それらの狭い範囲のそれぞれが明示的に記載される場合と同じ程度に、記載された範囲内の値の大きなグループのサブグループを形成する。本明細書において、数値の範囲が記載された値よりも大きいと記載される場合、その範囲はそれにもかかわらず有限であり、本明細書に記載された本発明の文脈の中で動作可能な値によってその上端が境界される。本明細書で数値の範囲が記載された値よりも小さい場合、その範囲はそれにもかかわらず、ゼロではない値によってその下端が境界される。本開示の範囲が、範囲を定義する際に記載された特定の値に限定されることは意図されない。すべての範囲は包括的であり、組み合わせ可能である。
【0015】
値が近似値として表現されている場合、先行詞「約」を使用することで、特定の値が別の実施形態を形成することが理解される。特定の数値に言及することは、文脈上明らかに他の指示がない限り、少なくともその特定の数値を含む。
【0016】
明確化するために、別々の実施形態の文脈で本明細書に記載される、開示された製剤の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されることもあることを理解されたい。逆に、簡潔化するために、単一の実施形態の文脈で記載される開示された製剤の様々な特徴も、別々にまたは任意のサブコンビネーションで提供されても良い。
【0017】
本明細書では、単数形の「a」、「an」、および「the」は、複数形を含む。
【0018】
本明細書および特許請求の範囲では、本明細書の側面に関連するさまざまな用語が使用される。このような用語は、特に明記されていない限り、当技術分野における通常の意味を有するものとする。その他の具体的に定義された用語は、本明細書に記載される定義と一致する方法で解釈される。
【0019】
「含む(comprising)」という用語は、「から本質的になる(consisting essentially of)」および「からなる(consisting of)」という用語に包含される例を含むことを意図しており、同様に、「から本質的になる」という用語は、「からなる」という用語に包含される例を含むことを意図する。
【0020】
コラゲナーゼ Clostridium histolyticum(CCH)、United States Pharmacopeia(USP)、Nephelometric Turbidity Units(NTU)、ポリソルベート(Polysorbate(PS))、Hydrogen peroxide(H)などの略語を使用する。
【0021】
本明細書では、以下を含む、または以下からなる製剤が提供される:
コラゲナーゼと、
約30mM~約240mMの二糖類と、
約50mM~約800mMのマンニトールと、および
約6mM~約10mMのTris-HCl。
【0022】
製剤は、約0.2mg/ml~約50mg/mlのコラゲナーゼを含むことができる。例えば、凍結乾燥製剤は、約0.2mg/ml、約0.3mg/ml、約0.4mg/ml、約0.6mg/ml、約0.8mg/ml、約0.9mg/ml、約1mg/ml、約1.2mg/ml、約1.4mg/ml、約1.6mg/ml、約1.8mg/ml、約2mg/ml、約2.5mg/ml、約3mg/ml、約3.5mg/ml、約4mg/ml、約4.5mg/ml、約5mg/ml、約10mg/ml、約15mg/ml、約20mg/ml、約25mg/ml、約30mg/ml、約35mg/ml、約40mg/ml、約45mg/ml、または約50mg/mlのコラゲナーゼを含む。
【0023】
本明細書では、「コラゲナーゼ」とは、以下のいずれかを指す:(a)EC3.4.24.3で定義された活性を有するコラゲナーゼ(変異体を含む)(www.brenda-enzymes.org/enzyme.php?ecno=3.4.24.3(2019年7月3日にアクセス)、(b)Clostridium histolyticum(Hathewaya histolyticaとも呼ばれる)の発酵によって産生されるコラゲナーゼ、(c)CCH(本明細書に記載)、(d)BLASTによって決定されたコラゲナーゼI(クラスIコラゲナーゼとも呼ばれる)と少なくとも50%の配列整合性を有するコラゲナーゼ、(e)BLASTによって決定されたコラゲナーゼII(クラスIIコラゲナーゼとも呼ばれる)と少なくとも50%の配列整列を有するコラゲナーゼ、(f)他の供給源の生物の発酵によって生産されるコラゲナーゼ(i.e.,non-Clostridium histolyticum)、例えば哺乳類、甲殻類、真菌、細菌または微生物のコラゲナーゼ、(g)組換え技術によって得られたコラゲナーゼ、(h)約65kDa~約130kDaの分子量を有するコラゲナーゼ、(i)コラゲナーゼIまたはコラゲナーゼIIとして指定されるコラゲナーゼ、(j)コラゲナーゼIおよびIIの混合物、(k)JCM 1403株(ATCC 19401)またはその誘導体由来のコラゲナーゼ、(l)ATCC 21000株またはその誘導体由来のコラゲナーゼ、(m)ATCC 69334またはその誘導体由来のコラゲナーゼ、(n)C.perfringens由来のコラゲナーゼ、(o)Vibrio alginolyticus由来のコラゲナーゼ、(p)Streptomyces由来のコラゲナーゼ、(q)Pseudomonas由来のコラゲナーゼ、(r)Achromobacter iophagus由来のコラゲナーゼ、(s)Worthington Biochemical Corp.(www.Worthington-biochem.com;「製品ハイライト」)に記載されるコラゲナーゼ、(t)Sigma-Aldrich(www.sigma-aldrich.com)によって記載されるコラゲナーゼ、(u)以下の特徴の1つ以上を有するコラゲナーゼ:
・Vmax(min-1)が約0.08~7.70(SRCアッセイ)、または約0.3~30.5(GPAアッセイ)であること。
・K、約4.1~410nM(SRCアッセイ)、または約0.03~3.1mM(GPAアッセイ)
・Kcat(sec-1)が約1.1~107(SRCアッセイ)、または約93~9,179(GPAアッセイ)
・1/Kcat、約376~37,222(SRCアッセイ)、または約4~428(GPAアッセイ)のマイクロ秒、または
・Kcat/K、mM-1sec-1が約5,140~508,814(SRCアッセイ)、または約60~5,934(GPAアッセイ)、
(v)Nordmark Arzneimittel GmbH & Co.KG記載のコラゲナーゼ、(w)株004由来のコラゲナーゼ、または(x)前記のいずれかの等価物もしくはそれらのいくつかの組み合わせを指す。本明細書の開示に使用することができるコラゲナーゼの非限定的な例は、米国特許第7,811,560号、米国特許第9,757,435号、米国特許第9,744,138号、および国際公開公報第WO2012/125948号に記載される。
【0024】
いくつかの実施形態では、コラゲナーゼは、コラゲナーゼIを含むことができ、好適なコラゲナーゼIとしては、例えば、配列ID番号:1のアミノ酸配列と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含むコラゲナーゼIが挙げられる。いくつかの側面では、コラゲナーゼIは、配列ID番号:1のアミノ酸配列を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、コラゲナーゼは、コラゲナーゼIIを含むことができる。好適なコラゲナーゼIIとしては、例えば、配列ID番号:2のアミノ酸配列と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含むコラゲナーゼIIが挙げられる。いくつかの態様において、コラゲナーゼIIは配列ID番号:2のアミノ酸配列からなる。
【表1】
【0026】
いくつかの実施形態では、コラゲナーゼは、コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの混合物を含むことができる。コラゲナーゼは、例えば、配列ID番号:1のアミノ酸配列と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含むコラゲナーゼIと、配列ID番号:2のアミノ酸配列と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含むコラゲナーゼIIとの混合物を含み得る。いくつかの側面では、コラゲナーゼは、配列ID番号:1のアミノ酸配列を含むコラゲナーゼIと、配列ID番号:2のアミノ酸配列を含むコラゲナーゼIIの混合物を含む。コラゲナーゼIとコラゲナーゼIIの適切な混合物としては、例えば、コラゲナーゼI:コラゲナーゼIIの質量比が、0.1:1,0.25:1、0.5:1、0.75:1、1:1、1.1:1、1.25:1、1.5:1、1.75:1、2:1、1:0.1、1:0.25、1:0.5;1:0.75、1:1.1、1:1.25、1:1.5、1:1.75、または1:2である。コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIのそれぞれは、例えば逆相HPLCによって測定される、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の純度を有していても良い。
【0027】
いくつかの実施形態では、コラゲナーゼは、コラゲナーゼクロストリジウムヒストリチクム(Clostridium histolyticum)(CCH)を含むことができる。「CCH」は、本明細書で使用される場合、コラゲナーゼI(配列ID番号:1)およびコラゲナーゼII(配列ID番号:2)の混合物を約1:1の質量比で含むコラゲナーゼクロストリジウム・ヒストリチウムを指す。CCHは、コラゲナーゼクロストリジウムヒストリチクム(別名:Hathewaya histolytica)を発酵させることで得られる。
【0028】
適切な二糖類としては、以下のものが挙げられる。
・タンパク質を安定化する、
・凍結と脱水の両方でタンパク質を保護する、
・凍結乾燥によるアンフォールディングを抑制する、
・非還元性である、および/または
・凍結乾燥時に非晶質になる傾向がある。
【0029】
いくつかの実施形態では、二糖類は、スクロースまたはトレハロースを含む。いくつかの側面では、製剤は:コラゲナーゼ、約30mM~約240mMのスクロース、約50mM~約800mMのマンニトール、および約6mM~約10mMのTris-HClを含む。いくつかの側面では、製剤は、コラゲナーゼ、約30mM~約240mMのトレハロース、約50mM~約800mMのマンニトール、および約6mM~約10mMのTris-HClを含む。
【0030】
二糖類は、約30mM~約240mM、約60mM~約240mM、約90mM~約240mM、約120mM~約240mM、約150mM~約240mM、約180mM~約240mM、約210mM~約240mM、約30mM~約210mM、約30mM~約180mM、約30mM~約150mM、約30mM~約120mM、約30mM~約90mM、または約30mM~約60mMの濃度で存在し得る。二糖類は、約30mM、約60mM、約90mM、約120mM、約150mM、約180mM、約210mM、または約240mMの濃度で存在し得る。
【0031】
