(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ガスタービンのガイド支持構造
(51)【国際特許分類】
F02C 7/20 20060101AFI20241003BHJP
F23R 3/60 20060101ALI20241003BHJP
F23R 3/42 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F02C7/20 Z
F23R3/60
F23R3/42 E
(21)【出願番号】P 2023101122
(22)【出願日】2023-06-20
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390033042
【氏名又は名称】ダイハツディーゼル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【氏名又は名称】山崎 敏行
(72)【発明者】
【氏名】早田 陽一
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼口 弘志
(72)【発明者】
【氏名】石亀 啓太
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-303134(JP,A)
【文献】特開平09-041989(JP,A)
【文献】実開平05-083339(JP,U)
【文献】特表2017-528677(JP,A)
【文献】特開平04-303133(JP,A)
【文献】特開平04-303135(JP,A)
【文献】実開平05-089849(JP,U)
【文献】実開昭60-180732(JP,U)
【文献】実開平01-113140(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0144180(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/20
F23R 3/60
F23R 3/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気を圧縮する圧縮部と、
圧縮されたエアを燃焼させる燃焼部と、
前記圧縮部と前記燃焼部とを仕切る仕切壁と、
前記燃焼部で生成された燃焼ガスをタービンに案内するガス流路を画定するガイド部材と、
前記ガイド部材の変位を規制する規制部、及び前記規制部と機械的に係合する係合部を有し、前記ガイド部材を前記燃焼部内で支持する支持部と、
を備え、
前記支持部は、前記仕切壁に溶接を用いず締結され且つ前記ガイド部材に溶接を用いず直接的に取り付けられており、
前記規制部及び前記係合部の一方が、前記仕切壁に設けられ、
前記規制部及び前記係合部の他方が、前記ガイド部材に取り付けられている、
ガスタービンのガイド支持構造。
【請求項2】
前記ガイド部材は
、互いに嵌合された第1ガイド部材及び第2ガイド部材を含み、
前記第2ガイド部材が、前記第1ガイド部材との嵌合部から連続して前記第1ガイド部材を覆う延伸部を有し、前記係合部が、前記延伸部に設けられている、
請求項1に記載のガスタービンのガイド支持構造。
【請求項3】
前記第1ガイド部材と前記第2ガイド部材とが、嵌合方向に相対変位可能に互いに嵌合され
、前記第2ガイド部材は、前記第1ガイド部材に外嵌され、前記延伸部は、前記第1ガイド部材の外周側に離れて位置し、前記規制部が
、前記仕切壁に設けられ
ている、
請求項
2に記載のガスタービンのガイド支持構造。
【請求項4】
前記規制部が前記仕切壁に設けられ、前記係合部が前記ガイド部材に取り付けられ、
前記規制部が、前記仕切壁から前記燃焼部に向けて延在する取付部材に設けられている、
請求項
