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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】哺乳器具
(51)【国際特許分類】
   A61J 9/04 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
A61J9/04 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020058484
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021153958
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000206185
【氏名又は名称】大成化工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505073004
【氏名又は名称】アルテア技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085291
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 実
(74)【代理人】
【識別番号】100117798
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 慎一
(74)【代理人】
【識別番号】100166899
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 慶太
(74)【代理人】
【識別番号】100221006
【弁理士】
【氏名又は名称】金澤 一磨
(74)【代理人】
【氏名又は名称】牧村 浩次
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 えりか
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 賢哉
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴史
(72)【発明者】
【氏名】黒滝 陽子
(72)【発明者】
【氏名】紺野 裕介
(72)【発明者】
【氏名】江田 滋人
(72)【発明者】
【氏名】戸倉 寿子
(72)【発明者】
【氏名】小川 幸弘
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-518206(JP,A)
【文献】特許第114241(JP,C2)
【文献】実公昭13-005968(JP,Y1)
【文献】特開昭60-165956(JP,A)
【文献】米国特許第01118134(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳溶液を収容する哺乳容器本体と、前記哺乳容器本体の口部に脱着自在に装着される
乳首部材と、を備えた哺乳器具であって、
前記乳首部材を哺乳容器本体の口部に装着した状態で、哺乳容器本体の口部の側部と、
その外側の前記乳首部材の側部との間に、連通溝部が形成されていて、
前記乳首部材が、側部と、側部に続く肩部とを具備し、
前記連通溝部が、前記口部の上端部が切り欠かれ、そこから側部に続く哺乳容器本体内
部に連通する貫通状態で形成され、前記乳首部材の側部と前記口部の側部が当接された状
態で、空気が哺乳容器本体の内部に浸入するが、表面張力によって哺乳容器本体の内部に
収容した哺乳溶液の外部への漏れを防止する、所定長さ、所定幅、所定形状の貫通スリッ
トとして構成され、
前記乳首部材の肩部と前記口部の上端部が当接された状態で上端部の切り欠きにより形
成される通路と、前記乳首部材の側部と前記口部の側部が当接された状態で貫通スリット
により形成される通路とにより、空気が哺乳容器本体の内部に浸入するが、表面張力によ
って哺乳容器本体の内部に収容した哺乳溶液が外部に漏れることがなく、
前記乳首部材を哺乳容器本体の口部に装着した状態で、前記乳首部材の側部の下端から
、前記貫通スリットの一部が露出していることを特徴とする、哺乳器具。
【請求項2】
前記貫通スリットは、長さ2mm~20mm、幅0.2mm~5mmの長細形状である
、請求項に記載の哺乳器具。
【請求項3】
前記乳首部材の側部の下端から、前記貫通スリットが0.1mm~1mm露出している
ことを特徴とする、請求項に記載の哺乳器具。
【請求項4】
前記哺乳容器本体の口部に脱着自在に装着される略リング形状のキャップ部材を備え、
前記キャップ部材を、前記哺乳容器本体の口部に装着することによって、前記乳首部材
の側部が、前記哺乳容器本体の口部の側部との間で挟持されるように構成されていること
を特徴とする、請求項1からのいずれかに記載の哺乳器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆる「哺乳瓶」と呼ばれる哺乳器具に関し、例えば、人間の乳児、家畜用の動物の子供、猫、犬などの愛玩動物用の哺乳器具(以下、単に「哺乳器具」と言う)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような哺乳器具を使用する場合には、例えば、乳児が乳首部材の先を咥えて、哺乳容器本体に収容された粉ミルク、栄養補助液などの液体(以下「哺乳液体」と言う)を、乳児が吸い込むことによって、哺乳が行われている。
【0003】
しかしながら、乳児が乳首部材の先を咥えて、乳児が吸い込むことによって、哺乳容器本体に収容された粉ミルクなどの哺乳液体(以下「哺乳液体」と言う)を、乳児が吸い込む際には、哺乳容器本体の内部が、負圧になってしまうことになる。
【0004】
このため、乳児による哺乳に時間がかかったり、うまく哺乳がいかないことになり、母親、保育士、看護師などにとって、また、乳児にとっても負担となっている。
【0005】
