(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】フィルター装置
(51)【国際特許分類】
B01D 27/08 20060101AFI20241003BHJP
F02M 37/42 20190101ALI20241003BHJP
F02M 37/36 20190101ALI20241003BHJP
B01D 27/10 20060101ALI20241003BHJP
B01D 29/11 20060101ALI20241003BHJP
B01D 35/027 20060101ALI20241003BHJP
B01D 35/147 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B01D27/08
F02M37/42
F02M37/36
B01D27/10
B01D29/10 510C
B01D29/10 530A
B01D29/10 501C
B01D35/02 F
B01D35/14 101
(21)【出願番号】P 2022505305
(86)(22)【出願日】2020-06-05
(86)【国際出願番号】 EP2020065607
(87)【国際公開番号】W WO2021013417
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-06-02
(31)【優先権主張番号】102019005323.0
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019005324.9
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019005325.7
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019005326.5
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513144501
【氏名又は名称】エルテー-フィルターテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ゲルハルト シュテーレ
(72)【発明者】
【氏名】フロレンティン バン ウッフェレン
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-515657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 27/00-14
B01D 29/00-96
B01D 35/00-34
F02M 37/32-52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換可能なフィルター要素(14)が受容されているフィルターハウジング(2)を備えたフィルター装置において、
前記フィルター要素(14)が
固定手段を有し、該固定手段は、前記フィルターハウジング(2)の
受容手段(20)内に軸方向に挿入
されることが可能であり、回転運動が行われた後、スナップ手段が前記固定手段
を前記受容手段(20)にスナップ位置でスナップ留めするのに使用され
、
前記固定手段は、前記フィルター要素(14)に作用するエネルギーストレージ(62)の力に抗して、前記フィルターハウジング(2)の前記受容手段(20)内に挿入可能であることを特徴とするフィルター装置。
【請求項2】
前記スナップ位置で、特に軸方向に分解するのを防ぐロックを形成する一方、装置の非動作時に、前記受容手段(20)と前記固定手段
の接触面(72,74)は互いに接触していることを特徴とする、請求項1に記載のフィルター装置。
【請求項3】
前記固定手段
に設けた案内表面(66)の形態及び前記受容手段(20)に設けた別の案内表面(76)の形態で、少なくとも1つの別の一対の接触面が、液圧下でフィルター装置の動作時に前記案内表面(66、76)の接触によって前記フィルター要素(14)を重力に抗して互いに対して固定することを特徴とする、請求項1又は2に記載のフィルター装置。
【請求項4】
前記固定手段
は前記フィルター要素(14)の端部キャップ(22)の一部であり、前記固定手段
は、前記端部キャップ(22)から軸方向に突出する固定部(58)を有し、該固定部(58)は前記スナップ手段
と前記接触面(72、74)の一部を有することを特徴とする、請求項
2に記載のフィルター装置。
【請求項5】
