(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】非侵襲的毛細血管ビデオから白血球および/または白血球サブタイプを検出するための方法、ならびに非侵襲的毛細血管ビデオから赤血球の濃度を判定するための方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1455 20060101AFI20241004BHJP
G01N 15/14 20240101ALI20241004BHJP
G01N 33/49 20060101ALI20241004BHJP
G06V 20/69 20220101ALI20241004BHJP
【FI】
A61B5/1455
G01N15/14 C
G01N33/49 K
G06V20/69
(21)【出願番号】P 2022573289
(86)(22)【出願日】2021-05-27
(86)【国際出願番号】 US2021034455
(87)【国際公開番号】W WO2021242983
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-01-25
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522462063
【氏名又は名称】レウコ・ラボズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】カルロス・カストロ・ゴンザレス
(72)【発明者】
【氏名】イアン・バターワース
(72)【発明者】
【氏名】オーレリアン・ブールカール
(72)【発明者】
【氏名】アルヴァロ・サンチェス・フェロ
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/079310(WO,A1)
【文献】特開2014-166271(JP,A)
【文献】特表2018-517188(JP,A)
【文献】特開平08-206101(JP,A)
【文献】特表2019-520113(JP,A)
【文献】特表2016-511419(JP,A)
【文献】特開昭63-231263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/145-5/1455
G01N 15/14
G01N 33/49
G06V 20/69
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非侵襲的毛細血管ビデオから白血球および/または白血球サブタイプを検出するための方法であって、
光学デバイスでキャプチャされた非侵襲的毛細血管ビデオから被験者の所定のエリアの1つまたは複数の毛細血管を含む対象領域の第1の複数の画像を取得するステップと、
前記第1の複数の画像を処理して前記毛細血管内に位置する1つまたは複数の光吸収ギャップを判定するステップと、
前記第1の複数の画像において検出された任意の光吸収ギャップの指示で前記第1の複数の画像に注釈を付けるステップと、
白血球および白血球サブタイプの細胞構造を解像することができる高度光学デバイスで同じ前記毛細血管の同じ前記対象領域の第2の複数の画像を取得するステップと、
前記第2の複数の画像において検出された任意の白血球および/または検出された任意の白血球のサブタイプの指示で前記第2の複数の画像に時空的に注釈を付けるステップと、
白血球の存在および/または前記1つまたは複数の光吸収ギャップに存在する任意の白血球のサブタイプを判定するように構成されたマシン学習サブシステムに前記第1の複数の画像および前記第1の複数の画像からの注釈付き情報および時空的に注釈付けされた前記第2の複数の画像からの注釈付き情報を入力するステップと
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記マシン学習サブシステムがさらに、前記第1の複数の画像において検出された任意の光吸収ギャップの白血球サブタイプを判定するように構成された、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マシン学習サブシステムがさらに、完全な白血球差異測定結果および/または部分的白血球差異測定結果を判定するように構成された、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の複数の画像を時空的に注釈付けされた前記第2の複数の画像に時間的に位置合わせするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記時間的に位置合わせするステップが、前記光学デバイスおよび前記高度光学デバイスで同じ対物レンズを使用することによって前記対象領域および同じ前記対象領域を作成するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記時間的に位置合わせするステップが、前記光学デバイスおよび前記高度光学デバイスの焦点を前記毛細血管内の同じ位置に合わせることによって前記対象領域および同じ前記対象領域を作成するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
フレーム識別子および前記第1の複数の画像において検出された任意の光吸収ギャップの指示を含む光吸収ギャップ参照データを生成するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
フレーム識別子および存在する任意の白血球の前記サブタイプの指示を含む時空的に注釈付けされたルックアップデータを生成するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の複数の画像を時空的に注釈付けされた前記第2の複数の画像に前記時間的に位置合わせするステップが、前記第1の複数の画像の前記フレーム識別子を視覚的に時空的に注釈付けされた前記第2の複数の画像の前記フレーム識別子に時間的に位置合わせするステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の複数の画像、前記光吸収ギャップ参照データ、および時空的に注釈付けされた前記ルックアップデータを前記マシン学習サブシステムに入力するステップをさらに含み、前記マシン学習サブシステムが、前記検出された任意の白血球および/または前記検出された任意の白血球のサブタイプの結果データを出力し、結果テーブルをグラウンドトゥルースデータと比較するように構成された、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記マシン学習サブシステムが、前記第1の複数の画像内の各光吸収ギャップの検出された前記任意の白血球および/または検出された任意の白血球のサブタイプの結果データを出力し、前記結果データをグラウンドトゥルースデータと比較するように構成された、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の複数の画像に時空的に注釈を付ける前記ステップがさらに、前記白血球のサイズ、粒度、輝度、速度、伸長、および/または辺縁趨向および/または検出された白血球の位置から上流または下流に位置する赤血球の濃度の変化のうちの1つまたは複数を指示するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記白血球の前記サブタイプが、顆粒球、好中球、リンパ球、単球、好酸球または好塩基球を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記光学デバイスが、高解像度カメラを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記高度光学デバイスが、スペクトルエンコード共焦点顕微鏡検査(SECM)デバイス、掃引共焦点平面励起(SCAPE)顕微鏡検査デバイス、散乱共焦点斜面画像化(SCOPI)デバイス、または傾斜背部照明顕微鏡検査(OBM)デバイスのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記被験者の前記所定のエリアが、指、爪郭、足指、舌、歯茎、唇、網膜、および/または耳たぶのうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記光学デバイスが、少なくとも1つの光吸収ギャップ信号を出力するように構成された、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記高度光学デバイスが、光信号を出力するように構成された、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の複数の画像に時空的に注釈を付ける前記ステップが、人によって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の複数の画像に時空的に注釈を付けるステップが、処理サブシステムによって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の複数の画像および前記第1の複数の画像からの注釈付き情報および前記高度光学デバイスで取得された前記第2の複数の画像からの前記注釈付き情報を使用して白血球の前記存在および/または1つもしくは複数の光吸収ギャップに存在する白血球の前記サブタイプを学習および判定した前記マシン学習サブシステムからの情報を使用して前記白血球の存在および/または前記1つもしくは複数の光吸収ギャップに存在する任意の白血球の前記サブタイプを判定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
非侵襲的毛細血管ビデオから白血球および/または白血球サブタイプを検出するための方法であって、
光学デバイスでキャプチャされた非侵襲的毛細血管ビデオから被験者の所定のエリアの1つまたは複数の毛細血管を含む対象領域の第1の複数の画像を取得するステップと、
前記第1の複数の画像を処理して前記毛細血管内に位置する1つまたは複数の光吸収ギャップを判定するステップと、
前記第1の複数の画像において検出された任意の光吸収ギャップの指示で前記第1の複数の画像に注釈を付けるステップと、
前記第1の複数の画像および前記第1の複数の画像からの注釈付き情報、およ
び高度光学デバイスで取得された第2の複数の画像からの注釈付き情報を使用して白血球の存在および/またはより多数の光吸収ギャップのうちの1つに存在する白血球の前記サブタイプを学習および判定したマシン学習サブシステムからの情報を使用して、白血球の前記存在および/または
、前記1つ
または複数の光吸収ギャップに存在する任意の白血球の前記サブタイプを判定するステップと
を含む、前記方法。
【請求項23】
非侵襲的毛細血管ビデオから赤血球の濃度を判定するための方法であって、
光学デバイスでキャプチャされた非侵襲的毛細血管ビデオから被験者の所定のエリアの1つまたは複数の毛細血管を含む対象領域の第1の複数の画像を取得するステップと、
前記第1の複数の画像を処理して前記毛細血管内に位置するヘモグロビン光吸収の1つまたは複数のエリアを判定するステップと、
前記複数の画像において検出されたヘモグロビン光吸収の任意のエリアの指示で前記第1の複数の画像に注釈を付けるステップと、
赤血球の細胞構造を解像することができる高度光学デバイスで同じ前記毛細血管の同じ前記対象領域の第2の複数の画像を取得するステップと、
前記第2の複数の画像において検出された任意の赤血球の濃度の指示で前記第2の複数の画像に時空的に注釈を付けるステップと、
前記1つまたは複数の光吸収ギャップに存在する前記任意の赤血球の濃度を判定するように構成されたマシン学習サブシステムに前記第1の複数の画像および前記第1の複数の画像からの注釈付き情報および時空的に注釈付けされた前記第2の複数の画像からの注釈付き情報を入力するステップと
を含む、前記方法。
【請求項24】
赤血球数が、前記赤血球の濃度から判定される、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条、第120条、第363条、第365条、および米国特許法施行規則(37 C.F.R.)第1.55条および第1.78条の下で、2021年5月27日に出願された米国特許出願第17/331,893号の利益および優先権を主張し、その出願および本出願はまた、米国特許法第119条、第120条、第363条、第365条、および米国特許法施行規則第1.55条および第1.78条の下で2020年5月28日に出願された米国仮特許出願第63/031,117号の利益および優先権を主張し、米国特許出願第17/331,893号および米国仮特許出願第63/031,117号のそれぞれは、本参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、非侵襲的毛細血管ビデオから白血球および/または白血球サブタイプを検出するための方法に関する。本発明はまた、非侵襲的毛細血管ビデオから赤血球の濃度を判定するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
危険なほど低いレベルの白血球を有する患者の識別を含む、患者の白血球および白血球サブタイプを測定するための改良された、非侵襲的な、速い、正確なおよび信頼できる方法の緊急の臨床的必要性が存在する。leukocyteとも呼ばれる、白血球(white blood cell)は、特に、白血球サブタイプの好中球、リンパ球、単球、好酸球、および好塩基球を含む。米国疾病管理予防センタによれば、毎年米国で化学療法の治療を受けた650,000人の癌患者のうちの110,000人は、化学療法誘発性の発熱性好中球減少症、臨床的に低レベルの好中球が原因で入院した。たとえば、参照により本明細書に組み込まれている、Tai他、Cost of Cancer-Related Neutropenia or Fever Hospitalizations, Journal of Oncology Practice, 13(6) (2017)を参照されたい。通常平均8.5日のそのような入院期間は、約25,000ドルの入院費用を有し得、好中球減少症を化学療法の最も深刻な副作用の1つにする、約7パーセントの死亡率を有する。たとえば、参照により共に本明細書に組み込まれている、Truong他、Interpreting Febrile Neutropenia Rates From Randomized Controlled Trials for Consideration of Primary Prophylaxis in The Real World: A Systematic Review and Meta-Analysis、 Annals of Oncology, 27(4) (2015)、およびLyman他、Cost of Hospitalization in Patients With Cancer and Febrile Neutropenia and Impact of Comorbid Conditions, Am. Soc. Hematology (2015)を参照されたい。後天性免疫不全症候群(AIDS)、自己免疫疾患、臓器移植、様々な状態の免疫抑制剤での治療を受ける患者などを含む、危険なほど低いレベルの白血球に関連する多数の他の病気および状態もまた存在する。
【0004】
危険なほど低いレベルの白血球を有する患者を識別するために使用され得る1つの従来の技法は、全血球計算(CBC: Complete Blood Count)である。CBCは、白血球差異および好中球減少症をモニタすることができる。侵襲的CBCは、臨床背景において約3ミリリットルを超える採血を必要とする。その後の研究室分析は、通常は、結果を得るのに数時間から数日を要する。CBCは、実行が難しく費用がかかり、そして、患者を感染症を発症するリスクの増加にさらして、免疫無防備状態の患者に病院を訪れることを潜在的に要求する。たとえば、参照により本明細書に組み込まれている、Weinstein, R.A.、Nosocomial Infection Update, Emerging Infectious Diseases, 4(3), (1998)を参照されたい。
【0005】
