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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】フォルダグルア
(51)【国際特許分類】
   B31B 50/36 20170101AFI20241004BHJP
   B31B 50/62 20170101ALI20241004BHJP
【FI】
B31B50/36
B31B50/62
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021010978
(22)【出願日】2021-01-27
(65)【公開番号】P2022114616
(43)【公開日】2022-08-08
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000139931
【氏名又は名称】株式会社ISOWA
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】大西 章仁
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 幸臣
(72)【発明者】
【氏名】中西 俊介
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-153201(JP,A)
【文献】特開2018-086792(JP,A)
【文献】特開2005-014411(JP,A)
【文献】特開2001-121624(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0264271(US,A1)
【文献】特開平06-248108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結部分を介して連結された第1乃至第4パネル及び接合代を有する段ボールシートの第1パネル及び第4パネルをそれらの連結部分において折り曲げて接合代により接着するフォルダグルアであって、
前記段ボールシートを搬送する搬送装置と、
前記搬送装置による前記段ボールシートの搬送方向に沿って延び、搬送される前記段ボールシートの前記第1及び第4パネルを0度からほぼ90度まで折り曲げるように、前記第1及び第4パネルのそれぞれの表面に接触する一対の第1折り曲げ部材と、
前記搬送方向に沿って延び、且つ、前記一対の第1折り曲げ部材のそれぞれに対して、前記搬送方向に直交する幅方向の内側にそれぞれ配置された一対の第2折り曲げ部材であって、搬送される前記段ボールシートの前記第1及び第4パネルを前記一対の第1折り曲げ部材と協働して折り曲げるように、先端が前記第1及び第4パネルの裏面に形成された罫線又は前記罫線の近傍にそれぞれ接触するようになっている前記一対の第2折り曲げ部材と、
前記一対の第2折り曲げ部材のそれぞれを幅方向外側に押し出して移動させるように、前記一対の第2折り曲げ部材のそれぞれに対して押し出し力を付与する押し出し装置と、
を有し、
(1)前記第1及び第4パネルの下流部分が前記一対の第2折り曲げ部材を通過しているときには、前記押し出し力によって前記一対の第2折り曲げ部材が幅方向外側に押し出された状態となり、この状態の前記一対の第2折り曲げ部材によって前記第1及び第4パネルの前記下流部分が幅方向に拡張され、
(2)(1)の後、前記第1及び第4パネルの前記下流部分よりも上流部分が前記一対の第2折り曲げ部材を通過しているときには、通過している前記第1及び第4パネルから前記一対の第2折り曲げ部材に付与される抵抗力によって、前記一対の第2折り曲げ部材が幅方向内側に押し戻された状態となり、前記第1及び第4パネルの前記上流部分は前記一対の第2折り曲げ部材によって幅方向に拡張されず、
(3)(2)の後、前記第1及び第4パネルが前記一対の第2折り曲げ部材を通過し終えると、前記押し出し力によって、前記一対の第2折り曲げ部材が幅方向外側に押し出された状態に復帰するように、
前記押し出し装置による前記押し出し力が設定され、且つ、
前記押し出し力は、前記第1及び第4パネルが前記一対の第2折り曲げ部材を通過している間に、制御によって変更されないようになっている、
ことを特徴とするフォルダグルア。
【請求項2】
前記一対の第2折り曲げ部材の前記搬送方向に沿った長さを「L」とし、前記搬送方向において隣り合う2枚の段ボールシートのそれぞれの先端部の間の距離を「N」とし、前記段ボールシートから生産される箱における箱深さの寸法を「F」とすると、前記一対の第2折り曲げ部材の長さは「L≦N-F」の式を満たすように構成されている、請求項1に記載のフォルダグルア。
【請求項3】
前記押し出し装置は、弾性により前記押し出し力を前記一対の第2折り曲げ部材に付与する押し出しバネを備える、請求項1又は2に記載のフォルダグルア。
【請求項4】
前記押し出し装置は、高圧エアにより前記押し出し力を前記一対の第2折り曲げ部材に付与するエアシリンダを備える、請求項1又は2に記載のフォルダグルア。
【請求項5】
前記押し出し装置は、弾性により前記押し出し力を前記一対の第2折り曲げ部材に付与する押し出しバネと、高圧エアにより前記押し出し力を前記一対の第2折り曲げ部材に付与するエアシリンダとを備える、請求項1又は2に記載のフォルダグルア。
【請求項6】
前記押し出し力の大きさを変更するように、前記押し出し装置の前記押し出しバネの初期圧縮量を調整可能な機構を更に有する、請求項3又は5に記載のフォルダグルア。
【請求項7】
前記押し出し力の大きさを変更するように、前記押し出し装置の前記エアシリンダに供給される前記高圧エアの圧力を調整可能な機構を更に有する、請求項4又は5に記載のフォルダグルア。
【請求項8】
前記押し出し装置の前記押し出しバネは筐体内に収容され、この押し出しバネの一端又は両端が固定されている、請求項3、5及び6のいずれか一項に記載のフォルダグルア。
【請求項9】
前記一対の第2折り曲げ部材が取り付けられるフレームを更に有し、
前記フレームは、前記一対の第2折り曲げ部材を支持するための支持部材を備え、
前記一対の第2折り曲げ部材は、前記フレームの前記支持部材と係合し、且つ、当該一対の第2折り曲げ部材が幅方向に移動可能なように、前記支持部材に対して摺動するガイド部材を備え、
前記支持部材と係合する前記ガイド部材の面は、前記支持部材の材料よりも軟質な材料により構成されている、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のフォルダグルア。
【請求項10】
前記ガイド部材は、更に、給油による潤滑を必要としない部材により構成されている、請求項9に記載のフォルダグルア。
【請求項11】
前記一対の第2折り曲げ部材が取り付けられるフレームを更に有し、
前記フレームは、前記一対の第2折り曲げ部材を支持するための支持部材を備え、
前記一対の第2折り曲げ部材は、前記フレームの前記支持部材と係合し、且つ、当該一対の第2折り曲げ部材が幅方向に移動可能なように、前記支持部材に対して転動する転動部を含むガイド部材を備える、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のフォルダグルア。
【請求項12】
前記一対の第2折り曲げ部材は、前記先端を含む先端部分を本体部分から取り外して交換できるように構成されている、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のフォルダグルア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォルダグルアに係り、特に、4つのパネルと接合代を有する段ボールシートを折り曲げて接着するフォルダグルアに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、段ボールシート製函機において、溝切り加工及び罫入れ加工が行われ、搬送方向に延びる溝および罫線が段ボールシートに形成される。段ボールシートは、箱体を形成するためのものであり、4つのパネルと接合代を有する。フォルダグルアは、段ボールシート製函機中の1つの加工装置であり、段ボールシートの両側の2つのパネルを180度折り曲げ、その折り曲げられた1つのパネルを接合代と接着する。段ボールシートは高速で搬送されながら、2つのパネルの表面が折り曲げバーまたは折り曲げベルトに接触して折り曲げられる。
【0003】
