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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】電解コンデンサ
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/035 20060101AFI20241004BHJP
   H01G 9/028 20060101ALI20241004BHJP
   H01G 9/145 20060101ALI20241004BHJP
   H01G 9/15 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H01G9/035
H01G9/028 E
H01G9/145
H01G9/15 100
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019561628
(86)(22)【出願日】2018-12-21
(86)【国際出願番号】 JP2018047167
(87)【国際公開番号】W WO2019131478
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-12-03
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-17
(31)【優先権主張番号】P 2017254980
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】椿 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 佳津代
【合議体】
【審判長】岩間 直純
【審判官】篠原 功一
【審判官】畑中 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-69357(JP,A)
【文献】国際公開第2011/099261(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に誘電体層が形成された陽極体と、前記誘電体層と接触しているとともに導電性高分子を含む固体電解質層と、室温で液体のイオン伝導体と、を備え、
前記イオン伝導体は、溶媒と、酸成分と、塩基成分と、を含み、
前記イオン伝導体中の前記溶媒の含有量は、10質量%超60質量%以下であり、
前記イオン伝導体中の前記酸成分と前記塩基成分との合計含有量は、40質量%以上90質量%未満であり、
前記イオン伝導体の融点は、-10℃以下であり、
前記溶媒が、アルキレングリコールおよびポリアルキレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種のグリコール化合物を含み、
前記溶媒に占める前記グリコール化合物の含有割合が、40質量%以上であり、
前記酸成分は、カルボン酸を含み、
前記塩基成分は、アミジン化合物を含む、電解コンデンサ。
【請求項2】
前記イオン伝導体は、モル比で、前記塩基成分よりも多くの前記酸成分を含み、
前記イオン伝導体のpHが、4.5以下である、請求項1に記載の電解コンデンサ。
【請求項3】
前記イオン伝導体中の前記塩基成分の含有量は、10質量%以上であり、
前記イオン伝導体中の前記酸成分の含有量は、30質量%以上である、請求項1または2に記載の電解コンデンサ。
【請求項4】
表面に誘電体層が形成された陽極体と、前記誘電体層と接触しているとともに導電性高分子を含む固体電解質層と、室温で液体のイオン伝導体と、を備え、
前記イオン伝導体は、溶媒と、酸成分と、塩基成分と、を含み、
前記イオン伝導体中の前記溶媒の含有量は、10質量%超60質量%以下であり、
前記イオン伝導体中の前記酸成分と前記塩基成分との合計含有量は、40質量%以上90質量%未満であり、
前記イオン伝導体の融点は、-10℃以下であり、
前記溶媒が、アルキレングリコールおよびポリアルキレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種のグリコール化合物を含み、
前記溶媒に占める前記グリコール化合物の含有割合が、40質量%以上であり、
前記酸成分は、スルホン酸を含み、
前記塩基成分は、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンおよびアミジン化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含む、電解コンデンサ。
【請求項5】
前記イオン伝導体は、モル比で、前記塩基成分と同じ、あるいは、前記塩基成分よりも多くの前記酸成分を含み、
前記イオン伝導体のpHが、7.0未満である、請求項に記載の電解コンデンサ。
【請求項6】
前記溶媒の融点は、-10℃以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