このため、従来から、例えば、空気を通過させるが、液体を遮断するような特殊な素材で成形された乳首部材を用いて、哺乳容器本体の内部が、負圧にならず、哺乳が円滑に行われるようにした哺乳器具が、提案されている。
【0006】
また、特許文献1(実公昭49-34796号公報)では、乳児が吸い込む際にも、哺乳容器本体の内部が、負圧にならない哺乳器具が提案されている。
【0007】
図17は、特許文献1の哺乳器具100の縦断面図である。
【0008】
特許文献1の哺乳器具100は、図17に示したように、哺乳溶液を収容する哺乳容器本体102の上部に設けられた縮径した口部104を備えている。この口部104の外周には、雄ネジ106が形成されている。
【0009】
また、雄ネジ106には、軸方向に並んだ複数の空気溝108が形成されている。一方、口部104の上端には、切欠部105が形成されている。
【0010】
また、切頭円錐形状の空気バルブ107を備えているとともに、哺乳容器本体102の口部104に脱着自在に装着される乳首部材110を備えている。
【0011】
さらに、哺乳容器本体102の口部104に脱着自在に装着される略リング形状のキャップ部材112を備えている。また、キャップ部材112の内周には、口部104の雄ネジ106と螺合する雌ネジ114が形成されている。
【0012】
そして、これらの哺乳容器本体102の口部104に、これらの空気バルブ107、乳首部材110を装着した後に、キャップ部材112を口部104に装着することによって、哺乳器具100が構成されるようになっている。
【0013】
これにより、特許文献1の哺乳器具100では、乳児が吸い込んで、哺乳容器本体102の内部が、負圧になった際には、空気バルブ107が開いた状態になって、空気が、雄ネジ106に形成された空気溝108、開いた状態の空気バルブ107、切欠部105を介して、哺乳容器本体102の内部に入ることができるようになっている。これにより、哺乳動作が円滑に行われるようになっている。
【0014】
また、特許文献1の哺乳器具100では、特許文献1の哺乳器具100では、哺乳器具100を傾けただけでは、空気バルブ107が閉止状態となって、哺乳容器本体102の内部に収容した哺乳液体が外部に漏洩しないように構成されている。
【0015】
また、特許文献2(特表2016-518206号公報)においても、乳児が吸い込む際にも、哺乳容器本体の内部が、負圧にならない哺乳器具が提案されている。
【0016】
図18は、特許文献2の哺乳器具200の概略図で、図18(A)は、特許文献2の哺乳器具200のキャップ部材202の斜視図、図18(B)は、特許文献2の哺乳器具200の縦断面図である。
【0017】
特許文献2の哺乳器具200は、図18に示したように、キャップ部材に相当するキャップ部材202を備えている。キャップ部材202は、乳首部材204と一体となっており、キャップ部材202の水平部分206の内面に、図18(A)に示したように、複数の溝208が形成されている。
【0018】
これにより、図18(B)に示したように、キャップ部材202を哺乳容器本体210に締め付けた際に、キャップ部材202の水平部分206と、哺乳容器本体210の口部212の上端212aとの間に、複数の溝208によって、隙間が形成され通気孔214が形成されるようになっている。
【0019】
これによって、乳児が吸い込んで、哺乳容器本体210の内部が、負圧になった際には、空気が、哺乳容器本体210の内部に入ることができるようになっている。これにより、哺乳動作が円滑に行われるようになっている。
【0020】
また、乳児が吸い込みを中止したり、哺乳が終了した際に、通気孔214を介して、空気が浸入せず、哺乳容器本体210の内部が、負圧になり、哺乳液体が外部に漏洩しないように構成されている。
【0021】
また、特許文献3(実開昭53-24784号公報)には、図19に示したような構造の哺乳器具300が提案されている。
【0022】
すなわち、特許文献3の哺乳器具300では、図19に示したように、特許文献2と同様に、乳首部材304と一体となったキャップ部材302を備えている。そして、哺乳容器本体306の口部308に、細い溝310が形成されている。
【0023】
また、哺乳容器本体306の側面には、口部308の方向に向いた矢印312が描かれている。
【0024】
これにより、キャップ部材302をきちんと閉めても、この細い溝310を介して、哺乳容器本体306に浸入して、これにより、哺乳動作が円滑に行われるようになっている。
【0025】
また、特許文献3の哺乳器具300では、細い溝310が下を向くようになっていると、乳児が息をした際に、細い溝310を介して、哺乳液体が外部に漏洩するので、哺乳容器本体306の側面に描かれた矢印312が、上方向にくるようにするのが良いことが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【文献】実公昭49-34796号公報
【文献】特表2016-518206号公報
【文献】実開昭53-24784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
しかしながら、前述したように、特殊な素材からなる乳首部材を用いて、乳首部材自体は、空気を通過させるが、液体を遮断するようにして、哺乳容器本体の内部が、負圧にならず、哺乳が円滑に行われるようにした哺乳器具では、特殊で高価な素材を用いなければならず、コストが高くなってしまうことになる。
【0028】
また、特許文献1の哺乳器具100では、雄ネジ106に形成された空気溝108、空気バルブ107などを設けなければならず、複雑な構造であり、部品点数も多く、組み立てに時間と手間がかかり、コストも高くつくことになる。
【0029】
さらに、特許文献2の哺乳器具200では、乳首部材204と一体となったキャップ部材202を作製しなければならず、複雑な工程が必要になる。また、汎用の乳首部材を用いることは不可能である。
【0030】
