(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】位置検知システム、位置検知方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 5/02 20100101AFI20241004BHJP
G01C 3/06 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G01S5/02 A
G01C3/06 120W
G01C3/06 110V
(21)【出願番号】P 2023508628
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(86)【国際出願番号】 JP2021046976
(87)【国際公開番号】W WO2022201682
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2021052341
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 燕峰
(72)【発明者】
【氏名】天野 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】大塚 貴丈
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/113265(WO,A1)
【文献】特表2021-505898(JP,A)
【文献】特表2020-515862(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0315208(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0377698(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0155104(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00 - 5/14
19/00 - 19/55
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが所持するビーコン端末から送信されスキャナで受信された、前記ユーザの識別情報を含むビーコン信号に基づいて、前記ユーザの前記識別情報と前記ユーザの第1位置情報とを含む第1データを生成する第1測位部と、
前記ユーザが滞在する空間を撮影し画像データを生成する撮像装置で生成された前記画像データに基づいて、前記ユーザの第2位置情報を含む第2データを生成する第2測位部と、
前記第1データと前記第2データとを紐付ける紐付部と、を備え、
前記紐付部は、前記ユーザが滞在する前記空間を分割した複数の区画のうち、前記第1位置情報に対応する区画を前記第1データに対応する第1対応区画とし、前記第2位置情報に対応する区画を前記第2データに対応する第2対応区画とし、
前記紐付部は、
複数の時点の各々における前記第1対応区画と前記第2対応区画との一致率
の総和に基づいて前記第1データと前記第2データとの紐付けを決定する、
位置検知システム。
【請求項2】
前記紐付部は、所定時間に亘る前記第1対応区画と前記第2対応区画との一致率に基づいて前記第1データと前記第2データとの紐付けを決定する、
請求項1に記載の位置検知システム。
【請求項3】
前記ユーザは複数存在し、前記複数のユーザの各々は、前記ビーコン端末を所持し、
前記第1測位部は、前記複数のユーザに対応する複数の第1データを生成し、
前記第2測位部は、前記複数のユーザに対応する複数の第2データを生成し、
前記紐付部は、前記複数の第1データの中から選択された対象第1データを、前記複数の第2データのうち所定条件を満たす前記第2データと紐付ける、
請求項1又は2に記載の位置検知システム。
【請求項4】
前記所定条件は、前記第1対応区画と前記第2対応区画との一致率が最も大きいという条件を含む、
請求項3に記載の位置検知システム。
【請求項5】
前記所定条件は、前記第1対応区画と前記第2対応区画との一致率が閾値よりも大きいという条件を更に含む、
請求項4に記載の位置検知システム。
【請求項6】
前記複数の区画の各々の寸法は、前記第1位置情報の測位精度に基づいて決定される、
請求項1~5のいずれか一項に記載の位置検知システム。
【請求項7】
前記スキャナを更に備える、
請求項1~6のいずれか一項に記載の位置検知システム。
【請求項8】
前記ビーコン端末を更に備える、
請求項1~7のいずれか一項に記載の位置検知システム。
【請求項9】
前記撮像装置を更に備える、
請求項1~8のいずれか一項に記載の位置検知システム。
【請求項10】
1以上のプロセッサにより実行される位置検知方法であって、
ユーザが所持するビーコン端末から送信されスキャナで受信された、前記ユーザの識別情報を含むビーコン信号に基づいて、前記ユーザの前記識別情報と前記ユーザの第1位置情報とを含む第1データを生成する第1測位工程と、
前記ユーザが滞在する空間を撮影し画像データを生成する撮像装置で生成された前記画像データに基づいて、前記ユーザの第2位置情報を含む第2データを生成する第2測位工程と、
前記第1データと前記第2データとを紐付ける紐付工程と、を含み、
前記紐付工程では、前記ユーザが滞在する前記空間を分割した複数の区画のうち、前記第1位置情報に対応する区画を前記第1データに対応する第1対応区画とし、前記第2位置情報に対応する区画を前記第2データに対応する第2対応区画とし、
前記紐付工程では、
複数の時点の各々における前記第1対応区画と前記第2対応区画との一致率
の総和に基づいて前記第1データと前記第2データとの紐付けを決定する、
位置検知方法。
【請求項11】
請求項10に記載の位置検知方法を、
