(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】肥満合併症を処置および予防するための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
A23L 33/105 20160101AFI20241004BHJP
A23L 19/15 20160101ALI20241004BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20241004BHJP
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A61P 9/00 20060101ALI20241004BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20241004BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20241004BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20241004BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20241004BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241004BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20241004BHJP
A61K 131/00 20060101ALN20241004BHJP
【FI】
A23L33/105
A23L19/15
A61K9/14
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A61K36/23 ZNA
A61K36/31
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A61P3/04
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A61P9/10 101
A61P19/08
A61P21/00
A61P25/28
A61P29/00
A61P37/02
A61K131:00
(21)【出願番号】P 2020568265
(86)(22)【出願日】2019-06-07
(86)【国際出願番号】 US2019035957
(87)【国際公開番号】W WO2019236947
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-06-06
(32)【優先日】2018-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】303067548
【氏名又は名称】トラスティーズ オブ タフツ カレッジ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】メイダニ,シミン ニクビン
(72)【発明者】
【氏名】メイダニ,モーセン
【審査官】二星 陽帥
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-086217(JP,A)
【文献】特表2009-508508(JP,A)
【文献】特表2018-503605(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0007639(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0206402(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0003026(US,A1)
【文献】特表2003-526354(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 19/15 - 33/105
A61K 9/14 - 131/00
A61P 1/00 - 37/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
果物種の混合物および野菜種の混合物を含み、
前記果物種は、オレンジ、リンゴ、バナナ、ブドウ、スイカ、パイナップル、イチゴ、カンタロープ、レモン、グレープフルーツ、モモ、および、セイヨウナシの12種の果物種を含み、
前記野菜種が、ジャガイモ、トマト、スイートコーン、タマネギ、タマヂシャ、ロマイン、ピーマン、ニンジン、キュウリ、キャベツ、豆、および、サツマイモの12種の野菜種を含む、
肝セラミドを減少させるための組成物。
【請求項2】
前記混合物が乾燥粉末である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記混合物が40~65グラムの乾燥粉末を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
ブルーベリー、チェリー、マンゴーおよびグリーンピースから選択される1種以上をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記混合物が、15~25%(w/w)のヘスペレチン、15~25%(w/w)のカフェオイルキナ酸、10~20%(w/w)のクエルセチン、および5~15%(w/w)のマルビジンのポリフェノール含有量を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記混合物が、20.6%(w/w)のヘスペレチン、19.1%(w/w)のカフェオイルキナ酸、15.7%(w/w)のクエルセチン、および10.3%(w/w)のマルビジンを含む、請求項
5に記載の組成物。
【請求項7】
前記混合物が、1~10%(w/w)のナリンゲニン、1~10%(w/w)のペラルゴニジン、1~5%(w/w)のカテキン、および1~5%(w/w)のプロシアニジンをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記混合物が、6.5%(w/w)のナリンゲニン、5.8%(w/w)のペラルゴニジン、4.2%(w/w)のカテキン、および3.1%(w/w)のプロシアニジンを含む、請求項
7に記載の組成物。
【請求項9】
前記混合物が、カフェイン酸、ペオニジン、シアニジン、ピノレシノール、p-クマロイル、ルテオリン、ペチュニジン、ダイゼイン、ゲニステイン、エラグ酸、および没食子酸から選択される1つ以上のポリフェノールをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
タンパク質、炭水化物、または脂肪の1つ以上をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
5~15%(w/w)のタンパク質(kcal/kcal)、75~85%(w/w)の炭水化物(kcal/kcal)、および0~20%(w/w)の脂肪(kcal/kcal)を含む、請求項
10に記載の組成物。
【請求項12】
10~12%(w/w)のタンパク質(kcal/kcal)、80~83%(w/w)の炭水化物(kcal/kcal)、および5~10%(w/w)の脂肪(kcal/kcal)を含む、請求項
10に記載の組成物。
【請求項13】
11.6%(w/w)のタンパク質(kcal/kcal)、81.2%(w/w)の炭水化物、および7.2%(w/w)の脂肪(kcal/kcal)を含む、請求項
10に記載の組成物。
【請求項14】
前記乾燥粉末が凍結乾燥粉末である、請求項2に記載の組成物。
【請求項15】
栄養補助食品、食品、または飲料である、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
対象の、体重増加、肥満、炎症状態、脂肪肝疾患、高コレステロール、グルコース不耐性、インスリン抵抗性、腸内細菌叢の多様性の低下、心臓疾患、およびアテローム性動脈硬化症から選ばれる1つ以上の状態を処置および/または予防する方法であって、
前記対象に請求項1に記載の組成物を投与する工程を含み、
前記対象がヒト以外の哺乳動物である、方法。
【請求項17】
対象の、脂肪量を減少する、筋肉量を増加する、炎症性サイトカインおよび/もしくはセラミドを減少する、組織炎症を減少する、コレステロールを減少する、グルコース耐性を改善する、免疫応答を改善する、腸内細菌叢の多様性を増加する、寿命を増加する、認知を改善する、ならびに/または骨の健康を改善する方法であって、
前記対象に請求項1に記載の組成物を投与する工程を含み、
前記対象がヒト以外の哺乳動物である、方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、2018年6月7日に出願された米国仮特許出願第62/681,935号の優先権を主張し、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載〕
本発明は、米国農務省によって与えられた助成金番号58-1950-4-003の下で政府の支援を受けてなされた。米国政府は、本発明において特定の権利を有する。
【0003】
〔技術分野〕
本明細書は、肥満ならびに関連する疾患および状態の処置、予防、およびリスク低減のための組成物および方法を提供する。特に、本明細書は、果物および野菜の乾燥粉末を含む組成物、ならびにそれらの使用を提供する。
【0004】
〔背景技術〕
肥満および代謝障害の有病率は、世界中で急速に増加している。代謝障害に加えて、肥満は、冠動脈性心疾患、2型糖尿病、ある種の癌、高血圧、脳卒中、肝臓および胆嚢疾患、睡眠時無呼吸および呼吸障害、変形性関節症、女性における婦人科的問題と関連している。
【0005】
代謝障害とは、脂肪組織および肝臓などの代謝活性組織の機能障害と定義される。炎症の増加によって示される調節不全免疫応答は代謝障害の進行に対する主要な寄与因子の1つである(Eheimら、2014年;Sittipoら、2018年)。かつては単にエネルギーリザーバとしてみなされていたが、脂肪組織は現在、代謝の調節において機能する内分泌器官として認識されている(Boothら、2016年;Galicら、2010年)。食事による脂質負荷が機能不全脂肪組織の貯蔵容量を超えると、遊離脂肪酸のオーバーフローが循環中に流れ、肝臓などの他の組織における異所性脂質蓄積をもたらす(Bosy-Westphalら、2019年)。肝臓に脂肪が蓄積すると、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)になる。慢性肝疾患の主要な原因であるNAFLDは肥満と関連するか(Arias-Losteら、2015年;Polyzosら、2017年)、または肥満とは無関係であり得る(Nakamuraら、2018年;Yousefら、2017年)。動物実験において、食餌誘発性NAFLDは高脂肪食(典型的には脂肪からのカロリーの45%~60%)を与えられたマウスにおいてのみならず、標準的なAIN-93食餌(脂肪からのカロリーの16%)を与えられたマウスにおいても見出された(Farias Santosら、2015年;Santosら、2015年)。
【0006】
代謝障害および心血管障害などの肥満に関連する障害を処置および予防するための組成物の必要性が差し迫っている。
【0007】
〔要約〕
本開示は、肥満および関連する合併症を処置および予防するための組成物および方法を提供する。本明細書に記載される実験は、24の果物および野菜(F&V)を含むF&V混合物を利用した。基礎食餌または高脂肪(HF)食餌でマウスに15%のF&V混合物(w/w)(ヒトに対して8~9人分のF&V/日に相当)を補給すると、体重減少とは無関係に肝脂肪症が予防され、精巣上体脂肪組織の炎症が抑制された。これらの作用は、炎症誘発性サイトカインであるTNFαおよびセラミド量の低下、ならびに腸内細菌叢の多様性の増加および腸内細菌組成の変化と相関していた。さらなる実験により、HF誘発性アテローム性動脈硬化症および肝脂肪症の予防が実証された。これは、脂質異常症の改善および炎症の低下を介して影響を受けている可能性がある。
【0008】
したがって、本明細書では、果物種の混合物および野菜種の混合物を含む乾燥粉末(例えば、凍結乾燥粉末)を含む組成物が提供される。いくつかの実施形態において、組成物は栄養補助食品(例えば、錠剤、粉末、カプセルなど)、食品、または飲料である。
【0009】
本開示は、特定の果物および野菜、またはF&V組成物の成分に限定されない。いくつかの実施態様において、果物種は例えば、オレンジ、リンゴ、バナナ、ブドウ、スイカ、パイナップル、イチゴ、カンタロープ、レモン、グレープフルーツ、モモまたはセイヨウナシから選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または全て)の果物種である。いくつかの実施形態において、野菜種は例えば、ジャガイモ、トマト、スイートコーン、タマネギ、タマヂシャ、ロマイン、ピーマン、ニンジン、キュウリ、キャベツ、豆、またはサツマイモから選択される1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または全て)である。いくつかの実施形態において、組成物は、特定の対象について少なくとも推奨される1日の量の果物および野菜を含む(例えば、推奨される1日の量の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15倍以上)。いくつかの実施形態において、1日の量を提供することを意図する組成物は、40~65グラムの乾燥粉末を含む。いくつかの実施形態においては、果物および野菜の混合物は、