また、このように作製したキャップ部材202の水平部分206の内面に、複数の溝208を設ける必要があり、複雑な工程が必要になるとともに、コストが高くつくことになる。
【0031】
また、特許文献3の哺乳器具300では、特許文献2と同様に、乳首部材204と一体となったキャップ部材202を作製しなければならず、複雑な工程が必要になる。また、汎用の乳首部材を用いることは不可能である。
【0032】
さらに、特許文献3の哺乳器具300では、哺乳容器本体306の口部308に形成した溝310が、どのような形状の溝であるのか明瞭に開示されていない。
【0033】
すなわち、溝310が、口部308に、口部308の内側と外側を貫通する貫通溝であるのか、また、キャップ部材302を口部308に装着した際に、溝310がキャップ部材302の外部に露出するのか、など全くその構造が開示されていない。
【0034】
また、特許文献3の哺乳器具300では、特許文献3にも開示されているように、倒立した状態で漏れるおそれがある。このため、漏れ出た哺乳液体により、周囲を汚染し、衛生的でない。
【0035】
本発明は、このような現状に鑑み、乳児が吸い込んで、哺乳容器本体の内部が、負圧になった際にも、空気が、哺乳容器本体の内部に入ることができ、哺乳動作が円滑に行われるとともに、倒立した状態でも、哺乳容器本体の内部に収容した哺乳液体が外部に漏洩しせず、漏れ出た哺乳液体により、周囲を汚染することがなく衛生的である哺乳器具を提供することを目的とする。
【0036】
また、本発明は、部品点数も少なく、複雑な構造でなく、コストも低減できるとともに、汎用の乳首部材を用いることが可能で、便利な哺乳器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0037】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の哺乳器具は、
哺乳溶液を収容する哺乳容器本体と、
前記哺乳容器本体の口部に脱着自在に装着される乳首部材と、
を備えた哺乳器具であって、
前記乳首部材を哺乳容器本体の口部に装着した状態で、前記乳首部材の側部と、哺乳容器本体の口部の側部との間に、
空気が哺乳容器本体の内部に浸入するが、哺乳容器本体の内部に収容した哺乳溶液が外部に漏れることのない連通溝部が形成されていることを特徴とする。
【0038】
このように構成することによって、乳首部材を哺乳容器本体の口部に装着した状態で、前記乳首部材の側部と、哺乳容器本体の口部の側部との間に、連通溝部が形成されている。
【0039】
従って、連通溝部を介して、空気が哺乳容器本体の内部に浸入するので、乳児が吸い込んで、哺乳容器本体の内部が、負圧になった際にも、空気が、哺乳容器本体の内部に入る(浸入する)ことができ、哺乳動作が円滑に行われる。
【0040】
また、倒立した状態でも、連通溝部の表面張力によって、哺乳容器本体の内部に収容した哺乳液体が、連通溝部を介して外部に漏洩しないように構成されている。これにより、漏れ出た哺乳液体により、周囲を汚染することがなく衛生的である。
【0041】
また、このような連通溝部を、乳首部材を哺乳容器本体の口部に装着した状態で、乳首部材の側部と、哺乳容器本体の口部の側部との間に形成するだけで良いので、部品点数も少なく、複雑な構造でなく、コストも低減できるとともに、汎用の乳首部材を用いることが可能で、便利な哺乳器具を提供することができる。
【0042】
また、本発明の哺乳器具は、前記連通溝部が、哺乳容器本体の口部の側部に形成され、哺乳容器本体内部に連通する貫通状態で形成された貫通スリットから構成されていることを特徴とする。
【0043】
このように構成することによって、哺乳容器本体の口部の側部に、哺乳容器本体内部に連通する貫通状態で、貫通スリットを形成するだけで、連通溝部を形成することができる。
【0044】
従って、貫通スリットを介して、空気が哺乳容器本体の内部に浸入するので、乳児が吸い込んで、哺乳容器本体の内部が、負圧になった際にも、空気が、哺乳容器本体の内部に入る(浸入する)ことができ、哺乳動作が円滑に行われる。
【0045】
また、倒立した状態でも、貫通スリットの表面張力によって、哺乳容器本体の内部に収容した哺乳液体が、貫通スリットを介して外部に漏洩しないように構成されている。これにより、漏れ出た哺乳液体により、周囲を汚染することがなく衛生的である。
【0046】
また、哺乳容器本体の口部の側部に、哺乳容器本体内部に連通する貫通状態で、貫通スリットを形成するだけで良いので、部品点数も少なく、複雑な構造でなく、コストも低減できるとともに、汎用の乳首部材を用いることが可能で、便利な哺乳器具を提供することができる。
【0047】
また、本発明の哺乳器具は、
前記乳首部材を哺乳容器本体の口部に装着した状態で、貫通スリットの一部が露出した状態になり、
前記貫通スリットの露出部分を介して、空気が哺乳容器本体の内部に浸入するが、哺乳容器本体の内部に収容した哺乳溶液が、外部に漏れることのないように構成されていることを特徴とする。
【0048】
このように構成することによって、貫通スリットの露出部分を介して、空気が哺乳容器本体の内部に浸入するので、乳児が吸い込んで、哺乳容器本体の内部が、負圧になった際にも、空気が、哺乳容器本体の内部に入る(浸入する)ことができ、哺乳動作が円滑に行われる。
【0049】
また、哺乳容器本体の内部に収容した哺乳溶液が、倒立した状態でも、貫通スリットの表面張力によって、貫通スリットを介して外部に漏洩しない。これにより、漏れ出た哺乳液体により、周囲を汚染することがなく衛生的である。
【0050】
また、本発明の哺乳器具は、前記貫通スリットが、哺乳容器本体の口部の開口端の位置から、前記哺乳容器本体の底部の方向に延設されていることを特徴とする。
【0051】
このように構成することによって、貫通スリットが、哺乳容器本体の口部の開口端の位置から、哺乳容器本体の底部の方向に延設されているので、貫通スリットを成形する際にも、成形しやすいので、製造が容易で、コストを低減することができる。
【0052】
