(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】火災報知設備
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20241003BHJP
H04M 9/00 20060101ALI20241003BHJP
H04M 11/04 20060101ALI20241003BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G08B17/00 B
H04M9/00 D
H04M11/04
G08B25/04 Z
(21)【出願番号】P 2022098566
(22)【出願日】2022-06-20
(62)【分割の表示】P 2018008491の分割
【原出願日】2018-01-23
【審査請求日】2022-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】松田 佳大
(72)【発明者】
【氏名】金子 茂
(72)【発明者】
【氏名】小野 武宏
(72)【発明者】
【氏名】石田 憲
【審査官】小松崎 里沙
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-231364(JP,A)
【文献】特開2004-064709(JP,A)
【文献】特開2015-138481(JP,A)
【文献】特開平05-336261(JP,A)
【文献】特開2009-177745(JP,A)
【文献】特開平06-205124(JP,A)
【文献】特開昭61-077462(JP,A)
【文献】特開2005-244446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B17/00
23/00-31/00
H04M 3/00
3/16- 3/20
3/38- 3/58
9/00- 9/10
7/00- 7/16
11/00-11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信機から警戒区域に引き出され、固有のアドレスが設定された火災感知器を含む端末機器が接続された伝送回線と、
前記受信機から前記警戒区域に引き出され、前記受信機に設けられた電話親機と前記警戒区域に設置され、固有の特定情報が設定された複数の電話子機を通話接続する電話回線と、
を備えた火災報知設備であって、
前記受信機に設けられ、前記電話親機の通話接続を制御する電話親機制御部と、
前記伝送回線と前記電話回線に接続されると共に固有のアドレスが設定され
て前記複数の電話子機のうちの1台が接続され、
当該接続された前記電話子機の通話接続を制御する複数の電話中継器と、
を備え、
前記電話子機は、音声用の回線を介して前記電話中継器に離間して接続され、
前記電話回線は、任意の前記電話子機間を通話接続可能であり、
前記電話中継器は、
前記電話親機制御部から前記伝送回線を介して所定の通話制御信号を受信した場合に、前記電話回線と前記音声用の回線を接続することにより、前記電話親機と自己に接続された前記電話子機との通話接続を制御し、
他の前記電話中継器から
前記電話親機制御部を介さずに前記伝送回線を介して所定の通話制御信号を受信した場合に、前記電話回線と前記音声用の回線を接続することにより、当該他の電話中継器に接続された前記電話子機と自己に接続された前記電話子機との通話接続を制御することを特徴とする火災報知設備。
【請求項2】
請求項1記載の火災報知設備であって、
前記電話中継器は、他の前記電話子機の前記特定情報が入力された場合に、前記電話回線と前記音声用の回線を接続すると共に、当該他の電話子機を接続した他の前記電話中継器の前記アドレスを指定して前記伝送回線に所定の通話制御信号を送信することにより、自己に接続された前記電話子機と前記他の電話子機との通話接続を制御することを特徴とする火災報知設備。
【請求項3】
請求項1又は2記載の火災報知設備であって、
前記電話中継器は、自己に接続された前記電話子機の通話接続
に関連する状態を表示する表示灯を備えた
ことを特徴とする火災報知設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信機からの火災感知器を接続した伝送回線を利用して電話親機と電話子機を通話接続する火災報知設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、R型として知られた火災報知設備にあっては、受信機から引き出された伝送回線に、伝送機能を備えた火災感知器等の端末装置を接続し、火災検出時には、例えば火災感知器からの火災割込みに基づき、検索コマンドを発行して発報した火災感知器のアドレスを特定し、火災発生アドレスを表示すると共に、特定した火災感知器から火災データを収集して監視するようにしている。
【0003】
このように、火災を検出した火災感知器のアドレスが分かると、適切な避難誘導や消火活動が可能となり、特に規模の大きな設備の火災監視には不可欠な機能となっている。
【0004】
また、火災報知設備にあっては、非常通話装置として、受信機に電話親機が設けられ、受信機から警戒区域に引き出された電話回線に発信機等に設けられた電話ジャックが接続され、火災発生時や点検時などには、担当者が携帯している電話子機を発信機等の電話ジャックに接続すると受信機で通話呼出が行われ、電話親機をオフフックすることで電話子機と通話することができる。
【0005】
また、火災報知設備の関連設備として、非常電話設備が設けられる場合もある。非常電話設備は受信機と同じ場所に電話親機が設けられた非常電話盤が設置され、非常電話盤から警戒区域に電話回線と制御回線が引き出されて電話子機が接続されている。
