(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】多層発泡電気ケーブルおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01B 7/18 20060101AFI20241003BHJP
H01B 13/24 20060101ALI20241003BHJP
H01B 13/06 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H01B7/18 H
H01B13/24 Z
H01B13/06
(21)【出願番号】P 2023016822
(22)【出願日】2023-02-07
【審査請求日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】10 2022 102 884.4
(32)【優先日】2022-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】523043061
【氏名又は名称】クロムベルク ウント シューベルト ゲーエムベーハー ケーブル ウント ワイヤー
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【氏名又は名称】玉井 尚之
(72)【発明者】
【氏名】マルティン グライナー
(72)【発明者】
【氏名】アンネ ブレーマー
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01467381(EP,A1)
【文献】実公平4-52888(JP,Y2)
【文献】特表2011-501346(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/18
H01B 13/24
H01B 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁体(2)およびプラスチック材料からなる共通のシース(3)をそれぞれ有する複数の導電体(1)を備えている電気ケーブル(10)であって、前記シース(3)が、中間層を介さずに、前記導電体(1)の前記絶縁体(2)の上および周囲に直接施され、前記シース(3)が、熱可塑性プラスチックと弾性プラスチックの両方であって、ポリプロピレンマトリックスまたはポリエチレンマトリックスを有する
とともに、熱可塑性加硫物であるか、または熱可塑性加硫物を含むプラスチック材料のグループから選択され、さらに、非発泡
熱可塑性ポリウレタンからなる薄いハードカバー層(4)が、
中間層を介さずに、前記シース(3)の周囲に
直接形成されていることを特徴とする、電気ケーブル(10)。
【請求項2】
前記シース(3)を形成するシース材料が、ポリプロピレンマトリックス(PPマトリックス)を有する熱可塑性ポリマーであることを特徴とする、請求項1に記載の電気ケーブル(10)。
【請求項3】
前記シース(3)を形成するシース材料が、ポリプロピレンマトリックス(PPマトリックス)を有する熱可塑性ポリマーであり、前記ポリプロピレンマトリックスに、EPDM粒子が埋設されていることを特徴とする、請求項1に記載の電気ケーブル(10)。
【請求項4】
前記絶縁体(2)の材料が、発泡プラスチックからなることを特徴とする、請求項1に記載の電気ケーブル(10)。
【請求項5】
前記ハードカバー層(4)と前記シース(3)との間に、前記シース(3)への接着を促進する機能または前記シース(3)への機械的接続を確立する機能を有する中間層が配置されていないことを特徴とする、請求項1に記載の電気ケーブル(10)。
【請求項6】
前記シース(3)が、前記導電体(1)の周囲に、同軸状に、かつ円形の断面輪郭を有するように取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の電気ケーブル(10)。
【請求項7】
前記ハードカバー層(4)が、前記シース(3)の周囲に、同軸状に、かつ円形の断面輪郭を有するように取り付けられていることを特徴とする、請求項6に記載の電気ケーブル(10)。
【請求項8】
請求項1~7のうちのいずれか一項に記載の電気ケーブルを製造する方法であって、
a)ケーブル束内に発泡または非発泡の絶縁体(2)をそれぞれ有する、複数の導電体(1)を提供するステップと、
b)熱可塑性プラスチックと弾性プラスチックの両方であって、かつポリプロピレンマトリックスまたはポリエチレンマトリックスを有するプラスチック材料のグループから選択されたシース(3)を、中間層を介さずに、前記導電体(1)の前記絶縁体(2)の上および周囲に施すステップと、
c)前記シース(3)の周囲に、熱可塑性ポリウレタンからなる非発泡プラスチック材料からなる薄いハードカバー層(4)を施すステップと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のシース構造を有する多層発泡電気ケーブル、および特定のシース構造を有する多層発泡電気ケーブルを製造する方法に関する。この点において、本発明は、絶縁体を有する少なくとも1つの導電体と、プラスチックからなるシース構造とを備えるシース付き電気ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