1から3のいずれか1項に記載のガスタービンのガイド支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンのガイド支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、高温の燃焼ガスをタービンに案内するガイド部材の一例として、燃焼ガススクロールを備えたガスタービンを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃焼ガスを案内するガイド部材及びこれを支持する構造には、高い熱応力が発生する。熱応力の緩和ひいては耐久性の向上について、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、燃焼ガスを案内するガイド部材又はこれを支持する構造の耐久性を向上することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、吸気を圧縮する圧縮部と、圧縮されたエアを燃焼させる燃焼部と、前記圧縮部と前記燃焼部とを仕切る仕切壁と、前記燃焼部で生成された燃焼ガスをタービンに案内するガス流路を画定するガイド部材と、前記ガイド部材の変位を規制する規制部、及び前記規制部と機械的に係合する係合部を有し、前記ガイド部材を前記燃焼部内で支持する支持部と、を備え、前記規制部及び前記係合部の一方が、前記仕切壁に設けられ、前記規制部及び前記係合部の他方が、前記ガイド部材に取り付けられている、ガスタービンのガイド支持構造を提供する。
【0007】
上記構成によれば、係合部が規制部と機械的に係合している。仕切壁にガイド部材を固定するために溶接を用いる場合と比べ、支持部の耐久性が向上する。
【0008】
前記規制部が前記仕切壁に設けられ、前記係合部が前記ガイド部材に取り付けられ、前記規制部は、前記係合部の一方向への変位を許容し且つ前記一方向と交差する方向への変位を規制するようにして、前記係合部と係合してもよい。
【0009】
上記構成によれば、ガイド部材の一方向への膨張を係合部の変位によって吸収でき、支持部に作用する負荷を軽減できる。ガイド部材の一方向と交差する方向への変形が規制され、仕切壁によるガイド部材の支持を維持できる。
【0010】
前記規制部は、軸状部を有し、前記係合部は、前記軸状部の軸方向に変位可能に前記軸状部を挿通させる係合孔を有してもよい。
【0011】
上記構成によれば、係合部の変位、ひいてはガイド部材の膨張を簡単な構造で許容できる。
【0012】
前記係合部は、前記軸状部の前記軸方向と交差する方向への変位を規制してもよい。
【0013】
上記構成によれば、ガイド部材の変形の規制を簡単な構造で実現できる。
【0014】
前記規制部が前記仕切壁に設けられ、前記係合部が前記ガイド部材に取り付けられ、前記規制部が、前記仕切壁から前記燃焼部に向けて延在する取付部材に設けられていてもよい。
【0015】
上記構成によれば、仕切壁及びガイド部材の形状又は寸法に関わらず、ガイド部材を仕切壁で支持する構造を実現しやすい。
【0016】
前記取付部材が、前記ガイド部材と間隔をあけて配置されていてもよい。
【0017】
上記構成によれば、ガイド部材の熱が仕切壁に伝わりにくくなる。
【0018】
前記ガイド部材は、嵌合方向に相対変位可能に互いに嵌合された第1ガイド部材及び第2ガイド部材を含み、前記規制部が、前記仕切壁に設けられ、前記係合部が、前記第2ガイド部材に取り付けられていてもよい。
【0019】
上記構成によれば、ガイド部材の嵌合方向の変形を許容できる。
【0020】
前記第2ガイド部材は、前記第1ガイド部材に外嵌され、前記第1ガイド部材の外周側に離れて位置する延伸部を有し、前記係合部が、前記延伸部に設けられていてもよい。
【0021】
上記構成によれば、延伸部をガイド部材に一体に形成することで、係合部を設置するために新たな専用の部材が不要となる。ガイド支持構造を簡素化できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、燃焼ガスを案内するガイド部材又はこれを支持する構造の耐久性を向上することを課題とする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図3】仕切壁及びガイド部材を組立状態で圧縮部側から見て示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。なお、同一の又は対応する要素には全図を通じて同一の符号を付し、詳細な説明の重複を省略する。
【0025】
