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特許7565383リチウムイオン電池セルバランシングシステム及び方法、並びにリチウムイオン電池セルバランシングを備える電池充電装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】リチウムイオン電池セルバランシングシステム及び方法、並びにリチウムイオン電池セルバランシングを備える電池充電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20241003BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20241003BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H02J7/02 H
H01M10/48 P
H01M10/44 Q
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022573770
(86)(22)【出願日】2021-06-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-07
(86)【国際出願番号】 US2021035328
(87)【国際公開番号】W WO2021247626
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2023-02-03
(31)【優先権主張番号】63/033,717
(32)【優先日】2020-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517284935
【氏名又は名称】ザ・ノコ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Noco Company
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】マクブライド,ジェイムズ ピー
(72)【発明者】
【氏名】サイモン,ダニエル エル
(72)【発明者】
【氏名】スタンフィールド,ジェイムズ リチャード
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-124933(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0028368(US,A1)
【文献】特開2019-115088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H01M 10/42-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムセルバランシングを備えたリチウムイオン再充電可能電池(LIRB)充電システムであって、
直列に接続された複数のセルと、放電電界効果トランジスタ(FET)及び充電電界効果トランジスタ(FET)を含む電池管理システム(BMS)とを備える、LIRBと、
前記LIRBを充電するように構成され、前記LIRB電池充電中に前記LIRBに接続される又は接続可能である、電池充電装置と
を備え、
前記電池充電装置で前記電池充電をしているときに、前記BMSは、記複数のセルの電圧を監視し、前記複数のセルのいずれかが充電不足となると前記放電FETを開くように構成され、前記複数のセルのいずれかが過充電となると前記充電FETを開くように構成され
前記電池充電装置で前記電池充電をしているときに、前記BMSは、前記複数のセルの個々の電圧を監視するように構成され、1個の前記セルが過充電となると、当該特定のルに抵抗負荷を配置して当該特定のセルから電荷をゆっくりと放電し、該特定のルの電圧が安全閾値に降下すると、前記抵抗負荷を外し
前記BMSは、前記電池充電装置で前記電池充電をしているときに、前記BMSによって前記複数のセルがバランスするように、前記充電FETを複数回開閉するように構成され、
前記複数のセルのためのセルバランシングモードが予め定められた期間のリチウムイオンセルバランス時間の間、継続
前記リチウムセルバランシングモードは、
前記複数のセルのバランスにより前記充電FETが前記BMSによって閉じられているときの第1リチウムセルバランシングモードと、
前記複数のセルのアンバランスにより前記充電FETが前記BMSによって開かれているときの第2リチウムセルバランシングモードと、を備え、
前記第1リチウムセルバランシングモードにおいて、
前記電池充電装置が、消耗ないし放電した電池の電池電圧を確認し、
前記電池電圧が第1電圧閾値になるまでソフトスタート電流が使用され、
