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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/38 20200101AFI20241004BHJP
   D06F 103/04 20200101ALN20241004BHJP
   D06F 105/52 20200101ALN20241004BHJP
【FI】
D06F33/38
D06F103:04
D06F105:52
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020207974
(22)【出願日】2020-12-15
(65)【公開番号】P2022094853
(43)【公開日】2022-06-27
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】川端 睦美
(72)【発明者】
【氏名】吉田 由佳
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-175039(JP,A)
【文献】特開2005-334412(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106283494(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105624969(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/38~33/40
D06F 33/58~33/60
D06F 103/04
D06F 105/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に弾性的に支持された外槽と、
前記外槽内に回転可能に配置された洗濯脱水槽と、
前記洗濯脱水槽内に回転可能に配置されたパルセータと、
前記洗濯脱水槽および前記パルセータを駆動する駆動部と、
前記洗濯脱水槽の上方から前記洗濯脱水槽内に給水を行う給水部と、
前記外槽内の水を排出するために開放される排水バルブと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
脱水工程の後に、前記駆動部により前記パルセータを正回転および逆回転させる第1工程を実行し、
前記第1工程の後に、前記第1工程よりも1回当たりの正回転および逆回転の時間が短くなるように前記駆動部により前記パルセータを正回転および逆回転させる第2工程を実行し、
前記第2工程の後に、前記排水バルブを開放した状態で前記駆動部により前記洗濯脱水槽を回転させつつ前記給水部により給水を行うシャワーすすぎ工程を実行する、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯機において、
前記制御部は、前記洗濯脱水槽内の負荷量が所定量より少ない場合に、前記第1工程を実行する、
ことを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、いわゆる脱水すすぎ工程と称されるすすぎ工程を行う洗濯機が知られている。脱水すすぎ工程では、最初に、洗濯脱水槽を低速回転させつつ洗濯脱水槽の上方から給水を行い、洗濯脱水槽内の洗濯物に水をしみ込ませる。続いて、洗濯脱水槽を高速回転させて洗濯物を脱水し、洗濯物にしみ込んだ水とともに洗濯物に含まれる洗剤を排出させる。
【0003】
なお、洗濯脱水槽を低速回転させつつ給水を行う工程をシャワーすすぎ工程と称し、洗濯脱水槽を高速回転させる工程を脱水工程と称することがある。この場合、脱水すすぎ工程は、シャワーすすぎ工程と脱水工程とにより構成される。
【0004】
脱水すすぎ工程が開始されるとき、洗濯物は、その前に行われた脱水工程によって洗濯脱水槽の内周壁にへばり付く状態となっている。そこで、特許文献1に記載の洗濯機では、内周壁にへばり付いた洗濯物に水が掛かりやすいように、給水管の出水口部から出た水を洗濯脱水槽の内周壁へ向かわせる出水方向変更体を設ける構成が採られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平07-222893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
洗濯脱水槽内の洗濯物の偏りが大きい場合、脱水すすぎ工程で洗濯脱水槽を低速回転させたときに、水平方向に洗濯脱水槽および外槽が大きく振れやすい。特許文献1の洗濯機では、洗濯脱水槽の上方から洗濯脱水槽の内周壁に向かうように水が放出される。このため、洗濯脱水槽が大きく振れると、水が洗濯脱水槽や外槽の上端縁部分に触れて飛散し、機外に漏れ出てしまう虞がある。
【0007】
