(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】接続モジュール
(51)【国際特許分類】
G01R 31/28 20060101AFI20241003BHJP
H01R 25/00 20060101ALI20241003BHJP
H01P 3/08 20060101ALI20241003BHJP
H01P 3/02 20060101ALI20241003BHJP
H05K 1/02 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
G01R31/28 T
G01R31/28 K
H01R25/00 M
H01P3/08 200
H01P3/02 200
H05K1/02 J
(21)【出願番号】P 2021545460
(86)(22)【出願日】2019-11-25
(86)【国際出願番号】 US2019062969
(87)【国際公開番号】W WO2020163004
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2022-11-10
(32)【優先日】2019-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502391840
【氏名又は名称】テラダイン、 インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ、 ジョナサン ヘインズ
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0040565(US,A1)
【文献】特開2010-139320(JP,A)
【文献】特表2006-506618(JP,A)
【文献】国際公開第03/016930(WO,A1)
【文献】特開2001-144149(JP,A)
【文献】特開平11-355003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/28
H01R 25/00
H01P 3/08
H01P 3/02
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
接続インタフェースと、
前記接続インタフェースに及び前記接続インタフェースから信号を伝導するためのルート伝送線を含む接続マトリクスであって、前記接続マトリクスは、前記ルート伝送線に及び前記ルート伝送線から前記信号を伝導するべく前記ルート伝送線に電気的に接続可能な複数の分岐伝送線をさらに含み、前記分岐伝送線の各々は、
プローブカードと前記ルート伝送線との間の電気経路の一部である、接続マトリクスと、
前記接続マトリクスを取り囲み、前記接続インタフェースへのアクセスを可能にするハウジングと、
を含み、
前記ルート伝送線と前記分岐伝送線はそれぞれが、前記信号をTEM(transverse electromagnetic)モードで伝導する多導体伝送線であり、
前記分岐伝送線は第一の分岐伝送線と第二の分岐伝送線を含み、
前記接続マトリクスは複数のスイッチを含み、第一のスイッチが、前記ルート伝送線が前記第一の分岐伝送線又は前記第二の分岐伝送線の何れかに電気的に接続されることを可能にするように構成される、装置。
【請求項2】
前記
プローブカードは、試験システムのための
ものである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記接続インタフェースは同軸接続インタフェースを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記スイッチは、開状態で前記電気経路に沿った電気接続を切断するように構成され、閉状態で前記電気経路に沿った電気接続をなすように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記スイッチはマルチプレクサ、半導体デバイス、機械的スイッチ、若しくは微小電気機械デバイスのいずれか1つ、又はマルチプレクサ、半導体デバイス、機械的スイッチ、若しくは微小電気機械デバイスの組合せを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ハウジングは、前記接続マトリクスへの電磁干渉に対するシールドとして機能するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記ハウジングは金属を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ハウジングは、固定具、ロウ付け、溶接、エポキシ、若しくは導電性エポキシのいずれか1つを用いて、又は固定具、ロウ付け、溶接、エポキシ、若しくは導電性エポキシの組合せを用いて接続される第一の部分と第二の部分を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
