(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】供試体形成用のモールド管
(51)【国際特許分類】
G01N 1/28 20060101AFI20241004BHJP
B28B 7/10 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G01N1/28 E
B28B7/10 Z
(21)【出願番号】P 2020181922
(22)【出願日】2020-10-29
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】512256454
【氏名又は名称】KSコンサルタント株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517150641
【氏名又は名称】一般社団法人先端地盤技術グループ
(72)【発明者】
【氏名】北岡 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】木村 英明
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-031997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/28
B28B 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメントミルクの供試体を形成するモールド管であって、
上端側が開放され下端側が閉鎖された筒状体を成し、内部に前記供試体の成形空間を備えた供試体本体形成部と、
前記供試体本体形成部の上端側に設けられ、前記成形空間を上方に拡張させる供試体形成補助部と、を備え、
前記供試体本体形成部と前記供試体形成補助部とが分離可能手段で連結されている、供試体形成用のモールド管
であって、
前記分離可能手段として、
前記供試体本体形成部および供試体形成補助部の何れか一方に形成された係合部と、
前記供試体本体形成部および供試体形成補助部の何れか他方に形成された被係合部と、
を備えている、供試体形成用のモールド管。
【請求項2】
前記分離可能手段として、
前記供試体本体形成部の筒壁部から外側に向けて突出させたピンと、
前記供試体形成補助部の筒壁部に形成され、前記ピンと係合可能なガイド溝であって、下方に向けて一方の端部が開放されているガイド溝と、
を備えている、
請求項1に記載の供試体形成用のモールド管。
【請求項3】
前記分離可能手段として、
前記供試体形成補助部の筒壁部から下向きに突出させたピンと、
前記供試体本体形成部の筒壁部から外側に突出させた突出部であって、上方に向けて開放され前記ピンを差込み可能な縦孔の周縁を形成する突出部と、
を備えている、
請求項1に記載の供試体形成用のモールド管。
【請求項4】
セメントミルクの供試体を形成するモールド管であって、
上端側が開放され下端側が閉鎖された筒状体を成し、内部に前記供試体の成形空間を備えた供試体本体形成部と、
前記供試体本体形成部の上端側に設けられ、前記成形空間を上方に拡張させる供試体形成補助部と、を備え、
前記供試体本体形成部と前記供試体形成補助部とが分離可能手段で連結されている、
供試体形成用のモールド管であって、
前記分離可能手段として、前記供試体本体形成部の筒壁部における上端の縁に沿って形成された第1の脆弱部を備え、
該第1の脆弱部を介して前記供試体本体形成部と供試体形成補助部が連結されている、
供試体形成用のモールド管。
【請求項5】
前記供試体形成補助部は、前記第1の脆弱部を幅方向の一方の辺とし、前記第1の脆弱部に対して一定の距離離間して形成された第2の脆弱部を幅方向の他方の辺とする帯状の切離し部を備えている、
請求項4に記載の供試体形成用のモールド管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセメントミルクを硬化させて成る圧縮強度試験用の供試体を作製するのに好適なモールド管に関する。
【背景技術】
【0002】
現場で打設するセメント構造体等には圧縮強度試験が義務付けられている。圧縮強度試験用の供試体は、コンクリート、セメントミルク、モルタル等の試料を、例えば下記特許文献に示すようなプラスチック製の有底円筒体からなる型枠(モールド管)に充填し、これを硬化させて作製される。
【0003】