図21図23により、従来のフォルダグルアの一例を説明する。従来のフォルダグルア90は、フレーム92と、4つの第1~第4パネルP1~P4からなる段ボールシートSSを搬送する搬送装置(上搬送ベルト及び下搬送ベルト)94と、段ボールシートSSの両側の第1及び第4パネルP1,P4を0度からほぼ90度まで折り曲げる第1折り曲げステーション96と、ほぼ90度から180度まで折り曲げる第2折り曲げステーション(図示せず)を備えている。
【0004】
図21及び図22に示された第1折り曲げステーション96においては、段ボールシートSSを0度からほぼ90度まで折り曲げるために、両側の2つの第1及び第4パネルP1,P4の表面と接触する折り曲げバー98と共に、これら第1及び第4パネルP1,P4を罫線に沿って折り曲げるための折り曲げ板100が使用される。この折り曲げ板100の先端(上端)は、第1及び第4パネルP1,P4が折り曲げられる罫線の位置よりも若干幅方向内側に配置されることが多い。これは、段ボールシートSSは厚みをもつために、折り曲げ板100の先端を罫線の位置に配置した場合、折り曲げとともに段ボールシートSSが膨らみ、この膨らんだ段ボールシートSSの腹と腹の間に折り曲げ板100の先端が挟まれ、この摩擦により段ボールシートSSが上手く搬送されなくなってしまうので、これを防止するためである。
【0005】
このような場合に、折り曲げ板100の先端と罫線位置との間に上述したようなわずかな間隔があるために、搬送される段ボールシートSSの第1及び第4パネルP1,P4の搬送方向先端側(下流側)と折り曲げバー98との間の接触摩擦抵抗により、両側の第1及び第4パネルP1,P4の折れ曲り線が段ボールシート先端側において罫線位置よりも幅方向内側に入り込み、両側の第1及び第4パネルP1,P4の姿勢が外側に向かって傾いた状態となってしまう(図22参照)。このようにして、両側の第1及び第4パネルP1,P4が傾いた状態で、段ボールシートは、フォルダグルアの後半部(下流側)に入り、両側のゲージローラ(ガイドローラ)に案内されてほぼ90度から180度折り曲げられると、第1及び第4パネルP1,P4の姿勢が傾いた状態のままで折り曲げが進み、第1及び第4パネルP1,P4の折れ曲り線が搬送方向の上流側に向かってフィッシュテール状に傾斜した箱となってしまう。このフィッシュテールの問題は、搬送方向の箱深さの寸法が大きい段ボールシートほど起こり易い。
【0006】
図23は、この従来のフォルダグルアにより折り曲げられて製造された段ボールシートSSを示し、この段ボールシートSSにはフィッシュテールが発生している。搬送方向の下流側の両側のパネル端部の間隔が「A」(より具体的には「-A」)であり、上流側の両側のパネル端部の間隔が「B」であり、上流側と下流側の両側のパネル端部の間隔の差は「A+B」であり、折り曲げられた段ボールシートは、下流側から上流側に向かって折れ曲り線が斜めに延び、フィッシュテール形状となっている。
【0007】
このような段ボールシートのフィッシュテールの発生を防止するために、従来から種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1には、フォルダグルアにおいて、折り曲げ部材の上流側において段ボールシートの通過がセンサにより検知された後、所定時間、折り曲げ部材を幅方向外側に押し出して移動させ、第1及び第4パネルの下流部分を幅方向に拡張させることで、フィッシュテールの無い箱を生産するようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第5895316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の特許文献1に記載のフォルダグルアでは、フィッシュテールの発生を防止するために、第1及び第4パネルの下流部分のみを幅方向に拡張させ、第1及び第4パネルの上流部分のみを幅方向に拡張しないように、折り曲げ部材を幅方向外側に押し出すタイミングを制御していた。したがって、このフォルダグルアでは、折り曲げ部材を押し出すタイミングを的確に制御するために、折り曲げ部材の上流側において段ボールシートの通過を検知するセンサ、及び、折り曲げ部材を幅方向外側に押し出す装置の動作を制御する制御装置を用いていた。そのため、特許文献1のフォルダグルアでは、このようなセンサ及び制御装置を用いることで、装置が高コスト化するという問題があった。
【0010】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、装置の高コスト化を回避しつつ、フィッシュテールの無い箱を適切に生産することができるフォルダグルアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明は、連結部分を介して連結された第1乃至第4パネル及び接合代を有する段ボールシートの第1パネル及び第4パネルをそれらの連結部分において折り曲げて接合代により接着するフォルダグルアであって、段ボールシートを搬送する搬送装置と、搬送装置による段ボールシートの搬送方向に沿って延び、搬送される段ボールシートの第1及び第4パネルを0度からほぼ90度まで折り曲げるように、第1及び第4パネルのそれぞれの表面に接触する一対の第1折り曲げ部材と、搬送方向に沿って延び、且つ、一対の第1折り曲げ部材のそれぞれに対して、搬送方向に直交する幅方向(シート幅方向)の内側にそれぞれ配置された一対の第2折り曲げ部材であって、搬送される段ボールシートの第1及び第4パネルを一対の第1折り曲げ部材と協働して折り曲げるように、先端が第1及び第4パネルの裏面に形成された罫線又は罫線の近傍にそれぞれ接触するようになっている一対の第2折り曲げ部材と、一対の第2折り曲げ部材のそれぞれを幅方向外側に押し出して移動させるように、一対の第2折り曲げ部材のそれぞれに対して押し出し力を付与する押し出し装置と、を有し、(1)第1及び第4パネルの下流部分が一対の第2折り曲げ部材を通過しているときには、押し出し力によって一対の第2折り曲げ部材が幅方向外側に押し出された状態となり、この状態の一対の第2折り曲げ部材によって第1及び第4パネルの下流部分が幅方向に拡張され、(2)(1)の後、第1及び第4パネルの下流部分よりも上流部分が一対の第2折り曲げ部材を通過しているときには、通過している第1及び第4パネルから一対の第2折り曲げ部材に付与される抵抗力(折り曲げ抵抗力)によって、一対の第2折り曲げ部材が幅方向内側に押し戻された状態となり、第1及び第4パネルの上流部分は一対の第2折り曲げ部材によって幅方向に拡張されず、(3)(2)の後、第1及び第4パネルが一対の第2折り曲げ部材を通過し終えると、押し出し力によって、一対の第2折り曲げ部材が幅方向外側に押し出された状態に復帰するように、押し出し装置による押し出し力が設定され、且つ、押し出し力は、第1及び第4パネルが一対の第2折り曲げ部材を通過している間に、制御によって変更されないようになっている、ことを特徴とする。
【0012】
このように構成された本発明によれば、搬送される段ボールシートについて、第1及び第4パネルにおける搬送方向の上流部分を第2折り曲げ部材により幅方向に拡張せずに、第1及び第4パネルにおける搬送方向の下流部分のみを第2折り曲げ部材により幅方向に拡張することにより、段ボールシートにおいて発生するフィッシュテールを防止することができる。特に、本発明によれば、上記のように所望の大きさに設定され且つ第1及び第4パネルによる第2折り曲げ部材の通過中には制御により変更されない押し出し力を用いて、こうした第1及び第4パネルの拡張動作を実現することができる。そのため、本発明によれば、第1及び第4パネルの拡張動作を実現するに当たって、特許文献1に記載されたようなセンサ及び制御装置を用いる必要がない。具体的には、第1及び第4パネルの通過を検出するセンサの検出結果に応じて、第1及び第4パネルが第2折り曲げ部材を通過している間に、第2折り曲げ部材に付与する押し出し力を制御装置によって制御する必要がない。以上より、本発明によれば、装置の高コスト化を回避しつつ、フィッシュテールの無い箱を適切に生産することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、一対の第2折り曲げ部材の搬送方向に沿った長さを「L」とし、搬送方向において隣り合う2枚の段ボールシートのそれぞれの先端部の間の距離を「N」とし、段ボールシートから生産される箱における箱深さの寸法を「F」とすると、一対の第2折り曲げ部材の長さは「L≦N-F」の式を満たすように構成されている。
