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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】冷媒センサユニット
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/36 20180101AFI20241004BHJP
   F24F 11/526 20180101ALI20241004BHJP
   F24F 11/89 20180101ALI20241004BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
F24F11/36
F24F11/526
F24F11/89
F25B49/02 520M
F25B49/02 570Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021028793
(22)【出願日】2021-02-25
(65)【公開番号】P2022129916
(43)【公開日】2022-09-06
【審査請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 陽一
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-84656(JP,A)
【文献】特開2020-34252(JP,A)
【文献】特開2020-134033(JP,A)
【文献】国際公開第2018/163417(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
F25B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和装置の被空調空間である室内空間の壁面に取り付けられる筐体と、
前記筐体の内部に収められる冷媒センサと
前記冷媒センサが設けられるセンサ基板と、
前記冷媒センサが冷媒を検知したことを報知可能な報知素子と、
前記報知素子が取り付けられた報知素子基板と、を備え、
前記筐体の前面を形成する第1側壁には、前記筐体の内部と外部とを連通させる複数の第1開口が設けられ、前記複数の第1開口は、前記冷媒センサに隣接し、且つ前記冷媒センサ及び前記センサ基板に対向しない位置に設けられ
前記センサ基板は、前記報知素子基板とは別体であり、前記報知素子基板と電気的に接続される
ことを特徴とする冷媒センサユニット。
【請求項2】
前記筐体は、前記センサ基板を係合リブにより固定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の冷媒センサユニット。
【請求項3】
前記第1側壁と異なる第2側壁には、第2開口が設けられ、
前記第2開口は、前記冷媒センサに隣接し、且つ対向しない位置に設けられ、
前記第2側壁は、前記筐体が前記壁面に取り付けられる場合に、前記筐体の底面、または一側面となる位置に配置される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷媒センサユニット。
【請求項4】
前記第1側壁と、前記第2側壁と、異なる第3側壁には、第3開口が設けられ、
前記第3開口は、前記冷媒センサに隣接し、且つ対向しない位置に設けられ、
前記第3側壁は、前記筐体の底面、または一側面となる位置に配置される
ことを特徴とする請求項に記載の冷媒センサユニット。
【請求項5】
前記筐体は、前記壁面に取り付けられる場合に、前記第2側壁と、前記第3側壁との少なくともいずれか一方が底面に配置可能に形成され、
前記冷媒センサは、前記第2側壁と、前記第3側壁との少なくともいずれか一方に接近した位置に配置される
ことを特徴とする請求項に記載の冷媒センサユニット。
【請求項6】
前記筐体は、前記壁面に取り付けられる場合に、前記第2側壁と、前記第3側壁とのいずれもが底面に配置可能に形成され、
前記冷媒センサは、前記第2側壁と、前記第3側壁との少なくともいずれか一方に接近した位置に配置される
ことを特徴とする請求項に記載の冷媒センサユニット。
【請求項7】
前記筐体には、報知音を鳴らすブザー装置が設けられ、
前記ブザー装置は、前記報知素子と、前記報知素子基板と、を備え、
前記筐体には、前記筐体の内部と外部とを連通させ、前記報知音を前記筐体の外部に放出する放音孔が設けられ、
前記放音孔は、前記ブザー装置に隣接し、且つ対向しない位置に設けられる
