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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】大腿骨コンポーネント抽出器
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/88 20060101AFI20241003BHJP
   A61F 2/46 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A61B17/88
A61F2/46
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2022506347
(86)(22)【出願日】2020-07-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 US2020000029
(87)【国際公開番号】W WO2021021239
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-07-28
(31)【優先権主張番号】16/525,492
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522039522
【氏名又は名称】ダナ オールデン
【氏名又は名称原語表記】Dana Alden
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】ダナ オールデン
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】仏国特許出願公開第03070248(FR,A1)
【文献】国際公開第2018/134423(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0208202(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0302655(US,A1)
【文献】米国特許第01590159(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00-18/18
A61F 2/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面、底面、およびトラニオンネックを備えたトラニオンを有する大腿骨コンポーネントのための抽出器であって、該抽出器は、
a)ネジ孔および枢動孔を備えた本体であって、前記ネジ孔および枢動孔は前記本体内部に画定され、前記本体はさらにクランプ本体セクションを備え、
i)前記ネジ孔が、前記枢動孔に対して前記本体内に直交して伸長し;
ii)前記クランプ本体セクションが、第1のアームおよび第2のアームを備え、前記アームが、互いに離間されて、前記大腿骨コンポーネントの前記トラニオンネックを少なくとも部分的に受容するよう寸法決めされたノッチを画定し;
iii)前記アームが、前記トラニオンネックの少なくとも一部の周りに延在し前記トラニオンの前記底面に接触するように寸法決めされた上側アーム表面を備える、
本体;
b)枢動部材内に画定された枢動孔部材および前記本体内に画定された前記枢動孔を通って延在することにより、前記枢動部材を前記本体に固定する枢動部;
c)第1の端部および第2の端部を備えた枢動部材であって、以下をさらに備える:
i)前記第2の端部に位置し、前記大腿骨コンポーネントの前記トラニオンネックをクランプするように成形されたクランプ構造;
ii)前記クランプ構造が、内側歯表面を有する歯を備え;
iii)前記枢動部材の前記枢動孔が、前記クランプ構造が前記枢動部の周りを回転するように配置され、
(1)前記クランプ構造の前記内側歯表面が、前記トラニオンの前記底面に接触するように位置付けられ;
(2)前記抽出器の前記本体が、前記アームの間かつ少なくとも部分的に前記ノッチ内に前記トラニオンネックが存在するように位置付けられ;かつ
(3)前記本体の前記上側アーム表面が、前記トラニオンの底面に接触するように前記トラニオンに対して位置付けられる、
枢動部材;
d)前記本体の前記ネジ孔内にトルク付与されたシャンクを有するネジ状部材;および
e)前記本体の前記ネジ孔内に伸長して、前記ネジ状部材が前記第1の端部で前記枢動部材に接触するように寸法決めされる、前記ネジ状部材の前記シャンク
を含む、
抽出器。
【請求項2】
前記アームがさらに、互いに同一平面上にある下側アーム表面を含むことを特徴とする、請求項1に記載の抽出器。
【請求項3】
トラニオン受容構造、および、複数の上側アーム表面を含むアーム伸長バーをさらに含み、前記トラニオン受容構造が、
a)前記トラニオンの前記上面が前記トラニオン受容構造内に嵌合し、
b)前記トラニオンの前記底面が前記上側アーム表面に接触する
ように寸法決めされることを特徴とする、請求項1に記載の抽出器。
【請求項4】
前記アームが、互いに略同一平面上にあることを特徴とする、請求項1に記載の抽出器。
【請求項5】
前記枢動部材の前記クランプ構造が、前記アームの少なくとも1つと略同一平面上の位置に回転することを特徴とする、請求項1に記載の抽出器。
【請求項6】
前記大腿骨コンポーネントが衝突軸をさらに含み、前記抽出器が、突当面を備えた受板をさらに含み、該受板の突当面が、前記大腿骨コンポーネントの衝突軸に対して直交するように配向されることを特徴とする、請求項1に記載の抽出器。
【請求項7】
前記大腿骨コンポーネントがステム軸をさらに含み、前記抽出器が、突当面を備えた受板をさらに含み、該受板の突当面が、前記大腿骨コンポーネントのステム軸に対して直交するように配向されることを特徴とする、請求項1に記載の抽出器。