前記電池電圧が前記第1電圧閾値になると、前記BMSが前記電流をオフとして前記電池電圧が前記第1電圧閾値よりも低い第2電圧閾値に降下するのを待機し、
前記電池電圧が前記第2電圧閾値になると、前記BMSが前記ソフトスタート電流をオンに戻すのを繰り返し、
前記第2リチウムセルバランシングモードにおいて、
前記電池充電装置は、開かれた前記充電FETが有するボディダイオード接続を介し、ダイオード降下を引いた前記電池電圧を測定可能であり、
前記電池電圧が前記第2電圧閾値よりも低い第3電圧閾値下回って降下すると、前記電池充電装置が、前記LIRBから前記電池充電装置が外されたとの判断に基づき待機モードとなり、
前記電池電圧が前記第3電圧閾値を上回ると、前記電池充電装置は、前記LIRBが接続されていると判断し、前記充電FETが再度閉じたときを判断するため前記LIRBのインピーダンスが繰り返しポーリングされる、
ステム。
【請求項2】
前記リチウムイオンセルバランス時間は固定された長さの時間に設定されている、
請求項に記載のシステム。
【請求項3】
前記リチウムイオンセルバランス時間は4時間に設定されている、
請求項に記載のシステム。
【請求項4】
前記電池充電装置は、毎秒、前記電池電圧を確認する、
請求項1から3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記第2リチウムセルバランシングモードにおいて、
前記電池電圧が前記第3電閾値を上回ると、前記充電FETが開き、
次の電池電圧確認時期まで前記LIRBが接続される、
請求項4に記載のシステム。

【請求項6】
前記第2リチウムセルバランシングモードにおいて、前記電池充電装置は、前記充電FETが再度閉じたときを判断するため、毎分、前記ンピーダンスをポーリングする
請求項1から5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記第2リチウムセルバランシングモードにおいて、前記電池電圧が前記第3電圧閾値を上回ると、前記電池充電装置は、前記電池電圧が前記第1電圧閾値となるまで、又は前記BMSが前記充電FETを開くまで、前記ソフトスタート電流での前記LIRBの充電を開始する、
請求項1から6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記第1電圧閾値が14.6Vであり、前記第2電圧閾値が14.4Vであり、前記第3電圧閾値が10.5Vである、
請求項1から7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
複数のセルと、電池充電装置を使用する充電電界効果トランジスタ(FET及び放電電界効果トランジスタ(FETを含む電池管理システム(BMS)とを備えるリチウムイオン再充電可能電池(LIRB)の充電で使用されるリチウムセルバランシング方法であって、
前記複数のセルの電圧を監視し、前記複数のセルのいずれかが充電不足となると前記放電FETを開き、前記複数のセルのいずれかが過充電となると前記充電FETを開き、
特定のセルに抵抗負荷を配置して当該特定のセから電荷をゆっくりと放電し、
当該特定のセルの前記電圧が安全閾値に降下すると、前記抵抗負荷を外し、
前記電池充電装置で電池充電をしているときに、前記BMSによって前記複数のセルがバランスするように、記充電FETを複数回開閉し、
予め定められた期間のリチウムセルバランス時間の間、前記複数のセルのためのリチウムセルバランシングモードに留まる、ことを備え
前記リチウムセルバランシングモードは、
前記複数のセルのバランスにより前記充電FETが前記BMSによって閉じられているときの第1リチウムセルバランシングモードと、
前記複数のセルのアンバランスにより前記充電FETが前記BMSによって開かれているときの第2リチウムセルバランシングモードと、を備え、
前記第1リチウムセルバランシングモードにおいて、
前記電池充電装置が、消耗ないし放電した電池の電池電圧を確認し、
前記電池電圧が第1電圧閾値になるまでソフトスタート電流が使用され、
前記電池電圧が前記第1電圧閾値になると、前記BMSが前記電流をオフとして前記電池電圧が前記第1電圧閾値よりも低い第2電圧閾値に降下するのを待機し、
前記電池電圧が前記第2電圧閾値になると、前記BMSが前記ソフトスタート電流をオンに戻すのを繰り返し、
前記第2リチウムセルバランシングモードにおいて、
前記電池充電装置は、開かれた前記充電FETが有するボディダイオード接続を介し、ダイオード降下を引いた前記電池電圧を測定可能であり、
前記電池電圧が前記第2電圧閾値よりも低い第3電圧閾値を下回って降下すると、前記電池充電装置が、前記LIRBから前記電池充電装置が外されたとの判断に基づき待機モードとなり、
前記電池電圧が前記第3電圧閾値を上回ると、前記電池充電装置は、前記LIRBが接続されていると判断し、前記充電FETが再度閉じたときを判断するため前記LIRBのインピーダンスが繰り返しポーリングされる、
