IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 花王株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-毛髪化粧料 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】毛髪化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/365 20060101AFI20241003BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20241003BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20241003BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A61K8/365
A61K8/46
A61K8/39
A61Q5/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022056672
(22)【出願日】2022-03-30
(65)【公開番号】P2022161851
(43)【公開日】2022-10-21
【審査請求日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】P 2021066588
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久米 希美
(72)【発明者】
【氏名】丹治 範文
【審査官】上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-186222(JP,A)
【文献】特開2017-119689(JP,A)
【文献】特開2012-236804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)~(C)を含有し、前記成分(A)の含有量が0.8質量%以上7.0質量%以下であり、前記成分(B)の含有量が1.5質量%以上6.0質量%以下であり、前記成分(C)の含有量が0.5質量%以上15.0質量%以下である、毛髪化粧料。
(A)リンゴ酸、クエン酸、コハク酸及び乳酸、並びにこれらの塩から選ばれる1種以上
(B)ナフタレンスルホン酸、キシレンスルホン酸、トルエンスルホン酸及びクメンスルホン酸、並びにこれらの塩から選ばれる1種以上
(C)ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びジエチレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる1種以上
【請求項2】
前記成分(B)が、2-ナフタレンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウム、p-トルエンスルホン酸ナトリウム及びp-クメンスルホン酸ナトリウムから選ばれる1種以上である、請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
前記成分(A)及び前記成分(C)の合計含有量に対する前記成分(B)の含有量の質量比[(B)/{(A)+(C)}]が、0.10以上3.00以下である、請求項1又は2に記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
前記成分(A)及び前記成分(B)の合計含有量に対する前記成分(A)の含有量の質量比[(A)/{(A)+(B)}]が、0.25以上0.85以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。
【請求項5】
シュリンク抑制剤である、請求項1~のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載の毛髪化粧料のシュリンク抑制のための使用。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項に記載の毛髪化粧料を毛髪に適用する工程と、前記毛髪
化粧料を適用した毛髪を水洗する工程とを有する、毛髪処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪化粧料の中には、毛髪のくせを緩和又は矯正したり、毛髪にはりやこしを与えたりする等の目的で使用される種類のものがある。
例えば、特許文献1には、所定の有機酸及び所定のスルホン酸を含むヘアトリートメント組成物が、くせ毛の矯正効果に優れていることが記載されている。
また、特許文献2には、有機溶剤及びナフタレンスルホン酸等を含む毛髪処理剤組成物によって、短時間の処理で毛髪に十分なはり/こしを付与し、その効果を持続できることが記載されている。
また、特許文献3には、カルボン酸による処理工程、放置工程、更に芳香族スルホン酸による処理工程を経る3工程からなる毛髪処理方法により、縮れ毛を緩和させ、縮れ毛の位相が揃い、まとまりをよくすることができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-92043号公報
【文献】特開平8-198732号公報
