(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ポリアミドをテクスチャ加工するための方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/14 20060101AFI20241003BHJP
B29C 33/12 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B29C45/14
B29C33/12
(21)【出願番号】P 2021559642
(86)(22)【出願日】2020-04-07
(86)【国際出願番号】 EP2020059891
(87)【国際公開番号】W WO2020208016
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-03-29
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】モンタナーリ, チボー
(72)【発明者】
【氏名】レコキール, クリステル
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-503631(JP,A)
【文献】国際公開第2012/046531(WO,A1)
【文献】特開2013-173364(JP,A)
【文献】特表2012-515243(JP,A)
【文献】特開平11-179735(JP,A)
【文献】特開2007-022081(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0342977(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
B29C 33/00-33/76
B29C 59/00-59/18
C08G 69/00-69/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ISO 11357-3:2013による40℃/分での第1回目のDSC加熱の間、25J/gと75J/gとの間の溶融エンタルピーを有する少なくとも1つの半結晶性ポリアミド(Psc)を含む組成物を含む少なくとも1つの層(1)を含む少なくとも1つのフィルム(F)を含む物体を調製するための方法であって、前記フィルムはその表面のうちの少なくとも1つのすべて
又は一部に、テクスチャ加工要素(T)のテクスチャを有し、
以下の工程:
a. 120℃以下
の温度に設定された型(M)を提供する工程、
b.
型に面する反対面上にある少なくとも部分的にテクスチャ加工表面を有する少なくとも1つのテクスチャ加工要素(T)を、型の壁に適用する工程、
c. 少なくとも1つの半結晶性ポリアミド(Psc)を含む組成物(CPO)を含む少なくとも1つの層(1)を含む少なくとも1つのフィルム(F)を、テクスチャ加工要素(T)のテクスチャ加工表面に適用する工程であって、前記層(1)はテクスチャ加工要素(T)のテクスチャ加工表面に接するように意図され、前記層(1)の厚さは少なくとも10μ
mである、テクスチャ加工表面に適用する工程、
d. テクスチャ加工
要素(T)に面するフィルムの面での、組成物(CPO)のTgと、ISO 11357-3:2013に従って測定される溶融温度(Tm)マイナス15℃との間の温度(TT)に到達するように、工程(c)の前記フィルムに少なくとも1つの加熱手段(H)を適用し、テクスチャ加工要素(T)とそれを接触させるために、1.5と2000バールとの
間の圧力で、0.1秒と5時間との
間、前記フィルムに圧力手段(P)を適用する工程、
e. 少なくとも半結晶性ポリアミドフィルム(Psc)を含む組成物(CPO)を含む前記フィルムを含み、その表面のうちの少なくとも1つのすべて
又は一部に前記テクスチャ加工要素(T)のテクスチャを有する物体を型から取り出し、取得する工程
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
工程a.が、20℃と90℃との間の温度に設定された型(M)を提供する工程であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程b.が、20と2000μmとの間の厚さを有する、型に面する反対面上にある少なくとも部分的にテクスチャ加工表面を有する少なくとも1つのテクスチャ加工要素(T)を、型の壁に適用する工程であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程b.が、50μmと1000μmとの間の厚さを有する、型に面する反対面上にある少なくとも部分的にテクスチャ加工表面を有する少なくとも1つのテクスチャ加工要素(T)を、型の壁に適用する工程であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
工程b.が、50μmと500μmとの間の厚さを有する、型に面する反対面上にある少なくとも部分的にテクスチャ加工表面を有する少なくとも1つのテクスチャ加工要素(T)を、型の壁に適用する工程であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つのテクスチャ加工要素(T)が平面形態であることを特徴とする、請求項3から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程c.が、少なくとも1つの半結晶性ポリアミド(Psc)を含む組成物(CPO)を含む少なくとも1つの層(1)を含む少なくとも1つのフィルム(F)を、テクスチャ加工要素(T)のテクスチャ加工表面に適用する工程であって、前記層(1)はテクスチャ加工要素(T)のテクスチャ加工表面に接するように意図され、前記層(1)の厚さは10と1000μmとの間である、工程であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程d.が、テクスチャ加工要素(T)に面するフィルムの面での、組成物(CPO)のTgと、ISO 11357-3:2013に従って測定される溶融温度(Tm)マイナス15℃との間の温度(TT)に到達するように、工程(c)の前記フィルムに少なくとも1つの加熱手段(H)を適用し、テクスチャ加工要素(T)とそれを接触させるために、5バールと1000バールとの間の圧力で、3秒と10分との間の時間、前記フィルムに圧力手段(P)を適用する工程であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
組成物(CPO)を含む前記フィルム(F)の前記温度(TT)が、少なくとも10μmの厚さにわたって、TgとTm-15℃との間にあることを特徴とする、請求項1
から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記加熱手段(H)
及び圧力手段(P)が、0.1秒と15分との
間の時間tの間、150℃と350℃との間の温度Tinjの溶融ポリマー(I)を、工程(c)の前記フィルム(F)のテクスチャ加工要素(T)に接することを意図したのと反対の面上へ射出することからなり、その圧力は、1.5と2000バールとの
間であることを特徴とする、請求項1
から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記加熱手段(H)及び圧力手段(P)が、1秒と15分との間の時間tの間、150℃と350℃との間の温度Tinjの溶融ポリマー(I)を、工程(c)の前記フィルム(F)のテクスチャ加工要素(T)に接することを意図したのと反対の面上へ射出することからなることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記加熱手段(H)及び圧力手段(P)が、1秒と10分との間の時間tの間、150℃と350℃との間の温度Tinjの溶融ポリマー(I)を、工程(c)の前記フィルム(F)のテクスチャ加工要素(T)に接することを意図したのと反対の面上へ射出することからなることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記加熱手段(H)及び圧力手段(P)が、3秒と10分との間の時間tの間、150℃と350℃との間の温度Tinjの溶融ポリマー(I)を、工程(c)の前記フィルム(F)のテクスチャ加工要素(T)に接することを意図したのと反対の面上へ射出することからなることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記加熱手段(H)及び圧力手段(P)が、3秒と2分との間の時間tの間、150℃と350℃との間の温度Tinjの溶融ポリマー(I)を、工程(c)の前記フィルム(F)のテクスチャ加工要素(T)に接することを意図したのと反対の面上へ射出することからなることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