洗濯脱水槽の内周壁に水が向かわないような構成とされれば、機外への水の漏出は生じにくくなる。しかしながら、洗濯脱水槽の内周壁に張り付いた洗濯物に水が掛かりにくくなり、洗濯物に無駄なく水を吸収させることが難しくなる。
【0008】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、シャワーすすぎ工程において、洗濯物が水を吸収しやすい洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の主たる態様に係る洗濯機は、筐体内に弾性的に支持された外槽と、前記外槽内に回転可能に配置された洗濯脱水槽と、前記洗濯脱水槽内に回転可能に配置されたパルセータと、前記洗濯脱水槽および前記パルセータを駆動する駆動部と、前記洗濯脱水槽の上方から前記洗濯脱水槽内に給水を行う給水部と、前記外槽内の水を排出するために開放される排水バルブと、制御部と、を備える。ここで、前記制御部は、脱水工程の後に、前記駆動部により前記パルセータを正回転および逆回転させる第1工程を実行し、前記第1工程の後に、前記第1工程よりも1回当たりの正回転および逆回転の時間が短くなるように前記駆動部により前記パルセータを正回転および逆回転させる第2工程を実行し、前記第2工程の後に、前記排水バルブを開放した状態で前記駆動部により前記洗濯脱水槽を回転させつつ前記給水部により給水を行うシャワーすすぎ工程を実行する。
【0010】
上記の構成によれば、第1工程において、洗濯脱水槽の内周面に張り付いた洗濯物が、正回転および逆回転を繰り返すパルセータにより内周面から剥がされて内側に倒れ、洗濯脱水槽の中央側に寄った状態となやすい。これにより、シャワーすすぎ工程において、洗濯脱水槽の上方から放出された水が洗濯物に掛かりやすくなり、洗濯物に水が吸収されやすくなる。
【0012】
上記の構成によれば、第2工程において、洗濯脱水槽の内周面から剥がされた洗濯物が、第1工程よりも短い時間の正回転および逆回転を繰り返すパルセータにより細かく左右の揺さぶられることでほぐされ、洗濯脱水槽の周方向に均等に分散しやすくなる。これにより、シャワーすすぎ工程において、洗濯物に水が均等に掛かりやすくなり、洗濯物に水が一層吸収されやすくなる。しかも、洗濯脱水槽に偏芯が生じにくくなるので、洗濯脱水槽が回転したときに大きな揺れを起こしにくくなる。
【0013】
本態様に係る洗濯機において、前記制御部は、前記洗濯脱水槽内の負荷量が所定量より少ない場合に、前記第1工程を実行するような構成とされ得る。
【0014】
上記の構成によれば、不必要に洗濯運転の時間を長引かせてしまうことを防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シャワーすすぎ工程において、洗濯物が水を吸収しやすい洗濯機を提供できる。
【0016】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施の形態に係る、全自動洗濯機の側面断面図である。
図2図2は、実施の形態に係る、全自動洗濯機の構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態に係る、中間脱水工程が終了した後にシャワーすすぎ工程が行われる場合の制御部による制御処理を示すフローチャートである。
図4図4(a)は、実施の形態に係る、負荷量が少ない場合の中間脱水工程後における洗濯脱水槽内の洗濯物の状態を模式的に示す図である。図4(b)は、実施の形態に係る、剥がし工程が実行された後の洗濯脱水槽内の洗濯物の状態を模式的に示す図である。図4(c)は、実施の形態に係る、ほぐし工程が実行された後の洗濯脱水槽内の洗濯物の状態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の洗濯機の一実施形態である全自動洗濯機1について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、全自動洗濯機1の側面断面図である。
【0020】
全自動洗濯機1は、外観を構成する筐体10を備える。筐体10は、上下の面が開放された方形筒状の胴体部11と、胴体部11の上面を覆う上面板12と、胴体部11を支持する脚台13とを含む。上面板12には、洗濯物の投入口14が形成される。投入口14は、開閉可能な上蓋15により覆われる。
【0021】
筐体10内には、上面が開口する外槽20が、防振装置を有する4本の吊棒21により弾性的に吊り下げ支持される。外槽20内には、上面が開口する洗濯脱水槽22が配置される。洗濯脱水槽22は、鉛直方向に延びる回転軸を中心に回転する。洗濯脱水槽22の内周面には、全周に亘って多数の脱水孔22aが形成される。洗濯脱水槽22の上部には、バランスリング23が設けられる。洗濯脱水槽22の底部には、パルセータ24が回転可能に配置される。パルセータ24の表面には、放射状に複数の羽根24aが設けられる。
【0022】
