(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】四倍体ブルメアバルサミフェラ不定芽の取得方法
(51)【国際特許分類】
A01H 1/08 20060101AFI20241003BHJP
A01H 5/06 20180101ALI20241003BHJP
A01H 6/14 20180101ALI20241003BHJP
C12N 5/04 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A01H1/08
A01H5/06
A01H6/14
C12N5/04
(21)【出願番号】P 2023565397
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(86)【国際出願番号】 CN2022127259
(87)【国際公開番号】W WO2023109320
(87)【国際公開日】2023-06-22
【審査請求日】2023-10-24
(31)【優先権主張番号】202111522569.0
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521440596
【氏名又は名称】中国▲熱▼▲帯▼▲農▼▲業▼科学院▲熱▼▲帯▼作物品▲種▼▲資▼源研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】陳暁鷺
(72)【発明者】
【氏名】王丹
(72)【発明者】
【氏名】于福来
(72)【発明者】
【氏名】元超
(72)【発明者】
【氏名】楊永
(72)【発明者】
【氏名】肖永鋒
(72)【発明者】
【氏名】羅沁
(72)【発明者】
【氏名】黎玉蘭
(72)【発明者】
【氏名】陳振夏
(72)【発明者】
【氏名】陳英樺
(72)【発明者】
【氏名】于平
(72)【発明者】
【氏名】官玲亮
(72)【発明者】
【氏名】張影波
(72)【発明者】
【氏名】黄梅
(72)【発明者】
【氏名】謝小麗
(72)【発明者】
【氏名】王凱
【審査官】市島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105309315(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111296286(CN,A)
【文献】J. Biomed. Biotechnol.,2009年,Vol. 2009, Article ID 343485
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01H 1/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二倍体ブルメアバルサミフェラの根を外植体として、根を切った後、0.025~0.1mg/
LのNAA、1.0~2.0mg/
Lの6-BA及び90~150mg/Lコルヒチンを含有する倍加培地で培養するステップを含み、
根を切った後、根の切片の長さは4cm以上であることを特徴とする四倍体ブルメアバルサミフェラ不定芽の取得方法。
【請求項2】
前記倍加培地は、基礎培地に0.025~0.1mg/
LのNAA、1.0~2.0mg/
Lの6-BA、90~150mg/Lコルヒチン、10~70g/Lスクロース及び2~8g/L寒天を添加したものであることを特徴とする請求項1に記載の四倍体ブルメアバルサミフェラ不定芽の取得方法。
【請求項3】
培養時間は20~60
日であることを特徴とする請求項1に記載の四倍体ブルメアバル
サミフェラ不定芽の取得方法。
【請求項4】
前記根の切片の長さは4~8cmであることを特徴とする請求項
1に記載の四倍体ブル
メアバルサミフェラ不定芽の取得方法。
【請求項5】
前記基礎培地は1/2MS培地又はMS培地であることを特徴とする請求項2に記載の
四倍体ブルメアバルサミフェラ不定芽の取得方法。
【請求項6】
前記倍加培地は、基礎培地に0.05mg/
LのNAA、1.0mg/
Lの6-BA、120mg/Lコルヒチン、30g/Lスクロース及び6g/L寒天を添加したものであることを特徴とする請求項2又は
5に記載の四倍体ブルメアバルサミフェラ不定芽の取得方法。
【請求項7】
0.025~0.1mg/
LのNAA、1.0~2.0mg/