前記1以上のプロセッサに実行させるための、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に位置検知システム、位置検知方法及びプログラムに関し、より詳細には、ビーコン信号及び撮像装置を利用する位置検知システム、位置検知方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の位置算出システム(位置検知システム)は、複数のビーコン(ビーコン端末)と、撮影装置(撮像装置)と、情報処理装置と、を含む。撮影装置は、複数のビーコンの1つに接続され、移動体が移動する空間の撮影を行う。情報処理装置は、撮影装置によって空間を撮影された画像に基づいて算出された移動体の位置の情報を受信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本開示は、撮像装置の測位精度を用いた測位を行いつつ、測位対象のユーザを識別することができる位置検知システム、位置検知方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【0005】
本開示の一態様に係る位置検知システムは、第1測位部と、第2測位部と、紐付部と、を備える。前記第1測位部は、ユーザが所持するビーコン端末から送信されスキャナで受信された、前記ユーザの識別情報を含むビーコン信号に基づいて、第1データを生成する。前記第1データは、前記ユーザの前記識別情報と前記ユーザの第1位置情報とを含む。前記第2測位部は、前記ユーザが滞在する空間を撮影し画像データを生成する撮像装置で生成された前記画像データに基づいて、第2データを生成する。前記第2データは、前記ユーザの第2位置情報を含む。前記紐付部は、前記第1データと前記第2データとを紐付ける。前記紐付部は、前記ユーザが滞在する前記空間を分割した複数の区画のうち、前記第1位置情報に対応する区画を前記第1データに対応する第1対応区画とし、前記第2位置情報に対応する区画を前記第2データに対応する第2対応区画とする。前記紐付部は、複数の時点の各々における前記第1対応区画と前記第2対応区画との一致率の総和に基づいて前記第1データと前記第2データとの紐付けを決定する。
【0006】
本開示の一態様に係る位置検知方法は、1以上のプロセッサにより実行される位置検知方法であって、第1測位工程と、第2測位工程と、紐付工程と、を含む。前記第1測位工程では、ユーザが所持するビーコン端末から送信されスキャナで受信された、前記ユーザの識別情報を含むビーコン信号に基づいて、第1データを生成する。前記第1データは、前記ユーザの前記識別情報と前記ユーザの第1位置情報とを含む。前記第2測位工程では、前記ユーザが滞在する空間を撮影し画像データを生成する撮像装置で生成された前記画像データに基づいて、第2データを生成する。前記第2データは、前記ユーザの第2位置情報を含む。前記紐付工程では、前記第1データと前記第2データとを紐付ける。前記紐付工程では、前記ユーザが滞在する前記空間を分割した複数の区画のうち、前記第1位置情報に対応する区画を前記第1データに対応する第1対応区画とし、前記第2位置情報に対応する区画を前記第2データに対応する第2対応区画とする。前記紐付工程では、複数の時点の各々における前記第1対応区画と前記第2対応区画との一致率の総和に基づいて前記第1データと前記第2データとの紐付けを決定する。
【0007】
本開示の一態様に係るプログラムは、前記位置検知方法を、前記1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る位置検知システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の位置検知システムの設置状態を表す概略図である。
【
図3】
図3は、同上の位置検知システムを用いた位置検知方法を表すフローチャートである。
【
図4】
図4は、同上の位置検知システムにより実行される、一致率を求める処理を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る位置検知システムについて、図面を用いて説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0010】
(概要)
図1に示すように、本実施形態の位置検知システム1(LPS:Local Positioning System)は、第1測位部421と、第2測位部422と、紐付部423と、を備える。第1測位部421は、ユーザU1(
図2参照)が所持するビーコン端末2から送信されスキャナ3で受信された、ユーザU1の識別情報を含むビーコン信号に基づいて、第1データを生成する。第1データは、ユーザU1の識別情報とユーザU1の第1位置情報とを含む。第2測位部422は、ユーザU1が滞在する空間を撮影し画像データを生成する撮像装置5で生成された画像データに基づいて、第2データを生成する。第2データは、ユーザU1の第2位置情報を含む。紐付部423は、第1データと第2データとを紐付ける。紐付部423は、ユーザU1が滞在する空間を分割した複数の区画D1~D16(
図4参照)のうち、第1位置情報に対応する区画を第1データに対応する第1対応区画とし、第2位置情報に対応する区画を第2データに対応する第2対応区画とする。紐付部423は、第1対応区画と第2対応区画との一致率に基づいて第1データと第2データとの紐付けを決定する。
【0011】
本実施形態によれば、ユーザU1の識別情報を含む第1データを、第2データと紐付けることができる。よって、第2データがユーザU1の識別情報を含まない場合であっても、第2データをユーザU1の識別情報と紐付けることができる。
【0012】