また、本発明の哺乳器具は、前記貫通スリットが、哺乳容器本体の口部の長手方向の中間位置から、前記哺乳容器本体の底部の方向に延設されていることを特徴とする。
【0053】
このように構成することによって、貫通スリットが、哺乳容器本体の口部の長手方向の中間位置から、哺乳容器本体の底部の方向に延設されているので、哺乳容器本体の口部の構造強度を損なうことがなく、繰り返しの使用に耐え、製品寿命が長くなる。
【0054】
また、本発明の哺乳器具は、貫通スリットが、哺乳容器本体の口部の長手方向に対して傾斜した方向、または、らせん形状に形成されていることを特徴とする。
【0055】
このように構成することによって、貫通スリットが、哺乳容器本体の口部の長手方向に対して傾斜した方向、または、らせん形状に形成されているので、貫通スリットの全長が長くなる。
【0056】
その結果、哺乳容器本体の内部に収容した哺乳溶液が、倒立した状態でも、貫通スリットの表面張力が大きくなって、貫通スリットを介して外部に漏洩しない効果に優れることになる。これにより、漏れ出た哺乳液体により、周囲を汚染することがなく衛生的である。
【0057】
また、本発明の哺乳器具は、前記貫通スリットが、哺乳容器本体の口部の開口端側の方向の幅が、哺乳容器本体の底部の方向の側の幅よりも小さく形成されていることを特徴とする。
【0058】
このように構成することによって、貫通スリットの幅が大きくなった哺乳容器本体の口部の開口端側の貫通スリットを介して、空気が哺乳容器本体の内部に浸入し易くなる。
【0059】
これにより、乳児が吸い込んで、哺乳容器本体の内部が、負圧になった際にも、空気が、哺乳容器本体の内部に入る(浸入する)ことができ、哺乳動作が円滑に行われる。
【0060】
また、哺乳容器本体の内部に収容した哺乳溶液が、貫通スリットの幅が小さくなった哺乳容器本体の底部の方向の側の貫通スリットを介して、倒立した状態でも、貫通スリットの表面張力によって外部に漏洩しない効果に優れる。これにより、漏れ出た哺乳液体により、周囲を汚染することがなく衛生的である。
【0061】
また、本発明の哺乳器具は、前記貫通スリットが、哺乳容器本体の口部の開口端側と、哺乳容器本体の底部の方向の側との間に、幅が広くなった溜まり部が形成されていることを特徴とする。
【0062】
このように構成することによって、哺乳容器本体の口部の開口端側と、哺乳容器本体の底部の方向の側との間に形成された幅が広くなった溜まり部に、哺乳容器本体の内部に収容した哺乳溶液が滞留することになる。
【0063】
その結果、哺乳容器本体の内部に収容した哺乳溶液が、倒立した状態でも、貫通スリットの表面張力が大きくなって、貫通スリットを介して外部に漏洩しない効果により優れることになる。これにより、漏れ出た哺乳液体により、周囲を汚染することがなく衛生的である。
【0064】
また、本発明の哺乳器具は、
前記乳首部材の側部の内側には、係止リブが突設形成され、
前記乳首部材を哺乳容器本体の口部に装着した状態で、前記乳首部材の側部の内側に突設形成された係止リブが、貫通スリットに嵌着されるように構成されていることを特徴とする。
【0065】
このように構成することによって、乳首部材を哺乳容器本体の口部に装着した状態で、乳首部材の側部の内側に突設形成された係止リブが、貫通スリットに嵌着されるので、乳首部材が、安定して哺乳容器本体の口部に装着した状態となる。
【0066】
従って、乳首部材が、哺乳容器本体の口部において、回転したり、脱落するのが防止され、哺乳器具の本来の哺乳作用が阻害されることがない。
【0067】
また、本発明の哺乳器具は、
前記乳首部材の側部の内側の内周に、係止用凹部が形成され、
前記哺乳容器本体の口部の外周に、係止用凸部が形成され、
前記乳首部材の係止用凹部と、前記哺乳容器本体の口部の係止用凸部が、嵌合することにより、前記哺乳容器本体の口部に、乳首部材が脱着自在に装着されるように構成されていることを特徴とする。
【0068】
このように構成することによって、乳首部材の係止用凹部と、哺乳容器本体の口部の係止用凸部が、嵌合することにより、前記哺乳容器本体の口部に、乳首部材が脱着自在に装着されるので、乳首部材が、安定して哺乳容器本体の口部に装着した状態となる。
【0069】
従って、乳首部材が、哺乳容器本体の口部において、回転したり、脱落するのが防止され、哺乳器具の本来の哺乳作用が阻害されることがない。
【0070】
また、本発明の哺乳器具は、
前記連通溝部が、乳首部材の側部の内側に形成された乳首側溝部から形成され、
前記乳首側溝部を介して、空気が哺乳容器本体の内部に浸入するが、哺乳容器本体の内部に収容した哺乳溶液が外部に漏れることのないように構成されていることを特徴とする。
【0071】
このように構成することによって、乳首部材の側部の内側に、乳首側溝部を形成するだけで、連通溝部を形成することができる。
【0072】
従って、乳首側溝部を介して、空気が哺乳容器本体の内部に浸入するので、乳児が吸い込んで、哺乳容器本体の内部が、負圧になった際にも、空気が、哺乳容器本体の内部に入る(浸入する)ことができ、哺乳動作が円滑に行われる。
【0073】
また、倒立した状態でも、乳首側溝部の表面張力によって、哺乳容器本体の内部に収容した哺乳液体が、乳首側溝部を介して外部に漏洩しないように構成されている。これにより、漏れ出た哺乳液体により、周囲を汚染することがなく衛生的である。
【0074】
また、本発明の哺乳器具は、
前記哺乳容器本体の口部に脱着自在に装着される略リング形状のキャップ部材を備え、
前記キャップ部材を、前記哺乳容器本体の口部に装着することによって、前記乳首部材の側部が、前記哺乳容器本体の口部の側部との間で挟持されるように構成されていることを特徴とする。
【0075】
このように構成することによって、キャップ部材を、哺乳容器本体の口部に装着することによって、乳首部材の側部が、哺乳容器本体の口部の側部との間で挟持されるので、乳首部材が、安定して哺乳容器本体の口部に装着した状態となる。
【0076】
従って、乳首部材が、哺乳容器本体の口部において、回転したり、脱落するのが防止され、哺乳器具の本来の哺乳作用が阻害されることがない。