【請求項8】
大腿骨コンポーネントのための抽出器であって、前記大腿骨コンポーネントが、トラニオンネックを含み、前記抽出器は、
a)内部に画定されたネジ孔を備えた本体;
b)クランプ本体セクション、支点構造および中央本体セクションを備えた前記本体であって、
i.前記クランプ本体セクションが、互いに略同一平面上にあってアーム伸長バーから伸長してそれらの間にノッチを画定する、一対のアームを備え;
ii.前記ノッチが、前記大腿骨コンポーネントの前記トラニオンネックを少なくとも部分的に受容するよう寸法決めされ;
iii.前記支点構造が、内部に画定された枢動孔を備え;
iv.前記ネジ孔が、前記支点構造の前記枢動孔に対して略直交し、
a.第1の端部、第2の端部、およびそれらの間に画定された枢動孔部材を備えた枢動部材であって、前記大腿骨コンポーネントの前記トラニオンネックをクランプするように成形された歯を備える第2の端部に位置するクランプ構造を含む、枢動部材;
b.前記枢動部材内に画定された前記枢動孔部材および前記本体の支点構造内に画定された前記枢動孔を通って延在することにより、前記枢動部材を前記本体に固定する枢動部;
c.前記本体の前記ネジ孔内にトルク付与されたシャンクを有するネジ状部材;および
d.前記本体の前記ネジ孔内に伸長して、前記ネジ状部材が前記枢動部材に接触する、前記ネジ状部材の前記シャンク
を含む、
抽出器。
【請求項9】
前記アームがさらに、互いに同一平面上にある下側アーム表面を含むことを特徴とする、請求項8に記載の抽出器。
【請求項10】
前記本体がトラニオン受容構造をさらに備え、ラニオンの上面および下面が前記トラニオン受容構造内に嵌合するように、前記アーム伸長バーが軸方向に伸長し、前記アームが半径方向に伸長することを特徴とする、請求項8に記載の抽出器。
【請求項11】
前記枢動部材の前記クランプ構造が、前記アームの少なくとも1つと略同一平面上の位置に回転することを特徴とする、請求項8に記載の抽出器。
【請求項12】
前記大腿骨コンポーネントが衝突軸を含み、前記抽出器が、前記大腿骨コンポーネントの衝突軸に対して直交するように配向された突当面を備えた受板をさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載の抽出器。
【請求項13】
前記大腿骨コンポーネントがステム軸を含み、前記抽出器が、前記大腿骨コンポーネントのステム軸に対して直交するように配向された突当面を備えた受板をさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載の抽出器。
【請求項14】
大腿骨コンポーネントのための抽出器であって、前記大腿骨コンポーネントが、トラニオンネックを含み、前記抽出器は、
a)上側セクションおよびクランプセクションを含む、複数の抽出器セクション;
b)内部に画定された枢動孔およびネジ孔を備えた本体であって、該本体がさらに、クランプ本体セクション、中央本体セクション、および衝突本体セクションを備え
i)前記本体の前記衝突本体セクションが、トラニオン受容構造を含み;
ii)前記ネジ孔が、前記枢動孔に対して略直交する配向で前記本体中に伸長する、
本体;
c)内部に画定された枢動孔を備えた枢動部材であって、第1の端部および第2の端部をさらに備え、前記第1の端部は前記抽出器の上側セクションに位置し、前記第2の端部は前記抽出器の前記クランプセクションに位置し前記大腿骨コンポーネントの前記トラニオンネックをクランプするように成形されたクランプ構造を含む、枢動部材;
d)前記枢動部材内に画定された前記枢動孔および前記中央本体セクション内に画定された前記枢動孔を通って延在することにより、前記枢動部材を前記本体に固定する枢動部;
e)前記本体の前記ネジ孔内にトルク付与されたシャンクを有するネジ状部材;および
f)前記本体の前記ネジ孔を通って伸長して、前記第1の端部で前記枢動部材に接触するように寸法決めされる、前記ネジ状部材の前記シャンク
を含む、
抽出器。
【請求項15】
前記枢動部材がさらに歯を備え、前記本体がさらにそれらの間にノッチを画定する一対のアームを備えることを特徴とする、請求項14に記載の抽出器。
【請求項16】
前記アームがさらに、互いに同一平面上にある下側アーム表面をさらに含むことを特徴とする、請求項15に記載の抽出器。
【請求項17】
前記枢動部材の前記クランプ構造が、前記アームの少なくとも1つと略同一平面上の位置に回転することを特徴とする、請求項15に記載の抽出器。
【請求項18】
前記大腿骨コンポーネントが、上面および底面を含み、前記本体が、トラニオン受容構造およびアーム伸長バーをさらに備え、前記アーム伸長バーが、ラニオンの上面および底面が前記トラニオン受容構造内に嵌合するように、軸方向に伸長することを特徴とする、請求項15に記載の抽出器。
【請求項19】
前記大腿骨コンポーネントが衝突軸をさらに備え、前記抽出器が、前記大腿骨コンポーネントの衝突軸に対して直交するように配向された突当面を含む受板をさらに備えることを特徴とする、請求項14に記載の抽出器。
【請求項20】
前記大腿骨コンポーネントがステム軸をさらに備え、前記抽出器が、前記大腿骨コンポーネントの衝突軸に対して直交するように配向された突当面を含む受板をさらに備えることを特徴とする、請求項14に記載の抽出器。
【請求項21】
大腿骨コンポーネントのための抽出器であって、前記大腿骨コンポーネントが、底面を備えたトラニオンおよびトラニオンネックを含み、前記抽出器は以下を含み、
a)上側セクション、中央セクションおよびクランプセクションを含む、複数の抽出器セクション;
b)突当面が、前記抽出器の前記上側セクションまたは中央セクションの少なくとも1つに位置し;
c)前記抽出器のクランプセクションが、枢動孔およびネジ部材のためのネジ孔を備え;