圧力が、5バールと1000バールとの間であることを特徴とする、請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
圧力が、50バールと500バールとの間であることを特徴とする、請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記溶融ポリマー(I)が前記層(1)に接着することを特徴とする、請求項
10から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記フィルム(F)が、少なくとも1つの半結晶性ポリアミド(Psc)を含む組成物を含む層(1)からなる単層フィルム(F1)であり、前記層(1)が少なくとも10μ
mの厚さを有することを特徴とする、請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
前記フィルム(F)が、少なくとも1つの半結晶性ポリアミド(Psc)を含む組成物を含む層(1)からなる単層フィルム(F1)であり、前記層(1)が10と1000μmとの間の厚さを有することを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記溶融ポリマー(I)がポリアミドであることを特徴とする、請求項
17から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記溶融ポリマー(I)が、前記半結晶性ポリアミド(Psc)に対する接着力がないことを特徴とする、請求項
10から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記フィルム(F)が、少なくとも1つの半結晶性ポリアミド(Psc)を含む組成物を含む少なくとも1つの層(1)を含む多層フィルム(F2)であり、前記層(1)は20μmと1000μmとの
間の厚さを有することを特徴とする、請求項
21に記載の方法。
【請求項23】
前記フィルム(F)が、少なくとも1つの半結晶性ポリアミド(Psc)を含む組成物を含む少なくとも1つの層(1)を含む多層フィルム(F2)であり、前記層(1)は50μmと200μmとの間の厚さを有することを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記多層フィルム(F2)が互いに接着する少なくとも2つの層、層(1)
及び層(2)を含み、テクスチャ加工要素(T)に接する層は前記半結晶性ポリアミド(Psc)を含む組成物を含む層(1)であることを特徴とする、請求項
22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記溶融ポリマー(I)が層(2)に接着し、前記層(2)はテクスチャ加工要素(T)に接している層(1)と反対面に位置することを特徴とする、請求項
24に記載の方法。
【請求項26】
前記多層フィルム(F2)が少なくとも2つの層(1)
及び(2)を含み、テクスチャ加工要素(T)に接する層は前記半結晶性ポリアミド(Psc)の層(1)であり、2つの層(1)
及び(2)は互いに接着せず、層(1)と(2)との間の接着を可能にする、少なくとも1つの第3の層(3)をその間に含むことを特徴とする、請求項
22又は23に記載の方法。
【請求項27】
前記溶融ポリマー(I)が層(2)に接着し、前記層(2)は、テクスチャ加工要素(T)に接する層(1)に接している層(3)と反対面に位置することを特徴とする、請求項
26に記載の方法。
【請求項28】
前記テクスチャ加工要素(T)に接することが意図される層(1)が、工程dの間、テクスチャ加工
要素(T)に面する面で前記フィルムの5と50%との間の厚さにわたって、層(1)の組成物のTgとTm-15℃との
間の温度(TT)であり、TgはISO 11357-2:2013に従って、TmはISO 11357-3:2013に従って決定されることを特徴とする、請求項1から
27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記テクスチャ加工要素(T)に接することが意図される層(1)が、工程dの間、テクスチャ加工要素(T)に面する面で前記フィルムの5と50%との間の厚さにわたって、前記半結晶性ポリアミド(Psc)のTgとTm-15℃との間の温度(TT)であり、TgはISO 11357-2:2013に従って、TmはISO 11357-3:2013に従って決定されることを特徴とする、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
層(1)の組成物が、規格ISO 13468-2:2006に従って決定され、1mmの厚さを有するプレートで、560nmでの透過率が80%以
上であるような透明性を有することを特徴とする、請求項1から
29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
層(1)の組成物が、規格ISO 13468-2:2006に従って決定され、1mmの厚さを有するプレートで、560nmでの透過率が88%以上であるような透明性を有することを特徴とする、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
層(1)の組成
物が、30と50J/gとの間の溶融エンタルピー(ISO 11357-3:2013に従って40℃/分での第1回目のDSC加熱)を有することを特徴とする、請求項1から
31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
層(1)の組成物(CPO
)が、そのガラス転移温度(Tg)がISO 11357-2:2013に従って決定されて30と120℃との
間にあり、その融解温度(Tm)はISO 11357-3:2013に従って決定されて150℃と330℃との
間にあるようなものであることを特徴とする、請求項1から
32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
層(1)の組成物(CPOが、そのガラス転移温度(Tg)がISO 11357-2:2013に従って決定されて60℃と90℃との間にあり、その融解温度(Tm)はISO 11357-3:2013に従って決定されて150℃と200℃との間にあるようなものであることを特徴とする、請求項1から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
層(1)の組成物、及び半結晶性ポリアミド(Psc)が、30と50J/gとの間の溶融エンタルピー(ISO 11357-3:2013に従って40℃/分での第1回目のDSC加熱)を有することを特徴とする、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
層(1)の組成物(CPO)、及び半結晶性ポリアミド(Psc)が、そのガラス転移温度(Tg)がISO 11357-2:2013に従って決定されて30と120℃との間にあり、その融解温度(Tm)はISO 11357-3:2013に従って決定されて150℃と330℃との間にあるようなものであることを特徴とする、請求項1から31及び35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
層(1)の組成物(CPO)、及び半結晶性ポリアミド(Psc)が、そのガラス転移温度(Tg)がISO 11357-2:2013に従って決定されて60℃と90℃との間にあり、その融解温度(Tm)はISO 11357-3:2013に従って決定されて150℃と200℃との間にあるようなものであることを特徴とする、請求項1から31及び35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
層(1)が、合計100重量%で:
脂環式ジアミン
及び脂肪族ジアミンから選択される少なくとも1つのジアミンと、
ジアミン単位
又は二酸単位の少なくとも1つが脂環式である、脂環式ジアミン
及び脂肪族二酸から選択される少なくとも1つの二酸との、
又は脂環式アルファオメガアミノカルボン酸との、
又はこれらの2つの可能性の組み合わせとの
、
縮合に本質的に起因する5~40重量%の非晶質ポリアミド(B)、
ポリアミド
及びポリエーテルブロック共重合体
及びコポリアミドから選択される0~40%の可撓性ポリアミド(C)、
(Psc)
及び(B)の0~20%の相溶化剤(D)、
0~40%の可撓性改質剤(MS)、
を含み、
(C)+(D)+(MS)が0と50%との間であるという条件であり、
100%の残りが、(Psc)+(B)+(C)+(D)の合計に関して主成分であ
る半結晶性ポリアミド(Psc)である、
透明な組成物からなることを特徴とする、請求項1から
37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
層(1)が、合計100重量%で:
脂環式ジアミン及び脂肪族ジアミンから選択される少なくとも1つのジアミンと、
ジアミン単位又は二酸単位の少なくとも1つが脂環式である、脂環式ジアミン及び脂肪族二酸から選択される少なくとも1つの二酸との、
又は脂環式アルファオメガアミノカルボン酸との、
又はこれらの2つの可能性の組み合わせとの、
並びにアルファオメガアミノカルボン酸又はラクタム、脂肪族二酸及び脂肪族ジアミンから選択される少なくとも1つのモノマーのいずれかとの縮合に本質的に起因する5~40重量%の非晶質ポリアミド(B)、
ポリアミド及びポリエーテルブロック共重合体及びコポリアミドから選択される0~40%の可撓性ポリアミド(C)、
(Psc)及び(B)の0~20%の相溶化剤(D)、
0~40%の可撓性改質剤(MS)、
を含み、
(C)+(D)+(MS)が0と50%との間であるという条件であり、
100%の残りが、(Psc)+(B)+(C)+(D)の合計に関して主成分である半結晶性ポリアミド(Psc)である、
透明な組成物からなることを特徴とする、請求項1から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
層(1)が、合計100重量%で:
少なくとも1つのジアミンと、少なくとも1つの芳香族二酸と
の縮合に基本的に起因する5~40重量%の非晶質ポリアミド(B)、
ポリアミド
及びポリエーテルブロック共重合体
及びコポリアミドから選択される0~40%の可撓性ポリアミド(C)、
(Psc)
及び(B)の0~20%の相溶化剤(D)、
を含み、(C)+(D)は0と50%との間であり、
(B)+(C)+(D)が30%以上であるという条件であり、
100%の残りが、(Psc)+(B)+(C)+(D)の合計に関して主成分である半結晶性ポリアミド(Psc)である、
透明な組成物からなることを特徴とする、請求項1から
39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
層(1)が、合計100重量%で:
少なくとも1つのジアミンと、少なくとも1つの芳香族二酸と、
アルファオメガアミノカルボン酸、
脂肪族二酸、
脂肪族ジアミン、
から選択される少なくとも1つのモノマーとの縮合に基本的に起因する5~40重量%の非晶質ポリアミド(B)、
ポリアミド及びポリエーテルブロック共重合体及びコポリアミドから選択される0~40%の可撓性ポリアミド(C)、
(Psc)及び(B)の0~20%の相溶化剤(D)、
を含み、(C)+(D)は0と50%との間であり、
(B)+(C)+(D)が30%以上であるという条件であり、
100%の残りが、(Psc)+(B)+(C)+(D)の合計に関して主成分である半結晶性ポリアミド(Psc)である、
透明な組成物からなることを特徴とする、請求項1から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
ポリアミド(Psc)が、PA11、PA12、PA1012、PA1010、PA612
及びPA610か
らから選択さ
れることを特徴とする、請求項
38から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
ポリアミド(Psc)が、PA11及びPA12から選択されることを特徴とする、請求項38から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
ポリアミド(Psc)が、PA11であることを特徴とする、請求項38から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
第1とは異なる第2のテクスチャ加工要素(T)が第1のテクスチャ加工要素(T)と型との間に存在し、前記第2のテクスチャ加工要素(T)が前記第1のテクスチャ加工要素(T)を少なくとも部分的にカバーすることを特徴とする、請求項1から
44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
請求項1に記載の工程eで得られた物体が、溶融ポリマー(I)を含むその面上で、構成基材を被覆することを特徴とする、請求項1から
45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
請求項1から
46のいずれか一項に記載の方法によって得られた物体。
【請求項48】
請求項
47に記載の少なくとも1つの物体を含む部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの半結晶性ポリアミド(Psc)を含む組成物を含む少なくとも1つの層(1)を含むフィルムを含む、またはそれからなる物体を調製する方法に関し、前記フィルムはその表面の少なくとも1つのすべてまたは一部に、テクスチャ加工要素(T)のテクスチャを有する。
【0002】
また、本発明は、前記方法によって得られる物体、ならびに前記方法によって得られる少なくとも1つの物体を含む部品に関する。
【0003】
言いかえれば、本発明は、半結晶性ポリアミド(Psc)の前記フィルムの特定の表面仕上げを得るためにすなわち、例えば、多かれ少なかれ軟質の織物、革、紙、木材、木の葉などの植物などの任意の材料(テクスチャ加工材)のレリーフおよび/または感触のクローンを作る能力を得るために、有利な視覚触覚的な特色を有する部品または製品を製造するために、半結晶性ポリアミド(Psc)のフィルムをテクスチャ加工する方法に関する。
【0004】
プラスチック材料が一般に、より伝統的な材料、例えば金属、織物、木材、革などと比較して、並みの品質の材料であると考えられることは公知である。
【0005】
しかしながら、殊に自動車、または家庭における床張りとしての用途に対するある種の材料、例えば革または木材のコストは、ますます法外に高くなっている。
【0006】
したがって、自動車の文脈においては、革または木材からなる、ダッシュボードまたは自動車ドアのインテリアは、低級車両または中級車両の文脈において想像困難である。
【0007】
同様に、集合住宅でオークの木でできたまたは風変わりな種類からなる床張り材料は、現在あまりに高すぎる出資である。
【0008】
それにもかかわらず、これらの物体(ダッシュボード、ドアインテリア、床など)の模造品、殊にプラスチックは、しばしばそれらの演出性および/または品質においてあまりにも失望させるものである。さらに、プラスチック材料が複雑な表面仕上げを演出するのに苦労するのは公知である。
【0009】
米国特許第2013/342977号および同第2013/216782号はともに、フィルム(それぞれPETおよびポリオレフィンに基づいた樹脂)を含む、組立要素のテクスチャを有する物体を、射出成形によって製造する方法を記載している。しかしながら、成形条件はこれらの2つの文書には開示されていない。
【0010】
そのような物体を作る方法は、殊に、粒体に載せ、型の表面仕上げをすることを十分に可能にし、滑らかにし光沢を出したり(十分に高温の研磨した金型壁に接触させて)、艶消しおよび粒状にしたり(十分に高温の艶消しまたは粒状の金型壁に接触させて)、ブラシ状の模様を付けたりすることができる上側面を有することが可能な微晶質ポリアミドに関する国際公開第06/008358号に開示されている。
【0011】
しかしながら、この方法では、単に表面仕上げを複製することしか可能でない。
【発明の概要】
【0012】
代替として、本出願は、金属以外の材料からなる型のテクスチャ加工壁(または他のテキスチャー加工デバイス)を提供し、例えば織物、紙、革、木材、植物などの非金属材料の非常に複雑な表面仕上げを再現することができることが意図される。
【0013】
しかしながら、本出願の開示において、本出願で挙げられるような模様を有する物体を得ることを可能にする本質的な情報は大部分存在しない。
【0014】
プラスチック材料はレリーフに十分に載せるには固体でかつまた剛直すぎるか、または、それらは液体状態で、表面に過度に付着し、一旦プラスチックが再凝固したら、それは次にテクスチャ加工壁(例えば、織物でできた)からそれを分離することは不可能となる。
【0015】
したがって、本発明は、十分に記載されないか存在しない基本的な特色のこの問題を解決することを可能にする。
【0016】
したがって、本発明は、少なくとも1つの半結晶性ポリアミド(Psc)を含む組成物を含む少なくとも1つの層(1)を含む少なくとも1つのフィルムを含む物体を調製する方法であって、前記組成物、または場合によって前記半結晶性ポリアミドは25J/gと75J/gとの間の溶融エンタルピー(ISO 11357-3:2013による40℃/分での第1回目のDSC加熱)を有し、前記フィルムはその表面の少なくとも1つのすべてまたは一部に、テクスチャ加工要素(T)のテクスチャを有し、以下の工程:
a. 120℃以下の、特に20℃と90℃との間の温度に設定された型(M)を提供する工程、
