(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】排水設備用の液位検知ユニット
(51)【国際特許分類】
E03F 7/00 20060101AFI20241003BHJP
E03F 5/10 20060101ALI20241003BHJP
E03F 5/06 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
E03F7/00
E03F5/10 A
E03F5/06 Z
(21)【出願番号】P 2023214729
(22)【出願日】2023-12-20
(62)【分割の表示】P 2020147125の分割
【原出願日】2020-09-01
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】大森 清
(72)【発明者】
【氏名】坂井 仁
(72)【発明者】
【氏名】飯島 啓嗣
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-060519(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 7/00
E03F 5/10
E03F 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水設備内にケーブルを介して吊り下げられ、液面が所定の液位に達したことを検知するフロート型の液位センサと、
前記排水設備内において前記ケーブルの延び方向に延び、前記ケーブルを介して前記液位センサを浮き上がり可能に支持する支持部と、
を備え、
前記液位センサは、前記支持部に支持された状態において前記ケーブルが接続された一端から前記ケーブルとは反対側の他端に向かって延在する軸線の延び方向が前記ケーブルの延び方向に交差し、
前記ケーブルは、前記支持部に対して所定の締結具によって固定された位置を固定点とし、当該固定点を中心に前記支持部から離れる方向に可動に支持されてい
て、
前記液位センサは、前記支持部から離れる方向の前記液面に浮かんで前記軸線が水平状態に近づくように傾き、前記液位センサの一端と前記他端との距離が短くなる
ことを特徴とする排水設備用の液位検知ユニット。
【請求項2】
前記液位センサは、浮力より質量が大きい
ことを特徴とする請求項1に記載の排水設備用の液位検知ユニット。
【請求項3】
前記液位センサにおける浮力の中心は前記他端の側にあり、前記液位センサの重心は前記一端の側にある
ことを特徴とする請求項
2に記載の排水設備用の液位検知ユニット。
【請求項4】
前記液位センサの吊下げ方向において前記支持部の上端で、前記支持部から前記液位センサが支持された側に垂直に延びて前記排水設備に取り付けられる取付部を備える
ことを特徴とする請求項
1に記載の排水設備用の液位検知ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水設備用の液位検知ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、気候変動に伴い、各地で水害が発生している。水害の発生は年々増加し、災害の規模も大きくなっている。例えば、突然の集中豪雨が発生した場合には、道路上の大量の雨水が下水道、河川、道路脇の側溝等に流れ込むことになる。流れ込んだ水量が想定を超えた場合、下水道、河川、道路脇の側溝等から溢れ出すことがあり、交通網の遮断、住宅への浸水等の被害をもたらすことがある。
【0003】
例えば、下水や雨水などの汚水を貯留する汚水槽(排水設備)の内部で上下方向に延びる筒状部材内に設けられていて、吊りロープと、複数のフロートスイッチ(液位センサ)と、を備えるフリクト式の液位検出装置(液位検知ユニット)が知られている(例えば、特許文献1参照)。液位検出装置は、内部が中空であるケース内に固定される。フロートスイッチは、水平よりも上側に設定された所定の動作角度より上方に傾斜するとオンになり、許容される所定の液位(警戒液位)を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、住宅の周りに設けられた雨水マスにおける液位の変化を検知することも水害の発生を知る上では重要である。雨水マスにおいては、グレーチングのような格子状の蓋が用いられる。グレーチングを通じて、想定以上の雨水が雨水マス内に流れ込むことがある。液面が急激上昇する場合、特許文献1に記載されているようなフロートスイッチには、フロートスイッチを鉛直方向に突き上げる浮力が作用することがある。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、フロート型の液位センサが傾いて浮き上がりやすくなる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る液位検知ユニットは、排水設備内にケーブルを介して吊り下げられ、液面が所定の液位に達したことを検知するフロート型の液位センサと、前記排水設備内において前記ケーブルの延び方向に延び、前記ケーブルを介して前記液位センサを浮き上がり可能に支持する支持部と、を備え、前記液位センサは、前記支持部に支持された状態において前記ケーブルが接続された一端から前記ケーブルとは反対側の他端に向かって延在する軸線の延び方向が前記ケーブルの延び方向に交差することを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様に係る液位検知ユニットにおいて、前記液位センサの吊下げ方向において前記支持部の下端に連結される延長支持部と、前記延長支持部に前記ケーブルとは別のケーブルを介して浮き上がり可能に支持されており、液面が前記所定の液位より下側の所定の液位に達したことを検知するフロート型の第2液位センサと、を備え、前記第2液位センサは、前記延長支持部に支持された状態において前記ケーブルが接続された一端から前記ケーブルとは反対側の他端に向かって延在する軸線の延び方向が前記別のケーブルの延び方向に交差してもよい。
【0009】
また、本発明の一態様に係る液位検知ユニットにおいて、前記支持部及び前記延長支持部は板状の部材であり、前記支持部及び前記延長支持部の少なくとも一方は、前記吊下げ方向に延びる各縁に沿って、前記液位センサ及び前記第2液位センサの側に突出する一対の突出板を有し、前記一対の突出板は、前記液位センサ及び前記第2液位センサが前記支持部及び前記延長支持部から離れる方向での浮き上がりのみを許容するように互いに離間されている。
【0010】
また、本発明の一態様に係る液位検知ユニットにおいて、前記支持部及び前記延長支持部の少なくとも一方は、前記液位センサ及び前記第2液位センサの吊り下げ方向において前記ケーブル及び前記別のケーブルの固定を可能にする複数の固定位置を有していてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様に係る液位検知ユニットにおいて、前記液位センサの吊下げ方向において前記支持部の上端で、前記支持部から前記液位センサが支持された側に垂直に延びて前記排水設備に取り付けられる取付部を備えてもよい。
【0012】
さらに、上記課題を解決するために、本発明に係る液位検知ユニットは、一端が閉鎖して他端が開口して筒状に形成されていて、延在方向に直交する断面において短軸及び長軸を有し、前記短軸の方向において対向する一対の短軸側壁部と、前記長軸の方向において対向する一対の長軸側壁部と、を有する筒状部材と、ケーブルを介して前記筒状部材の前記一端から前記他端に向かって吊り下げられて前記筒状部材内に収容されており、液面が所定の液位に達したことを検知するフロート型の液位センサと、を備え、前記液位センサを吊り下げる前記ケーブルは、前記一対の長軸側壁部の一方に取り付けられており、前記ケーブルが接続された前記液位センサの一端から前記ケーブルとは反対側の他端に向かって延在する前記液位センサの軸線は、前記長軸側壁部の一方から前記長軸側壁部の他方の側に向かって傾いていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様に係る液位検知ユニットにおいて、前記一対の短軸側壁部の間隔は、前記液位センサが前記短軸に沿って浮き上がることを防ぐように設定されており、前記一対の長軸側壁部の間隔は、前記液位センサが前記長軸に沿って浮き上がり前記所定の液位の検知を許容するように設定されていてもよい。
【0014】
また、本発明の一態様に係る液位検知ユニットにおいて、前記筒状部材は、前記液位センサが吊り下げられた状態において該液位センサに対して前記一端の側に少なくとも1つの孔を有している。
【0015】
