(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】作業支援方法、作業支援装置、作業支援プログラムおよびシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241003BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2024088255
(22)【出願日】2024-05-30
【審査請求日】2024-06-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520060634
【氏名又は名称】株式会社Seibii
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100160831
【氏名又は名称】大谷 元
(72)【発明者】
【氏名】多田幸一
(72)【発明者】
【氏名】木岡現一郎
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-081849(JP,A)
【文献】特開2019-020810(JP,A)
【文献】特開2003-178154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の整備または点検作業を支援するサーバと通信することによって、車両の整備または点検作業を支援する方法であって、
車両において、整備または点検作業をする箇所および作業内容を含む作業情報を取得するステップと、
取得した前記作業情報を前記サーバへ送信するステップと、
前記作業情報に基づいて、前記サーバから取得された、あらかじめ記憶された整備または点検作業を指導する支援情報を提示するステップと、
前記支援情報に応じて車両整備または点検を行った作業結果を取得するステップと、
前記作業結果を、前記支援情報の候補として選出できるように、前記サーバに送信するステップと、
を含む、ことを特徴とする作業支援方法。
【請求項2】
前記作業支援方法は、
車両の車両情報を取得するステップと、
取得した前記車両情報を前記サーバへ送信するステップと、をさらに含み、
前記支援情報を提示するステップは、
前記車両情報と前記作業情報に基づいて、前記サーバから取得された、あらかじめ記憶された整備または点検作業を指導する支援情報を提示する、
を含む、請求項1に記載の作業支援方法。
【請求項3】
前記車両の車両情報を取得するステップは、
入力された車両の車両情報に基づき取得する、請求項2に記載の作業支援方法。
【請求項4】
前記車両の車両情報を取得するステップは、
前記車両の識別情報を取得し、
取得された前記識別情報から、前記車両の車両情報と作業情報を判別する、請求項2に記載の作業支援方法。
【請求項5】
前記識別情報は、撮影された前記車両の特定画像、車検証ICタグまたは点検ステッカーの1つまたは複数を含む、請求項4に記載の作業支援方法。
【請求項6】
前記車両の作業情報を取得するステップは、
前記車両情報に基づいて前記作業情報を特定する、請求項2に記載の作業支援方法。
【請求項7】
前記車両の作業情報を取得するステップは、
入力された車両の作業情報に基づき取得する、請求項1または2に記載の作業支援方法。
【請求項8】
前記車両の作業情報を取得するステップは、
整備または点検作業をする箇所および作業内容を識別する車載式故障診断装置によって、作業情報を取得する、請求項1または2に記載の作業支援方法。
【請求項9】
前記支援情報は、あらかじめ記憶された整備または点検作業を指導するテキスト情報、画像情報、音声情報および動画情報から1つまたは複数の情報を含む、請求項1または2に記載の作業支援方法。
【請求項10】
前記作業情報は、作業者によって選択された作業工程のステップまたは作業箇所を含み、
前記支援情報を提示するステップは、前記作業情報に基づいて、前記サーバから取得された、整備または点検作業を指導する作業工程を段階的に提示する、請求項1または2に記載の作業支援方法。
【請求項11】
前記テキスト情報は、特定の締結部材に対して、当該締結部材を締める際の推奨のトルク値を含み、
前記画像情報は、作業者が取付、設置、取外を行う箇所の、作業前と作業後の片方または両方を表示する写真を含む、請求項
9に記載の作業支援方法。
【請求項12】
前記車両情報は、前記車両の車種、型式、年式、車体番号、原動機の型式、型式指定番号、類別区分番号の1つまたは複数の情報を含む、請求項
2に記載の作業支援方法。
【請求項13】
車両の整備または点検作業を支援するサーバと通信することによって、車両整備または点検を支援する装置であって、
前記車両の車両情報と、前記車両において、整備または点検作業をする箇所および作業内容を含む作業情報を取得する処理部と、
取得した前記車両情報および前記作業情報を前記サーバへ送信する送受信部と、
