(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】基板処理装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20241003BHJP
C23C 14/50 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H01L21/68 R
C23C14/50 F
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023213428
(22)【出願日】2023-12-18
【審査請求日】2024-02-27
(31)【優先権主張番号】10-2022-0134659
(32)【優先日】2022-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】523476971
【氏名又は名称】エレクトロ スタティック テクノロジー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヤン ゴン
(72)【発明者】
【氏名】イム, ジョン ウ
(72)【発明者】
【氏名】イ, ナム フイ
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン, ミン チョル
(72)【発明者】
【氏名】キム, ドンウク
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジェウク
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-099912(JP,A)
【文献】特開2006-342367(JP,A)
【文献】特開2009-115448(JP,A)
【文献】特開2011-082405(JP,A)
【文献】特開2020-113692(JP,A)
【文献】国際公開第2022/146845(WO,A1)
【文献】特開2019-059966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
C23C 14/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面と、前記上面との反対面である下面とを有するチタン冷却プレート;
前記チタン冷却プレートの下面に設けられた第1の誘電層、前記第1の誘電層に設けられた電極層、及び前記第1の誘電層及び前記電極層に設けられた第2の誘電層を含み、下部から供給されるガラス基板を、静電気力を用いてチャッキングするように構成される静電チャック;及び
前記チタン冷却プレートの上面に位置し、前記ガラス基板の下部から供給されるマスクを、磁力を用いてチャッキングするように構成されるヨークプレートを含み、
前記チタン冷却プレートは、
前記上面から前記下面に向かって設けられた、第1の幅を有する第1のチャネル、
前記第1のチャネルから前記下面に向かって設けられた、前記第1の幅より小さい第2の幅を有する第2のチャネル、及び
前記第1のチャネルに結合されたチタンカバープレート
をさらに含み、
前記チタン冷却プレートは、前記第2のチャネルを用いて、冷却媒体が流れるように構成される冷却流路を提供
し、
前記チタン冷却プレートは、7mmから12mmの厚さを有し、
前記静電チャックは、20μmから1000μmの厚さを有する、基板処理装置。
【請求項2】
前記チタンカバープレートは、前記第1のチャネルに溶接される、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記チタン冷却プレートは、前記ヨークプレートの磁力によって、前記マスクが前記ガラス基板に同時にチャッキングされる間に、前記マスクが自重によって反
ることを防止するように構成されている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記チタン冷却プレートは、Ti Grade 2を含む、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記チタン冷却プレートは、縁に沿って取り付けられた複数の支持部材と、前記縁の内側として、前記ガラス基板及び前記マスクのデッドゾーンに対応する領域に取り付けられ、前記チタン冷却プレートの反りを防止する1つ又は複数の補助支持部材をさらに含む、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第1の誘電層は、前記チタン冷却プレートの下面に、接着層なしで直接結合され、前記第2の誘電層は、前記第1の誘電層及び前記電極層上に、接着層なしで直接結合された、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記冷却流路は、各々が平面視でミアンダー形状を有する少なくとも2つの冷却流路を含む、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記マスクは、インバー材
を含む、 請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記ガラス基板は、サイズが
1850mm×1500mmから
2290mm×1310mmである、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記チタン冷却プレートの熱膨張係数は、
8.6×10
-6である、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記第1の誘電層及び前記第2の誘電層は、Al
2O
3を含む、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記第1の誘電層及び前記第2の誘電層は、TiO
2、CaO、MgO、SiO
2、Y
2O
3、YOF、又はYFをさらに含む、請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記チタン冷却プレートと、前記第1の誘電層との熱膨張係数の偏差は、
1.5%である、請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記第1の誘電層及び前記第2の誘電層のそれぞれの厚さは、
20μmから
1000μmである、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記第1の誘電層の厚さは、
400μmから
600μmであり、前記第2の誘電層の厚さは、
100μmから
200μmである、請求項14に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記電極層は、銅、アルミニウム、ニッケル、金、銀、タングステン、又はモリブデンを含む、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項17】
前記電極層の厚さは、
20μmから
100μmである、請求項16に記載の基板処理装置。
【請求項18】
前記第1のチャネルは、第1の深さを有し、
前記第2のチャネルは、前記第1の深さより大きい第2の深さを有する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項19】
上面と、前記上面とは反対の面である下面とを有するチタン冷却プレートを提供すること;
前記チタン冷却プレートの前記上面から前記下面に向かって、第1の幅を有する第1のチャネルを提供し、前記第1のチャネルから前記下面に向かって、前記第1の幅より小さい第2の幅を有する第2のチャネルを提供すること;
チタンカバープレートで覆われ
た、前記チタン冷却プレートの前記第1のチャネルを、真空チャンバ内で電子線照射装置によって溶接すること;及び
前記チタン冷却プレートの
前記下面に、常圧プラズマスプレー方式で第1の誘電層を直接設け、前記第1の誘電層に電極層を設け、前記第1の誘電層及び前記電極層に、常圧プラズマスプレー方式で第2の誘電層を直接設けることにより、静電チャックを提供するこ
とを含
み、
前記チタン冷却プレートは、7mmから12mmの厚さを有し、
前記静電チャックは、20μmから1000μmの厚さを有する、基板処理装置の製造方法。
【請求項20】
請求項1に記載の基板処理装置を用いてディスプレイを製造するための方法であって、
前記チタン冷却プレートと前記静電チャックと前記ヨークプレートとを含む前記基板処理装置を提供することと、
前記静電チャックを用いてガラス基板を配置することと、
前記ヨークプレートを用いて前記ガラス基板に前記マスクを配置することと
を含み、