指を刺すことに基づく代替の従来の技術は、連続する数滴の血液の間の再現性の不足、穿刺部位における指先血液からの高い白血球数のため、基本的制限を有し得、そのような方法で得られる血液は、間質液を含み得る。たとえば、参照によりすべてが本明細書に組み込まれている、Bond他、 Drop-to-Drop Variation in the Cellular Components of Fingerprick Blood: Implications for Point-of-are Diagnostic Development、 Am. J. Clin. Pathol., 144(6) (2015)、Yang他、Comparison of Blood Counts in Various Fingertip and Arterial Blood and Their Measurement Variation, Clin. Lab. Haematol.23(3) (2001)、 Daae他、A Comparison Between Haematological Parameters in ‘Capillary’ and Venous Blood From Healthy Adults, 48(7) (1988)を参照されたい。そのような制限で、指刺し手法は、臨床背景外で実行されるとき、体系的血球数を十分に表さないことがある。たとえば、参照により共に本明細書に組み込まれている、Hollis他、Comparison of Venous and capillary Differential Leutkocyte Counts Using a Standard Hematology Analyzer and a Novel Microfluidic Impedance Cytometer, PloS one, 7(9) (2012)、 およびGhai, C.L.、A Textbook of Practical Physiology, J.P. Medical Ld. (2012)を参照されたい。その結果として、白血球数、たとえば、好中球数の自宅での自己管理モニタリングのためのデバイスは、現在存在しない。
【0006】
持ち運びできて、高価でなく、治療現場にとって実用的であり得る、従来のインビボ細胞画像化システムおよび方法は、白血球サブタイプを検出するには焦点深度、コントラスト、または視野が不十分である。従来の毛細血管顕微鏡は、健常者の爪郭毛細血管のビデオまたは画像を収集するために、使用され得る。たとえば、参照により共に本明細書に組み込まれている、Maldonado他、Nailfold Capillaroscopy in Diabetes Mellitus, Microvascular Research, 112.41-46 (2017)、 およびMengko他、Morphological Characterization of Nailfold Capillaries, Intelligent Technology and Its Applications(ISITIA) International Seminar, IEEE (2016)を参照されたい。そのような従来のシステムおよび方法は、毛細血管ジオメトリおよび光吸収ギャップ(OAG: optical absorption gap)の画像化を可能にすることができるが、取得ビデオのその後の分析を阻み得る、特に、焦点深度、好中球に対するコントラスト、および安定性を含む、技術的制限を有し得る。たとえば、参照により共に本明細書に組み込まれている、Bourquard他、Analysis of White Blood Cell Dynamics in Nailfold Capillaries、37lh Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society (EMBC), IEEE, (2015) 、およびBourquard他、 Non-Invasive Detection of Severe Neutropenia in Chemotherapy Patients By Optical Imaging of Nailfold Microcirculation, Sci. Rep,8(I):5301 (2018)を参照されたい。本明細書で定義されるものとして、「光吸収ギャップ」(OAG)は、赤血球が枯渇した毛細血管内のエリアであり、吸収がヘモグロビンで生じる波長(たとえば、約400nmから約600nm)で光を吸収しない。OAGは、任意の白血球サブタイプの存在によってまたはプラズマギャップによって生み出され得る。たとえば、参照により共に本明細書に組み込まれている、米国特許第9,984,277号および米国特許出願公開第2019/0139221号を参照されたい。'277特許および'221特許出願で開示されているように、1つまたは複数の毛細血管のビデオまたは画像は、毛細血管の中を流れるOAGの周波数が毛細血管の中を流れる白血球と相関することを示すために使用され得、白血球数を判定するために使用され得る。しかしながら、'277特許および‘221特許出願は、吸収信号の使用に制限され、OAG内の白血球サブタイプは、識別することができず、プラズマギャップはまた、偽陽性または白血球数の不正確な定量的測定の一因となり得る。たとえば、参照によりすべてが本明細書に組み込まれている、Pablo-Trinidad他、Automated Detection of Neutropenia Using Noninvasive Video Microscopy of Superficial Capillaries, American Journal of Hematology, 94(8) (2019)、 McKay他、Visualization of Blood Cell Contrast in Nailfold Capillaries With High-speed Reverse Lens Mobile Phone Microscopy, Biomedical Optical Express, 11(4) (2020)、 およびMcKay他、Optimizing White Blood Cell Contrast in Graded -Field-Capillaroscopy Using Capillary Tissue Phantoms, Imaging, Manipulation, and Analysis of Biomolecules, Cells, and Tissues, International Society for Optics and Photonics XVIII, Vol.1 1243 (2020)を参照されたい。
【0007】
従来のインビボ細胞画像化システムおよび方法、前述した'277特許、および'221特許出願はまた、RBC数を非侵襲的に判定するために使用され得る赤血球の濃度を判定することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第9,984,277号
【文献】米国特許出願公開第2019/0139221号
【非特許文献】
【0009】
【文献】Lyman他、Cost of Hospitalization in Patients With Cancer and Febrile Neutropenia and Impact of Comorbid Conditions, Am. Soc. Hematology (2015)
【文献】Weinstein, R.A.、Nosocomial Infection Update, Emerging Infectious Diseases, 4(3), (1998)
【文献】Bond他、 Drop-to-Drop Variation in the Cellular Components of Fingerprick Blood: Implications for Point-of-are Diagnostic Development、 Am. J. Clin. Pathol., 144(6) (2015)
【文献】Yang他、Comparison of Blood Counts in Various Fingertip and Arterial Blood and Their Measurement Variation, Clin. Lab. Haematol.23(3) (2001)
【文献】Tai他、Cost of Cancer-Related Neutropenia or Fever Hospitalizations, Journal of Oncology Practice, 13(6) (2017)