0.7平方インチ以下の断面積を有するモジュールである、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前
記プローブカード
はコアを含み、
前記コアはピンを含み、前記分岐伝送線の少なくともいくつかは、前記ピンのうちの対応するものと電気接続するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記分岐伝送線は、1つの信号線と相互に接続された複数の接地線を有するように構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記
プローブカードと前記分岐伝送線との間の前記電気経路の一部である第二の接続インタフェースをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記分岐伝送線のいくつかは前記第二の接続インタフェースで終端する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第二の接続インタフェースにおいて、前記分岐伝送線は少なくとも接地-信号-接地トリプレットを含み、
異なる分岐伝送線は385μm以下のピッチで構成される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記スイッチは、開状態で前記電気経路に沿った電気接続を切断し、閉状態で前記電気経路に沿った電気接続をなし、
各スイッチは、前記スイッチを開き、又は前記スイッチを閉じるための信号を受信する入力ポートを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記接続マトリクスは薄膜回路を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
システムにおいて、
被検デバイスに接続されたプローブカードと、
前記プローブカードに請求項1に記載の装置を介して接続された試験機器であって、前記試験機器と前記装置との間の接続は、前記接続インタフェースとの接続によって実装される、試験機器と、
を含むシステム。
【請求項18】
前記試験機器を介して試験を統合し、前記接続マトリクスを構成するための1つ又は複数のコンピューティングデバイスをさらに含む、
請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記被検デバイスはミリメートル波デバイスを含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記プローブカードは前記被検デバイスと接触するコアを含み、前記装置は前記コアに電気的に接続する、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記スイッチは、第一の数のルート伝送線と第二の数の分岐伝送線とを伝導するように構成される、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は一般に、2つのシステム又は2つのデバイス間の電気接続を提供するように構成された接続モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
接続モジュールは、プローブカード等のデバイスに接続されるハードウェアを含む。試験機器等のシステムは、接続モジュールを介してデバイスに電気信号を送信し、またそこから電気信号を受信し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
例示的な装置は接続モジュールを含む。例示的な接続モジュールは、接続インタフェースと、信号を接続インタフェースに、及びそこから伝導するためのルート伝送線を含む接続マトリクスと、を含む。接続マトリクスはまた、ルート伝送線に、及びそこから信号を伝導するためにルート伝送線に電気的に接続可能な分岐伝送線も含む。分岐伝送線の各々は、デバイスとルート伝送線との間の電気経路の一部である。ハウジングは接続マトリクスを取り囲み、接続インタフェースへのアクセスを可能にする。ルート伝送線と分岐伝送線は各々、信号をTEM(transverse electromagnetic)モードで伝導する多導体伝送線である。例示的な装置は、以下の特徴の1つ又は複数を、単独で、又は組み合わせて含んでいてもよい。
【0004】