前記スナップ手段は、前記固定部(58)の軸方向の向きから半径方向に突出し、スプリングバックし、スナップ位置で前記受容手段(20)のスナップ凹部(82)と係合する、スナップフック(70)から形成されていることを特徴とする、請求項
4に記載のフィルター装置。
【請求項6】
前記受容手段(20)は案内軌道(78)を有し、該案内軌道(78)は、設定可能な曲線経路に従って、スナップ位置に到達するまでその回転運動中に、前記フィルターハウジング(2)内に軸方向に挿入された前記フィルター要素(14)を案内することを特徴とする、請求項
5に記載のフィルター装置。
【請求項7】
前記案内軌道(78)は、前記フィルター要素(14)を軸方向に挿入する際に、それぞれのスナップフック
(70)が通過するためにそれぞれ1つの中断部(77)を有することを特徴とする、請求項
6に記載のフィルター装置。
【請求項8】
前記中断部(77)の少なくとも一部は、回転運動中にそれぞれの前記スナップフック(70)をスナップ位置にもたらす制御面(80)を有することを特徴とする、請求項
7に記載のフィルター装置。
【請求項9】
それぞれの前記スナップフック(70)を前記中断部(77)から持ち上げた後、継続する回転運動中に、前記スナップフック(70)は、曲線軌道から半径方向外側に突出して前記スナップフック(70)をそれらのスナップ位置で支持する別の案内部(84)を乗り越えることを特徴とする、請求項
8に記載のフィルター装置。
【請求項10】
前記案内部(84)は、凹みとして、それぞれの前記案内軌道(78)に一体的に形成され、前記案内部(84)は、前記スナップフック(70)と前記固定部(58)の接触面(72)との間の軸方向間隔内で更なる第3の案内表面(90)と係合することを特徴とする、請求項
9に記載のフィルター装置。
【請求項11】
前記フィルターハウジング(2)内で前記フィルター要素(14)のスナップ位置への回転運動が完了すると、それぞれの前記スナップフック(70)は、この運動に対応する回転方向でそれぞれの前記案内部(
84)に隣接する前記案内軌道(78)内のスナップ凹部(82)に係合することを特徴とする、請求項
10に記載のフィルター装置。
【請求項12】
圧縮ばね(62)として設計された前記エネルギーストレージはバイパス弁の構成要素であり、該バイパス弁の閉鎖部(52)が前記フィルター要素(14)を、軸方向挿入運動とは反対方向に圧縮することを特徴とする、請求項1~
11の何れか一項に記載のフィルター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換可能なフィルター要素が受容されているフィルターハウジングを備えたフィルター装置に関する。より具体的には、本発明は、タンク内取付けを目的としたリターンフィルター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種類のフィルター装置は、先行技術である特許文献1に記載されている。このようなフィルター装置は、油圧タンク内にスペースを節約して取り付けることにより、利用できるスペースが小さいコンパクトな油圧駆動装置に使用するのに適している。タンク内取付けにより、タンク開口部のフランジには取り外し可能に取り付けることができるカバーと、フィルター要素から離間してカバーからタンク内部に、作動時に液レベルより下にある位置まで延びる、比較的薄肉の管から構成されたフィルターハウジングのシンプルな構造も可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国特許出願公開第102015007691(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、この先行技術から出発して、先行技術で達成された利点を維持しながら、特に有利で安全な運転特性を特徴とする、冒頭で述べた種類のフィルター装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、上記の課題は請求項1の特徴をその全体において有するフィルター装置によって解決される。
【0006】
請求項1の特徴部によれば、本発明の本質的特徴は、フィルター要素がフィルターハウジングの受容手段内で軸方向に挿入可能な固定手段を有しており、回転運動が行われた後に、スナップ手段が固定手段を受容手段にスナップ位置でスナップ留めするのに使用される。好ましくは、このスナップ位置で、特に軸方向に分解するのを防ぐロックを形成して、装置の非動作時に、固定・受容手段の互いに対をなして対応する接触面が互いに接触するようにされている。このようにすることにより、装置の非動作時には必ず、フィルター要素がその重力の作用下でフィルターハウジング内の機能位置で軸方向下方に固定され、上記の接触面の間で半径方向に作用する摩擦力も万一軸方向に分解するのを防ぐ働きをする。このスナップ位置への回転運動によって達成される相互接触は、固定・受容手段を持ち上げ方向で少なくとも下方に作用する軸方向の力に対抗して固定するために、形状合致係合を提供する。スナップ位置で作用するスナップ手段は、固定・受容手段を接触面の形状合致係合する回転位置で互いに対して固定する。