【文献】Truong他、Interpreting Febrile Neutropenia Rates From Randomized Controlled Trials for Consideration of Primary Prophylaxis in The Real World: A Systematic Review and Meta-Analysis、 Annals of Oncology, 27(4) (2015)
【文献】Daae他、A Comparison Between Haematological Parameters in ‘Capillary’ and Venous Blood From Healthy Adults, 48(7) (1988)
【文献】Hollis他、Comparison of Venous and capillary Differential Leutkocyte Counts Using a Standard Hematology Analyzer and a Novel Microfluidic Impedance Cytometer, PloS one, 7(9) (2012)
【文献】Ghai, C.L.、A Textbook of Practical Physiology, J.P. Medical Ld. (2012)
【文献】Maldonado他、Nailfold Capillaroscopy in Diabetes Mellitus, Microvascular Research, 112.41-46 (2017)
【文献】Mengko他、Morphological Characterization of Nailfold Capillaries, Intelligent Technology and Its Applications(ISITIA) International Seminar, IEEE (2016)
【文献】Bourquard他、Analysis of White Blood Cell Dynamics in Nailfold Capillaries、37lh Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society (EMBC), IEEE, (2015)
【文献】Bourquard他、 Non-Invasive Detection of Severe Neutropenia in Chemotherapy Patients By Optical Imaging of Nailfold Microcirculation, Sci. Rep,8(I):5301 (2018)
【文献】Pablo-Trinidad他、Automated Detection of Neutropenia Using Noninvasive Video Microscopy of Superficial Capillaries, American Journal of Hematology, 94(8) (2019)
【文献】McKay他、Visualization of Blood Cell Contrast in Nailfold Capillaries With High-speed Reverse Lens Mobile Phone Microscopy, Biomedical Optical Express, 11(4) (2020)
【文献】McKay他、 Optimizing White Blood Cell Contrast in Graded -Field-Capillaroscopy Using Capillary Tissue Phantoms, Imaging, Manipulation, and Analysis of Biomolecules, Cells, and Tissues, International Society for Optics and Photonics XVIII, Vol.1 1243 (2020)
【文献】Golan他、Noninvasive Imaging of Flowing Blood Cells Using Label-Free Spectrally Encoded Flow Cytometry, Biomedical Optics Express, Vol.3 No.6 (2012)
【文献】Bouchard他、Swept Confocal-Aligned Planar Excitation (SCAP) Microscopy for High-Speed Volumetric Imaging of Behaving Organisms, Nature Photonics, Vol.9 (2015)
【文献】McKay他、High-Speed Imaging of Scattering Particles Flowing Through Turbid Media With Confoncially Aligned, Oblique Plane Illumination, SPIE Bios, San Francisco, CA (2019)
【文献】McKay他、Imaging Human Blood Cells In Vivo With Oblique Back-Illumination Capillaroscopy, Biomedical Optics Express, Vol. 11(5) (2020)
【文献】Ford, T.,N.およびMertz, J.、Video-Rate Imaging of Microcirculation With Single-Exposed Oblique Black Illumination Microscopy, Journal of Biomedical Optics, Vol.18(6) (2013)
【文献】Oliveira, F.P.およびTravares, J.M.R.他、Medical Image Registration : A Review, Computer Methods in Biomechanics and Biomedical Engineering, 17(2) (2014)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの態様において、非侵襲的毛細血管ビデオから白血球および/または白血球サブタイプを検出するための方法が、取り上げられる。方法は、光学デバイスでキャプチャされた非侵襲的毛細血管ビデオから被験者の所定のエリアの1つまたは複数の毛細血管を含む対象領域の第1の複数の画像を取得するステップと、第1の複数の画像を処理して前記毛細血管内に位置する1つまたは複数の光吸収ギャップを判定するステップと、第1の複数の画像において検出された任意の光吸収ギャップの指示で第1の複数の画像に注釈を付けるステップとを含む。方法はまた、白血球および白血球サブタイプの細胞構造を解像する能力を有する高度光学デバイスで同じ毛細血管の同じ対象領域の第2の複数の画像を取得するステップ、ならびに、第2の複数の画像において検出された任意の白血球および/または検出された任意の白血球のサブタイプの指示で第2の複数の画像に時空的に注釈を付けるステップを含む。方法はまた、第1の複数の画像および第1の複数の画像からの注釈付き情報および時空的に注釈付けされた第2の複数の画像からの注釈付き情報を第1の複数の画像内の白血球の存在および/または1つまたは複数の光吸収ギャップに存在する任意の白血球のサブタイプを判定するように構成されたマシン学習サブシステムに入力するステップを含む。
【0011】