図10AまたはBに列挙される量の特定のF&Vを含む。いくつかの実施形態において、果物種および野菜種の混合物は、16~20%のオレンジ、14~18%のトマト、8~11%のリンゴ、13~16%のジャガイモ、3.0~5.5%のバナナ、3~4%のスイートコーン、3~4%のブドウ、2~3%のレタス、1~2%のキクヂシャ、1~2%の芽キャベツ、1~2%のキャベツ、1~2%のニンジン、1~3%のタマネギ、1~2%のグリーンピース、0.5~1.5%のスイカ、0.5~1.5%のハネデューメロン、0.5~1.5%のブロッコリー、1~2%のホウレンソウ、0.5~1.5%のピーマン、0.5~1.5%のサヤインゲン、0.5~1.5%のカンタロープ、0.4~1.2%のカリフラワー、0.5~1.0%のマンゴー、0.5~1.0%のパパイヤ、0.3~0.9%のセロリ、0.4~1.2%のキュウリ、0.5~1.0%のパイナップル、0.25~0.75%のタンジェリン、0.25~0.75%のライム、0.25~0.75%のイチゴ、0.25~0.75%のラズベリー、0.25~0.75%のグレープフルーツ、0.25~0.75%のレモン、0.25~0.75%のクランベリー、0.3~0.5%のプラム、0.3~0.5%のモモ、0.3~0.5%のチェリー、0.3~0.5%のブルーベリー、0.3~0.5%のアプリコット、0.1~0.15%の乾燥エンドウ、0.1~0.15%のグレートノーザンビーン、0.1~0.15%の乾燥白インゲンマメ、0.1~0.15%の乾燥レンズマメ、0.1~0.15%のピントビーン、0.1~0.15%のライマメ、0.1~0.15%のレッドキドニービーン、および、0.1~0.15%のブラックビーン(例えば、約18.075%のオレンジ、16.161%のトマト、9.595%のリンゴ、14.493%のジャガイモ、4.373%のバナナ、3.564%のスイートコーン、3.383%のブドウ、2.537%のレタス、1.651%のキクヂシャ、1.375%の芽キャベツ、1.375%のキャベツ、1.329%のニンジン、2.017%のタマネギ、1.293%のグリーンピース、1.058%のスイカ、1.058%のハネデューメロン、0.84%のブロッコリー、1.651%のホウレンソウ、1.087%のピーマン、1.061%のサヤインゲン、1.058%のカンタロープ、0.84%のカリフラワー、0.732%のマンゴー、0.732%のパパイヤ、0.626%のセロリ、0.814%のキュウリ、0.732%のパイナップル、0.555%のタンジェリン、0.555%のライム、0.437%のイチゴ、0.437%のラズベリー、0.555%のグレープフルーツ、0.555%のレモン、0.437%のクランベリー、0.388%のプラム、0.388%のモモ、0.388%のチェリー、0.437%のブルーベリー、0.388%のアプリコット、0.121%の乾燥エンドウ、0.121%のグレートノーザンビーン、0.121%の乾燥白インゲンマメ、0.121%の乾燥レンズマメ、0.121%のピントビーン、0.121%のライマメ、0.121%のレッドキドニービーン、および0.121%のブラックビーン)を含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、F&V混合物は、15~25%のヘスペレチン、15~25%のカフェオイルキニン酸、10~20%のクエルセチン、および5~15%のマルビジン(例えば、20.6%のヘスペレチン、19.1%のカフェオイルキニン酸、15.7%のクエルセチン、および10.3%のマルビジン)のポリフェノール含有量を含む。いくつかの実施形態において、組成物は、1~10%のナリンゲニン、1~10%のペラルゴニジン、1~5%のカテキン、および1~5%のプロシアニジン(例えば、6.5%のナリンゲニン、5.8%のペラルゴニジン、4.2%のカテキン、および3.1%のプロシアニジン)をさらに含む。いくつかの実施形態において、組成物は例えば、カフェイン酸、ペオニジン、シアニジン、ピノレシノール、p-クマロイル、ルテオリン、ペチュニジン、ダイゼイン、ゲニステイン、エラグ酸、または没食子酸から選択される1つ以上のポリフェノールをさらに含む。
【0011】
さらなる実施形態は、16~20%のオレンジ、14~18%のトマト、8~11%のリンゴ、13~16%のジャガイモ、3.0~5.5%のバナナ、3~4%のスイートコーン、3~4%のブドウ、2~3%のレタス、1~2%のキクヂシャ、1~2%の芽キャベツ、1~2%のキャベツ、1~3%のニンジン、1~3%のタマネギ、1~2%のグリーンピース、0.5~1.5%のスイカ、0.5~1.5%のハネデューメロン、0.5~1.5%のブロッコリー、1~2%のホウレンソウ、0.5~1.5%のピーマン、0.5~1.5%のサヤインゲン、0.5~1.5%のカンタロープ、0.4~1.2%のカリフラワー、0.5~1.0%のマンゴー、0.5~1.0%のパパイヤ、0.3~0.9%のセロリ、0.4~1.2%のキュウリ、0.5~1.0%のパイナップル、0.25~0.75%のタンジェリン、0.25~0.75%のライム、0.25~0.75%のイチゴ、0.25~0.75%のラズベリー、0.25~0.75%のグレープフルーツ、0.25~0.75%のレモン、0.25~0.75%のクランベリー、0.3~0.5%のプラム、0.3~0.5%のモモ、0.3~0.5%のチェリー、0.3~0.5%のブルーベリー、0.3~0.5%のアプリコット、0.1~0.15%の乾燥エンドウ、0.1~0.15%のグレートノーザンビーン、0.1~0.15%の乾燥白インゲンマメ、0.1~0.15%の乾燥レンズマメ、0.1~0.15%のピントビーン、0.1~0.15%のライマメ、0.1~0.15%のレッドキドニービーン、および、0.1~0.15%のブラックビーンを含む乾燥粉末を含む、当該乾燥粉末から本質的に成る、または当該乾燥粉末から成る組成を提供する。
【0012】
特定の実施形態は、本明細書に記載の組成物を含む食品または飲料製品を提供する。いくつかの実施形態において、製品は、組成物の2%~20%(例えば、5~15%、5~20%、または5~10%)(w/w)を含む。いくつかの実施形態において、食品または飲料製品は、タンパク質、炭水化物、および脂肪(例えば、5~15%のタンパク質(kcal/kcal)、75~85%の炭水化物(kcal/kcal)、および0~20%の脂肪(kcal/kcal);10~12%のタンパク質(kcal/kcal)、80~83%の炭水化物(kcal/kcal)、および5~10%の脂肪(kcal/kcal)、または、11.6%のタンパク質(kcal/kcal)、81.2%の炭水化物、および7.2%の脂肪(kcal/kcal))の1つ以上を含む。
【0013】
さらなる実施形態は、本明細書に記載の組成物を含む栄養補助食品を提供する。
【0014】
さらに他の実施形態は例えば、体重増加、肥満、炎症状態、脂肪肝疾患、高コレステロール、グルコース不耐性、インスリン抵抗性、腸内細菌叢の多様性の低下、心臓疾患、またはアテローム性動脈硬化症から選択される1つ以上の状態を処置および/または予防する方法において使用される、本明細書に記載の組成物を提供する。
【0015】
さらに他の実施形態は、脂肪量の減少、筋肉量の増加、炎症性サイトカインおよび/またはセラミドの減少、組織炎症の減少、コレステロールの減少、耐糖能の改善、免疫応答の改善、腸内細菌叢の多様性の増加、寿命の増加、認知の改善、または骨の健康の改善のいずれか1つ以上の方法において使用される、本明細書に記載の組成物を提供する。
【0016】
本明細書はさらに、体重増加、肥満、炎症状態、脂肪肝疾患、高コレステロール、グルコース不耐性、インスリン抵抗性、腸内細菌叢の多様性の低下、心臓疾患、およびアテローム性動脈硬化症から選択される1つ以上の状態を処置および/または予防するための本明細書に記載の組成物の使用も提供する。
【0017】
本明細書にさらに、脂肪量の減少、筋肉量の増加、炎症性サイトカインおよび/またはセラミドの減少、組織炎症の減少、コレステロールの減少、耐糖能の改善、アテローム性動脈硬化症の処置または予防、免疫応答の改善、腸内細菌叢の多様性の増加、寿命の増加、認知の改善、および/または骨の健康の改善における、本明細書に記載の組成物の使用である。
【0018】
さらなる実施形態は、例えば、対象の、体重増加、肥満、炎症状態、脂肪肝疾患、高コレステロール、グルコース不耐性、インスリン抵抗性、腸内細菌叢の多様性の低下、心臓疾患、およびアテローム性動脈硬化症から選択される1つ以上の状態を処置および/または予防する方法であって、対象に本明細書に記載の組成物を投与する工程を含む。
【0019】
本開示の実施形態は、対象の、脂肪量を減少する、筋肉量を増加する、炎症性サイトカインおよび/もしくはセラミドを減少する、組織炎症を減少する、コレステロールを減少する、耐糖能を改善する、免疫応答を改善する、腸内細菌叢の多様性を増加する、寿命を増加する、認知を改善する、および/または骨の健康を改善する方法であって、本明細書に記載の組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0020】
いくつかの実施形態において、対象はヒトである。いくつかの実施形態において、対象は状態の1つ以上の徴候または症状を示し、投与は徴候または症状を軽減または除去する。いくつかの実施形態において、投与は対象に対して少なくとも5人分のF&Vに等しい少なくとも1日の量(例えば、1日当たり40~65グラムの乾燥粉末)を投与することを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1週間(例えば、少なくとも1か月、少なくとも1年、複数年、または無期限)の期間、投与を1日に1回以上(例えば、1、2、3以上)繰り返す。
【0021】
追加の実施形態を本明細書に記載する。
【0022】
〔図面の説明〕
図1は、F&V補給したHF食餌を与えられたマウスがより少ない体重増加および脂肪組織質量を有したことを示す。6週齢のオスのC57BL/6Jマウスに、それぞれ0%、5%、10%または15%のF&V補給した基礎食餌(B、16kcal%脂肪)または高脂肪食餌(HF、45kcal%脂肪)を、20週間与えた。調和のとれている対照食餌(MC、10kcal%脂肪)を与えたマウスを、HF食餌の対照として使用した。(A、B)体重;(C、D、E、F)脂肪組織;(G、H、I、J)脂肪なしの組織。データは、平均値± SEMとして示されている。# P<0.05、### P<0.001およびN.S 有意でない。
【0023】
図2は、F&V補給が脂肪組織の炎症性の細胞浸潤を抑制し、NAFLDを予防したことを示している。H&Eで染色したeAT切片の代表的な画像を示す。0%または15%のF&V(2C)を有する基礎食餌および0%または15%のF&Vを有する高脂肪食餌、ならびに調和のとれた対照食餌(2F)を与えたマウスにおけるeATの脂肪細胞サイズ分布を示す。写真(H-I、K-L、およびN)は、H/E染色された肝組織切片の代表的な画像である。脂肪肝面積は平均値±標準誤差として表わされている。(O)血清セラミドおよびTNFαとの肝脂肪変性相関の表。# P<0.05、## P<0.01、### P<0.001。N.S. 有意でない。
【0024】
図3は、F&V補給が血清および肝臓のセラミド濃度を低下させることを示している。(A-X)総セラミドおよび示されているセラミド種の血清および肝臓の濃度を測定した。# P<0.05、# P<0.01、N.S 有意でない。
【0025】
図4は、肝臓のFXR発現レベル、nSMase活性、全身および肝臓のTNFαレベルに対するF&V補給の効果を示している。血清および肝臓の炎症誘発性サイトカインTNFαのレベル(4A、4E、4C、および4G)をELISAにより測定した。肝臓FXR(4Bおよび4F)のmRNAレベルをRTqPCRによって定量した。肝臓nSMase活性(4D-4H)を、C6‐NBD-SMを基質として用いて測定し、生成した蛍光生成物、NBD-セラミドを逆相HPLCでモニターした。
【0026】
図5は、基礎食餌またはHF食餌のいずれかにおけるF&V補給が腸内細菌多様性を増加させたことを示している。AおよびC:F&V処理は基礎食餌(A)およびHF食餌(B)のアルファ-多様性を増加させた。BおよびD:重み付けなしのユニフラック距離による主座標分析プロットは、3つの食餌群の、差のある集積性を示す。# P<0.05;### P<0.001。N.S. 有意でない。
【0027】
図6は、F&V補給が細菌群生組成を変化させたことを示す。異なる食餌における腸内細菌組成を、門レベル(A)、網レベル(B)、目レベル(C)、科レベル(D)および属レベル(E)で示す。
【0028】
図7は、2つの食餌供給群を比較するSpearmanの相関係数に基づく相関行列ヒートマップを示す。(A).0%または15%のF&Vを有する基礎食餌を与えたマウス。(B).0%または15%のF&Vを有するHF食餌。星の記号は、Benjamini-Hochberg法を用いて複数回の試験について補正した後の有意な相関を示す。
【0029】
図8は、HFD+15%のF&Vを与えたマウスが低い脾臓重量および脾臓重量指数を有したことを示す。
【0030】
図9は、
図27が15%のF&Vを有する食餌を与えたマウスにおけるリポキシン、14、15-EET、20-HETEおよびDHGLAの脂肪欠乏症変化を示すことを示す。
【0031】
図10A~Cは、動物食餌の果物および野菜成分の例示的な組成を示す。
【0032】
図11は、F&V補給が糞便重量、糞便エネルギー密度、糞便エネルギー排泄量(A-J)を増大させたことを示している。# P<0.05、## P<0.01。N.S.有意でない。
【0033】
図12は、F&V補給がeATにおける炎症誘発性のmRNA発現を下方制御したことを示す。(A~D)eATにおける炎症誘発性のmRNA発現のレベルをRTqPCRにより定量した。# P<0.05。N.S.有意でない。IL-1β:インターロイキン1β;IL-6:IL-6:インターロイキン6;MCP-1:単球化学遊走物質タンパク質-1;TNFα:腫瘍壊死因子α。
【0034】
図13は、F&V補給が血清脂質プロファイリングに対する有意な効果を有しなかったことを示している。血清総コレステロール(A、B)、LDLレベル(C、D)、HDLレベル(E、F)、VLDLレベル(G、H)、TGレベル(I、J)、血清-non-HDLおよびnon/HDL/HDL比率(K)は、平均値±標準誤差として表した。# P<0.05、# P<0.01、### P<0.001。N.S. 有意でない。
【0035】