マンニトールは、約50mM~約800mM、約100mM~約800mM、約150mM~約800mM、約200mM~約800mM、約250mM~約800mM、約300mM~約800mM、約350mM~約800mM、約400mM~約800mM、約450mM~約800mM、約500mM~約800mM、約550mM~約800mM、約600mM~約800mM、約650mM~約800mM、約700mM~約800mM、約750mM~約800mM、約50mM~約750mM、約50mM~約700mM、約50mM~約650mM、約50mM~約600mM、約50mM~約550mM、約50mM~約500mM、約50mM~約450mM、約50mM~約400mM、約50mM~約350mM、約50mM~約300mM、約50mM~約250mM、約50mM~約200mM、約50mM~約150mM、または約50mM~約100mMである。マンニトールは、約50mM、約100mM、約150mM、約200mM、約225mM、約250mM、約300mM、約350mM、約400mM、約450mM、約500mM、約550mM、約600mM、約650mM、約700mM、約750mM、または約800mMの濃度で存在し得る。
【0032】
製剤のpHは、約7.8~約8.8とすることができる。pHは、約7.8、約7.9、約8.0、約8.1、約8.2、約8.3、約8.4、約8.5、約8.6、約8.7、または約8.8であることができる。
【0033】
製剤は、以下:CCH、約60mMスクロース、約225mMマンニトール、および約10mM Tris-HClを含み、前記製剤は、約8.5のpHを有する。製剤は、以下:約0.9mg CCH/ml、約60mMスクロース、約225mMマンニトール、および約10mM Tris-HClを含み、前記製剤は、約8.5のpHを有する。
【0034】
製剤は、以下:CCH、約60mMスクロース、約225mMマンニトール、および約10mM Tris-HClからなり、前記製剤は、約8.5のpHを有する。製剤は、以下:約0.9mg CCH/ml、約60mMスクロース、約225mMマンニトール、および約10mM Tris-HClからなり、前記製剤は、約8.5のpHを有する。
【0035】
開示された製剤は、界面活性剤をさらに含むことができる。適切な界面活性剤としては、例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート80、またはポロキサマー188が挙げられる。界面活性剤は、約0.01%~約2%、約0.05%~約2%、約0.1%~約2%、約0.15%~約2%、約0.2%~約2%、約0.25%~約2%、約0.3%~約2%、約0.4%~約2%、約0.5%~約2%、約1%~約2%、約1.5%~約2%、約0.01%~約1.5%、約0.01%~約1%、約0.01%~約0.5%、約0.01%~約0.1%、または約0.01%~約0.05%である。界面活性剤は、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.5%、約1%、約1.5%、または約2%の濃度で存在し得る。いくつかの実施形態では、製剤は、約0.02%の濃度のポリソルベート20をさらに含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約0.02%の濃度でポリソルベート80をさらに含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約0.02%の濃度でポロキサマー80をさらに含む。
【0036】
上記の製剤は液体でも良い。
【0037】
開示された製剤は、XIAFLEX(登録商標)などの従来のコラゲナーゼ含有製剤と比較して、より積極的な条件で凍結乾燥することができる。例えば、開示される製剤は、より短時間で、より高い圧力を用いて、および/またはより少ない乾燥工程(例えば、単一の温度での乾燥)で凍結乾燥することができ、その結果、安定性が向上し、再構成時に許容可能なコラゲナーゼ活性が維持される凍結乾燥製剤が得られる。明細書に示したように、pHおよびマンニトールは、その後、より積極的な凍結乾燥を行うことができる、より強固な製剤の形成につながる。
【0038】
また、本明細書では、凍結乾燥製剤が提供される。凍結乾燥製剤は、上記製剤のいずれかを凍結乾燥することによって形成することができる。いくつかの実施形態では、凍結乾燥製剤は、以下:
コラゲナーゼと、
二糖類と、
マンニトールと、および
トリス-HClを含む、または以下からなる。
【0039】
凍結乾燥製剤は、約0.2mg~約50mgのコラゲナーゼを含み得る。例えば、凍結乾燥製剤は、約0.2mg、0.4mg、0.6mg、0.8mg、0.9mg、1mg、1.2mg、1.4mg、1.6mg、1.8mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、または50mgのコラゲナーゼを含み得る。
【0040】
コラゲナーゼは、コラゲナーゼIを含み得る。好適なコラゲナーゼIとしては、例えば、配列ID番号:1のアミノ酸配列と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含むコラゲナーゼIが挙げられる。いくつかの実施形態では、コラゲナーゼIは、配列ID番号:1のアミノ酸配列を含む。
【0041】
コラゲナーゼは、コラゲナーゼIIを含み得る。好適なコラゲナーゼIIとしては、例えば、配列ID番号:2のアミノ酸配列と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含むコラゲナーゼIIが挙げられる。いくつかの実施形態では、コラゲナーゼIIは、配列ID番号:2のアミノ酸配列を含む。
【0042】
コラゲナーゼは、コラゲナーゼIとコラゲナーゼIIの混合物を含み得る。コラゲナーゼは、例えば、配列ID番号:1のアミノ酸配列と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含むコラゲナーゼIと、配列ID番号:2のアミノ酸配列と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含むコラゲナーゼIIとの混合物を含むことができる。いくつかの実施形態では、コラゲナーゼは、配列ID番号:1のアミノ酸配列を含むコラゲナーゼIと、配列ID番号:2のアミノ酸配列を含むコラゲナーゼIIとの混合物を含む。コラゲナーゼIとコラゲナーゼIIの適切な混合物としては、例えば、コラゲナーゼI:コラゲナーゼIIの質量比が、0.1:1、0.25:1、0.5:1、0.75:1、1:1、1.1:1、1.25:1、1.5:1、1.75:1、2:1、1:0.1、1:0.25、1:0.5、1:0.75、1:1.1、1:1.25、1:1.5、1:1.75、または1:2が挙げられる。いくつかの実施形態では、コラゲナーゼは、コラゲナーゼクロストリジウムヒストリチクム(CCH)である。
【0043】
コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIのそれぞれは、例えば逆相HPLCによって測定される純度が少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%有しても良い。
【0044】
適切な二糖類としては、例えば、スクロースまたはトレハロースが挙げられる。いくつかの実施形態では、凍結乾燥製剤は、コラゲナーゼ、スクロース、マンニトール、およびTris-HClを含むか、またはこれらからなる。いくつかの実施形態では、凍結乾燥製剤は、コラゲナーゼ、トレハロース、マンニトール、およびTris-HClを含むか、またはこれらからなる。
【0045】
凍結乾燥製剤は、ユニットドーズバイアル、マルチドーズバイアル、カートリッジ、またはシリンジに入れることができる。凍結乾燥製剤は、約0.2mg~約50mgのコラゲナーゼを含み得る。例えば、凍結乾燥製剤は、約0.2mg、0.4mg、0.6mg、0.8mg、0.9mg、1mg、1.2mg、1.4mg、1.6mg、1.8mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、または50mgのコラゲナーゼを含み得る。バイアル、カートリッジ、またはシリンジは、5mL、7.5mL、10mL、15mL、20mL、30mL、40mL、または50mLなど、2mL~50mLの容量を有し得る。バイアル、カートリッジ、またはシリンジは、約0.2mg~約50mgのコラゲナーゼを含み得る。例えば、バイアル、カートリッジ、またはシリンジは、約0.2mg、0.4mg、0.6mg、0.8mg、1mg、1.2mg、1.4mg、1.6mg、1.8mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、または50mgのコラゲナーゼを含み得る。バイアル、カートリッジ、またはシリンジは、約0.2mg~約50mgの凍結乾燥製剤を含み得る。例えば、バイアル、カートリッジ、またはシリンジは、約0.2mg、0.4mg、0.6mg、0.8mg、1mg、1.2mg、1.4mg、1.6mg、1.8mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、または50mgの凍結乾燥製剤を含み得る。
【0046】
凍結乾燥前の製剤は、コラゲナーゼ、約30mM~約240mMの二糖類、約50mM~約800mMのマンニトール、および約6mM~約10mMのTris-HClを含むか、またはこれらからなる。凍結乾燥前の製剤は、約0.9mgのコラゲナーゼ/ml、約30mM~約240mMの二糖類、約50mM~約800mMのマンニトール、および約6mM~約10mMのTris-HClを含むか、またはこれらからなる。凍結乾燥の前に、製剤はCCH、60mMのスクロース、225mMのマンニトール、10mMのTris-HCl、および約8.5のpHを含むか、またはこれらからなる。いくつかの実施形態では、凍結乾燥の前に、製剤は、約0.9mgのCCH/ml、60mMのスクロース、225mMのマンニトール、10mMのTris-HClを含むか、またはこれらからなることができ、および約8.5のpHを有する。
【0047】
開示された凍結乾燥製剤は、XIAFLEX(登録商標)などの従来のコラゲナーゼ含有製剤に比べて安定性が向上する。例えば、開示される凍結乾燥製剤は、380μbar以上、400μbar以上、450μbar以上、500μbar以上、550μbar以上、600μbar以上、650μbar以上、700μbar以上、750μbar以上、800μbar以上、850μbar以上、900μbar以上、950μbar以上、1000μbar以上、1500μbar以上、2000μbar以上、2500μbar以上、3000μbar以上、3500μbar以上、または4000μbar以上の圧力で安定する。いくつかの実施形態では、凍結乾燥製剤は、約4000μbarの圧力で安定する。
【0048】
開示された凍結乾燥製剤は、従来のコラゲナーゼ含有製剤と比較して、保存期間および保存条件が改善される。例えば、開示された凍結乾燥製剤は、2~8℃などの低温で、および室温(40℃/相対湿度75%)などの高温で、延長された保存期間を示す。開示された凍結乾燥製剤は、例えば、以下の場所で安定することができる。
(a)2~8℃で少なくとも36ヶ月、
(b)25℃/60%の相対湿度で少なくとも36ヶ月、
(c)40℃/75%の相対湿度で少なくとも6ヶ月、または
(d)(a)~(c)の任意の組み合わせ。
【0049】
開示された凍結乾燥製剤は、製剤を約-25℃~-55℃の間の温度で凍結させて凍結製剤を形成する工程と、凍結製剤を約25℃~約50℃の間の温度で乾燥させて凍結乾燥製剤を形成する工程とを含む方法によって形成することができる。凍結工程に適した温度としては、約-25℃、約-30℃、約-35℃、約-40℃、約-45℃、約-50℃、または約-55℃が挙げられる。乾燥工程に適した温度は、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、または約50℃である。
【0050】