様々なケーブル構造を有する電気ケーブルは、従来技術で既知である。しかしながら、現在の用途および使用は、非常に特殊な特性を有する導電体の配置を必要とする。特定の所望の利点を達成するために特定の材料を使用することは、通常、同時に欠点を伴い、選択されたプラスチックの購入コストおよび加工コストが高くなるという問題が発生することがある。
【0003】
先行技術により古くから知られているケーブルは、特許文献1に記載されている。特許文献1は、スパイラルらせんの形態で包まれており、好ましくはポリウレタン(PUR)に基づく大きな気孔容積を有する発泡材料からなり、かつ外側に同軸PURプラスチックシースが施された可撓性ベースケーブルを有する、可撓性電気ケーブルに関する。
【0004】
別の公知の電気ケーブルは、特許文献2に記載されている。このケーブルは、特に、自動車のアンチロックブレーキシステムおよび速度測定システムのセンサに使用することができ、実際に使用されていることが証明されている。この電気ケーブルは、ポリウレタンからなるシースを有する。具体的には、シースは、特定のショア硬度を有するPP、すなわち、ポリエーテルポリウレタンで作製されている。この硬度は、有利には、75~95ショアAの範囲である。エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)が公知であると特許文献2で述べられている導電体の絶縁体の選択のために、誘電パラメータ、特に比誘電率は、これらのパラメータがケーブルの絶縁容量に決定的な影響を有するため、実際に極めて重要な役割を果たす。
【0005】
電気パラメータに加えて、用途に応じて、他のパラメータも実際に役割を果たす。一般に、良好なリサイクル性が望まれる。さらに、寸法安定性も重要である。
【0006】
高い熱安定性を維持しながら、改善されたリサイクル性を達成するために、上述の実用新案はまた、導電体自体の絶縁体がポリウレタンで作製され、当該ポリウレタンが55~64ショアDの範囲の硬度を有することを規定している。このポリウレタン材料は、特に再溶融可能な熱可塑性材料であるため、容易にリサイクルすることができる。
【0007】
ここでの欠点は、製造プロセスのコストがより高くなることである。そのようなケーブルに課される技術的要件に関して、特許文献2は、ボッシュ規制VS18296-NKA(2001年10月)を参照し、リサイクル性に加えて、具体的には、VDE0472-603/Jに準拠した技術パラメータである、熱撓み温度および曲げ疲労強度を参照する。上記種類のケーブルの使用に重要な他の特性、特に機械的特性は、ケーブルの質量に加えて、ねじり挙動が含まれる。ケーブルの加工性のための、必要に応じて、より大きなケーブル部にわたってもケーブルを容易に剥ぎ取ることができるという要件も、重要な役割を果たす。
【0008】
従来技術では、この目的のために、シースが、発泡材料と、非発泡材料、特に少なくとも1つの非発泡PP層との複数の層で構成される解決策が提案されてきた。特定の機械的特性を達成するために、先行技術において、剥離挙動を改善するためにカバー層を非発泡PP層として形成することが言及されている。しかしながら、非発泡PPで作製された多孔質カバー層は、多孔性に加えて、他の様々な欠点を伴うという点で不利であり、かつ非発泡材料と発泡中間層との間で接着結合を達成しなければならないことも不利であることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】独国特許出願公開第3005615号明細書
【文献】独国実用新案第20215523号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の基礎となる目的は、冒頭で述べたタイプの電気ケーブルであって、上述した機械的特性および加工特性に関して改善された品質を有し、特に、簡単で費用対効果の高い方法で生産することができ、さらにケーブルの可撓性を損なうことなく、外側に向かって高い機械的安定性を備えている電気ケーブルを作成することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した目的は、請求項1に記載の特徴の組み合わせによって達成される。
【0012】
本発明によれば、提案された組み合わせにおいて特定の利点をもたらす材料を有する特定のケーブル構造が、この目的のために使用される。第1のアイデアは、電気ケーブルアセンブリのうちのいくつかのケーブルの絶縁体の周囲の実際の内部シースを省略し、このようにして、絶縁体の周囲に発泡材料のシースを直接施すことである。これにより、とりわけ、製造ステップを節約し、発泡材料の層と非発泡材料の層との間の接合の問題を回避することが可能になる。
【0013】
本発明によれば、発泡性絶縁体および非発泡絶縁体を有する、特定の熱可塑性ポリマーの組み合わせが可能であり、機械的特性および他の特性を容易に管理しつつ、良好な接着結合が達成され得ることが示されている。
【0014】
したがって、本発明によれば、発泡シース材料は、熱可塑性プラスチックの費用対効果の高い加工性と、エラストマーの弾性特性とを兼ね備えているため、熱可塑性プラスチックであると同時にエラストマーであるプラスチックのグループから選択される。熱可塑性加硫物は、この目的に好適である。