接続マトリクスは、薄膜回路であるか、又はそれを含んでいてよい。接続インタフェースは、同軸接続インタフェースを含んでいてよい。接続マトリクスは、開状態で電気経路に沿った電気接続を切断するように構成され、閉状態で電気経路に沿って電気接続がなされるように構成されたスイッチを含んでいてよい。スイッチは、マルチプレクサであるか、又はそれを含んでいてよい。
【0005】
分岐伝送線は、第一の分岐伝送線と第二の分岐伝送線を含んでいてよい。接続マトリクスは第一のスイッチを含んでいてよく、これはルート伝送線が第一の分岐伝送線又は第二の分岐伝送線の何れかに電気的に接続されるのを可能にするように構成される。
【0006】
ハウジングは、接続マトリクスへの電磁干渉に対するシールドとして機能するように構成されてよい。ハウジングは金属を含んでいてよい。ハウジングは、第一の部分と第二の部分を含んでいてよく、これらは1つ又は複数の固定具又は接合機構、例えばロウ付け、溶接、エポキシ、又は導電性エポキシを使って接続される。装置は、0.7平方インチ以下の断面積を有するモジュールを含んでいてよい。
【0007】
デバイスは、試験システム用プローブカードであるか、又はそれを含んでいてよい。コアはピンを含んでいてよい。分岐伝送線の少なくとも幾つかは、ピンのうちの対応するものに電気的に接続されるように構成されてよい。分岐伝送線は、相互に接続される1つの信号線及び複数の接地線を得るように構成されてよい。
【0008】
装置は第二の接続インタフェースを含んでいてよく、これはデバイスと分岐伝送線との間の電気経路の一部である。分岐伝送線の幾つかはその終端を第二の接続インタフェースに有する。第二の接続インタフェースにおいて、分岐伝送線は少なくとも接地-信号-接地トリプレットを含んでいてよい。異なる分岐伝送線は、385μm以下のピッチで構成されてよい。
【0009】
接続マトリクスはスイッチを含んでいてよく、これは開状態で電気経路に沿った電気接続を切断し、閉状態で電気経路に沿った電気接続がなされるようにする。各スイッチは、スイッチを開く、又はスイッチを閉じる信号を受信する入力ポートを含んでいてよい。
【0010】
例示的なシステムは、試験対象のデバイスに接続されるプローブカードと、例示的な接続モジュールを介してプローブカードに接続される試験機器を含む。試験機器と装置との間の接続は、接続インタフェースへの接続によって実装されてよい。例示的な接続モジュールは、接続インタフェースと、接続インタフェースに、及びそこから信号を伝導するルート伝送線を含む接続マトリクスと、を含む。接続マトリクスはまた、分岐伝送線も含み、これらはルート伝送線に電気的に接続可能で、ルート伝送線へ、及びそこから信号を伝導する。分岐伝送線の各々は、デバイスとルート伝送線との間の電気経路の一部である。ハウジングは接続マトリクスを取り囲み、接続インタフェースへのアクセスを可能にする。ルート伝送線と分岐伝送線は各々、信号をTEM(transverse electromagnetic)モードで伝導する多導体伝送線である。システムは、以下の特徴の1つ又は複数を単独で、又は組み合わせて含んでいてよい。
【0011】
システムは、試験機器を介した試験を統合し、接続マトリクスを構成するための1つ又は複数のコンピューティングデバイスを含んでいてよい。試験対象デバイスは、ミリ波デバイスを含んでいてよい。プローブカードは、試験対象デバイスと接触するコアを含んでいてよく、装置はコアに電気的に接続されるためのものであってよい。
【0012】
この概要の項を含む本明細書に記載の特徴のうちの何れの2つ以上を組み合わせて、本明細書に具体的に記載されていない実施例を形成してよい。
【0013】
本明細書に記載の接続モジュール及び試験システムの少なくとも一部は、1つ又は複数の処理デバイス上で、1つ又は複数の非一時的機械可読記憶媒体上に記憶された命令を実行することによって構成され、又は制御されてよい。非一時的機械可読記憶媒体の例には、リードオンリメモリ、光ディスクドライブ、メモリディスクドライブ、及びランダムアクセスメモリが含まれる。本明細書に記載の接続モジュール及び試験システムの少なくとも一部は、1つ又は複数の処理デバイスと、各種の制御動作を実行するために1つ又は複数の処理デバイスによって実行可能な命令を記憶するメモリと、を含むコンピューティングシステムを使って構成され、又は制御されてよい。
【0014】
1つ又は複数の実施例の詳細は、添付の図面と以下の説明の中に示されている。その他の特徴と利点は、説明と図面から、及び特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】試験システムのプローブカードと、プローブカードに接続された8つの例示的な接続モジュールの斜視図である。
【