第1データは、ビーコン信号に基づく第1位置情報を含み、第2データは、撮像装置5で撮影された画像データに基づく第2位置情報を含む。多くの場合、ビーコン信号に基づく測位よりも、画像データに基づく測位の方が、高精度な測位である。つまり、多くの場合、第1位置情報よりも第2位置情報の方が、ユーザU1の位置を正確に表している。第2データをユーザU1の識別情報と紐付けることで、撮像装置の測位精度を用いた高精度な測位を行いつつ、測位対象のユーザU1を識別することができる。
【0013】
(詳細)
(1)全体構成
以下、本実施形態の位置検知システム1について、より詳細に説明する。
【0014】
図1に示すように、位置検知システム1は、複数のビーコン端末2と、複数のスキャナ3と、測位サーバ4と、複数の撮像装置5と、を備える。
【0015】
複数のビーコン端末2、複数のスキャナ3、測位サーバ4及び複数の撮像装置5の各々は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、コンピュータシステムのプロセッサが実行することにより、複数のビーコン端末2、複数のスキャナ3、測位サーバ4及び複数の撮像装置5の各々の少なくとも一部の機能が実現される。プログラムは、メモリに記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0016】
ビーコン端末2は、ユーザU1(
図2参照)に携帯される。施設を利用する複数のユーザU1は、それぞれ、ビーコン端末2を携帯している。各ビーコン端末2には、識別情報が割り当てられており、位置検知システム1は、識別情報に基づいて、複数のビーコン端末2を区別する。位置検知システム1は、施設における複数のビーコン端末2の各々の位置、すなわち、複数のユーザU1の各々の位置を測定する。
【0017】
本開示でいう「施設」は、例えば、オフィスビル、工場、複合商業施設、図書館、美術館、博物館、遊戯施設、テーマパーク、公園、空港、鉄道駅、球場、ホテル、病院及び住宅等である。その他、「施設」は、例えば、船舶及び鉄道車両等の移動体であってもよい。
【0018】
本開示でいう「ビーコン端末」は、ユーザU1によって携帯される携帯端末であり、例えば、スマートフォンのような通信端末である。また、本開示でいう「ビーコン端末」は、スマートフォンに限定されず、タブレット型の携帯端末でもよいし、タグ等の位置検知システム1専用の端末でもよい。また、「ビーコン端末」は、ユーザU1の所有物であってもよいし、借り物であってもよい。
【0019】
複数のスキャナ3は、施設に設置されている。本実施形態では、複数のスキャナ3は、施設内の建物の天井に設置されている(
図2参照)。複数のスキャナ3は、ビーコン端末2から送信されるビーコン信号を受信し、ビーコン信号の受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indication)を測定する。
【0020】
測位サーバ4は、複数のスキャナ3の各々におけるビーコン信号の受信信号強度に基づいて、複数のスキャナ3の各々とビーコン端末2との間の距離を求める。そして、測位サーバ4は、上記距離に基づいてビーコン端末2の位置(第1位置情報)を求める。一例として、測位サーバ4は、複数のスキャナ3の各々の位置情報と、複数のスキャナ3の各々とビーコン端末2との間の距離と、を用いて3点測位等を行うことにより、ビーコン端末2の位置を求める。
【0021】
複数の撮像装置5は、施設に設置されている。本実施形態では、複数の撮像装置5は、施設内の建物の天井に設置されている(
図2参照)。測位サーバ4は、複数の撮像装置5で撮影された画像を処理することで、複数のユーザU1の各々の位置(第2位置情報)を求める。
【0022】
(2)ビーコン端末
図1に示すように、ビーコン端末2は、通信部21と、処理部22と、記憶部23と、を備える。
【0023】
通信部21は、通信インタフェース装置を含んでいる。通信部21は、スキャナ3の通信部31と通信可能である。本開示でいう「通信可能」とは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、信号を授受できることを意味する。通信部21と通信部31との通信方式は、例えば、Bluetooth(登録商標) Low Energy、又はWiFi(登録商標)等である。
【0024】
通信部21は、ビーコン信号を送信する。ビーコン信号は、ビーコン端末2に登録されたユーザU1の識別情報を含む。なお、ビーコン端末2はユーザU1に固有の端末であるので、ビーコン端末2の識別情報が、ユーザU1の識別情報として用いられてもよい。
【0025】
処理部22は、コンピュータシステムを主構成とする。処理部22は、ビーコン端末2の全体的な制御を行う。また、処理部22は、通信部21を制御して、通信部21にビーコン信号を送信させる。
【0026】
記憶部23は、ビーコン端末2に関する情報を記憶している。記憶部23は、ビーコン端末2を携帯するユーザU1の識別情報を記憶している。
【0027】
(3)スキャナ
図1に示すように、スキャナ3は、通信部31と、処理部32と、記憶部33と、を備える。
【0028】
通信部31は、通信インタフェース装置を含んでいる。通信部31は、第1通信部311としての機能と、第2通信部312としての機能と、を有する。第1通信部311は、ビーコン端末2の通信部21と通信可能である。第2通信部312は、測位サーバ4の通信部41と通信可能である。
【0029】
処理部32は、コンピュータシステムを主構成とする。処理部32は、スキャナ3の全体的な制御を行う。また、処理部32は、通信部31で受信されたビーコン信号の受信信号強度を測定する。
【0030】
記憶部33は、スキャナ3に関する情報を記憶している。記憶部33は、スキャナ3の識別情報を記憶している。
【0031】
(4)撮像装置
図1に示すように、撮像装置5は、通信部51と、処理部52と、記憶部53と、撮像部55と、を備える。
【0032】