このように構成された本発明によれば、搬送される段ボールシートのパネル部分が第2折り曲げ部材に到達したときに、この第2折り曲げ部材が、当該段ボールシートにおいて隣り合う先行の段ボールシートのパネル部分から付与される抵抗力によって押し戻された状態のままになっていることを回避することができる。よって、連続して搬送される段ボールシートのそれぞれのパネル部分が第2折り曲げ部材に到達したときに、この第2折り曲げ部材を押し出し装置による押し出し力によって幅方向外側に押し出された状態に確実に復帰させておくことができる。したがって、連続して搬送される段ボールシートのそれぞれについて、第2折り曲げ部材によって第1及び第4パネルの下流部分を幅方向に確実に拡張することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、押し出し装置は、弾性により押し出し力を一対の第2折り曲げ部材に付与する押し出しバネを備える。
このように構成された本発明によれば、押し出しバネは圧縮状態から復帰するときの機敏性が高いという特性を有するので、第1及び第4パネルが第2折り曲げ部材を通過し終えたときに、押し出し力を第2折り曲げ部材に速やかに付与することができる。よって、第2折り曲げ部材を幅方向外側に押し出された状態に速やかに復帰させることができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、押し出し装置は、高圧エアにより押し出し力を一対の第2折り曲げ部材に付与するエアシリンダを備える。
エアシリンダは、その押し出し力が第2折り曲げ部材の幅方向位置による影響を受けにくいので、所望の押し出し力を維持しやすいという特性を有する。そのため、本発明では、このようなエアシリンダを用いることで、第1及び第4パネルが第2折り曲げ部材を通過しているときに、第1及び第4パネルの所望の拡張動作を行わせるために第2折り曲げ部材に付与すべき押し出し力を的確に実現することができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、押し出し装置は、弾性により押し出し力を一対の第2折り曲げ部材に付与する押し出しバネと、高圧エアにより押し出し力を一対の第2折り曲げ部材に付与するエアシリンダとを備える。
このように構成された本発明によれば、エアシリンダ及び押し出しバネの両方を用いることで、第1及び第4パネルが第2折り曲げ部材を通過しているときに、第1及び第4パネルの所望の拡張動作を行わせるために第2折り曲げ部材に付与すべき押し出し力を的確に実現することができると共に、第1及び第4パネルが第2折り曲げ部材を通過し終えたときに、第2折り曲げ部材を幅方向外側に押し出された状態に速やかに復帰させることができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、押し出し力の大きさを変更するように、押し出し装置の押し出しバネの初期圧縮量を調整可能な機構を更に有する。
このように構成された本発明によれば、搬送される段ボールシートの特性、例えば寸法や重量や材質等に応じて、押し出しバネの初期圧縮量を調整して、適用する押し出し力を的確に変更することができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、押し出し力の大きさを変更するように、押し出し装置のエアシリンダに供給される高圧エアの圧力を調整可能な機構を更に有する。
このように構成された本発明によれば、搬送される段ボールシートの特性、例えば寸法や重量や材質等に応じて、エアシリンダに供給される高圧エアの圧力を調整して、適用する押し出し力を的確に変更することができる。
【0019】
本発明において、好ましくは、押し出し装置の押し出しバネは筐体内に収容され、この押し出しバネの一端又は両端が固定されている。
このように構成された本発明によれば、押し出しバネが筐体内において、重力方向下向きに偏って配置されることがない。よって、押し出しバネが、幅方向の伸縮に伴って、筐体内部の底面との間で摩擦してしまうことを防止できる。
【0020】
本発明において、好ましくは、一対の第2折り曲げ部材が取り付けられるフレームを更に有し、フレームは、一対の第2折り曲げ部材を支持するための支持部材を備え、一対の第2折り曲げ部材は、フレームの支持部材と係合し、且つ、当該一対の第2折り曲げ部材が幅方向に移動可能なように、支持部材に対して摺動するガイド部材を備え、支持部材と係合するガイド部材の面は、支持部材の材料よりも軟質な材料により構成されている。
このように構成された本発明によれば、第2折り曲げ部材は、当該第2折り曲げ部材のガイド部材がフレームの支持部材と係合した状態で幅方向に移動するので、進行方向の移動精度を確保することができる。また、本発明によれば、支持部材と係合するガイド部材の面(換言すると当接面、摺動面)が、支持部材の材料よりも軟質な材料により構成されているので、ガイド部材のみを摩耗させることで、支持部材の摩耗を抑制できる。よって、大型部品であるフレームを交換する必要がなく、ガイド部材のみを交換すればよい。したがって、交換作業の手間を軽減することができると共に、交換作業の費用を安価に抑えることができる。
【0021】
本発明において、好ましくは、ガイド部材は、更に、給油による潤滑を必要としない部材により構成されている。
このように構成された本発明によれば、支持部材と係合するガイド部材の面に、給油を定期的に行う手間を省くことができる。
【0022】
本発明において、好ましくは、一対の第2折り曲げ部材が取り付けられるフレームを更に有し、フレームは、一対の第2折り曲げ部材を支持するための支持部材を備え、一対の第2折り曲げ部材は、フレームの前記支持部材と係合し、且つ、当該一対の第2折り曲げ部材が幅方向に移動可能なように、支持部材に対して転動する転動部を含むガイド部材を備える。
このように構成された本発明によっても、第2折り曲げ部材は、当該第2折り曲げ部材のガイド部材がフレームの支持部材と係合した状態で幅方向に移動するので、進行方向の移動精度を確保することができる。また、本発明によれば、第2折り曲げ部材による幅方向の移動時にガイド部材の転動部が支持部材に対して転動するので、支持部材の摩耗を抑制できる。よって、大型部品であるフレームを交換する必要がなく、ガイド部材のみ(特に転動部のみ)を交換すればよい。したがって、交換作業の手間を軽減することができると共に、交換作業の費用を安価に抑えることができる。
【0023】
本発明において、好ましくは、一対の第2折り曲げ部材は、先端を含む先端部分を本体部分から取り外して交換できるように構成されている。
このように構成された本発明によれば、摩耗しやすい先端を含む先端部分のみを交換することができる。したがって、先端が摩耗しても、大型部品である第2折り曲げ部材全体を交換する必要がないので、交換作業の手間を軽減することができると共に、交換作業の費用を安価に抑えることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によるフォルダグルアによれば、装置の高コスト化を回避しつつ、フィッシュテールの無い箱を適切に生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態によるフォルダグルアを示す全体構成図である。
図2】両フラップの段ボールシートを示す平面図である。
図3】本発明の実施形態によるフォルダグルアの第1折り曲げステーションを示す側面図である。
図4図3の平面図である。
図5】本発明の実施形態によるフォルダグルアにより段ボールシートが折り曲げられている状態を示す第1折り曲げステーションの側面図である。
図6図5の平面図である。
図7】本発明の実施形態によるフォルダグルアの第2折り曲げ板の揺動動作を示す第1折り曲げステーションの概略平面図である。
図8】本発明の実施形態によるフォルダグルアの第2折り曲げ板を示す拡大側面図である。
図9図8の拡大平面図である。
図10】本発明の実施形態によるフォルダグルアを図8中のX-X線に沿って見た拡大断面図である。
図11】本発明の実施形態によるフォルダグルアを図8中のXI-XI線に沿って見た拡大断面図である。
図12】本発明の実施形態による第2折り曲げ板の先端部分を示す拡大側面図である。
図13】本発明の実施形態における第2折り曲げ板による段ボールシートの拡張動作についての説明図である。
図14】本発明の実施形態において第2折り曲げ板が段ボールシートに付与する力についての説明図である。
図15】(a)は、本発明の実施形態におけるエアシリンダによる押し出し力の調整機構を概略的に示すブロック図であり、(b)は、本発明の実施形態における押し出しバネ機構による押し出し力の調整機構を概略的に示すブロック図である。
図16】本発明の実施形態による第2折り曲げ板の搬送方向長さについての説明図である。