また、本発明の一態様に係る液位検知ユニットにおいて、前記筒状部材の閉鎖された一端は、前記短軸側壁部に沿って前記他端とは反対の側に突出する少なくとも1つの第1リブと、前記長軸側壁部に沿って前記他端とは反対の側に突出する少なくとも1つの第2リブと、を有し、前記少なくとも1つの第1リブ及び前記少なくとも1つの第2リブは、前記排水設備に対して前記筒状部材を結束する結束具を支持可能である。
【0016】
また、本発明の一態様に係る液位検知ユニットにおいて、前記ケーブルとは別のケーブルを介して前記筒状部材の一端から他端に向かって前記液位センサより下側で吊り下げられて前記筒状部材内に収容されており、前記液位センサが検知する前記液位よりも下側において別の所定の液位に達したことを検知するフロート型の第2液位センサをさらに備えている。
【0017】
また、本発明の一態様に係る液位検知ユニットにおいて、前記ケーブルが接続された前記第2液位センサの一端から前記ケーブルとは反対側の他端に沿って延在する軸線は、前記長軸側壁部の他方から前記長軸側壁部の一方の側に向かって傾いている。
【0018】
また、本発明の一態様に係る液位検知ユニットにおいて、他方の前記長軸側壁部には、浮き上がった状態の前記液位センサと接触しない位置で、前記別のケーブルを案内する案内路が形成されている。
【0019】
また、本発明の一態様に係る液位検知ユニットにおいて、前記筒状部材には、吊下げ方向において前記液位センサと前記第2液位センサとの間に設けられていて、前記別の所定の液位に対応する位置に対して前記液位センサの側へ前記第2液位センサが浮き上がることを防止するストッパが設けられている。
【0020】
また、本発明の一態様に係る液位検知ユニットにおいて、前記ケーブルが接続された前記液位センサの一端から前記ケーブルとは反対側の他端に沿って延在する軸線に対して交差する前記液位センサの断面形状は円形である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、フロート型の液位センサ液位が傾いて浮き上がりやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】(a)は本発明の第1の形態に係る液位検知ユニットがグレーチングに取り付けられた状態を上方から見た斜視図であり、(b)は液位検知ユニットがグレーチングに取り付けられた状態を下方から見た斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態に係る液位検知ユニットの斜視図である。
【
図3】(a)はプレートユニットを上方から見た斜視図であり、(b)は下方から見た斜視図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態に係る液位センサの構成を説明するための図であり、(a)は液位センサの斜視図であり、(b)は液位センサの側面図である。
【
図5】プレートユニットに液位センサが取り付けられた状態を示す側面図である。
【
図6】本発明の第1の実施の形態に係る液位検知ユニットの動作を説明するための図であり、(a)は液位センサの初期状態を示す図であり、(b)は液位センサが液面に浮かんで警戒液位を検知する状態を示す図である。
【
図7】本発明の第1の実施の形態に係る変形例に係る液位検知ユニットの斜視図である。
【
図8】プレートユニットと液位センサとの寸法について説明するための図である。
【
図9】本発明の第2の実施の形態に係る液位検知ユニットの斜視図である。
【
図10】本発明の第2の実施の形態に係る液位検知ユニットの側面図である。
【
図11】本発明の第2の実施の形態に係る液位検知ユニットの動作を説明するための図であり、(a)は液位センサの初期状態を示す図であり、(b)は液位センサが液面に浮かんだ状態であり、液位センサが傾いて液位を検知する状態を示す図である。
【
図12】(a)は本発明の第3の実施の形態に係る液位検知ユニットが取り付けられて雨水マスの構成を説明するための斜視図であり、(b)は(a)におけるb-b線に沿った雨水マスにおける断面図である。
【
図13】本発明の第3の実施の形態に係る液位検知ユニットの透視斜視図である。
【
図14】カバーの斜視図であり、(a)はカバーを上方から見た斜視図であり、(b)は下方から見た斜視図である。
【
図16】液位センサがカバーに取り付けられた状態を示す断面図である。
【
図17】カバーと液位センサとの寸法について説明するための図である。
【
図18】グレーチングに液位検知ユニットが取り付けられた状態を示す断面図である。
【
図19】本発明の第3の実施の形態に係る液位検知ユニットの動作を説明するための図であり、(a)は液位センサの初期状態を示す図であり、(b)は液位センサが液面WLに浮かんだ状態であり、警戒液位Kを検知する前の状態を示す図であり、(c)は液位センサが傾いて警戒液位を検知する状態を示す図である。
【
図20】本発明の第4の実施の形態に係る液位検知ユニットの構成を説明する透視図であり、(a)は斜視図であり、(b)は正面図である。
【
図21】
図20(b)のXI-XI線における液位検知ユニットにおける断面図である。
【
図22】本発明の第4の実施の形態に係る液位検知ユニットの動作を説明するための図であり、(a)は液位センサの初期状態を示す図であり、(b)は液位センサが液面に浮かんだ状態であり、液位を検知する前の状態を示す図であり、(c)は液位センサが傾いて液位を検知する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態に係る液位検知ユニット1Aは、例えば、雨水を流す側溝等の排水設備のグレーチング122に取り付けられる。液位検知ユニット1Aは、許容量を超えた水が排水設備内に入り込み水位(液位)が上がってきた場合に雨水マス内の液面が所定の液位(以下、「警戒液位」ともいう)K1に達したことを検知する。液位検知ユニット1Aは、例えば、公知の排水設備に適用され、適用される排水設備は、特定の排水設備に限定されない。例えば、本発明の実施の形態に係る液位検知ユニット1Aは、
図1に示す排水設備に設けられる格子状のグレーチング122に取り付けられる。
【0025】
図1(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る液位検知ユニット1Aがグレーチング122に取り付けられた状態を上方から見た斜視図であり、
図1(b)は、液位検知ユニット1Aがグレーチング122に取り付けられた状態を下方から見た斜視図である。
【0026】
グレーチング122に取り付けられる本実施の形態に係る液位検知ユニット1Aは、排水設備にケーブル30を介して吊り下げられ、液面WLが所定の液位K1に達したことを検知するフロート型の液位センサ20と、排水設備100内においてケーブル30の延び方向に延び、ケーブル30を介して液位センサ20が浮き上がり可能に支持されている支持部(以下、「支持プレート」ともいう)12Aと、を備える。液位センサ20は、支持部12Aに支持された状態においてケーブル30が接続された一端21からケーブル30とは反対側の他端22に向かって延在する軸線x1の延び方向がケーブル30の延び方向に交差する。以下、液位検知ユニット1Aの構成について具体的に説明する。
【0027】
[液位検知ユニット]
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る液位検知ユニット1Aの斜視図である。液位検知ユニット1Aは、排水設備のグレーチング122に内側から取り付けられている。液位検知ユニット1Aは、グレーチング122に対して、ステンレス製の結束具101を介して取り付けられている。液位検知ユニット1Aは、プレートユニット10Aと、液位センサ20と、ケーブル30と、電源装置40と、を備える。
【0028】
(プレートユニット)
図3は、プレートユニット10Aの斜視図であり、(a)はプレートユニット10Aを上方から見た斜視図であり、(b)は下方から見た斜視図である。プレートユニット10Aは、取付プレート11Aと、支持プレート12Aと、により形成されている。プレートユニット10Aは、取付プレート11Aと支持プレート12Aとが互いにL字状又は略L字状になるように連結された部材である。取付プレート11A及び支持プレート12Aは、互いに金属製の2つのアングル部材13Aを介して互いに連結されている。
【0029】
取付プレート11Aは、合成樹脂又は金属等により形成された平面視矩形の板部材である。取付プレート11Aは、グレーチング122に対してステンレス製の結束具101を介して支持可能である。取付プレート11Aは、複数の挿通孔14Aを有する。挿通孔14Aに結束具101が通されてグレーチング122に取り付けられる。
【0030】
