(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 13/20 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
F24F1/0007 401C
(21)【出願番号】P 2020170370
(22)【出願日】2020-10-08
【審査請求日】2023-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】和田 賢宣
(72)【発明者】
【氏名】米澤 勝
(72)【発明者】
【氏名】中尾 周
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-160235(JP,A)
【文献】特開2012-083087(JP,A)
【文献】特開2014-178072(JP,A)
【文献】特開2018-025344(JP,A)
【文献】実開昭49-026346(JP,U)
【文献】国際公開第2020/169204(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0007
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にファンを有し、吸込口から前記ファンが吸込んだ空気を吹出口から吹出す空気調和機であって、前記吹出口は上部壁面と下部壁面と左右壁面とで囲まれて形成され、前記吹出口には、回動自在に上側の第1上下風向偏向板と下側の第2上下風向偏向板が相互に略平行になるよう軸支され、前記第1上下風向偏向板の上面側に、前記第1上下風向偏向板と所定の間隙を有して支持片によって前記第1上下風向偏向板に支持された補助風向板を備え、前記補助風向板上であって、前記第1上下風向偏向板に対向する側とは反対側の面の前記補助風向板の長手方向の両端部近傍に縦翼が立設され、前記補助風向板からの前記縦翼の高さは、空気の上流側の端部と下流側の端部とで
同一であることを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記縦翼は、前記左壁面および右壁面より内側の位置に配置されていることを特徴とする、請求項1記載の空気調和機。
【請求項3】
前記縦翼の上縁は、前記第1上下風向偏向板の回転軸が中心を通る円の円弧の一部で形成されていることを特徴とする、請求項1~2のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記縦翼の奥行方向長さは、前記補助風向板の奥行方向長さと一致することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記左右の壁面の間に回動自在に回動するための回転軸を前記縦翼に備えることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示における空気調和機は、上下風向偏向板を備える空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、上下風向偏向板を備える空気調和機を開示する。この空気調和機は、室内機の吹出口の左右側壁間の上部に回動自在に軸支された上側の上下風向偏向板と、上側の上下風向偏向板の裏側に所定の間隙を在してほぼ平行に第1支持片によって支持された第1補助風向板と、吹出口の左右側壁間の下部に回動自在に軸支された下部風向偏向板と、下部風向偏向板の表側に所定の間隙を在して第2支持片によって支持された第2補助風向板を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、冷房運転時に吹出空気に常時曝露されて低温になる補助風向板の上側の上下風向偏向板と反対に位置する反対側面へ吹出口の側方からの室内空気の巻き込みを抑制し、室内空気の湿度が高い環境下においても補助風向板の結露を防止する空気調和機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における空気調和機は、内部にファンを有し、吸込口から前記ファンが吸込んだ空気を吹出口から吹出す空気調和機であって、吹出口は上部壁面と下部壁面と左右壁面とで囲まれて形成され、左右の壁面の間に回動自在に、上側の第1上下風向偏向板と下側の第2上下風向偏向板が相互に略平行になるよう軸支され、第1上下風向偏向板の上面側に、第1上下風向偏向板と所定の間隙を有して支持片によって第1上下風向偏向板に支持された補助風向板を備え、補助風向板上であって、第1上下風向偏向板に対向する側とは反対側の面の補助風向板の長手方向の両端部近傍に縦翼が立設されている。
【発明の効果】
【0006】
本開示における空気調和機は、冷房運転時に吹出空気に常時曝露されて低温になる補助風向板の上側の上下風向偏向板と反対に位置する反対側面へ吹出口の側方からの室内空気の巻き込みを抑制し、室内空気の湿度が高い環境下においても補助風向板の結露を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る空気調和機の構成の一例を示す室内機の断面図