図1を参照して、ガスタービン1は、単なる一例として、陸上に定置され、発電機(図示せず)の動力源として使用される。この場合、ガスタービン1の主軸2は、減速機構(図示せず)を介して発電機と連結される。ただし、ガスタービン1の用途は、特に限定されない。なお、本開示においては、特段断らない限り、「軸方向」は、主軸2の軸線Aに沿った方向であり、「軸直交方向」又は「径方向」は、主軸2の軸線に直交する方向であり、「周方向」は、軸線A周りの方向である。
【0026】
ガスタービン1は、圧縮部3、燃焼部4、及びタービン5を備える。主軸2は、圧縮部3のロータ3a、及びタービン5のタービンロータ5aを含み、ロータ3aは、タービンロータ5aの軸方向一方側に配置される。ロータ3aとタービンロータ5aとは、軸線Aを中心にして同軸状に配置され、軸方向に連結され、軸線A周りに一体に回転する。なお、本開示において、「ロータ」は、シャフト状の部材そのもの、又はシャフト状の部位を有する部材であって、自身の中心軸周りに自転する。主軸2は、ガスタービン1のケーシング1Aに回転可能に支持される。
【0027】
圧縮部3は、外気を取り込むことで得られた吸気を、ロータ3aに一体に設けられたインペラ3bの作用で、圧縮する。燃焼部4は、圧縮空気に燃料を噴射し、混合気を燃焼させ、高温高圧の燃焼ガスを生成する。タービン5は、燃焼ガスにより駆動される。タービン5が作動すると、主軸2が回転する。これにより、圧縮部3が駆動され、且つ発電機(図示せず)が交流を発電する。主軸2が、発電機を作動させるための回転駆動力の取り出しのため、ロータ3aから軸方向一方側へ延在する一方、排気は、タービン5から軸方向他方側へ排出される。
【0028】
タービン5は、圧縮部3に対して軸方向他方側に隣接する。タービン5は圧縮部3に対して大径であってもよいが、ここでは小径である。燃焼部4は、圧縮部3の軸方向他方側に隣接し、且つ、タービン5の径方向外周側に配置されている。
【0029】
ガスタービン1のケーシング1Aは、圧縮機ケーシング3A、燃焼器ケーシング4A、及びタービンケーシング5Aを含む。
【0030】
圧縮機ケーシング3Aは、圧縮部3を構成し、インペラ3bを収容する収容空間3cを形成している。圧縮機ケーシング3Aは、軸方向他方側で内壁3dを有する。内壁3dは、その中央部にインペラ3b付きのロータ3aを通過させる貫通口を有する円盤状である。内壁3dは、その外周縁部から軸方向他方側へ突出する円筒状のフランジ3eを有する。
【0031】
タービンケーシング5Aは、タービン5を構成し、円筒状に形成されている。タービンケーシング5Aの軸方向一端側の開口は、軸方向に見て円環状のタービンノズル5bと接続され、タービンケーシング5Aの軸方向他端側の開口は、排気を排出する排気口5cとして機能する。タービンノズル5bは、圧縮機ケーシング3Aの内壁3dに対して軸方向他方側に離れて配置されている。
【0032】
燃焼器ケーシング4Aは、燃焼部4を構成する。燃焼器ケーシング4Aは、タービンノズル5b及びタービンケーシング5Aを外囲する第1筒部4aと、第1筒部4aから突出する第2筒部4bとを有する。第1筒部4aの中心軸は、主軸2の軸線Aと同軸状である。第2筒部4bの中心軸は、主軸2の軸線Aに直交する方向(主軸2の径方向)に沿って延在している。第1筒部4aの軸方向一端部は、圧縮機ケーシング3Aのフランジ3eの端面に当接し、フランジ3eに締結される。第1筒部4aの軸方向他端部は、径方向内周側へ延在し、タービンケーシング5Aに締結される。
【0033】
燃焼部4は、第2筒部4b内に収容される円筒状の燃焼器4cを有する。燃焼器4cは、その内部で燃焼ガスを生成する。燃焼器4cは、その軸方向一端部に、燃焼ガスを噴射するガス噴射口4dを有する。燃焼器4cは、第2筒部4bと同軸状に配置される(すなわち、軸線Aの径方向に延在する)。燃焼器4cの軸方向一端部は、径方向において軸線Aに相対的に近位に配置され、軸方向他端部は、径方向において軸線Aから相対的に遠位に配置される。
【0034】
第1筒部4a内には、燃焼部4で生成された燃焼ガスをタービン5に案内するガイド部材10が収容されている。ガイド部材10は、燃焼ガスが通流するガス流路20を画定する。ガス流路20は、燃焼器4cのガス噴射口4dをタービンノズル5bに連通させる。
【0035】