図17】本発明の実施形態によるフォルダグルアの第2折り曲げステーションを示す平面図である。
図18】(a)は、第1折り曲げステーションの下流端における段ボールシートの折り曲げ状態を示し、(b)、(c)、(d)は、第2折り曲げステーションにおける段ボールシートの折れ曲り状態をそれぞれ示す段ボールシートの断面図である。
図19】(a)は、比較例によるフォルダグルアにより折り曲げられた段ボールシートの結果を示し、(b)は、本発明の実施形態によるフォルダグルアにより折り曲げられた段ボールシートの結果を示す。
図20】本発明の実施形態の変形例によるフォルダグルアの拡大断面図である。
図21】従来のフォルダグルアにより段ボールシートが折り曲げられている状態を示す第1折り曲げステーションの側面図である。
図22図20の平面図である。
図23】従来のフォルダグルアにより折り曲げられた段ボールシートに発生したフィッシュテールを示す裏面平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるフォルダグルアを説明する。
【0027】
まず、フォルダグルアは、段ボールシート製函機の一部であり、段ボールシート製函機は、フォルダグルアを含め、段ボールシートの搬送方向に沿って配置された多数の加工装置を備えている。段ボールシート製函機は、フォルダグルアより上流側に、段ボールシートの供給装置、印刷装置、段ボールシートの罫入り加工及び溝切り加工を行うクリーザスロッタ装置を備え、フォルダグルアの下流側に、折り曲げられて糊付けされた段ボールシートを集積して排出するカウンタエジェクタ装置を備えている。
【0028】
図1及び図2により、本発明の実施形態によるフォルダグルアの全体構造を説明する。図1は本発明の実施形態によるフォルダフルアを示す全体構成図であり、図2は両フラップの段ボールシートを示す平面図である。
【0029】
図1に示すように、本実施形態によるフォルダグルア1は、搬送方向PDに沿って、両フラップの段ボールシートSS(図2参照)を折り曲げながら接着するフォルダグルアである。
【0030】
図2に示すように、両フラップの段ボールシートSSは、搬送方向PDと直交する幅方向(シート幅方向)WDに沿って、第1乃至第4パネルP1~P4を有し、第1パネルP1の左側に接合代GSを有する。罫線K1~K4が、フォルダグルア1の上流側に配置されたクリーザスロッタ装置(図示せず)により、第1パネルP1と接合代GSとの連結部分、および各パネルと各パネルとの連結部分にそれぞれ形成され、また、クリーザスロッタ装置により、スリット溝S1~S3が、段ボールシートSSの先端部FEに形成され、スリット溝S4~S6が、段ボールシートSSの後端部REに形成されている。各連結部分は、搬送方向PDと平行な方向において、所定の箱深さ寸法Fを有し、罫線K2が施された連結部分と罫線K4が施された連結部分との間隔は、幅方向WDに沿った所定の幅間隔CNWである。なお、罫線K1~K4は、第1乃至第4パネルP1~P4の裏面に形成される。なお、本発明における「段ボールシート」は、第1乃至第4パネル及び接合代を有する段ボールシートであればよく、第1乃至第4パネルに連結されたフラップを有する段ボールシートに限定されない。例えば、第1乃至第4パネルに連結された上流側若しくは下流側のフラップのいずれか一方、又はこの両方を有しない段ボールシートであってもよい。
【0031】
図1に示すように、フォルダグルア1は、フレーム2と、段ボールシートSSを搬送経路PLに沿って搬送する搬送装置4と、段ボールシートSSの接合代GSに糊付けする糊付け装置6と、段ボールシートSSの両側の第1パネルP1及び第4パネルP4を平坦な状態(0度)からほぼ90度まで折り曲げる第1折り曲げステーション8と、第1パネルP1及び第4パネルP4をほぼ90度から180度まで折り曲げる第2折り曲げステーション10と、を備えている。
【0032】
フレーム2は、上フレーム2aと、下フレーム2bを備え、これらの上フレーム2aと下フレーム2bに、後述する種々の部品が取り付けられている。
【0033】
搬送装置4は、搬送経路PLの左右両側に張設された一対の上方搬送ベルト12などを備えている。上方搬送ベルト12は、搬送経路PLの上方において、フォルダグルア1の全長にわたって搬送経路PLに沿って配置され、第2折り曲げステーション10の領域のみ、段ボールシートSSの上面を吸引して搬送方向PDに搬送するサクションタイプのものとなっている。また、上方搬送ベルト12は、搬送モータ14により駆動され、両上方搬送ベルト12の搬送量を検出するために搬送量検出器16が搬送モータ14の回転軸に連結されている。両上方搬送ベルト12の幅方向WDにおける間隔は、段ボールシートSSの所定の幅間隔CNWに応じて調整可能である。
【0034】
糊付け装置6は、フォルダグルア1の段ボールシートSSが供給される供給口に近接して配置されている。糊付け装置6は、供給口から搬送される段ボールシートSSの接合代GSに糊を塗布するものである。糊が塗布された接合代GSは、段ボールシートSSがフォルダグルア1から排出されるときに、接合ローラにより第4パネルP4と接着される。
【0035】
次に、図3乃至図12により、フォルダグルア1の第1折り曲げステーション8について、説明する。図3は第1折り曲げステーションを示す側面図であり、図4図3の平面図であり、図5は段ボールシートが折り曲げられている状態を示す第1折り曲げステーションの側面図であり、図6図5の平面図であり、図7は第1折り曲げステーションにおける第2折り曲げ板の揺動動作を示す第1折り曲げステーションの概略平面図であり、図8は本発明の実施形態によるフォルダグルアの第2折り曲げ板を示す拡大側面図であり、図9図8の拡大平面図であり、図10はフォルダグルアを図8中のX-X線に沿って見た拡大断面図であり、図11はフォルダグルアを図8中のXI-XI線に沿って見た拡大断面図であり、図12は第2折り曲げ板の先端部分を示す拡大側面図である。
【0036】
第1折り曲げステーション8は、段ボールシートSSの両側の第1パネルP1及び第4パネルP4を0度の平坦状態からほぼ90度まで折り曲げるためのものである。この第1折り曲げステーション8は、搬送経路PLの両側に配置された一対の折り曲げバー20と、段ボールシートSSを下方から支持して搬送する一対の下方搬送ベルト22とを備えている。
【0037】
一対の折り曲げバー20は、フォルダグルア1の段ボールシートSSの供給口から第2折り曲げステーション10の上流側部分まで延びてフォルダグルア1の上フレーム2aに固定されている。また、折り曲げバー20は、その上流側は、搬送経路PLよりも上方に位置し、下流側に向かって、搬送経路PLよりも徐々に下方に位置するようになっている。第1パネルP1及び第4パネルP4の外側の表面が、この折り曲げバー20に接触して、第1パネルP1及び第4パネルP4が0度からほぼ90度まで折り曲げられる。一対の下方搬送ベルト22は、フォルダグルア1の段ボールシートSSの供給口と第2折り曲げステーション10の上流側部分との間に張設され、駆動プーリ23により駆動され、上述した一対の上方搬送ベルト12と協働して段ボールシートSSを搬送する。
【0038】
次に、図3図4図7図10図11に示されているように、第1折り曲げステーション8において、一対の折り曲げ板26が、搬送経路PLの両側にて下フレーム2bに取り付けられている。この折り曲げ板26は、上流側に配置された第1折り曲げ板28と、この第1折り曲げ板28に連続して下流側に設けられた第2折り曲げ板30とを備えている。
【0039】
第1折り曲げ板28は、下フレーム2bに固定配置され、また、その先端28aが、エッジ形状となり、第1パネルP1の裏面に形成された罫線又はその近傍、及び、第4パネルP4の裏面に形成された罫線又はその近傍と、それぞれ接触し、折り曲げバー20と協働して第1パネルP1及び第4パネルP4が裏面の罫線に沿って折り曲げ易くなるようにしている。なお、一対の第1折り曲げ板28のそれぞれは、1枚の板により構成することに限定はされず、搬送方向PDに沿って配置された複数枚(例えば3枚)の板を連結することで構成してもよい。
【0040】
第2折り曲げ板30は、第1折り曲げ板28と同様に、その先端30aが、エッジ形状となり、第1パネルP1の罫線K2又はその近傍及び第4パネルP4の罫線K4又はその近傍とそれぞれ接触し、折り曲げバー20と協働して第1パネルP1及び第4パネルP4が罫線に沿って折り曲げ易くなるようにしている。
【0041】