凍結乾燥製剤は、単一温度の凍結工程と単一温度の乾燥工程を用いて形成できることが示される。例えば、凍結乾燥製剤は、製剤を約-25℃~-55℃の間の単一の温度で凍結させて凍結製剤を形成する工程と、凍結製剤を約25℃~約50℃の間の単一の温度で乾燥させて凍結乾燥製剤を形成する工程とを含む方法によって形成することができる。単一温度凍結工程は、約-25℃と約-55℃の間の温度で行うことができる。例えば、単一温度凍結工程は、約-25℃、-30℃、-35℃、-40℃、-45℃、-50℃、または-55℃で行うことができる。単一温度の乾燥工程は、約25℃~約50℃の間の温度で行うことができる。例えば、単一温度の乾燥工程は、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、または約50℃で行うことができる。本方法が単一温度の凍結工程と単一温度の乾燥工程で実行される場合、本方法は凍結と乾燥の間に、凍結乾燥機が適切な乾燥温度に到達するための「ランプアップ」工程をさらに含むことができる。
【0051】
開示された凍結乾燥製剤は、他のコラゲナーゼ含有凍結乾燥製剤を形成するために使用される凍結乾燥方法よりもはるかに高速な凍結乾燥方法によって形成することができる。凍結乾燥製剤は、72時間未満で実施される凍結乾燥方法によって形成することができる。いくつかの実施形態では、方法は、30時間未満で実行することができる。いくつかの実施形態では、方法は、18時間未満で実行することができる。いくつかの実施形態では、方法は、約15時間~約25時間実施することができる。
【0052】
開示された凍結乾燥製剤は、他のコラゲナーゼ含有凍結乾燥製剤を形成するために使用される凍結乾燥方法よりもはるかに高い圧力を使用する凍結乾燥方法によって形成することができる。凍結乾燥製剤は、約380μbar~約4000μbarの間の圧力で行われる凍結乾燥方法によって形成することができる。開示された方法は、約500μbar~約4000μbarの間、約750μbar~約4000μbarの間、約1000μbar~約4000μbarの間の圧力で行うことができる。開示される方法は、380μbar、500μbar、750μbar、1000μbar、1500μbar、2000μbar、2500μbar、3000μbar、3500μbar、または4000μbarで行うことができる。
【0053】
開示された凍結乾燥製剤は、一度再構成すると、セルライト(浮腫性線維硬化性皮下脂肪症(EFP)とも呼ばれる)の重症度、触知可能な索を有するデュピュイトレン拘縮(DC)、または触知可能なプラークと30度以上の湾曲変形を有するペイロニー病(PD)など、コラーゲンを介する症状を治療または軽減するために使用することができる。
【0054】
また、本明細書では、コラゲナーゼ、二糖類、マンニトール、Tris-HCl、塩化カルシウム、および塩化ナトリウムを含む、またはこれらからなる再構成製剤が提供される。
【0055】
コラゲナーゼは、コラゲナーゼIを含むことができ、好適なコラゲナーゼIとしては、例えば、配列ID番号:1のアミノ酸配列と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むコラゲナーゼIが挙げられる。いくつかの実施形態では、コラゲナーゼIは、配列ID番号:1のアミノ酸配列を含む。コラゲナーゼは、コラゲナーゼIIを含み得る。好適なコラゲナーゼIIには、例えば、配列ID番号:2のアミノ酸配列と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含むコラゲナーゼIIが含まれる。いくつかの実施形態では、コラゲナーゼIIは、配列ID番号:2のアミノ酸配列を含む。コラゲナーゼは、コラゲナーゼIとコラゲナーゼIIの混合物を含むことができる。コラゲナーゼは、例えば、配列ID番号:1のアミノ酸配列と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含むコラゲナーゼIと、配列ID番号:2のアミノ酸配列と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含むコラゲナーゼIIとの混合物を含むことができる。いくつかの実施形態では、コラゲナーゼは、配列ID番号:1のアミノ酸配列を含むコラゲナーゼIと、配列ID番号:2のアミノ酸配列を含むコラゲナーゼIIとの混合物を含む。コラゲナーゼIとコラゲナーゼIIの適切な混合物としては、例えば、コラゲナーゼI:コラゲナーゼIIの質量比が、0.1:1、0.25:1、0.5:1、0.75:1、1:1、1.1:1、1.25:1、1.5:1、1.75:1、2:1、1:0.1、1:0.25、1:0.5;1:0.75、1:1.1、1:1.25、1:1.5、1:1.75、または1:2が挙げられる。いくつかの実施形態では、コラゲナーゼは、コラゲナーゼクロストリジウムヒストリチクム(CCH)である。
【0056】
コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIのそれぞれは、例えば逆相HPLCによって測定される純度が少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%であっても良い。
【0057】
適切な二糖類としては、例えば、スクロースまたはトレハロースが挙げられる。いくつかの実施形態では、再構成製剤は、コラゲナーゼ、スクロース、マンニトール、Tris-HCl、塩化カルシウム、および塩化ナトリウムを含むか、またはこれらからなる。いくつかの実施形態では、凍結乾燥製剤は、コラゲナーゼ、トレハロース、マンニトール、Tris-HCl、塩化カルシウム、および塩化ナトリウムを含むか、またはこれらからなる。
【0058】
塩化カルシウムおよび塩化ナトリウムの適切な量には、再構成製剤がヒトの血液に対して等張であることを可能にするものが含まれる。いくつかの実施形態では、再構成製剤は、約0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、または0.1%より大きい塩化カルシウムを含む。いくつかの実施形態では、再構成された製剤は、約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、または1%より大きい塩化ナトリウムを含む。
【0059】
また、再構成製剤は、注射用水(WFI)を含むことができる。
【0060】
開示された再構成製剤は、セルライト(浮腫性線維硬化性皮下脂肪症(EFP)とも呼ばれる)の重症度、触知可能な索を有するデュピュイトレン拘縮(DC)、または触知可能なプラークと30度以上の湾曲変形を有するペイロニー病(PD)を含む、コラーゲンを介する状態を治療または軽減するために使用することができる。
【0061】
再構成製剤は、単回投与または分割投与で、約0.01mg~約50mgのコラゲナーゼを含むことができる。再構成製剤は、例えば、1回または分割用量で、約0.05mg~約15mg、約0.10mg~約10mg、約0.15mg~約5mg、約0.20mg~約3mg、または約0.25mg~約2mgのコラゲナーゼを含むことができる。再構成製剤は、例えば、約0.05mg、約0.10mg、約0.15mg、約0.20mg、約0.25mg、約0.30mg、約0.35mg、約0.40mg、約0.45mg、約0.50mg、約0.55mg、約0.60mg、約0.65mg、約0.70mg、約0.75mg、約0.80mg、約0.85mg、約0.90mg、約0.95mg、約1.00mg、1.05mg、約1.10mg、約1.15mg、約1.20mg、約1.25mg、約1.30mg、約1.35mg、約1.40mg、約1.45mg、約1.50mg、約1.55mg、約1.60mg、約1.65mg、約1.70mg、約1.75mg、約1.80mg、約1.85mg、約1.90mg、約1.95mg、約2.00mg、約2.05mg、約2.10mg、約2.15mg、約2.20mg、約2.25mg、約2.30mg、約2.35mg、約2.40mg、約2.45mg、約2.50mg、約2.55mg、約2.60mg、約2.65mg、約2.70mg、約2.75mg、約2.80mg、約2.85mg、約2.90mg、約2.95mg、約3.00mg、約3.05mg、約3.10mg、約3.15mg、約3.20mg、約3.25mg、約3.30mg、約3.35mg、約3.40mg、約3.45mg、約3.50mg、約3.55mg、約3.60mg、約3.65mg、約3.70mg、約3.75mg、約3.80mg、約3.85mg、約3.90mg、約3.95mg。95mg、約4.00mg、約4.05mg、約4.10mg、約4.15mg、約4.20mg、約4.25mg、約4.30mg、約4.35mg、約4.40mg、約4.45mg、約4.50mg、約4.55mg、約4.60mg、約4.65mg、約4.70mg、約4.75mg、約4.85mg、約4.90mg、約4.95mg、約5.00mg、約5.05mg、約5.10mg、約5.15mg、約5.20mg、約5.25mg、約5.30mg、約5.35mg、約5.40mg、約5.45mg、約5.50mg、約5.55mg、約5.60mg、約5.65mg、約5.70mg、約5.75mg、約5.80mg、約5.85mg、約5.90mg、約5.95mg、約6.00mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、または約50mgのコラゲナーゼが含まれる。
【0062】
再構成製剤は、約0.1mL~約50mLの総量を有することができる。例えば、再構成製剤は、約0.1mL、0.2mL、0.3mL、0.4mL、0.5mL、1mL、1.5mL、2mL、2.5mL、3mL、3.5mL、4mL、4.5mL、5mL、10mL、15mL、20mL、25mL、30mL、35mL、40mL、45mL、または50mLの総量を持つことができる。
【0063】
開示された凍結乾燥製剤および滅菌希釈剤を含むキットも提供される。このキットは、開示された凍結乾燥製剤のいずれかを含む容器と、塩化カルシウムおよび塩化ナトリウムを含む滅菌希釈剤を含む容器とを含むことができる。
【0064】
凍結乾燥製剤および/または無菌希釈剤の適切な容器としては、例えば、バイアル、カートリッジ、またはシリンジが挙げられる。バイアルは、ユニットドーズバイアルまたはマルチドーズバイアルとすることができる。適切な容器のサイズとしては、例えば、2mL~50mLの容器、例えば、5mL、7.5mL、10mL、15mL、20mL、30mL、40mL、または50mLが挙げられる。
【0065】
開示された凍結乾燥製剤を含む容器は、約0.2mg~約50mgのコラゲナーゼを含み得る。例えば、容器は、約0.2mg、0.4mg、0.6mg、0.8mg、1mg、1.2mg、1.4mg、1.6mg、1.8mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、または50mgのコラゲナーゼを含み得る。開示された凍結乾燥製剤を含む容器は、約0.2mg~約50mgの凍結乾燥製剤を含み得る。例えば、容器は、約0.2mg、0.4mg、0.6mg、0.8mg、1mg、1.2mg、1.4mg、1.6mg、1.8mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、または50mgの凍結乾燥製剤を含み得る。
【0066】
滅菌希釈剤を含む容器は、凍結乾燥製剤を再構成した時に、ヒトの血液と等張の溶液になる量の滅菌希釈剤を含み得る。いくつかの実施形態では、無菌希釈剤は、約0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、または0.1%より大きい塩化カルシウムを含む。いくつかの実施形態では、無菌希釈剤は、約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、または1%より大きい塩化ナトリウムを含む。