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の冷媒センサユニット。
【請求項8】
前記筐体には、前記ブザー装置と、前記放音孔とを連通させ、前記報知音が流れる空洞部が設けられる
ことを特徴とする請求項に記載の冷媒センサユニット。
【請求項9】
前記筐体の一側面には、薄いシート部材が貼り付けられ、
前記一側面には、凹部が設けられ、
前記凹部は、前記ブザー装置に隣接する位置に配置され、
前記空洞部は、前記凹部と、前記凹部を覆う前記シート部材で形成される
ことを特徴とする請求項に記載の冷媒センサユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒センサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、複数の室内に漏洩した冷媒を、検知対象の室数よりも少ないセンサで検知可能にする冷媒検知装置を開示する。この冷媒検知装置は、空気調和装置の冷媒配管内に封入される冷媒を検知可能なセンサと、センサが内部に収容されたケーシングと、を備える。ケーシングには、室の内部に連通可能な第1の開口と、第1の開口が連通可能な質の内部に連通可能な第2の開口と、が形成される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2018/163417号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、冷媒センサの作動不良の発生を抑制できる冷媒センサユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における冷媒センサユニットは、空気調和装置の被空調空間である室内空間の壁面に取り付けられる筐体と、前記筐体の内部に収められる冷媒センサと、前記冷媒センサが設けられるセンサ基板と、前記冷媒センサが冷媒を検知したことを報知可能な報知素子と、前記報知素子が取り付けられた報知素子基板と、を備え、前記筐体の前面を形成する第1側壁には、前記筐体の内部と外部とを連通させる複数の第1開口が設けられ、前記複数の第1開口は、前記冷媒センサに隣接し、且つ前記冷媒センサ及び前記センサ基板に対向しない位置に設けられ、前記センサ基板は、前記報知素子基板とは別体であり、前記報知素子基板と電気的に接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本開示における冷媒センサユニットでは、第1開口を通過する静電気が、冷媒センサに放電することを抑制できる。そのため、冷媒センサの作動不良を抑制できる。また、冷媒センサを第1開口の近傍に設けることで、漏洩冷媒を迅速に検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施の形態に係る冷媒センサユニットの配置状態を示す図
図2】冷媒センサユニットの斜視図
図3】シート部材を省略して示した冷媒センサユニットの斜視図
図4】冷媒センサユニットの背面図
図5図2の平面Vで切断した断面図
図6図2の平面VIで切断した断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明者らが本開示に想到するに至った当時、空気調和装置の被調和空間である室内に漏洩した冷媒を、冷媒センサで検知可能にする冷媒センサユニットがあった。
このような冷媒センサユニットには、被調和空間に設置される所謂外付け方式のものがある。この冷媒センサユニットは、空気調和装置の室内機の制御部に電気的に接続される。
また、この冷媒センサユニットは、冷媒センサと、当該冷媒センサを保護する筐体と、を備る、そして、筐体には、冷媒センサが冷媒を検知可能となるように、筐体外部と冷媒センサとを連通させる開口が設けられる。
【0009】
しかしながら、被調和空間は、人が存在することがあり、当該人が指や各種の物体等を冷媒センサユニットに接近させる場合がある。冷媒センサユニットに接近した指や各種の物体が静電気を帯びた場合には、筐体に設けられた開口を介して、静電気が冷媒センサに放電される虞がある。これによって、当該冷媒センサが作動不良を起こす虞がある、という課題を発明者らは、発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
そこで本開示は、冷媒センサの作動不良の発生を抑制できる冷媒センサユニットを提供する。