図2】プローブカードのコア上の例示的な導電トレースの上面図である。
【
図3】プローブカード上の導電トレースに電気的に接続される例示的な接続モジュール上の多導体伝送線の切り欠き側面図である。
【
図4】プローブカード上の導電トレースに電気的に接続される接続モジュールの多導体伝送線の切り欠き側面図と、接続モジュール内に含められる接続マトリクスの拡大切り欠き側面図である。
【
図6】2つの接続インタフェースを有する例示的な接続モジュールのコンポーネントの切り欠き側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
異なる図中の同様の参照番号は同様の要素を示す。
【0017】
本明細書では、自動試験装置(ATE:automatic test equipment)等の試験機器とデバイスとの間の電気接続を提供するように構成された接続モジュールの例を説明する。このようなデバイスの例にはプローブカードが含まれる。例示的なプローブカードは、試験機器と被験デバイス(DUT:device under test)、例えば半導体ウェハ等との間のインタフェースを含む。ある例において、プローブカードは試験機器と半導体ウェハ上の回路構成との間の電気接続を提供し、それによって、ウェハレベルで回路構成の試験を行うことが可能となる。例示的なプローブカードは、印刷回路基板(PCB)及び、DUT上の対応する電気コンタクトと電気的に接触する電気コンタクトを含む。
【0018】
プローブカード上に導電モジュールを有することから利益を得られ得る例示的なDUTには、ミリ波(mm波)デバイスが含まれる。1つの定義により、ミリ波スペクトルは、30ギガヘルツ(GHz)~300GHzの間の周波数バンドを含む。これらの周波数は、例えば高速無線通信に使用できる。例えば送信機、受信器、及びトランシーバデバイスはミリ波スペクトル内で動作してよく、プローブカード等のデバイスを含む試験システムを使って試験されてよい。
【0019】
接続モジュールは、多導体、例えば2導体伝送線を提供するように構成されてよく、これらはプローブカードと試験機器との間で信号をTEM(transverse electromagnetic)モードで伝導する。幾つかの例において、DUT上の電気コンタクトのピッチは比較的微細であり得、例えば数百マイクロメートルのオーダである。幾つかの例において、ピッチは隣接する電気コンタクトの部分間(例えば中心間)の距離を含む。この例において、関心対象のピッチは、プローブカード上の隣接する電気コンタクト間の距離を含み、これはDUT上の隣接する電気コンタクトのピッチと等しい。接続モジュールは、プローブカードに必要なピッチ、例えば数百マイクロメートルのオーダのピッチで電気コンタクトを提供するように構成される。
【0020】
ある例において、接続モジュールは接続インタフェースを含む。例示的な接続インタフェースは信号同軸インタフェースを含むが、接続モジュールは複数のインタフェースを含み、その他の種類の電気インタフェースを使用してもよい。接続マトリクスは、試験機器とプローブカード上の電気コンタクトとの間で接続インタフェースを介して信号を送信するように構成可能である。例えば、信号は接続インタフェースを通じて接続モジュールに入力されてよく、接続マトリクスはその信号をプローブカード上の目的地となる電気コンタクトに到達させるように構成されてよい。幾つかの実施例において、接続マトリクスは、接続インタフェースに、及びそこから信号を伝導するためのルート伝送線と、ルート伝送線に電気的に接続可能であり、ルート伝送線へ、及びそこから信号を伝導するための複数の分岐伝送線を含む。分岐伝送線の各々は、プローブカード等のデバイスとルート伝送線/接続インタフェースとの間の電気経路の一部である。各分岐伝送線はそれ自体が分岐して、デバイスとルート伝送線との間の電気経路の一部である複数の分枝を形成してもよい。マルチプレクサ等のスイッチは、信号をルーティングするように接続マトリクスを構成するように制御されてよい。ハウジングは、接続マトリクスを取り囲み、それによって接続インタフェースに外部からアクセスできるようにしてよい。使用されてよいその他の種類のスイッチの例には、半導体デバイス、機械的デバイス、及び微小電気機械(MEM)デバイスが含まれる。
【0021】