支持プレート12Aは、合成樹脂又は金属等により形成された平面視矩形の板部材である。支持プレート12Aは、アングル部材13Aを介して取付プレート11Aに対して直角に取り付けられている。支持プレート12Aは、一方の短辺を取付プレート11Aの短辺に突きあわせた状態において互いに連結されている。支持プレート12Aは、グレーチング122に対して鉛直方向に延びる。支持プレート12Aは、ケーブル30を介して液位センサ20を支持する。
【0031】
支持プレート12Aは、長手方向に沿って複数の一対の挿通孔15Aを有する。複数の一対の挿通孔15Aは、長手方向に沿って所定の間隔をあけて設けられており、ケーブル30の固定位置となる。液位センサ20は、ケーブル30において帯状の締結具31により支持プレート12Aに浮き上がり可能に支持されている。
【0032】
(液位センサ及びケーブル)
図4は、液位センサ20の構成を説明するための図であり、(a)は液位センサ20の斜視図であり、(b)は液位センサ20の側面図である。液位センサ20は、フロート型のセンサである。液位センサ20は、ケーブル30によりプレートユニット10Aに吊り下げられる。液位センサ20は、ケーブル30が支持プレート12Aに固定されることにより支持プレート12Aに支持される。液位センサ20は、液位が上昇するに伴い、鉛直方向に沿った吊下げ方向Hにおいてケーブル30が接続された一端21がケーブル30とは反対側の他端22に近づくように傾くことにより、警戒液位K1を検知する。
【0033】
液位センサ20は、内部に、ウェイト(図示せず)、球体(図示せず)、マイクロスイッチ(図示せず)等を有する。液位センサ20は、フロートとしての機能を有し、浮力より質量が大きくなっている。なお、液位センサ20は、特に限定されず、公知のフロート型のセンサを使用することができる。
【0034】
液位センサ20の中心を通る軸線x1に沿った液位センサ20の断面形状は、滴形又は略滴形である。軸線x1に対して交差する液位センサ20の断面形状は円形又は略円形である。液位センサ20の断面形状における直径20Rは、ケーブル30が取り付けられた先端21の側から、軸線x1に沿って一端21から他端22に向かって連続的に大きくなっている。
【0035】
液位センサ20の軸線x1に沿った長さ20Lは、液位センサ20の最大直径Rmaxよりも大きくなっている。つまり、液位センサ20の直径20Rmaxは、液位センサ20の長さ20Lよりも小さい。液位センサ20の長さ20Lは、最大直径Rmaxに対して1.30~1.40倍であることが好ましい。
【0036】
図5は、プレートユニット10Aに液位センサ20が取り付けられた状態を示す側面図である。液位センサ20を吊り下げるケーブル30は、支持プレート12Aに固定されている。ケーブル30は、吊下げ方向Hにおいて、プレートユニット10Aの支持プレート12Aの上側から取り付けられている。液位センサ20は、先端21から吊下げ方向Hにおいて先端21とは反対側にある基端(他端)22の中心を延在する軸線x1が、例えば、水平状態に近づいていく過程においてスイッチがオンになる。
【0037】
ケーブル30は、液位センサ20と電気的に接続されている。ケーブル30は、取付プレート11Aの側から支持プレート12Aに沿わされて延在している。ケーブル30の一端は、液位センサ20の先端21の側に接続されている。なお、ケーブル30の他端は、支持プレート12Aの背後に設けられた電源装置40に接続されている。
【0038】
ケーブル30は、支持プレート12Aに沿って延在している。ケーブル30は、液位センサ20から所定の間隔をあけた位置で、帯状の締結具31により支持プレート12Aに取り付けられている。例えば、ケーブル30は、支持プレート12Aの一対の挿通孔15Aの一方から締結具31の一端を挿通し、他方の挿通孔15Aから導出することで支持プレート12Aに固定されている。
【0039】
ケーブル30は、締結具31によって固定された位置を固定点P1とし、この固定点P1を中心に支持プレート12Aから離れる方向に可動に支持されている。ケーブル30は、固定点P1と液位センサ20の先端21との間の領域において可動になっている。固定点P1の位置は、例えば、液位センサ20が液位センサ20の軸線x1が水平状態になることを可能にするように設定されていればよい。
【0040】
液位センサ20は、ケーブル30を介して支持プレート12Aに吊られた状態において支持プレート12Aに一部が接触している。液位センサ20が支持プレート12Aに取り付けられた状態において、液位センサ20の一端21から他端22に沿って延在する軸線x1は、ケーブル30の延び方向に交差している。また、液位センサ20の軸線x1は、支持プレート12Aに対しても交差している。液位センサ20は、軸線x1が基端22の側で先端21に対して支持プレート12Aから離れるように支持プレート12Aに支持されている。
【0041】
液位センサ20は、支持プレート12Aから離れる方向に液面WLに浮かんで液位センサ20の軸線x1が水平状態に近づくように傾くことで、液面WLが警戒液位K1に達したことを検知する。つまり、液位センサ20が警戒液位K1を検知する際、液位センサ20が液面WLに浮かんで、吊下げ方向Hにおいて液位センサ20の先端21が基端22に近づき、先端21と基端22との距離が短くなる。
【0042】
(電源装置)
電源装置40は、液位センサ20とは反対の側で支持プレート12Aに取り付けられている。電源装置40にはケーブル30が電気的に接続されている。電源装置40は、液位センサ20に対してケーブル30を介して電気を供給している。
【0043】
[液位検知ユニットの動作]
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る液位検知ユニット1Aの動作を説明するための図であり、(a)は液位センサ20の初期状態を示す図であり、(b)は液位センサ20が液面WLに浮かんで警戒液位K1を検知する状態を示す図である。例えば、豪雨によりグレーチング122を通じて排水設備内に想定外の雨量の雨水が流入することがある。これにより、排水設備内の液面WLが上がってくる(
図6(a)参照)。
【0044】
液位センサ20が検知する液面WLの警戒液位K1は、グレーチング122から液位センサ20の吊下げ方向Hに沿って、所定の間隔hをあけた位置に任意に設定される。液面WLが警戒液位K1に達すると、例えば、グレーチング122から水が溢れ出すおそれがあることの指標となる。例えば、液位センサ20は、基端22から所定の高さ位置における液位を検知するようになっている。ケーブル30の長さを調整して、適宜、液位センサ20の吊り下げ位置を変更して、軸線x1を通る基端22からの所定の高さ位置を任意に設定された警戒液位K1に対応させることができる。
【0045】
グレーチング122を通じて流入する雨量の増加に伴い、液面WLが液位センサ20の基端22にまで達し、液位センサ20が浮かび出す。液位センサ20は、ケーブル30とともに傾きながら支持プレート12Aから離れるように浮き上がる。
【0046】
液位センサ20は、浮力より質量が大きくなっている。液位センサ20において浮力の中心点は基端22の側にあり、液位センサ20の重心は先端21の側に位置している。そのため、浮力の中心点と重心とがずれていることにより、液位センサ20に回転モーメントが発生する。回転モーメントの発生により、液位センサ20は、液面WLが上昇するに伴い、液位センサ20の先端21が傾いて、吊り下げ方向Hにおいて液位センサ20の先端21が基端22の側に近づいて軸線x1が水平又は略水平に近づく(
図6(b)参照)。
【0047】
液面WLが警戒液位K1にまで達して、例えば、液位センサ20の軸線x1が支持プレート12Aとの間で所定の角度を超えると、内部の球体が転がりマイクロスイッチがオンになる。液位センサ20は、排水設備内の液面WLが警戒液位K1に達したことを警告する信号を外部機器に送信する。
【0048】
以上のような液位検知ユニット1Aを排水設備に取り付けることにより、水害の発生の可能性を事前に認識することができる。液位検知ユニット1Aによれば、液位センサ20は、ケーブル30とともに支持プレート12Aに軸線x1をケーブル30の延び方向に対して傾けた状態において取り付けられている。したがって、液位センサ20は、基端22にまで液面WLが上昇した場合、鉛直方向ではなく固定点P1より下側のケーブル30とともに支持プレート12Aから離れながら浮き上がる。これにより、液位センサ20は浮力を受けやすくなり、液位センサ20の浮き上がりが円滑に行われる。
【0049】
また、支持プレート12Aには、複数の一対の挿通孔15Aが長手方向に沿って所定の間隔をあけて設けられているので、支持プレート12Aに対するケーブル30の固定点P1の位置を適宜選択することができる。例えば、液位センサ20の先端21と固定点P1との間隔を大きくとれば、液位センサ20の浮き上がり時におけるケーブル30の曲率は大きくなり、ケーブル30に対する負荷を軽減することができる。