外槽20の外底部には、洗濯脱水槽22およびパルセータ24を駆動するトルクを発生させる駆動ユニット30が配置される。駆動ユニット30は、駆動モータ31と、伝達機構部32とを含む。伝達機構部32は、クラッチ機構32aを有し、当該クラッチ機構32aによる切替操作により、洗い工程、溜めすすぎ工程および注水すすぎ工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ24のみに伝達してパルセータ24のみを回転させ、脱水工程およびシャワーすすぎ工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ24および洗濯脱水槽22に伝達してパルセータ24および洗濯脱水槽22を一体的に回転させる。駆動ユニット30は、本発明の駆動部に相当する。
【0023】
外槽20の外底部には、排水口部20aが形成される。排水口部20aには、排水バルブ40が設けられる。排水バルブ40は、排水ホース41に接続される。排水バルブ40が開放されると、洗濯脱水槽22および外槽20に溜められた水が排水ホース41を通じて機外へ排出される。
【0024】
上面板12の後部には、洗濯脱水槽22内に水道水を供給するための給水ユニット50が配置される。給水ユニット50は、給水バルブ51を有する。給水バルブ51の入水口51aは、給水ホースを介して水道栓に接続される。給水バルブ51が開放されると、水道栓からの水道水が給水路52を流れて、注水口53から洗濯脱水槽22内へ供給される。注水口53は、ほぼ真下に向けられており、注水口53から放出された水は、洗濯脱水槽22の中心と内周面との中間位置付近に落下する。給水ユニット50は、本発明の給水部に相当する。
【0025】
図2は、全自動洗濯機1の構成を示すブロック図である。
【0026】
全自動洗濯機1は、上述した構成に加え、操作部61と、水位センサ62とを備える。また、全自動洗濯機1は、制御ユニット100を備える。制御ユニット100は、制御部101、記憶部102、モータ駆動部103、クラッチ駆動部104、給水駆動部105および排水駆動部106を含む。
【0027】
操作部61は、全自動洗濯機1の電源を投入および遮断するための電源ボタン、運転を開始、一時停止させるためのスタート/一時停止ボタン、洗濯運転に係る複数の運転コースの中から任意の運転コースを選択するためのコース選択ボタンなど、各種の操作ボタンを含む。操作部61は、ユーザに操作された操作ボタンに応じた入力信号を制御部101に出力する。
【0028】
水位センサ62は、洗濯脱水槽22内の水位を検出し、検出した水位に応じた水位信号を制御部101に出力する。
【0029】
モータ駆動部103は、制御部101から出力された制御信号に従って、駆動モータ31を駆動する。クラッチ駆動部104は、制御部101から出力された制御信号に従って、伝達機構部32のクラッチ機構32aを駆動する。給水駆動部105は、制御部101からの制御信号に従って、給水バルブ51を駆動する。排水駆動部106は、制御部101からの制御信号に従って、排水バルブ40を駆動する。
【0030】
記憶部102は、EEPROM、RAM等を含む。記憶部102には、各種運転コースの洗濯運転を実行するためのプログラムが記憶される。また、記憶部102には、洗濯運転に用いられる各種の運転条件が記憶される。
【0031】
制御部101は、CPU等を含み、記憶部102に記憶されたプログラムに従い、モータ駆動部103、クラッチ駆動部104、給水駆動部105、排水駆動部106等を制御する。
【0032】
全自動洗濯機1では、制御部101による制御の下、各種運転コースの洗濯運転が行われる。洗濯運転では、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程および最終脱水工程が順番に実行される。
【0033】
洗い工程の前には、洗濯物の負荷量検知が行われる。負荷量検知では、たとえば、洗濯物の投入後に洗濯脱水槽22内に水がない状態でパルセータ24が回転し、駆動モータ31の駆動電流や駆動モータ31が停止するまでの惰性回転量に基づいて負荷量が決定される。検知された負荷量に応じて、洗い工程やすすぎ工程での水位や時間が決定される。
【0034】
洗い工程およびすすぎ工程では、洗濯脱水槽22内に洗剤を含む水が溜められた状態で、パルセータ24が正回転および逆回転する。パルセータ24の回転により洗濯脱水槽22内に水流が発生し、水流と洗剤とにより洗濯物が洗われる。
【0035】
すすぎ工程として、溜めすすぎ工程、注水すすぎ工程またはシャワーすすぎ工程が、運転コースに応じて、あるいはユーザの設定により、選択的に実行される。すすぎ工程は、中間脱水工程を挟んで2回行われる場合がある。この場合、シャワーすすぎ工程は、最初のすすぎ工程として行われることが多い。
【0036】