幾つかの実施例において、ルート伝送線と分岐伝送線は各々、TEMモードで電気信号を伝導する多導体伝送線である。TEMモードは電気信号の伝播モードであり、この場合、信号に関連付けられる電界及び磁界線の両方が例えば信号の伝播方向に対して法線方向、例えば横断面内に限定される。例示的な多導体伝送線は、導体を含む送信線と戻り線を含む。多導体伝送線は、同軸ケーブル、ラダ型接続線若しくはツイステッドペア等の平行線、並びに準TEMモードで動作するストリップ線及びマイクロストリップ導体等の平面伝送線が含まれる。例示的な多導体伝送線はまた、コプレーナ導波路(CPW:coplanar waveguide)が含まれ、これは3つの導体を含むが、導体のうちの2つは接地され、1つの信号導体と共通接地線が得られる。例示的な多導体伝送線はまた、接地コプレーナ導波路(GCPW:grounded coplanar waveguide)も含み、これは5つの導体を有するが、導体のうちの4つは接地され、1つの信号導体と共通接地線が得られる。したがって、多導体伝送線は2つのみのワイヤを有する伝送線に限定されない。
【0022】
幾つかの実施例において、接続マトリクスの全部又は一部は薄膜リソグラフィを使って実装される。薄膜リソグラフィは、平坦基板上に導電トレースのパターンを作るためのプロセスを含む。導電トレースには、前述の多導体伝送線が含まれる。
【0023】
薄膜リソグラフィ及び接続マトリクス内の多導体伝送線を使用することによって、接続モジュールは、導体を使用しない(プラスチックフィラメント又はグラスファイバ等)、又は1つの導体を使用する(金属管導波路等)導波路に基づく実施例と比較して、小型化され得る。さらに、伝送線を分岐させ、スイッチを制御することによって、接続マトリクスは、高密度デバイス上で1つのチャネルを複数のチャネルに接続することを可能にし得る。
【0024】
図1は、上の段落で説明したタイプの接続モジュールを含むシステムの実施例を示す。この例において、各接続モジュールはコンピュータにより構成可能なハードウェアデバイスである。各接続モジュールは、プローブカード10に接続するように構成される。プローブカードは、シングルサイトプローブカードでもマルチサイトプローブカードでもよい。これに関して、プローブカードはここで、及び本明細書全体において例示的なデバイスとして使用されているが、何れの適当なデバイスが接続モジュールと共に使用されてもよい。この例では8つの接続モジュール11、12、13、14、15、16、17、及び18があり、プローブカード10の各側に4つの接続モジュールが1セットずつある。しかしながら、他の実施例では、8つより少ない接続モジュール又は8つより多い接続モジュールがあってもよい。例えば、プローブカード1つに2つの接続モジュール、プローブカード1つに3つの接続モジュール、プローブカード1つに4つの接続モジュール、プローブカード1つに5つの接続モジュール、プローブカード1つに6つの接続モジュール、プローブカード1つに7つの接続モジュール、プローブカード1つに9つの接続モジュール、プローブカード1つに10の接続モジュール、等があってよい。
【0025】
図2は、プローブカード10のコア(コアは、
図1で楕円21により示される)上の導電トレースの集合20を示しており、これは被験デバイス(DUT-
図2中、DUT 1、DUT 2、DUT 3、及びDUT 4)から対応する接続モジュールへとつながる。例えば、導電トレース24は接続モジュール15につながり、導電トレース25は接続モジュール16につながり、導電モジュール26は接続モジュール17につながり、導電トレース27(
図3の50~57)は接続モジュール18につながり、導電トレース28は接続モジュール11につながり、導電トレース29は接続モジュール12につながり、導電トレース30は接続モジュール13につながり、導電トレース31は接続モジュール14につながる。この例において、各接続モジュールは、プローブカード上の対応する導電トレースとの複数の多導体伝送線電気インタフェースを含む。例えば、接続モジュール18は、
図1の楕円34の位置におけるコネクタ上の8つの対応する導電トレースへの8つの多導体伝送線電気インタフェースを含む。接続モジュールは1つおきに接続モジュール18と同じ構成を有していてよい。
【0026】
図3は、例示的な接続モジュール18上の8つの多導体伝送線40、41、42、43、44、45、46、及び47とプローブカード10上の対応する導電トレース50、51、52、53、54、55、56、及び57との間の接続インタフェース35の実施例を示す。この例において、接続インタフェース35は、各多導体伝送線のための、プローブカード上の導電トレースに電気的に接続された対応するピンとの電気インタフェースを含む。この例において、接続インタフェース35は位置合わせ手段62を含む。接続モジュール上の多導体伝送線のための電気インタフェースは、位置合わせ手段62を有するプローブカード上の対応するコネクタと位置合わせされる。位置合わせされると、プローブカード上の導電トレースにつながるピンを含むプローブカード上の対応するコネクタとの接続がなされる。
【0027】