【0006】
火災報知設備の非常電話装置は、電話親機から電話子機を指定して呼び出すことかできないが、非常電話設備は、非常電話盤から電話番号による呼出操作により電話子機を任意に指定して呼び出すことができ、火災等の非常時のみならず、日常的な設備を維持管理するための通話連絡にも利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2004-064709号公報
【文献】特開2017-004451号公報
【文献】特開2016-076064号公報
【文献】特開2017-068523号公報
【文献】特開平07-231364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような電話子機を指定して呼び出すことのできる従来の非常電話設備は、火災報知設備の関連設備として設けなければならないため、設備コストが嵩む問題があり、一方、電話回線の電話ジャックに電話子機を接続して電話親機に通話接続する火災報知設備の非常電話装置は、設備コストは少なくて済むが、電話子機を指定した呼出し等の高度な通話制御ができず、非常電話設備に比べ利便性が低いという問題がある。
【0009】
本発明は、R型の火災報知設備に使用されている伝送回線による伝送機能を通話制御に利用することで、電話子機を指定した呼出しを含む高度な通話制御ができるコスト的に安価な非常電話装置を備えた火災報知設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(火災報知設備)
本発明は、
受信機から警戒区域に引き出され、固有のアドレスが設定された火災感知器を含む端末機器が接続された伝送回線と、
受信機から伝送回線と共に警戒区域に引き出され、受信機に設けた電話親機と警戒区域に設置された電話子機を通話接続する電話回線と、
を備えた火災報知設備であって、
受信機に設けられ、電話親機の通話接続を制御する電話親機制御部と、
伝送回線と電話回線に接続されると共に固有のアドレスが設定され、電話子機の通話接続を制御する電話中継器と、
を備え、
電話子機は、音声用の回線を介して電話中継器に離間して接続され、
電話中継器は、電話親機制御部から伝送回線を介して所定の通話制御信号を受信した場合に、電話回線と音声用の回線を接続することにより、電話親機と前記電話子機の通話接続を制御することを特徴とする。
【0011】
(電話親機から電話子機の呼出し通話)
電話親機制御部は、電話親機のオフフックを検出した場合に、表示部に電話子機呼出画面を表示し、電話子機選択画面の所定の電話子機の呼出し操作に対応した電話中継部のアドレスが指定された発呼コマンド信号を伝送回線に送信し、
電話中継部は、自己アドレスを指定した発呼コマンド信号を受信した場合に通話呼出しを行い、電話子機のオフフックを検出した場合に電話子機を電話回線に接続すると共に電話親機制御部に着呼応答コマンド信号を伝送回線により送信して電話親機を電話回線に接続し、電話親機と電話子機を電話回線により通話接続する。
【0012】
(電話親機の回線接続音と呼出音)
電話親機制御部は、電話親機のオフフックを検出した場合に電話親機から所定の回線接続音を出力し、発呼コマンド信号を送信してから着呼応答コマンド信号が受信されるまでのあいだ所定の呼出音を出力させる。
【0013】
(電話子機の呼出しに対する電話親機の通話中音)
電話親機制御部は、電話中継部からの発呼コマンド信号を別の電話子機との通話接続中に受信した場合、電話中継部のアドレスを指定した通話中コマンド信号を伝送回線により送信し、電話子機から所定の通話中音を出力させる。
【0014】
(電話子機から電話親機の呼出し通話)
電話中継部は、電話子機のオフフックを検出した場合に、自己のアドレスを含む発呼コマンド信号を、伝送回線を介して受信機に送信し、
電話親機制御部は、発呼コマンド信号を受信した場合に、当該発呼コマンド信号に含まれる電話中継部のアドレスに基づいて、呼出子機を特定する情報を画面表示すると共に通話呼出しを行い、電話親機のオフフックを検出した場合に、当該電話親機を電話回線に接続すると共に電話中継部のアドレスを指定した着呼応答コマンド信号を伝送回線により送信して、当該電話中継部により電話子機を電話回線に接続させ、電話子機と電話親機を電話回線により通話接続する。
【0015】
(電話子機の回線接続音と呼出音)
電話中継部は、電話子機のオフフックを検出した場合に電話子機から所定の回線接続音を出力し、発呼コマンド信号を送信してから着呼応答コマンド信号が受信されるまでのあいだ所定の呼出音を出力させる。
【0016】
(通話接続中の他の電話子機の呼出に対する切替)
電話親機制御部は、電話親機と1の電話子機の通話接続中に、他の電話子機の電話中継部から発呼コマンド信号を受信した場合に他の電話子機の通話呼出を報知し、他の電話子機の通話接続を選択した場合に、他の電話子機の電話中継部のアドレスを指定した着呼応答コマンド信号を送信して他の電話子機を電話回線に接続すると共に、1の電話子機の電話中継部のアドレスを指定した保留コマンド信号を送信して1の電話機を電話回線から切り離して所定の保留音を出力させる。
【0017】
(3者通話)
電話親機制御部は、電話親機と1の電話子機の通話接続中に、他の電話子機の電話中継部から発呼コマンド信号を受信した場合に他の電話子機の通話呼出を報知して3者通話の選択した場合に、他の電話子機の電話中継部に3者通話コマンド信号を送信して他の電話子機を電話回線に接続すると共に3者通話を音声通知し、1の電話子機の電話中継部に3者通話コマンド信号を送信して3者通話を音声通報知させる。