溜めすすぎ工程および注水すすぎ工程では、洗濯脱水槽22内に水が溜められた状態でパルセータ24が正回転および逆回転し、洗濯脱水槽22内に水流が発生する。発生した水流より洗濯物がすすがれ、洗濯物に含まれた洗剤が水中に排出される。注水すすぎ工程では、パルセータ24の回転時にも給水が継続され、外槽20の上部に設けられた図示しない溢水口から洗剤を含んだ水が排出される。
【0037】
シャワーすすぎ工程では、洗濯脱水槽22が低速回転しつつ洗濯脱水槽22内に給水が行われる。洗濯物に水が掛けられて、洗濯物に水が吸収される。このとき、排水バルブ40は開いており、洗濯物に吸収されなかった水が外槽20内から排出される。この後に行われる中間脱水工程において、洗濯物に含まれた洗剤が水とともに排出される。なお、シャワーすすぎ工程と中間脱水工程を含めて、脱水すすぎ工程と称される場合がある。
【0038】
中間脱水工程および最終脱水工程では、洗濯脱水槽22およびパルセータ24が一体となって所定の脱水回転数で高速回転する。洗濯脱水槽22に発生する遠心力の作用により、洗濯物が脱水される。
【0039】
ところで、中間脱水工程の後は、洗濯脱水槽22の内周面に洗濯物が張り付いた状態になりやすく、洗濯脱水槽22内の洗濯物がそれほど多くない場合、洗濯脱水槽22の中央部分に大きな空間が生じやすくなる。よって、この状態のまま、次に、シャワーすすぎ工程が行われた場合、注水口53から放出された水が十分に洗濯物に降り掛からず、洗濯物に無駄なく水を吸水させることが難しくなり得る。
【0040】
そこで、本実施の形態では、シャワーすすぎ工程が実行される前に、洗濯脱水槽22の内周面に張り付いた洗濯物を剥がす剥がし工程と、剥がされた洗濯物をほぐすほぐし工程とが実行される。剥がし工程は、本発明の第1工程に相当し、ほぐし工程は、本発明の第2工程に相当する。
【0041】
図3は、中間脱水工程が終了した後にシャワーすすぎ工程が行われる場合の制御部101による制御処理を示すフローチャートである。
【0042】
図3を参照して、制御部101は、洗濯工程の前に検知された負荷量が所定量より少ないか否かを判定する(S101)。所定量は、たとえば、最高負荷量とすることができる。あるいは、所定量は、最高負荷量よりも1段階ないし数段階小さな負荷量とすることができる。
【0043】
図4(a)に示すように、負荷量が少ない場合、中間脱水工程後の洗濯脱水槽22内では、洗濯物が内周面に張り付くことで中央部分に大きな空間が生じた状態となりやすい。
【0044】
制御部101は、洗濯脱水槽22内の負荷量が所定量より少ないと判定すると(S101:YES)、剥がし工程を実行する。即ち、制御部101は、オン時間を第1オン時間、オフ時間を第1オフ時間に設定し、これらオン時間およびオフ時間により、駆動モータ31を、停止を挟んで正回転および逆回転させ、パルセータ24を、停止を挟んで正回転および逆回転させる(S102)。たとえば、第1オン時間は、1.5秒~2秒の時間とされ、第1オフ時間は、1秒~1.5秒の時間とされる。
【0045】
洗濯脱水槽22の内周面に張り付いた洗濯物が、正回転および逆回転を繰り返すパルセータ24に引っ掛けられて動かされ、内周面から剥がされる。図4(b)に示すように、剥がされた洗濯物は、洗濯脱水槽22の中央側に倒れた状態となり、洗濯脱水槽22の中央側に寄った状態となる。
【0046】
回転開始から第1時間、たとえば20秒が経過すると(S103:YES)、制御部101は、パルセータ24を停止させて、剥がし工程を終了する。
【0047】
次に、制御部101は、ほぐし工程を実行する。即ち、制御部101は、オン時間を第2オン時間、オフ時間を第2オフ時間に設定し、これらオン時間およびオフ時間により、駆動モータ31を、停止を挟んで正回転および逆回転させ、パルセータ24を、停止を挟んで正回転および逆回転させる(S104)。第2オン時間および第2オフ時間は、それぞれ、第1オン時間および第1オフ時間より短い時間とされる。たとえば、第2オン時間は、0.5秒~1.0秒の時間とされ、第2オフ時間は、0.2秒~0.5秒の時間とされる。
【0048】
洗濯脱水槽22の内周面から剥がされた洗濯物が、正回転および逆回転を繰り返すパルセータ24により細かく左右の揺さぶられることでほぐされて洗濯脱水槽22の周方向に拡がる。この結果、図4(c)に示すように、洗濯物が洗濯脱水槽22の周方向に均等に分散する。
【0049】
回転開始から第2時間、たとえば30秒が経過すると(S105:YES)、制御部101は、パルセータ24を停止させて、ほぐし工程を終了する。
【0050】
なお、上記のように、第2時間は第1時間よりも長くされた。しかしながら、第1時間と第2時間は等しい時間とされてもよい。
【0051】
また、剥がし工程でのパルセータ24の回転数は、ほぐし工程でのパルセータ24の回転数よりも低くされる。これにより、剥がし工程において、洗濯物を洗濯脱水槽22の内周面から効果的に剥がすことができる。また、洗濯脱水槽22および外槽20の揺れを抑制できる。