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図しない。
【0010】
(実施の形態)
以下、図1から図6を用いて、実施の形態1を説明する。なお、各図に示す符号FRは、横置き状態における冷媒センサユニット10の前方を示し、符号UPは、冷媒センサユニットの上方を示し、符号RHは、冷媒センサユニットの右方を示す。以下の説明において、各方向は、これらの冷媒センサユニット10の方向に沿った方向である。
【0011】
[1-1.構成]
図1は、本実施の形態に係る冷媒センサユニット10の配置状態を示す図である。
本実施の形態の冷媒センサユニット10は、空気調和装置1が備える冷媒漏洩検知ユニットである。
本実施の形態の空気調和装置1は、室内機である室内ユニット5に収められた熱交換器と、室外ユニットに収められた圧縮機や電子膨張弁等の減圧装置、室外機が備える室外熱交換器等で形成された冷凍サイクルを備える。空気調和装置1では、この冷凍サイクルに冷媒を流通させることで、被調和空間である室内空間100の空調を行う。室内空間100は、人が利用する空間である。
【0012】
図1に示すように、室内空間100の壁面101には、室内ユニット5の吹き出し口6が設けられる。吹き出し口6からは、室内空間100の空気調和装置1によって空気調和された空気が噴き出される。
【0013】
空気調和装置1は、制御部を備える。制御部は、CPUやMPUなどのプロセッサと、ROMやRAMなどのメモリデバイスとを有したコンピュータを備える。
制御部は、信号線を介して、室外機や、室内ユニット5等の冷凍サイクルを形成する各部、及び冷媒センサユニット10等と接続される。制御部は、信号線を介して、空気調和装置1の各部から送信された各種の信号を受信し、また、制御部から空気調和装置1の各部に信号を送信する。これによって、制御部は、空気調和装置1の各部の運転を制御する。
なお、制御部と、空気調和装置1の各部は、信号線等の有線に限らず、通信部を介した無線によって接続されてもよい。
【0014】
制御部には、信号線を介して、リモコンや操作パネル等で構成される操作部7が接続される。本実施の形態の操作部7は、室内空間100の壁面101に取り付けられる。
操作部7には、表示パネルが設けられる。表示パネルには、操作部7の操作状態や、空気調和装置1の運転状態が表示される。
操作部7は、温度設定等を入力可能である。すなわち、操作部7は、入力部として機能する。
【0015】
本実施の形態において、室内ユニット5を含む空気調和装置1で使用される冷媒は、例えば、R410Aや、R32等を含む混合冷媒等の微燃性、あるいは可燃性を有した冷媒である。これらの冷媒には、微燃性あるいは可燃性のものがある。微燃性あるいは可燃性の冷媒が漏洩した場合には、室内空間100の冷媒濃度が燃焼下限界(LFL:Lower Flammability Limit)に達しないように、冷媒の漏洩量を抑制することが求められる。特に、室内空間100、またはその近傍に設置される室内ユニット5からの冷媒の漏洩量を抑えることが望まれる。
また、空気調和装置1に用いられるこれらの冷媒は、空気より比重の大きい気体である。
【0016】
室内ユニット5の近傍には、冷媒センサユニット10が配置される。冷媒センサユニット10は、室内空間100冷媒の濃度を検知して、報知音を発して室内空間100にいる人に冷媒の漏洩を報知する。
また、冷媒センサユニット10は、室内空間100冷媒の濃度を検知して、信号線を介して、検知信号を制御部に送信する。本実施の形態の冷媒センサユニット10は、操作部7を介して、制御部に接続される。
さらに、冷媒センサユニット10は、信号線を介して、管理センタ等の空気調和装置1の外部との信号の送受信を実施することが可能である。例えば、冷媒センサユニット10は、室内空間100冷媒の濃度を検知して、信号線を介して、検知信号を管理センタに送信することが可能である。
【0017】
冷媒センサユニット10は、壁面101に取り付けられる。
上述の通り、空気調和装置1が使用する冷媒が空気より比重の大きい気体である場合、冷媒センサユニット10は、室内空間100の下部に設置されることが望ましい。
本実施の冷媒センサユニット10は、室内空間100の床面102から30cm程度の位置に取り付けられる。
【0018】
冷媒センサユニット10には、壁面101に設けられたコンセントボックス105を介して、商用電源から電力が供給される。