【文献】特開2017-119689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アフリカ系アメリカ人やコーカサス人等の強い縮れ毛を有する髪質の人は、整髪における更なる課題を抱えている。洗髪後の乾燥において、頭髪全体の幅が膨らみながら長さが縮む、いわゆるシュリンクが生じることである。加えて、毛髪の適正な弾力も損なわれ、理想的な髪型に整えることが非常に困難な場合も多い。そのため、整髪に多量の毛髪化粧料や時間、手間を要する等の苦労をしている。
【0005】
上記特許文献1~3に記載されている技術では、このような頭髪全体のシュリンクを抑制し、かつ、適度な弾力のある質感を付与する効果は、十分には得られなかった。
また、特許文献3に記載されている毛髪処理方法では、少なくとも3工程の処理が必要となり、煩雑で手間がかかるという課題も有していた。
【0006】
本発明は、洗浄後の乾燥における毛髪のシュリンクを抑制し、適度な弾力のある質感が得られ、特に、強い縮れ毛の効率的な整髪に適した毛髪化粧料に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、所定量の特定のカルボン酸又はその塩、芳香族スルホン酸又はその塩、並びに、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルを含有する毛髪化粧料が、毛髪のシュリンクを抑制し、かつ、適度な弾力のある質感を付与するのに有効であることを見出したことに基づく。
【0008】
すなわち、本発明は、下記[1]及び[2]に関する。
[1] 下記成分(A)~(C)を含有し、前記成分(A)の含有量が0.8質量%以上10.0質量%以下である、毛髪化粧料。
(A)ヒドロキシカルボン酸及びヒドロキシ基を有しない多価カルボン酸からなる群から選ばれる1種以上のカルボン酸、又はその塩
(B)芳香族スルホン酸又はその塩
(C)ジエチレングリコールモノアルキルエーテル
[2] [1]に記載の毛髪化粧料を毛髪に適用する工程と、前記毛髪化粧料を適用した毛髪を水洗する工程とを有する、毛髪処理方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の毛髪化粧料は、洗浄後の乾燥における毛髪のシュリンクを抑制し、適度な弾力のある質感を付与することができ、特に、強い縮れ毛の効率的な整髪に好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例における評価用毛束のシュリンク抑制評価を説明するための図であり、毛束の上端を固定して吊るした状態の正面から見た写真を図示したものである。(a)は湿潤状態の未処理の評価用毛束、(b)は未処理の評価用毛束の自然乾燥開始から90分経過時点、(c)は処理後の毛束の自然乾燥開始から90分経過時点を、それぞれ示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[毛髪化粧料]
本発明の毛髪化粧料は、下記成分(A)~(C)を含有し、成分(A)の含有量が0.8質量%以上10.0質量%以下である。
(A)ヒドロキシカルボン酸及びヒドロキシ基を有しない多価カルボン酸からなる群から選ばれる1種以上のカルボン酸、又はその塩
(B)芳香族スルホン酸又はその塩
(C)ジエチレングリコールモノアルキルエーテル
【0012】
本発明の毛髪化粧料は、洗浄後の乾燥における毛髪のシュリンクを抑制し、適度な弾力のある質感を付与することができる。このため、特に、強い縮れ毛の整髪において、要する時間や手間を削減することができ、好適に適用することができる。
【0013】
本発明の毛髪化粧料の態様としては、例えば、ヘアシャンプー等の毛髪洗浄剤、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック、ヘアスタイリング剤等が挙げられる。これらのうち、本発明の効果をより発揮させる観点から、洗髪後に使用されるものが好ましく、毛髪に馴染ませた後、濯いで使用される態様のものがより好ましい。この観点から、本発明の毛髪化粧料は、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック又はヘアスタイリング剤が好ましい。
本発明の毛髪化粧料の剤型は、例えば、液体状、泡状、ペースト状、クリーム状等の任意の剤型とすることができる。これらのうち、使用しやすさ等の観点から、液体状、ペースト状又はクリーム状であることが好ましく、液体状であることがより好ましい。
【0014】
本発明の毛髪化粧料による作用機構は明らかではないが、以下のように推測される。
成分(A)、成分(B)及び成分(C)の3成分を組み合わせることにより、洗髪から乾燥までの間、頭髪が、束を形成しながらまとまる機能が強化され、シュリンクをあまり生じない状態のまま乾燥が終了してセット(いわゆるウォーターセット)され、優れたシュリンク抑制効果が発現されると考えられる。
また、成分(B)が毛髪に弾力を与える効果を持ち、成分(A)と成分(C)が毛髪に柔軟性を与える効果を持つため、これら3成分を組み合わせることで、毛髪が適度な弾力を有するように容易に調整することができると考えられる。
このため、本発明の毛髪化粧料は、シュリンク抑制剤として好適に用いることができる。
なお、本発明において、「成分Xを含有している」とは、「成分Xが配合されてなる」ことと同義とみなすものとする。
【0015】
<成分(A)>
本発明の毛髪化粧料は、成分(A)として、ヒドロキシカルボン酸及びヒドロキシ基を有しない多価カルボン酸からなる群から選ばれる1種以上のカルボン酸、又はその塩を少なくとも含む。成分(A)は、これらのうちから選ばれる1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】