【0015】
この目的のために、ポリプロピレンマトリックスを有する熱可塑性ポリマーを使用することが、特に有利である。
【0016】
さらに、EPDM粒子、すなわちエチレンプロピレンジエンゴム粒子が、ポリプロピレンマトリックスに埋設されている場合に有利である。
【0017】
そのような材料は、また、エンジニアリング熱可塑性プラスチックと強力な結合を形成するために、オーバーモールド押出プロセスを使用して施され得、その結果発泡変異体としての熱可塑性プラスチックもまた、ケーブルの絶縁材料として使用され得る。したがって、そのような複合部品に以前は使用しなければならなかった、接着剤、結合剤、および物理的接続または機械的接続を省くことができる。別の利点は、この方法がプロセスステップ数を削減し、したがって、部品生産のサイクル時間、および全体的なシステムコストを削減できることであると判明した。
【0018】
提案されたエラストマー発泡シース材料は、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、アクリロニトリルスチレンアクリレート(ASA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)およびポリエチレンテレフタレート(PET)などのプラスチックに、特に強く結合され得る。その結果、このような硬質熱可塑性プラスチック、および前述の軟質の熱可塑性エラストマー(TPE)からなるシース材料は、特に良好な互換性を有する。しかしながら、他の材料の組み合わせも、このようにして達成することができる。
【0019】
本発明の特に有利な実施形態では、絶縁体およびプラスチックからなる共通シースをそれぞれ有する複数の導電体を備える電気ケーブルが提供され、共通シースが、中間層を介さずに、導電体の絶縁体の周囲に直接施される。シースは、熱可塑性プラスチックであると同時に弾性プラスチックでもあり、かつ好ましくは、ポリプロピレンマトリックスまたはポリエチレンマトリックスを有するプラスチックのグループから選択され、さらに、非発泡材料の薄いハードカバー層が、シースの周囲に形成される。
【0020】
上述した材料の発泡層の構造により、本発明では、ケーブルの比質量が有利に低減され、より長く特大のケーブルの全長にわたる剥ぎ取りが容易になり、ねじり挙動および発泡層の減衰効果により、機械的耐圧性および曲げ疲労強度が改良される。
【0021】
さらに、ハードカバー層の材料が熱可塑性ポリウレタン(PUR)からなると有利である。このようにして、特性プロファイルを組み合わせたコンセプトが達成される。すなわち、動的耐荷重能力、広い温度範囲にわたる高い柔軟性、高い耐摩耗性、座屈および引き裂き強度を備え、さらに油、グリース、溶剤、天候、オゾン、紫外線、および加水分解活性物質の影響に対する優れた耐性を備えたコンセプトが達成される。さらに、このようなケーブルは、簡単にリサイクルすることができる。
【0022】
本発明の概念によれば、絶縁体の材料はまた、発泡プラスチックからもなり得ることも有利である。
【0023】
本発明の同様に好ましい実施形態では、ハードカバー層とシースとの間に中間層が配置されておらず、特に、接着を促進する機能、またはシースへの機械的接続を確立する機能を有する中間層が存在しないと規定されている。
【0024】
シースが、導電体の周囲に、同軸状に、かつ好ましくは、円形の断面輪郭を有するように取り付けられる場合に有利である。薄いカバー層が、シースの周囲に、同軸状に、かつ好ましくは、円形の断面輪郭を有するように取り付けられる場合にも有利である。しかしながら、他の形状、具体的には非円形状も考えられ、かつ実施可能である。
【0025】
そのようなケーブルに加えて、本発明の更なる態様は、上述したような電気ケーブルを製造する方法であって、次のステップを含む方法に関する。
(a)ケーブル束内に発泡のまたは非発泡の絶縁体をそれぞれ有する、複数の導電体を提供するステップと、
(b)熱可塑性プラスチックであると同時に弾性プラスチックであり、かつ好ましくはポリプロピレンマトリックスまたはポリエチレンマトリックスを有するプラスチック材料のグループから選択されたシースを、中間層を介さずに、導電体の絶縁体の上および周囲に施すステップと、
(c)シースの周囲に、中間層を介在させないで、熱可塑性ポリウレタンからなる非発泡プラスチック材料で作られている薄いハードカバー層を施すステップ。
【0026】
本発明の他の有利な更なる改良は、従属請求項に示されるか、または、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態の説明とともに、以下でより詳細に例示される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の概念による、電気ケーブルの例示的な実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、本発明の例示的な実施形態を示すに過ぎない
図1を参照して、本発明をより詳細に説明する。他の形態および変形例は、本発明の概念を保持しながら、考えられかつ可能である。
【0029】