通信部51は、通信インタフェース装置を含んでいる。通信部51は、測位サーバ4の通信部41と通信可能である。
【0033】
処理部52は、コンピュータシステムを主構成とする。処理部52は、撮像装置5の全体的な制御を行う。
【0034】
記憶部53は、撮像装置5に関する情報を記憶している。記憶部53は、撮像装置5の識別情報を記憶している。
【0035】
撮像部55は、ユーザU1が滞在する空間を撮影する主体である。撮像部55は、例えばCCD(Charge Coupled Devices)イメージセンサ、又はCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の二次元イメージセンサを含む。
【0036】
図2に示すように、撮像装置5は、建物の天井に設置される。撮像装置5は、撮像装置5の下方の空間を撮影する。撮像装置5で撮影される画像は、ユーザU1を上から写した画像となる。これにより、ユーザU1の顔が判別し難くなるので、ユーザU1のプライバシーが保護されやすい。
【0037】
(5)測位サーバ
図1に示すように、測位サーバ4は、通信部41と、処理部42と、記憶部43と、を備える。
【0038】
通信部41は、通信インタフェース装置を含んでいる。通信部41は、複数のスキャナ3の各々の通信部31及び複数の撮像装置5の各々の通信部51と通信可能である。
【0039】
処理部42は、コンピュータシステムを主構成とする。処理部42は、第1測位部421、第2測位部422及び紐付部423としての機能を有する。
【0040】
記憶部43は、複数のスキャナ3の各々の識別情報及び位置情報を記憶している。また、記憶部43は、複数の撮像装置5の各々の識別情報及び位置情報を記憶している。
【0041】
測位サーバ4は、複数のスキャナ3の各々から受信信号情報を取得する。受信信号情報は、ビーコン信号の受信信号強度に関する情報を含む。また、受信信号情報は、ユーザU1の識別情報及びスキャナ3の識別情報を含む。第1測位部421は、複数のスキャナ3の各々におけるビーコン信号の受信信号強度に基づいて、複数のスキャナ3の各々とビーコン端末2との間の距離を求め、上記距離に基づいてビーコン端末2の位置、すなわち、ユーザU1の第1位置情報を求める。
【0042】
受信信号情報は、ユーザU1の識別情報を含むので、第1測位部421は、複数のユーザU1を区別し、複数のユーザU1の位置を個別に測定可能である。第1測位部421は、所定の時間間隔で(例えば、1秒ごとに)複数のユーザU1の各々の位置を測定する。
【0043】
測位サーバ4は、複数の撮像装置5の各々から画像データを取得する。画像データにユーザU1が写っている場合、第2測位部422は、画像データに基づいてユーザU1の第2位置情報を求める。より詳細には、測位サーバ4は、撮像装置5の位置及び向きと、画像データにおけるユーザU1の位置と、に基づいて、ユーザU1の第2位置情報を求める。
【0044】
第2測位部422は、ユーザU1が誰であるかを識別する処理を行わない。ただし、第2測位部422は、各ユーザU1に管理IDを与えて区別する。さらに、第2測位部422は、時間的に連続した画像データを参照して、各ユーザU1を追跡する。これにより、第2測位部422は、ある時点に位置を測定されたユーザU1と、別の時点に位置を測定されたユーザU1と、が同一人物であるか、別人であるかを区別する。
【0045】
第2測位部422の測位精度は、第1測位部421の測位精度よりも高い。また、第2測位部422が第2位置情報を生成する時間間隔は、第1測位部421が第1位置情報を生成する時間間隔よりも短い。
【0046】
(6)位置検知方法
本実施形態の位置検知方法は、位置検知システム1により実現可能である。
図3に示すように、位置検知方法は、第1測位工程(ステップST1、ST2)と、第2測位工程(ステップST3、ST4)と、紐付工程(ステップST5~ST8)と、を含む。第1測位工程では、ユーザU1が所持するビーコン端末2から送信されスキャナ3で受信された、ユーザU1の識別情報を含むビーコン信号に基づいて、第1データを生成する。第1データは、ユーザU1の識別情報とユーザU1の第1位置情報とを含む。第2測位工程では、ユーザU1が滞在する空間を撮影し画像データを生成する撮像装置5で生成された画像データに基づいて、第2データを生成する。第2データは、ユーザU1の第2位置情報を含む。紐付工程では、第1データと第2データとを紐付ける。紐付工程では、ユーザU1が滞在する空間を分割した複数の区画のうち、第1位置情報に対応する区画を第1データに対応する第1対応区画とし、第2位置情報に対応する区画を第2データに対応する第2対応区画とする。紐付工程では、第1対応区画と第2対応区画との一致率に基づいて第1データと第2データとの紐付けを決定する。
【0047】
一態様に係るプログラムは、上記の位置検知方法を1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。プログラムは、コンピュータで読み取り可能な非一時的記録媒体に記録されていてもよい。
【0048】
以下、
図3、
図4を参照して、位置検知方法についてより詳細に説明する。なお、
図3に示すフローチャートは、本開示に係る位置検知方法の一例に過ぎず、処理の順序が適宜変更されてもよいし、処理が適宜追加又は省略されてもよい。
【0049】
ユーザU1は複数存在し、複数のユーザU1の各々は、ビーコン端末2を所持する。ある期間において、ビーコン端末2及びスキャナ3を使用して、ビーコン信号に基づいて測位される対象のユーザU1の人数を、Nとする。上記ある期間と同じ期間において、撮像装置5を使用して、画像データに基づいて測位される対象のユーザU1の人数を、Mとする。NとMとは、一致していてもよいし、一致していなくてもよい。
【0050】
