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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】飛沫感染防止用つい立て
(51)【国際特許分類】
   A61G 10/00 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
A61G10/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020131402
(22)【出願日】2020-08-03
(65)【公開番号】P2022028171
(43)【公開日】2022-02-16
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 伸二
(72)【発明者】
【氏名】武邑 圭司
(72)【発明者】
【氏名】眺野 馨
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3226600(JP,U)
【文献】特開2019-113577(JP,A)
【文献】特開2009-006692(JP,A)
【文献】特開平01-069894(JP,A)
【文献】特開平11-073139(JP,A)
【文献】特開2005-021433(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0237198(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111202645(CN,A)
【文献】独国特許出願公開第19636154(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空構造板から構成される飛沫感染防止用つい立てであって、
前記中空構造板の上端から下端に向けて延び、折り曲げ可能な略V字状又は薄肉状の内側第1溝部と内側第2溝部が形成されており、
前記中空構造板は、前記内側第1溝部と前記内側第2溝部により、本体板と第1側面板と第2側面板に区分けされ、
前記本体板の少なくとも一部には、透明板が設けられ、前記本体板に設けられた2つの通孔に、筒部を接合し、
前記第1側面板において、前記内側第1溝部に隣接する位置に、前記第1側面板の上端から下端に向けて延び、折り曲げ可能な略V字状又は薄肉状の外側第1溝部を設け、
前記外側第1溝部の薄肉部の幅は、前記内側第1溝部の薄肉部の幅よりも広くなっており、
前記第2側面板において、前記内側第2溝部に隣接する位置に、前記第2側面板の上端から下端に向けて延び、折り曲げ可能な略V字状又は薄肉状の外側第2溝部を設け、
前記外側第2溝部の薄肉部の幅は、前記内側第2溝部の薄肉部の幅よりも広い、ことを特徴とする飛沫感染防止用つい立て。
【請求項2】
中空構造板から構成される飛沫感染防止用つい立てであって、
前記中空構造板の上端から下端に向けて延び、折り曲げ可能な略V字状又は薄肉状の内側第1溝部と内側第2溝部が形成されており、
前記中空構造板は、前記内側第1溝部と前記内側第2溝部により、本体板と第1側面板と第2側面板に区分けされ、
前記本体板の少なくとも一部には、透明板が設けられ、前記本体板に設けられた2つの通孔に、筒部を接合し、
前記本体板の筒部は、前記本体板の外側に向けて突出するように取り付けられ、
前記第1側面板と前記第2側面板は、前記筒部の突出方向と反対側の前記本体板の内側に向けて、折り曲げ可能となっており、
前記筒部に取り付けられたグローブは、前記筒部の内側を通して、前記本体板と前記第1側面板と前記第2側面板とで囲まれた空間内に、配置され、
前記本体板の筒部は、前記本体板の外側に向けて突出するように取り付けられ、
前記第1側面板と前記第2側面板は、前記筒部の突出方向と反対側の前記本体板の内側に向けて、折り曲げ可能となっており、
前記筒部は、前記本体板の通孔内に設置され、前記筒部の端部は、前記本体板の内側の表面と面一となっており、
前記本体板と前記筒部は、同じ樹脂から構成されており、
前記通孔と前記筒部は、前記通孔と前記筒部の境界部分に前記樹脂と同じ樹脂を流し込んで接合されている、
ことを特徴とする飛沫感染防止用つい立て。
【請求項3】
前記第1側面板と前記第2側面板の少なくともいずれかを、有色としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の飛沫感染防止用つい立て。
【請求項4】
前記本体板の上方を覆う蓋体を、備えたことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の飛沫感染防止用つい立て。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、飛沫感染防止用つい立てに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、感染又は感染が疑わられる患者から医師を保護する様々な方法を用いられている。例えば、特許文献1に開示されている、患者を診察するための診療ブースでは、飛沫感染防止等のために、ファン装置の送風によって、看者の感染菌を医師に移さないようにしている。しかし、診療ブースでは、ファン装置が必要であるため大掛かりな設備になり、持ち運びや移動も不便であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5263697号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、上記問題に鑑み、本願発明は、重量が軽く、折り畳み可能で小さくすることができ、持ち運びに便利な、患者を診察するための空間を仕切ることができる飛沫感染防止用つい立てを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本願発明の請求項1又は2に係る飛沫感染防止用つい立ては、中空構造板から構成される飛沫感染防止用つい立てであって、前記中空構造板の上端から下端に向けて延び、折り曲げ可能な略V字状又は薄肉状の内側第1溝部と内側第2溝部が形成されており、前記中空構造板は、前記内側第1溝部と前記内側第2溝部により、本体板と第1側面板と第2側面板に区分けされ、前記本体板の少なくとも一部には、透明板が設けられ、前記本体板に設けられた2つの通孔に、筒部を接合したことを特徴とする。
【0006】
上記特徴によれば、第1側面板と第2側面板によって、例えば、略コ字状に空間を仕切ることが出来るため、場所を問わず容易に設置できると共に、飛沫感染を防止した診察空間を容易に設けることができる。また、医師は、筒部に手を通すことで患者を診察できるので、医師の手が飛沫感染防止用つい立ての一部に引っ掛かることなく、スムーズに手を通して診察できる。さらに、第1側面板と第2側面板を折り畳むことで、飛沫感染防止用つい立て全体は小さく平らにできるため、嵩張らずに持ち運びに便利で、保管もしやすい。また、飛沫感染防止用つい立ては中空構造板から構成された部分を備えるため、重量が軽く容易に持ち運ぶことができる。
【0007】
更に、本願発明の請求項に係る飛沫感染防止用つい立ては、前記第1側面板において、前記内側第1溝部に隣接する位置に、前記第1側面板の上端から下端に向けて延び、折り曲げ可能な略V字状又は薄肉状の外側第1溝部を設け、前記外側第1溝部の薄肉部の幅は、前記内側第1溝部の薄肉部の幅よりも広くなっており、前記第2側面板において、前記内側第2溝部に隣接する位置に、前記第2側面板の上端から下端に向けて延び、折り曲げ可能な略V字状又は薄肉状の外側第2溝部を設け、前記外側第2溝部の薄肉部の幅は、前記内側第2溝部の薄肉部の幅よりも広いことを特徴とする。
【0008】
上記特徴によれば、外側第1溝部を折り曲げて第1側面板を畳んだ際に、外側第1溝部の折り曲げ時の反発性を抑えることができ、同様に、外側第2溝部を折り曲げて第2側面板を畳んだ際に、外側第2溝部の折り曲げ時の反発性を抑えることができる。また、第1側面板と第2側面板側のそれぞれに折り曲げ箇所を2つ設けることで、第1側面板と第2側面板は折り曲げやすく、飛沫感染防止用つい立て全体を、コンパクトに折り畳むことができる。