具体的には、前面パネルが取り外されたコンセントボックス105の前面に取り付けられ、当該コンセントボックス105に引き回された給電線に電気的に接続される。これによって、冷媒センサユニット10は、駆動する。
【0019】
図2は、冷媒センサユニット10の斜視図である。
図2に示すように、冷媒センサユニット10は、筐体12を備える。この筐体12は、内部空間13(図5)が設けられた扁平な直方体状に形成される。冷媒センサユニット10が室内空間100に取り付けられる場合、筐体12は、各側面の内の最も大きな平面を有する背面壁20が壁面101に対向するように配置されて当該壁面101に取り付けられる。この場合、背面壁20の反対側に位置する第1側壁22が室内空間100に向かって配置される。すなわち、第1側壁22は、筐体12の前面に配置される。
【0020】
冷媒センサユニット10は、筐体12の長手方向が水平方向に沿うように壁面101に取り付けられる。以下、このように取り付けられた冷媒センサユニット10を横置き状態という。
冷媒センサユニット10が横置き状態の場合、筐体12の長手方向に位置する一対の第2側壁26が側面となる位置に配置され、筐体12が有する一対の第3側壁28の一方が筐体12の底面となる位置に配置される。
【0021】
また、これに限らず、冷媒センサユニット10は、筐体12の長手方向に直交する方向(各図における上下方向)が水平方向に沿うように、壁面101に取り付け可能に形成される。以下、このように取り付けられた冷媒センサユニット10を縦置き状態という。
これによって、冷媒センサユニット10は、コンセントボックス105の形状や、室内空間100の状態に応じて、取り付け状態を変更可能である。
【0022】
冷媒センサユニット10が縦置き状態の場合、筐体12の長手方向に直交する方向に位置する一対の第3側壁28が側面となる位置に配置され、筐体12が有する一対の第2側壁26の一方が筐体12の底面となる位置に配置される。
【0023】
筐体12の第1側壁22の略中央には、薄いシート部材14が貼り付けられる。本実施形態のシート部材14は、樹脂製で0.2mm程度厚さを有する。なおこれに限らず、シート部材14は、冷媒センサユニット10が所定量の報知音を発することが可能であれば、どのような材料、及び厚さであってもよい。
シート部材14の略中央には、貫通孔である2つの放音孔40が並べて設けられる。
【0024】
図3は、シート部材14を省略して示した冷媒センサユニット10の斜視図である。
図2図3に示すように、第1側壁22には、貫通孔である一対の第1開口30が設けられる。これらの第1開口30は、第1側壁22、及びシート部材14を貫通して設けられる。すなわち、これらの第1開口30は、シート部材14が貼り付けられた状態で、筐体12の内部空間13と、外部とを連通させる。
一対の第1開口30は、筐体12の上下方向に沿って所定の間隔を空けて配置される。また、これらの第1開口30は、一方の第2側壁26に接近した位置に設けられる。
【0025】
第1側壁22の略中央には、矩形の貫通孔である挿通孔32が設けられる。この挿通孔32は、筐体12の内部空間13と、外部とを連通させる。
第1側壁22において、挿通孔32に隣り合う位置には、凹部34が設けられる。この凹部34は、第1側壁22の外表面から、所定の深さ寸法で筐体12の内部空間13側に窪む溝形状を有する。凹部34は、一方の端部が挿通孔32に連結され、当該挿通孔32から第1側壁22の長手方向に沿って所定の長さ寸法で延びて形成される。
【0026】
挿通孔32と、凹部34とは、いずれもシート部材14によって、筐体12の前面側から被覆される。すなわち、第1側壁22には、凹部34がシート部材14によって被覆されることで形成された空洞部36が設けられる。
また、凹部34の他方の端部の前面側には、2つの放音孔40が配置される。このため、筐体12の内部空間13は、挿通孔32と、空洞部36と、放音孔40とによって、筐体12の外部に連通される。
【0027】
図4は、冷媒センサユニット10の背面図である。
一方の第2側壁26には、貫通孔である一対の第2開口31が設けられる。これらの第2開口31は、筐体12の内部空間13と、外部とを連通させる。
一対の第2開口31は、筐体12の上下方向に沿って所定の間隔を空けて配置される。
詳述すると、本実施の形態において、一対の第2開口31は、一方の第2側壁26と、筐体12の背面を形成する背面壁20とで形成される筐体12の角部に設けられる。すなわち、一対の第2開口31は、図2図4に示すように、冷媒センサユニット10が横置き状態において、筐体12の一方の側面と、背面とに向かって開口する。
