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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】郵便受け
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/126 20060101AFI20241004BHJP
   A47G 29/124 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
A47G29/126
A47G29/124
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021060173
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022156462
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2023-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤野 光久
(72)【発明者】
【氏名】原 望
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-127446(JP,A)
【文献】特開2017-209254(JP,A)
【文献】実開平07-028486(JP,U)
【文献】登録実用新案第3186948(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0275795(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/12 - 29/126
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投函口から投函された投函物を収容する収容部を有するポスト本体と、
前記ポスト本体に回動可能に支持され前記投函口と前記収容部との間を開閉するフラップ組と、を備える郵便受けであって、
前記投函口を取り囲むように上方に立設されたリブを備え、
前記フラップ組は、対向して2列に配列された第1フラップ及び第2フラップにより形成され、前記第1フラップは、前記投函口の幅方向一方側に配置された第1軸を中心に回動可能であり、前記第2フラップは、前記投函口の幅方向他方側に配置された第2軸を中心に回動可能であり、
前記第1フラップ及び前記第2フラップのそれぞれは、複数の可動片を有し、かつ、それぞれの前記可動片は、コイルばねである付勢部材により、前記投函口と前記収容部との間を閉鎖する方向に付勢されており、
前記第1フラップ及び前記第2フラップは、前記幅方向について互いに対向する側に向かって、下方に傾斜するように延伸されており、
前記付勢部材は、一端部が前記可動片の下面に押し付けられ、他端部が上下方向に沿った筒部の内周壁面に押し付けられる、
郵便受け。
【請求項2】
請求項1に記載の郵便受けにおいて、
前記第1フラップ及び前記第2フラップは、上面が凹凸形状を有する、
郵便受け。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の郵便受けにおいて、
前記投函口を覆うカバーを備える、
郵便受け。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の郵便受けにおいて、
上方から見て前記第1フラップと前記第2フラップとの間には、隙間が形成される、
郵便受け。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、郵便受けに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、郵便受けには、郵便物や配達物等の投函物が投函される投函口が設けられる。また、特許文献1には、投函物を盗もうとする者が郵便受けの投函口に手を入れて、投函口から投函物を引き抜くことを防止することにより、投函物の盗難を防止する構成が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載された構成では、投函物を収容する本体部の上部に投函口が形成され、投函口の内側にはフラップが配置される。フラップは、投函口の横方向に一列に配置された複数の小フラップからなり、それぞれの小フラップが投函口の内側に回転自在に配置されている。