リチウムセルバランシング方法。
【請求項10】
前記リチウムセルバランス時間は固定された長さの時間である、
請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記リチウムセルバランス時間は可変の長さの時間である、
請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記リチウムセルバランス時間は、プログラム可能で、異なる時間長さに調整可能である、
請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記電池充電装置は、毎秒、前記電池電圧を確認する
請求項9から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記第2リチウムセルバランシングモードにおいて、
前記電池電圧前記第3電圧閾値を上回っていれば、前記充電FETが開き、
次の電池電圧確認時期まで前記LIRBが接続される、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1リチウムセルバランシングモードの間、定電流(CC)型電池充電装置が定電圧(CV)型電池充電装置をエミュレートする、
請求項9から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
記電池電圧を前記第1電圧閾値から前記第2電圧閾値の狭電圧レンジで前記電池電圧を維持することにより、前記定電流(CC)型電池充電装置が定電圧(CV)型電池充電装置をエミュレートするように繰り返す、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ンピーダンスが、毎分、ポーリングされる、
請求項9から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記ンピーダンスのポーリング中、前記電池充電装置は充電電流を加えることを試み、
電流がまったく受け入れられなければ、前記電池充電装置は前記充電FETが依然として開いていることを認識し、
前記充電FETが閉じると、次の前記電池充電装置による前記充電電流を加える試みの際に、前記電池充電装置は前記LIRBが前記充電電流を受け入れていることを確認し、前記電池電圧前記第1電圧閾値に達するまで、又は前記BMSが前記充電FETを開くまで、フトスタート電流での充電を継続し、
前記第1電圧閾値に達すると、前記第1リチウムセルバランシングモードとなり、
前記BMS前記充電FETを開くと、前記第2リチウムセルバランシングモードを繰り返す、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記LIRBの前記ポーリングは、前記リチウムセルバランシング操作中の定められた時間の、前記第1リチウムセルバランシングモード、前記第2リチウムセルバランシングモード、又は前記第2リチウムセルバランシングモード後の前記第1リチウムセルバランシングモードの組み合わせにより実行される、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1電圧閾値が14.6Vであり、前記第2電圧閾値が14.4Vであり、前記第3電圧閾値が10.5Vである、
請求項9から19のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池セルバランシングシステム及び方法、並びにリチウムイオン電池セルバランシングシステムを備え、及び又は本発明に係るリチウムイオン電池セルバランシング方法を組み込んだ電池充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、消耗ないし放電したリチウムイオン再充電可能電池(例えば、消耗ないし放電したリチウムイオン再充電可能車両用電池)を充電するための電池充電器がある。この既存の電池充電器の動作態様は、電池充電器が消耗ないし放電して充電されているリチウムイオン再充電可能電池に電流を供給している間、電池充電器のリチウムイオン再充電可能電池電圧がリチウムモードのカットオフ電圧(例えば14.6V)に達すると、たとえソフトスタート中であっても、充電電流がカットオフされ、適切な燃料ゲージ時間の増分の後、電池充電器のディスプレイの燃料ゲージが連続点灯の緑色ライト(例えば燃料ゲージの緑色LEDによる)を表示するというものである。
【0003】
また、既存の電池充電器は、消耗ないし放電したリチウムイオン再充電可能電池の充電中、リチウムモードと待機モードとの間を往復する。詳細には、リチウムイオン再充電可能電池を電池管理システム(Battery Management System:BMS)で充電していてリチウムイオン再充電可能電池セルがアンバランスとなると、電池充電器はリチウムモードと待機モードとの間を往復する。