図14は、F&V補給が肝臓セラミドシンターゼのmRNA発現に有意な影響を及ぼさなかったことを示す。(A-C)肝臓セラミドシンターゼのmRNAレベルをRTqPCRにより定量した。# P<0.05、N.S 有意でない。
【0036】
図15は、F&V補給が特定の細菌群生組成の存在比を有意に変化させたことを示す。(A-D)群間の腸内細菌の差のある存在比をDeseq2パッケージを用いて分析した。
【0037】
図16は、F&V補給がグルコース耐性ならびに食餌に誘導されるT細胞増殖およびT細胞増大の抑制を、改善したことを示している。(A-D)腹腔内グルコース耐性試験(IPGTT)を実施した。(E)
3H-チミジン取り込みおよびCD4およびCD8 T細胞の%。
【0038】
図17は、LDLR KOマウスにおいて、F&V補給が高脂肪食餌に誘導される大動脈アテローム性動脈硬化症を抑制したことを示している。4週齢のオスのLDL受容体ノックアウトマウスに、低脂肪食餌(LF、脂肪に基づく10%カロリー;52mgコレステロール/1000kcal)、または高脂肪食餌(HF、脂肪に基づく27%カロリー;130mgコレステロール/1000kcal)または15%のF&Vを補給したHF食餌(HF15)をそれぞれ20週間与えた。(A_Oil Red Oによって直接に染色した大動脈の代表的な画像。(B)総大動脈面積に対するOil Red Oによって染色されたプラーク面積の比を定量した。### P<0.001。
【0039】
図18は、LDLR KOマウスにおける体重および肝重量に対するF&V補給の効果を示す。(A-C)肝臓重量を測定し、身体に対する肝臓重量の割合を計算した。## P<0.01、### P<0.001、N.S. 有意でない。
【0040】
図19は、F&V補給がLDLR KOマウスにおける高脂肪食餌に誘導される肝脂肪症を予防したことを示している。(A)、HF0食餌(B)、HF15食餌(C)。D、3つの食餌群の脂肪肝領域の定量。### P<0.001。
【0041】
図20は、F&V補給がLDLR KOマウスの脂質異常症を改善したことを示している。血漿脂質プロファイル(A-E)を決定した。TG/HDL (F)、LDL/HDL(G)、non HDL/HDL(H)、および血漿VLDL(I)の割合を算出した。# P<0.05、## P<0.01、### P<0.001。N.S. 有意でない。
【0042】
図21は、LDLR KOマウスにおける血漿炎症誘発性サイトカインレベルに対するF&V補給の効果を示す。(A-D)血清サイトカイン濃度を、Meso Scale Discovery(MSD)multiplex ELISAプラットフォームを用いて決定した。# P<0.05、## P<0.01、### P<0.001。N.S 有意でない。
【0043】
図22は、F&V補給がLDLR KOマウスにおけるサイトカインの肝臓mRNAレベルを低下させたことを示している。(A-D)Fasn、IL-6、PPARg、SREBF1およびTNFαの肝臓mRNAレベルをRTqPCRを用いて定量した。# P<0.05。
【0044】
図23は、Spearman相関のヒートマップがLDLR KOマウスにおける、血漿TNFαおよび脂質プロファイルに対する大動脈アテローム性動脈硬化性の病変および肝脂肪変性の面積を示すことを示す。# P<0.05、## P<0.01、### P<0.001。
【0045】
図24は、HF食餌におけるF&V補給が腸内細菌多様性を増加させたことを示している。(A)F&V処理はアルファ-多様性を増加させた。(B)重み付けなしのユニフラック距離による主座標分析プロットは、LF食餌群およびHF0群からのHF15食餌群の差異のある集積性を示す。## P<0.01。N.S. 有意でない。
【0046】
図25は、F&V補給が細菌群生組成を変化させたことを示す。異なる食餌における腸内細菌組成を門レベル(A)、網レベル(B)、目レベル(C)、科レベル(D)および属レベル(E)で示す。
【0047】
図26は、F&V補給が細菌群集組成を変化させたことを示す。異なる食餌における腸内細菌組成を門レベル(A)、網レベル(B)、目レベル(C)、科レベル(D)および属レベル(E)で示す。
【0048】
図27は、F&V補給がLDLR KOマウスにおける脂質異常症を改善したことを示している。(A-D)(A)コレステロール、(B)トリグリセリド、(C)HDL、および(E)LDLの血漿脂質プロファイル。
【0049】
図28は、F&V補給がLDLR KOマウスにおける血漿サイトカインレベルを低下させたか、または血漿サイトカインレベルに効果しなかったことを示す。(A-H)血清サイトカイン濃度を、Meso Scale Discovery(MSD)multiplex ELISAプラットフォームを用いて決定した。
【0050】
〔定義〕
本明細書に記載されるものと類似または同等の任意の方法および材料が本明細書に記載される実施形態の実施または試験において使用され得るが、いくつかの好ましい方法、組成物、および材料が本明細書に記載される。しかし、本発明の材料および方法を記載する前に、本発明は本明細書に記載される特定の分子、組成物、方法論またはプロトコルに限定されず、これらは日常的な実験および最適化に従って変化し得ることが理解されるべきである。また、本明細書で使用される用語は特定のバージョンまたは実施形態を説明することのみを目的としており、本明細書で説明される実施形態の範囲を限定することを意図していないことを理解されたい。
【0051】
別途定義されない限り、本明細書に用いられるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般に理解されるのと同じ意味をもつ。しかしながら、矛盾する場合には、定義を含む本明細書が優先する。したがって、本明細書に記載される実施形態の文脈において、以下の定義が適用される。
【0052】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は文脈が明らかにそわないことを指示しない限り、複数の参照を含む。
【0053】
本明細書で使用されるように、用語「約」は質量、重量、時間、体積、濃度、またはパーセンテージの値または量を指す場合、特定の量から、いくつかの実施形態では±20%、いくつかの実施形態では±10%、いくつかの実施形態では±5%、いくつかの実施形態では±1%、いくつかの実施形態では±0.5%、およびいくつかの実施形態では±0.1%のバリエーションを包含することを意味する。このようなバリエーションは、開示された方法を実行するのに適切である。
【0054】
本明細書で使用されるように、用語「備える」、「含む」、およびこれらの言語的バリエーションは、追加の特徴、素子、方法ステップなどの存在を除外せずに、列挙された特徴、素子、方法ステップなどの存在を意味し、逆に、用語「からなる」およびこれらの言語的バリエーションは、列挙された特徴、素子、方法ステップなどの存在を意味し、通常関連する不純物を除いて、任意の未列挙の特徴、素子、方法ステップなどを除外する。用語「から本質的になる」は列挙された特徴、素子、方法ステップなど、ならびに構成、システム、または方法の基本的性質に実質的に影響を及ぼさない任意の追加の特徴、素子、方法ステップなどを意味する。本明細書の実施形態は、オープンな「備える」なる用語を使用して説明され、そのような実施形態は、複数のクローズドな「からなる」および/または「本質的にからなる」実施形態を包含し、代替的に、そのような用語を使用して特許請求または説明され得る。
【0055】
本明細書中で使用される場合、用語「共投与」およびそのバリエーションは対象への少なくとも2つの薬剤または治療(例えば、本明細書中に開示される組成物および1つ以上の治療剤)の投与をいう。いくつかの実施形態において、2つ以上の薬剤または治療の共投与は同時である。他の実施形態では、第1の薬剤/治療が、第2の薬剤/治療の前に投与される。当業者は、使用される種々の薬剤または治療の製剤および/または投与経路が変化し得ることを理解する。共投与のための適切な投薬量は、当業者によって容易に決定され得る。いくつかの実施形態において薬剤または治療が共投与される場合、それぞれの薬剤または治療はそれらの単独投与に適切な用量よりも低い用量で投与される。したがって、2つ以上の薬剤の共投与が、他の薬剤との共投与を介する薬剤のうちの1つの有益な効果のために、対象に感作をもたらす実施形態においては、共投与が特に望ましい。
【0056】
本明細書中で使用される場合、用語「医薬組成物」は活性剤と担体、不活性または活性との組み合わせを指し、組成物を特に治療的用途に適したものにする。
【0057】
本明細書で使用される「薬学的に許容される」または「薬学的に許容される」という用語は対象に投与された場合に、有害反応、例えば、毒性、アレルギー性、または免疫学的反応を実質的に生じない組成物を指す。
【0058】
本明細書中で使用される場合、「予防する」、「予防」、および「予防すること」という用語は、特定の状態または疾患状態(例えば、代謝障害または肥満の他の合併症)を現在経験していないか、罹患していない対象において、当該特定の状態または疾患状態が生じる可能性を減少させることを意味し得る。例えば、前記用語は必ずしも完全なまたは絶対的な予防を意味しない。例えば、「代謝障害を予防する」という用語は、代謝障害及びその関連状態を現在経験していないか、または診断されていない対象において、代謝障害及びその関連状態が生じる可能性を減少させることを意味する。また、前記用語は特定の状態または疾患状態(例えば、代謝障害)を現在経験していないか、または罹患していない対象において、前記特定の状態または疾患状態の発症を遅延させることを意味し得る。「代謝障害を予防する」ために、組成物または方法は、代謝障害または関連状態の発症を減少させる、および/または遅延させることのみを必要とし、その可能性を完全に遮断するものではない。「予防する」は、(例えば、ヒトを含む哺乳動物において)発症する疾患の発症の可能性を、減少または遅延させるための治療または技術のいかなる投与または適用をも包含する。このような可能性は、集団または個体について評価され得る。
【0059】
本明細書で使用する場合、「治療する」、「治療」、および「治療すること」という用語は、特定の状態、病態(例えば、肥満の代謝障害または他の合併症)、及びそれらの兆候を、現在経験しているかまたは罹患している対象において、その状態又は症状の量または重症度を低減することを意味し、当該用語は必ずしも完全な治療(例えば、状態、疾患、またはその症状の完全な排除)を示すわけではなく、「治療」というタームは疾患に対する治療または技術の任意の投与または適用(例えば、ヒトを含む哺乳動物における)を包含し、疾患を阻害すること、その発症を止めること、疾患を緩和すること、疾患を退縮させること、または喪失、欠失、または欠損した機能を回復または修復すること、または非効率的なプロセスを刺激することを包含する。
【0060】
本明細書中で使用される場合、タームw/w(重量/重量)は、重量基準での組成物中の所与の物質の量を指す。例えば、50%w/wのニンジンを含む組成物はニンジンの質量が組成物の全質量の50%であることを手段する(すなわち、F&Vの混合物などの組成物100グラム中のニンジン50グラム)。
【0061】
本明細書で使用されるとき、用語「食料」および「食品」は、口によって摂取される製品、および、ひいてはその成分を指し、その成分は身体およびその組織の栄養、リフレッシュおよび満足させる目的で、G.I.トラクト(G.I.tract)中で活性であり、かつ/またはG.I.トラクトによって吸収される。その製品は、ヒトによる消費のために顧客に市販され、販売される。食品および食品および飲料製品の実施例には、茶;スプレッド;アイスクリーム;冷凍果物および野菜;ダイエット食品および飲料を含むスナック;調味料;ならびに料理用補助剤が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、「食品」がタンパク質、炭水化物および/または脂肪を含む材料であり、生育、修復および生命維持プロセスを維持し、エネルギーを供給するために、生物体の身体で使用される。食品はまた、ミネラル、ビタミンおよび調味料などの補助物質を含有してもよい。Merriam-Webster’s Collegiate Dictionary、10th 版、1993を参照されたい。
【0062】
本明細書で使用される「食品添加物」(例えば、21 C.P.R.170.3のFDAによって定義される)(e)(l))は、直接および間接添加剤を含む。
【0063】
本明細書中で使用される場合、「栄養補助食品」は、食事を補うことが意図される製品である。いくつかの実施形態では、栄養補助食品がカロリーをほとんどまたは全く含まない。
【0064】
本明細書中で使用される場合、用語「対象」は哺乳動物を含む動物界の全てのメンバーを含み、そして適切にはヒトをいう。
【0065】
〔発明の詳細な説明〕
肥満による脂肪組織(特に、内臓白色脂肪組織)の変化は、浸潤マクロファージおよび他の炎症細胞、単球走化性タンパク質-1(MCP-1)、インターロイキン-6(IL-6)および腫瘍壊死因子-α(TNF-α)などのサイトカインおよびケモカインの放出、脂肪分解の亢進、脂肪細胞の死などを特徴とし、いずれもNAFLDの病態形成に重要な役割を果たしている(Chengら、2015年;Weiら、2018年)。特に、TNFαは、マウスモデルにおけるNAFLDの進展および進行において中心的な役割を果たすことが見出されている。TNFαの高循環量は病的肥満患者におけるNAFLDの重症度と関連している(Kakinoら、2018年;Paredes-Turrubiarteら、2016年)。TNFαは肝臓セラミド生成を刺激し(Dbaiboら、2001年;Engin、2017年)、これはNAFLDの病因に関与するスフィンゴ脂質シグナル伝達脂質分子のユニークなクラスであり(Nikolova-Karakashian、2018年)、TNFαおよびセラミドがNAFLDを相加的または相乗的に促進し得ることを示す。セラミドはde novo合成経路によって、またはセラミド合成酵素を用いたサルベージ経路を介して形成される。スフィンゴミエリンはまた、酵素スフィンゴミエリナーゼの機能を介してスフィンゴミエリンから産生され得、その活性は、酸化ストレスおよびTNFαによって増加される。