【
図2】本発明の実施の形態1に係る空気調和機の吹出口近傍を示す要部拡大図
【
図3】本発明の実施の形態2に係る空気調和機の吹出口近傍を示す要部拡大図
【発明を実施するための形態】
【0008】
第1の発明は、内部にファンを有し、吸込口から前記ファンが吸込んだ空気を吹出口から吹出す空気調和機であって、前記吹出口は上部壁面と下部壁面と左右壁面とで囲まれて形成され、前記吹出口には、回動自在に上側の第1上下風向偏向板と下側の第2上下風向偏向板が相互に略平行になるよう軸支され、前記第1上下風向偏向板の上面側に、前記第1上下風向偏向板と所定の間隙を有して支持片によって前記第1上下風向偏向板に支持された補助風向板を備え、前記補助風向板上であって、前記第1上下風向偏向板に対向する側とは反対側の面の前記補助風向板の長手方向の両端部近傍に縦翼が立設されているものである。
【0009】
これによれば、冷房運転時、冷温の吹出空気に常時曝露されて低温になる補助風向板の上側の上下風向偏向板と反対に位置する反対側面へ吹出口の側方からの室内空気の巻き込みを抑制し、室内空気の湿度が高い環境下において吹出空気気流により冷却される補助風向板の上側の上下風向偏向板と反対に位置する反対側面の結露の恐れを改善できる、空気調和機の提供を目的とすることができる。
【0010】
第2の発明は、特に、第1の発明の空気調和機において、縦翼は、前記左壁面および右壁面より内側の位置に配置されているものである。
【0011】
これによれば、上側の上下風向偏向板が運転停止時の位置に回動する際に、縦翼が吹出口の空間に収納され、本体ケーシングに縦翼の収納部分を必要とせず美観に優れた形状を実現することができる。
【0012】
第3の発明は、第1あるいは第2の発明の空気調和機において、縦翼の上縁は、前記上下風向偏向板の回転軸が中心を通る円の円弧の一部で形成されているものである。
【0013】
これによれば、上側の上下風向偏向板が回動しても、縦翼の上縁が吹出口の上部に干渉することを防ぎつつ、縦翼の高さを最大化することで、吹出口の側方からの室内空気の巻き込み間口を吹出口の上下方向で最小化し、補助風向板の上側の上下風向偏向板と反対に位置する反対側面への吹出口の側方からの室内空気の巻き込みを抑制し、室内空気の湿度が高い環境下において吹出空気気流により冷却される補助風向板の上側の上下風向偏向板と反対に位置する反対側面での結露の恐れをより効果的に改善することができる。
【0014】
第4の発明は、第1~3の発明の空気調和機において、縦翼の奥行方向長さは、前記補助風向板の奥行方向長さと一致するものである。
【0015】
これによれば、縦翼の奥行方向長さが補助風向板の奥行方向長さと一致することで、縦翼が補助風向板の上側の上下風向偏向板の反対側面を側方に対して遮蔽し、吹出口の側方からの室内空気の巻き込み間口を吹出口の前後方向で最小化し、補助風向板の上側の上下風向偏向板と反対に位置する反対側面へ吹出口の側方から室内空気の巻き込みを特に抑制し、室内空気の湿度が高い環境下において吹出空気気流により冷却される補助風向板の上側の上下風向偏向板と反対に位置する反対側面での結露の恐れをより効果的に改善することができる。
【0016】
第5の発明は、第1~4の発明の空気調和機において、左右の壁面の間に回動自在に回動するための回転軸を前記縦翼に備えるものである。
【0017】
これによれば、縦翼に上側の上下風向偏向板の回転軸を備えることで、上側の上下風向偏向板と補助風向板の間の左右端と、補助風向板の上側の上下風向偏向板と反対側面の縦翼の左右端が揃えられ、吹出空気の気流の乱れが緩和され、吹出空気抵抗が低下し、ファン入力を改善することができる。
【0018】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0019】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。 (実施の形態1)
図1は、本実施形態に係る空気調和機(室内機)100の構成の一例を示す断面図である。
図2は、本実施形態に係る空気調和機100の吹出口の近傍を示す拡大図である。
【0020】
空気調和機100は、
図1に示すように、吸込口101と、吹出口102を有する本体ケーシング103と、熱交換器104と、クロスフローファン105と、スタビライザ106と、リアガイダ107と、吹出口102の左右側壁間に回動自在に軸支された下側の上下風向偏向板108と、吹出口102の左右側壁間に回動自在に軸支された上側の上下風向偏向板109と、上側の上下風向偏向板109の上面側に所定の間隙を有して支持片110によって支持された補助風向板111と、補助風向板111の上側の上下風向偏向板109と反対に位置する反対側面111aの面上の略左右端に縦翼112を備えている。
【0021】
ここで、縦翼112は、吹出口102の左右側壁よりも内側すなわち室内機の横方向の中央よりに配置される。
【0022】
また、縦翼112の上縁112aは、上側の上下風向偏向板109の回転軸109aと同心円の円弧で形成され、縦翼112の奥行方向長さは、補助風向板111の奥行方向長さと一致する。