【0004】
これは、リチウムイオン再充電可能電池の電池管理装置(BMS)が個々のセルの電圧を監視していることに起因する。リチウムイオン再充電可能電池が過度に高圧に充電されると、電池管理装置(BMS)は充電FETを開いて特定のリチウムイオン再充電可能電池セルのさらなる充電を回避する。その間、電池管理システム(BMS)の内部抵抗が接続されて、リチウムイオン再充電可能電池セルをゆっくりと放電させる。過度な電圧のリチウムイオン再充電可能電池セルが低レベルに放電すると、充電FETが再度閉じられる。
【0005】
充電FETが開くとき、リチウムイオン再充電可能電池セルに対する放電経路をもたらすダイオードが依然として存在する。このことが意味するのは、電池充電器がリチウムイオン再充電可能電池に接続されたとき、電池充電器の内部電圧分割抵抗ネットワークが端子の電圧を検知して充電電圧を駆動しようとするということである。電池の充電FETが開くので、電池充電器によって電流はまったく検出されず、電池充電器は待機モードに戻る。
【0006】
電池充電器は電池電圧を検知するので、電池充電器は数秒毎に電池電圧を取得し、電流を供給可能か確認する。電流を供給しようとするとき、電池充電器は待機モードからリチウムモードとなる。電池充電器は、電池管理システム(BMS)が充電FETを閉じるまで、待機モードとリチウムモードの間を往復する。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、消耗ないし放電したリチウムイオン再充電可能電池の充電のためのリチウムイオン電池セルバランシングシステム及び/又は方法に関し、電池充電器は、リチウムイオン電池セルバランシングシステムを備え、及び/又は本発明に係るリチウムイオン電池セルバランシング方法を組み込んでいる。
【0008】
リチウムイオン電池バランシング方法は、電池充電器のタイプに応じて(例えば定電流(Constant Current:CC)型電池充電器や定電圧(Constant Voltage:CV)型電池充電器)、リチウムイオン再充電可能電池の複数のリチウムイオン再充電可能電池セルのバランシングのための複数のステップを備える。
【0009】
ここで記載される主題は、また、リチウムイオン再充電可能電池充電システム、及び/又は電池管理システム(BMS)に組み込まれておりリチウムイオン再充電可能電池を充電するように構成された充電器で使用される方法に関する。
【0010】
リチウムイオン再充電可能電池は、互いに電気的に直列に配置された複数のリチウムイオン再充電可能電池セルを備える。リチウムイオン再充電可能電池セルは、種々のリチウムイオン再充電可能電池セルの容器や負荷の違いに起因して、互いにバランスしない状態となり得る。具体的には、充電動作中、リチウムイオン再充電可能電池の電圧は相対的に互いに異なる。
【0011】
リチウムイオン再充電可能電池セルの安全な電圧レンジでの動作を維持するため、リチウムイオン再充電可能電池は電池監視システム(BMS)を備え得る。電池監視システム(BMS)の役割は、リチウムイオン再充電可能電池セルの電圧を監視し、リチウムイオン再充電可能電池のいずれかのリチウムイオン再充電可能電池セルが充電不足になると、放電FETを開き、いずれかのリチウムイオン再充電可能電池セルが過充電となると充電FETを開くことである。
【0012】
電池管理システム(BMS)は、本発明に係るリチウムイオン再充電可能電池セルバランス機能を備え得る。電池管理システム(BMS)は、リチウムイオン再充電可能電池の内部の個々のリチウムイオン再充電可能電池セルの電圧を監視し得る。特定のリチウムイオン再充電可能電池が過充電となると、電池管理システム(BMS)は当該特定のリチウムイオン再充電可能電池セルに小さい抵抗負荷を配置して、当該特定のリチウムイオン再充電可能電池セル電荷をゆっくりと抜き出。当該特定のリチウムイオン再充電可能電池セルの電圧が安全閾値に降下すると、当該特定のリチウムイオン再充電可能電池セルに対する抵抗負荷が外される。
【0013】
アンバランスのリチウムイオン電池セルがあるリチウムイオン再充電可能電池のセルバランシング中、多数回、電池管理システム(BMS)が開/閉し、電池管理システム(BMS)により内部のリチウムイオン再充電可能電池セルがゆっくりとバランスする。
【0014】
リチウムイオン再充電可能電池を充電するために、最終ステップは、定電圧(CV)モードに留まって、リチウムイオン再充電可能電池の内部の電池管理システム(BMS)がセルバランスする時間が許容されるように前記電池充電装置の端子においてテーパー充電閾値を維持する。この時間はリチウムセルバランス時間と呼ばれ、例えば4時間に設定し得る。しかしながら、この時間はプログラム可能であり、例えば、異なる継続時間(例えば6時間や8時間)に調整し得る。