図4は、例示的な接続モジュール18のコンポーネントを示す。接続モジュール10は、接続インタフェース65を含む。接続インタフェースにより、試験設備の他のコンポーネント、例えば試験機器を、接続モジュールを介してプローブカードに接続できる。これに関して、幾つかの実施例において、試験機器は試験設備の試験ヘッド内にある。各試験機器は試験ヘッドの別々のスロット内に格納されてよい。幾つかの実施例において、試験機器はモジュール式である。例えば、1つの試験機器は、その他の試験機器を交換することなく、異なる機能又は同じ機能を実行する別の試験機器と交換してよい。各試験機器は、DUTを試験するための試験信号を出力し、DUTから信号を受信するように構成されてよい。信号は例えば、デジタル、アナログ、無線、又は有線であってよい。受信される信号は、試験信号、試験信号により促されたのではない(例えば、それに応答したのではない)DUTから発せられる信号、又はそれらの両方の種類の信号を含んでいてよい。
【0028】
接続インタフェース65は、同軸ケーブルインタフェース等の多導体伝送線インタフェースを含む。その他の種類の多導体伝送線インタフェースが同軸又は多導体伝送線インタフェースの代わりに使用されてもよい。接続モジュール18はまた、接続マトリクス66も含み、これは図中、拡大しても示されている。前述のように、接続マトリクス66は、試験機器とプローブカード上の電気コンタクトとの間で接続インタフェースを介して信号を伝送するように構成可能である。接続マトリクス66は、接続インタフェース65へ、及びそこから信号を伝導するためのルート伝送線70と、ルート伝送線へ、及びそこから信号を伝導するために、ルート伝送線から展開され、そこに電気的に接続可能な複数の分岐伝送線を含む。分岐伝送線の各々は、プローブカード10とルート伝送線70との間の電気経路の一部である。この実施例において、ルート伝送線と各分岐伝送線は多導体伝送線を使って実装される。マルチプレクサ等のスイッチは信号をルーティングするように接続マトリクスを構成するように制御されてよい。
【0029】
この例において、接続マトリクス66は第一の分岐伝送線71、第二の分岐伝送線72、及びルート導体70が第一の分岐伝送線71又は第二の分岐伝送線72の何れかに電気的に接続できるように構成される第一のスイッチ73を含む。この例において、接続マトリクス66は第三の分岐伝送線74、第四の分岐伝送線75、及び第一の分岐伝送線71が第三の分岐伝送線74又は第四の分岐伝送線75の何れかに電気的に接続できるように構成される第二のスイッチ76を含む。この例では、接続マトリクス66は、第五の分岐伝送線78、第六の分岐伝送線79、及び第二の分岐伝送線72を第五の分岐伝送線78又は第六の分岐伝送線79の何れかに電気的に接続できるように構成される第三のスイッチ80を含む。
【0030】
同じく
図4を参照すると、この例において、接続マトリクス66は分岐伝送線40及び41と、分岐伝送線40又は41の何れかを第三の分岐伝送線74に接続する
スイッチ83も含む。この例において、接続マトリクス66は、分岐伝送線42及び43と、分岐伝送線42又は43の何れかを第四の分岐伝送線75に接続するスイッチ87も含む。この例において、接続マトリクス66はまた、分岐伝送線44及び45と、分岐伝送線44又は45の何れかを第五の分岐伝送線78に接続するスイッチ91も含む。この例において、接続マトリクス66は、分岐伝送46及び47と、分岐伝送線46又は47の何れかを第六の分岐伝送線79に接続するスイッチ94も含む。幾つかの実施例において、接続モジュール18で実装されるものに追加される、又はそれより少ない分岐伝送線があってもよい。幾つかの実施例において、接続モジュール11~17の各々は、接続モジュール18と同じ構成及び機能性を有する。
図3の場合と同様に、分岐伝送線40~47の終端は、それ自体がプローブカード10上の対応する導電トレース50~57に電気的に接続されるプローブカード10上の対応するピンにあり、それに電気的に接続される。
【0031】
上で説明したように、幾つかの実施例において、ルート伝送線及び分岐伝送線は各々、多導体伝送線であり、それが電気信号をTEMモードで伝導する。同じく上で説明したように、例示的な多導体伝送線は3つの導体を有するCPWも含む。例示的なCPWにおいて、個々の導体は、接地-信号-接地(GSG)トリプレットで構成される。このGSGトリプレットは、プローブカードのポート又はピンに対応する。多導体伝送線をGSGトリプレットから構成するために、2つの接地線が相互に電気的に接続され、1つの信号線と共通接地線が得られる。幾つかの実施例において、隣接するGSGトリプレットは、385μm以下のピッチで構成される。ある例示的なGCPWにおいて、個々の導体はGSGトリプレットで構成されるだけでなく、1つ又は複数の追加の接地面、例えば2つの接地面も含む。その結果得られるクインテットは、プローブカードのポート又はピンに対応する。多導体伝送線をGCPWクインテットから構成するためには、4つの接地線は相互に電気的に接続され、1つの信号線と共通接地線が得られる。幾つかの実施例において、隣接するGCPWクインテットは、385μm以下のピッチで構成される。