【0009】
更に、本願発明の請求項に係る飛沫感染防止用つい立ては、前記本体板の筒部は、前記本体板の外側に向けて突出するように取り付けられ、前記第1側面板と前記第2側面板は、前記筒部の突出方向と反対側の前記本体板の内側に向けて、折り曲げ可能となっており、前記筒部に取り付けられたグローブは、前記筒部の内側を通して、前記本体板と前記第1側面板と前記第2側面板とで囲まれた空間内に、配置されていることを特徴とする。
【0010】
上記特徴によれば、グローブは筒部の内側を通して取り付けられているので、医師が筒部を介してグローブに手を入れて診察しても、グローブが外れにくい。さらに、第1側面板と第2側面板を折り畳んだ際は、グローブが、第1側面板と第2側面板に覆われて保護されるので、保管時や運搬時等に損傷を受けにくい。また、患者と医師との間に隙間が無く、飛沫感染を効果的に防止できる。
【0011】
更に、本願発明の請求項に係る飛沫感染防止用つい立ては、前記本体板の筒部は、前記本体板の外側に向けて突出するように取り付けられ、前記第1側面板と前記第2側面板は、前記筒部の突出方向と反対側の前記本体板の内側に向けて、折り曲げ可能となっており、前記筒部は、前記本体板の通孔内に設置され、前記筒部の端部は、前記本体板の内側の表面と面一となっていることを特徴とする。
【0012】
上記特徴によれば、本体板の内側の表面と、筒部の端部は面一となっているので、端部と表面との間には段差等の突出箇所がない。そのため、グローブを使用して診察等を行っている時に、段差等の突出箇所によってグローブが裂けて破損することを防止することが出来る。また、診察が終わった後に、筒部を介して、グローブを外側に引き出して破棄する際も、段差等の突出箇所によってグローブが裂けて破損することを防止することが出来る。
【0013】
更に、本願発明の請求項に係る飛沫感染防止用つい立ては、前記本体板と前記筒部は、同じ樹脂から構成されており、前記通孔と前記筒部は、前記通孔と前記筒部の境界部分に前記樹脂と同じ樹脂を流し込んで接合されていることを特徴とする。
【0014】
上記特徴によれば、筒部と本体板との接合性が良好で、筒部を強固に固定することが出来る。さらに、筒部と通孔との境界部分に樹脂を流し込むので、境界部分に隙間が出来ず、後述するように、患者からの飛沫感染防止になる。
【0015】
更に、本願発明の請求項に係る飛沫感染防止用つい立ては、前記第1側面板と前記第2側面板の少なくともいずれかを、有色としたことを特徴とする。
【0016】
上記特徴によれば、診察時に、患者の顔を周囲から隠すことができ、患者のプライバシーを保護できる。
【0017】
更に、本願発明の請求項に係る飛沫感染防止用つい立ては、前記本体板の上方を覆う蓋体を、備えたことを特徴とする。
【0018】
上記特徴によれば、患者の上方も覆われるため、患者からの飛沫感染を効果的に防止できる。
【発明の効果】
【0019】
本願発明の飛沫感染防止用つい立てによれば、重量が軽く、折り畳み可能で小さくすることができ、持ち運びに便利な、患者を診察するための空間を仕切ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】(a)は、本願発明に係る飛沫感染防止用つい立てを構成する中空構造板の全体斜視図、(b)は、中空構造板のコーナー付近を拡大した斜視図、(c)は、中空構造板の平面図である。
図2】(a)は、端面処理を施す様子を示した中空構造板の平面図、(b)から(e)は、端面処理を施す様子を示した中空構造板の端辺付近の側面図(図2(a)に示す、矢印Aから見た側面図)、(f)は、端面処理を施した後の中空構造板の平面図である。
図3】(a)は、端面処理を施す様子を示した中空構造板の平面図、(b)から(e)は、端面処理を施す様子を示した中空構造板の端辺付近の正面図(図3(a)に示す、矢印Bから見た正面図)、(f)は、端面処理を施した後の中空構造板の平面図である。
図4】(a)は、コーナー部に端面処理を施す様子を示した中空構造板の平面図、(b)、(c)、(e)、(f)は、端面処理を施す様子を示した中空構造板のコーナー部付近の側面図(図4(a)に示す、矢印Cから見た側面図)、(d)は、コーナー部に端面処理を施す様子を示したコーナー部付近の平面図である。
図5】(a)は、端面処理を施した中空構造板の平面図、(b)は、中空構造板に各溝部を形成する箇所を示した平面図である。
図6】(a)から(c)は、中空構造板の内側第1溝部及び外側第1溝部付近を拡大した正面図(図5(b)に示す、矢印Hから見た正面図)である。
図7】(a)から(c)は、中空構造板の内側第2溝部及び外側第2溝部付近を拡大した正面図(図5(b)に示す、矢印Iから見た正面図)である。
図8】(a)は、飛沫感染防止用つい立ての全体斜視図、(b)は、第2側面板と透明板の取り付け箇所付近を拡大した斜視図、(c)は、第1側面板と透明板の取り付け箇所付近を拡大した斜視図である。
図9】(a)は、飛沫感染防止用つい立ての背面図、(b)は、飛沫感染防止用つい立ての平面図である。
図10】(a)は、飛沫感染防止用つい立ての背面側から見た全体斜視図、(b)は、筒部周辺を外側の背面側から見た拡大斜視図、(c)は、筒部周辺を内側の正面側から見た拡大斜視図、(d)は、J―J断面図である。
図11】(a)は、折り畳まれた状態の飛沫感染防止用つい立ての全体斜視図、(b)は、折り畳まれた状態の飛沫感染防止用つい立ての第2支持部周辺を底面側から見た拡大斜視図、(c)は、折り畳まれた状態の飛沫感染防止用つい立ての第1支持部周辺を底面側から見た拡大斜視図である。
図12】(a)は、飛沫感染防止用つい立てを設置台に設置した状態の正面側から見た斜視図、(b)は、飛沫感染防止用つい立てを設置台に設置した状態の背面側から見た斜視図である。
図13】(a)及び(b)は、飛沫感染防止用つい立ての筒部にグローブを取り付ける様子を示した背面側から見た拡大斜視図、(c)は、設置台に設置した飛沫感染防止用つい立てにグローブを取り付けた状態の背面側から見た斜視図である。
図14】(a)は、飛沫感染防止用つい立てに蓋体を取り付ける様子を示した背面側から見た斜視図、(b)は、飛沫感染防止用つい立てを使用して医師等が患者を診断している様子を示した側面図である。
【符号の説明】
【0021】
100 中空構造板
103 第1側面板
104 第2側面板
200 内側第1溝部
400 内側第2溝部
600 透明板
607 本体板
610 通孔
670 筒部
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本願発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0023】
まず、図1に本願発明の飛沫感染防止用つい立ての各側面板を構成する中空構造板100を示す。なお、図1(a)は、中空構造板100の全体斜視図、図1(b)は、中空構造板100のコーナー付近を拡大した斜視図、図1(c)は、中空構造板100の平面図である。
【0024】
図1に示すように、飛沫感染防止用つい立ての側面板を構成する中空構造板100は、略長方形状に切り出された板材となっており、短手方向の端辺110と長手方向の端辺120とを備える。この中空構造板100は、中空構造を備えた一枚の大きな板材から、側面板の大きさに合わせて切り出されているので、端辺110と端辺120の端面、すなわち、切断面には、中空構造板100の内部の構造が露出している。この中空構造板100は、ハニカム構造により内部に空隙を備えた樹脂製のコア材130と、コア材130の表側に設けられる、樹脂製の内側スキン層140と、コア材130の裏側に設けられる、樹脂製の外側スキン層150から構成されている。この内側スキン層140は、後述するように飛沫感染防止用つい立てを折り畳んだ際に、内側に折り重なって隠れる面となり、外側スキン層150は、つい立てを折り畳んだ際に、外側に露出する面となる。そして、端辺110と端辺120の端面には、内部の構造が露出しているため、飛沫感染防止用つい立てを持ち運ぶ際に、人の手指に傷がつかないように、端辺110と端辺120には端面処理を施すのが好ましい。また、中空構造板100の外周にはフレーム等を取り付けることがなく、全体が平坦なので、表面の拭き取りが行いやすい。