i)前記抽出器のクランプセクションが、トラニオン受容構造をさらに含み;
ii)前記ネジ部材が、前記抽出器から伸長し、前記枢動孔に対して略直交する配向で前記ネジ孔と係合し;
d)前記抽出器のクランプセクションが、内部に画定された枢動孔部材を備えた枢動部材、および、前記大腿骨コンポーネントのトラニオンネックをクランプするように形成されたクランプ構造をさらに含み;
e)前記枢動部材のクランプ構造が、前記トラニオンの底面に接触するように位置付けられる内側歯表面を含み;
f)前記枢動部材内に画定された前記枢動孔部材および前記中央クション内に画定された前記枢動孔を通って延在することにより、前記枢動部材を前記抽出器に固定する枢動部;および
g)前記ネジ部材が前記抽出器のクランプセクションに位置するネジ孔内にトルク付与された際に、前記枢動部材の歯が、前記大腿骨コンポーネントのトラニオンネックをクランプする、
抽出器。
【請求項22】
前記抽出器のクランプセクションが、それらの間にノッチを画定する一対のアームを備えることを特徴とする、請求項21に記載の抽出器。
【請求項23】
前記アームがさらに、互いに同一平面上にある下側アーム表面をさらに含むことを特徴とする、請求項22に記載の抽出器。
【請求項24】
前記枢動部材のクランプ構造が、前記アームの少なくとも1つと略同一平面上の位置に回転することを特徴とする、請求項22に記載の抽出器。
【請求項25】
前記トラニオンが上面をさらに含み、前記抽出器のクランプセクションが、トラニオン受容構造およびアーム伸長バーをさらに含み、前記アーム伸長バーが、前記トラニオンの上面および底面が前記トラニオン受容構造内に嵌合するように寸法決めされることを特徴とする、請求項21に記載の抽出器。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本特許出願は、人工股関節の大腿骨コンポーネントを抽出するために使用される外科用器具に関する。
【関連出願の相互参照】
【0002】
本特許出願は、米国特許出願第16/525,492号に対する優先権を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
整形外科診療では、人工股関節を埋め込むことが知られている。そのような人工器官は、大腿骨コンポーネントおよび寛骨臼コンポーネントを含み、これらは共にボールおよびソケットジョイントとして機能する。大腿骨コンポーネントは、しばしば、高度に研磨された表面仕上げを有する金属生体材料から作製される。大腿骨コンポーネントの滑らかな表面は、腐食および細菌増殖を抑制する。本明細書で提供される図面の図8は、そのような大腿骨コンポーネントを示し、図示のように、大腿骨コンポーネントは、軸を備えたステム、および、ステムの軸から不規則な角度(すなわち、90度ではない角度)で延在する球形ヘッドを含む。
【0004】
ステムは、患者の大腿骨内に軸方向に挿入されるように成形される。当然ながら、大腿骨コンポーネントが埋め込まれる前に、患者の既存の大腿骨頭部を取り外し、人工器官を受容するように大腿骨を準備しなければならない。外科医は、ステムに従って成形される大腿管内に空洞を開けることによってこれを達成する。しばしば、外科医は、細菌および他の感染を引き起こす物質が成長し得るいかなる空隙も伴わずに人工器官がしっかりと固定されるように、空洞を過小サイズにし、大腿骨内へ大腿骨コンポーネントを入れ込む。あるいは、外科医は、空洞をある種類のセメントで充填し、次いで、大腿骨コンポーネントのステムをセメント内に固定する。
【0005】
残念なことに、人工インプラントは緩み、コンポーネントが腐食および破損し、生体適合性が劣化し、感染が発症する。したがって、人工股関節を有する患者は、時に、股関節改良術を必要とする。このような処置では、大腿骨コンポーネントを含む人工インプラントを取り外さなければならない。しかしながら、上述したように、大腿骨コンポーネントは、患者の大腿骨内にしっかりと固定されることが多い。上述のように、研磨された表面と組み合わされた不規則な幾何学的構成は、大腿骨コンポーネントの滑らかな表面上で滑るのでバイスグリップ器具を大いに無効にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
大腿骨コンポーネントを抽出することができない場合、外科医は、拡張転子骨切り術を介して外科的に大腿骨コンポーネントを取り外さなければならず、これは、合併症をしばしば有し患者の回復を延期する処置である。したがって、滑ることなく大腿骨コンポーネントの研磨された表面上にクランプすることができる抽出器が必要とされている。そのような人工器官に関連する不規則な幾何学的形状にもかかわらず、大腿骨コンポーネントを取り外すことができる抽出器もまた必要とされている。また、外科医自身の合併症を有し患者の回復時間を延期する追加の外科処置に頼ることなく、外科医が患者の大腿骨からしっかりと固定された大腿骨コンポーネントに衝撃を与えることを可能にする抽出器もまた必要とされている。
【0007】
前述は、先行技術の抽出器に関連する全ての欠点の網羅的な明示を意図するものではない;しかしながら、本発明は、従来技術のシステムに固有のこれらの(および他の)欠点を克服することを対象とする。本発明の利点は、本明細書に提供される開示を読んだ後に当業者に容易に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、本明細書に記載される特許請求の範囲によって定められる;しかしながら、簡潔には、本明細書における本発明は、トラニオンネックを有する大腿骨コンポーネントのための抽出器であって、以下を含む:第1の軸を有する第1のセクション、第2の軸を有する第2のセクション、および第3の軸を有する第3のセクションを含む複数の抽出器セクション;内部に画定されたネジ孔を有する本体であって、クランプ本体セクションおよび中央本体セクション、第1の端部を有する枢動部材、第2の端部、および、それらの間に画定された枢動孔を備え、大腿骨コンポーネントのトラニオンネックをクランプするように成形された第2の端部に配置されたクランプ構造を含む、本体;および、枢動部材内に画定された枢動孔および本体の支点構造内に画定された枢動孔を通って延在することにより、枢動部材を本体に固定する枢動部。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】抽出器の片側からの斜視図を示す。