【請求項7】
前記溶媒の融点は、-50℃以下である、請求項に記載の電解コンデンサ。
【請求項8】
前記アルキレングリコールは、プロピレングリコールおよびブチレングリコールの少なくとも一方を含む、請求項1または4に記載の電解コンデンサ。
【請求項9】
前記ポリアルキレングリコールは、エチレングリコールおよびプロピレングリコールの共重合体を含む、請求項1または4に記載の電解コンデンサ。
【請求項10】
前記イオン伝導体は、水を含み、
前記イオン伝導体中の前記水の含有量は、1質量%超10質量%未満である、請求項1~のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
【請求項11】
前記イオン伝導体中の前記溶媒の含有量は、40質量%以上の場合を除き、
前記イオン伝導体中の前記酸成分と前記塩基成分との合計含有量は、60質量%以下の場合を除く、請求項1~10のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性高分子を含む固体電解質層を備える電解コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
小型かつ大容量で等価直列抵抗(ESR)の低いコンデンサとして、誘電体層を形成した陽極体と、誘電体層の少なくとも一部を覆うように形成された固体電解質層とを具備する、電解コンデンサが有望視されている。
特許文献1では、上記の電解コンデンサの耐電圧性を高めるために、電解質として有機酸オニウム塩を用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-22938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、有機酸オニウム塩を溶媒を含めた電解液として用いる場合、溶媒量を電解液の10質量%以下の少量とすることが提案されている。
しかし、特許文献1に記載の電解液は、溶媒量が少ないため、低温環境下において電解液が凝固し、それにより電解コンデンサの低温特性が低下することがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記に鑑み、本発明の一局面に係る電解コンデンサは、表面に誘電体層が形成された陽極体と、前記誘電体層と接触しているとともに導電性高分子を含む固体電解質層と、室温で液のイオン伝導体と、を備える。前記イオン伝導体は、溶媒と、酸成分と、塩基成分と、を含む。前記イオン伝導体中の前記溶媒の含有量は、10質量%超60質量%以下であり、前記イオン伝導体中の前記酸成分と前記塩基成分との合計含有量は、40質量%以上90質量%未満である。前記イオン伝導体の融点は、-10℃以下である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、低温特性に優れた電解コンデンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係る電解コンデンサの断面模式図である。
図2】同実施形態に係るコンデンサ素子の構成を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る電解コンデンサは、表面に誘電体層が形成された陽極体と、誘電体層と接触しているとともに導電性高分子を含む固体電解質層と、室温で液のイオン伝導体と、を備える。イオン伝導体は、溶媒と、酸成分と、塩基成分と、を含む。イオン伝導体中の溶媒の含有量は、10質量%超60質量%以下であり、イオン伝導体中の酸成分と塩基成分との合計含有量は、40質量%以上90質量%未満である。イオン伝導体の融点は、-10℃以下である。
【0009】
イオン伝導体中の溶媒の含有量が10質量%超(イオン伝導体中の酸成分と塩基成分との合計含有量が90質量%未満)であり、イオン伝導体の融点が-10℃以下である場合、低温環境下でのイオン伝導体の凝固が抑制され、電解コンデンサの低温特性が高められ
る。例えば、低温環境下でのイオン伝導体の凝固による容量の低下や誘電体層の修復性低下が抑制される。また、低温環境下(例えば-55℃)における容量出現率が高められる。イオン伝導体の融点は、好ましくは-40℃以下であり、より好ましくは-55℃以下である。
電解コンデンサがイオン伝導体を備えることにより、誘電体層の修復性が改善され、耐電圧性が向上する。
【0010】
イオン伝導体中の酸成分と塩基成分との合計含有量が40質量%以上(イオン伝導体中の溶媒の含有量が60質量%以下)である場合、解離するアニオン(酸成分に由来するアニオン)の数が増加するため、誘電体層の修復性の向上効果が十分に得られる。
【0011】