【0032】
スイッチは、マルチプレクサ、トランジスタ、又は論理ゲートの配置等、何れの適当なスイッチング技術を用いて実装されてもよい。各スイッチは、その構成、例えばスイッチを開くか閉じるかを制御するための信号を受信するためのポートを含んでいてよい。コンピューティングシステムは、試験機器の一部であってよく、スイッチを制御して信号がプローブカード上の選択された導電トレースにルーティングされるように構成され、例えばプログラムされる。例えば、コンピューティングシステムは、スイッチ73、76、及び83を制御し、残りのスイッチを開くように制御して、信号が分岐伝送線40に、及びそれゆえ導電トレース50にルーティングされることになるように構成されてよい。他の例において、コンピューティングシステムは、スイッチ73、80、及び94を制御し、残りのスイッチを開くように制御して、信号が分岐伝送線47に、及びそれゆえ導電トレース57にルーティングされることになるように構成されてよい。コンピューティングシステムはまた、スイッチング構成を制御しながらDUT上で行われる試験動作を制御し、統合するように構成される。
【0033】
接続マトリクス66の全部又は一部は、薄膜リソグラフィを用いて実装される薄膜回路であり、又はそれを含んでいてよい。前述のように、薄膜リソグラフィは平坦基板上に導電トレースのパターンを作るためのプロセスを含む。導電トレースは、ルート導体及び各分岐伝送線を実装する多導体伝送線を含む。幾つかの例において、薄膜リソグラフィは、平坦基板上に導電性フィルムを真空成膜するウェハ製造プロセスである。平坦基板の例には、ガラス、石英、及びセラミックが含まれるがこれらに限定されず、これらは全て研磨によって平坦イメージング面を提供でき、その上に成膜が行われてよい。幾つかの実施例において、ポリイミド基板の場合のように、基板を導電トレースの上に追加できる。追加的な金属層もまた、空気誘電体を有する同軸伝送線を実装するために、薄膜プロセス中に堆積されてもよい。幾つかの実施例において、接続マトリクスはフレキシブル回路を使って実装されてもよい。
【0034】
図4及び5を参照すると、例示的な接続モジュール18はまた、接続マトリクス66を取り囲み、接続インタフェース65へのアクセスを可能にするハウジング100も含む。ハウジングは、接続マトリクスへの電磁干渉に対するシールドとして機能するように構成されてよい。幾つかの実施例において、シールディングは接続モジュール内の回路とプローブカード上の回路構成との間の電磁的絶縁を提供する。例えば、ハウジングは銅又はニッケル等の金属であるか、又はそれを含んでいてよい。金属は、セラミック又はプラスチック等の他の非導電性材料を被覆してもよい。例えば、金属はインク又は発泡体の形態であってよい。
図5はハウジング100の例を示しており、これは第一の部分101と第二の部分102からなり、これらは1つ又は複数の固定具、この場合はねじ104を用いて接続される。ハウジングは、接続インタフェース65、この場合は同軸インタフェースを、その上にハウジングが取り付けられる電磁的にシールドされた基板106と共に含んでいる。
図5の例では、接続マトリクス66はフレキシブル回路110として実装されている。
図5には、接続インタフェース65に電気的に接続されたルート導体70と、プローブカード上の電気接続へとつながる各種の分岐伝送線111、例えば
図3及び4の分岐伝送線40~47が示されている。
【0035】
前述のように、薄膜リソグラフィ及び接続マトリクス内の多導体伝送線を使用することによって、接続モジュールは小型化できる。例えば、幾つかの実施例において、接続モジュールは0.7平方インチ(すなわち、4.51平方センチメートル(cm2))以下の断面積を有する。幾つかの実施例において、接続モジュールは、1平方インチ(6.45cm2)以下、0.9平方インチ(5.80cm2)以下、0.8平方インチ(5.16cm2)以下、0.6平方インチ(3.87cm2)以下、0.5平方インチ(3.22cm2)以下、0.4平方インチ(2.58cm2)以下、0.3平方インチ(1.94cm2)以下等の断面積を有する。幾つかの実施例において、接続モジュール内のプローブカードへの隣接する電気接続、例えば隣接するGSGトリプレット又はGGSGGクインテットは、1000μm以下、900μm以下、800μm以下、700μm以下、600μm以下、500μm以下、400μm以下、例えば、385μm、300μm以下、200μm以下、100μm以下等のピッチで構成される。