【0066】
肝臓に豊富に発現する核内受容体であるファルネソイドX受容体(FXR)は、様々な肝代謝過程を制御する重要な調節因子である。肝臓FXR活性化はNFκB活性化をブロックすることによって、TNFαの発現を含む炎症誘発性遺伝子の発現を阻害する(Kimら、2015年;Wangら、2008年)。さらに、肝臓FXR発現量はNAFLD患者(Yangら、2010年)および食餌誘発マウスNAFLD(Nieら、2017年)において低かった。FXRはNAFLD処置用の潜在的な薬物標的である(Aliら、2015年;Liら、2013年)。
【0067】
腸内細菌叢の多様性が低く、組成が変化していることを特徴とする腸内細菌叢障害(gut microbial dysbiosis)は、ヒトにおける肥満および代謝障害と関連することが示されており(Qinら、2012年;Turnbaughら、2009年)、げっ歯類モデルにおけるこれらの障害と因果関係があることが示されている(Krissら、2018年;Liら、2017年;Ridauraら、2013年)。さらに、腸内細菌叢障害は、NAFLDの病因に寄与し得る(Bibboら、2018年;Saltzmanら、2018年;Wielandら、2015年)。
【0068】
食事パターンは腸内細菌叢、酸化ストレス、炎症、および代謝に影響を及ぼす(Kongら、2014年;Sheflinら、2017年;Tindallら、2018年;Wong、2014年)。本明細書中に記載される実験は、代謝障害およびその基礎となるメカニズムにおけるF&Vの消費の増加に対する影響を測定した。結果は、様々なF&Vの高摂取によって、体重減少とは無関係に、脂肪組織およびNAFLDの代謝機能障害を完全に予防することを示した。さらに、これらのデータは、代謝障害に対するF&Vのこれらの作用が腸内細菌叢の多様性の増加ならびに炎症誘発性サイトカインおよびセラミド量の減少と関連していることを示している。
【0069】
さらなる実験によって、HF飼料を与えたマウスがLF飼料を与えたマウスよりも血漿TGおよびLDL量が有意に高く、HDL量が有意に低く、脂質異常症はF&V補給により防止されることを実証した。さらに、HF+FV群はHF0群と比較して血漿TNFα量が低かった(p<0.05)。Spearman相関分析は大動脈アテローム性動脈硬化病変と脂肪肝面積が血漿HDLと負に相関し(p<0.001)、TNFαならびにLDL/HDL、TG/HDL、およびnon HDL/HDLの割合と有意に正に相関していた。
【0070】
したがって、いくつかの実施形態において、本明細書では例えば、12個の果物および12個の野菜(例えば、
図10A~Cに記載されている)の凍結乾燥混合物を含むF&Vの製剤、ならびに代謝障害、肥満および関連疾患に関連する徴候、症状および合併症を治療、予防、およびそのリスクを低減する組成物を使用する方法、を提供する。
【0071】
本開示は、特定の果物および野菜、またはF&V組成物の成分に限定されない。いくつかの実施態様において、果物種は例えば、オレンジ、リンゴ、バナナ、ブドウ、スイカ、パイナップル、イチゴ、カンタロープ、レモン、グレープフルーツ、モモまたはセイヨウナシから選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または全て)の果物種である。いくつかの実施形態において、野菜種は例えば、ジャガイモ、トマト、スイートコーン、タマネギ、タマヂシャ、ロマイン、ピーマン、ニンジン、キュウリ、キャベツ、豆、またはサツマイモから選択される1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または全て)である。
【0072】
いくつかの実施形態において、果物種および野菜種の混合物は、16~20%のオレンジ、14~18%のトマト、8~11%のリンゴ、13~16%のジャガイモ、3.0~5.5%のバナナ、3~4%のスイートコーン、3~4%のブドウ、2~3%のレタス、1~2%のキクヂシャ、1~2%の芽キャベツ、1~2%のキャベツ、1~2%のニンジン、1~3%のタマネギ、1~2%のグリーンピース、0.5~1.5%のスイカ、0.5~1.5%のハネデューメロン、0.5~1.5%のブロッコリー、1~2%のホウレンソウ、0.5~1.5%のピーマン、0.5~1.5%のサヤインゲン、0.5~1.5%のカンタロープ、0.4~1.2%のカリフラワー、0.5~1.0%のマンゴー、0.5~1.0%のパパイヤ、0.3~0.9%のセロリ、0.4~1.2%のキュウリ、0.5~1.0%のパイナップル、0.25~0.75%のタンジェリン、0.25~0.75%のライム、0.25~0.75%のイチゴ、0.25~0.75%のラズベリー、0.25~0.75%のグレープフルーツ、0.25~0.75%のレモン、0.25~0.75%のクランベリー、0.3~0.5%のプラム、0.3~0.5%のモモ、0.3~0.5%のチェリー、0.3~0.5%のブルーベリー、0.3~0.5%のアプリコット、0.1~0.15%の乾燥エンドウ、0.1~0.15%のグレートノーザンビーン、0.1~0.15%の乾燥白インゲンマメ、0.1~0.15%の乾燥レンズマメ、0.1~0.15%のピントビーン、0.1~0.15%のライマメ、0.1~0.15%のレッドキドニービーン、および、0.1~0.15%のブラックビーン(例えば、約18.075%のオレンジ、16.161%のトマト、9.595%のリンゴ、14.493%のジャガイモ、4.373%のバナナ、3.564%のスイートコーン、3.383%のブドウ、2.537%のレタス、1.651%のキクヂシャ、1.375%の芽キャベツ、1.375%のキャベツ、1.329%のニンジン、2.017%のタマネギ、1.293%のグリーンピース、1.058%のスイカ、1.058%のハネデューメロン、0.84%のブロッコリー、1.651%のホウレンソウ、1.087%のピーマン、1.061%のサヤインゲン、1.058%のカンタロープ、0.84%のカリフラワー、0.732%のマンゴー、0.732%のパパイヤ、0.626%のセロリ、0.814%のキュウリ、0.732%のパイナップル、0.555%のタンジェリン、0.555%のライム、0.437%のイチゴ、0.437%のラズベリー、0.555%のグレープフルーツ、0.555%のレモン、0.437%のクランベリー、0.388%のプラム、0.388%のモモ、0.388%のチェリー、0.437%のブルーベリー、0.388%のアプリコット、0.121%の乾燥エンドウ、0.121%のグレートノーザンビーン、0.121%の乾燥白インゲンマメ、0.121%の乾燥レンズマメ、0.121%のピントビーン、0.121%のライマメ、0.121%のレッドキドニービーン、および0.121%のブラックビーン)を含む。割合はすべて、F&V混合物のw/w%である。
【0073】
いくつかの実施形態において、組成物は、平均的な成人に推奨されるF&Vの1日量(例えば、1人分)の少なくとも5(例えば、少なくとも5、6、7、8、9、10、15以上)を提供する(例えば、health.gov/dietaryguidelines/dga2000/document/build.htm;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。例えば、いくつかの実施形態において、平均的な成人の1日量の1回投与であることが意図される組成物は、40~65gの乾燥粉末(例えば、±1、5、10、15、または20%)を含む。量は、特定の食事の必要性がある小児または個人に合わせて調整される。
【0074】
いくつかの実施形態において、組成物は、複数のポリフェノールおよび他の有用な分子または化合物を含む。例えば、いくつかの実施形態において、F&V混合物は、15~25%のヘスペレチン、15~25%のカフェオイルキニン酸、10~20%のクエルセチン、および5~15%のマルビジン(例えば、20.6%のヘスペレチン、19.1%のカフェオイルキニン酸、15.7%のクエルセチン、および10.3%のマルビジン)のポリフェノール含有量を含む。いくつかの実施形態において、組成物は、1~10%のナリンゲニン、1~10%のペラルゴニジン、1~5%のカテキン、および1~5%のプロシアニジン(例えば、6.5%のナリンゲニン、5.8%のペラルゴニジン、4.2%のカテキン、および3.1%のプロシアニジン)をさらに含む。割合はすべて、F&V混合物のw/w%である。いくつかの実施形態において、組成物は例えば、カフェイン酸、ペオニジン、シアニジン、ピノレシノール、p-クマロイル、ルテオリン、ペチュニジン、ダイゼイン、ゲニステイン、エラグ酸、または没食子酸から選択される1つ以上のポリフェノールをさらに含む。
【0075】
いくつかの実施形態において、組成物は乾燥粉末として提供される。いくつかの実施形態において、粉末は凍結乾燥粉末(例えば、実施例1に記載されるように調製される)として提供される。
【0076】
粉末をカプセル化して、液体消耗品、乳製品および乳製品代替品、棒状の固形物、およびサッシ(sash)に添加するという様々な形態で使用されるが、これらに限定されない。また、異なる形状および一貫性を有する製品を作り出すために、3D印刷を使用して印刷してもよい。
【0077】
いくつかの実施形態において、組成物は粉末として提供され、使用者は粉末を飲料または食品に添加する。いくつかの実施形態において、組成物は、すぐに食べられる飲料または食品として提供される。
【0078】
いくつかの実施形態において、食品または飲料製品は、F&V組成物の2%~20%(例えば、5~15%、5~20%、または5~10%(w/w))を含む。
【0079】
いくつかの実施形態において、飲料、栄養補助食品または食品は、0~60%のタンパク質(kcal/kcal)、0~99%の炭水化物(kcal/kcal)、および0~60%の脂肪(kcal/kcal)(例えば、5~15%のタンパク質(kcal/kcal)、75~85%の炭水化物(kcal/kcal)、および0~20%の脂肪(kcal/kcal);10~12%のタンパク質(kcal/kcal)、80~83%の炭水化物(kcal/kcal)、および5~10%の脂肪(kcal/kcal)、または、11.6%のタンパク質(kcal/kcal)、81.2%の炭水化物、および7.2%の脂肪(kcal/kcal)を含む(全組成の割合)。
【0080】
いくつかの実施形態において、組成物は、経口デリバリー用の栄養補助食品または医薬製剤として提供される。
【0081】
いくつかの実施形態において、本開示は、薬学的に受容可能な担体と組み合わせて、1つ以上の前述の成分を含む、サプリメント組成物を提供する。担体の実際の形態、したがって組成物自体は重要ではない。担体は、液体、ゲル、ゲルキャップ、カプセル、粉末、固体錠剤(コーティングされたカプレットまたはコーティングされていない)、茶などであってもよい。この場合、組成物は好ましくは錠剤またはカプセルの形態であり、最も好ましくは軟質ゲルカプセルの形態である。適切な賦形剤および/または担体には、マルトデキストリン、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、微結晶セルロース、デキストロース、米粉、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、クロスカルメロースナトリウム、ナトリウムデンプングリコレート(sodium starch glycolate)、クロスポビドン、スクロース、植物ガム、ラクトース、メチルセルロース、ポビドン、カルボキシメチルセルロース、トウモロコシデンプンなどが含まれる(これらの混合物を含む)。好ましい担体には、炭酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、マルトデキストリン、およびそれらの混合物が含まれる。種々の成分および賦形剤および/または担体は、従来の技術を用いて、混合され、所望の形態に形成される。錠剤またはカプセルは、約6.0~7.0のpHで溶解する腸溶コーティングでコーティングされてもよい。小腸では溶解するが、胃では溶解しない適切な腸溶コーティングは酢酸フタル酸セルロースである。製剤および投与のための技術についてのさらなる詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co、Easton、PA)の最新版に見出され得る。
【0082】
栄養補助食品は、栄養補助食品によって食品に加えられるカロリーの数を制限することが望ましい場合は特に、1つ以上の不活性成分を含んでもよい。例えば、栄養補助食品はまた、例えば、ハーブ、ビタミン、ミネラル、エンハンサー、着色剤、甘味料、香味料、不活性成分などを含む任意の成分を含有する可能性がある。
【0083】