【0052】
次に、制御部101は、シャワーすすぎ工程を実行する。即ち、制御部101は、給水バルブ51を開いて、洗濯脱水槽22内への給水を行う(S106)。さらに、制御部101は、駆動モータ31を回転させて、洗濯脱水槽22を低速回転させる(S107)。このとき、パルセータ24は、洗濯脱水槽22と一体的に回転する。
【0053】
洗濯脱水槽22内の洗濯物に、注水口53から放出された水が降り掛けられる。このとき、洗濯物は、剥がし工程により洗濯脱水槽22の内周面から剥がされ、内側に倒されているので、洗濯物に良好に水が降り掛かかる。よって、放出された水が、洗濯物に無駄なく吸収される。さらに、洗濯物は、ほぐし工程によりほぐされて、洗濯脱水槽22の周方向に均等に分散しているので、洗濯物に均等に水が降り掛かかる。よって、放出された水が、洗濯物に一層無駄なく吸収される。
【0054】
なお、洗濯脱水槽22が低速回転した時に大きな揺れが生じた場合、シャワーすすぎが中断され、洗濯脱水槽22内に水を溜めてパルセータ24を回転させるアンバランス修正が行われる。本実施の形態では、ほぐし工程により洗濯物が分散されるので、洗濯脱水槽22に偏芯が生じにくくなる。これにより、洗濯脱水槽22が回転したときに大きな揺れを起こしにくくなり、アンバランス修正が行われにくくなる。
【0055】
シャワーすすぎ開始からすすぎ時間、たとえば30秒が経過すると(S108:YES、制御部101は、給水バルブ51を閉じるとともに洗濯脱水槽22を停止させて、シャワーすすぎ工程を終了する。
【0056】
一方で、S101において、制御部101は、洗濯脱水槽22内の負荷量が所定量以上であると判定すると(S101:NO)、剥がし工程およびほぐし工程を実行することなく、シャワーすすぎ工程を実行する(S106~S108)。
【0057】
<実施の形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、シャワーすすぎ工程が実行される前に剥がし工程が実行されることにより、洗濯物が洗濯脱水槽22の内周面から剥がれて内側に倒れ、洗濯脱水槽22の中央側に寄りやすくなる。これにより、洗濯脱水槽22の上方から放出された水が洗濯物に掛かりやすくなり、洗濯物に水が吸収されやすくなる。
【0058】
また、本実施の形態によれば、剥がし工程に続いてほぐし工程が実行されることにより、洗濯物がほぐされて洗濯脱水槽22の周方向に均等に分散しやすくなる。これにより、洗濯物に水が均等に掛かりやすくなり、洗濯物に水が一層吸収されやすくなる。しかも、洗濯脱水槽22に偏芯が生じにくくなるので、洗濯脱水槽22が回転したときに大きな揺れを起こしにくくなる。
【0059】
さらに、洗濯脱水槽22内の負荷量が所定量より少ないために、洗濯物が洗濯脱水槽22の内周面に張り付いたときに洗濯物に水が掛かりにくい状態になりやすい場合に、剥がし工程とほぐし工程とが実行され、負荷量が所定量以上である、即ち負荷量が多いために、洗濯物に水が掛かりにくい状態になりにくい場合には、剥がし工程とほぐし工程とが実行されない。これにより、不必要に洗濯運転の時間を長引かせてしまうことを防止できる。
【0060】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0061】
たとえば、上記実施の形態では、負荷量が所定量より少ない場合に、剥がし工程とほぐし工程とが実行された。しかしながら、負荷量によらず、常に、シャワーすすぎ工程の前に剥がし工程とほぐし工程とが実行されてもよい。
【0062】
また、上記実施の形態では、剥がし工程に続いてほぐし工程が実行された。しかしながら、剥がし工程のみが実行されてもよい。このとき、負荷量によらず、常に、剥がし工程のみが実行されてもよい。さらに、負荷量に応じて、剥がし工程のみが実行されるか、剥がし工程とほぐし工程とが実行されるかが決定されてもよい。たとえば、負荷量が少ない場合は、洗濯脱水槽22の内周面から剥がされるだけで洗濯物が分散した状態となりやすいので、剥がし工程のみが実行されるとよい。
【0063】
さらに、上記実施の形態では、給水ユニット50に、洗剤が予め収納される洗剤容器が備えられていない。しかしながら、給水ユニット50に洗剤容器が備えられてもよい。この場合、洗剤容器から出た水が注水口53へと向かう。
【0064】
さらに、上記実施の形態では、全自動洗濯機1に本発明が適用された例が示された。しかしながら、衣類の乾燥機能が搭載された全自動洗濯乾燥機に本発明を適用することもできる。
【0065】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 全自動洗濯機(洗濯機)
10 筐体
20 外槽
22 洗濯脱水槽
24 パルセータ
30 駆動ユニット(駆動部)
50 給水ユニット(給水部)
101 制御部
図1
図2
図3
図4