カルボン酸は、ヒドロキシカルボン酸及びヒドロキシ基を有しない多価カルボン酸からなる群から選ばれる1種以上である。
ヒドロキシカルボン酸としては、優れたシュリンク抑制効果及び適度な弾力性を得る観点から、炭素数2以上5以下のヒドロキシモノカルボン酸、炭素数3以上8以下のヒドロキシジカルボン酸及び炭素数3以上8以下のヒドロキシトリカルボン酸から選ばれる1種以上が好ましく、炭素数3以上8以下のヒドロキシジカルボン酸及び炭素数3以上8以下のヒドロキシトリカルボン酸から選ばれる1種以上がより好ましい。このようなヒドロキシカルボン酸の具体例としては、グリコール酸、ヒドロキシアクリル酸、オキシ酪酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、サリチル酸等が挙げられる。
ヒドロキシ基を有しない多価カルボン酸としては、優れたシュリンク抑制効果及び適度な弾力性を得る観点から、炭素数3以上8以下のヒドロキシ基を有しないジカルボン酸が好ましい。このようなヒドロキシ基を有しない多価カルボン酸の具体例としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等が挙げられる。
これらのカルボン酸の塩としては、カルボン酸の、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩等が挙げられる。
これらのうち、本発明の効果及び取り扱い容易性等の観点から、本発明の毛髪化粧料の成分(A)におけるカルボン酸としては、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸及び乳酸から選ばれる1種以上が好ましく、リンゴ酸及びクエン酸から選ばれる1種以上がより好ましく、リンゴ酸が更に好ましい。したがって、成分(A)としては、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸及び乳酸、並びにこれらの塩から選ばれる1種以上が好ましく、リンゴ酸及びクエン酸、並びにこれらの塩から選ばれる1種以上がより好ましく、リンゴ酸又はその塩が更に好ましい。成分(A)の好ましい具体例としては、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸、乳酸が挙げられ、これらのうち、リンゴ酸及びクエン酸から選ばれる1種以上がより好ましく、リンゴ酸が更に好ましい。
また、特に、成分(A)が炭素数3以上8以下のヒドロキシジカルボン酸及び炭素数3以上8以下のヒドロキシトリカルボン酸から選ばれる1種以上のカルボン酸又はその塩を含む場合、優れたシュリンク抑制効果及び適度な弾力性を得る観点から、本発明の毛髪化粧料の成分(A)中の炭素数3以上8以下のヒドロキシジカルボン酸及び炭素数3以上8以下のヒドロキシトリカルボン酸から選ばれる1種以上のカルボン酸又はその塩の含有量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
また、特に、成分(A)がリンゴ酸及びクエン酸から選ばれる1種以上のカルボン酸又はその塩を含む場合、優れたシュリンク抑制効果及び適度な弾力性を得る観点から、本発明の毛髪化粧料の成分(A)中のリンゴ酸及びクエン酸から選ばれる1種以上のカルボン酸又はその塩の含有量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
【0017】
<成分(B)>
本発明の毛髪化粧料は、成分(B)として、芳香族スルホン酸又はその塩を少なくとも含み、これらのうちから選ばれる1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
芳香族スルホン酸としては、例えば、ナフタレンスルホン酸類、ベンゼンスルホン酸類、アズレンスルホン酸類等が挙げられる。
ナフタレンスルホン酸類の具体例としては、1-ナフタレンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、2,7-ナフタレンジスルホン酸、1,5-ナフタレンジスルホン酸、2,6-ナフタレンジスルホン酸、1,3,6-ナフタレントリスルホン酸、3,6-ジヒドロキシナフタレン-2,7-ジスルホン酸、6-メチル-2-ナフタレンスルホン酸、4-エチル-1-ナフタレンスルホン酸、5-イソプロピル-1-ナフタレンスルホン酸、5-ブチル-2-ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。
ベンゼンスルホン酸類の具体例としては、ベンゼンスルホン酸、p-エチルベンゼンスルホン酸、2,4,6-トリメチルベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸、o-トルエンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、p-クメンスルホン酸等が挙げられる。
アズレンスルホン酸の具体例としては、1-アズレンスルホン酸、グアイアズレンスルホン酸、3-メチル-7-イソプロピル-1-アズレンスルホン酸、7-イソプロピル-1-アズレンスルホン酸、3-フェニル-6-イソプロピル-1-アズレンスルホン酸、1,4-ジメチル-7-イソプロピル-2-アズレンスルホン酸、1,3-アズレンジスルホン酸、4,6,8-トリメチル-1,3-アズレンジスルホン酸、1,3-ビス(1,1-ジメチルエチル)-5,7-アズレンジスルホン酸、1,3-ビス(1,1-ジメチルエチル)-5-アズレンスルホン酸等が挙げられる。