第1測位部421は、ビーコン信号に基づく測位を行う(ステップST1)。これにより、第1測位部421は、第1データα1、α2、……、αNを生成する(ステップST2)。i=1、2、3、……、Nとすると、第1データαiは、i番目のユーザU1に対応する第1データである。第1データαiは、i番目のユーザU1の識別情報及びi番目のユーザU1の第1位置情報を含む。
【0051】
第2測位部422は、画像データに基づく測位を行う(ステップST3)。これにより、第2測位部422は、第2データβN+1、βN+2、……、βN+Mを生成する(ステップST4)。j=N+1、N+2、N+3、……、N+Mとすると、第2データβjは、j番目のユーザU1に対応する第2データである。第2データβjは、j番目のユーザU1の第2位置情報を含む。
【0052】
このように、第1測位部421は、複数のユーザU1に対応する複数の第1データを生成する。第2測位部422は、複数のユーザU1に対応する複数の第2データを生成する。
【0053】
なお、第1データαi及び第2データβjは、継続して生成される。そのため、ステップST1、ST2は実際には、ステップST3、ST4と並列して実行される。
【0054】
紐付部423は、条件に応じて、第1データαiと第2データβjとを紐付ける。ここで、
図4に示すように、上下方向から見て、ユーザU1が滞在する空間が、複数(
図4では16個)の区画D1~D16に分割されている。各区画D1~D16の境界は、仮想的な境界である。各区画D1~D16の大きさは同じである。各区画D1~D16は、複数のスキャナ3のうち少なくとも1つのスキャナ3がビーコン信号を受信可能である範囲に含まれている。また、各区画D1~D16は、複数の撮像装置5のうち少なくとも1つの撮像装置5の撮像範囲に含まれている。
【0055】
図4では、1番目のユーザU1の第1位置情報A1が図示されている。より詳細には、1番目のユーザU1の移動の軌跡が、ビーコン信号に基づいて求められ、
図4に第1位置情報A1として図示されている。
【0056】
図4では、N+1番目のユーザU1の第2位置情報B1が図示されている。より詳細には、N+1番目のユーザU1の移動の軌跡が、画像データに基づいて求められ、
図4に第2位置情報B1として図示されている。
【0057】
同様に、
図4には、2番目のユーザU1の第1位置情報A2、及び、N+2番目のユーザU1の第2位置情報B2が図示されている。
【0058】
以下では、N=M=2とする。つまり、以下では、1番目のユーザU1の第1位置情報A1、2番目のユーザU1の第1位置情報A2、3番目のユーザU1の第2位置情報B1、及び、4番目のユーザU1の第2位置情報B2に焦点を当てて説明する。
【0059】
紐付部423は、1番目のユーザU1が、3番目のユーザU1又は4番目のユーザU1と同一人物であるか否かを判定する。また、紐付部423は、2番目のユーザU1が、3番目のユーザU1又は4番目のユーザU1と同一人物であるか否かを判定する。同一人物であると判定した場合、紐付部423は、該当するユーザU1の第1データと第2データとを紐付ける。
【0060】
図4には、第1位置情報A1、A2、第2位置情報B1、B2の各々を表す曲線のうち、各時点t1~t6でのユーザU1の位置に、t1~t6の符号を傍記している。
【0061】
第1位置情報A1は、時点t1、t2、t3に1番目のユーザU1が区画D5にいることを示している。第1位置情報A1は、時点t4、t5、t6に1番目のユーザU1が区画D2にいることを示している。
【0062】
各時点t1~t6と、第1位置情報A1、A2、第2位置情報B1、B2に対応する各ユーザU1の位置(区画D1~D16)と、の関係を、[表1]に示す。
【0063】
【0064】
複数の区画D1~D16のうち、1番目のユーザU1の第1位置情報A1に対応する区画を、1番目のユーザU1の第1対応区画とする。例えば、時点t1~t3では、第1位置情報A1は1番目のユーザU1が区画D5にいることを表しているので、時点t1~t3における1番目のユーザU1の第1対応区画は、区画D5である。時点t4~t6における1番目のユーザU1の第1対応区画は、区画D2である。
【0065】
2番目のユーザU1の第1位置情報A2に対応する区画を、2番目のユーザU1の第1対応区画とする。3番目のユーザU1の第2位置情報B1に対応する区画を、3番目のユーザU1の第2対応区画とする。4番目のユーザU1の第2位置情報B2に対応する区画を、4番目のユーザU1の第2対応区画とする。
【0066】
紐付部423は、各第1対応区画と各第2対応区画との一致率を求める(ステップST5)。紐付部423は、第1対応区画と第2対応区画との一致率に基づいて第1データと第2データとの紐付けを決定する。より詳細には、紐付部423は、所定時間に亘る第1対応区画と第2対応区画との一致率に基づいて第1データと第2データとの紐付けを決定する。更に詳細には、紐付部423は、所定時間に亘る第1対応区画と第2対応区画との一致率の積分値に基づいて第1データと第2データとの紐付けを決定する。
【0067】
紐付部423は、第1対応区画と第2対応区画とが一致しているとき、一致率が最大であるとする。紐付部423は、第1対応区画と第2対応区画とが近いほど、一致率が大きいと判断する。第1対応区画と第2対応区画との一致率を求める対応表の例を、[表2]に示す。
【0068】
【0069】
一例として、第1対応区画と第2対応区間とが一致している期間の長さが1秒以上3秒未満だと、一致率が10加算される。第1対応区画と第2対応区間とが一致している期間の長さが3秒以上5秒未満だと、一致率が20加算される。第1対応区画と第2対応区間とが一致している期間の長さが5秒以上だと、一致率が30加算される。
【0070】
第1対応区画が第2対応区間の隣の区間である期間の長さが1秒以上3秒未満だと、一致率が5加算される。第1対応区画が第2対応区間の隣の区間である状態が3秒以上5秒未満だと、一致率が3加算される。第1対応区画が第2対応区間の隣の区間である期間の長さが5秒以上だと、一致率が1加算される。