上述の通り、これらの第2開口31が設けられる一方の第2側壁26には、一対の第1開口30が接近して設けられる。
【0028】
背面壁20の略中央には、給電線や、信号線等の各種の配線が挿通される配線挿通孔35が設けられる。
また、背面壁20には、複数の取付孔37が設けられる。この取付孔37は、筐体12をコンセントボックス105に取り付けるためのものである。筐体12は、取付孔37に挿通されたねじ等の締結部材をコンセントボックス105のねじ孔等の締結部に締結させることで、当該コンセントボックスに取り付けられる。
【0029】
これらの取付孔37は、寸法公差や冷媒センサユニット10の配置位置の状態に対応するため、いずれも長孔形状に形成される。
加えて、複数の取付孔37は、冷媒センサユニット10が縦置き状態、及び横置き状態のいずれの状態でも配置可能となるように設けられる。
【0030】
さらに、背面壁20には、異なるコンセントボックス105の規格のねじ孔のいずれにも対応するため、配置位置、及び形状が互いに異なる複数の取付孔37が設けられる。
例えば、図4に示すように、各取付孔38は、ドイツやフランス、スペイン等におけるコンセントボックス105の規格のねじ孔に対応するものである。また、各取付孔39は、イタリアにおけるコンセントボックス105の規格のねじ孔に対応するものである。
なお、図4に示す各取付孔37は、一例であり、これに限らず所定の規格に応じた配置位置、及び形状で形成されてもよい。
【0031】
図5は、図2の平面Vで切断した断面図である。図6は、図2の平面VIで切断した断面図である。なお、図6では、シート部材14を省略して示す。
図5図6に示すように、筐体12には、内部空間13が設けられる。
【0032】
内部空間13は、背面壁20と、第1側壁22とから起立して設けられるリブ21、23が設けられる。これらのリブ21、23は、いずれも筐体12の上下方向に沿って延びる。これらのリブ21、23のそれぞれが有する端部は、互いに当接する。このため、内部空間13は、これらのリブ21、23によって、筐体12の長手方向に沿って2つの空間に分けられる。
各リブ21、23は、筐体12の長手方向に直交する方向における略中央において、所定の幅寸法でいずれも途切れている。これによって、リブ21、23によって分けられた2つの空間を連通させる矩形の連通開口19が設けられる。
【0033】
これらのリブ21、23は、いずれも筐体12の長手方向における中央よりも一方の第2側壁26に接近した位置に配置される。このため、内部空間13は、これらのリブ21、23によって、筐体12の長手方向に沿って、大小2つの空間に分けられる。
以下、より小さい空間、すなわち一方の第2側壁26側に位置する空間をセンサ室15という。また、より大きい空間、すなわち他方の第2側壁26側に位置する空間を制御室17という。
【0034】
制御室17には、制御ユニット18が設けられる。この制御ユニット18は、平板状の回路基板50と、当該回路基板50に実装された各種の電子部品とを備える。
回路基板50は、平面が背面壁20、及び第1側壁22に対向した状態で制御室17に配置される。本実施の形態では、回路基板50は、ねじ部材等の締結部材によって、第1側壁22から所定の間隔を空けて、当該第1側壁22に固定される。
【0035】
この回路基板50の背面壁20側の面には、絶縁シート52が設けられる。これより、冷媒センサユニット10のメンテナンス作業時に、作業者が回路基板50に触れて、当該回路基板50に放電されることが抑制される。
この他に、回路基板50の背面壁20側の面には、信号線が接続される端子台54やCPU等が設けられる。
【0036】
回路基板50の第1側壁22側の面には、ブザー装置56が設けられる。ブザー装置56は、報知音を発する電子部品である。このブザー装置56は、扁平な直方体形状を有し、挿通孔32に挿通される。挿通孔32に挿通されたブザー装置56の上面は、筐体12の前面視でシート部材14に覆われ、且つ当該シート部材14から離間して配置される。
【0037】
センサ室15には、検知ユニット16が収められる。検知ユニット16は、冷媒センサ60と、当該冷媒センサ60が実装されるセンサ基板62と、当該センサ基板62から延びる接続端子64とを備える。
【0038】
