(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】抗ナロキソンおよび抗ナルトレキソンモノクローナル抗体ならびにその作製方法および使用方法
(51)【国際特許分類】
C07K 16/00 20060101AFI20241003BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20241003BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20241003BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20241003BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241003BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20241003BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20241003BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20241003BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20241003BHJP
G01N 33/536 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C07K16/00
C12P21/08
C12N15/13 ZNA
C12N15/63 Z
C12N5/10
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
G01N33/53 G
G01N33/536 A
(21)【出願番号】P 2021544533
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(86)【国際出願番号】 US2020015773
(87)【国際公開番号】W WO2020160199
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-10-08
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508147326
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】マノジ・シャーマ
(72)【発明者】
【氏名】タティアナ・レベデヴァ
(72)【発明者】
【氏名】タティアナ・マリーヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ユリィ・スミルノフ
(72)【発明者】
【氏名】ボグダン・ドラギチ
(72)【発明者】
【氏名】ヂュー・テン
(72)【発明者】
【氏名】イー・フェン・ヂァン
(72)【発明者】
【氏名】フンイェン・ヤウ
(72)【発明者】
【氏名】ニーマット・モルジャナ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ベドツィク
(72)【発明者】
【氏名】アリソン・ドミノウスキー
【審査官】井関 めぐみ
(56)【参考文献】
【文献】仏国特許出願公開第02859633(FR,A1)
【文献】The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics,1976年,Vol.195, No.3,p.499-504
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/13
C12P 21/08
C12N 5/16
C12N 15/06
C12N 15/63
C12N 5/10
C12N 1/15
C12N 1/19
C12N 1/21
C07K 16/00
G01N 33/53
G01N 33/536
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナロキソンおよびナルトレキソンに特異的に結合することができる抗体またはその機能的断片であって、該抗体は:
(1)配列番号22、23、および24のアミノ酸配列をそれぞれ有する重鎖可変領域CDR1、CDR2、およびCDR3、ならびに配列番号26、27、および28のアミノ酸配列をそれぞれ有する軽鎖可変領域CDR1、CDR2、およびCDR3;
(2)配列番号62、63、および64のアミノ酸配列をそれぞれ有する重鎖可変領域CDR1、CDR2、およびCDR3、ならびに配列番号66、67、および68のアミノ酸配列をそれぞれ有する軽鎖可変領域CDR1、CDR2、およびCDR3;または
(3)配列番号122、123、および124のアミノ酸配列をそれぞれ有する重鎖可変領域CDR1、CDR2、およびCDR3、ならびに配列番号126、127、および128のアミノ酸配列をそれぞれ有する軽鎖可変領域CDR1、CDR2、およびCDR3を含む、前記抗体またはその機能的断片。
【請求項2】
モノクローナル抗体またはその機能的断片としてさらに定義される、請求項1に記載の抗体またはその機能的断片。
【請求項3】
(1)抗体もしくはその機能的断片の重鎖可変領域は、配列番号37と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有し、および/または抗体もしくはその機能的断片の軽鎖可変領域は、配列番号38と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有する;
(2)抗体もしくはその機能的断片の重鎖可変領域は、配列番号77と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有し、および/または抗体もしくはその機能的断片の軽鎖可変領域は、配列番号78と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有する;または(3)抗体もしくはその機能的断片の重鎖可変領域は、配列番号137と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有し、および/または抗体もしくはその機能的断片の軽鎖可変領域は、配列番号138と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1に記載の抗体またはその機能的断片。
【請求項4】
(1)抗体またはその機能的断片の重鎖および軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号37および38のアミノ酸配列を有する;
(2)抗体またはその機能的断片の重鎖および軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号77および78のアミノ酸配列を有する;または
(3)抗体またはその機能的断片の重鎖および軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号137および138のアミノ酸配列を有する、請求項1に記載の抗体またはその機能的断片。
【請求項5】
(1)抗体もしくはその機能的断片の重鎖は、配列番号21と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有し、および/または抗体もしくはその機能的断片の軽鎖は、配列番号25と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有する;
(2)抗体もしくはその機能的断片の重鎖は、配列番号61と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有し、および/または抗体もしくはその機能的断片の軽鎖は、配列番号65と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有する;または
(3)抗体もしくはその機能的断片の重鎖は、配列番号121と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有し、および/または抗体もしくはその機能的断片の軽鎖は、配列番号125と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1に記載の抗体またはその機能的断片。
【請求項6】
(1)抗体またはその機能的断片の重鎖および軽鎖は、それぞれ配列番号21および25のアミノ酸配列を有する;
(2)抗体またはその機能的断片の重鎖および軽鎖は、それぞれ配列番号61および65のアミノ酸配列を有する;または
(3)抗体またはその機能的断片の重鎖および軽鎖は、それぞれ配列番号121および125のアミノ酸配列を有する、請求項1に記載の抗体またはその機能的断片。
【請求項7】
完全長免疫グロブリン分子、scFv、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2、Fv、ジスルフィド結合Fv、およびそれらの組合せから選択されるものとしてさらに定義される、請求項1に記載の抗体またはその機能的断片。
【請求項8】
(1)重鎖は、配列番号29と少なくとも約90%同一であるポリヌクレオチド配列によってコードされ、および/または軽鎖は、配列番号33と少なくとも約90%同一であるポリヌクレオチド配列によってコードされる;
(2)重鎖は、配列番号69と少なくとも約90%同一であるポリヌクレオチド配列によってコードされ、および/または軽鎖は、配列番号73と少なくとも約90%同一であるポリヌクレオチド配列によってコードされる;または
(3)重鎖は、配列番号129と少なくとも約90%同一であるポリヌクレオチド配列によってコードされ、および/または軽鎖は、配列番号133と少なくとも約90%同一であるポリヌクレオチド配列によってコードされる、請求項1に記載の抗体または機能的断片。
【請求項9】
精製された抗体またはその機能的断片としてさらに定義される、請求項1に記載の抗体またはその機能的断片。
【請求項10】
組成物であって:
請求項1~9のいずれか1項に記載の少なくとも1つの抗体またはその機能的断片と;該少なくとも1つの抗体またはその機能的断片に付着した検出可能な標識と
を含む前記組成物。
【請求項11】
組成物であって:
固体支持体と;
該固体支持体に結合された請求項1~9のいずれか1項に記載の少なくとも1つの抗体またはその機能的断片と
を含む前記組成物。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか1項に記載の抗体またはその機能的断片をコードするポリヌクレオチド。
【請求項13】
請求項1~9のいずれか1項に記載の抗体またはその機能的断片をコードするポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項14】
請求項1~9のいずれか1項に記載の抗体またはその機能的断片をコードするポリヌクレオチドを含む組換え宿主細胞。
【請求項15】
ナロキソンおよびナルトレキソンに特異的に結合することができる抗体またはその機能的断片を作製する方法であって:
(a)ポリヌクレオチドによってコードされた抗体またはその機能的断片の発現を可能にする条件下の細胞培養で、請求項
14に記載の組換え宿主細胞を培養する工程と;
(b)該細胞培養から該抗体またはその機能的断片を単離する工程と
を含む前記方法。
【請求項16】
生体試料中に存在するナロキソンおよび/またはナルトレキソンを検出する方法であって:
生体試料中で抗体/ナロキソンおよび/または抗体/ナルトレキソン複合体が形成される条件下で、生体試料を請求項1~9のいずれか1項に記載の抗体またはその機能的断片と接触させる工程と;
形成された抗体/ナロキソンおよび/または抗体/ナルトレキソン複合体の量が、生体試料中に存在するナロキソンおよび/またはナルトレキソンの量に正比例する、形成されたいずれかの抗体/ナロキソンおよび/または抗体/ナルトレキソン複合体を検出する工程と
を含む前記方法。
【請求項17】
抗体またはその機能的断片は、それに付着した、抗体/ナロキソンおよび/または抗体/ナルトレキソン複合体の検出で使用される標識を有する、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
生体試料の少なくとも1つのオピエートアッセイからナロキソンおよびナルトレキソン干渉を実質的に低減する方法であって、ここで、アッセイされるオピエートは、コデイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、モルヒネ、オキシコドン、オキシモルフォン、ヘロイン(6-アセチルモルヒネ)、およびそれらの組合せからなる群から選択され:
ナロキソンおよび/またはナルトレキソンがそれぞれ試料中に存在するならば、抗体/ナロキソンおよび/または抗体/ナルトレキソン複合体が形成される条件下で、生体試料を請求項1~9のいずれか1項に記載の少なくとも1つの抗体またはその機能的断片と接触させる工程と;
形成されたいずれかの抗体/ナロキソンおよび/または抗体/ナルトレキソン複合体を除去する工程と;および
ナロキソンおよび/またはナルトレキソンが実質的に低減されている生体試料で少なくとも1つのオピエートアッセイを行う工程と
を含む前記方法。
【請求項19】
オピエートアッセイは、ELISA、チップアッセイ、LC/MS/MS、免疫測定法、酵素免疫測定法、酵素増幅免疫測定法、蛍光偏光免疫測定法、およびそれらの組合せか
らなる群から選択される、請求項
18に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つの抗体またはその機能的断片は、ナロキソンおよびナルトレキソンに特異的に結合する少なくとも1つの抗体またはその機能的断片を含む、請求項
18に記載の方法。
【請求項21】
生体試料の少なくとも1つのオピエートアッセイからナロキソンおよびナルトレキソン干渉を実質的に低減する方法であって、
ここで、アッセイされるオピエートは、コデイン、モルヒネ、ヘロイン(6-アセチルモルヒネ)、およびそれらの組合せからなる群から選択され:
ナロキソンおよび/またはナルトレキソンがそれぞれ試料中に存在するならば、抗体/ナロキソンおよび/または抗体/ナルトレキソン複合体が形成される条件下で、生体試料を少なくとも1つの抗体またはその機能的断片と接触させる工程と;
形成されたいずれかの抗体/ナロキソン、および/または抗体/ナルトレキソン複合体を除去する工程と;および
ナロキソンおよび/またはナルトレキソンが実質的に低減されている生体試料で少なくとも1つのオピエートアッセイを行う工程と
を含む前記方法であって;
前記抗体またはその機能的断片は:
(1)配列番号2、3、および4のアミノ酸配列をそれぞれ有する重鎖可変領域CDR1、CDR2、およびCDR3、ならびに配列番号6、7、および8のアミノ酸配列をそれぞれ有する軽鎖可変領域CDR1、CDR2、およびCDR3;
(2)配列番号42、43、および44のアミノ酸配列をそれぞれ有する重鎖可変領域CDR1、CDR2、およびCDR3、ならびに配列番号46、47、および48のアミノ酸配列をそれぞれ有する軽鎖可変領域CDR1、CDR2、およびCDR3;
(3)配列番号82、83、および84のアミノ酸配列をそれぞれ有する重鎖可変領域CDR1、CDR2、およびCDR3、ならびに配列番号86、87、および88のアミノ酸配列をそれぞれ有する軽鎖可変領域CDR1、CDR2、およびCDR3;
(4)配列番号102、103、および104のアミノ酸配列をそれぞれ有する重鎖可変領域CDR1、CDR2、およびCDR3、ならびに配列番号106、107、および108のアミノ酸配列をそれぞれ有する軽鎖可変領域CDR1、CDR2、およびCDR3;
(5)配列番号142、143、および144のアミノ酸配列をそれぞれ有する重鎖可変領域CDR1、CDR2、およびCDR3、ならびに配列番号146、147、および148のアミノ酸配列をそれぞれ有する軽鎖可変領域CDR1、CDR2、およびCDR3;
(6)配列番号162、163、および164のアミノ酸配列をそれぞれ有する重鎖可変領域CDR1、CDR2、およびCDR3、ならびに配列番号166、167、および168のアミノ酸配列をそれぞれ有する軽鎖可変領域CDR1、CDR2、およびCDR3;
(7)配列番号182、183、および184のアミノ酸配列をそれぞれ有する重鎖可変領域CDR1、CDR2、およびCDR3、ならびに配列番号186、187、および188のアミノ酸配列をそれぞれ有する軽鎖可変領域CDR1、CDR2、およびCDR3;
(8)配列番号202、203、および204のアミノ酸配列をそれぞれ有する重鎖可変領域CDR1、CDR2、およびCDR3、ならびに配列番号206、207、および208のアミノ酸配列をそれぞれ有する軽鎖可変領域CDR1、CDR2、およびCDR3;
(9)配列番号222、223、および224のアミノ酸配列をそれぞれ有する重鎖可変領域CDR1、CDR2、およびCDR3、ならびに配列番号226、227、および2
28のアミノ酸配列をそれぞれ有する軽鎖可変領域CDR1、CDR2、およびCDR3;または
(10)配列番号242、243、および244のアミノ酸配列をそれぞれ有する重鎖可変領域CDR1、CDR2、およびCDR3、ならびに配列番号246、247、および248のアミノ酸配列をそれぞれ有する軽鎖可変領域CDR1、CDR2、およびCDR3を含む、前記方法。
【請求項22】
前記抗体またはその機能的断片は、モノクローナル抗体またはその機能的断片としてさらに定義される、請求項
21に記載の方法。
【請求項23】
(1)前記抗体もしくはその機能的断片の重鎖可変領域は、配列番号17と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有し、および/または前記抗体もしくはその機能的断片の軽鎖可変領域は、配列番号18と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有する;
(2)前記抗体もしくはその機能的断片の重鎖可変領域は、配列番号57と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有し、および/または前記抗体もしくはその機能的断片の軽鎖可変領域は、配列番号58と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有する;
(3)前記抗体もしくはその機能的断片の重鎖可変領域は、配列番号97と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有し、および/または前記抗体もしくはその機能的断片の軽鎖可変領域は、配列番号98と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有する;
(4)前記抗体もしくはその機能的断片の重鎖可変領域は
、配列番号117と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有し、および/または前記抗体もしくはその機能的断片の軽鎖可変領域は、配列番号118と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有する;
(5)前記抗体もしくはその機能的断片の重鎖可変領域は、配列番号157と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有し、および/または前記抗体もしくはその機能的断片の軽鎖可変領域は、配列番号158と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有する;
(6)前記抗体もしくはその機能的断片の重鎖可変領域は、配列番号177と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有し、および/または前記抗体もしくはその機能的断片の軽鎖可変領域は、配列番号178と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有する;
(7)前記抗体もしくはその機能的断片の重鎖可変領域は、配列番号197と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有し、および/または前記抗体もしくはその機能的断片の軽鎖可変領域は、配列番号198と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有する;
(8)前記抗体もしくはその機能的断片の重鎖可変領域は、配列番号217と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有し、および/または前記抗体もしくはその機能的断片の軽鎖可変領域は、配列番号218と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有する;
(9)前記抗体もしくはその機能的断片の重鎖可変領域は、配列番号237と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有し、および/または
前記抗体もしくはその機能的断片の軽鎖可変領域は、配列番号238と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有する;
または
(10)前記抗体もしくはその機能的断片の重鎖可変領域は、配列番号257と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有し、および/または前記抗体もしくはその機能的断片の軽鎖可変領域は、配列番号258と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を
有する、請求項
21に記載の方法。
【請求項24】
(1)前記抗体またはその機能的断片の重鎖および軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号17および18のアミノ酸配列を有する;
(2)前記抗体またはその機能的断片の重鎖および軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号57および58のアミノ酸配列を有する;
(3)前記抗体またはその機能的断片の重鎖および軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号97および98のアミノ酸配列を有する;
(4)前記抗体またはその機能的断片の重鎖および軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号117および118のアミノ酸配列を有する;
(5)前記抗体またはその機能的断片の重鎖および軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号157および158のアミノ酸配列を有する;
(6)前記抗体またはその機能的断片の重鎖および軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号177および178のアミノ酸配列を有する;
(7)前記抗体またはその機能的断片の重鎖および軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号197および198のアミノ酸配列を有する;
(8)前記抗体またはその機能的断片の重鎖および軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号217および218のアミノ酸配列を有する;
(9)前記抗体またはその機能的断片の重鎖および軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号237および238のアミノ酸配列を有する;または
(10)前記抗体またはその機能的断片の重鎖および軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号257および258のアミノ酸配列を有する、請求項
21に記載の方法。
【請求項25】
(1)前記抗体もしくはその機能的断片の重鎖は、配列番号1と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有し、および/または前記抗体もしくはその機能的断片の軽鎖は、配列番号5と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有する;
(2)前記抗体もしくはその機能的断片の重鎖は、配列番号41と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有し、および/または前記抗体もしくはその機能的断片の軽鎖は、配列番号45と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有する;
(3)前記抗体もしくはその機能的断片の重鎖は、配列番号81と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有し、および/または前記抗体もしくはその機能的断片の軽鎖は、配列番号85と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有する;
(4)前記抗体もしくはその機能的断片の重鎖は、配列番号101と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有し、および/または前記抗体もしくはその機能的断片の軽鎖は、配列番号105と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有する;
(5)前記抗体もしくはその機能的断片の重鎖は、配列番号141と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有し、および/または前記抗体もしくはその機能的断片の軽鎖は、配列番号145と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有する;
(6)前記抗体もしくはその機能的断片の重鎖は、配列番号161と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有し、および/または前記抗体もしくはその機能的断片の軽鎖は、配列番号165と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有する;
(7)前記抗体もしくはその機能的断片の重鎖は、配列番号181と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有し、および/または前記抗体もしくはその機能的断片の軽鎖は、配列番号185と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有する;
(8)前記抗体もしくはその機能的断片の重鎖は、配列番号201と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有し、および/または前記抗体もしくはその機能的断片の軽鎖は、配列番号205と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有する;
(9)前記抗体もしくはその機能的断片の重鎖は、配列番号221と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有し、および/または前記抗体もしくはその機能的断片の軽鎖は、配列番号225と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有する;または
(10)前記抗体もしくはその機能的断片の重鎖は、配列番号241と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有し、および/または前記抗体もしくはその機能的断片の軽鎖は、配列番号245と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項
21に記載の方法。
【請求項26】