Lの6-BA及び90~150mg/Lコルヒチンを含有することを特徴とする四倍体ブルメアバルサミフェラ不定芽を取得するための倍加培地。
【請求項8】
前記倍加培地は、基礎培地に0.025~0.1mg/
LのNAA、1.0~2.0mg/
Lの6-BA、90~150mg/Lコルヒチン、10~70g/Lスクロース及び2~8g/L寒天を添加したものであることを特徴とする請求項8に記載の倍加培地。
【請求項9】
前記倍加培地は、基礎培地に0.05mg/
LのNAA、1.0mg/
Lの6-BA、120mg/Lコルヒチン、30g/Lスクロース及び6g/L寒天を添加したものであることを特徴とする請求項8に記載の倍加培地。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年12月14日に中国特許庁に提出され、出願番号202111522569.0、発明の名称「四倍体ブルメアバルサミフェラ不定芽の取得方法」の中国特許出願の優先権を主張し、その全内容は参照により本出願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、植物の多倍体育種の技術分野に属し、具体的には、四倍体ブルメアバルサミフェラ不定芽の取得方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ブルメアバルサミフェラ(Blumea balsamifera(L.)DC.)は、キク科のブルメアバルサミフェラ属の多年生の草本植物であり、漢方薬ボルネオールの供給源植物であり、その抽出物は、さまざまな漢方薬の主な原材料であり、食品、化粧品などの市場分野で広く使用されており、市場の見通しが優れている。
【0004】
長い間、ブルメアバルサミフェラの植栽技術は比較的遅れており、優良品種種苗の拡大繁殖は主な難点である。ブルメアバルサミフェラは、生産の上で、主に種子繁殖と根分け繁殖であり、種子繁殖は性的生殖であり、欠点は、出芽率が低く、子孫は性状が分離され、元の性質を維持できないことである。根分け繁殖は無性繁殖であり、欠点は、元の植物の病原体を除外できず、効率が低いことである。したがって、ブルメアバルサミフェラ種苗の体外拡大繁殖に関する研究を実施する必要がある。ブルメアバルサミフェラは薬用植物であり、その薬効成分であるボルネオールはその二次代謝産物に属し、多倍体育種は、ボルネオールを含むその二次代謝産物の蓄積を促進するため、多倍体育種は、ブルメアバルサミフェラのバイオテクノロジー育種の重要な方向である。
【0005】
前人は、主に腋芽の染色体倍加の誘導に基づいて、ブルメアバルサミフェラの染色体倍加技術についてさまざまな試みを行った。しかし、該技術には根本的な欠陥がある。腋芽増殖の誘導は、最も一般的に使用されているブルメアバルサミフェラ種苗の迅速繁殖技術であり、それは植物の元の側芽成長点を刺激して成長することにより、拡大繁殖の目的を達成し、細胞脱分化のプロセスは含まれない。この方法で人工変異または遺伝子組み換えを行うと、キメラを取得する可能性は非常に高くなり、何故なら、元の芽を構成する複数の細胞を全部変異または変換しにくく、2つの細胞が混合してキメラを生成するからである。成長プロセス中、キメラは不安定な特性と特性の消失の問題が発生し、育種作業の失敗をもたらす。
【0006】
従来技術において、処理するのは腋芽であり、つまり、処理する芽は、芽の分化が完了した既存の腋芽であり、したがって、人工的にその染色体倍加を誘導する過程では、有糸分裂中の細胞にしか作用できず、前期に有糸分裂を完了した細胞に対して、有糸分裂を継続しない場合、その染色体の倍加を刺激できない。そのため、処理対象全体のすべての細胞を完全に倍加することができないという不完全な処理が発生し、得られた芽体の中には、倍加した四倍体細胞と倍化していない二倍体細胞、すなわちキメラが混在している。キメラ植物の成長と繁殖の際、多倍体細胞と二倍体細胞の成長・発達傾向の差異により、多倍体植物は容易に二倍体植物に退化し、したがって、既存の技術は、現在のブルメアバルサミフェラの育種ニーズを満たしにくい。
【0007】