1つの実施形態において、マシン学習サブシステムは、第1の複数の画像において検出された任意の光吸収ギャップの白血球サブタイプを判定するようにさらに構成され得る。マシン学習サブシステムはさらに、完全な白血球差異測定結果および/または部分的白血球差異測定結果を判定するように構成され得る。方法はさらに、第1の複数の画像を時空的に注釈付けされた第2の複数の画像に時間的に位置合わせするステップを含む。時間的に位置合わせするステップは、光学デバイスおよび高度光学デバイスで同じ対物レンズを使用することによって前記対象領域および同じ前記対象領域を生み出すことを含み得る。時間的に位置合わせするステップは、光学デバイスおよび高度光学デバイスの焦点を毛細血管内の同じ位置に合わせることによって前記対象領域および同じ前記対象領域を生み出すことを含み得る。方法はさらに、フレーム識別子および第1の複数の画像において検出された任意の光吸収ギャップの指示を含む光吸収ギャップ参照データを生成するステップを含み得る。方法はさらに、フレーム識別子および存在する任意の白血球のサブタイプの指示を含む時空的に注釈付けされたルックアップデータを生成するステップを含み得る。第1の複数の画像を時空的に注釈付けされた第2の複数の画像に時間的に位置合わせするステップは、第1の複数の画像のフレーム識別子を視覚的に時空的に注釈付けされた第2の複数の画像のフレーム識別子に時間的に位置合わせするステップを含み得る。方法はさらに、第1の複数の画像、光吸収ギャップ参照データ、および時空的に注釈付けされたルックアップデータをマシン学習サブシステムに入力するステップを含み得る。マシン学習サブシステムは、検出された任意の白血球および/または検出された任意の白血球のサブタイプの結果データを出力し、結果テーブルをグラウンドトゥルースデータと比較するように構成され得る。マシン学習サブシステムは、第1の複数の画像内の各光吸収ギャップの検出された任意の白血球および/または検出された任意の白血球のサブタイプの結果データを出力し、結果データをグラウンドトゥルースデータと比較するように構成され得る。第2の複数の画像に時空的に注釈を付けるステップはさらに、以下のうちの1つまたは複数を指示することを含み得る:白血球のサイズ、粒度、輝度、速度、伸長、および/または辺縁趨向、および/または検出された白血球の位置から上流または下流に位置する赤血球の濃度の変化。白血球のサブタイプは、顆粒球、好中球、リンパ球、単球、好酸球または好塩基球を含み得る。光学デバイスは、高解像度カメラを含み得る。高度画像化デバイスは、特に、以下のうちの1つまたは複数を含み得る: SECM (spectrally-encoded confocal microscopy:スペクトルエンコード共焦点顕微鏡検査)デバイス、SCAPE (swept confocally-aligned planar excitation:掃引共焦点平面励起)顕微鏡検査デバイス、SCOPI(scattering confocally aligned oblique plane imaging:散乱共焦点斜面画像化)デバイス、またはOBM(oblique back-illumination microscopy:傾斜背部照明顕微鏡検査)デバイス。被験者の所定のエリアは、特に、以下のうちの1つまたは複数を含み得る:指、爪郭、足指、舌、歯茎、唇、網膜、および/または耳たぶ。光学デバイスは、少なくとも1つの光吸収ギャップ信号を出力するように構成され得る。高度光学デバイスは、高度光信号を出力するように構成され得る。第2の複数の画像に時空的に注釈を付けるステップは、人によって実行され得る。第2の複数の画像に時空的に注釈を付けるステップは、処理サブシステムによって実行され得る。方法はさらに、第1の複数の画像および第1の複数の画像からの注釈付き情報および高度光学デバイスで取得された第2の複数の画像からの注釈付き情報を使用して白血球の存在および/または1つまたは複数の光吸収ギャップに存在する白血球のサブタイプを学習および判定したマシン学習サブシステムからの情報を使用して白血球の存在および/または1つまたは複数の光吸収ギャップに存在する任意の白血球のサブタイプを判定するステップを含み得る。
【0012】
別の態様において、非侵襲的毛細血管ビデオから白血球および/または白血球サブタイプを検出するための方法が、取り上げられる。方法は、光学デバイスでキャプチャされた非侵襲的毛細血管ビデオから被験者の所定のエリアの1つまたは複数の毛細血管を含む対象領域の第1の複数の画像を取得するステップと、第1の複数の画像を処理して前記毛細血管内に位置する1つまたは複数の光吸収ギャップを判定するステップと、第1の複数の画像において検出された任意の光吸収ギャップの指示で第1の複数の画像に注釈を付けるステップとを含む。方法はまた、第1の複数の画像および第1の複数の画像からの注釈付き情報と高度光学デバイスで取得された第2の複数の画像からの注釈付き情報を使用して白血球の存在および/またはより多数の光吸収ギャップのうちの1つに存在する白血球のサブタイプを学習および判定したマシン学習サブシステムからの情報とを使用して白血球の存在および/または1つまたは複数の光吸収ギャップに存在する任意の白血球のサブタイプを判定するステップを含む。
【0013】
さらに別の態様において、非侵襲的毛細血管ビデオから赤血球の濃度を判定するための方法が、取り上げられる。方法は、光学デバイスでキャプチャされた非侵襲的毛細血管ビデオから被験者の所定のエリアの1つまたは複数の毛細血管を含む対象領域の第1の複数の画像を取得するステップと、第1の複数の画像を処理して毛細血管内に位置するヘモグロビン光吸収の1つまたは複数のエリアを判定するステップと、複数の画像において検出されたヘモグロビン光吸収の任意のエリアの指示で第1の複数の画像に注釈を付けるステップとを含む。方法はまた、赤血球の細胞構造を解像することができる高度光学デバイスで同じ毛細血管の同じ対象領域の第2の複数の画像を取得するステップと、第2の複数の画像において検出された任意の赤血球の濃度の指示で第2の複数の画像に時空的に注釈を付けるステップと、第1の複数の画像および第1の複数の画像からの注釈付き情報および時空的に注釈付けされた第2の複数の画像からの注釈付き情報を第1の複数の画像内の1つまたは複数の光吸収ギャップに存在する任意の赤血球の濃度を判定するように構成されたマシン学習サブシステムに入力するステップとを含む。
【0014】
1つの実施形態において、赤血球数は、赤血球の濃度から判定され得る。
【0015】
当業者は、好ましい実施形態の以下の説明および添付の図面から他の目的、特徴および利点に気付くであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】非侵襲的毛細血管ビデオから白血球および/または白血球サブタイプを検出するための方法の1つの実施形態の基本ステップを示す流れ図である。
【
図2-1】第1の複数の画像および第2の複数の画像のフレームの画像および
図1に示された方法によって使用され得る追加構成要素の例をさらに詳細に示す。
【
図2-2】第1の複数の画像および第2の複数の画像のフレームの画像および
図1に示された方法によって使用され得る追加構成要素の例をさらに詳細に示す。
【
図3】
図1および
図2のうちの1つまたは複数に示された方法の被験者の所定のエリアの被験者の指の爪郭の1つの例を示す概略図である。
【
図4】
図1~
図3のうちの1つまたは複数に示された方法によって使用される追加構成要素の例および対象領域の一例をさらに詳細に示す概略図である。
【
図5】
図1~
図4のうちの1つまたは複数に示された方法のために使用される被験者の所定のエリアの追加のエリアの例を示す。
【
図6】
図1~
図5のうちの1つまたは複数に示された方法のための光学デバイスによって検出され得る
図3に示された爪郭の1つまたは複数の毛細血管の一例をさらに詳細に示す。
【
図7】光学デバイスで検出されたおよび次いで注釈付けされた画像のOAG参照テーブルの一例ならびに高度光学デバイスによって検出されたおよび次いで
図1~
図6のうちの1つまたは複数に示された方法のために時空的に注釈付けされた画像の時空的に注釈付けされたルックアップテーブルの一例を示す。
【
図8】光学デバイスによって出力されたOAG信号のプロットおよび
図1~
図7のうちの1つまたは複数に示された方法のための高度光学デバイスによって出力された高度光出力信号のプロットの例を示す。
【
図9】フレーム識別子を有する第1の複数の画像と
図1~
図8のうちの1つまたは複数に示された方法のための時間的に位置合わせされたフレーム識別子を有する第2の複数の画像の例をさらに詳細に示す。
【
図10】非侵襲的毛細血管から白血球および/または白血球サブタイプを検出するための方法の別の実施形態を示す流れ図である。
【