前記ディスプレイは、前記ガラス基板を含むか、前記ガラス基板を用いて作られる、方法。
【請求項21】
上面と、前記上面に対向する下面とを含むチタン冷却プレート;及び
前記チタン冷却プレートの下面に配置された第1の誘電層、前記第1の誘電層上に配置された電極層、前記第1の誘電層及び前記電極層上に配置された第2の誘電層を含
む静電チャックであって、
前記チタン冷却プレートの下部に配置されるガラス基板を、静電気力を用いて固定するように構成された静電チャック
を含み、
前記チタン冷却プレートは、
前記上面から前記下面に向かって設けられた第1の幅を有する第1のチャネル、
前記第1のチャネルから前記下面に向かって設けられた前記第1の幅より小さい第2の幅を有する第2のチャネル、及び
前記第1のチャネルに結合されたチタンカバープレート
をさらに含
み、
前記チタン冷却プレートは、7mmから12mmの厚さを有し、
前記静電チャックは、20μmから1000μmの厚さを有する、基板固定装置。
【請求項22】
上面と下面とを含み、金属材料を含む上部プレート;及び
下部プレートを含み、
前記下部プレートは、
前記上部プレートの前記下面上に少なくとも設けられ
た第1の誘電層;
前記第1の誘電層上に少なくとも設けられ
た電極層;及び
前記電極層上に少なくとも設けられ
た第2の誘電層を含み、
前記下部プレートは、静電気力を用いて、前記上部プレートの下に位置する基板を固定するように構成され、
前記上部プレートは、冷却のためのチャネルをさらに含み、
前記チャネルは、前記上部プレートの内側、前記上面の下側、及び前記下面の上に少なくとも配置され
、
前記上部プレートは、7mmから12mmの厚さを有し、
前記下部プレートは、20μmから1000μmの厚さを有する、
基板固定装置。
【請求項23】
前記第1の誘電層は、接着層なしで前記上部プレートの前記下面に直接連結され、
前記第2の誘電層は、接着層なしで前記第1の誘電層及び前記電極層に直接連結されている、請求項
22に記載の基板固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年10月19日付に出願された韓国特許出願第10-2022-0134659号の利益及び優先権を主張し、その全内容は、全ての目的のために、本明細書に完全に記載されているように参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、基板処理装置に関し、特に、限定されないが、例えば、大面積ディスプレイを製造するための水平固定型有機蒸着装置に利用できる基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ディスプレイ、特に大型ディスプレイの製造プロセスにおいて、高品質で欠陥のないディスプレイを実現するためには、基板処理段階が非常に重要である。基板処理システムは、製造の効率性、歩留まり、及び全体的な製品の品質に影響を与える可能性のあるいくつかの問題に直面している。例えば、広い基板の表面にわたって、均一なコーティング、蒸着又は処理を達成することは、複雑な作業である。既存のシステムは、一貫した処理パラメータを維持するのに困難を抱えており、これにより、ディスプレイの品質と性能が変わり得る。高解像度ディスプレイへの需要が高まるにつれて、品質を低下させることなく、処理速度を向上させる必要性が高まっている。従来の基板処理システムは、スループットに限界があり、全体の製造生産性に悪影響を及ぼすことが多い。さらに、ディスプレイサイズの多様性のため、様々な基板寸法、特に大きな寸法を円滑に収容できる基板処理システムが必要とされている。
【0004】
関連技術の説明は、本明細書で言及又は関連しているという理由だけで、先行技術と見なされるべきではない。関連技術の説明には、当該技術の1つ又はそれ以上の態様を説明する情報が含まれることがあり、この項目の説明は、本発明を限定するものではない。
【発明の概要】
【0005】
本開示の発明者らは、関連技術の問題と欠点を認識し、広範な研究と実験を行った。したがって、本開示の発明者らは、関連技術の限界及び欠点に起因する1つ又はそれ以上の問題を実質的に排除する新しい装置及び方法を発明した。
【0006】
本開示の1つ又はそれ以上の例示的な実施形態は、大面積ディスプレイを製造するための水平固定型有機蒸着装置用の基板処理装置を提供することを目的とする。
【0007】
本開示の1つ又はそれ以上の例示的な実施形態は、ガラス基板の全領域の温度を均一に制御(冷却)することができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
本開示の1つ又はそれ以上の例示的な実施形態は、磁力によってガラス基板の下にマスクを十分にチャックすることができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【0009】
本開示の1つ又はそれ以上の例示的な実施形態は、反り現象なしに大面積基板(例えば、第6世代フルガラス基板~第8.6世代ハーフガラス基板)を、静電気力で十分にチャックすることができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【0010】
本開示の1つ又はそれ以上の例示的な実施形態は、薄い厚さを有しながらも、様々な形状の冷却流路を有する基板処理装置を提供することを目的とする。
【0011】
本開示の1つ又はそれ以上の例示的な実施形態による基板処理装置は、上面と、前記上面とは反対の面である下面とを有するチタン冷却プレート;前記チタン冷却プレートの下面に設けられた第1の誘電体層、前記第1の誘電体層に設けられた電極層、及び前記第1の誘電体層及び前記電極層上に設けられた第2の誘電体層を含み、下部から供給されるガラス基板を、静電気力によってチャックする静電チャック;及び前記チタン冷却プレートの上面に位置し、前記ガラス基板の下部から供給されるマスクを、磁力によってチャックするヨークプレートを含み、前記チタン冷却プレートは、前記上面から前記下面に向かって設けられた、第1の幅を有する第1のチャネル、前記第1のチャネルから前記下面に向かって設けられた、前記第1の幅より小さい第2の幅を有する第2のチャネル、前記第1のチャネルに溶接されたチタンカバープレートをさらに含み、前記第2のチャネルによって、前記チタン冷却プレートの内側に冷却媒体が流れる冷却流路を提供することができる。上面及び下面は、平坦であってもよい。
【0012】
1つ又はそれ以上の実施形態では、前記チタンカバープレートは、溶接時に、酸化を防ぐために、真空チャンバ内で電子線照射装置によって、前記第1のチャネルに溶接することができる。
【0013】
1つ又はそれ以上の実施形態では、前記チタン冷却プレートは、前記ヨークプレートの磁力によって、前記マスクが前記第8.6世代のハーフガラス基板にチャックされる同時に、自重によって反らない7mm~12mmの厚さを有することができる。
【0014】
1つ又はそれ以上の実施形態では、前記チタン冷却プレートは、チタン(Ti) Grade 2を含み得る。
【0015】
1つ又はそれ以上の実施形態では、前記チタン冷却プレートは、縁に沿って取り付けられた複数の支持部材と、前記第8.6世代ハーフガラス基板と前記マスクのデッドゾーン(dead zone)に対応する領域に取り付けられて、前記チタン冷却プレートの反りを防止する1つ又はそれ以上の補助支持部材とをさらに含むことができる。前記領域は、内部領域であってもよい。
【0016】
一つ又はそれ以上の実施形態では、前記第1の誘電体層は、前記チタン冷却プレートの下面に、常圧プラズマスプレー方式で直接コーティングされ、前記第2の誘電体層は、前記第1の誘電体層及び前記電極層上に、常圧プラズマスプレー方式で直接コーティングされ得る。
【0017】
1つ又はそれ以上の実施形態では、前記第1の誘電体層は、接着層を介さずに、前記チタン冷却板の下面に直接結合することができ、前記第2の誘電体層は、接着層を介さずに、前記第1の誘電体層及び電極層に直接結合することができる。
【0018】
1つ又はそれ以上の実施形態では、前記冷却流路は、平面視でミアンダー(meander)の形態であり、少なくとも2つの冷却流路を含むことができる。
【0019】
1つ又はそれ以上の実施形態では、前記マスクは、インバー(invar)材料を含むことができる。
【0020】
1つ又はそれ以上の実施形態では、前記ガラス基板は、サイズが1850mm×1500mm~2290mm×1310mmであり得る。
【0021】