【0071】
第1対応区画が第2対応区間の隣の隣の区間である期間の長さが1秒以上3秒未満だと、一致率が3加算される。第1対応区画が第2対応区間の隣の隣の区間である期間の長さが3秒以上5秒未満だと、一致率が2加算される。第1対応区画が第2対応区間の隣の隣の区間である期間の長さが5秒以上だと、一致率が加算されない。
【0072】
また、第1対応区画と第2対応区間とが、一致しておらず、隣り合っておらず、隣の隣の関係でもない場合は、一致率が加算されない。
【0073】
紐付部423は、このようにして所定期間に亘り求められた一致率に基づいて、第1データと第2データとの紐付けを決定する。
【0074】
紐付部423は、複数の第1データの中から選択された対象第1データを、複数の第2データのうち所定条件を満たす第2データと紐付ける(ステップST6~ST8)。所定条件は、第1対応区画と第2対応区画との一致率が最も大きいという条件を含むことが好ましい。また、所定条件は、第1対応区画と第2対応区画との一致率が閾値よりも大きいという条件を更に含むことが好ましい。以下では、閾値は18であり、紐付部423は、6秒間に亘る第1対応区画と第2対応区間との関係に基づいて、一致率を求めるとして説明する。また、時点t1から1秒、2秒、3秒、4秒、5秒が経過した時点をそれぞれ、時点t2、t3、t4、t5、t6とする。
【0075】
第1位置情報A1を含む第1データを、対象第1データとし、第1位置情報A1に対応する第1対応区画(この段落の以下の記載では、“A1”と記載する)と、第2位置情報B1に対応する第2対応区間(この段落の以下の記載では、“B1”と記載する)とを比較する。時点t5、t6に該当する2秒間、“A1”が“B1”と一致するので、一致率が10加算される。時点t3、t4に該当する2秒間、“A1”が“B1”の隣なので、一致率が5加算される。時点t1に該当する1秒間、“A1”が“B1”の隣の隣なので、一致率が3加算される。時点t2では、“A1”が“B1”の隣の隣よりも更に離れているので、一致率は加算されない。一致率の合計は、18となる。一致率の合計(積分値)は閾値の18と等しいので、所定条件が満たされず、第1位置情報A1を含む第1データは、第2位置情報B1を含む第2データと紐付けられない(ステップST8)。
【0076】
次に、第1位置情報A1を含む第1データを、対象第1データとし、第1位置情報A1に対応する第1対応区画(この段落の以下の記載では、“A1”と記載する)と、第2位置情報B2に対応する第2対応区間(この段落の以下の記載では、“B2”と記載する)とを比較する。時点t1、t2、t6に該当する3秒間、“A1”が“B2”の隣なので、一致率が3加算される。時点t3、t4、t5に該当する3秒間、“A1”が“B2”の隣の隣なので、一致率が2加算される。一致率の合計は、5となる。一致率の合計は閾値の18よりも小さいので、所定条件が満たされず、第1位置情報A1を含む第1データは、第2位置情報B2を含む第2データと紐付けられない(ステップST8)。
【0077】
次に、第1位置情報A2を含む第1データを、対象第1データとし、第1位置情報A2に対応する第1対応区画(この段落の以下の記載では、“A2”と記載する)と、第2位置情報B1に対応する第2対応区間(この段落の以下の記載では、“B1”と記載する)とを比較する。時点t1に該当する1秒間、“A2”が“B1”と一致するので、一致率が10加算される。時点t4に該当する1秒間、“A2”が“B1”の隣なので、一致率が5加算される。時点t2、t3、t5、t6に該当する4秒間、“A2”が“B1”の隣の隣なので、一致率が2加算される。一致率の合計は、17となる。一致率の合計は閾値の18よりも小さいので、所定条件が満たされず、第1位置情報A2を含む第1データは、第2位置情報B1を含む第2データと紐付けられない(ステップST8)。
【0078】
次に、第1位置情報A2を含む第1データを、対象第1データとし、第1位置情報A2に対応する第1対応区画(この段落の以下の記載では、“A2”と記載する)と、第2位置情報B2に対応する第2対応区間(この段落の以下の記載では、“B2”と記載する)とを比較する。時点t2、t4、t5に該当する3秒間、“A2”が“B2”と一致するので、一致率が20加算される。時点t1、t3、t6に該当する3秒間、“A2”が“B2”の隣なので、一致率が3加算される。一致率の合計は、23となる。一致率の合計は閾値の18よりも大きい。また、“A2”と“B2”との一致率は、“A2”と“B1”(第2位置情報B1に対応する第2対応区間)との一致率よりも大きい。つまり、“A2”に対する一致率は、“B1”と“B2”とのうち、“B2”が最も大きい。よって、所定条件が満たされ、第1位置情報A2を含む第1データは、第2位置情報B2を含む第2データと紐付けられる(ステップST7)。
【0079】
以上より、紐付部423は、第1位置情報A2を含む第1データを、第2位置情報B2を含む第2データと紐付ける。言い換えると、紐付部423は、第1位置情報A2を含む第1データに対応するユーザU1と、第2位置情報B2を含む第2データに対応するユーザU1とが同一人物であると判定する。また、紐付部423は、第1位置情報A1を含む第1データを、第2位置情報B1を含む第2データ、及び、第2位置情報B2を含む第2データのいずれとも紐付けない。言い換えると、紐付部423は、第1位置情報A1を含む第1データに対応するユーザU1は、第2位置情報B1を含む第2データに対応するユーザU1、及び、第2位置情報B2を含む第2データに対応するユーザU1のいずれとも異なる者であると判定する。
【0080】
測位サーバ4は、紐付部423による紐付けの結果を出力する。上記の例では、第1位置情報A2を含む第1データと、第2位置情報B2を含む第2データとを紐付けて出力する。例えば、