【0050】
また、例えば、液位センサ20の先端21と固定点P1との間隔を小さくすれば、液位センサ20の浮き上がり時におけるケーブル30の曲率は小さくなり、液位センサ20の浮き上がりに必要なスペースを小さく抑制することができる。これにより、液位検知ユニット1Aの取付け対称への自由度が高まる。
【0051】
支持プレート12Aに取付プレート11Aが連結されていることにより、グレーチング122から流入してきた異物が液位センサ20に直接的に付着することを防止するとともに、流入してきた水により液位センサ20が意図せず揺らされて、液位センサ20が警戒液位K1に達したことを誤検知することを確実に回避することができる。
【0052】
<その他>
例えば、プレートユニット10Aは、取付プレート11Aを介してグレーチング122に取り付けられていたが、取付プレート11Aは設けられていなくてもよい。この場合、金属製のアングル部材13Aを介して支持プレート12Aをグレーチング122に取り付けることができる。
【0053】
また、例えば、支持プレート12Aは、一対の突出板16Aを有していてもよい。
図7は、変形例に係る液位検知ユニット1Bの斜視図である。一対の突出板16Aは、長手方向に延びる各縁(長辺)に沿って、液位センサ20が支持されている側に突出している。突出板16Aは、各長辺の側にそれぞれ対向して設けられている。突出板16Aは、支持プレート12Aから離れる方向での液位センサ20の浮き上がりのみを許容するように短手方向に互いに離間されている。突出板16Aは、取付プレート11Aとは反対の短辺の側に取り付けられている。液位センサ20は、一対の突出板16Aの間に位置する。
【0054】
液位センサ20は、一対の突出板16Aの間で支持プレート12Aから離れる方向に液面WLに浮かんで液位センサ20の軸線x1が水平状態に近づくように傾くことで、液面WLが警戒液位K1に達したことを検知する。つまり、液位センサ20が警戒液位K1を検知する際、液位センサ20が液面WLに浮かんで吊下げ方向Hにおいて液位センサ20の先端21が基端22に近づき、先端21と基端22との距離が短くなる。なお、液位検知ユニット1Bにおいて警戒液位K1は、吊下げ方向Hにおいて一対の突出板16Aの間に設定されているとよい。
【0055】
(プレートユニットと液位センサとの関係)
図8は、プレートユニット10Bと液位センサ20との寸法について説明するための図である。一対の突出板16Aの間隔d1は、液位センサ20の長さ20Lよりも小さい(d1<20L)。間隔d1は、液位センサ20の最大直径20Rmaxよりも僅かに大きい(d1>20Rmax)。例えば、間隔d1は、最大直径20Rmaxに対して、1.10~1.30倍であることが好ましい。一対の突出板16A間の間隔d1は、液位センサ20の最大直径20Rmaxよりも僅かに大きくなっているだけである。
【0056】
以上のような液位検知ユニット1Bによれば、少なくとも液位検知ユニット1Aと同様の効果を奏する。さらに、一対の突出板16Aの間で液位センサ20が浮き上がる方向を一義的に制限することができる。これにより、液位検知ユニット1Bを取り付ける自由度を高めることができる。
【0057】
液位センサ20は、円状の断面形状を有しているので、液位センサ20が突出板16Aと接触した場合であっても、その接触は点接触であり、支持プレート12Aから離れる方向での移動が妨げられることを防ぐことができる。
【0058】
<第2の実施の形態>
以下に、第2の実施の形態に係る液位検知ユニット1Cについて説明する。
図9は、第2の実施の形態に係る液位検知ユニット1Cの斜視図である。なお、電源装置40については図示を省略する。以下、液位検知ユニット1Aと異なる部分について主として説明し、液位検知ユニット1Aと同じ部分については同じ符号を付して説明を省略する。
【0059】
液位検知ユニット1Cは、プレートユニット10Cと、延長支持プレート(延長支持部)13Cと、液位センサ20と、液位センサ(第2液位センサ)50と、ケーブル30と、ケーブル(別のケーブル)60と、電源装置40と、を備える。
【0060】
延長支持プレート13Cは、合成樹脂又は金属等により形成された正面視矩形の板部材である。延長支持プレート13Cは、2つの金属製の板材14Cを介して支持プレート12Aに取り付けられている。延長支持プレート13Cは、一方の短辺を、取付プレート11Aとは反対の側(吊下げ方向Hにおいて下側)の支持プレート12Aの短辺に突きあわせた状態において互いに連結されている。延長支持プレート13Cは、グレーチング122に対して鉛直方向に延びている。支持プレート12Aは、ケーブル30を介して液位センサ20を支持している。延長支持プレート13Cは、長手方向に沿って複数の一対の挿通孔(図示せず)を有する。複数の一対の挿通孔は、長手方向に沿って所定の間隔をあけて設けられていて、ケーブル60の固定位置となる。液位センサ50は、ケーブル60において帯状の締結具61により延長支持プレート13Cに浮き上がり可能に支持されている。
【0061】
液位センサ50は、フロート型のセンサである。液位センサ50は、ケーブル60により延長支持プレート13Cに吊り下げられている。液位センサ50は、ケーブル60が延長支持プレート13Cに固定されることにより延長支持プレート13Cに支持されている。液位センサ50は、液面が上昇するに伴い、吊下げ方向Hにおいてケーブル60が接続された一端51がケーブル60とは反対側の他端52に近づくように傾くことにより、液面が警戒液位K1より下側の液位K2に達したことを検知する。なお、液位センサ50は、液位センサ20と同じ構成を有する。
【0062】
図10は、液位検知ユニット1Cの側面図である。液位センサ50を吊り下げるケーブル60は、延長支持プレート13Cに固定されている。ケーブル60は、液位センサ50と電気的に接続されている。ケーブル60は、支持プレート12Aの側から延長支持プレート13Cに沿わされて延在している。ケーブル60の一端は、液位センサ50の先端51の側に接続されている。なお、ケーブル60の他端は、支持プレート12Aの背後に設けられた電源装置40に接続されている。
【0063】
延長支持プレート13Cに沿って吊り下げられた状態で、支持プレート12Aの長手方向に沿った吊下げ方向Hにおいて、上側からケーブル60が取り付けられている。液位センサ50は、先端51から吊下げ方向Hにおいて先端51とは反対側にある基端(他端)52の中心を延在する軸線x2が、例えば、水平状態に近づく過程においてスイッチがオンになる。
【0064】
ケーブル60は、延長支持プレート13Cに沿って延在している。ケーブル60は、液位センサ50から所定の間隔をあけた位置で、帯状の締結具61により延長支持プレート13Cに取り付けられている。例えば、延長支持プレート13Cの一対の挿通孔の一方から、締結具61の一端を挿通し、他方の挿通孔から導出することでケーブル60は延長支持プレート13Cに固定されている。
【0065】
ケーブル60は、締結具61によって固定された位置を固定点P2とし、この固定点P2を中心に延長支持プレート13Cから離れる方向に可動に支持されている。ケーブル60は、固定点P2と液位センサ50の先端51との間の領域において可動になっている。固定点P2の位置は、例えば、液位センサ50がその軸線x2が水平状態になることを可能にするように設定されていればよい。
【0066】
液位センサ50は、ケーブル60を介して延長支持プレート13Cに吊られた状態において延長支持プレート13Cに一部が接触している。液位センサ50が延長支持プレート13Cに取り付けられた状態において、液位センサ50の一端51から他端52に沿って延在する軸線x2は、ケーブル60の延び方向に対して交差している。また、液位センサ50の軸線x2は、延長支持プレート13Cに対しても交差している。液位センサ50は、軸線x2が基端52の側で先端51に対して延長支持プレート13Cから離れるように延長支持プレート13Cに支持されている。
【0067】
[液位検知ユニットの動作]
図11は、液位検知ユニット1Cの動作を説明するための図であり、(a)は液位センサ50の初期状態を示す図であり、(b)は液位センサ50が液面WLに浮かんだ状態であり、液位センサ50が傾いて液位K2を検知する状態を示す図である。液位センサ50が検知する液面の液位K2は、排水設備のグレーチング122から液位センサ20,50の吊下げ方向Hに沿って所定の間隔をあけた位置に任意に設定される。液位K2は、警戒液位K1よりも下側の位置に設定されている。液位センサ50が検知する液面の液位K2は、グレーチング122から液位センサ50の吊下げ方向Hに沿って所定の間隔をあけた位置に任意に設定される。液位K2は、警戒液位K1よりも下側の位置に設定されている。
