(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】導波管の接続構造、導波管コネクタ、導波管ユニット、モード変換機、撮像装置、及び、内視鏡
(51)【国際特許分類】
H01P 1/04 20060101AFI20241003BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20241003BHJP
H01P 3/12 20060101ALI20241003BHJP
H01P 5/08 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H01P1/04
A61B1/00 680
H01P3/12 200
H01P5/08 D
(21)【出願番号】P 2022513452
(86)(22)【出願日】2020-10-12
(86)【国際出願番号】 JP2020038520
(87)【国際公開番号】W WO2022079769
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 正
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-103819(JP,A)
【文献】国際公開第2017/002585(WO,A1)
【文献】特開2020-058524(JP,A)
【文献】特開2017-046344(JP,A)
【文献】特開2017-147548(JP,A)
【文献】特開平02-199903(JP,A)
【文献】実開昭60-006302(JP,U)
【文献】国際公開第2017/126327(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/04
A61B 1/00
H01P 3/12
H01P 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導波管と、前記第1の導波管とは異なる第2の導波管、又は電波の送受信を行う送受信装置とを接続し、該第1の導波管は、誘電体と、該誘電体の外周を覆う外導体とからなり、ミリ波又はミリ波以上の周波数を有する電波を伝送する導波管の接続構造において、
前記第1の導波管の前記外導体を、当該第1の導波管の前記誘電体に密着させる弾性部材と、
前記第1の導波管の前記誘電体と前記第2の導波管とを保持する、又は、前記第1の導波管の前記誘電体と前記送受信装置とを保持する立体部材と、
前記弾性部材を保持し、前記外導体が挿通される固定部材と、
前記固定部材と前記立体部材とを、前記誘電体の長手方向に互いに近接させて保持する保持部材と、
を備え、
前記立体部材は、前記第1の導波管を保持する挿入孔の内部において導電性を有し、
前記第1の導波管の前記外導体は、
当該第1の導波管と前記立体部材とが接続する部分において、放射状に広がっている、
導波管の接続構造。
【請求項2】
前記弾性部材は、前記誘電体、前記固定部材及び前記立体部材よりも低い弾性率を有する、
請求項
1に記載の導波管の接続構造。
【請求項3】
前記弾性部材は、A20度以上A70度以下のゴム硬度を有する、
請求項
2に記載の導波管の接続構造。
【請求項4】
前記立体部材は、成形可能な樹脂材料を用いて形成され、当該立体部材の少なくとも前記誘電体及び前記外導体と接する面に導電性の表面層が形成される、
請求項1に記載の導波管の接続構造。
【請求項5】
前記立体部材は、
前記弾性部材と、前記誘電体とに挟まれる部分に、前記固定部材側に突出する角部、
を有し、
前記角部は、鋭角をなす、
請求項
1に記載の導波管の接続構造。
【請求項6】
前記立体部材は、前記誘電体に接触して該誘電体を保持する保持面を有し、
前記角部は、前記誘電体の断面形状の曲率半径が大きい部分の方の厚さが、当該角部に対抗する前記誘電体の断面形状の曲率半径が小さい部分の厚さよりも薄い、
請求項
5に記載の導波管の接続構造。
【請求項7】
前記角部には、スリットが形成される、
請求項
5に記載の導波管の接続構造。
【請求項8】
前記誘電体と、前記外導体及び前記立体部材の前記保持面との間隔が、波長の1/50以下である、
請求項
6に記載の導波管の接続構造。
【請求項9】
前記弾性部材は、前記外導体を被覆して設けられ、シート状又はチューブ状をなす、
請求項1に記載の導波管の接続構造。
【請求項10】
導波管の接続構造を2以上備える
導波管コネクタであって、
前記導波管の接続構造は、
第1の導波管と、前記第1の導波管とは異なる第2の導波管、又は電波の送受信を行う送受信装置とを接続し、該第1の導波管は、誘電体と、該誘電体の外周を覆う外導体とからなり、ミリ波又はミリ波以上の周波数を有する電波を伝送する導波管の接続構造であり、
前記第1の導波管の前記外導体を、当該第1の導波管の前記誘電体に密着させる弾性部材と、
前記第1の導波管の前記誘電体と前記第2の導波管とを保持する、又は、前記第1の導波管の前記誘電体と前記送受信装置とを保持する立体部材と、
を備え、
前記立体部材は、前記第1の導波管を保持する挿入孔の内部において導電性を有し、
前記第1の導波管の前記外導体は、
当該第1の導波管と前記立体部材とが接続する部分において、放射状に広がっている、
導波管コネクタ。
【請求項11】
請求項
1に記載の導波管の接続構造を備え、前記第1の導波管と、中空の導波管とを接続する導波管コネクタであって、
前記中空の導波管は、前記立体部材の、前記固定部材側と反対側に位置する、
導波管コネクタ。
【請求項12】
前記誘電体は、前記中空の導波管は、前記固定部材からの距離が長いほど先細な形状をなし、
前記
立体部材の前記挿入孔には、前記固定部材からの距離が長いほど太いテーパ状の空間部が形成される、
請求項
11に記載の導波管コネクタ。
【請求項13】
請求項
1に記載の導波管の接続構造を備える導波管ユニットであって、
前記第1の導波管の両端に前記固定部材が設けられる、
導波管ユニット。
【請求項14】
第1の導波管と
送受信装置とを接続する接続構造を備え、
前記送受信装置は、電磁波モードと、電気信号とのモード変換のためのアンテナを有する
モード変換機であって、
前記第1の導波管は、
誘電体と、該誘電体の外周を覆う外導体とからなり、ミリ波又はミリ波以上の周波数を有する電波を伝送する導波管であり、
前記接続構造は、
前記第1の導波管の前記外導体を、当該第1の導波管の前記誘電体に密着させる弾性部材と、
前記第1の導波管の前記誘電体と前記送受信装置とを保持する立体部材と、
を備え、
前記立体部材は、前記第1の導波管を保持する挿入孔の内部において導電性を有し、
前記第1の導波管の前記外導体は、
当該第1の導波管と前記立体部材とが接続する部分において、放射状に広がっている、
モード変換機。
【請求項15】
導波管の接続構造と、
外部からの光を集光する光学レンズと、
前記光学レンズが集光した光を光電変換する撮像素子と、
前記導波管を経て前記撮像素子から入力される信号を処理する画像処理部と、
を備える
撮像装置であって、
前記導波管の接続構造は、
第1の導波管と、前記第1の導波管とは異なる第2の導波管、又は電波の送受信を行う送受信装置とを接続し、該第1の導波管は、誘電体と、該誘電体の外周を覆う外導体とからなり、ミリ波又はミリ波以上の周波数を有する電波を伝送する、導波管の接続構造であり、
前記第1の導波管の前記外導体を、当該第1の導波管の前記誘電体に密着させる弾性部材と、
前記第1の導波管の前記誘電体と前記第2の導波管とを保持する、又は、前記第1の導波管の前記誘電体と前記送受信装置とを保持する立体部材と、
を備え、
前記立体部材は、前記第1の導波管を保持する挿入孔の内部において導電性を有し、
前記第1の導波管の前記外導体は、
当該第1の導波管と前記立体部材とが接続する部分において、放射状に広がっている、
撮像装置。
【請求項16】
請求項
15に記載の撮像装置、
を備える内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導波管の接続構造、導波管コネクタ、導波管ユニット、モード変換機、撮像装置、及び、内視鏡に関し、特に、組紐状の外導体を有する導波管の接続構造、導波管コネクタ、導波管ユニット、モード変換機、撮像装置、及び、内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、放送分野を皮切りに4K・8Kに代表される映像の高精細化に向けた取り組みが進んでいる。4K・8Kといった高精細映像では、その画素数の増加に起因して映像情報の容量が大きく、数十Gbpsオーダー以上の通信速度が求められる。
【0003】
しかしながら、近距離の情報伝送において従来多く採用される金属線を用いた伝送方式では、数十Gbps程度の通信速度に対応するには困難が伴う。従来の伝送方式の具体的な例としては、同軸線路やツイストペア線路、ツイナックスス線路などが挙げられる。
【0004】
高精細な映像に例示される大容量情報の伝送には、長距離伝送やデータセンターでの高速通信で採用される従来の光通信技術を利用することが考えられる。しかしながら、光通信の送受信ユニットは非常に高価であり、近距離の情報通信における通信手段として、特に普及価格帯の製品では採用が難しいといった経済性に関わる問題があった。さらに、光通信は、線路同士の接続に数μmオーダーの高い精度が必要なこと、及び、接続面に微細な塵埃が付着するだけで通信が断絶することなどから、繰り返しの接続における信頼性を確保し難いといった問題がある。すなわち、従来の近距離通信で採用される金属線を用いた伝送方式の代替として、光通信技術は不向きであった。
【0005】
以上説明した状況から、数十Gbpsオーダー以上の高速通信と廉価性、接続の信頼性を高いレベルで実現しうる有線通信手段として、ミリ波電波を伝送可能な導波管を用いた通信方式の開発が進められている。例えば、特許文献1には、中空の筒状誘電体とその外側に配される筒状導電帯とを有する導波管が開示されている。また、特許文献2には、内部に誘電体を配するとともに、電界が交差する2面を覆う金属メッキ層と、金属メッキ層で覆われた2面を含む誘電体の周りを覆う保護層とを有する導波管が開示されている。また同様に、特許文献3には、中心に線状の誘電体を配するとともに、平箔糸を組紐状に組んだ外導体を有する導波管が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-147548号公報