ガス流路20は、円環部21、折返し部22、及び流出部23を有する。円環部21は、タービンケーシング5Aの外周側に配置され、軸方向に延び、円環状の軸直交断面を有する。ガス噴射口4dは、円環部21と連通する。円環部21は、軸方向他方側で閉塞されている一方、軸方向一方側で折返し部22と連通している。折返し部22は、円環部21の軸方向一端部から径方向内周側に延在している。流出部23は、折返し部22の径方向内周端部から軸方向他方側に延在し、タービンノズル5bの軸方向一端側の開口に連通する。流出部23の外径は、円環部21の内径よりも小さく、流出部23は、円環部21の内側に配置される。流出部23の軸寸は、円環部21よりも短い。
【0036】
燃焼器ケーシング4Aの内部は、燃焼器4c及びガイド部材10により、その内側と外側とに区画される。ガスタービン1は、燃焼器4c及びガイド部材10の外側に設けられた仕切壁30を備える。仕切壁30は、軸寸が短い円筒状であり、主軸2と同軸状であり、圧縮機ケーシング3Aのフランジ3eの内周側に配置される。仕切壁30は、圧縮機ケーシング3Aの軸方向他方側に配置され且つ燃焼器ケーシング4Aの軸方向一方側に配置され、圧縮部3と燃焼部4とを仕切る。
【0037】
仕切壁30は、中央に主軸2を通過させる軸挿通口31を有する円盤部32と、円盤部32の外周縁から軸方向他方側へ延在する周壁部33とを有する。円盤部32は、圧縮機ケーシング3Aの内壁3dと軸方向に間隔をあけて近接対向する。内壁3dと円盤部32とは、インペラ3bで圧縮されたエアを径方向外周側へ導く第1圧縮エア流路6aを画定する。周壁部33は、圧縮機ケーシング3Aのフランジ3eと径方向に間隔をあけて近接対向する。フランジ3eと周壁部33とは、第1圧縮エア流路6aの径方向外周側の端部(下流端部)から軸方向他方側に延在し、軸方向に見て円環状の第2圧縮エア流路6bを画定する。第2筒部4bの内周面と燃焼器4cの外周面とは、第2圧縮エア流路6bの軸方向他端部(下流端部)から径方向外周側に延在し、第2筒部4b及び燃焼器4cの軸方向に見て円環状の第3圧縮エア流路6cを画定する。燃焼器4cは、その外周面に、第3圧縮エア流路6cから圧縮エアを取り込む圧縮エア取込み口4eを有する。
【0038】
なお、ガイド部材10も、第2圧縮エア流路6bの軸方向他方側の端部(下流端部)を第1筒部4aの内周面と共に画定している。また、ガイド部材10は、第3圧縮エア流路6cの径方向内周側の端部(上流端部)を画定している。
【0039】
図2を参照して、ガイド部材10は、第1ガイド部材11及び第2ガイド部材12を備える。
【0040】
第1ガイド部材11は、外筒部11a、内筒部11b、環状底部11c(
図1を参照)、突出筒部11d、延在部11e、及び湾曲部11fを有する。外筒部11a及び内筒部11bは、円筒状であり、互いに同軸状である。内筒部11bは、外筒部11aの内側に配置される。環状底部11cは、軸方向に見て円環状であり、外筒部11a及び内筒部11bの軸方向他端部同士を径方向に接続する。外筒部11aの内周面、内筒部11bの外周面、及び環状底部11cの内面は、ガス流路20の円環部21を形成している。突出筒部11dは、円筒状であり、外筒部11aから径方向外周側に突出する。突出筒部11dは、燃焼器4cの軸方向一端部に外嵌され、これにより、ガス噴射口4dが、円環部21と連通する。外筒部11a及び内筒部11bは、軸方向他方側に開口している。
【0041】
内筒部11bの軸方向一端部は、径方向内周側且つ軸方向他方側に向くようにして、U状に折り返されている。延在部11eは、内筒部11bの軸方向一端部から径方向内周側へ延在する。湾曲部11fは、延在部11eの径方向内周端部から軸方向他方側に向けて湾曲する。湾曲部11fの先端には、軸方向に見て円環状のフランジが設けられており、第1ガイド部材11は、このフランジにおいて、タービンノズル5bの外周縁部に締結される。
【0042】
第2ガイド部材12は、軸方向に見て円環状の外壁部12aを有する。外壁部12aの外周縁部は、径方向外周側に向かうほど軸方向他方側に向かうようにして湾曲している。外壁部12aの外周縁部は、第1ガイド部材11の外筒部11aに外嵌される。第1ガイド部材11の外筒部11aの軸方向一端部と、第2ガイド部材12の外壁部12aの外周縁部とは、ガイド部材10の外側嵌合部10aを形成する。外側嵌合部10aにおける嵌合方向は、軸方向であり、外壁部12aの外周縁部と外筒部11aの軸方向一端部とは、径方向に重ねられている。