なお、折り曲げバー20は、本発明における「第1折り曲げ部材」の一例に相当し、第2折り曲げ板30は、本発明における「第2折り曲げ部材」の一例に相当する。折り曲げバー20や第2折り曲げ板30は、それぞれ一対の部材により構成されるが、以下では、説明の便宜上、一対の部材のうちの一方のみを代表して説明する。
【0042】
また、第2折り曲げ板30は、図12に示すように、上記のように第1及び第4パネルP1、P4と接触する先端30aを含む先端部分30bと本体部分30cとが別体に構成されている。具体的には、先端部分30b及び本体部分30cは、それぞれの端部が凹凸形状に形成されており、この凹凸形状部分において係合し、ボルト30dによって連結されるようになっている。このように第2折り曲げ板30を構成することで、先端部分30bのみを本体部分30cから取り外して交換することができる。なお、第1折り曲げ板28も、第2折り曲げ板30と同様に、先端部分を本体部分から取り外せるように構成してもよい。
【0043】
次に、第2折り曲げ板30は、図7乃至図11に示すように、上流端を支点(回転中心)30bとして、下流端が幅方向外側に所定距離(例えば2mm)だけ揺動して移動できるようになっている。ここで、下フレーム2bには、折り曲げ板26に沿って、下フレーム2bの外側に向かって水平に延びる、支持部材としてのリブ31が固定されている。また、第2折り曲げ板30の幅方向内側には複数のガイド部材33が連結され、このガイド部材33が下フレーム2bのリブ31に係合する。具体的には、上下方向に配置された一対のガイド部材33が、リブ31を挟むように配置され(図8図10参照)、リブ31に対して摺動して幅方向WDに移動可能となっている。この場合、リブ31に当接するガイド部材33の面は、リブ31の材料よりも軟質な材料により構成され、また、ガイド部材33には、給油による潤滑を必要としない所謂スライドプレートが適用される。
【0044】
第2折り曲げ板30が幅方向外側に搖動する際には、第2折り曲げ板30に連結されたガイド部材33が下フレーム2bに水平に固定されたリブ31と摺動するので、第2折り曲げ板30は、水平方向にのみ移動可能となっている。この第2折り曲げ板30の幅方向外側への移動距離(所定距離)は、段ボールシートSSのスリット溝S1、S3、S4、S6の幅方向寸法のほぼ半分の長さが好ましい。なお、これらの第1折り曲げ板28及び第2折り曲げ板30は、その幅方向WDの位置が、幅方向移動機構(図示せず)により、段ボールシートSSの段ボールシートSSの幅間隔CNWに応じて調整可能に設けられている。
【0045】
図10に示すように、第2折り曲げ板30を幅方向外側に押し出して移動(揺動)させるように、第2折り曲げ板30に対して押し出し力を付与するエアシリンダ32が、下フレーム2bの第2折り曲げ板30の下流端近傍に取り付けられている(図8、9も参照)。この第2折り曲げ板30の下流端近傍は、段ボールシートSSの第1及び第4パネルP1、P4をほぼ90度折り曲げる領域である。エアシリンダ32は、電磁弁(図示せず)のオン・オフ操作により、シリンダ32a内に高圧エアを送り込み、ピストン32bを可動させてロッド32cを幅方向外側に突出させる。これにより、エアシリンダ32から第2折り曲げ板30に幅方向外側への押し出し力が付与されて、第2折り曲げ板30は、ガイド部材33がリブ31の表面を摺動することで、幅方向外側に移動する。
【0046】
また、エアシリンダ32における下フレーム2bとの連結箇所付近には、エアシリンダ32による第2折り曲げ板30の押し出し量(幅方向移動量)を規制するためのストッパ機構36が取り付けられている。ストッパ機構36は、ボルトネジ機構により構成され、エアシリンダ32内のピストン32b及びロッド32cの移動を規制するストッパとして機能するナット36bを備えている。このナット36bの幅方向位置を調整することにより、エアシリンダ32におけるロッド32cの突出量(つまり第2折り曲げ板30の幅方向外側への移動量)を規制する量を種々に設定することができる。
【0047】
更に、図11に示すように、上記のエアシリンダ32の下流側の第2折り曲げ板30及び下フレーム2bの位置には(図8、9も参照)、第2折り曲げ板30を幅方向内側に戻すための2つの戻しバネ機構34、及び、第2折り曲げ板30を幅方向外側に押し出すための押し出しバネ機構37が設けられている。戻しバネ機構34は、先端が第2折り曲げ板30の内側面に固定され第2折り曲げ板30と一体的に揺動して移動するロッド部材34aと、下フレーム2bとの間に設けられた戻しバネ34bを備えている。戻しバネ機構34は、戻しバネ34bが圧縮されたときに、典型的には第2折り曲げ板30が幅方向外側に押し出された状態にあるときに、第2折り曲げ板30を幅方向内側へ付勢する弾性力を発生する。
【0048】
また、押し出しバネ機構37は、第2折り曲げ板30を幅方向外側に押し出して移動(揺動)させるように、第2折り曲げ板30に対して押し出し力を付与する押し出しバネ37aを備えている。加えて、押し出しバネ機構37は、この押し出しバネ37aを収容する筐体37bと、この筐体37bを第2折り曲げ板30に固定すると共に押し出しバネ37aの幅方向外側の端部が取り付けられたブロック部材37cと、押し出しバネ37aの幅方向内側の端部が取り付けられたスペーサ部材37dと、このスペーサ部材37dが先端に取り付けられたボルトネジ機構37eと、を有する。押し出しバネ機構37は、押し出しバネ37aが圧縮されたときに、典型的には第2折り曲げ板30が幅方向内側に押し戻された状態にあるときに、第2折り曲げ板30を幅方向外側へ付勢する弾性力を発生する。
【0049】
また、押し出しバネ機構37は、ボルトネジ機構37eの位置を調整することで、スペーサ部材37dの幅方向位置を変更することにより、このスペーサ部材37dに一端が取り付けられた押し出しバネ37aの初期圧縮量(具体的には第2折り曲げ板30がエアシリンダ32によって幅方向外側に押し出しされていない状態での押し出しバネ37aの圧縮量)を変更できるようになっている。これにより、押し出しバネ37aが第2折り曲げ板30に付与する弾性力、つまり第2折り曲げ板30を幅方向外側に押し出すための押し出し力を変更することができる。
【0050】
なお、エアシリンダ32及び押し出しバネ機構37は、本発明における「押し出し装置」の一例に相当する。
【0051】
次に、図13を参照して、本実施形態において、第2折り曲げ板30が段ボールシートSSの第1及び第4パネルP1、P4を拡張させる動作について説明する。図13は、図10と同様の、フォルダグルアを図8中のX-X線に沿って見た拡大断面図である。図13において、「F1」は、エアシリンダ32(図13では図示せず)から幅方向外側に第2折り曲げ板30に対して付与される力(押し出し力、換言すると推力)を示し、「F2」は、押し出しバネ機構37から幅方向外側に第2折り曲げ板30に対して付与される力(押し出し力、換言すると弾性力)を示し、「F3」は、2つの戻しバネ機構34のそれぞれから幅方向内側に第2折り曲げ板30に対して付与される力(弾性力)を示し、「F4」は、折り曲げられている第1及び第4パネルP1、P4から幅方向内側に第2折り曲げ板30に対して付与される力(折り曲げによる抵抗力)を示している。
【0052】
まず、段ボール箱の生産が開始される前に、エアシリンダ32が作動され、このエアシリンダ32による押し出し力F1及び押し出しバネ機構37による押し出し力F2により、第2折り曲げ板30が、初期位置(第1折り曲げ板28と幅方向WDにおいて同一の位置を意味する。以下同様とする。)から所定距離だけ幅方向外側に押し出された状態に設定される。この状態において、段ボール箱の生産が開始され、段ボールシートSSがフォルダグルア1の上流側から搬送される。そして、搬送される段ボールシートSSの第1及び第4パネルP1、P4が第2折り曲げ板30に到達すると、第1及び第4パネルP1、P4が、幅方向外側に押し出された状態にある第2折り曲げ板30によって幅方向WDに拡張され、第1及び第4パネルP1、P4の折り曲げ線が幅方向外側に移動される。このとき、第1及び第4パネルP1、P4は、フォルダグルア1の折り曲げバー20により、ほぼ90度に折り曲げられている。
【0053】
ここで、第1及び第4パネルP1、P4が第2折り曲げ板30において折り曲げられると、折り曲げられている第1及び第4パネルP1、P4から、幅方向内側への抵抗力F4が第2折り曲げ板30に付与される。具体的には、第1及び第4パネルP1、P4の下流部分(典型的には第1及び第4パネルP1、P4の下流側半分)が第2折り曲げ板30を通過しているときには、この抵抗力F4の大きさは比較的小さい。そのため、このときには、第2折り曲げ板30は、エアシリンダ32及び押し出しバネ機構37による幅方向外側への押し出し力F1、F2によって、幅方向外側に押し出された状態に維持され、この状態の第2折り曲げ板30によって、第1及び第4パネルP1、P4の下流部分が幅方向WDに拡張される。