低温特性の向上の観点から、イオン伝導体中の溶媒の含有量は、好ましくは11質量%以上60質量%以下であり、より好ましくは20質量%以上60質量%以下であり、更に好ましくは40質量%以上60質量%以下である。また、イオン伝導体中の酸成分と塩基成分との合計含有量は、好ましくは40質量%以上89質量%以下であり、より好ましくは40質量%以上80質量%以下であり、更に好ましくは40質量%以上60質量%以下である。
【0012】
(酸成分および塩基成分)
酸成分は、カルボン酸を含み、塩基成分は、アミジン化合物を含むことが好ましい。また、酸成分は、スルホン酸を含み、塩基成分は、アミン化合物(第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン)およびアミジン化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0013】
上記の酸成分および塩基成分を含む塩は、中和塩の状態において室温(24℃)下で液体として存在し得るものであり、イオン伝導体中に高濃度で含まれる場合でも低温環境下でも析出しにくい。よって、イオン伝導体の凝固が更に抑制され、電解コンデンサの低温特性が更に向上する。
【0014】
溶媒が封止部材を透過して電解コンデンサ外部へ蒸散することにより減少しても、上記の酸成分および塩基成分を含む塩が液体として存在し得るため、固体電解質はイオン伝導体で十分に覆われる。よって、溶媒の減少に伴い固体電解質層(導電性高分子)が水分や酸素と接触することによる固体電解質層の劣化、およびそれによる電解コンデンサの寿命低下が、抑制される。電解コンデンサ外部からの熱の付与、もしくは、リプル電流による発熱に伴い溶媒が減少する場合でも、上記の酸成分および塩基成分の存在により固体電解質層の劣化が抑制される。よって、耐熱性やリプル電流に対する耐性も高められる。
【0015】
酸成分がカルボン酸を含み、塩基成分がアミジン化合物を含む場合などにおいて、イオン伝導体は、モル比で、塩基成分よりも多くの酸成分を含み、イオン伝導体のpHが、4.5以下であることが好ましい。この場合、固体電解質層に含まれるドーパントの導電性高分子からの脱ドープが抑制され、ドーパントの脱ドープによるESRの増大が抑制される。
【0016】
酸成分がカルボン酸を含み、塩基成分がアミジン化合物を含む場合などにおいて、イオン伝導体中の塩基成分の含有量は、10質量%以上であり、イオン伝導体中の酸成分の含有量は、30質量%以上であることが好ましい。この場合、固体電解質層に含まれるドーパントの導電性高分子からの脱ドープが抑制され、ドーパントの脱ドープによるESRの増大が抑制される。
【0017】
酸成分がスルホン酸を含み、塩基成分がアミン化合物およびアミジン化合物の少なくと
も一方を含む場合、イオン伝導体は、モル比で、塩基成分と同じ、あるいは、塩基成分よりも多くの酸成分を含み、イオン伝導体のpHが、7.0未満であることが好ましい。この場合、固体電解質層に含まれるドーパントの導電性高分子からの脱ドープが抑制され、ドーパントの脱ドープによるESRの増大が抑制される。
【0018】
カルボン酸は、カルボキシル基を2個以上有する芳香族カルボン酸(芳香族ジカルボン酸)を含むことが好ましい。芳香族カルボン酸としては、例えば、フタル酸(オルト体)、イソフタル酸(メタ体)、テレフタル酸(パラ体)、マレイン酸、安息香酸、サリチル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸が挙げられる。中でも、フタル酸(オルト体)、マレイン酸などの芳香族ジカルボン酸がより好ましい。芳香族ジカルボン酸のカルボキシル基は、安定であり、副反応を進行させにくい。よって、長期間にわたって、導電性高分子を安定化させる効果を発現し、電解コンデンサの長寿命化に有利である。誘電体層の修復性および熱的安定性の観点から、フタル酸(オルト体)が更に好ましい。
また、カルボン酸は、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸でもよい。
【0019】
スルホン酸としては、例えば、ベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸(例えば、トルエンスルホン酸)、ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸(例えば、エチルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸)などの芳香族スルホン酸、またはアルキルスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸)などの脂肪族スルホン酸が挙げられる。中でも、誘電体層の修復性、分子構造の熱的安定性の観点から、ナフタレンスルホン酸、1,4-ナフタレンジスルホン酸が好ましい。スルホン酸がアルキル基を有する場合、アルキル基の炭素数は1以上10以下が好ましい。
【0020】