【0067】
滅菌済み希釈剤の量は、約0.1mL~約50mLとすることができる。例えば、0.1mL、0.2mL、0.3mL、0.4mL、0.5mL、1mL、1.5mL、2mL、2.5mL、3mL、3.5mL、4mL、4.5mL、5mL、10mL、15mL、20mL、25mL、30mL、35mL、40mL、45mL、または50mLとすることができる。
【0068】
本明細書では、開示された製剤のいずれかを凍結乾燥する方法が提供され、この方法は、製剤を約-25℃~-55℃の間の温度で凍結させて凍結製剤を形成する工程と、凍結製剤を約25℃~約50℃の間の温度で乾燥させて凍結乾燥製剤を形成する工程とを含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、凍結は単一の温度で行われ、乾燥は単一の温度で行われる。そのような実施形態では、方法は、凍結と乾燥の間に、凍結乾燥機が適切な乾燥温度に到達できるようにするための「ランプアップ」工程をさらに含んでも良い。単一温度の凍結工程は、約-25℃~約-55℃の間の温度で行うことができる。例えば、単一温度の凍結工程は、約-25℃、-30℃、-35℃、-40℃、-45℃、-50℃、または-55℃で行うことができる。単一温度の乾燥工程は、約25℃~約50℃の間の温度で行うことができる。例えば、単一温度の乾燥工程は、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、または約50℃で行うことができる。
【0070】
開示された方法は、72時間未満で実施することができる。いくつかの実施形態では、方法は、30時間未満で実施することができる。いくつかの実施形態では、方法は、18時間未満で実施することができる。いくつかの実施形態では、方法は、約15時間~約25時間で実施することができる。
【0071】
開示された方法は、約128μbar~約4000μbarの間、約380μbar~約4000μbarの間、約500μbar~約4000μbarの間、約750μbar~約4000μbarの間、約1000μbar~約4000μbarの間の圧力で行うことができる。開示された方法は、380μbar、500μbar、750μbar、1000μbar、1500μbar、2000μbar、2500μbar、3000μbar、3500μbar、または4000μbarで行うことができる。
【実施例1】
【0072】
以下の例は、本明細書に開示されたいくつかの実施形態をさらに説明するために提供される。実施例は、開示された実施形態を限定するものではなく、説明することを意図する。
【0073】
XIAFLEX(登録商標)製剤(CCH、10mMのTris/HCl pH8.0、60mMのスクロース)は、凍結乾燥サイクルタイムが72時間と比較的長い。以下の研究の目的は、サイクルタイムを短縮し、収率を向上させる、より効率的な凍結乾燥処理を実現することだった。
【0074】
処方と凍結乾燥処理の最適化において、以下の基準を考慮した。
製剤:
・タンパク質の熱力学的安定性を最適化するpH、
・タンパク質を安定化させるために凍結保護剤/凍結防止剤としてのトレハロースまたはスクロース、
・バルキング剤/アイソトニック剤(例:マンニトール)の添加、および
・必要に応じて、タンパク質の凝集を抑えるために非イオン性界面活性剤を使用。
凍結乾燥処理:
・凍結・乾燥時のタンパク質のアンフォールディングを抑制、
・製品のガラス転移温度が予定保存温度を超えること、
・比較的低い含水率を維持する能力、および
・エレガントなケーキの構造。
【0075】
凍結乾燥に最適な製剤組成を特定する作業の一環として、スクロース、トレハロース、マンニトールなどの賦形剤をさまざまな組み合わせで配合し、界面活性剤を異なるレベルで配合した数種類の溶液製剤(「凍結乾燥前」)を評価した。さらに、未処理のバイアルとシリコン処理(焼き付け)のバイアルも評価した。
【0076】
製剤のロバストネス研究-研究1
これらの研究の目的は、オリジナルのXIAFLEX(登録商標)製剤と比較して、凍結/解凍試験、シアストレス、熱ストレス、過酸化物ストレス、疎水性表面接触によって2つの製剤のバリアントに挑戦することだった。以下の製剤を熱/せん断応力および凍結/解凍応力試験にさらした。
バリアントA(V):CCH、10mMのTris/HCl pH8.5、60mMのトレハロース、225mMのマンニトール
バリアントB(V):CCH、10mMのTris/HCl pH8.0、60mMのトレハロース、225mMのマンニトール
オリジナルのXIAFLEX(登録商標)原薬製剤(Or):CCH、10mMのTris/HCl pH8.0、60mMのスクロース
【0077】
疎水性の表面がタンパク質の安定性に及ぼす影響を調べるために、標準的なガラス製バイアルとシリコン化ガラス製バイアルを試験に使用した。製剤には2種類の界面活性剤(ポリソルベート20とポロキサマー188)を添加し、チャレンジテスト中の製剤の安定性に及ぼす界面活性剤の影響を調べた。また、酸化ストレスを強制するために、強力な酸化剤(過酸化水素)の存在下で試験を行った。合計で21種類のマトリックスがチャレンジテストに使用された。
【0078】
実験デザイン
CCHは、3種類の異なる製剤バリアントで処方された。候補となる製剤に挑戦するため、製剤バリアントは、撹拌を伴う熱ストレスと凍結/解凍ストレスにさらされた。サンプルには過酸化水素を添加し、タンパク質に酸化ストレスを与えた。凝集体の形成をモニターするために、ストレス暴露後の各サンプルを濁度測定で分析した。
【0079】
ガラス製バイアルやストッパーの処理
バイアルは実験室の食器洗浄機を使って純水で洗浄した。その後、バイアルを乾燥させ、300℃で2時間熱処理して発熱物質除去/滅菌した。ストッパーは、滅菌バッグに入れて2バール、121℃で20分間オートクレーブし、80℃で8時間乾燥させた。
【0080】
サンプルの準備
定量的なバッファー交換を達成するために、3回の独立した透析工程で透析を行った。XIAFLEX(登録商標)の原薬60mlを製剤のバリアントAに対して透析し、XIAFLEX(登録商標)の原薬40mlを製剤のバリアントBに対して透析した。XIAFLEX(登録商標)の原薬を、事前に調整した2つのSlide-A-Lyzer(登録商標)カセット(Thermo Scientific,Rockford,USA)に移した。充填したSlide-A-Lyzer(登録商標)カセットを2000mlまたは1000mlのターゲットバッファーで2時間インキュベートした後、最初のバッファー交換(2000ml/1000ml)を行った。さらに2時間透析した後、2回目のバッファー交換(2000ml/1000ml)を行い、一晩かけて透析を完了させた。タンパク質サンプルをSlide-A-Lyzer(登録商標)カセットから取り出し、希釈して濃度を1mg/mlに調整した。
【0081】
洗剤や過酸化水素の添加
透析後のサンプルにポリソルベート20、ポロキサマー188、過酸化水素、およびそれらの組み合わせをストック溶液(10%w/wポリソルベート20、10%w/wポロキサマー188、30%w/w H)を加えて補充した。洗剤や過酸化水素をバルク溶液に直接添加することで、オリジナルのXIAFLEX(登録商標)製剤のバリアントを調製した。各バリアントの組成を表2に示す。
【表2】
【0082】
各製剤を層流下で無菌ろ過し、熱・撹拌および凍結/解凍ストレスに曝した。
【0083】
凍結/解凍試験
製剤の凍結/解凍安定性は、合計3回の凍結/解凍サイクルを行うことで試験した。シリコン化した6Rガラスバイアルまたは2R標準ガラスバイアルに、各製剤を1.0ml充填した。各変種について3個のバイアルを用意した。液体サンプルは、25℃~-30℃まで、凍結速度を制御しながら55分以内に凍結させ、再び室温まで、加熱速度を制御しながら55分以内に加温した。適切な温度管理のために、サンプルはパイロット凍結乾燥機に入れられた。各凍結/解凍サイクルの後、サンプルの濁度を測定した。濁度の測定は、各サンプルの1mlを単回使用の濁度測定用キュベットに入れて分析した。分析後、液体をガラスバイアルに戻し、実験を続けた。
【0084】
熱応力試験
すべての製剤のテストサンプルを、2Rバイアル(充填量1ml)に入れ、撹拌(200rpm)下、40℃で4日間ストレスを与えた。その後、ストレスを与えたサンプルの濁度を分析した。
【0085】
濁度測定
サンプルの濁度は、2100AN濁度計(Hach Lange,Dusseldorf,Germany)を用いて、欧州薬局方に準拠して測定した。システムは以下のように校正された。
・硫酸ヒドラジン溶液:硫酸ヒドラジン1.0gを精製水に溶かし、同じ溶媒で100.0mlに希釈した。4~6時間放置した。
・ヘキサメチレンテトラミン溶液:2.5gのヘキサメチレンテトラミンを25.0mlの純水に溶かし、100mlのガラス製メスフラスコに入れた。
・一次オパール色の懸濁液:メスフラスコ内のヘキサメチレンテトラミン溶液に、硫酸ヒドラジン溶液25.0mlを加えた。混合し、24時間放置した。
・乳白色の基準:精製水で15.0mlの一次乳白色の懸濁液を1000.0mlに希釈した。この懸濁液は新鮮に調製されたものである(最大で24時間保存)。
・参照用懸濁液表3にしたがって、参照の懸濁液を調製した。
【表3】
【0086】
結果と考察
表4は凍結/解凍試験の結果を示す。いずれのバリアントも、凍結/解凍サイクル数の増加に伴い、濁度の上昇は見られなかった。酵素は凍結解凍のストレスに対して安定しているようである。界面活性剤や過酸化水素を添加しても、サンプルの濁度に影響はなかった。
【0087】
表5は、40℃の熱ストレスと200rpmの攪拌の結果を示す。過酸化水素を含むバリアントでは、熱ストレス後に濁度の明らかな増加が見られた(ネフェロメトリック濁度単位(NTU)の増加によって示される)。変形例Vおよび変形例V(両方の製剤にマンニトールが含まれる)では、結果的に濁度は元のXIAFLEX(登録商標)製剤の変形例(「Or」-マンニトールなし)よりも著しく低かった(NTUの減少)。マンニトールの有益な効果は、そのラジカルスカベンジャー特性に起因すると考えられる。
【表4】
【表5】
【0088】
結論
濁度の上昇はVとVで大きく異なっていた。これは、pH8.0に比べてpH8.5では分子間の反発力が高いため、酸化ストレスによる凝集体形成の傾向が抑えられたものと考えられる。
【0089】
界面活性剤の添加は、サンプルの濁度にプラスにもマイナスにも影響しなかった。疎水性のガラスバイアルの表面は、熱ストレス後のサンプルの濁度に影響を与えなかった。
【0090】
凝集体の形成をモニターするために、サンプルを濁度測定で分析した。サンプルの濁度は、凍結/解凍のサイクルによって増加しなかった。この製剤は、凍結解凍ストレス下(3サイクルまで)でも凝集体の形成に対して安定しているようであった。疎水性の表面接触や過酸化水素の添加は、界面活性剤の有無にかかわらず、凍結/解凍ストレス下でのサンプルの濁度に影響を及ぼさなかった。熱ストレス下では、強制的な酸化ストレス(過酸化水素の添加)下で濁度(NTUで測定)の明確な上昇が観察された。マンニトールを含み、分子間の反発力が高いバリアントでは、強制酸化ストレス下でも濁度の増加はそれほど顕著ではなかった。酸化ストレスに対する製剤の安定性は、バリアントA>バリアントB>オリジナルXIAFLEX(登録商標)製剤の順に高かった。強制酸化ストレス下での洗浄剤の存在は、サンプルの濁度に影響を与えなかった。酸化ストレスがなければ、熱/撹拌ストレス下でも、すべてのサンプルが透明性を維持した。疎水性表面の接触は、熱/撹拌ストレス下では、洗剤の有無にかかわらず、サンプルの濁度に影響を与えなかった。