【0025】
なお、コア材130はハニカム構造により内部に中空構造を備えた素材であるが、これに限定されず、中空構造を備えた樹脂製の素材であれば、その他の任意の素材を利用できる。また、中空構造板100は、コア材130と内側スキン層140と外側スキン層150とから構成されているが、これに限定されず、中空構造板100は樹脂製の中空構造を備えていれば、その他の任意の構成であってもよい。また、コア材130、内側スキン層140、及び、外側スキン層150は、アルコール洗浄が可能で採光性を備えるポリプロピレン製の素材から構成されるのが好ましい。また、内側スキン層140、及び、外側スキン層150の素材には、細菌やウィルスの繁殖を防ぐために、抗菌剤や抗ウィルス剤を含ませることが好ましい。また、中空構造板100は、略長方形状であるが、これに限定されず、側面板の大きさや形状に合わせて、任意の形状であってもよい。また、中空構造板100は全体的に表面に凹凸が少なく平坦なので、表面の汚れ、細菌やウィルス等を拭き取りやすく、衛生的である。
【0026】
図2から図4を参照して、端面処理について説明する。なお、図2(a)は、端面処理を施す様子を示した中空構造板100の平面図、図2(b)から(e)は、端面処理を施す様子を示した中空構造板100の端辺110付近の側面図(図2(a)に示す、矢印Aから見た側面図)、図2(f)は、端面処理を施した後の中空構造板100の平面図である。
【0027】
まず、図2(a)に示すように、中空構造板100の端辺110に端面処理を行うため、端辺110の上方から中空構造板100の長さよりも幅が広い、加熱板710を押し当てる。また、この加熱板710は、端辺110に沿って延出しているので、端辺110全体にわたり一度に端面処理を行える。具体的には、図2(b)に示すように、加熱板710の平坦な押圧面711を、中空構造板100の内側スキン層140へ上から押し当てる。この押圧面711は、内側スキン層140及びコア材130を溶融可能な温度にまで加熱されているので、加熱板710が内側スキン層140を下方へ押圧していくことで、図2(c)に示すように、内側スキン層140とコア材130は溶融しながら圧縮され、薄肉部160となる。次に、図2(d)に示すように、薄肉部160を上方へ折り曲げて、コア材130の端面131に密着させる。端面131は加熱板710によって加熱されて溶融しており、内部のコア材130の凹凸が溶けて滑らかな面になっている。そして、薄肉部160も加熱板710によって加熱されて溶融しているので、端面131と薄肉部160は密着した状態でしっかりと溶着する。そして、図2(e)に示すように、内側スキン層140の表面から飛び出ている薄肉部160の先端161を切除して、端辺110の端面処理が完了する。図2(f)に示すように、端面処理が完了すると、中空構造板100の端辺110から露出していた内部構造は、薄肉部160で塞がれた状態となる。
【0028】
次に、図3に示すように、中空構造板100の端辺120に端面処理を行う。なお、図3(a)は、端面処理を施す様子を示した中空構造板100の平面図、図3(b)から(e)は、端面処理を施す様子を示した中空構造板100の端辺120付近の正面図(図3(a)に示す、矢印Bから見た正面図)、図3(f)は、端面処理を施した後の中空構造板100の平面図である。
【0029】
図3(a)に示すように、中空構造板100の端辺120に端面処理を行うため、端辺120の上方から中空構造板100の長さよりも幅が広い、加熱板720を押し当てる。また、この加熱板720は、端辺120に沿って延出しているので、端辺120全体にわたり一度に端面処理を行える。具体的には、図3(b)に示すように、加熱板720の平坦な押圧面721を、中空構造板100の内側スキン層140へ上から押し当てる。この押圧面721は、内側スキン層140及びコア材130を溶融可能な温度にまで加熱されているので、加熱板720が内側スキン層140を下方へ押圧していくことで、図3(c)に示すように、内側スキン層140とコア材130は溶融しながら圧縮され、薄肉部170となる。次に、図3(d)に示すように、薄肉部170を上方へ折り曲げて、コア材130の端面131に密着させる。端面131は加熱板720によって加熱されて溶融しており、薄肉部170も加熱板720によって加熱されて溶融しているので、両者は密着した状態でしっかりと溶着する。そして、図3(e)に示すように、内側スキン層140の表面から飛び出ている薄肉部170の先端171を切除して、端辺120の端面処理が完了する。図3(f)に示すように、端面処理が完了すると、中空構造板100の端辺120から露出していた内部構造は、薄肉部170で塞がれた状態となる。そして、中空構造板100の端辺110及び端辺120に端面処理が施されたことで、飛沫感染防止用つい立てを持ち運ぶ際に、側面板に触れても、人の手指に傷がつくことを効果的に防止できる。
【0030】
また、飛沫感染防止用つい立てを直立させて使用する際に、中空構造板100のコーナー部の尖った先端が人や物にあたり、邪魔になる場合もあるため、図4に示すように、コーナー部101にも端面処理を施すのが好ましい。なお、図4(a)は、コーナー部101に端面処理を施す様子を示した中空構造板100の平面図、図4(b)、(c)、(e)、(f)は、端面処理を施す様子を示した中空構造板100のコーナー部101付近の側面図(図4(a)に示す、矢印Cから見た側面図)、図4(d)は、コーナー部101に端面処理を施す様子を示したコーナー部101付近の平面図である。
【0031】
図4(a)に示すように、中空構造板100のコーナー部101に端面処理を行うため、コーナー部101の上方からコーナー部101を斜めに横断可能な幅の加熱板730を押し当てる。具体的には、図4(b)に示すように、加熱板730の平坦な押圧面731を、中空構造板100の内側スキン層140へ上から押し当てる。この押圧面731は、内側スキン層140及びコア材130を溶融可能な温度にまで加熱されているので、加熱板730が内側スキン層140を下方へ押圧していくことで、図4(c)及び図4(d)に示すように、内側スキン層140とコア材130は溶融しながら圧縮され、薄肉部180となる。次に、図4(e)に示すように、薄肉部180を上方へ折り曲げて、コア材130の端面131に密着させる。端面131は加熱板730によって加熱されて溶融しており、薄肉部180も加熱板730によって加熱されて溶融しているので、両者は密着した状態でしっかりと溶着する。そして、図4(f)に示すように、内側スキン層140の表面から飛び出ている薄肉部180の先端181を切除して、コーナー部101の端面処理が完了する。すると、図5に示すように、コーナー部101の先端の尖った部分が無くなるのである。また、コーナー部101には、図2で説明した加熱板710による端面処理と、図3で説明した加熱板720による端面処理と、図4で説明した加熱板730による端面処理によって、角部(薄肉部160と薄肉部180が重なる箇所、薄肉部170と薄肉部180が重なる箇所)の樹脂量が多くなり、コア材130の内部に樹脂が入り込むため、強度が高くなっている。そして、使用時や運搬時等に最も破損しやすいコーナー部101の強度が高くなったことで、飛沫感染防止用つい立てが破損することを効果的に防止できるのである。また、角部の樹脂量が多いことで、加熱板730の押圧時の薄肉部180が幅広となる。そのため、薄肉部180を上部に折り返した際、薄肉部180がコア材130の端面131の一部または全体を覆うことができ、上面と左右の三ヵ所(コ字状)をカットすることで、端面131の露出をすることなく封止することができる。
【0032】
なお、薄肉部160、薄肉部170、及び薄肉部180の先端側は、後述するように飛沫感染防止用つい立てを折り畳んだ際に、内側に折り重なって隠れる面である内側スキン層140側に、向いているので、飛沫感染防止用つい立てを外側から掴んで持ち運ぶ際に、各薄肉部の先端側によって人の手指に傷がつくことを効果的に防止できる。また、中空構造板100の端辺110及び端辺120の全周にわたり端面処理を施しているが、これに限定されず、内部構造が露出している箇所のみに部分的に端面処理を施してもよい。また、端面処理を施す必要がない部分、例えば、人が触れる部分ではない、端辺110の下端側(設置台等に載置する側)などは、部分的に端面処理を行わなくてもよい。また、中空構造板100の端辺110及び端辺120のみに端面処理を行い、コーナー部101の端面処理を行わなくてもよい。