図2】抽出器の本体の片側からの斜視図を示す。
図3】抽出器の本体の端部の詳細図を示す。
図4】本体の底部からの斜視図を示す。
図5】枢動部材の片側からの斜視図を示す。
図6図5の枢動部材の反対側からの斜視図を示す。
図7】抽出器の断面図を示す。
図8】大腿骨コンポーネントの斜視図を示す。
図9】頭部のない大腿骨コンポーネントの斜視図を示す。
図10】頭部のない大腿骨コンポーネントの斜視図を示す。
図11】大腿骨コンポーネントのネックが本体のアーム間に配置された状態の抽出器の本体の斜視図を示す。
図12】大腿骨コンポーネントのネックが本体のアーム間に配置された状態の抽出器の本体の詳細図を示す。
図13】枢動部材が完全に開いた位置にある抽出器の斜視図を示す。
図14】枢動部材が完全に開いた位置にある抽出器の断面図を示す。
図15】枢動部材が完全に開いた位置にある抽出器の開口部の斜視図を示す。
図16】大腿骨コンポーネントのネックが本体のアーム間に配置された状態の抽出器の斜視図を示す。
図17】大腿骨コンポーネントのネックが本体のアーム間に配置された状態の抽出器の断面図を示す。
図18】枢動部材が大腿骨コンポーネントのネックにクランプした状態の抽出器の斜視図を示す。
図19】枢動部材が大腿骨コンポーネントのネックにクランプした状態の抽出器の断面図を示す。
図20】抽出器の代替実施形態の斜視図を示す。
図21図20に示す抽出器の本体の代替実施形態の斜視図を示す。
図22図20に示す抽出器の代替実施形態の断面図を示す。
図23図20に示す抽出器の枢動部材の代替実施形態の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本明細書に開示される本発明の現在好ましい実施形態を構成する抽出器100を示す。抽出器100は、枢動部材300および受板(strike plate)(好ましくは、図1に示すように、複数の受板501、502)を有する本体200を備える。ステンレス鋼ピンの形態の枢動部400は、枢動部材300を本体200に固定する。本体200、枢動部材300、受板501、502、および枢動部400は、好ましくは、300または400グレードのステンレス鋼(例えば、304、316、および416ステンレス鋼)等のステンレス鋼から製造される;しかしながら、代替実施形態では、本体200、枢動部材300、受板501、502、および枢動部400は、チタンから製造される。
【0011】
受板501、502(互いを区別するために「第1の受板501」および「第2の受板502」と称される)の各々は、上側突当面(501aおよび502aで示される)および下側突当面(501bおよび502bで示される)を備える。図1にも示されるように、抽出器100は、第1の端部600および第2の端部700、並びに、それぞれ111、121、131で示される軸を含む複数の抽出器セクション110、120、130を備える。図1は、第1の軸111(「クランプ軸111」とも称される)を有する第1のセクション110(「クランプセクション110」とも称される)、および上側軸121を有する上側抽出セクション120、および中央軸131を有する中央抽出セクション130を備える抽出器100を示す。
【0012】
図1に示すように、上側軸121およびクランプ軸111は、概ね平行な向きである。また図1に示すように、第1の端部600は、枢動部材300および本体200によって形成される開口部601で終端し、第2の端部700は、第2の突当箇所502で終端する。図1はさらに、本体200内に位置する雌ねじと係合するネジ状構成要素112が設けられた抽出器100を示す。好ましい実施形態では、ネジ状構成要素112は六角ボルトである(したがって、ネジ状シャンク、および六角ヘッドの形態のトルク伝達構造を備える)。当業者であれば、六角ボルトは必要ではないことを理解するであろう;代替実施形態では、抽出器100は、ネジ状Tバーを備え、トルク伝達構造はTハンドルである。
【0013】
ここで図2を参照すると、抽出器100の本体200が示されている。ここに示されるように、本体200は、それぞれ第1の端部800および第2の端部900を備える。本体200の第1の端部800および第2の端部900は、概して、抽出器100の第1の端部および第2の端部に対応する。本体200は、傾斜セクション、好ましくは複数の傾斜セクションを備える;したがって、図2に示す本体は、本明細書ではより具体的にクランプ本体部分210と称される第1の傾斜部分、および、本明細書ではより具体的に突当本体部分と称される第2の傾斜部分220を含む。傾斜セクション210、220の間に位置する中央本体セクション230は、本体200内に含まれる。また図2に示されるように、各セクションは軸を備える。クランプ本体セクション210は、クランプ本体軸211を備える;突当本体セクション220は突当本体軸221を備え、中央本体セクション230は中央本体部軸231を備える。図から明らかなように、クランプ本体軸211および突当本体軸221は、互いに略平行である。
【0014】