これらの芳香族スルホン酸の塩としては、芳香族スルホン酸の、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩等が挙げられる。
これらのうち、本発明の毛髪化粧料の成分(B)の芳香族スルホン酸としては、本発明の効果及び取り扱い容易性等の観点から、ナフタレンスルホン酸類及びベンゼンスルホン酸類から選ばれる1種以上が好ましく、ナフタレンスルホン酸、キシレンスルホン酸、トルエンスルホン酸及びクメンスルホン酸から選ばれる1種以上がより好ましく、ナフタレンスルホン酸及びキシレンスルホン酸から選ばれる1種以上が更に好ましく、ナフタレンスルホン酸がより更に好ましい。したがって、成分(B)は、ナフタレンスルホン酸類及びベンゼンスルホン酸類、並びにこれらの塩から選ばれる1種以上が好ましく、ナフタレンスルホン酸、キシレンスルホン酸、トルエンスルホン酸及びクメンスルホン酸、並びにこれらの塩から選ばれる1種以上がより好ましく、ナフタレンスルホン酸及びキシレンスルホン酸、並びにこれらの塩から選ばれる1種以上が更に好ましく、ナフタレンスルホン酸及びその塩から選ばれる1種以上がより更に好ましい。成分(B)の好ましい具体例としては、2-ナフタレンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウム、p-トルエンスルホン酸ナトリウム、p-クメンスルホン酸ナトリウムが挙げられ、これらのうち、2-ナフタレンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウム、p-トルエンスルホン酸ナトリウムがより好ましく、2-ナフタレンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウムがより好ましく、2-ナフタレンスルホン酸ナトリウムが更に好ましい。
【0019】
<成分(C)>
本発明の毛髪化粧料は、成分(C)として、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルを含み、これらのうちから選ばれる1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
ジエチレングリコールモノアルキルエーテルの末端アルキル基は、本発明の効果及び成分(C)の親水性等の観点から、炭素数2以上6以下のアルキル基であることが好ましく、炭素数2以上4以下のアルキル基がより好ましい。具体的には、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びジエチレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる1種以上が好ましく、ジエチレングリコールモノエチルエーテルがより好ましい。
【0021】
<各成分の含有量>
本発明の毛髪化粧料中の成分(A)の含有量は、毛髪への適度な弾力のある質感を付与しつつ、毛髪のシュリンクを抑制する観点から、0.8質量%以上であり、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上であり、そして、10.0質量%以下であり、好ましくは8.0質量%以下、より好ましくは7.0質量%以下である。これらの観点を総合すると、毛髪化粧料中の成分(A)の含有量は、0.8質量%以上10.0質量%以下であり、好ましくは1.0質量%以上8.0質量%以下、より好ましくは2.5質量%以上6.0質量%以下である。
なお、毛髪化粧料中の成分(A)の含有量は、成分(A)が塩である場合は、酸換算量で表すものとする。
【0022】
本発明の毛髪化粧料中の成分(B)の含有量は、毛髪に適度な弾力のある質感を付与する観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上であり、そして、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは8.0質量%以下、更に好ましくは6.0質量%以下である。これらの観点を総合すると、毛髪化粧料中の成分(B)の含有量は、好ましくは0.5質量%以上10.0質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以上8.0質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以上6.0質量%以下である。
なお、毛髪化粧料中の成分(B)の含有量は、成分(B)が塩である場合は、塩換算量で表すものとする。
【0023】
本発明の毛髪化粧料中の成分(C)の含有量は、毛髪のシュリンク抑制効果の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、そして、好ましくは25.0質量%以下、より好ましくは20.0質量%以下、更に好ましくは15.0質量%以下である。これらの観点を総合すると、毛髪化粧料中の成分(C)の含有量は、好ましくは0.1質量%以上25.0質量%以下であり、より好ましくは0.2質量%以上20.0質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以上15.0質量%以下である。
【0024】
本発明の毛髪化粧料は、毛髪のシュリンクの抑制、及び、適度な弾力のある質感の付与の両効果を兼ね備える観点から、成分(A)及び成分(C)の合計含有量に対する成分(B)の含有量の質量比[(B)/{(A)+(C)}]が、好ましくは0.10以上、より好ましくは0.15以上であり、更に好ましくは0.18以上であり、そして、好ましくは3.00以下、より好ましくは2.00以下、更に好ましくは1.00以下である。前記質量比[(B)/{(A)+(C)}]は、好ましくは0.10以上3.00以下、より好ましくは0.15以上2.00以下、更に好ましくは0.18以上1.00以下である。