ここで、セメントミルクを試料とする供試体を作製する場合には、硬化の過程で供試体の上端部にレイタンス(上部に浮かんでくるブリージング水および不純物からなる低強度の部分)が顕著に生じる。従来においては、レイタンスを取り除くために供試体の上端部をモールド管ごと切断していたが、切断作業用の機械を用意しなければならない等、レイタンスを取り除くための作業が煩雑なものとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような事情を背景とし、セメントミルクの供試体を作製する過程で供試体の上端部に生じるレイタンスを簡便に取り除くことが可能な供試体形成用のモールド管を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、下記のように本発明に想到した。
この発明の第1の局面の供試体形成用のモールド管は次のように規定される。即ち、
セメントミルクの供試体を形成するモールド管であって、
上端側が開放され下端側が閉鎖された筒状体を成し、内部に供試体の成形空間を備えた供試体本体形成部と、
前記供試体本体形成部の上端側に設けられ、前記成形空間を上方に拡張させる供試体形成補助部と、を備え、
前記供試体本体形成部と前記供試体形成補助部とが分離可能手段で連結されている。
【0007】
このように規定される第1の局面のモールド管によれば、供試体本体形成部の上端側に、成形空間を上方に拡張させる供試体形成補助部が設けられており、セメントミルクの供試体を作製する過程で生じるレイタンスを考慮して、従来よりも軸方向に長い供試体を作製することができる。
また、供試体本体形成部と供試体形成補助部とが分離可能手段で連結されているため、レイタンスが生じた後に、上端側に設けられた供試体形成補助部を供試体本体形成部から分離することで、供試体の上端部に生じたレイタンスを露出させることができ、レイタンスを簡便に取り除くことができる。
【0008】
この発明の第2の局面は次のように規定される。即ち、
第1の局面で規定のモールド管において、前記分離可能手段として、前記供試体本体形成部および供試体形成補助部の何れか一方に形成された係合部と、前記供試体本体形成部および供試体形成補助部の何れか他方に形成された被係合部と、を備えている。
このように規定される第2の局面のモールド管によれば、係合部と被係合部とを係合させることで供試体本体形成部および供試体形成補助部を連結させることができ、また前記係合を解除することで供試体本体形成部と供試体形成補助部を分離させることができる。
【0009】
ここで、前記分離可能手段として、前記供試体本体形成部の筒壁部から外側に向けて突出させたピンと、前記供試体形成補助部の筒壁部に形成され、前記ピンと係合可能なガイド溝であって、下方に向けて一方の端部が開放されているガイド溝と、を備えることができる(第3の局面)。このようにすれば、ガイド溝と係合するピンを、ガイド溝の開放された端部に向けて相対移動させることで係合が解除され、供試体形成補助部を供試体本体形成部から分離させることができる。
【0010】
また、前記分離可能手段として、前記供試体形成補助部の筒壁部から下向きに突出させたピンと、前記供試体本体形成部の筒壁部から外側に突出させた突出部であって、上方に向けて開放され前記ピンを差込み可能な縦孔の周縁を形成する突出部と、を備えることができる(第4の局面)。このようにすれば、縦孔と係合するピンを上方に相対移動させることで係合が解除され、供試体形成補助部を供試体本体形成部から分離させることができる。
【0011】
この発明の第5の局面は次のように規定される。即ち、
第1の局面で規定のモールド管において、前記分離可能手段として、前記供試体本体形成部の筒壁部における上端の縁に沿って形成された第1の脆弱部を備え、該第1の脆弱部を介して前記供試体本体形成部と供試体形成補助部が連結されている。
このように規定される第5の局面のモールド管によれば、第1の脆弱部に力を作用させることで、供試体形成補助部を供試体本体形成部から分離させることができる。
【0012】
ここで、前記第1の脆弱部を幅方向の一方の辺とし、前記第1の脆弱部に対して一定の距離離間して形成された第2の脆弱部を幅方向の他方の辺とする帯状の切離し部を、前記供試体形成補助部に設けておくことができる(第6の局面)。このようにすれば、供試体形成補助部側に設けられた切離し部を外側に引っ張ることで、供試体形成補助部を容易に供試体本体形成部から分離させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は本発明の第1実施形態に係るモールド管の斜視図である。