(1)前記抗体またはその機能的断片の重鎖および軽鎖は、それぞれ配列番号1および5のアミノ酸配列を有する;
(2)前記抗体またはその機能的断片の重鎖および軽鎖は、それぞれ配列番号41および45のアミノ酸配列を有する;
(3)前記抗体またはその機能的断片の重鎖および軽鎖は、それぞれ配列番号81および85のアミノ酸配列を有する;
(4)前記抗体またはその機能的断片の重鎖および軽鎖は、それぞれ配列番号101および105のアミノ酸配列を有する;
(5)前記抗体またはその機能的断片の重鎖および軽鎖は、それぞれ配列番号141および145のアミノ酸配列を有する;
(6)前記抗体またはその機能的断片の重鎖および軽鎖は、それぞれ配列番号161および165のアミノ酸配列を有する;
(7)前記抗体またはその機能的断片の重鎖および軽鎖は、それぞれ配列番号181および185のアミノ酸配列を有する;
(8)前記抗体またはその機能的断片の重鎖および軽鎖は、それぞれ配列番号201および205のアミノ酸配列を有する;
(9)前記抗体またはその機能的断片の重鎖および軽鎖は、それぞれ配列番号221および225のアミノ酸配列を有する;または
(10)前記抗体またはその機能的断片の重鎖および軽鎖は、それぞれ配列番号241および245のアミノ酸配列を有する、請求項
21に記載の方法。
【請求項27】
前記抗体またはその機能的断片は、完全長免疫グロブリン分子、scFv、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2、Fv、ジスルフィド結合Fv、およびそれらの組合せから選択されるものとしてさらに定義される、請求項
21に記載の方法。
【請求項28】
(1)前記抗体またはその機能的断片の重鎖は、配列番号9と少なくとも約90%同一であるポリヌクレオチド配列によってコードされ、および/または前記抗体またはその機能的断片の軽鎖は、配列番号13と少なくとも約90%同一であるポリヌクレオチド配列によってコードされる;
(2)前記抗体またはその機能的断片の重鎖は、配列番号49と少なくとも約90%同一であるポリヌクレオチド配列によってコードされ、および/または前記抗体またはその機能的断片の軽鎖は、配列番号53と少なくとも約90%同一であるポリヌクレオチド配列によってコードされる;
(3)前記抗体またはその機能的断片の重鎖は、配列番号89と少なくとも約90%同一であるポリヌクレオチド配列によってコードされ、および/または前記抗体またはその機能的断片の軽鎖は、配列番号93と少なくとも約90%同一であるポリヌクレオチド配列によってコードされる;
(4)前記抗体またはその機能的断片の重鎖は、配列番号109と少なくとも約90%同一であるポリヌクレオチド配列によってコードされ、および/または前記抗体またはその機能的断片の軽鎖は、配列番号113と少なくとも約90%同一であるポリヌクレオチド配列によってコードされる;
(5)前記抗体またはその機能的断片の重鎖は、配列番号149と少なくとも約90%同一であるポリヌクレオチド配列によってコードされ、および/または前記抗体またはその機能的断片の軽鎖は、配列番号153と少なくとも約90%同一であるポリヌクレオチド配列によってコードされる;
(6)前記抗体またはその機能的断片の重鎖は、配列番号169と少なくとも約90%同一であるポリヌクレオチド配列によってコードされ、および/または前記抗体またはその機能的断片の軽鎖は、配列番号173と少なくとも約90%同一であるポリヌクレオチド配列によってコードされる;
(7)前記抗体またはその機能的断片の重鎖は、配列番号189と少なくとも約90%同一であるポリヌクレオチド配列によってコードされ、および/または前記抗体またはその機能的断片の軽鎖は、配列番号193と少なくとも約90%同一であるポリヌクレオチド配列によってコードされる;
(8)前記抗体またはその機能的断片の重鎖は、配列番号209と少なくとも約90%同一であるポリヌクレオチド配列によってコードされ、および/または前記抗体またはその機能的断片の軽鎖は、配列番号213と少なくとも約90%同一であるポリヌクレオチド配列によってコードされる;
(9)前記抗体またはその機能的断片の重鎖は、配列番号229と少なくとも約90%同一であるポリヌクレオチド配列によってコードされ、および/または前記抗体またはその機能的断片の軽鎖は、配列番号233と少なくとも約90%同一であるポリヌクレオチド配列によってコードされる;または
(10)前記抗体またはその機能的断片の重鎖は、配列番号249と少なくとも約90%同一であるポリヌクレオチド配列によってコードされ、および/または前記抗体またはその機能的断片の軽鎖は、配列番号253と少なくとも約90%同一であるポリヌクレオチド配列によってコードされる、請求項
21に記載の方法。
【請求項29】
前記抗体またはその機能的断片は、精製された抗体またはその機能的断片としてさらに定義される、請求項
21に記載の方法。
【請求項30】
該オピエートアッセイは、ELISA、チップアッセイ、LC/MS/MS、免疫測定法、酵素免疫測定法、酵素増幅免疫測定法、蛍光偏光免疫測定法、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項
21に記載の方法。
【請求項31】
少なくとも1つの抗体またはその機能的断片は、ナロキソンおよびナルトレキソンに特異的に結合する少なくとも1つの抗体またはその機能的断片を含む、請求項
21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照/参照による援用の記載
該当なし
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究または開発に関する陳述
該当なし
【背景技術】
【0003】
ナロキソンは、典型的には薬物過剰摂取例において乱用オピオイドの拮抗薬として一般的に使用されている。ナロキソンは、オピエートをオピエート受容体から取り去ることによってオピエート過剰摂取から患者を脱却させる救命用短時間作用薬である。患者はナロキソン(NARCAN(登録商標)(ナロキソンHCl)、ADAPT Pharma,Inc.、Radnor、PA.)の反復注射を与えられて薬物受容体を飽和させ、その結果、乱用オピオイドに対する薬理学的応答は最小化される。ナロキソンは数分以内に作用し、約1時間持続する。
【0004】
ナルトレキソンは、アルコール中毒例においても使用される、別の一般的に使用されるオピオイド拮抗薬である;ナルトレキソンは、過去30年間使用されてきたオピエート/アルコール遮断剤である。ナルトレキソンはゆっくり作用し、ナロキソンより長く持続する。VIVITROL(登録商標)(Alkermes,Inc.、Dublin、Ireland)は持続放出形態のナルトレキソンである。毎日使用する必要がないことから、VIVITROL(登録商標)の持続放出特性は患者のコンプライアンスを支援する。
【0005】
ナロキソンおよびナルトレキソンは両方ともアルコールの影響も鈍らせ、それ故に、これらは居住型治療プログラムからの退院後にアルコール再発を予防するのにしばしば使用される。
【0006】
ナロキソンは全身への迅速な分布を有する。平均血清半減期は30~81分に及ぶことが示されている。これは、一部のオピエートの平均半減期より短く、オピオイド受容体がトリガーするのを長期間阻止しなければならない場合に反復投与を必要とする。ナロキソンは肝臓によって主に代謝される;その主要な代謝生成物はナロキソン-3-グルクロニドであり、尿中に排泄される。
【0007】
ナルトレキソンは、酵素ジヒドロジオールデヒドロゲナーゼによって肝臓で主に6β-ナルトレキソールに代謝される。他の代謝生成物には、2-ヒドロキシ-3-メトキシ-6β-ナルトレキソールおよび2-ヒドロキシ-3-メトキシ-ナルトレキソンが挙げられる。これらの中間体は、次いでグルクロニドとコンジュゲートしてさらに代謝される。ナルトレキソンおよびその代謝生成物6β-ナルトレキソールの血漿中半減期は、それぞれ約4時間および13時間である。
【0008】
Randox Toxicology(Crumlin、United Kingdom)は、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)の原理に基づいたBioChip Array Technology(BAT)に基づくナロキソンアッセイを提供している。Biochip Array Technologyは、単一試料から広範囲の分析物を同時に定量的または定性的に検出できるようにする高精度マルチプレックス検査プラットフォームである。Biochipは、種々の薬物化合物に特異的な抗体が固定化され、安定化されている個別の検査部位を備えた固体状態のデバイスである。競合的化学発光免疫測定法(competitive chemiluminescent immunoassay)が次いで使用され、高感度スクリーニングを提供する。しかし、このアッセイに関して、ナルトレキソン交差反応性のレベルは12.5%であり、ナロキソン3-B-Dグルクロニド交差反応性のレベルは70.6%である。
【0009】
Immunalysis Corporation(Pomona、CA)は、口腔液および法医学用で同様にELISA原理に基づくELISAナルトレキソンアッセイを提供している(例えば、カタログ番号239-0096および239-0480を参照)。
【0010】
Neogen Corporation(Lansing、MI)は、ナルトレキソン、ナルブフィン、および/または他の代謝生成物の検出用スクリーニングデバイスとしての使用のために設計された定性的ワンステップキットである、ナルトレキソン/ナルブフィンELISAキットを提供している。しかし、この検査は、ナロキソンに対する交差反応性は4%のみである(例えば、カタログ番号133015および133019を参照)。
【0011】
ナロキソンおよびナルトレキソンを検出する他の方法は、高速液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析(LC-MS/MS)分析を含む。例えば、NMS Labs(Willow Grove、PA)は、尿中のナルトレキソン(合計)および代謝生成物6-ベータ-ナルトレキソール(合計)に関するLC-MS/MS分析を提供している(例えば、検査コード3116U、検査名 ナルトレキソンおよび代謝生成物-合計(コンジュゲート/非コンジュゲート型)、尿中を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、これら2つの薬物のいずれかまたは両方に利用可能な均一免疫測定法は現在のところ知られていない。したがって、ナロキソンおよび/またはナルトレキソンに特異的に結合するモノクローナル抗体、ならびに生体試料中のこれらの薬物の存在を検出し、ならびに/またはその定性的スクリーニングおよび/もしくは定量的臨床測定を提供するのに利用することができる均一免疫測定法に対するニーズが当技術分野にはある。
【0013】
さらに、ナロキソンおよびナルトレキソンの、様々なオピエートに類似した構造を考えると(
図1を参照)、これらの薬物は様々なオピエートアッセイで交差反応する可能性がある。特に、様々なオピエートアッセイは、ナロキソン/ナルトレキソン処置を受けている患者に対して偽陽性結果を示すことが一般的に観察されている。したがって、生体試料中に存在するナロキソンおよびナルトレキソンを中和して、それによりいかなる偽陽性または偽性高オピエート測定も防ぎ、したがって臨床オピエートアッセイにおいてより正確な定性的スクリーニングおよび定量的測定を提供するニーズも当技術分野にはある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】ナロキソンおよびナルトレキソン、ならびに様々なオピエートアッセイにおいてナロキソンおよびナルトレキソンが交差反応する様々なオピエートの化学構造を示す図である。
【
図2】C-3位結合によるナルトレキソンハプテン、KLH免疫原、およびオボアルブミンおよびG6PDHコンジュゲートの合成の概略図である。
【
図3】C-3位結合によるナロキソンハプテン、KLH免疫原、およびオボアルブミンおよびG6PDHコンジュゲートの合成の概略図である。
【
図4】C-6位結合によるナルトレキソンハプテン、KLH免疫原、およびオボアルブミンおよびG6PDHコンジュゲートの合成の概略図である。
【
図5】C-6位結合によるナロキソンハプテン、KLH免疫原、およびオボアルブミンおよびG6PDHコンジュゲートの合成の概略図である。
【
図6-1】ナロキソンまたはナルトレキソン-KLHコンジュゲートで免疫化した選択されたマウスから得られた様々な出血を使用して行われた様々なオピエートに関するELISA阻害アッセイを示すグラフである。
【
図7-1】8つの主要なオピオイド(図の右下に示された免疫原)を使用した5つの選択された抗ナロキソンモノクローナル抗体に関するELISA阻害アッセイを示すグラフである。
【
図8-1】8つの主要なオピオイド(図の下側パネルに示された免疫原)を使用した8つの選択された抗ナルトレキソンモノクローナル抗体に関するELISA阻害アッセイを示すグラフである。
【
図9】モノクローナル抗体179A 6H6(ナロキソン含有免疫原を使用して作製された)を使用した組合せナロキソンおよびナルトレキソン特異的アッセイを示すグラフである。
【
図10】モノクローナル抗体180C 2A12(ナルトレキソン含有免疫原を使用して作製された)を使用した組合せナロキソンおよびナルトレキソン特異的アッセイを示すグラフである。
【
図11】オピエート酵素増幅免疫測定法におけるモノクローナル抗体180A 3D3の評価を説明する図である。
【
図12】オピエート酵素増幅免疫測定法におけるモノクローナル抗体179A 6H6の評価を説明する図である。
【
図13】オピエート酵素増幅免疫測定法におけるモノクローナル抗体180C 2A12の評価を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の少なくとも1つの実施形態を例示的な表現および結果として詳細に説明する前に、本開示は、その応用において、以下の説明に記載される構成の詳細および構成要素の配置に限定されないことが理解されるべきである。本開示は、他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実施もしくは実行することができる。そのため、本明細書で使用される表現は、最も広い可能性のある範囲および意味を与えることが意図され;ならびに実施形態は、例示的である-網羅的でないことが意図される。また、本明細書で使用される表現および用語は説明の目的のためであり、限定として見なされるべきではないことが理解されるべきである。
【0016】
特に本明細書で定義されない限り、本開示と関連して使用される科学用語および技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈によって特に要求されない限り、単数用語は複数形を含むものとし、複数用語は単数形を含むものとする。一般に、本明細書に記載された細胞および組織培養、分子生物学、ならびにタンパク質およびオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド化学ならびにハイブリダイゼーションと関連して利用される命名法、およびそれらの手法は、当技術分野で周知であり一般的に使用されるものである。標準的な手法が、組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、ならびに組織培養および形質転換に使用される(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)。酵素反応および精製手法は製造者の仕様書に従って、または当技術分野で一般的に達成されるようにもしくは本明細書に記載されているように行われる。上述の手法および手順は一般に、当技術分野で周知の従来の方法に従って、ならびに本明細書全体にわたって引用され、論じられている様々な一般的およびより具体的な参考文献に記載されているように行われる。例えば、参照によって本明細書に組み入れるSambrookら Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(1989)およびColiganら Current Protcols in Immunology(Current Protcols、Wiley Interscience(1994))を参照。本明細書に記載された分析化学、合成有機化学、および医薬化学と関連して利用される命名法、ならびにそれらの実験手順および手法は、当技術分野で周知であり一般的に使用されるものである。標準的な手法は、化学合成、化学分析、医薬品、製剤、および送達、ならびに患者の処置に使用される。
【0017】
本明細書中に言及される全ての特許、公開特許出願、および非特許刊行物は、本開示が属する技術分野の当業者の技能のレベルを示している。本出願の任意の部分で参照される全ての特許、公開特許出願、および非特許刊行物は、個々の特許または刊行物が参照によって組み入れられると具体的および個別に示される場合と同程度に、その全体が参照によって明示的に組み入れられる。
【0018】
本明細書に開示される組成物、キット、および/または方法の全ては、本開示に照らして過度の実験をすることなく作成され、実行される。組成物、キット、および/または方法は特定の実施形態に関して記載されているが、本開示の概念、趣旨、および範囲から逸脱することなく変形形態が組成物、キット、および/または方法に適用され、ならびに本明細書に記載された方法の工程または一連の工程において適用されることが当業者に明らかとなろう。当業者に明らかな全てのそのような類似した代替物および変更形態は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の趣旨、範囲、および概念内であると見なされる。
【0019】
本開示により利用されるとき、以下の用語は、特に指示のない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする:
【0020】
用語「1つの(a)」または「1つの(an)」の使用は、特許請求の範囲および/または本明細書において用語「含む(comprising)」と合わせて使用される場合「1つ」を意味し得るが、「1つまたはそれ以上」、「少なくとも1つの」、および「1つまたは1つを超える」の意味とも一致する。そのため、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が特に明らかに指示しない限り複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「化合物」への言及は、1つもしくはそれ以上の化合物、2つ以上の化合物、3つ以上の化合物、4つ以上の化合物、またはより大きい数の化合物を指すことがある。用語「複数」は、「2つ以上」を指す。
【0021】
用語「少なくとも1つ」の使用は、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、100などを含むがこれらに限定されない1つおよび1つを超える任意の量を含むと理解されるであろう。用語「少なくとも1つ」は、それが接続する用語に応じて100または1000またはそれ以上まで拡大し得;さらに、より高い上限値が満足のいく結果を生むこともあることため、100/1000の量は限定と見なされるべきではない。さらに、用語「X、Y、およびZの少なくとも1つ」の使用は、Xのみ、Yのみ、およびZのみ、ならびにX、Y、およびZの任意の組合せを含むと理解されるであろう。序数の用語(すなわち、「第1の」、「第2の」、「第3の」、「第4の」など)の使用は、2つ以上の項目間を区別するためのみであり、例えば、別の項目と比べて1つの項目の任意の順序(sequence or order)もしくは重要性、または追加の任意の順序を示唆することを意味するものではない。
【0022】
特許請求の範囲の用語「または」の使用は、代替物のみを指すと明示的に示されない限り、または代替物が相互に排他的でない限り、包括的な「および/または」を意味するのに使用される。例えば、条件「AまたはB」は、以下のいずれかによって満たされる:Aは真である(または存在する)およびBは偽である(または存在しない)、Aは偽である(または存在しない)およびBは真である(または存在する)、ならびにAおよびBは両方とも真である(または存在する)。
【0023】
本明細書で使用される場合、「1つの実施形態(one embodiment)」、「実施形態(an embodiment)」、「いくつかの実施形態(some embodiments)」、「1つの例(one example)」、「例えば」、または「例(an example)」への任意の言及は、実施形態と関連して記載される特定の要素、構成、構造、または特徴が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の様々な箇所における語句「いくつかの実施形態では」または「1つの例」の出現は、必ずしも全てが例えば同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、1つまたはそれ以上の実施形態または例への言及は全て、特許請求の範囲への限定として解釈されるべきではない。
【0024】
本出願全体を通して、用語「約」は、値が組成物/装置/デバイスに関する固有の誤差の変動、値を決定するのに使用される方法、または試験対象の間に存在する変動を含むことを示すのに使用される。例えば、ただし限定の目的ではなく、用語「約」が利用されるとき、指定された値は、そのような変動が開示された方法を実施するのに適切であり、当業者に理解されることから、明記された値からプラスまたはマイナス20パーセント、もしくは15パーセント、もしくは12パーセント、もしくは11パーセント、もしくは10パーセント、もしくは9パーセント、もしくは8ペーセント、もしくは7パーセント、もしくは6パーセント、もしくは5パーセント、もしくは4パーセント、もしくは3パーセント、もしくは2パーセント、もしくは1パーセント異なってもよい。
【0025】
本明細書および請求項で使用される場合、単語「含む(comprising)」(ならびに「含む(comprise)」および「含む(comprises)」などの、含むの任意の形態)、「有する(having)」(ならびに「有する(have)」および「有する(has)」などの、有するの任意の形態)、「含む(including)」(ならびに「含む(includes)」および「含む(include)」などの、含むの任意の形態)、または「含有する(containing)」(ならびに「含有する(contains)」および「含有する(contain)」などの、含有するの任意の形態)は包括的またはオープンエンドであり、追加の引用されていない要素または方法工程を排除しない。
【0026】
用語「またはそれらの組合せ」は本明細書で使用される場合、該用語に先行して列挙された項目の全ての順列および組合せを指す。例えば、「A、B、C、またはそれらの組合せ」は:A、B、C、AB、AC、BC、またはABCの少なくとも1つを含むことが意図され、特定の文脈において順序が重要であるならば、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、またはCABも含むことが意図される。この例を続けると、BB、AAA、AAB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなどの、1つまたはそれ以上の項目または用語の反復を含有する組合せが明示的に含まれる。当業者は、文脈から特に明らかでない限り、いかなる組合せにおいても典型的には項目または用語の数に制限はないことを理解するであろう。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「実質的に」は、その後に記載される事象もしくは状況が完全に生じること、またはその後に記載される事象もしくは状況がかなりの範囲もしくは程度まで生じることを意味する。例えば、特定の事象または状況と関連する場合、用語「実質的に」は、その後に記載される事象または状況が少なくとも80%の割合、または少なくとも85%の割合、または少なくとも90%の割合、または少なくとも95%の割合で生じることを意味する。用語「実質的に隣接する」は、2つの項目が互いに100%隣接すること、または2つの項目が互いに近接内にあるが、互いに100%隣接はしていないこと、または2つの項目の一方の一部は他方の項目に100%隣接はしていないが、他方の項目の近接内にあることを意味し得る。
【0028】
用語「類似体」および「誘導体」は本明細書で互換的に使用され、所与の化合物と同じ基本的炭素骨格および炭素官能性をその構造中に含むが、それに加えて1つまたはそれ以上の置換を含有することもできる物質を指す。用語「置換」は本明細書で使用される場合、化合物の少なくとも1つの置換基の残基Rとの置き換えを指すと理解されるであろう。ある特定の非限定的な実施形態では、Rは、H、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン化物(フッ化物、塩化物、臭化物またはヨウ化物から選択される)、C1~C4化合物(以下の1つ:場合により置換された直鎖、分枝または環状アルキル、および直鎖、分枝または環状アルケニルから選択され、任意選択の置換基は、1つまたはそれ以上のアルケニルアルキル、アルキニルアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、場合により置換されたヘテロシクロアルケニルアルキル、アリールシクロアルキル、およびアリールヘテロシクロアルキルから選択される)を含んでもよく、これらの各々は場合により置換され、任意選択の置換基は、アルケニルアルキル、アルキニルアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルアルキル、アリールアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、場合により置換されたヘテロシクロアルケニルアルキル、アリールシクロアルキル、およびアリールヘテロシクロアルキル、フェニル、シアノ、ヒドロキシル、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、-NH(アルキル)、-NH(シクロアルキル)2、カルボキシ、および-C(O)-アルキルの1つまたはそれ以上から選択される。
【0029】
用語「試料」は本明細書で使用される場合、本開示により利用される任意のタイプの生体試料を含むと理解されるであろう。利用される流体生体試料の例には、全血またはその任意の部分(すなわち、血漿または血清)、尿、唾液、喀痰、脳脊髄液(CSF)、皮膚、腸液、腹腔内液、嚢胞液、汗、間質液、細胞外液、涙、粘液、膀胱洗浄液、精液、糞便、胸水、鼻咽頭液、それらの組合せなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
用語「特異的結合パートナー」は、本明細書で使用される場合、マクロフィリン結合医薬品の検出の目的でこれと特異的に結合することができる任意の分子を指すと理解されるであろう。例えば、ただし限定としてではなく、特異的結合パートナーは、抗体、受容体、リガンド、アプタマー、分子インプリントポリマー(すなわち、無機マトリックス)、またはそれらの任意の組合せおよび/または誘導体、ならびにマクロフィリン結合医薬品に特異的に結合することができる任意の他の分子であってもよい。
【0031】
用語「抗体」は、最も広い意味で本明細書で使用され、例えば、インタクトなモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、結合している分析物の所望の生物活性を示すそれらの抗体断片およびコンジュゲート(例えば、限定されるものではないが、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、Fd、ダイアボディ、一本鎖抗体、ならびにインタクトな抗体の可変領域の少なくとも一部を保持するそれらの他の抗体断片およびコンジュゲートなど)、抗体代替タンパク質またはペプチド(すなわち、操作された結合タンパク質/ペプチド)、ならびにそれらの組合せまたは誘導体を指す。抗体は、任意のタイプまたはクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、およびIgA)もしくはサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)であってもよい。