【0025】
本発明の毛髪化粧料は、毛髪のシュリンクの抑制、及び、適度な弾力のある質感の付与の両効果を兼ね備える観点から、成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(A)の含有量の質量比[(A)/{(A)+(B)}]が、好ましくは0.25以上、より好ましくは0.28以上、更に好ましくは0.30以上であり、そして、好ましくは0.85以下、より好ましくは0.80以下、更に好ましくは0.75以下である。前記質量比[(A)/{(A)+(B)}]は、好ましくは0.25以上0.85以下、より好ましくは0.28以上0.80以下、更に好ましくは0.30以上0.75以下である。
【0026】
本発明の毛髪化粧料中の成分(A)~(C)の合計含有量は、本発明の効果を十分に発揮させる観点から、好ましくは7.5質量%以上、より好ましくは8.0質量%以上、更に好ましくは8.5質量%以上であり、そして、好ましくは30.0質量%以下、より好ましくは25.0質量%以下、更に好ましくは20.0質量%以下である。これらの観点を総合すると、毛髪化粧料中の成分(A)~(C)の合計含有量は、好ましくは7.5質量%以上30.0質量%以下であり、より好ましくは8.0質量%以上25.0質量%以下、更に好ましくは8.5質量%以上20.0質量%以下である。
【0027】
<他の成分>
本発明の毛髪化粧料には、その態様や剤型等に応じて、ハンドリング性及び成分(A)~(C)の作用効果を発揮させやすいようにする等の観点から、水性媒体を含有させることができる。
水性媒体としては、例えば、水、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;1,3-ブチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の炭素数6以下の低分子ジオール及びトリオール等が挙げられる。これらのうち、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0028】
また、本発明の毛髪化粧料には、例えば、pH調整剤、芳香族アルコール、界面活性剤、酸化防止剤、油剤、ビタミン剤、殺菌剤、抗炎症剤、抗フケ剤、防腐剤、キレート剤、保湿剤、パール剤、セラミド類、香料、紫外線吸収剤等の他の成分を更に含有させることもできる。
【0029】
<製造方法>
本発明の毛髪化粧料は、常法により製造することができる。例えば、成分(A)~(C)及び必要に応じて他の成分を配合し、公知の撹拌装置等を用いて混合することにより製造できる。
本発明の毛髪化粧料のpHは、毛髪化粧料として一般的に使用できる範囲であれば特に限定されるものではないが、毛髪や頭皮へのダメージを抑制して本発明の効果を奏しやすくする観点から、酸又は塩基の添加により、好ましくは3.0以上8.0以下であり、より好ましくは3.2以上7.0以下、更に好ましくは3.3以上6.0以下に調整される。
【0030】
[毛髪処理方法]
本発明の毛髪処理方法は、上記の本発明の毛髪化粧料を毛髪に適用する工程を有する。
毛髪化粧料を毛髪に適用する方法としては、例えば、毛髪に、塗布、噴霧又は流延したり、毛髪を毛髪化粧料に浸漬させる等の方法が挙げられる。適用する毛髪は、乾いていても、湿っていてもよく、好ましくは、ブラシや櫛等で毛髪をとかした後、洗髪して濡れた状態である。毛髪化粧料の適用は、手で塗りつけたり、揉み込んだりしてもよく、また、ブラシや櫛等を用いて行ってもよい。また、毛髪化粧料を適用する毛髪は、頭髪の全部であってもよく、その一部であってもよい。
毛髪に対する毛髪化粧料の適用量は、適用する毛髪の質量に対する浴比(毛髪化粧料の質量/適用する毛髪の質量)で、好ましくは0.03以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.2以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは12以下である。
【0031】
前記工程の後、毛髪化粧料を適用した毛髪を水洗する工程を経ることが好ましい。この場合、毛髪に毛髪化粧料を十分に馴染ませるために、毛髪化粧料を適用後、水洗までに、放置時間を設定することが好ましい。放置時間は、好ましくは15秒間以上、より好ましくは30秒間以上、さらに好ましくは1分間以上であり、そして、好ましくは60分間以下、より好ましくは30分間以下、さらに好ましくは20分間以下である。放置中は、水分の蒸発を抑制するために、毛髪化粧料を適用した毛髪を、プラスチックフィルムやキャップ等で覆うようにすることも好ましい。
水洗は、毛髪表面の過剰な毛髪化粧料を除去できればよく、濯ぎ洗いが好ましい。水洗時間は、好ましくは5秒間以上3分間以下である。水の温度は、身体に負担が掛からない程度でよく、好ましくは15℃以上50℃以下、より好ましくは25℃以上45℃以下である。
【0032】
水洗後の毛髪は、タオルドライ等による自然乾燥、又は、ドライヤー等を用いた強制乾燥によって乾燥させる。
本発明の毛髪化粧料を用いて、毛髪、特に、強い縮れ毛を、上記のように処理することにより、頭髪全体のシュリンクが抑制され、かつ、適度な弾力のある質感を付与することができる。
【0033】
以下、上述した実施形態に関し、本発明の毛髪化粧料の好ましい態様をさらに開示する。
【0034】