【文献】国際公開第2014/162833号
【文献】特許第6343827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、これら導波管のうち特許文献3が開示する導波管に着目し、特に実用性が高いとして鋭意研究を進めている。しかしながら、特許文献3が開示する導波管は、外導体が組紐状の構造を持つことに起因して、従来の導波管の接続構造を採用すると、特にミリ波帯域よりも高い周波数帯域の電波伝送において、所望の特性を得ることができない場合があった。
【0008】
詳細には、組紐状の構造をとる外導体を備えた導波管は、他の部材に接続する際に、特別な接続構造を施さないと接続点における電波のロス(反射や電波の漏出)が発生してしまう。この電波のロスは、周波数が高いほど大きくなり、特にミリ波帯域よりも高い周波数帯域の電波伝送において実用上問題となる。すなわち、特許文献3にある導波管を有効に利用するためには、電波のロスを抑える特別な接続構造が必要となる。
【0009】
また、特許文献3が開示する導波管において、該導波管の中心に配される棒状の誘電体は、その断面形状を高精度に製造することが困難であり、これが為に電波のロスを生じ、所望の特性を得ることが難しいという問題があった。さらに詳しく言えば、棒状の誘電体は押出成形法などの長物製造に適した方式で製造する必要があるが、これら長物製造に適した製造方法では、その製造方法の特性から、その断面形状の精度を±1%程度よりも高めることが一般には困難であり、この為に接続の性能を高めることが難しい。十分に特性のよい接続を得るには、導波管と別部材とを接続するための接続構造を構成する他の部材を、棒状の誘電体に合わせて製造することまで必要になってしまう。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、組紐状の構造を持つ外導体を備えた導波管を他の部材に接続した際に、電波のロスを安定して抑制することができる導波管の接続構造、導波管コネクタ、導波管ユニット、モード変換機、撮像装置、及び、内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る導波管の接続構造は、誘電体と、該誘電体の外周を覆う外導体とからなり、ミリ波又はミリ波以上の周波数を有する電波を伝送する第1の導波管と、前記第1の導波管とは異なる第2の導波管、又は電波の送受信を行う送受信装置とを接続する導波管の接続構造において、前記第1の導波管の前記外導体を、当該第1の導波管の前記誘電体に密着させる弾性部材と、前記第1の導波管の前記誘電体と、前記第2の導波管、又は前記送受信装置とを保持する立体部材と、を備え、前記立体部材は、前記第1の導波管を保持する挿入孔の内部において導電性を有し、前記第1の導波管の前記外導体は、当該第1の導波管と前記立体部材とが接続する部分において、放射状に広がっている。
【0012】
また、本発明に係る導波管の接続構造は、上記発明において、前記立体部材は、前記外導体において放射状に広がる部分と、前記誘電体とのそれぞれに接触する角部、を有する。
【0013】
また、本発明に係る導波管の接続構造は、上記発明において、前記角部は、鋭角をなし、前記放射状に広がる部分と、前記誘電体とが形成する間隙に位置する。
【0014】
また、本発明に係る導波管の接続構造は、上記発明において、前記弾性部材を保持し、前記外導体が挿通される固定部材と、前記固定部材と前記立体部材とを、前記誘電体の長手方向に互いに近接させて保持する保持部材と、をさらに備える。
【0015】
また、本発明に係る導波管の接続構造は、上記発明において、前記弾性部材は、前記誘電体、前記固定部材及び前記立体部材よりも低い弾性率を有する。
【0016】
また、本発明に係る導波管の接続構造は、上記発明において、前記弾性部材は、A20度以上A70度以下のゴム硬度を有する。
【0017】
また、本発明に係る導波管の接続構造は、上記発明において、前記立体部材は、成形可能な樹脂材料を用いて形成され、当該立体部材少なくとも前記誘電体及び前記外導体と接する面に導電性の表面層が形成される。
【0018】
また、本発明に係る導波管の接続構造は、上記発明において、前記立体部材は、前記弾性部材と、前記誘電体とに挟まれる部分に、前記固定部材側に突出する角部、を有し、前記角部は、鋭角をなす。
【0019】
また、本発明に係る導波管の接続構造は、上記発明において、前記立体部材は、前記誘電体に接触して該誘電体を保持する保持面を有し、前記角部は、前記誘電体の断面形状の曲率半径が大きい部分の方の厚さが、当該角部に対抗する前記誘電体の断面形状の曲率半径が小さい部分の厚さよりも薄い。
【0020】
また、本発明に係る導波管の接続構造は、上記発明において、前記角部には、スリットが形成される。
【0021】
また、本発明に係る導波管の接続構造は、上記発明において、前記誘電体と、前記外導体及び前記立体部材の前記保持面との間隔が、波長の1/50以下である。
【0022】
また、本発明に係る導波管の接続構造は、上記発明において、前記弾性部材は、前記外導体を被覆して設けられ、シート状又はチューブ状をなす。
【0023】
また、本発明に係る導波管の接続構造は、上記発明に係る導波管の接続構造を2以上備える。
【0024】
また、本発明に係る導波管コネクタは、上記発明に係る導波管の接続構造を備え、前記第1の導波管と、中空の導波管とを接続する導波管コネクタであって、前記中空の導波管は、前記立体部材の、前記固定部材側と反対側に位置する。
【0025】
また、本発明に係る導波管コネクタは、上記発明において、前記誘電体は、前記中空の導波管は、前記固定部材からの距離が長いほど先細な形状をなし、前記中空の導波管には、前記固定部材からの距離が長いほど太いテーパ状の空間部が形成される。
【0026】
また、本発明に係る導波管ユニットは、上記発明に係る導波管の接続構造を備える導波管ユニットであって、前記第1の導波管の両端に前記固定部材が設けられる。
【0027】
また、本発明に係るモード変換機は、上記発明に係る前記第1の導波管と前記送受信装置とを接続する接続構造を備え、前記送受信装置は、電磁波モードと、電気信号とのモード変換のためのアンテナを有する。
【0028】
また、本発明に係る撮像装置は、上記発明に係る導波管の接続構造と、外部からの光を集光する光学レンズと、前記光学レンズが集光した光を光電変換する撮像素子と、前記導波管を経て前記撮像素子から入力される信号を処理する画像処理部と、を備える。
【0029】
また、本発明に係る内視鏡は、上記発明に係る撮像装置、を備える。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、組紐状の構造を持つ外導体を備えた導波管を他の部材に接続した際に、電波のロスを安定して抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡システムを模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、導波管同士の接続を示す断面図である。
【
図5】
図5は、導波管の接続部分における固定部材及び立体部材の構成について説明するための斜視図である。
【
図6】
図6は、導波管の接続部分の構成を説明するための分解図である。
【
図7】
図7は、導波管の構成を説明するための図である。
【
図8】
図8は、導波管の一部を構成する誘電体を示す断面図である。
【
図9】
図9は、導波管の構成を説明するための断面図である。
【
図10】
図10は、導波管の接続部分の構成を説明するための図である。
【
図12】
図12は、導波管の接続部分を、
図9のA-A線に対応する平面で切断した断面図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施の形態1に係る導波管と送受信アンテナとの接続態様について説明する断面図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施の形態1に係る導波管の接続態様について説明する断面図である。
【
図17】
図17は、本発明の実施の形態1の変形例1に係る導波管の接続態様について説明するための図である。
【
図18】
図18は、本発明の実施の形態1の変形例1に係る導波管の接続態様について説明するための断面図である。
【
図19】
図19は、本発明の実施の形態1の変形例2に係る弾性部材の構成を示す断面図である。
【
図20】
図20は、本発明の実施の形態2に係る導波管の接続構造を示す断面図である。
【
図21】
図21は、本発明の実施の形態2の変形例に係る導波管の接続態様について説明する断面図である。
【
図22】
図22は、本発明の実施の形態3に係る導波管の接続構造を示す断面図である。
【
図24】
図24は、本発明の実施の形態4に係る導波管の接続構造を示す断面図である。
【
図26】
図26は、本発明の実施の形態4に係る導波管の構成を説明するための図である。
【
図28】
図28は、本発明の実施の形態5に係る導波管の接続構造を示す断面図である。
【
図29】
図29は、本発明の実施の形態5に係る立体部材を示す部分断面図である。
【
図30】
図30は、導波管の接続部分における固定部材及び立体部材の構成について説明するための平面図である。
【
図31】
図31は、弾性部材が圧接した際の導波管の状態を説明する図(その1)である。
【
図32】
図32は、弾性部材が圧接した際の導波管の状態を説明する図(その2)である。
【
図33】
図33は、本発明の実施の形態5の変形例に係る導波管の接続構造を示す部分断面図である。
【
図34】
図34は、本発明の実施の形態5の変形例に係る立体部材を示す部分断面図である。
【
図35】
図35は、導波管の接続部分における固定部材及び立体部材の構成について説明するための平面図である。
【
図36】
図36は、弾性部材が圧接した際の導波管の状態を説明する図(その1)である。
【
図37】
図37は、弾性部材が圧接した際の導波管の状態を説明する図(その2)である。