【0033】
次に、図5に示すように、端面処理を施した中空構造板100に、各溝部を形成する。なお、図5(a)では、2枚の中空構造板100を並べて配置しており、右側の中空構造板100は、図1から図4で示した、端面処理を施した中空構造板100である。また、左側の中空構造板100は、図1から図4で示した、端面処理と同様の処理を行うと共に、右側の中空構造板100と左右対称の構造となっている。そして、右側の中空構造板100は、後述する第1側面板103を構成し、左側の中空構造板100は、後述する第2側面板104を構成する。なお、図5(a)は、端面処理を施した各中空構造板100の平面図、図5(b)は、各中空構造板100に各溝部を形成する箇所を示した平面図である。
【0034】
具体的には、図5(b)に示すように、右側の中空構造板100において、相対する端辺110に向けて延びる直線Dに沿って、後述する内側第1溝部200を形成する。内側第1溝部200によって、中空構造板100は、端部板102と第1側面板103に区分けされる。さらに、第1側面板103には、直線Dに隣接する位置に、相対する端辺110に向けて延びる直線Eに沿って、後述する外側第1溝部300を形成する。さらに、左側の中空構造板100において、相対する端辺110に向けて延びる直線Fに沿って、後述する内側第2溝部400を形成する。内側第2溝部400によって、中空構造板100は、端部板102と第2側面板104に区分けされる。さらに、第2側面板104には、直線Fに隣接する位置に、相対する端辺110に向けて延びる直線Gに沿って、後述する外側第2溝部500を形成する。
【0035】
次に、図6を参照して、内側第1溝部200及び外側第1溝部300を形成する方法について説明する。なお、図6(a)から(c)は、中空構造板100の内側第1溝部200及び外側第1溝部300付近を拡大した正面図(図5(b)に示す、矢印Hから見た正面図)である。
【0036】
図6(a)に示すように、中空構造板100の内側スキン層140の上方から加熱板750を押し当てる。この加熱板750は、直線Eに沿って延出しているので、相対する端辺110まで横断するように一度に外側第1溝部300を形成できる。加熱板750は、先端の平坦面751と両側の傾斜面752によって略V字状に構成されている。そして、加熱板750の平坦面751及び傾斜面752は、内側スキン層140及び内部のコア材130を溶融可能な温度にまで加熱されているので、加熱板750が内側スキン層140を下方へ押圧していくことで、図6(b)に示すように、内側スキン層140とコア材130は溶融しながら圧縮され、外側第1溝部300が形成される。また、外側第1溝部300は、直線Eに沿って直線状に形成され、長手方向に直角に交わる縦断面が略V字状となっている。そして、外側第1溝部300は、平坦な底面310と、底面310の両側に傾斜した側面320とを備えている。底面310及び側面320の表面は、内側スキン層140が溶融して滑らかな面となっている。また、底面310周辺は、加熱板750によって圧縮されて局所的に板厚が薄くなった薄肉部330となっているので、この薄肉部330を起点に、外側第1溝部300を内側に折り曲げることができる。その際、薄肉部330の内側角部301又は外側角部302のいずれかを起点に折り曲げてもよい。また、第1側面板103が、後述する本体板607よりも短い短板である場合は、短板である第1側面板103を掴んで折り曲げるため、長板である本体板607から近い側の内側角部301を起点に折り曲げる。なお、加熱板750によって内側スキン層140を圧縮する際に、溶融した内側スキン層140の樹脂の一部が、側面320の端部321に溢れて、突条322が形成されている。
【0037】
次に、図6(a)に示すように、中空構造板100の内側スキン層140の上方から加熱板740を押し当てる。この加熱板740は、直線Dに沿って延出しているので、相対する端辺110まで横断するように一度に内側第1溝部200を形成できる。加熱板740は、先端の平坦面741と両側の傾斜面742によって略V字状に構成されている。そして、加熱板740の平坦面741及び傾斜面742は、内側スキン層140及び内部のコア材130を溶融可能な温度にまで加熱されているので、加熱板740が内側スキン層140を下方へ押圧していくことで、図6(b)に示すように、内側スキン層140とコア材130は溶融しながら圧縮され、内側第1溝部200が形成される。また、内側第1溝部200は、直線Dに沿って直線状に形成され、長手方向に直角に交わる縦断面が略V字状となっている。そして、内側第1溝部200は、平坦な底面210と、底面210の両側に傾斜した側面220とを備えている。底面210及び側面220の表面は、内側スキン層140が溶融して滑らかな面となっている。また、底面210周辺は、加熱板740によって圧縮されて局所的に板厚が薄くなった薄肉部230となっているので、この薄肉部230を起点に、内側第1溝部200を内側に折り曲げることができる。なお、加熱板740によって内側スキン層140を圧縮する際に、溶融した内側スキン層140の樹脂の一部が、側面220の端部221に溢れて、突条222が形成されている。
【0038】
また、加熱板740と加熱板750は互いに所定間隔(例えば、中空構造板100の板厚分)をあけて隣接しているため、内側第1溝部200と外側第1溝部300との間には、第1支持部260が形成されている。この第1支持部260は、相対する端辺110に向けて直線状に形成され、長手方向に直角に交わる縦断面が略台形状となっている。そして、第1支持部260の内側の横幅(端部221と端部321の幅)は、所定の幅(例えば、中空構造板100の板厚より広い)になっている。また、加熱板750の平坦面751の幅L1は、加熱板740の平坦面741の幅L2より広くなっている。そのため、平坦面751で形成される薄肉部330の幅L3は、平坦面741で形成される薄肉部230の幅L4よりも広くなっている。
【0039】
次に、図6(c)に示すように、内側第1溝部200を内側に折り曲げる。内側第1溝部200の側面220は加熱板740によって加熱されて溶融しているので、側面220同士は折り曲げて密着した状態でしっかりと溶着し、内側第1溝部200は折り曲げられた状態で略L字状に固定される。そして、内側第1溝部200に隣接する第1支持部260も、端部板102に固定された状態となっている。この第1支持部260は、相対する端辺110に向けて延出しており、後述するように、第1側面板103が端部板102に対して開閉できるように第1側面板103を支持する部分となる。なお、側面220の端部221の突条222同士も互いに溶着するので、溶着面積が増えて、より強固に内側第1溝部200を溶着させることができる。また、内側第1溝部200は、加熱されて溶着することで、固定されているが、これに限定されず、接着剤等を用いて固定するなど、任意の固定方法を用いてもよい。
【0040】