【0032】
用語「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを指すために本明細書で使用される。用語「ポリペプチド」は本明細書で使用される場合、ポリペプチド配列の天然のタンパク質、タンパク質断片、または類似体を指す総称である。したがって、天然のタンパク質、タンパク質断片、および類似体はポリペプチド属の種である。用語「単離されたペプチド/ポリペプチド/タンパク質」は本明細書で使用される場合、cDNA、組換えRNA、またはそれらの合成起源もしくは一部の組合せのペプチド/ポリペプチド/タンパク質を指し、その起源、または派生元によって、「単離されたペプチド/ポリペプチド/タンパク質」は:(1)天然に見出されるペプチド/ポリペプチド/タンパク質と結合していない、(2)同じ供給源由来の他のペプチド/ポリペプチド/タンパク質を含まない、例えば、マウスタンパク質を含まない、(3)異なる種由来の細胞によって発現される、および/または(4)天然には生じない。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「アミノ酸」は、アミノ官能性および酸官能性の両方を含み、天然に存在するアミノ酸のポリマーに含まれ得る、天然であれ合成であれ全ての分子を包含する。例示的なアミノ酸には、天然に存在するアミノ酸;その類似体、誘導体、および同類物;バリアント側鎖を有するアミノ酸類似体;ならびに上述のいずれかの全ての立体異性体が挙げられる。
【0034】
用語「ポリヌクレオチド」および「核酸」は互換的に使用される。これらは、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドのいずれか、またはその類似体である、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を指す。以下は、ポリヌクレオチドの非限定的な例である:遺伝子または遺伝子断片のコードまたは非コード領域、連鎖解析から定義された遺伝子座、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分枝ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブ、およびプライマー。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体などの修飾ヌクレオチドを含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造への修飾はポリマーの組み立ての前または後で与えられる。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって中断される。ポリヌクレオチドは、標識成分との結合などによってさらに修飾することができる。用語「単離された核酸」および「単離されたポリヌクレオチド」は互換的に使用される;核酸またはポリヌクレオチドは、これが:(1)「単離されたポリヌクレオチド」が天然に見出されるポリヌクレオチドの全部もしくは一部と結合していない、(2)天然には連結されないポリヌクレオチドに連結されている、または(3)より長い配列の一部として天然には生じないならば、「単離された」と見なされる。
【0035】
用語「ベクター」は、本明細書で使用される場合、これが連結されている別の核酸を輸送することができる核酸分子を指すことが意図される。ベクターの1つのタイプは「プラスミド」であり、追加のDNAセグメントがライゲートされる環状二本鎖DNAループを指す。ベクターの別のタイプは、追加のDNAセグメントがウイルスゲノムにライゲートされるウイルスベクターである。ある特定のベクターは、これが導入される宿主細胞中で自律複製することができる(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組み込み、それにより宿主ゲノムと一緒に複製することができる。さらに、ある特定のベクターは、遺伝子の発現を駆動することができる。そのようなベクターは、本明細書では「組換え発現ベクター」(または単純に、「発現ベクター」)と呼ばれる。
【0036】
用語「天然に存在する」は対象に適用されるように本明細書で使用される場合、対象が天然に見出されるという事実を指す。例えば、天然の供給源から単離することができる生物(ウイルスを含む)中に存在し、実験室で人によって意図的にまたはその他の方法で修飾されていないポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列は、天然に存在する。用語「天然に存在する」は、本明細書では用語「天然(native)」と互換的に使用される。
【0037】
本明細書で言及される用語「選択的にハイブリダイズする」は、検出可能におよび特異的に結合することを意味する。本発明の概念によりペプチド/ポリペプチド/タンパク質をコードするポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチドおよびそれらの断片は、非特異的な核酸への大量の検出可能な結合を最小化するハイブリダイゼーションおよび洗浄条件下で核酸鎖に選択的にハイブリダイズする。高ストリンジェンシー条件は、当技術分野で公知のおよび本明細書で論じられる選択的ハイブリダイゼーション条件を達成するのに使用される。一般に、本発明の概念のポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、および断片と、目的とする核酸配列の間の核酸配列相同性は、少なくとも80%、より典型的には、相同性の増加と共に少なくとも85%、90%、95%、99%、および100%となるであろう。2つのアミノ酸配列は、それらの配列間に部分的または完全な同一性があれば相同である。例えば、85%の相同性は、2つの配列が最大一致で整列された場合、アミノ酸の85%が同一であることを意味する。ギャップ(マッチされている2つの配列のいずれかの)は最大一致で許され;ギャップ長5以下が好ましく(ただし非限定的である)、2以下がより好ましい(ただし非限定的である)。あるいは、2つのタンパク質配列(またはそれらに由来する、少なくとも30アミノ酸長のポリペプチド配列)が、変異データマトリックスおよびギャップペナルティー6以上でプログラムALIGNを使用して(標準偏差単位で)5を超えるアライメントスコアを有するならば、該配列は相同(この用語が本明細書で使用される場合の)である。Dayhoff,M.O.、Atlas of Protein Sequence and Structure、101~110頁(第5巻、National Biomedical Research Foundation(1972))およびこの巻の補遺2、1~10頁を参照。2つの配列またはその部分は、ALIGNプログラムを使用して最適に整列された場合、それらのアミノ酸が50%以上同一であるならば、より好ましくは相同である。用語「~に対応する」は、ポリヌクレオチド配列が参照ポリヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相同である(すなわち、厳密には進化的に関係のない同一である)こと、またはポリペプチド配列が参照ポリペプチド配列と同一であることを意味するために本明細書で使用される。対照的に、用語「~に相補的な」は、相補的配列が参照ポリヌクレオチド配列の全部または一部と相同であることを意味するために本明細書で使用される。例示のために、ヌクレオチド配列「TATAC」は参照配列「TATAC」に対応し、参照配列「GTATA」に相補的である。
【0038】
以下の用語は、2つ以上のポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列間の配列関係を記載するのに使用される:「参照配列」、「比較ウィンドウ」、「配列同一性」、「配列同一性のパーセンテージ」、および「実質的な同一性」。「参照配列」は、配列比較のための基準として使用される定義された配列である;参照配列は、より大きな配列のサブセットであってもよく(例えば、配列表に示された完全長cDNAまたは遺伝子配列のセグメントとして)、または完全なcDNAもしくは遺伝子配列を含んでもよい。一般に、参照配列は、少なくとも18ヌクレオチド長または6アミノ酸長、頻繁には少なくとも24ヌクレオチド長または8アミノ酸長、およびしばしば少なくとも48ヌクレオチド長または16アミノ酸長である。2つのポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列は、それぞれ(1)2つの分子間で類似した配列(すなわち、完全なポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列の一部)を含んでもよく、(2)2つのポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列間で異なる配列をさらに含んでもよいため、2つ(またはそれ以上)の分子間の配列比較は、典型的には、「比較ウィンドウ」にわたって2つの分子の配列を比較して、配列類似性の局所領域を同定および比較することによって行われる。「比較ウィンドウ」は、本明細書で使用される場合、少なくとも18個の隣接ヌクレオチド位置または6個のアミノ酸の概念上のセグメントを指し、ポリヌクレオチド配列またはアミノ酸配列は、少なくとも18個の隣接ヌクレオチドまたは6個のアミノ酸配列の参照配列と比較され、比較ウィンドウ中のポリヌクレオチド配列の部分は、2つの配列の最適アライメントの参照配列(付加または欠失を含まない)と比較して20パーセント以下の付加、欠失、置換など(すなわち、ギャップ)を含み得る。比較ウィンドウを整列するための配列の最適アライメントは、SmithおよびWaterman(Adv.Appl.Math.、2:482頁(1981))の局所相同性アルゴリズム、NeedlemanおよびWunsch(J.Mol.Biol.、48:443頁(1970))の相同性アライメントアルゴリズム、PearsonおよびLipman(Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.)、85:2444頁(1988))の類似性検索法、これらのアルゴリズムのコンピュータ実装(Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0(Genetics Computer Group、575 Science Dr.、Madison、Wis.)のGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA、Geneworks、もしくはMacVectorソフトウェアパッケージ、またはインスペクションによって行うことができ、様々な方法によって生成された最良のアライメント(すなわち、比較ウィンドウにわたって最も高いパーセンテージの相同性をもたらす)が選択される。
【0039】
用語「配列同一性」は、比較ウィンドウにわたって2つのポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列が同一である(すなわち、ヌクレオチドごとまたは残基ごとに)ことを意味する。用語「配列同一性のパーセンテージ」は、比較ウィンドウにわたって2つの最適に整列された配列を比較し、両方の配列で同一の核酸塩基(例えば、A、T、C、G、U、またはI)または残基が生じる位置の数を決定してマッチした位置の数を得、マッチした位置の数を比較ウィンドウ中の位置の合計数(すなわち、ウィンドウサイズ)で除し、該結果に100を乗じて配列同一性のパーセンテージを得ることによって算出される。用語「実質的な同一性」は本明細書で使用される場合、ポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列の特徴を示し、ポリヌクレオチドまたはアミノ酸は、少なくとも18個のヌクレオチド(6個のアミノ酸)位置の比較ウィンドウ、頻繁には少なくとも24~48個ヌクレオチド(8~16個のアミノ酸)位置のウィンドウにわたって、参照配列と比較して少なくとも85パーセント配列同一性、例えば少なくとも90~95パーセント配列同一性、または少なくとも99パーセント配列同一性を有する配列を含み、配列同一性のパーセンテージは、比較ウィンドウにわたって参照配列の合計20パーセント以下となる欠失または付加を含み得る配列と参照配列を比較することによって算出される。参照配列はより大きな配列のサブセットであってもよい。
【0040】
本明細書で使用される場合、20個の従来のアミノ酸およびそれらの略号は従来の使用法に従う。参照によって本明細書に組み入れる、Immunology--A Synthesis(第2版、E.S.GolubおよびD.R.Gren編、Sinauer Associates、Sunderland、Mass.(1991))を参照。20個の従来のアミノ酸の立体異性体(例えば、D-アミノ酸)は、α,α-二置換アミノ酸、N-アルキルアミノ酸などの非天然アミノ酸、乳酸、および他の非従来型アミノ酸もまた、本開示のポリペプチドの適切な成分となり得る。非従来型アミノ酸の例には:4-ヒドロキシプロリン、α-カルボキシグルタミン酸、ε-N,N,N-トリメチルリジン、ε-N-アセチルリジン、O-ホスホセリン、N-アセチルセリン、N-ホルミルメチオニン、3-メチルヒスチジン、5-ヒドロキシリジン、σ-N-メチルアルギニン、ならびに他の類似のアミノ酸およびイミノ酸(例えば、4-ヒドロキシプロリン)が挙げられる。本明細書で使用されるポリペプチド表記では、標準的な使用法および慣例に従って左手方向はアミノ末端方向であり、右手方向はカルボキシ末端方向である。
【0041】
ポリペプチドに適用されるとき、用語「実質的な同一性」は、2つのペプチド配列が、デフォルトギャップ重量を使用するプログラムGAPまたはBESTFITなどによって最適に整列された場合、少なくとも80パーセント配列同一性、例えば少なくとも90パーセント配列同一性、または少なくとも95パーセント配列同一性、または少なくとも99パーセント配列同一性を共有することを意味する。ある特定の(ただし非限定的な)実施形態では、同一でない残基位置は保存的アミノ酸置換によって異なる。保存的アミノ酸置換は、類似した側鎖を有する残基の互換性を指す。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸の群は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンであり;脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸の群は、セリンおよびスレオニンであり;アミド含有側鎖を有するアミノ酸の群は、アスパラギンおよびグルタミンであり;芳香族側鎖を有するアミノ酸の群は、フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンであり;塩基性側鎖を有するアミノ酸の群は、リジン、アルギニン、およびヒスチジンであり;硫黄含有側鎖を有するアミノ酸の群は、システインおよびメチオニンである。特定の保存的アミノ酸置換基は:バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リジン-アルギニン、アラニン-バリン、グルタミン酸-アスパラギン酸、およびアスパラギン-グルタミンである。
【0042】
参照ポリペプチドの「バリアント」という用語は、参照ポリペプチドと比べて1つまたはそれ以上のアミノ酸置換、欠失または挿入を有するポリペプチドを指す。アミノ酸置換は、「保存的」または「非保存的」であってもよい。「保存的」アミノ酸置換は、例えば、限定されるものではないがサイズおよび電荷などの類似した特性を有する別のアミノ酸による、ポリペプチド中のアミノ酸置換を指す。保存的置換は、側鎖に関連したアミノ酸のファミリー内で起こるものである。遺伝的にコードされたアミノ酸は、一般に、ファミリー:(1)酸性=アスパラギン酸、グルタミン酸;(2)塩基性=リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性=アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)非電荷極性=グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシンに分類される。より具体的にはファミリーは:セリンおよびスレオニンは脂肪族ヒドロキシファミリーであり;アスパラギンおよびグルタミンはアミド含有ファミリーであり;アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシンは脂肪族ファミリーであり;フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは芳香族ファミリーである。例えば、ロイシンとイソロイシンもしくはバリンとの、アスパラギン酸とグルタミン酸との、スレオニンとセリンとの単離された置換、または構造的に関連したアミノ酸とのアミノ酸の類似した置換は、特に置換がフレームワーク部位内のアミノ酸を含まない場合、得られた分子の結合または特性に重大な影響を与えないと予想することは妥当である。アミノ酸変化が機能性ペプチドをもたらすかどうかは、ポリペプチド誘導体の特異的活性をアッセイすることによって容易に決定することができる。抗体または免疫グロブリン分子の断片または類似体は、当業者によって容易に製造される。断片または類似体の好ましいアミノおよびカルボキシ末端は、機能ドメインの境界近くに生じる。構造ドメインおよび機能ドメインは、ヌクレオチドおよび/またはアミノ酸配列データを公開または専用配列データベースと比較して同定することができる。特定の(ただし非限定的な)実施形態では、構造および/または機能が公知の他のタンパク質に生じる配列モチーフまたは予測されるタンパク質コンフォメーションドメインを同定するのに、コンピュータ比較法が使用される。公知の三次元構造に折り畳まれるタンパク質配列を同定する方法は公知である(Bowieら、Science、253:164頁(1991))。したがって、上述の例は、本開示による構造ドメインおよび機能ドメインを定義するのに使用される配列モチーフおよび構造的コンフォメーションを当業者が認識できることを実証するものである。
【0043】
好ましいアミノ酸置換は:(1)タンパク質分解に対する感受性を低減する、(2)酸化に対する感受性を低減する、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を変化させる、(4)結合親和性を変化させ、および(5)そのような類似体の他の物理化学的または機能的特性を与えるまたは修飾するものである。類似体は、天然に存在するペプチド配列以外の配列の様々な変異を含むことができる。例えば、単一または複数のアミノ酸置換(例えば、限定されるものではないが、保存的アミノ酸置換など)は、天然に存在する配列(例えば、限定されるものではないが、分子間接触を形成するドメインの外側のポリペプチドの部分など)で行われる。保存的アミノ酸置換は、親配列の構造的特徴を実質的に変えるべきではない(例えば、置換アミノ酸は、親配列に生じるヘリックスを壊す傾向があるべきではなく、または親配列を特徴付ける他のタイプの二次構造を破壊する傾向があるべきではない)。当技術分野で認識されているポリペプチド二次および三次構造の例は、それぞれ参照によって本明細書に組み入れる、Proteins,Structures and Molecular Principles(Creighton編、W.H.Freeman and Company、New York(1984));Introduction to Protein Structure(著作権)(BrandenおよびJ.Tooze編、Garland Publishing、New York、N.Y.(1991));およびThorntonら(Nature 354:105頁(1991))に記載されている。
【0044】
用語「ポリペプチド断片」は本明細書で使用される場合、アミノ末端および/またはカルボキシ末端欠失を有するが、残りのアミノ酸配列は天然に存在する配列中の対応する位置と同一であるポリペプチドを指す。ポリペプチド断片は、参照ポリペプチドの長さに満たない任意の長さであってもよい。
【0045】
用語「抗体」は最も広い意味で使用され、具体的には、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および所望の生物活性を示す限り抗体断片を包含する。したがって、用語「抗体」または「抗体ペプチド」は、完全長免疫グロブリン分子(すなわち、インタクトな抗体)、または特異的な抗原結合を巡ってインタクトな抗体と競合するその結合断片を指す。結合断片は、組換えDNA法、またインタクトな抗体の酵素的もしくは化学的切断によって作製される。結合断片には、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、ジスルフィド結合Fv、Fd、ダイアボディ、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、限定されるものではないが、NANOBODIES(登録商標)など)およびインタクトな抗体の可変領域の少なくとも一部を保持する他の抗体断片が挙げられる。例えば、Hudsonら(Nature Med.、9:129~134頁(2003))を参照。
【0046】
抗体の「抗原結合断片」または「抗原結合部分」という用語は、本明細書で使用される場合、抗原に結合する能力を保持する抗体の1つまたはそれ以上の断片を指す。抗体の抗原結合機能は、インタクトな抗体の断片によって果たされる。抗体の「抗原結合断片」という用語内に包含される結合断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、ジスルフィド結合Fv、Fd、ダイアボディ、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、限定されるものではないが、NANOBODIES(登録商標)など)、単離CDRH3、およびインタクトな抗体の可変領域の少なくとも一部を保持する他の抗体断片が挙げられるが、これらに限定されない。これらの抗体断片は、従来の組換え法および/または酵素法を使用して得られ、インタクトな抗体と同じように抗原結合についてスクリーニングされる。
【0047】
「抗体重鎖」は、本明細書で使用される場合、その天然に存在するコンフォメーションで全ての抗体分子に存在する2つのタイプのポリペプチド鎖のより大きい方を指す。
【0048】
「抗体軽鎖」は、本明細書で使用される場合、その天然に存在するコンフォメーションで全ての抗体分子に存在する2つのタイプのポリペプチド鎖のより小さい方を指す。カッパおよびラムダ軽鎖は、2つの主要な抗体軽鎖アイソタイプを指す。
【0049】
用語「CDR」、およびその複数形「CDRs」は、抗体または抗体断片の相補性決定領域(CDR)を指し、抗体または抗体断片の結合特性を決定する。ほとんどの場合、3つのCDRが軽鎖可変領域(CDRL1、CDRL2およびCDRL3)に存在し、3つのCDRが重鎖可変領域(CDRH1、CDRH2およびCDRH3)に存在する。CDRは抗体分子の機能活性に寄与し、足場またはフレームワーク領域を含むアミノ酸配列によって分離される。様々なCDRのうち、CDR3配列、特にCDRH3は最も多様であり、したがって抗体特異性に最も強く寄与する。CDRを決定するための少なくとも2つの手法がある:(1)異種間配列多様性に基づくアプローチ(すなわち、その全体を参照によって組み入れる、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institute of Health、Bethesda、Md.(1987));および(2)抗原-抗体複合体の結晶学的研究に基づくアプローチ(その全体を参照によって組み入れる、Chothiaら、Nature、342:877頁(1989))。
【0050】
用語「エピトープ」は、免疫グロブリンまたはT細胞受容体に特異的結合することができるいかなるタンパク質決定基も含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、抗体によって特異的に結合される抗原の領域である。エピトープ決定基は通常、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル基、またはスルホニル基などの化学的に活性な表面分子群を含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、特異的三次元構造特徴(例えば、「コンフォメーショナルエピトープ」)、および特異的電荷特徴を有し得る。
【0051】
エピトープは、特定の抗体が両方のエピトープに特異的に結合するならば、もう1つのエピトープと「同一」として定義される。ある特定の実施形態では、異なる一次アミノ酸配列を有するポリペプチドが同一であるエピトープを含み得る。ある特定の実施形態では、同一であるエピトープが異なる一次アミノ酸配列を有し得る。同一のエピトープへの特異的結合を巡って異なる抗体が競合する場合、異なる抗体は同一のエピトープに結合すると言われる。
【0052】
抗体がタンパク質および/または高分子の複合混合物中の抗原を優先的に認識する場合、抗体は抗原を「特異的に結合する」。ある特定の実施形態では、抗体は、特定のエピトープに特異的に結合する抗原結合部位を含む。ある特定のそのような実施形態では、異なる抗原がその特定のエピトープまたは近縁のエピトープを含む限り、抗体は異なる抗原を結合することができる。ある特定の場合では、例えば、異なる種由来の相同タンパク質が同一のエピトープを含み得る。ある特定の実施形態では、抗体は、10-6M、10-7M、10-8Mまたは10-9M以下の解離定数で抗原に特異的に結合する。抗体が受容体またはリガンド(すなわち、カウンター受容体)に特異的に結合する場合、抗体はリガンドへの受容体の接着を実質的に阻害し得る。本明細書で使用される場合、過剰な抗体が、リガンドに結合された受容体の量を少なくとも約20%、40%、60%または80%、85%、または90%低減するとき(インビトロ競合的結合アッセイで測定された場合)、抗体はリガンドへの受容体の接着を実質的に阻害する。
【0053】
「単離された」抗体は、産生された環境の成分から分離および/または回収されたものである。その産生環境の汚染成分は、診断的または治療的使用の妨げとなる物質であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性溶質を含み得る。ある特定の実施形態では、抗体は、測定可能なものとして少なくとも3つの異なる方法によって:1)ローリー法によって決定される抗体の50重量%超、例えば75重量%超、または85重量%超、または95重量%超、または99重量%超まで;2)スピニングカップシークエネーターの使用によりN末端または内部アミノ酸配列の少なくとも10残基、例えば配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで;または3)クマシーブルーもしくは、あるいは、銀染色を使用して還元もしくは非還元条件下のSDS-PAGEによって均一になるまで精製されるであろう。単離された抗体は、抗体が産生される環境の少なくとも1つの成分は存在しないため、組換え細胞内にインサイチュで抗体を含む。しかし、通常、単離された抗体は、少なくとも1つの精製工程によって製造されるであろう。さらに、「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない。しかし、単離された抗体は、他の関連する抗原に対して一部の交差反応性を有する可能性がある。
【0054】