本開示の1つ又はそれ以上の実施形態による基板処理装置の製造方法は、上面と、前記上面とは反対の面である下面とを有するチタン冷却プレートを提供するステップ;前記チタン冷却プレートの前記上面から前記下面に向かって、第1の幅を有する第1のチャネルを提供し、前記第1のチャネルから前記下面に向かって、前記第1の幅より小さい第2の幅を有する第2のチャネルを提供するステップ;前記チタン冷却プレートの前記第1のチャネルを、チタンカバープレートで覆い、溶接するが、前記溶接は、真空チャンバ内で電子線照射装置によって行われるステップ;及び前記チタン冷却プレートの下面に、第1の誘電体層を常圧プラズマスプレー方式で直接設け、前記第1の誘電体層上に電極層を設け、前記第1の誘電体層及び前記電極層上に第2の誘電体層を、常圧プラズマスプレー方式で直接設けることで、静電チャックが製造されるステップを含むことができる。
【0022】
本開示の1つ又はそれ以上の例示的な実施形態による、基板処理装置を用いてディスプレイを製造する方法は、チタン冷却プレート、静電チャック及びヨークプレートを含む基板処理装置を提供するステップ、静電チャックを用いて、ガラス基板を配置するステップ、及びヨークプレートを用いて、ガラス基板にマスクを配置するステップを含むことができる。前記ディスプレイは、ガラス基板を含んでもよく、又はガラス基板を用いて製造されてもよい。
【0023】
本開示の1つ又はそれ以上の例示的な実施形態による基板固定装置は、上面と、上面とは反対側の下面とを含むチタン冷却プレート;及びチタン冷却プレートの下面に配置された第1の誘電体層、第1の誘電体層上に配置された電極層、及び第1の誘電体層及び電極層上に配置された第2の誘電体層を含む静電チャックを含むことができる。前記静電チャックは、静電気力を利用して、チタン冷却プレートの下に配置されたガラス基板を固定することができる。前記チタン冷却プレートは、上面から下面に向かって設けられた、第1の幅を有する第1のチャネル、第1のチャネルから下面に向かって設けられた、第1の幅より小さい第2の幅を有する第2のチャネル、及び第1のチャネルに結合されたチタンカバープレートをさらに含むことができる。
【0024】
本開示の少なくとも1つの実施形態による基板固定装置は、上面と下面とを含む上部プレート;及び下部プレートを含むことができる。下部プレートは、上部プレートの少なくとも下面に設けられた第1の誘電体層;少なくとも第1の誘電体層上に設けられた電極層;少なくとも前記電極層上に設けられた第2の誘電体層を含むことができる。前記上部プレートは、金属材料を含んでもよい。前記下部プレートは、静電気力によって、上部プレートの下に位置する基板を固定することができる。前記上部プレートは、冷却のためのチャネルをさらに含んでもよい。このチャネルは、少なくとも上部プレート内、上面の下、及び下面の上に配置することができる。
【0025】
本開示の1つ又はそれ以上の実施形態は、冷却プレートと静電チャックとを一体化することにより、ガラス基板の全領域に対する温度を均一に制御(冷却)できる基板処理装置、及びその製造方法を提供する。すなわち、、アルミニウムプレート上に静電チャックが設けられ、アルミニウムプレートの裏面には、別途の冷却プレートが設けられていた方式と異なり、本開示の実施形態によれば、冷却流路を有するチタン冷却プレート上に直接静電チャックを直接設けることにより、ガラス基板に対する温度均一性及び冷却効率を向上させることができる。
【0026】
本開示の1つ又はそれ以上の実施形態は、薄い厚さを有するチタン冷却プレートを用いることにより、磁力によってガラス基板の下にマスクを十分にチャックすることができる基板処理装置及びその製造方法を提供する。すなわち、本開示の1つ又はそれ以上の例示的な実施形態は、約7mm~約12mmの厚さを有するチタン冷却プレート上に、静電チャックを設けることで、チタン冷却プレートの上面に位置するヨークプレートの磁力が、チタン冷却プレートの下面に位置するマスクに十分に伝達され得る。
【0027】
本開示の1つ又はそれ以上の例示的な実施形態は、薄い厚さを有するが、剛性の高いチタン冷却プレートを用いることにより、反り現象なしに大面積基板(例えば、第6世代フルガラス基板~第8.6世代ハーフガラス基板)を、静電気力で十分にチャックすることができる基板処理装置及びその製造方法を提供する。また、本開示の1つ又はそれ以上の例示的な実施形態によれば、チタン冷却プレートが薄い厚さを有することで、装置の重量を大幅に低減し、アライン装置(例えば、UVW(unloaded vehicle weight)ステージ)や移動装置(例えば、磁気浮上装置)等の複雑度を軽減することができる。
【0028】
本開示の1つ又はそれ以上の例示的な実施形態は、薄い厚さを有するにもかかわらず、冷却流路の形成が可能であり、ガラス基板の冷却効率に優れた基板処理装置及びその製造方法を提供する。すなわち、本開示の1つ又はそれ以上の例示的な実施形態によれば、チタン冷却プレートの一面にチャネルを設け、チャネルの一部領域をチタンカバープレートで塞いだ後、真空チャンバ内で電子ビームを用いて、酸化現象なしにチタンカバープレートを溶接して、薄い厚さの冷却プレートに冷却流路を設けることができる。
【0029】
本開示の他の特徴、利点及び態様は、本明細書で部分的に説明され、部分的に本開示から明らかになるか、又は本明細書に提供される発明概念の実施によって学習され得る。本開示の他の特徴、利点、及び態様は、添付の図面、並びに本開示で提供されるか、又はそれに由来する説明、本明細書の特許請求の範囲によって実現及び達成することができる。これらのすべての特徴、利点、及び態様は、本明細書に含まれ、本開示の範囲内にあり、特許請求の範囲によって保護されることを意図している。このセクションのいかなる内容もその主張の制限と見なされるべきではない。さらなる態様及び利点は、本開示の実施形態に関して、以下で論じられる。
【0030】
本開示の前述の説明及び以下の説明は、両方とも例であり、特許請求の範囲に記載された本開示のさらなる説明を提供することを意図していることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本開示のさらなる理解を提供するために含まれる添付の図面は、本開示に組み込まれてその一部を構成し、本開示の態様及び実施形態を例示し、説明とともに本開示の原理及び例を説明するのに役立つ。
【0032】
図面において、
【
図1】本開示による基板処理装置を示す断面図である。
【
図2】
図1に示す基板処理装置の一部領域を拡大した模式図である。
【
図3】
図2の基板処理装置のチタン冷却プレートにおける冷却流路を示す平面図である。
【
図4】本開示による基板処理装置の製造方法を示すフローチャートである。
【
図5a】本開示による基板処理装置の例示的な製造方法を示す模式図である。
【
図5b】本開示による基板処理装置の例示的な製造方法を示す模式図である。
【
図5c】本開示による基板処理装置の例示的な製造方法を示す模式図である。
【
図5d】本開示による基板処理装置の例示的な製造方法を示す模式図である。
【
図5e】本開示による基板処理装置の例示的な製造方法を示す模式図である。
【
図5f】本開示による基板処理装置の例示的な製造方法を示す模式図である。
【0033】
図面及び詳細な説明全体を通して、特に断りのない限り、同じ図面参照番号は、同じ構成要素、特徴、及び構造を指すものと理解すべきである。 層、領域、及び構成要素のサイズ、長さ、及び厚さ、並びにそれらの描写は、明瞭さ、例示及び/又は便宜のために誇張されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に、本開示の実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示すことができる。以下の説明において、周知の方法、機能、構造、又は構成の詳細な説明が本発明の要旨を不必要に曖昧にする可能性がある場合、その詳細な説明を省略することがある。さらに、簡潔にするために、重複する説明は、省略することがある。記載された処理ステップ及び/又は動作の進行は、非限定的な例である。
【0035】
ステップ及び/又は動作の順序は、本明細書に記載されるものに限定されず、必ずしも特定の順序で発生するステップ及び/又は動作を除き、本明細書に記載される順序とは異なる順序で発生するように変更されてもよい。1つ又はそれ以上の例では、連続する2つの動作は、実質的に同時に実行されてもよく、又は2つの動作は、関連する機能又は動作に応じて、逆順又は異なる順序で実行されてもよい。
【0036】
特に明記しない限り、同じ参照番号は、異なる図面に示されていても、全体として同じ構成要素を指すことがある。別段の記載がない限り、明細書及び図面全体を通して、同じ参照番号は、同じ又は実質的に同じ構成要素を指すために使用することがある。1つ又はそれ以上の態様では、異なる図面内の同じ要素(又は同じ名称の要素)は、別段の記載がない限り、同じ又は実質的に同じ機能及び特性を有することができる。以下の説明で使用する各構成要素の名称は、便宜上選択されたものであり、実際の製品で使用される名称と異なる場合がある。