【
図38】
図38は、導波管内を流れる電流の方向を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0033】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡システムの概略構成を示す図である。
図2は、本実施の形態1に係る内視鏡システムの概略構成を示すブロック図である。
【0034】
図1および
図2に示す内視鏡システム1は、被検体内に先端部を挿入することによって被検体の体内画像を撮像する内視鏡2と、内視鏡2が撮像した撮像信号に所定の信号処理を施すとともに、内視鏡システム1全体の動作を統括的に制御する処理装置3と、内視鏡2の先端から出射する照明光を発生する光源装置4と、処理装置3の信号処理によって生成された体内画像を表示する表示装置5と、を備える。
【0035】
内視鏡2は、可撓性を有する細長形状をなす挿入部21と、挿入部21の基端側に接続され、各種の操作信号の入力を受け付ける操作部22と、操作部22から挿入部21が延びる方向と異なる方向に延び、光源装置4および処理装置3に接続する各種ケーブルを内蔵するユニバーサルコード23と、を備える。
【0036】
挿入部21は、光を受光して光電変換することによって信号を生成する画素が2次元状に配列された撮像素子244を内蔵した先端部24と、複数の湾曲駒によって構成された湾曲自在な湾曲部25と、湾曲部25の基端側に接続され、可撓性を有する長尺状の可撓管部26と、を有する。挿入部21は、被検体の体腔内に挿入され、外光の届かない位置にある生体組織などの被写体を撮像素子242によって撮像する。
【0037】
先端部24は、集光用の光学系241と、光学系241の結像位置に設けられ、光学系241が集光した光を受光して電気信号に光電変換して所定の信号処理を施す撮像素子242(撮像部)とを有する。
【0038】
光学系241は、一または複数のレンズを用いて構成され、画角を変化させる光学ズーム機能および焦点を変化させるフォーカス機能を有する。
【0039】
撮像素子242は、光学系241からの光を光電変換して画像データを生成する。撮像素子242は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサや、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを用いて実現される。
【0040】
なお、内視鏡2は、撮像素子242が各種動作を実行するための実行プログラムおよび制御プログラムや、内視鏡2の識別情報を含むデータを記憶するメモリを有する(図示せず)。識別情報には、内視鏡2の固有情報(ID)、年式、スペック情報、および伝送方式等が含まれる。また、メモリは、撮像素子242が生成した画像データ等を一時的に記憶してもよい。
【0041】
操作部22は、湾曲部25を上下方向および左右方向に湾曲させる湾曲ノブ221と、被検体の体腔内に生検鉗子、電気メスおよび検査プローブ等の処置具を挿入する処置具挿入部222と、処理装置3に加えて、送気手段、送水手段、画面表示制御等の周辺機器の操作指示信号を入力する操作入力部である複数のスイッチ223と、を有する。処置具挿入部222から挿入される処置具は、先端部24の処置具チャンネル(図示せず)を経由して開口部(図示せず)から表出する。
【0042】
ユニバーサルコード23は、光源装置4が出射した光を導光するライトガイドと、一または複数の信号線をまとめた集合ケーブルと、を少なくとも内蔵している。ユニバーサルコード23は、操作部22に接続する側と反対側の端部において分岐している。ユニバーサルコード23の分岐端部には、処理装置3に着脱自在なコネクタと、光源装置4に着脱自在なコネクタとが設けられる。ユニバーサルコード23は、光源装置4から出射された照明光を、操作部22に伝播する。また、ユニバーサルコード23は、先端部24に設けられた撮像素子242が撮像した画像信号を、処理装置3に伝送する。集合ケーブルは、撮像素子242を駆動するための駆動信号や、内視鏡2(撮像素子242)に関する固有情報などを含む情報を送受信するための信号線41、及び、画像データを含む画像信号を伝送するための導波管51を含む。なお、本実施の形態1では、信号線を用いて電気信号を伝送するものとして説明するが、光信号を伝送するものであってもよいし、無線通信によって内視鏡2と処理装置3との間で信号を伝送するものであってもよい。
【0043】
ドライバIC243は、撮像素子242が出力した電気信号に対してノイズ除去及びA/D変換を行うアナログフロントエンド(AFE)部243aと、撮像素子242の駆動タイミング、及びAFE部243a等における各種信号処理のパルスを発生するタイミングジェネレータ(TG)部243bと、送受信アンテナ244cが接続され、導波路(導波管)51を経てAFE部243a出力したデジタル信号を処理装置3における画像信号処理回路31との間で送受信するための送受信回路243dとを有する。ドライバIC243は、当該ドライバIC243の各部と、撮像素子242の動作を制御する制御部によって制御される。この制御部は、先端部24に設けられてもよいし、処理装置3に設けられてもよい。
【0044】
送受信回路243dは、いわゆるMMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit:モノリシックマイクロ波集積回路)によって形成される、ミリ波・サブミリ波通信回路である。
【0045】
また、ドライバIC243は、本実施形態においては、AFE部243a、TG部243b、送受信回路243d等の各回路が全てシリコンCMOSプロセスによって作製される。
【0046】
また、撮像素子242とドライバIC243とは、例えばセラミック基板を経て接続され、当該セラミック基板にはコンデンサ等の複数の受動部品が搭載されている。
【0047】
処理装置3の構成について、
図2を参照して説明する。処理装置3は、画像信号処理回路31と、電源供給回路32と、送受信回路33とを備える。
【0048】
画像信号処理回路31は、内視鏡2から、撮像素子242が撮像した各色の照明光の画像データを受信する。画像信号処理回路31は、内視鏡2からアナログの画像データを受信した場合はA/D変換を行ってデジタルの撮像信号を生成する。また、画像信号処理回路31は、内視鏡2から光信号として画像データを受信した場合は光電変換を行ってデジタルの画像データを生成する。
【0049】
画像信号処理回路31は、内視鏡2から受信した画像データに対して所定の画像処理を施して画像を生成して表示装置5へ出力する。ここで、所定の画像処理とは、同時化処理、階調補正処理および色補正処理等である。同時化処理は、RGBの各色成分の画像データを同時化する処理である。階調補正処理は、画像データに対して階調の補正を行う処理である。色補正処理は、画像データに対して色調補正を行う処理である。画像信号処理回路31は、上述した画像処理によって生成された体内画像を含む処理後の撮像信号(以下、単に撮像信号ともいう)を生成する。なお、画像信号処理回路31は、画像の明るさに応じてゲイン調整してもよい。画像信号処理回路31は、CPU(Central Processing Unit)等の汎用プロセッサやASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の機能を実行する各種演算回路等の専用プロセッサを用いて構成される。
【0050】
電源供給回路32は、処理装置3において生成された電力を内視鏡2供給する。
【0051】
送受信回路33は、内視鏡2に送信する制御信号や、内視鏡2から出力される画像信号等を、送受信アンテナ34を経由して内視鏡2との間で送受信する。
ここで、送受信アンテナ34、及び、送受信アンテナ243cは、それぞれ送受信装置を構成する。各送受信アンテナは、図示しない回路や基板を含んでもよい。
【0052】
処理装置3では、撮像素子242および光源装置4を含む各構成部の駆動制御、および各構成部に対する情報の入出力制御などを行う制御部によって、システム全体が制御される。制御部は、CPU等の汎用プロセッサやASIC等の特定の機能を実行する各種演算回路等の専用プロセッサを用いて構成される。
【0053】
また、処理装置3は、内視鏡システム1を動作させるための各種プログラム、および内視鏡システム1の動作に必要な各種パラメータ等を含むデータを記憶する。また、処理装置3は、当該処理装置3の識別情報を記憶する記憶部を備える。各種プログラムは、ハードディスク、フラッシュメモリ、CD-ROM、DVD-ROM、フレキシブルディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して広く流通させることも可能である。なお、上述した各種プログラムは、通信ネットワークを経由してダウンロードすることによって取得することも可能である。ここでいう通信ネットワークは、例えば既存の公衆回線網、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などによって実現されるものであり、有線、無線を問わない。記憶部は、各種プログラム等が予めインストールされたROM(Read Only Memory)、及び各処理の演算パラメータやデータ等を記憶するRAMやハードディスク等を用いて実現される。
【0054】
このほか、処理装置3は、キーボード、マウス、スイッチ、タッチパネルを用いて実現され、内視鏡システム1の動作を指示する動作指示信号等の各種信号の入力を受け付ける入力部等を備える。なお、入力部は、操作部22に設けられたスイッチや、外部のタブレット型のコンピュータなどの可搬型端末を含んでいてもよい。
【0055】
表示装置5は、映像ケーブルを経由して処理装置3(画像信号処理回路31)から受信した画像信号に対応する表示画像を表示する。表示装置5は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)等のモニタを用いて構成される。
【0056】