カルボン酸は、リフロー時などの非常に高い温度環境下で熱分解して炭酸ガスを発生し、それによりコンデンサの封口部が膨れるおそれがあった。一方、スルホン酸では、上記のような炭酸ガスは発生しない。この点で、スルホン酸は、リフロー時などの非常に高い温度環境下において有利である。
【0021】
アミン化合物(第1~3級アミン)としては、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、スペルミジン、スペルミン、アマンタジン、アニリン、フェネチルアミン、トルイジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、イミダゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、4-ジメチルアミノピリジンが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、第3級アミンが好ましく、特にトリエチルアミン、モノエチルジメチルアミンが好ましい。
【0022】
アミジン化合物は、アルキル置換アミジン基を有する化合物であり、例えば、環状アミジン化合物またはその4級化物(アミジニウム化合物)が挙げられる。具体的には、1,2,3,4-テトラメチルイミダゾリニウム、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリニウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムなどが挙げられる。
【0023】
(溶媒)
電解コンデンサの低温特性向上の観点から、溶媒の融点は-10℃以下であることが好ましい。この場合、イオン伝導体の融点を-10℃以下に調整し易い。
【0024】
溶媒の融点を-10℃以下に調整し易いことから、溶媒は、アルキレングリコールおよびポリアルキレングリコールの少なくとも一方のグリコール化合物を含むことが好ましい。グリコール化合物は、電解コンデンサの封口部材を透過しにくいため、溶媒の電解コンデンサ外部への蒸散が抑制され、溶媒の蒸散に伴う固体電解質層(導電性高分子)の劣化
およびそれによる電解コンデンサの寿命低下が抑制される。リフローなどの電解コンデンサ外部からの熱の付与、もしくは、リプル電流による発熱の時でも、溶媒の電解コンデンサ外部への蒸散が抑制される。よって、耐熱性およびリプル電流に対する耐性も高められる。
【0025】
封口部材の透過抑制の観点から、アルキレングリコールの炭素数は5以下であることが好ましい。
電解コンデンサの低温特性の向上および溶媒の蒸散抑制の観点から、アルキレングリコールは、プロピレングリコール(融点-50℃以下)およびブチレングリコール(融点-50℃以下)の少なくとも一方を含むことが好ましい。また、アルキレングリコールは、エチレングリコール(融点-12.9℃)などを含んでもよい。
【0026】
電解コンデンサの低温特性の向上および溶媒の蒸散抑制の観点から、ポリアルキレングリコールは、エチレングリコール(EG)およびプロピレングリコール(PG)の共重合体を含むことが好ましい。エチレングリコールおよびプロピレングリコールの共重合体の数平均分子量は、例えば、88以上5000以下である。上記の共重合体を構成するモノマーとして用いられるエチレングリコールとプロピレングリコールとの質量比は、エチレングリコール100質量部に対してプロピレングリコール10質量部以上10000質量部以下が好ましい。
【0027】
また、ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどを含んでもよい。ポリエチレングリコールの数平均分子量は、例えば、300以下である。ポリプロピレングリコールの数平均分子量は、例えば、102以上5000以下である。
【0028】
電解コンデンサの低温特性の向上および溶媒の蒸散抑制の観点から、上記のグリコール化合物を主溶媒として用いることが好ましい。溶媒に占めるグリコール化合物の含有割合は、好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは40質量%以上である。
【0029】
溶媒は、グリコール化合物以外に、スルホン化合物、ラクトン化合物、カーボネート化合物などの他の成分を含んでもよい。スルホン化合物としては、スルホラン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどを用いることができる。ラクトン化合物としては、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトンなどを用いることができる。カーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)などを用いることができる。
【0030】