特許文献1には、横方向に交互に配置された複数の第1小フラップと複数の第2小フラップとが、投函口の上側の軸と下側の軸とでそれぞれ回転自在に支持される構成も記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-174880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、郵便受けに配送される商品が多様化し、厚みの大きい郵便物も投函可能となってきている。これにより、投函口の幅を大きくすることが望まれるが、投函口の幅を大きくした場合には、外部から人が投函口に入れた手で投函物を引き抜きやすくなる。特許文献1に記載された構成によれば、この場合でも投函物を内部から引き抜きにくくして防犯性を高くできる。一方、各小フラップが、投函口の幅方向に沿って延伸しているので、投函物の引き抜きを困難にする面から改良の余地がある。また、はがきや封書などの軽量な郵便物を投函しやすくする面からも改良の余地がある。さらに、投函口から投函物を引き抜こうとする際の郵便受けの強度を高くする面からも改良の余地がある。また、郵便物の投函時に雨水の内部へ入り込みを抑制する面からも改良の余地がある。
【0006】
本開示の目的は、防犯性を高くでき、かつ郵便物を投函しやすくなり、かつフラップの強度を高くでき、かつ雨水の入り込みを抑制できる郵便受けを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の郵便受けは、投函口から投函された投函物を収容する収容部を有するポスト本体と、ポスト本体に回動可能に支持され投函口と収容部との間を開閉するフラップ組と、を備える郵便受けであって、投函口を取り囲むように上方に立設されたリブを備え、フラップ組は、対向して2列に配列された第1フラップ及び第2フラップにより形成され、第1フラップは、投函口の幅方向一方側に配置された第1軸を中心に回動可能であり、第2フラップは、投函口の幅方向他方側に配置された第2軸を中心に回動可能であり、第1フラップ及び第2フラップの少なくとも一方は、複数の可動片を有し、かつ、投函口と収容部との間を閉鎖する方向に付勢されており、第1フラップ及び第2フラップは、幅方向について互いに対向する側に向かって、下方に傾斜するように延伸されている、郵便受けである。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る郵便受けによれば、外部から人が投函口に手を入れてポスト本体内の投函物を引き抜こうとしたときに、手で押し込んでいるフラップの可動片とは異なる可動片は閉鎖したままの状態となるので、投函物は閉じた可動片に突き当たって投函口からの取り出しが防止される。さらに、第1フラップ及び第2フラップは、投函口の幅方向について互いに対向する側に向かって、下方に傾斜するように延伸されているので、防犯性をより高くでき、かつ郵便物を投函しやすくなり、かつ各郵便受けの強度を高くできる。さらに、投函口を取り囲むように上方に立設されたリブが設けられるので、投函口を通じて雨水が内部に入り込むことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の郵便受けを正面側から見た斜視図である。
図2図1の郵便受けにおいて、第2前扉を取り外して示す斜視図である。
図3図2から、カバーを省略して郵便受けを上側から見た斜視図である。
図4図1の郵便受けにおいて、第2前扉を上げてから第1前扉を開けて、さらにカバーを開けた状態を上側から見た斜視図である。
図5図4のA-A断面図である。
図6図5の上部拡大図である。
図7図3の上から見た斜視図である。
図8図7の上側から見た図である。
図9図7から投函口及びフラップ組を有する上部ユニットを取り出して示す斜視図である。
図10図9の上部ユニットの分解斜視図であって、一部を省略して示す図である。
図11図10からフラップ組と第1軸及び第2軸のみを取り出して上から見た斜視図である。
図12図11の下側からみた斜視図である。
図13図9の上部ユニットのC-C断面を、長手方向一方側の下側から見た斜視図である。
図14図9の上部ユニットのC-C断面を正面下側から見た斜視図である。
図15図9の上部ユニットのC-C断面を、長手方向一方側の裏側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本開示の実施形態を説明する。以下で説明する形状、材料及び個数は、説明のための例示であって、郵便受けの仕様に応じて適宜変更することができる。以下ではすべての図面において同等の要素には同一の符号を付して説明する。また、本文中の説明においては、必要に応じてそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0011】