b. 好ましくは20と2000μmとの間、優先的には50μmと1000μmとの間、特に50μmと500μmとの間の厚さを有する、特に平面形態の、型と反対面にある少なくとも部分的にテクスチャ加工表面を有する少なくとも1つのテクスチャ加工要素(T)を、型の壁に適用する工程、
c. 少なくとも1つの半結晶性ポリアミド(Psc)を含む組成物(CPO)を含む少なくとも1つの層(1)を含む少なくとも1つのフィルム(F)を、前記テクスチャ加工要素(T)のテクスチャ加工表面に適用する工程であって、前記層(1)はテクスチャ加工要素(T)のテクスチャ加工表面に接するように意図され、前記層(1)の厚さは少なくとも10μm、特に10と1000μmとの間である、テクスチャ加工表面に適用する工程、
d. テクスチャ加工材(T)に面するフィルムの側での、組成物(CPO)のTgと、ISO 11357-3:2013に従って測定される溶融温度(Tm)マイナス15℃との間の温度(TT)に到達するように、工程(c)の前記フィルムに少なくとも1つの加熱手段(H)を適用し、テクスチャ加工要素(T)とそれを接触させるために、1.5と2000バールとの間、特に5バールと1000バールとの間の圧力で、0.1秒と5時間との間、優先的には3秒と10分との間の時間、前記フィルムに圧力手段(P)を適用する工程、
e. 前記半結晶性ポリアミドフィルム(Psc)を含み、その表面の少なくとも1つのすべてまたは一部に前記テクスチャ加工要素(T)のテクスチャを有する物体を型から取り出し、取得する工程
を含むことを特徴とする方法に関する。
【0017】
型はいかなる形状を有することもでき、殊に凹または凸の形状、優先的には凹形状を有し、そのような材料は、本発明の方法で使用される温度、殊に少なくとも120℃、ならびに本方法において使用される少なくとも最大の使用圧力、したがって少なくとも200バールに耐えることができる限り、任意の材料からなることができる。
【0018】
工程aにおいて型は、120℃以下、殊に100℃以下の、特に90℃以下の、優先的に20℃と90℃との間の温度に前もって設定される。
【0019】
表現「ある温度に設定された型」とは、「型が先立ってある温度…にある」と同一の意味を有し、射出プレスの場合には、型の温度が、型の内部を循環する伝熱流体の温度に対応することを意味する。それは、したがって設定ポイント温度の前記伝熱流体からなる。またそれは、機械(射出プレス)の制御パネルを介する調節によって作業者(熟練者)が選択する温度である。
【0020】
「圧縮型」または「ワッフル型」タイプの型の場合には、それが、テクスチャ加工側の表面の型の壁の温度に対応する。
【0021】
少なくとも1つのテクスチャ加工要素(T)は、続いて、工程bにおいて、型の壁の上に、またはその壁に対して適用または導入され、前記型は、好ましくは工程aに対して定義されたそれと同一の温度にある。
【0022】
射出型の場合には、型の壁は、型(適用するポイントが位置する、型の固定部の壁と反対の)の可動部の壁である、型の内部の壁である。
【0023】
表現「テクスチャ加工要素(T)」とは、少なくとも部分的に組み立てた、しかし平坦な少なくとも1つの表面を有する任意の材料を指し、そのテクスチャ、すなわち、その表面仕上げまたは性質および/または感触(例えば滑らかまたは粗い)の複製を可能にする。
【0024】
前記テクスチャ加工要素(T)の表面は、その表面の一方および/または他方に部分的にのみ組み立てることができる。
【0025】
優先的に、前記テクスチャ加工要素(T)の表面の1つは完全に組み立てられる。
【0026】
優先的に、前記テクスチャ加工要素(T)の2つの表面は、少なくとも部分的に組み立てられる。
【0027】
テクスチャ加工要素(T)がその表面の1つでのみ組み立てられるなら、型の内部の型の反対面は組み立てられていない側である。
【0028】
優先的に、前記テクスチャ加工要素(T)の2つの表面は完全に組み立てられる。
【0029】
テクスチャ加工要素(T)は動物または植物起源であってよく、例えば、それは木材、織物、革、紙、木の葉などの植物から選択される。
【0030】
組み立てた要素が型の形状と、殊に型の温度でマッチするのに十分に可撓性であることは明白である。
【0031】
そうでなければ、テクスチャ加工要素(T)は、型に配置される前に先立って熱成形することができる。
【0032】
有利には、単一のテクスチャ加工要素(T)が型(M)の壁に適用される。
【0033】
有利には、テクスチャ加工要素(T)は、特に平面形状、とりわけ20と2000μmとの間の厚さ、優先的には50μmと1000μmとの間、特に50μmと500μmとの間のフィルムの形態であり、テクスチャ加工表面を少なくとも部分的に有する。
【0034】
2000μmを越すと、フィルムは厚すぎるので、型の形状に正しくマッチすることができない。
【0035】
工程cは、型と反対面で、したがって組み立てた面の側で(テクスチャ加工要素(T)が1つのみを有する場合)、上文に定義される少なくとも1つの半結晶性ポリアミド(Psc)を含む組成物を含む少なくとも1つの層(1)を含むフィルム(F)をテクスチャ加工要素(T)に適用する工程からなる。
【0036】
表現「少なくとも1つの半結晶性ポリアミド(Psc)を含む組成物」は、半結晶性ポリアミドが、前記組成物のポリマーの合計に関して主成分であることを意味する。
【0037】
前記層(1)は、したがってテクスチャ加工要素と、殊にテクスチャ加工要素(T)が唯1つを有する場合、テクスチャ加工要素(T)の組み立てた表面と接するように意図される。
【0038】
フィルム(F)の場合には、
【0039】
表現「少なくとも1つの加熱手段の適用」は、フィルムの厚さの関数として、1つまたは複数の加熱手段が存在することを意味する。
【0040】
したがって、10と400μmとの間の厚さを有するフィルム(F)の場合、単一の加熱手段は必要となり得、前記加熱手段は、例えば溶融ポリマーの射出である。
【0041】
フィルム(F)が400μmを超える厚さを有する場合は、前記フィルム(F)を予備加熱し、そうして前記加熱手段と異なる第2の加熱手段を有することが有利である。
【0042】
次に、前記第2の加熱手段は、フィルムを予備加熱するための、例えば可動性の加熱ストリップ、特に可動性の赤外線(IR)加熱ストリップである。この場合、有利には、相対的な真空の少なくとも-700ミリバールの負の圧力が、平坦化するために前記フィルム(F)に、ならびにテクスチャ加工材(T)に接するように意図される型の壁に対する前記テクスチャ加工材(T)に真空ポンプ装置を介して適用される。
【0043】
フィルム(F)は単層(F1)でも多層(F2)であってもよい。
【0044】
フィルム(F)は、前もって(有利には将来の浸食に晒されない面に)装飾することができ、それによって視覚触覚的な方式で装飾されたフィルムを究極的に得ることを可能にする。
【0045】
単層フィルム(F1)の場合には、前記フィルム(F1)は、少なくとも1つの半結晶性ポリアミド(Psc)を含む組成物(CPO)を含む、1つの層(1)からなり、前記層(1)は、少なくとも10μm、特に10と2000μmとの間の厚さを有する。
【0046】
したがって、フィルム(F1)中に他の層は存在せず、前記層(1)は装飾されてもよい。
【0047】
有利には、前記層(1)は前記組成物(CPO)からなる。
【0048】
多層フィルムの場合には、前記フィルム(F2)は、少なくとも1つの半結晶性ポリアミド(Psc)を含む組成物を含む少なくとも1つの層(1)を含み、前記層(1)は20~1000μmとの間、特に50~200μmとの間の厚さを有する。
【0049】
有利には、前記単層フィルム(F1)または前記多層フィルム(F2)の前記層(1)は、少なくとも1つの半結晶性ポリアミド(Psc)を含む組成物からなる。
【0050】
したがって前記組成物は、幾つかの半結晶性ポリアミドを含むことができる。層(1)の前記組成物は多くはそれに基づき、前記半結晶性ポリアミド(Psc)はマトリックス成分である。
【0051】
有利には、前記組成物は、マトリックス成分である単一の半結晶性ポリアミドを含む。
【0052】
層(1)の前記組成物は、アロイ、ブレンド、複合材であってよい。
【0053】
それは、当業者によって従来通り使用される添加剤、殊に可塑剤、安定剤、色素、鉱物充填剤、混和性、相溶性または第三成分によって相溶化される他のポリマーを含むことができる。
【0054】
組成物(CPO)、および場合によって、前記少なくとも1つの半結晶性ポリアミド(Psc)は、25J/gと75J/gとの間の溶融エンタルピーを有する(ISO 11357-:2013に従って40℃/分での第1回目のDSC加熱)。
【0055】
好ましくは、組成物(CPO)(および場合によって、前記少なくとも1つの半結晶性ポリアミド(Psc))は、そのTg(ガラス転移温度)が30と120℃との間、好ましくは60℃と90℃との間にあり、そのTm(融解温度)は150℃と330℃との間、好ましくは150と200℃との間にあるようなものである。
【0056】
