(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】地球にインスパイアされた新規のクリンカから製造されるフレゴセメント
(51)【国際特許分類】
C04B 7/38 20060101AFI20241003BHJP
C04B 28/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C04B7/38
C04B28/00
(21)【出願番号】P 2022533362
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(86)【国際出願番号】 US2020063448
(87)【国際公開番号】W WO2021113737
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-09-04
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503115205
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァノリオ、ティツィアーナ
【審査官】末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-151526(JP,A)
【文献】特開2019-147719(JP,A)
【文献】特表2015-518462(JP,A)
【文献】特表平11-511107(JP,A)
【文献】米国特許第6113684(US,A)
【文献】国際公開第2012/169005(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 7/00-28/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント製造に使用するクリンカの製造方法であって、
シリカ、酸化アルミニウム、アルカリ金属酸化物、酸化カルシウム、及び酸化硫黄を含む原料を供給するステップと、
前記原料を焼成してクリンカを生成するステップと、を含み、
前記原料中のシリカの重量分率は40~60%の範囲であり、
前記原料中の酸化アルミニウムの重量分率は10~25%の範囲であり、
前記原料中のアルカリ金属酸化物の重量分率は5~15%の範囲であり、
前記原料中の酸化カルシウムの重量分率は5~15%の範囲であり、
前記原料中の酸化硫黄の重量分率は0.5~2%の範囲であり、かつ、
前記原料中の炭素含有化学種の重量分率は1%未満である、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記原料を焼成してクリンカを生成する前記ステップは、900~1200°Cの温度範囲で行われる、方法。
【請求項3】
コンクリートを形成する方法であって、
請求項1に記載の方法を実施してクリンカを生成するステップと、
前記クリンカを消和してスラリーを生成するステップと、
前記スラリーを80~100°Cの温度範囲で硬化させ、繊維状鉱物の成長を促進するステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンフットプリントを削減したセメントを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高エネルギー及び化学プロセスは、温室効果ガス排出の主な原因であり、コンクリートの場合はセメント製造がそれにあたる。セメント製造は世界のCO2排出量の8%を占めており、ポルトランドセメントクリンカに必要とされる石灰岩や粘土質の岩を焼成して熱分解するときの直接的な要因(排出量の約70%)と、エネルギーの使用、特に化石燃料の燃焼による間接的な要因(排出量の約30%)との両方がある。毎年、焼成反応とそのためのエネルギー使用との結果として、約1、300Mt/年のCO2が世界中で排出されている。一般的な自動車が年間約4.6トンの二酸化炭素を排出すると考えると、本発明のクリンカの使用による二酸化炭素排出量の約70%の削減は、米国に存在する自動車の75%を道路から取り除くことに等しい。
【0003】
重要なことは、CO2排出量だけに注目しても、持続可能な発展には不十分であるということである。上記の試算にはコンクリートの寿命は含まれていない。最近のコンクリートは、10年ほどで劣化が始まり、総寿命は50~100年に設定されている。研究文献は、コンクリートのライフサイクル影響を評価するときに、主要因子、すなわち強度、供用性(使用性)、及び耐久性を含めることの重要性を強調している。したがって、材料技術のカーボンフットプリントを最小化するとともに、温度、応力、応力変化、化学的環境、及びそれらの複雑な相互作用における過酷な状況下での材料の供用性の境界を押し上げることが極めて重要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の焦点は、石灰の代わりに、カーボンフットプリントがゼロの代替原料を使用することによって、温室効果ガス排出量が低いかまたはゼロに近いセメントクリンカを実現することである。最終的なアウトプットは、ローマ海洋コンクリート(