好ましい実施形態では、本体200は、概して円筒形の形状である(したがって、略円形の断面形状を備える)。しかしながら、当業者であれば、他の断面形状も本発明の範囲内であることを理解するであろう。例として(限定ではなく)、本体は、矩形である(したがって、正方形または長方形の断面形状を有する)ことが許容される。代替実施形態では、本体200は、六角形の断面形状を提供する六角形の棒材から作製される。このような実施形態では、本体200は、多角形の断面形状を備える。好ましい実施形態は丸い棒材から製造されるが、代替的な実施形態は半円形の棒材から作製される。
【0015】
抽出器100と同様に、本体200の様々なセクション210、220、230は、それぞれ軸を備える。図2は、本体200が、中央本体軸231、突当本体軸221、およびクランプ本体軸211を含む複数の軸を備えることを示す。
【0016】
図3は、本体200の第1のセクション210をより詳細に示す。ここに示されるように、第1のセクションは、枢動孔401およびネジ孔413を含む複数の貫通孔を備える。枢動孔401およびネジ孔413は、略直交するように配向されている。本体200の第1の端部210は、支点構造410に傾斜した支点面411を提供するようにミリングされる。傾斜した支点面411は、抽出器100(図1に示される)の軸11に向かって半径方向内向きであり、かつ本体200の第2の端部220に向かって軸方向で、枢動孔401から延在し、支点面411が第1の抽出器セクション110の軸111に対して角度414(図7に示される)で配向される。好ましい実施形態では、この角度414は、軸111に対して20度である。
【0017】
傾斜した支点面411は、締付け面412で(少なくとも部分的に)終端する。締付け面412は、抽出器100の第1の端部110の軸111に向かって半径方向内向きであり、かつ本体200の第2の端部220から軸方向に離れて延在し、締付け面412の平面が、クランプ本体軸211に対してある角度であり、これは20度である。締付け面412は、本体200がトラニオン受容構造2102を提供する場所で終端する。
【0018】
トラニオン受容構造2102は、アーム伸長バー214および一対のアーム212、213を備える。締付け面412が終端する場所から、アーム伸長バー214は軸方向に伸長し、締付け面412とアーム212、213との間の大腿骨コンポーネントのトラニオンの軸方向寸法に適応する。アーム212、213の各々は、アーム伸長バー214から伸長し、それぞれが互いに略平行である。アーム212、213は、互いに離間し、大腿骨コンポーネントのトラニオンの直径に従って寸法決めされるノッチ215を画定する;本明細書に示される実施形態では、アーム212、213は互いに、1.397cm(0.55インチ)未満、好ましくは1.27cm(0.5インチ)~0.9525cm(0.375インチ)(両端を含む)の間隔を有する。
【0019】
図3にも示されるように、アーム212、213は、上側アーム表面216、218および下側アーム表面217、219を備える。上側アーム表面216、218は、図3において「D」と示される距離で枢動孔401から軸方向に離間される。好ましい実施形態では、「D」は1.39954cm(0.551インチ)より大きい。
【0020】
図4は、アーム伸長バー214から伸長し、その間にノッチ215を画定する、下側アーム表面217、219の図を示す。ノッチ215は、大腿骨コンポーネント、好ましくは大腿骨コンポーネントのネックを少なくとも部分的に受け入れるように寸法決めされる。
【0021】
ここで図5および図6を参照すると、枢動部材300の斜視図が示されている。図5および図6の両方が示すように、現在好ましい枢動部材300は、ポケット302および軸301(「枢動軸301」と称される)を囲む円筒形状のプロファイルを有する、円筒、好ましくは半円筒の形状である。ポケット302はクランプ構造303を形成するように終端する。図6に示すように、クランプ構造303は、大腿骨コンポーネントのネックに係合する歯の形態であることが好ましい。
【0022】
好ましい実施形態では、枢動部材は、ボールノーズエンドミルの使用によって粉砕されたポケット302を有する半円形の棒材から作製される。枢動部400のための孔401は、ステンレス鋼ピンのための適切なサイズのドリルを使用して単純に穿孔される。好ましい実施形態は円筒形であるが、当業者であれば、他の形状も本発明の範囲内であることを理解するであろう。例えば、代替実施形態では、枢動部材300は、ポケット302を矩形の棒材にフライス加工することによって作製され、それによって、矩形の形状である枢動部材300が生じる。さらに別の代替実施形態では、枢動部材300は、六角形の棒材からポケット302をフライス加工することによって作製され、それによって、多角形の形状である枢動部材300が生じる。
【0023】
上述のように(また図6に示すように)、クランプ構造303は、幅が0.15875cm(0.0625インチ)~0.635cm(0.25インチ)である(両端を含む)歯の形態である(好ましい厚さは0.3175cm(0.125インチ)である)。クランプ構造303は歯の形態であるが、当業者は、クランプ構造303が他の形態および寸法をとることができることを理解するであろう。
【0024】
図7を参照すると、枢動部材300は、上述のようにステンレス鋼ピンの形態である枢動部400を介して本体200に取り付けられる。図7は、枢動部材300が取り付けられた抽出器100の断面図を示す。上述のようにかつ図7が示すように、本体200の支点構造410は、傾斜した支点面411および締付け面412を含む。したがって、枢動部材300が本体200に取り付けられると、枢動部材300(したがって、枢動部材300の軸301)は、本体200の支点構造410上で回転可能である。したがって、枢動部材300は回転可能であり、枢動部材300の軸301は、支点面411と概ね平行である(例えばネジ状構成要素112が後退される際)、または締付け面412と概ね平行である(例えばネジ上構成要素112が本体200に締め付けられトルクを与えられる際)。上述のように、支店面411と締付け面412との間の枢動部材300の回転の範囲は40度である。