有利には前記少なくとも1つのポリアミド(Psc)は、モノマーを鎖でつないだ結果であり、これらのモノマーの50重量%以上は、9以上の炭素原子数を有し、有利には、モノマーの炭素原子数は、9と36との間、優先的に9とC18との間、より優先的には9と12との間に含まれるようなものである。
【0057】
有利には、半結晶性ポリアミド(Psc)は、PA12およびPA11、特にPA11から選択される。
【0058】
半結晶性ポリアミド(Psc)はまたコポリアミドを意味すると理解される。
【0059】
フィルムが多層である場合、要素(T)の組み立てた表面と接する層は、上文に定義された層(1)である。
【0060】
単層フィルム(F1)または多層フィルム(F2)の層(1)の厚さは、10μm以上である。
【0061】
有利には、それは、10と1000μmとの間、殊に100と1000μmとの間に含まれる。
【0062】
より優先的には、それは、10と少なくとも500μmとの間、殊に10μmと少なくとも200μmとの間に含まれる。
【0063】
上文に定義された本方法の工程dは、テクスチャ加工要素(T)と接するように意図される層(1)が、テクスチャ加工材(T)に面するフィルムの側で60℃と温度Tm-15℃との間の温度(TT)となるように、工程cの前記フィルム(F)の要素(T)に接するのと反対面に加熱手段(H)を適用する工程であり、Tmは、前記半結晶性ポリアミド(Psc)を含む組成物(CPO)の融解温度である。
【0064】
TTは、フィルムの表面(テクスチャ加工材(T)に面するフィルムの側)の温度に対応する。
【0065】
有利には、Tg<TT<Tm-30℃である。
【0066】
より有利には、Tg<TT<Tm-50℃である。
【0067】
別の変形において、Tg+10℃<TT<Tm-15℃、有利にはTg+10℃<TT<Tm-30℃、より有利にはTg+10℃<TT<Tm-50℃である。
【0068】
なお別の変形において、Tg+20℃<TT<Tm-15℃、有利にはTg+20℃<TT<Tm-30℃、より有利にはTg+20℃<TT<Tm-50℃である。
【0069】
有利には、前記層(1)は、60℃と150℃との間、優先的には60℃と100℃との間の温度(TT)にある。
【0070】
テクスチャ加工要素(T)と接するように意図される前記フィルム(F)の層(1)の温度は、当業者にとって従来の技法によって測定することができる。
【0071】
温度(TT)は、例えば平らな型の底部でセンサーを用いて測定することができ、テクスチャ加工要素(T)の存在しない温度を得ることを可能にする。
【0072】
工程dは、また、1.5と2000バールとの間、特に5と1000バールとの間の圧力で前記フィルム(F)に圧力手段(P)を適用する工程である。
【0073】
有利には、圧力(P)は、5バールと500バールとの間、0.1秒と5時間との間、優先的に1秒と1時間との間、より優先的に1秒と10分との間、殊に3秒と10分との間、特に3秒と2分との間の時間tの間である。
【0074】
圧力手段(P)の適用は、加熱手段(H)の適用と同時に、またはその後に実行される。
【0075】
加熱手段(H)および圧力手段(P)がフィルム(F)に適用される時間tは、0.1秒と5時間との間、優先的に3秒と10分との間に含まれる。
【0076】
前記加熱手段および前記圧力手段の適用は、前記フィルム(F)の層(1)を前記テクスチャ加工要素(T)と接するように配置することを可能にし、それによって前記テクスチャ加工要素(T)が層(1)に十分に深く浸透することを可能にし、組成物CPOは、テクスチャ加工要素(T)の型穴をとることができるが、組成物CPOを溶かし、それによってテクスチャ加工要素(T)に過度に結合する程度ではない。
【0077】
型から取り出した後、半結晶性ポリアミド(Psc)の前記フィルム(F)を含み、前記層(1)の外側および/または内側表面のすべてまたは一部にテクスチャ加工要素(T)のテクスチャの複製を有する物体が工程eにおいて得られる。
【0078】
型から取り出した後、テクスチャ加工要素(T)が接着力がない、かつ/または容易に分離するので前記フィルム(F)にはテクスチャ加工要素(T)がない。
【0079】
テクスチャ加工要素(T)のテクスチャの複製は、前記テクスチャ加工要素(T)の表面が部分的にのみ組み立てられる場合、テクスチャ加工要素に接していたフィルム(F)の表面に部分的に実行される。
【0080】
前記テクスチャ加工要素(T)の表面が全くまたは完全に組み立てられている場合、それはフィルム(F)の全表面に対して実行される。
【0081】
有利には、前記テクスチャ加工要素(T)の表面は、全くまたは完全に組み立てられ、テクスチャ加工要素(T)のテクスチャの複製は単層フィルム(F)の全表面に対して実行される。
【0082】
好都合の一実施形態において、前記テクスチャ加工要素(T)に接するように意図される、組成物(CPO)を含む前記フィルムの層(1)の前記温度は、少なくとも10μmの厚さにわたって、上文に定義された温度(TT)である。
【0083】
次いで、TTは、もはやフィルムの表面(テクスチャ加工材(T)に面するフィルムの側の)の温度に対応しないが、少なくとも10μmの厚さ(または深さ)にわたる。
【0084】
有利には、前記テクスチャ加工要素(T)に接するように意図される、組成物CPOを含む前記フィルムの層(1)の温度は、10と500μm未満との間、殊に10μmと200μm未満との間の厚さにわたって上文に定義された温度(TT)である。
【0085】
有利には、前記テクスチャ加工要素(T)に接するように意図される表面と反対側の、組成物(CPO)を含む前記フィルムの層(1)の温度は、前記層(1)の厚さの20%にわたって(CPO)のTm-25℃以上である。
【0086】
工程dの加熱手段および圧力手段は、当業者に公知の任意の加熱手段および圧力手段、例えば、赤外線またはマイクロ波ストリップ槽であってもよい。
【0087】
有利には、前記加熱手段(H)および圧力手段(P)は、0.1秒と15分との間、優先的に1秒と15分との間、より優先的に1秒と10分との間、殊に3秒と10分との間、特に3秒と2分との間の時間tの間、150℃と350℃との間の温度Tinjの溶融ポリマー(I)を、工程(c)の前記フィルム(F)のテクスチャ加工要素(T)に接するように意図されるのと反対面への射出であり、その圧力は、1.5と2000バールとの間、特に5バールと1000バールとの間、より有利には50バールと500バールとの間である。
【0088】
したがって、溶融ポリマーは加熱手段と圧力手段の両方の構成要素となる。
【0089】
加熱手段としての溶融ポリマー(I)の射出は、したがって、前記溶融ポリマーに接するフィルム(F)の面を温度(TI)にすることを可能にし、前記フィルム(F)を通して熱を拡散することによって組立要素(T)に接しているフィルム(F)の面を、その結果TI未満である温度TTにすることを可能にする。
【0090】
射出プレスの場合には、溶融ポリマー(I)は、優先的には10と1000cm3/秒との間の流速で型(フィルム(F)上へ)に射出される。
【0091】
第1の変形において、前記加熱手段および圧力手段が溶融ポリマー(I)の射出である場合、前記溶融ポリマー(I)は前記層(1)に接着する。
【0092】
有利には、この第1の変形において、組成物(CPO)を含むフィルムは上文に定義された厚さを有する単層フィルム(F1)である。
【0093】
単層フィルム(F1)の場合には、フィルムの厚さに依存して、テクスチャ加工要素(T)はまた、単層フィルム(F1)の前記層(1)の内側表面に複製することができる。
【0094】
射出による前記加熱手段および前記圧力手段の溶融ポリマー(I)の適用によって、前記単層フィルム(F1)の層(1)を前記テクスチャ加工要素(T)に接するように配置することを可能にし、それによって、このフィルム(F1)(組成物(CPO)を含む)がテクスチャ加工要素(T)の型穴をとることができるように前記テクスチャ加工要素(T)が前記単層フィルムの層(1)に十分に深く浸透することを可能にするが、しかし、組成物(CPO)を溶かし、そうしてテクスチャ加工要素(T)に過度に結合するという程度ではない。
【0095】
同時に、ポリマー(I)は前記フィルム(F1)の前記層(1)に十分に接着するが、しかし、(I)の溶融状態の温度は高すぎないのでフィルムは溶けないかまたは部分的にも溶けず、その結果、損傷または変形し過ぎない。
【0096】
有利には、(I)の溶融状態の温度Tinjは、Tm+20℃とTm+100℃との間である。
【0097】
一実施形態において、前記単層フィルム(F1)の厚さは、100μmと1000μmとの間、特に10と500μm未満との間、殊に10μmと200μm未満との間である。
【0098】
有利には、前記テクスチャ加工要素(T)に接するように意図される組成物(CPO)を含む前記単層フィルム(F1)の層(1)の温度は、10と500μm未満との間、殊に10μmと200μm未満との間の厚さにわたって上文に定義した温度(TT)である。
【0099】