【
図2】
図2は
図1のモールド管を供試体本体形成部と供試体形成補助部とに分離して示した断面図である。
【
図3】
図3は供試体本体形成部を示した図であり、
図3(A)は正面図、
図3(B)は底面図、
図3(C)は
図3(A)のC-C矢視線断面図である。
【
図4】
図4(A)は供試体形成補助部を供試体本体形成部の上端部から分離して示した図、
図4(B)は供試体形成補助部を供試体本体形成部の上端部に連結させた状態を示した図である。
【
図5】
図5は供試体形成補助部を供試体本体形成部に連結させた状態のモールド管の断面図である。
【
図6】
図6は同実施形態のモールド管を用いた供試体の形成方法について説明の図である。
【
図7】
図7は本発明の第2実施形態に係るモールド管を示した図であり、
図7(A)は正面図、
図7(B)は
図7(A)のB-B矢視線断面図である。
【
図8】
図8は本発明の第3実施形態に係るモールド管を示した図であり、
図8(A)は平面図、
図8(B)は正面図、
図8(C)は側面図、
図8(D)は
図8(C)のD-D矢視線断面図である。
【
図9】
図9は切離し部を複数設けた変形例を示した図であり、
図9(A)は平面図、
図9(B)は正面図、
図9(C)は背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係るモールド管の斜視図である。以下の説明においては、
図1で示すように、一端に設けられた開口28を上向きにして、モールド管を地面等に載置した場合の上下を、当該モールド管における上下とする。
同図において、1は、セメントミルクを硬化させて成る供試体を形成するためのモールド管で、全体として有底円筒形状をなしている。モールド管1は、別体の供試体本体形成部2と供試体形成補助部4とを有しており、これら供試体本体形成部2と供試体形成補助部4が分離可能に連結されている。
【0016】
図2は、モールド管1を供試体本体形成部2と供試体形成補助部4とに分離して示した断面図である。
供試体本体形成部2は、
図2に示すように、上端に開口12を有する合成樹脂製の筒状体で、上下方向に延びる筒壁部11と、筒壁部11の下端から内向きに突出する鍔部13とを備えている。鍔部13の上には、下端中央部の孔15を塞ぐように平面視円形の底板16が設けられている。底板16は合成樹脂製もしくは金属製とされている。底板16と鍔部13との接触箇所には、セメントミルクの漏れ出しを防止するための溶着・接着等の処理を施すことも可能である。
供試体本体形成部2の内部には、筒壁部11の内周面17と底板16の上面で規定された円柱形状の成形空間18が形成されている。
【0017】
図3で示すように、供試体本体形成部2には、帯状の切離し部20が形成されている。切離し部20は、筒壁部11の外面を上端開口12の縁から下端にまで延びる2つの溝21,21と、鍔部13の下面を径方向に延びる2つの溝22,22(
図3(B)参照)により区画されている。これら溝21および22が形成された部位では、
図3(C)の部分拡大図で示すように、他部に比べて肉厚が薄く破壊容易な脆弱部25が形成されている。
【0018】
図3(A)および
図3(B)で示すように、切離し部20の下端側には外側に突き出した板状の脚片23が形成されている。脚片23は、供試体本体形成部2をその開口12を上向きにして地面に載置した際の倒れ防止として機能する一方、切離し部20を切り離す際の摘み片として使用することができる。本例では、帯状の切離し部20が供試体本体形成部2の直径方向の両側に設けられている。
【0019】
筒壁部11の上部における、切離し部20に対し周方向に90°異なる位置には、筒壁部11から外側に突出するピン27が形成されている。かかるピン27は供試体本体形成部2と供試体形成補助部4を分離可能に連結するための分離可能手段を構成する。
【0020】
次に、供試体形成補助部4は、
図1および
図2に示すように、供試体本体形成部2の上端側に取り付けられ、供試体本体形成部2の成形空間18を上方に拡張させる。
【0021】
供試体形成補助部4は、合成樹脂製の筒状体をなしている。