【0018】
(電話中継部)
電話中継部は、電話子機と接続又は一体化され、所定の保留音を記録しており、電話子機が保留状態となった場合に電話子機に対して当該保留音を出力する。
【発明の効果】
【0019】
(基本的な効果)
本発明は、受信機から警戒区域に引き出され、固有のアドレスが設定された火災感知器を含む端末機器が接続された伝送回線と、受信機から伝送回線と共に警戒区域に引き出され、受信機に設けた電話親機と警戒区域に設置された電話子機を通話接続する電話回線とを備えた火災報知設備であって、受信機に設けられ、電話親機の通話接続を制御する電話親機制御部と、伝送回線と電話回線に接続されると共に固有のアドレスが設定され、電話子機の通話接続を制御する電話中継部とを備え、前記電話子機は、音声用の回線を介して前記電話中継器に離間して接続され、電話中継器は、電話親機制御部から伝送回線を介して所定の通話制御信号を受信した場合に、電話回線と音声用の回線を接続することにより、電話親機と前記電話子機の通話接続を制御するようにしたため、R型の火災報知設備に使用されている伝送回線による伝送機能を通話制御に利用することで、電話子機を指定した呼出しを含む高度な通話制御を簡単且つ低コストで実現することができる。
【0020】
(電話親機から電話子機の呼出し通話による効果)
また、電話親機制御部は、電話親機のオフフックを検出した場合に、表示部に電話子機呼出画面を表示し、電話子機選択画面の所定の電話子機の呼出し操作に対応した電話中継部のアドレスが指定された発呼コマンド信号を伝送回線に送信し、
電話中継部は、自己アドレスを指定した発呼コマンド信号を受信した場合に通話呼出しを行い、電話子機のオフフックを検出した場合に電話子機を電話回線に接続すると共に電話親機制御部に着呼応答コマンド信号を伝送回線により送信して電話親機を電話回線に接続し、電話親機と電話子機を電話回線により通話接続するようにしたため、電話親機をオフフックして電話子機を呼出し選択した場合に、火災監視に使用している伝送回線を使用して受信機の電話親機制御部から発呼コマンド信号を電話中継部に送信して、電話親機側からの電話子機の呼出しを簡単に実現することができ、電話親機と電話子機の通話接続は火災報知設備の電話回線をそのまま使用していることから、従来の非常電話設備と同等の通話制御を簡単な設備構成により低コストで実現することができる。
【0021】
(電話親機の回線接続音と呼出音による効果)
また、電話親機制御部は、電話親機のオフフックを検出した場合に電話親機から所定の回線接続音を出力し、発呼コマンド信号を送信してから着呼応答コマンド信号が受信されるまでのあいだ所定の呼出音を出力させるようにしたため、電話親機から電話子機を呼び出す通話において、通常の内線電話設備や公衆電話設備と同等の通話を簡単に実現することができ、高い利便性が得られる。
【0022】
(電話子機の呼出しに対する電話親機の通話中音の効果)
また、電話親機制御部は、電話中継部からの発呼コマンド信号を別の電話子機との通話接続中に受信した場合、電話中継部のアドレスを指定した通話中コマンド信号を伝送回線により送信し、電話子機から所定の通話中音を出力させるようにしたため、電話親機と電話子機の通話中に別の電話子機をオフフックすると通話中音が出力され、電話親機が通話中にあることが確実に分かる。
【0023】
(電話子機から電話親機の呼出し通話の効果)
また、電話中継部は、電話子機のオフフックを検出した場合に、自己のアドレスを含む発呼コマンド信号を、伝送回線を介して受信機に送信し、電話親機制御部は、発呼コマンド信号を受信した場合に、当該発呼コマンド信号に含まれる電話中継部のアドレスに基づいて、呼出子機を特定する情報を画面表示すると共に通話呼出しを行い、電話親機のオフフックを検出した場合に、当該電話親機を電話回線に接続すると共に電話中継部のアドレスを指定した着呼応答コマンド信号を伝送回線により送信して、当該電話中継部により電話子機を電話回線に接続させ、電話子機と電話親機を電話回線により通話接続するようにしたため、電話子機をオフフックした場合に、火災監視に使用している伝送回線を使用して電話中継部から発呼コマンド信号を受信機の電話親機制御部に送信して、電話子機側からの電話親機の呼出しを簡単に実現することができ、電話子機と電話親機の通話接続は火災報知設備の電話回線をそのまま使用していることから、従来の非常電話設備と同等の通話制御を簡単な設備構成により低コストで実現することができる。
【0024】
(電話子機の回線接続音と呼出音の効果)
また、電話中継部は、電話子機のオフフックを検出した場合に電話子機から所定の回線接続音を出力し、発呼コマンド信号を送信してから着呼応答コマンド信号が受信されるまでのあいだ所定の呼出音を出力させるようにしたため、電話子機から電話親機を呼び出す通話において、通常の内線電話設備や公衆電話設備と同等の通話を簡単に実現することができ、高い利便性が得られる。
【0025】
(通話接続中の他の電話子機の呼出に対する切替えの効果)
また、電話親機制御部は、電話親機と1の電話子機の通話接続中に、他の電話子機の電話中継部から発呼コマンド信号を受信した場合に他の電話子機の通話呼出を報知し、他の電話子機の通話接続を選択した場合に、他の電話子機の電話中継部のアドレスを指定した着呼応答コマンド信号を送信して他の電話子機を電話回線に接続すると共に、1の電話子機の電話中継部のアドレスを指定した保留コマンド信号を送信して1の電話機を電話回線から切り離して所定の保留音を出力させるようにしたため、電話親機と電話子機の通話中に、別の電話子機からの通話呼出を受けると、これが受信機で選択可能に画面表示され、別の電話子機からの通話呼出を選択する操作を行うと、それまで通話中にあった電話子機との通話がカットされ、保留音が出力されて別の電話子機との通話接続に切り替わり、複数の電話子機からの通話呼出が重複した場合に、受信機側で必要とする電話子機の通話呼出を選択して通話することができる。