用語「抗体変異体」は、1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が修飾されている抗体のアミノ酸配列バリアントを指す。そのような変異体は、抗体の重鎖または軽鎖可変ドメインのいずれかのアミノ酸配列と少なくとも75%、例えば少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%のアミノ酸配列同一性または類似性を有するアミノ酸配列と100%未満の配列同一性または類似性を必然的に有する。
【0055】
用語「モノクローナル抗体」は本明細書で使用される場合、同一のエピトープに特異的に結合する実質的に均一な抗体集団から得られた抗体を指す。すなわち、該集団を含む個々の抗体は、微量で存在し得る天然に存在する可能性がある変異を除いて同一である。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的には含む従来の(ポリクローナル)抗体製剤とは対照的に、各モノクローナル抗体は抗原上の単一の決定基を対象とする。その特異性に加えて、モノクローナル抗体は、1つの作製方法でハイブリドーマ培養によって合成され、したがって他の免疫グロブリンによって汚染されないという点で有利である。修飾語句「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体集団から得られるという抗体の特性を示し、任意の特定の方法による抗体の作製を必要とするものとして解釈されるべきではない。例えば、1つの実施形態では、本開示により作製されるモノクローナル抗体は、KohlerおよびMilstein(Nature、256:495頁(1975))によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製することができる。
【0056】
本開示により利用されるモノクローナル抗体は、意図的な免疫化プロトコルの結果;疾患またはがんの過程で天然に抗体の産生をもたらす免疫応答の結果;ファージ由来抗体などを含むがこれらに限定されない、当技術分野で公知の任意の方法論によって作製することができる。上記に挙げたハイブリドーマ作製方法に加えて、本開示のモノクローナル抗体は、例えば、限定されるものではないが、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照);ファージディスプレイライブラリーからの抗体断片の単離(例えば、Clacksonら、Nature、352:624~628頁(1991);およびMarksら、J.Mol.Biol.、222:581~597頁(1991)を参照);および様々な他のモノクローナル抗体作製手法(例えば、HarlowおよびLane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、N.Y.)を参照)などの他の様々な方法によって産生することができる。
【0057】
抗体が得られると、例えば、個々のB細胞が同定され、および/またはモノクローナル抗体が産生されると、これらの抗体の可変領域をコードする配列が得られる。可変領域配列は、例えば、ハイブリドーマ、B細胞またはファージによって産生される抗体タンパク質を最初に配列決定し、コード核酸配列を決定して得ることができる。1つの実施形態では、免疫グロブリン可変領域(VHおよびVL)DNAまたはcDNAが代わりに配列決定される。抗体がハイブリドーマ細胞株または単離されたB細胞に由来する場合、可変領域をコードするcDNAは、例えば、Babcookら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、93:7843~7848頁(1996))、およびPCT公開第WO 92/02551号に記載された方法によってPCRを使用して増幅することができる。両方の参考文献の内容は、その全体を参照によって本明細書に組み入れる。
【0058】
用語「中和抗体」または「中和する抗体」は、抗体が特異的に結合するエピトープを含むポリペプチドの少なくとも1つの活性を低減する抗体を指す。ある特定の実施形態では、中和抗体は活性をインビトロおよび/またはインビボで低減する。
【0059】
用語「抗原結合部位」は、抗原を特異的に結合することができる抗体の一部を指す。ある特定の実施形態では、抗原結合部位は1つまたはそれ以上の抗体可変領域によって提供される。
【0060】
本明細書で使用される場合、「実質的に純粋な」は、対象種が、存在する優勢な種である(すなわち、モル基準で、対象種が組成物中の任意の他の個々の種より豊富である)ことを意味する。一般に、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在する全ての高分子種の約50%超、例えば約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、および99%超を含むであろう。1つの実施形態では、対象種は、本質的に均一になる(従来の検出方法によって汚染種が組成物中に検出されない)まで精製され、組成物は本質的に単一の高分子種からなる。
【0061】
用語「薬剤」は、化学物質、化学物質の混合物、生体高分子、または生体物質から作られた抽出物を指す。ある特定の実施形態では、「薬剤」は本開示によるモノクローナル抗体であってもよい。
【0062】
用語「拮抗薬」は、タンパク質/酵素の活性を低減する薬剤を指す。
【0063】
用語「作動薬」は、タンパク質/酵素の活性を増加させる薬剤を指す。
【0064】
用語「担体タンパク質」は本明細書で使用される場合、小分子に対する抗体を産生する形で免疫系応答を刺激する目的のために、典型的には免疫原性でない小分子((限定されるものではないが)分子量が2~5kDa未満の薬物、有機化合物、ならびにペプチドおよびオリゴ糖などの)に付着することができる免疫原性タンパク質を指すと理解されるであろう。
【0065】
ここで、本発明の概念に移ると、本開示のある特定の非限定的な実施形態は、ナロキソンおよび/またはナルトレキソンに特異的に結合する抗体またはその機能的断片に関する。これらの2つの化合物は、それぞれ式IおよびIIとして以下に示される。
【化1】
【0066】
特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は、担体タンパク質に結合されたナロキソンおよび/またはナルトレキソンを含むコンジュゲートに特異的に結合する。コンジュゲートは、担体タンパク質が:(1)ナロキソンおよび/またはナルトレキソンにコンジュゲートすることができる;(2)免疫原性である;ならびに(3)ナロキソンおよび/またはナルトレキソンに対する抗体を産生する形で免疫系応答を刺激するように機能することができる限り、当技術分野で公知の、またはさもなければ本明細書で企図される任意の担体タンパク質を含有してもよい。本開示により利用される担体タンパク質の非限定的な例には、KLH(キーホールリンペットヘモシアニン)、BSA(ウシ血清アルブミン)、オボアルブミン、BTG(ウシサイログロブリン)、およびBGG(ウシガンマグロブリン)が挙げられる。
【0067】
ある特定の非限定的な実施形態では、担体タンパク質は、ナロキソンおよび/またはナルトレキソンの特定の炭素位置に付着する。例えば(ただし限定の目的ではなく)、担体タンパク質は、ナロキソンおよび/またはナルトレキソンの1-炭素、2-炭素、3-炭素、6-炭素、7-炭素、または8-炭素位置に付着する。これらのコンジュゲート免疫原の非限定的な例は、以下の式III~VIIIに示される。これらの式の各々はナロキソンおよびナルトレキソンの両方を対象にしていること、ならびに担体タンパク質は、各式の異なる炭素(式III:3-炭素;式IV:1-炭素;式V:2-炭素;式VI:6-炭素;式VII:8-炭素;および式VIII:7-炭素)に付着するものとして図示されることに留意されたい。
【0068】
【化2】
式III中:Aはヘテロ原子であり(例えば、限定されるものではないが:-O-、-N-、または-S-など);Bは官能基であり(例えば、限定されるものではないが:-CO-、低級アルキル(C
0~C
10)、-CONH-、-SO
2-、-PO
4-など);Cは担体タンパク質であり(例えば、限定されるものではないが:KLH、BSA、OVA、BGG、G6PDH、またはポリ(アミノ酸)など);およびR
2はH、アルキル、アリル、またはメチレンシクロプロピルである。
【0069】
【化3】
式IV中:Dはヘテロ原子であり(例えば、限定されるものではないが:O-、S-、CO-、またはCH
2-など);Eは低級アルキル、CO
2-、CONH-、SO
2-、またはPO
4-であり;Fは担体タンパク質であり(例えば、限定されるものではないが:KLH、BSA、OVA、BGG、G6PDH、またはポリ(アミノ酸)など);R
2はH、アルキル、アリル、またはメチレンシクロプロピルであり;R
1はHまたはCH
3である。
【0070】
【化4】
式V中:Dはヘテロ原子であり(例えば、限定されるものではないが:O-、S-、CO-、またはCH
2-など);Eは低級アルキル、CO
2-、CONH-、SO
2-、またはPO
4-であり;Fは担体タンパク質であり(例えば、限定されるものではないが:KLH、BSA、OVA、BGG、G6PDH、またはポリ(アミノ酸)など);R
2はH、アルキル、アリル、またはメチレンシクロプロピルであり;R
1はHまたはCH
3である)。
【0071】
【化5】
式VI中:Gは以下:低級アルキル鎖、CO
2-、CONH-、SO
2-、およびPO
4-の少なくとも2つを含む連結基であり;Hは担体タンパク質であり(例えば、限定されるものではないが:KLH、BSA、OVA、BGG、G6PDH、またはポリ(アミノ酸)など);R
1はHまたはCH
3であり;R
2はH、アルキル、アリル、またはメチレンシクロプロピルである。
【0072】
【化6】
式VII中:Iはヘテロ原子であり(例えば、限定されるものではないが:O-、S-、CO-、またはCH
2-など);Jは低級アルキル鎖、CO
2-、CONH-、SO
2-、またはPO
4-であり;Kは担体タンパク質であり(例えば、限定されるものではないが:KLH、BSA、OVA、BGG、G6PDH、またはポリ(アミノ酸)など);R
1はHまたはCH
3であり;R
2はH、アルキル、アリル、またはメチレンシクロプロピルである。
【0073】
【化7】
式VII中:Lはヘテロ原子であり(例えば、限定されるものではないがO、S、CO、またはCH
2など);Mは低級アルキル鎖、CO
2-、CONH-、SO
2-、またはPO
4-であり;Nは担体タンパク質であり(例えば、限定されるものではないが:KLH、BSA、OVA、BGG、G6PDHなど);R
1はHまたはCH
3であり;R
2はH、アルキル、アリル、またはメチレンシクロプロピルである。
【0074】
特定の(ただし非限定的な)実施形態では、抗体またはその機能的断片は、ナロキソンおよび/またはナルトレキソンの3-炭素位置および/または6-炭素位置に付着したOVAを含むコンジュゲートに特異的に結合する。
【0075】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、ナルトレキソン(およびある特定の(ただし非限定的な)実施形態では、R2がアリルである式IIIのコンジュゲート)に特異的に結合する抗体またはその機能的断片に関し、抗体は:(i)配列番号2のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR1;(ii)配列番号3のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR2;(iii)配列番号4のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR3;(iv)配列番号6のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR1;(v)配列番号7のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR2;および(vi)配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR3の1つまたはそれ以上を含む。特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は、上記の(i)~(vi)の2つ、3つ、4つ、または5つを含む。別の特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は上記の(i)~(vi)の全てを含む。
【0076】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、ナルトレキソンに特異的に結合する抗体またはその機能的断片に関し、抗体は:(i)配列番号22のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR1;(ii)配列番号23のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR2;(iii)配列番号24のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR3;(iv)配列番号26のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR1;(v)配列番号27のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR2;および(vi)配列番号28のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR3の1つまたはそれ以上を含む。特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は、上記の(i)~(vi)の2つ、3つ、4つ、または5つを含む。別の特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は上記の(i)~(vi)の全てを含む。
【0077】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、ナルトレキソンに特異的に結合する抗体またはその機能的断片に関し、抗体は:(i)配列番号42のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR1;(ii)配列番号43のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR2;(iii)配列番号44のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR3;(iv)配列番号46のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR1;(v)配列番号47のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR2;および(vi)配列番号48のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR3の1つまたはそれ以上を含む。特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は、上記の(i)~(vi)の2つ、3つ、4つ、または5つを含む。別の特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は上記の(i)~(vi)の全てを含む。
【0078】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、ナルトレキソンに特異的に結合する抗体またはその機能的断片に関し、抗体は:(i)配列番号62のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR1;(ii)配列番号63のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR2;(iii)配列番号64のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR3;(iv)配列番号66のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR1;(v)配列番号67のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR2;および(vi)配列番号68のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR3の1つまたはそれ以上を含む。特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は、上記の(i)~(vi)の2つ、3つ、4つ、または5つを含む。別の特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は上記の(i)~(vi)の全てを含む。
【0079】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、ナルトレキソンに特異的に結合する抗体またはその機能的断片に関し、抗体は:(i)配列番号82のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR1;(ii)配列番号83のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR2;(iii)配列番号84のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR3;(iv)配列番号86のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR1;(v)配列番号87のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR2;および(vi)配列番号88のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR3の1つまたはそれ以上を含む。特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は、上記の(i)~(vi)の2つ、3つ、4つ、または5つを含む。別の特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は上記の(i)~(vi)の全てを含む。
【0080】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、ナルトレキソンに特異的に結合する抗体またはその機能的断片に関し、抗体は:(i)配列番号102のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR1;(ii)配列番号103のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR2;(iii)配列番号104のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR3;(iv)配列番号106のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR1;(v)配列番号107のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR2;および(vi)配列番号108のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR3の1つまたはそれ以上を含む。特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は、上記の(i)~(vi)の2つ、3つ、4つ、または5つを含む。別の特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は上記の(i)~(vi)の全てを含む。
【0081】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、ナルトレキソンに特異的に結合する抗体またはその機能的断片に関し、抗体は:(i)配列番号122のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR1;(ii)配列番号123のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR2;(iii)配列番号124のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR3;(iv)配列番号126のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR1;(v)配列番号127のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR2;および(vi)配列番号128のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR3の1つまたはそれ以上を含む。特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は、上記の(i)~(vi)の2つ、3つ、4つ、または5つを含む。別の特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は上記の(i)~(vi)の全てを含む。
【0082】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、ナルトレキソンに特異的に結合する抗体またはその機能的断片に関し、抗体は:(i)配列番号142のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR1;(ii)配列番号143のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR2;(iii)配列番号144のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR3;(iv)配列番号146のアミノ酸配列を有す軽鎖可変領域CDR1;(v)配列番号147のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR2;および(vi)配列番号148のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR3の1つまたはそれ以上を含む。特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は、上記の(i)~(vi)の2つ、3つ、4つ、または5つを含む。別の特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は上記の(i)~(vi)の全てを含む。
【0083】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、ナロキソンに特異的に結合する抗体またはその機能的断片に関し、抗体は:(i)配列番号162のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR1;(ii)配列番号163のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR2;(iii)配列番号164のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR3;(iv)配列番号166のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR1;(v)配列番号167のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR2;および(vi)配列番号168のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR3の1つまたはそれ以上を含む。特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は、上記の(i)~(vi)の2つ、3つ、4つ、または5つを含む。別の特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は上記の(i)~(vi)の全てを含む。
【0084】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、ナロキソンに特異的に結合する抗体またはその機能的断片に関し、抗体は:(i)配列番号182のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR1;(ii)配列番号183のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR2;(iii)配列番号184のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR3;(iv)配列番号186のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR1;(v)配列番号187のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR2;および(vi)配列番号188のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR3の1つまたはそれ以上を含む。特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は、上記の(i)~(vi)の2つ、3つ、4つ、または5つを含む。別の特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は上記の(i)~(vi)の全てを含む。
【0085】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、ナロキソンに特異的に結合する抗体またはその機能的断片に関し、抗体は:(i)配列番号202のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR1;(ii)配列番号203のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR2;(iii)配列番号204のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR3;(iv)配列番号206のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR1;(v)配列番号207のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR2;および(vi)配列番号208のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR3の1つまたはそれ以上を含む。特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は、上記の(i)~(vi)の2つ、3つ、4つ、または5つを含む。別の特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は上記の(i)~(vi)の全てを含む。