【0054】
その後、段ボールシートSSの下流端が搬送方向PDにおいて下流側に進行するとともに第1及び第4パネルP1、P2の折り曲げ角度が大きくなっていき、それに伴って、折り曲げられている第1及び第4パネルP1、P4から第2折り曲げ板30に付与される抵抗力F4が大きくなる。そのため、第1及び第4パネルP1、P4の下流部分よりも上流部分(典型的には第1及び第4パネルP1、P4の上流側半分)が第2折り曲げ板30を通過しているときには、第2折り曲げ板30は、第1及び第4パネルP1、P4からの幅方向内側への増大した抵抗力F4、及び戻しバネ機構34からの幅方向内側への力F3によって、幅方向内側に押し戻された状態となる(図13の矢印A1参照)。典型的には、第2折り曲げ板30は、上記した初期位置又はそれに近い位置まで押し戻された状態となる。したがって、第1及び第4パネルP1、P4の上流部分は、第2折り曲げ板30によって幅方向WDに拡張されない。
【0055】
この後、第1及び第4パネルP1、P4が第2折り曲げ板30を通過し終えると、つまり第1及び第4パネルP1、P4の罫線部分の上流端が第2折り曲げ板30の下流端を通過すると、第2折り曲げ板30には、第1及び第4パネルP1、P4からの抵抗力F4が付与されなくなる。そのため、第2折り曲げ板30は、エアシリンダ32及び押し出しバネ機構37による幅方向外側への押し出し力F1、F2によって、所定距離だけ幅方向外側に押し出された状態に速やかに復帰する。この後も、上記と同様にして、段ボール箱の生産が終了するまで、フォルダグルア1に搬送される段ボールシートSSの第1及び第4パネルP1、P4の下流部分を拡張させる動作が繰り返される。
【0056】
以上述べたように、本実施形態では、第1及び第4パネルP1、P4の上流部分は第2折り曲げ板30によって幅方向WDに拡張されず、第1及び第4パネルP1、P4の下流部分のみが第2折り曲げ板30によって幅方向WDに拡張されることとなる。このような第2折り曲げ板30による第1及び第4パネルP1、P4の拡張動作は、エアシリンダ32及び押し出しバネ機構37による押し出し力F1、F2を適切に設定することにより実現される。
【0057】
すなわち、本実施形態では、
(1)第1及び第4パネルP1、P4の下流部分が第2折り曲げ板30を通過しているときには、押し出し力F1、F2によって第2折り曲げ板30が幅方向外側に押し出された状態となり、この状態の第2折り曲げ板30によって第1及び第4パネルP1、P4の下流部分が幅方向WDに拡張され、
(2)この後、第1及び第4パネルP1、P4の下流部分よりも上流部分が第2折り曲げ板30を通過しているときには、通過している第1及び第4パネルP1、P4から第2折り曲げ板30に付与される抵抗力F4によって、第2折り曲げ板30が幅方向内側に押し戻された状態となり、第1及び第4パネルP1、P4の上流部分は第2折り曲げ板30によって幅方向WDに拡張されず、
(3)この後、第1及び第4パネルP1、P4が第2折り曲げ板30を通過し終えると、押し出し力F1、F2によって、第2折り曲げ板30が幅方向外側に押し出された状態に復帰するように、
エアシリンダ32及び押し出しバネ機構37による押し出し力F1、F2が設定され、且つ、
この押し出し力F1、F2は、第1及び第4パネルP1、P4が第2折り曲げ板30を通過している間には、制御によって変更されないようになっている。
【0058】
例えば、実験や所定の演算式やシミュレーションなどにより、種々の段ボールシートSSから第1及び第4パネルP1、P4の折り曲げにより第2折り曲げ板30に付与される抵抗力F4を演算、導出又は推定し、この抵抗力F4に基づき、上記の(1)及び(2)のそれぞれの状況での第2折り曲げ板30の状態が適切に実現されるように、エアシリンダ32及び押し出しバネ機構37から第2折り曲げ板30に付与すべき押し出し力F1、F2を決定すればよい。この場合、押し出し力F1、F2は、第1及び第4パネルP1、P4が第2折り曲げ板30を通過している間に当該第2折り曲げ板30の幅方向位置に応じて変化するので、1つの例では、第1及び第4パネルP1、P4が第2折り曲げ板30を通過していないとき(つまり第2折り曲げ板30が幅方向外側に所定距離だけ移動した状態にあるとき)を基準にして、このときに適用すべき押し出し力F1、F2を決定すればよい。また、第2折り曲げ板30に付与すべき押し出し力F1、F2の合計値を決定し、この合計値をエアシリンダ32の押し出し力F1と押し出しバネ機構37の押し出し力F2とに配分すればよい。こうして決定された押し出し力F1、F2は、後述する調整機構(図15)を用いることで、エアシリンダ32及び押し出しバネ機構37のそれぞれにおいて実現させることができる。なお、抵抗力F4に基づき押し出し力F1、F2を決定するに当たって、戻しバネ機構34からの力F3も決定すればよい。つまり、抵抗力F4と押し出し力F1、F2とのバランスが適切に確保されるように、戻しバネ機構34において適用すべき力F3の大きさも決定すればよい。
【0059】
このような本実施形態によれば、上記の特許文献1に記載された技術と同様に、第1及び第4パネルP1、P4の上流部分を第2折り曲げ板30により幅方向WDに拡張せずに、第1及び第4パネルP1、P4の下流部分のみを第2折り曲げ板30により幅方向WDに拡張するので、フィッシュテールの発生を防止することができる。特に、本実施形態によれば、所望の大きさに設定され且つ第1及び第4パネルP1、P4の通過中には制御により変更されない押し出し力F1、F2によって、こうした第1及び第4パネルP1、P4の拡張動作を実現することができる。すなわち、本実施形態によれば、第1及び第4パネルP1、P4の拡張動作を実現するに当たって、特許文献1に記載されたようなセンサ及び制御装置を用いる必要はない。具体的には、センサの検出結果に応じて、第1及び第4パネルP1、P4が第2折り曲げ板30を通過している間に、制御装置によって第2折り曲げ板30に付与する押し出し力F1、F2を制御する必要はない。よって、本実施形態によれば、装置の高コスト化を回避しつつ、フィッシュテールの無い箱を適切に生産することができる。
【0060】
なお、第2折り曲げ板30により幅方向WDに拡張される第1及び第4パネルP1、P4の「下流部分」は、第1及び第4パネルP1、P4の下流側半分に限定はされない(換言すると、第2折り曲げ板30により幅方向WDに拡張されない第1及び第4パネルP1、P4の「上流部分」は、第1及び第4パネルP1、P4の上流側半分に限定はされない)。ここでいう「下流部分」は、第2折り曲げ板30により幅方向WDに拡張されない部分を比較対象とすると、第2折り曲げ板30により幅方向WDに拡張される部分が、この比較対象とした部分よりも下流側に位置することを意味するだけである。「上流部分」も同様である。
【0061】
次に、図14を参照して、本実施形態において、第2折り曲げ板30が段ボールシートSSに付与する力について説明する。図14は、横軸に、時間(段ボールシートSSの進行量に相当)を示し、縦軸に、第2折り曲げ板30が下流端近傍において段ボールシートSSの第1及び第4パネルP1、P4に付与する力を示している。また、実線のグラフG1は、本実施形態において、第2折り曲げ板30がN枚目及びN+1枚目の段ボールシートSSの第1及び第4パネルP1、P4に付与する力の時間変化を示している。これに対して、破線のグラフG2は、比較例において、第2折り曲げ板30がN枚目及びN+1枚目の段ボールシートSSの第1及び第4パネルP1、P4に付与する力の時間変化を示している。比較例では、第2折り曲げ板30が移動せず、第1折り曲げ板28と幅方向WDにおいて同一の位置に維持される。
【0062】
比較例によれば、搬送される段ボールシートSSの第1及び第4パネルP1、P4が第2折り曲げ板30に到達した時刻t11から、第1及び第4パネルP1、P4が第2折り曲げ板30を通過し終える時刻t13までの間、第2折り曲げ板30が下流端近傍において第1及び第4パネルP1、P4に付与する力が0から徐々に上昇していく。このような力が第1及び第4パネルP1、P4に付与された場合、上記の背景技術のセクションで述べたように、フィッシュテールが発生する傾向にある(図22、23参照)。
【0063】