【0026】
(3者通話の効果)
また、電話親機制御部は、電話親機と1の電話子機の通話接続中に、他の電話子機の電話中継部から発呼コマンド信号を受信した場合に他の電話子機の通話呼出を報知して3者通話の選択した場合に、他の電話子機の電話中継部に3者通話コマンド信号を送信して他の電話子機を電話回線に接続すると共に3者通話を音声通知し、1の電話子機の電話中継部に3者通話コマンド信号を送信して3者通話を音声通報知させるようにしたため、受信機の電話親機と警戒区域に設置された2台の電話子機との間で3者通話を行うことができ、火災時や保守点検時の通話連絡をより効率的に行うことができる。
【0027】
(電話中継部の効果)
電話中継部は、電話子機と接続又は一体化され、所定の保留音を記録しており、電話子機が保留状態となった場合に電話子機に対して当該保留音を出力するようにしたため、中継部自体に保留音が記憶されていることで、外部から保留音の音響信号を送る必要がなく、例えば電話親機が別の電話子機と通話中であっても電話親機側からの信号なしに保留音を流すことが可能となる。また、簡単に火災報知設備の電話子機と接続又は一体化した中継部が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】通話制御機能を備えた火災報知設備の実施形態を示した説明図
【
図2】
図1の電話中継器の実施形態を示したブロック図
【
図3】
図1の受信機に設けられた電話機回路部の実施形態を示したブロック図
【
図4】電話親機により電話子機を指定して呼出す通話制御を示したタイムチャート
【
図5】電話子機のオフフックによる電話親機との通話制御を示したタイムチャート
【
図6】電話親機が別の電話子機の通話中電話子機がオフフックした場合の通話制御を示したタイムチャート
【
図7】電話親機と電話子機の通話中に別の電話子機の通話呼出を受けて切り替えた場合の通話制御を示したタイムチャート
【
図8】電話親機と2台の電話子機による3者通話の通話制御を示したタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0029】
[火災報知設備]
(通話制御機能を備えた火災報知設備の概要)
図1は通話制御機能を備えた火災報知設備の概要を示した説明図である。
図1に示すように、火災報知設備が設置された建物の一階の管理人室などには例えばR型の受信機10が設置され、受信機10から警戒区域に対し伝送回線12a,12bと電話回線16a,16bが引き出されている。
【0030】
伝送回線12a,12bには固有のアドレスが設定された伝送機能を有する複数の火災感知器14が接続されている。また、伝送回線12a,12bと電話回線16a,16bには、電話子機20が設けられた複数の電話中継器18が接続され、電話中継器18には固有のアドレスが設定され、伝送機能と通話制御機能を有する。電話中継器18は電話中継部として機能する。また、電話子機20に対応して受信機10には電話親機28が設けられている。なお、電話回線16a,16bは可聴帯域の音声周波数帯域300~3400Hzとなる音声信号の伝送品質を確保している。
【0031】
ここで、伝送回線12a,12bに接続される火災感知器14及び電話中継器18に設定される最大アドレス数は例えば255としており、伝送回線12a,12bには最大255台の火災感知器14及び電話中継器18を含む端末機器が接続できる。
【0032】
(受信機の機能構成)
受信機10は、受信制御部22、伝送部24、電話機回路部26、電話親機28、タッチパネル付きのディスプレイ30、表示部32、操作部34、スピーカを備えた警報部36及び移報部38を備える。
【0033】
受信制御部22はCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等とする。伝送部24は、伝送回線12a,12bに接続した火災感知器14又は電話中継器18との間で、所定の通信プロトコルに従って信号を送受信する。
【0034】
伝送部24から火災感知器14又は電話中継器18に対する下り信号は電圧モードで伝送している。この電圧モードの信号は、伝送回線12a,12bの線路電圧を例えば18ボルトと30ボルトの間で変化させる電圧パルスとして伝送される。
【0035】
これに対し火災感知器14又は電話中継器18から受信機10に対する上り信号は電流モードで伝送される。この電流モードにあっては、伝送回線12a,12bに伝送データのビット1のタイミングで信号電流を流し、いわゆる電流パルス列として上り信号が受信機に伝送される。
【0036】
(火災監視制御部)
受信機10の受信制御部22にはCPUによるプログラムの実行で実現される機能として、火災監視制御部40の機能が設けられる。
【0037】
火災監視制御部40は、通常の監視中にあっては、一定周期毎に、伝送部24に指示して、一括AD変換コマンドを含むブロードキャストの一括AD変換信号を送信しており、この一括AD変換信号を受信した火災感知器14は、煙濃度又は温度をセンサデータとして検出して保持する。続いて、火災監視制御部32は、端末アドレスを順次指定したポーリングコマンドを含む呼出信号を送信している。
【0038】
火災感知器14は自己アドレスに一致するアドレスを持つ呼出信号を受信すると、そのとき保持しているセンサデータを含む応答信号を受信機10に送信する。また、火災感知器14は火災を検出すると受信機10に対し火災割込み信号を送信する。