前記車両情報と前記作業情報に基づいて、前記送受信部によって前記サーバから取得された、あらかじめ記憶された整備または点検作業を指導する支援情報を提示する提示部と、
を含む、ことを特徴とする作業支援装置。
【請求項14】
前記処理部は、前記車両の前記車両情報および/または前記作業情報を入力する入力部を含む、請求項
13に記載の作業支援装置。
【請求項15】
前記処理部は、
前記車両の識別情報を撮影する撮影部と、
前記識別情報から、前記車両の車両情報と作業情報を判別する判別部を含む、請求項
13に記載の作業支援装置。
【請求項16】
前記作業支援装置は、整備または点検作業をする箇所および作業内容を識別する少なくとも1つのセンサーを含む、請求項
13~15のいずれか1項に記載の作業支援装置。
【請求項17】
記憶媒体に記憶され、コンピューターに、
車両の車両情報を取得するステップと、
前記車両において、整備または点検作業をする箇所および作業内容を含む作業情報を取得するステップと、
取得した前記車両情報および前記作業情報
をサーバへ送信するステップと、
前記車両情報と前記作業情報に基づいて、前記サーバから取得された、あらかじめ記憶された整備または点検作業を指導する支援情報を提示するステップと、
前記支援情報に応じて車両整備または点検を行った作業結果を取得するステップと、
前記作業結果を、前記支援情報の候補として選出できるように、前記サーバに送信するステップと、
を実行させる、ことを特徴とする作業支援プログラム。
【請求項18】
車両の整備または点検作業を支援するサーバと、当該サーバと通信することによって車両整備または点検を支援する作業支援装置からなる作業支援システムであって、
前記作業支援装置は、
前記車両の車両情報と、前記車両において、整備または点検作業をする箇所および作業内容を含む作業情報を取得する処理部と、
取得した前記車両情報および前記作業情報を前記サーバへ送信する送受信部と、
前記車両情報と前記作業情報に基づいて、前記送受信部によって前記サーバから取得された、あらかじめ記憶された整備または点検作業を指導する支援情報を提示する提示部と、
を含み、
前記サーバは、
整備または点検作業を指導するテキスト情報、画像情報、音声情報および動画情報から1つまたは複数の情報を、整備または点検作業を指導する支援情報としてあらかじめ記憶する記憶部、
前記車両情報および前記作業情報を受信し
、受信された前記車両情報と前記作業情報に基づいて、前記支援情報を送信するサーバ送受信部と、
前記サーバ
送受信部は、車両整備または点検を行った後の作業結果を受信して、前記作業結果を、前記支援情報の候補として選出するサーバ処理部と、
を含む、ことを特徴とする作業支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の整備または点検作業に関し、特に作業支援方法、作業支援装置、作業支援プログラムおよびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車などの車両は定期的に点検作業を受けることが義務付けられている。一方、自動車が故障した場合、故障箇所の特定および修理のため、整備作業が必要とされている。車両の安全性を確保するために、これらの整備または点検作業に対しは、いずれも専門知識を有する整備士によって作業を施行する必要がある。
【0003】
特に、車両の故障が整備場以外の場所に発生した場合、整備士が現場まで派遣され、車両のユーザとの立ち会いの場で整備内容(部品交換、調整、修理等)の説明を受けてその整備内容を把握確認した上でその整備の要否を判断し、しかる後に、整備が必要であると判断した箇所の整備を実際に作業することが殆どであるから、作業現場にいる整備士の経験によって、整備または点検作業の品質が多く左右されている。
【0004】
しかしながら、近年、整備士を従事している人の数は全体的に少なく、作業の経験を充実しているベテラン整備士の人数はさらに希少である。そして、少子高齢化が進んでいる中、整備業界が熟練な整備士の人手不足という局面を長く直面しなければならない。こうした問題によって、車両の整備または点検では、作業の品質が維持することが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、上述した問題を解決するべくなされたものであり、数少ない熟練な整備士の経験を最大限に活用し、車両の整備または点検作業の品質を向上するとともに、作業品質の均一化をも図ることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様は、車両の整備または点検作業を支援するサーバと通信することによって、車両の整備または点検作業を支援する作業支援方法を提供する。当該方法は、車両において、整備または点検作業をする箇所および作業内容を含む作業情報を取得するステップと、取得した前記作業情報を前記サーバへ送信するステップと、前記作業情報に基づいて、前記サーバから取得された、あらかじめ記憶された整備または点検作業を指導する支援情報を提示するステップと、を含む。