【0068】
グレーチング122を通じて流入する雨量の増加に伴い、液面WLが液位センサ50の基端にまで達すると、液位センサ50が浮かび出す。液位センサ50は、ケーブル60とともに傾きながら延長支持プレート13Cから離れるように浮き上がる。液位センサ50は、液面WLが上昇するに伴い、液位センサ50の先端51が傾いて、吊り下げ方向Hにおいて液位センサ50の先端51が基端52の側に近づいて軸線x2が水平又は略水平に近づく。
【0069】
液面WLが液位K2にまで達して液位センサ50が傾きながら浮き上がり、例えば、液位センサ50の軸線x2が延長支持プレート13Cに対して所定の角度を超えると、内部の球体が転がりマイクロスイッチがオンになる。液位センサ50は、排水設備内の液面WLが警戒液位K1に近づきつつあること(所定の液位K2に達したこと)を知らせる信号を外部機器に送信する。液面WLがさらに上昇し、警戒液位K1に達すると、液位センサ20が作動する。液位センサ20の動作は、第1の実施の形態と同様である。
【0070】
以上のような液位検知ユニット1Cによれば、少なくとも液位検知ユニット1Aと同様の効果を奏する。さらに、液位センサ50により、液位検知ユニット1Cの吊下げ方向Hにおいて、排水設備内の異なる2つの高さ位置で液位K1,K2を検知することができる。例えば、排水設備で液面WLが警戒液位K1に達する前の警戒液位K1よりも低い液位K2に達した段階で、液面WLが上昇していることを検知することができる。これにより、液面WLが警戒液位K1に達する前に排水設備から水が溢れるおそれが高まっていることを早期の段階で認識することができる。
【0071】
また、液位検知ユニット1Cは、2つの一対の突出板16Aを有していてもよい。一対の突出板16Aはそれぞれ、支持プレート12A及び延長支持プレート13Cに設けられている。
【0072】
<第3の実施の形態>
以下に、本発明の第3の実施の形態に係る液位検知ユニット1Dについて説明する。
図12(a)は、第3の形態に係る液位検知ユニット1Dが取り付けられる雨水マス100の構成を説明するための斜視図であり、
図12(b)は、(a)におけるb-b線に沿った断面図である。以下、液位検知ユニット1Aと異なる部分について主として説明し、液位検知ユニット1Aと同じ部分については同じ符号を付して説明を省略する。
【0073】
第3の実施の形態に係る液位検知ユニット1Dは、例えば、下水道管に雨水を流す排水設備(以下、「雨水マス」ともいう)100に取り付けられる。液位検知ユニット1Dは、許容量を超えた水が下水道管から溢れ出し雨水マス内を上がってきた場合に、雨水マス内の液面が所定の液位(以下、「警戒液位」ともいう)K1に達したことを検知する。液位検知ユニット1Dは、例えば、公知の排水設備用に適用され、適用される排水設備用は、特定の排水設備に限定されない。例えば、本発明の実施の形態に係る液位検知ユニット1Dは、
図12に示す雨水マス100に適用される。
【0074】
雨水マス100は、住宅等の建物の敷地内において雨水を溜める。雨水マス100は、例えば、コンクリートにより製造されている。雨水マス100は、地中に埋設されて流入した水を、例えば、下水道管へと流す。
【0075】
雨水マス100は、本体部110と、流入部120と、を有する。本体部110及び流入部120は、互いに一体に形成されている。本体部110は、地中に埋設される。本体部110は、円筒状に形成されている。本体部110は、配管口111を有する。配管口111に、例えば、下水道管が接続され、雨水マス100に流入した水が下水道管へと排出される。
【0076】
流入部120は、本体部110の軸線方向において一方の端部に設けられている。雨水マス100が地中に設置された状態において、流入部120は、地面に露出している。流入部120は、流入開口121を有する。流入開口121を通じて、例えば、雨水等が本体部110に流入する。流入開口121は、例えば、グレーチング122といった格子状の蓋により閉鎖されている。
【0077】
以上の雨水マス100には、雨水マス100内における液位を検知・測定する液位検知ユニット1Dが設けられている。第3の実施の形態に係る液位検知ユニット1Dは、一端が閉鎖して他端が開口して筒状に形成されていて、延在方向に直交する断面において短軸Sa及び長軸Laを有し、短軸Saの方向において対向する一対の短軸側壁部12D,13Dと、長軸Laの方向において対向する一対の長軸側壁部14D,15Dと、を有する筒状部材(以下、「カバー」ともいう)10Dと、ケーブル30を介して筒状部材10Dの一端から他端に向かって吊り下げられて筒状部材10D内に収容されており、液面が所定の液位に達したことを検知するフロート型の液位センサ20と、を備える。液位センサ20を吊り下げるケーブル30は、一対の長軸側壁部14D,15Dの一方に取り付けられており、ケーブル30が接続された液位センサ20の一端からケーブル30とは反対側の他端に沿って延在する軸線x1は、長軸側壁部14D,15Dの一方から長軸側壁部14D,15Dの他方の側に向かって傾いている。以下、液位検知ユニット1Dの構成について具体的に説明する。
【0078】
[液位検知ユニット]
図13は、本発明の第3の実施の形態に係る液位検知ユニット1Dの透視斜視図である。液位検知ユニット1Dは、雨水マス100のグレーチング122に本体部110の側から取り付けられている。液位検知ユニット1Dは、雨水マス100のグレーチング122に対して、ステンレス製の結束具101を介して取り付けられている。液位検知ユニット1Dは、カバー10Dと、液位センサ20と、ケーブル30と、電源装置40と、を備える。
【0079】
(カバー)
図14は、カバー10Dの斜視図であり、(a)はカバー10Dを上方から見た斜視図であり、(b)は下方から見た斜視図である。カバー10Dは、一端が閉鎖されて他端が開口した筒状の部材である。カバー10Dは、例えば、合成樹脂により形成された一体成形部材である。カバー10Dは、延在方向に交差する断面形状が楕円形状又は略楕円形状の筒状部材である。
【0080】
図15は、カバー10Dの平面図である。カバー10Dは、断面形状において短軸Saと、短軸Saに対して相対的に長い長軸Laとを有する。カバー10Dは、上端壁部11Dと、一対の短軸側壁部12D,13Dと、一対の長軸側壁部14D,15Dと、を有する。カバー10Dは、上端壁部11Dと、短軸側壁部12D,13Dと、長軸側壁部14D,15Dとによって液位センサ20を収容する収容空間Sを画定する。一対の短軸側壁部12D,13Dは、短軸Saの方向に対向しかつ長軸Laの方向に沿って延在する。長軸側壁部14D,15Dは、長軸Laの方向に対向しかつ短軸Saの方向に沿って延在する。
【0081】
上端壁部11Dは、カバー10Dの一端を閉鎖している。液位検知ユニット1Dは、上端壁部11Dにおいてグレーチング122に取り付けられる。カバー10Dは、上端壁部11Dにおいて、短軸側壁部12D,13Dに沿って他端とは反対の側に突出する短手リブ(第1リブ)11Daと、長軸側壁部14D,15Dに沿って他端とは反対の側に突出する長手リブ(第2リブ)11Dbと、を有する。第1リブ11Da及び第2リブ11Dbは、排水設備100に対してカバー10Dを結束する結束具101を支持可能である。
【0082】
短手リブ11Da及び長手リブ11Dbは、薄板状に形成された部分である。なお、短手リブ11Da及び長手リブ11Dbの数は特に限定されてない。各短手リブ11Daは、短軸Saに沿って延在している。短手リブ11Daはそれぞれ、長軸Laの方向に等間隔をあけて設けられている。短手リブ11Daは、上端壁部11Dから収容空間Sとは反対の側に突出している。
【0083】
長手リブ11Dbは、短手リブ11Daに対して交差するようにして長軸Laの方向に沿って延在している。長手リブ11Dbは、長軸Laの方向において両端に設けられた短手リブ11Daの間を延在している。長手リブ11Dbはそれぞれ、短軸Saの方向における短手リブ11Daの一端と他端との間で等間隔をあけて設けられている。
【0084】
短手リブ11Da及び長手リブ11Dbの高さは、上端壁部11Dに取り付けられたケーブル30の太さよりも高くなっている。これにより、液位検知ユニット1Dをグレーチング122に取り付けた場合、ケーブル30がグレーチング122に接触することを回避することができる。
【0085】
短手リブ11Da及び長手リブ11Dbはそれぞれ、ステンレス製の結束具101を支持する支持開口(図示せず)を有する。各短手リブ11Daにおける支持開口は、短手リブ11Daの厚さ方向に貫通して形成されている。短手リブ11Daにおける支持開口は、短手リブ11Daと長手リブ11Dbとの交差位置の間に設けられている。
【0086】