イオン伝導体は、水を1質量%超10質量%未満含んでもよい。イオン伝導体中の水の含有量が1質量%超である場合、誘電体層の修復性が確保される。イオン伝導体中の水の含有量が10質量%未満である場合、陽極体の腐食などが抑制される。イオン伝導体中の水の含有量は、より好ましくは1質量%超5質量%以下である。
【0031】
固体電解質層に含まれる導電性高分子は、π共役系導電性高分子であり、ポリピロール、ポリチオフェンおよびポリアニリンなどが好ましい。なお、本明細書では、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンなどは、それぞれ、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンなどを基本骨格とする高分子を意味する。したがって、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンなどには、それぞれの誘導体も含まれ得る。例えば、ポリチオフェンには、その誘導体であるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)などが含まれる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよく、2種以上のモノマーの共重合体でもよい。導電性高分子の重量平均分子量は、特に限
定されないが、例えば1000~100000である。固体電解質層は、更にドーパントを含んでもよい。
【0032】
以下、本発明を実施形態に基づいて、より具体的に説明する。ただし、以下の実施形態は本発明を限定するものではない。
【0033】
図1は、本実施形態に係る電解コンデンサの断面模式図であり、図2は、同電解コンデンサに係るコンデンサ素子の一部を展開した概略図である。
【0034】
電解コンデンサは、例えば、コンデンサ素子10と、コンデンサ素子10を収容する有底ケース11と、有底ケース11の開口を塞ぐ封止部材12と、封止部材12を覆う座板13と、封止部材12から導出され、座板13を貫通するリード線14A、14Bと、リード線とコンデンサ素子10の電極とを接続するリードタブ15A、15Bと、イオン伝導体(図示せず)とを備える。有底ケース11の開口端近傍は、内側に絞り加工されており、開口端は封止部材12にかしめるようにカール加工されている。
【0035】
コンデンサ素子10は、図2に示すような巻回体から作製される。巻回体は、リードタブ15Aと接続された陽極体21と、リードタブ15Bと接続された陰極体22と、セパレータ23とを備える。巻回体は、陽極体21と陰極体22との間に固体電解質層が形成されていない半製品である。
【0036】
陽極体21および陰極体22は、セパレータ23を介して巻回されている。巻回体の最外周は、巻止めテープ24により固定される。なお、図2は、巻回体の最外周をめる前の、一部が展開された状態を示している。セパレータ23の材料は、例えば、セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ビニロン、アラミド繊維などを主成分とする不織布を用いることができる。
【0037】
陽極体21は、表面が凹凸を有するように粗面化された金属箔を具備し、凹凸を有する金属箔上に誘電体層が形成されている。誘電体層の表面の少なくとも一部に、導電性高分子を付着させることにより、固体電解質層が形成される。固体電解質層は、陰極体22の表面および/またはセパレータ23の表面の少なくとも一部を被覆していてもよい。固体電解質層が形成されたコンデンサ素子10は、電解液とともに有底ケース11に収容される。
【0038】
以下、本実施形態に係る電解コンデンサの製造方法の一例について、工程ごとに説明する。
(i)誘電体層を有する陽極体21を準備する工程
まず、陽極体21の原料である金属箔を準備する。金属の種類は特に限定されないが、誘電体層の形成が容易である点から、アルミニウム、タンタル、ニオブなどの弁作用金属または弁作用金属を含む合金を用いることが好ましい。
【0039】
次に、金属箔の表面を粗面化する。粗面化により、金属箔の表面に、複数の凹凸が形成される。粗面化は、金属箔をエッチング処理することにより行うことが好ましい。エッチング処理は、例えば直流電解法や交流電解法により行えばよい。
【0040】
次に、粗面化された金属箔の表面に誘電体層を形成する。形成方法は特に限定されないが、金属箔を化成処理することにより形成することができる。化成処理では、例えば、金属箔をアジピン酸アンモニウム溶液などの化成液に浸漬し、熱処理する。また、金属箔を化成液に浸漬し、電圧を印加してもよい。
【0041】
通常、量産性の観点から、大判の弁作用金属などの箔(金属箔)に対して、粗面化処理
および化成処理が行われる。その場合、処理後の箔を所望の大きさに裁断することによって、陽極体21が準備される。
【0042】
(ii)陰極体22を準備する工程