<1> 下記成分(A)~(C)を含有し、前記成分(A)の含有量が0.8質量%以上10.0質量%以下である、毛髪化粧料。
(A)ヒドロキシカルボン酸及びヒドロキシ基を有しない多価カルボン酸からなる群から選ばれる1種以上のカルボン酸、又はその塩
(B)芳香族スルホン酸又はその塩
(C)ジエチレングリコールモノアルキルエーテル
【0035】
<2> 成分(A)のヒドロキシカルボン酸が、好ましくは、炭素数2以上5以下のヒドロキシモノカルボン酸、炭素数3以上8以下のヒドロキシジカルボン酸及び炭素数3以上8以下のヒドロキシトリカルボン酸から選ばれる1種以上、より好ましくは、炭素数3以上8以下のヒドロキシジカルボン酸及び炭素数3以上8以下のヒドロキシトリカルボン酸から選ばれる1種以上である、<1>に記載の毛髪化粧料。
<3> 成分(A)のヒドロキシ基を有しない多価カルボン酸が、好ましくは、炭素数3以上8以下のヒドロキシ基を有しないジカルボン酸である、<1>又は<2>に記載の毛髪化粧料。
<4> 成分(A)のカルボン酸が、好ましくは、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸及び乳酸から選ばれる1種以上、より好ましくは、リンゴ酸及びクエン酸から選ばれる1種以上、更に好ましくはリンゴ酸である、<1>~<3>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<5> 成分(A)が、好ましくは、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸及び乳酸、並びにこれらの塩から選ばれる1種以上、より好ましくは、リンゴ酸及びクエン酸、並びにこれらの塩から選ばれる1種以上、更に好ましくは、リンゴ酸又はその塩、より更に好ましくは、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸及び乳酸から選ばれる1種以上、より更に好ましくは、リンゴ酸及びクエン酸から選ばれる1種以上、より更に好ましくはリンゴ酸である、<1>~<4>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<6> 成分(A)中の炭素数3以上8以下のヒドロキシジカルボン酸及び炭素数3以上8以下のヒドロキシトリカルボン酸から選ばれる1種以上のカルボン酸又はその塩の含有量が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である、<1>~<5>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<7> 成分(A)中のリンゴ酸及びクエン酸から選ばれる1種以上のカルボン酸又はその塩の含有量が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上である、<1>~<6>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<8> 成分(B)の芳香族スルホン酸が、好ましくは、ナフタレンスルホン酸類及びベンゼンスルホン酸類から選ばれる1種以上、より好ましくは、ナフタレンスルホン酸、キシレンスルホン酸、トルエンスルホン酸及びクメンスルホン酸から選ばれる1種以上、更に好ましくは、ナフタレンスルホン酸及びキシレンスルホン酸から選ばれる1種以上、より更に好ましくはナフタレンスルホン酸である、<1>~<7>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<9> 成分(B)が、好ましくは、ナフタレンスルホン酸、キシレンスルホン酸、トルエンスルホン酸及びクメンスルホン酸、並びにこれらの塩から選ばれる1種以上、より好ましくは、ナフタレンスルホン酸及びキシレンスルホン酸、並びにこれらの塩から選ばれる1種以上、更に好ましくは、ナフタレンスルホン酸及びその塩から選ばれる1種以上、より更に好ましくは、2-ナフタレンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウム、p-トルエンスルホン酸ナトリウム及びp-クメンスルホン酸ナトリウムから選ばれる1種以上、より更に好ましくは、2-ナフタレンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウム、p-トルエンスルホン酸ナトリウムから選ばれる1種以上、より更に好ましくは、2-ナフタレンスルホン酸ナトリウム及びキシレンスルホン酸ナトリウムから選ばれる1種以上、より更に好ましくは2-ナフタレンスルホン酸ナトリウムである、<1>~<8>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<10> 成分(C)のジエチレングリコールモノアルキルエーテルの末端アルキル基が、好ましくは炭素数2以上6以下のアルキル基、より好ましくは炭素数2以上4以下のアルキル基である、<1>~<9>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<11> 成分(C)が、好ましくはジエチレングリコールモノエチルエーテル及びジエチレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる1種以上、より好ましくはジエチレングリコールモノエチルエーテルである、<1>~<10>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<12> 