送受信アンテナ243cと送受信アンテナ34とは、導波管51を経由させて信号を送受信する。内視鏡2内には、一つ又は複数の導波管が内設される。本実施の形態1では、複数の導波管51が接続されてなる構成について説明する。本実施の形態1において、導波管51は、他の導波管と接続されて内視鏡2内に延び、一端側には送受信アンテナ243cが接続され、他端側には送受信アンテナ34が接続される。この導波管51の接続構造について、
図3~
図14を参照して説明する。
図3は、導波管同士の接続を示す図である。
図4は、導波管同士の接続を示す断面図である。
図5は、導波管の接続部分における固定部材及び立体部材の構成について説明するための斜視図である。
図6は、導波管の接続部分の構成を説明するための分解図である。なお、
図4は、
図3に示す接続構造の押圧補助部材54を除いた断面図である。
【0057】
まず、導波管51同士の接続について説明する。導波管51には、それぞれ固定部材52が取り付けられる。固定部材52同士は、立体部材53によって連結される。すなわち、二つの導波管51は、固定部材52を経て、立体部材53によって接続される。また、固定部材52には、弾性部材55が設けられる。
【0058】
ここで、導波管51の構成について、
図7~
図9を参照して説明する。
図7は、導波管の構成を説明するための図である。
図8は、導波管の一部を構成する誘電体を示す断面図である。
図9は、導波管の構成を説明するための断面図である。
【0059】
導波管51は、棒状に延びる可撓性の誘電体511と、誘電体511を覆う導電性の外導体512とを有する。
【0060】
誘電体511は、長手方向と直交する平面を切断面とする断面が扁平な形状をなす。誘電体511は、その断面において、最も長さが長くなる長軸方向の長さLa、及び、最も長さが短くなる短軸方向の長さLb(<La)を有する(
図8参照)。以下、扁平な形状において、最も長さが長くなる長軸方向の長さを「長径」、最も長さが短くなる短軸方向の長さを「短径」という。
【0061】
外導体512は、帯状をなす複数の平箔糸513を組紐状に組んで形成される。具体的には、外導体12は、誘電体511の外周面に巻き付けられ、互いの平箔糸513が組紐構造を形成する。
【0062】
平箔糸513は、長手方向に対して垂直な平面を切断面とする断面が長方形をなす。平箔糸513は、非金属物質を含む樹脂フィルム513aと、金属物質を含む金属箔513bとを貼り合わせた構造を有する(
図9参照)。平箔糸513の厚さをd
1、外導体512の厚さをd
2としたとき、外導体512の厚さd
2は、例えば樹脂フィルム513aの厚さd
1の2倍となる。
【0063】
平箔糸513は、金属箔513b側(
図9の下側)の導波管51を構成する外導体12の内側に配置して組紐状に組まれて配置される。すなわち、外導体512において、平箔糸513は、金属箔513b側が誘電体511の外側と接する位置に配置されている。
【0064】
図10は、導波管の接続部分の構成を説明するための図である。
図11は、
図10の(a)に示す断面の一部を拡大した図である。
図12は、導波管の接続部分を、
図10のA-A線に対応する平面で切断した断面図である。
図13は、
図12に示す断面の一部を拡大した図である。
図14は、
図10の(c)に示す断面の一部を拡大した図である。
ここで、
図10の(b)は、導波管51の接続部分を示す断面図であり、一方の固定部材52と立体部材53との接続部分を示す。
図10の(a)は、
図10の(b)に示す構成を、固定部材52側から導波管51の長手方向にみた図である。
図10の(c)は、
図10の(b)に示す構成を、立体部材53側から導波管51の長手方向にみた図である。なお、
図10では、一方の導波管51および固定部材52と立体部材53との接続部分のみを図示している。
【0065】
固定部材52は、真鍮等によって形成される金属部品であり、弾性部材55を保持する。固定部材52には、導波管51が挿入される貫通孔521が形成される。貫通孔521は、扁平な孔形状をなして延びる。なお、固定部材52は、金属から成る部品に限定されることなく、樹脂によって形成してもよい。
【0066】
ここで、導波管51の端部は、固定部材52の貫通孔521に外導体512ごと挿入される。外導体512の立体部材53側の端部は、組紐構造のまま固定部材52および弾性部材55の表面に広がって、接続拡大部512aを形成する。
【0067】
立体部材53は、成形可能な樹脂材料を用いて形成されるとともに、当該立体部材53の少なくとも誘電体511及び外導体512と接する面に導電性の表面層が形成される。立体部材53は、例えば、樹脂成形品の表面に金属膜を形成した成型回路部品(Molded Interconnect Device:MID)である。立体部材53には、誘電体511が挿入される挿入孔531が形成される。また、立体部材53には、固定部材52と接する側に凸部532が設けられる。凸部532の突出面は、接続拡大部512aと接する接続面をなす。挿入孔531は、扁平な孔形状をなして延びる。ここで、立体部材53は、挿入孔531の内部表面を含み、誘電体511及び外導体512と接する面が導電性を有する。そのため、挿入孔531は導波管51における外導体512と同等の機能を有し、電波を伝送することができる。なお、立体部材53は、樹脂材料に限定されることなく、真鍮等の金属材料によって形成してもよい。
【0068】
外導体512の端部によって形成される接続拡大部512aは、立体部材53の凸部532と、固定部材52および弾性部材55とで挟まれて固定される。この固定部分では、接続拡大部512aの組紐状の構成(各平箔糸513)が放射状に広がった状態で固定される。この際、接続拡大部512aを含む外導体512の端部は、弾性部材55から加わる荷重によって立体部材53及び誘電体511に圧接する。接続拡大部512aは、押圧補助部材54が加える荷重によって固定部材52と立体部材53との間で押圧される。
【0069】
また、導波管51は、組紐構造の外導体512が機能することで、内部に電波を伝送する。すなわち、立体部材53の挿入孔531と導波管51とは、いずれも電波を伝送し、電気的な接続が凸部532においてなされることになる。
【0070】
押圧補助部材54は、固定部材52と立体部材53とを、誘電体511の長手方向に互いに近接させて保持する。押圧補助部材54は、例えばクリップである。本実施の形態1では、2つの押圧補助部材54を用いて立体部材53を経て対向する固定部材52を挟み込んで押圧する。なお、クリップは、特別な構造を備えている必要はなく、例えば市販されているものを使用してもよい。なお、押圧補助部材54の一例として
図3ではグレーチングクリップを用いた構成を示す。押圧補助部材54は、保持部材に相当する。
【0071】
弾性部材55は、固定部材52の内周側、かつ導波管51の外周に設けられる環状の部材である。弾性部材55の中空部分には、導波管51が挿通される。弾性部材55は、圧縮変形に対して復元力を有する材料、例えば弾性を有するゴムによって形成され、例えばチューブ状をなす。弾性部材55は、固定部材52、立体部材53及び誘電体511よりも低い弾性率を有する。弾性部材55は、例えば、ショアAでA20度以上A70度以下のゴム硬度を有する。
【0072】
導波管51の誘電体511の端部は、立体部材53の挿入孔531に挿入される。前記誘電体511の端部は挿入孔531の内部にあり、挿入孔531の反対側から挿入されるもう一方の導波管51の誘電体511の端部と隙間なく接触する。また、接続拡大部512aは、固定部材52および凸部532に挟まれて固定される。
【0073】
ここで、貫通孔521の長径をd
3、短径をd
4(
図11参照)、弾性部材55の内周側における長径をd
5、短径をd
6(
図13参照)、挿入孔531の長径をd
7、短径をd
8(
図14参照)とする。
【0074】
貫通孔521の長径d3及び短径d4、並びに、弾性部材55の内周の長径d5及び短径d6は、外導体512の外周に対応して設定される。例えば、長径d3及び短径d4は、誘電体511の断面における長径La及び短径Lbに、外導体512の厚さd2の2倍をそれぞれ加えた長さよりも若干大きく、弾性部材55の内周の長径d5及び短径d6は、誘電体511の断面における長径La及び短径Lbに、外導体512の厚さd2の2倍をそれぞれ加えた長さと概略等しい。
挿入孔531の長径d7は、誘電体511の長径Laと概略等しい。短径d8は、誘電体511の短径Lbと概略等しい。逆に言うと、誘電体511の長径La及び短径Lbは、それぞれ立体部材53の挿入孔531の長径d7及び短径d8と概略等しい。これによって、導波管51の端部は、挿入孔531における、その位置が一意に決まる。
なお、ここでいう「概略等しい」とは、同一と、製造上の誤差に起因する差異とを含むみ、例えば、立体部材53の挿入孔531に誘電体511を挿入可能かつガタツキが無い寸法設定を指す。
【0075】
続いて、送受信アンテナと導波管51との接続態様について、
図15を参照して説明する。
図15は、本発明の実施の形態1に係る導波管と送受信アンテナとの接続態様について説明する断面図である。
図15では、先端部24側の送受信アンテナ243cと導波管51との接続を示しているが、送受信アンテナ34と導波管51との接続についても同様である。導波管51の端部には、上述した固定部材52と、立体部材56とが取り付けられる。立体部材56には、送受信アンテナ243cが取り付けられるとともに、誘電体511を収容する孔部561が形成される。孔部561は、誘電体511の外形と同様の形状をなす空間を形成する。このため、孔部561は、誘電体511を隙間なく収容する。ここで送受信アンテナは誘電体511に貫入されており、アンテナへの給電線である同軸線から供給する信号を、ミリ波電波として導波管の内部に発出する。この構造は「同軸導波管変換機」と呼ばれ、当該技術分野においては良く利用される構造である。本実施の形態1において、この同軸導波管変換機は、誘電体又は空間を伝播するモードからアンテナ経由で導体中を伝播するモードに変換するモード変換機として機能する。
【0076】