有利には、前記テクスチャ加工要素(T)に接するように意図される表面と反対側の組成物(CPO)を含む前記フィルムの層(1)の温度は、前記単層フィルム(F1)の前記層(1)の厚さの20%にわたってTm-25℃以上である。
【0100】
溶融状態のポリマー(I)は、それが150℃と350℃との間の溶融状態にあり得る限り、任意の熱可塑性ポリマーであってよい。
【0101】
有利には、溶融状態のポリマー(I)の温度は、200℃と280℃との間であり、ポリマーは、前記フィルム(F1)の層(1)と接着するポリマーであり、特に、これは、9以上の炭素数を有する50%を超えるポリアミドに基づくポリアミド組成物である。
【0102】
一実施形態において、溶融状態(I)のポリマーは、溶融状態のポリマーとフィルム(F1)の層(1)との間の良好な接着を得るために、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、ポリウレタン熱可塑性プラスチック(TPU)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカルボネート(PC)、PA610、612、11、12、C9 PAおよびコポリアミド、PAアロイ、ポリフタルアミド、透明な非晶質PA、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)などのポリマーに基づく組成物から選択される。
【0103】
有利には、ポリマー(I)は、ポリアミド、殊に脂肪族ポリアミドであり、殊に、PA11、PA12、PA1012、PA1010、PA612およびPA610から、特にPA11およびPA12から選択され、殊に、ポリマー(I)はPA11である。
【0104】
本出願によると、用語「ポリアミド」はまたPAを表わし、ポリアミドが主要構成分であることを条件にして、(F)が- ホモポリマー(またはホモポリアミド)、- 異なるアミド単位に基づく、共重合体またはコポリアミド、- ポリアミドアロイと関連するフィルムの層(1)の半結晶性ポリアミド(Psc)の定義を除く。
【0105】
好ましくはないが、本発明の範囲の一部を形成する広義のコポリアミドのカテゴリーもまたある。これらは、アミド単位(主成分であるので、それらは広義のコポリアミドと見なされるはずである。)のみでなく、また非アミド性の単位、例えばエーテル単位も含むコポリアミドである。最もよく知られている例は、PEBA、すなわちポリエーテルブロック-アミド、およびそれらのコポリアミド-エステル-エーテル、コポリアミド-エーテルまたはコポリアミド-エステルの変形である。これらの中でも、ポリアミド単位がPA12のものと同じであるPEBA-12、ポリアミド単位がPA612のものと同じであるPEBA-612を挙げることができる。
【0106】
ポリアミドを定義するために使用される命名法は、ISO standard 1874-1:1992 “Plastics-- Polyamide (PA) molding and extrusion materials-- Part 1: Designation”、特に3頁(表1および表2)に記載され、当業者にはよく知られている。
【0107】
第2の変形において、前記加熱手段および圧力手段が溶融ポリマー(I)の射出である場合、前記溶融ポリマー(I)は、前記半結晶性ポリアミド(Psc)に対する接着力がない。
【0108】
有利には、この第2の変形において、半結晶性ポリアミド(Psc)の前記フィルムは、20μmと1000μmとの間、特に50μmと200μm未満との間の厚さを有する少なくとも1つの層(1)、および溶融ポリマー(I)と接着することができる少なくとも1つの層(2)を含む多層フィルム(F2)である。
【0109】
有利には、ポリマー(I)は、ポリアミド、殊に脂肪族ポリアミドであり、殊に、PA11、PA12、PA1012、PA1010、PA612およびPA610から、特にPA11およびPA12から選択され、殊にポリマー(I)はPA11である。
【0110】
したがって、この第2の変形において、前記多層フィルム(F2)が、層(1)および層(2)が互いに接着する少なくとも2つの層を含み、テクスチャ加工要素(T)に接する層は、前記半結晶性ポリアミド(Psc)を含む組成物を含む層(1)であることを特徴とする第1の実施形態がある。
【0111】
この場合、層(2)は、層(1)に接着する、ポリアミド、殊に脂肪族、特にコポリアミド、殊にPA11/6を含む組成物を含んでもよい。
【0112】
層(1)および(2)が同一ではないことは明白である。
【0113】
溶融状態のポリマー(I)は、それが150℃と350℃との間の溶融状態であり得る限り、任意の熱可塑性ポリマーであってよい。
【0114】
有利には、溶融状態のポリマーの温度は、200℃と280℃との間であり、ポリマーは、前記フィルム(F1)の層(1)と接着するポリマーであり、特にこれは、9以上の炭素数を有する50%を超えるポリアミドに基づくポリアミド組成物である。
【0115】
一実施形態において、溶融状態のポリマーは、溶融状態のポリマーとフィルム(F2)の層(2)との間の良好な接着を得るために、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、ポリウレタン熱可塑性プラスチック(TPU)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカルボネート(PC)、PA610、612、11、12、C9 PAおよびコポリアミド、PAアロイ、ポリフタルアミド、透明な非晶質PA、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)から選択される。
【0116】
有利には、層(2)は、層(1)に接着するポリアミド、殊に脂肪族、特にコポリアミド、殊にPA11/6を含む組成物からなる。
【0117】
前記組成物は、層(1)に関してアロイ、ブレンド、複合材であってよい。
【0118】
それは、当業者によって従来通り使用される添加剤、殊に可塑剤、安定剤、色素、鉱物充填剤、混和性、相溶性の、または第三成分によって相溶化される他のポリマーを含むことができる。
【0119】
有利には、上文に定義された前記溶融ポリマー(I)は、テクスチャ加工要素(T)に接する層(1)と反対側に位置する層(2)に接着する。
【0120】
有利には、層(2)に接着する、上文に定義された前記溶融ポリマー(I)は、ポリアミド、特に脂肪族、殊に1窒素原子当たり5と7との間の平均炭素原子数を有するものである。
【0121】
溶融ポリマー(I)の射出による前記加熱手段および前記圧力手段の適用によって、前記多層フィルム(F2)の層(1)を前記テクスチャ加工要素(T)に接触させることを可能にし、それによって、前記テクスチャ加工要素(T)が前記多層フィルムの層(1)にそれがテクスチャ加工要素(T)の型穴をとることができるように十分に深く浸透することを可能にするが、しかし、組成物(CPO)を溶かし、そうしてテクスチャ加工要素(T)に過度に結合するという程度ではない。
【0122】
同時に、ポリマー(I)は、前記フィルム(F2)の層(2)に十分に接着するが、しかし(I)の溶融状態の温度は、しかしながら高すぎず、その結果、クリープによって前記フィルム(F2)の層(2)を過度に変形することを避ける。
【0123】
この第2の変形において、前記多層フィルム(F2)が少なくとも2つの層(1)および(2)を含み、テクスチャ加工要素(T)に接する層は組成物(CPO)を含む層(1)であり、2つの層(1)および(2)は互いに接着せず、層(1)と(2)との間の接着を可能にする、少なくとも1つの第3の層(3)をその間に含むことを特徴とする第2の実施形態がある。
【0124】
層(3)は接着性組成物、殊に、少なくとも1つのポリアミドに基づく組成物、特に以下の組成物:
- 4と8.5との間、有利には4と7との間のCAと表わされる1窒素原子当たりの平均炭素原子数を有する、Aと表わされる少なくとも1つのポリアミド;
- 180℃以上の融解温度を有し、7と10との間、有利には7.5と9.5との間のCBと表わされる1窒素原子当たりの平均炭素原子数を有する、Bと表わされる少なくとも1つのポリアミド
- 9と18との間、有利には10と18との間のCCと表わされる1窒素原子当たりの平均炭素原子数を有する、Cと表わされる少なくとも1つのポリアミドであってよく;
前記組成物の少なくとも50重量%は、ポリアミドA、BおよびCから選択される1つまたは複数のポリアミドから形成され、
前記組成物の内部のこれらのポリアミドの融解エンタルピーの加重平均量は、25J/g(DSC)を超え、ポリアミドA、BおよびCの1窒素原子当たりの平均炭素原子数は、さらに以下の厳密な不等式を満たす:CA<CB<CC。
【0125】
有利には、上文に定義された前記溶融ポリマー(I)は、テクスチャ加工要素(T)に接する層(1)に接している層(3)と反対側に位置する層(2)に接着する。
【0126】