【0015】
リチウムセルバランス時間中、電池充電器は定電圧(CV)モードである。この時間中、電池充電器はリチウムイオン再充電可能電池のBMSが充電FETを開いているか、ユーザーが充電されている消耗ないし放電したリチウムイオン再充電可能電池から充電ケーブルを外したかを識別できる必要がある。BMSによって充電FETが開いていれば、リチウムセルバランス時間でのバランスのために、電池充電器はリチウムセルバランスモードに留まらなければならない。ユーザーがリチウムイオン再充電可能電池から電池充電器を外した場合、電池充電器は待機モードにならなければならない。
【0016】
リチウムイオン再充電可能電池がリチウムセルバランス(LCB)モードである間、電池充電器の出力電流が監視される。充電電流が最小検知電流レベルを下回って降下すると、電池充電器は、電池電圧を毎秒確認することを開始する。
【0017】
リチウムイオン再充電可能電池の電圧を確認するため、電池充電器は、電池充電器によるリチウムイオン再充電可能電池への定電圧供給から回路を開き、リチウムイオン再充電可能電池の電圧を測定する。リチウムイオン再充電可能電池の電圧が10.5Vを下回って降下していれば、ユーザーがリチウムイオン再充電可能電池から電池充電器のケーブルを外している。リチウムイオン再充電可能電池の電圧が10.5Vを上回っていれば、次の1秒のリチウムイオン再充電可能電池の電圧の確認時間間隔まで、電池管理システム(BMS)は充電FETを開き、電池充電器は電池充電器の定電圧源をリチウムイオン再充電可能電池に接続する。リチウムイオン再充電可能電池が検知可能な電流の取り出しを再度開始していれば、内部スイッチは閉で維持される。
【0018】
フリーホイールダイオードは計測のための電流パスを提供するので、充電FETが開いたとき、電池充電器は依然としてリチウムイオン再充電可能電池の電圧(ダイオード降下を引いたもの)を測定可能であることに留意する必要がある。
【0019】
2つのモードのリチウムセルバランシング(LCB)がある。リチウムイオン再充電可能電池セルがバランスから大きく外れていない時の第1リチウムセルバランシング(第1LCB)モードでは、電池管理システム(BMS)は、第1リチウムセルバランシング(第1LCB)中、充電FETを開かない。このモードでは、定電流(CC)型の電池充電器が定電圧(CV)型の電池充電器をエミュレートする。これは、14.6Vになるまで第1ソフトスタート電流レベルを使用してリチウムイオン再充電可能電池を充電することでなされる。リチウムイオン再充電可能電池が14.6Vとなると、電流がオフされて14.4Vに電圧が降下するまで待機する。リチウムイオン再充電可能電池が14.4Vになると(多少の遅延を伴い)、第1ソフトスタート電流に戻り、繰り返される。従って、基本的に、電池電圧を14.4Vから14.6Vの狭電圧レンジで維持することで、定電流(CC)型の電池充電器が定圧型(CV)型の電池充電器をエミュレートする。
【0020】
第2リチウムセルバランス(第2LCB)モードでは、リチウムイオン再充電可能電池はバランスから大きく外れており、電池管理システム(BMS)は充電FETを開く。電池充電器は充電FETが開いているのか、ユーザーが端子を外しているのかを検知しなければならない。開いた充電FETはボディダイオード接続を有しているので、電池充電器は依然として電池電圧からダイオード降下を引いたものを測定できる。従って、電池管理システム(BMS)が充電FETを開いたとしても、電池充電器は、10.5Vより大きい電池電圧を依然として測定でき、依然としてリチウムイオン再充電可能電池を接続していると言える。そのため、電池充電器は充電FETが再度閉じたことを検知できなければならない。これはリチウムイオン再充電可能電池のインピーダンスを毎秒ポーリングすることでなされる。ポーリング中、電池充電器は充電電流を加えることを試みる。電流が受け入れられない場合、充電FETが依然として開いていることが分かる。充電FETが閉じて、次の充電ポーリングが試みられると、電池充電器はリチウムイオン再充電可能電池が電流を受けいれることが分かり、電池が14.6Vに達するか、電池監視システム(BMS)が充電FETを開くまで、第1ソフトスタートレベルでの充電が継続される。14.6Vに達すると、第1リチウムセルバランシング(第1LCB)モードになる。BMSが開くと、第2リチウムセルバランシング(第2LCB)モードが繰り返される。
【0021】
以上は、第1リチウムセルバランシング(第1LCB)モード、第2リチウムセルバランシング(第2LCB)モード、又はセルバランシング(LCB)動作の設定時間の第2リチウムセルバランシング(第2LCB)モード後に第1リチウムセルバランシング(第1LCB)モードとなる複合のいずれかによってなされる。
【0022】