図4のように第1位置情報A2及び第2位置情報B2をディスプレイに表示し、さらに、第1位置情報A2及び第2位置情報B2の両方に、第1データに含まれるユーザU1の識別情報を表すラベルを表示する。これにより、ディスプレイを見た管理者は、第1位置情報A2及び第2位置情報B2が同じユーザU1の位置情報であると知ることができる。なお、第1位置情報A2及び第2位置情報B2のうち、第2位置情報B2のみが表示されてもよい。
【0081】
第2位置情報B2を生成する第2測位部422の測位精度は、第1位置情報A2を生成する第1測位部421の測位精度よりも高い。そのため、管理者は、第2位置情報B2を参照することで、第1位置情報A2を参照する場合よりも、ユーザU1の正確な位置を知ることができる。また、紐付部423により第2位置情報B2にユーザU1の識別情報が紐付けられるので、管理者は、第2位置情報B2に対応するユーザU1を識別することができる。
【0082】
複数の区画D1~D16の各々の寸法は、予め決定されており、測位サーバ4の記憶部43に記憶されている。複数の区画D1~D16の各々の寸法は、第1位置情報の測位精度に基づいて決定されることが好ましい。例えば、第1位置情報の最大誤差と、各区画の最大長さと、の差の絶対値が所定値以下となるように、各区画の寸法が決定されることが好ましい。この構成によれば、各区画の寸法が第1位置情報の測位精度と比較して十分大きい場合と比較して、第1データと第2データとの紐付けを正確に行える可能性が高まる。また、各区画の寸法が第1位置情報の測位精度と比較して十分小さい場合と比較して、区画の個数を削減できる。
【0083】
(実施形態の変形例)
以下、実施形態の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0084】
撮像装置5は、撮像部55として、ステレオカメラを備えていてもよい。第2測位部422は、ステレオカメラの2つのレンズの間の視差の大きさに基づいて、撮像部55からユーザU1までの距離を算出してもよい。
【0085】
スキャナ3及び撮像装置5は、天井に設置されることに限定されず、例えば、建物の壁に設置されてもよいし、建物以外の部材に設置されてもよい。
【0086】
第2測位部422は、撮像装置5で生成された画像データに対して画像認識処理(例えば、顔認識処理)をすることにより、画像データに写ったユーザU1を識別してもよい。
【0087】
紐付部423は、第1データと第2データとを紐付ける処理を、ユーザU1が移動している場合にのみ行ってもよい。これにより、処理量を低減できる。紐付部423は、例えば、第1データに基づいて、ユーザU1がそれまで滞在していた区画から別の区画へ移動したと判断した場合に、第1データと第2データとを紐付ける処理を開始してもよい。
【0088】
複数の区画D1~D16のうち少なくとも1つが、他の区画とは異なる寸法であってもよい。
【0089】
紐付部423は、第1データと第2データとの紐付けを決定した後、解除条件を満たすと紐付けを解消してもよい。解除条件は、第1データと第2データとがもともと紐付けられていないときに紐付部423が「第1データと第2データと紐付けない」ことを決定する場合の条件よりも厳しい条件であってもよい。解除条件は、例えば、上記[表2]に基づいて求められる一致率の合計が所定の閾値よりも小さいという条件であってもよい。
【0090】
本開示における位置検知システム1は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における位置検知システム1としての機能の少なくとも一部が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0091】
また、位置検知システム1における複数の機能が、1つの装置に集約されていることは位置検知システム1に必須の構成ではなく、位置検知システム1の構成要素は、複数の装置に分散して設けられていてもよい。さらに、位置検知システム1の少なくとも一部の機能、例えば、測位サーバ4の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0092】
反対に、実施形態において、複数の装置に分散されている位置検知システム1の少なくとも一部の機能が、1つの装置に集約されていてもよい。
【0093】
本開示での2値の比較において、「以上」としているところは、2値が等しい場合、及び2値の一方が他方を超えている場合との両方を含む。ただし、これに限らず、ここでいう「以上」は、2値の一方が他方を超えている場合のみを含む「より大きい」と同義であってもよい。つまり、2値が等しい場合を含むか否かは、基準値等の設定次第で任意に変更できるので、「以上」か「より大きい」かに技術上の差異はない。同様に、「以下」においても「未満」と同義であってもよい。
【0094】
(まとめ)
以上説明した実施形態等から、以下の態様が開示されている。
【0095】
第1の態様に係る位置検知システム(1)は、第1測位部(421)と、第2測位部(422)と、紐付部(423)と、を備える。第1測位部(421)は、ユーザ(U1)が所持するビーコン端末(2)から送信されスキャナ(3)で受信された、ユーザ(U1)の識別情報を含むビーコン信号に基づいて、第1データを生成する。第1データは、ユーザ(U1)の識別情報とユーザ(U1)の第1位置情報とを含む。第2測位部(422)は、ユーザ(U1)が滞在する空間を撮影し画像データを生成する撮像装置(5)で生成された画像データに基づいて、第2データを生成する。第2データは、ユーザ(U1)の第2位置情報を含む。紐付部(423)は、第1データと第2データとを紐付ける。紐付部(423)は、ユーザ(U1)が滞在する空間を分割した複数の区画(D1~D16)のうち、第1位置情報に対応する区画を第1データに対応する第1対応区画とし、第2位置情報に対応する区画を第2データに対応する第2対応区画とする。紐付部(423)は、第1対応区画と第2対応区画との一致率に基づいて第1データと第2データとの紐付けを決定する。