【0086】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、ナロキソンに特異的に結合する抗体またはその機能的断片に関し、抗体は:(i)配列番号222のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR1;(ii)配列番号223のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR2;(iii)配列番号224のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR3;(iv)配列番号226のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR1;(v)配列番号227のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR2;および(vi)配列番号228のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR3の1つまたはそれ以上を含む。特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は、上記の(i)~(vi)の2つ、3つ、4つ、または5つを含む。別の特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は上記の(i)~(vi)の全てを含む。
【0087】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、ナロキソンに特異的に結合する抗体またはその機能的断片に関し、抗体は:(i)配列番号242のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR1;(ii)配列番号243のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR2;(iii)配列番号244のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR3;(iv)配列番号246のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR1;(v)配列番号247のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR2;および(vi)配列番号248のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR3の1つまたはそれ以上を含む。特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は、上記の(i)~(vi)の2つ、3つ、4つ、または5つを含む。別の特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は上記の(i)~(vi)の全てを含む。
【0088】
特定の(ただし非限定的な)実施形態では、抗体またはその機能的断片は、表2~14に概説された重鎖可変領域アミノ酸配列(すなわち、配列番号17、37、57、77、97、117、137、157、177、197、217、237、または257)のいずれかと少なくとも約70%同一、例えば(限定されるものではないが)配列番号17、37、57、77、97、117、137、157、177、197、217、237、または257と少なくとも約75%同一、少なくとも約80%同一、少なくとも約85%同一、少なくとも約90%同一、少なくとも約91%同一、少なくとも約92%同一、少なくとも約93%同一、少なくとも約94%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約96%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一、または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有する。
【0089】
特定の(ただし非限定的な)実施形態では、抗体またはその機能的断片は、配列番号17、37、57、77、97、117、137、157、177、197、217、237、または257とアミノ酸約25個未満、アミノ酸約24個未満、アミノ酸約23個未満、アミノ酸約22個未満、アミノ酸約21個未満、アミノ酸約20個未満、アミノ酸約19個未満、アミノ酸約18個未満、アミノ酸約17個未満、アミノ酸約16個未満、アミノ酸約15個未満、アミノ酸約14個未満、アミノ酸約13個未満、アミノ酸約12個未満、アミノ酸約11個未満、アミノ酸約10個未満、アミノ酸約9個未満、アミノ酸約8個未満、アミノ酸約7個未満、アミノ酸約6個未満、アミノ酸約5個未満、アミノ酸約4個未満、アミノ酸約3個未満、アミノ酸約2個未満、またはアミノ酸約1個未満異なるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有する。
【0090】
特定の(ただし非限定的な)実施形態では、上記の実施形態の代わりに、および/またはそれに加えて、抗体またはその機能的断片は、表2~14に概説された軽鎖可変領域アミノ酸配列(すなわち、配列番号18、38、58、78、98、118、138、158、178、198、218、238、または258)のいずれかと少なくとも約70%同一、例えば(限定されるものではないが)配列番号18、38、58、78、98、118、138、158、178、198、218、238、または258と少なくとも約75%同一、少なくとも約80%同一、少なくとも約85%同一、少なくとも約90%同一、少なくとも約91%同一、少なくとも約92%同一、少なくとも約93%同一、少なくとも約94%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約96%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一、または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有する。
【0091】
特定の(ただし非限定的な)実施形態では、抗体またはその機能的断片は、配列番号18、38、58、78、98、118、138、158、178、198、218、238、または258とアミノ酸約21個未満、アミノ酸約20個未満、アミノ酸約19個未満、アミノ酸約18個未満、アミノ酸約17個未満、アミノ酸約16個未満、アミノ酸約15個未満、アミノ酸約14個未満、アミノ酸約13個未満、アミノ酸約12個未満、アミノ酸約11個未満、アミノ酸約10個未満、アミノ酸約9個未満、アミノ酸約8個未満、アミノ酸約7個未満、アミノ酸約6個未満、アミノ酸約5個未満、アミノ酸約4個未満、アミノ酸約3個未満、アミノ酸約2個未満、またはアミノ酸約1個未満異なるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有する。
【0092】
特定の(ただし非限定的な)実施形態では、抗体もしくはその機能的断片は、配列番号17、37、57、77、97、117、137、157、177、197、217、237、もしくは257と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有し、および/または抗体もしくはその機能的断片は、配列番号18、38、58、78、98、118、138、158、178、198、218、238、もしくは258と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有する。特定の(ただし非限定的な)実施形態では、抗体またはその機能的断片は、配列番号17、37、57、77、97、117、137、157、177、197、217、237、もしくは257とアミノ酸約12個未満異なるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有し、および/または配列番号18、38、58、78、98、118、138、158、178、198、218、238、もしくは258とアミノ酸約12個未満異なるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有する。
【0093】
別の特定の(ただし非限定的な)実施形態では、抗体またはその機能的断片は、配列番号17、37、57、77、97、117、137、157、177、197、217、237、もしくは257のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または配列番号18、38、58、78、98、118、138、158、178、198、218、238、もしくは258のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有する。
【0094】
別の特定の(ただし非限定的な)実施形態では、抗体またはその機能的断片は、表2~14に概説された重鎖アミノ酸配列(すなわち、配列番号1、21、41、61、81、101、121、141、161、181、201、221、または241)のいずれかと少なくとも約70%同一、例えば(限定されるものではないが)配列番号1、21、41、61、81、101、121、141、161、181、201、221、または241と少なくとも約75%同一、少なくとも約80%同一、少なくとも約85%同一、少なくとも約90%同一、少なくとも約91%同一、少なくとも約92%同一、少なくとも約93%同一、少なくとも約94%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約96%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一、または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖を有する。
【0095】
特定の(ただし非限定的な)実施形態では、抗体またはその機能的断片は、配列番号1、21、41、61、81、101、121、141、161、181、201、221、または241とアミノ酸約100個未満、アミノ酸約90個未満、アミノ酸約80個未満、アミノ酸約75個未満、アミノ酸約70個未満、アミノ酸約65個未満、アミノ酸約60個未満、アミノ酸約55個未満、アミノ酸約50個未満、アミノ酸約45個未満、アミノ酸約40個未満、アミノ酸約35個未満、アミノ酸約30個未満、アミノ酸約25個未満、アミノ酸約24個未満、アミノ酸約23個未満、アミノ酸約22個未満、アミノ酸約21個未満、アミノ酸約20個未満アミノ酸、約19個未満、アミノ酸約18個未満、アミノ酸約17個未満、アミノ酸約16個未満、アミノ酸約15個未満、アミノ酸約14個未満、アミノ酸約13個未満、アミノ酸約12個未満、アミノ酸約11個未満、アミノ酸約10個未満、アミノ酸約9個未満、アミノ酸約8個未満、アミノ酸約7個未満、アミノ酸約6個未満、アミノ酸約5個未満、アミノ酸約4個未満、アミノ酸約3個未満、アミノ酸約2個未満、またはアミノ酸約1個未満異なるアミノ酸配列を含む重鎖を有する。
【0096】
特定の(ただし非限定的な)実施形態では、ならびにあるいはおよび/または上記の実施形態に加えて、抗体またはその機能的断片は、表2~14に概説された軽鎖アミノ酸配列(すなわち、配列番号5、25、45、65、85、105、125、145、165、185、205、225、または245)のいずれかと少なくとも約70%同一、例えば(限定されるものではないが)配列番号5、25、45、65、85、105、125、145、165、185、205、225、または245と少なくとも約75%同一、少なくとも約80%同一、少なくとも約85%同一、少なくとも約90%同一、少なくとも約91%同一、少なくとも約92%同一、少なくとも約93%同一、少なくとも約94%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約96%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一、または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を有する。
【0097】
特定の(ただし非限定的な)実施形態では、抗体またはその機能的断片は、配列番号5、25、45、65、85、105、125、145、165、185、205、225、または245とアミノ酸約45個未満、アミノ酸約40個未満、アミノ酸約35個未満、アミノ酸約30個未満、アミノ酸約25個未満、アミノ酸約24個未満、アミノ酸約23個未満、アミノ酸約22個未満、アミノ酸約21個未満、アミノ酸約20個未満、アミノ酸約19個未満、アミノ酸約18個未満、アミノ酸約17個未満、アミノ酸約16個未満、アミノ酸約15個未満、アミノ酸約14個未満、アミノ酸約13個未満、アミノ酸約12個未満、アミノ酸約11個未満、アミノ酸約10個未満、アミノ酸約9個未満、アミノ酸約8個未満、アミノ酸約7個未満、アミノ酸約6個未満、アミノ酸約5個未満、アミノ酸約4個未満、アミノ酸約3個未満、アミノ酸約2個未満、またはアミノ酸約1個未満異なるアミノ酸配列を含む軽鎖を有する。
【0098】
特定の(ただし非限定的な)実施形態では、抗体もしくはその機能的断片は、配列番号1、21、41、61、81、101、121、141、161、181、201、221、もしくは241と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖を有し、および/または抗体もしくはその機能的断片は、配列番号5、25、45、65、85、105、125、145、165、185、205、225、または245と少なくとも約70%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を有する。特定の(ただし非限定的な)実施形態では、抗体またはその機能的断片は、配列番号1、21、41、61、81、101、121、141、161、181、201、221、もしくは241とアミノ酸約46個未満異なるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または配列番号5、25、45、65、85、105、125、145、165、185、205、225、もしくは245とアミノ酸約24個未満異なるアミノ酸配列を含む軽鎖を有する。
【0099】
別の特定の(ただし非限定的な)実施形態では、抗体またはその機能的断片は、配列番号1、21、41、61、81、101、121、141、161、181、201、221、もしくは241のアミノ酸配列を含む重鎖、および/または配列番号5、25、45、65、85、105、125、145、165、185、205、225、もしくは245のアミノ酸配列を含む軽鎖を有する。
【0100】
さらに別の特定の(ただし非限定的な)実施形態では、抗体または機能的断片は、配列番号9、29、49、69、89、109、129、149、169、189、209、229、または249と少なくとも約70%同一であるポリヌクレオチドによってコードされた重鎖(および/または配列番号19、39、59、79、99、119、139、159、179、199、219、239、もしくは259と少なくとも約70%同一であるポリヌクレオチドによってコードされた重鎖可変領域)、例えば(限定されるものではないが)配列番号9、29、49、69、89、109、129、149、169、189、209、229、もしくは249および/または配列番号19、39、59、79、99、119、139、159、179、199、219、239、もしくは259と少なくとも約75%同一、少なくとも約80%同一、少なくとも約85%同一、少なくとも約90%同一、少なくとも約91%同一、少なくとも約92%同一、少なくとも約93%同一、少なくとも約94%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約96%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一、または少なくとも約99%同一であるポリヌクレオチドによってコードされた重鎖を有する。
【0101】
さらに別の特定の(ただし非限定的な)実施形態では、ならびにあるいはおよび/または上記の実施形態に加えて、抗体または機能的断片は、配列番号13、33、53、73、93、113、133、153、173、193、213、233、または253と少なくとも約70%同一であるポリヌクレオチドによってコードされた軽鎖(および/または配列番号20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、220、240、もしくは260と少なくとも約70%同一であるポリヌクレオチドによってコードされた軽鎖可変領域)、例えば(限定されるものではないが)配列番号13、33、53、73、93、113、133、153、173、193、213、233、もしくは253および/または配列番号20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、220、240、もしくは260と少なくとも約75%同一、少なくとも約80%同一、少なくとも約85%同一、少なくとも約90%同一、少なくとも約91%同一、少なくとも約92%同一、少なくとも約93%同一、少なくとも約94%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約96%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一、または少なくとも約99%同一であるポリヌクレオチドによってコードされた軽鎖を有する。
【0102】
さらなる特定の(ただし非限定的な)実施形態では、抗体もしくは機能的断片は、配列番号9、29、49、69、89、109、129、149、169、189、209、229、もしくは249と少なくとも約70%同一であるポリヌクレオチドによってコードされた重鎖を有し、および/または抗体もしくは機能的断片は、配列番号13、33、53、73、93、113、133、153、173、193、213、233、もしくは253と少なくとも約70%同一であるポリヌクレオチドによってコードされた軽鎖を有する。
【0103】
さらなる特定の(ただし非限定的な)実施形態では、抗体もしくは機能的断片は、配列番号19、39、59、79、99、119、139、159、179、199、219、239、もしくは259と少なくとも約70%同一であるポリヌクレオチドによってコードされた重鎖可変領域を有し、および/または抗体もしくは機能的断片は、配列番号20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、220、240、もしくは260と少なくとも約70%同一であるポリヌクレオチドによってコードされた軽鎖可変領域を有する。
【0104】
さらに別の特定の(ただし非限定的な)実施形態では、抗体またはその機能的断片は、配列番号9、29、49、69、89、109、129、149、169、189、209、229、または249とヌクレオチド約100個未満、ヌクレオチド約90個未満、ヌクレオチド約80個未満、ヌクレオチド約75個未満、ヌクレオチド約70個未満、ヌクレオチド約60個未満、ヌクレオチド約50個未満、ヌクレオチド約45個未満、ヌクレオチド約40個未満、ヌクレオチド約35個未満、ヌクレオチド約30個未満、ヌクレオチド約25個未満、ヌクレオチド約20個未満、ヌクレオチド約15個未満、ヌクレオチド約10個未満、ヌクレオチド約9個未満、ヌクレオチド約8個未満、ヌクレオチド約7個未満、ヌクレオチド約6個未満、ヌクレオチド約5個未満、ヌクレオチド約4個未満、ヌクレオチド約3個未満、ヌクレオチド約2個未満、またはヌクレオチド約1個未満異なる配列によってコードされた重鎖(および/または配列番号19、39、59、79、99、119、139、159、179、199、219、239、もしくは259とヌクレオチド約100個未満、ヌクレオチド約90個未満、ヌクレオチド約80個未満、ヌクレオチド約75個未満、ヌクレオチド約70個未満、ヌクレオチド約60個未満、ヌクレオチド約50個未満、ヌクレオチド約45個未満、ヌクレオチド約40個未満、ヌクレオチド約35個未満、ヌクレオチド約30個未満、ヌクレオチド約25個未満、ヌクレオチド約20個未満、ヌクレオチド約15個未満、ヌクレオチド約10個未満、ヌクレオチド約9個未満、ヌクレオチド約8個未満、ヌクレオチド約7個未満、ヌクレオチド約6個未満、ヌクレオチド約5個未満、ヌクレオチド約4個未満、ヌクレオチド約3個未満、ヌクレオチド約2個未満、もしくはヌクレオチド約1個未満異なる配列によってコードされた重鎖可変領域)を有する。
【0105】
さらに別の特定の(ただし非限定的な)実施形態では、ならびにあるいはおよび/または上記の実施形態に加えて、抗体またはその機能的断片は、配列番号9、29、49、69、89、109、129、149、169、189、209、229、または249と約100個未満、ヌクレオチド約90個未満、ヌクレオチド約80個未満、ヌクレオチド約75個未満、ヌクレオチド約70個未満、ヌクレオチド約60個未満、ヌクレオチド約50個未満、ヌクレオチド約45個未満、ヌクレオチド約40個未満、ヌクレオチド約35個未満、ヌクレオチド約30個未満、ヌクレオチド約25個未満、ヌクレオチド約20個未満、ヌクレオチド約15個未満、ヌクレオチド約10個未満、ヌクレオチド約9個未満、ヌクレオチド約8個未満、ヌクレオチド約7個未満、ヌクレオチド約6個未満、ヌクレオチド約5個未満、ヌクレオチド約4個未満、ヌクレオチド約3個未満、ヌクレオチド約2個未満、またはヌクレオチド約1個未満異なる配列によってコードされた軽鎖(および/または配列番号20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、220、240、もしくは260とヌクレオチド約100個未満、ヌクレオチド約90個未満、ヌクレオチド約80個未満、ヌクレオチド約75個未満、ヌクレオチド約70個未満、ヌクレオチド約60個未満、ヌクレオチド約50個未満、ヌクレオチド約45個未満、ヌクレオチド約40個未満、ヌクレオチド約35個未満、ヌクレオチド約30個未満、ヌクレオチド約25個未満、ヌクレオチド約20個未満、ヌクレオチド約15個未満、ヌクレオチド約10個未満、ヌクレオチド約9個未満、ヌクレオチド約8個未満、ヌクレオチド約7個未満、ヌクレオチド約6個未満、ヌクレオチド約5個未満、ヌクレオチド約4個未満、ヌクレオチド約3個未満、ヌクレオチド約2個未満、もしくはヌクレオチド約1個未満異なる配列によってコードされた軽鎖可変領域)を有する。
【0106】
さらに別の特定の(ただし非限定的な)実施形態では、抗体またはその機能的断片は、配列番号9、29、49、69、89、109、129、149、169、189、209、229、もしくは249とヌクレオチド約100個未満異なる配列によってコードされた重鎖、および/または配列番号13、33、53、73、93、113、133、153、173、193、213、233、もしくは253とヌクレオチド約70個未満異なる配列によってコードされた軽鎖を有する。
【0107】
さらに別の特定の(ただし非限定的な)実施形態では、抗体またはその機能的断片は、配列番号19、39、59、79、99、119、139、159、179、199、219、239、もしくは259とヌクレオチド約35個未満異なる配列によってコードされた重鎖可変領域、および/または配列番号20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、220、240、もしくは260とヌクレオチド約34個未満異なる配列によってコードされた軽鎖可変領域を有する。
【0108】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、ナルトレキソン(およびある特定の(ただし非限定的な)実施形態では、R2がシクロプロピルである式IIIのコンジュゲート)に特異的に結合する抗体またはその機能的断片に関し、抗体は:(i)配列番号10の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR1;(ii)配列番号11の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR2;(iii)配列番号12の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR3;(iv)配列番号14の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR1;(v)配列番号15の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR2;および(vi)配列番号16の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR3の1つまたはそれ以上を含む。特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は、上記の(i)~(vi)の2つ、3つ、4つ、または5つを含む。別の特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は上記の(i)~(vi)の全てを含む。
【0109】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、ナルトレキソン(およびある特定の(ただし非限定的な)実施形態では、R2がシクロプロピルである式IIIのコンジュゲート)に特異的に結合する抗体またはその機能的断片に関し、抗体は:(i)配列番号30の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR1;(ii)配列番号31の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR2;(iii)配列番号32の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR3;(iv)配列番号34の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR1;(v)配列番号35の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR2;および(vi)配列番号36の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR3の1つまたはそれ以上を含む。特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は、上記の(i)~(vi)の2つ、3つ、4つ、または5つを含む。別の特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は上記の(i)~(vi)の全てを含む。
【0110】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、ナルトレキソン(およびある特定の(ただし非限定的な)実施形態では、R2がシクロプロピルである式IIIのコンジュゲート)に特異的に結合する抗体またはその機能的断片に関し、抗体は:(i)配列番号50の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR1;(ii)配列番号51の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR2;(iii)配列番号52の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR3;(iv)配列番号54の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR1;(v)配列番号55の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR2;および(vi)配列番号56の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR3の1つまたはそれ以上を含む。特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は、上記の(i)~(vi)の2つ、3つ、4つ、または5つを含む。別の特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は上記の(i)~(vi)の全てを含む。