【0007】
前記作業支援方法は、車両の車両情報を取得するステップと、取得した前記車両情報を前記サーバへ送信するステップと、をさらに含み、前記支援情報を提示するステップは、前記車両情報と前記作業情報に基づいて、前記サーバから取得された、あらかじめ記憶された整備または点検作業を指導する支援情報を提示する、を含むことが好ましい。
【0008】
前記車両の車両情報を取得するステップは、入力された車両の車両情報に基づき取得することが好ましい。
【0009】
前記車両の車両情報を取得するステップは、前記車両の識別情報を取得し、取得された前記識別情報から、前記車両の車両情報と作業情報を判別することが好ましい。
【0010】
前記識別情報は、撮影された前記車両の特定画像、車検証ICタグまたは点検ステッカーの1つまたは複数を含むことが好ましい。
【0011】
前記車両の作業情報を取得するステップは、前記車両情報に基づいて前記作業情報を特定することが好ましい。
【0012】
前記車両の作業情報を取得するステップは、入力された車両の作業情報に基づき取得することが好ましい。
【0013】
前記車両の作業情報を取得するステップは、整備または点検作業をする箇所および作業内容を識別する車載式故障診断装置によって、作業情報を取得することが好ましい。
【0014】
前記支援情報は、あらかじめ記憶された整備または点検作業を指導するテキスト情報、画像情報、音声情報および動画情報から1つまたは複数の情報を含むことが好ましい。
【0015】
前記作業情報は、作業者によって選択された作業工程のステップまたは作業箇所を含み、
前記支援情報を提示するステップは、前記作業情報に基づいて、前記サーバから取得された、整備または点検作業を指導する作業工程を段階的に提示することが好ましい。
【0016】
前記作業支援方法は、前記支援情報に応じて車両整備または点検を行った作業結果を取得するステップと、前記作業結果を、前記支援情報の候補として選出できるように、前記サーバに送信するステップと、をさらに含むことが好ましい。
【0017】
前記テキスト情報は、特定の締結部材に対して、当該締結部材を締める際の推奨のトルク値を含み、前記画像情報は、作業者が取付、設置、取外を行う箇所の、作業前と作業後の片方または両方を表示する写真を含むことが好ましい。
【0018】
前記車両情報は、前記車両の車種、型式、年式、車体番号、原動機の型式、型式指定番号、類別区分番号の1つまたは複数の情報を含むことが好ましい。
【0019】
本発明の第二の態様は、車両の整備または点検作業を支援するサーバと通信することによって、車両整備または点検を支援する作業支援装置を提供する。当該装置は、前記車両の車両情報と、前記車両において、整備または点検作業をする箇所および作業内容を含む作業情報を取得する処理部と、取得した前記車両情報および前記作業情報を前記サーバへ送信する送信部と、前記車両情報と前記作業情報に基づいて、前記サーバから取得された、あらかじめ記憶された整備または点検作業を指導する支援情報を提示する提示部と、を含む。
【0020】
前記処理部は、前記車両の前記車両情報および/または前記作業情報を入力する入力部を含むことが好ましい。
【0021】
前記処理部は、前記車両の識別情報を撮影する撮影部と、前記識別情報から、前記車両の車両情報と作業情報を判別する判別部を含むことが好ましい。
【0022】
前記作業支援装置は、整備または点検作業をする箇所および作業内容を識別する少なくとも1つのセンサーを含むことが好ましい。
【0023】
本発明の第三の態様は、記憶媒体に記憶される作業支援プログラムを提供する。当該プログラムは、コンピューターに、前記車両の車両情報を取得するステップと、前記車両において、整備または点検作業をする箇所および作業内容を含む作業情報を取得するステップと、取得した前記車両情報および前記作業情報を前記サーバへ送信するステップと、前記車両情報と前記作業情報に基づいて、前記サーバから取得された、あらかじめ記憶された整備または点検作業を指導する支援情報を提示するステップと、を実行させる。
【0024】