冷媒センサ60は、冷媒を検知するセンサ部品である。この冷媒センサ60は、円柱形状を有し、平板状のセンサ基板62の上面から、長手方向が起立するように当該センサ基板62に設けられる。
【0039】
センサ基板62は、平面が背面壁20、及び第1側壁22に対向した状態でセンサ室15に配置される。本実施の形態では、センサ基板62は、第1側壁22から起立して設けられた複数の係合リブ25に係合することで、第1側壁22から所定の間隔を空けて、当該第1側壁22に固定される。この場合、センサ基板62から起立する冷媒センサ60の端部は、第1側壁22から所定の間隔を空けて配置される。
接続端子64は、センサ基板62の端部から制御室17に向かって延び、連通開口19を介して、回路基板50に接続される。これによって、検知ユニット16は、制御ユニット18に電気的に接続される。
【0040】
上述した一対の第1開口30と、一対の第2開口31とは、筐体12において、いずれもセンサ室15に対応する位置に設けられる。すなわち、一対の第1開口30と、一対の第2開口31とは、センサ室15と、筐体12の外部とを連通させる。
【0041】
冷媒センサ60と、センサ基板62とは、筐体12の長手方向に直交する方向において、当該筐体12の前面視で、一対の第1開口30の間に配置される。すなわち、冷媒センサ60と、センサ基板62とは、一対の第1開口30のいずれとも対向しない位置に配置される。
また、冷媒センサ60と、センサ基板62とは、筐体12の長手方向において、当該筐体12の前面視で、一対の第1開口30と略同一の位置に配置される。すなわち、冷媒センサ60と、センサ基板62と、一対の第1開口30とは、筐体12の長手方向に直交する方向において、同一直線上に配置される。このため、冷媒センサ60は、一対の第1開口30に隣接して配置される。
【0042】
冷媒センサ60と、センサ基板62とは、筐体12の長手方向に直交する方向において、当該筐体12の側面視で、一対の第2開口31の間に配置される。すなわち、冷媒センサ60と、センサ基板62とは、一対の第2開口31のいずれとも対向しない位置に配置される。
また、上述の通り、一対の第2開口31とは、筐体12において、いずれもセンサ室15に対応する位置に設けられるため、冷媒センサ60は、一対の第2開口31に隣接して配置される。
【0043】
[1-2.動作]
以上のように構成された冷媒センサユニット10について、その動作を以下説明する。
空気調和装置1では、室内ユニット5を介して、室内空間100に漏洩する場合がある。本実施の形態において、空気調和装置1で使用される冷媒は、空気より比重の大きい気体であるため、室内空間100に漏洩した冷媒は、床面102に堆積するように、室内空間100に滞留する。室内空間100に冷媒が継続して漏洩すると、床面102に滞留した冷媒は、やがて各第1開口30や各第2開口31を介して、冷媒センサユニット10のセンサ室15に流れ込む。
【0044】
冷媒センサ60は、センサ室15に流れ込んだ冷媒の濃度を検知する。冷媒センサユニット10は、冷媒センサ60が検知した冷媒の濃度が所定値以上となった場合、ブザー装置56を駆動させる。ブザー装置56が駆動すると、報知音が発され、これによって、冷媒センサユニット10が室内空間100にいる人に冷媒の漏洩を報知する。
【0045】
また、冷媒センサユニット10は、室内空間100冷媒の濃度を検知して、信号線を介して、検知信号を制御部に送信する。制御部は、検知信号を受信すると、例えば操作部7の表示パネルに所定の表示をさせる、あるいは室内ユニット5に送風運転を実施させる等、冷媒漏洩対策に係る運転を空気調和装置1の各部に実施させる。これによって、空気調和装置1は、室内空間100における冷媒濃度の上昇の抑制を図る。
【0046】
なお、制御部は、冷媒センサユニット10からの検知信号を受信して、室内空間100において、冷媒漏洩が生じているか否かを判定してもよい。さらに、制御部は、ブザー装置56を制御してもよい。
また、冷媒センサユニット10は、室内空間100において、冷媒漏洩が生じているか否かを判定してもよい。さらに、冷媒センサユニット10は、操作部7の表示パネルに所定の表示をさせる、あるいは室内ユニット5に送風運転等を実施させる等を実行可能であってもよい。
【0047】
上述の通り、冷媒センサユニット10において、冷媒センサ60と、センサ基板62とは、一対の第1開口30のいずれとも対向せず、且つ一対の第1開口30に隣接する位置に配置される。