【0111】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、ナルトレキソン(およびある特定の(ただし非限定的な)実施形態では、R2がシクロプロピルである式IIIのコンジュゲート)に特異的に結合する抗体またはその機能的断片に関し、抗体は:(i)配列番号70の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR1;(ii)配列番号71の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR2;(iii)配列番号72の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR3;(iv)配列番号74の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR1;(v)配列番号75の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR2;および(vi)配列番号76の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR3の1つまたはそれ以上を含む。特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は、上記の(i)~(vi)の2つ、3つ、4つ、または5つを含む。別の特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は上記の(i)~(vi)の全てを含む。
【0112】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、ナルトレキソン(およびある特定の(ただし非限定的な)実施形態では、R2がシクロプロピルである式IIIのコンジュゲート)に特異的に結合する抗体またはその機能的断片に関し、抗体は:(i)配列番号90の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR1;(ii)配列番号91の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR2;(iii)配列番号92の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR3;(iv)配列番号94の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR1;(v)配列番号95の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR2;および(vi)配列番号96の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR3の1つまたはそれ以上を含む。特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は、上記の(i)~(vi)の2つ、3つ、4つ、または5つを含む。別の特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は上記の(i)~(vi)の全てを含む。
【0113】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、ナルトレキソン(およびある特定の(ただし非限定的な)実施形態では、R2がシクロプロピルである式IIIのコンジュゲート)に特異的に結合する抗体またはその機能的断片に関し、抗体は:(i)配列番号110の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR1;(ii)配列番号111の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR2;(iii)配列番号112の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR3;(iv)配列番号114の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR1;(v)配列番号115の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR2;および(vi)配列番号116の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR3の1つまたはそれ以上を含む。特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は、上記の(i)~(vi)の2つ、3つ、4つ、または5つを含む。別の特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は上記の(i)~(vi)の全てを含む。
【0114】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、ナルトレキソン(およびある特定の(ただし非限定的な)実施形態では、R2がシクロプロピルである式IIIのコンジュゲート)に特異的に結合する抗体またはその機能的断片に関し、抗体は:(i)配列番号130の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR1;(ii)配列番号131の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR2;(iii)配列番号132の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR3;(iv)配列番号134の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR1;(v)配列番号135の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR2;および(vi)配列番号136の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR3の1つまたはそれ以上を含む。特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は、上記の(i)~(vi)の2つ、3つ、4つ、または5つを含む。別の特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は上記の(i)~(vi)の全てを含む。
【0115】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、ナルトレキソン(およびある特定の(ただし非限定的な)実施形態では、R2がシクロプロピルである式IIIのコンジュゲート)に特異的に結合する抗体またはその機能的断片に関し、抗体は:(i)配列番号150の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR1;(ii)配列番号151の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR2;(iii)配列番号152の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR3;(iv)配列番号154の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR1;(v)配列番号155の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR2;および(vi)配列番号156の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR3の1つまたはそれ以上を含む。特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は、上記の(i)~(vi)の2つ、3つ、4つ、または5つを含む。別の特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は上記の(i)~(vi)の全てを含む。
【0116】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、ナロキソン(およびある特定の(ただし非限定的な)実施形態では、R2がシクロプロピルである式IIIのコンジュゲート)に特異的に結合する抗体またはその機能的断片に関し、抗体は:(i)配列番号170の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR1;(ii)配列番号171の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR2;(iii)配列番号172の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR3;(iv)配列番号174の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR1;(v)配列番号175の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR2;および(vi)配列番号176の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR3の1つまたはそれ以上を含む。特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は、上記の(i)~(vi)の2つ、3つ、4つ、または5つを含む。別の特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は上記の(i)~(vi)の全てを含む。
【0117】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、ナロキソン(およびある特定の(ただし非限定的な)実施形態では、R2がシクロプロピルである式IIIのコンジュゲート)に特異的に結合する抗体またはその機能的断片に関し、抗体は:(i)配列番号190の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR1;(ii)配列番号191の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR2;(iii)配列番号192の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR3;(iv)配列番号194の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR1;(v)配列番号195の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR2;および(vi)配列番号196の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR3の1つまたはそれ以上を含む。特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は、上記の(i)~(vi)の2つ、3つ、4つ、または5つを含む。別の特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は上記の(i)~(vi)の全てを含む。
【0118】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、ナロキソン(およびある特定の(ただし非限定的な)実施形態では、R2がシクロプロピルである式IIIのコンジュゲート)に特異的に結合する抗体またはその機能的断片に関し、抗体は:(i)配列番号210の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR1;(ii)配列番号211の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR2;(iii)配列番号212の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR3;(iv)配列番号214の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR1;(v)配列番号215の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR2;および(vi)配列番号216の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR3の1つまたはそれ以上を含む。特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は、上記の(i)~(vi)の2つ、3つ、4つ、または5つを含む。別の特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は上記の(i)~(vi)の全てを含む。
【0119】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、ナロキソン(およびある特定の(ただし非限定的な)実施形態では、R2がシクロプロピルである式IIIのコンジュゲート)に特異的に結合する抗体またはその機能的断片に関し、抗体は:(i)配列番号230の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR1;(ii)配列番号231の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR2;(iii)配列番号232の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR3;(iv)配列番号234の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR1;(v)配列番号235の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR2;および(vi)配列番号236の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR3の1つまたはそれ以上を含む。特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は、上記の(i)~(vi)の2つ、3つ、4つ、または5つを含む。別の特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は上記の(i)~(vi)の全てを含む。
【0120】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、ナロキソン(およびある特定の(ただし非限定的な)実施形態では、R2がシクロプロピルである式IIIのコンジュゲート)に特異的に結合する抗体またはその機能的断片に関し、抗体は:(i)配列番号250の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR1;(ii)配列番号251の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR2;(iii)配列番号252の配列によってコードされた重鎖可変領域CDR3;(iv)配列番号254の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR1;(v)配列番号255の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR2;および(vi)配列番号256の配列によってコードされた軽鎖可変領域CDR3の1つまたはそれ以上を含む。特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は、上記の(i)~(vi)の2つ、3つ、4つ、または5つを含む。別の特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は上記の(i)~(vi)の全てを含む。
【0121】
抗体またはその機能的断片は、モノクローナル抗体またはその機能的断片であってもよい。あるいは、抗体またはその機能的断片は、ポリクローナル抗体またはその機能的断片であってもよい。
【0122】
ある特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は、完全長免疫グロブリン分子、scFv、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2、Fv、ジスルフィド結合Fv、およびそれらの組合せから選択されるものとしてさらに定義される。
【0123】
ある特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は単離される。特定の(ただし非限定的な)実施形態では、抗体またはその機能的断片は精製される。
【0124】
本開示はまた、上記本明細書に記載された抗体または機能的断片のいずれかと同一のエピトープに結合する抗体またはその機能的断片にも関する。
【0125】
本開示のある特定の非限定的な実施形態はまた、ナロキソンおよび/またはナルトレキソンに特異的に結合することができる抗体またはその機能的断片を作製する方法にも関する。方法は、ナロキソンおよび/またはナルトレキソンに付着した担体タンパク質のコンジュゲートを含む抗原性化合物でヒト以外の動物を免疫化する工程;ならびにヒト以外の動物の血漿から抗体またはその機能的断片を回収する工程を含む。
【0126】
本開示のある特定の非限定的な実施形態はまた、ナロキソンおよび/またはナルトレキソンに特異的に結合することができる抗体またはその機能的断片を作製する方法にも関する。方法は、ナロキソンおよび/またはナルトレキソンに付着した担体タンパク質のコンジュゲートを含む抗原性化合物でヒト以外の動物を免疫化し、それによりコンジュゲートに結合する抗体を産生するB細胞を誘導する工程;ならびにB細胞によって産生された抗体またはその機能的断片を得る工程を含む。抗体またはその機能的断片は、当技術分野で公知の様々な手段、例えば(限定されるものではないが)ハイブリドーマ技術またはB細胞PCR技術などによって得ることができる。方法は、ナロキソンおよび/またはナルトレキソンに対する結合に基づき抗体またはその機能的断片をさらに選択する任意選択の工程をさらに含んでもよい。
【0127】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、上記本明細書に記載された抗体またはその機能的断片のいずれかを産生するハイブリドーマに関する。
【0128】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、ナロキソンおよび/またはナルトレキソンに特異的に結合することができる抗体またはその機能的断片を作製する方法に関する。該方法では、本明細書に記載またはさもなければ企図される抗体またはその機能的断片のいずれかを産生することができるハイブリドーマが培養されて、上記本明細書に記載された抗体またはその機能的断片のいずれかを産生する。特定の非限定的な実施形態では、抗体またはその機能的断片は回収される。
【0129】
本開示のある特定の非限定的な実施形態はまた、検出可能な標識に付着した、本明細書に開示またはさもなければ企図される抗体またはその機能的断片のいずれかを含むコンジュゲートにも関する。開示により利用される検出可能な標識の非限定的な例には、酵素標識、放射性標識、蛍光標識、化学発光標識、生物発光標識、および微粒子標識、ならびにそれらの任意の組合せが挙げられる。さらに、検出可能な標識は、直接的または間接的結合を介して抗体または機能的断片に付着することができる。
【0130】
本開示のある特定の非限定的な実施形態はまた、固体支持体に付着した、本明細書に開示またはさもなければ企図される抗体またはその機能的断片のいずれかを含むコンジュゲートにも関する。固体支持体への抗体/機能断片の付着(直接的または間接的コンジュゲートを介した)は、例えばカラムなどの親和性精製クロマトグラフィー基質をもたらす。
【0131】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、本明細書に開示またはさもなければ企図される抗体またはその機能的断片のいずれかをコードするポリヌクレオチドに関する。
【0132】
特定の(ただし非限定的な)実施形態では、抗体またはその機能的断片の重鎖をコードするポリヌクレオチドの一部は、配列番号9、29、49、69、89、109、129、149、169、189、209、229、または249と少なくとも約70%同一(および/または抗体もしくはその機能的断片の重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドの一部は、配列番号19、39、59、79、99、119、139、159、179、199、219、239、もしくは259と少なくとも約70%同一である)、例えば(限定されるものではないが)配列番号9、29、49、69、89、109、129、149、169、189、209、229、もしくは249、および/または配列番号19、39、59、79、99、119、139、159、179、199、219、239、もしくは259と少なくとも約75%同一、少なくとも約80%同一、少なくとも約85%同一、少なくとも約90%同一、少なくとも約91%同一、少なくとも約92%同一、少なくとも約93%同一、少なくとも約94%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約96%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一である、または少なくとも約99%同一である。
【0133】
さらに別の特定の(ただし非限定的な)実施形態では、ならびにあるいはおよび/または上記の実施形態に加えて、抗体またはその機能的断片の軽鎖をコードするポリヌクレオチドの一部は、配列番号13、33、53、73、93、113、133、153、173、193、213、233、または253と少なくとも約70%同一(および/または抗体もしくはその機能的断片の軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドの一部は、配列番号20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、220、240、もしくは260と少なくとも約70%同一である)、例えば(限定されるものではないが)配列番号13、33、53、73、93、113、133、153、173、193、213、233、もしくは253、および/または配列番号20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、220、240、もしくは260と少なくとも約75%同一、少なくとも約80%同一、少なくとも約85%同一、少なくとも約90%同一、少なくとも約91%同一、少なくとも約92%同一、少なくとも約93%同一、少なくとも約94%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約96%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一である、または少なくとも約99%同一である。
【0134】
さらに別の特定の(ただし非限定的な)実施形態では、抗体もしくはその機能的断片の重鎖をコードするポリヌクレオチドの一部は、配列番号9、29、49、69、89、109、129、149、169、189、209、229、もしくは249と少なくとも約90%同一であり、および/または抗体もしくはその機能的断片の軽鎖をコードするポリヌクレオチドの一部は、配列番号13、33、53、73、93、113、133、153、173、193、213、233、もしくは253と少なくとも約90%同一である。
【0135】
さらに別の特定の(ただし非限定的な)実施形態では、抗体もしくはその機能的断片の重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドの一部は、配列番号19、39、59、79、99、119、139、159、179、199、219、239、もしくは259と少なくとも約90%同一であり、および/または抗体もしくはその機能的断片の軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドの一部は、配列番号20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、220、240、もしくは260と少なくとも約90%同一である。
【0136】
別の特定の(ただし非限定的な)実施形態では、抗体もしくはその機能的断片の重鎖に対応する配列の一部、および/または抗体もしくはその機能的断片の軽鎖に対応する配列の一部は、それぞれ配列番号9、29、49、69、89、109、129、149、169、189、209、229、もしくは249、または配列番号13、33、53、73、93、113、133、153、173、193、213、233、もしくは253と、(ならびに/または抗体もしくはその機能的断片の重鎖可変領域に対応する配列の一部、および/もしくは抗体もしくはその機能的断片の軽鎖可変領域に対応する配列の一部は、それぞれ配列番号19、39、59、79、99、119、139、159、179、199、219、239、もしくは259、もしくは配列番号20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、220、240、もしくは260と)約100個未満、ヌクレオチド約90個未満、ヌクレオチド約80個未満、ヌクレオチド約75個未満、ヌクレオチド約70個未満、ヌクレオチド約60個未満、ヌクレオチド約50個未満、ヌクレオチド約45個未満、ヌクレオチド約40個未満、ヌクレオチド約35個未満、ヌクレオチド約30個未満、ヌクレオチド約25個未満、ヌクレオチド約20個未満、ヌクレオチド約15個未満、ヌクレオチド約10個未満、ヌクレオチド約9個未満、ヌクレオチド約8個未満、ヌクレオチド約7個未満、ヌクレオチド約6個未満、ヌクレオチド約5個未満、ヌクレオチド約4個未満、ヌクレオチド約3個未満、ヌクレオチド約2個未満、またはヌクレオチド約1個未満異なる。
【0137】
さらに別の特定の(ただし非限定的な)実施形態では、抗体もしくはその機能的断片の重鎖に対応する配列の一部は、配列番号9、29、49、69、89、109、129、149、169、189、209、229、もしくは249とヌクレオチド約100個未満異なり、および/または抗体もしくはその機能的断片の軽鎖に対応する配列の一部は、配列番号13、33、53、73、93、113、133、153、173、193、213、233、もしくは253とヌクレオチド約70個未満異なる。
【0138】
さらに別の特定の(ただし非限定的な)実施形態では、抗体もしくはその機能的断片の重鎖可変領域に対応する配列の一部は、配列番号19、39、59、79、99、119、139、159、179、199、219、239、もしくは259とヌクレオチド約35個未満異なり、および/または抗体もしくはその機能的断片の軽鎖可変領域に対応する配列の一部は、配列番号20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、220、240、もしくは260とヌクレオチド約34個未満異なる。
【0139】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、本明細書に記載またはさもなければ企図される抗体またはその機能的断片をコードするポリヌクレオチドのいずれかを含むベクターに関する。
【0140】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、本明細書に記載またはさもなければ企図される抗体またはその機能的断片をコードするポリヌクレオチドのいずれかを含む組換え宿主細胞に関する。本開示のある特定の非限定的な実施形態は、本明細書に記載またはさもなければ企図されるベクターのいずれかを含む組換え宿主細胞に関する。