さらなる実施形態では、組成物がアセトアルデヒド、アセトイン(アセチルメチルカルビノール)、アネトール(パラプロペニルアニソール)、ベンズアルデヒド(ベンゾイックアルデヒド)、N酪酸(ブタン酸)、d又はIカルボン(カルボル)、ケイ皮アルデヒド(シナミックアルデヒド)、シトラール(2,6ジメチルオクタジエン 2,6 al 8、ゲラ ニアル ネラル)、デカナール(Nデシルアルデヒド、カプルアルデヒド(capraldehyde)、カプリックアルデヒド、カプリンアルデヒド、アルデヒドC 10)、エチルアセテート、エチルブチレート、3メチル3フェニルグリシジック酸エチルエステル(エチルメチルフェニルグリシデート、イチゴアルデヒド、C16アルデヒド)、エチルバニリン、ゲラニオール(3,7ジメチル2,6および3,6オクタジエン 1オール)、ゲラニルアセテート(ゲラニオールアセテート)、リモネン(d,l及びdl)、リナロール(linalol、3,7ジメチル1,6オクタジエン3オール)、リナリルアセテート(ベルガモール)、メチルアントラニレート(2アミノベンゾエートメチル)、ピペロナール(3,4メチレンジオキシベンズアルデヒド、ヘリオトロピン)、バニリン、アルファルファ(Medicago sativa l.)、アルスパイス(Pimenta officinalis)、アンブレット シード(Hibiscus abelmoschus)、アンジェリック(Angelica archangelica)、アンゴスツーラ(Angostura)(Galipea officinalis)、アニス(Pimpinella anise)、スターアニス(Illicium verum)、バーム(balm)(Melissa officinalis)、バジル(Ocimum basil)、ベイ(bay)(Laurus nobilis)、カレンヅラ(calendula)(Calendula officinalis)、(Anthemis nobilis)、トウガラシ(capsicum)(Capsicum frutescens)、カラウェー(caraway) (Carum carvi)、cardamom(Elettaria cardamomum)、カッシア(cassia)(Cinnamomum cassia)、粉末トウガラシ(cayenne pepper)(Capsicum frutescens)、セロリーの種子(Celery seed)(Apium graveolens)、チャービル(chervil) (Anthriscus cerefolium)、チャイブ(chives)(Allium schoenoprasum)、コリアンダー(Coriandrum sativum)、クミン(Cuminum cyminum)、エルダーフラワー(Sambucus canadensis)、フェンネル(Foeniculum vulgare)、フェヌグリーク(Trigonella foenum graecum)、ジンジャー(Zingiber officinale)、ニガハッカ(Marrubium vulgare)、ホースラディッシュ(Armoracia lapathifolia)、ヒッソプ(Hyssopus officinalis)、ラベンダー(Lavandula officinalis)、マセ(Myristica fragrans)、マジョラム(Majorana hortensis)、マスタード(Brassica nigra、 Brassica juncea、 Brassica hirta)、ナツメグ(Myristica fragrans))、パプリカ(Capsicum annuum)、ブラックペッパー(Piper nigrum)、ペパーミント(Mentha piperita)、ケシ種子(Papayer somniferum)、ローズマリー(Rosmarinus officinalis)、サッフェロン(Crocus sativus)、セージ(Salvia officinalis)、サボリー(Satureia hortensis、Satureia montana)、ゴマ(Sesamum indicum)、スペアミント(Mentha spicata)、タラゴン(Artemisia dracunculus)、タイム(Thymus vulgaris、Thymus serpyllum)、ターメリック(Curcuma longa)、バニラ(Vanilla planifolia)、ガジュツ(Curcuma zedoaria)、スクロース、グルコース、サッカリン、ソルビトール、マンニトール、アスパルテームなどの少なくとも1つの食品香料を含む。他の適切な風味剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、18th Edition、Mack Publishing、p.1288-1300 (1990)、およびFuria and Pellanca、Fenaroli’s Handbook of Flavor Ingredients、The Chemical Rubber Company、Cleveland、Ohio、(1971)に開示されているようなものが当業者に知られている。
【0084】
他の実施形態では、組成物が少なくとも1つの合成または天然食品着色剤(例えば、アナット抽出物、アスタキサンチン、ビート粉末、ウルトラマリンブルー、カンタキサンチン、カラメル、カロテナール、ベータカロチン、カルミン、トーストされた綿実粉、グルコン酸第一鉄、乳酸鉄、ブドウ色抽出物、ブドウ皮抽出物、酸化鉄、果汁、野菜ジュース、乾燥藻類ミール、マンジュギクミール、ニンジン油、トウモロコシ内乳油、パプリカ、パプリカオレオレジン、リボフラビン、サフロン、ターメリック、ターメリックおよびオレオレジン)を含む。
【0085】
好ましい単位用量製剤は、本明細書中上記に列挙したような1日用量または単位、1日サブ用量、またはその適切な画分の薬剤を含有するものである。いくつかの実施形態では、特定の対象に対して、単位用量が1回以上の用量で提供される、少なくとも推奨される1日レベルの果物および野菜を含む(例えば、推奨される1日の食事回数の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15回、またはそれ以上)。
【0086】
特定の被験者に対する1日の要件は年齢、性別等に基づいて変化する(例えば、health.gov/dietaryguidelines/dga2000/document/build.htmを参照されたい)。例えば、1日当たりの推奨される野菜の提供回数は3~5回で変化し、果物の提供回数は2~4回で変化する。いくつかの実施形態では、1杯の生葉野菜、1/2カップの調理済みまたは生の他の野菜、3/4カップの野菜ジュース、1つのミディアムのリンゴ、バナナ、オレンジ、セイヨウナシ、1/2カップのみじん切りされたか、調理済みか、又は、缶詰のフルーツ、または3/4カップのフルーツジュースに相当する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物が20~80(例えば、30~70、30~60、または40~65g/日)のF&V混合物(例えば、8~9人分のF&V)の日用量または単位用量として提供される。量は、特定の対象の食事の必要性に基づいて調節される。
【0087】
本開示の組成物および方法は、他の適切な組成物および治療法と組み合わせることも意図される。例えば、本明細書に記載の組成物は、代謝障害および肥満の他の合併症を処置および予防するために適切な1つ以上のさらなる薬剤と共投与され得る。
【0088】
本明細書に記載のF&V組成物は、肥満および代謝障害に関連する多くの様々な状態の治療、予防、およびリスクの低減における使用される。例として、体重増加、肥満、炎症状態、脂肪肝疾患、高コレステロール、グルコース不耐性、インスリン抵抗性、低腸内細菌叢多様性、心疾患、およびアテローム性動脈硬化症が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、対象における脂肪量の減少、筋肉量の増加、炎症性サイトカインおよび/またはセラミドの減少、組織炎症の減少、コレステロールの減少、耐糖能の改善、免疫応答の改善、腸内細菌叢の多様性の増加、寿命の増加、認知の改善、および/または骨の健康の改善に、組成物は使用される。
【0089】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のF&V組成物が、本明細書に記載の障害または状態と診断されるか、またはその危険性があるか、または、さもなければ必要とされる対象に投与される。いくつかの実施形態では、対象は肥満であるかまたは肥満ではない。いくつかの実施形態では、対象は本明細書に記載の疾患または状態(例えば、家族歴、過体重など)の1つ以上の危険因子を有する。いくつかの実施形態では、対象が定期的に推奨される1日レベルのF&Vを消費しない。
【0090】
いくつかの実施形態では、投与が本明細書に記載される、指数(例えば、兆候、症状、検査結果)または障害、状態、または合併症を減少させる。いくつかの実施形態では、投与が、そのような、兆候または症状を示さない個体において、前記兆候、症状、または検査結果が発症するリスクを予防又は低減する。
【0091】
いくつかの実施形態では、投与は、少なくとも1週間の期間(例えば、少なくとも1ヶ月、少なくとも1年、複数年、または無期限)、1日当たり1回以上(例えば、1、2、3、またはそれ以上)繰り返される。
【0092】
〔実施例〕
〔実施例1〕果物と野菜の混合物はマウスの食餌誘発性脂肪肝を予防する
【0093】
<方法>
(動物および食餌)
食餌組成を表1~5に示す。4週齢のC57BL/6J雄マウスをThe Jackson Laboratory(Bar Harbor, ME, USA)から購入し、Tufts UniversityのJean Mayer USDA Human Nutrition Research Centeron Agingの動物管理施設に収容した。順化してから12日後、個々にケージに入れた動物を9つの体重対応群(weight-matched group)に割り当てた。当該群には、標準マウス食餌[Basal(B0)、16kcal%脂肪、AIN-93G;Research Diets、#D10012G)、高脂肪食餌(HF0、45kcal%脂肪、Research Diets、#D12451M)、HF食餌用の低脂肪対応対照(match control)(MC、10.0kcal%脂肪、Research Diets、#D12450H)、ならびに、5%、10%、および15%の果物および野菜(F&V)混合物を補充したB0およびHF0を含む(それぞれ下記参照)。F&V粉末の有無にかかわらず、動物飼料の栄養素含量を表3に示す。マウスにそれぞれの食餌を20週間自由に与え、その間、それぞれの時点で、体重、食物摂取量、および体組成を含む異なる結果変数を記録し、分析した。
【0094】
(乾燥果物・野菜(F&V)粉末製剤)
USDA国勢調査データに基づいて最も一般的に消費されているF&Vの24の組み合わせを含むF&V混合物をホモジナイズして、凍結乾燥粉末を調製した(F&V組成物については表10A~Bを参照のこと)。米国の消費パターンを模倣するために、F&V混合物中の個々の果物または野菜の割合を、米国における毎年のF&V消費の相対的割合に基づいて計算した。新鮮な果物および野菜を食料品店から購入し、次いで洗浄し、食用部分のみを得るためにカットした。次に、食用部分を30000rpmのミキサー中で毎回15~20秒、合計2分間混合させて、果物および野菜のホモジェネートを調製した。F&Vホモジェネートをステンレス鋼容器に保存し、アルミニウム箔で包み、-80℃の冷凍庫で一晩冷凍した。次いで、凍結F&V混合物を、300mTorrの真空度および棚温度を-20℃に設定した凍結乾燥機チャンバー(VirTis Freezemobile 35XL Freeze Dryer)に入れた。次に、棚温度を1時間毎に10℃上昇させた。最大棚温度は20℃である。F&V混合物を4日間で完全に乾燥させた。乾燥混合物を同じ設定で同じミキサーで粉砕して微粉末を得た。動物用食餌調製に使用するまで-80℃の冷凍庫において微粉末をプラスチックバッグ中に保存した。
【0095】
F&V粉末を、0%、5%、10%または15%の食餌と置き換えて、w/wベースで実験食餌に組み込んだ。食餌に関する栄養情報を以下の表2~5に示す。表2は、F&V粉末中のポリフェノールの算出量に関する。表3は、F&V粉末を含むまたは含まない、動物食餌中の栄養素量に関する。表4は、F&V粉末を含むまたは含まない、動物食餌中のポリフェノールおよび総抗酸化剤の量に関する。表5は、F&V粉末を含むまたは含まない、動物食餌中の総繊維、可溶性繊維および不溶性繊維を含む繊維の量に関する。
【0096】
雄C57BL/6Jマウスを9つの食餌群(12マウス/群)の1つに割り当てた。食餌を20週間自由に与え、マウスの体重を毎週測定し、食餌摂取量を記録した。
・15週目に、総脂肪量および除脂肪体重をMRIで測定した。
・マウスの糞便サンプルを18週目に採取し、ボンベ熱量計によるエネルギー量の測定および細菌叢分析のために-80℃フリーザーに保存した。
・20週後にマウスを安楽死させた。血液試料を採取した。血清を分離し、さらなる分析のために-80℃で保存した。肝臓および脂肪組織をホルマリン中で部分的に固定し、液体窒素中で部分的にまず凍結させ、次いで保存のために-80℃に移した。固定した肝臓と脂肪組織を病理組織学的に処理し、脂質蓄積および炎症をそれぞれ測定した。
・凍結脂肪組織試料を用いて、RTqPCRにより炎症誘発性分子のmRNA量を分析した。
【0097】
(体組成分析)
体組成(%脂肪組織および%除脂肪組織)を、げっ歯類磁気共鳴イメージングシステム(Whole Body Composition Analyzer, EchoMRI, Houston, TX)を使用して15週齢で評価した。
【0098】
(糞便エネルギー密度測定法)
糞便エネルギー密度は、PARR 6200 Isoperibol熱量計(Parr Instrument Company, Moline, IL, USA)を用いて、製造業者の指示に従って測定した。
【0099】
(脂肪組織構造と脂肪細胞のサイズ決定)
精巣上体脂肪組織を切開および固定し、パラフィンに包埋して切片化した。切片をヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色した。H&E染色した精巣上体脂肪組織切片の脂肪細胞のサイズを、以前に報告された方法に基づいて測定した(Parleeら、2014年)。簡単に説明すると、H&E染色した精巣上体脂肪組織のデジタル画像をオリンパスFSX100光学顕微鏡で取得し、それぞれの脂肪細胞の面積(μm2)をタッチスクリーンラップトップコンピュータによって手動で決定した。データは、計数した脂肪細胞の総数(%合計)と比較した脂肪細胞の頻度(frequency)として表した。
【0100】
(肝組織構造と脂肪肝面積測定)
肝組織を切開および固定し、パラフィンに包埋して切片化した。切片をヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色した。染色後、Tufts University and Tufts Medical CenterのAnimal Histology and Pathology Servicesで組織学分析を行った。H&E染色した肝組織のデジタル画像を、Olympus FSX100光学顕微鏡を用いて取得した。以前に報告されているように(McLaughlinら、2010年)、ImageJソフトウェアを使用して、脂肪肝の面積を測定した。