【0025】
上述したように、抽出部100は、股関節改良術中に患者の大腿骨から大腿骨コンポーネントを取り外すように構成される。図8、9、および10は、そのような大腿骨コンポーネント(本明細書において「大腿骨コンポーネント1000」と指定される)の実施例を示す。図8に示すように、大腿骨コンポーネント1000は、ヘッド1100、トラニオン軸1101、およびステム軸1201を含むステム1200を備える。図8、9、および10がさらに示すように、ヘッド1100(図8に示される)は、トラニオン1102(図9および10に示される)上に配置される。トラニオン1102は、トラニオン軸1101の周りで略円筒形であるが、トラニオン1102の上面1103からトラニオン1102の底面1104までテーパになっている。上面1103および底面1104は、トラニオン軸1101に略直交するように配向される。
【0026】
トラニオン1102の底面1104からはトラニオンネック1300が伸長し、これは、トラニオン1102の軸1101と概ね同軸であり、軸方向の断面で概ね矩形である。大腿骨コンポーネント1000のトラニオンネック1300は、通常、(衝突軸1401を含む)衝突セクション1400に一体になるにつれて、より大きい寸法にテーパになる。衝突軸1401は、概して、大腿骨コンポーネント1000が患者の大腿骨に挿入される方向を画定し、当業者は、大腿骨コンポーネント1000がしばしば、図8および図9に示される衝突軸1401と軸方向に平行である円筒形の孔を備えることを理解するであろう。そのような円筒形の孔は、大腿骨コンポーネント1000が外科的に埋め込まれるときに衝突を受ける(これにより、大腿骨コンポーネント1000が患者の大腿骨に衝突する)ツールのためのものである。
【0027】
上述のように、抽出器100の本体200は、患者の大腿骨から大腿骨コンポーネント(例えば、図8、9、および10に示される標準大腿骨コンポーネント1000)を取り外すように構成されている。図11および図12は、抽出器100の本体200がどのように大腿骨コンポーネントを取り外すよう構成されるかを示す。図11は、トラニオンネック1300の少なくとも一部を受け入れる本体200のノッチ215を示す。本体200のアーム212、213は、トラニオンネック1300の少なくとも一部およびトラニオン1102の底面1104と接触する上側アーム表面216、218の周囲に伸長するように寸法決めされる。図11および図12に示すように、アーム伸長バー214は、締付け面412と上側アーム面216、218との間のトラニオン1104の軸方向寸法に適応するように軸方向に伸長する。したがって、トラニオン受容構造2102は、トラニオン1104の少なくとも一部を収容するように構成される。
【0028】
ここで図13図14および図15を参照すると、大腿骨コンポーネント1000のトラニオン1102を受け入れるように構成された抽出器100が示されている。図13は、枢動部材300が枢動部400を中心に回転した後の抽出器100の斜視図であり、軸301が支点面411の平面と略平行である。図14は、図13に示す抽出器100の断面図を示す。図15は、枢動部材300が枢動部400の周りに回転されたときに形成される開口部601の斜視図であり、軸301が支点面411の平面と略平行である。上述したように、かつ図13図14および図15に示すように、支点構造410は、枢動部材300を回転させて枢動部材300の軸301が支点面411の平面と概ね平行な位置に近づくことを可能とするように成形されている。このように枢動部材300を支点面411の平面に向かって回転させることによって、開口部601は、増大するサイズのトラニオンを収容するようにだんだんと拡大される。したがって、抽出器100は、事実上あらゆる大腿骨コンポーネント1000のトラニオン1102を受け入れるように構成された開口部601を備える。
【0029】
枢動部材300を枢動部400の周りで回転させて軸301が支点面411の平面と略平行になった後、トラニオン1102が開口部601に容易に嵌合するように抽出器100を「開く」。図16および図17は、このように開かれ、開口部601を通してトラニオン1102を収容する抽出器100を示す。図16および図17が示すように、アーム212、213は、上側アーム表面216、218がトラニオン1102の底面1104の少なくとも一部に接触するように、トラニオン1102に対して位置決めされる。図16および図17がさらに示すように、トラニオンネック1300は、アーム212、213の間のノッチ215内に位置する。このようにトラニオン1102が抽出器内に配置されると、トラニオン1102の底面1104に力を印加することができる。
【0030】