前記層(2)は、したがって層(1)および層(2)の接着を可能にする層(3)に接している。
【0127】
溶融ポリマー(I)の射出による、前記加熱手段および前記圧力手段の適用によって、前記多層フィルム(F2)の層(1)を前記テクスチャ加工要素(T)に接触させることを可能にし、それによって、前記テクスチャ加工要素(T)が前記多層フィルムの層(1)にそれがテクスチャ加工要素(T)の型穴をとることができるように十分に深く浸透することを可能にするが、しかし、ポリアミド(Psc)に基づく組成物(CPO)を溶かし、そうしてテクスチャ加工要素(T)に過度に結合するという程度ではない。
【0128】
同時に、ポリマー(I)は、前記フィルム(F2)の層(2)に十分に接着するが、しかし(I)の溶融状態の温度は高すぎず、その結果、クリープによって前記フィルム(F2)の層(2)を変形することを避ける。
【0129】
有利には、層(2)に接着する、上文に定義された前記溶融ポリマー(I)は、ポリアミド、特に脂肪族、殊に1窒素原子当たり5と7との間の平均炭素原子数を有するものである。
【0130】
一実施形態において、前記テクスチャ加工要素(T)に接するように意図される層(1)は、工程dの間、前記フィルムの5と50%との間の厚さにわたってテクスチャ加工材(T)に面する側で層(1)の組成物の温度(TT)、好ましくは前記半結晶性ポリアミド(Psc)のTgとTm-15℃との間であり、TgはISO 11357-2:2013に従って、TmはISO 11357-3:2013に従って決定される。
【0131】
5%の厚さ未満では、前記フィルムの層(1)はテクスチャ加工要素(T)の組立表面を複製することができるほど十分な温度でない。
【0132】
50%の厚さを超えると、層(1)と単層フィルム(F1)の溶融ポリマー(I)、または多層フィルム(F2)の層(1)と(2)、または多層フィルム(F2)の層(1)、(3)と(2)との間、またはさらに層(2)と多層フィルム(F2)の溶融ポリマー(I)との間の良好な接着には、前記フィルムの温度は相当な厚さにわたって低過ぎる。有利には、層(1)の組成物は、標準ISO 13468-2:2006に従って決定されて、1mmの厚さを有するプレート上で560nmの透過率が80%以上、特に88%以上であるような透明性を有する。
【0133】
有利には、層(1)の組成物および場合によって、前記半結晶性ポリアミド(Psc)もまた、30と50J/gとの間の溶融エンタルピーを有する(ISO 11357-3:2013に従って40℃/分での第1回目のDSC加熱)。
【0134】
有利には、層(1)の組成物は、1mmの厚さを有するプレートで560nmでの透過率が、規格ISO 13468-2:2006に従って決定されて80%以上、特に88%以上であるような透明性を有し、溶融エンタルピーは30と50J/gとの間である(ISO 11357-3:2013に従って40℃/分での第1回目のDSC加熱)。
【0135】
一実施形態において、組成物(CPO)(および場合によって、前記少なくとも1つの半結晶性ポリアミド(Psc))は、そのガラス転移温度(Tg)がISO 11357-2:2013に従って決定されて30と120℃との間、好ましくは60℃と90℃との間にあり、その融解温度(Tm)はISO 11357-3:2013に従って決定されて150℃と330℃との間、好ましくは150℃と200℃との間にあるようなものである。
【0136】
有利には、前記単層(F1)フィルムまたは多層(F2)フィルムの層(1)は、合計100重量%で:
- 脂環式ジアミンおよび脂肪族ジアミンから選択される少なくとも1つのジアミンと、ジアミンまたは二酸単位の少なくとも1つが脂環式である、脂環式ジアミンおよび脂肪族二酸から選択される少なくとも1つの二酸との、
- または脂環式アルファオメガアミノカルボン酸との、
- またはこれらの2つの可能性の組み合わせとの、
ならびに任意選択に、アルファオメガアミノカルボン酸または任意選択のマッチするラクタム、脂肪族二酸および脂肪族ジアミンから選択される少なくとも1つのモノマーのいずれかの縮合に基本的に起因する5~40重量%の非晶質ポリアミド(B)、
- ポリアミドおよびポリエーテルブロック共重合体およびコポリアミドから選択される0~40%の可撓性ポリアミド(C)、
- (Psc)および(B)の0~20%の相溶化剤(D)、
- 0~40%の可撓性改質剤(MS)、
- 0~20%の添加剤(A)、
を含み、(C)+(D)+(MS)が0と50%との間であるという条件であり、
- 100%の残りが、(Psc)+(B)+(C)+(D)の合計に関して主成分である半結晶性ポリアミド(Psc)である、
透明な組成物からなる。
【0137】
有利には、前記単層(F1)フィルムまたは多層(F2)フィルムの層(1)は、合計100重量%で:
- 場合によって脂環式の少なくとも1つのジアミンと、少なくとも1つの芳香族二酸との、および任意選択的に、
- アルファオメガアミノカルボン酸と、
- 脂肪族二酸と、
- 脂肪族ジアミンから選択される少なくとも1つのモノマーの縮合に基本的に起因する5~40%の非晶質ポリアミド(B)、
- ポリアミドおよびポリエーテルブロック共重合体およびコポリアミドから選択される0~40%の可撓性ポリアミド(C)、
- (Psc)および(B)の0~20%の相溶化剤(D)、
- 0~20%の添加剤(A)、
を含み、(C)+(D)は0と50%との間であり、
(B)+(C)+(D)が30%以上という条件であり、
- 100%の残りが、(Psc)+(B)+(C)+(D)の合計に関して主成分である半結晶性ポリアミド(Psc)である、
透明な組成物からなる。
【0138】
有利には、ポリアミド(Psc)は、PA11、PA12、PA1012、PA1010、PA612およびPA610から特にPA11およびPA12から選択され、特に、ポリアミド(Psc)はPA11である。
【0139】
別の実施形態において、第1と異なる第2のテクスチャ加工要素(T’)は、第1のテクスチャ加工要素(T)と型との間に存在し、前記第2のテクスチャ加工要素(T’)は少なくとも部分的に前記第1のテクスチャ加工要素(T)をカバーする。
【0140】
それは、例えば、上文に定義された前記物体を製作する会社のロゴであってよい。この場合、第2のテクスチャ加工要素(T’)は、部分的にのみ前記第1のテクスチャ加工要素(T)をカバーすることは明白である。
【0141】
一実施形態において、場合によって、上文に定義された工程eにおいて得られた前記物体は、非テクスチャ加工側を用いて構成基材を被覆する。
【0142】
用語「被覆する」はまた、「カバーする」、「あてがう」、「重ねる」、「貼り付ける」または「飾る」を意味する。
【0143】
別の態様によると、本発明は、上文に定義された方法に従って得られた物体に関する。
【0144】
別の態様によると、本発明は、上文に定義された少なくとも1つの物体を含む部品に関する。
【0145】
部品は、自動車(ドア、コンソールなど)のインテリアであってよい。また、それは、上文に定義されたフィルムを用いてカバーされた木材のパネル(など)である「木製パネル」の部品であってよく、木材のイメージ(昇華またはスクリーン印刷による装飾)、および木材の感触(暖かい状態の木材などのテクスチャ加工材による)を有し、しかも、PA11などのポリアミドの耐久力を有し、要するにその利点のすべてを有し欠点の無い木材である。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【
図1】型(M)、テクスチャ加工材(T)、フィルム(F)、圧力手段(H)ならびに温度(TI)および(TT)を含む本発明の方法の一般的なダイヤグラムを記載し、(TI)は、テクスチャ加工されるものと反対側のフィルムの表面の温度であり、(TT)は前もって定義されている。
【実施例】
【0147】
実施例1:単層フィルムを用いる代表的な一般法
実施例1-a:織物テクスチャ加工材
350トンの射出プレスを使用し、射出スクリューの温度は、スクリューの最終加熱ゾーンで250℃に設定する。規格ISO 307:2007に従って、ただし、硫酸の代わりにm-クレゾールを使用する、m-クレゾール中、20℃の温度および0.5重量%の濃度で測定した固有粘度1.0を有するポリアミドPA12を、車のリヤドアの内部パネルに対応する型(M)に射出する。
工程(a):
【0148】
型をまず60℃に設定する。
【0149】
すべての射出型と同様に、この型は2つの部分からなる:固定部、射出ポイントが位置する一部でもある射出スクリューに最も近い部分、型の可動部、型を開けられるようにしてある部分、この部分は、射出スクリューから最も遠くにある。
【0150】
この部分は典型的には部品の前面を成形することを可能にするものである。(それは目に見える: 自動車のインテリアパネル)。型のこの部分は型(M)に関するものである。
工程(b):
【0151】