【0043】
第2ガイド部材12は、外壁部12aの外周縁部(換言すれば、外側嵌合部10a)から連続する延伸部12bを有する。延伸部12bは、外側嵌合部10aから軸方向他方側に延在している。延伸部12bは、外側嵌合部10aから軸方向他方側に向かうにつれて径方向外周側に向かうように拡径された拡径部12cと、拡径部12cの軸方向他端部から軸方向に沿って他方側に更に延在する外周壁部12dとを含む。外周壁部12dは、軸方向に一定の径を有する円筒状である。延伸部12bが拡径部12cを有する一方で、外筒部11aが軸方向に一定の径を有する円筒状であるため、外周壁部12dは、外筒部11aの外周面から径方向に間隔をあけた状態で、外筒部11aを外囲する。
【0044】
外壁部12aの径方向内周側は、径方向内周側に向かうほど軸方向他方側に向かうようにして湾曲している。外壁部12aは、第1ガイド部材11の延在部11eと軸方向に対向する。外壁部12aの内周縁部は、軸方向に沿って延在し、第1ガイド部材11の湾曲部11fと径方向に対向し、タービンノズル5bの内周縁部と軸方向に対向する。第2ガイド部材12の外壁部12aの内周縁部には、リング材14が溶接され、リング材14は、タービンノズル5bの内周縁部と共に仕切壁30の軸挿通口31の周縁に締結されている。
【0045】
このように、ガイド部材10は、外周面側では、燃焼器4cに取り付けられる。ガイド部材10は、軸方向一方側且つ径方向内周側では、仕切壁30の径方向内周部に締結される。
【0046】
図2及び
図3を参照して、ガイド部材10は、軸方向一方側且つ径方向外周側では、支持部40により支持される。
【0047】
支持部40は、仕切壁30の径方向外周側と、ガイド部材10との間に架け渡される。支持部40は、規制部41、係合部42(
図3では不図示)、及び取付部材43を有する。規制部41及び係合部42の一方が、仕切壁30に設けられ、規制部41及び係合部42の他方が、ガイド部材10に取り付けられる。
【0048】
本実施形態では、規制部41が、取付部材43を介して仕切壁30に設けられている。係合部42が、ガイド部材10に取り付けられている。詳細には、係合部42は、ガイド部材10のうち第2ガイド部材12に取り付けられている。より詳細には、係合部42は、第2ガイド部材12のうち、延伸部12bに取り付けられている。更に詳細には、係合部42は、延伸部12bのうち、外周壁部12dに取り付けられている。
【0049】
また、本実施形態に係るガスタービン1においては、
図3において良く示されているとおり、ガイド支持構造が、複数の支持部40を備えている。複数の支持部40は、周方向に互いに間隔をあけて配置されている。一例として、18個の支持部40が、概ね等間隔をあけて配置されている。
【0050】
図4を参照して、仕切壁30の周壁部33の内周面には、周方向に互いに間隔をあけて配置されたフランジ34が設けられている。フランジ34は、板状であり、周壁部33に対して軸方向他方側に突出している。フランジ34には1以上(例えば、3つ)のねじ穴34aが形成されている。取付部材43の基端部は、フランジ34の外面に重ねられ、フランジ34に締結される。取付部材43とフランジ34との間には、シート状のシム44が介在する。ボルト45が、径方向外周側から内周側に向けて、取付部材43及びシム44にこの順で挿通され、フランジ34のねじ穴34aに螺合する。ボルト45の軸方向、並びにフランジ34、取付部材43、及びシム44の板厚方向は、主軸2の径方向(軸線Aに直交する方向)に向けられている。なお、参照符号43aは、取付部材43の基端部に形成された貫通穴であってボルト45が挿通されるボルト挿通穴である。
【0051】
規制部41は、取付部材43の先端部に設けられている。係合部42は、規制部41と機械的に係合する。規制部41は、ガイド部材10の変位を規制する。また、規制部41は、係合部42の一方向への変位を許容し且つ一方向と交差する方向への変位を規制するようにして、係合部42と係合する。