ここで図18および図19を参照すると、トラニオンネック1300をしっかりとクランプするように構成された抽出器100が示されている。アーム212、213がトラニオン1102の下に配置された後、ネジ状構成要素112を本体200のネジ孔413内にトルクをかけ、大腿骨コンポーネント1000をトラニオンネック1300の周りにクランプすることが望ましい。ネジ状構成要素112は、六角ヘッドの形態のトルク伝達構造113およびネジ状シャンク114を備える。ネジ状構成要素112は、ネジ状シャンク114の少なくとも一部が、ネジ孔413を通って伸長し、枢動部材300、好ましくはポケット302に接触するように寸法決めされる。ネジ状構成要素112が枢動部材300に接触すると、本体200内へのネジ状構成要素112の継続的なトルク付与によって、図18で「Fx」と指定される力が、接触点で枢動部材300上に印加される。ネジ状構成要素112が本体200内へトルク付与されるにつれて印加される力Fxは、枢動部材300を枢動部400の周囲で回転させ、枢動部材300の軸301が締付け面412の平面に接近する。枢動部材300の軸301が締付け面412の平面に近づくと、枢動部材300はトラニオンネック1300に接触し、接触点において、ネジ状構成要素112によって印加される力と等しい大きさであるが反対方向の力を与える;枢動部材300がトラニオンネック1300に与える力は、図18においてFx’(「Fxプライム」)と指定される。枢動部材300とトラニオンネック1300との間の接触点において、枢動部材は、図18および図19に示すように、クランプ構造303を備える。したがって、ネジ状構成要素112は、本体のネジ孔413のねじ山をてことして使用して、クランプ構造303をトラニオンネック1300上に押し付ける。枢動部材300の軸301が締付け面412の平面に近づくにつれて、クランプ構造303がトラニオンネック1300に与える力Fx’が増加する。
【0031】
好ましい実施形態では、枢動部材300のクランプ構造303は、トラニオン1102の下に少なくとも部分的に嵌合するように寸法決めされる。上述のように、枢動部材300は枢動部400の周りを回転し、したがって、内側歯面304は、図18において「R」と示される約1.97866cm(0.779インチ)よりも大きい半径で、枢動部400の周りの円内で移動する。半径Rは、枢動孔401と上側アーム表面216、218との間の軸方向距離(図3において「D」と指定される)に従って寸法決めされる。半径「R」(図18に示される)と軸方向距離「D」(図3に示される)との寸法間の関係は、以下の通りである:R=(0.799)+D。したがって、半径Rは、上側アーム表面216、218と枢動孔401とを分離する軸方向距離「D」に従って寸法決めされる。
【0032】
上述のように、内側歯面304は、半径Rで枢動部400の周りを回転し、したがって、枢動部材300のクランプ構造303もまた、半径Rで枢動部400の周りを回転する。上述のように、半径Rは、図18および図19に示すように、クランプ構造303が、アーム212、213の少なくとも1つと略同一平面である位置でトラニオンネック1300に接触するように寸法決めされる。この文脈で使用される用語「略同一平面」は、アームの1つの平面の1ミリメートル以内を意味する。したがって、枢動部材300は、クランプ構造303が本体200のアーム212、213と協働するように寸法決めされる。ネジ状構成要素112がネジ孔413の中へトルク付与されると、内側歯面304は、トラニオン1102の下に押し込まれ、トラニオン1102の底面1104と接触する;トラニオンネック1300はまた、アーム212、213の間でノッチ215の中に押し込まれ、それによって、底部トラニオン表面1104がアーム212、213の上側アーム表面216、218との接触を増大させる。
【0033】
本明細書で提供される様々な図は、本体200が複数の受板501、502を備えることを開示する。受板501、502は、本体200から伸長するように配向され、受板501、502の少なくとも1つが大腿骨コンポーネント1000の衝突軸1401に略直交する。好ましい実施形態では、受板501、502の両方および下側突当面501b、502bの両方は、大腿骨コンポーネント1000の衝撃軸1401に直交するように配向される。したがって、受板501、502の少なくとも1つの表面は、大腿骨コンポーネントの軸に対して概ね直交するように配向される。代替実施形態では、突当面501b、502bの少なくとも1つは、大腿骨コンポーネント1000の衝突軸1401に直交するように配向される。そのような代替実施形態では、第1の受板501の下側突当面501bは、衝突軸1401に対して略直交するように配向され、第2の受板502の下側突当面502bは、ステム軸1201に対して直交するように配向される、あるいは、第2の受板502の下側突当面502bは、衝突軸1401に対して直交するように配向され、第1の受板501の下側突当面501bは、ステム軸1201に対して直交するように配向されてもよい。さらに別の代替実施形態では、下側突当面501b、502bの両方は、(現在好ましいように衝突軸1401ではなく)ステム軸1201に略直交するように配向される。したがって、受板501、502および受板501、502上の表面は、大腿骨コンポーネントの軸の方向で衝撃が大腿骨コンポーネントに与えられるように配向される。
【0034】
上述のように、抽出器100のクランプセクション110は軸111を備える。図19に示すように、抽出器のクランプセクション110の軸111は、トラニオン軸1101に略平行である。トラニオン1102の底面1104は、トラニオン軸1101に略直交であり、クランプセクション110の軸111は、トラニオン軸1101に略平行であるので、トラニオン1102の底面1104は、抽出器100のクランプセクション110の軸111に略直交している。したがって、抽出器のクランプセクション110は、大腿骨コンポーネントのトラニオン軸1101に従って配向される。
【0035】