試すことができる別の技術は、葉外植体の使用であり、最初に1種の培地を使用して二倍体カルスを生成するように誘導し、次に人工誘導技術で、二倍体カルス細胞を四倍体カルスに倍加するように誘導し、次に別の培地に移し、四倍体カルスを分化するように誘導して四倍体不定芽を形成する。現在では、ブルメアバルサミフェラの多倍体育種におけるこの技術の応用の成功を報告する文献はない。通常、人為突然変異はカルスの段階で行われるが、失敗した変異の細胞の一部も分化して不定芽を形成する可能性があるため、該プロセスにもキメラの問題がある。また、この技術は、3つのステップで、少なくとも3種の培地を調製し、少なくとも3回接種し、少なくとも3つの段階で培養する必要があるため、プロセスは繁雑で、特定の確率で、カルスの段階で偶発する非目的変異があり、変異又は遺伝変換結果を干渉する。
【0008】
これを考慮して、現在では、キメラを生成しない、あるいはキメラ率が低く、かつプロセスが簡便である、四倍体ブルメアバルサミフェラ不定芽を取得する組織培養方法はまだ欠乏する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【文献】Hindawi Publishing Corporation, Journal of Biomedicine and Biotechnology ,Volume 2009, Article ID 343485, 7 pages, doi:10.1155/2009/343485
【文献】(1.北京中医▲葯▼大学 中▲葯▼学院,北京 102488; 2.北京▲師▼范大学良▲郷▼附属中学,北京 102488; 3.北京林▲業▼大学 林学院,北京 100083)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、既存のブルメアバルサミフェラ四倍体技術では、二倍体植物の芽付き茎部(主に既存の頂芽と腋芽を利用する)のみを外植体として選択し、定芽(頂芽と腋芽)細胞を倍加するように刺激して四倍体を取得する欠点を克服するために、二倍体ブルメアバルサミフェラの根を外植体材料として、根の細胞を同時に倍加して直接分化するように誘導して不定芽を生成する方法を提供することを目的とする。本発明は、既存の定芽(頂芽または腋芽)に依存する必要がなく、体細胞を直接倍加させて不定芽に分化させる。本発明の利点は、各細胞が独立かつ直接的に芽を形成することができ、大量の異種細胞と混合したキメラを生成しないことにより、指向性突然変異誘発または遺伝子形質転換の精度が向上し、完全な四倍体を得るための技術的基礎であるだけでなく、ブルメアバルサミフェラの人為突然変異および遺伝子組換え等の育種作業に技術的参考を提供することである。
【0011】
本発明の第一の目的は、二倍体のブルメアバルサミフェラ体細胞を四倍体に倍加させると同時に直接分化するように誘導して四倍体不定芽を生成する方法を提供することである。
【0012】
本発明の第二の目的は、二倍体のブルメアバルサミフェラ根部組織の、カルス段階を経ずに直接四倍体不定芽に分化する技術における応用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段により達成される。
【0014】
本発明は、二倍体ブルメアバルサミフェラの根外植体を利用して、直接倍加して分化するように誘導して四倍体不定芽を形成する、四倍体ブルメアバルサミフェラ不定芽を取得する方法を特許請求する。該組織培養方法により得られる再生芽の源は、外植体としての二倍体ブルメアバルサミフェラの根部であり、該組織培養方法は、1種培地のみを調製し、1回接種し、1つのサイクルで培養するだけで四倍体再生芽が得られ、ブルメアバルサミフェラの体細胞が不定芽に分化するプロセスを完了し、染色体倍加の効果を達成する。
【0015】
該方法は、二倍体ブルメアバルサミフェラの根を外植体として、根を切った後、0.025~0.1mg/LNAA、1.0~2.0mg/L6-BA及び90~150mg/Lコルヒチンを含有する倍加培地で培養するステップを含む。
【0016】
好ましくは、前記倍加培地は、基礎培地に0.025~0.1mg/LNAA、1.0~2.0mg/L6-BA、90~150mg/Lコルヒチン、10~70g/Lスクロース及び2~8g/L寒天を添加したものである。
【0017】
好ましくは、前記根は、定根又は不定根を含む。
【0018】
好ましくは、培養時間は20~60dである。
【0019】
好ましくは、根を切った後、根の切片の長さは2cmより大きい。
【0020】