なお、内側第1溝部200の略V字状とは、底面210を備えているか否かに関わらず、両側の傾斜した側面220によって内側に窪んだ形状を含んでおり、外側第1溝部300の略V字状とは、底面310を備えているか否かに関わらず、両側の傾斜した側面320によって内側に窪んだ形状を含んでいる。また、内側第1溝部200及び外側第1溝部300は、略V字状をしているが、これに限定されず、内側第1溝部200及び外側第1溝部300は、一部が薄肉状で内側に折り曲げることが出来るのであれば、略U字状、略台形状など、任意の形状でよい。また、第1支持部260は略台形状に限定されず、任意の形状であってもよい。また、第1支持部260の略台形状とは、傾斜角度が同じで内角が等しい一方の側面220と他方の側面320と、中空構造板100の外面と内面とで囲まれた台形の形状に限定されず、第1支持部260の大部分が、傾斜角度が異なる一方の側面220と他方の側面320と中空構造板100の内面と外面の4つの面で囲まれた形状を含んでいる。また、折れ曲がった内側第1溝部200の内角αは、90度以上となっているため、汚れ等を拭き取りやすくなっている。また、内側第1溝部200は、折れ曲がる前の略V字状の状態では、溝の角度が90度以上に開いているが、これに限定されず、溝の角度を小さく(例えば、90度以下)してもよい。すると、内側第1溝部200を折り曲げた際に、内角αが大きくなるため、汚れ等をより拭き取りやすくなる。また、内側第1溝部200が折れ曲がった略L字状とは、内角αで折れ曲がった場合に限定されず、端部板102に対して立ち上がるように、内側第1溝部200が任意の角度で折れ曲がった状態を含んでいる。また、加熱板740と加熱板750は同一の装置内に取り付けられて加工を行っているが、これに限定されず、加熱板740と加熱板750は、それぞれ異なる装置に取り付けられて、個々の装置で別々に加工を行ってもよい。
【0041】
次に、図7を参照して、内側第2溝部400及び外側第2溝部500を形成する方法について説明する。なお、図7(a)から(c)は、中空構造板100の内側第2溝部400及び外側第2溝部500付近を拡大した正面図(図5(b)に示す、矢印Iから見た正面図)である。
【0042】
図7(a)に示すように、中空構造板100の内側スキン層140の上方から加熱板770を押し当てる。この加熱板770は、直線Gに沿って延出しているので、相対する端辺110まで横断するように一度に外側第2溝部500を形成できる。加熱板770は、先端の平坦面771と両側の傾斜面772によって略V字状に構成されている。そして、加熱板770の平坦面771及び傾斜面772は、内側スキン層140及び内部のコア材130を溶融可能な温度にまで加熱されているので、加熱板770が内側スキン層140を下方へ押圧していくことで、図7(b)に示すように、内側スキン層140とコア材130は溶融しながら圧縮され、外側第2溝部500が形成される。また、外側第2溝部500は、直線Gに沿って直線状に形成され、長手方向に直角に交わる縦断面が略V字状となっている。そして、外側第2溝部500は、平坦な底面510と、底面510の両側に傾斜した側面520とを備えている。底面510及び側面520の表面は、内側スキン層140が溶融して滑らかな面となっている。また、底面510周辺は、加熱板770によって圧縮されて局所的に板厚が薄くなった薄肉部530となっているので、この薄肉部530を起点に、外側第2溝部500を内側に折り曲げることができる。その際、薄肉部530の内側角部501又は外側角部502のいずれかを起点に折り曲げてもよい。また、第2側面板104が、後述する本体板607よりも短い短板である場合は、短板である第2側面板104を掴んで折り曲げるため、長板である本体板607から近い側の内側角部501を起点に折り曲げる。なお、加熱板750によって内側スキン層140を圧縮する際に、溶融した内側スキン層140の樹脂の一部が、側面520の端部521に溢れて、突条522が形成されている。
【0043】
次に、図7(a)に示すように、中空構造板100の内側スキン層140の上方から加熱板760を押し当てる。この加熱板760は、直線Fに沿って延出しているので、相対する端辺110まで横断するように一度に内側第2溝部400を形成できる。加熱板760は、先端の平坦面761と両側の傾斜面762によって略V字状に構成されている。そして、加熱板760の平坦面761及び傾斜面762は、内側スキン層140及び内部のコア材130を溶融可能な温度にまで加熱されているので、加熱板760が内側スキン層140を下方へ押圧していくことで、図7(b)に示すように、内側スキン層140とコア材130は溶融しながら圧縮され、内側第2溝部400が形成される。また、内側第2溝部400は、直線Fに沿って直線状に形成され、長手方向に直角に交わる縦断面が略V字状となっている。そして、内側第2溝部400は、平坦な底面410と、底面410の両側に傾斜した側面420とを備えている。底面410及び側面420の表面は、内側スキン層140が溶融して滑らかな面となっている。また、底面410周辺は、加熱板760によって圧縮されて局所的に板厚が薄くなった薄肉部430となっているので、この薄肉部430を起点に、内側第2溝部400を内側に折り曲げることができる。なお、加熱板760によって内側スキン層140を圧縮する際に、溶融した内側スキン層140の樹脂の一部が、側面420の端部421に溢れて、突条422が形成されている。
【0044】
また、加熱板760と加熱板770は互いに所定間隔(例えば、中空構造板100の板厚分)をあけて隣接しているため、内側第2溝部400と外側第2溝部500との間には、第2支持部460が形成されている。この第2支持部460は、相対する端辺110に向けて直線状に形成され、長手方向に直角に交わる縦断面が略台形状となっている。そして、第2支持部460の内側の横幅(端部421と端部521の幅)は、所定の幅(例えば、中空構造板100の板厚より広い)になっている。また、加熱板770の平坦面771の幅L5は、加熱板760の平坦面761の幅L6より広くなっている。そのため、平坦面771で形成される薄肉部530の幅L7は、平坦面761で形成される薄肉部430の幅L8よりも広くなっている。
【0045】
次に、図7(c)に示すように、内側第2溝部400を内側に折り曲げる。内側第2溝部400の側面420は加熱板760によって加熱されて溶融しているので、側面420同士は折り曲げて密着した状態でしっかりと溶着し、内側第2溝部400は折り曲げられた状態で略L字状に固定される。そして、内側第2溝部400に隣接する第2支持部460も、端部板102に固定された状態となっている。この第2支持部460は、相対する端辺110に向けて延出しており、後述するように、第2側面板104が端部板102に対して開閉できるように第2側面板104を支持する部分となる。なお、側面420の端部421の突条422同士も互いに溶着するので、溶着面積が増えて、より強固に内側第2溝部400を溶着させることができる。また、内側第2溝部400は、加熱されて溶着することで、固定されているが、これに限定されず、接着剤等を用いて固定するなど、任意の固定方法を用いてもよい。
【0046】
なお、内側第2溝部400の略V字状とは、底面410を備えているか否かに関わらず、両側の傾斜した側面420によって内側に窪んだ形状を含んでおり、外側第2溝部500の略V字状とは、底面510を備えているか否かに関わらず、両側の傾斜した側面520によって内側に窪んだ形状を含んでいる。また、内側第2溝部400及び外側第2溝部500は、略V字状をしているが、これに限定されず、内側第2溝部400及び外側第2溝部500は、一部が薄肉状で内側に折り曲げることが出来るのであれば、略U字状、略台形状など、任意の形状でよい。また、第2支持部460は略台形状に限定されず、任意の形状であってもよい。また、第2支持部460の略台形状とは、傾斜角度が同じで内角が等しい一方の側面420と他方の側面520と、中空構造板100の外面と内面とで囲まれた台形の形状に限定されず、第2支持部460の大部分が、傾斜角度が異なる一方の側面420と他方の側面520と中空構造板100の内面と外面の4つの面で囲まれた形状を含んでいる。また、折れ曲がった内側第2溝部400の内角βは、90度以上となっているため、汚れ等を拭き取りやすくなっている。また、内側第2溝部400は、折れ曲がる前の略V字状の状態では、溝の角度が90度以上に開いているが、これに限定されず、溝の角度を小さく(例えば、90度以下)してもよい。すると、内側第2溝部400を折り曲げた際に、内角βが大きくなるため、汚れ等をより拭き取りやすくなる。また、内側第2溝部400が折れ曲がった略L字状とは、内角βで折れ曲がった場合に限定されず、端部板102に対して立ち上がるように、内側第2溝部400が任意の角度で折れ曲がった状態を含んでいる。また、加熱板760と加熱板770は同一の装置内に取り付けられて加工を行っているが、これに限定されず、加熱板760と加熱板770は、それぞれ異なる装置に取り付けられて、個々の装置で別々に加工を行ってもよい。