図11】1つまたは複数の吸着ギャップに存在する任意の赤血球の濃度を判定するための方法の1つの実施形態を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下で開示する1つまたは複数の好ましい実施形態の他に、本発明は、他の実施形態の能力を有し、様々なやり方で実践または実施することができる。したがって、発明は、以下の説明に明記されたもしくは図面に示された構造の詳細および構成要素の配置にその適用を制限されない、ということを理解されたい。1つのみの実施形態が、本明細書に記載されている場合、本請求は、その実施形態に制限されるものではない。さらに、本明細書の請求は、ある特定の排除、制約、または放棄を明示する明確なおよび説得力のある証拠が存在しない限り、制限的に読まれるべきではない。
【0018】
非侵襲的毛細血管ビデオから白血球および/または白血球サブタイプを検出するための方法の1つの実施形態が、
図1に示されている。方法は、光学デバイスでキャプチャされた非侵襲的毛細血管ビデオから被験者の所定のエリアの1つまたは複数の毛細血管を含む対象領域の第1の複数の画像を取得するステップ、
図1のステップ10を含む。
図2の第1の複数の画像12は、光学デバイス14、たとえば、高解像度カメラ、前述のおよび参照により組み込まれている‘277特許および/または‘221特許出願において開示されたような撮像装置または画像化デバイス、あるいは類似タイプデバイスで取得またはキャプチャされた非侵襲的毛細血管ビデオから好ましくは導出される。本例において、第1の複数の画像12は、被験者の所定のエリアの
図2および
図4の1つまたは複数の毛細血管、たとえば、毛細血管28を含む、
図3および
図4の対象領域(ROI)26の画像またはフレーム16、18、20、22および24を含む。本例において、第1の複数の画像12は、5つの画像またはフレーム16、18、20、22、および24を含む。他の例において、第1の複数の画像12は、本例で示すような5つより多いまたは少ない画像またはフレーム16~24を含み得る。1つの例において、被験者の所定のエリアは、指の爪郭、たとえば、被験者44の指42、
図5、の爪郭40、
図3、でもよい。毛細血管は、より長手位置にある、たとえば、
図6の毛細血管28によって示すように、ので、1つまたは複数の毛細血管が、光学デバイス14によってより簡単に検出されるので、
図3の爪郭40は、被験者の1つの好ましいエリアである。他の例において、
図5の被験者44の所定のエリアは、被験者44の足指、舌、歯茎、唇、網膜、耳たぶ、または任意の類似の身体部分の判定エリアを含み得る。
【0019】
図4は、1つまたは複数の毛細血管の画像が、光学デバイス14で取得またはキャプチャされ得る、被験者の所定のエリアのROI26の1つの例をさらに詳細に示す。‘221特許出願および/または‘277特許で開示されたように、光52が、1つの設計では、ROI26内の爪郭40の56に入り、反射した光60が、処理サブシステム70に連結された光学デバイス14によって検出されて(
図2および
図4)、画像またはフレーム16~24を有する、
図2の第1の複数の画像12を含む非侵襲的毛細血管ビデオを生み出すように、光源50は、鏡54によって反射された光52を放射する。
【0020】
非侵襲的毛細血管ビデオから白血球および/または白血球サブタイプを検出するための方法はまた、第1の複数の画像12を処理して毛細血管内に位置する1つまたは複数のOAGを判定するステップ、すなわち
図1のステップ60、を含む。背景技術の項で前述したように、OAGは、赤血球が枯渇した毛細血管内のエリアであり、吸収がヘモグロビンにおいて生じる波長(たとえば、約400nmから約600nm)で光を吸収せず、1つまたは複数の白血球の存在を示す(たとえば、‘221特許出願および/または‘277特許で開示されるようなものである)。1つの例において、‘221特許出願および/または‘277特許において開示されたプロセッサと類似する、光学デバイス14に連結された処理サブシステム70、あるいは類似タイプ処理サブシステムは、第1の複数の画像12を処理し、画像またはフレーム16、18、20、22、および24内の毛細血管28内の1つまたは複数のOAG、たとえば、
図2のOAG64を検出する。
【0021】
非侵襲的毛細血管ビデオから白血球および/または白血球サブタイプを検出するための方法はまた、複数の画像において検出された任意のOAGの指示で第1の複数の画像12に注釈を付けるステップ、
図1のステップ62を含む。1つの例において、
図2の第1の複数の画像12は、検出された任意のOAGに関連する注釈付き情報72を出力する処理サブシステム70に入力される。1つの例において、注釈付き情報72は、フレーム識別子76と、78において示された、第1の複数の画像12の画像またはフレーム16、18、20、22、および24のそれぞれで検出された任意の光ギャップの指示とを好ましくは含むOAG参照データ、たとえば、
図7のOAG参照テーブル74、または類似タイプOAG参照データを好ましくは含む。本例において、OAG参照テーブル74は、各画像またはフレームのフレーム識別子t
0、t
1、t
2、t
3、t
4…t
nと、各画像またはフレームのOAG識別子、たとえば、OAGが検出されたことを示すための1とを含む。第1の複数の画像12で検出された任意のOAGの指示で、
図2および
図7の第1の複数の画像12に注釈を付けて注釈付き情報72を生成するステップは、トレーニングされた人間オペレータによってまたは
図2および
図4の処理サブシステム70によって、実行され得る。
【0022】
非侵襲的毛細血管ビデオから白血球および/または白血球サブタイプを検出するための方法はまた、白血球および白血球サブタイプの細胞構造を解像することができる高度光学デバイスで同じ毛細血管の同じ対象領域の第2の複数の画像を取得するステップ、
図1のステップ80を含む。
【0023】
図2は、1つまたは複数の毛細血管、たとえば、白血球および白血球サブタイプの細胞構造を解像することができる高度光学デバイス96で取得またはキャプチャされた被験者の所定のエリア、たとえば、爪郭40、の毛細血管28(
図2および
図6)を含む、
図3および
図4の同じROl26の画像またはフレーム84、86、88、90、92、および94を含む、第2の複数の画像82の1つの例を示す。1つの例において、高度光学デバイス96は、SECMスペクトルエンコード共焦点顕微鏡検査デバイス、SCAP顕微鏡検査デバイス、SCOPI散乱共焦点斜面画像化デバイス、またはOBM傾斜背部照明顕微鏡検査デバイスを含み得る(たとえば、参照によりそのすべてが本明細書に組み込まれている、Golan他、Noninvasive Imaging of Flowing Blood Cells Using Label-Free Spectrally Encoded Flow Cytometry, Biomedical Optics Express, Vol.3 No.6 (2012)、Bouchard他、Swept Confocal-Aligned Planar Excitation (SCAP) Microscopy for High-Speed Volumetric Imaging of Behaving Organisms, Nature Photonics, Vol.9 (2015)、McKay他、High-Speed Imaging of Scattering Particles Flowing Through Turbid Media With Confoncially Aligned, Oblique Plane Illumination, SPIE Bios, San Francisco, CA (2019)、McKay他、Imaging Human Blood Cells In Vivo With Oblique Back-Illumination Capillaroscopy, Biomedical Optics Express, Vol. 11(5) (2020)、およびFord, T.,N.およびMertz, J.、Video-Rate Imaging of Microcirculation With Single-Exposed Oblique Black Illumination Microscopy, Journal of Biomedical Optics, Vol.18(6) (2013)において開示されているようなものである。)