より好ましくは、根を切った後、根の切片の長さは4~8cmである。長さが短い場合、不定芽の誘導効率が低くなる。長さが長い場合、不定芽の誘導効率が高くなる。しかし長さが長すぎる場合、同じ数量の根から得られる外植体の数は比較的少ない。
【0021】
好ましくは、前記基礎培地は1/2MS培地又はMS培地である。
【0022】
より好ましくは、前記倍加培地は、基礎培地に0.05mg/LNAA、1.0mg/L6-BA、120mg/Lコルヒチン、30g/Lスクロース及び6g/L寒天を添加したものである。
【発明の効果】
【0023】
従来技術に比べて、本発明は以下の有益な効果を有する。
(1)本発明は、以前に芽付き茎部のみを外植体として選択し、定芽(頂芽及び腋芽)で増殖し且つ倍加するように誘導した欠点を克服し、ブルメアバルサミフェラの根を外植体材料として、1つのステップで根の細胞を直接倍加すると同時に分化するように誘導して四倍体不定芽を生成する方法を提供し、ブルメアバルサミフェラの根をブルメアバルサミフェラ多倍体育種の外植体材料とする空白を埋める。本発明の適用結果は、ブルメアバルサミフェラの根が増殖および倍加のための外植体として使用できるだけでなく、外植体の選択のためのより良い選択肢としても使用できることを示している。根外植体の使用により、培養可能な外植体材料対象を増加させ、即ちブルメアバルサミフェラの、バイオテクノロジー育種プロセスにおける有効な外植体源が増加した。
(2)本発明は、二倍体ブルメアバルサミフェラ根細胞を直接倍加させ、同時に分化して四倍体不定芽を形成することができ、従来技術より簡便で迅速であり、キメラの生成も減少した。
(3)本発明は、消耗品、時間及び人件費を節約し、且つブルメアバルサミフェラの指向変異又は遺伝変換の精度を向上させ、ブルメアバルサミフェラの人工変異、細胞工学育種に技術基礎を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】ブルメアバルサミフェラ根外植体による四倍体ブルメアバルサミフェラ不定芽の誘導効果図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の技術的な内容をよりよく理解するために、以下は本発明をさらに説明するための具体的な実施例を提供する。下記実施例で使用される試験方法は、特殊に説明しない限り、すべて従来の方法であり、使用された材料、試薬等は、特別に説明しない限り、商業チャネルから入手した試薬と材料である。
【0026】
本発明で使用された無菌苗はすべて2019年9月~2020年10月に海南省?州市に位置する熱帯作物科学院品種資源研究所南薬組織培養室で栽培したブルメアバルサミフェラ組織培養苗に由来する。
【0027】
実施例における有効な根の切片とは、汚染していない根の切片を指し、誘導率とは、誘導して形成された四倍体不定芽の総数が二倍体外植体の総数で占めるパーセントを指し、計算式は、誘導率(%)=(四倍体不定芽総数/二倍体外植体総数)×100%である。キメラ率(%)=(キメラ不定芽総数/不定芽総数)×100%である。
【0028】
実施例1 四倍体ブルメアバルサミフェラ不定芽の取得方法
S1.健康なブルメアバルサミフェラ種子を従来の滅菌をした後に無菌播種を行い、12日間培養し、ブルメアバルサミフェラ無菌実生苗を得て、その根部組織を取った。
S2.得られた根部組織を切片し、根の切片の長さは1~8cmであった。
S3.倍加培地を利用して根部組織切片を20日間培養し、不定芽を得て、そのうち、無菌播種の培地は、1/2MSを基礎培地として、さらに0.01~0.5mg/LNAA、20~50g/Lスクロース及び3~7g/L寒天を含有した。
倍加培地は、MSを基礎培地として、0.05mg/LNAA、0.1mg/L6-BA、120mg/L0.1mg/L6-BA、コルヒチン、30g/Lスクロース及び6g/L寒天を含有した。
S4.得られた不定芽に対して染色体の倍性識別を行い、四倍体芽の数量を統計し、四倍体芽の誘導率を計算した。
【0029】
その結果、二倍体の根の切片長さが1~2cmである場合、四倍体芽を得るのはほぼ不可能であることがわかり(根の切片長さが1cmの場合には、得られず、根の切片長さが2cmの場合には、96個の二倍外植体では、四倍体の芽は1つしか得られなかった)、したがって、従来の操作に従って根の切片を1~2cmの長さに分割し、倍加培地上で培養した場合、倍加の目的を達成して多倍体の植物を得ることはほとんど不可能である。二倍体の根の切片の長さが4cm以上になった場合にのみ、倍加した四倍体の不定芽が得られる。