図2に示すように、供試体形成補助部4の内周面には、上端側内周面29と、下端側内周面30と、これら内周面を繋ぐ下向きの段差面31とが設けられており、筒壁部33の上端側の内径D1に対し下端側の内径D2が大とされている。詳しくは、上端側の内径D1は供試体本体形成部2の筒壁部11の内径と同じとされ、下端側の内径D2は供試体本体形成部2の筒壁部11の外径と同じ若しくは僅かに大とされている。
【0022】
また、筒壁部33の直径方向の両側には、供試体本体形成部2のピン27と係合可能なガイド溝34が設けられている。ガイド溝34は、
図4(A)で示すように、上下方向に延び、下側の端部が下方に向けて開放されている第1のガイド溝34aと、第1のガイド溝34aの上側の端部から周方向に延びる第2のガイド溝34bとで構成されている。供試体本体形成部2との連結に際しては、供試体形成補助部4の下端部を供試体本体形成部2の上端部に外嵌させるとともに、第1のガイド溝34aの開放端からガイド溝34内に挿入された供試体本体形成部2のピン27を、
図4(B)で示すように、第2のガイド溝34bと係合させることで、供試体形成補助部4が所定の位置で供試体本体形成部2と連結される。
【0023】
図5に示すように、供試体本体形成部2と供試体形成補助部4とが連結された状態でのモールド管1では、供試体形成補助部4の上端側内周面29が供試体本体形成部2の内周面17と面一となって、成形空間18が上端側内周面29に沿って上方に拡張される。このため、供試体の上端部に形成されるレイタンスを考慮して従来よりも軸方向に長いの供試体を作製することができる。
【0024】
次に、モールド管1を用いた供試体の形成方法について説明する。まず、
図6(I)で示すように、供試体本体形成部2と供試体形成補助部4とが連結されたモールド管1内部の成形空間18に、試料としてのセメントミルクSを充填する。そして所定時間(例えば24H)が経過し、供試体Kの上端部にレイタンスLが生じた後、
図6(II)で示すように、供試体本体形成部2のピン27と供試体形成補助部4のガイド溝34との係合を解除して、供試体形成補助部4を供試体本体形成部2から分離させる。このようにすることで、供試体Kの本体はモールド管1の供試体本体形成部2内に保持される一方、供試体Kの上端部に生じたレイタンスLを露出させ、これを取り除く(
図6(III)参照)。その後、所定時間経過の後、
図6(III)において2点鎖線で示すように、供試体本体形成部2の切離し部20を縦方向に切り離し、供試体本体形成部2を解体すれば、円柱状の供試体Kの本体を取り出すことができる。
【0025】
以上のように本実施形態のモールド管1によれば、供試体本体形成部2の上端側に、成形空間18を上方に拡張させる供試体形成補助部4が設けられており、セメントミルクの供試体を作製する過程で生じるレイタンスを考慮して従来よりも軸方向に長い供試体を作製することができる。
また、供試体本体形成部2と供試体形成補助部4とが分離可能手段で連結されているため、上端側に設けられた供試体形成補助部4を供試体本体形成部2から分離することで、供試体の上端部に生じたレイタンスを露出させることができ、レイタンスを簡便に取り除くことができる。
【0026】
本実施形態のモールド管1では、分離可能手段として、供試体本体形成部2の筒壁部11から外側に向けて突出させたピン27と、供試体形成補助部4の筒壁部33に形成され、ピン27と係合可能なガイド溝34と、を備えている。ガイド溝34は、下方に向けて一方の端部が開放されているため、ガイド溝34と係合するピン27を、ガイド溝34の開放された端部に向けて相対移動させることで係合が解除され、供試体形成補助部4を供試体本体形成部2から分離させることができる。
【0027】
(第2実施形態)
図7に本発明の第2実施形態に係るモールド管1Bを示す。モールド管1Bは、別体の供試体本体形成部2Bと供試体形成補助部4Bとを有しており、これら供試体本体形成部2Bと供試体形成補助部4Bとが分離可能に連結されている。これらの構成各部のうち、第1の実施形態に係るモールド管1の構成と共通する構成については同じ符号を用いて示すとともに、その説明を省略する。
【0028】
本例では、供試体形成補助部4Bの筒壁部33における周方向の位置が異なる3箇所に、筒壁部33の下端から下向きに突出させたピン45が形成されている。
一方、供試体本体形成部2Bの筒壁部11には、ピン45と対応する位置に、筒壁部11から外側に突出する突出部40が形成されており、この突出部40が上方および下方に向けて開放された縦孔42の周縁を形成している。突出部40により形成された縦孔42はピン45の差込みを可能とするものである。