本発明の第四の態様は、車両の整備または点検作業を支援するサーバと、当該サーバと通信することによって車両整備または点検を支援する作業支援装置からなる作業支援システムを提供する。前記作業支援装置は、前記車両の車両情報と、前記車両において、整備または点検作業をする箇所および作業内容を含む作業情報を取得する処理部と、取得した前記車両情報および前記作業情報を前記サーバへ送信する送信部と、前記車両情報と前記作業情報に基づいて、前記サーバから取得された、あらかじめ記憶された整備または点検作業を指導する支援情報を提示する提示部と、を含み、前記サーバは、整備または点検作業を指導するテキスト情報、画像情報、音声情報および動画情報から1つまたは複数の情報を、整備または点検作業を指導する支援情報としてあらかじめ記憶する記憶部、前記車両情報および前記作業情報を受信する受信部と、受信された前記車両情報と前記作業情報に基づいて、前記支援情報を送信する送信部と、前記サーバの受信部は、車両整備または点検を行った後の作業結果を受信して、前記作業結果を、前記支援情報の候補として選出する処理部と、を含む。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、熟練な整備士の経験を最大限に活用し、車両の整備または点検作業の品質を向上するとともに、作業品質の均一化をも図れる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る車両作業支援システム1の全体構成を示す模式図。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係るサーバ10および作業支援装置20の機能構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る車両作業支援システム1が実行する処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る参考画像活用の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。以下の説明において、整備または点検対象としての車両は、自転車、電車、航空機、船舶、農機などの移動体や、各種産業機械などに限らず、例えば、二輪や三輪、四輪等のすべての車両であり、その駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等の内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせである。電動機は、例えば、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池の放電電力を使用して動作する。本発明に係る整備には、例えば、車両の修理、部品交換、オイルや液の交換、電装品の取り付け、清掃、分解整備、ねじ締め、設定値の調整、エーミングなどが含まれ、点検には、例えば、車両のメンテナンス、車検、法定定期点検、日常点検、電装品の動作確認、目視確認、異音確認、車載式故障診断装置(OBD)診断などが含まれる。
【0028】
図1は、本実施形態に係る車両作業支援システム1の構成の一例を示す図である。
図1に例示の車両整備支援システム1は、車両Vの整備または点検作業を支援するサーバ10と、車両整備または点検を支援する作業支援装置20とを有する。サーバ10と作業支援装置20は、ネットワークNを介して互いに通信可能である。ここで、ネットワークNは、例えばインターネット、無線LAN(Local Area Network)、電話回線、公衆回線、Wi-Fi(登録商標)、無線基地局などを含む。
【0029】
図2に示されるように、本実施形態において、車両の整備または点検作業を支援するサーバ10は、記憶部101と、サーバ送受信部102、サーバ処理部103とを備える。
【0030】
記憶部101は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置、或いはEEPROM、ROM、RAMなどにより実現されてよい。記憶部101には、例えば、整備または点検作業を指導するテキスト情報、画像情報、音声情報および動画情報から1つまたは複数の情報を、整備または点検作業を指導する支援情報としてあらかじめ記憶される。
【0031】
サーバ送受信部102は、ネットワークNを介して、作業支援装置20から上記車両情報および作業情報を受信し、送受信部102は、受信された車両情報と作業情報に基づいて、ネットワークNを介して支援情報を作業支援装置20に送信するように設けられる。
【0032】
サーバ処理部103は、サーバ10の送受信部102は、車両整備または点検を行った後の作業結果を受信して、作業結果を、支援情報の候補として選出するように設けられる。本実施形態において、サーバ処理部103は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現されてもよい。プログラムは、予め上記記憶部101に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置等に装着されることでサーバ10の記憶装置にインストールされてもよい。
【0033】
また、
図2には、本発明の実施形態に係る車両整備または点検を支援する作業支援装置20の機能構成も説明されている。図に示すように、作業支援装置20は、処理部201と、送受信部202と、提示部203とを備える。