以下の説明及び図面で、Rは、郵便受けの正面側から見た場合の右側であり、Lは、同じく左側であり、Fは、郵便受けの正面側であり、Bは、郵便受けの裏側である。R及びLを結ぶ方向と、F及びBを結ぶ方向とは、互いに直交する。
【0012】
図1は、実施形態の郵便受け12を正面側から見た斜視図である。図2は、郵便受け12において、第2前扉16を取り外して示す斜視図である。図3は、図2から、カバー18を省略して郵便受け12を上側から見た斜視図である。図4は、郵便受け12において、第2前扉16を上げてから第1前扉14を開けて、さらにカバー18を開けた状態を上側から見た斜視図である。図5は、図4のA-A断面図である。図6は、図5の上部拡大図である。郵便受け12は、例えば戸建住宅等で使用される。例えば、郵便受け12は、住宅等の玄関の壁面、または門柱、または外塀の壁面に配置した状態で固定され、郵便物等の投函物100(図6)を受け取り可能である。投函物100の配達員は、郵便受け12の上部に設けられたカバー18を開けた状態で、投函口32(図3)から内側に投函物100を投函可能である。
【0013】
郵便受け12は、略直方体状で上方及び正面側Fが開口したポスト本体19と、ポスト本体19の上部に取り付けられた上部ユニット20と、上部ユニット20の上側に回動可能に取り付けられたカバー18とを備える。郵便受け12は、さらに、ポスト本体19の前側に回動可能に取り付けられた第1前扉14及び第2前扉16を備える。ポスト本体19は、例えば金属板により形成され、内側に収容部19aを有する。収容部19aは、投函口32から投函された投函物100を収容する略直方体の箱状である。図4のように、ポスト本体19の底板部19bには、複数の貫通孔19cが形成され、内部に雨水が入り込んだ場合でも、この貫通孔19cから雨水を下側に逃がして投函物が濡れたままになることを抑制する。
【0014】
カバー18は、後述の上部ユニット20の裏側B端の上部に取り付けられたヒンジH(図3)によって、上部ユニット20の上側を覆うように回動可能に取り付けられる。カバー18は、閉方向に回動した状態で投函口32を覆っている。第1前扉14は、ポスト本体19の正面側Fの開口19d(図4)を塞ぐように、ポスト本体19に、正面側F端の下端部で左右方向に沿った軸(図示せず)を中心に回動可能に取り付けられる。第2前扉16は、図3のように、上部ユニット20の正面側F端の上部に支持された、左右方向に沿った軸Sを中心に回動可能に取り付けられる。第2前扉16は、投函物100の投函待ち状態で下方向に回動され、第1前扉14の正面の上部を覆っている。図4のように第2前扉16が上方向に回動された状態では、図2図3のように第1前扉14の上部に設けられたダイヤル錠Gが露出する。
【0015】
ダイヤル錠Gは、施錠状態で、第1前扉14の開方向への回動を阻止するために設けられる。ダイヤル錠Gの施錠状態では、ダイヤル錠Gの裏側B端部に設けられ、回転可能な突起Ga(図4)が、後述の上部ユニット20の正面側F端部の下端に係合する。これにより、第1前扉14は、正面側Fへの回動が禁止される。投函物100の受取人が郵便受け12から投函物100を取り出す場合には、第2前扉16を上げて、ダイヤル錠を露出させた状態で、ダイヤル錠Gを操作してダイヤル錠Gを解錠する。この状態で、ダイヤル錠Gの突起Gaと上部ユニット20との係合が解除される。この状態で、受取人は第1前扉14を正面側Fに開方向に回動させて、収容部19aから投函物を取り出す。
【0016】
図4図6のようにカバー18を上方向に回動した状態で、投函口32及びフラップ組51を有する後述の上部ユニット20が露出する。上部ユニット20は、ポスト本体19の上部でカバー18より内側に、ポスト本体19の上部の開口を塞ぐように取り付けられる。
【0017】
図7は、図3の上から見た斜視図である。図8は、図7の上側から見た図である。図7図8のように投函口32の下側は、フラップ組51でほぼ塞がれた状態となっているが、図8のように上方から見て、フラップ組51を構成する第1フラップ53及び第2フラップ55の間には、投函口32の左右方向に延びる隙間dが、投函口32の幅方向(図8の上下方向)中間部に形成される。これにより、検針票等の薄い紙やはがき、封筒などを投函口32から収容部19aにスムーズに投函しやすくなる。隙間dにおける、投函口32の幅方向についての長さは、0.5~10mm程度である。
【0018】