陰極体22には、陽極体と同様、金属箔を用いることができる。金属の種類は特に限定されないが、アルミニウム、タンタル、ニオブなどの弁作用金属または弁作用金属を含む合金を用いることが好ましい。必要に応じて、陰極体22の表面を粗面化してもよい。
【0043】
(iii)巻回体の作製
次に、陽極体21および陰極体22を用いて巻回体を作製する。
まず、陽極体21と陰極体22とを、セパレータ23を介して巻回する。このとき、リードタブ15A、15Bを巻き込みながら巻回することにより、図2に示すように、リードタブ15A、15Bを巻回体から植立させることができる。
【0044】
セパレータ23の材料は、例えば、天然セルロース、合成セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ビニロン、アラミド繊維などを主成分とする不織布を用いることができる。
【0045】
リードタブ15A、15Bの材料も特に限定されず、導電性材料であればよい。リードタブ15A、15Bの各々に接続されるリード線14A、14Bの材料についても、特に限定されず、導電性材料であればよい。
【0046】
次に、巻回された陽極体21、陰極体22およびセパレータ23のうち、最外層に位置する陰極体22の外側表面に、巻止めテープ24を配置し、陰極体22の端部を巻止めテープ24で固定する。なお、陽極体21を大判の金属箔を裁断することによって準備した場合には、陽極体21の裁断面に誘電体層を設けるために、巻回体に対し、更に化成処理を行ってもよい。
【0047】
(iv)コンデンサ素子10を形成する工程
次に、高分子分散体を、誘電体層に含浸させ、誘電体層の少なくとも一部を覆う膜を形成する。高分子分散体は、液状成分と、液状成分に分散する導電性高分子とを含む。高分子分散体は、液状成分に導電性高分子が溶解した溶液でもよく、液状成分に導電性高分子の粒子が分散した分散液でもよい。次に、乾燥により、形成された膜から液状成分を揮発させることにより、誘電体層の少なくとも一部を覆う緻密な固体電解質層が形成される。高分子分散体は、液状成分中に均一に分布しているため、均一な固体電解質層を形成しやすい。これにより、コンデンサ素子10が得られる。
【0048】
高分子分散体は、例えば、液状成分に導電性高分子を分散させる方法、液状成分中で前駆体モノマーを重合させ、導電性高分子の粒子を生成させる方法などにより得ることができる。好ましい高分子分散体としては、例えば、ポリスチレンスルホン酸(PSS)がドープされたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、すなわちPEDOT/PSSが挙げられる。
【0049】
液状成分は、水でもよく、水と非水溶媒との混合物でもよく、非水溶媒でもよい。非水溶媒は、特に限定されないが、例えば、プロトン性溶媒、非プロトン性溶媒を用いることができる。プロトン性溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類、ホルムアルデヒド、1,4-ジオキサンなどのエーテル類などが例示できる。非プロトン性溶媒としては、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどのアミド類や、酢酸メチルなどのエステル類、メチルエチルケトンなどのケトン類な
どが例示できる。
【0050】
高分子分散体を誘電体層の表面に付与する方法としては、例えば、容器に収容された高分子分散体に巻回体を浸漬させる方法が簡易で好ましい。浸漬時間は、巻回体のサイズにもよるが、例えば1秒間~5時間、好ましくは1分間~30分間である。また、含浸は、減圧下、例えば10~100kPa、好ましくは40~100kPaの雰囲気で行うことが好ましい。高分子分散体から巻回体を引上げた後の乾燥は、例えば50~300℃で行うことが好ましく、100~200℃で行うことがより好ましい。
【0051】
高分子分散体を誘電体層の表面に付与する工程と、巻回体を乾燥させる工程とは、2回以上繰り返してもよい。これらの工程を複数回行うことにより、誘電体層に対する固体電解質層の被覆率を高めることができる。このとき、誘電体層の表面だけでなく、陰極体22およびセパレータ23の表面にも固体電解質層が形成されてもよい。
【0052】
以上により、陽極体21と陰極体22との間に固体電解質層が形成され、コンデンサ素子10が作製される。なお、誘電体層の表面に形成された固体電解質層は、事実上の陰極材料として機能する。
【0053】
(v)イオン伝導体を調製し、コンデンサ素子10にイオン伝導体を含浸させる工程
次に、酸成分および塩基成分を溶媒に溶解させて、イオン伝導体を調製した後、コンデンサ素子10に、イオン伝導体を含浸させる。コンデンサ素子10にイオン伝導体を含浸させる方法は特に限定されない。例えば、容器に収容されたイオン伝導体にコンデンサ素子10を浸漬させる方法が簡易で好ましい。浸漬時間は、コンデンサ素子10のサイズにもよるが、例えば1秒間~5分間である。含浸は、減圧下、例えば10~100kPa、好ましくは40~100kPaの雰囲気で行うことが好ましい。