【0091】
製剤のロバストネス研究-研究2
pH値とマンニトール濃度が異なる12種類の製剤をCG-MALSとnanoDSCで調べた。さらに、各バリアントを撹拌による熱ストレスと凍結解凍ストレス試験にさらした。また、酸化ストレスを軽減するために、0.1%のHを添加した。本研究の目的は以下の通りである。
・CG-MALSとナノDSCを用いて、様々な製剤中のコラゲナーゼIとコラゲナーゼIIの分子間相互作用を明らかにする。
・XIAFLEX(登録商標)と追加の製剤バリアントについて、凍結/解凍や熱ストレスに対する安定性をテストする。
【0092】
以下のCCH製剤を調製し、試験を行った。
【表6】
【0093】
コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIは,対応する製剤緩衝液に対して透析した。透析後、サンプル溶液をさらに希釈した。コラゲナーゼI、コラゲナーゼII、および混合物のコロイド安定性および熱力学的安定性は、それぞれCG-MALSおよびnanoDSCで測定した。さらに、各製剤のタンパク質の安定性をストレス試験(凍結/解凍および熱/せん断応力)で調べた。安定性試験中に酸化ストレスを強制するために、各製剤は0.1%のHの存在下および非存在下で調べられた(過酸化水素を含まない亜種はaで示され、過酸化水素を含む亜種はbで示される)。
【0094】
透析
コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの透析は,独立した3つの透析工程で行い、定量的なバッファー交換を実現した。コラゲナーゼIの中間サンプル14mlとコラゲナーゼIIの中間サンプル14mlを、事前に調整した(透析バッファー中の)2つのSlide-A-Lyzer(登録商標)カセット(Thermo Scientific,Rockford,USA)に移した。充填されたSlide-A-Lyzer(登録商標)カセットは、最初のバッファー交換(1000ml)が行われる前に、1000mlのターゲットバッファー中で2時間インキュベートされた。さらに2時間透析した後、2回目のバッファー交換(1000ml)を行い、一晩かけて透析を最終的に終了させた。タンパク質サンプルをSlide-A-Lyzer(登録商標)カセットから取り出し、さらに処理した。各透析工程は、1/35倍のバッファー交換を意味し、計算上のバッファー交換ファクターは合計で約2×10となる。
【0095】
ナノ示差走査熱量測定計(Nano Differential Scanning Calorimetry)
示差走査熱量測定計(DSC)は、一定速度で加熱したときの分子の熱変性に伴う熱変化を測定することで、タンパク質のネイティブフォームでの安定性を評価するために用いられる手法である。溶液中のタンパク質は、本来の構造(フォールドした状態)と変性した構造(アンフォールドした状態)の間で平衡を保つ。ネイティブなタンパク質は、加熱されると特性温度(T onset)でアンフォールディング(熱変性)を起こす。バイオポリマーが本質的に安定しているほど、アンフォールディング転移の開始温度は高くなる。DSCは、熱による変性から生じるアンフォールディングのエンタルピーを測定し、ネイティブな生体分子のフォールディングと安定性に寄与する要因を解明することができる。これらには、疎水性相互作用、水素結合、コンフォメーション・エントロピー、および物理的環境が含まれる。以下の実験方法で行った:
モード:スキャン
温度パラメータ:下限20℃
上限:100℃
割合:1℃/分 加熱・冷却
平衡化:600s
圧力パラメータ:手動、3.0気圧
データ間隔:1s
【0096】
各サンプルの実行前にバッファースキャンを行い、ベースラインを作成した。
サンプルの準備
【0097】
透析したサンプルを対応する製剤用緩衝液で1mg/mlに希釈した。対応する透析バッファーをバッファースキャンおよびバッファーリファレンスとして使用した。
【0098】
CG-MALS
溶液中のタンパク質分子間の相互作用は、第2ビリアル係数(A2)を計算することによって、異なる濃度での光散乱挙動の変化を分析することによって特徴づけられた。A2は、溶液中のタンパク質-タンパク質相互作用の指標である。Aの値が負であれば、魅力的なタンパク質-タンパク質相互作用を示し、正であれば反発的なタンパク質相互作用を示す。Aの値が負の場合、タンパク質溶液は「コロイド的に不安定」となる。A2値が大きいほど反発力が大きいことを示しており、タンパク質の相互作用が少なく、タンパク質の凝集の可能性が少なく、安定性が高いことを示す。CG-MALSを用いて様々な製剤のA2値を測定し、非特異的なタンパク質-タンパク質相互作用の指標とした。
【0099】
見かけの重量平均分子量(Mwapp)は、光散乱と濃度のデータを分析することにより、濃度勾配の各工程で決定される。高分子間の有意な相互作用は、Mwapp対濃度の変化として現れる。Aの計算は、以下の式Iに従って、0mg/mlの濃度に外挿することにより、Zimmプロット分析を介して行われた。
【数1】
式中、
R(θ,c):散乱角θと濃度cの関数としての溶液の過剰レイリー比である。溶質によって散乱された過剰光と純粋な溶媒によって散乱された光の強度に正比例する。
Mw:重量平均分子量
A2:2次ビリアル係数
c:濃度
:光学定数(4p(dn/dc) /N
P(θ):散乱光の角度依存性を表すもので、rms Radiusと関係がある。
【0100】
サンプルの準備
CG-MALSの測定には、透析したサンプルを原液のまま使用した。CG-MALS実験では、対応する透析バッファーを希釈液として使用した。サンプルとバッファーは0.1μmのフィルターに通した。CG-MALSシステムにサンプルをロードする前に、UV吸収測定によりサンプルの正確な濃度を決定した。この濃度は、各グラジェント工程の濃度を計算するために使用された。
【0101】
サンプル測定
Calypso II CG-MALSシステムを用いて、MALS検出器に分析物の濃度勾配を供給した。サンプルはシステムのシリンジポンプ1とシリンジポンプ2にセットし、透析バッファーはシリンジポンプ3にセットした。CG-MALSの測定は3つの工程で構成される。最初の工程では、サンプル1の濃度を10%から100%の範囲で変化させて、製剤中のサンプル1の自己ビリアル係数を測定した。第2工程では、サンプル1の濃度を90%から10%に下げ、サンプル2の濃度を10%から90%に上げるというクロスオーバーグラデーションを行った。この工程は、クロス-ビリアル係数を求めるために行った。第3工程では、サンプル2の濃度を100%から10%までの範囲で濃度勾配を行い、製剤中のサンプル2の自己ビリアル係数を測定した。各グラジエント工程では、0.7mlのサンプルをMALS検出器に注入した。結果として得られた光散乱信号は、180秒の期間で記録された。Calypsoソフトウェアバージョン2.1.5を用いて、分子量を固定した多成分Zimmプロット分析を行った。
【0102】
UV測定
溶液中のコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの濃度は、8452A UVスペクトロメーター(Agilent Technologies,Santa Clara,USA)を用いて測定した。サンプルは、光路の厚さが0.2cmのプラスチック製キュベットを用いて、約3mg/mlの濃度で測定した。濃度は、コラーゲナーゼIでは1.52ml/(mgcm)、コラーゲナーゼIIでは1.48ml/(mgcm)の消光係数を用いて、Lambert-Beerの法則に従って算出した。
【0103】
凍結/解凍試験
製剤の凍結解凍安定性は,合計で3回の凍結解凍サイクルを行うことで試験した。透析したコラゲナーゼIと透析したコラゲナーゼIIを混合して、0.5mg/mlのコラゲナーゼIと0.5mg/mlのコラゲナーゼIIを含む溶液を示した。
【0104】
2Rガラスバイアルに各製剤を1.0ml充填した。各変種に対して3個のバイアルを用意した。液体サンプルは、25℃~-30℃まで、凍結速度を制御しながら55分以内に凍結させ、再び室温まで、加熱速度を制御しながら55分以内に加温した。十分な温度管理のために、サンプルはパイロット凍結乾燥機に入れられた。各凍結/解凍サイクルの後、サンプルの濁度を測定した。濁度の測定は,各サンプルの1mlを単回使用の濁度測定用キュベットに入れて分析した。分析後、液体をガラスバイアルに戻し、実験を続けた。
【0105】
熱応力試験
透析したコラゲナーゼIと透析したコラゲナーゼIIを混合して、0.5mg/mlのコラゲナーゼIと0.5mg/mlのコラゲナーゼIIを含む溶液を示した。すべての製剤のテストサンプルは、2Rバイアル(充填量1ml)に入れて、撹拌(200rpm)下、40℃で4日間ストレスを与えた。ストレスを与えたサンプルの濁度を後に分析した。
【0106】
濁度測定
サンプルの濁度は、上記の方法で測定した。
【0107】
結果と考察
表7は、各製剤のCG-MALSとnanoDSCの測定結果を示す。
【0108】
コロイド安定性-製剤のpH値は、コラゲナーゼI、コラゲナーゼII、およびその混合物のコロイド安定性に強い影響を示した。最も強い反発的な相互作用はpH8.5で観察された。pH7.5では、反発的な相互作用は低かった。pH7.5では、マンニトールが製剤中に存在しない場合にコラゲナーゼIは魅力的な相互作用を示し、マンニトールの濃度が高いほど反発的な相互作用が強くなった。より塩基性のpH値では、マンニトールの効果は従属的になった。
【0109】
熱力学的安定性-コラゲナーゼIは,アンフォールディングの開始温度にわずかなpH依存性を示した。pH8.5よりもpH7.5の方が高いT値を示した。マンニトールはコラゲナーゼIの熱力学的安定性にわずかな濃度依存性の正の効果を示した。コラゲナーゼIIの熱力学的安定性は調査したpH値に依存しなかった。マンニトールの存在は、コラゲナーゼIIの熱力学的安定性に有益であると考えられた。
【表7】
【0110】
表8は、その後の凍結解凍サイクルにおけるサンプルの濁度値を示す。
【表8】
【0111】
いずれの製剤も凍結/解凍試験後に濁度の上昇は見られなかった。過酸化水素の存在は、凍結/解凍ストレス下の各製剤において十分に許容された。
【0112】
表9に各製剤の熱ストレス前後の濁度値を示す。
【表9】
【0113】
酸素ラジカルが存在しない場合、濁度は調査したすべての製剤のバリアントで一定であった。過酸化水素の存在下では、サンプルの濁度は強く上昇した。これは、酸化ストレスが凝集体の形成を誘発することを示す。pH8.5の塩基性溶液は、酸化ストレスによる凝集に対してタンパク質を安定化させた。マンニトールは、過酸化水素存在下での熱ストレス後のサンプルの濁度に、さらに有益な効果を示した。マンニトールはラジカルスカベンジャーとして働き、酸化ストレスに対するタンパク質の安定性を向上させると考えられる。
【0114】
製剤のロバストネス研究-研究3
以下の研究では、スクロースとトレハロースを60mMの濃度で、マンニトールを225mMの濃度で使用した。いくつかの濃度の界面活性剤が評価され、特定のサンプルに使用された濃度が以下のデータ表に記載される。製剤の最適化の一環として、様々な製剤の凍結乾燥前のpHの影響を評価した。
【0115】
提案された製剤の溶液としての堅牢性を、以下のストレスにさらすことで調べた:
・3回の凍結-解凍サイクル(-30℃~25℃)、および/または
・200rpm、40℃で4日間振とうする。
【0116】
その後、ストレスを受けたサンプルの濁度を調べ、製品の主要な品質特性を以下の方法で評価した:
・UVA280によるタンパク質濃度
・逆相-高速液体クロマトグラフィーによるコラゲナーゼIとコラゲナーゼIIの質量および比率(本明細書に記載)