図1A)と、自然によって作成されたコンクリート状の岩(
図1B)との2つの世界の最良の特性を示す、ナノスケールの構成要素からマクロスケールの構成要素までのクロスブレド(crossbred)モルタル構造物の設計及びテストである。これらの特性には、耐久性、物理化学的復元性、及び、過酷な環境、すなわち温度、応力変化、及び酸性流体における供用性(使用性)の向上が含まれる。最も重要なことは、本発明による代替原料を使用することによって、CO
2排出量を70%削減できることである(
図3)。
【0005】
本発明による代替原料である新規な石灰製造岩石は、炭酸塩岩、すなわち石灰岩や苦灰岩が属する岩石カテゴリーに含まれる堆積岩ではなく、火成岩である。炭酸塩岩と同様に、火成岩は、鉱物組成の一部として酸化カルシウム(CaO、生石灰)を含む。しかしながら、このような組成は、焼成時のCO2放出の原因となる炭酸イオン(CO3
-)を欠いている。
【0006】
本発明による代替原料の、従来のクリンカに対する利点や改善点は、多岐にわたる。
【0007】
第1に、本発明による代替原料である火成岩から得られる新規な「石灰」は、それ自体が水硬性である。
【0008】
第2に、セメント製造におけるCO2排出量の削減に貢献している。本発明による代替原料の使用の背景にある重要な考え方は、セメントの製造が炭素のアップサイクルに依存するのではなく、セメント製造プロセスの「上流」から炭素排出を直接的に削減することである。本発明による代替原料を使用することにより、焼成プロセスにける熱分解反応によるカーボンフットプリントがゼロとなり、その結果、従来の焼成プロセスによるCO2排出量を約70%削減することができる。セメント製造におけるCO2排出量の削減を目的とする従来技術は、炭素のアップサイクル、すなわち炭素の回収・貯留(CCS)、つまり、産業活動により排出される二酸化炭素を回収してセメント化し、潜在的にカーボンニュートラルなコンクリートを製造することに大きく依存している。しかしながら、炭素硬化反応によるCO2鉱物貯留には、次の3つの欠点がある。(1)アルカリ性の廃水が発生するので、それを処理する必要がある。(2)硬化したコンクリート内に炭酸塩鉱物が形成され、この炭酸塩鉱物は不安定であり化学的風化の影響を受ける。このことは、CO2硬化コンクリートの長期的な安定性と供用性について疑問を提起する。(3)この技術の活用は、新しいセメント工場を建設するための高いコストによって妨げられる。
【0009】
第3に、水硬性クリンカは、カルシウム-スルホ-アルミネート水和物の繊維を生成する。水硬性クリンカは、ポゾラン灰中で消和され分散すると、繊維のクラスタを形成し、セメントの機能的及び構造的な単位を構成する。
【0010】
第4に、水硬性クリンカは、ジオポリマーを生成する。水硬性クリンカを消和すると、水硬性クリンカに含まれるアルカリ金属酸化物(Na2O、K2O)、CaO、及びAl2O3はジオポリマーを形成し、このジオポリマーは、繊維とマトリックスとの間の界面結合を強化する役割を果たす。ジオポリマーは、向上した圧縮強度、熱安定性、酸性流体耐性などの優れた機械的特性及び物理的特性を示す。
【0011】
要約すると、本発明によるクリンカを消和すると、クリンカの天然ブレンド組成に起因して、C-S-A-Hの繊維状鉱物の天然成長とジオポリマーとによって作られるクロスブレド構造を促進する。このクリンカに、火山灰やフライアッシュ(飛散灰)などの天然由来の灰や工業副産物を混合すると、C-A-S-Hが形成される。クロスブレドモルタルに繊維クラスタを埋め込むことにより、自然に強化されたモルタルが形成される。モルタルのこのクロスブレド性質、すなわち繊維質とポリマー質との両方は、向上した圧縮強度、熱安定性、酸性流体耐性などの優れた物理化学的特性を提供する十分な可能性を有している。また、原料中に遊離シリカ及び非晶質シリカが含まれていないので、アルカリシリカ反応(ASR)を最小化することが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】
図1Aは、例示的な従来のセメント質微細構造体を示すSEM画像である。
【
図1B】
図1Bは、例示的な従来のセメント質微細構造体を示すSEM画像である。
【
図2】
図2は、本発明による例示的な組成を示す表である。
【
図3】
図3は、本発明の原理による炭素排出量の削減を示すグラフである。
【
図4A】
図4Aは、熱水合成によって生成された繊維状鉱物の例示的な成長を示すSEM画像である。
【
図4B】
図4Bは、熱水合成によって生成された繊維状鉱物の例示的な成長を示すSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(A)セメント製造の脱炭素化
【0014】