【0030】
(表1異なる長さがある二倍体根外植体によって四倍体不定芽を誘導した誘導率)
【0031】
実施例2 四倍体ブルメアバルサミフェラ不定芽の取得方法
S1.不定根誘導培地を利用して外植体を分化するように培養して不定根を得て、外植体を30日間培養した。
S2.不定根を切片し、各切片の長さは6cmであった。
S3.従来のブルメアバルサミフェラ組織培養技術を利用して培養して芽付き茎部を得て、各芽付き茎部の長さは2~3cmであり、茎部あたりに2つ~3つの生きた頂芽又は腋芽があった。
S4.倍加培地を利用して不定根切片及び芽付き茎部を培養し、60日間培養し、不定芽を得て、そのうち、不定根誘導培地は、1/2MSを基礎培地として、さらに0.01~0.5mg/LNAA、20~50g/Lスクロース及び3~7g/L寒天を含有した。
倍加培地は、1/2MSを基礎培地として、さらに0.1mg/LNAA、2.0mg/L6-BA、120mg/Lコルヒチン、70g/Lスクロース及び6g/L寒天を含有した。
S5.得られた不定芽に対して染色体の倍性識別を行い、二倍体、四倍体及びキメラ芽の数量を統計し、四倍体芽の誘導率及びキメラ率を計算した。
【0032】
結果は、根を外植体として使用して倍加を誘導して四倍体を得る技術が、既存の技術より、不定芽の効率が高く、キメラの割合が低いことを示した。
【0033】
(表2異なるタイプの外植体によって四倍体芽を誘導した誘導率)
【0034】
実施例3異なる6-BA濃度による影響
一、実験方法
MSを基本培地として、0.05mg/LNAA、120mg/Lコルヒチン、30g/Lスクロース、6g/L寒天及びそれぞれ0mg/L、1.0mg/L、1.5mg/L、2.0mg/Lである異なる濃度の6-BAを添加し、0mg/Lを対照群として、それぞれ培地に調製し、根部組織切片(根の切片長さが約6.0cm)を接種し、60d後に汚染された根外植体を排除した後に四倍体芽数を統計し、倍加効率を計算した。
二、実験結果
結果は表3に示すように、培地に添加した6-BA濃度が1.0mg/Lである場合、ブルメアバルサミフェラ根外植体の細胞を倍加するように誘導して且つ四倍体不定芽に脱分化する効果が最も良かった。
【0035】
(表3ブルメアバルサミフェラ体細胞の脱分化により生じる不定芽に対する異なる6-BA濃度の影響)
【0036】
実施例4異なるNAA濃度による影響
一、実験方法
MSを基礎培地として、濃度1.0mg/Lの6-BA、120mg/Lコルヒチン、30g/Lスクロース、6g/L寒天及びそれぞれ0mg/L、0.025mg/L、0.05mg/L、0.075mg/L、0.1mg/Lである異なる濃度のNAA溶液を添加し、0mg/Lを対照群として、それぞれ培地に調製し、根部組織切片(根の切片長さが約4.0cm)を接種し、60d後に不定芽に対して染色体の倍性識別を行い、かつ四倍体不定芽発生数を統計し、誘導率を計算した。
二、実験結果
結果は、NAA濃度が0.05mg/Lである場合、倍加効果が最適であることを示した。
【0037】
【0038】
実施例6異なるコルヒチン濃度による影響
一、実験方法
MSを基礎培地として、濃度1.0mg/Lの6-BA、0.05mg/LNAA、30g/Lスクロース、6g/L寒天を添加し、次にそれぞれ50mg/L、70mg/L、90mg/L、120mg/L、150mg/Lである異なる濃度のコルヒチンを添加し、それぞれ培地に調製し、根部組織切片(根の切片長さが約4.0cm)を接種し、60d後に生成した不定芽に対して染色体の倍性識別を行い、四倍体不定芽数を統計し、倍加誘導率を計算した。
二、実験結果
結果:コルヒチンの濃度が120mg/Lの場合、二倍体ブルメアバルサミフェラ根外植体を誘導して四倍体不定芽を生成した効果は最高であった。
【0039】
(表6ブルメアバルサミフェラ体細胞の脱分化により生じる不定芽に対する異なるスクロース濃度の影響)
【0040】
上記の説明は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の精神および原理の範囲内で行われるあらゆる修正、同等の置換、改良などは、本発明の保護範囲内に含まれるものとする。