【0039】
火災監視制御部40は伝送部24を介して火災割込み信号を受信するとグループ検索コマンド信号を送信して火災を検出している火災感知器14を含むグループを特定し、続いて、グループ内検索コマンド信号を送信して火災を検出している火災感知器14のアドレスを特定し、火災警報を出力すると共に火災発生アドレスを表示し、その後、特定した火災感知器から火災データを収集して監視する制御を行う。
【0040】
(電話親機制御部)
受信機10の受信制御部22にはCPUによるプログラムの実行で実現される機能として、電話親機制御部42の機能が設けられる。
【0041】
電話親機制御部42は、伝送部24に指示し、電話中継器18との間で伝送回線12a,12bを介して各種の通話制御に必要なコマンド信号を送受信し、電話回線16a,16bを介して電話親機28と電話子機20の通話接続や通話カット(通話切離し)の制御を行う。
【0042】
本実施形態の電話親機制御部42による通話制御は次のものがある。
(1) 電話子機を指定した呼出しによる通話制御。
(2) 電話子機からの呼出しによる通話制御。
(3) 電話子機との通話中に別の電話子機からの呼出しによる通話切替え制御。
(4) 電話親機と電話子機2台の3者通話制御。
【0043】
これらの通話制御では、コマンド信号として、発呼コマンド信号、着呼応答コマンド信号、保留コマンド信号、通話中コマンド信号等が使用される。発呼コマンド信号は、電話子機に通話呼出を要求する信号である。着呼応答コマンド信号は、発呼コマンド信号の受信で電話子機がオフフックされた場合に送信される信号である。保留コマンド信号は電話子機に保留音の出力を指示する信号である。通話中コマンド信号は、電話子機に通話中音の出力を指示する信号である。このようなコマンド信号を使用した通信制御の詳細は後の説明で明らかにされる。
【0044】
[電話中継器の構成]
図2は
図1の電話中継器の実施形態を示したブロック図である。
図2に示すように、電話中継器18の回路部は、伝送回線12a,12b側の回路部として、電話子機制御部48と伝送部50が設けられ、電話回線16a,16b側の回路として、接続切替部52、制御音生成部54、一対のスイッチ回路部56、トランス58、フックスイッチ60及びスピーカ61が設けられ、電話子機20には受話器44と送話器46が設けられている。
【0045】
電話子機制御部48は、CPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等で構成され、CPUによるプログラムの実行により電話子機制御部48の機能が実現される。
【0046】
本実施形態の電話子機制御部48による通話制御は次のものがある。
(1) 電話親機の呼出しによる通話制御。
(2) 電話親機からの呼出しによる通話制御。
(3) 別の電話子機との通話中の電話親機の呼出しによる通話切替え制御。
(4) 電話親機と電話子機2台の3者通話制御。
【0047】
これらの通話制御では、コマンド信号として、発呼コマンド信号、着呼応答コマンド信号、保留コマンド信号、通話中コマンド信号等が使用され、通話制御の詳細は後の説明で明らかにされる。
【0048】
伝送部50は伝送回線12a,12bを介して
図1に示した受信機10の伝送部24との間で通話制御に必要な各種のコマンド信号を、火災監視の場合と同じ通信プロトコルに従って送受信する。また、伝送部50は受信機10からの下り信号を電圧モードで受信し、受信機10に対する上り信号は電流モードで送信する。
【0049】
接続切替部52は、電話子機制御部48の指示により動作してリレー接点や半導体スイッチ素子等を用いたスイッチ回路部56をオン、オフし、電話子機20の電話回線16a,16bに対する接続とカット(切離し)を行う。
【0050】
制御音生成部54は、電話子機制御部48の指示により動作し、所定の回線接続音、電話親機に対する呼出音、保留音、通話中音等の音響信号を生成して電話子機20の受話器44に出力し、また、電話親機からの呼出しに応じて呼出音の音響信号を生成してスピーカ61に出力する。
【0051】
トランス58は一次巻線を電話回線16a,16bに接続し、二次巻線に受話器44を接続しており、所定の直流電圧が重畳された電話回線16a,16bから交流となる音声信号のみを受話器44に取り出すと共に増幅し、更に、ハウリングを防止している。電話子機20の送話器46は電話回線16a,16b側に接続している。
【0052】
フックスイッチ60は電話子機20のオフフック又はオンフックを検出してオフフック検出信号又はオンフック検出信号を電話子機制御部48に出力する。
【0053】
なお、
図2の電話回線16a,16b側の電話機回路は基本的なアナログ電話機回路を示しており、これに限定されず、必要に応じて音声増幅器を設けてもよく、更に、デジタル音声信号を受信してDA変換して受話器44に出力し、送話器46からの音声信号をAD変換して送信するデジタル電話機回路としても良い。
【0054】
[受信機の電話器回路部の構成]
図3は
図1の受信機に設けられた電話機回路部の実施形態を示したブロック図である。
図3に示すように、電話機回路部26は、接続切替部62、制御音生成部64、一対のスイッチ回路部66、トランス68及びフックスイッチ70が設けられ、電話親機28には受話器72と送話器74が設けられている。電話機回路部26からは電話回線16a,16b間に例えばDC48Vの電話回線電圧Vtが印加されている。
【0055】
接続切替部62は、
図1の電話親機制御部42の指示により動作してスイッチ回路部66をオン、オフし、電話親機28の電話回線16a,16bに対する接続とカット(切離し)を行う。