【0037】
本発明の利点及び特徴、並びにそれらを実施する方法は、添付の図面と共に詳細に説明されている実施形態を参照すると明らかになる。しかしながら、本開示は、本明細書に記載の実施形態に限定されず、異なる形態で具体化されてもよい。むしろ、これらの実施形態は例示であり、本開示が本開示の保護範囲を限定することなく、当業者が本発明の概念を理解するのを助けるために、徹底的かつ完全となるように提供される。
【0038】
図面に示されているものを含めて、本明細書に開示されている形状、寸法(例えば、サイズ、長さ、幅、高さ、厚さ、位置、半径、直径、及び面積)、比率、比、角度、数、要素の数などは、単なる例であり、したがって、本開示は、図示された詳細に限定されない。 さらに、層の寸法は、説明を容易に又は明確にするために誇張されている場合がある。
【0039】
「含む(comprise)」、「有する(have)」、「含む(include)」、「含有する(contain)」、「構成する(constitute)」、「からなる(made of)」、「から形成される(formed of)」、「から構成される(composed of)」などの用語が、1つ又はそれ以上の要素(例えば、層、フィルム、領域(regions)、構成要素、セクション、部材、部品、領域、エリア、部分、ステップ、動作など)に関連して使用される場合、「のみ」などの用語が使用されない限り、1つ又はそれ以上の他の要素を追加することができる。本開示で使用される用語は、特定の例示的な実施形態を説明するために単に使用されており、本開示の範囲を限定することを意図したものではない。文脈上、明確に別段の指示がない限り、単数形の用語には、複数形が含まれることがある。「典型的(exemplary)」という単語は、例又は実例として提供されるという意味で使用される。実施形態は、例示的な実施形態である。態様は、例示的な態様である。「実施形態(embodiments)」、「例(examples)」、「態様(aspects)」などは、他の実施よりも好ましい、又は有利であると解釈されるべきではない。 実施形態、例、例示的な実施形態、態様などは、特に明記しない限り、1つ又はそれ以上の実施形態、1つ又はそれ以上の例、1つ又はそれ以上の例示的な実施形態、1つ又はそれ以上の態様などを指すことがある。さらに、「してもよい(may)」という用語は、「できる(can)」という用語のすべての意味を含む。
【0040】
1つ又はそれ以上の態様では、別段の記載がない限り、要素、特徴、又は対応する情報(例えば、レベル、範囲、寸法、サイズなど)は、エラー又は許容範囲の明示的な説明が提供されていない場合でも、エラー又は許容範囲を含むものと解釈される。エラー又は許容範囲は、様々な要因(例えば、プロセス要因、内部又は外部の衝撃、ノイズなど)によって発生する可能性がある。数値の解釈においては、特に明記しない限り、エラーの範囲を含むものと解釈される。
【0041】
2つの要素(例えば、層、フィルム、領域、構成要素、セクション、部材、部品、領域、エリア、部分など)間の位置関係を、「上(on)」、「上に(on a top of)」、「上に(upon)」、「上に(on top of)」、「~上に(over)」、「下に(under)」、「上に(above)」、「上に(upper)」、「下に(below)」、「下に(lower)」、「下に(beneath)」、「近くに(near)」、 「近くに(close to)」、「隣接して(adjacent to)」、「横に(beside)」、「隣に(next to)」、「の側に、又はその側に(at or on a side of)」などの位置又は位置を示す用語を使用して説明する場合、「即時に(immediate(ly))」、「直接に(direct(ly))」、又は「近接して(close(ly))」などのより限定的な用語が使用されていない限り、2つの要素の間に1つ又はそれ以上の他の要素が配置されることがある。例えば、ある要素と別の要素が前述の用語のいずれかを用いて説明される場合、この説明は、要素が互いに直接接触する場合だけでなく、1つ又はそれ以上の追加の要素がそれらの間に配置又は介在する場合も含むものとして解釈されるべきである。さらに、前述の用語のような空間的相対的な用語や、「前(front)」、「後(rear)」、「後(back)」、「左(left)」、「右(right)」、「上(top)」、「下(bottom)」、「下方(downward)」、「上方(upward)」、「上(up)」、「下(down)」、「列(column)」、「行(row)」、「垂直(vertical)」、「水平(horizontal)」、「対角(diagonal)」などの他の用語は、任意の基準枠を指す。例えば、これらの用語は、図面に示されるような相関関係を含めて、要素間の相対的な関係を理解するために使用することができる。しかしながら、本開示の実施形態は、これに限定されるものではない。空間的相対的な用語は、図面に示される、又は本明細書に記載される向きに加えて、使用中又は動作中の要素の異なる向きを含む用語として理解されるべきである。例えば、下側の要素、又は別の要素の下に位置する要素がひっくり返された場合、その要素は、上側の要素、又は別の要素の上に位置する要素と呼ばれることがある。したがって、例えば、「下(under)」又は「下(beneath)」という用語は、意味上、「上(above)」又は「上(over)」という用語を包含することがある。「下(below)」などの用語には、「下(below)」、「上(above)」、及び斜め方向などの全ての方向が含まれ得る。同様に、用語「上(above)」、「上(on)」などは、「上(above)」、「上(on)」、「下(below)」の方向、及び斜め方向を含めて、すべての方向を含むことができる。
【0042】
時間的な関係を説明する際に、時間的な順序を、例えば、「後(after)」、「以後(subsequent)」、「次(next)」、「前(before)」、「以前(preceding)」、「前(prior to)」などと記載する場合には、 「ちょうど(just)」、「即時に(immediate(ly))」、又は「直接(direct(ly))」などのより限定的な用語が使用されない限り、連続的でない、又は連続的でないケースが含まれる場合があり、したがって、それらの間に1つ又はそれ以上の他のイベントが発生する可能性がある。
【0043】
「第1」、「第2」などの用語は、本明細書では、様々な要素(例えば、層、フィルム、領域、構成要素、セクション、部材、部品、領域、エリア、部分、ステップ、動作など)を説明するために使用される場合があるが、これらの要素は、これらの用語によって、例えば、特定の順序、優先順位、要素の数などに限定されるべきではない。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の要素は、第2の要素を表すことができ、同様に、第2の要素は、第1の要素を表すことができる。また、第1の要素、第2の要素などは、本開示の範囲を逸脱しない範囲で、当業者の便宜に従って任意に命名することができる。明確にするために、これらの構成要素(例えば、第1の要素、第2の要素など)の機能又は構造は、要素の前にある序数又は名称によって制限されない。さらに、第1の要素は、1つ又はそれ以上の第1の要素を含んでもよい。同様に、第2の要素などは、1つ又はそれ以上の第2の要素などを含んでもよい。
【0044】
本開示の要素を説明する際に、「第1」、「第2」、「A」、「B」、「(a)」、「(b)」などの用語が使用される場合がある。これらの用語は、対応する要素を、他の要素から識別することを目的としており、当該要素の本質、根拠、順序、又は数を定義するために使用されるものではない。
【0045】
要素(例えば、層、フィルム、領域、構成要素、セクション、部材、部品、領域、エリア、部分など)が別の要素に「連結されている(connected)」、「結合されている(coupled)」、「取り付けられている(attached)」、「接着されている(adhered)」等の用語を用いる場合、その要素は、別の要素に直接的に連結、結合、取り付け、接着などすることができるだけでなく、別段の指定がない限り、要素間に配置又は介在する1つ又はそれ以上の介在要素を用いて、別の要素に間接的に連結、結合、取り付け、接着等することもある。
【0046】