【0052】
本実施形態では、規制部41が、軸状部50を有する。「軸状」は、円筒状、円柱状、あるいはピン状と実質的に同義であり、その外径は必ずしも軸方向において一様でなくてもよい。係合部42は、軸状部50を挿通させる係合孔42aを有する。軸状部50は、軸状部50の軸方向に変位可能に係合部42と係合する。その一方で、軸状部50は、係合孔42aの内周面によって軸状部50の軸方向と交差する方向(典型的には、軸状部50の軸直交方向)への変位を規制される。
【0053】
係合部42は、鍔付きのブシュ55によって構成される。ブシュ55は、中間円筒部55aと、中間円筒部55aの両端それぞれにおいて径方向に突出する一対のフランジ55b,55cとを有する。ブシュ55は、第2ガイド部材12(詳細には、その外周壁部12d)に形成された貫通穴に嵌め込まれる。一方のフランジ55bは、外周壁部12dの外面に当接し、他方のフランジ55cが、外周壁部12dの内面に当接する。ブシュ55は、一方のフランジ55bから他方のフランジ55cに至るまで軸方向全体にわたって一定の径を有する貫通穴を有し、この貫通穴が、上記の係合孔42aとしての役割を果たす。係合孔42a(ブシュ55の貫通穴)は、円形断面を有する。
【0054】
軸状部50は、取付部材43の内面から、主軸2の径方向(軸線Aに直交する方向)の内周側に向けて突出する。つまり、本実施形態において、規制部41の変位許容方向としての「一方向」とは、主軸2の径方向(軸線Aに直交する方向)である。
【0055】
軸状部50は、ボルト51、ワッシャ52、及びピン53によって構成される。ボルト51は、頭部、シャンク、及び雄ねじ部を有する。頭部は、シャンクの一端部に設けられ、雄ねじ部は、シャンクの他端部に設けられており、シャンクは、頭部及び雄ねじ部に対して小径である。ピン53は、両端が開口する円筒状であり、内周面に雌ねじが切られている。ピン53の一端部には、突出部53aが設けられており、突出部53aの外径は、ピン53のその他の部位と比べて小さい。
【0056】
取付部材43の先端部には、ボルト挿通穴43bが形成されている。ワッシャ52が取付部材43の外面に載せられた状態で、ボルト51が、ワッシャ52及びボルト挿通穴43bに挿通される。雄ねじ部が取付部材43の内周側に位置付けられ、ピン53が突出部53a側から雄ねじ部に螺合される。突出部53aが取付部材43のボルト挿通穴43bに嵌合し、ピン53が取付部材43の内面に締め付けられ、頭部が取付部材43の外面に締め付けられる。このようにして、軸状部50ひいては規制部41が、取付部材43を介して仕切壁30に固定的に設けられる。
【0057】
軸状部50は、係合孔42aに挿通される。ピン53の外径は、係合孔42aの内径よりも小さい。そのため、軸状部50は、係合孔42a(ブシュ55)に対し、その軸方向(軸線Aの径方向)に相対変位可能である。
【0058】
上記のように構成されるガスタービン1においては、吸気が圧縮部3で圧縮され、圧縮エアは、第1圧縮エア流路6aを介して圧縮部3の軸方向他端部で径方向外周側に流れ、第2圧縮エア流路6bを介して軸方向他方側へ流れて燃焼部4に導かれ、第3圧縮エア流路6cを介して径方向外周側に流れ、圧縮エア取込み口4eを介して燃焼器4cに流入する。圧縮エアは燃焼器4c内で燃料と混合される。燃焼器4cは、混合気を燃焼させ、燃焼ガスを生成する。生成された燃焼ガスは、ガス噴射口4dを介して燃焼器4c外に流出し、ガス流路20の円環部21に流入する。燃焼ガスは、円環部21、折返し部22、及び流出部23を順次に通流し、タービンノズル5bに流入する。燃焼ガスは、タービンケーシング5A内を通流する過程でタービン5を駆動する。
【0059】
ガイド部材10は、高温高圧の燃焼ガスを通流させるガス流路20を画定していることから、燃焼ガスからの入熱の影響で膨張変形する。第1ガイド部材11及び第2ガイド部材12は、径方向にも軸方向にも膨張し得る。
【0060】
径方向に膨張しようとするとき、ブシュ55が、軸状部50に沿って径方向外周側へ変位できる。このため、支持部40に作用する荷重を軽減できる。軸方向に膨張しようとするとき、外側嵌合部10aの嵌合方向が軸方向であるため、第1ガイド部材11及び第2ガイド部材12が軸方向に相対的に変位できる。このため、ガイド部材10に作用する荷重を軽減できる。
