(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】エレベータベルトの二重安全ブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
B66B 11/08 20060101AFI20241004BHJP
B66D 5/30 20060101ALI20241004BHJP
F16D 55/28 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B66B11/08 G
B66D5/30 Z
F16D55/28 B
(21)【出願番号】P 2024098496
(22)【出願日】2024-06-19
【審査請求日】2024-06-19
(31)【優先権主張番号】202410317836.8
(32)【優先日】2024-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520022540
【氏名又は名称】中国計量大学
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲其▼氷
(72)【発明者】
【氏名】楊 昊
(72)【発明者】
【氏名】陸 佳▲韋▼
(72)【発明者】
【氏名】肖 剛
(72)【発明者】
【氏名】邵 海波
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲深▼
(72)【発明者】
【氏名】顧 月江
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-077004(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101934995(CN,A)
【文献】特開2011-143978(JP,A)
【文献】中国実用新案第201415925(CN,Y)
【文献】特開2010-127314(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 11/00-11/08
B66D 1/00- 5/34
F16D 55/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータベルトの二重安全ブレーキ装置であって、
ベース(1)と、摩擦ブレーキ機構(2)と、クラッチブレーキ機構(3)と、クランクシャフト(4)と、ベルトシャフト(5)と、コントローラと、を含み、
前記摩擦ブレーキ機構(2)内には、ベース(1)に対して密着又は離間可能な回転子が設けられ、
前記回転子は、ベルトシャフト(5)の外に同軸で設けられ、
前記クランクシャフト(4)は、一端がエレベータモータの出力軸に同軸で取り付けられ、他端に固定摩擦板(42)付き固定シャフトディスク(41)が設けられ、
前記ベルトシャフト(5)は、一端にエレベータベルトが巻き付けられ、他端に可動摩擦板(52)付き可動シャフトディスク(51)が設けられ、
前記固定摩擦板(42)及び可動摩擦板(52)は、クラッチブレーキ機構(3)によって互いに密着又は分離するように駆動され、
前記コントローラは、摩擦ブレーキ機構(2)及びクラッチブレーキ機構(3)にそれぞれ電気的に接続され
、
前記クラッチブレーキ機構(3)は、ベース(31)と、アウタースプリング(32)と、リンク(33)と、を含み、
前記ベース(31)及び摩擦ブレーキ機構(2)は、それぞれベース(1)の対向する両側に設けられ、前記ベルトシャフト(5)の外にシャフト環状フランジ(53)が設けられ、前記アウタースプリング(32)は、ベルトシャフト(5)の外に同軸で外嵌され、かつ両端がそれぞれシャフト環状フランジ(53)及びベース(31)に接続され、前記ベルトシャフト(5)は、リンク(33)を介して手動ブレーキレバー又はシリンダ(34)に間接的に接続される、
ことを特徴とするエレベータベルトの二重安全ブレーキ装置。
【請求項2】
前記摩擦ブレーキ機構(2)は、ケーシング(21)と、回転子と、アーマチャ(25)と、コイルコア(26)と、弾性押圧アセンブリ(27)と、を含み、
前記弾性押圧アセンブリ(27)は、自然な状態でアーマチャ(25)を外側に押して、回転子がベース(1)とアーマチャ(25)との間に挟まれるようにし、前記コイルコア(26)は、通電されるとアーマチャ(25)を引き寄せて内側に移動させ、ベース(1)とともに回転子を解放する、