【0007】
本発明によるフィルター装置の好適な実施形態では、固定手段に設けた案内表面の形態及び受容手段に設けた別の案内表面の形態の少なくとも別の一対の接触面は、装置の動作時に、その際に発生する液圧下で案内表面が互いに接触することによってフィルター要素をその重力に抗して固定する。このように面の制限により、装置の動作時にフィルター要素の運動は軸方向上方にも抗しており、この場合も上記面の間で摩擦が作用して、フィルター要素が意図せず半径方向に分解するのが防がれる。その限りで上記接触面の接触は、固定・受容手段を解放する。
【0008】
有利な実施形態では、固定手段は、フィルター要素に作用するエネルギーストレージの力に抗して、フィルターハウジングの受容手段内に挿入可能である。エネルギーストレージの作用によって接触面に生み出される摩擦接続は、スナップ手段に加えてスナップ位置から回動するのを追加的に防ぎ、その結果フィルター要素を装置のすべての動作状態で特に確実に位置決めすることが保証される。
【0009】
有利には、固定手段はフィルター要素の端部キャップの一部であり、固定手段は端部キャップから軸方向に突出する固定部(固定手段)を有しており、固定手段は割り当て可能なスナップ手段と接触面の一部を有するように構成できる。この場合、受容手段は、有利にはタンク内蔵フィルターのハウジング部分をなすカバーであってよく、カバーはタンク開口部のタンクフランジに取り付けることができる。
【0010】
スナップ手段は、固定部の軸方向の向きから半径方向に突出するばね弾性的なスナップフック(スナップ手段))から形成することができ、これらのスナップフックはスナップ位置で受容手段の割り当て可能なスナップ凹部と係合しており、そのため操作力が少なくてすむ。
【0011】
有利な実施形態では、受容手段は案内軌道を有しており、案内軌道は、フィルターハウジング内に軸方向に挿入されたフィルター要素をその回転運動中に、設定可能な曲線経路に従ってスナップ位置に到達するまで案内するので、誤操作が排除されている。
【0012】
有利には、案内軌道は、フィルター要素を軸方向に挿入する際に、それぞれ割り当て可能なスナップフックが通過するためにそれぞれ1つの中断部を有すように作られており、これは機能的に信頼できる組み立てに寄与する。
【0013】
中断部の少なくとも一部は、回転運動中にそれぞれのスナップフックをさらにスナップ位置に移動させるために中断部から持ち上げる制御面を有することができ、これも同様に組立を明らかに容易にする。
【0014】
この場合、有利には、それぞれのスナップフックを割り当てられた中断部から持ち上げた後に回転運動が継続されると、スナップフックは、曲線軌道から半径方向外側に突出してスナップフックをそれらのスナップ位置で共に支持する別の案内部を乗り越えるように配置構成できる。このようにして、確実なスナップフィット式接続が達成される。
【0015】
この別の案内部は、凹みとして、それぞれの案内軌道に一体的に形成でき、案内部は、スナップフックと固定手段の接触面との間の軸方向間隔でさらに追加の案内表面と係合し、これは、構成要素が軸方向でホルダーから意図せずに外れないようにすることを、スナップフィット式接続が確実に達成するまで、案内過程をサポートすることを助ける。
【0016】
有利な実施形態では、回転運動が、関連するフィルターハウジング内でフィルター要素のスナップ位置への回転運動が完了すると、それぞれのスナップフックは、この運動に対応する回転方向でそれぞれの別の案内部に接続している案内軌道内の凹部に係合する。
【0017】
特に有利な実施形態では、圧縮ばねとして設計されたエネルギーストレージはバイパス弁の一部であり、バイパス弁の閉鎖部がフィルター要素を軸方向挿入運動とは反対方向に付勢する。
【0018】
以下に、本発明を図面に示されたな実施形態に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は本発明によるフィルター装置の一実施形態の斜視図である。
【
図2】
図2は垂直面で切断して示した実施形態の斜視図である。
【
図3】