これに対して、本実施形態によれば、搬送される段ボールシートSSの第1及び第4パネルP1、P4が第2折り曲げ板30に到達した時刻t11において、エアシリンダ32及び押し出しバネ機構37による押し出し力F1、F2によって、第2折り曲げ板30が下流端近傍において第1及び第4パネルP1、P4に付与する力が最大となる。この時刻t11の時点では、第1及び第4パネルP1、P4からの抵抗力F4が第2折り曲げ板30に未だ付与されていないからである。そして、時刻t11の後、第1及び第4パネルP1、P4の折り曲げが進行すると、第1及び第4パネルP1、P4から第2折り曲げ板30に付与される抵抗力F4が増加していく。それに伴って、第2折り曲げ板30が下流端近傍において第1及び第4パネルP1、P4に付与する力が減少していく。この場合、第2折り曲げ板30は、第1及び第4パネルP1、P4からの抵抗力F4に加えて、戻しバネ機構34からの力F3によって、幅方向内側に徐々に押し戻されていく。
【0064】
そして、第1及び第4パネルP1、P4の下流部分が第2折り曲げ板30を通過し終える時刻t12において、つまり第1及び第4パネルP1、P4の上流部分の下流端が第2折り曲げ板30の下流端に到達したとき、第1及び第4パネルP1、P4及び戻しバネ機構34からの幅方向内側への力F4、F3によって、第2折り曲げ板30がほぼ初期位置まで押し戻された状態となる。この状態は、比較例での第2折り曲げ板30の状態と同じである。したがって、時刻t12以降では、本実施形態において第2折り曲げ板30が下流端近傍において第1及び第4パネルP1、P4に付与する力は、比較例と同一となる。
【0065】
次に、図15(a)、(b)を参照して、エアシリンダ32及び押し出しバネ機構37により第2折り曲げ板30に付与される押し出し力の調整について説明する。まず、図15(a)は、エアシリンダ32による押し出し力の調整機構を概略的に示すブロック図である。この図に示すように、エアシリンダ32のシリンダ32aには、当該シリンダ32aへの高圧エアの供給のオン/オフを切り替える切り替え弁(電磁弁)32dを介して、電空レギュレータ32eが接続されている。電空レギュレータ32eは、高圧エアの供給経路上に設けられた圧力センサ(図示せず)などを用いて、エアシリンダ32に供給する高圧エアの圧力を調整し、それにより、エアシリンダ32により第2折り曲げ板30に付与される押し出し力が調整されるようになっている。この場合、搬送される段ボールシートSSの特性、例えば寸法や重量や材質等に基づき、エアシリンダ32に供給すべき高圧エアの圧力が決定され、この高圧エアの圧力が実現されるように電空レギュレータ32eが制御される。好適には、搬送される段ボールシートSSの坪量(段ボール原紙の平米当たりの重量)が大きいほど、上記した第2折り曲げ板30に付与される抵抗力が大きくなる傾向にあるため、この坪量が大きいほど、エアシリンダ32による押し出し力を大きくすべく、高圧エアが大きくなるように電空レギュレータ32eが制御されるのがよい。
【0066】
図15(b)は、押し出しバネ機構37による押し出し力の調整機構を概略的に示すブロック図である。この図に示すように、押し出しバネ機構37のボルトネジ機構37eには、このボルトネジ機構37eの位置を調整可能な、ラック及びピニオンを備えるラックピニオン機構37fが連結され、このラックピニオン機構37fには、ロボシリンダやサーボモータなどを備える電動アクチュエータ37gが連結されている。電動アクチュエータ37gは、ボルトネジ機構37eの位置を調整するようにラックピニオン機構37fを動作させる。これにより、ボルトネジ機構37eにスペーサ部材37dを介して一端が連結された押し出しバネ37aの初期圧縮量が変更されることで(図11参照)、押し出しバネ機構37により第2折り曲げ板30に付与される押し出し力が調整されるようになっている。この場合、搬送される段ボールシートSSの特性、例えば寸法や重量や材質等に基づき、押し出しバネ37aが設定されるべき初期圧縮量(押し出しバネ37aが発生すべき初期弾性力に相当する)が決定され、この初期圧縮量が実現されるように電動アクチュエータ37gが制御される。好適には、搬送される段ボールシートSSの坪量が大きいほど、上記した第2折り曲げ板30に付与される抵抗力が大きくなる傾向にあるため、この坪量が大きいほど、押し出しバネ機構37による押し出し力を大きくすべく、押し出しバネ37aの初期圧縮量が大きくなるように電動アクチュエータ37gが制御されるのがよい。
【0067】
次に、図16を参照して、本実施形態において第2折り曲げ板30に適用される搬送方向長さについて説明する。本実施形態では、図16に示すように、第2折り曲げ板30の搬送方向長さLが、搬送方向PDにおいて隣り合う2枚の段ボールシートSSのそれぞれの先端部の間の距離N(段ボールシート製函機においてフォルダグルア1の上流側に設けられた印刷装置の印刷シリンダの円周長に相当する)から、箱深さ寸法Fを減算した長さ以下となるように、つまり条件式「L≦N-F」を満たすように、第2折り曲げ板30が構成されている。この条件式の右辺「N-F」は、搬送方向PDにおいて隣り合う2枚の段ボールシートSSにおいて、先行の段ボールシートSSのパネル部分の上流端と後続の段ボールシートSSのパネル部分の下流端との距離に相当する。また、好ましくは、この条件中の箱深さ寸法Fには、段ボールシート製函機において生産される段ボール箱の中で箱深さ寸法が最大となる段ボール箱の箱深さ寸法が適用される。
【0068】
上記の条件式を満たす搬送方向長さLを適用することで、搬送される段ボールシートSSのパネル部分の下流端が第2折り曲げ板30の上流端に到達したときに、この第2折り曲げ板30が、当該段ボールシートSSにおいて隣り合う先行の段ボールシートSSのパネル部分から付与される抵抗力によって、ほぼ初期位置まで押し戻された状態のままになっていることを回避することができる。よって、連続して搬送される段ボールシートSSのそれぞれのパネル部分が第2折り曲げ板30に到達したときに、この第2折り曲げ板30をエアシリンダ32及び押し出しバネ機構37による押し出し力F1、F2によって幅方向外側に押し出された状態に確実に復帰させておくことができる。したがって、連続して搬送される段ボールシートSSのそれぞれについて、第2折り曲げ板30によって第1及び第4パネルP1、P4の下流部分を幅方向WDに確実に拡張することができる。
【0069】
次に、図1図17及び図18により、本実施形態によるフォルダグルア1の第2折り曲げステーション10について説明する。
【0070】
図1に示すように、第2折り曲げステーション10は、搬送経路PLの左右両側に、段ボールシートSSの第1パネルP1及び第4パネルP4を90度から180度まで折り曲げるために駆動される一対のパネル折り曲げベルト50と、折り曲げられた第1パネルP1及び第4パネルP4の両連結部分を案内規制する搬送方向PDに沿った2組の一対の案内規制機構52と、を備えている。
【0071】
一対のパネル折り曲げベルト50は、第2折り曲げステーション10の全長にわたって配置され、第1パネルP1及び第4パネルP4の外側の表面と接触可能な接触面を有する。各パネル折り曲げベルト50の接触面は、搬送方向PDの上流側において垂直に起立した状態に位置し、下流側に移動するに従い徐々に傾斜して最終的に水平な状態に変化する(図18(b)、(c)、(d)参照)ように、各パネル折り曲げベルト50は多数のローラ50aにより張設されている。両パネル折り曲げベルト50の幅方向WDにおける間隔は、段ボールシートSSの所定の幅間隔CNWに応じて調整可能である。
【0072】
図17に示すように、一対の案内規制機構52は、上流側と下流側に2組設けられており、これらの案内規制機構52は、同じ構造であり、且つ、搬送経路PLの左右両側も同じ構造である。案内規制機構52は、フォルダグルア1のフレーム2に固定された支持板54と、この支持板54に支持された8個のゲージロール56、及び、支持板54を幅方向WDに移動させる移動機構(図示せず)とを備えている。
【0073】
8個のゲージロール56は、搬送方向PDに配列されており、支持板54の下面に回転可能に支持されている。これらのゲージロール56は、駆動モータ(図示せず)により、タイミングベルト58及び3個のテンションプーリ60により、回転するようになっている。また、支持板54は、段ボールシートSSの所定の幅間隔CNWに応じて幅方向WD(左右方向)に移動して位置決めされる。ゲージロール56は、段ボールシートSSを90度から180度に折り曲げる際に、図17及び図18に示すように、パネルP1とパネルP4の折り曲げ線に接触し、段ボールシートSSの幅方向WDの動きを規制して、スムーズに、搬送方向PDに沿って、運搬する。
【0074】