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータベルトの二重安全ブレーキ装置。
【請求項3】
前記回転子は、ブシュ(22)と、ベースリング(23)と、摩擦リング(24)と、を含み、
前記ブシュ(22)及びベースリング(23)は、内から外に向かってベルトシャフト(5)の外に同軸で外嵌され、前記ベルトシャフト(5)、ブシュ(22)、及びベースリング(23)の隣接する面が歯によって噛み合い、前記摩擦リング(24)は、ベースリング(23)のベース(1)に面する側及びアーマチャ(25)に面する側にそれぞれ取り付けられる、
ことを特徴とする請求項2に記載のエレベータベルトの二重安全ブレーキ装置。
【請求項4】
前記弾性押圧アセンブリ(27)は、シース(271)と、インナースプリング(272)と、押え板(273と、位置規制ピン(274)と、を含み、
前記位置規制ピン(274)は、一端に位置規制ネジヘッドが設けられ、他端がベース(1)内に伸びてシース(271)を螺合して貫通し、前記位置規制ピン(274)のシース(271)内に位置する部分にピン環状フランジが設けられ、前記インナースプリング(272)の両端はそれぞれ押え板(273)及びピン環状フランジに接続され、前記押え板(273)はアーマチャ(25)に接近して設けられる、
ことを特徴とする請求項2に記載のエレベータベルトの二重安全ブレーキ装置。
【請求項5】
前記位置規制ピン(274)の自由端がインナースプリング(272)の中央通路に挿入される、ことを特徴とする請求項4に記載のエレベータベルトの二重安全ブレーキ装置。
【請求項6】
手動ロック解除アセンブリ(28)をさらに含み、前記手動ロック解除アセンブリ(28)は、ロック解除ピン(281)と、押えブロック(282)と、ファスナー(283)と、を含み、
前記ロック解除ピン(281)は、一端にロック解除ネジヘッドが設けられ、他端がベース(1)に螺入してからアーマチャ(25)の貫通孔を貫通し、前記押えブロック(282)は、ファスナー(283)によってロック解除ピン(281)の自由端に取り付けられる、
ことを特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載のエレベータベルトの二重安全ブレーキ装置。
【請求項7】
前記押えブロック(282)には、貫通孔に沿ってアーマチャ(25)を貫通するガイドスリーブが設けられる、ことを特徴とする請求項6に記載のエレベータベルトの二重安全ブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの技術分野に関し、特にエレベータベルトの二重安全ブレーキ装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータは、人や物品を輸送するために建物の異なる階の間を垂直に昇降する機械装置であり、上下に移動する主な構造は、かごとカウンタウエイトフレームである。その中で、かごは乗り空間を提供し、カウンタウエイト構造としてのカウンタウエイトフレームは、作動負荷を軽減し、かごのスムーズな加速を確保するために、上下方向において常にかごに対向する必要がある。
【0003】
現在、市販されているほとんどのエレベータは、かご及びカウンタウエイトフレームを牽引するためにエレベータベルトを使用している。例えば、公開番号CN116262589Aの発明は、ベルトを使用した薄型歯レス強制駆動エレベータ本体を開示しており、公告番号がCN206680045Uの実用新案はベルトエレベータ牽引機を開示している。緊急事態が発生した場合、エレベータはブレーキを使用してエレベータベルトの回転を制限し、かご及びカウンタウエイトフレームを停止する必要もある。しかし、既存のブレーキでは、最大トルク限界を超えると、エレベータベルトが滑ってしまい、エレベータの安定性や安全性が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】中国特許公報CN116262589A
【文献】中国実用新案公報CN206680045U