【0141】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、ナロキソンおよび/またはナルトレキソンに特異的に結合することができる抗体またはその機能的断片を作製する方法に関する。方法は:(a)ポリヌクレオチドによってコードされた抗体またはその機能的断片の発現を可能にする条件下の細胞培養で、本明細書に記載またはさもなければ企図される組換え宿主細胞のいずれかを培養する工程と;(b)細胞培養から抗体またはその機能的断片を単離する工程とを含む。
【0142】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、生体試料中に存在するナロキソンおよび/またはナルトレキソンを検出する方法に関する。方法は:ナロキソンおよび/またはナルトレキソンがそれぞれ試料中に存在するならば、抗体/ナロキソンおよび/または抗体/ナルトレキソン複合体が形成される条件下で、企図された本明細書に開示またはさもなければ企図される抗体またはその機能的断片のいずれかと生体試料を接触させる工程と;形成された抗体/ナロキソンおよび/または抗体/ナルトレキソン複合体の量が、試料中に存在するナロキソンおよび/またはナルトレキソンの量にそれぞれ正比例する、形成されたいずれかの抗体/ナロキソンおよび/または抗体/ナルトレキソン複合体を検出する工程とを含む。
【0143】
特定の(ただし非限定的な)実施形態では、上記本明細書に記載された標識は、抗体/ナロキソンおよび/または抗体/ナルトレキソン複合体の検出において使用するための抗体/機能的断片に付着する。
【0144】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、生体試料のオピエートアッセイからナロキソンおよび/またはナルトレキソン干渉を実質的に低減する(または実質的に除去する)方法に関する。方法は、ナロキソンおよび/またはナルトレキソンがそれぞれ試料中に存在するならば、抗体/ナロキソンおよび/または抗体/ナルトレキソン複合体が形成される条件下で、本明細書に開示またはさもなければ企図される抗体またはその機能的断片のいずれかの1つまたはそれ以上と生体試料を接触させる工程と;形成されたいずれかの抗体/ナロキソンおよび/または抗体/ナルトレキソン複合体を除去する工程と;ナロキソンおよび/またはナルトレキソンが実質的に低減/除去されている生体試料でオピエートアッセイを行う工程とを含む。この方法は、任意のオピエートに関するアッセイ、および任意のオピエートアッセイフォーマットを用いて利用することができる。例えば(ただし限定の目的ではなく)、アッセイされるオピエートは、コデイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、モルヒネ、オキシコドン、オキシモルフォン、ヘロイン(6-アセチルモルヒネ)、それらの組合せなどであってもよい。オピエートアッセイフォーマットの非限定的な例には、ELISA、チップアッセイ、LC/MS/MS、免疫測定法、酵素免疫測定法、酵素増幅免疫測定法、蛍光偏光免疫測定法、それらの組合せなどが挙げられる。オピエートアッセイの様々なタイプは当技術分野で周知であり、よく使用される。したがって、当業者が本明細書に開示される方法を行えるようにするのに、さらなるその説明は不要に思われる。
【0145】
特定の(ただし非限定的な)実施形態では、オピエートアッセイからナロキソンおよび/またはナルトレキソン干渉を実質的に低減する(または実質的に除去する)方法で使用される少なくとも1つの抗体またはその機能的断片には、少なくとも2つの抗体またはその機能的断片が挙げられる:(1)ナロキソンに特異的に結合する少なくとも1つの抗体またはその機能的断片、および(2)ナルトレキソンに特異的に結合する少なくとも1つの抗体またはその機能的断片。
【0146】
本開示のある特定の非限定的な実施形態はまた、本明細書に開示またはさもなければ企図される抗体/機能的断片および/または組成物(検出可能な標識または固体支持体に付着した抗体/機能的断片を含む組成物など)のいずれか、ならびに本明細書に記載されたアッセイ/方法で利用される任意の他の試薬を含有するキットも含む。例えば(ただし限定の目的ではなく)、キットは、上記本明細書に記載されたオピエートアッセイの1つまたはそれ以上の成分をさらに含んでもよい。例えば(ただし限定の目的ではなく)、キットは、オピエート免疫測定法において使用するための、本明細書に記載またはさもなければ企図されるオピエートのいずれかに結合する抗体またはその機能的断片を含んでもよい。
【0147】
組成物/キット/方法のアッセイ成分/試薬は、それらを本開示により機能できるようにする任意の形態で提供される。例えば、ただし限定の目的ではなく、試薬のそれぞれは液体形態で提供され、キット内にバルクおよび/または単一のアリコート形態で配置される。あるいは、特定の(ただし非限定的な)実施形態では、試薬の1つまたはそれ以上は、単一のアリコート凍結乾燥試薬の形態でキット中に配置される。マイクロ流体デバイスでの乾燥試薬の使用は、その全体を参照によって本明細書に明示的に組み入れる、米国特許第9,244,085号(Samproni)に詳細に記載されている。
【0148】
上記本明細書に詳細に記載されたアッセイ成分/試薬に加えて、キットは、本明細書に記載またはさもなければ企図される特定のアッセイのいずれかを実施するための他の試薬をさらに含有してもよい。これらの追加の試薬の性質は特定のアッセイフォーマットに依存し、その同定は十分に当業者の技能の範囲内であり;したがって、さらなるその説明は不要に思われる。また、キット中に存在する成分/試薬は、それぞれ別々の容器/コンパートメントに入っていてもよく、または成分/試薬の交差反応性および安定性に応じて、様々な成分/試薬が1つまたはそれ以上の容器/コンパートメントで組み合わされる。さらに、キットは、成分/試薬が配置されるマイクロ流体デバイスを含んでもよい。
【0149】
キット中の様々な成分/試薬の相対量は、アッセイ方法中に生じる必要がある反応を実質的に最適化する成分/試薬の濃度を提供するために、およびさらにアッセイの感度を実質的に最適化するために大きく異なり得る。適切な条件下で、キット中の1つまたはそれ以上の成分/試薬は、凍結乾燥粉末などの乾燥粉末として提供することができ、キットは、乾燥試薬を溶解するための賦形剤をさらに含んでもよい;この方法で、本開示による方法またはアッセイを行うための適切な濃度を有する試薬溶液は、これらの成分から得ることができる。陽性および/または陰性対照も、キットと共に含めることができる。さらに、キットは、キットの使い方を説明する書面による指示書のセットをさらに含んでもよい。こうした性質のキットは、本明細書に記載またはさもなければ企図される方法のいずれかにおいて使用することができる。
【実施例】
【0150】
実施例が以下に示される。しかし、本開示は、本明細書に開示される特定の実験、結果、および実験手順への適用に限定されるべきではないことが理解されるべきである。むしろ、実施例は、様々な実施形態の1つとして単純に提供され、例示的であり、網羅的ではないことが意図される。
【実施例1】
【0151】
ナロキソンおよびナルトレキソンコンジュゲートを含む免疫原の作製
この実施例は、複数のC位結合を通じてナロキソンまたはナルトレキソンを含有する様々なコンジュゲートの作製を説明する。
【0152】
材料および装置:化合物は、シリカ結合C18逆相カラムを備えたShimadzu HPLCシステムで精製した。化学反応は、Analtech Inc.(Newark、DE)製シリカゲルプレートを使用するTLC(薄層クロマトグラフィー)によって監視した。シリカゲルプレートは、UV短波(254nm)を使用して視覚化した。全ての化学物質はSigma Aldrich(St.Louis、MO)、Fluka(Waltham、MA)、Thermo Scientific(Waltham、MA)、およびVWR(Radnor、PA)から入手し、受け取ったときに使用した。1H NMRは、Bruker ULTRASHIELD(商標)600MHz分光計(Bruker、Billerica、MA)で記録した。化学シフトは、内部基準としてテトラメチルシランに関連させ、または重溶媒を用いて、百万分の一(ppm、δ)で報告した。使用したNMR略号は:s(シングレット)、br s(ブロードシングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)、dd(ダブレットのダブレット)、dt(トリプレットのダブレット)、td(ダブレットのトリプレット)、ddd(ダブレットのダブレットのダブレット)、J(結合定数)、Hz(ヘルツ)である。ESI-MSスペクトルは、Siemens Healthineers解析施設(Newark、DE)の6130質量検出器を備えたAgilent HPLC 1290シングルクアッドシステムで記録した。UV:OD280およびBCA濃度測定にCarry 60を使用した。
【0153】
以下の略号は、下記に記載する意味を有する:
BCAアッセイ - ビシンコニン酸アッセイ
eq. - 当量
g - グラム
mg - ミリグラム
mmol、mM - ミリモル
nm - ナノメートル
CV - カラム容量
cm2 - 平方センチメートル
DCM - ジクロロメタン
MeOH - メタノール
MeOD-d4 - 4個の重水素原子を有する重水素化メタノール(NMRスペクトル用)
DMF - N,N-ジメチルホルムアミド
SuOH - N-ヒドロキシスクシンイミド
NaOAc - 酢酸ナトリウム
AcOH - 酢酸
AcO- - 酢酸塩
EDAC・HCl - N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩
TFA - トリフルオロ酢酸
TLC - 薄層クロマトグラフィー
Rf - TLC分析での保持係数
UV - 紫外線
v/v - 容量比
ESI-MS - エレクトロスプレーイオン化質量分析
m/z - 質量電荷比
NMR - 核磁気共鳴
MHz - メガヘルツ
nG6PDH - 未変性グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ酵素
β-NADH - ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
G6PDNa2 - グルコース-6-リン酸二ナトリウム塩
OVA - ニワトリ卵白から単離されたオボアルブミン
mcKLH - マリカルチャーキーホールリンペットヘモシアニン(Mariculture Keyhole Limpet Hemocyanin)(ThermoFisher Scientific)
TRIS - トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン
KU - nG6PDHの二量体タンパク質複合体
RPM - 毎分回転数
CFA - 完全フロイントアジュバント
IFA - 不完全フロイントアジュバント
ELISA - 酵素結合免疫吸着測定法
EIA - 酵素免疫測定法
PBS - リン酸緩衝食塩水
HRP - 西洋ワサビペルオキシダーゼ
TMB - 3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン
μL - マイクロリットル
μg-マイクログラム
VH - 可変重鎖
VL - 可変軽鎖
CH - 定常重鎖
CL - 定常軽鎖
NAD+ - 酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
NADH - 還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
【0154】
図2は、以下に本明細書でさらに詳細に記載される、C-3位結合によるナルトレキソンハプテン、KLH免疫原、およびG6PDHコンジュゲートの合成の概略図である。
【0155】
化合物(2)の製造:マグネチックスターラーバーを備えたオーブン乾燥50mL丸底フラスコで、ナルトレキソン塩酸塩(1)(330mg、0.87mmol)、その後DMF(5mL)、アセトン(5mL)、および炭酸カリウム(575mg、4.16mmol、4.78当量)をフラスコに添加した。得られた反応混合物を窒素流下、室温(rt.)で5分間撹拌し;次いで、エチル-5-ブロモ吉草酸(375μL、495mg、2.36mmol、約2.71当量)を混合物に添加した。得られた反応混合物を油浴に入れ、コンデンサを丸底フラスコに取り付けた。反応混合物を撹拌下60℃で加熱し、TLC[(DCM/MeOH 8/2 v/v)Rf(1)=0.36、Rf(2)=0.80]によって4時間後に反応を完了した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去して白色沈殿物を得、アセトニトリル(2×10mL)に懸濁させ、濾過した。有機抽出物をロータリーエバポレーターで濃縮し、油ポンプで一晩(16時間)さらに乾燥させて微量の揮発性物質を除去した。生成物をアセトニトリル/水(0.1%酢酸を含有する30/70 v/v)に懸濁させ、精製のためにShimadzu HPLCシステムに注入した。所望の生成物を含有する画分をプールし、ロータリーエバポレーターで濃縮し、一晩(16~20時間)凍結乾燥させて、収率93%で無色の粉末として化合物(2)474.8mgを得た。化合物(2):ESI-MS m/z calcd. for: [C27H36NO6]+470.3, found [M+H]+ = 470.3; 1H NMR (600 MHz, MeOD-d4) δ: 6.86 (d, J = 8.28 Hz, 1H), 6.81 (d, J = 8.28 Hz, 1H), 4.97 (br s, 1H), 4.90 (s, 1H), 4.18-4.16 (m, 2H), 4.11 (q, J = 7.14 Hz, 3H), 3.45 (d, J = 19.74 Hz, 1H), 3.40 (dd, J = 13.62; 7.20 Hz, 1H), 3.25 (dd, J = 12.69, 4.35 Hz, 1H), 3.19 (dd, J = 19.77, 6.27 Hz, 1H), 3.08 - 3.01 (m, 2H), 2.84 (td, J = 13.28, 4.68 Hz, 1H), 2.74 (td, J = 12.93, 3.86 Hz, 1H), 2.41 - 2.38 (m, 2H), 2.25 (dt, J = 14.64, 3.00 Hz, 1H), 2.12 - 2.09 (m, 1H), 1.78 - 1.74 (m, 4H), 1.72 - 1.68 (m, 2H), 1.24 (t, J = 7.14 Hz, 3H), 1.18 - 1.15 (m, 1H), 0.86 - 0.83 (m, 1H), 0.79 - 0.75 (m, 1H), 0.59 - 0.50 (m, 2H).
【0156】
化合物(3)の製造:化合物(2)(474.8mg、0.81mmol)をMeOH(5mL)に溶解し;次いで、水酸化ナトリウム10N溶液を添加し(0.53mL)、得られた反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応の完了をTLC[(DCM/MeOH 8/2 v/v)、Rf(2)=0.80 Rf(3)=0.20]によってチェックして確認した。反応混合物を氷浴でHCl(12N、0.5mL)を用いて酸性化した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。得られた白色ケーキをアセトニトリル(2mL)に懸濁させ、濾過した。濾液をロータリーエバポレーターで濃縮した。次いで0.1%TFAを含有する水を添加し、得られた試料を一晩(16~20時間)凍結乾燥させた。凍結乾燥後、表題化合物471mgを収率100%で無色の粉末として得た。化合物(3):ESI-MS m/z calcd. for: [C25H32NO6]+442.2, found [M+H]+ = 442.2; 1H NMR (600 MHz, MeOD-d4) δ: 6.85 (d, J = 8.28 Hz, 1H), 6.78 (d, J = 8.28 Hz, 1H), 4.86 (s, 1H), 4.20 - 4.18 (m, 2H), 3.91 (d, J = 6.06 Hz, 1H), 3.37 (d, J = 19.54 Hz, 1H), 3.19 (dd, J = 13.32, 7.08 Hz, 1H), 3.11 (dd, J = 12.66, 4.74 Hz, 1H), 3.07 - 3.06 (m, 1H), 3.02 (dd, J = 14.55, 5.13 Hz, 1H), 2.89 (dd, J = 13.38, 7.32 Hz, 1H), 2.76 (td, J = 13.16, 4.90 Hz, 1H), 2.61 (td, J = 12.82, 4.00 Hz, 1H), 2.34 - 2.32 (m, 2H), 2.26 (dt, J = 14.61, 3.14 Hz, 1H), 2.04 - 2.02 (m, 1H), 1.81 - 1.76 (m, 4H), 1.70 (td, J = 14.31, 3.52 Hz, 1H), 1.65 (dd, J = 13.44, 3.00 Hz, 1H), 1.28 - 1.10 (m, 1H), 0.81 - 0.78 (m, 1H), 0.75 - 0.71 (m, 1H), 0.51 - 0.44 (m, 2H).
【0157】
化合物(4)の製造:化合物(3)(10.6mg、0.019mmol)を脱気DMF(1.06mL)に溶解して10mg/mLハプテン-DMF溶液を作製し;次いで、H-ヒドロキシスクシンイミド(6.58mg、0.057mmol、3当量)を添加した。得られた反応混合物を均一になるまで撹拌し、次いでEDAC・HCl(7.30mg、0.038mmol、2当量)を添加した。得られた反応混合物を室温で20時間撹拌し、TLC[(DCM/MeOH 8/2 v/v)、Rf(3)=0.80、Rf(4)=0.20)]によって監視した。化合物(4)の形成を、TLCおよびMSダイレクトループによって確認した:[C29H35N2O8]+についての計算値ESI m/z=539.2、実測値[M+H]+=539.3および[M+Na]+=561.3。この化合物(4)を、それ以上精製することなく次の反応に使用した。
【0158】
ナルトレキソンOVA(5)の製造:OVA、(12mg、2.81×10-4mmol)を50mMリン酸緩衝液、pH7.41(2mL)に溶解した。得られたタンパク質溶液を、均一になるまで穏やかにボルテックスし;次いで、氷浴を使用して0~4℃に冷却した。前もって製造した化合物(4)-DMF溶液(0.501mL、40当量)を穏やかな旋回流下でタンパク質溶液に滴下添加した。得られた反応混合物を4℃で20時間(一晩)振動させ、次いでG-25M SEPHADEX(登録商標)カラム(GE Healthcare、Chicago、IL)(CV=70cm3、2CVの50mMリン酸緩衝液 pH7.00で予め平衡化)で精製した。コンジュゲート溶出をOD280で監視した。所望のナルトレキソンOVAコンジュゲートを含有する鋭いピークを、インターバル67~90mLで溶出した。ナルトレキソンOVA(5)を回収し、濃縮した。コンジュゲートの濃度をOD280によって0.89mg/mlに決定した。OVAコンジュゲート(5)を収率75%で合計9mg得た。
【0159】
ナルトレキソンKLH免疫原(6)の製造:ナルトレキソンKLH免疫原(6)は、ナルトレキソンOVA(5)の製造に関する記載と同じプロトコルを使用して製造した。この場合、化合物(4)-DMF溶液(0.488mL、7×10-3mmol)で処理したmcKLH 20mgを使用した。精製後、コンジュゲートの濃度をBCAアッセイによって0.96mg/mlに決定した。KLH免疫原(6)を収率76.8%で15.35mg得た。
【0160】
バイオコンジュゲーションのための未変性G6PDHの製造:未変性G6PDH酵素エマルジョン(5.5mL、5.5KU、64.35mg)を18,000RPM、4℃で30分間遠心分離した。得られた透明な水層を捨て、残りの白色ケーキを55mM TRIS緩衝液 pH8.00(2.00mL)に懸濁させた。懸濁液を溶解するまで穏やかに旋回させ;次いで、55mM TRIS緩衝液 pH8.00で予め平衡化したG-25M Sephadexカラム(CV=196mL)に充填した。酵素をインターバル75~116mLで溶出した。酵素の濃度を、Amicon撹拌細胞濃縮器(30,000MWカットオフ)を使用して5mg/mLに調節し;次いで、氷浴を使用して0~4℃に冷却した。グルコース-6-リン酸二ナトリウム塩[G6PDNa2]240mgを次いで添加した。得られた反応混合物を1分まで穏やかに旋回させ;次いで、β-NADH(120mg)を添加し、得られた反応混合物を1分間再び撹拌した。この酵素溶液を3つのプラスチックチューブに等分した(1チューブあたり酵素9.50mgに相当する1.90mL)。未変性G6PDHを含有するチューブ1~3を氷浴で保存し、化合物(4)添加に備えた。
【0161】
バイオコンジュゲーションのための化合物(4)の製造:化合物(3)(9.71mg、0.017mmol)を脱気DMF(0.242mL)に溶解して40mg/mLハプテン-DMF溶液を作製し;次いで、N-ヒドロキシスクシンイミド(6.20mg、0.054mmol、約3当量)を添加した。得られた反応混合物を均一になるまで撹拌し、次いでEDAC・HCl(7.30mg、0.038mmol、2当量)を添加した。得られた反応混合物を室温で22時間撹拌し、TLC[(DCM/MeOH 8/2 v/v)、Rf(4)=0.80、Rf(3)=0.20]によって監視した。化合物(4)の形成後、脱気DMF(0.242μL)を添加して20mg/mL化合物(4)-DMF溶液を作成した。[C29H35N2O8]+についての計算値ESI m/z=539.3、実測値[M+H]+=539.3、[M+Na]+=561.3;この化合物(4)を、それ以上精製することなくバイオコンジュゲーションに使用した。
【0162】
ナルトレキソンnG6PDH酵素(7a~c)の製造:チューブ1に、化合物(4)(243μL-DMF溶液)を添加した[nG6PDHに対して10×モル過剰の化合物(4)]。反応混合物を2~8℃で1時間振動させ;次いで、L-リジン[1M溶液、9μL、各化合物(4)に対して10×モル過剰のL-リジン]でクエンチした。反応混合物を次いで室温で20分間振動させた。このコンジュゲートを、55mM TRIS緩衝液 pH7.00(2CV)で予め平衡化したG-50M SEPHADEX(登録商標)カラム(CV=67cm3)によって精製した。コンジュゲートをインターバル45~60mLで鋭いピークとして溶出した。所望のコンジュゲートを含有する全ての画分を回収し、濃縮した。コンジュゲートの濃度をOD280によって1.16mg/mLに決定した。G6PDHコンジュゲート(7a)を収率83%で7.93mg得た。
【0163】
チューブ2に、化合物(4)(485μL -DMF溶液)を添加し(nG6PDHに対して20×モル過剰の化合物(4));反応混合物を2~8℃で1時間振動させ;次いで、L-リジン[1M溶液、18μL、化合物(4)に対して10×モル過剰のL-リジン]でクエンチした。反応混合物を次いで室温で20分間振動させた。このコンジュゲートを、55mM TRIS緩衝液 pH7.00(2CV)で予め平衡化したG-50M SEPHADEX(登録商標)カラム(CV=67cm3)によって精製した。コンジュゲートをインターバル45~60mLで鋭いピークとして溶出した。所望のコンジュゲートを含有する全ての画分を回収し、濃縮した。コンジュゲートの濃度をOD280によって1.25mg/mLに決定した。G6PDHコンジュゲート(7b)を85%の収率で8.09mg得た。
【0164】
チューブ3に、化合物(4)(729μL -DMF溶液)を添加した[nG6PDHに対して30×モル過剰の化合物(4)]。反応混合物を2~8℃で1時間振動させ;次いで、L-リジン[1M溶液、27μL、化合物(4)に対して10×モル過剰L-リジン]でクエンチした。反応混合物を次いで室温で20分間振動させた。このコンジュゲートを、55mM TRIS緩衝液 pH7.00(2CV)で予め平衡化したG-50M SEPHADEX(登録商標)カラム(CV=67cm3)によって精製した。コンジュゲートをインターバル45~60mLで鋭いピークとして溶出した。所望のコンジュゲートを含有する全ての画分を回収し、濃縮した。コンジュゲートの濃度をOD280によって1.28mg/mLに決定した。G6PDHコンジュゲート(7c)を収率87%で8.27mg得た。
【0165】
図3は、以下に本明細書でさらに詳細に記載される、C-3位結合によるナロキソンハプテン、KLH免疫原、およびG6PDHコンジュゲートの合成の概略図である。
【0166】
化合物(9)の製造:この化合物は、化合物(2)の製造に関する記載と同じ合成方法を使用して製造した。凍結乾燥後、化合物(9)(465.5mg)を収率99%で無色の粉末として得た。化合物(9):ESI-MS m/z calcd. for: [C26H34NO6]+456.2, found [M+H]+ = 456.2; 1H NMR (600 MHz, MeOD-d4) δ: 6.87 (d, J = 8.28 Hz, 1H), 6.82 (d, J = 8.28 Hz, 1H), 6.03 - 5.96 (m, 1H), 5.71 (d, J = 16.98 Hz, 1H), 5.64 (d, J = 10.26 Hz, 1H), 4.90 (s, 1H), 4.20 - 4.16 (m, 2H), 4.11 (q, J = 7.14 Hz, 2H), 3.98 (dd, J = 13.59, 8.62 Hz, 1H), 3.89 (dd, J = 13.62, 5.64 Hz, 1H), 3.78 (d, J = 6.00 Hz, 1H), 3.48 (d, J = 19.80 Hz, 1H), 3.31 - 3.28 (m, 1H), 3.10 ( dd, J = 19.80, 6.18 Hz, 1H), 3.03 (td, J = 14.65, 4.97 Hz, 1H), 2.87 - 2.75 (m, 2H), 2.40 (m, 2H), 2.24 (dt, J = 14.70, 3.00 Hz, 1H), 2.06 - 2.02 (m, 1H), 1.78 - 1.76 (m, 4H), 1.73 - 1.66 (m, 2H), 1.25 (t, J = 7.14 Hz, 3H).
【0167】
化合物(10)の製造:この化合物は、化合物(3)の製造に関する記載と同じ合成方法を使用して製造した。凍結乾燥後、化合物(10)(447mg)を収率ほぼ100%で無色の粉末として得た。化合物(10):ESI-MS m/z calcd. for: [C24H30NO6]+ = 428.2, found [M+H]+ = 428.2; 1H NMR (600 MHz, MeOD-d4) δ: 6.82 (d, J = 8.22 Hz, 1H), 6.75 (d, J = 8.22 Hz, 1H), 5.99 - 5.91 (m, 1H), 5.48 (dd, J = 17.13, 1.17 Hz, 1H), 5.43 - 5.41 (m, 2H), 4.82 (s 1H), 4.18 - 4.16 (m, 2H), 3.60 (dd, J = 13.60, 7.53 Hz, 1H), 3.55 (dd, J = 13.59, 6.03 Hz, 1H), 3.42 (d, J = 5.88 Hz, 1H), 3.30 (s, 1H), 3.03 (td, J = 14.55, 5.10 Hz, 1H), 2.96 (dd, J = 12.48, 4.80 Hz, 1H), 2.85 (dd, J = 19.32, 6.06 Hz, 1H), 2.65 (td, J = 12.99, 5.04 Hz, 1H), 2.46 (td, J = 12.63, 3.92 Hz, 1H), 2.36 - 2.33 (m, 2H), 2.22 (dt, J = 14.52, 3.12 Hz, 1H), 1.97 - 1.94 (m, 1H), 1.80 - 1.76 (m, 4H), 1.65 (dd, J = 14.25, 3.45 Hz, 1H), 1.61 - 1.58 (m, 1H).