【0096】
上記の構成によれば、ユーザ(U1)の識別情報を含む第1データを、第2データと紐付けることができる。よって、第2データがユーザ(U1)の識別情報を含まない場合であっても、第2データをユーザ(U1)の識別情報と紐付けることができる。
【0097】
第1データは、ビーコン信号に基づく第1位置情報を含み、第2データは、撮像装置(5)で撮影された画像データに基づく第2位置情報を含む。多くの場合、第1位置情報よりも第2位置情報の方が、ユーザ(U1)の位置を正確に表している。第2データをユーザ(U1)の識別情報と紐付けることで、撮像装置の測位精度を用いた測位を行いつつ、測位対象のユーザ(U1)を識別することができる。
【0098】
また、第2の態様に係る位置検知システム(1)では、第1の態様において、紐付部(423)は、所定時間に亘る第1対応区画と第2対応区画との一致率に基づいて第1データと第2データとの紐付けを決定する。
【0099】
上記の構成によれば、紐付けの精度を向上させることができる。
【0100】
また、第3の態様に係る位置検知システム(1)では、第1又は2の態様において、ユーザ(U1)は複数存在する。複数のユーザ(U1)の各々は、ビーコン端末(2)を所持する。第1測位部(421)は、複数のユーザ(U1)に対応する複数の第1データを生成する。第2測位部(422)は、複数のユーザ(U1)に対応する複数の第2データを生成する。紐付部(423)は、複数の第1データの中から選択された対象第1データを、複数の第2データのうち所定条件を満たす第2データと紐付ける。
【0101】
上記の構成によれば、複数のユーザ(U1)がいる場合にも紐付けを実現できる。
【0102】
また、第4の態様に係る位置検知システム(1)では、第3の態様において、所定条件は、第1対応区画と第2対応区画との一致率が最も大きいという条件を含む。
【0103】
上記の構成によれば、対象第1データに対応するユーザ(U1)と、対象第1データに紐づけられる第2データに対応するユーザ(U1)とが一致する可能性を高められる。
【0104】
また、第5の態様に係る位置検知システム(1)では、第4の態様において、所定条件は、第1対応区画と第2対応区画との一致率が閾値よりも大きいという条件を更に含む。
【0105】
上記の構成によれば、対象第1データに対応するユーザ(U1)と、対象第1データに紐づけられる第2データに対応するユーザ(U1)とが一致する可能性を高められる。
【0106】
また、第6の態様に係る位置検知システム(1)では、第1~5の態様のいずれか1つにおいて、複数の区画(D1~D16)の各々の寸法は、第1位置情報の測位精度に基づいて決定される。
【0107】
上記の構成によれば、区画の寸法が第1位置情報の測位精度と比較して十分大きい場合と比較して、第1データと第2データとの紐付けを正確に行える可能性が高まる。また、区画の寸法が第1位置情報の測位精度と比較して十分小さい場合と比較して、区画の個数を削減できる。
【0108】
また、第7の態様に係る位置検知システム(1)は、第1~6の態様のいずれか1つにおいて、スキャナ(3)を更に備える。
【0109】
また、第8の態様に係る位置検知システム(1)は、第1~7の態様のいずれか1つにおいて、ビーコン端末(2)を更に備える。
【0110】
また、第9の態様に係る位置検知システム(1)は、第1~8の態様のいずれか1つにおいて、撮像装置(5)を更に備える。
【0111】
第1の態様以外の構成については、位置検知システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0112】
また、第10の態様に係る位置検知方法は、第1測位工程と、第2測位工程と、紐付工程と、を含む。第1測位工程では、ユーザ(U1)が所持するビーコン端末(2)から送信されスキャナ(3)で受信された、ユーザ(U1)の識別情報を含むビーコン信号に基づいて、第1データを生成する。第1データは、ユーザ(U1)の識別情報とユーザ(U1)の第1位置情報とを含む。第2測位工程では、ユーザ(U1)が滞在する空間を撮影し画像データを生成する撮像装置(5)で生成された画像データに基づいて、第2データを生成する。第2データは、ユーザ(U1)の第2位置情報を含む。紐付工程では、第1データと第2データとを紐付ける。紐付工程では、ユーザ(U1)が滞在する空間を分割した複数の区画(D1~D16)のうち、第1位置情報に対応する区画を第1データに対応する第1対応区画とし、第2位置情報に対応する区画を第2データに対応する第2対応区画とする。紐付工程では、第1対応区画と第2対応区画との一致率に基づいて第1データと第2データとの紐付けを決定する。
【0113】
上記の構成によれば、撮像装置の測位精度を用いた測位を行いつつ、測位対象のユーザ(U1)を識別することができる。
【0114】
また、第11の態様に係るプログラムは、第10の態様に係る位置検知方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0115】
上記の構成によれば、撮像装置の測位精度を用いた測位を行いつつ、測位対象のユーザ(U1)を識別することができる。
【0116】
上記態様に限らず、実施形態に係る位置検知システム(1)の種々の構成(変形例を含む)は、位置検知方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体にて具現化可能である。
【符号の説明】
【0117】
1 位置検知システム
2 ビーコン端末
3 スキャナ
5 撮像装置
421 第1測位部
422 第2測位部
423 紐付部
D1~D16 区画
U1 ユーザ