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来技術の課題を解決し、緊急事態が発生した場合、摩擦ブレーキ機構の回転子をベースに密着して回転子の回転を制限することで、ベルトシャフト及びベルトシャフトの外に巻き付けられたエレベータベルトの回転を間接的に限制し、かご及びカウンタウエイトフレームのブレーキを実現するだけではなく、設定された限界トルクを超える場合、クラッチブレーキ機構を利用してベルトシャフトをクランクシャフトから分離することで、エレベータモータによるベルトシャフトの駆動を遮断し、トルクを直ちに低下させ、エレベータベルトの滑りを回避し、エレベータの安全性を向上させ、関連する機械部品の損傷を防ぎ、メンテナンスコストを削減させる、エレベータベルトの二重安全ブレーキ装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成させるために、本発明は、
ベースと、摩擦ブレーキ機構と、クラッチブレーキ機構と、クランクシャフトと、ベルトシャフトと、コントローラと、を含み、前記摩擦ブレーキ機構内には、ベースに対して密着又は離間可能な回転子が設けられ、前記回転子は、ベルトシャフトの外に同軸で設けられ、前記クランクシャフトは、一端がエレベータモータの出力軸に同軸で取り付けられ、他端に固定摩擦板付き固定シャフトディスクが設けられ、前記ベルトシャフトは、一端にエレベータベルトが巻き付けられ、他端に可動摩擦板付き可動シャフトディスクが設けられ、前記固定摩擦板及び可動摩擦板は、クラッチブレーキ機構によって互いに密着又は分離するように駆動され、前記コントローラは、摩擦ブレーキ機構及びクラッチブレーキ機構にそれぞれ電気的に接続される、エレベータベルトの二重安全ブレーキ装置を提案する。
【0007】
好ましくは、前記摩擦ブレーキ機構は、ケーシングと、回転子と、アーマチャと、コイルコアと、弾性押圧アセンブリと、を含み、前記弾性押圧アセンブリは、自然な状態でアーマチャを外側に押して、回転子がベースとアーマチャとの間に挟まれるようにし、前記コイルコアは、通電されるとアーマチャを引き寄せて内側に移動させ、ベースとともに回転子を解放する。
【0008】
好ましくは、前記回転子は、ブシュと、ベースリングと、摩擦リングと、を含み、前記ブシュ及びベースリングは、内から外に向かってベルトシャフトの外に同軸で外嵌され、前記ベルトシャフト、ブシュ、及びベースリングの隣接する面が歯によって噛み合い、前記摩擦リングは、ベースリングのベースに面する側及びアーマチャに面する側にそれぞれ取り付けられる。
【0009】
好ましくは、前記弾性押圧アセンブリは、シースと、インナースプリングと、押え板と、位置規制ピンと、を含み、前記位置規制ピンは、一端に位置規制ネジヘッドが設けられ、他端がベース内に伸びてシースを螺合して貫通し、前記位置規制ピンのシース内に位置する部分にピン環状フランジが設けられ、前記インナースプリングの両端はそれぞれ押え板及びピン環状フランジに接続され、前記押え板はアーマチャに接近して設けられる。
【0010】
好ましくは、前記位置規制ピンの自由端がインナースプリングの中央通路に挿入される。
【0011】
好ましくは、手動ロック解除アセンブリをさらに含み、前記手動ロック解除アセンブリは、ロック解除ピンと、押えブロックと、ファスナーと、を含み、前記ロック解除ピンは、一端にロック解除ネジヘッドが設けられ、他端がベースに螺入されてからアーマチャの貫通孔を貫通し、前記押えブロックは、ファスナーによってロック解除ピンの自由端に取り付けられる。
【0012】
好ましくは、前記押えブロックには、貫通孔に沿ってアーマチャを貫通するガイドスリーブが設けられる。
【0013】
好ましくは、前記クラッチブレーキ機構は、ベースと、アウタースプリングと、リンクと、を含み、前記ベース及び摩擦ブレーキ機構は、それぞれベースの対向する両側に設けられ、前記ベルトシャフトの外にシャフト環状フランジが設けられ、前記アウタースプリングは、ベルトシャフトの外に同軸で外嵌され、かつ両端がそれぞれシャフト環状フランジ及びベースに接続され、前記ベルトシャフトは、リンクを介して手動ブレーキレバー又はシリンダに間接的に接続される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の有益な効果は以下の通りである。
1)摩擦ブレーキ機構とクラッチブレーキ機構を組み合わせて使用することによって、緊急事態が発生した場合、摩擦ブレーキ機構の回転子をベースに密着して回転子の回転を制限することで、ベルトシャフト及びベルトシャフトの外に巻き付けられたエレベータベルトの回転を間接的に限制し、かご及びカウンタウエイトフレームのブレーキを実現するだけではなく、設定された限界トルクを超える場合、クラッチブレーキ機構を利用してベルトシャフトをクランクシャフトから分離することで、エレベータモータによるベルトシャフトの駆動を遮断し、トルクを直ちに低下させ、エレベータベルトの滑りを回避し、エレベータの安全性を向上させ、関連する機械部品の損傷を防ぎ、メンテナンスコストを削減させることができる。