【0024】
1つの例において、高度光学デバイス96によって解像された白血球および白血球サブタイプの細胞構造は、検出された任意の白血球のサブタイプ、たとえば、顆粒球、好中球、リンパ球、単球、好酸球、または好塩基球を含み得る。
図2の画像100は、高度光学デバイス96によって解像された、たとえば、本例では、スペクトルエンコード共焦点顕微鏡検査(SECM)または類似タイプ高度光学デバイスによって解像された、画像86および88内の白血球および/または白血球サブタイプの細胞構造の1つの例を示す。
【0025】
非侵襲的毛細血管ビデオから白血球および/または白血球サブタイプを検出するための方法はまた、第2の複数の画像に第2の複数の画像において検出された任意の白血球および/または検出された任意の白血球のサブタイプの指示で時空的に注釈を付けるステップ、
図1のステップ102を含む。
図2の第2の複数の画像82に時空的に注釈を付けるステップは、検出された任意の白血球のサイズ、粒度、輝度、速度、伸長、および/または辺縁趨向および/または検出された任意の白血球の位置から上流または下流に位置する赤血球の濃度の変化のうちの1つまたは複数を指示することを含み得る。1つの例において、
図2の第2の複数の画像82は、フレーム識別子110、たとえば、それぞれの画像またはフレーム84、86、88、90、92のt
0、t
1、t
2、t
3、t
4…t
n、と、112において例示的に示された、各フレーム識別子に関連する白血球サブタイプ、たとえば、顆粒球、好中球、リンパ球、単球、好酸球、または好塩基球の指示とを含む、時空的に注釈付けされたデータ、たとえば、
図7の時空的に注釈付けされたルックアップテーブル108を使用して、空間的に注釈付けされる。第2の複数の画像82において検出された任意の白血球および/または検出された任意の白血球のサブタイプの指示で第2の複数の画像82に時空的に注釈を付けるステップは、トレーニングされた人間オペレータによってまたは
図2および
図4の処理サブシステム70によって実行され得、第2の複数の画像82に関連する、
図2の注釈付き情報120と、時空的に注釈付けされた第2の複数の画像122とを好ましくは生成する。
【0026】
白血球および/または白血球サブタイプを検出するための方法はまた、
図2の第1の複数の画像12、第1の複数の画像12からの注釈付き情報72、および時空的に注釈付けされた第2の複数の画像122からの注釈付き情報120を白血球の存在および/または第1の複数の画像12内の1つまたは複数の光吸収ギャップ内に存在する任意の白血球のサブタイプを判定するように構成されたマシン学習サブシステム124に入力するステップ、
図1のステップ12、を含む。1つの例において、マシン学習サブシステム124は、当業者に知られているような、ニューラルネットワーク、サポートベクタマシン、ランダムフォレスト学習方法、アダブーストメタアルゴリズム、ナイーブベイズ分類器、または深層学習を使用するマシン学習サブシステムでもよい。好ましくは、マシン学習サブシステム124は、OAG内の白血球の存在を判定し、完全な白血球差異測定結果および/または部分的白血球差異測定結果を判定するように構成され得る。
【0027】
1つの例において、
図2の第1の複数の画像12は、時空的に注釈付けされた第2の複数の画像122と好ましくは時間的に位置合わせする。本例において、時間的に位置合わせするステップは、光学デバイス14と高度光学デバイス96との両方で同じ対物レンズ170を使用して(
図4)、同じ対象領域、たとえば、
図2および
図4のROI26を生み出すことを含む。他の例において、時空的に注釈付けされた第2の複数の画像122と第1の複数の画像12を時間的に位置合わせするステップは、たとえば、毛細血管内の同じ位置に光学デバイス28および高度光学デバイス90の焦点を合わせること、たとえば、図示するように、ROI26および毛細血管28に焦点を合わせることによって、光学デバイス14および高度光学デバイス96のための同じROI26を生み出すこと(
図4)を含む。他の例において、時空的に注釈付けされた第2の複数の画像122と第1の複数の画像12を時間的に位置合わせするステップは、画像アラインメント処理方法、たとえば、当業者によって知られているようなレジストレーションまたは類似の画像アラインメント処理方法を使用し得る。たとえば、参照により本明細書に組み込まれている、Oliveira, F.P.およびTravares, J.M.R.他、Medical Image Registration : A Review, Computer Methods in Biomechanics and Biomedical Engineering, 17(2) (2014)を参照されたい。
【0028】
1つの実施形態において、非侵襲的毛細血管ビデオから白血球および/または白血球サブタイプを検出するための方法は、
図2の第1の複数の画像12を時空的に注釈付けされた第2の複数の画像122に位置合わせするステップを好ましくは含む。1つの例において、時空的に注釈付けされた第2の複数の画像122と第1の複数の画像12を時間的に位置合わせするステップは、たとえば、時空的に注釈付けされたルックアップテーブル108内の各フレーム識別子110、たとえば、t
0、t
1、t
2、t
3、t
4…t
n、に光吸収ギャップ参照テーブル74内の各フレーム識別子76(
図7)たとえば、t
0、t
1、t
2、t
4...t
n、を位置合わせするステップを含む。
【0029】
図8のプロット129は、
図2および
図4の光学デバイス14によって出力されたおよび処理サブシステム70に入力されたOAG信号132の1つの例を示す。本例において、OAG信号132は、毛細血管28内の毛細血管内の白血球を示すOAG、たとえば、
図2および
図9のOAG64、の存在をそれぞれが示す、ピーク140、142、および144を含む。
図8のプロット129はまた、
図2および
図4の処理サブシステム70に入力された、高度光学デバイス96、本例ではSECMデバイスによって出力された高度光出力信号134、136、および138の一例を示す。高度光信号134、136、および138のそれぞれは、好ましくは、毛細血管内の存在または検出OAGに対応する白血球のサブタイプを示すピークを含む。たとえば、高度光信号134のピーク146は、白血球サブタイプの単球を示し、ピーク148は、白血球サブタイプのリンパ球を示し、ピーク150は、白血球サブタイプの顆粒球、好中球を示す。高度光信号134、136、および138は、白血球サブタイプの他のタイプを表すピークを有し得るので、高度光信号134、136、および138のピーク146、148、および150は、それぞれ、単に例示を目的としている。プロット129はまた、追加の白血球サブタイプ、たとえば、好酸球、好塩基球、または他の白血球構造を示すピークを有する追加の高度光信号を含み得る。本例において、処理サブシステム70は、単球が毛細血管28内のOAG64(
図2および
図9)に存在することを示す図示するようなOAG信号132のピーク140と高度光信号134のピーク146を一時的に位置合わせする。同様に、処理サブシステム70は、本例では、リンパ球が毛細血管28内のOAG64に存在することを示す、図示するようなOAG信号132のピーク142と高度光信号136のピーク148を一時的に位置合わせする。処理サブシステム70はまた、好中球が毛細血管28内のOAG64に存在することを示す、図示するような、OAG信号132のピーク144と高度光信号138のピーク150を一時的に位置合わせする。類似の方式で、処理サブシステム70は、追加の白血球サブタイプ、たとえば、顆粒球、好酸球、好塩基球、または他の白血球構造を示すピークをそれぞれが有する1つまたは複数の追加の高度光信号のピークをOAG信号132における追加のピークと一時的に位置合わせできる。
【0030】
図9は、図示するように一時的に位置合わせされた、それぞれ、フレーム識別子、t
0、t
0+68ms、t
0+136ms、t
0+204ms、およびt
0+272m、におけるフレームの画像16、18、20、22、および24を有する第1の複数の画像12と、それぞれ、フレーム識別子t
0、t
0+68ms、t
0+136ms、t
0+204ms、およびt