要素(例えば、層、フィルム、領域、構成要素、セクション、部材、部品、領域、エリア、部分など)が別の要素と「接触する(contact)」、「重なる(overlap)」などの表現については、その要素は、別の要素と直接接触、重畳等することができるだけでなく、別段の指定がない限り、要素間に配置又は介在する1つ又はそれ以上の介在要素を用いて、別の要素と間接的に接触、重畳等することもある。
【0047】
要素(例えば、層、フィルム、領域、構成要素、セクション、部材、部品、領域、エリア、部分など)が、別の要素の内に、その上に、それと一緒に、又は別の要素に「提供される(provided)」、「配置される(disposed)」、「接続される(connected)」、「結合される(coupled)」などの語句は、例えば、その要素の少なくとも一部が、別の要素の少なくとも一部内に、上に、一緒に、又は少なくとも一部に提供、配置、接続、結合などされるものとして理解され得る。「~を通して(through)」という語句は、例えば、少なくとも部分的に又は完全に通り抜けると理解され得る。要素(例えば、層、フィルム、領域、構成要素、セクション、部材、部品、領域、エリア、部分など)が別の要素と「接触する(contact)」、「重なる(overlap)」などの語句は、例えば、要素の少なくとも一部が、別の要素の少なくとも一部と接触、重畳等するものとして理解され得る。
【0048】
「線(line)」又は「方向(direction)」などの用語は、それぞれの線又は方向が互いに平行、垂直、対角線、又は傾斜しているという幾何学的関係のみに基づいて解釈されるべきではなく、本開示の構成要素が機能的に動作し得る範囲内でより広い指向性を有する線又は方向を意味することがある。
【0049】
「少なくとも1つ(at least one)」という用語は、関連する列挙された項目のうち1つ又はそれ以上のあらゆる組み合わせを含むものとして理解されるべきである。例えば、「第1の項目、第2の項目、又は第3の項目のうち少なくとも1つ」及び「第1の項目、第2の項目、及び第3の項目のうち少なくとも1つ」のそれぞれの語句は、(i)第1の項目、第2の項目、及び第3の項目のうち2つ又はそれ以上によって提供された項目の組み合わせ、又は(ii)第1の項目、第2の項目、又は第3の項目のうち1つのみを表すことができる。さらに、複数の要素の「少なくとも一部(at least some)」、「一部(some)」、「一部の要素(some elements)」、「一部(a portion)」、「部分(portions)」、「少なくとも一部(at least a portion)」、「少なくとも部分(at least portions)」、「一部(a part)」、「少なくとも一部(at least a part)」、「部分(parts)」、「少なくとも部分(at least parts)」、「1つ又はそれ以上(one or more)」などは、(i)複数の要素のうち1つの要素、(ii)複数の要素の一部、(iii)複数の要素の部分、(iv)複数の要素のうちの複数の要素、又は(v)複数の要素のすべてを表すことができる。
【0050】
第1の要素、第2の要素「及び/又は」第3の要素の表現は、第1、第2及び第3の要素のうちの1つとして、又は第1、第2及び第3の要素の任意又はすべての組み合わせとして理解されるべきである。例えば、A、B及び/又はCは、Aのみ;Bのみ;Cのみ;A、B、及びCのうちの1つ(例:A、B、又はC);A、B、及びCの一部の組み合わせ(例: AとB、AとC、又はBとC);又はA、B、及びCの全てを指すことがある。さらに、表現「A/B」は、A及び/又はBとして理解され得る。例えば、表現「A/B」は、Aのみ、Bのみ、A又はB、又はAとBを指すことがある。
【0051】
1つ又はそれ以上の態様において、「間に(between)」及び「間で(among)」という用語は、別段の記載がない限り、便宜上、単に交換可能に使用することができる。1つ又はそれ以上の態様において、「互いに(each other)」及び「互いに(one another)」という語句は、特に明記しない限り、便宜上、単に交換可能に使用することができる。1つ又はそれ以上の態様において、「のうち1つ又はそれ以上(one or more among)」及び「のうち1つ又はそれ以上(one or more of)」という語句は、別段の記載のない限り、便宜上、単に交換可能に使用することができる。
【0052】
「又は」という用語は、「排他的又は(exclusive or)」ではなく、「包含的又は(inclusive or)」を意味する。例えば、「a又はb」は、「a」、「b」、又は「a及びb」を意味することがある。例えば、「a、b、又はc」は、「a」、「b」、「c」、「a及びb」、「b及びc」、「a及びc」、又は「a、b及びc」を意味することがある。
【0053】
本開示の様々な実施形態の特徴は、部分的又は全体的に互いに結合(coupled)又は結合(combined)することができ、互いに技術的に関連付けることができ、様々な方法で一緒に様々に動作、リンク又は駆動することができる。本開示の実施形態は、互いに独立して実装又は実行されてもよいし、相互依存的であるか、関連関係で一緒に実装又は実行されてもよい。1つ又はそれ以上の態様では、本開示の様々な実施形態による各装置(apparatus)及び装置(device)の構成要素は、動作可能に結合され、構成される。
【0054】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される用語(技術用語及び科学用語を含む)は、例示的な実施形態が属する技術分野における通常の知識を有する者によって、一般に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、一般に使用される辞書で定義されているような用語は、例えば、関連技術の文脈におけるその意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想化されるか、又は過度に形式的な意味で解釈されるべきではないことも理解されるべきである。
【0055】
本明細書で使用される用語は、関連する技術分野で一般的な用語が選択されている。ただし、技術の発展や変化、慣例、技術者の好みなどによっては、別の用語が使用される場合がある。したがって、本明細書で使用される用語は、技術的思想を限定するものとして理解されるべきではなく、例示的な実施形態を説明するための用語の例として理解されるべきである。
【0056】
また、具体的な場合には、出願人が用語を任意に選択することができ、その場合の詳細な意味については、本明細書に記載する。したがって、本明細書で使用する用語は、用語の名称のみならず、用語の意味やその内容を踏まえて理解されるべきである。
【0057】
以下の説明では、本開示の様々な例示的な実施形態が、添付の図面を参照して詳細に説明される。各図面の要素に対する参照符号は、特に断りのない限り、同じ要素は、他の図面にも示されており、同様の参照符号は、同様の要素を指す場合がある。同じ又は類似の要素は、異なる図面に示されている場合でも、同じ参照番号で示される場合がある。また、説明の便宜上、添付の図面に示される各要素の縮尺、寸法、大きさ、及び厚さは、実際のものとは異なる場合があり、したがって、本開示の実施形態は、図面に示される縮尺、寸法、大きさ、厚さ等に限定されるものではない。
【0058】
一般に、基板処理装置とは、基板上に膜を蒸着するか、又は基板上に蒸着された膜をエッチングするための装置を指すことがある。ディスプレイパネル、半導体素子、光学素子、太陽電池などは、基板処理装置を用いて、成膜、エッチングすることにより製造することができる。
【0059】
基板処理装置は、基板を処理する空間を提供するチャンバと、基板を載置する基板載置部と、基板に膜を蒸着又はエッチングするためのガスを噴射するガス噴射部とを備えてもよい。
【0060】
例えば、ディスプレイ製造用の基板載置部では、基板の温度を均一に維持するために、加熱及び/又は冷却機能を備えたサセプタを使用することにより、各種工程における処理効率を高めることができる。また、ディスプレイ製造用の基板載置部においては、真空チャックや粘着チャックに代えて、静電気力を利用して基板を固定する静電チャックを、ディスプレイ製造工程全体に使用することができる。
【0061】
一例として、表示装置の中でも有機発光表示装置は、広い視野角、優れたコントラスト、速い応答性などにより注目されている。このような有機発光表示装置は、対向する2つの電極間に有機発光層を含み、1つ又はそれ以上の多様な薄膜をさらに含むことができる。したがって、有機発光表示装置は、多様な薄膜を形成するために、複数の蒸着工程を経る。
【0062】