【発明の効果】
【0077】
本発明によれば、乳首部材を哺乳容器本体の口部に装着した状態で、前記乳首部材の側部と、哺乳容器本体の口部の側部との間に、連通溝部が形成されている。
【0078】
従って、連通溝部を介して、空気が哺乳容器本体の内部に浸入するので、乳児が吸い込んで、哺乳容器本体の内部が、負圧になった際にも、空気が、哺乳容器本体の内部に入る(浸入する)ことができ、哺乳動作が円滑に行われる。
【0079】
また、倒立した状態でも、連通溝部の表面張力によって、哺乳容器本体の内部に収容した哺乳液体が、連通溝部を介して外部に漏洩しないように構成されている。これにより、漏れ出た哺乳液体により、周囲を汚染することがなく衛生的である。
【0080】
また、このような連通溝部を、乳首部材を哺乳容器本体の口部に装着した状態で、乳首部材の側部と、哺乳容器本体の口部の側部との間に形成するだけで良いので、部品点数も少なく、複雑な構造でなく、コストも低減できるとともに、汎用の乳首部材を用いることが可能で、便利な哺乳器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1図1は、本発明の哺乳器具10の部分拡大断面図である。
図2図2は、本発明の哺乳器具10の哺乳容器本体12の側面図である。
図3図3は、本発明の哺乳器具10の哺乳容器本体12の下面図である。
図4図4は、本発明の哺乳器具10の哺乳容器本体12の縦断面図である。
図5図5(A)は、本発明の哺乳器具10の哺乳容器本体12の部分拡大縦断面図、図5(B)は、本発明の哺乳器具10の哺乳容器本体12の口部20の概略を示す部分拡大断面図である。
図6図6は、本発明の哺乳器具10の乳首部材32の側面図である。
図7図7は、本発明の哺乳器具10の乳首部材32の縦断面図である。
図8図8は、本発明の哺乳器具10のキャップ部材44の側面図である。
図9図9は、本発明の哺乳器具10のキャップ部材44の上面図である。
図10図10は、本発明の哺乳器具10のキャップ部材44の下面図である。
図11図11は、本発明の哺乳器具10のキャップ部材44の縦断面図である。
図12図12は、本発明の別の実施例の哺乳器具10の貫通スリット56を示す概略図である。
図13図13は、本発明の別の実施例の哺乳器具10の貫通スリット56を示す概略図である。
図14図14は、本発明の別の実施例の哺乳器具10の図1と同様な部分拡大縦断面図である。
図15図15は、本発明の別の実施例の哺乳器具10の図1と同様な部分拡大縦断面図である。
図16図16は、本発明の別の実施例の哺乳器具10の図1と同様な部分拡大縦断面図である。
図17図17は、特許文献1の哺乳器具100の縦断面図である。
図18図18は、特許文献2の哺乳器具200の概略図で、図18(A)は、特許文献2の哺乳器具200のキャップ部材202の斜視図、図18(B)は、特許文献2の哺乳器具200の縦断面図である。
図19図19は、特許文献3の哺乳器具300の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0082】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
【0083】
(実施例1)
図1は、本発明の哺乳器具10の部分拡大断面図、図2は、本発明の哺乳器具10の哺乳容器本体12の側面図、図3は、本発明の哺乳器具10の哺乳容器本体12の下面図、図4は、本発明の哺乳器具10の哺乳容器本体12の縦断面図、図5(A)は、本発明の哺乳器具10の哺乳容器本体12の部分拡大縦断面図、図5(B)は、本発明の哺乳器具10の哺乳容器本体12の口部20の概略を示す部分拡大断面図、図6は、本発明の哺乳器具10の乳首部材32の側面図、図7は、本発明の哺乳器具10の乳首部材32の縦断面図、図8は、本発明の哺乳器具10のキャップ部材44の側面図、図9は、本発明の哺乳器具10のキャップ部材44の上面図、図10は、本発明の哺乳器具10のキャップ部材44の下面図、図11は、本発明の哺乳器具10のキャップ部材44の縦断面図である。
【0084】
図1図11において、符号10は、全体で本発明の哺乳器具を示している。
【0085】
本発明の哺乳器具10は、例えば、人間の乳児、家畜用の動物の子供、猫、犬などの愛玩動物用の哺乳器具である。
【0086】
図1図11に示したように、哺乳器具10は、略円筒形状の哺乳容器本体12を備えている。そして、哺乳容器本体12の内部に形成された収容室13を備えている。
【0087】
この収容室13には、例えば、粉ミルク、栄養補助液などの液体からなる哺乳液体が収容される。
【0088】
また、図2図4に示したように、哺乳容器本体12の底部14は、断面が略円形状の凹部16を構成している。
【0089】
さらに、底部14の側部から下方斜め方向に延設された拡径した固定フランジ18が形成されている。この固定フランジ18は、図3の下面図に示したように、この実施例では、下面視で八角形の形状となっている。
【0090】
また、図4に示したように、哺乳容器本体12の底部14の下端14aは、固定フランジ18の下端18aよりも、上方に位置するように構成されている。
【0091】
このように構成することにって、固定フランジ18によって、哺乳器具10(哺乳容器本体12)を、例えば、テーブルなどの上に安定して載置することができ、後述する哺乳容器本体12の口部20の開口部22より、哺乳液体を注ぎ入れることが容易になるように構成されている。
【0092】
なお、この実施例では、固定フランジ18は、下面視で八角形の形状となっているが、何らこの形状に限定されるものではなく、上記のように安定して、載置出来る形状であれば良く、例えば、下面視で、三角形、四角形、六角形など多角形の形状、円形形状などの形状を採用することができる。
【0093】
また、図1図2図4図5に示したように、哺乳容器本体12には、その上端に口部20が形成されており、この口部20に、開口部22が形成されている。この口部20には、口部20の下端の外周に、断面略三角形の下端フランジ24が突設するように形成されている。