【0034】
具体的に、作業支援装置20は、CPU、メモリ、およびディスプレイ等を備えた例えばスマートフォン、タブレット等の携帯式或いは据え置き式の端末装置、ARグラス、VRグラス或いはスマートウォッチ等の着用可能な装置、スマートスピーカーなどであり、前記メモリに格納されたプログラムに基づいて、処理部201と、送受信部202と、および提示部203としての機能を少なくとも発揮する。
【0035】
処理部201は、車両の車両情報と、車両において、整備または点検作業をする箇所および作業内容を含む作業情報を取得するように設けられる。
【0036】
具体的に、処理部201は、車両の車両情報を入力する入力部2011を含み、車両の車両情報を取得する方法としては、実際に整備または点検作業を行う整備士または車両のユーザによって入力された車両の車両情報に基づき取得してもよい。入力する車両情報の例として、ナンバー、車体番号、型式、年式、メーカー名、車名、のうち一つまたは複数の組み合わせであってもよい。例えば、識別情報を入力するための実施形態としては、入力部2011が、タッチパネル、音声入力等の入力手段であっても良い。一方、処理部201は、車両の識別情報を撮影する撮影部2012と、識別情報から、車両の車両情報を判別する判別部2013を含み、車両の車両情報を取得する方法としては、車両の識別情報から、当該車両の車両情報を特定することも可能である。例えば、識別情報を入力するための実施形態としては、撮影部2012が、車両に付属されている識別情報を読み取るためのカメラ等の撮像手段であっても良い。本実施形態では、識別情報は、車両の特定画像、車検証ICタグまたは点検ステッカーの1つまたは複数を含み、例えば、車両のナンバープレートを含む特定画像、点検ステッカーまたは車検証等を撮影部2012で撮像し、または車検証ICタグを読み取ることにより、判別部2013が、ナンバープレート、車検証ICまたは点検ステッカーに登録された車両の車種、型式、年式、車体番号、原動機の型式、型式指定番号、類別区分番号の1つまたは複数の情報を含む情報を当該車両の識別情報として識別することができる。
【0037】
また、車両の作業情報を取得する方法としては、取得された車両情報に基づいて前記作業情報を特定しても良い。例えば、車両のナンバープレートを含む特定画像または点検ステッカーを撮影部2012で撮像し、または車検証ICタグを読み取ることにより、判別部2013が、ナンバープレート、車検証ICまたは点検ステッカーに登録された整備または点検作業をする箇所および作業内容を含む情報を当該車両の作業情報として識別することができる。または、車両の作業情報を取得する方法としては、実際に整備または点検作業を行う整備士または車両のユーザによって入力された車両の車両情報に基づき取得してもよい。例えば、整備士または車両のユーザは、入力部2011によって整備または点検作業をする箇所および作業内容を含む情報を当該車両の作業情報として入力することが可能である。
【0038】
さらに、
図2に示すように、作業支援装置20は、整備または点検作業をする箇所および作業内容を識別する少なくとも1つのセンサー204を含む。車両の作業情報を取得する方法としては、整備または点検作業をする箇所および作業内容を識別する少なくとも1つのセンサー204によって作業情報を取得してもよい。本実施形態では、センサー204は、例えば車載式故障診断装置(OBD)であっても良い
【0039】
本実施形態では、提示部203は、作業情報に基づいて、サーバ10から取得された、あらかじめ記憶された整備または点検作業を指導する支援情報を提示するように設けられる。ここで、支援情報は、あらかじめ記憶された整備または点検作業を指導するテキスト情報、画像情報、音声情報および動画情報から1つまたは複数の情報を含む。例えば、テキスト情報は、特定の締結部材に対して、当該締結部材を締める際の推奨のトルク値を含み、また、画像情報は、作業者が取付、設置、取外を行う箇所の、作業前と作業後の片方または両方を表示する写真を含む。本発明では、「締結部材」として、例えばネジ、ボルト、ナット等がある。
【0040】
また、上記作業情報には、整備士または車両のユーザによって選択された作業工程のステップまたは作業箇所が含まれても良い。そして、提示部203は、作業情報に基づいて、サーバ10から取得された、整備または点検作業を指導する作業工程を段階的に提示することも可能である。
【0041】
本発明では、作業工程のステップが複数の選択肢を提示して、整備士または車両のユーザによって選択された選択肢に応じて、後続のステップの作業工程を提示してもよい。
【0042】