しかしながら、大面積の有機発光表示装置を製造するには、高密度プラズマプロセスが必要である。しかしながら、チャンバ内のプラズマ密度が増加すると、基板処理装置の各領域の温度が不均一になり、基板の領域間の蒸着品質のばらつきが大きくなる。また、有機発光表示装置において、基板上に有機薄膜を形成するには、基板処理装置の前面に位置するマスクを、基板処理装置の裏面にある基板に固定した後、各ピクセルを蒸着する必要がある。しかし、大面積の有機発光表示装置の基板を固定するための基板処理装置の大型化に比例して、基板処理装置の厚みも増加するため、マスクを磁力で固定することが困難になる。また、有機発光表示装置の基板の大型化は、基板処理装置の大型化及び重量の増大を招き、基板処理装置の反り(warping)が大きくなるという問題もある。また、基板処理装置の重量が増加すると、基板処理装置を搬送するための各種装置の構造が複雑になることがある。本開示の1つ又はそれ以上の態様及び実施形態は、本明細書に記載される1つ又はそれ以上の問題及び制限を実質的に回避することを目的とする。
【0063】
図1は、本開示の1つ又はそれ以上の実施形態による例示的な大面積ディスプレイを製造するための水平固定型有機蒸着装置用の基板処理装置100を示す断面図である。基板処理装置(substrate processing device)は、基板処理装置(substrate processing apparatus)と呼ぶこともある。基板処理装置又はその一部は、基板固定装置と呼ばれることもある。
図1に示すように、本開示の1つ又はそれ以上の実施形態による例示的な大面積ディスプレイ製造用の基板処理装置100は、チタン冷却プレート110、ディスプレイ用ガラス基板10を吸着(又は吸い込み、持ち込み、引き込み、又は取り込み)及び固定するための静電チャック120、静電チャック120の上部に位置し、磁石の磁力を介してガラス基板10の下部に位置するマスク20を固定するためのヨークプレート130を含むことができる。
【0064】
1つ又はそれ以上の実施形態では、基板処理装置100は、チタン冷却プレート110、静電チャック120、及びヨークプレート130が取り付けられる空間を提供するための真空チャンバ(例えば、
図5dを参照)をさらに備えることができる。また、基板処理装置100は、真空チャンバの内部に位置し、ガラス基板10に様々な膜を蒸着するためのガスを噴射するためのガス噴射ユニットを、静電チャック120の下部にさらに備えてもよい。1つ又はそれ以上の実施形態において、ディスプレイ(例えば、大型ディスプレイ)は、その上に様々な膜が蒸着されたガラス基板10を含むか、又は使用することができる。
【0065】
1つ又はそれ以上の実施形態では、ガラス基板10のサイズは、第6世代フル(full)サイズ(6GF)~第8.6世代ハーフ(half)サイズ(8.6GH)である約1850×1500mm~約2290×1310mmであり得、基板処理装置100は、第6世代フルサイズ~第8.6世代ハーフサイズのガラス基板10に、膜を蒸着するための装置であり得る。1つ又はそれ以上の実施形態では、ガラス基板のサイズは、第8.5世代のハーフサイズ(8.5GH)の約2200×1250mmであってもよく、基板処理装置100は、第8.5世代のハーフサイズのガラス基板上に、膜を蒸着するための装置であってもよい。
【0066】
ヨークプレート130は、平面視でチタン冷却プレート110と重なるように配置することができる。ヨークプレート130は、チタン冷却プレート110の上部に配置することができる。ヨークプレート130は、下部に取り付けられた複数の磁石131を含むことができる。このようなヨークプレート130は、磁石131の磁力を介して、ガラス基板10の下部に位置するマスク20を、磁力で吸着(又は吸い込み、持ち込み、引き込み、又は取り込み)し固定することができる。ここで、ヨークプレート130は、上下方向に移動することができ、マスク20がガラス基板10に隣接すると、磁力によりマスク20をガラス基板10の下部に密着及び固定することができる。
【0067】
1つ又はそれ以上の実施形態では、マスク20は、シート状の金属薄膜であり、蒸着材料を通過させるための複数の開放(open)領域(又は開放ホール)を有することができる。1つ又はそれ以上の実施形態では、マスク20は、インバー(invar)材料のマスクであり得る。このようなマスク20は、平面視で縁の外側を、マスクフレーム21によって固定及び支持することができる。マスク20の上部には、ガラス基板10を配置することができ、ガラス基板10の上部には、静電チャック120を配置することができる。静電チャック120は、静電気力を用いて、ガラス基板10を固定することができ、ヨークプレート130は、磁力を介して、マスク20をガラス基板10の下部に固定することができる。1つ又はそれ以上の実施形態では、静電チャック120は、ガラス基板10がアライン(align)及び蒸着プロセス中に移動するのを防ぐことができる。
【0068】
図2は、
図1に示す基板処理装置を拡大して例示的に示す模式図である。以下では、
図1及び
図2を参照して、本開示の1つ又はそれ以上の実施形態による例示的な基板処理装置100を説明する。
【0069】
本開示の1つ又はそれ以上の実施形態による例示的な基板処理装置100は、略長方形のプレート状を有し、下面に位置するガラス基板10を静電気力で吸着及び固定し、さらにその下部に位置するマスク20を、磁力で吸着及び固定することができる。このような基板処理装置100は、チタン冷却プレート110及び静電チャック120を含むことができる。チタン冷却プレートは、チタンプレート、冷却プレート、冷却能力を有するプレート、又は上部プレートと呼ばれることもある。静電チャックは、チャック(Chuck)、多層プレート(Multilayered Plate)、誘電体層と電極層を備えたプレート、又は下部プレート(Lower Plate)と呼ばれることもある。ガラス基板は、基板又は誘電体基板と呼ばれることもある。
【0070】
基板処理装置100は、薄膜蒸着時の蒸着効率を向上させるために、高密度プラズマ環境で用いることができる。このような大面積ディスプレイ製造用の基板処理装置100は、静電チャック120の下部に装着されたガラス基板10の表面温度を、約200℃から約800℃の温度範囲まで上昇させることができる。
【0071】
チタン冷却プレート110は、所定の長さ及び幅を有する略長方形のプレートの形態であり得る。チタン冷却プレート110は、一辺の長さが約1500mm~約2290mmであり得る。1つ又はそれ以上の実施形態では、チタン冷却プレート110は、側面又は上面に移送/支持部材を結合することによって、ガイドレールに沿って所定の方向(例えば、プロセス進行方向)に容易に移動することができるが、本発明では、これに限定されない。
【0072】
チタン冷却プレート110は、内部に複数の冷却流路1112が所定のピッチを有して設けられてもよい。冷却流路1112には、冷却媒体が移動可能であり、チタン冷却プレート110を所定の温度まで冷却することができる。1つ又はそれ以上の実施形態では、チタン冷却プレート110は、冷却流路1112を備えており、静電チャック120の温度を約0℃から500℃の温度範囲まで低下させ維持することができるので、熱による変形を最小化することができる。また、チタン冷却プレート110は、冷却流路1112を備えており、高密度プラズマ環境で使用される静電チャック120の表面温度を、一定に保つことができる。
【0073】
一例では、冷却媒体は、フッ素化液、純水及びその等価物であり得るが、本発明では、これに限定されない。ここで、冷却流路1112は、少なくとも2つの流路を備えることができる。
図3は、2つの流路1112を含むチタン冷却プレート110の平面図を示す。
図3を参照して説明すると、2つの冷却流路1112は、各流路ごとに入力端1112aを介して、冷却媒体が注入され、各流路の入力端1112aを介して注入された冷却媒体は、出力端1112bを介して排出することができる。一例として、1つの冷却流路1112を有する場合、チタン冷却プレート110に設けられた冷却流路1112を一定部分移動した冷却媒体の温度の上昇により、出力端に隣接するほど冷却効率が低下する問題が発生することがある。すなわち、チタン冷却プレート110は、少なくとも2つのチャネルを有する冷却流路1112を備えることができる。
図3では、冷却流路1112が両側に設けられていることが示されているが、本発明では、これに限定されない。さらに、冷却流路1112は、冷却媒体が移動可能であるように、直線状及び/又は曲線状又はミアンダー状に延びるか、又は折り曲げられた領域を有することができ、配置形態は、様々に変更可能であり得る。1つ又はそれ以上の実施形態では、チタン冷却プレートは、異なる構造又は形状を有する冷却流路を採用することができる。
【0074】
再び