【0101】
(血清、肝臓および脂肪組織のリピドミックプロファイル)
VCU Massey Cancer Center Lipidomics Shared ResourceによるLC-MS/MS技術を使用して、血清、肝臓および脂肪組織のリピドミックプロファイル(lipidomic profile)を分析した。
【0102】
(肝臓nSMase活性アッセイ)
肝臓ホモジェネートを調製し、報告されている方法に基づいて肝臓nSMase活性を測定した(Empinadoら、2014年)。簡単に説明すると、肝臓ホモジェネートのnSMase活性を測定し、40μgを各アッセイに使用した。タンパク質濃度を、マイクロプレート手順に従って、Thermo Scientific Pierce BCA Protein Assay kitを使用して評価した。nSMase活性アッセイは、40μLの最終量において、7.5mMのMgCl2、10μMのC6-NBD-SM、1mMのオルトバナジン酸ナトリウム、15mMのフッ化ナトリウム、プロテアーゼ阻害剤のカクテルおよび40μgのホモジェネートを含む50mMのTris-HCl(pH7.4)反応緩衝液中で30分間行った。0.5mLのメタノールを添加することによって反応を停止させた。37℃で30分間さらにインキュベートした後、試料を1,000×gで遠心分離し、透明な上清を透明なHPLCバイアルに移した。生成した蛍光生成物であるNBD-セラミドを逆相HPLCによってモニターした。
【0103】
(遺伝子発現解析)
総RNAを、TRIzol試薬(Invitrogen)を用いて肝臓および脂肪組織から抽出した。相補的DNA(cDNA)を、Super Script III First-Strand Synthesis System(Invitrogen)を使用して、1μgの総RNAの逆転写によって生成した。目的の遺伝子発現レベルを、SYBR緑色試薬を使用することによって定量した。結果は、比較発現レベルの倍率変化として表す。
【0104】
(血清の炎症誘発性サイトカイン量の測定および結成の脂質プロファイリング)
マウス血清の炎症誘発性サイトカイン量を、電気化学発光マルチプレックスアッセイを使用して決定した。HNRCAのNutritional Evaluation Laboratoryで血清の脂質プロファイリングを行った。
【0105】
(16SrDNA細菌叢プロファイリング)
(DNA抽出および16SrDNAアンプリコン生成)
細菌ゲノムDNAを、以下の改変を行ったQIAamp Stool DNA Kit(Qiagen, Germantown, MD)を用いて抽出した。試料を、500mgの0.1mmシリカ/ジルコニウムビーズ(BioSpec Products, Bartlesville, OK)の存在下でASLバッファ(Qiagen kit)に再懸濁し、95℃において10分間インキュベートした。室温に冷却した後、試料をビーズ破砕機上に4℃において5分間置いた。糞便固体を微量遠心機でペレット化し、上清をInhibitex錠剤で処理した後、標準的なQiagenプロトコルに従った。細菌の16SリボソームDNAのV4領域のアンプリコンをPCRにより生成し、アンプリコンプールをMiSeqシーケンサー(Illumina)で配列決定し、QIIME分析を行い、Tufts University Core Facility Genomics CoreによりOTU表を生成した。Shannon多様性指数およびSimpson多様性指数を決定し、重みづけしないUniFrac分析を行った。Bioconductor Workflowを用いてデータを分析した。Kruskal-Wallis検定を多様性測定ごとに行い、次いでWilcoxonの順位和検定を行い、誤発見率(FDR)補正(Callahanら、2016年;Goodrichら、2014年;LozuponおよびKnight、2008年)により一対比較を行った。
【0106】
(細菌叢データ解析)
細菌叢データを分析するために、Qiime(具体的にはQIIME1.8.0)と呼ばれるパイプラインを使用した。このパイプラインの基本は次のとおりである。すべての逆多重化されたfastqファイルを1つのファイルに結合する。このファイルには、対になったエンド読み取りを結合することと、すべてのファイルを一緒に連結することが含まれる(qiime.org/scripts/join_paired_ends.html)。各読み取りからバーコードが抽出される(qiime.org/scripts/extract_barcodes.html)。ライブラリは分割され、マッピングファイルから各配列が対応する識別子で識別されるファイルを生成する(qiime.org/scripts/split_libraries.html)。そこから、限定された参照(closed reference)を使用して、OTU表を生成するOTU選択(OTU picking)を実行する。また、アルファ分析においてサンプリング深さを決定するときに使用される試料当たりの配列数を有する表も提供する(qiime.org/scripts/pick_closed_reference_otus.html)。参照OTUは、greengenesと呼ばれるデータベースから得られ、greenes_13_8(greengenes.secondgenome.com/downloads)である最新の放出(most recent release)が使用された。また、OTUを選択するときに0.99の類似性が使用された。
【0107】
(定量および統計解析)
データは平均値±標準誤差で示す。両側の対応のないt検定またはWelch補正による両側の対応のないt検定を、それぞれ等しいまたは等しくない分散を有するB0とB15との比較のために使用した。MC、HF0およびHF15データ間の違いを、一方向ANOVA、続いてDunnettの事後検定により分析した。相関係数はノンパラメトリックSpearmanの順位相関を用いて計算し、腸内細菌の存在度と臨床バイオマーカーのSpearman相関分析からのp値は、Benjamini-Hochberg方法を用いて誤検出率について補正した。群間の腸内細菌の存在度の違いをDeseq2パッケージを用いて分析した。有意性をp<0.05に設定した。
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
〔結果〕
(F&V補給はHF食餌を与えた肥満マウスの体重増加を減少させたが、基本食餌を与えた、脂肪なしのマウスの体重増加に影響しなかった)
【0114】
肥満および代謝性疾患に対するF&Vの効果を調べるために、USDA国勢調査データ(1994~2008年の1人当たりの1日平均消費量(グラム))に基づいて、最も一般的に消費されるF&Vのうちの24を含む独自のF&V混合物を、調合した。消費の自然な様式を模倣するために、F&V混合物における個々の果物または野菜の割合を、米国における年間F&V消費の相対的な割合に基づいて計算した。12の果物および12の野菜の混合物を、凍結乾燥および粉砕し、0%、5%、10%または15%の食餌と置き換えて、w/wにベースで実験食餌に取り込んだ。
【0115】
次に、標準食餌(Basal、B; AIN-93,16kcal%脂肪)を与えた脂肪なしのマウスまたは肥満マウスにおけるF&V補給の効果を計算した。肥満は、HF食餌(45kcal%脂肪、マウスにおける肥満を誘導するための研究において典型的に使用される)を与えることによって誘導された。AIN-93と、使用したHF食餌との間にはわずかな差しかないので、高脂肪食の対照として、調和のとれている微量栄養素の対照食餌(MC;10kcal%脂肪)をマウスの追加群に与えた(Warden and Fisler,2008)。マウスにそれぞれの食餌を20週間与えた。
【0116】
HF食餌のみを与えた肥満マウス(HF0)は、20週間で、MC食餌を与えたマウスよりも77.1%の体重を増した。しかし、15%のF&V(HF15)を補ったHF食餌を与えたマウスは、F&V(HF0)なしのHF食餌を与えたマウス(
図1B)と比較して、明らかに少ない体重を増した。より少ない(5%および10%)レベルのF&V補給を有するHF食餌を与えたマウスにおける体重増加に有意な差は観察されず(
図1B)、15% F&Vが食餌誘発性肥満における体重増加の抑制に最も有効な量であることを示している。関心のある他の結果についても同様の観察がなされた。従って、15%を補われた食餌からのデータを使用する。さらに、体組成(17週齢でMRIを用いて測定)は、MC食餌を与えたマウスと比較して、HF食餌を与えたマウスは、体重の百分率として、107%多い脂肪組織重量(
図1D)および58.3%多い総脂肪質量(
図1F)を有することを示した。HF食餌(HF0)を与えたマウスにおける脂肪なしの組織塊の百分率は、MC食餌を与えたマウスのそれよりも18.5%低かった(
図1H)。15%F&Vを補ったHF食餌を与えられたマウスは、HF食餌のみを与えられたマウス(HF0)と比較して、有意に少ない脂肪組織重量を有した(
図1D)。
【0117】
基礎食餌のみを与えたマウス(B0)は、HF0食餌を与えたマウスより低い体重増加を有した(
図1A&B)。基礎食餌を与えたマウスにおいて、体重増加(
図1A)および体組成(
図1C、1E、1G、および1I)に対するF&V補給の有意な影響はなかった。
【0118】
肥満マウスの食物エネルギー摂取レベル(
図S1D)に対するF&Vの有意な影響はなかった。基礎食餌およびHF食餌の両方におけるF&V補給は、糞便重量(
図S1EおよびS1F)、糞便エネルギー密度(
図S1GおよびS1H)、および糞便エネルギー排泄(
図S1IおよびS1J)を有意に増加させ、HF食餌を与えたマウスの体重増加抑制に対するF&Vの有益な効果が、エネルギー取り込みの低下によって媒介され得ることを示した。
【0119】
(食餌性のF&V補給は脂肪組織の炎症を低減させ、食物摂取および体重減少と無関係にNAFLDを抑制する)
【0120】
脂肪細胞死ならびに浸潤したマクロファージおよび他の炎症細胞によって特徴付けられる機能不全の脂肪組織、特に内臓の白色脂肪組織は、代謝性疾患の病因と関連している(Paniagua、2016; van Greevenbroek et al、2016)。瀕死の脂肪細胞の周囲に蓄積した炎症性免疫細胞により形成されると知られている、性腺脂肪組織におけるs冠状構造は、代謝障害の発症と関連している(van Beek et al、 2015)。免疫細胞濾過は、脂肪組織機能不全の顕著な特徴である(Guzikら、2017)。
【0121】
F&V消費の増加が脂肪組織炎症を抑えるか否かを探るために、F&Vを補った、または補わない基礎食餌またはHF食餌を与えたマウスにおける精巣上体脂肪組織(eAT)の組織学的分析を行った。冠状構造は、HF0食餌またはB0食餌のいずれかを与えられたマウスにおいて認められ、HF0と比較してB0においてはるかに低い密度であった(
図2Aおよび2D)。15%のF&Vを補給したHF食餌または基礎食餌をマウスに与えると、冠状構造が排除された(
図2Bおよび2E)。これらのデータは、eATにおけるF&Vの抗炎症作用は、15%F&Vありおよびなしの基礎食餌を与えたマウスの間で平均体重に差がなかったことから、その抗肥満作用と無関係であることを示している(
図1Aおよび1B)。以前の報告(Strisselら、2007)と同様に、小脂肪細胞の有病率(<2000μm
2)が、HF食餌を与えたマウスにおいて20週目に観察された(
図2F)。小脂肪細胞の有病率の増加は、再構築されたeATにおける死んだ脂肪細胞の特徴であり、脂肪組織の脂肪貯蔵能の低下によるNAFLDとしばしば関連する。HF食餌に15%のF&Vを補給する、HF食餌によって誘導される小脂肪細胞の有病率が著しく低下した(
図2F)。基礎食餌を与えたマウスでは、eAT脂肪細胞サイズに対するF&Vの有意な影響は認められなかった(
図2C)。
【0122】
炎症誘導性サイトカイン遺伝子の発現レベルをマウスeATにおいて調べ、炎症誘導性サイトカイン、TNFα、IL-1β、IL-6、およびMCP-1のmRNAレベルは、MC食餌を与えたマウスと比べて、HFダ食餌単独を与えたマウスのeATにおいて高いことが分かった。15%のF&Vを有するHFDを与えたマウスは、eATにおける炎症誘発性サイトカインmRNA発現を、HFD単独と比較して有意に低く有していた(
図S2A-S2D)。B0食餌およびB15食餌を与えたマウスの間の炎症誘導性サイトカインのmRNAレベルに有意差は、認められなかった。
【0123】
肝臓切片のH&E組織学的染色は、MC食餌(10kcal%脂肪)を与えたマウスにおいてNAFLDの徴候を示さなかった(
図3A)。20週間の基礎食餌(16kcal%脂肪を含むB0、AIN-93)またはHF食餌(HF0、45kcal%脂肪)のいずれかを与えたマウスは、それぞれ、軽いNAFLDおよび重篤なAFLDを生じた(
図2Hおよび2K)。対照的に、基礎食餌およびHF食餌の両方において15%のF&Vを受けているたマウスは、明らかにわずかな肝脂肪症を示した(p<0.05、
図2I、2J、2L、および2M)。これらのデータは、F&Vの抗脂肪肝作用が15%F&Vなしおよびありの基礎食餌を与えたマウスの間で平均体重に差がなかった事実によって、その抗肥満作用と無関係であることを示している(
図1Aおよび1B)。
【0124】
脂質異常症はNAFLDと強く関連するので(Chatrathら、2012; Katsikiら、2016; ZhangおよびLu、2015)、血清脂質プロファイリングを行った。結果は、F&V補給が血清脂質プロファイルに対する有意な効果を有しなかったことを示す(
図13A~13J)。したがって、このモデルにおけるF&Vの肝脂肪症に対する効果は、脂質プロファイルの変化を介して媒介されていない。
【0125】
HFD単独を与えられたマウスと比較して、HFD+F&Vを与えられたマウスは、低い脾臓重量および脾臓重量指数(mg脾臓/g体重として計算された)を有した(
図8)。
【0126】