【0036】
図6は、2つのコネクタを含み、したがって2つのルート伝送線121、122を含む例示的な接続モジュール120のコンポーネントを示す。接続モジュール120及びその中に含まれるスイッチの残りの構造と動作は、
図1~5に関して説明した接続モジュールの動作と実質的に、又は完全に同様である。
【0037】
接続モジュールは、mm波DUTに使用することに関して説明した。しかしながら、接続モジュールはmm波デバイスに限定されない。例えば、接続インタフェースは、80GHzまでのDC(直流)周波数で動作するDUTにも使用されてよい。
【0038】
幾つかの実施例において、接続モジュールは、モジュール内の分岐伝送線のうちの1つ又は複数に終端を置くように構成されてよい。例えば、1つ又は複数の分岐伝送線の終端は、1つ若しくは複数の較正負荷、1つ若しくは複数の電力検波器、又は1つ若しくは複数の、信号処理機能を有する半導体デバイスにつながるか、それに関連付けられてよい。
【0039】
本明細書に記載されている接続モジュールと試験システム及びそれらの各種の改良型の全部又は一部は、少なくとも部分的に、1つ又は複数の情報媒体、例えば1つ又は複数の非一時的機械可読記憶媒体において有形に具現化される1つ又は複数のコンピュータプログラムを使って、1つ又は複数のコンピュータにより構成又は制御されてよい。コンピュータプログラムは、コンパイル型又はインタプリタ型言語を含む何れの形態のプログラミング言語で書くこともでき、これは、単体プログラム、又はコンピューティング環境での使用に適したモジュール、部品、サブルーチン、若しくはその他のユニットとしての形態を含む、何れの形態でも展開できる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、又は1つのサイトにある、若しくは複数のサイトにわたり分散され、ネットワークにより相互接続される複数のコンピュータ上で実行されるように展開できる。
【0040】
接続モジュール及び試験システムを構成又は制御することに関わる動作は、前述のウェル形成作業の全部又は一部を制御するための1つ又は複数のコンピュータプログラムを実行する1つ又は複数のプログラマブルプロセッサによって実行できる。接続モジュール及び試験システムの全部又は一部は、特定用途論理回路構成、例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途集積回路)等により構成又は制御できる。
【0041】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサには、例えば、汎用及び特定用途マイクロプロセッサ及びあらゆる種類のデジタルコンピュータの何れの1つ又は複数のプロセッサも含まれる。一般に、プロセッサは、読取り専用記憶領域若しくはランダムアクセス記憶領域又はその両方から命令及びデータを受信する。コンピュータの要素は、命令を実行するための1つ又は複数のプロセッサと、命令とデータを記憶するための1つ又は複数の記憶領域デバイスを含む。一般に、コンピュータはまた、1つ又は複数の機械可読記憶媒体、例えばデータを記憶するための大容量記憶装置等、例えば磁気、磁気光ディスク、又は光ディスクも含み、又はそこからデータを受信し、そこにデータを送信し、若しくはその両方を行うために動作的に連結される。コンピュータプログラム命令及びデータを具現化するのに適した非一時的機械可読記憶媒体としては、あらゆる形態の不揮発性記憶領域が含まれ、これには例えば、EPROM(イレーサブルプログラマブルリードオンリメモリ)、EEPROM(エレクトリカリイレーサブルプログラマブルリードオンリメモリ)、及びフラッシュ記憶領域装置等の半導体記憶領域装置、内部ハードディスク又はリムーバブルディスク等の磁気ディスク、磁気光ディスク、並びにCD-ROM(コンパクトディスクリードオンリメモリ)及びDVD-ROM(デジタルバーサタイルディスクリードオンリメモリ)が含まれる。
【0042】
記載されている異なる実施例の要素を組み合わせて、上に具体的に示されていないその他の実施例を形成してもよい。要素は、前述のシステムから、それらの動作又はシステム全体としての動作に不利な影響を与えることなく取り除かれてもよい。さらに、各種の別々の要素を1つ又は複数の個々の要素へと組み合わせることによって本明細書に記載の機能を実行してもよい。
【0043】
本明細書に具体的に記載されていないその他の実施例もまた、以下の特許請求の範囲に含まれる。