2)ケーシング、回転子、アーマチャ、コイルコア、及び弾性押圧アセンブリが共同で摩擦ブレーキ機構を構成することによって、停電のときにも、弾性押圧アセンブリを利用して回転子を自動的に締め付けてブレーキ機能を実現することができ、停電時のエレベータの使用安全性を確保し、また、弾性押圧アセンブリがシース、インナースプリング、押え板、及び位置規制ピンから構成されることによって、位置規制ピンを捩じる間にインナースプリングの予張力を調整することで、弾性押圧アセンブリの正常な動作を長時間にわたって確保することができる。
3)ロック解除ピン、押えブロック、及びファスナーが共同で構成する手動ロック解除アセンブリが摩擦ブレーキ機構に追加されることによって、停電時にロック解除ピンを手動で外側に回すことで、押えブロックを利用してアーマチャを内側に押して回転子を解放することができる。
4)ベース、アウタースプリング、及びリンクが共同でクラッチブレーキ機構を構成することによって、アウタースプリングを利用して普段固定摩擦板と可動摩擦板を常に密着させることができるとともに、手動ブレーキレバーを引いたりシリンダを起動させたりするときに、可動摩擦板を固定摩擦板から自動的に離間させることもできる。
本発明の特徴及び利点は、実施例及び添付図面を通じて詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のエレベータベルトの二重安全ブレーキ装置の摩擦ブレーキのみの場合の正面図である。
【
図2】本発明のエレベータベルトの二重安全ブレーキ装置の摩擦ブレーキのみの場合の断面図である。
【
図4】本発明のエレベータベルトの二重安全ブレーキ装置に摩擦ブレーキとクラッチブレーキを組み合わせたときの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1~
図5に示すように、本発明に係るエレベータベルトの二重安全ブレーキ装置は、ベース1と、摩擦ブレーキ機構2と、クラッチブレーキ機構3と、クランクシャフト4と、ベルトシャフト5と、コントローラと、を含み、前記摩擦ブレーキ機構2内には、ベース1に対して密着又は離間可能な回転子が設けられ、前記回転子は、ベルトシャフト5の外に同軸で設けられ、前記クランクシャフト4は、一端がエレベータモータの出力軸に同軸で設けられ、他端に固定摩擦板42付き固定シャフトディスク41が設けられ、前記ベルトシャフト5は、一端にエレベータベルトが巻き付けられ、他端に可動摩擦板52付き可動シャフトディスク51が設けられ、前記固定摩擦板42及び可動摩擦板52は、クラッチブレーキ機構3によって互いに密着又は分離するように駆動され、前記コントローラは、摩擦ブレーキ機構2及びクラッチブレーキ機構3にそれぞれ電気的に接続される。
【0017】
前記摩擦ブレーキ機構2は、ケーシング21と、回転子と、アーマチャ25と、コイルコア26と、弾性押圧アセンブリ27と、を含み、前記弾性押圧アセンブリ27は、自然な状態でアーマチャ25を外側に押して、回転子がベース1とアーマチャ25との間に挟まれるようにし、前記コイルコア26は、通電されるとアーマチャ25を引き寄せて内側に移動させ、ベース1とともに回転子を解放する。
【0018】
前記回転子は、ブシュ22と、ベースリング23と、摩擦リング24と、を含み、前記ブシュ22及びベースリング23は、内から外に向かってベルトシャフト5の外に同軸で外嵌され、前記ベルトシャフト5、ブシュ22、及びベースリング23の隣接する面が歯によって噛み合い、前記摩擦リング24は、ベースリング23のベース1に面する側及びアーマチャ25に面する側にそれぞれ取り付けられる。
【0019】
前記弾性押圧アセンブリ27は、シース271と、インナースプリング272と、押え板273と、位置規制ピン274と、を含み、前記位置規制ピン274は、一端に位置規制ネジヘッドが設けられ、他端がベース1内に伸びてシース271を螺合して貫通し、前記位置規制ピン274のシース271内に位置する部分にピン環状フランジが設けられ、前記インナースプリング272の両端はそれぞれ押え板273及びピン環状フランジに接続され、前記押え板273はアーマチャ25に接近して設けられる。
【0020】
前記位置規制ピン274の自由端がインナースプリング272の中央通路に挿入される。