従来の射出サイクルでのような型にポリマーを直ちに射出する代わりに、平面形状を有する1片の織物であり、およそ0.5mmの厚さを有するテクスチャ加工材(T)を、型(M)の底(したがってその可動部に)に配置する。織物を型(M)の可動部の全表面に貼り付けることができるように、それを切断する。
工程(c):
【0152】
65重量%のPA12 Mw 45000~55000、
25重量%のCoPA IPD.10/12(重量比:80/20)、
10%のMw 45000~55000を有し、0.3%のリン酸を含有するPA 11からなる組成物CPOを含む、150μmの厚さを有する単層フィルム(またはシート)(F)を、型中、織物(テクスチャ加工材T)上に配置する。
【0153】
240℃に加熱した押出機からなる従来のフィルムカレンダーラインでの実施によってフィルムを先立って得、押出機の出口で溶融ポリマーを、40℃に加熱したカレンダーロールの作用によってフィルムに成形する。
【0154】
接続面から数mm突き出るように、フィルムもまた切断し、射出プロセスの後で少なくとも型の全表面をカバーすることができるようにする。
工程(d):
【0155】
次いで、型を閉じ、385cm3/秒の流速で固有粘度1.0を有するPA12を型に射出し、射出スクリューを250℃の天井温度に設定する。型に充填したら、圧力を印加し、10秒の時間、250バールの圧力を維持した。この圧力はフィルム(F)をテクスチャ加工材(T)にプレスし、この2つは、型(M)の底部に対してプレスされる。フィルム(F)およびテクスチャ加工材(T)は、型の形状とマッチし、フィルム(F)は、テクスチャ加工材(T)のテクスチャとマッチし複製する。
【0156】
次いで、型を冷却時間40秒で放冷し、これで工程(d)が終了する。
工程(e):
【0157】
冷却後に、型を開ける。
【0158】
物体「車のリヤドアのインテリアパネル」は、回収され、フィルム(F)でカバーされたPA12(今は1.5mmの厚さを有する固体状態の)からなる。フィルム(F)は、PA12で作製された部品に、それらの間の接着が良好であるので堅固に接続している。
【0159】
テクスチャ加工材(T)は、フィルム(F)に接着せず、それ自体でずり落ちるか、または、容易に手で取り除くことができる。テクスチャ加工材Tは、フィルムFの目に見える側(外側)にその型穴を残し、このようにして、その模様およびとりわけその感触を複製し、物体に「車のリヤドアのインテリアパネル」、もはや典型的なプラスチック物体のそれではなくむしろ高品質の物体のそれである模様を与え、実際の織物で貼り付けまたはカバーされているように見える。
実施例1-b:
【0160】
実施例1の1つの変形は、好ましくはテクスチャ加工を意図する面と反対面であるフィルム(F)の面へのイメージ、視覚的な装飾の転写からなる昇華またはスクリーン印刷技法による、フィルム(F)の先の視覚的な装飾からなる(カレンダー加工による製造の後、および射出プレスの型にそれを配置する前に)。イメージは、テクスチャ加工材(T)の構成要素となる織物の写真に対応するものであってよい。
1-b-1:
【0161】
テクスチャ加工材は、例えば有色印刷された織物であってよい。したがって、テクスチャ加工材の感触だけでなくその視覚的な模様も、この織物のイメージを用いてフィルム(F)を前もって(視覚的に)装飾したので、物体に複製されている。したがって、織物テクスチャ加工材の視覚触覚的な模様は複製されている。したがって、より完全な触覚型の感覚が得られる。実際の織物に関する利点は、織物(布地)より物理的、化学的にはるかに大きいフィルム(F)の耐久力である。
1-b-2:
【0162】
フィルム上に視覚的な木材装飾もまたあってもよく、この目的に対して、木材の薄いシートであるテクスチャ加工材が使用される。
【0163】
結果は視覚触覚的な意味で木材に似ている物体である。
実施例1-c
【0164】
さらにより大きな耐久力については、本発明者らは、150μmの代わりに600μmのフィルムの例を考慮に入れることができる。この厚さは、型の形状とのマッチがより困難になり得る。それを型の形状とより良好にマッチさせるために、前もって粗く型の形状とマッチさせて先立って厚いフィルムを成形することができる。この目的に対して、テクスチャ加工材(T)およびフィルム(F)を配置し結合した後、すなわち工程(c)の後に、かつPA12を射出するために型を閉じる前に工程、100℃(赤外線放射温度計によって測定して)であるそのTgより上にフィルム(F)を加熱する赤外線加熱ストリップの用意からなる工程を実行し、少なくとも3秒間、次いで真空ポンプを使用して負圧を型の底部に適用し、型の底部上に軟化したフィルム(F)を少なくとも粗くまたは部分的に吸引する。
【0165】
次いで、プロセスではその経路を再開し、型を閉じ、溶融PA12を射出し、既に記載したように、プロセスでフィルムが完全にそれとマッチするように、フィルムを型の底部に押しつけ終えることができ、テクスチャ加工材(T)とマッチし、そのテクスチャを複製する。
実施例1-d;
【0166】
テクスチャ加工材:吸い取り紙。
【0167】
実施例1-aは、0.3mmの厚さを有する吸い取り紙のテクスチャ加工材を使用して複製した。
実施例1-e
【0168】
テクスチャ加工材:木の葉などの植物
【0169】
実施例1-aは、最も厚い部品においておよそ6mmの厚さを有する木の葉のテクスチャ加工材を使用して複製する。
実施例1-f
【0170】
2つのテクスチャ加工材:吸い取り紙上の、木の葉などの植物
【0171】
実施例1-aを、第2の吸い取り紙のテクスチャ加工材と、実施例1eの木の葉のテクスチャ加工材を使用して複製する。
【0172】
木の葉(テクスチャ加工材1番)を、吸い取り紙(テクスチャ加工材2番)の上に配置し、木の葉をフィルムの面に置く。したがって、吸い取り紙の地に木の葉の複製が得られる。
実施例2:層(1)および層(2)を含む多層フィルムを用いる代表的な一般法
実施例2-a:層(1)および層(2)の接着
【0173】
実施例1-aを再現するが、工程(c)において、実施例1に定義された組成物CPOを含む層(1)を含み、しかし50μmの厚さを有し、純粋なポリアミドPA12の層(2)からなり、100μmの厚さを有する多層フィルム(F)を、型中に、かつ織物(テクスチャ加工材T)の上に配置し、層(1)は、テクスチャ加工材Tに接しているという差異がある。
【0174】
工程(d)および(e)は実施例1-aのそれと同一である。
実施例2-a:接着しない層(1)および層(2)
【0175】
実施例1-aを再現するが、工程(c)において、実施例1に定義された組成物CPOを含む層(1)を含み、しかし50μmの厚さを有し、バインダーの層は、0.6%の無水マレイン酸を含むグラフト化PE(密度0.96g/cm3、MFI、メルトフローインデックス、2の2.16kg下の190℃で規格ASTM 1238に従って測定)からなり、100μmの厚さを有し、型中に、かつ織物(テクスチャ加工材T)の上に配置し、層(1)は、テクスチャ加工材Tに接しているという差異がある。
【0176】
工程(d)において、0.96の密度を有し、2の2.16kg下の190℃で規格ASTM 1238に従って測定してMFIを有するHDPEを、実施例1a(工程d)のPA12と同一条件下溶融状態で射出する。
実施例3:圧縮型
【0177】
2枚の加熱可能な平坦な板を有する圧縮型を使用する。板の温度を150℃に設定する。テクスチャ加工材および実施例1aのフィルムが含まれている。フィルムにテクスチャ加工材を配置し、両方を2枚の板の間に挟み、次いで、1分間50バールの圧力下に置く。フィルムが扱うことができるほど冷えたら、テクスチャ加工材を取り除くことは容易である。次いで、フィルム上の織物の型穴、ならびにテクスチャ加工材のそれと同じように思える感触が見られる。
反証例1:織物の視覚触覚的構成
【0178】
当業者は、国際公開第06/008358号の24ページの構成の視覚触覚的構成を複製することを試みた。
【0179】
提供される情報は温度(110℃)、圧力(20バール)および時間(5分)のみである。
【0180】
テクスチャ加工材の厚さは不明である。
【0181】
ポリアミドの組成は不明である。
【0182】
フィルムの厚さは不明である。
【0183】
国際公開第06/008358号に特許請求されている物体を得るためにこの実施例に記載されている方法の様々なパラメーターに対して与えられたデータを使用しても、当業者には不可能である。
反証例2:
【0184】
板の温度を30℃に設定するという点を除いて本発明の実施例3を再現する。次いで、織物の型穴は複製することができず、フィルムの感触はほとんど不変である。
反証例3:
【0185】
板の温度を250℃に設定するという点を除いて本発明の実施例3を再現する。織物はフィルムに結合し、フィルムから正しくそれを分離することは可能ではない。
反証例4:
【0186】
型を20℃に設定(工程a)し、工程dで圧力を2秒間のみ維持するということ以外、本発明の実施例1aを再現する。
【0187】
結果は否定的であり、したがって織物の型穴を再現することができず、フィルムの感触はほとんど不変である。