図3は実施形態のフィルター要素の別個に示す斜視図である。
【
図4】
図4はカバーの領域において水平切断面で切断した実施形態の斜視図であり、挿入過程の第1段階の位置にあるカバーとフィルター要素の相互作用部分が示されている。
【
図5】
図5は
図4に対応する図であり、挿入過程の第2段階の位置が示されている。
【
図6】
図6は、
図4に対応する図であり、挿入過程の第3段階の位置が示されている。
【
図7】
図7は、実施形態のカバーに続く部分の垂直切断面で切断した拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付の図面を参照して、本発明をタンク(図示せず)内に取り付けることが想定されているリターンフィルターの例で説明する。この実施形態は、カバー4と流出管6から形成された、全体を2で示すフィルターハウジングを有する。カバー4は雄ねじ8を有しており、これによりタンク(図示せず)のタンク開口部にあるタンクフランジ10にねじ込むことができる薄肉中空円筒形の流出管6は、その上端部でカバー4の内側にある。この場合、カバー4に留め具を設けるか、又は流出管6を下端部12から支持することによってカバー4に固定することができる。フィルターハウジング2内に挿入されたフィルター要素14を半径方向に離間して取り囲む流出管6は、濾液が流出するための窓16を有する。窓16は、タンク容量が小さい場合でも脱ガスを助長するような高さで濾液がタンク内に流出する高さで流出管6に配置されている。
図2に幾つかの重ね合わせ箇所18で暗示されているように、流出管6は複数の管セグメントから構成することができ、それによりフィルターハウジング2を所望の長さで実現できる。
【0021】
カバー4は、その円形の平らな皿の形状を有する内部空間要素(受容手段)20が、
図3に別に表現されているフィルター要素14の受容手段を形成している。フィルター要素14は、上側端部キャップ22と下側端部キャップ24との間にフィルター媒体26を有しており、フィルター媒体26はその内側では内部フィルター中空室28を取り囲み、その外側では支持管30によって支持されている。プラスチック格子構造から形成された支持管は、流出管6と同様に、接合箇所32で互いに接続された管セグメント30から構成されている。
図2及び
図3に最も明確に示されるように、下側端部キャップ24は円周上に配設された足部34を有しており、これらの足部34は軸方向下方及び斜め外方に張り出している。足部34はそれらの周縁部により、流出管6の下端部12を支持するための停止面36を形成する。下側端部キャップ24は、フィルター動作のために流入キャップを形成して、リターンスリーブ40が通過する中央開口部38を有し、リターンスリーブ40を通って未濾過液が内部フィルター中空室28に到達する。スリーブ40の内側端部は可動キャップ42によって覆われており、可動キャップ42は保守作業中にタンク内の逆汚染を防止する逆止弁を形成する。下側端部キャップ24の円周領域から上方に延びる壁セグメント44は、支持管セグメント30の下側セグメントのための案内を形成する。
【0022】
上側端部キャップ22の上側は、中央開口部48を除いて閉じられた平坦な円板46によって形成されており、その縁部50はバイパス弁の閉鎖部52のための封止座を形成する。下側端部キャップ24の縁部セグメント44に対応して、フィルター媒体26と、支持管セグメント30の上側セグメントの案内を形成する縁部セグメント56(
図3)が端部キャップ22の周縁部54から下方に延びて、フィルター媒体26と支持管セグメント30の上側セグメントの囲いを形成する。上側端部キャップ22は、フィルター要素14を取り付けられた機能位置に位置決め保持するために、カバー4の内部空間要素20にある受容手段と相互作用する固定手段を有する。固定手段は、
図3に示す3つの固定部58によって形成されており、これらの固定部58は互いに120°ずれて、周縁部54の近傍で円板46から上方に延びている。受容手段は、固定手段と相互作用するために案内軌道と案内部を有する。これらの案内軌道と案内部はカバー4の内部空間要素20で上壁60に一体的に形成され、この上壁60からフィルター要素14に向かって延びて案内軌道及び案内部を形成する。フィルター要素14の取付け過程の手順は段階的に行われ、第1段階で端部キャップ22は軸方向運動で内部空間要素20に挿入される。この挿入は、固定部58が、それぞれ内部空間要素20内の空きスペースとして互いに120°ずれている挿入スペース63と位置合わせされたフィルター要素14の回転位置で行われる。次に、フィルター要素14は、スナップ位置に到達するまでさらに2段階で回転される。この回転運動の間、固定部58は、円弧部材78(