【0056】
制御音生成部64は、電話親機制御部42の指示により動作し、所定の回線接続音、電話子機の呼出しを示す呼出音、保留音、通話中音等の音響信号を生成して電話親機28の受話器72に出力し、また、電話子機からの呼出しに対し呼出音の音響信号を生成し、例えば警報部36に設けられたスピーカに出力する。
【0057】
トランス68は一次巻線を電話回線16a,16bに接続し、二次巻線に受話器72を接続しており、所定の電話回線電圧Vtが重畳された電話回線16a,16bから交流となる音声信号のみ受話器72に取り出すと共に増幅し、更に、ハウリングを防止している。電話親機28の送話器74は電話回線16a,16b側に接続している。
【0058】
フックスイッチ70は電話親機28のオフフック又はオンフックを検出してオフフック検出信号又はオンフック検出信号を電話親機制御部42に出力する。
【0059】
なお、
図3の電話回線16a,16b側の電話機回路は、
図2の電話中継器18と同様に、基本的なアナログ電話機回路を示しており、これに限定されず、必要に応じて音声増幅器を設けたり、更に、デジタル電話機回路としても良い。
【0060】
[電話親機と電話子機の通話制御]
(電話親機による電話子機の指定呼出し)
図4は電話親機により電話子機を指定して呼出す通話制御を示したタイムチャートであり、
図1に示した受信機10の電話親機制御部42と
図2に示した電話中継器18の電話子機制御部48による制御動作となる。
【0061】
担当者が警戒区域にいる担当者と連絡をとるため電話親機28を取り上げると、フックスイッチ60からオフフック検出信号が出力され、
図4に示すように、電話親機制御部42はステップS1で電話親機28のオフフックを判別してステップS2に進み、ディスプレイ30に子機呼出画面を表示し、同時に、制御音生成部64に指示して電話親機28の受話器72から例えば「ツー」といった連続音となる回線接続音を出力させる。
【0062】
ステップS2でディスプレイ30に表示された子機呼出画面には、0,1~9、♯、*配列したキー釦が表示されており、呼出先の電話子機の電話番号をタッチする子機呼出操作を行うと、電話親機制御部42はステップS3で子機呼出操作を認識してステップS4進み、呼出し電話番号に対応した中継器アドレスを指定した発呼コマンド信号を伝送部24に指示して伝送回線12a,12bに送信する。このとき電話親機28からは電話子機に対する呼出音が出力される。
【0063】
電話中継器18の電話子機制御部48は、伝送回線12a,12bを介して伝送部50により自己アドレスを指定した発呼コマンド信号を受信すると、ステップS5で制御音生成部54に指示してスピーカ61から呼出音を出力させる通話呼出しを行う。
【0064】
この通話呼出しに対し現場にいる担当者が電話子機20を取り上げると、フックスイッチ60からのオフフック検出信号によりステップS6でオフフックが判別され、ステップS7で伝送部50に指示して自己アドレスを含む着呼応答コマンド信号を伝送回線12a,12bを介して受信機10に送信し、続いて、ステップS9で接続切替部52に指示してスイッチ回路部56をオンし、電話子機20側の電話機回路部を電話回線16a,16bに接続する通話接続を行う。
【0065】
受信機10の電話親機制御部42は、電話中継器18からステップS7で送信された着呼応答コマンド信号を受信すると、電話子機20に対する呼出音の出力を停止し、ステップS9で接続切替部62に指示してスイッチ回路部66をオンし、電話親機28の電話機回路部26を電話回線16a,16bに接続する通話接続を行う。
【0066】
これにより電話親機28と呼出された電話子機20が電話回線16a,16bに接続されて通話を行うことができる。通話が終了すると電話親機28及び電話子機20が戻されてステップS11またはS12でオンフックが判別され、ステップS11またはS13で電話回線16a,16bから切り離す通話カットが行われて通話が終了する。
【0067】
(電話子機による電話親機の呼出し)
図5は電話子機により電話親機を呼出す通話制御を示したタイムチャートである。警戒区域にいる担当者が受信機10側と連絡をとるため電話子機20を取り上げると、フックスイッチ60からオフフック検出信号が出力され、
図5に示すように、電話子機制御部48はステップS21で電話子機20のオフフックを判別してステップS22に進み、制御音生成部54に指示して電話子機20の受話器44から例えば「ツー」といった連続音となる回線接続音を出力させる。
【0068】
続いて、電話子機制御部48はステップS23で自己アドレスを含む発呼コマンド信号を伝送部50に指示して伝送回線12a,12bを介して受信機10に送信する。このととき電話子機20からは電話親機28に対する呼出音が出力される。
【0069】
受信機10の電話親機制御部42は、伝送回線12a,12bを介して伝送部50により中継器アドレスを含む発呼コマンド信号を受信すると、ステップS24で警報部36に指示してスピーカから呼出音を出力させることで通話呼出しを行い、続いて、ステップS25に進んでディスプレイ30に子機呼出画面を表示して呼出子機の電話番号等を表示する。
【0070】
ステップS24での呼出音を受けて担当者が受信機10に設けている電話親機28を取り上げると、電話親機制御部42はステップS26で電話親機28のオフフックを判別し、ステップS27で伝送部24に指示して呼出しを行なった中継器アドレスを指定した着呼応答コマンド信号を伝送回線12a,12bに送信し、ステップS28で接続切替部62に指示してスイッチ回路部66をオンすることで電話親機28を電話回線16a,16bに通話接続する。