各長手リブ11Dbにおける支持開口は、長手リブ11Dbの厚さ方向に貫通して形成されている。支持開口は、短手リブ11Daと長手リブ11Dbとの交差位置の間に設けられている。
【0087】
液位検知ユニット1Dが取り付けられるグレーチング122の格子パターンに応じて、又は、液位検知ユニット1Dが取り付けられるグレーチング122の位置に応じて、適切な位置の支持開口を選択して結束具101を取り付けられる。なお、短手リブ11Da、長手リブ11Db及び支持開口の数は、特に限定されない。
【0088】
上端壁部11Dには、液位センサ20を吊り下げるケーブル30を案内する案内部11Dcが形成されている。案内部11Dcは、長軸Laの方向において長軸側壁部14Dの側に設けられている。案内部11Dcは、ケーブル30をカバー10Dの外部から収容空間S内に案内する。ケーブル30は、案内部11Dcに取り付けられている。
【0089】
一対の短軸側壁部12D,13Dは、長軸Laに沿って直線状に延在している。短軸側壁部12D,13Dはそれぞれ、短軸Saの方向に互いに所定の間隔d2をあけて設けられている。各短軸側壁部12D,13Dの間の間隔d2は、短軸Saの方向での液位センサ20の浮き上がりを許容しない程度に設定されている。
【0090】
カバー10Dには、少なくとも1つの孔16Dが形成されている。短軸側壁部12D,13Dはそれぞれ、複数の孔16Dを有する。カバー10Dの延在方向において孔16Dは、液位センサ20が吊り下げられた状態において液位センサ20に対して上端壁部11Dの側に設けられている。孔16Dを通じて、カバー10D内の水及び空気がカバー10Dの外部に排出される。
【0091】
一対の長軸側壁部14D,15Dは、長軸Laの方向における一対の短軸側壁部12D,13Dの端部の間を延在している。長軸側壁部14D,15Dは、平面視において収容空間Sから外部に凸に円弧状に延在している。
【0092】
一対の長軸側壁部14D,15Dは、長軸Laの方向に互いに所定の間隔d3をあけて設けられている。各長軸側壁部14D,15Dの間の間隔d3は、液位センサ20が液面の上昇に応じて長軸Laの方向に浮き上がり、液面が警戒液位K1に達したことを少なくとも検知できる程度に傾くことを許容する程度に設定されている。
【0093】
(液位センサ及びケーブル)
液位センサ20は、フロート型のセンサである。液位センサ20は、ケーブル30によりカバー10D内に吊り下げられた状態において収容されている。液位センサ20は、カバー10D内で液面に浮んでカバー10D内の液位が上昇するに伴い、カバー10Dの長軸側壁部14D,15Dに沿って浮き上がり、吊下げ方向Hにおいてケーブル30が接続された一端21がケーブル30とは反対側の他端22に近づくことにより、警戒液位K1を検知する。
【0094】
カバー10D内に吊り下げられた状態でカバー10Dの長手方向に沿った吊下げ方向Hにおいて、上端壁部11Dの側の液位センサ20の一端(先端)21にケーブル30が取り付けられている。液位センサ20は、先端21から吊下げ方向Hにおいて先端21とは反対側にある基端(他端)22の中心を延在する軸線x1が、例えば、水平状態に近づいていく過程においてスイッチがオンになる。
【0095】
液位センサ20は、カバー10Dに収容された状態において、その基端22が上端壁部11Dとは反対側のカバー10Dの他端よりも上端壁部11Dの側に位置する。つまり、液位センサ20は、全体が収容空間S内に位置する。
【0096】
図16は、液位センサ20がカバー10Dに取り付けられた状態を示す断面図である。液位センサ20を吊り下げるケーブル30は、一対の長軸側壁部14D,15Dのうち一方の長軸側壁部14Dに取り付けられている。
【0097】
ケーブル30は、液位センサ20と電気的に接続されている。ケーブル30は、上端壁部11Dの案内部11Dcを通じてカバー10Dの外部から内部に延在している。ケーブル30の一端は、液位センサ20の先端21の側に接続されている。なお、ケーブル30の他端は、カバー10Dの外部に設けられた電源装置40に接続されている。
【0098】
ケーブル30は、一方の長軸側壁部14Dに沿って延在している。ケーブル30は、液位センサ20から所定の間隔をあけた位置で、帯状の締結具31により一方の長軸側壁部14Dに取り付けられている。例えば、長軸側壁部14Dには2つの挿通孔(図示せず)が形成されており、締結具31の一端を一方の挿通孔からカバー10D内に挿通し、ケーブル30の長軸側壁部15D側を通って、再び他方の挿通孔からカバー10Dの外側に導出することでケーブル30はカバー10Dに固定されている。
【0099】
ケーブル30は、締結具31によって固定された位置を固定点P1とし、この固定点P1を中心に、長軸側壁部15Dに向かって可動に支持されている。ケーブル30は、固定点P1と液位センサ20の先端21との間の領域において長軸Laに沿って可動になっている。固定点P1の位置は、例えば、液位センサ20が液位センサ20の軸線x1が水平状態になることを可能にするように設定されていればよい。
【0100】
液位センサ20は、ケーブル30を介してカバー10Dに吊られた状態において長軸側壁部14Dに外周面の一部が接触している。液位センサ20がカバー10Dに取り付けられた状態において、液位センサ20の一端21から他端22に沿って延在する軸線x1は、長軸側壁部14Dから長軸側壁部15Dの側に向かって傾いている。液位センサ20の軸線x1は、基端22の側で先端21に対して長軸側壁部14Dから離れ、長軸側壁部15Dに接近している。
【0101】
(カバーと液位センサとの関係)
図17は、カバー10Dと液位センサ20との寸法について説明するための図である。一対の短軸側壁部12D,13Dの間隔d2は、液位センサ20の長さ20Lよりも小さい(d2<20L)。間隔d2は、液位センサ20の最大直径20Rmaxよりも僅かに大きい(d2>20Rmax)。例えば、間隔d2は、最大直径20Rmaxに対して、1.10~1.30倍であることが好ましい。間隔d2は、短軸Saの方向に沿った液位センサ20の浮き上がりを防止するように設定されていればよい。
【0102】
一対の長軸側壁部14D,15Dの間隔d3は、液位センサ20の長さ20Lよりも大きい(d3>20L)。間隔d3は、少なくとも液位センサ20の長さ20Lと、液位センサ20が浮かんで水平に傾いた状態におけるケーブル30の固定点P1から液位センサ20の先端21までの間隔30Lとを足した寸法より大きい寸法である(d3>20L+30L)。間隔d3は、長軸Laの方向に沿って液位センサ20の浮き上がり、少なくとも軸線x1が水平状態に近づいていく過程において警戒液位K1を検知することを阻害しないように設定されていればよい。
【0103】
(電源装置)
電源装置40は、グレーチング122に取り付けられている。電源装置40にはケーブル30が電気的に接続されている。電源装置40は、液位センサ20に対してケーブル30を介して電気を供給している。電源装置40は、複数のフック41を有している。フック41に結束具101が通されることにより、電源装置40は、グレーチング122に取り付けられる。
【0104】
[液位検知ユニットの動作]
図18は、グレーチング122に液位検知ユニット1Dが取り付けられた状態を示す断面図である。液位センサ20は、長軸Laの方向に短軸側壁部12D,13Dに沿って液面WLに浮かんで液位センサ20の軸線x1が水平状態に近づくように傾くことで、液面WLが警戒液位K1に達したことを検知する。つまり、液位センサ20が警戒液位K1を検知する際、液位センサ20が液面WLに浮かんで、吊下げ方向Hにおいて液位センサ20の先端21が基端22に近づき、先端21と基端22との距離が短くなる。
【0105】
液位センサ20が検知する液面WLの警戒液位K1は、雨水マス100のグレーチング122から液位センサ20の吊下げ方向Hに沿って所定の間隔hをあけた位置に任意に設定される。液面WLが警戒液位K1に達すると、例えば、雨水マス100から水が溢れ出すおそれがあることの指標となる。例えば、液位センサ20は、基端22から所定の高さ位置における液位を検知するようになっている。カバー10D内でのケーブル30の長さを調整して、適宜、液位センサ20の吊り下げ位置を変更して、任意に設定された警戒液位K1に対応させることができる。
【0106】
図19は、液位検知ユニット1Dの動作を説明するための図であり、(a)は液位センサ20の初期状態を示す図であり、(b)は液位センサ20が液面WLに浮かんで傾いた状態であり、警戒液位K1を検知する前の状態を示す図であり、(c)はさらに液面WLが上昇して液位センサ20が傾いて警戒液位K1を検知する状態を示す図である。例えば、豪雨によりグレーチング122を通じて雨水マス100内に下水道管に流せる以上の想定外の雨量の雨水が流入することがある。配管口111から溢れた水は、雨水マス100内に戻ってくる。これにより、雨水マス100の本体部110内の液面WLが上がってくる(