・比可溶性ラット尾部コラーゲン(SRC)酵素活性アッセイ法(コラゲナーゼI;本明細書に記載)
・グリシル-L-プロリル-L-アラニン(GPA)酵素活性アッセイ法(コラゲナーゼII:本明細書に記載)
【0117】
結果
濁度:凍結/解凍サイクルで得られたデータを表10に示す。
【表10】
【0118】
これらの結果は、複数回の凍結解凍サイクルがタンパク質の凝集に影響を与えないことを示しており、試験したいずれの製剤/容器の組み合わせにおいても濁度の値は一貫した。この結果は,試験した賦形剤がさらなる評価に適することを示す。
【0119】
振とうや高温にさらされた場合のデータを表11に示す。
【表11】
【0120】
これらの結果は、試験したいずれの製剤/容器の組み合わせにおいても濁度の値が一貫していたことから、熱/振とうがタンパク質の凝集に影響を与えないことを示す。この結果は、試験した賦形剤がさらなる評価に適することを示す。
【0121】
2回目の試験では、ポリソルベート20の様々な濃度と高いpH(8.8)が、ストレス条件下での製品の濁度に与える影響を評価した。この試験の結果を表12に示す。
【表12】
【0122】
これらのデータは、検討した界面活性剤の濃度(0.02%および0.1%)およびpH値(8.5および8.8)がタンパク質の凝集に悪影響を及ぼさないことを示しており、凍結/解凍サイクルや熱/振とう時に一貫した濁り値が得られた。これらの結果から、熱力学的に安定した製剤が可能であり、ポリソルベート20を調査した濃度範囲で界面活性剤として使用することが考えられる。さらに、トレハロースやマンニトールを単独または組み合わせて使用しても、サンプルの濁度で測定したタンパク質の凝集に悪影響を及ぼさないことも示された。
【0123】
主な製品品質属性指標-30℃~25℃までの凍結解凍サイクルを3回行った場合と、40℃、200rpmの熱応力/振とうを4日間行った場合の影響を評価するために作成したデータを、それぞれ表13および14に示す。
【表13】
【表14】
【0124】
これらのデータから、試験した3種類の賦形剤を用いて様々なpHレベルで製剤を変更しても、タンパク質の安定性/濃度および酵素活性に悪影響を及ぼさず、これらの成分はすべて凍結乾燥製剤でのさらなる評価に適することが確認された。また、試験した範囲のpH値では、製品の品質に悪影響を及ぼさなかった。
【0125】
製剤のロバストネス研究-研究4
また、自己およびヘテロのタンパク質相互作用を評価するために組成勾配多角度光散乱法(CG-MALS)を、タンパク質のアンフォールディングを評価するためにナノ示差走査熱量計(DSC)を用いて、さまざまな製剤の特性を評価した。CG-MALSおよびnanoDSCは上記の方法で行った。
【0126】
また、酸化剤としての過酸化水素が、濁度の値に基づいて調査対象の製剤(凍結乾燥前の溶液)に影響を与えるかどうかを調べる研究も行った。
【0127】
結果
CG-MALS-結果を表15に示す。
【表15】
【0128】
トレハロースを含む製剤の場合、図1に示すように、タンパク質(コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼII)内およびタンパク質間で、pH8.5で最も高い反発的な相互作用が観察された。
【0129】
また、トレハロース、スクロース、マンニトールも、反発力に悪影響を与えないため、適切な製剤成分の候補となった。
【0130】
Nano-DSC-タンパク質のアンフォールディングを評価するためにNano-DSCを用いて調べた変数(pH、賦形剤の種類と濃度)を表16に示す。
【表16】
【0131】
その結果、検討した様々な製剤成分は、タンパク質の展開開始温度(Tonset)やタンパク質の解凍温度(T)に影響を与えないことが示された。さらに、Tonsetのデータから、凍結乾燥プロセスの二次乾燥工程において、タンパク質の安定性に影響を与えることなく、40℃の温度をうまく利用できることが示された。
【0132】
過酸化水素チャレンジ-過酸化水素を用いて、短期間の試験で製剤にチャレンジした(図2Aおよび図2B)。トレハロース含有製剤(マンニトールを含む、または含まない)およびスクロース含有製剤(マンニトールを含む、または含まない)は、過酸化水素に暴露した後、pH8.0およびpH7.5の同じ製剤と比較して、pH8.5で有意に低い濁度を示した。濁度の値が低いということは、タンパク質の凝集が少ない安定した製剤であることを示す。これらの結果は、pH8.5の製剤で見られた高いA2値(高い反発性相互作用)と一致しており、安定性向上の可能性を示す。また、過酸化水素に曝すと、ポリソルベートを含む、あるいは含まないトレハロースとマンニトールを含む製剤(pH8.0または8.5)は,マンニトールを含まないスクロースを含む製剤(pH8.0)と比較して、有意に低い濁度を示すことが示された。界面活性剤の存在は濁度に正または負の影響を与えなかった。
【0133】
結論
質的・量的に最適な賦形剤を特定した製剤最適化作業の結果に基づき、以下の製剤(凍結乾燥前)を凍結乾燥サイクルの評価に進めた。
・CCHおよびスクロースとマンニトール(ポリソルベート20を含む、または含まない)をpH8.5で混合
・CCHおよびトレハロースとマンニトール(ポリソルベート20を含む、または含まない)をpH8.5で混合
【0134】
なお、今後の分析では、ポリソルベート20の濃度を高くしても効果がないため、最低濃度のポリソルベート20(0.02%)を使用した。
【0135】
両製剤の凍結乾燥サイクルの開発は、5mLバイアルで行われた。表17に評価した製剤の詳細を示す。
【表17】
【0136】
凍結乾燥サイクルの最適化-研究1 マンニトール濃度の変化
この作業の目的は、界面活性剤がない状態で、マンニトールと一定濃度のスクロースの比率を変化させることが、凍結乾燥プロセスとサイクルタイムに及ぼす影響を調べた。プラセボのLyoサンプルとともに、以下の実験的変種を調製した。
【表18】
【0137】
製品の凍結乾燥には,中間的な凍結乾燥サイクル(「Lyoサイクル」)を使用した(総サイクル時間を約36時間とすることを目標とした)。今回の実験で使用したパイロット凍結乾燥機の情報は以下の通りである。
・製造者:Hof Sonderanlagenbau(Lohra,Germany)
・棚の面積0.5m
・氷蓄熱器の容量:10kg
・調整可能な氷のコンデンサー温度
・インバイアルの温度記録
・差圧測定
・接続可能な放射線ケージ
【0138】
包装材の準備
凍結乾燥ストッパーを121℃で15分間オートクレーブし、105℃で8時間乾燥させた。バイアルを純水で洗浄し、300℃で2時間脱水素した。
【0139】
製剤のバリアントは、透析によって調製された。XIAFLEX(登録商標)原薬の透析は、定量的なバッファー交換を達成するために、3つの独立した透析工程で行われた。125mlのXIAFLEX(登録商標)原薬を変種a、b、cに対して透析した。XIAFLEX(登録商標)原薬を、事前に調整した(透析バッファー中の)2本の透析チューブに移した。充填した透析チューブを1Lのターゲットバッファーで2時間インキュベートした後、1回目のバッファー交換(1L)を行った。さらに2時間透析した後、2回目の緩衝液交換(2L)を行い、一晩かけて透析を最終的に終了させた。透析チューブからタンパク質サンプルを取り出し、希釈して濃度を0.93mg/ml(±10%)に調整した(濃度はUV 280nmで確認)。対照として,XIAFLEX(登録商標)原薬を透析せずに使用した。
【0140】
ろ過・充填
凍結乾燥液を0.22μmのフィルターに通してから充填した。1mlの対応する凍結乾燥溶液をバイアルに充填した。
【0141】
凍結乾燥
凍結乾燥ストッパーをバイアルに「リョーポジション(Lyo-position)」と付けて充填したバイアルを、パイロット凍結乾燥機に装填した。各製剤につき約125個のバイアルとVbの100個のプラセボバイアルを投入した。凍結乾燥サイクルを以下のパラメータで実行した。
・凍結温度(棚):-50℃
・一次乾燥温度(棚):-10℃
・二次乾燥温度(棚):40℃
・圧力:0.25mbar
・積算時間:約41時間
【0142】
凍結乾燥時に製品の温度をコントロールするために、製品のバイアルにサーモカップルを挿入した。凍結乾燥中の圧力制御にはピラニ圧力センサーを使用した。圧力調整は真空とドージングバルブ(窒素注入)で管理した。バイアルは窒素雰囲気下で750mbarの圧力で閉じられた。
【0143】
カールフィッシャー滴定
対応する凍結乾燥物の1つのバイアルの内容物を、クリンプキャップで密封したガラスバイアルに秤量した。このサンプルを100℃に加熱したカールフィッシャークーロメーター(756/774;Metrohm)のオーブンに移した。キャップの隔壁を注射針で貫通させ、発生した水蒸気を乾燥窒素を介してカールフィッシャー電量計の滴定室に直接送り込んだ。測定は1回繰り返した。ブランク補正には空のガラス瓶を用いた。
【0144】
結晶水の分析
オーブンサンプルプロセッサー774は、カールフィッシャー滴定において、独自の温度上昇法を可能にする。サンプルは定められた加熱速度で加熱され、放出された水は直接カールフィッシャー滴定装置の滴定室に移送される。生成された水とオーブン温度による水のドリフト(μg water/min)を記録することで、水が放出された特定のイベント(水和水の放出など)を検出することができる。凍結乾燥物の50~100mgを6Rタイプ1の空のガラスバイアルに秤量し、アルクリンプキャブで閉じた。このサンプルをサンプルプロセッサーのオーブンに移した。そこでは、サンプルは定義された温度ランプによって、45分間で50℃~140℃まで加熱される(2℃/分)。望ましくないメイラード反応を避けるため、温度上昇は140℃で終了した。
【0145】
外観
凍結乾燥物は、ガラスバイアルを慎重に破壊してバイアルから取り出し、凍結乾燥ケーキを垂直に切断して、その内層に崩壊ゾーンがないかスクリーニングした。
【0146】
走査型電子顕微鏡
凍結乾燥品をSEMで分析し、その微細構造を評価した。凍結乾燥品を切断し、縦断面および上下面を50倍および150倍の倍率でSEM分析した。
【0147】
再構成
0.03%の塩化カルシウムと0.66%の塩化ナトリウムを含む4mlの溶液でバイアルを再構成した。凍結乾燥物が完全に溶解するまでの時間を記録した。
【0148】
ナノ示差走査熱量測定計(Nano Differential Scanning Calorimetry)
ナノDSCは上述の方法で行った。
【0149】
サンプルの準備
凍結乾燥液および再構成した凍結乾燥物は、0.93mg CCH/mlの濃度で分析した。対応するバッファーをバッファースキャンおよびバッファーリファレンスとして使用した。
【0150】
結果
デジタルデータの取得により、意図した通りに凍結乾燥プロセスが行われたことが証明された。ピラニと導電性圧力センサーの差が示すように、バッチの昇華は凍結乾燥の総時間が約15時間後に終了した。各サブロットの昇華が終了したことは、一次乾燥中に製品温度が急上昇したことで示された。
【0151】
一次乾燥工程は、全凍結乾燥時間の約17時間後に終了した。18時間の二次乾燥の後、各バリアントの1つのバイアルを凍結乾燥機から取り出し、残りのバッチの二次乾燥工程を延長しながら、カールフィッシャー滴定によって残留水分レベルを測定した。カールフィッシャー分析の結果、残留水分量はすでに所望の値を下回っていた。この結果を受けて、残りのバッチは直ちにアンロードされた。二次乾燥の総時間は19時間であった。
【0152】
外観-すべてのサンプルは、ケーキの欠陥を示すことなく、優れたマクロ的な外観を示す(データ未提示)。
【0153】
再構成挙動-すべてのサブロットの凍結乾燥品は、数秒以内に迅速かつ自然に溶解した(<30秒)。
【0154】