また、立体部材56には、固定部材52と接する側に凸部562が設けられる。凸部562の突出面は、接続拡大部512aと接する接続面をなす。接続拡大部512aは、立体部材56の凸部562と、固定部材52および弾性部材55とで挟まれて固定される。この際、接続拡大部512aを含む外導体512の端部は、弾性部材55から加わる荷重によって立体部材53及び誘電体511に圧接する。なお、固定部材52と立体部材53とは、例えば押圧補助部材54によって押圧される。
【0077】
次に、可撓性導波管の接続構造の作用について、
図16を参照して説明する。
図16は、本発明の実施の形態1に係る導波管の接続態様について説明する断面図である。弾性部材55は、固定部材52と、誘電体511及び立体部材53との間にそれぞれ介在する外導体512を押圧して、外導体512を誘電体511及び立体部材53にそれぞれ密着させる。なお、
図16は、固定部材52と立体部材53との接続部分について図示しているが、固定部材52と立体部材56とについても同様である。
【0078】
また、弾性部材55は、上述した通り、誘電体511よりも柔らかい素材からなるため、導波管51、固定部材52、立体部材53、押圧補助部材54及び弾性部材55を組み立てたときに、押圧補助部材54の押圧力によって外導体512を誘電体511に押し付けるとともに、自らの寸法が外導体512の外形に倣う。すなわち、弾性部材55が弾性を有し、その硬度が誘電体511よりも低いため、例えば弾性部材55は組立前の寸法にズレがあったとしても、組立時には上述した寸法に変形し得る。
【0079】
この結果として、外導体512の内径と立体部材53の挿入孔531とは、立体部材53の角部(開口端)における接続が滑らかになり、接続部分における段差の発生を最小に抑えることができる。この段差の小ささは、導波管接続部における電波のロス(反射)を抑える要件である。特に、この段差は、可撓性導波管の内部を伝搬する電波の波長の1/50以下とすることで、導波管接続部における電波のロス(反射)を抑えることができる。これは、固定部材52と立体部材56との接続についても同様である。
【0080】
この際、各部材を上述した径の関係に設定すると、外導体512の内面寸法は、立体部材53が有する挿入孔531の端面である凸部532の外周寸法と一致する。すなわち、上述した「誘電体511の長径La及び短径Lbは、挿入孔531の長径d7及び短径d8に概略等しく、これによって導波管51の端部は、その位置が一意に決まる」ことになる。さらに、弾性部材55の内周の長径d5及び短径d6を、誘電体511の長径La及び短径Lbに外導体512の厚さd2の2倍(2×d2)を加えた径に概略等しい寸法とすることによって、外導体512は、立体部材53の凸部532に接するまで形状を保ち、接続拡大部512aにおける段差を発生させることなく接続することができる。これによって、接続拡大部512aは、立体部材53の凸部532における接続が滑らかになり、その結果、立体部材53の凸部532における接続において、段差の発生を最小に抑えることができる。この段差の小ささは、導波管51の接続部における電波のロス(反射)を抑える要件である。特に、この段差は、導波管51の内部を伝搬する電波の波長の1/50以下とすることで、導波管51の接続部部分における電波のロス(反射)を抑えることができる。この段差は、誘電体511と、外導体512及び立体部材53の保持面との間隔に相当する。
【0081】
また、上述した通り、接続拡大部512aは、立体部材53の凸部532と固定部材52との間で、押圧補助部材54によって押圧されることで固定される。このとき、接続拡大部512aは、凸部532の接続面に組紐状の構造を広げている。そして、組紐状の構造を形成する平箔糸13は、金属箔13b側の面が凸部532の接続面側を向く。この結果、導波管51の外導体12の金属(金属箔13b)と、導電性を有する立体部材53の凸部532とが接触し、両者の電気的導通がはかられる。この電気的導通は、接続部分における電波のロス(電波の漏出)を抑える要件である。
【0082】
これら電波のロスは、特にミリ波若しくはミリ波よりも高い周波数帯域の電波において問題となりやすい。これは、ミリ波若しくはミリ波よりも高い周波数帯域の電波の波長が短いほど、わずかな構造の凹凸でも電波の伝送に悪影響を与えることに起因する。具体的には、電磁波に限らず波に対する媒体が有する構造(凹凸に限らず、媒質の不均質性なども含む)の影響は、構造の大きさが1/50程度までに収まれば十分に小さく抑えられることが判っている(例えば特開2018-99172号公報の段落番号[0094]~[0102]参照)。例えば、60GHzのミリ波の電波伝送について考えた場合、60GHzの電波の自由空間における波長は5mmであり、この1/50は0.1mmとなる。導波管の接続構造において、外導体の段差を0.1mm以下に抑えることは容易ではない。これに対し、本実施の形態1に係る導波管51の接続構造によれば、外導体512の段差を容易に0.1mm以下にまで抑え、凸部532における接続が滑らかな状態を実現することができる。
【0083】
以上説明した実施の形態1は、固定部材52と立体部材53、56との接続部分において、弾性部材55によって、誘電体511に外導体512を密着させ、立体部材53に外導体512(接続拡大部512a)を密着させる構成とした。本実施の形態1によれば、外導体512と、誘電体511及び立体部材53とが密着するため、組紐状の構造を持つ外導体を備えた導波管を他の部材に接続した際に、電波のロスを安定して抑制することができる。
【0084】
また、本実施の形態1に係る構成において、立体部材53の扁平した孔形状をなす挿入孔531の寸法を、誘電体511の断面形状に合わせた寸法とすることによって、正確な位置決めを可能とし、接続構造の組み立てが容易になる。
【0085】
さらに、実施の形態1では、組紐状に組まれた外導体512を押し広げて接続拡大部512aを形成し、固定部材52と立体部材53とで挟んで押圧するのみで、従来の導波管と比して、部材を増加させることなく、外導体512と立体部材53とを電気的に導通させることができる。
【0086】
なお、接続拡大部512aと立体部材53の凸部532の接続面とを導通性接着剤によって接着し、接続拡大部512aと立体部材53の凸部532との電気的な導通をはかってもよい。この場合、導波管51の接続構造は、固定部材52及び押圧補助部材54を有していなくてもよい。即ち、例えば接着作業時に固定部材52及び押圧補助部材54を用いれば、容易に固定部材52及び押圧補助部材54を用いた場合と同等に段差を抑え、電気的接合をはかることが可能であり、同等の効果を得ることが可能となる。
【0087】
また、本実施の形態1において、固定部材52の貫通孔521は、当該貫通孔521のすべての断面において長径d3及び短径d4を有したが、少なくとも貫通孔521は立体部材53に接する側端において貫通孔の径が最も細い部位を有し、この最も細い部位における貫通孔の断面の長径および短径が、上述した条件、すなわちd3=La+2d2、d4=Lb+2d2を満たせば、同様の効果を得ることができる。
【0088】
ここで、本構造を実現するには、固定部材52及び弾性部材55の貫通孔に、外導体512を含む導波管51を挿入する必要があることにも注意が必要である。前記の如く、組立固定後に、「弾性部材55の貫通孔(中空部)の長径d5は棒状の誘電体511の長径Laに、外導体512の厚さd2の2倍を加算した長さ(La+2d2)に概略等しく、同じく短径d6は誘電体511の短径Lbに外導体512の厚さd2の2倍を足した長さ(b+2d2)に概略等しい」寸法を実現する必要があるが、この寸法だと弾性部材の貫通孔に外導体を含む導波管を挿入することは容易ではない。
【0089】
これに対し、本実施の形態1では、弾性部材55が弾性変形をするために、当該弾性部材55の貫通孔の径を一時的に拡げることが可能であり、組立性を大幅に向上することができる。例えば、弾性部材55の貫通孔が、上記寸法よりも穴径が若干小さかった場合、これが弾性を有さない場合には組立不可能となってしまうが、弾性を有する場合、これも組立可能となる。
【0090】
また、本実施の形態1において固定部材52の貫通孔521の寸法は、誘電体511の長径La、短径Lbに外導体512の厚さd2の2倍を足した長さ(La+2d2)、(Lb+2d2)よりも若干大きい寸法とすることによって、導波管51の挿入に関わる問題を緩和している。尚、固定部材52の貫通孔521の寸法が、上記(La+2d2)、(Lb+2d2)に等しい寸法であっても、組立性に若干の問題を生じるだけであり、本発明が目指す接続部分の反射の低減を実現することが可能といえる。
【0091】
なお、本実施の形態1においては、独立した固定部材52が弾性部材55を囲繞し、導波管51の接続、固定に寄与しているが、固定部材52が独立して存在することや、固定部材52や弾性部材55が別体であることは必須ではない。例えば、本実施の形態1の固定部材52と弾性部材55とを一体化して同様の機能を実現したり、この一体化した形状を圧縮変形に対して復元力を有する素材にて形成することによって同様の機能を実現したりしてもよい。
【0092】
(実施の形態1の変形例1)
次に、本発明の実施の形態1の変形例1について、
図17及び
図18を参照して説明する。
図17は、本発明の実施の形態1の変形例1に係る導波管の接続態様について説明するための図である。
図18は、本発明の実施の形態1の変形例1に係る導波管の接続態様について説明するための断面図である。本変形例1に係る内視鏡システムは、上述した内視鏡システム1の導波管の接続態様を変えた以外は、同じ構成である。本変形例1では、上述した実施の形態1の立体部材53に代えて立体部材57を備える。以下、上述した実施の形態1とは異なる構成(立体部材57)について説明する。なお、実施の形態1では、立体部材53を経て二つの導波管51を接続し、可撓性を有する部分に設けられる構成について説明したが、変形例1に係る立体部材57は、例えば、可撓性を有しない硬性の部分に導波管51が接続される場合に設けられる。
【0093】