【0061】
このように、ガイド部材10の変形が許容されつつ、支持部40を構成する係合部42がガス流路20を画定しているガイド部材10に直接的に取り付けられている。ガス流路20の画定には寄与しない支持専用の部材を、ガス流路20を画定している部材に別途溶接で取り付け、当該支持専用の部材に支持部が取り付けられている場合と比べ、ガイド部材10又は支持部40の溶接個所を削減できる。よって、ガイド部材10及びこれを支持する支持部40に作用する熱応力を緩和でき、これらの耐久性を向上できる。
【0062】
係合部42は、延伸部12bに設けられており、延伸部12bは、ガス流路20を画定している部分から間隔をあけて配置される。そのため、支持部40への入熱を緩和でき、支持部40の耐久性が向上する。取付部材43も、ガイド部材10から間隔をあけて配置されている。この点からも、支持部40への入熱が緩和され、支持部40の耐久性が向上する。
【0063】
これまで実施形態について説明したが、上記構成は本発明の範囲内で適宜変更、追加、又は削除可能である。
【0064】
上記実施形態では、支持部40が、仕切壁30からもガイド部材10からも独立した取付部材43を備えている。しかし、取付部材43は必須ではない。仕切壁30とガイド部材10との位置関係によっては、取付部材43を省略して規制部41を仕切壁30のフランジ34に設けてもよい。
【0065】
上記実施形態では、規制部41が軸状部50であり、係合部42が軸状部50が挿通される係合孔42aを有するブシュ55である。しかし、これは単なる一例である。支持部40は、ガイド部材10の一方向(一例として、主軸2の径方向)への変位を許容するようにして、ガイド部材10を支持できれば、どのように構成されていてもよい。また、支持部40による変位許容方向は、主軸2の径方向に限定されない。
【0066】
上記実施形態では、規制部41を仕切壁30に設けて係合部42をガイド部材10に取り付けられたが、この構成に限定されない。係合部42を仕切壁30に設け、規制部41をガイド部材10に取り付けても、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0067】
1 ガスタービン
1A ケーシング
2 主軸
3 圧縮部
3A 圧縮機ケーシング
3a ロータ
3b インペラ
3c 収容空間
3d 内壁
3e フランジ
4 燃焼部
4A 燃焼器ケーシング
4a 第1筒部
4b 第2筒部
4c 燃焼器
4d ガス噴射口
4e 圧縮エア取込み口
5 タービン
5A タービンケーシング
5a タービンロータ
5b タービンノズル
5c 排気口
6a 第1圧縮エア流路
6b 第2圧縮エア流路
6c 第3圧縮エア流路
10 ガイド部材
10a 外側嵌合部
11 第1ガイド部材
11a 外筒部
11b 内筒部
11c 環状底部
11d 突出筒部
11e 延在部
11f 湾曲部
12 第2ガイド部材
12a 外壁部
12b 延伸部
12c 拡径部
12d 外周壁部
14 リング材
20 ガス流路
21 円環部
22 折返し部
23 流出部
30 仕切壁
31 軸挿通口
32 円盤部
33 周壁部
34 フランジ
34a ねじ穴
40 支持部
41 規制部
42 係合部
42a 係合孔
43 取付部材
43a,43b ボルト挿通穴
44 シム
45 ボルト
50 軸状部
51 ボルト
52 ワッシャ
53 ピン
53a 突出部
55 ブシュ
55a 中間円筒部
55b,55c フランジ
A 軸線
B 中心軸
【要約】
【課題】燃焼ガスを案内する部材又はこれを支持する構造の耐久性を向上する。
【解決手段】ガスタービン1が、圧縮部3と燃焼部4とを仕切る仕切壁30と、燃焼部4から噴射された燃焼ガスをタービン5に案内するガス流路20を画定するガイド部材10と、ガイド部材10を燃焼部4内で支持する支持部40とを備える。支持部40は、ガイド部材10の変位を規制する規制部41と、規制部41と機械的に係合する係合部42とを有する。規制部41及び係合部42の一方が、仕切壁30に設けられる。規制部41及び係合部42の他方が、ガイド部材10に取り付けられている。
【選択図】
図2