【0071】
一方、電話子機制御部48は、ステップS27で受信機10から送信された自己アドレスを指定した着呼応答コマンド信号を受信すると、電話親機28に対する呼出音を停止してステップS29に進み、接続切替部52に指示してスイッチ回路部56をオンすることで電話子機20を電話回線16a,16bに通話接続する。
【0072】
これにより電話子機20と呼出された電話親機28が電話回線16a,16bに接続されて通話を行うことができる。通話が終了すると電話子機20及び電話親機28が戻されてステップS30またはS32でオンフックが判別され、ステップS31またはS33で電話回線16a,16bから切り離す通話カットが行われて通話接続が終了する。
【0073】
(電話親機が通話中の電話子機の呼出し)
図6は電話親機が別の電話子機と通話中に電話子機のオフフックした場合の通話制御を示したタイムチャートである。
【0074】
図4に示した電話親機からの呼出し、又は、
図5に示した電話子機からの呼出しによる電話親機の通話中に、
図6に示すように、別の電話中継器18の電話子機制御部48が電話子機20のオフフックをステップS41で判別し、ステップS42で回線接続音を電話子機20から出力した後に、ステップS43で自己アドレスを含む発呼コマンド信号を伝送回線12a,12bを介して受信機10に送信し、警報部36のスピーカから呼出音を出力させたとする。
【0075】
この場合、受信機10の電話親機制御部42は、ステップS43で電話中継器18から送信された発呼コマンド信号を受信するが、ステップS44で他の電話子機と通話中にあることを判別し、ステップS45でディスプレイ30に子機呼出画面に新たな子機呼出しを表示した後、ステップS46で発呼コマンド信号を送信した電話中継器18のアドレスを指定した通話中コマンド信号を伝送回線12a,12bに送信する。
【0076】
電話中継器18の電話子機制御部48は、伝送回線12a,12bを介して自己アドレスを指定した通話中コマンド信号を受信すると、ステップS47で制御音生成部54に指示して電話子機20の受話器44から所定の通話中音を出力させる。
【0077】
このため電話子機20を取り上げた担当者は電話親機28が通話中にあることを知って電話子機20を元に戻し、電話子機制御部48はステップS48でオンフックを判別して通話接続を終了する。
【0078】
(電話親機と電話子機の通話中の別の電話子機の通話呼出しによる通話切替え)
図7は電話親機と電話子機の通話中に別の電話子機の通話呼出を受けて切り替えた場合の通話制御を示したタイムチャートである。ここで、最初に通話呼出を行った電話中継器18を電話中継器18-1とし、次に通話呼出を行った電話中継器18を電話中継器18-2とし、それぞれに設けられた電話子機制御部48を電話子機制御部48-1,48-2とし、電話子機20を電話子機20-1,20-2とする。
【0079】
図7に示すように、電話中継器18-1の電話子機制御部48-1からの呼出しにより受信機10の電話親機制御部42との間の通話制御により電話親機28と電話子機20-1とが通話接続を行っている。この場合のステップS51~S59の通話制御は、
図5のステップS21~S29と同じになることから説明を省略する。
【0080】
続いて、別の電話中継器18-2の電話子機制御部48-2がステップS60で電話子機20-2のフックオフを判別すると、回線接続音を電話子機20-2から出力した後にステップS61で自己アドレスを含む発呼コマンド信号を伝送回線12a,12bを介して電話親機28が通話中の受信機10に送信する。
【0081】
受信機10の電話親機制御部42は、電話中継器18-2から送信された発呼コマンド信号を受信すると、ステップS62でディスプレイ30に電話子機20-2の呼出しを画面表示し、併せて所定の注意音を警報部36のスピーカから出力させる。
【0082】
これにより通話中の担当者は、別の電話子機20-2から通話呼出があったことを知って選択する操作を行うと、電話親機制御部42はステップS63で別の電話子機20-2の選択操作を認識してステップS64に進み、電話中継器18-2のアドレスを指定した着呼応答コマンド信号を伝送回線12a,12bに送信し、これが電話中継器18-2で受信され、電話子機制御部48-2はステップS65で電話子機20-2を電話回線16a,16bに接続する。
【0083】
また、電話親機制御部42はステップS66で、それまで通話中にあった電話子機20-1の電話中継器18-1のアドレスを指定した保留コマンド信号を伝送回線12a,12bに送信し、これが電話中継器18-1で受信され、電話子機制御部48-1はステップS67で電話回線16a,16bから電話子機20-1を切り離す通話カットを行うと共に電話子機20-1から所定の保留音を出力させる。
【0084】
その後、電話親機28と電話子機20-2との通話が終了して電話子機制御部48-2がステップS68でオンフックを判別するとステップS69に進み、自己アドレスを含む通話終了コマンド信号が伝送回線12a,12bに送信する。
【0085】
電話親機制御部42は電話中継器18-2からの通話終了コマンド信号の受信を判別すると、ステップS70で保留中にある電話中継器18-1のアドレスを指定した保留解除コマンド信号を伝送回線12a,12bに送信し、電話子機制御部48-1は自己アドレスを指定した保留解除コマンド信号を受信すると、ステップS71で電話子機20-1からの保留音の出力を停止し、電話子機20-1を再び電話回線16a,16bに接続し、電話親機28との通話を再開させる。
【0086】
(3者通話)
図8は電話親機と2台の電話子機による3者通話の通話制御を示したタイムチャートであり、