図19(a)参照)。
【0107】
雨水マス100内に流入する雨量の液位の上昇に伴い、カバー10Dの内側にも上端壁部11Dとは反対の側から水が入り込んでくる。液面WLが液位センサ20の基端22にまで達すると、液位センサ20が浮かび出す。
【0108】
カバー10Dにおける短軸側壁部12D,13D間の間隔d2は、液位センサ20の最大直径20Rmaxよりも僅かに大きくなっているだけである。液位センサ20は、短軸Saの方向及び鉛直方向(吊下げ方向H)ではなく、短軸側壁部12D,13Dに沿うようにしてケーブル30とともに傾きながら長軸Laの方向に沿って長軸側壁部15Dに向かって浮き上がる(
図19(b)参照)。
【0109】
液位センサ20は、浮力より質量が大きくなっている。液位センサ20において浮力の中心点は基端22の側にあり、液位センサ20の重心は先端21の側に位置している。そのため、浮力の中心点と重心とがずれていることにより、液位センサ20に回転モーメントが発生する。回転モーメントの発生により、液位センサ20は、液面WLが上昇するに伴い、液位センサ20の先端21が傾いて、吊下げ方向Hにおいて液位センサ20の先端21が基端22の側に近づいて軸線x1が水平又は略水平に近づく(
図19(c)参照)。
【0110】
液面WLが警戒液位K1にまで達して、例えば、液位センサ20の軸線x1が長軸側壁部14Dとの間で所定の角度を超えると、内部の球体が転がりマイクロスイッチがオンになる。液位センサ20は、雨水マス100内の液面WLが警戒液位K1に達したことを警告する信号を外部機器に送信する。
【0111】
以上のような液位検知ユニット1Dを排水設備100に取り付けることにより、水害の発生を事前に認識することができる。液位検知ユニット1Dによれば、液位センサ20はカバー10D内に収容されているので、グレーチング122から流入してきた異物が液位センサ20に付着することを防止するとともに、流入してきた水により液位センサ20が意図せず揺らされて、液位センサ20が警戒液位K1に達したことを誤検知することを確実に回避することができる。カバー10Dにより、液位センサ20は、カバー10D内で上昇する液面WLのみに基づいて警戒液位K1を検知することができる。
【0112】
カバー10Dにより、長軸Laの方向に沿った液位センサ20の浮き上がりのみを許容するように短軸側壁部12D,13D間の間隔d2が設定されている。つまり、カバー10Dにより、液位センサ20の浮上り方向は、長軸Laに沿った方向にのみ限定されている。カバー10Dにおいては短軸Saに沿った方向での液位センサ20の浮上りを許容するスペースを設ける必要がなく、短軸Saの方向でのカバー10Dの小型化を達成することができる。これにより、部品コスト及びカバー10Dの製作費用を抑えることができる。また、カバー10Dの小型化により、液位検知ユニット1Dを設置する場所に対する自由度が大きくなる。
【0113】
液位センサ20を一方の長軸側壁部14Dに取り付けられているので、液位センサ20が浮き上がる方向を一方向(他方の長軸側壁部15Dに向かう方向)にのみ限定することができる。これにより、例えば、一対の長軸側壁部14D,15Dの間隔d3における中間位置に液位センサ20を設置して、両方向に液位センサ20が浮き上がることが可能な構成に比べて、カバー10Dの小型化という観点において優れている。
【0114】
液位センサ20は、基端22が長軸側壁部15Dに向かって傾いた状態で吊り下げられているので、長軸Laの方向に沿った液位センサ20の浮き上がりが容易になる。
【0115】
液位センサ20は、円状の断面形状を有しているので、液位センサ20が短軸側壁部12D,13Dと接触した場合であっても、その接触は点接触であり、長軸Laの方向での移動が妨げられることを防ぐことができる。
【0116】
短軸側壁部12D,13Dに孔16Dが設けられているので、カバー10Dに入り込んだ空気をカバー10Dの外に排出することができるので、カバー10D内に空気が溜まり、意図せずカバー10D内の液位が下がることを防ぐことができる。
【0117】
また、カバー10Dの上端壁部11Dには、複数のリブ11Da,11Dbが短軸Saの方向及び長軸Laの方向に沿って格子状に延在している。そのため、液位検知ユニット1Dを取り付ける対象、例えば、グレーチング122の格子形状に対応して、結束具101を介して液位検知ユニット1Dを取り付ける位置、向きの自由度が高まる。
【0118】
<その他>
例えば、上記の実施の形態の液位検知ユニット1Dにおいては、液位センサ20は、一方の長軸側壁部14Dの側に設けられていた。これに対して、ケーブル30が短軸側壁部12D,13Dのいずれかで、長軸Laの方向の中間位置に締結具31により固定されていてもよい。この場合、液位センサ20が長軸Laの方向の両方向に浮き上がることを可能にするような間隔d3を有するようにカバー10Dは設計される。
【0119】
また、カバー10Dは、延在方向に交差する断面形状が楕円形状又は略楕円形状であったが、矩形又は略矩形であってもよい。また、カバー10Dは、延在方向に交差する断面形状が同じであれば、金属製の網籠等により形成されていてもよい。
【0120】
<第4の実施の形態>
以下に、第4の実施の形態に係る液位検知ユニット1Eについて説明する。
図20は、第4の実施の形態に係る液位検知ユニット1Eの構成を説明する図であり、(a)は斜視図であり、(b)は正面図である。なお、電源装置40については図示を省略する。以下、液位検知ユニット1Dと異なる部分について主として説明し、液位検知ユニット1Dと同じ部分については同じ符号を付して説明を省略する。
【0121】
第4の実施の形態に係る液位検知ユニット1Eは、例えば、液位検知ユニット1Dと同様の雨水マス100に適用される。液位検知ユニット1Eは、ケーブル30とは別のケーブル60を介してカバー10Eの一端から他端に向かって液位センサ20より下側で吊り下げられてカバー10E内に収容されており、液位センサ20が検知する警戒液位K1よりも下側において別の所定の液位K2に達したことを検知するフロート型の第2液位センサ50をさらに備える。
【0122】
液位検知ユニット1Eは、カバー10Eと、液位センサ20,50と、ケーブル30,60と、電源装置(図示せず)と、を備える。カバー10Eは、第3の実施の形態に係るカバー10Dと同じ構成を有している。
【0123】
上端壁部11Dには、液位センサ50を吊り下げるケーブル60を案内する案内部11Edが形成されている。案内部11Edは、長軸Laの方向において長軸側壁部14Dとは反対の側で長軸側壁部15Dの側に設けられている。案内部11Edは、ケーブル60をカバー10Eの外部から収容空間S内に案内する。ケーブル60は、案内部11Edに取り付けられている。
【0124】
長軸側壁部15Dには、浮き上がった状態の液位センサ20と接触しない位置で、ケーブル60を案内する案内路17Eが形成されている。長軸側壁部15Dは、カバー10Eの延在方向に沿って延びる案内路17Eを有する。案内路17Eは、液位センサ20に対向する範囲にわたって延びている。案内路17Eには、上端壁部11Dの案内部11Edを通じてカバー10E内に案内されたケーブル60が通されている。
【0125】
図21(a)は、
図20(b)のXXI(a)-XXI(a)線における断面図であり、液位センサ20が浮き上がった状態を示し、
図21(b)は、
図20(b)のXXI(b)-XXI(b)線における断面図であり、液位センサ50が浮き上がった状態を示す。案内路17Eは、短軸Saの方向において長軸側壁部15Dの中央部分に形成されている。案内路17Eは、短軸Saの方向でカバー10Eの間隔を狭められた部分である。長軸側壁部14Dから案内路17Eまでの間隔d4は、少なくとも、液位センサ20の長さ20Lとケーブル30の間隔30Lとを足した距離(20L+30L)よりも大きく設定されている(d4>20L+30L)。
【0126】
カバー10Eにはストッパ18Eが設けられている。ストッパ18Eは、吊下げ方向Hにおいて液位センサ20と液位センサ50との間に設けられている。ストッパ18Eは、液位K2に対応する位置に対して液位センサ20の側へ液位センサ50が浮き上がることを防止する。
【0127】
ストッパ18Eは、カバー10Eとは別体に形成された部材であり、短軸側壁部12D,13D及び長軸側壁部14D,15Dの少なくとも一方に取り付けられている。ストッパ18Eは、液位センサ20に対して下側に位置する液位センサ50が液面の上昇にともない液位センサ20に向かって浮き上がり、液位センサ20の長軸Laの方向に沿った移動を妨げないようにするためのものである。
【0128】