これによって、室内空間100利用する人が静電気を帯びた指や各種の物体等を冷媒センサユニット10に接近させた場合であっても、一対の第1開口30を介して、静電気が冷媒センサ60と、センサ基板62とに放電されることが抑制される。このため、冷媒センサユニット10が室内空間100に配置される場合であっても、冷媒センサユニット10が作動不良を起こすことが抑制される。
【0048】
同様に、冷媒センサユニット10において、冷媒センサ60と、センサ基板62とは、一対の第2開口31のいずれとも対向せず、且つ一対の第2開口31に隣接する位置に配置される。
これによって、一対の第2開口31を介して、静電気が冷媒センサ60と、センサ基板62とに放電されることが抑制される。
【0049】
また、上述のように、冷媒センサユニット10は、縦置き状態で壁面101に取り付け可能に形成される。この場合、一方の第2側壁26が筐体12の底面となる位置に配置される。すなわち、一対の第2開口31が筐体12の底面となる位置に配置される。これによって、床面102に滞留した冷媒がより迅速にセンサ室15に流れ込み、冷媒センサ60は、より迅速に冷媒の漏洩を検知することが可能となる。
さらに、一対の第2開口31は、下方に向かって配置されるため、これらの第2開口31から、ごみや埃等が内部空間13に入り込むことが抑制される。
【0050】
上述のように、ブザー装置56が駆動すると、当該ブザー装置56が発した報知音は、空洞部36を伝って、2つの放音孔40から筐体12の外部に発せられる。すなわち、空洞部36は、ブザー装置56の報知音の流路として機能する。
また、凹部34、及びブザー装置56は、薄いシート部材14によって覆われるため、ブザー装置56が発した報知音の一部は、シート部材14を透過して筐体12の外部に発せられる。このため、冷媒センサユニット10は、十分な音量で報知音を発することが可能である。
【0051】
さらに、冷媒センサユニット10において、ブザー装置56は、2つの放音孔40のいずれとも対向せず、且つ各放音孔40に隣接する位置に配置される。
これによって、2つの放音孔40を介して、静電気がブザー装置56に放電されることが抑制される。
【0052】
筐体12の内部空間13は、リブ21、23によって、センサ室15と制御室17とに仕切られる。これによって、冷媒センサ60の周辺の空間がセンサ室15に限定され、各第1開口30や各第2開口31を介して流れ込んだ冷媒濃度が上昇し易くなる。このため、内部空間13に冷媒が流れ込んだ場合に、冷媒センサ60は、迅速に冷媒の漏洩を検知することが可能となる。加えて、内部空間13に冷媒が流れ込んだ場合に、回路基板50に冷媒が接することが抑制される。
【0053】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、冷媒センサユニット10は、空気調和装置1の被空調空間である室内空間100の壁面101に取り付けられる筐体12と、筐体12の内部に収められる冷媒センサ60とを備える。そして、筐体12の一側面を形成する第1側壁22には、筐体12の内部と外部とを連通させる第1開口30が設けられ、第1開口30は、冷媒センサ60に隣接し、且つ対向しない位置に設けられる。
【0054】
これにより、一対の第1開口30を介して、静電気が冷媒センサ60と、センサ基板62とに放電されることが抑制される。そのため、冷媒センサユニット10が室内空間100に配置される場合であっても、冷媒センサ60が作動不良を起こすことが抑制される。
【0055】
また、本実施形態によれば、第1側壁22と異なる第2側壁26には、第2開口31が設けられる。第2開口31は、冷媒センサ60に隣接し、且つ対向しない位置に設けられ、第2側壁26は、筐体12が壁面101に取り付けられる場合に、筐体12の底面、または一側面となる位置に配置されるようにしてもよい。
これにより、冷媒センサユニット10は、コンセントボックス105の形状や、室内空間100の状態に応じて、取り付け状態を変更可能である。そのため、冷媒センサユニット10は、より多様な取り付け状態に対応可能であると共に、より確実に冷媒漏洩を検知可能に取り付けることができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、筐体12には、報知音を鳴らすブザー装置56が設けられ、筐体12には、筐体12の内部と外部とを連通させ、報知音を筐体12の外部に放出する放音孔40が設けられ、放音孔40は、ブザー装置56に隣接し、且つ対向しない位置に設けられるようにしてもよい。