0+272mにおける画像またはフレーム84、86、88、90、および92を有する第2の複数の画像82の1つの例を示す。本例において高度光学デバイス96(
図2および
図4)は、180において示された、毛細血管28のラインスキャンを使用するSECMデバイスを使用して、第2の複数の画像82、
図9、を取得する。他の高度光学デバイスは、前述で開示されたように使用され得る。
【0031】
1つの例において、第1の複数の画像12、
図2、第1の複数の画像からの注釈付き情報72、たとえば、OAG参照データ74、
図7、たとえば、第2の複数の画像120からのテーブルまたは類似タイプデータおよび注釈付き情報、
図2、たとえば、時空的に注釈付けされたルックアップデータ108、
図7、たとえば、テーブルまたは類似タイプデータは、検出された任意の白血球および/または検出された任意の白血球のサブタイプを示す結果データ170、たとえば、類似タイプ結果データのテーブル、を出力する、マシン学習サブシステム124、
図2、に入力される。マシン学習サブシステム124は、次いで、結果データ170をグラウンドトゥルースデータ172、たとえば、検出された白血球および/または判定された白血球サブタイプの精度を判定および改善するためのテーブルまたは類似タイプデータ、と好ましくは比較する。当業者には知られているように、「グラウンドトゥルース」は、理想的な予期される結果に関する事実の知識に関する用語である。
【0032】
1つの実施形態において、マシン学習サブシステム124は、第1の複数の画像12内の各OAGの検出された任意の白血球および/または検出された任意の白血球のサブタイプを含む結果データ174、たとえば、類似タイプデータのテーブル、を出力することができ、結果データ174をグラウンドトゥルースデータ172データと比較して、検出された白血球および/または判定された白血球サブタイプの精度を判定および改善する。
【0033】
マシン学習サブシステム124、
図2、が、高度光学デバイスで取得された第2の複数の画像からの注釈付き情報を使用して、白血球の存在および/または1つもしくは複数の光吸収ギャップに存在する白血球のサブタイプを効率的に効果的に学習および判定した後は、
図1~
図9のうちの1つまたは複数を参照して前述されたような類似の技法を使用して、別の実施形態の非侵襲的毛細血管から白血球および/または白血球サブタイプを検出するための方法は、光学デバイスでキャプチャされた非侵襲的毛細血管ビデオから被験者の所定のエリアの1つまたは複数の毛細血管を含む対象領域の第1の複数の画像を取得するステップ、ステップ190、
図10、を含み得る。方法はまた、第1の複数の画像を処理して毛細血管内に位置する1つまたは複数の光ギャップを判定するステップ、ステップ192、を含み得る。方法はまた、第1の複数の画像において検出された任意の光ギャップの指示で第1の複数の画像に注釈を付けるステップ、ステップ92、と、第1の複数の画像および第1の複数の画像からの注釈付き情報、および高度光学デバイスで取得された第2の複数の画像からの注釈付き情報を使用して白血球の存在および/または1つもしくは複数の光吸収ギャップに存在する白血球のサブタイプを学習および判定したマシン学習サブシステムからの情報を使用して、白血球の存在および/または1つもしくは複数の光吸収ギャップに存在する任意の白血球のサブタイプを判定するステップ、ステップ194、とを含み得る。
【0034】
その結果は、非侵襲的毛細血管ビデオから白血球および/または白血球サブタイプを検出するための方法が、危険なほどに低いレベルの白血球に関連する様々な病気および状態、たとえば、好中球減少症、AIDs、自己免疫疾患、臓器移植、様々な状態の免疫抑制剤での治療を受ける患者など、を治療する医療関係者を支援するために、白血球差異測定結果および/または部分的白血球差異測定結果を正確に、効率的に、定量的に判定する、ということである。マシン学習サブシステムが、高度光学デバイスで取得された第2の複数の画像からの注釈付き情報を使用して、白血球の存在および/または1つもしくは複数の光吸収ギャップに存在する白血球のサブタイプを効率的に効果的に学習および判定した後は、本請求の方法は、次いで、シンプルで、持ち運びできて、費用効率の高い画像化デバイス、たとえば、OAG内の白血球の存在および白血球のサブタイプを判定するための毛細血管顕微鏡、を使用することができ、高度および高価な光画像化システム、たとえば、SECM、SCAP、SCOPI、OPBM、および同類のもの、をさらに使用する必要はない。
【0035】
図1~
図9のうちの1つまたは複数を参照して前述したような類似の技法を使用して、本発明の1つの実施形態の非侵襲的毛細血管ビデオから赤血球の濃度を判定するための方法は、光学デバイスでキャプチャされた非侵襲的毛細血管ビデオから被験者の所定のエリアの1つまたは複数の毛細血管を含む対象領域の第1の複数の画像を取得するステップ、ステップ200、
図10、を含む。第1の複数の画像は、毛細血管内に位置するヘモグロビン光吸収の1つまたは複数のエリアを判定するために処理される、ステップ202。第1の複数の画像は、第1の複数の画像で検出されたヘモグロビン光吸収の任意のエリアの指示で注釈付けされる、ステップ204。同じ毛細血管の同対象領域の第2の複数の画像が、赤血球の細胞構造を解像することができる高度光学デバイスで取得される、ステップ206。検出された任意の赤血球の濃度の指示を有する第2の複数の画像は、第2の複数の画像において時空的に注釈付けされる、ステップ208。第1の複数の画像および第1の複数の画像からの注釈付き情報および時空的に注釈付けされた第2の複数の画像からの注釈付き情報が、第1の複数の画像内の1つまたは複数の光吸収ギャップに存在する任意の赤血球の濃度を判定するように構成されたマシン学習サブシステムに入力される、ステップ210。
【0036】
1つの例において、赤血球数が、赤血球の濃度から判定され得る。
【0037】
各特徴は、発明によるその他の特徴のいずれかまたはすべてと結合され得るので、発明の特定の特徴は、いくつかの図面には示されており、他には示されていないが、これは単に便宜上である。本明細書では、「含む」、「備える」、「有する」、および「有した」という言葉は、広く包括的に解釈されるべきであり、物理相互接続に制限されない。さらに、本願で開示されるいずれの実施形態も、単に可能な実施形態として解釈されるべきである。他の実施形態が、当業者には思い浮かぶことになり、それらは、以下の特許請求の範囲内にある。
【0038】
加えて、本特許の特許出願の遂行中に提示される任意の修正は、出願されたものとしての本願において提示された任意の請求要素の放棄ではない:当業者は、すべての可能な均等物を文字通り包含することになる請求を起草することは合理的に期待され得ず、多数の均等物は、修正時に予測不可能であることになり、放棄されるべきもの(むしろ)の公正な解釈を超えており、修正の根底にある論拠は、多数の均等物に接線的関係しか有さない可能性がある、および/または、修正された任意の請求要素のある種の実質のない代替を説明することを出願人は期待され得ない多数の他の理由が存在する。
【符号の説明】
【0039】
12 第1の複数の画像
14 光学デバイス
16 フレーム
18 フレーム
20 フレーム
22 フレーム
24 フレーム
26 対象領域
28 毛細血管
40 爪郭
42 指
44 被験者
50 光源
52 光
54 鏡
60 反射した光
64 OAG
70 処理サブシステム
72 注釈付き情報
74 OAG参照テーブル
76 フレーム識別子
78 フレーム識別子
82 第2の複数の画像
84 画像またはフレーム
86 画像またはフレーム
88 画像またはフレーム
90 画像またはフレーム
92 画像またはフレーム
94 画像またはフレーム
96 高度光学デバイス
100 画像
108 ルックアップテーブル
110 フレーム識別子
120 注釈付き情報
122 時空的に注釈付けされた第2の複数の画像
124 マシン学習サブシステム
129 プロット
132 OAG信号
134 高度光信号
136 高度光信号
138 高度光信号
140 ピーク
142 ピーク
144 ピーク
146 ピーク
148 ピーク
150 ピーク
170 結果データ
172 グラウンドトゥルースデータ
174 結果データ