【0054】
(vi)コンデンサ素子を封止する工程
次に、コンデンサ素子10を封止する。具体的には、まず、リード線14A、14Bが有底ケース11の開口する上面に位置するように、コンデンサ素子10を有底ケース11に収納する。有底ケース11の材料としては、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、鉄、真鍮などの金属あるいはこれらの合金を用いることができる。
【0055】
次に、リード線14A、14Bが貫通するように形成された封止部材12を、コンデンサ素子10の上方に配置し、コンデンサ素子10を有底ケース11内に封止する。次に、有底ケース11の開口端近傍に、横絞り加工を施し、開口端を封止部材12に加締めてカール加工する。そして、カール部分に座板13を配置することによって、図1に示すような電解コンデンサが完成する。その後、定格電圧を印加しながら、エージング処理を行ってもよい。
【0056】
上記の実施形態では、巻回型の電解コンデンサについて説明したが、本発明の適用範囲は上記に限定されず、他の電解コンデンサ、例えば、陽極体として金属の焼結体を用いるチップ型の電解コンデンサや、金属板を陽極体として用いる積層型の電解コンデンサにも適用することができる。
【実施例
【0057】
以下、実施例に基づいて、本発明をより詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0058】
《電解コンデンサA1》
定格電圧25V、定格静電容量330μFの巻回型の電解コンデンサ(Φ(直径)10.0mm×L(長さ)10.0mm)を作製した。以下に、電解コンデンサの具体的な製造方法について説明する。
【0059】
(陽極体の準備)
厚さ105μmのアルミニウム箔にエッチング処理を行い、アルミニウム箔の表面を粗面化した。その後、アルミニウム箔の表面に、化成処理により、誘電体層を形成した。化成処理は、アジピン酸アンモニウム溶液にアルミニウム箔を浸漬し、これに45Vの電圧を印加することにより行った。その後、アルミニウム箔を、5.3mm×(横)180mmとなるように裁断して、陽極体を準備した。
【0060】
(陰極体の準備)
厚さ50μmのアルミニウム箔にエッチング処理を行い、アルミニウム箔の表面を粗面化した。その後、アルミニウム箔を、5.3mm×(横)180mmとなるように裁断して、陰極体を準備した。
【0061】
(巻回体の作製)
陽極体および陰極体に陽極リードタブおよび陰極リードタブを接続し、陽極体と陰極体とを、リードタブを巻き込みながら、セパレータを介して巻回した。巻回体から突出する各リードタブの端部には、陽極リード線および陰極リード線をそれぞれ接続した。そして、作製された巻回体に対して、再度化成処理を行い、陽極体の切断された端部に誘電体層を形成した。次に、巻回体の外側表面の端部を巻止めテープで固定して巻回体を作製した。
【0062】
(高分子分散体の調製)
3,4-エチレンジオキシチオフェンと、高分子ドーパントであるポリスチレンスルホン酸(PSS、重量平均分子量10万)とを、イオン交換水(液状成分)に溶かし、混合溶液を調製した。混合溶液を撹拌しながら、イオン交換水に溶かした硫酸鉄(III)(酸
化剤)を添加し、重合反応を行った。反応後、得られた反応液を透析し、未反応モノマーおよび過剰な酸化剤を除去し、約5質量%のPSSがドープされたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT/PSS)を含む高分子分散体を得た。
【0063】
(固体電解質層の形成)
減圧雰囲気(40kPa)中で、所定容器に収容された高分子分散体に巻回体を5分間浸漬し、その後、高分子分散体から巻回体を引き上げた。次に、高分子分散体を含浸した巻回体を、150℃の乾燥炉内で20分間乾燥させ、誘電体層の少なくとも一部を被覆する固体電解質層を形成し、コンデンサ素子を得た。
【0064】
(イオン伝導体の調製)
溶媒と、酸成分と、塩基成分とを含むイオン伝導体を調製した。溶媒にはプロピレングリコールを用いた。酸成分にはフタル酸を用い、塩基成分には1,2,3,4-テトラメチルイミダゾリニウムを用いた。イオン伝導体中の溶媒の含有量は11質量%とし、イオン伝導体中の酸成分と塩基成分との合計含有量は89質量%とした。塩基成分に対する酸成分のモル比:(酸成分/塩基成分)は、2.5とした。なお、酸成分の少なくとも一部は、塩基成分との塩として添加した。イオン伝導体のpHは4.5であり、イオン伝導体の融点は-10℃以下であった。
【0065】
(イオン伝導体の含浸)
減圧雰囲気(40kPa)中で、イオン伝導体にコンデンサ素子を5分間浸漬し、コンデンサ素子にイオン伝導体を含浸させた。
【0066】
(コンデンサ素子の封止)