【0094】
そして、下端フランジ24の上方に、一定間隔離間して、上方係止用フランジ26と下方係止用フランジ28が形成されている。これにより、これらの上方係止用フランジ26と下方係止用フランジ28との間に、係合用凹部30が形成されている。
【0095】
さらに、図1図6図7に示したように、哺乳器具10は、哺乳容器本体12の口部20に脱着自在に装着される乳首部材32を備えている。
【0096】
そして、乳首部材32は、略円筒形状の側部34と、この側部34から、略円錐形状に上方に延設された基端部36を備えている。また、基端部36の上方には、基端部36から上方に延設された徐々に縮径するように、ドーム形状に形成された基端側乳首部38を備えている。
【0097】
さらに、基端側乳首部38の上方には、略円筒形状の先端側乳首部40が延設されており、この先端側乳首部40の先端には、開口部42が形成されている。
【0098】
この先端側乳首部40は、例えば、生まれたての乳児、比較的小型の動物が咥えて、哺乳液体を吸い込む際に使用され、基端側乳首部38は、例えば、ある程度育って大きくなった乳児、比較的大型の動物が咥えて、哺乳液体を吸い込む際に使用されるようになっており、いずれの場合にも、本発明の哺乳器具10の使用について、便利なように構成されている。
【0099】
また、図1図8図11に示したように、哺乳容器本体12の口部20に脱着自在に装着される略リング形状のキャップ部材44を備えている。
【0100】
そして、図1に示したように、キャップ部材44を、哺乳容器本体12の口部20に装着することによって、乳首部材32の側部34が、哺乳容器本体12の口部20の側部21との間で挟持されるように構成されている。
【0101】
図8図11に示したように、キャップ部材44は、側部46の外周には、側部46の上部に、キャップ部材44を手で把持して操作する際に、取り扱いが容易になるように、軸方向に形成された複数の滑り止め用の溝部48が形成されている。
【0102】
また、図10図11に示したように、キャップ部材44の側部46の内周には、中心角度120°離間して、複数の(この実施例では、3個の)円弧形状の係止用凸部50が形成されている。
【0103】
なお、係止用凸部50は、この実施例では、3個形成したが、この数は、特に限定されるものではない。
【0104】
そして、キャップ部材44の頂部52には、開口部52aが形成されており、図1に示したように、乳首部材32の基端側乳首部38、先端側乳首部40が、キャップ部材44の開口部52aを介して、外部に突出するように構成されている。
【0105】
このように構成することによって、本発明の哺乳器具10を組み立てて構成する際には、図1に示したように、哺乳容器本体12の口部20の上端20aに、乳首部材32の側部34を嵌着する。
【0106】
その後、乳首部材32の基端側乳首部38、先端側乳首部40が、キャップ部材44の開口部52aを介して、外部に突出するように、キャップ部材44を、哺乳容器本体12の口部20に装着する。
【0107】
すなわち、キャップ部材44の側部46の内周の係止用凸部50が、口部20の上方係止用フランジ26と下方係止用フランジ28との間に形成された係合用凹部30に嵌合するように、いわゆるスナップフィット式に装着する。
【0108】
なお、乳首部材32とキャップ部材44を嵌合させる際に、十分に嵌合する前に、キャップ部材44の側部46の下端46aと、口部20の下端フランジ24の上面24aとが当接してしまうと漏れが発生してしまうことになる。
このため、図1に示したように、キャップ部材44の側部46の下端46aと、口部20の下端フランジ24の上面24aとが当接しないように、嵌合が終了した状態で、キャップ部材44の側部46の下端46aと、口部20の下端フランジ24の上面24aとが離間した状態となるように構成されている。
【0109】
このように構成することによって、キャップ部材44を、哺乳容器本体12の口部20に装着することによって、乳首部材32の側部34が、哺乳容器本体12の口部20の側部21との間で挟持されるので、乳首部材32が、安定して哺乳容器本体12の口部20に装着した状態となる。
【0110】
従って、乳首部材32が、哺乳容器本体12の口部20において、回転したり、脱落するのが防止され、哺乳器具10の本来の哺乳作用が阻害されることがないように構成されている。
【0111】
さらに、図1図2図4図5に示したように、口部20の上端20aには、乳首部材32を哺乳容器本体12の口部20に装着した状態で、乳首部材32の側部34と、哺乳容器本体12の口部20の側部21との間に、空気が哺乳容器本体12の内部に浸入するが、哺乳容器本体12の内部に収容した哺乳溶液が外部に漏れることのない連通溝部54が形成されている。
【0112】
この実施例の場合には、連通溝部54として、図1図2図4図5に示したように、口部20の側部21に、口部20の上端20a(開口端)から、軸方向に口部20の底部14の方向に向かって延設され、中心角度90°離間して形成された複数の(この実施例では、4個の)貫通スリット56から構成されている。
【0113】
この場合、貫通スリット56は、図5(B)に示したように、哺乳容器本体12の内部(収容室13内)に連通するように、貫通状態で形成された貫通スリット56から構成されている。
【0114】
なお、この実施例では、図5(A)に示したように、貫通スリット56は、口部20の側部21の上端部(56b)のみを、哺乳容器本体12の内部(収容室13内)に連通するように、貫通状態で形成している。
【0115】
しかしながら、図示しないが、貫通スリット56の長さ全体にわたって、哺乳容器本体12の内部(収容室13内)に連通するように、貫通スリット56を貫通状態で形成しても良い。
【0116】
また、図1に示したように、乳首部材32を哺乳容器本体12の口部20に装着した状態で、貫通スリット56の一部が露出した状態(露出部分56a)になっている。これにより、貫通スリット56の露出部分56aを介して、空気が哺乳容器本体12の内部に浸入するが、哺乳容器本体12の内部に収容した哺乳溶液が、外部に漏れることのないように構成されている。