【0047】
そして、図6及び図7に示す各溝部を形成した後、図8から図10に示すように、第1側面板103に隣接する端部板102と、第2側面板104に隣接する端部板102に透明板600を取り付けて、飛沫感染防止用つい立て700が完成する。なお、図8(a)は、飛沫感染防止用つい立て700の全体斜視図、図8(b)は、第2側面板104と透明板600の取り付け箇所付近を拡大した斜視図、図8(c)は、第1側面板103と透明板600の取り付け箇所付近を拡大した斜視図、図9(a)は、飛沫感染防止用つい立て700の背面図、図9(b)は、飛沫感染防止用つい立て700の平面図、図10(a)は、飛沫感染防止用つい立て700の背面側から見た全体斜視図、図10(b)は、筒部670周辺を外側の背面側から見た拡大斜視図、図10(c)は、筒部670周辺を内側の正面側から見た拡大斜視図、図10(d)は、J―J断面図である。
【0048】
図8及び図9に示すように、略長方形状の透明板600の一方の端部605と、第1側面板103に連続する端部板102とが連結され、他方の端部605と、第2側面板104に連続する端部板102とが連結されている。そして、透明板600と、両側の端部605で連結された端部板102とで、本体板607が構成される。また、端部605と端部板102の連結は、端部605の内面と端部板102の内面とを両面テープによって貼り付けて行っているが、これに限定されず、端部605と端部板102とを接着剤で貼り付けるなど、任意の方法を採用できる。また、透明板600は、塩化ビニル樹脂で構成されており、視認性を確保するため透明又は半透明となっている。なお、透明板600は、塩化ビニル樹脂で構成されているが、これに限定されず、視認性を確保するため透明又は半透明であれば、任意の素材で構成してもよい。
【0049】
また、図8及び図9に示すように、第1側面板103は、外側第1溝部300を内側に折り曲げて、本体板607の透明板600の内側へ向けて折り畳むことができる。内側第1溝部200は折り曲げられた状態で略L字状に固定されているので、内側第1溝部200に隣接する外側第1溝部300を起点に、第1側面板103を本体板607に向けて開閉しやすくなっている。また、第2側面板104は、外側第2溝部500を内側に折り曲げて、本体板607の透明板600の内側へ向けて折り畳むことができる。内側第2溝部400は折り曲げられた状態で略L字状に固定されているので、内側第2溝部400に隣接する外側第2溝部500を起点に、第2側面板104を本体板607に向けて開閉しやすくなっている。
【0050】
また、図9及び図10に示すように、透明板600には、内側から外側へ貫通した2つの円形の通孔610が設けられており、各通孔610に筒部670が接合されている。具体的には、筒部670は、塩化ビニル樹脂製で円筒形に形成されており、図10(c)及び(d)に示すように、筒部670の内側の端部671は通孔610内に配置され、筒部670の端部671は、本体板607の透明板600の内側の表面601と面一となっている。さらに、通孔610と筒部670との境界部分612に、接合剤613として塩化ビニル樹脂を流し込んで、筒部670を通孔610に接合し、筒部670を固定している。また、筒部670を通孔610に挿入し易くするために、通孔610の径よりも、筒部670の外周の径を数ミリメートル小さくして、筒部670の端部671の外周の一部又全周において、通孔610との間に僅かな隙間611がある。(図10(d)では、筒部670は自重により、下側では通孔610の縁部と接しているが、上側では僅かな隙間611がある。)そして、この隙間611にも接合剤613が流し込まれて、隙間611が埋められる。すると、通孔610と筒部670との接合面積が増え、接合強度が向上するのである。また、筒部670の外側の端部672は、本体板607の透明板600の外側へ向けて突出している。
【0051】
また、筒部670が取り付けられる本体板607の一部(図10では、透明板600)と、筒部670は共に、塩化ビニル樹脂によって同じ樹脂で構成されており、通孔610と筒部670との境界部分612に流し込まれる接合剤613も、同じ塩化ビニル樹脂を利用している。そのため、筒部670と本体板607との接合性が良好で、筒部670を強固に固定することが出来る。さらに、筒部670と通孔610との境界部分612に樹脂を流し込むので、境界部分612に隙間が出来ず、後述するように、患者からの飛沫感染防止になる。
【0052】
なお、通孔610は本体板607の透明板600に設けられているが、これに限定されず、本体板607の一部であれば、通孔610を任意の場所に設けてもよい。例えば、本体板607は、上半分側に透明板600を備え、下半分側に有色の板材を備えてもよく、その場合は、下半分側の有色の板材に、通孔610を設けて筒部670を接合する。また、本体板607は、両側の端部板102が中空構造板100で構成され、中央の大部分が透明板600で構成されているが、これに限定されず、本体板607の一部に患者を視認するための透明板600を設けていれば、本体板607の大部分を中空構造板100で構成したり、本体板607の大部分を有色の任意の板材等で構成してもよい。
【0053】
また、図10(c)及び(d)に示すように、筒部670の端部671は、本体板607の透明板600の内側の表面601と面一となっているが、これに限定されず、筒部670の端部671が、透明板600の表面601から突出して、段差状になっていてもよい。また、筒部670は、断面が円形の円筒形状をしているが、これに限定されず、後述するように、患者を診察するために、医師等の腕や手又は診察器具の一部を通過させることが出来るのであれば、任意の形状であってもよい。また、筒部670は、塩化ビニル樹脂で構成されているが、これに限定されず、任意の素材で構成できる。
【0054】
また、筒部670は、第1側面板103と第2側面板104が折り畳まれる本体板607の内側の表面601とは、反対側の外側に向けて突出しているが、これに限定されず、本体板607の内側に向けて突出していてもよい。ただ、筒部670を、本体板607の外側に向けて突出させることで、第1側面板103と第2側面板104を折り畳んだ際に、筒部670と干渉することがなく、飛沫感染防止用つい立て700全体を小さく平らに折り畳むことができる。さらに、後述するように、第1側面板103と第2側面板104で仕切られた空間で、患者を診察するため、本体板607の内側へ向けて筒部670が突出していると、筒部670に患者の飛沫等が付着する虞がある。また、筒部670を介して医師は患者を診察するため、感染防止の観点から、筒部670への飛沫等の付着は出来るだけ避けたい。そこで、筒部670を本体板607の内側の表面601とは、反対側の外側に向けて突出させることで、筒部670への飛沫等の付着を防止できるのである。また、患者の飛沫が付着した虞のある第1側面板103と第2側面板104を本体板607の内側に折り畳んでも、筒部670に触れることがなく衛生的である。さらに、第1側面板103と第2側面板104と本体板607の内側は、ほぼ平坦面なので、患者の飛沫を拭き取りやすい。
【0055】
次に、図11に、飛沫感染防止用つい立て700を折り畳んだ状態を示す。なお、図11(a)は、折り畳まれた状態の飛沫感染防止用つい立て700の全体斜視図、図11(b)は、折り畳まれた状態の飛沫感染防止用つい立て700の第2支持部460周辺を底面側から見た拡大斜視図、図11(c)は、折り畳まれた状態の飛沫感染防止用つい立て700の第1支持部260周辺を底面側から見た拡大斜視図である。
【0056】
図11に示すように、第1側面板103と第2側面板104を、本体板607の透明板600の内側へ向けて折り畳むことで、飛沫感染防止用つい立て700全体は小さく平らにできるため、嵩張らずに持ち運びに便利で、保管もしやすい。さらに、飛沫感染防止用つい立て700は中空構造板100から構成された部分を備えるため、重量が軽く容易に持ち運ぶことができる。
【0057】