成分(A)の含有量が、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上であり、好ましくは8.0質量%以下、より好ましくは7.0質量%以下である、<1>~<11>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<13> 成分(B)の含有量は、毛髪に適度な弾力のある質感を付与する観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上であり、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは8.0質量%以下、更に好ましくは6.0質量%以下である、<1>~<12>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<14> 成分(C)の含有量が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは25.0質量%以下、より好ましくは20.0質量%以下、更に好ましくは15.0質量%以下である、<1>~<13>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<15> 成分(A)及び成分(C)の合計含有量に対する成分(B)の含有量の質量比[(B)/{(A)+(C)}]が、好ましくは0.10以上、より好ましくは0.15以上であり、更に好ましくは0.18以上であり、好ましくは3.00以下、より好ましくは2.00以下、更に好ましくは1.00以下である、<1>~<14>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<16> 成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(A)の含有量の質量比[(A)/{(A)+(B)}]が、好ましくは0.25以上、より好ましくは0.28以上、更に好ましくは0.30以上であり、そして、好ましくは0.85以下、より好ましくは0.80以下、更に好ましくは0.75以下である、<1>~<15>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<17> 好ましくは、ヘアシャンプー、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック又はヘアスタイリング剤であり、より好ましくは、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック又はヘアスタイリング剤である、<1>~<16>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<18> 好ましくは、シュリンク抑制剤である、<1>~<17>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<19> <1>~<18>のいずれか1に記載の毛髪化粧料のシュリンク抑制のための使用。
<20> <1>~<18>のいずれか1に記載の毛髪化粧料を適用する、毛髪のシュリンク抑制方法。
<21> <1>~<18>のいずれか1に記載の毛髪化粧料を毛髪に適用する工程と、前記毛髪化粧料を適用した毛髪を水洗する工程とを有する、毛髪処理方法。
【実施例
【0036】
[実施例1~10、比較例1~5]
下記表1に示す各実施例及び各比較例の組成の毛髪化粧料を調製し、評価用毛束を用いて、これらの毛髪化粧料による毛髪のシュリンク抑制及び適度な弾力のある質感付与の効果の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0037】
<評価用毛束>
化学処理履歴のないコーカサス人のカーリー毛(カーリング(Kerling)社より入手)を約5mm幅に並べて上端を固定し、引っ張って真っ直ぐに伸ばした際の長さが約23cm、質量0.3gとなる毛束とした。この毛束を、下記に示す組成からなるプレーンシャンプーで洗浄し、水道水で20秒間濯ぎながら、櫛(ピン:直径1mm、40本、2mm間隔;以下、同様。)で十分にとかした。この湿潤状態の毛束を、評価用毛束とした。
【0038】
(プレーンシャンプーの組成)
[単位:質量%]
ポリオキシエチレン(2.5)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 15.5
ラウリン酸ジエタノールアミド 2.3
エデト酸二ナトリウム 0.15
安息香酸ナトリウム 0.5
塩化ナトリウム 0.8
リン酸 適量(pH調整)
香料 微量(0.5未満)
メチルパラベン 微量(0.5未満)
水 バランス
(pH7.0) 合計 100
【0039】
<毛束の処理>
上記の湿潤状態の評価用毛束に、各実施例及び各比較例の毛髪化粧料1gを馴染ませた後、毛束全体をプラスチックラップフィルムで覆って密封し、室温(20℃)で15分間静置した。その後、水道水で20秒間濯ぎながら、櫛で十分にとかした。
【0040】
<シュリンク抑制評価>
未処理の評価用毛束及び処理後の毛束のそれぞれについて、毛束全体をビーカー内の水に浸漬させた。毛束の上端を摘まみ、その下に櫛を入れ、摘まんだ上端を時計回りに捻じりながら毛束に櫛を通し、水面上に引き上げていき、毛束全体を螺旋形状にした(図1(a)参照)。毛束の上端を固定して吊るし、温度20℃、相対湿度40%で、90分間静置して、毛束を自然乾燥させた。自然乾燥開始から90分経過時点で、引っ張ることなく自然の状態で、毛束の長さを測定した(図1(b)及び(c)参照)。未処理の評価用毛束の自然乾燥開始から90分経過時点での長さ(L)に対する処理後の毛束の自然乾燥開始から90分経過時点での長さ(L)の比(L/L)を算出し、この値をシュリンク改善比とした。各毛髪化粧料につき3点の毛束について測定を行い、3点のシュリンク改善比の平均値を表1に示した。