これにより、2つの放音孔40を介して、静電気がブザー装置56に放電されることが抑制される。そのため、冷媒センサユニット10が室内空間100に配置される場合であっても、ブザー装置56が作動不良を起こすことが抑制される。
【0057】
また、本実施形態によれば、筐体12には、ブザー装置56と、放音孔40とを連通させ、報知音が流れる空洞部36が設けられるようにしてもよい。
これにより、ブザー装置56は、放音孔40に隣接し、且つ対向しない位置に設けられる。そのため、2つの放音孔40を介して、静電気がブザー装置56に放電されることが抑制される。
【0058】
また、本実施形態によれば、筐体12の第1側壁22には、薄いシート部材14が貼り付けられ、第1側壁22には、凹部34が設けられる。凹部34は、ブザー装置56に隣接する位置に配置され、空洞部36は、凹部34と、凹部34を覆うシート部材14で形成されるようにしてもよい。
これにより、ブザー装置56が発した報知音の一部は、シート部材14を透過して筐体12の外部に発せられる。そのため、冷媒センサユニット10は、十分な音量で報知音を発することが可能である。
【0059】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、上記実施の形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0060】
上記実施の形態では、第1側壁22と、一方の第2側壁26と、のそれぞれに一対の第1開口30や一対の第2開口31が設けられるとした。
しかしながら、これに限らず、一方の第3側壁28に第3開口が設けられてもよい。
【0061】
この第3開口は、センサ室15と、筐体12の外部とを連通させる。第3開口は、冷媒センサ60に隣接し、且つ対向しない位置に設けられる。
これによって、第3開口を介して、静電気が冷媒センサ60と、センサ基板62とに放電されることが抑制される。そのため、冷媒センサユニット10が室内空間100に配置される場合であっても、冷媒センサ60が作動不良を起こすことが抑制される。
【0062】
この第3開口が設けられる一方の第3側壁28は、冷媒センサユニット10が横置き状態で配置される場合に、底面に位置する。このため、床面102に滞留した冷媒がより迅速にセンサ室15に流れ込み、冷媒センサ60は、より迅速に冷媒の漏洩を検知することが可能となると共に、当該第3開口から、ごみや埃等が内部空間13に入り込むことが抑制される。
また、第3開口が設けられる一方の第3側壁28は、冷媒センサユニット10が縦置き状態で配置される場合に、側面に位置する。
【0063】
上記実施の形態では、冷媒センサ60と、センサ基板62とは、一方の第2側壁26に接近し、且つ筐体12の長手方向に直交する方向において、筐体12の略中央に位置するとした。
しかしながら、これに限らず冷媒センサ60と、センサ基板62とは、一方の第2側壁26に接近し、且つ筐体12の長手方向に直交する方向において、一方の第3側壁28接近する位置に配置されてもよい。
【0064】
これによって、第3開口が設けられる冷媒センサユニット10が横置き状態で配置される場合には、床面102に滞留した冷媒がより迅速にセンサ室15に流れ込み、冷媒センサ60は、より迅速に冷媒の漏洩を検知することが可能となる。
【0065】
上述した実施の形態では、ブザー装置56は、挿通孔32を介して筐体12の外部に露出し、シート部材14に覆われるとした。しかしながらこれに限らず、筐体12に全体が覆われていてもよい。この場合、筐体12には、当該ブザー装置56に対向せず、且つ隣接する位置に放音孔が設けられる。
【0066】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本開示は、空気調和装置の被調和空間に設置される冷媒センサユニットに適用可能である。具体的には、空気調和装置の室内機の外部に設けられ、当該空気調和装置が空調する室内空間に取り付けられる冷媒センサユニット等に、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 空気調和装置
10 冷媒センサユニット
12 筐体
13 内部空間
14 シート部材
22 第1側壁
26 第2側壁
28 第3側壁
30 第1開口
31 第2開口
34 凹部
36 空洞部
40 放音孔
56 ブザー装置
60 冷媒センサ
100 室内空間
101 壁面
102 床面
図1
図2
図3
図4
図5
図6