また上述のように、抽出器100は、中央抽出器セクション130および中央軸131を備える。同様に、本体200はまた、中央本体軸231を有する中央本体部分230を備える。抽出器100の中央軸131および本体中央軸231の両方は、抽出器100および抽出器本体200の軸111、211と同様に、概して同軸である。中央軸131、231は、抽出器のクランプセクション110および本体のクランプセクション210の軸111、211に対してある角度で配向され、これは、トラニオン軸1101と衝突軸1401との間の角度に等しいトラニオン軸1101間の角度に実質的に等しい。本明細書に示される実施形態では、この角度は、両端を含んで130~150度の範囲であり、好ましくは130度である。したがって、中央軸131とクランプセクション110の軸111との間の角度は、トラニオン軸1101と衝突軸1401との間の角度と実質的に同じである。当業者は、本発明の精神から逸脱することなく、抽出器100および本体200のそれぞれの中央セクションの軸111、211の間の角度が、トラニオン軸1401とステム軸1201との間の角度に実質的に等しいことを理解するであろう。抽出器と本体の様々な軸の間の角度の文脈で使用されるように、「実質的に」という用語は、製造および使用における変動が10%の範囲内であることを意味する。
【0036】
当業者は、抽出器100がスラップハンマーまたはマレットと共に使用され得ることを理解するであろう。スラップハンマー(図示せず)は、例えば、受板501、502内に入り込んだ雌ねじにスラップハンマーシャフトをねじ込むことによって、受板501、502の一方に取り付けることができる。そのような構成では、スラップハンマーは、上側突当面501a、502aの一方から、受板501、502に略直交する(したがって、大腿骨コンポーネント1000の衝突軸1401の向きと平行である)角度で伸長する。したがって、スラップハンマーが使用されると、大腿骨コンポーネント1000は、挿入されたのと実質的に同じ角度で患者の大腿骨から取り外される。下側突当面501b、502bの一方を打ち、大腿骨コンポーネント1000を、大腿骨内に当初入れ込まれたのと実質的に同じ角度で取り外すことによって、マレットを使用することができる。
【0037】
好ましい実施形態は、互いに略平行であり、大腿骨コンポーネント1000の衝突軸1401に略直交する上側突当面501a、502aおよび下側突当面501b、502bを備えるが、代替実施形態は、ステム軸1201に略直交する上側突当面501a、502aおよび下側突当面501b、502bを備える。さらに別の代替実施形態では、受板501、502の一方は衝突軸1401に直交し、他方はステム軸1201に直交する。そのような構成では、マレットを使用して、ステム軸1201に略直交する受板を打つ一方で、スラップハンマーが衝突軸1401に直交する角度で他方の受板に取り付けられる。当業者であれば、前述の配置を逆にし、スラップハンマーがステム軸1201に略直交する角度で受板501、502の一方に取り付けられる一方で、他方の受板が衝突軸1401に略直交する角度で配向されてもよいことを理解するであろう。
【0038】
図20および21は、本発明の代替実施形態を描写する。ここに示されるように、抽出器100は、第1のセクション110(「クランプセクション110」とも称される)、第2のセクション120(「上部セクション」とも称される)、および第3のセクション130(「中央セクション」とも称される)を含む。抽出器はまた、本体200、枢動部材300、および枢動部400を備える。
【0039】
図20に示される代替実施形態の本体200は、図22に示されており、現在の好ましい実施形態として開示される本体200とほぼ同じである。図22に示すように、本体200は、第1の本体セクション210(「クランプ本体部分210」とも称される)、第2の本体セクション220(「衝突本体部220」とも呼ばれる)、および第3の本体セクション230(「中央本体部分230」とも称される)を備える。しかしながら、好ましい実施形態における枢動部材300とは異なり、図20および21に示される代替実施形態の枢動部材300は、実質的に本体200の全長に延在し、第2の受板502の下の抽出器100の上側セクション120内で終端する。さらに、好ましい実施形態とは異なり、図20および図21の枢動孔401は中央本体セクション230内に画定され、ネジ孔413は上側本体セクション220内に画定される。
【0040】
図20に示すように、枢動部材300は、枢動角度310を備える。枢動角度310により、外科医は、抽出器100の上側セクション120を圧迫し、それによって、上側セクション120において枢動部材300および本体200を一緒に押し付けることができる。枢動部材300および本体を上側セクション120において一緒に押し付けることによって、外科医は、開口部601においてクランプ構造303を本体200のアーム212から離れさせる。したがって、抽出部100の開口部601が拡大される。
【0041】
好ましい実施形態と同様に、図20、21、および22に示される代替実施形態は、ネジ状シャンク114の少なくとも一部がネジ孔413を通って伸長し、枢動部材300、好ましくはポケット302に接触するように、寸法決めされたネジ状構成要素112を備える。ネジ状構成要素112が枢動部材300に接触すると、Fxの方向における本体200内へのネジ状構成要素112の継続的トルク付与によって、枢動部材300が、枢動部400の周囲で回転し(図20に示されるように反時計回り)、クランプ構造304がトラニオンネック1300に向かって回転する。したがって、ネジ状構成要素112が本体200内へトルク付与されると、枢動部材300は、トラニオンネック1300に対してより大きいクランプ力を及ぼす。好ましい実施形態と同様に、図20、21、および22に示される代替実施形態では、ネジ状構成要素112は、本体のネジ孔413のねじ山をてことして使用し、クランプ構造303をトラニオンネック1300上に押し付ける。
【0042】
本発明は、その好ましい実施形態を参照して詳細に示し説明されてきたが、当業者は、特許請求の範囲により定義される本発明の精神および範囲から逸脱せずに、様々の形態および詳細の変化が可能であることを理解するであろう。
図1
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