図1に示すように、本発明によるシースが施された電気ケーブル10は、各々に絶縁体2が設けられた、複数の導電体1を備えている。図示の例示的な実施形態では、4つの導電体1が示されている。 これらの4つの導電体1の周り、より具体的にはそれらの絶縁体2の周りに、中間層なしで絶縁体2の外郭に接する共通シース3が設けられている。
【0030】
共通シース3は、特定のプラスチック、すなわち熱可塑性加硫物からなる。図示された例示的な実施形態では、共通シース3は、ポリプロピレンマトリックスを有する熱可塑性ポリマーとして形成される。EPDM粒子はポリプロピレンマトリックスに埋設されているので、エチレンプロピレンジエンゴム粒子を有する熱可塑性加硫物が提供される。
【0031】
絶縁体2は、軟質の非発泡材料で作製される。導電体1の絶縁体2は、ポリウレタン、または絶縁体に使用される材料、例えば、熱可塑性エラストマー(TPE)、特に、スチレン含有TPE、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、またはFEP(テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体)などのフルオロポリマーで、作製され得る。他の発泡プラスチックまたは非発泡プラスチックも考えられる。
【0032】
さらに、非発泡TPUで作製された薄いハードカバー層4が、シース3の周囲に直接施されることが分かる。
【0033】
TPUハードカバー層4とシース3との間に中間層はない。
【0034】
導電体1は、撚り線の形態または素線の形態の導電性材料で作製され得る。ここで導電体1に使用される素線は、複数の個々の素線1aからも形成され得、したがって、撚り導線として設計され得る。
【0035】
本発明は、その実施形態の点で、上述の好ましい例示的な実施形態に限定されない。むしろ、根本的に異なる実施形態では、記載された解決策も利用する、多数の変形形態が考えられる。
【0036】
本発明は、以下の態様を含む。
【0037】
1)絶縁体(2)およびプラスチック材料からなる共通のシース(3)をそれぞれ有する複数の導電体(1)を備えている電気ケーブル(10)であって、前記シース(3)が、中間層を介さずに、前記導電体(1)の前記絶縁体(2)の上および周囲に直接施され、前記シース(3)が、熱可塑性プラスチックと弾性プラスチックの両方であり、好ましくは、ポリプロピレンマトリックスまたはポリエチレンマトリックスを有するプラスチック材料のグループから選択され、さらに、非発泡材料で作製された薄いハードカバー層(4)が、シース(3)の周囲に形成されていることを特徴とする、電気ケーブル(10)。
2)前記プラスチック材料のグループが、熱可塑性加硫物であるか、または熱可塑性加硫物を含むことを特徴とする、上記1)に記載の電気ケーブル(10)。
3)前記シース(3)の前記シース材料が、ポリプロピレンマトリックス(PPマトリックス)を有する熱可塑性ポリマーであることを特徴とする、上記1)または2)に記載の電気ケーブル(10)。
4)前記シース(3)の前記シース材料が、ポリプロピレンマトリックス(PPマトリックス)を有する熱可塑性ポリマーであり、EPDM粒子が、前記ポリプロピレンマトリックスに埋設されていることを特徴とする、上記1)または2)に記載の電気ケーブル(10)。
5)前記ハードカバー層(4)の材料が、熱可塑性ポリウレタンからなることを特徴とする、上記1)~4)のうちのいずれか一項に記載の電気ケーブル(10)。
6)前記絶縁体(2)の材料が、発泡プラスチックからなることを特徴とする、上記1)~5)のうちのいずれか一項に記載の電気ケーブル(10)。
7)前記ハードカバー層(4)と前記シース(3)との間に、前記シース(3)への接着を促進する機能または前記シース(3)への機械的接続を確立する機能を有する中間層が存在しないことを特徴とする、上記1)~6)のうちのいずれか一項に記載の電気ケーブル(10)。
8)前記シース(3)が、前記導電体(1)の周囲に、同軸状に、かつ円形の断面輪郭を有するように取り付けられていることを特徴とする、上記1)~7)のうちのいずれか一項に記載の電気ケーブル(10)。
9)ハードカバー層(4)が、前記シース(3)の周囲に、同軸状に、かつ円形の断面輪郭を有するように取り付けられていることを特徴とする、請求項8に記載の電気ケーブル(10)。
10)上記1)~9)のうちのいずれか一項に記載の電気ケーブルを製造する方法であって、
a)ケーブル束内に発泡絶縁体(2)または非発泡絶縁体(2)をそれぞれ有する、複数の導電体(1)を提供するステップと、
b)熱可塑性プラスチックと弾性プラスチックの両方であり、かつポリプロピレンマトリックスまたはポリエチレンマトリックスを有するプラスチック材料のグループから選択されたシース(3)を、中間層を介さずに、前記導電体(2)の前記絶縁体(2)の上および周囲に施すステップと、
c)前記シース(3)の周囲に、熱可塑性ポリウレタンからなる非発泡プラスチック材料で作られている薄いハードカバー層(4)を施すステップと、を含む方法。
【産業上の利用可能性】
【0038】
この発明による多層発泡電気ケーブルは、絶縁体を有する少なくとも1つの導電体と、プラスチックからなるシース構造とを備えるシース付き電気ケーブルである。
【符号の説明】
【0039】
1:導電体、2:絶縁体、3:シース。4:ハードカバー層、10:電気ケーブル