セメント製造の脱炭素化は、簡単なことではない。ポルトランドセメントにおける炭素放出の原因となる部分(すなわち、石灰石からのCaO)は、ポルトランドセメントの接着剤の形成にも関与している(ケイ酸カルシウム水和物:C-S-H)。したがって、セメント製造の脱炭素化は、上記した炭素放出の原因となる部分を、セメント質相の形成を促進する別のものに置き換えることを必要とする。環境に優しい接着剤は、耐久性や供用性(使用性)も確保する必要がある。
【0015】
従来技術は、焼成により発生したCO2を回収してコンクリート硬化技術で使用すること、代替セメント混合物を製造すること、及び、セメント質相の形成を促進する代替原料を使用することなどの、代替プロセス及び/または代替材料に焦点を当てている。
【0016】
硬化炭酸化は炭素アップサイクルに依存したのであり、焼成により発生した廃棄二酸化炭素を回収し、超臨界(温度=31°C、圧力=72.8atm)CO2をフレッシュコンクリートに注入し、カルサイト(CaCO3)に鉱化さることによってコンクリート内にCO2を閉じ込める、加速硬化プロセスである。この従来技術は、潜在的にカーボンニュートラルなコンクリートのセメンテーションを誘導するが、プレキャストコンクリート製品に限られ、また、コンクリート内に炭酸塩鉱物が形成されるという欠点がある。炭酸塩鉱物は、脆く、化学的風化をしやすい。さらに、セメント工場を上記のニーズに適合させるためのコストが高いことも、この技術の活用を妨げている。
【0017】
代替セメント混合物は、ポルトランドセメントの一部(CaOの供給源)を、Si及びAlの供給源、すなわちアルミノシリケート材料(アルミノケイ酸塩材料)に置き換えたものである。アルミノシリケート材料は、石炭火力発電所や製鉄所から出る安価なフライアッシュ(飛散灰)やスラグなどの工業副産物、または、火山灰やメタカオリンなどの天然起源の原料であり得る。ポルトランドクリンカ中のCaO含有量は圧縮強度に大きく影響するので、異なるセメント質相の活性化を促進するためにアルカリ溶液(例えば、ナトリウム-アルミノ-シリケート水和物、N-A-S-H)を添加することによってセメンテーションが誘導される。コストから、化学添加剤の腐食性に関連する運転上の安全性の懸念まで、様々な課題がある。さらに、石炭火力発電所が閉鎖されたり、鉄鋼生産量が減少したりしているので、フライアッシュやスラグは以前ほど豊富ではない。
【0018】
本明細書で提示される代替原料は固体であり、アルカリ土類酸化物(CaO、MgO)とアルカリ金属酸化物(Na2O、K2O)との両方を自然に含んでいる。
【0019】
(B)従来技術のセメント質微細構造体の例
【0020】
図1A及び
図1Bは、ローマ海洋コンクリート(MacFarlane et al., 2020)と、カルデラから得たコンクリート状の岩(Vanorio and Kanitpanyacharoen, 2015)との走査型電子顕微鏡画像(SEM画像)である。上記のセメント微細構造体は両方とも、微細繊維性を示す。
【0021】
(C)本発明のクリンカ組成物の例
【0022】
本発明の組成物の例示的な組成を
図2の表に示す。リューシトファイア(Leucitophyre)の欄は、投入岩石(石灰岩や粘土に代わる火成岩)の組成であり、原料の欄は、クリンカ焼成プロセスのための投入材料の組成であり、ポゾラン灰の欄は、クリンカと混合され、フレゴセメント(phlego cement)を生成するために消和される灰の組成である。
【0023】
全体的なプロセスフローは、
(1)投入岩石を粉砕して原料を生成するステップと、
(2)原料を焼成してクリンカを形成するステップ(例えば、従来のクリンカを生成するために従来の原料を焼成するために使用されるプロセスと同様に、900~1200°Cの範囲の焼成温度及び60分間の滞留時間を用いる)と、
(3)クリンカを消和するステップと、
(4)上記のような望ましい特性を有するモルタルを形成するために、消和したクリンカにポゾラン灰を混合して硬化させるステップと、を含む。
【0024】
原料には、炭酸や炭酸イオンを欠いた鉱物が含まれている。そのため、クリンカの焼成プロセスは、カーボンニュートラルである。原料は、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム)の酸化物と、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム)の酸化物との両方を含むことができる。クリンカは、ポゾラン灰と混合されると、優れた機械的特性及び供用性を有すると期待されるハイブリッドCASH-ジオポリマーセメントであるフレゴセメントを生成する。
【0025】
さらに、これらの種類の岩石は、自然に混合された組成物を示し、
(1)エトリンガイト(C-S-A-H、カルシウム-スルホ-アルミネート水和物)の天然鉱物繊維と、
(2)Alリッチのポゾラン系セメントに存在するC-A-S-H相(カルシウム-アルミノ-シリケート水和物)と、
(3)ジオポリマーと、