図9は、図7から投函口32及びフラップ組51を有する上部ユニット20を取り出して示す斜視図である。図10は、上部ユニット20の分解斜視図であって、一部を省略して示す図である。上部ユニット20は、上枠21と、上枠21の下側に組付けられた中枠31と、中枠31の下側に組付けられた下枠41と、第1軸60、第2軸62、及びフラップ組51とを含む。上枠21、中枠31、下枠41は、それぞれ全体が略矩形枠状に形成される。上枠21、中枠31、下枠41は、後述のフラップ組51と共に組み合わせた状態で、ポスト本体19に固定される。上枠21は、金属板等により形成される。上枠21の上面には、ヒンジHと、軸支持部材22とが固定される。上枠21には、左右方向に長い貫通孔23が形成され、貫通孔23の周縁部に、貫通孔23を取り囲むように上方に立設された筒状のリブ24が設けられる。このリブ24によって、後述のように、投函口32を通じて雨水が内部に入り込むことを抑制できる。
【0019】
中枠31は、複数の樹脂等で形成される部材が組み合わされて構成される。中枠31には、上下方向に貫通し左右方向に長い矩形状の投函口32が形成される。投函口32は、例えば長さが24cm、厚みが7cm、幅が17cm程度の大きい直方体状の投函物を通過可能な大きさである。投函口32は、上枠の貫通孔23とほぼ合致する。投函口32の周縁部には、投函口32を取り囲むように上方に立設された筒状のリブ34が設けられる。中枠のリブ34は、上枠のリブ24より高さが大きくなっており、上枠のリブ24の内側に嵌合される。
【0020】
下枠41は、樹脂の一体成型品であり、左右方向に長い略矩形の貫通孔42を有する矩形枠状に形成される。下枠41の貫通孔42の内周正面側F端と、内周裏側B端とのそれぞれの左右方向複数位置には、下側に開口したU字形の凹部を有する爪部43が形成される。
【0021】
正面側Fの爪部の凹部には第1軸60が係止され、裏側Bの爪部43の凹部には第2軸62が係止される。第1軸60及び第2軸62は、郵便受け12の正面側Fと裏側Bとに分かれて、それぞれ左右方向に沿って配置される。第1軸60及び第2軸62は、後述のフラップ組51を回動可能に支持するために設けられる。下枠41の正面側F端の左右方向の複数位置には、第1軸60の複数位置に固定された金具61(図11)を固定するための凹部(図示せず)が形成され、この凹部の下面に金具61を突き当てた状態で金具61を貫通したねじが下枠41にねじ止め結合される。下枠41の裏側B端の左右方向の複数位置には、第2軸62の複数位置に固定された金具63(図11)を固定するための凹部(図示せず)が形成され、この凹部の下面に金具63を突き当てた状態で金具63を貫通したねじが下枠41にねじ止め結合される。これにより、第1軸60は、下枠41において、投函口32の幅方向一方側に配置される。第2軸62は、下枠41において、投函口32の幅方向他方側に配置される。上枠21、中枠31、下枠41は、互いにねじ止め結合される。
【0022】
図11は、図10からフラップ組51と第1軸60及び第2軸62のみを取り出して上から見た斜視図である。図12は、図11の下側からみた斜視図である。図13は、図9の上部ユニット20のC-C断面を、長手方向一方側の下側から見た斜視図である。図14は、同じく上部ユニット20のC-C断面を正面下側から見た斜視図である。図15は、同じく上部ユニット20のC-C断面を、長手方向一方側の裏側Bから見た斜視図である。
【0023】
フラップ組51は、対向して2列に配列された第1フラップ53及び第2フラップ55により形成される。具体的には、第1軸60の長手方向複数位置には、複数の第1可動片54が左右方向に並んで回動可能に支持される。複数の第1可動片54は、第1フラップ53を形成する。第1可動片54は、略矩形板状のフラップ本体54aと、フラップ本体54aの上端部に形成された軸支持部54bとが一体形成される。フラップ本体54aは、上面及び下面のそれぞれで左右方向に沿って凹部と凸部とが交互に形成される。これにより、フラップ本体54aの上面、下面のそれぞれは凹凸形状を有する。軸支持部54bは、フラップ本体54aの左右方向中間部から正面側に曲げられて延びる連結板部54cと、連結板部54cの先端部から左右方向両側に延びた部分に形成され上側に開口する2つの略C字形の受け部54d(図12)とを有し、各受け部54dに第1軸60が嵌合される。これにより、第1可動片54の上端部の左右方向両端部に第1軸60が支持される。各第1可動片54は、例えば樹脂または金属により形成される。
【0024】