電池充電器のために、例えば4時間が選択されるが、この時間は任意である。電池管理システム(BMS)が完全なセルバランスに達するために必要な合計時間は、リチウムイオン再充電可能電池がどれだけバランスから外れているかと、どのサイズのバランス負荷が電池管理システム(BMS)によって使用されるのかによる。これらの要因の両方は、電池充電器には観察し得ない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】電池管理システム(BMS)を備えるリチウムイオン再充電可能電池の模式図。
図2】電池管理システム(BMS)のリチウムイオン再充電可能電池への接続を示す、電池管理システム(BMS)の平面図。
図3】電池管理システム(BMS)のリチウムイオン再充電可能電池への接続を示す、電池管理システム(BMS)の斜視図。
図4-1】セル1から0.33AH(アンペア 時)の放電を伴うG2 7AH(アンペア 時)電池を示すグラフ。
図4-2】セル1から0.33AH(アンペア 時)の放電を伴うG2 7AH(アンペア 時)電池を示すグラフ(7AHでセル1から0.33AH放電)。
図5-1】0.33AMのセル#1への供給を伴うG2 7AH(アンペア 時)電池を示すグラフ(マルチチャージサイクル)(7AHに加え0.33Aの追加充電がセル1加えられる)。
図5-2】0.33AMのセル#1への供給を伴うG2 7AH(アンペア 時)電池を示すグラフ(マルチチャージサイクル)(7AHに加え0.33Aの追加充電がセル1加えられる)。
図6-1】40~45時間時間枠にズームインした上述のチャートを示すグラフ(7AHに加え0.33Aの追加充電がセル1加えられる)。
図6-2】40~45時間時間枠にズームインした上述のチャートを示すグラフ(7AHに加え0.33Aの追加充電がセル1加えられる)。
図7】G2コールドスタート電池充電プロファィルを示すグラフ(潜在的に一般的な使用の場合)(数ヶ月棚置き後の7AHコールドスタート電池)
図8】保守充電への充電のG2短放電を示すグラフ(バランスした電池がわずかに放電後+100時間保守で充電)。
図9】上述の充電ログのズームインした時間枠を示すグラフ(バランスした電池がわずかに放電後+100時間保守で充電)。
図10】0.45AHがセル1から除去されたG10 7AHフル充電を示すグラフ(セル1から0.45AH放電したG10 Firmv K 7AH)。
図11】競業他社のリチウムイオン電池充電プロファィルを示すグラフ(Genius 2 Firmware Rev RがBTLI12A270CWリチウム電池を充電)。
図12】競業他社のリチウムイオン電池充電プロファィルを示すグラフ(Genius 2 Firmware Rev RがATZ-10を充電)。
図13】競業他社のリチウムイオン電池充電プロファィルを示すグラフ(ATZ-10の充電の継続。BMSが開かなくなるまで充電した後、放電及び再充電。注:BMSは再充電で開かず、電池セルはバランスを維持する)。
図14】NOCOのリチウムイオン電池充電プロファイルを示すグラフ(Genius 5 Firmware Rev RがETX12A電池を充電)。
図15】NOCOのリチウムイオン電池充電プロファイルを示すグラフ(Genius 2 Firmware Rev RがNOCO NLP9を充電)。
図16】NOCOのリチウムイオン電池充電プロファイルを示すグラフ(Genius 5 Firmware Rev RがNOCO NLP14を充電)。
図17】NOCOのリチウムイオン電池のGenius 2 Firmware Ver.Sの充電プロファイルを示すグラフ(Genius 2 Firmware Version 5がLCB-セル2がバランスしていない7AHリチウムを充電)。
図18】NOCOのリチウムイオン電池のGenius 10 Firmware Pの充電プロファイルを示すグラフ(G10 LCB Firmware Rev P 7AH 12V リチウム@25C セル1過充電)。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に示すように、電池充電装置10は、リチウムイオン再充電可能電池20に接続された正極電池ケーブル14と負極電池ケーブル16を備える。例えば、正極電池ケーブル12はリチウムイオン再充電可能電池20の正極端子22に接続され得(例えば、図示しない正極電池クランプを使用して)、負極電池ケーブル14はリチウムイオン再充電可能電池20の負極電池端子24に接続され得る(例えば、図示しない負極電池クランプを使用して)。
【0025】
リチウムイオン再充電可能電池20は、電気的に直列に互いに接続された4個のリチウムイオン再充電可能電池セル26A,26B,26C,26Dと、4個のリチウムイオン再充電可能電池セル26A,26B,26C,26Dに接続された電池管理システム(Battery Management System:BMS)28Aと、放電FET30と、充電FET32とを備える。図1に示すように、放電FET30と充電FET32は4個のリチウムイオン再充電可能電池セル26A,26B,26C,26Dに電気的に直列に接続されている。