図4~
図6)と案内部によって案内される。軸方向挿入運動は、上壁60とバイパス弁の閉鎖部52との間に嵌め込まれている圧縮ばね62のばね力に抗して行われる。圧縮ばね62は端部キャップ22の開口部48の縁部50にある閉鎖位置に閉鎖部52を押し込む。縁部50は封止座を形成する。
【0023】
固定部58は、
図3に示されるように、端部キャップ22の円板46に続いて円筒ジャケット部分の形態の足部64を有しており、その上側は半径方向面内に延びる案内表面66によって制限されている。案内表面66の一方の端部から、案内表面66に対して外側にずれて、壁部分68は案内表面66から軸方向上方に延びて、スナップフック70に移行している。スナップフック70は、案内表面66に沿って軸方向間隙を形成しながら案内表面66の端部を越えて延びている。壁部分68は案内表面66の下方に位置する下側で接触面72を形成し、これは
図7に示されるスナップ位置で、受容手段の接触面74と共に形状合致様式で相互作用する一対のロック面を形成して、フィルター要素14が
図7を見る方向で軸方向下方に動くのを防ぐ。
【0024】
さらに、固定手段58に設けた案内表面66の形態と、受容手段20に設けた別の案内表面76の形態の少なくとも別の一対の接触面が存在している。これらの接触面は、特に装置の動作時に、その際に発生する液圧下で上記案内表面66、76が互いに接触することによってフィルター要素をその重力に抗して固定されるように働く。このように面の制限により、装置の動作時にフィルター要素の運動は、
図7の視線方向で軸方向上方にも対抗している。上記対の面72、74;66、76の間で相応の摩擦が作用して、フィルター要素14は、フィルターハウジング2内で意図せず半径方向に分解することが防止されるように固定される。
【0025】
図4は、フィルター要素14の取付け過程の第1段階の状況を示している。この挿入回転位置では、スナップフック70は、回転運動中にスナップフック70の案内をなすように円弧部材78によって形成された主案内軌道の中断部77の領域にある。中断部77はカバー4の内部空間要素20に、スナップフック70を備えた固定部58の軸方向挿入運動のための空きスペースとして挿入スペース63を提供し、その結果、取付け過程の第1段階として挿入運動に対して回転位置が指定される。中断部77では、それぞれ1つの制御面80が次の円弧部材78への移行部を形成し、制御面80は、半径方向外方に傾斜した傾斜路の形状を有する。
【0026】
フィルター要素14が(
図4~
図6を見る方向で時計回りに)回転される取付け過程の第2段階では、スナップフック70の前部制御傾斜面81でそれぞれの制御面80に当たり、それによりスナップフック70が中断部77から半径方向外方に持ち上げられる。
図5は、このためにスナップフック70がそれぞれの制御面80と相互作用する回転位置を示している。取付け過程の第3段階としてさらに回転運動すると、スナップフック70は、
図6に示されたスナップ位置に到達するまで、続く円弧部材78の外側に沿って案内される。スナップ位置では、ばね弾性的なスナップフック70が制御傾斜面81の後ろに形成されたラッチでスナップ凹部82内に係合して、スナップ位置における回転位置を確保する。
図5と
図6に示された位置の間を移動するとき、スナップフック70はスナップ凹部82に到達するまで円弧部材78の外側に沿って案内されるが、その際にスナップフック70は上壁60に一体的に形成されたそれぞれ1つのブロック84によって形成された別の案内部を乗り越える。ブロック84は、
図7に示すように、内側凹部を備えた一種の凹部を形成し、その中に外側接触面74と上側案内体90が中空室の軸方向境界として存在する。
【0027】
スナップ位置に到達したとき(
図6)、スナップフック70はブロック84を乗り越えている。同時に、固定部58の足部64から半径方向外方に張り出す部材の、スナップフック70に沿って離間して延びる接触面72と案内表面86は、ブロック84内の中空室内に移動している。その結果、スナップ位置で
図7に示された形状係合が形成されて、互いに接触する接触面72及び74が下方の軸力に抗して保護手段を形成し、表面66及び76が上方の軸力に抗する保護手段を形成し、それにより両方向における軸方向の分解に抗するロックを形成する。バイパス弁の圧縮ばね62のばね力の作用により、接触面72、74はスナップ位置において摩擦接続によっても互いに接触しており、その結果としてスナップフック70の凹部82との係合に加えて、フィルター要素14を取り外すために克服しなければならない回動に抗する別の保護手段が形成されている。フィルター要素14の取付け及び取外しのための回転補助として、下側端部キャップ24から下方に突出する足部34が提供されている。