第1軸60の複数位置であって、各第1可動片54の上端部の2つの受け部54dで挟まれた部分には、コイルばねである第1付勢部材44が巻回支持される。図12図13に示すように、第1付勢部材44の一端部は第1可動片54の下面に押し付けられ、第1付勢部材44の他端部は、下枠41の内周壁面に押し付けられる。
【0025】
第1可動片54に外力が加わらない状態で、第1可動片54は、中枠31の投函口32の下側で、投函口32の幅方向中央に向かって下側に傾斜する方向に延伸される。この状態で、図15に示すように、第1可動片54の連結板部54cが、中枠31の下面で投函口32を取り囲むように下方に突出した筒状のリブ35の下端に押し付けられることで、第1可動片54の鉛直方向に対する傾斜角度が規制される。これにより、第1可動片54は、後述の第2可動片56と共に、投函口32と、ポスト本体19の収容部19aとの間を開閉可能に塞ぐ。このため、第1可動片54は、投函口32と収容部19aとの間を閉鎖する方向に付勢される。すなわち、第1可動片54は、外力が加わらない状態で、投函口32と収容部19aとの間の閉鎖を維持するように第1付勢部材44により付勢される。
【0026】
一方、第2軸62の長手方向複数位置には、複数の第2可動片56が左右方向に並んで回動可能に支持される。複数の第2可動片56は、第2フラップ55を形成する。第2可動片56の形状は、第1可動片54と同様であり、第2可動片56が向く方向は、第1可動片54が向く方向に対し投函口32の幅方向について逆である。すなわち、第2可動片56は、フラップ本体56aと軸支持部56bとを有する。軸支持部56bは、連結板部56cと、連結板部56cの左右方向両端部に連結された2つのC字形の受け部56dとを有する。各受け部56dに第2軸62が嵌合される。各第2可動片56は、例えば樹脂または金属により形成される。
【0027】
第2軸62の複数位置であって、第2可動片56の2つの受け部56dで挟まれた部分には、コイルばねである第2付勢部材46が巻回支持される。図12図14に示すように、第2付勢部材46の一端部は第2可動片56の下面に押し付けられ、第2付勢部材46の他端部は、下枠41の内周壁面に押し付けられる。
【0028】
第2可動片56に外力が加わらない状態で、第2可動片56は、中枠31の投函口32の下側で投函口32の幅方向中央に向かって下側に傾斜する方向に延伸される。この状態で、図15に示すように、第2可動片56の連結板部56cが、中枠31のリブ35の下端に押し付けられることで、第2可動片56の鉛直方向に対する傾斜角度が規制される。これにより、第2可動片56は、第1可動片54と共に投函口32と、ポスト本体19の収容部19aとの間を開閉可能に塞ぐ。このため、第2可動片56は、投函口32と収容部19aとの間を閉鎖する方向に付勢される。すなわち、第2可動片56は、外力が加わらない状態で、投函口32と収容部19aとの間の閉鎖を維持するように第2付勢部材46により付勢される。この状態で、上記のように第1フラップ53と第2フラップ55との間には、図6図8に示すように、上方から見て隙間dが形成される。
【0029】
第1フラップ53の各第1可動片54は、第1軸60を中心に独立して回動可能である。第2フラップ55の各第2可動片56は、第2軸62を中心に独立して回動可能である。さらに、第1軸60及び第2軸62は、投函口32より下側で、投函口32の内側範囲と投函方向(下方向)に重ならない位置に配置される。
【0030】
上記の郵便受け12では、配達員による投函口32への投函物100の投函時に、フラップ組51が上側から投函物100によって押されると、各可動片54,56が第1軸60または第2軸62を中心に収容部19a側(図6の矢印α方向)に回動する。そして、各可動片54,56が収容部19a側に回動した状態で投函物100を収容部19aに落下させることができる。投函物100が落下した後、各可動片54,56は、各付勢部材44、46(図6等)によって閉鎖方向に回動してそれぞれ下向きに傾斜するように延伸した状態で先端が投函口32の幅方向に対向し、隙間dが形成される。
【0031】
一方、投函物100を盗もうとする者が外部から投函口32に手を入れて、収容部19aから投函物100を引き抜こうとした場合には、手で押し込んでいるフラップ53,55の可動片54,56とは異なる可動片54,56は閉鎖したままの状態となるので、手より大きな投函物100は、閉じた可動片54,56に突き当たって、投函口32からの投函物100の取り出しが防止される。
【0032】