【0117】
このように構成することによって、哺乳容器本体12の口部20の側部21に、哺乳容器本体12の内部に連通する貫通状態で、貫通スリット56を形成するだけで、連通溝部54を形成することができる。
【0118】
また、哺乳容器本体12の口部20の側部21に、哺乳容器本体12の内部に連通する貫通状態で、貫通スリット56を形成するだけで良いので、部品点数も少なく、複雑な構造でなく、コストも低減できるとともに、汎用の乳首部材を用いることが可能で、便利な哺乳器具10を提供することができる。
【0119】
従って、貫通スリット56(貫通スリット56の露出部分56a)を介して、空気が哺乳容器本体12の内部に浸入するので、乳児が吸い込んで、哺乳容器本体12の内部が、負圧になった際にも、空気が、哺乳容器本体12の内部に入る(浸入する)ことができ、哺乳動作が円滑に行われる。
【0120】
さらに、哺乳容器本体12の内部に収容した哺乳溶液が、倒立した状態でも、貫通スリット56の表面張力によって、貫通スリット56を介して外部に漏洩しない。これにより、漏れ出た哺乳液体により、周囲を汚染することがなく衛生的である。
【0121】
この場合、前述したように、空気が哺乳容器本体12の内部に浸入するが、哺乳容器本体12の内部に収容した哺乳溶液が、外部に漏れることのないようにするためには、貫通スリット56を以下のように設定するのが望ましい。
【0122】
例えば、図1図5(B)に示したように、貫通スリット56の長さT1は、2mm~20mm、好ましくは、2mm~10mmの範囲にするのが望ましく、貫通スリット56の露出部分56aは、乳首部材44の側部34の下端から、0、1mm~1mm程度が露出されるように設定するのが望ましい。
【0123】
また、図5(B)に示したように、貫通スリット56の幅W1は、0.2mm~5mm、好ましくは、0.3~1mmの範囲にするのが望ましい。
【0124】
なお、この実施例では、中心角度90°離間して形成された4個の貫通スリット56から構成したが、その数、形状は、特に限定されるものではない。例えば、貫通スリット56は、1個以上であれば、特に限定されるものではない。
【0125】
また、この実施例では、口部20の側部21に、口部20の上端20a(開口端)から、軸方向に口部20の底部14の方向に向かって延設されるように、貫通スリット56を形成したが、口部20の側部21の長手方向の中間位置から、哺乳容器本体12の底部14の方向に延設されていても良い。
【0126】
このように構成することによって、貫通スリット56が、哺乳容器本体12の口部20の長手方向の中間位置から、哺乳容器本体12の底部14の方向に延設されているので、哺乳容器本体12の口部20の構造強度を損なうことがなく、繰り返しの使用に耐え、製品寿命が長くなる。
【0127】
また、図12(A)に示したように、哺乳容器本体12の口部20の長手方向に対して傾斜した方向に形成することも、図12(B)に示したように、貫通スリット56を、哺乳容器本体12の口部20の側部21に、らせん形状に形成することもできる。
【0128】
このように構成することによって、貫通スリット56が、哺乳容器本体12の口部20の長手方向に対して傾斜した方向、または、らせん形状に形成されているので、貫通スリット56の全長が長くなる。
【0129】
その結果、哺乳容器本体12の内部に収容した哺乳溶液が、倒立した状態でも、貫通スリット56の表面張力が大きくなって、貫通スリット56を介して外部に漏洩しない効果に優れることになる。これにより、漏れ出た哺乳液体により、周囲を汚染することがなく衛生的である。
【0130】
さらに、図13(A)に示したように、貫通スリット56を、哺乳容器本体12の口部20の開口端側の方向の幅が、哺乳容器本体12の底部の方向の側の幅よりも小さく形成することも可能である。
【0131】
このように構成することによって、貫通スリット56の幅が大きくなった哺乳容器本体12の口部20の開口端側の貫通スリット56を介して、空気が哺乳容器本体12の内部に浸入し易くなる。
【0132】
これにより、乳児が吸い込んで、哺乳容器本体12の内部が、負圧になった際にも、空気が、哺乳容器本体12の内部に入る(浸入する)ことができ、哺乳動作が円滑に行われる。
【0133】
また、哺乳容器本体12の内部に収容した哺乳溶液が、貫通スリット56の幅が小さくなった哺乳容器本体12の底部の方向の側の貫通スリット56を介して、倒立した状態でも、貫通スリット56の表面張力によって外部に漏洩しない効果に優れる。これにより、漏れ出た哺乳液体により、周囲を汚染することがなく衛生的である。
【0134】
また、図13(B)に示したように、貫通スリット56を、哺乳容器本体12の口部20の開口端側と、哺乳容器本体12体の底部の方向の側との間に、幅が広くなった溜まり部58が形成されていても良い。
【0135】
このように構成することによって、哺乳容器本体12の口部20の開口端側と、哺乳容器本体12の底部の方向の側との間に形成された幅が広くなった溜まり部58に、哺乳容器本体12の内部に収容した哺乳溶液が滞留することになる。
【0136】
その結果、哺乳容器本体12の内部に収容した哺乳溶液が、倒立した状態でも、貫通スリット56の表面張力が大きくなって、貫通スリット56を介して外部に漏洩しない効果により優れることになる。これにより、漏れ出た哺乳液体により、周囲を汚染することがなく衛生的である。
【0137】
(実施例2)
図14は、本発明の別の実施例の哺乳器具10の図1と同様な部分拡大縦断面図である。
【0138】
この実施例の哺乳器具10は、図1図13に示した実施例の哺乳器具10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0139】