からなるクロスブレドモルタルを形成する能力を有するクリンカを生成することができる。
本発明によるセメントクリンカは、添加剤の添加により、これらの相のいくつかの存在を確実にする。
【0026】
火成岩は、リューサイト・テフライト、またはテフライト・バサナイト(あるいは、フォイド・モンゾジオライト/モンゾガブロ)と呼ばれる。これらの用語は、元素組成が同じ岩石を指す。違いは、岩石の微細構造の種類及び結晶度だけである。このタイプの火成岩は自然界に偏在しており、沈み込み境界の上方の活動中及び古代の超カリウム性またはカルクアルカリ性火成活動において見られる。
【0027】
本発明の新規な原料の組成は、
(a)シリカ(40~60重量%)と、
(b)酸化アルミニウム(10~25重量%)と、
(c)硫黄酸化物(0.5~2重量%)(硫黄酸化物は、CaO及びAl2O3の存在下で、繊維状エトリンガイト(C-S-A-H、カルシウム-スルホ-アルミネート水和物)を形成する能力を有する。また、硫黄酸化物は、天然繊維強化モルタルを生成する)と、
(d)酸化カルシウム(5~15重量%)(Al2O3の存在下で、ポゾラン灰と混合させるとAlトバモライト(C-A-S-H、カルシウム-アルミノ-シリケート水和物)を形成する)と、
(e)アルカリ金属酸化物(Na2O、K2O、5~15重量%)と、を含む。
【0028】
アルカリは、(1)C-A-S-Hの水和過程の高速化と、(2)高分子相の形成をもたらす化学的架橋の促進という2つの目的に役立つので重要である。本発明のクリンカでは、アルカリの存在は、原料に添加された粘土質の石の高温処理によって確保される。自然に混合されたCaOとAl2O3との混合物中にアルカリ金属酸化物が存在することにより、クリンカがアルカリ条件下で80°Cという低い温度で消和されたときに、ジオポリマーの形成を確実にする。CaOとほぼ同量のアルカリ金属酸化物(Na2O、K2O)を含むことと、Al2O3が存在することとにより、この混合物は、水硬性を有するクリンカを生成する能力を有する。
【0029】
この原料の重要な点は、原料中に炭素含有化学種を含まれていないことであり、原料中の炭素含有化学種は1重量%未満であり、0重量%に近いことが好ましい。
【0030】
フレゴセメントを製造するために、本発明のクリンカの一部を、天然由来または工業副産物(例えば火山灰やフライアッシュ)のポゾラン灰と、1:2の割合で混合する。ポゾラン内に分散したクリンカの各塊は、セメントの機能的及び構造的な単位を構成する。クリンカの各塊は、消和すると、繊維質のエトリンガイト(C-S-A-H、カルシウム-スルホ-アルミネート水和物)を形成し、絡み合った繊維のクラスタを形成し、このクラスタは、ポゾラン灰の中で分散し、周囲領域に広がる。これにより、天然繊維強化材料が形成される。クリンカとポゾラン灰との両方にアルカリ金属酸化物(Na2O、K2O)とCaOとが含まれることに起因して、繊維状エトリンガイトは、ジオポリマーとC-A-S-H(カルシウム-アルミノ-シリケート水和物)とで作られているクロスブレドモルタルマトリックスに埋め込まれることになる。
【0031】
CO2排出量の削減という環境面でのメリットに加えて、このセメントは、耐久性、物理化学的な復元力、及び供用性も向上させる。最も顕著な効果は、過酷な環境におけるひずみエネルギーの吸収及び/または安定性を必要とする用途において発揮される。そのような用途としては、(1)地震による地盤振動を受ける地域で使用されるコンクリート、(2)水資源へのリスクとなる、CO2の注入、フラッキングのために注入された酸性流体、またはフラッキング廃液の再注入に曝される坑井ケーシング間のセメントシース、(3)産業廃棄物のカプセル化、及び、(4)惑星のシェルター及び未来の居住環境が挙げられる。
【0032】
(D)炭素排出量の削減
【0033】
図3は、石灰石と、新規のバインダ前駆体との両方を、900°Cで加熱(焼成)したときの質量損失を示す。石灰石(四角形)の質量損失は化学量論的(43.9%、フィッティング傾向の勾配)であり、CaCO
3の焼成時に放出されるCO
2の質量に対応する。新規のバインダ前駆体(円形)は、石灰石と比較して炭素フリーであり、熱分解時のCO
2排出量の大幅な削減を示唆している。
【0034】
(E)熱水合成による繊維の成長の例
【0035】
図4A及び
図4Bは、熱水合成による繊維の成長の例を示す画像である(Head et al., 2018)。天然の熱水系(約80~100°C)を模倣した合成と併せて、(上述のように)アルカリ-カルシウムクリンカ組成物を使用することによって、バインダの内部で繊維鉱物の成長を促進することができる。その結果、(a)材料への繊維の添加に起因してセメントの粘度が増加するという問題を排除することができる、及び、(b)化学的及び機械的にモルタル中で繊維をブレンドすることができる、という独自の利点が得られる。前者はスラリーの作業性に関する問題を回避し、後者はマトリックス-ファイバ界面での結合プロセスを促進する。