立体部材57は、成形可能な樹脂材料か、又は、真鍮等の金属材料によって形成される。立体部材57には、誘電体511が挿入される挿入孔571が形成される。また、立体部材57は、固定部材52に接続する接続部572と、接続部572の固定部材52側と反対側に延びる延在部573とを有する。接続部572には、固定部材52と接する側に凸部572aが設けられる。凸部572aの突出面は、接続拡大部512aと接する接続面をなす。挿入孔571は、挿入孔531と同様に、扁平な孔形状をなして延びる。ここで、立体部材57は、少なくとも挿入孔571の内部表面を含み、誘電体511及び外導体512と接する面が導電性を有する。そのため、挿入孔571は、外導体512と同等の機能を有し、電波を伝送することができる。
【0094】
立体部材57は、固定部材52(導波管51)側と反対側において、例えば送受信アンテナや電子部品が接続される。また、固定部材52及び立体部材57は、例えば押圧補助部材54によって挟み込んで押圧される。
【0095】
変形例1においても、弾性部材55が、固定部材52と、誘電体511及び立体部材57との間にそれぞれ介在する外導体512を押圧して、外導体512を誘電体511及び立体部材57にそれぞれ密着させる。
【0096】
以上説明した変形例1においても、上述した実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0097】
(実施の形態1の変形例2)
次に、本発明の実施の形態1の変形例2について、
図19を参照して説明する。
図19は、本発明の実施の形態1の変形例2に係る弾性部材の構成を示す断面図である。本変形例2に係る内視鏡システムは、上述した内視鏡システム1の弾性部材を変えた以外は、同じ構成である。本変形例2では、上述した実施の形態1の弾性部材55に代えて弾性部材55Aを備える。以下、上述した実施の形態1とは異なる構成(弾性部材55A)について説明する。
【0098】
弾性部材55Aは、アーチ状をなす二つの構成部材551、552からなる。構成部材551、552は、固定部材52の外周に設けられて、当該固定部材52を囲繞する。構成部材551、552は、弾性を有するシート状の材料を湾曲させてなる。
【0099】
弾性部材55Aの構成部材551、552は、弾性部材55と同様に、固定部材52と、誘電体511及び立体部材57との間にそれぞれ介在する外導体512を押圧して、外導体512を誘電体511及び立体部材53にそれぞれ密着させる。この際、構成部材551、552の境界位置は限定されず、この境界によって電波のロスの度合いが変化する場合は、該ロスが最も小さくなる位置に境界が配置されることが好ましい。
【0100】
以上説明した変形例2においても、上述した実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0101】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について、
図20を参照して説明する。
図20は、本発明の実施の形態2に係る導波管の接続構造を示す断面図である。本実施の形態2に係る内視鏡システムは、上述した内視鏡システム1の導波管の接続態様を変えた以外は、同じ構成である。以下、上述した実施の形態1とは異なる構成について説明する。なお、
図20では、接続する二つの導波管51のうちの一方の導波管51のみを図示している。
【0102】
接続する二つの導波管51は、立体部材53Aによって連結される。また、立体部材53Aには、弾性部材55Bが設けられる。
【0103】
立体部材53Aは、成形可能な樹脂材料か、又は、真鍮等の金属材料によって形成される。立体部材53Aには、誘電体511が挿入される挿入孔533が形成される。また、立体部材53Aは、弾性部材55Bを係止させる係止部534を有する。係止部534は、弾性部材55Bを収容するとともに、弾性部材55Bに係止して抜け止めする。挿入孔533は、挿入孔531と同様に、扁平な孔形状をなして延びる。ここで、立体部材53Aは、少なくとも挿入孔533の内部表面を含み、誘電体511及び外導体512と接する面が導電性を有する。そのため、挿入孔533は導波管51における外導体512と同等の機能を有し、電波を伝送することができる。
【0104】
弾性部材55Bは、環状をなし、立体部材53Aの係止部534に収容される部材である。弾性部材55Bは、外導体512を押圧して、該外導体512を誘電体511及び立体部材53Aにそれぞれ密着させる。弾性部材55Bは、弾性を有する材料によって形成される。
【0105】
以上説明した実施の形態2は、立体部材53Aが弾性部材55Bを保持し、該弾性部材55Bが、誘電体511に外導体512を密着させるとともに、立体部材53に外導体512を密着させる構成とした。本実施の形態2によれば、組紐状の構造を持つ外導体を備えた導波管を他の部材に接続した際に、電波のロスを安定して抑制することができる。
【0106】
(実施の形態2の変形例)
次に、本発明の実施の形態2の変形例について、
図21を参照して説明する。
図21は、本発明の実施の形態2の変形例に係る導波管の接続態様について説明する断面図である。本変形例に係る内視鏡システムは、上述した実施の形態2における弾性部材の構成を変えた以外は、同じ構成である。本変形例では、上述した実施の形態2の弾性部材55Bに代えて弾性部材55Cを備える。以下、上述した実施の形態2とは異なる構成(弾性部材55C)について説明する。
【0107】
弾性部材55Cは、環状をなし、立体部材53Aの係止部534に収容される収容部553と、収容部553から突出する爪部554とを有する。弾性部材55Cは、収容部553が外導体512を押圧して、該外導体512を誘電体511及び立体部材53Aにそれぞれ密着させる。弾性部材55Cは、少なくとも収容部553が弾性を有する材料によって形成される。
また、弾性部材55Cでは、爪部554を内部側に押し込むと、収容部553が変形する。この変形によって、収容部553を係止部534から離脱させやすくなる。
【0108】
変形例においても、弾性部材55Cが、固定部材52と、誘電体511及び立体部材53Aとの間にそれぞれ介在する外導体512を押圧して、外導体512を誘電体511及び立体部材53Aにそれぞれ密着させる。
【0109】
以上説明した変形例においても、上述した実施の形態2と同様の効果を得ることができる。さらに、本変形例では、弾性部材55Cに爪部554が設けられているため、立体部材53Aに対する弾性部材55Cの脱着を容易に行うことができる。
【0110】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について、
図22及び
図23を参照して説明する。
図22は、本発明の実施の形態3に係る導波管の接続構造を示す断面図である。
図23は、
図22に示す断面の一部を拡大した図である。本実施の形態3に係る内視鏡システムは、上述した内視鏡システム1の導波管の接続態様を変えた以外は、同じ構成である。以下、上述した実施の形態1とは異なる構成について説明する。なお、実施の形態3では、導波管51Aを中空の孔部に接続するための構成を示す。中空の孔部の、固定部材52A側と反対側(立体部材53B側)には、例えば送受信アンテナや別の導波管が設けられる。実施の形態3における導波管は、例えば、誘電体と外導体とを有する70~80GHz帯用の導波管であり、本実施の形態3に係る接続構造は、この導波管51Aを、規格化されたE帯(60~90GHz帯)用標準の送受信アンテナや別の導波管に接続する機能を有する。
【0111】
導波管51Aは、棒状に延びる可撓性の誘電体511Aと、誘電体511Aを覆う導電性の外導体512とを有する。導波管51Aの端部には、固定部材52Aが取り付けられる。固定部材52Aには、立体部材53Bが接続される。
【0112】
誘電体511Aは、長手方向と直交する平面を切断面とする断面が扁平な形状をなして延び、立体部材53B側の先端が先細な形状をなす。誘電体511aの先端は、先端に向かって徐々に断面積が減ずる形状をなしている。
【0113】
固定部材52Aは、真鍮等によって形成される金属部品である。固定部材52Aには、弾性部材55Dが設けられる。また、固定部材52Aには、導波管51Aが挿入される貫通孔523と、弾性部材55Dを収容する収容孔524とが形成される。貫通孔523は、扁平な孔形状をなして延びる。収容孔524は、貫通孔523の一部に連通し、弾性部材55Dを保持する環状の空間を形成する。固定部材52Aは、一つの部材からなるものであってもよいし、二つ以上の部材からなるものであってもよい。
【0114】
ここで、導波管51Aの端部は、固定部材52Aの貫通孔523に外導体512ごと挿入される。外導体512の立体部材53B側の端部は、組紐構造のまま固定部材52Aの表面に広がって、接続拡大部512aを形成する。また、固定部材52Aには、立体部材53に対向する側に凸部525が設けられる。凸部525の突出面には、接続拡大部512aが広がる。
【0115】
立体部材53Bは、成形可能な樹脂材料か、又は、真鍮等の金属材料によって形成される。立体部材53Bには、誘電体511Aが挿入される挿入孔535が形成される。挿入孔535は、扁平な孔形状をなして延び、固定部材52Aから離れるにしたがって開口の大きさが大きくなるテーパ状の空間を形成する。すなわち、図22に示す接続構造では、誘電体511Aの大きさが小さくなるにつれて、挿入孔535の開口の大きさが大きくなる。
【0116】
また、立体部材53Bには、弾性部材55Dと誘電体511Aとに挟まれる部分に、固定部材52側に突出する角部536が設けられる。角部536は、挿入孔535の開口の周囲に設けられ、該挿入孔535の貫通方向と平行な方向に突出する。角部536は、挿入孔535の貫通方向と平行な平面を切断面とする断面において、先端が鋭角をなす。角部536は、例えば先端の角度が45°以上60以下に設定される。角部536は、外導体512において放射状に広がる部分(接続拡大部512a)と、誘電体511Aとが形成する間隙に位置する。角部536の突出面は、接続拡大部512a及び誘電体511Aにそれぞれ接触する接続面をなす。
【0117】
立体部材53Bは、少なくとも挿入孔535の内部表面を含み、誘電体511A及び外導体512と接する面が導電性を有する。そのため、挿入孔535は、導波管51Aにおける外導体512と同等の機能を有し、電波を伝送する中空の導波管として機能する。
固定部材52Aと立体部材53Bとは、例えば上述した押圧補助部材54によって連結が補助される。
【0118】