シュリンク改善比が、1よりも大きければ、シュリンクが抑制されていると言え、数値が大きいほど、シュリンク抑制効果に優れることを示している。シュリンク抑制率は、好ましくは1.05超、より好ましくは1.08以上、更に好ましくは1.10以上である。
【0041】
<弾力評価>
処理後の毛束の弾力について、パネラー5名の触感による官能評価を行った。評価は、下記の評価基準に基づく点数評価とした。5名の評価点の平均点を弾力の評価結果として表1に示した。
弾力の評価点が2.0以上4.0以下であれば、適度な弾力のある良好な質感を有していると言える。弾力の評価点は、好ましくは3.0以上4.0以下である。
(評価基準)
1:弾力が全くない。
2:やや弾力があるが、柔らかい。
3:弾力がある。
4:弾力があるが、やや硬い。
5:硬い。
【0042】
【表1】
【0043】
なお、表1中の水酸化ナトリウム(48質量%水溶液)は、毛髪化粧料のpH調整剤として使用した。pHは、pHメーター(株式会社堀場製作所社製「卓上型pHメータ F-21」)で、25℃にて測定した。
【0044】
表1の評価結果から、本実施例の毛髪化粧料によれば、洗浄後の乾燥における毛髪のシュリンクが抑制され、かつ、適度な弾力のある質感が得られることが分かる。
【0045】
以下、本発明の毛髪化粧料の他の処方例の組成の実施例を示す。また、実施例13及び15について、評価用毛束を用いて、これらの毛髪化粧料による毛髪のシュリンク抑制及び適度な弾力のある質感付与の効果の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0046】
[実施例11]
(組成) [単位:質量%]
成分(A):コハク酸 5.0
成分(B):2-ナフタレンスルホン酸ナトリウム 4.0
成分(C):ジエチレングリコールモノエチルエーテル 10.0
エタノール(純度95体積%) 5.0
ベンジルアルコール 8.0
ジプロピレングリコール 10.0
水酸化ナトリウム(48質量%水溶液) 適量(pH調整)
精製水 バランス
(pH3.5) 合計 100.0
(成分質量比 (B)/{(A)+(C)}=0.27)
(成分質量比 (A)/{(A)+(B)}=0.56)
【0047】
[実施例12]
(組成) [単位:質量%]
成分(A):乳酸 5.0
成分(B):2-ナフタレンスルホン酸ナトリウム 4.0
成分(C):ジエチレングリコールモノエチルエーテル 10.0
エタノール(純度95体積%) 5.0
ベンジルアルコール 8.0
ジプロピレングリコール 10.0
水酸化ナトリウム(48質量%水溶液) 適量(pH調整)
精製水 バランス
(pH3.5) 合計 100.0
(成分質量比 (B)/{(A)+(C)}=0.27)
(成分質量比 (A)/{(A)+(B)}=0.56)
【0048】
[実施例13]
(組成) [単位:質量%]
成分(A):リンゴ酸 5.0
成分(B):p-トルエンスルホン酸ナトリウム 4.0
成分(C):ジエチレングリコールモノエチルエーテル 10.0
エタノール(純度95体積%) 5.0
ベンジルアルコール 8.0
ジプロピレングリコール 10.0
水酸化ナトリウム(48質量%水溶液) 適量(pH調整)
精製水 バランス
(pH3.5) 合計 100.0
(成分質量比 (B)/{(A)+(C)}=0.27)
(成分質量比 (A)/{(A)+(B)}=0.56)
【0049】
[実施例14]
(組成) [単位:質量%]
成分(A):リンゴ酸 5.0
成分(B):p-クメンスルホン酸ナトリウム 4.0
成分(C):ジエチレングリコールモノエチルエーテル 10.0
エタノール(純度95体積%) 5.0
ベンジルアルコール 8.0
ジプロピレングリコール 10.0
水酸化ナトリウム(48質量%水溶液) 適量(pH調整)
精製水 バランス
(pH3.5) 合計 100.0
(成分質量比 (B)/{(A)+(C)}=0.27)
(成分質量比 (A)/{(A)+(B)}=0.56)
【0050】
[実施例15]
(組成) [単位:質量%]
成分(A):リンゴ酸 5.0
成分(B):2-ナフタレンスルホン酸ナトリウム 4.0
成分(C):ジエチレングリコールモノブチルエーテル 10.0
エタノール(純度95体積%) 5.0
ベンジルアルコール 8.0
ジプロピレングリコール 10.0
水酸化ナトリウム(48質量%水溶液) 適量(pH調整)
精製水 バランス
(pH3.5) 合計 100.0
(成分質量比 (B)/{(A)+(C)}=0.27)
(成分質量比 (A)/{(A)+(B)}=0.56)
【0051】
【表2】
【0052】
実施例11~15の毛髪化粧料を用いて、実施例1と同様に評価用毛束を処理した場合も、洗浄後の乾燥における毛髪のシュリンクが抑制され、かつ、適度な弾力のある質感が得られた。特に表2の結果から、実施例13及び15の毛髪化粧料によれば、洗浄後の乾燥における毛髪のシュリンクが抑制され、かつ、適度な弾力のある質感が得られることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の毛髪化粧料は、洗浄後の乾燥における毛髪のシュリンクを抑制し、適度な弾力のある質感を付与することができ、特に、強い縮れ毛の効率的な整髪に好適に適用することができる。
図1