さらに、作業支援装置20の処理部201は、上記支援情報に応じて車両整備または点検を行った作業結果を取得しても良く、そして、作業支援装置20の送受信部202は、取得された作業結果を、支援情報の候補として選出できるように、サーバ10に送信しても良い。ここで、作業結果の具体として、数値、チェック有無、複数の値からの選択、テキスト、写真、動画、音声の一つまたは複数を含む。これにより、支援情報がより最適化になることができ、車両の整備または点検作業の品質をさらに向上することが実現できる。
【0043】
図3は、実施形態に係る車両作業支援システム1が実行する作業支援処理の一例を示すシーケンス図である。
図3の例は、自動車の故障が発生した後に、故障の現場に派遣された整備士が修理作業を行う場合が想定される例である。また、
図3では、サーバ10と、作業支援装置20とを用いた処理の一例を示している。
【0044】
図3の例において、作業支援装置20は、故障がある車両の車両情報を取得する(ステップS101)。例えば、整備士が車両の車種、型式および年式等の情報を入力する。さらに、作業支援装置20は、整備作業をする箇所および作業内容を含む作業情報を取得する(ステップS102)。例えば、車両の配線故障が発生した場合、作業支援装置20が、車両に設置されたセンサー等によって故障の原因および故障箇所を特定する。本発明では、車両情報および作業情報は、作業支援装置20以外のネットワーク上からも入手し、登録することも可能である。そして、取得した車両情報および作業情報をサーバ10へ送信する(ステップS103)。
【0045】
次に、サーバ10が、受信した車両情報および作業情報に応じて、あらかじめ記憶された支援情報を作業支援装置20に送信する(ステップS104)。ここで、支援情報はエクセレント画像(参考画像)とも呼ばれている。例えば、
図4に示すように、エクセレント画像は、車両情報401および作業情報402に基づき、整備作業を指導するテキスト情報403および画像情報404を有している。
【0046】
次に、整備士が支援情報を確認できるように、作業支援装置20は、受領した支援情報を提示する(ステップS105)。ここで、整備士によって選択された作業工程のステップまたは作業箇所を含む場合、当該作業情報に基づいて、整備または点検作業を指導する作業工程を段階的に提示することもできる。
【0047】
次に、整備士が支援情報に基づいて車両整備作業を完了した場合、作業支援装置20は、作業結果を取得する(ステップS106)。さらに、作業支援装置20は、当該作業結果をサーバ10へ送信する(ステップS107)。これによって、サーバ10は、受領した作業結果から、今後の作業を支援する新たな候補として支援情報を選出する(ステップS108)。具体的に、支援情報候補の選出は、熟練な整備士の経験によって選択されても良く、AI(Artificial intelligence、人工知能)等によって自動的に識別されても良い。例えば、整備士の経験によって選択する場合、複数の整備士が支援情報候補を投票して、複数の支援情報候補の中に一番採点が高い支援情報候補が支援情報として選出されても良い。
【0048】
本発明では、情報処理装置その他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記何れかの機能を実現させるプログラムをコンピューター等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。そして、コンピューター等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0049】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0050】
1・・・・車両整備支援システム
10・・・・サーバ
101・・・・記憶部
102・・・・サーバ送受信部
103・・・・サーバ処理部
20・・・・作業支援装置
201・・・・処理部
2011・・・・入力部
2012・・・・撮影部
2013・・・・判別部
202・・・・送受信部
203・・・・提示部
204・・・・センサー
401・・・・車両情報
402・・・・作業情報
403・・・・テキスト情報
404・・・・画像情報
V・・・・車両
N・・・・ネットワーク
【要約】
【課題】本発明は、車両の整備または点検作業の品質を向上するとともに、作業品質の均一化をも図る作業支援方法、作業支援装置、作業支援プログラムおよびシステムを提供する。
【解決手段】車両の整備または点検作業を支援するサーバと通信することによって、車両の整備または点検作業を支援する作業支援方法を提供する。当該方法は、車両において、整備または点検作業をする箇所および作業内容を含む作業情報を取得するステップと、取得した前記作業情報を前記サーバへ送信するステップと、前記作業情報に基づいて、前記サーバから取得された、あらかじめ記憶された整備または点検作業を指導する支援情報を提示するステップと、を含む。
【選択図】
図3