なお、本発明の態様(構成)として以下に示すものがある。
[態様1]
交換可能なフィルター要素(14)が受容されているフィルターハウジング(2)を備えたフィルター装置において、
前記フィルター要素(14)が前記フィルターハウジング(2)の(20)内に軸方向に挿入可能な固定手段(58)を有し、回転運動が行われた後、スナップ手段が前記固定手段(58)を前記受容手段(20)にスナップ位置でスナップ留めするのに使用されることを特徴とするフィルター装置。
[態様2]
前記スナップ位置で、特に軸方向に分解するのを防ぐロックを形成する一方、装置の非動作時に、前記受容手段(20)と前記固定手段(58)の接触面(72,74)は互いに接触していることを特徴とする、態様1に記載のフィルター装置。
[態様3]
前記固定手段(58)に設けた案内表面(66)の形態及び前記受容手段(20)に設けた別の案内表面(76)の形態で、少なくとも1つの別の一対の接触面が、液圧下でフィルター装置の動作時に前記案内表面(66、76)の接触によって前記フィルター要素(14)を重力に抗して互いに対して固定することを特徴とする、態様1又は2に記載のフィルター装置。
[態様4]
前記固定手段(58)は、前記フィルター要素(14)に作用するエネルギーストレージ(62)の力に抗して、前記フィルターハウジング(2)の前記受容手段(20)内に挿入可能であることを特徴とする、態様1~3の何れか一項に記載のフィルター装置。
[態様5]
前記固定手段(58)は前記フィルター要素(14)の端部キャップ(22)の一部であり、前記固定手段(58)は、前記端部キャップ(22)から軸方向に突出する固定部(58)を有し、該固定部(58)は前記スナップ手段(70)と前記接触面(72、74)の一部を有することを特徴とする、態様1に記載のフィルター装置。
[態様6]
前記スナップ手段は、前記固定部(58)の軸方向の向きから半径方向に突出し、スプリングバックし、スナップ位置で前記受容手段(20)のスナップ凹部(82)と係合する、スナップフック(70)から形成されていることを特徴とする、態様1又は2に記載のフィルター装置。
[態様7]
前記受容手段(20)は案内軌道(78)を有し、該案内軌道(78)は、設定可能な曲線経路に従って、スナップ位置に到達するまでその回転運動中に、前記フィルターハウジング(2)内に軸方向に挿入された前記フィルター要素(14)を案内することを特徴とする、態様1~6の何れか一項に記載のフィルター装置。
[態様8]
前記案内軌道(78)は、前記フィルター要素(14)を軸方向に挿入する際に、それぞれのスナップフックが通過するためにそれぞれ1つの中断部(77)を有することを特徴とする、態様1~7の何れか一項に記載のフィルター装置。
[態様9]
前記中断部(77)の少なくとも一部は、回転運動中にそれぞれの前記スナップフック(70)をスナップ位置にもたらす制御面(80)を有することを特徴とする、態様1~8の何れか一項に記載のフィルター装置。
[態様10]
それぞれの前記スナップフック(70)を前記中断部(77)から持ち上げた後、継続する回転運動中に、前記スナップフック(70)は、曲線軌道から半径方向外側に突出して前記スナップフック(70)をそれらのスナップ位置で支持する別の案内部(84)を乗り越えることを特徴とする、態様1~9の何れか一項に記載のフィルター装置。
[態様11]
前記案内部(84)は、凹みとして、それぞれの前記案内軌道(78)に一体的に形成され、前記案内部(84)は、前記スナップフック(70)と前記固定部(58)の接触面(72)との間の軸方向間隔内で更なる第3の案内表面(90)と係合することを特徴とする、態様1~10の何れか一項に記載のフィルター装置。
[態様12]
前記フィルターハウジング(2)内で前記フィルター要素(14)のスナップ位置への回転運動が完了すると、それぞれの前記スナップフック(70)は、この運動に対応する回転方向でそれぞれの前記案内部(78)に隣接する前記案内軌道(78)内のスナップ凹部(82)に係合することを特徴とする、態様1~11の何れか一項に記載のフィルター装置。
[態様13]
圧縮ばね(62)として設計された前記エネルギーストレージはバイパス弁の構成要素であり、該バイパス弁の閉鎖部(52)が前記フィルター要素(14)を、軸方向挿入運動とは反対方向に圧縮することを特徴とする、態様1~12の何れか一項に記載のフィルター装置。