この実施例の哺乳器具10では、図14に示したように、乳首部材32の側部34の内側には、係止リブ60が突設形成されている。これにより、乳首部材32を哺乳容器本体12の口部20に装着した状態で、乳首部材32の側部34の内側に突設形成された係止リブ60が、貫通スリット56に嵌着されるように構成されている。また、係止リブ60の数は、貫通スリット56よりも少なく設定されている。
【0140】
このように構成することによって、乳首部材32を哺乳容器本体12の口部20に装着した状態で、乳首部材32の側部34の内側に突設形成された係止リブ60が、貫通スリット56に嵌着されるので、乳首部材32が、安定して哺乳容器本体12の口部20に装着した状態となる。
【0141】
従って、乳首部材32が、哺乳容器本体12の口部20において、回転したり、脱落するのが防止され、哺乳器具10の本来の哺乳作用が阻害されることがないように構成されている。
【0142】
(実施例3)
図15は、本発明の別の実施例の哺乳器具10の図1と同様な部分拡大縦断面図である。
【0143】
この実施例の哺乳器具10は、図1図13に示した実施例の哺乳器具10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0144】
この実施例の哺乳器具10では、図15に示したように、乳首部材32の側部34の内側の内周に、係止用凹部62が形成されている。一方、哺乳容器本体12の口部20の外周に、係止用凸部64が形成されている。
【0145】
これにより、乳首部材32の係止用凹部62と、哺乳容器本体12の口部20の係止用凸部64が、嵌合することにより、哺乳容器本体12の口部20に、乳首部材32が脱着自在に装着されるように構成されている。
【0146】
このように構成することによって、乳首部材32の係止用凹部62と、哺乳容器本体12の口部20の係止用凸部64が、嵌合することにより、哺乳容器本体12の口部20に、乳首部材32が脱着自在に装着されるので、乳首部材32が、安定して哺乳容器本体12の口部20に装着した状態となる。
【0147】
従って、乳首部材32が、哺乳容器本体12の口部20において、回転したり、脱落するのが防止され、哺乳器具10の本来の哺乳作用が阻害されることがない。
【0148】
また、この場合、図15に示したように、乳首部材32が、安定して哺乳容器本体12の口部20に装着した状態となるので、キャップ部材44を省略することも可能である。もちろん、キャップ部材44を装着することも可能である。
【0149】
(実施例4)
図16は、本発明の別の実施例の哺乳器具10の図1と同様な部分拡大縦断面図である。
【0150】
この実施例の哺乳器具10は、図1図13に示した実施例の哺乳器具10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0151】
この実施例の哺乳器具10では、図16に示したように、連通溝部54が、乳首部材32の側部34の内側に形成された乳首側溝部66から形成されている。
【0152】
これにより、乳首側溝部66を介して、空気が哺乳容器本体12の内部に浸入するが、哺乳容器本体12の内部に収容した哺乳溶液が外部に漏れることのないように構成されている。
【0153】
このように構成することによって、乳首部材32の側部34の内側に、乳首側溝部66を形成するだけで、連通溝部54を形成することができる。
【0154】
従って、乳首側溝部66を介して、空気が哺乳容器本体12の内部に浸入するので、乳児が吸い込んで、哺乳容器本体12の内部が、負圧になった際にも、空気が、哺乳容器本体12の内部に入る(浸入する)ことができ、哺乳動作が円滑に行われる。
【0155】
また、倒立した状態でも、乳首側溝部66の表面張力によって、哺乳容器本体12の内部に収容した哺乳液体が、乳首側溝部66を介して外部に漏洩しないように構成されている。これにより、漏れ出た哺乳液体により、周囲を汚染することがなく衛生的である。
【0156】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、例えば、人間の乳児、家畜用の動物の子供、猫、犬などの愛玩動物用の哺乳器具として、例えば、粉ミルク、栄養補助液などの液体からなる哺乳液体が収容される場合について説明した。
【0157】
しかしながら、例えば、上記以外の、例えば、イルカなどその他の哺乳動物、鳥類などその他の一般の動物にすることが可能であるなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明は、いわゆる「哺乳瓶」と呼ばれる哺乳器具に関し、例えば、人間の乳児、家畜用の動物の子供、猫、犬などの愛玩動物用の哺乳器具に適用することができる。
【符号の説明】
【0159】
10 哺乳器具
12 哺乳容器本体
13 収容室
14 底部
14a 下端
16 凹部
18 固定フランジ
18a 下端
20 口部
20a 上端
21 側部
22 開口部
24 下端フランジ
24a 上面
26 上方係止用フランジ
28 下方係止用フランジ
30 係合用凹部
32 乳首部材
34 側部
36 基端部
38 基端側乳首部
40 先端側乳首部
42 開口部
44 キャップ部材
46 側部
46a 下端
48 溝部
50 係止用凸部
52 頂部
52a 開口部
54 連通溝部
56 貫通スリット
56a 露出部分
56b 上端部
58 溜まり部
60 係止リブ
62 係止用凹部
64 係止用凸部
66 乳首側溝部
100 哺乳器具
102 哺乳容器本体
104 口部
105 切欠部
106 雄ネジ
107 空気バルブ
108 空気溝
110 乳首部材
112 キャップ部材
114 雌ネジ
200 哺乳器具
202 キャップ部材
204 乳首部材
206 水平部分
208 溝
210 哺乳容器本体
212 口部
212a 上端
214 通気孔
300 哺乳器具
302 キャップ部材
304 乳首部材
306 哺乳容器本体
308 口部
310 溝
312 矢印
S 間隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19