なお、飛沫感染防止用つい立て700では、内側第1溝部200が略L字状に固定されているが、これに限定されない。例えば、内側第1溝部200を固定せず、内側第1溝部200を折り曲げ可能な状態のままにし、一方の外側第1溝部300を内側に折り曲げて略L字状に固定してもよい。また、内側第1溝部200と外側第1溝部300の両方を固定せず、折り曲げ可能な状態のままにしてもよい。そして、いずれの場合であっても、折り曲げ可能な箇所が少なくとも一つ以上存在するので、第1側面板103を容易に折り畳み、飛沫感染防止用つい立て700を小さくして平らにできるため、嵩張らずに持ち運びに便利で、保管もしやすい。
【0058】
また、飛沫感染防止用つい立て700では、内側第2溝部400が略L字状に固定されているが、これに限定されない。例えば、内側第2溝部400を固定せず、内側第2溝部400を折り曲げ可能な状態のままにし、一方の外側第2溝部500を内側に折り曲げて略L字状に固定してもよい。また、内側第2溝部400と外側第2溝部500の両方を固定せず、折り曲げ可能な状態のままにしてもよい。そして、いずれの場合であっても、折り曲げ可能な箇所が少なくとも一つ以上存在するので、第2側面板104を容易に折り畳み、飛沫感染防止用つい立て700を小さくして平らにできるため、嵩張らずに持ち運びに便利で、保管もしやすい。
【0059】
また、飛沫感染防止用つい立て700では、第1側面板103に隣接するように、内側第1溝部200と外側第1溝部300の2つの折り曲げ箇所を備え、第2側面板104に隣接するように、内側第2溝部400と外側第2溝部500の2つの折り曲げ箇所を備えているので、第1側面板103と第2側面板104は折り曲げやすく、飛沫感染防止用つい立て700全体を、コンパクトに折り畳むことができる。
【0060】
なお、飛沫感染防止用つい立て700では、第1側面板103に隣接するように、内側第1溝部200と外側第1溝部300の2つの折り曲げ箇所を備え、第2側面板104に隣接するように、内側第2溝部400と外側第2溝部500の2つの折り曲げ箇所を備えているが、これに限定されず、第1側面板103に隣接するように、内側第1溝部200の1つの折り曲げ箇所を備え、第2側面板104に隣接するように、内側第2溝部400の1つの折り曲げ箇所を備えてもよい。そして、内側第1溝部200及び内側第2溝部400を固定せずに、折り曲げ可能な状態のままにすれば、第1側面板103と第2側面板104を開閉でき、飛沫感染防止用つい立て700を略コ字状にして空間を仕切るように利用でき、また、第1側面板103と第2側面板104を折り畳んで、飛沫感染防止用つい立て700を小さくできる。
【0061】
また、図6(b)に示すように、外側第1溝部300の薄肉部330の幅L3は、内側第1溝部200の薄肉部230の幅L4よりも広くなっているので、図11(c)に示すように、外側第1溝部300を折り曲げて第1側面板103を畳んだ際に、外側第1溝部300の折り曲げ時の反発性を抑えることができる。また、内側第1溝部200を折り曲げた状態で固定する場合は、内側第1溝部200の折り曲げ時の反発性は固定することで抑えられているので、内側第1溝部200の薄肉部230の幅L4を狭くしても問題はない。
【0062】
また、図11(c)に示すように、第1側面板103の端辺110は端面処理により、薄肉部160が略直角に折り曲げられているため、端辺110と薄肉部160の境界の角部162も略直角で、曲率半径が小さい。そのため、飛沫感染防止用つい立て700を立てて使用する際に、飛沫感染防止用つい立て700の下端の設置台等への載置面積を確保することができる。一方、外側第1溝部300の薄肉部330は幅広であると共に、底面310が平坦面となっているので、外側第1溝部300が折り曲げられた際の薄肉部330の外側の角部331は、緩やかに曲がっており、曲率半径が大きいのである。このように、外側第1溝部300の外側の角部331の曲率半径は、第1側面板103の端面処理を施した角部162よりも大きく緩やかなので、飛沫感染防止用つい立て700を持ち運ぶ際に、折り曲げ部分である外側第1溝部300付近を外から手で握っても痛くないのである。
【0063】
また、図7(b)に示すように、外側第2溝部500の薄肉部530の幅L7は、内側第2溝部400の薄肉部430の幅L8よりも広くなっているので、図11(b)に示すように、外側第2溝部500を折り曲げて第2側面板104を畳んだ際に、外側第2溝部500の折り曲げ時の反発性を抑えることができる。また、内側第2溝部400を折り曲げた状態で固定する場合は、内側第2溝部400の折り曲げ時の反発性は固定することで抑えられているので、内側第2溝部400の薄肉部430の幅L8を狭くしても問題はない。
【0064】
また、図11(b)に示すように、第2側面板104の端辺110は端面処理により、薄肉部160が略直角に折り曲げられているため、端辺110と薄肉部160の境界の角部162も略直角で、曲率半径が小さい。そのため、飛沫感染防止用つい立て700を立てて使用する際に、飛沫感染防止用つい立て700の下端の設置台等への載置面積を確保することができる。一方、外側第2溝部500の薄肉部530は幅広であると共に、底面510が平坦面となっているので、外側第2溝部500が折り曲げられた際の薄肉部530の外側の角部531は、緩やかに曲がっており、曲率半径が大きいのである。このように、外側第2溝部500の外側の角部531の曲率半径は、第2側面板104の端面処理を施した角部162よりも大きく緩やかなので、飛沫感染防止用つい立て700を持ち運ぶ際に、折り曲げ部分である外側第2溝部500付近を外から手で握っても痛くないのである。
【0065】
なお、図11に示すように、飛沫感染防止用つい立て700では、本体板607の端部板102と第1側面板103の間に略台形状の第1支持部260を備えているので、第1側面板103と本体板607の透明板600の間には空間を設けることができる。同様に、本体板607の端部板102と第2側面板104の間に略台形状の第2支持部460を備えているので、第2側面板104と本体板607の透明板600の間には空間を設けることができる。そして、第1側面板103又は第2側面板104が、図11に示すよりも横幅が長い場合は、折り畳まれた第1側面板103と第2側面板104が互いに重なることになるが、第1支持部260又は第2支持部460によって出来た空間に、先に折り畳まれた一方の側面板を折り重ねて収容できる。そして、後に折り畳まれた他方の側面板は、先に折り畳まれた他方の側面板に密着するように重なることができるため、各側面板を嵩張ることなく折り畳めるのである。なお、図11に示すように、第1側面板103と第2側面板104の横幅が短く、折り畳まれた第1側面板103と第2側面板104が互いに重ならない場合は、第1支持部260と第2支持部460を略三角形状にして、第1側面板103と本体板607の透明板600の間の空間と、第2側面板104と本体板607の透明板600の間の空間を小さくする又は無くしてもよい。その場合は、折り畳まれた第1側面板103と第2側面板104は、本体板607の透明板600にそれぞれ密着するように折り重ねることが出来るため、各側面板を嵩張ることなく折り畳めるのである。
【0066】
次に、図12から図14に、飛沫感染防止用つい立て700の使用態様を示す。なお、図12(a)は、飛沫感染防止用つい立て700を設置台800に設置した状態の正面側から見た斜視図、図12(b)は、飛沫感染防止用つい立て700を設置台800に設置した状態の背面側から見た斜視図、図13(a)及び(b)は、飛沫感染防止用つい立て700の筒部670にグローブ900を取り付ける様子を示した背面側から見た拡大斜視図、図13(c)は、設置台800に設置した飛沫感染防止用つい立て700にグローブ900を取り付けた状態の背面側から見た斜視図、図14(a)は、飛沫感染防止用つい立て700に蓋体780を取り付ける様子を示した背面側から見た斜視図、図14(b)は、飛沫感染防止用つい立て700を使用して医師等が患者を診断している様子を示した側面図である。
【0067】