手動ロック解除アセンブリ28をさらに含み、前記手動ロック解除アセンブリ28は、ロック解除ピン281と、押えブロック282と、ファスナー283と、を含み、前記ロック解除ピン281は、一端にロック解除ネジヘッドが設けられ、他端がベース1に螺入してからアーマチャ25の貫通孔を貫通し、前記押えブロック282は、ファスナー283によってロック解除ピン281の自由端に取り付けられる。
【0021】
前記押えブロック282には、貫通孔に沿ってアーマチャ25を貫通するガイドスリーブが設けられる。
【0022】
前記クラッチブレーキ機構3は、ベース31と、アウタースプリング32と、リンク33と、を含み、前記ベース31及び摩擦ブレーキ機構2は、それぞれベース1の対向する両側に設けられ、前記ベルトシャフト5の外にシャフト環状フランジ53が設けられ、前記アウタースプリング32は、ベルトシャフト5の外に同軸で外嵌され、かつ両端がそれぞれシャフト環状フランジ53及びベース31に接続され、前記ベルトシャフト5は、リンク33を介して手動ブレーキレバー又はシリンダ34に間接的に接続される。
【0023】
本発明の作動プロセスは以下の通りである。
【0024】
通常の動作において、固定摩擦板42及び可動摩擦板52が密着するため、エレベータモータは、クランクシャフト4及びベルトシャフト5を介してエレベータベルトを間接的に回転駆動し、それにより、かご及びカウンタウエイトフレームは、エレベータベルトによって牽引されて昇降する。さらに、コイルコア26は、通電されると、磁力を通じてアーマチャ25を引き寄せることで、回転子をベルトシャフト5に伴って回転させる。
【0025】
緊急事態が発生した場合、コイルコア26の電源がオフになると、アーマチャ25は、弾性押圧アセンブリ27による弾性押圧作用を受けてベース1に向かって移動し、摩擦リング24付きベースリング23をベース1とともに挟み、一方、ベースリング23は、ブシュ22によってベルトシャフト5の回転を間接的に制限することで、かご及びカウンタウエイトフレームを停止する。
【0026】
さらに、設定された限界トルクに達する場合、クラッチブレーキ機構3によって、エレベータモータによるベルトシャフト5の駆動を遮断することもできる。具体的には、手動ブレーキレバーによって、固定摩擦板42と可動摩擦板52が分離するまでベルトシャフト5をクランクシャフト4から離間させることができる一方、シリンダ34によって、固定摩擦板42と可動摩擦板52が互いに分離するまでベルトシャフト5をクランクシャフト4から離間させることもできる。ここで、シリンダ34は、バックアップバッテリーにより給電されて動作することができる。
【0027】
上記の実施例は、本発明を説明したものであり、本発明を限定するものではなく、本発明を単純に変換した如何なる形態も本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0028】
1 ベース
2 摩擦ブレーキ機構
21 ケーシング
22 ブシュ
23 ベースリング
24 摩擦リング
25 アーマチャ
26 コイルコア
27 弾性押圧アセンブリ
271 シース
272 インナースプリング
273 押え板
274 位置規制ピン
28 手動ロック解除アセンブリ
281 ロック解除ピン
282 押えブロック
283 ファスナー
3 クラッチブレーキ機構
31 ベース
32 アウタースプリング
33 リンク
34 シリンダ
4 クランクシャフト
41 固定シャフトディスク
42 固定摩擦板
5 ベルトシャフト
51 可動シャフトディスク
52 可動摩擦板
53 シャフト環状フランジ
【要約】 (修正有)
【課題】エレベータベルトの二重安全ブレーキ装置を提供する。
【解決手段】ベースと、摩擦ブレーキ機構と、クラッチブレーキ機構と、クランクシャフトと、ベルトシャフトと、コントローラと、を含み、前記摩擦ブレーキ機構内には、ベースに対して密着又は離間可能な回転子が設けられ、前記回転子はベルトシャフトの外に同軸で設けられ、前記クランクシャフトは、一端がエレベータモータの出力軸に同軸で取り付けられ、他端に固定摩擦板付き固定シャフトディスクが設けられ、前記ベルトシャフトは、一端にエレベータベルトが巻き付けられ、他端に可動摩擦板付き可動シャフトディスクが設けられ、前記固定摩擦板と可動摩擦板は、クラッチブレーキ機構によって互いに密着又は分離するように駆動される。それにより、エレベータベルトの滑りを回避し、エレベータの安全性を向上させ、関連する機械部品の損傷を防ぎ、メンテナンスコストを削減させる。
【選択図】
図1