残留水分-表19は、カールフィッシャー滴定法で測定したサンプルの残留水分量を示す。
【表19】
【0155】
走査型電子顕微鏡(SEM)-リョー(lyo)のケーキのSEM分析では、崩壊の兆候やその他のケーキの欠陥は見られなかった(図3A図3R参照)。すべての製剤のバリアントの内部構造は同等であった。変形品Va(スクロースの量が最も少ない)の上面は、変形品VbおよびVcと比較して、よりオープンポーラスな構造を有し、スキン形成が少なかった。変形例Vcの底面は、他の製剤の底面よりも高密度に見えた。
【0156】
Nano DSC-表20に得られた結果をまとめた。
【表20】
【0157】
アンフォールディング温度と変性エンタルピーの精度を実証するために、Vc(凍結乾燥前)のバリアントを6回分析した。サンプルは1回の調製で得られたものであり、濃度の不確かさは排除された。T onsetとTmの結果の差は1%以下だったが、エンタルピーの変動は7%以上で、これは装置の仕様とよく一致する(TAインスツルメンツでは、リゾチームのアンフォールディングのエンタルピーの不確かさを5%とする)(データ未提示)。凍結乾燥の前後で、アンフォールディング温度と転移エンタルピーに関してはすべての製剤が本法の誤差の範囲内で同等であり、使用した凍結乾燥プロセスの条件がCCHに悪影響を与えないことを示すと結論づけることができる。マンニトールの量を増やすと、TmとT onsetの値がわずかに高くなることで表されるように、熱力学的な安定性が増すようだ。
【0158】
結論
以上の観察結果とすべてのデータから、CCHの凍結乾燥製剤は、Trisバッファー中のスクロースの存在下で、さまざまな濃度のマンニトールを用いて製造できることがわかった。また、この研究では、サイクルタイムを約40時間にするためのより緩やかな凍結乾燥条件も特定された。
【0159】
凍結乾燥サイクルの最適化-研究2 固定マンニトール濃度
この作業の目的は、プロセス時間を短縮し、より効率的で堅牢なプロセスを実現するために、凍結乾燥サイクルを更新することだった。
【0160】
実験デザイン
実験的に開発した4種類の製剤と、対照としてのXIAFLEX(登録商標)製剤を用いて、5ccバイアルを用いたラボスケールの凍結乾燥試験を実施した。これらの変種を以下の表21に示す。
【表21】
【0161】
実験用製剤#2~#5を調製するために、製剤#1を透析により緩衝液交換し、新しい賦形剤(トレハロース、マンニトール、ポリソルベート20)をTrisバッファー中(pH8.5)中の製剤に導入した。
【0162】
初期の凍結乾燥サイクルの開発作業は、乾燥温度、圧力、時間の点で、XIAFLEX(登録商標)製剤に使用した条件よりもわずかに積極的な条件を用いて行われた。二次乾燥は、製品を効率的に乾燥させるために40℃で行い、目標水分を0.5%以下にした。XIAFLEX(登録商標)プロセスと実験的な凍結乾燥プロセスの比較詳細は、以下の表22にまとめられる。
【表22】
【0163】
結果と結論
すべての製剤の凍結乾燥ケーキは、希釈剤に速やかに溶解し、再構成時間は10秒以下で、水分含量(KF)は0.4%未満であった。
【0164】
実験のサイクルタイムを短くした場合、XIAFLEX(登録商標)のケーキは、実験的な製剤のバリアントと比較して縮んでいるように見えたが、これらの製剤はすべて、しっかりと形成された堅牢なケーキを示した。実験用製剤はすべて、タンパク質濃度,コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの質量組成,生物学的活性など、さまざまな特性について試験された。すべての製剤の試験結果は、XIAFLEX(登録商標)の製剤と一致した。
【0165】
実験用の製剤#3と#5を選択し,さらに試験を行った。これらの製剤を用いて,5℃および25℃/60%RHの加速保存条件で非公式の短期安定性試験を行った。サンプルは承認された試験方法に従って分析された。両製剤の結果はすべてXIAFLEX(登録商標)製剤の過去のデータと一致しており、今回の製剤変更が製品の品質に悪影響を与えないことが示された(データ未提示)。前述の通り、現在承認される限界値は、実験的に得られたデータの統計的分析に基づいて改訂される可能性がある。
【0166】
以上のことから、現在までに行われた製剤の最適化のための開発作業とデータから、検討した2種類のタンパク質安定剤(スクロース、トレハロース)、増量剤(マンニトール)、界面活性剤(ポリソルベート20)の添加は、製品の品質に悪影響を及ぼさず、これらの製剤をさらに追求するのに適していることがわかった。
【0167】
凍結乾燥サイクルの最適化-研究3 圧力分析
研究目的
最適な凍結乾燥プロセス条件の特定を容易にするため、圧力試験が実施された。この試験では、高速で堅牢な凍結乾燥サイクルを実現するために、プロセスに適した条件で凍結、一次乾燥、二次乾燥を行う際の最大許容圧力とその他の信頼できるプロセスパラメータを特定することを目的とした。
【0168】
実験デザイン
表23に示すように、5ccバイアルの3種類の製剤を使用した。
【表23】
【0169】
昇華段階の圧力を特定するために、異なる棚の温度と異なる圧力工程で2つの圧力試験を行った。実験用製剤を充填したサンプルバイアルを1つの凍結乾燥機の棚(中央の位置)に載せた。凍結後、チャンバーの圧力を初期値の128μbarに設定し、棚の温度を初期値(テスト1では-10℃,テスト2では+10℃)まで上昇させた。凍結乾燥を一定時間行い、氷の界面の上に少量の凍結乾燥物を生成させた。その後、チャンバーの圧力を段階的に上昇させ(例:380μbar、1030μbarなど)、サンプルバイアルをビデオで監視してケーキの崩壊やその他の視覚的な悪影響を確認した。棚の温度を-10℃に設定して、適度なエネルギー投入を行った。
【0170】
各圧力工程の終了時のバイアルの写真を図4A図4Cに示す。これらの図に示されているように、コントロール(#1,右端に示されるバイアル内のXIAFLEX(登録商標))のケーキは、圧力の増加とともに崩壊した。したがって,XIAFLEX(登録商標)製剤の最大許容圧力は、氷の界面温度が-40℃から-30℃に相当する128μbarから380μbarであった。実験用製剤#3と#5は、調査した圧力範囲全体で無傷のままであった。
【0171】
2回目の圧力テストでは、実験的な配合#3と#5をさらに検討した。圧力範囲は4mbarまで拡大した。試験中の棚の温度は、この圧力範囲で効率的な昇華を可能にするための十分なエネルギー入力を提供するために、+10℃に設定した。
【0172】
その結果を図5Aおよび図5Bに示す。調査したすべての圧力範囲において、ケーキの崩壊やその他の欠陥は観察されなかった。これらの知見に基づき、マンニトールを含む製剤は、はるかに高いチャンバー圧力で凍結乾燥することができ、その結果、より短い凍結乾燥サイクルタイムで、より効率的で堅牢な凍結乾燥プロセスを実現することができると結論付けられた。
【0173】
この最初の凍結乾燥サイクルの開発作業は、より効率的で堅牢な凍結乾燥サイクルを追求するためのマンニトールの使用をサポートするものだった。
【0174】
凍結乾燥サイクルの最適化-研究4 さらなる最適化
上記の加圧試験の結果に基づき、実験用製剤#3および#5について凍結乾燥パラメータの最適化を行った(データ未提示)。
【0175】
圧力試験の結果、マンニトールを含む製剤は4mbarまでのチャンバー圧力で昇華時の構造崩壊の危険性なく凍結乾燥できることが判明したため、最適化試験では高い昇華速度を利用するためにチャンバー圧力1mbarでリョーサイクルを実施した。
【0176】
堅牢で効率的な凍結乾燥サイクルの基本パラメータを特定するために、2回の凍結サイクル実験を行った。凍結乾燥後のサンプルは、外観、残留水分、物理的安定性、および走査型電子顕微鏡(SEM)で分析した。
【0177】
実験1:実験的製剤#3のみを使用。この実験の結果から、0.5%以下の残留水分レベルに達するには、二次乾燥時の温度を高くする必要があることがわかった。他の物理的属性試験の結果は許容範囲内であった(データ未提示)。使用した凍結乾燥パラメータの概要を以下に示す。
・凍結温度(棚):-50℃
・乾燥温度(昇華・二次乾燥)(棚):35℃
・圧力:1mbar
・積算時間:約21.5時間
【0178】
実験2:実験的製剤#3のみ使用。この実験では、40℃での乾燥に適した条件を確認した。すべての結果は許容範囲内であった(データ未提示)。使用した凍結乾燥パラメータの概要を以下に示す。
・凍結温度(棚):-50℃
・乾燥温度(昇華・二次乾燥)(棚):40℃
・圧力:1mbar
・積算時間:約21.5時間
【0179】
結論
凍結乾燥サイクルの最適化研究では,効率的な凍結乾燥サイクルのための基本的なパラメータが特定された。凍結乾燥されたケーキの物理的属性に関するすべてのテストは受け入れられた。
【0180】
安定性試験-長期安定性試験
CCH製剤(10mMのTris、60mMのスクロース、225mMのマンニトール、pH8.5中に1mg/mLの濃度でコラゲナーゼIとコラゲナーゼIIを1:1で混合したもの)のプロセスバリデーションロットが6つ製造され、安定性が確認された。同じ製剤を使用するが、充填量が少なく、同等の容器閉鎖システムを採用した初期の製剤開発ロットが1つ製造され、安定性が確認された。
【0181】
6つのプロセスバリデーションロットについて、長期安定性のモニタリングを行った。保存条件には、製品の保存期間をサポートするための様々な保存条件(2~8℃;25℃/60%相対湿度(RH);および40℃/75%RH)での長期安定性と、輸送または保存中の潜在的な温度変化の評価をサポートするための様々な保存条件での短期安定性試験が含まれた。また、同じ処方で充填量が少なく(0.46mg)、比較可能な容器閉鎖システムを採用した初期の処方開発ロットのデータも含まれる。
【0182】
表24には、これらの研究の概要と利用可能な安定性データを示した。
【表24】
【0183】
安定性バッチは、外観(再構成前後)、再構成時間、浸透圧、pH、UVA280による濃度、定量的ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)、逆相高速液体クロマトグラフィー(RPHPLC)[純度]、RP-HPLCによる組成別質量および比率、サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SEC-HPLC)、可溶性ラット尾部コラーゲン(SRC)アッセイによるコラゲナーゼIの効力、グリシル-L-プロリル-L-アラニン(GPA)アッセイによるコラゲナーゼIIの効力、水分、微粒子、エンドトキシン、容器の密閉性によるヘリウムリークを試験した。
【0184】
結果と分析
様々な保存条件(2-8℃、25℃/60%相対湿度(RH)、40℃/75%RH)における各試験の安定性結果の評価と傾向分析を以下に示す。
【0185】
外観(再置換前後)-試験した保存条件での外観(再置換前後)の結果は、大きな変化や予期しない傾向は見られなかった(データ未提示)。
【0186】
再構成時間-試験した保存条件での再構成時間の結果は、有意な変化や予想外の傾向は見られなかった(データ未提示)。
【0187】
オスモラリティ-試験した保存条件でのオスモラリティの結果は、有意な変化や予想外の傾向は見られなかった(データ未提示)。
【0188】
pH-試験した保存条件でのpHの結果は、有意な変化や予想外の傾向は見られなかった(データ未提示)。
【0189】
UV A280 による濃縮-試験した保存条件でのUVA280による濃縮の結果は、有意な変化や予想外の傾向は見られなかった(データ未提示)。
【0190】
定量的SDS-PAGE-試験した保存条件での定量的SDS-PAGEの結果は、有意な変化や予想外の傾向は見られなかった(データ未提示)。
【0191】