飛沫感染防止用つい立て700の利用者は、屋外等の換気の良い場所(例えば、屋外に設置されたテント内)に置かれた設置台800に、折り畳まれた飛沫感染防止用つい立て700を持ち運び、図12に示すように、設置台800の平坦な天板810上に設置する。天板810に設置する際は、第1側面板103と第2側面板104を開き、飛沫感染防止用つい立て700を略コ字状にして、天板810上の空間を仕切る。なお、第1側面板103と第2側面板104が不用意に閉じないように、第1側面板103と第2側面板104は、固定具811によって天板810上に開いた状態で固定されている。固定具811は、第1側面板103と第2側面板104が閉じないように固定できるのであれば、マジックテープ(登録商標)や吸盤等の既存の固定部材を利用できる。また、飛沫感染防止用つい立て700の本体板607の下端と、第1側面板103の下端と、第2側面板104の下端は平坦面となっており、飛沫感染防止用つい立て700の全ての下端側は面一となるため、設置台800の平坦な天板810との間に隙間が出来ず、飛沫感染を効果的に防止できる。
【0068】
また、設置台800は、天板810を備えた略立方体形状をしているが、これに限定されず、飛沫感染防止用つい立て700を設置出来るのであれば、任意の形状でよい。また、飛沫感染防止用つい立て700は、屋内又は屋外の場所を問わず利用できるが、屋内での二次感染防止等のため換気の良い屋外等で利用するのが好ましい。そして、飛沫感染防止用つい立て700は、重量が軽く、小さくして平らにできるため、屋外等であっても、容易に運び出して、あらゆる場所で簡単に利用できるのである。
【0069】
次に、図13(a)に示すように、透明板600の内側の表面601から、筒部670の内側にグローブ900(手袋)の袖口910を挿入し、グローブ900の袖口910を、筒部670から外側へ引き出す。そして、外側へ引き出した袖口910を裏返して、筒部670の端部672の外縁に被せるように嵌め込んで取り付ける。なお、グローブ900の筒部670への取り付け方法は、これに限定されず、任意の方法を採用できる。例えば、図13(b)に示すように、まず、筒部670の端部672の外縁に、グローブ900の袖口910を嵌め込む。そして、図13(a)に示すように、グローブ900の指先の先端920を、筒部670の内側へ通して、透明板600の内側の表面601側へ引き出す。すると、グローブ900は裏返り、図13(b)に示す状態のグローブ900の外面901は、図13(a)に示す状態のグローブ900の内面へ裏返る。反対に、図13(b)に示す状態のグローブ900の内面902は、図13(b)に示す状態のグローブ900の外面へ裏返るのである。
【0070】
そして、図13(c)に示すように、外側に突出する筒部670に取り付けられたグローブ900は、筒部670の内側を通して、本体板607の透明板600と第1側面板103と第2側面板104とで囲まれた空間820内に、配置されることになる。この空間820は、後述するように、患者P1を囲う空間となる。なお、図13では、筒部670が、透明板600の外側に突出しており、その外側に突出した筒部670にグローブ900を取り付けているが、これに限定されず、グローブ900を透明板600の内側と外側のいずれからでも取り付けられるように、筒部670を透明板600の内側と外側の両方に突出させてもよい。また、筒部670が透明板600の内側と外側の両方から突出する場合は、通孔610と筒部670との境界部分612に、透明板600の内側と外側の両側から接合剤613を流し込むことで、筒部670を確実に固定できる。
【0071】
また、図14(a)に示すように、患者P1からの飛沫感染を効果的に防止するために、飛沫感染防止用つい立て700の本体板607の上方を覆う蓋体780を、任意で取り付ける。また、蓋体780は、天板781と天板781から下方へ折れ曲がった両側の側辺782と背面側の側辺783を備えており、側辺782は、面ファスナー等の固定部材784によって、第1側面板103と第2側面板104に固定されている。そして、側辺782は第1側面板103と第2側面板104の上端側を覆うように取り付けられ、側辺783は本体板607の上端側を覆うように取り付けられるので、空間820の上方は隙間無く覆われ、患者P1からの飛沫感染を効果的に防止できる。
【0072】
実際の診察時には、図14(b)に示すように、本体板607の透明板600と第1側面板103と第2側面板104とで囲まれた空間820側へ、感染症等に罹った患者P1を位置させ、飛沫感染防止用つい立て700の本体板607の透明板600を挟んで反対側に、医師P2を位置させる。医師P2は、自身の手を外側に突出した筒部670に通し、筒部670の内側を介して、空間820内に配置されたグローブ900へ手を入れる。患者P1は少し前屈みになり、空間820内に自身の顔等を近づけ、医師P2は空間820内のグローブ900を介して、患者P1に触れたりして診察を行うのである。医師P2は、透明板600を介して患者P1の様子を視認できるため、診察に支障がなく、医師P2と患者P1の間には飛沫感染防止用つい立て700が介在しているため、患者P1からの飛沫感染を防ぐことが出来る。なお、空間820の両側を覆う第1側面板103又は第2側面板104、もしくは、第1側面板103と第2側面板104の両方を、有色とすることで、患者P1の顔を周囲から隠すことができ、患者P1のプライバシーを保護できる。
【0073】
このように、本願発明の飛沫感染防止用つい立て700は、第1側面板103と第2側面板104によって、例えば、略コ字状に空間を仕切ることが出来るため、場所を問わず容易に設置できると共に、飛沫感染を防止した診察空間を容易に設けることができる。また、医師P2は、透明板600を介して患者P1の様子を視認できるため、診察に支障がない。さらに、医師P2は、筒部670に手を通すことで患者P1を診察できるので、医師P2の手が飛沫感染防止用つい立て700の一部に引っ掛かることなく、スムーズに手を通して診察できる。
【0074】
また、診察時にグローブ900を利用する場合は、外側に突出した筒部670に取り付けられたグローブ900を、筒部670の内側を通して、本体板607と第1側面板103と第2側面板104とで囲まれた空間820内に配置できるため、患者P1と医師P2との間に隙間が無く、飛沫感染を効果的に防止できる。また、グローブ900は筒部670の内側を通して取り付けられているので、医師P2が筒部670を介してグローブ900に手を入れて診察しても、グローブ900が外れにくい。さらに、第1側面板103と第2側面板104を折り畳んだ際は、グローブ900が、第1側面板103と第2側面板104に覆われて保護されるので、保管時や運搬時等に損傷を受けにくい。なお、診察が終わった後にグローブ900を破棄する場合は、図14(b)に示す状態のグローブ900の内側を摘まんで裏返しながら、筒部670の内側を通してグローブ900を外側へ取り出すことが出来る。そのため、患者P1の飛沫の付着の虞があるグローブ900の表面(内面902)を、医師P2は触る事無く、グローブ900を外側へ取り出して破棄できるため、医師P2の感染を効果的に防止できる。
【0075】
また、図13及び図14では、外側に突出した筒部670に取り付けられたグローブ900を、筒部670の内側を通して空間820内に配置していたが、これに限定されず、医師P2が自身の手にグローブ900をはめた状態で、筒部670の内側を通して、手を空間820に入れて診察を行っても良い。そして、図10(d)に示すように、透明板600の内側の表面601と、筒部670の端部671は面一となっているので、端部671と表面601との間には段差等の突出箇所がない。そのため、グローブ900を使用して診察等を行っている時に、段差等の突出箇所によってグローブ900が裂けて破損することを防止することが出来る。また、診察が終わった後に、空間820内から筒部670を介して、グローブ900を外側に引き出して破棄する場合も、段差等の突出箇所によってグローブ900が裂けて破損することを防止することが出来る。
【0076】
なお、本願発明の飛沫感染防止用つい立ては、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。
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