イオン伝導体を含浸させたコンデンサ素子を封止して、電解コンデンサA1を完成させた。具体的には、有底ケースの開口側にリード線が位置するようにコンデンサ素子を有底ケースに収納し、リード線が貫通するように形成された封止部材(ゴム成分としてブチルゴムを含む弾性材料)をコンデンサ素子の上方に配置して、コンデンサ素子を有底ケース内に封止した。そして、有底ケースの開口端近傍に絞り加工を施し、更に開口端をカール加工し、カール部分に座板を配置することによって、図1に示すような電解コンデンサA1を完成させた。その後、39Vの電圧を印加しながら、100℃で2時間エージング処理を行った。
【0067】
[評価]
(a)初期の低温容量出現率の測定
固体電解質層を形成した後かつイオン伝導体を含浸させる前のコンデンサ素子について、15質量%のアジピン酸アンモニウム水溶液中において30℃の環境下で静電容量C1を測定した。
エージング処理した後の電解コンデンサA1について、-55℃の環境下で静電容量C2を測定した。
上記で得られた容量C1および容量C2を用い、下記式により初期の低温容量出現率を求めた。
初期の低温容量出現率(%)=(C2/C1)×100
初期の低温容量出現率が70%以上である場合、初期の低温特性が良好であると評価した。
【0068】
(b)高温放置後の低温容量出現率の測定
エージング処理した後の電解コンデンサA1を、145℃の高温環境下で4000時間放置した。高温環境下で放置した後の電解コンデンサA1について、-55℃の環境下で静電容量C3を測定した。
上記で得られた容量C3および上記(a)で得られた容量C1を用い、下記式により高温放置後の低温容量出現率を求めた。
高温放置後の低温容量出現率(%)=(C3/C1)×100
高温放置後の低温容量出現率が30%以上である場合、高温放置後の低温特性が良好であると評価した。高温放置後の低温容量出現率では、初期の低温容量出現率の測定と比べて、溶媒が減少し易い厳しい条件で測定を行っている。
【0069】
(c)イオン伝導体の放電電圧の測定(耐電圧性の評価)
陽極としてエッチング処理および化成処理された高圧用アルミニウム箔(面積10cm)、陰極として表面が平坦なアルミニウム箔(面積10cm)を用い、この陽極および陰極をイオン伝導体に浸漬させ、イオン伝導体の耐電圧性評価用サンプルを作製した。25℃において、サンプルの電極間に定電流法(2mA)による負荷をかけ、電圧の経時変化を測定し、連続したスパークまたはシンチレーションが観測され始めたときの電圧をイオン伝導体の放電電圧として求めた。表1では、イオン伝導体の放電電圧が100V超である場合を「○」と表し、イオン伝導体の放電電圧が100V以下である場合を「△」と表した。
【0070】
《電解コンデンサA2~A8、B1~B3》
表1に示す、溶媒と、酸成分と、塩基成分とを含むイオン伝導体を調製した。イオン伝導体中の溶媒の含有量、およびイオン伝導体中の酸成分と塩基成分との合計含有量は、表1に示す値とした。イオン伝導体のpHは、表1に示す値であった。
上記以外、電解コンデンサA1と同様に電解コンデンサA2~A8、B1~B3を作製し、評価した。
【0071】
《電解コンデンサB4》
コンデンサ素子に溶媒を含浸させずに酸成分および塩基成分のみを含浸させた以外、電解コンデンサA1と同様に電解コンデンサB4を作製し、評価した。
評価結果を表1に示す。なお、表1では、イオン伝導体の融点が-10℃以下である場合を「○」と表し、イオン伝導体の融点が-10℃超である場合を「×」と表した。
【0072】
【表1】
【0073】
電解コンデンサA1~A8では、電解コンデンサB1、B3、B4と比べて、初期の低温容量出現率および高温保存後の低温容量出現率が高く、初期および高温放置後において優れた低温特性が得られた。また、電解コンデンサA1~A8では、優れた耐電圧性も得られた。
【0074】
イオン伝導体中の溶媒の含有量が10質量%以下と少ない電解コンデンサB1では、低温環境下でイオン伝導体が凝固し、初期および高温放置後の低温特性が低下した。電解コンデンサB4では、コンデンサ素子に溶媒を含浸させなかったため、初期および高温放置後の低温特性が低下した。イオン伝導体中の酸成分および塩基成分の合計含有量が40質量%未満と少量である電解コンデンサB2では、電解コンデンサA1~A8よりも耐電圧性が低下した。電解コンデンサB3では、イオン伝導体中の溶媒の含有量が10質量%超であるが、イオン伝導体の融点が-10℃超であるため、高温放置後の低温特性が低下した。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、低温環境下で良好な性能が要求される電解コンデンサに適用することができる。
【符号の説明】
【0076】
10:コンデンサ素子、11:有底ケース、12:封止部材、13:座板、14A,14B:リード線、15A,15B:リードタブ、21:陽極体、22:陰極体、23:セパレータ、24:巻止めテープ
図1
図2