【0023】
なお、縦翼112と吹出口102の左右則壁との間隙は、5mm未満であることが望ましい。
【0024】
冷房運転時、足元方向へ吹出空気気流を制御する場合、上側の上下風向偏向板109が回動し、補助風向板111の上側の上下風向偏向板109と反対に位置する反対側面111aが室内空間に露出する位置になる。この場合に、吹出口102から室内へ吹き出す吹出空気気流に誘引され、吹出口102の側方の室内空気が、補助風向板111の上側の上下風向偏向板109と反対に位置する反対側面111aの近傍へ巻き込まれるように流動する。
【0025】
本実施形態において、補助風向板111の上側の上下風向偏向板109と反対に位置する反対側面111aの面上の略左右端に縦翼112を備えていることで、冷温の吹出空気に常時曝露されて低温になる補助風向板111の上側の上下風向偏向板109と反対に位置する反対側面111aの面上へ、吹出口102の側方から室内空気が巻き込まれることを抑制できる。これにより、室内空気の湿度が高い環境下において吹出空気気流により冷却される補助風向板111の上側の上下風向偏向板109と反対に位置する反対側面111aの結露の恐れを改善できる。
【0026】
また、縦翼112は、吹出口102の左右側壁の内側に配置され、上側の上下風向偏向板109が運転停止時の位置に回動した際に、縦翼112が吹出口102の空間に収納され、本体ケーシング103に縦翼112の収納部分を必要とせず美観に優れた形状を実現することができる。
【0027】
また、縦翼112の上縁112aが上側の上下風向偏向板109の回転軸109aと同心円の円弧で形成されることで、上側の上下風向偏向板109が回動しても、縦翼112の上縁112aが吹出口102の上部に干渉することを防ぎつつ、縦翼112の高さを最大化する。これにより、吹出口102の側方から室内空気を巻き込む間口を吹出口102の上下方向で最小化し、補助風向板111の上側の上下風向偏向板109と反対に位置する反対側面111aへの吹出口102の側方からの室内空気の巻き込みを抑制し、室内空気の湿度が高い環境下において吹出空気気流により冷却される補助風向板111の上側の上下風向偏向板109と反対に位置する反対側面111aでの結露の恐れをより効果的に改善することができる。
【0028】
また、縦翼112の奥行方向長さが補助風向板111の奥行方向長さと一致することで、縦翼112が補助風向板111の上側の上下風向偏向板109の反対側面111aを側方に対して遮蔽する。これにより、吹出口102の側方から室内空気を巻き込む間口を吹出口102の前後方向で最小化し、補助風向板111の上側の上下風向偏向板109と反対に位置する反対側面111aへ吹出口102の側方から室内空気の巻き込みを抑制し、室内空気の湿度が高い環境下において吹出空気気流により冷却される補助風向板111の上側の上下風向偏向板109と反対に位置する反対側面111aでの結露の恐れをより効果的に改善することができる。
【0029】
(実施の形態2)
図3は、本実施形態に係る空気調和機200の吹出口近傍を示す拡大図である。
図3において、実施の形態1と共通の要素については、共通の符号を付している。
【0030】
縦翼113は、補助風向板111の上側の上下風向偏向板109と反対に位置する反対側面111aの面上の略左右端に吹出口102の左右側壁の内側に位置するように備えられ、補助風向板111の上側の上下風向偏向板109と正対する位置する正対側面111bの面上から突出し、上側の上下風向偏向板109の上面と連接する。縦翼113は左右両端に位置するよう構成され、上側の上下風向偏向板109の回転軸109aを備える。
【0031】
冷房運転時、足元方向へ吹出空気気流を制御する場合、上側の上下風向偏向板109が回動し、補助風向板111の上側の上下風向偏向板109と反対に位置する反対側面111aが室内空間に露出する位置になる。縦翼113に上側の上下風向偏向板109の回転軸109aを備えることで、補助風向板111の上側の上下風向偏向板109と正対する位置する正対側面111bの縦翼113の左右端と、補助風向板111の上側の上下風向偏向板109と反対側面111aの縦翼113の左右端が揃えられ、吹出空気気流の乱れが緩和され、吹出空気抵抗が低下し、クロスフローファン105の入力を改善することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係る空気調和機は、吹出空気気流の高い制御性を維持しつつ、室内空気の湿度が高い環境下において下側の上下風向偏向板の室内空気に臨む面での結露の恐れを改善できることから、家庭用空調や業務用空調に用いるのに好適である。
【符号の説明】
【0033】
100、200 空気調和機
101 吸込口
102 吹出口
103 本体ケーシング
104 熱交換器
105 クロスフローファン
106 スタビライザ
107 リアガイダ
108 下側の上下風向偏向板
109 上側の上下風向偏向板
109a 回転軸
110 支持片
111 補助風向板
111a 反対側面
111b 正対側面
112 縦翼
112a 上縁
113 縦翼