さらに、第1フラップ53及び第2フラップ55は、投函口32の幅方向について互いに対向する側に向かって、下方に傾斜するように延伸されているので、防犯性をより高くでき、かつ郵便物を投函しやすくなり、かつ郵便受け12の強度を高くできる。具体的には、投函口32から内側に手を入れて、投函物100を引き抜こうとする際に、各フラップ53,55が下向きなので、手や投函物100がフラップ53,55に引っ掛かりやすくなることで、投函物100が取り出しにくくなる。また、各フラップ53,55が下向きであるので、はがきや封書などの軽量な郵便物を投函口32から収容部19aにスムーズに投函しやすくなる。さらに、各フラップ53,55が下向きに傾斜しているので、各フラップ53,55の上側に対向する部分である、上部ユニット20の他の部分、例えば中枠31との当接部に鉛直方向上向きに加わる力は、各フラップ53,55の下端に上向きに加わる力に対して、各フラップ53,55の傾斜角度に応じた分力となる。このため、本例の場合に、各フラップ53,55と中枠31との当接部に鉛直方向上向きに加わる力は、各フラップが投函口32の幅方向に沿って延出して互いに対向する構成で、各フラップの先端に上向きに力が加わった場合に比べて小さくなる。このため、中枠31が大きな力で上側に曲げられることを抑制できるので、中枠31を破損させる可能性を低くできる。したがって、郵便受け12の強度を高くできる。
【0033】
さらに、投函口32を取り囲むように上方に立設されたリブ24が設けられるので、投函口32を通じて雨水が内部に入り込むことを抑制できる。さらに、第1軸60及び第2軸62は、投函口32より下側で、投函口32の内側範囲と投函方向に重ならない位置に配置される。これにより、投函口32内で投函物100が通過可能な部分の大きさが、第1軸60及び第2軸62の存在によって小さくなることがない。このため、郵便受け12に投函可能な投函物100を大きくしやすくなる。
【0034】
さらに、複数の第1可動片54、及び、複数の第2可動片56はそれぞれ独立して回動可能であるので、第1フラップ53及び第2フラップ55のそれぞれで、投函物100の引き抜き時に、手で押し込むことにより下側に開いている可動片と、閉鎖状態の可動片とが混在する。これにより、投函物100を収容部19aから、より引き抜きにくくなるので、防犯性をより高くできる。
【0035】
さらに、各フラップ53,55は、上面が凹凸形状を有するので、各フラップ53,55の剛性を高くできる。また、投函口32を覆うカバー18が設けられるので、投函口32が郵便受け12の上部に設けられ、その投函方向が下方向であるのにもかかわらず、待ち受け時にはその投函口32をカバー18で覆って、雨水が投函口32を通じて内部に入り込むことを抑制できる。
【0036】
なお、上記では、付勢部材44,46としてコイルバネを用いた場合を説明したが、これに限定するものではなく、付勢部材は、フラップの可動片を投函口32の閉鎖方向に付勢する板バネや、ゴム等の弾性部材としてもよい。
【0037】
また、上記の実施形態では第1フラップ53及び第2フラップ55の両方が、複数の可動片54,56を有する場合を説明したが、第1フラップ及び第2フラップの一方のみが、複数の可動片を有する構成としてもよい。
【0038】
また、上記の実施形態において、第1フラップ及び第2フラップの一方が他方よりも長くなり、他方のフラップの先端部の下側に、一方のフラップの先端部が配置されることで、両フラップの先端部が上下方向に重畳してもよい。この場合には、第1フラップ及び第2フラップは、投函方向に対向する。
【0039】
また、上記の各例では、フラップ組51を支持する第1軸60及び第2軸62を、ポスト本体19に固定した上部ユニット20に支持する場合を説明したが、第1軸60及び第2軸62は、ポスト本体に直接支持されてもよい。このとき、ポスト本体の上部に直接に投函口が形成されてもよい。
【符号の説明】
【0040】
12 郵便受け、14 第1前扉、16 第2前扉、18 カバー、19 ポスト本体、19a 収容部、19b 底板部、20 上部ユニット、21 上枠、22 軸支持部材、23 貫通孔、24 リブ、31 中枠、32 投函口、34,35 リブ、41 下枠、42 貫通孔、43 爪部、44 第1付勢部材、46 第2付勢部材、51 フラップ組、53 第1フラップ、54 第1可動片、54a フラップ本体、54b 軸支持部、54c 連結板部、54d 受け部、55 第2フラップ、56 第2可動片、56a フラップ本体、56b 軸支持部、56c 連結板部、56d 受け部、61,63 金具、100 投函物。
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