(F&V補給は、循環血中および肝組織中のセラミドならびに炎症誘発性サイトカインTNFαを減少させた)
【0127】
循環スフィンゴ脂質、特にセラミドのレベルはNAFLD病因と密接に関連しているので(Ilan、2016; Nikolova-Karakashian、2018; Regnier et al、2018)、血清スフィンゴ脂質プロファイル分析を行った。その結果、B15食餌(
図3A)またはHF15食餌(
図3B)を与えたマウスは、それぞれB0またはHF0と比較して、総セラミドの有意に低い血清レベルを有していた。
【0128】
同様に、C16:0セラミド、C24:0セラミド、およびC24:1セラミドなどの他のセラミド種の、B15食餌またはHF15食餌を与えたマウスにおける血清レベルは、それぞれB0またはHF0と比較して、有意に低かった、または低い傾向にあった(下部3E-3F、3Q-3R、3U-3V)。血清C18:1セラミドおよびC18:1セラミドのレベルの有意差は、B15食餌を与えたマウスを、B0食餌を与えたマウスと比較したとき、またはHF食餌を与えたマウスを、HF15食餌を与えたマウスと比較したとき、認められなかった(
図3I-3Jおよび3M-3N)。Spearman相関分析は、基礎食餌またはHF食餌のいずれかを与えたマウスにおけるNAFLDが、それぞれ総血清セラミドおよびTNFαと正に相関することを示した(表1)。C16:0、C20:0、C22:0、C24:0、およびC24:1セラミドを含む血清長鎖セラミド種も、基礎食餌またはHF食餌のいずれかを与えたマウスにおいてNAFLDと正に相関する(表1)。これらの結果は、NAFLDに対するF&Vの影響がセラミドレベルの変化をによって媒介され得ることを示す。
【0129】
肝セラミド濃度を測定した。HF0を与えたマウスは、MC食餌を与えたマウスと比較して、肝臓の総セラミドおよび他のセラミド種の高いレベルを有していたことが分かった。HF食餌に対する15%のF&Vの添加は、HF食餌誘発性のより高いセラミドレベルを減弱させた(
図3D,3H,3L,3P,3T,3X)。基礎食餌(
図3C、3G、3K、3O、3S、3W)を与えたマウスの肝セラミドレベルに対するF&Vの有意な影響は観察されず、セラミドの全身および組織レベルに対するF&Vの影響の間に差があることを示した。
【0130】
F&Vに誘導される、肝セラミドの減少の機序を決定するために、新規合成経路またはサルベージ経路のいずれかからのセラミド生成に必要な酵素である肝セラミドシンターゼ(CerS)のmRNAレベルに対するその作用を、アッセイした。高脂肪食餌を与えたマウスにおいてF&Vのより劇的な効果が観察されたので、HF0およびHF15食餌を与えたマウスのCerS mRNAレベルを、定量した。肝臓のCerS2、CerS5、CerS6のmRNAレベルにおける差は、HF食餌単独を与えたマウスと15%のF&Vを補ったHF食餌を与えたマウスとの間で認められず(
図14A-14C)、肝臓のセラミドレベルを低下させるF&Vの作用は、CerS遺伝子の転写物レベルの変化に起因しなかったことを示した。これらの結果はF&VがCerS酵素タンパク質レベルおよび/または活性を変化させ得ることを除外できないが、セラミドレベルに対するF&Vの影響はスフィンゴミエリンからのセラミドの放出を触媒する酵素である酵素スフィンゴミエリナーゼ(SMase)の活性の低下によるものであると考えられる。この仮説にとっての裏付けは、F&Vが抗酸化剤に豊富であり、SMaseが酸化還元ホメオスタシスによって調節されるという事実から生じる(Cinq-Fraisら、2013; Martinら、2007)。肝臓の中性SMase(nSMase)の活性を定量し、HF0食餌単独を与えたマウスは、MC食餌を与えたマウスと比べて高い肝臓のnSMase活性を有し、15%のF&Vを補ったHF食餌を与えたマウスは、HF0に比べて有意に低いnSMase活性を有したことがわかった(
図4E)。基礎食餌を与えたマウスでは、肝臓のnSMase活性に対する、増加したF&V消費の影響は認められなかった(
図4D)。これらの結果は、肝セラミド濃度に及ぼす肥満およびF&Vの影響に関する結果と一致しており(
図3)、肥満はセラミド濃度の増加を誘導すること、およびF&Vによるその低下はnSMase活性の低下によって媒介されることいることを支持している。
【0131】
様々な肝代謝過程を制御する重要な調節因子である肝FXRの活性化は、TNFαを含むNF-κB標的炎症遺伝子を阻害することによって、肝炎を抑える(YDら、2008)。一方、TNFαおよびHFD給餌は、肝臓FXR発現を下方制御する(Geierら、2005;Kimら、2003年;Nieら、2017年)。FXRアゴニストは、HFDに誘導されるFXR発現の下方制御を上方制御でき、TNFαおよびNF-κBシグナル伝達経路を阻害できた(Huら、2018)。TNFαは、中性原形質膜と関連するSMase活性を刺激して、セラミド生成に導き(Schutzeら、1994年)、かつNAFLDの発生および進行の原因になると示されている(De Taeyeら、2007年;Kakinoら、2018年)。さらに、TNFαおよびセラミドは、NAFLDおよび糖尿病を含む代謝障害の発生に重要な役割を果たすと示されている(Ilan、2016年;Rehmanら、2017年;Schmidt-ArrasおよびRose-John、2016年)。炎症性サイトカインであるTNFα、およびセラミドはまた、互いのレベルを調節に関与している。さらに、セラミドはNAFLDなどの炎症および代謝障害をもたらす活性酸素種のミトコンドリア生成を増加させることができる(Pagadalaら、2012年)。このように、肥満、およびF&Vに誘導される変化の、脂肪組織炎症およびNAFLDにおける根本的な機序をより理解するために、15%のF&Vの補給ありまたはなしの基礎またはHF食餌を与えたマウスならびにMC食餌を与えたマウスの、循環および肝臓のTNFαのレベル、ならびに肝臓のFXR mRNAレベルを決定した。MC食餌を与えたマウスと比較して、HF食餌のみを与えたマウスは、有意に、高い循環および肝臓のTNFαタンパク質レベル、低い肝臓のFXR mRNA、および高い肝臓のnSMase比活性を示すことがわかった(
図4A-4D)。マウスに15%のF&VのHF食餌を与えることは、HF食餌による肝臓のFXR mRNA発現の低下(
図4B)および肝臓のnSMase比活性の上昇(
図4D)を抑さえ、血清および肝臓のTNFαレベルを下げる傾向にあった(それぞれP=0.0761およびP=0.0971;
図4Aおよび4C)。15%のF&Vを有する基礎食餌を与えたマウスは、基礎食餌のみを与えたマウスと比較して、有意に低い血清TNFαレベルを有した(p<0.001、
図4E)が、B0l食餌を与えたマウスとB15食餌を与えたマウスとの間で、肝臓のFXR mRNAレベル、肝臓のTNFαタンパク質レベル、肝臓のnSMase比活性に劇的な差はなかった(
図4F-4G)。これらの結果は、NAFLDに対するF&V補給の予防効果が、抗炎症遺伝子 抗炎症遺伝子の発現、FXR、TNFαおよびセラミドレベルを調節することによって部分的に媒介され得ることを示している。これは、以下に述べられている相関分析の結果によって支持されている。
【0132】
HFDのみを与えたマウスと比較して、F&Vを補給したHFDを与えたマウスは、有意に、高いLXA4および14,15-EETの血清レベル(それぞれ203%および96%)、低い20-HETEおよびDHGLAの血清レベルを有していた(それぞれ14%および41%)(
図9)。
【0133】
Spearman相関分析は、TNFαレベルと、総セラミドならびにC16:0、C20:0、C22:0、C24:0、C24:1セラミド種との間に有意な正の相関を示した(表1)。これは、TNFαがHF食餌に誘導されるセラミドレベルの変化およびF&Vに誘導されるセラミドレベルの変化の両方に関与し得ることを示す。TNFαとNAFLDとの間にも有意な正の相関が観察され(表1)、TNFα、セラミドおよびNAFLDの関連が裏付けている。
【0134】
(腸内微生物叢の腸内毒素症状は、F&V補給によって軽減され、かつ生化学的および臨床的転帰と関連していた)
【0135】
腸内微生物叢に対するF&V補給の影響を評価するために、われわれは16S rRNA遺伝子に基づく分類学的プロファイリングを行った。基礎またはHF食餌のみを与えたマウスと比較して、F&Vを補った基礎またはHF食餌を与えたマウスが、糞便微生物叢における有意に高いアルファ多様性有していることを、われわれは見出した(
図5Aおよび5C)。主座標分析は、両方の食餌におけるF&V消費にほぼしたがって異なる糞便微生物叢組成をともなって、食餌にしたがった腸内微生物叢の組成の変化を示した(
図5Bおよび5D)。
【0136】
さらに、われわれは、分類学的な全レベルにおいて腸内細菌組成の変化を観察した。
【0137】
MC食餌を与えたマウスと比較して、HF食餌を与えたマウスは、劇的に異なる腸内細菌組成を有していた。F&Vを補ったHF食餌を与えたマウスは、HF食餌を与えたマウスもより、MC食餌を与えたマウスの微生物組成とほぼ類似の微生物組成を有していた。F&Vを補った基礎食餌を与えたマウスの微生物組成は、基礎食餌を与えたマウスの微生物組成と異なるパターンを示した(
図6A-6E)。
【0138】
示差存在比分析は、HF0食餌を与えたマウスと比較して、HF15食餌を与えたマウスにおける以下の分類群の有意に高い存在比を明らかにした:Anaeroplasma(10x)、Leuconostoc(7.5x)、Trichococcus(5x)、Oscillospira(~1.5x)、Firmicutes門に注釈されている2群(~2x)、Bacteroidetes門に注釈されている1群(2.5x)、およびシアノバクテリア1群(7.5x)。対照的に、HF15食餌を与えたマウスにおけるいくつかの属は、HF0食餌を与えたマウスと比較して、低い存在比を有していた:Lactococcus(-2.5x)、SMB53(-8x)、およびFirmicutes門からの、注釈されていない1群(-7x)、およびBacteroidetes門からの1群(-4x)(
図15A)。また、Anaeroplasma、Leuconostoc、Trichococcus、およびシアノバクテリア門からの注釈されていない属も、HF15食餌を与えたマウスにおいて、MC食餌を与えたマウスより多かった(それぞれ10x、7.5x、6x、7x多い、
図15B)。同様に、Anaeroplasma属およびLeuconostoc属も、B0食餌を与えたマウスと比較して、B15食餌を与えたマウスにおいて多かった(
図15C)。
【0139】
Spearman相関分析は、基礎食餌(B0&B15)を与えたマウスにおけるF&V摂取量と正に相関している腸内細菌が、炎症、セラミドと逆相関し、糞便エネルギー排泄量と正に相関することを示した(
図7A)。同様に、HF食餌を与えたマウスにおいて、F&V摂取量と正に相関する細菌は、肝臓のFXR mRNA発現および除脂肪体重パーセントによってわかるように、より健全な代謝プロファイルと正に相関し、脂肪量、炎症およびセラミドと負に相関した(
図7B)。
【0140】
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【0141】
〔実施例2〕
(食餌性果物および野菜の補給は、LDL受容体ノックアウトマウスにおける食餌誘導性アテローム性動脈硬化症を抑制する)
【0142】
<材料および方法>
(果物・野菜(F&V)粉末製剤)
USDA国勢調査データに基づいて最も一般的に消費されるF&Vの24の組み合わせを含有するF&V混合物をホモジナイズして、実施例1に記載のように凍結乾燥粉末を調製した。
【0143】
(動物および食餌)
4週齢のオスのLDL受容体ノックアウトマウス(B6.129S7-Ldlrtm1Her/J、ストック番号002207)を、The Jackson Laboratory(Bar Harbor、ME、USA)から購入し、Jean Mayer USDA Human Nutrition Research Center on Aging at Tufts Universityの動物管理施設に収容した。順化の12日後、個々にケージに入れた動物を、低脂肪食餌(LF)群、高脂肪食餌(HF0)群、および15%のF&V混合物(HF15)を補った高脂肪食餌の群を含む、同等の体重の3群に割り当てた。LF食餌は、脂肪からの10%kcalカカオバターからの4.4% kcal/大豆油からの5.6%kcal, Research Diets、#D17030910Mおよび52mgのコレステロール/1000 kcalを添加した改変AIN-93M食餌で作られた。HF0食餌は、脂肪からの27%kcal(カカオバターからの24.2%kcal/大豆油からの2.8%kcal、Research Diets、#D17030911M)および130mgのコレステロール/1000kcalを含む、改変AIN-93M食餌からなった。HF15食餌は、15%のHF0食餌を15%のF&V混合物(w/w)(ヒトについては8~9人分のF&V/日に相当する)で置き換えることによって調製した。マウスにそれぞれの食餌を20週間自由に与えた。体重を毎週記録し、腸微生物分析のために糞便試料を採取した。
【0144】
(動物採血および臓器分離)
20週後、マウスを安楽死させた。血液サンプルを各動物から心臓穿刺によって収集し、血清を分離し、さらなる分析のために-80℃で保存した。それから、以前に報告されている[1]通り、胸腔を開き、大動脈を分離した。肝臓を切開し、重さを量り、それから、2片(1片をホルマリンに、1片をホイルに入れた)に分け、それから液体窒素で凍結させ、それから保存のために-80℃に移した。
【0145】
(大動脈病変の面積定量化)
分離した下行大動脈を10%緩衝化ホルムアルデヒド溶液中に保存し、脂肪を除去し、長手方向に切断し、次いで昆虫ピンを用いてブラックワックスプラットフォーム上にピン留めした。大動脈病変を、イソプロパノール中の新しく調製したOil Red Oで染色することによって可視化した。得られた画像を解剖顕微鏡下で捕捉した。Adobe Photoshop(登録商標) CC 2015ソフトウェア(Adobe Systems、Mountain View、CA)を用いて大動脈アテローム病変の面積を評価し、大動脈領域の全面積に対するオイルレッドOで染色したプラーク領域の割合を定量した。