【0026】
図2に示すように、電池管理システム(BMS)28は印刷回路基板34を備える。印刷回路基板34は、正極外部電池端子、ないし内部リチウムイオン再充電可能電池の正極電池接続34Aと、負極外部電池端子34Bと、内部リチウムイオン負極電池端子34Cとを備える。
【0027】
図3に示すように、電池管理システム(BMS)28はリチウムイオン再充電可能電池20に接続される。
【0028】
電池充電器10は、特定の態様で、リチウムイオン再充電可能電池20を充電するように構成及び/又はプログラムされている。例えば、電池充電器10は、リチウムイオン再充電可能電池セルバランシングモードないし機能(すなわちリチウムセルバランス)を備える。
【0029】
例えば、電池充電器10は以下のように動作する。電池充電器10が消耗ないし放電リチウムイオン再充電可能電池20に電流を供給している間に、リチウムイオン再充電可能電池電圧がリチウムモードのカットオフ電圧(例えば14.6V)に達すると、ソフトスタートモードであっても、電池充電器10は例えば4時間のリチウムセルバランス(Lithium Cell Balance:LCB)モードに入る。リチウムセルバランス(LCB)モードは、電池充電器10のディスプレイの25%、50%、及び75%燃料ゲージLEDにより、100%LEDが点灯しつつ、表示される(すなわち、ある種のグラビティオプティマイゼーション(gravity optimization)と同様)。
【0030】
リチウムセルバランス(LCB)モードの間、電池充電器10は、電池電圧がカットオフ電圧に達すると、充電電流を切る。電池充電器10は電池電圧の監視を継続し、電池電圧が14.4Vに降下すると、電池充電器10は最も低いソフトスタート電流(例えば、温度が0℃を下回っていれば、最も低いソフトスタート電流の1/2)で充電を再開する。電池充電器10は、複数回にわたって電池電圧が14.6Vに増加した後14.4Vに降下する間、オン・オフを繰り返す。電池充電器10は、14.6Vに達した後で電池充電器10が再度オンとなるのが許容される前の予め定められた時間間隔(例えば1分)、電池電圧が14.4Vを超えて降下したとしても、オフとなる。
【0031】
リチウムセルモードでの予め定められた時間間隔(例えば4時間)の後、電池充電器10は充電を停止し、電池充電器10のディスプレイの燃料ゲージに100%を表示する。
【0032】
(BMSの往復があるリチウムセルバランシングモード)
リチウムイオン再充電可能電池の充電中(リチウムモード)、電池充電器10がスタート電圧を上回るが14.6Vを下回る電圧を計測することで示されるように電池電圧が14.6Vに達する前に、リチウムイオン再充電可能電池の電池管理システム(BMS)が開くが充電電流が供給できないと、電池充電器10はリチウムセルバランスモードとなり4時間のタイマーを開始する。次に、燃料ゲージは緑色の100%LEDを点灯する。
【0033】
電池充電器10はリチウムイオン再充電可能電池の電圧をポーリングし続けるが、ポーリングの試みの間に待機モードとなる代わりに、電池充電器10はリチウムセルバランス(LCB)モードに留まり、燃料ゲージは緑色の100%LEDを表示する(例えば、緑色の動作LEDが明るくなるのと暗くなるのを繰り返す)。
【0034】
電池充電器10がこの電流バランスモードとなると、電池管理システム(BMS)はランダムに開閉する。電池充電器10は、電池管理システム(BMS)がFETを閉じたとき、リチウムイオン再充電可能電池の電圧のポーリングを継続し、FETが閉じると電池充電器10は最も低いソフトスタート電流(例えば、0℃を下回ると最も低いソフトスタート電流の1/2)で充電する。
【0035】
リチウムイオン再充電可能電池の内部リチウムイオン電池セルが、電池管理システム(BMS)が開かず電池電圧が14.6Vへ上昇する状態に均一化されると、電池充電器10は、4時間のタイマーがリセットされないことを除いて、上述のように動作する。
【0036】
セルバランスモードの4時間の後、電池充電器10は充電を停止し、電池充電器10のディスプレイの燃料ゲージに100%を表示する。電池充電器10が電池電圧がスタート電圧を下回ることを検出しなければ、電池充電器10は待機モードとなる。
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図4-1】
図4-2】
図5-1】
図5-2】
図6-1】
図6-2】
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