弾性部材55Dは、環状をなし、固定部材52Aの収容孔524に収容される部材である。弾性部材55Dは、例えば、断面が円をなす(
図21参照)。弾性部材55Dは、外導体512を押圧して、該外導体512を誘電体511A及び立体部材53B(角部536)にそれぞれ密着させる。弾性部材55Dは、弾性を有する材料によって形成される。
【0119】
弾性部材55Dは、ショアAでA20度以上A70度以下、例えば、ショアAで約A30度のゴム硬度を有するゴムリングである。弾性部材55Dの内径は、導波管51Aの外周よりも若干小さい。弾性部材55Dを導波管51Aに組み付ける際には、弾性部材55Dを広げて導波管51Aを挿入する。この際、弾性部材55Dは、導波管51Aを軽く締め付ける状態にある。但し、弾性部材55Dは、誘電体551Aよりも柔らかい素材からなるため、部材が組み立てられたときに外導体512を誘電体511Aに押し付けるとともに、自らの寸法が外導体512の外形に自然に倣う。また、弾性部材55Dの締め付け力は、導波管51Aを貫通孔523に挿入しながら外導体512に接続拡大部512aを形成する際に、必要以上に外導体512が広がることを抑え、角部536周辺における組紐状の外導体512の形状を、誘電体511Aから角部536や接続面に倣う形で滑らかに拡げるのに役立つ。
【0120】
以上説明した実施の形態3は、弾性部材55Dが、誘電体511Aに外導体512を密着させるとともに、立体部材53Bの角部536に外導体512を密着させる構成とした。本実施の形態3によれば、組紐状の構造を持つ外導体を備えた導波管を他の部材に接続した際に、電波のロスを安定して抑制することができる。
【0121】
さらに、実施の形態3では、導波管51Aが配設された固定部材52Aに立体部材53Bを接続する際、角部536が誘電体511Aと外導体512との間に入り込み、外導体512を押し広げるため、角部536が接続拡大部512aの形成に寄与することになる。この結果、導波管51Aにおいて、接続拡大部512aを効率的に形成することができる。
【0122】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について、
図24及び
図25を参照して説明する。
図24は、本発明の実施の形態4に係る導波管の接続構造を示す断面図である。
図25は、
図24に示す断面の一部を拡大した図である。
図26は、本発明の実施の形態4に係る導波管の構成を説明するための図である。
図27は、
図26に示すB-B線断面図である。本実施の形態4に係る内視鏡システムは、上述した内視鏡システム1の導波管の接続態様を変えた以外は、同じ構成である。以下、上述した実施の形態1とは異なる構成について説明する。なお、実施の形態4では、導波管51Aを中空の孔部に接続するための構成を示す。中空の孔部の、固定部材52B側と反対側(立体部材53C側)には、例えば送受信アンテナや別の導波管が設けられる。
【0123】
固定部材52Bは、真鍮等によって形成される金属部品である。固定部材52Bには、導波管51Aが挿入される貫通孔526が形成される。貫通孔526は、扁平な孔形状をなして延びる。
【0124】
立体部材53Cは、成形可能な樹脂材料か、又は、真鍮等の金属材料によって形成される。立体部材53Cには、誘電体511Aが挿入される挿入孔535が形成される。また、立体部材53Cには、固定部材52Bと接する側に角部536が設けられる。立体部材53Cは、少なくとも挿入孔535の内部表面を含み、誘電体511A及び外導体512と接する面が導電性を有する。
【0125】
固定部材52Bと立体部材53Cとは、例えばねじ58によって締結される。具体的には、ねじ58は、固定部材52Bに形成される貫通孔527に挿通され、立体部材53Cに形成されるねじ孔537と螺合する。
【0126】
本実施の形態4において、導波管51Aには、外導体512の外周を覆う保護管515が設けられる(
図26、27参照)。保護管515は、カーボンを混錬したゴムからなる、弾性を有する管状の部材である。保護管515は、導波管51Aを保護する役割に加えて、カーボンを混錬することで導波管51Aからミリ波が漏出を防ぐ役割を担う。加えて、保護管515は、固定部材52Bの立体部材53C側の端部近傍まで延び、外導体512を誘電体511A及び立体部材53Cに押し付ける弾性部材として機能する。保護管515は、ショアAでA20度以上A70度以下、例えば、A50度のゴム硬度を有する。
【0127】
ここで、保護管515は、固定部材52Bの貫通孔526に挿入される。また、固定部材52Bの立体部材53C側の端部には、保護管515の端部が位置するとともに、誘電体511A及び外導体が延出する。また、外導体512の立体部材53B側の端部は、組紐構造のまま固定部材52Bの表面に広がって、接続拡大部512aを形成する。
【0128】
保護管515は、固定部材52Bにおいて、外導体512を押圧して、該外導体512を誘電体511A及び立体部材53C(角部536)にそれぞれ密着させる。
【0129】
以上説明した実施の形態4は、保護管515が、誘電体511Aに外導体512を密着させるとともに、立体部材53Cの角部536に外導体512を密着させる構成とした。本実施の形態4によれば、組紐状の構造を持つ外導体を備えた導波管を他の部材に接続した際に、電波のロスを安定して抑制することができる。
【0130】
さらに、実施の形態4では、導波管51Aに弾性部材として機能する保護管515を配設しているため、外導体512を誘電体511A及び立体部材53Cに密着させつつ、接続構造の組立性を向上することができる。
【0131】
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5について、
図28~
図32を参照して説明する。
図28は、本発明の実施の形態5に係る導波管の接続構造を示す部分断面図である。
図29は、本発明の実施の形態5に係る立体部材を示す部分断面図である。
図30は、導波管の接続部分における固定部材及び立体部材の構成について説明するための平面図である。本実施の形態5に係る内視鏡システムは、上述した内視鏡システム1の導波管の接続態様を変えた以外は、同じ構成である。以下、上述した実施の形態1とは異なる構成について説明する。なお、実施の形態5では、導波管51Aを中空の孔部に接続するための構成を示す。中空の孔部の、固定部材52C側と反対側(立体部材53D側)には、例えば送受信アンテナや別の導波管が設けられる。
【0132】
固定部材52Cは、真鍮等によって形成される金属部品である。固定部材52Cは、中空円板状をなす。固定部材52Cには、導波管51Aが挿入される貫通孔528が形成される。貫通孔528は、扁平な孔形状をなして延びる。
【0133】
立体部材53Dは、成形可能な樹脂材料か、又は、真鍮等の金属材料によって形成される。立体部材53Dには、誘電体511Aが挿入される挿入孔535が形成される。また、立体部材53Dには、固定部材52Cと接する側に角部536が設けられる。立体部材53Dは、少なくとも挿入孔535の内部表面を含み、誘電体511A及び外導体512と接する面が導電性を有する。
固定部材52Cと立体部材53Dとは、例えばねじ58によって締結される。
【0134】
ここで、角部536は、鋭角をなして延出する延出部538と、延出部538を支える根元部539とを有する。この根元部539は、扁平した開口形状の、短辺側よりも長辺側の厚さが薄い。これは、角部536が、誘電体511Aの断面形状の曲率半径が大きい部分の方の厚さが、当該角部536に対抗する誘電体511Aの断面形状の曲率半径が小さい部分の厚さよりも薄いことに相当する。なお、本実施の形態5における立体部材53Dは、成型時の樹脂が液体に近い(粘度の低い)状態となるトランスファ成型法によって作製されるがために、成型用金型の隅々にまで樹脂が廻りこみ、角部536の形状を実現できる。本実施の形態5において、延出部538の先端が尖った状態にあることは、接続部分における凹みをなくして滑らかな接続を実現する、すなわち接続部分におけるロス(反射)を低減するために重要な要件であることから、立体部材53Dを樹脂成型で製作する手段として、トランスファ成型法は最適といえる。
【0135】
弾性部材55Eは、環状をなし、固定部材52Cと立体部材53Dとによって挟持される部材である。弾性部材55Eは、外導体512を押圧して、該外導体512を誘電体511A及び立体部材53B(角部536)にそれぞれ密着させる。弾性部材55Eは、弾性を有する材料によって形成される。弾性部材55Eは、例えば、ゴム硬度が約A65度のゴム素材からなる。本実施の形態5の弾性部材55Eには、導波管51Aが挿通される貫通孔555が形成される。貫通孔555は、外導体512を含む導波管51Aの外形(扁平した断面形状の長径、短径)と概略等しい長径及び短径を有する扁平した断面形状をなし、かつ組立時に立体部品に向く側の開口形状は、立体部品が有する角部536から接続面に沿った形状に合わせる形で、滑らかにその径を広げる形状を有する。弾性部材55Eは、外導体512の接続拡大部512aを、立体部材53Dが有する角部536から接続面に沿って押し当て、外導体512及びその接続拡大部512aを、滑らかな形状を保ちながら誘電体511A及び角部536を、接続面に対して押圧・固定できる。
【0136】
弾性部材55E、立体部材53D、及び、導波管51Aは、金属平板をレーザーカットする形で製作されたワッシャ様の固定部材52Cを用いて、ねじ58を用いて締結することによって固定される。なお、弾性部材55Eにはねじ58を貫通するためのネジ用貫通孔556が形成され、立体部材53Dには締結に必要なネジ山の切られたねじ孔(メス孔)537が形成される。
【0137】
図31及び
図32は、弾性部材が圧接した際の導波管の状態を説明する図である。なお、破線Qは、変形前の角部536の形状を示す。弾性部材55Eは、固定部材52Cを介したねじ58による押圧力によって立体部材53Dに対して押し当てられる。この際に弾性部材55Eが外側にズレることを抑制するために、立体部材53D及び弾性部材55Eには、その接触面にズレ防止用の図示しない凹凸が形成される。立体部材53D及び弾性部材55Eの凹凸が互いに嵌ることで、ねじ58による押圧力は、外導体512及び接続拡大部512aを、立体部材53Dが有する角部536から接続面に沿って押し当てる力に、正しく変換される。