【0029】
このように本例は、分離可能手段として、供試体形成補助部4Bのピン45と、供試体本体形成部2Bの突出部40を備えたものである。ピン45を縦孔42に差し込むことで供試体形成補助部4が所定の位置で供試体本体形成部2と連結される。一方、縦孔42と係合するピン45を、上方に向けて引き抜くことで係合が解除され、供試体形成補助部4Bを供試体本体形成部2Bから分離させることができる。なお、本例におけるピン45の軸方向への固定力は、ピン45と縦孔42とのはめあい寸法により調整することができる。
【0030】
(第3実施形態)
図8に本発明の第3実施形態に係るモールド管1Cを示す。
モールド管1Cは、供試体本体形成部2Cと、供試体本体形成部2Cの上端側に設けられた供試体形成補助部4Cと、を備えている。これらの構成各部のうち、第1の実施形態に係るモールド管1の構成と共通する構成については同じ符号を用いて示すとともに、その説明を省略する。
【0031】
本例では、供試体本体形成部2Cの筒壁部11における上端の縁50に沿って形成された第1の脆弱部53(第1の溝51と同じ位置にある第1の脆弱部53)を介して供試体本体形成部2Cと供試体形成補助部4Cとが連結されている。
詳しくは、
図8(B)および
図8(C)で示すように、供試体本体形成部2Cの上端の縁50に相当する位置に第1の溝51が形成されている。
図8(B)における左右方向の中央の位置から図中左方向に延びる第1の溝51は、縁50の全周に亘って形成された後、上方に向けて延び出し供試体形成補助部4Cの上端に到っている。
【0032】
また、供試体形成補助部4C側の、第1の溝51に対して一定の距離離れた位置には第2の溝52が形成されている。これら第1の溝51および第2の溝52は、
図8(D)で示すように、断面が略V字形状とされている。第1の溝51および第2の溝52が形成された部位では、他部に比べて肉厚が薄く破壊容易な第1の脆弱部53および第2の脆弱部54が形成されている。
この結果、供試体形成補助部4Cでは、第1の脆弱部53を幅方向の一方の辺とし、第2の脆弱部54を幅方向の他方の辺とする、帯状の切離し部55が形成される。
【0033】
切離し部55の上端側には、
図8(A)で示すように、筒壁部33から外側に突き出した板状の摘み片57が形成されている。切離し部55を供試体本体形成部2Cおよび供試体形成補助部4Cから切り離す際には、摘み片57を指先やペンチ等で摘まんで、
図8(C)において2点鎖線で示すように、外側に引っ張ることで、溝51、52に沿って(即ち、脆弱部53,54に沿って)切離し部55が切り離される。
【0034】
以上のように本実施形態のモールド管1Cは、供試体本体形成部2Cと供試体形成補助部4Cとを分離可能に連結する手段として、供試体本体形成部2Cの上端の縁50に沿って形成された第1の脆弱部53を備え、第1の脆弱部53を介して供試体本体形成部2Cと供試体形成補助部4Cが連結されている。このため、第1の脆弱部53に力を作用させることで、供試体形成補助部4Cを供試体本体形成部2Cから分離させることができる。
【0035】
ここで本実施形態のモールド管1Cでは、供試体形成補助部4Cに、第1の脆弱部53を幅方向の一方の辺とし、第1の脆弱部53に対して一定の距離離間して形成された第2の脆弱部54を幅方向の他方の辺とする帯状の切離し部55が設けられており、切離し部55を外側に引っ張ることで、供試体形成補助部4Cを容易に供試体本体形成部2Cから分離させることができる。
【0036】
なお、モールド管1Cでは、切離し部を周方向に複数設けることも可能である。
図9は、モールド管1Cにおける切離し部55の変形例を示している。この変形例では、切り離し部として、第1の切離し部55aと第2の切離し部55bとが設けられており、それぞれが筒壁部11の半周分の長さ(
図9(A)において矢印線で示す長さ)において、供試体形成補助部4Cを供試体本体形成部2Cから部分的に分離させている。
【0037】
以上本発明の実施形態について詳述したが、本発明はこれらの説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1,1B,1C…モールド管
2,2B,2C…供試体本体形成部
4,4B,4C…供試体形成補助部
11…筒壁部
18…成形空間
27,45…ピン
33…筒壁部
34…ガイド溝
40…突出部
42…縦孔
50…縁
53…第1の脆弱部
54…第2の脆弱部
55…切離し部