図7と同様に、3者通話を行う2台の電話中継器18、電話子機20及び電話子機制御部48を、それぞれ電話中継器18-1,18-2、電話子機20-1,20-2及び電話子機制御部48-1,48-2としている。
【0087】
図8に示す3者通話において、ステップS81~S92の制御は、
図7に示したステップS51~S62と同じになることから、その説明を省略する。
【0088】
図8の3者通話にあっては、電話親機28と電話子機20-1の通話接続中に、別の電話子機20-2の電話中継器18-2から発呼コマンド信号が送信されてステップS92で電話子機20-2の呼出しがディスプレイ30に画面表示された場合、表示画面の中に3者通話の選択釦が表示され、3者通話の選択操作ができる。
【0089】
このため電話親機制御部42がステップS93で3者通話の選択操作を認識するとステップS94に進み、発呼コマンド信号を送信した電話中継器18-2のアドレスを指定した発呼コマンド信号が伝送回線12a,12bに送信され、これを受信した電話子機制御部48-2はステップS95で電話子機20-2を電話回線16a,16bに接続する。
【0090】
続いて、電話親機制御部42はステップS96で電話中継器18-1,18-2のアドレスを指定した3者通話コマンド信号を伝送回線12a,12bに順次送信し、これを受信した電話子機制御部48-1,48-2はステップS97,S98で3者通話の開始を知らせる所定の報知音が電話子機20-1,20-2から出力され、これによって電話親機制御部42のステップS99、電話子機制御部48-1,48-2のステップS100,S101に示す3者通話が、電話親機28、電話子機20-1,20-2の3台を電話回線16a,16bに接続することで行われる。
【0091】
ここで、電話回線16a,16bに電話親機28に加え複数の電話子機20を接続することで、4者通話、5者通話等が実現可能であるが、電話回線16a,16bに対する電話機の接続数が増加すると、電話回線16a,16bにより伝送される音声信号のレベルが低下して通話品質が悪化することから、音声レベルの低下の少ない電話親機28に加えて2台の電話子機を接続する電話機3台を電話回線16a,16bに接続する3者通話が最適といえる。
【0092】
[本発明の変形例]
(電話子機間の通話)
上記の実施形態は、受信機の電話親機と警戒区域に設置された電話子機との間の通話制御を例にとっているが、これに限定されず、電話中継器に電話番号やアドレス等の電話子機を特定する情報を入力して通話呼出しを行う操作表示部を設けることで、ある電話子機から別の電話子機を指定した通話呼出しにより電話子機間での通話ができるようにしても良い。
【0093】
(ハンズフリー通話機能)
上記の実施形態は、電話親機と電話子機による通話を例にとっているが、これに限定されず、受信機の電話親機及び電話中継器の電話子機のそれぞれに加え、マイクとスピーカを電話機近傍のパネル面等に設置し、所定のスイッチ操作により電話機をマイクとスピーカに切替え、電話機を使用することなく通話するハンズフリー通話機能を設けるようにしても良い。
【0094】
(P型受信機)
上記の実施形態は、R型の受信機からの伝送回線を介してR型の火災感知器を接続した火災報知設備を例にとっているが、P型の受信機から引き出した感知器回線にアドレスを設定すると共に伝送機能を備えたアドレッサブル火災感知器を接続した火災報知設備についても、同様に、感知器回線を使用した各種のコマンド信号の送受信により、同様な通信制御を実現することができる。
【0095】
(その他)
電話子機側の制御音生成部54が生成する呼出音、保留音、通話中音等の音響信号は繰り返し電子音や音楽等とすることがコスト上好適であるが、音声メッセージを出力するようにしても良い。同様に電話親機側の制御音生成部64が生成する音響信号も各形態をとってよい。
【0096】
電話中継部は電話子機とは別体の中継器としているが、電話子機と一体にしても良い。また、電話機能を備えた中継器としても良く、電話ジャックを備えて電話ジャックに電話子機が接続されることでオフフックと同様の動作を行うようにしても良い。電話機能を備えた中継器としてアドレスを備えた発信機であるアドレッサブル発信機を採用しても良い。従来のアドレッサブル発信機においては、伝送路上のアドレスと電話用のジャックを備えていても互いに連携していなかったが、本願の中継部機能を内蔵することにより連携可能となり受信機からの通話指定対象に含めることが可能となる。
【0097】
P型発信機は従来ジャックインで電話親機と通話可能な構成となっているが、電話親機と電話子機の3者間通話と同様に、P型発信機からも含めて3者間通話できるようにしても良い。
【0098】
電話子機で通話中に付近の所定範囲の地区ベルの動作を止めるようにしても良い。このような構成とすることで通話中に音声が聞き取りづらくなることを防止することができる。
【0099】
中継器は表示灯を備える。例えば、通話中・保留・呼出中などを表示する。
【0100】
また、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0101】
10:受信機
12:伝送回線
14:火災感知器
16a,16b:電話回線
18:電話中継器
20:電話子機
22:受信制御部
24,50:伝送部
26:電話機回路部
28:電話親機
30:ディスプレイ
40:火災監視制御部
42:電話親機制御部
44,72:受話器
46,74:送話器
48:電話子機制御部
52,62:接続切替部
54,64:制御音生成部
56,66:スイッチ回路部
58,68:トランス
60,70:フックスイッチ
61:スピーカ