図2を参照すると、チタン冷却プレート110は、略平坦な上面と、上面とは反対の面である略平坦な下面とを含むことができる。また、チタン冷却プレート110は、上面から下面に向けて設けられた第1の幅を有する第1のチャネル1111、第1のチャネル1111から下面に向かって設けられた第1の幅より小さい第2の幅を有する第2のチャネル1112、第1のチャネル1111に溶接されたチタンカバープレート1113をさらに含むことができる。1つ又はそれ以上の実施形態では、第1のチャネル1111の幅は、チタンカバープレート1113の幅と同じでもよく、又は類似であってもよい。このようにして、第2のチャネル1112によって、チタン冷却プレート110の内側に冷却媒体が流れる冷却流路1112を提供することができる。冷却流路1112は、第2のチャネル1112によって提供され得るため、便宜上、第2のチャネル及び/又は冷却流路を示すために、同じ参照符号1112が使用されることに留意されたい。
【0075】
1つ又はそれ以上の実施形態では、チタンカバープレート1113は、溶接時、酸化を防止するために、真空チャンバ内で電子線照射装置によって、第1のチャネル1111に溶接されてもよい。
【0076】
1つ又はそれ以上の実施形態では、チタン冷却プレート110は、ヨークプレート130の磁力によって、マスク20がガラス基板にチャックされる(又は引き付けられるか、又は取り付けられる)と同時に、自重によって反らない約7mm~約12mmの厚さを有することができる。チタン冷却プレート110の厚さが、約7mm未満である場合、第6世代フルサイズガラス基板から第8.6世代ハーフガラス基板をチャックするには、チタン冷却プレート110の剛性の保持が困難であり得る。さらに、チタン冷却プレート110の厚さが、約12mmよりも大きい場合、厚さの増加により、ヨークプレート130の磁力が、マスク20に伝達されないことがある。
【0077】
1つ又はそれ以上の実施形態では、チタン冷却プレート110は、チタン(Ti)を含むことができる。1つ又はそれ以上の実施形態では、チタン冷却プレート110は、冷間成形性及び溶接性に優れ、強度の高いTi Grade 2を含むことができる。そのようなTi Grade 2は、また酸化に対する優れた耐性も持っている。1つ又はそれ以上の実施形態では、チタン冷却プレート110は、熱膨張係数(CTE:Coefficient of Thermal Expansion、単位は、m/m℃)が約8.6×10-6であり得る。1つ又はそれ以上の実施形態では、チタン冷却プレート110は、1つ又はそれ以上の他の材料を含むことができる。
【0078】
1つ又はそれ以上の実施形態では、チタン冷却プレート110は、縁に沿って取り付けられた複数の支持部材1114と、ガラス基板10とマスクのデッドゾーン(dead zone、例えば、ピクセルが形成されず、後工程で面取りされる領域)と対応する領域に取り付けられて、チタン冷却プレート110の反りを防止する補助支持部材1115をさらに含むことができる。デッドゾーンに対応する領域は、チタン冷却プレート110の内側領域、チタン冷却プレート110の縁から離れた内側領域、又はチタン冷却プレート110の中心付近又は中央領域であってもよい。1つ又はそれ以上の実施形態では、補助支持部材1115は、チタン冷却プレート110の中心領域を基準に対称的に設けられてもよい。そのような補助支持部材1115の上端が、別々の固定又は移動構造に結合されることによって、チタン冷却プレート110の中心領域が、下方に凸に曲がる反り現象を防止することができる。
【0079】
静電チャック120は、第1の誘電体層1221、第2の誘電体層1222、及び第1の誘電体層1221と第2の誘電体層1222との間の電極層1223を含むことができる。1つ又はそれ以上の実施形態では、第1の誘電体層1221は、チタン冷却プレート110の表面に別個の接着層なしで、直接コーティングされて設けられてもよい。電極層1223は、第1の誘電体層1221の表面に設けられてもよい。また、第2の誘電体層1222は、第1の誘電体層1221及び電極層1223の表面に直接コーティングされて設けられてもよい。
【0080】
第1の誘電体層1221は、チタン冷却プレート110の下面上に、常圧プラズマスプレー方式で直接コーティングして設けることができる。1つ又はそれ以上の実施形態では、第2の誘電体層1222は、電極層1223及び第1の誘電体層1221の下面に、常圧プラズマスプレー方式で直接コーティングされてもよい。1つ又はそれ以上の実施形態では、常圧プラズマスプレー方式に加えて、エアロゾルデポジション、アークスプレー、高速酸素燃料スプレー、コールドスプレー又はフレームスプレーの方式を使用することができる。1つ又はそれ以上の実施形態では、第1の誘電体層1221及び第2の誘電体層1222は、Al2O3であり得る。いくつかの例では、第1、2誘電体層1221、1222は、TiO2、CaO、MgO、SiO2、Y2O3、YOF及び/又はYFなどの添加剤をさらに含むことができる。このような添加剤により、誘電体層の誘電率が高くなり、これにより静電気によりチャッキング力をさらに向上させることができる。すなわち、本発明は、Al2O3以外に添加される各添加剤の量によって、誘電率を変化させることで、静電力の大きさを変化させて、吸着だけでなく脱着の程度と効果を改善することができる。
【0081】
1つ又はそれ以上の実施形態では、チタン冷却プレート110が、チタン(CTE:8.6)として提供され、誘電体層1221、1222がAl2O3(CTE:7.3)として提供される場合、CTEの偏差は、約1.5%内外であり得る。このような誘電体層1221、1222は、チタン冷却プレート110とのCTE偏差が、約1.5%内外であるので、チタン冷却プレート110に誘電体層1221、1222を直接コーティングにより形成しても、静電チャック120の温度が上昇すると、熱膨張係数の差による亀裂や変形が発生しない可能性がある。1つ又はそれ以上の実施形態では、第1の誘電体層1221及び第2の誘電体層1222の厚さはそれぞれ、約20μm~約1000μmであり得る。1つ又はそれ以上の実施形態では、第1の誘電体層1221の厚さは、約400μm~約600μmであり得、第2の誘電体層1222の厚さは、約100μm~約200μmであり得る。
【0082】
電極層1223は、第1の誘電体層1221の下部表面にめっき方式又は前述した様々なスプレー方式又は蒸着方式で設けることができる。電極層1223は、銅、アルミニウム、ニッケル、金、銀、タングステン、モリブデン、又はそれらの合金薄膜で設けることができる。1つ又はそれ以上の実施形態では、電極層1223の厚さは、約20μm~約100μmであり得る。
【0083】
静電チャック120の厚さが、1000μmよりも大きい場合、静電チャック120の厚さの増加により、ヨークプレート130の磁力の伝達が容易ではなく、マスク20の固定が容易でないことがある。静電チャック120の厚さが20μmよりも小さく形成されると、均一な層が形成されにくくなり、静電チャック120の形成が困難になることがある。参考までに、チタン冷却プレート110の厚さと比較して、静電チャック120の厚さは、はるかに小さいが、理解の便宜のために、
図2では、厚さ比のままで示されていないことを、当業者であれば、理解するであろう。
【0084】
このような静電チャック120は、電極層1223に電界が形成されるように電圧が印加されると、第2の誘電体層1222の表面に接触したガラス基板10を吸着して固定することができる。また、静電チャック120は、電極層1223に電圧が遮断されると(又は除去されるか、適用されなくなると)、ガラス基板10から分離することができる。ここで、静電チャック120は、モノポーラ方式及び/又はバイポーラ方式で動作することを、当業者であれば、理解するであろう。
【0085】
本開示の1つ又はそれ以上の実施形態による基板処理装置100は、ヨークプレート130がチタン冷却プレート110の上部に位置し、マスク20が静電チャック120の下部に位置するので、冷却プレート110と静電チャック120の厚さが、ヨークプレート130の駆動に影響を与える可能性がある。前記冷却プレート110が薄い厚さでも、剛性を維持することができるチタンからなり、ヨークプレート130の磁力が、静電チャック120を介して、マスク20に伝達されやすく、マスク20を容易に固定(又は引き込み)することができる。
【0086】
また、本開示の1つ又はそれ以上の実施形態による基板処理装置100は、静電チャック120がチタン冷却プレート110の表面に誘電体層の直接コーティングにより形成されても、チタン冷却プレート110と誘電体層との間の熱膨張係数の差が、約1.5%内外であるため、熱膨張係数の差による変形やクラックの発生を防止することができる。