RP-HPLC(純度)-試験した保存条件でのRP-HPLC(純度)の結果は、有意な変化や予想外の傾向は見られなかった(データ未提示)。
【0192】
RP-HPLCによる質量および比率の組成-試験した保存条件での組成RP-HPLCによる質量および比率の結果は、有意な変化や予期しない傾向は見られなかった(データ未提示)。
【0193】
SEC-HPLC-試験した保存条件でのSEC-HPLCの結果は、有意な変化や予想外の傾向は見られなかった(データ未提示)。
【0194】
コラゲナーゼIの効力のSRCアッセイ-コラゲナーゼIの効力のSRCアッセイの結果は、試験した保存条件において、有意な変化や予想外の傾向は見られなかった(データ未提示)。
【0195】
コラゲナーゼIIの効力のGPAアッセイ-コラゲナーゼIIの効力のGPAアッセイの結果は、試験した保存条件において有意な変化や予想外の傾向は見られなかった(データ未提示)。
【0196】
水分図6に示すように、25℃/60%の相対湿度において、マンニトール含有製剤はXIAFLEX(登録商標)製剤よりも水分が少なく、マンニトール含有製剤の安定性が向上することを示す。
【0197】
微粒子-試験した保存条件での微粒子の結果は、有意な変化や予想外の傾向は見られなかった(データ未提示)。
【0198】
容器の密閉性/ヘリウム漏れ-容器の密閉性/ヘリウム漏れの結果には、大きな変化や予想外の傾向は見られなかった(データ未提示)。
【0199】
光安定性試験
120万ルクスの冷白色光を照射した後、200ワット時/平方メートル(W/m)の紫外線を照射して、CCH製剤の光安定性を調べる試験を行った。サンプルは、8.00キロルクスの冷白色光を150時間照射した後、10.00W/mのUV光を20時間照射した。この暴露後の結果は、すべて未暴露のコントロールと同等であった(データ未提示)。
【0200】
再構成安定性試験
凍結乾燥したCCH製剤と再構成に使用した滅菌希釈液との互換性を示し、再構成された製品の潜在的な使用条件での安定性データを作成するために、いくつかの再構成安定性試験を実施した。凍結乾燥したCCH製剤は、滅菌した希釈剤で再構成し、特定の温度で保存した後、特定の時点で分析を行った。表25に実施した再構成安定性試験の概要を示す。
【表25】
【0201】
これらの試験では、SRCおよびGPA試験法を用いて効力を測定した(データ未提示)。これらの試験では、SRCおよびGPA試験法のマイクロプレート版を力価の測定に使用した。これらの試験法は、キュベットベースの試験法に比べてスループットが高く、迅速に結果を得ることができる。これらの結果は、凍結乾燥したCCH製剤と滅菌した希釈剤の適合性を示すとともに、再構成したCCH製剤の潜在的な使用条件における安定性を示すものである。
【0202】
結論
CCH製剤の6つのプロセスバリデーションロットの安定性データは、5℃および25℃/60%RHの保存条件で少なくとも18ヶ月間、40℃/75%RHの保存条件で6ヶ月間のプルポイントまで安定性があることを示した。さらに、より小さなバイアル瓶に入ったCCH製剤の製剤開発ロットのデータでは、5℃および25℃/60%RHの保存条件での24ヵ月間のプルポイント、および40℃/75%RHの保存条件での6ヵ月間のプルポイントまで安定性が確認された。
【0203】
CCH製剤は、露光後に得られたすべての結果がコントロール(未露光)サンプルと同等であり、許容できる光安定性を示した。
【0204】
CCH製剤は,滅菌した希釈剤で再構成した後,25℃/60%RHで24時間まで、5℃で120時間まで保存しても許容できる安定性を示した。また、再構成したCCH製剤は、25℃/60%RHで24時間保存した後、2℃~8℃で96時間、さらに25℃/60%RHで24時間保存しても許容できる安定性を示した。
【0205】
将来的には、5℃±3℃および25℃±2℃/60%±5%RHの条件での保存を含む年間安定性試験を実施する予定である。両方の保存条件での材料は、提案される36ヶ月の保存期間で評価される。
【0206】
当業者であれば、本発明の好ましい実施形態に多数の変更や修正を加えることができ、そのような変更や修正は本発明の精神から逸脱することなく行うことができることを理解するだろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神と範囲内に入るすべてのそのような同等の変形をカバーすることを意図する。
【0207】
本書に引用または記載されている各特許、特許出願、および出版物の開示内容は、参照することにより、その全体が本契約に組み込まれる。
【0208】
実施形態
以下の実施形態のリストは、これまでの説明を置き換えるのではなく、補完することを目的とする。
実施形態1
製剤であって、
コラゲナーゼと、
約30mM~約240mMの二糖類と、
約50mM~約800mMのマンニトールと、および
約6mM~約10mMのTris-HClと、
を含む、製剤。
実施形態2
実施形態1記載の製剤において、前記コラゲナーゼはコラゲナーゼIを含む、製剤。
実施形態3
実施形態2記載の製剤において、前記コラゲナーゼIは配列ID番号:1のアミノ酸配列を含む、製剤。
実施形態4
実施形態1記載の製剤において、前記コラゲナーゼはコラゲナーゼIIを含む、製剤。
実施形態5
実施形態4記載の製剤において、前記コラゲナーゼIIは配列ID番号:2のアミノ酸配列を含む、製剤。
実施形態6
実施形態1記載の製剤において、前記コラゲナーゼはコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの混合物を含む、製剤。
実施形態7
実施形態6記載の製剤において、前記コラゲナーゼIは配列ID番号:1のアミノ酸配列を含み、前記コラゲナーゼIIは配列ID番号:2のアミノ酸配列を含む、製剤。
実施形態8
実施形態6または7記載の製剤において、前記コラゲナーゼはコラゲナーゼクロストリジウムヒストリチクム(CCH)である、製剤。
実施形態9
実施形態1~8のいずれか1つに記載の製剤において、前記二糖類はスクロースまたはトレハロースを含む、製剤。
実施形態10
実施形態1~9のいずれか1つに記載の製剤において、前記製剤のpHは約7.8~約8.8である、製剤。
実施形態11
実施形態1~10のいずれか1つに記載の製剤であって、前記製剤は、
CCHと、
約60mMのスクロースと、
約225mMのマンニトールと、および
約10mMのTris-HClと、を含み、
前記製剤は、約8.5のpHを有する、製剤。
実施形態12
実施形態1~11のいずれか1つに記載の製剤であって、ポリソルベート20、ポリソルベート80、またはポロキサマー188を含む界面活性剤をさらに含む、製剤。
実施形態13
実施形態12記載の製剤において、約0.01%~約2%の前記界面活性剤を含む、製剤。
実施形態14
実施形態13記載の製剤において、約0.02%の前記界面活性剤を含む、製剤。
実施形態15
実施形態1~14のいずれか1つに記載の製剤において、前記製剤は液体である製剤。
実施形態16
凍結乾燥製剤であって、
コラゲナーゼと、
二糖類と、
マンニトールと、および
Tris-HClと、
を含む、凍結乾燥製剤。
実施形態17
実施形態16記載の凍結乾燥製剤において、前記コラゲナーゼはコラゲナーゼIを含む、凍結乾燥製剤。
実施形態18
実施形態17記載の凍結乾燥製剤において、前記コラゲナーゼIは配列ID番号:1のアミノ酸配列を含む、凍結乾燥製剤。
実施形態19
実施形態16記載の凍結乾燥製剤において、前記コラゲナーゼはコラゲナーゼIIを含む、凍結乾燥製剤。
実施形態20
実施形態19記載の凍結乾燥製剤において、前記コラゲナーゼIIは配列ID番号:2のアミノ酸配列を含む、凍結乾燥製剤。
実施形態21
実施形態16記載の凍結乾燥製剤において、前記コラゲナーゼはコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの混合物を含む、凍結乾燥製剤。
実施形態22
実施形態21記載の凍結乾燥製剤において、前記コラゲナーゼIは配列ID番号:1のアミノ酸配列を含み、前記コラゲナーゼIIは配列ID番号:2のアミノ酸配列を含む、凍結乾燥製剤。
実施形態23
実施形態21または22記載の凍結乾燥製剤において、前記コラゲナーゼはコラゲナーゼクロストリジウムヒストリチクム(CCH)である、凍結乾燥製剤。
実施形態24
実施形態16~23のいずれか1つに記載の凍結乾燥製剤において、前記二糖類はスクロースまたはトレハロースを含む、凍結乾燥製剤。
実施形態25
実施形態16~24のいずれか1つに記載の凍結乾燥製剤において、凍結乾燥の前に、前記製剤は、
CCHと、
60mMのスクロースと、
225mMのマンニトールと、および
10mM Tris-HClと、を含み、および
約8.5のpHを有する、凍結乾燥製剤。
実施形態26
実施形態16~25のいずれか1つに記載の凍結乾燥製剤において、前記凍結乾燥製剤は380μbar以上の圧力で安定する、凍結乾燥製剤。
実施形態27
実施形態26記載の凍結乾燥製剤において、前記凍結乾燥製剤は、約4000μbarの圧力で安定する、凍結乾燥製剤。
実施形態28
実施形態16~27のいずれか1つに記載の凍結乾燥製剤において、前記凍結乾燥製剤は、
(i)2~8℃で少なくとも36ヶ月、
(j)25℃/60%の相対湿度で少なくとも36ヶ月、
(k)40℃/75%の相対湿度で少なくとも6ヶ月、または
(l)(a)~(c)の任意の組み合わせ、で安定する凍結乾燥製剤。
実施形態29
実施形態16~28のいずれか1つに記載の凍結乾燥製剤において、前記凍結乾燥製剤は、
前記製剤を約-25℃~-55℃の間の温度で凍結して凍結製剤を形成する工程と、および
前記凍結製剤を約25℃~約50℃の間の温度で乾燥して前記凍結乾燥製剤を形成する工程と、を含む方法によって形成される、凍結乾燥製剤。
実施形態30
実施形態29記載の凍結乾燥製剤において、前記凍結乾燥製剤は、
前記製剤を約-25℃~-55℃の間の単一温度で凍結して凍結製剤を形成する工程と、および
前記凍結製剤を約25℃~約50℃の間の単一温度で乾燥して前記凍結乾燥製剤を形成する工程と、を含む方法によって形成される、凍結乾燥製剤。
実施形態31
実施形態16~30のいずれか1つに記載の凍結乾燥製剤において、前記凍結乾燥製剤は72時間未満で行われる凍結乾燥方法によって形成される、凍結乾燥製剤。
実施形態32
実施形態16~31のいずれか1つに記載の凍結乾燥製剤において、前記凍結乾燥製剤は、約380μbar~約4000μbarの間の圧力で行われる凍結乾燥法によって形成される、凍結乾燥製剤。
実施形態33
実施形態16~32のいずれか1つに記載の凍結乾燥製剤において、ユニットドーズバイアル、マルチドーズバイアル、カートリッジ、またはシリンジに入っている、凍結乾燥製剤。
実施形態34
再構成製剤であって、
コラゲナーゼと、
二糖類と、
マンニトールと、
Tris-HClと、
塩化カルシウムと、および
塩化ナトリウムと、
を含む再構成製剤。
実施形態35
実施形態34記載の再構成製剤において、前記コラゲナーゼは、コラゲナーゼクロストリジウムヒストリチクム(CCH)である、再構成製剤。
実施形態36
実施形態34または35記載の再構成製剤において、前記二糖類はスクロースまたはトレハロースを含む、再構成製剤。
実施形態37
実施形態34~36のいずれか1つに記載の再構成製剤において、前記再構成製剤は、ヒトの血液に対して等張である、再構成製剤。
実施形態38
キットであって、
実施形態16~32のいずれか1つに記載の凍結乾燥製剤を含む容器と、および
塩化カルシウムと塩化ナトリウムを含む無菌希釈剤を含む容器と、
を含む、キット。
図1
図2A
図2B
図3A-3D】
図3E-3H】
図3I-3L】
図3M-3P】
図3Q-3R】
図4
図5
図6
【配列表】
0007565280000001.app