【0168】
化合物(11)の製造:この化合物は、化合物(4)の製造に関する記載と同じ合成方法を使用して製造した。
【0169】
ナロキソンOVA(12)の製造:このコンジュゲートは、OVAコンジュゲート(5)の製造に関する記載と同じ合成方法を使用して製造した。
【0170】
ナロキソンKLH免疫原(13)の製造:この免疫原は、KLH免疫原(6)の製造に関する記載と同じ合成方法を使用して製造した。
【0171】
ナロキソンnG6PDH[14(a~c)]の製造:これらのnG6PDHコンジュゲートは、nG6PDHs[7(a~c)]の製造に関する記載と同じ合成方法を使用して製造した。
【0172】
図4は、以下に本明細書で詳細に記載される、C-6位結合によるナルトレキソンハプテン、KLH免疫原、およびG6PDHコンジュゲートの合成の概略図である。
【0173】
化合物(15)の製造:ナルトレキソン塩酸塩(1)(118mg、0.31mmol)をMeOH(7mL)に溶解し;次いで、NaOAc(292mg、2.24mmol)を添加した。得られた反応混合物を室温で5分間撹拌し;次いで、O-(カルボキシメチル)ヒドロキシルアミンヘミ塩酸塩(210.7mg、1.92mmol)を混合物に添加した。得られた反応混合物を室温で一晩(20時間)撹拌した。反応混合物のTLC分析は、反応の完了を示した[(DCM/MeOH 8/2 v/v)Rf(1)=0.4、Rf(15)=0.02]。溶媒をロータリーエバポレーターで除去して白色懸濁液を得た。次いで、0.1% AcOHを含有する水/アセトニトリル(1.4mL/0.6mL v/v)を添加した。粗反応混合物を、次いで精製のために分取Shimadzu HPLCシステムに注入した。所望の生成物を含有する画分を一緒にプールし、ロータリーエバポレーターで濃縮し、一晩(16~20時間)凍結乾燥させた。これにより、化合物(15)(124mg)を収率75%で無色の粉末として得た。化合物(15):ESI-MS m/z calcd. for: [C22H27NO6]+415.2, found [M+H]+ = 415.2, and [M+Na]+ = 429.2; 1H NMR (600 MHz, MeOD-d4) δ: 6.76 (d, J = 8.10 Hz, 1H), 6.72 (d, J = 8.22 Hz, 1H), 5.06 (s, 1H), 4.66 (s, 2H), 3.99 (d, J = 6.60 Hz, 1H), 3.42 (d, J = 19.74 Hz, 1H), 3.38 (dd, J = 13.32, 7.03 Hz, 1H), 3.17 (dd, J =12.99, 5.01 Hz, 1H), 3.12 (dd, J = 19.86, 6.84 Hz, 1H), 2.97 (dd, J = 13.62, 7.50 Hz, 1H), 2.91 (td, J = 13.05, 4.04 Hz, 1H), 2.82 (ddd, J = 17.76, 6.54, 1.86 Hz, 1H), 2.68 (td, J = 13.43, 5.00 Hz, 1H), 2.65 - 2.59 (m, 1H), 1.80 - 1.76 (m, 2H), 1.51 (ddd, J = 14.25, 12.09, 6.54 Hz, 1H), 1.17 - 1.10 (m, 1H), 0.88 - 0.84 (m, 1H), 0.80 - 0.75 (m, 1H), 0.57 - 0.50 (m, 2H).
【0174】
化合物(16)の製造:この化合物は、化合物(4)の製造に関する記載と同じ合成方法を使用して製造した。
【0175】
ナルトレキソンOVA(17)の製造:このコンジュゲートは、OVAコンジュゲート(5)の製造に関する記載と同じ合成方法を使用して製造した。
【0176】
ナルトレキソンKLH免疫原(18)の製造:この免疫原は、KLH免疫原(6)の製造に関する記載と同じ合成方法を使用して製造した。
【0177】
ナルトレキソンnG6PDH[19(a~c)]の製造:これらのnG6PDHコンジュゲートは、nG6PDH[7(a~c)]の製造に関する記載と同じ合成方法を使用して製造した。
【0178】
図5は、以下に本明細書で詳細に記載される、C-6位結合によるナロキソンハプテン、KLH免疫原、およびG6PDHコンジュゲートの合成の概略図である。
【0179】
化合物(20)の製造:ナロキソン塩酸塩(8)(110mg、0.27mmol)をMeOH(7mL)に溶解し;次いで、NaOAc(260mg、2.00mmol)を添加した。得られた反応混合物を室温で5分間撹拌し;次いで、O-(カルボキシメチル)ヒドロキシルアミンヘミ塩酸塩(186mg、1.69mmol)を添加した。得られた反応混合物を室温で一晩撹拌した。TLC分析は、反応の完了を示した(DCM/MeOH 8/2 v/v Rf(1)=0.40、Rf(20)=0.02)。反応混合物は白色沈殿物を形成した。反応混合物をロータリーエバポレーターで濃縮して白色懸濁液を得、0.1% AcOHを含有する水に溶解し、精製のためにShimadzu HPLCに注入した。所望の生成物を含有する画分を一緒にプールし、ロータリーエバポレーターで濃縮し、一晩(16~20時間)凍結乾燥させた。これにより、化合物(20)(125mg)を収率87%で得た。化合物(20):ESI-MS m/z calcd. for: [C21H25NO6]+401.2, found [M+H]+ = 401.2, [M+Na]+ = 423.2; 1H NMR (600 MHz, MeOD-d4) δ: 6.74 (d, J = 8.17 Hz, 1H), 6.70 (d, J = 8.22 Hz, 1H), 5.98 - 5.90 (m, 1H), 5.68 (d, J = 17.16 Hz, 1H), 5.64 (d, J = 10.38 Hz, 1H), 5.04 (s, 1H), 4.64 (s, 2H), 3.95 (dd, J = 13.65, 8.67 Hz, 1H), 3.81 (dd, J = 13.68, 5.58 Hz, 1H), 3.63 (d, J = 6.54 Hz, 1H), 3.43 (d, J = 19.74 Hz, 1H), 3.22 (dd, J = 12.93, 4.95 Hz, 1H), 3.02 (dd, J = 19.80, 6.60 Hz, 1H), 2.92 (td, J = 13.13, 4.10 Hz, 1H), 2.80 (ddd, J = 17.73, 6.39, 1.89 Hz, 1H), 2.65 (td, J = 13.47, 5.04 Hz, 1H), 2.61 - 2.54 (m, 1H), 1.77 (dd, J = 13.68, 3.30 Hz, 1H), 1.71 (ddd, J = 14.26, 6.67, 2.38 Hz, 1H), 1.45 (ddd, J = 14.26, 12.20, 6.43 Hz, 1H).
【0180】
化合物(21)の製造:この化合物は、化合物(4)の製造に関する記載と同じ合成方法を使用して製造した。
【0181】
ナロキソンOVA(22)の製造:このコンジュゲートは、OVAコンジュゲート(5)の製造に関する記載と同じ合成方法を使用して製造した。
【0182】
ナロキソンKLH免疫原(23)の製造:この免疫原は、KLH免疫原(6)の製造に関する記載と同じ合成方法を使用して製造した。
【0183】
ナロキソンnG6PDH[24(a~c)]の製造:これらのnG6PDHコンジュゲートは、nG6PDH[7(a~c)]の製造に関する記載と同じ合成方法を使用して製造した。
【実施例2】
【0184】
抗ナロキソンおよび抗ナルトレキソンモノクローナル抗体の産生
この実施例は、ナロキソンおよびナルトレキソンに対する特異的モノクローナル抗体の産生を説明する。これらのモノクローナル抗体は、それぞれナロキソンおよびナルトレキソン特異的アッセイで使用することができる。
【0185】
さらに、これらのモノクローナル抗体は、オピエートアッセイ(限定されるものではないが、ヒドロコドンアッセイなどの)でブロッカー抗体として使用することができる。様々なオピエートアッセイは、ナロキソン/ナルトレキソン治療を受けている患者に関して偽陽性結果を示すことが一般的に観察されている。そのような場合、本明細書に開示されるナロキソン/ナルトレキソン特異的アッセイを使用して患者をスクリーニングして、いかなる偽陽性も除外することができる。さらに(および/またはあるいは)、様々なオピエートアッセイで利用される生体試料を、これらのナロキソン/ナルトレキソン特異的モノクローナル抗体による前処理工程に供して、試料中に存在するあらゆるナロキソン/ナルトレキソンを除去し、したがって、定量的臨床オピエートアッセイで観察されるあらゆるナロキソン/ナルトレキソン干渉を防ぐ、または実質的に低減することができる。
【0186】
この実施例では、様々な位置でKLHに付着したナロキソンまたはナルトレキソンを含む様々な免疫原を製造し、マウス(例えば、BALB/cマウス、スイスウェブスターマウス、またはマウスのAJ株)を腹腔内で免疫する免疫原として使用した。マウスを3回以上免疫して、高力価免疫応答を生成した。一次免疫は、CFAのようなアジュバント(CFAを使用して乳化した免疫原)を使用し、それに続くその後の追加免疫は、IFAのようなアジュバントを使用して行った。免疫後、マウスを出血させ、遠心分離法を使用して血清試料を単離した。これらのマウスからの血清試料を、ナロキソンおよび/またはナルトレキソンとオボアルブミンとのコンジュゲート(オボアルブミンコンジュゲート)を使用して、抗ナロキソンおよび抗ナルトレキソン抗体についてテストした。マイクロタイタープレートELISAを使用し、阻害ELISAを使用してオボアルブミンコンジュゲートへの結合と、その後、遊離薬物分子への結合について抗体を調べた。
図6は、8つの重要なオピオイド薬物を使用した阻害ELISA結果を示している。
図6に示されたマウス出血を得るのに使用した免疫原は、次の通りである。上の列、左から:ナルトレキソン3-KLH(R
2がシクロプロピルである式III);ナルトレキソン6-KLH(R
2がシクロプロピルである式VI、);ナロキソン3-KLH(R
2がアリルである式III);およびナロキソン3-KLH。下の列、左から右:ナルトレキソン3-KLH;ナルトレキソン6-KLH;ナロキソン6-KLH(R
2がアリルである式VI);およびナロキソン6-KLH。
【0187】
ELISA阻害アッセイで抗薬物抗体価および遊離薬物への結合が良好なマウスを選択して、米国特許第9,815,907号(2017年11月14日にSharmaらに対して発行された)に記載されたものと類似した方法でモノクローナル抗体の生成を続けた。特に、力価が最も高く特異性が最も良いマウスに、融合の3日前にブーストした。融合当日、脾臓細胞をこれらのマウスから回収し、PEGアシスト融合プロトコルを使用して骨髄腫細胞株P3X63Ag8.653と融合させた。約10日後、ハイブリドーマ上清を、抗ナロキソンおよび抗ナルトレキソン抗体についてプレートELISA(特異性に関する直接結合および阻害ELISA)を使用してスクリーニングした。陽性クローンをさらに拡大し、サブクローニングし、プロテインA SEPHAROSE(登録商標)(GE Healthcare、Chicago、IL)カラムを使用して上清を精製した。精製抗体試料を、免疫原(すなわち、薬物-担体タンパク質のコンジュゲート)および遊離オピオイドへの結合についてELISAを使用してテストした。
【0188】
表1は、本明細書に記載のナロキソンおよびナルトレキソン薬物分子に対して生成された選択したハイブリドーマクローンのいくつかに関する名称を列挙している。
【0189】
【0190】
抗体溶液(免疫マウス出血またはハイブリドーマクローン上清または精製抗体)を、以下のプロトコルに従って阻害ELISA方を使用してスクリーニングした。1ウェルあたり50μLのリン酸緩衝食塩水中1μg/mLのナロキソン3-オボアルブミン、ナロキソン6-オボアルブミン、ナルトレキソン3-オボアルブミン、またはナルトレキソン6-オボアルブミンでプレートをコーティングした。プレートコーティングは、室温で1時間以上、または約2℃~8℃で一晩行った。プレートを次いで軽く叩いて乾燥させ、ブロッキング緩衝液(0.05%TWEEN(登録商標)20界面活性剤(Croda International PLC、Snaith、United Kingdom)を含有するPBS中0.5%カゼイン溶液)1ウェルあたり200μLでブロックした。プレートブロッキングは、プレート振とうによる室温で30分間以上のインキュベーションによって行った。プレートを、洗浄緩衝液が0.05%TWEEN(登録商標)20を含有するMILLIQ(登録商標)水(Millipore Corporation、Billerica、MA)であるプレートスタッカーを備えたプレート洗浄器(BioTek(登録商標)、Winooski、VT)を使用して洗浄した。スクリーニングするべきモノクローナル抗体を、次いで遊離薬物と一緒に各ウェルに次の通りに添加した:適切に希釈した培養上清(または抗体溶液)1ウェルあたり25μL、および遊離薬物20μg/mLの追加の25μL。インキュベーションは、プレート振とうにより室温で約1時間行った。プレートを洗浄した。酵素コンジュゲート(1:3000に希釈したブロッキング緩衝液に希釈したHRPに結合したヤギ抗マウスIgG)を1ウェルあたり50μLで添加した。インキュベーションは、振とうにより室温で約1時間行った。プレートを次いで洗浄し、発色溶液(Moss Substrates、Pasadena MD製のTMB)を1ウェルあたり100μLの容量で添加した。所望の抗体がハイブリドーマ上清に存在した場合、次いで光学密度の減少を、遊離薬物を含有するウェルと比較して観察した。ELISAプレートリーダー(Molecular Devices、SanJose、CA)を使用して、プレートを650nm波長で読み取った。注:抗体溶液の適切な希釈は、滴定ELISAを行って決定した。おおよそ1.0の光学密度が観察された場合、抗体希釈を選択した。
【0191】
図7に示したように、179B 9G1.1、179B 9E12、179B 10A7、179A 6H6、および179B 9E7と名付けられたモノクローナル抗体は、ナロキソン-3-Val-mcKLH(R
2がアリルである式III)を使用して生成され、阻害ELISAアッセイでテストした8個の他の主なオピオイドに比べてナロキソンに対する良好な特異性を有した。
図8に示したように、180B 13F7、180C 1F8、180C 7G8、180C 8A10、180C 9D5、180C 9G8、180C 2A12、および180A 3D3と名付けられたモノクローナル抗体は、ナルトレキソン-3-Val-mcKLH(R
2がシクロプロピルである式III)を使用して生成され、阻害ELISAアッセイでテストした8個の他の主なオピオイドに比べてナルトレキソンに対する良好な特異性を有した。これらの結果に基づき、以下にさらに詳細に記載するように、モノクローナル抗体を、次いで、ナロキソン/ナルトレキソン特異的免疫測定法において、および他のオピエートアッセイでのナロキソン/ナルトレキソン干渉を防ぐ、または実質的に低減する方法において使用した。
【実施例3】
【0192】
モノクローナル抗体配列決定
実施例2のように作製したハイブリドーマ細胞を、様々なモノクローナル抗体の重鎖および軽鎖を配列決定するのに使用した。種々のクローンの配列を整列させ、コンセンサス配列を得た。各モノクローナル抗体について得られた様々な配列を、以下の表2~14に示す。
【0193】
【0194】
【0195】
【0196】
【0197】
【0198】
【0199】
【0200】
【0201】
【0202】
【0203】
【0204】
【0205】
【実施例4】
【0206】
ナロキソンおよびナルトレキソン特異的アッセイにおけるモノクローナル抗体の使用
この実施例では、実施例2で作製したモノクローナル抗体をナロキソンおよびナルトレキソン特異的免疫測定法で利用して、臨床免疫測定法で一方または両方の薬物を検出するこれらのモノクローナル抗体の能力を実証した。
【0207】
図9は、抗ナロキソンモノクローナル抗体179A 6H6を使用したナロキソンおよびナルトレキソン特異的アッセイをグラフで示した図である。見てわかるように、抗ナロキソンモノクローナル抗体は、ナロキソンおよびナルトレキソンの両方を実質的に同じ特異性で検出する。類似した結果は、抗ナロキソンモノクローナル抗体179B 10A7、179B 9G1、179B 9E12、および179B 9E7でも得られた。したがって、これらの抗体は、どちらかのまたは両方の薬物に関する臨床検出免疫測定法で使用することができるであろう。
【0208】
図10は、抗ナルトレキソンモノクローナル抗体180C 2A12を使用したナロキソンおよびナルトレキソン特異的アッセイをグラフで示した図である。この抗ナルトレキソンモノクローナル抗体も、ナルトレキソンと比べて低い特異性ではあるが、ナルトレキソンに加えてナロキソンを検出することができた。しかし、この抗体は、それでもやはりどちらかのまたは両方の薬物に関する臨床検出免疫測定法で使用することができるであろう。
【0209】
これらの結果に基づき、これらの抗体は、次のようなアッセイ構造で利用することができる。EMIT(登録商標)II(酵素増幅免疫測定法、Siemens Healthineers、Newark、DE)に加えてナロキソンおよび/またはナルトレキソンアッセイは、ヒト尿中の特定の化合物の分析に使用される均一酵素免疫測定法である。アッセイは、検体中の薬物と、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(rG6PDH)で標識した薬物との間の抗体結合部位を巡る競合に基づく。酵素活性は抗体に結合すると減少し、そのため検体の薬物濃度は、酵素活性に関して測定することができる。活性な酵素は、グルコース-6-リン酸塩(G6P)の存在下でニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)をNADHに変換し、分光光度法で測定される吸光度変化をもたらす。内因性血清G6PDHは干渉しない。その理由は、補酵素NADが、アッセイで使用される細菌(ロイコノストック・メセントロイデス(Leuconostoc mesenteroides))酵素とのみ機能するためである。
【0210】
EMIT(登録商標)アッセイフォーマットは、試薬1として公知の抗体/基質試薬を含む。この試薬は、抗体ならびにアッセイ用の緩衝液、保存料、および安定剤を含む。EMIT(登録商標)アッセイフォーマットは、試薬2として公知の酵素試薬も含む。この試薬は、コンジュゲートならびにアッセイ用の緩衝液、保存料、および安定剤を含む。
【実施例5】
【0211】
オピオイドアッセイにおけるナロキソン/ナルトレキソン干渉の低減
この実施例では、実施例2で作製したモノクローナル抗体をオピエート酵素増幅免疫測定法で利用して、これらのアッセイにおけるナロキソン/ナルトレキソン干渉を低減する能力を実証した。
【0212】
図11は、ナルトレキソン抗体ブロッカー3D3の存在下、ナロキソンおよびナルトレキソンの交差反応性が陽性応答から陰性応答へとカットオフ(300ng/mL)まで変化することを実証するものである。同様に、
図12は、ナロキソン抗体ブロッカー6H6の存在下、ナロキソンの交差反応性が、はるかに低い濃度でのみ陽性応答から陰性応答へとカットオフ(300ng/mL)まで変化することを実証するものである。
【0213】
図13では、抗ナルトレキソンモノクローナル抗体2A12をヒドロコドンアッセイでブロッカーとして使用して、カットオフ(300ng/ml)までの陰性応答をもたらすナロキソンおよびナルトレキソンの量を増加させた。
【0214】
したがって、本開示により、上に記載された目的および利点を十分に満たす組成物ならびにこれを産生および使用する方法が提供された。本開示は、上に記載された特定の図面、実験、結果、および言語と併せて記載されてきたが、多くの代替、変更、および変形が当業者には明らかであることは明白である。したがって、本開示の趣旨および広い範囲内に入る全てのそのような代替、変更、および変形を包含することが意図される。
【配列表】