【0087】
図4は、本開示の1つ又はそれ以上の実施形態による基板処理装置の製造方法を示すフローチャートである。
図4に示すように、本開示の1つ又はそれ以上の実施形態による例示的な大面積ディスプレイを製造するための水平固定型有機蒸着装置用の基板処理装置の製造方法は、チタン冷却プレートの提供ステップS1と、チャネルの提供ステップS2と、チタンカバープレートの提供ステップS3と、静電チャックの提供ステップS4と、支持部材の提供ステップS5とを含むことができる。
【0088】
図5a~
図5fは、本開示の1つ又はそれ以上の実施形態による例示的な大面積ディスプレイを製造するための水平固定型有機蒸着装置用の基板処理装置の例示的な製造方法を示す模式図である。
【0089】
図5aに示すように、チタン冷却プレートの提供ステップS1では、略平坦な上面と、上面とは反対の面である略平坦な下面とを有するチタン冷却プレート110を設けることができる。1つ又はそれ以上の実施形態では、チタン冷却プレート110は、Ti Grade 2を含むことができ、厚さは、約7mm~約12mmであり得る。いくつかの例では、チタン冷却プレート110は、一辺の長さが約1500mm~約2290mmであり得る。
【0090】
図5bに示すように、チャネルの提供ステップS2では、チタン冷却プレート110の上面からチタン冷却プレート110の下面に向かって、第1の幅を有する第1のチャネル1111をまず設けた後、第1のチャネル1111からチタン冷却プレート110の下面に向かって、第1の幅より小さい第2の幅を有する第2のチャネル1112を提供することができる。1つ又はそれ以上の実施形態では、第1のチャネル1111は、第1の深さを有することができ、第2のチャネル1112は、第1のチャネル1111の深さより深い第2の深さを有することができる。1つ又はそれ以上の実施形態では、第1、2のチャネル1111、1112はそれぞれ、異なる幅を有するスローティングカッター(slotting cutter)によって、チタン冷却プレート110の上面をそれぞれミーリング(milling)することによって提供することができる。1つ又はそれ以上の実施形態では、第1、2のチャネル1111、1112は、多段幅を有するスローティングカッターによって、チタン冷却プレート110の上面を一度ミーリングすることによって提供することができる。
【0091】
図5c及び
図5dに示すように、チタンカバープレートの提供ステップS3では、第1のチャネル1111上に、チタンカバープレート1113が結合され、続いて溶接されることにより、第2のチャネル1112によって、チタン冷却プレート110の内側に冷却媒体が流れる冷却流路1112を提供することができる。1つ又はそれ以上の実施形態では、チタンカバープレート1113は、溶接時に、酸化を防止するために、真空チャンバ内で電子線照射装置によって、チタン冷却プレート110の第1のチャネル1111に溶接され得る。したがって、本開示の1つ又はそれ以上の実施形態では、チタン冷却プレート110とチタンカバープレート1113との間の溶接領域が酸化されず、優れた溶接品質を有することができる。1つ又はそれ以上の実施形態では、チタンカバープレート1113の材料は、チタン冷却プレート1110の材料と同一又は類似であり得る。このようにして、本開示の1つ又はそれ以上の実施形態は、チタン冷却プレート110が薄い厚さを有するにもかかわらず、様々な形状の冷却流路1112を提供することができる。
図5dにおいて、未説明符号140は、電子線照射装置である。
【0092】
図5eに示すように、静電チャックの提供ステップS4では、チタン冷却プレート110の下面に、常圧プラズマスプレー方式で、第1の誘電体層1221を直接コーティングし、第1の誘電体層1221に電極層1223を蒸着又はめっきし、その後、第1の誘電体層1221及び電極層1223に、常圧プラズマスプレー方式で、第2の誘電体層1222を直接コーティングすることにより、静電チャック120を提供することができる。
【0093】
図5fに示すように、支持部材の提供ステップS5では、チタン冷却プレート110の上面の縁に、複数の支持部材1114を取り付け、縁の内側としてガラス基板10及びマスク20のデッドゾーン(dead zone)と対応する領域に、補助支持部材1115を取り付けることができる。そのような支持部材1114及び補助支持部材1115は、上部の固定構造又は移動構造に結合され、冷却プレート110及び静電チャック120を支持する。このとき、補助支持部材1115によって、チタン冷却プレート110の略中央領域が、下方向に曲がる反り現象を防止することができる。
【0094】
このようにして、本発明は、冷却プレート110と静電チャック120とを一体化することにより、ガラス基板10の全領域に対する温度を均一に制御(冷却)することができる。すなわち、アルミニウムプレート上に静電チャックが設けられ、アルミニウムプレートの背面に別途の冷却プレートが設けられていた方式とは異なり、本開示の1つ又はそれ以上の実施形態では、冷却流路1112を有するチタン冷却プレート110上に直接静電チャック120を提供することにより、ガラス基板の温度均一性及び冷却効率を向上させることができる。
【0095】
また、本開示の1つ又はそれ以上の実施形態は、薄い厚さを有するチタン冷却プレート110を用いることにより、ガラス基板10下部のマスク20を、磁力で十分にチャックすることができる。すなわち、本開示の1つ又はそれ以上の実施形態は、約7mm~約12mmの厚さを有するチタン冷却プレート110の下部表面に、静電チャック120を直接設けることによって、チタン冷却プレート110の上面に位置するヨークプレート130の磁力は、チタン冷却プレート110及び静電チャック120の下面に位置するマスク20に十分に伝達することができる。
【0096】
また、本開示の1つ又はそれ以上の実施形態は、薄い厚さを有するが、剛性の高いチタン冷却プレート110を用いることにより、反り現象なしに、大面積基板(例えば、第6世代ガラス基板~第8.6世代ハーフガラス基板)に、静電チャック120を十分にチャックすることができる。また、本開示の1つ又はそれ以上の実施形態は、チタン冷却プレート110が薄い厚さを有することにより、装置の重量を大幅に低減し、アライン装置(例えば、UVWステージ)や移動装置(例えば、磁気浮上装置)などの負荷を減らすことができる。
【0097】
また、本開示の1つ又はそれ以上の実施形態は、薄い厚さを有するにもかかわらず、冷却流路1112の提供が可能なチタン冷却プレート110により、ガラス基板10の温度均一性及び冷却効率を向上させることができる。すなわち、本開示の1つ又はそれ以上の実施形態は、チタン冷却プレート110の一面に、断面が階段状を有するチャネル1111、1112を提供し、チャネルの一部領域1111を、チタンカバープレート1113で塞いだ後、真空チャンバ内で電子ビームを用いて、酸化現象なしに、チタン冷却プレート110に溶接することにより、薄い厚さ(約7mm~約12mm)の冷却プレート110に冷却流路1112を設けることができる。
【0098】
以上で説明したのは、本開示の1つ又はそれ以上の実施形態による大面積ディスプレイ製造用の基板処理装置を実施するための一実施形態に過ぎず、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲で請求するように、本発明の要旨を逸脱することなく、当該発明が属する分野における通常の知識を有する者であれば、誰でも様々な変更実施が可能な範囲まで、本発明の技術的精神があると言える。
【0099】
前記の説明は、当業者が本開示の技術的特徴を作成、使用、及び実施できるようにするために提示されたものであり、例として、1つ又はそれ以上の特定の用途及びその要件に関連して提供されたものである。記載された実施形態に対する様々な修正、追加及び置換は、当業者には容易に明らかであり、本明細書に記載された原理は、本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施形態及び用途に適用され得る。前記の説明及び添付の図面は、例示を目的として本開示の技術的特徴の例を提供するものである。即ち、開示された実施形態は、本開示の技術的特徴の範囲を例示することを意図している。したがって、本開示の範囲は、図示された実施形態に限定されず、特許請求の範囲と一致する最も広い範囲が与えられるべきである。本開示の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に基づいて解釈されるべきであり、その均等の範囲内のすべての技術的特徴は、本開示の範囲内に含まれるものと解釈されるべきである。