【0146】
(肝脂肪症解析)
固定された肝組織を、組織病理学のために処理して、脂質蓄積を測定した。肝脂肪症の面積をホルマリン固定H&E染色切片で定量し、全面積に対する脂質面積の割合をImageJ(Neuberger and James 1999)を用いて計算した。類洞、門脈路、肝静脈などの非肝細胞領域は、分析対象から除外された。
【0147】
(遺伝子発現解析)
全RNAを、TRIzol試薬(Invitrogen)を用いて凍結肝組織から抽出した。相補的DNA(cDNA)を、Super Script III First-Strand Synthesis System(Invitrogen)を使用して、1μgの全RNAの逆転写によって生成した。目的の遺伝子発現レベルを、SYBR Green試薬を使用することによって定量した。結果は、比較発現レベルの倍率変化として表される。順方向または逆方向オリゴヌクレオチドプライマーの配列を以下の表6に挙げる。
【0148】
【0149】
(血清の炎症誘発性サイトカインレベルおよび血清脂質プロファイリングの測定)
マウス血清の炎症誘発性サイトカインレベルを、電気化学発光多重アッセイを使用して決定し、そして血清脂質プロファイリングを、HNRCAのNutritional Evaluation Laboratoryによって実施した。
【0150】
(16S rDNA微生物叢プロファイリング)
細菌ゲノムDNAを、QIAamp Stool DNA Kit(Qiagen、Germantown、MD)を使用して、製造者の指示に従って抽出した。細菌の16SリボソームDNAのV4領域のアンプリコンをPCRにより生成し、アンプリコンプールをMiSeqシークエンサー(Illumina)によって配列決定した。QIIME分析を行い、OTU表をTufts University Core Facility Genomics Coreによって生成した。ShannonおよびSimpson多様性指数を決定し、重み付けなしのUniFrac分析を行った。Bioconductor Workflowを用いてデータを分析した。それぞれの多様性メトリックについてKruskal-Wallis検定を行い、その後Wilcoxon順位和検定を行い、偽発見率(FDR)補正との対比較を行った[2-4]。
【0151】
(統計分析)
データを、平均値±標準誤差として示し、一元配置分散のあとに、Dunnettのpost-hoc試験によって分析した。相関係数はノンパラメトリックSpearmanの順位相関を用いて計算し;腸細菌の存在比および臨床バイオマーカーのSpearman相関分析に基づくp値を、Benjamini-Hochberg方法を用いて誤検出率について補正した。群間の腸内細菌の示差的な存在比、をDeseq2パッケージを用いて分析した。有意性をp<0.05に設定した。
【0152】
〔結果〕
(F&V補給はLDLR KOマウスにおける高脂肪食餌誘発性の大動脈アテローム性動脈硬化症を抑制した。)
【0153】
LDLR KOマウスにおけるアテローム性動脈硬化病変の形成に対するF&V補給の有効性を決定するため、大動脈アテローム性動脈硬化の病変面積を直接のOil Red O染色により測定した。HF0食餌を与えたマウスは、LF食餌を与えたマウスよりも大動脈アテローム性動脈硬化の病変面積が大きかった(6.5倍の増加)。HF0を与えたマウスと比較して、HF15食餌を与えたマウスの大動脈病変の脂肪変性は80%以上減少した(
図17)。これらの結果は、F&V補給がLDLR KOマウスにおける高脂肪食誘発性の大動脈アテローム性動脈硬化症を抑制したことを示す。
【0154】
(F&V補給はLDLR KOマウスにおける高脂肪食誘発性の肝脂肪症を予防した)
【0155】
3群間で体重に有意差はなかった(
図18A)。しかし、肝臓重量および最終体重に対する肝臓重量の比率は、HF0食餌を与えたマウスにおいて、LF食餌を与えたマウスより高かった。HF15食餌を与えたマウスは、HF0食餌を与えたマウスと比較して、低い肝臓重量および最終体重に対する肝臓重量の比率を有していた(
図18Bおよび18C)。
【0156】
脂肪肝に対するFVの効果を検討した。HF0食餌を与えたマウスは、LF食餌を与えたマウスより大きい肝脂肪の面積を有していた(1.9倍の増加)。HF0食餌を与えたマウスと比較して、HF15食餌を与えたマウスの肝脂肪症の面積は80%以上減少した(
図19)。
【0157】
(大動脈アテローム性動脈硬化症の抑制および肝脂肪症の予防に対するF&V補給の効果は、LDLR KOマウスにおける食餌誘発性の脂質異常症の改善および血清TNFαレベルの低下と関連する)
【0158】
脂質代謝の調節異常はアテローム性動脈硬化症の病原性と関連するので、血漿脂質プロファイルを評価した。HF0食餌を与えたマウスは、LF食餌を与えたマウスより、有意に高い血漿トリグリセリド(TG)および低密度リポ蛋白質(LDL)コレステロールのレベルを有しており、かつ有意に低い高密度リポ蛋白質(HDL)コレステロールのレベルを有していた。HF15食餌を与えたマウスは、LF食餌を与えたマウスと同程度の水準まで脂質異常症を、有意に改善した(
図20A-4E)。さらに、TG/HDL(
図20F)、LDL/HDL(
図20G)、およびnon HDL/HDL(
図20H)の比率は、LFを与えたマウスよりHF0を与えたマウスにおいて高かった。HF15食餌を与えたマウスは、HF0食餌を与えたマウスより、低い比率のTG/HDL(
図20F)、LDL/HDL(
図20G)および非HDL/HDL(
図20H)を有しており、F&VがLDLR KOマウスにおける食餌誘発性の脂質異常症を改善することが示された。
【0159】
LDLR KOマウスにおける高脂肪食誘発性の大動脈アテローム性動脈硬化症の抑制および肝脂肪症の予防に対するF&V補給の効果が、循環中の炎症誘発性サイトカインレベルの低下によって媒介されるかどうかを検討した。F&V補給は血清TNFαレベルを有意に低下させた(
図21A)。血清IL-6(
図21B)、IL-1β(
図21C)、およびKC/GRO(
図21D)のような他の炎症誘発性サイトカインレベルは、HF0食餌を与えたマウスのと比較して、HF15食餌を与えたマウスにおいてより低い傾向にあった。
【0160】
F&V補充は脂質異常症を軽減し、かつ血清TNFαレベルを低下させたので、新規脂質生合成に関与する重要な脂質生成酵素である肝脂肪酸合成酵素(Fasn)のmRNAレベル、および脂肪肝の病態形成に重要な役割を果たし、アテローム発生に関与しえるTNFαのmRNAレベルを、決定した[5-8]。HF0食餌を与えたマウスは、LF食餌を与えたマウスより高い、肝組織中のFasnおよびTNFαのmRNAレベルを有していることがわかった(
図22Aおよび22B)。HF0食餌を与えたマウスと比較して、HF15食餌を与えたマウスは、これら2つの遺伝子の、有意に低い発現レベルを有していた(
図22Aおよび22B)。
【0161】
循環中の炎症誘発性サイトカインTNFαレベルおよび脂質異常症は、アテローム性動脈硬化症[5、6、9-11]および肝脂肪症[7、12、13]の病原性に重要な役割を果たすことが知られている。そこで、Spearman相関解析を行った。大動脈アテローム性硬化病変および肝脂肪変性の面積は、血漿HDLと負の相関(それぞれp<0.001)を示し、TNFα、およびLDL/HDL、TG/HDLおよびnon HDL/HDLの比率と、有意かつ正に相関することがわかった(
図22)。われわれの結果は、F&V混合物が、血漿TNFαレベルの低下および脂質異常症の改善によって媒介され得るHF誘発性のアテローム性動脈硬化症および肝脂肪症を予防することを示している。
【0162】
(F&V補給は、LDLR KOマウスにおける腸内微生物叢の腸内毒素症状を軽減した)
腸内微生物叢に対するF&V補給の効果を評価するために、16S rRNA遺伝子に基づく分類学的プロファイリングを実施した。HF食餌を与えたマウスと比較して、F&Vを補ったHF食餌を与えたマウスは、糞便微生物叢において有意に高いアルファ多様性を有していることがわかった。Pricipal Coodinate Analysisは、両方のLF食餌およびHF食餌と比較してF&V消費の腸内微生物叢のシフトを示した(
図24B)。
【0163】
(実施例2の参考文献)
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2. Callahan, B.J., et al., Bioconductor Workflow for Microbiome Data Analysis: from raw reads to community analyses. F1000Res, 2016. 5: p. 1492.
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4. Lozupone, C.A. and R. Knight, Species divergence and the measurement of microbial diversity. FEMS Microbiol Rev, 2008. 32(4): p. 557-78.
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【0164】
〔実施例3〕
基礎およびHFDを与えたマウスの寿命に対する本明細書に記載のF&V組成物の効果を決定するために実験を行う。組成物はマウスの寿命および健康期間を増加させ、その影響は食餌を与えられたマウスにおいてより劇的であると考えられる。肥満と同様に、加齢では、酸化ストレスの増加、炎症、セラミドの増加および腸内細菌叢の変化が認められる。加齢に伴う慢性・感染症の多くは肥満にも見られる。
【0165】
上記明細書に記載された全ての刊行物、特許、特許出願およびアクセッション番号は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本発明を特定の実施形態に関連して説明してきたが、請求項に係る発明はそのような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解されたい。実際、記載された本発明の組成物および方法の種々の改変および変形は当業者に明らかであり、そして以下の特許請求の範囲内であることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【
図1-1】F&V補給したHF食餌を与えられたマウスがより少ない体重増加および脂肪組織質量を有したことを示す。
【
図2-1】F&V補給が脂肪組織の炎症性の細胞浸潤を抑制し、NAFLDを予防したことを示している。
【
図3-1】F&V補給が血清および肝臓のセラミド濃度を低下させることを示している。
【
図4】肝臓のFXR発現レベル、nSMase活性、全身および肝臓のTNFαレベルに対するF&V補給の効果を示している。
【
図5】基礎食餌またはHF食餌のいずれかにおけるF&V補給が腸内細菌多様性を増加させたことを示している。
【
図6-1】F&V補給が細菌群生組成を変化させたことを示す。
【
図7】2つの食餌供給群を比較するSpearmanの相関係数に基づく相関行列ヒートマップを示す。
【
図8】HFD+15%のF&Vを与えたマウスが低い脾臓重量および脾臓重量指数を有したことを示す。
【
図9】
図27が15%のF&Vを有する食餌を与えたマウスにおけるリポキシン、14、15-EET、20-HETEおよびDHGLAの脂肪欠乏症変化を示すことを示す。
【
図10A】動物食餌の果物および野菜成分の例示的な組成を示す。
【
図10B】動物食餌の果物および野菜成分の例示的な組成を示す。
【
図10C】動物食餌の果物および野菜成分の例示的な組成を示す。
【
図11-1】F&V補給が糞便重量、糞便エネルギー密度、糞便エネルギー排泄量(A-J)を増大させたことを示している。
【
図12】F&V補給がeATにおける炎症誘発性のmRNA発現を下方制御したことを示す。
【
図13-1】F&V補給が血清脂質プロファイリングに対する有意な効果を有しなかったことを示している。
【
図14】F&V補給が肝臓セラミドシンターゼのmRNA発現に有意な影響を及ぼさなかったことを示す。
【
図15-1】F&V補給が特定の細菌群生組成の存在比を有意に変化させたことを示す。
【
図16】F&V補給がグルコース耐性ならびに食餌に誘導されるT細胞増殖およびT細胞増大の抑制を、改善したことを示している。
【
図17】LDLR KOマウスにおいて、F&V補給が高脂肪食餌に誘導される大動脈アテローム性動脈硬化症を抑制したことを示している。
【
図18】LDLR KOマウスにおける体重および肝重量に対するF&V補給の効果を示す。
【
図19】F&V補給がLDLR KOマウスにおける高脂肪食餌に誘導される肝脂肪症を予防したことを示している。
【
図20-1】F&V補給がLDLR KOマウスの脂質異常症を改善したことを示している。
【
図21】LDLR KOマウスにおける血漿炎症誘発性サイトカインレベルに対するF&V補給の効果を示す。
【
図22-1】F&V補給がLDLR KOマウスにおけるサイトカインの肝臓mRNAレベルを低下させたことを示している。
【
図23】Spearman相関のヒートマップがLDLR KOマウスにおける、血漿TNFαおよび脂質プロファイルに対する大動脈アテローム性動脈硬化性の病変および肝脂肪変性の面積を示すことを示す。
【
図24】HF食餌におけるF&V補給が腸内細菌多様性を増加させたことを示している。
【
図25-1】F&V補給が細菌群生組成を変化させたことを示す。
【
図26】F&V補給が細菌群集組成を変化させたことを示す。
【
図27】F&V補給がLDLR KOマウスにおける脂質異常症を改善したことを示している。
【
図28-1】F&V補給がLDLR KOマウスにおける血漿サイトカインレベルを低下させたか、または血漿サイトカインレベルに効果しなかったことを示す。
【配列表】