【0138】
ここで、立体部材53Dは、金属よりも柔らかい(=ヤング率が小さい)樹脂材料によって形成されている上に、導波管51が接続される開口において、短辺側よりも長辺側が薄く形成されており、長径側が押圧力によって僅かながら変形し、長径の延出部538は導波管芯材に密着する。
【0139】
上述した実施の形態1においては、誘電体511の長径La及び短径Lbと、導波管51が接続される開口、すなわち、扁平な開口を有する長径dおよび短径とは、概略等しいことを前提としてきたが、本実施の形態5の立体部材53Dは、僅かな変形が可能なことにより、例えば誘電体511の寸法の方が僅かに細いような場合であっても、角部536を有する開口における長径部分を誘電体511に押し付けて、倣わせることができる。この結果、長径部分の段差を最小化することができる。長径部分の段差を最小化することは、本発明の課題である接続部分のロス(反射)の最小化に役立つ。これは、導波管接続部の反射は短径の差が支配的な為である(参考:石原藤夫/導波管の等価特性インピーダンスとその応用/電子情報通信学会論文誌(1992年1月))。すなわち、角部536の延出部538と、その延出部538を支える根元部539とが、扁平した断面形状の短径側よりも、同長径側の厚さが薄い態様によれば、長径部分の段差を最小化する(導波管51Aの中央部において短径の寸法を合わせる)ことができ、一層効果的に接続部分の反射を低減できる。
【0140】
開口径の僅かな変形を接続開口において実現することは、特にミリ波でもE帯以上の周波数に用いる小径の導波管51Aの接続形態を考えるときに極めて有用となる。何故ならば、本発明の接続構造を構成する部材の中でも、誘電体511Aはその断面形状を一定化することが難しく、この構成によれば、上述した断面形状のばらつきを吸収できるためである。誘電体511Aは、コストの観点において押出成形法による製造が望ましいが、この押出成形法の特性から、他の部材に比べて形状のばらつきが発生しやすい。このばらつきによる接続部分の特性への影響は、小径の導波管になるほど大きく、具体的には短径が1mm程度以下となる導波管において影響が顕著となる。なお、この短径1mm程度となる導波管は、導波管規格でいうとE帯(60~90GHz)向けの導波管に相当する。
【0141】
以上説明した実施の形態5は、弾性部材55Eが、誘電体511Aに外導体512を密着させるとともに、立体部材53Dの角部536に外導体512を密着させる構成とした。本実施の形態5によれば、組紐状の構造を持つ外導体を備えた導波管を他の部材に接続した際に、電波のロスを安定して抑制することができる。
【0142】
さらに、実施の形態5では、固定部材52C、弾性部材55E及び立体部材53Bを接続する際、角部536が誘電体511Aと外導体512との間に入り込み、外導体512を押し広げるため、角部536が接続拡大部512aの形成に寄与することになる。この結果、導波管51Aにおいて、接続拡大部512aを効率的に形成することができる。
【0143】
(実施の形態5の変形例)
次に、本発明の実施の形態5の変形例について、
図33~
図37を参照して説明する。
図33は、本発明の実施の形態5の変形例に係る導波管の接続構造を示す部分断面図である。
図34は、本発明の実施の形態5の変形例に係る立体部材を示す部分断面図である。
図35は、導波管の接続部分における固定部材及び立体部材の構成について説明するための平面図である。本変形例に係る内視鏡システムは、上述した実施の形態5における弾性部材の構成を変えた以外は、同じ構成である。本変形例では、上述した実施の形態5の立体部材53Dに代えて立体部材53Eを備える。以下、上述した実施の形態5とは異なる構成(立体部材53E)について説明する。
【0144】
立体部材53Eは、成形可能な樹脂材料か、又は、真鍮等の金属材料によって形成される。立体部材53Eには、誘電体511Aが挿入される挿入孔535が形成される。また、立体部材53Eには、固定部材52Cと接する側に角部536Aが設けられる。立体部材53Eは、少なくとも挿入孔535の内部表面を含み、誘電体511A及び外導体512と接する面が導電性を有する。
固定部材52Cと立体部材53Eとは、例えばねじ58によって締結される。
【0145】
角部536Aは、上述した延出部538及び根元部539によって構成され、長径部と短径部とからなる。角部536には、切欠き部536aが形成される。切欠き部536aは、角部536の厚さ方向(内部側から外部側への方向)に貫通するスリットである。切欠き部536aは、挿入孔535の周囲に位置する角部536の肉厚を分断する。切欠き部536aは、角部536Aの長径の中心線上に配される。なお、切欠き部536aは、根元部539付近の一部の肉厚を残す程度に形成されてもよい。
【0146】
図36及び
図37は、弾性部材が圧接した際の導波管の状態を説明する図である。導波管を組み立てた際、立体部材53Eの開口部(角部536A周辺)は、弾性部材55Eからの押圧と、誘電体511Aからの押圧とが加えられる。開口部は切欠き部536aを有するために変形しやすく、上述した押圧力によって、開口形状は導波管芯材(誘電体511A)に倣って変形し、誘電体511Aに密着する。開口形状、即ち角部536Aが誘電体511Aに密着することによって、接続部分のロス(反射)を抑えることができる。さらに、上述した実施の形態5では、例えば誘電体511Aの寸法が挿入孔535の開口よりも僅かに太いような場合には、挿入孔535の開口に誘電体511Aを入れることができなかったが、本変形例では、切欠き部536aを有するため、誘電体511Aの断面寸法が挿入孔535の開口よりも僅かに太いような場合にも、角部536Aが変形して誘電体511Aを挿入孔535に挿入し、かつ角部536Aを誘電体511Aに押し付けて倣わせることができる。
【0147】
ここで、切欠き部536aを、長径の中心線上に配した理由は、導波管51Aの基本モードであるTE10モードにおいて、導波管51Aの内部を流れる電流が長径部の中心線を超えて流れないためである。
図38は、導波管内を流れる電流の方向を説明するための図である。なお、
図38では、説明のため、誘電体511Aの一部を直方体に切り出した図を示している。
図38の矢印は、TE10モードにおける導波管51A内の壁面を流れる電流の方向を示す。この導波管51Aに対し、長径部の中心線(
図38の破線)上に切欠き部536aを形成しても電流を遮ることがないことが分かる。すなわち、本変形例において、長径部の中心線上に切欠き部536aを設けることは、導波管51Aの内部を伝導する電波のロスに繋がらないという物理的性質を利用している。
【0148】
変形例においても、弾性部材55Eが、固定部材52Cと、誘電体511A及び立体部材53Eとの間にそれぞれ介在する外導体512を押圧して、外導体512を誘電体511A及び立体部材53Eにそれぞれ密着させる。
【0149】
さらに、本変形例では、立体部材53Eにおいて、角部536Aに切欠き部536aを形成することによって、誘電体511Aの太さが、挿入孔535の開口よりも若干大きい場合であっても、誘電体511Aを挿入孔535に挿入することができる。
【0150】
以上説明した変形例においても、上述した実施の形態2と同様の効果を得ることができる。さらに、本変形例では、弾性部材55Cに爪部554が設けられているため、立体部材53Aに対する弾性部材55Cの脱着を容易に行うことができる。
【0151】
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含み得るものである。
【0152】
なお、本実施の形態1~5の導波管の接続構造は、一例として可撓性を有する可撓性導波管を用いて説明したが、可撓性を有することに限定されるものではなく、組紐状の外導体を有していれば、半可撓性、あるいは、剛性等の他の材質の導波管としてもよい。
【0153】
また、本実施の形態3~5では、中空の穴部(導波管)に接続するために導波管の太さを滑らかに変える構造を有する接続構造を例に説明したが、これに限らず、導波管と、該導波管に接続する部材との間の接続に広く適用できる。
【0154】
また、本実施の形態1では、押圧保持部材54の一例としてグレーチングクリップについて説明したが、このクリップに限定されるものではなく、例えば、他の形状のクリップや、ねじ、ゴムなどの弾性体、あるいは、粘着剤を用いて同等の機能を実現してもよい。
図39は、押圧補助部材の他の例を示す図である。
図39に示す押圧補助部材54Aは、ダブルクリップを用いて構成される。この押圧補助部材54Aを、固定部材52と立体部材53との固定に用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0155】
以上説明した本発明に係る導波管の接続構造、導波管コネクタ、導波管ユニット、モード変換機、撮像装置、及び、内視鏡は、組紐状の構造を持つ外導体を備えた導波管を他の部材に接続した際に、電波のロスを安定して抑制するのに有用である。
【符号の説明】
【0156】
1 内視鏡システム
2 内視鏡
3 処理装置
4 光源装置
5 表示装置
21 挿入部
22 操作部
23 ユニバーサルコード
24 先端部
25 湾曲部
26 可撓管部
31 画像信号処理回路
32 電源供給回路
33 送受信回路
34、243c 送受信アンテナ
51、51A 導波管
52、52A~52C 固定部材
53、53A~53E、56、57 立体部材
54 押圧補助部材
55、55A~55E 弾性部材
58 ねじ
241 光学系
242 撮像素子
243 ドライバIC
243a AFE部
243b TG部
243d 送受信回路
511、511A 誘電体
512 外導体
512a 接続拡大部
513 平箔糸
515 保護管
521、523、526、527、555 貫通孔
525、532、562、572a 凸部
524 収容孔
531、533、535、571 挿入孔
534 係止部
536 角部
537 ねじ孔
538 延出部
539 根元部
551、552 構成部材
561 孔部
572 接続部
573 延在部