ストッパ18Eは、吊下げ方向Hにおいて液位センサ20と第2液位センサ50との間に設けられている。具体的には、ストッパ18Eは、吊下げ方向Hにおいて第2液位センサ50が検知の対象とする液位K2よりも上側であり、かつ、液位センサ20の可動範囲の下端よりも下側で、カバー10Eに設けられている。また、ストッパ18Eは、締結具61によってケーブル60が長軸側壁部15Dに固定された固定点P2よりも液位センサ20の側(上側)に設けられている。
【0129】
液位センサ50の構成は、液位センサ20と同じである。ケーブル60の構成は、ケーブル30と同じである。液位センサ50は、ケーブル60によりカバー10E内に吊り下げられた状態において収容されている。液位センサ50は、吊下げ方向Hにおいて、液位センサ20よりも下側に位置する。液位センサ50は、カバー10E内で液面に浮かんでカバー10E内の液位が上昇するに伴い、吊下げ方向Hにおいてケーブル60が接続された一端51が液位センサ50の他端52に近づくことにより、カバー10Eの長軸側壁部14D,15Dに沿って浮き上がり、所定の液位K2を検知する。
【0130】
液位センサ50は、カバー10Eに収容された状態において、その基端52が上端壁部11Dとは反対側のカバー10Eの他端よりも上端壁部11Dの側に位置する。つまり、液位センサ50は、全体が収容空間S内に位置する。
【0131】
ケーブル60は、上端壁部11Dの案内部11Edを通じてカバー10Eの外部から内部に延在している。ケーブル30は、カバー10Eの外部に設けられた電源装置40に接続されている。
【0132】
ケーブル60は、一方の長軸側壁部15Dに沿って延在している。ケーブル60は、液位センサ50から所定の間隔をあけた位置で、帯状の締結具61により一方の長軸側壁部15Dに取り付けられている。例えば、長軸側壁部15Dには2つの挿通孔(図示せず)が形成されており、締結具61の一端を一方の挿通孔からカバー10E内に挿通し、ケーブル60の長軸側壁部15D側を通って、再び他方の挿通孔からカバー10Eの外側に導出することでケーブル60はカバー10Eに固定されている。
【0133】
ケーブル60は、締結具61によって固定された位置を固定点P2とし、この固定点P2を中心に、長軸側壁部14Dに向かって可動に支持されている。ケーブル60は、固定点P2と液位センサ50の先端51との間の領域において長軸Laに沿って可動になっている。固定点P2の位置は、例えば、液位センサ50が液位センサ50の軸線x2が水平状態になることを可能にするように設定されていればよい。
【0134】
液位センサ50は、ケーブル60を介してカバー10Eに吊られた状態において長軸側壁部15Dに外周面の一部が接触している。液位センサ50がカバー10Eに取り付けられた状態において、液位センサ50の一端51から他端52に沿って延在する軸線x2は、長軸側壁部15Dから長軸側壁部14Dの側に向かって傾いている。液位センサ50の軸線x2は、基端52の側で先端51に対して長軸側壁部15Dから離れ、長軸側壁部14Dに接近している。
【0135】
液位センサ50の長さ50Lと、液位センサ20が浮かんで水平に傾いた状態におけるケーブル60の固定点P2から液位センサ50の先端51までの間隔とを足した寸法(50L+60L)は、一対の長軸側壁部14D,15Dの間隔d3よりも小さく設定されている。
【0136】
[液位検知ユニットの動作]
図22は、液位検知ユニット1Eの動作を説明するための図であり、(a)は液位センサ50の初期状態を示す図であり、(b)は液位センサ50が液面WLに浮かんで傾いた状態であり、液位K2を検知する前の状態を示す図であり、(c)はさらに液面WLが上昇して液位センサ50が傾いて液位K2を検知する状態を示す図である。液位センサ50が検知する液面の液位K2は、雨水マス100のグレーチング122から液位センサ20の吊下げ方向Hに沿って所定の間隔をあけた位置に任意に設定される。液位K2は、警戒液位K1よりも下側の位置に設定されている。
【0137】
例えば、雨水マス100に配管口111の下側に別の配管口(図示せず)が設けられている場合、豪雨によりグレーチング122を通じて雨水マス100内に下水道管に流せる以上の想定外の雨量の雨水が流入することがある。別の配管口から溢れた水は、雨水マス100内に戻ってくる。これにより、雨水マス100の本体部110内の液面WLが上がってくる(
図22(a)参照)。
【0138】
雨水マス100内に流入する雨量の液位の上昇に伴い、カバー10Eの内側にも上端壁部11Dとは反対の側から水が入り込んでくる。液面WLが液位センサ50の基端にまで達すると、液位センサ50が浮かび出す。
【0139】
カバー10Eにおける短軸側壁部12D,13D間の間隔d2は、液位センサ50の最大直径よりも僅かに大きくなっているだけである。液位センサ50は、短軸Saの方向及び鉛直方向ではなく、短軸側壁部12D,13Dに沿うようにしてケーブル60とともに傾きながら長軸Laの方向に沿って長軸側壁部14Dに向かって浮き上がる(
図22(b)参照)。
【0140】
液位センサ50は、浮力より質量が大きくなっている。液位センサ50において浮力の中心点は基端の側にあり、液位センサ50の重心は先端の側に位置している。そのため、浮力の中心点と重心とがずれていることにより、液位センサ50に回転モーメントが発生する。回転モーメントの発生により、液位センサ50は、水面WLが上昇するに伴い、液位センサ50の先端51が傾いて、吊下げ方向Hにおいて液位センサ50の先端51が基端52の側に近づいて軸線x2が水平又は略水平に近づく(
図12(c)参照)。
【0141】
液面WLが液位K2にまで達すると、例えば、液位センサ50の軸線x2が水平又は略水平になり、内部の球体が転がりマイクロスイッチがオンになる。液位センサ50は、雨水マス100内の水面WLが液位K2に達したことを警告する信号を外部機器に送信する。
【0142】
カバー10E内の液位がさらに上昇した場合であっても液位センサ50の浮き上がりは、ストッパ14によって制限される。液面WLがストッパ14を超えてさらに上昇し、警戒液位K1に達すると液位センサ20が作動する。液位センサ20の動作は、第1の実施の形態と同様である。
【0143】
以上のような液位検知ユニット1Aによれば、液位検知ユニット1Aの吊下げ方向Hにおいて、異なる2つの高さ位置で液位K1,K2を検知することができる。例えば、雨水マス100に高さ方向において2つの配管口が設けられている場合、液面WLが警戒液位K1に達する前の、警戒液位K1よりも低い液位K2に達した段階で、下側の配管口から水が逆流していることを検知することができる。これにより、液面WLが警戒液位K1に達する前に、雨水マス100から水が溢れるおそれが高まっていることを早期の段階で認識することができる。
【0144】
さらに、カバー10Aは、案内路13cを有しているので、液位センサ50のケーブル60が液位センサ20の浮き上がりを妨害することはない。
【0145】
さらに、カバー10Aは、ストッパ14を有しているので、液位センサ50が浮き上がり、液位センサ20の浮き上がりを妨害することは防がれている。
【0146】
<その他>
例えば、液位センサ50は、液位センサ20が設けられていた長軸側壁部14Dの側に対向する長軸側壁部15Dの側に設けられていたが、長軸側壁部14Dの側に設けられていてもよい。
【0147】
以上、本発明の好適な実施の形態1~4について説明したが、本発明は上記の実施の形態4に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。また、例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
【符号の説明】
【0148】
1A,1B,1C,1D,1E…液位検知ユニット、10A,10B…プレートユニット、10D…カバー(筒状部材)、11A…取付プレート、11D…上端壁部、11Da…短手リブ(第1リブ)、11Db…長手リブ(第2リブ)、11Dc,11Ed…案内部、12A…支持プレート(支持部)、12D,13D…短軸側壁部、13C…延長支持プレート(延長支持部)、14D,15D…長軸側壁部、13A…アングル部材、14A…挿通孔、15A…挿通孔、16A…突出板、16D…孔、17E…案内路、18E…ストッパ、20…液位センサ、20L…長さ、20R…直径、20Rmax…最大直径、21…先端(一端)、22…基端(他端)、30…ケーブル、30L…間隔、31…締結具、40…電源装置、41…フック、50…液位センサ(第2液位センサ)、50L…長さ、51…先端(一端)、52…基端(他端)、60…ケーブル(別のケーブル)、61…締結具、100…排水設備、雨水マス、101…結束具、110…本体部、111…配管口、120…流入部、121…流入開口、122…グレーチング、La…長軸、Sa…短軸