次に、図19(a)、(b)を参照して、本実施形態におけるフォルダグルアによる作用及び効果について説明する。図19(a)は、比較例によるフォルダグルアにより折り曲げられた段ボールシートSSの結果を示し、図19(b)は、本実施形態によるフォルダグルアにより折り曲げられた段ボールシートSSの結果を示す。図19(a)及び(b)の横軸及び縦軸は、それぞれ、フォルダグルアにより折り曲げられた段ボールシートSSにおいて、下流側の第1及び第4パネルP1、P4の端部の間隔(図23において符号Aを付した間隔であり、以下では「Aギャップ」と呼ぶ)、及び、上流側の第1及び第4パネルP1、P4の端部の間隔(図23において符号Bを付した間隔であり、以下では「Bギャップ」と呼ぶ)を示す。具体的には、図19(a)及び(b)は、それぞれ、比較例及び本実施形態によるフォルダグルアにより折り曲げられた複数の段ボールシートSSの各サンプルについて、AギャップとBギャップに対応する点をプロットした散布図を示す。比較例によるフォルダグルアは、第2折り曲げ板30を移動させず、第1折り曲げ板28と幅方向WDにおいて同一の位置に維持するものである。
【0075】
図19(a)に示すように、比較例によるフォルダグルアにより折り曲げられた段ボールシートSSでは、各サンプルのギャップのばらつきが大きいと共に、BギャップがAギャップに対して過大であることがわかる。つまり、比較例によれば、多数の段ボールシートSSにおいてフィッシュテールが発生していることがわかる。これに対して、本実施形態によるフォルダグルアにより折り曲げられた段ボールシートSSでは、各サンプルのギャップのばらつきが小さく収まっていること、特に過少なAギャップ及び過大なBギャップが発生していないことがわかる。つまり、本実施形態によれば、フィッシュテールがほとんど発生していないことがわかる。
【0076】
上述したように、本実施形態によるフォルダグルアでは、(1)第1及び第4パネルP1、P4の下流部分が第2折り曲げ板30を通過しているときには、押し出し力F1、F2によって第2折り曲げ板30が幅方向外側に押し出された状態となり、この状態の第2折り曲げ板30によって第1及び第4パネルP1、P4の下流部分が幅方向WDに拡張され、(2)この後、第1及び第4パネルP1、P4の下流部分よりも上流部分が第2折り曲げ板30を通過しているときには、通過している第1及び第4パネルP1、P4から第2折り曲げ板30に付与される抵抗力F4によって、第2折り曲げ板30が幅方向内側に押し戻された状態となり、第1及び第4パネルP1、P4の上流部分は第2折り曲げ板30によって幅方向WDに拡張されず、(3)この後、第1及び第4パネルP1、P4が第2折り曲げ板30を通過し終えると、押し出し力F1、F2によって、第2折り曲げ板30が幅方向外側に押し出された状態に復帰するように、エアシリンダ32及び押し出しバネ機構37による押し出し力F1、F2が設定され、且つ、この押し出し力F1、F2は、第1及び第4パネルP1、P4が第2折り曲げ板30を通過している間には、制御によって変更されないようになっている。
【0077】
したがって、本実施形態によれば、搬送される段ボールシートSSについて、第1及び第4パネルP1、P4の上流部分を第2折り曲げ板30により幅方向WDに拡張せずに、第1及び第4パネルP1、P4の下流部分のみを第2折り曲げ板30により幅方向WDに拡張することにより、段ボールシートSSにおいて発生するフィッシュテールを防止することができる。特に、本実施形態によれば、上記のように所望の大きさに設定され且つ第1及び第4パネルP1、P4による第2折り曲げ板30の通過中には制御により変更されない押し出し力F1、F2を用いることで、こうした第1及び第4パネルP1、P4の拡張動作を実現することができる。そのため、本実施形態によれば、第1及び第4パネルP1、P4の拡張動作を実現するに当たって、特許文献1に記載されたようなセンサ及び制御装置を用いる必要がない。具体的には、センサの検出結果に応じて、第1及び第4パネルP1、P4が第2折り曲げ板30を通過している間に、制御装置によって第2折り曲げ板30に付与する押し出し力F1、F2を制御する必要がない。以上より、本実施形態によれば、装置の高コスト化を回避しつつ、フィッシュテールの無い箱を適切に生産することができる。
【0078】
また、本実施形態によれば、第2折り曲げ板30の搬送方向長さLが、搬送方向PDにおいて隣り合う2枚の段ボールシートSSのそれぞれの先端部の間の距離Nから箱深さ寸法Fを減算した長さ以下となるように(L≦N-F)、第2折り曲げ板30が構成されている。これにより、搬送される段ボールシートSSのパネル部分の下流端が第2折り曲げ板30の上流端に到達したときに、この第2折り曲げ板30が、当該段ボールシートSSにおいて隣り合う先行の段ボールシートSSのパネル部分から付与される抵抗力によって、ほぼ初期位置まで押し戻された状態のままになっていることを回避することができる。よって、連続して搬送される段ボールシートSSのそれぞれのパネル部分が第2折り曲げ板30に到達したときに、この第2折り曲げ板30をエアシリンダ32及び押し出しバネ機構37による押し出し力F1、F2によって幅方向外側に押し出された状態に確実に復帰させておくことができる。したがって、連続して搬送される段ボールシートSSのそれぞれについて、第2折り曲げ板30によって第1及び第4パネルP1、P4の下流部分を幅方向WDに確実に拡張することができる。
【0079】
また、本実施形態によれば、エアシリンダ32及び押し出しバネ機構37の両方を用いて、第2折り曲げ板30に対して幅方向外側への押し出し力を付与する。まず、押し出しバネ機構37は、エアシリンダ32と比較して、圧縮状態から復帰するときの機敏性が高い。そのため、押し出しバネ機構37を用いることで、第1及び第4パネルP1、P4が第2折り曲げ板30を通過し終えたときに、押し出し力を第2折り曲げ板30に速やかに付与することができ、第2折り曲げ板30を幅方向外側に押し出された状態に速やかに復帰させることができる。次に、エアシリンダ32は、押し出しバネ機構37と比較して、第2折り曲げ板30の幅方向位置に応じた押し出し力の変化が少ない、つまり押し出し力が第2折り曲げ板30の幅方向位置の影響を受けにくい。そのため、エアシリンダ32を用いることで、上記したような第1及び第4パネルP1、P4の拡張動作を行わせるために第2折り曲げ板30に付与すべき所望の押し出し力を的確に実現することができる。以上より、エアシリンダ32及び押し出しバネ機構37の両方を用いることで、第1及び第4パネルP1、P4が第2折り曲げ板30を通過しているときに、第1及び第4パネルP1、P4に所望の拡張動作を的確に行わせることができると共に、第1及び第4パネルP1、P4が第2折り曲げ板30を通過し終えたときに、第2折り曲げ板30を幅方向外側に押し出された状態に速やかに復帰させることができる。
【0080】
なお、本実施形態の変形例では、エアシリンダ32及び押し出しバネ機構37のいずれか一方のみを用いて、第2折り曲げ板30に対して幅方向外側への押し出し力を付与してもよい。エアシリンダ32のみを用いた場合には、第1及び第4パネルP1、P4が第2折り曲げ板30を通過しているときに、第1及び第4パネルP1、P4の所望の拡張動作を行わせるために第2折り曲げ板30に付与すべき押し出し力を的確に実現することができる。他方で、押し出しバネ機構37のみを用いた場合には、第1及び第4パネルP1、P4が第2折り曲げ板30を通過し終えたときに、第2折り曲げ板30を幅方向外側に押し出された状態に速やかに復帰させることができる。
【0081】
また、本実施形態によれば、押し出しバネ機構37による押し出し力を変更するように、電動アクチュエータ37gなどを用いて、押し出しバネ機構37の押し出しバネ37aの初期圧縮量を調整する。これにより、搬送される段ボールシートSSの特性、例えば寸法や重量や材質等に応じて、押し出しバネ37aの初期圧縮量を調整して、押し出しバネ機構37による押し出し力を的確に変更することができる。また、押し出しバネ37aの初期圧縮量はボルトネジ機構37eによって機械的に精度良く調整できるので、操作側と駆動側において押し出し力を適切に等しくすることができる。
【0082】
また、本実施形態によれば、エアシリンダ32による押し出し力を変更するように、電空レギュレータ32eを用いて、エアシリンダ32に供給される高圧エアの圧力を調整する。これにより、搬送される段ボールシートSSの特性、例えば寸法や重量や材質等に応じて、エアシリンダ32に供給される高圧エアの圧力を調整して、エアシリンダ32による押し出し力を的確に変更することができる。
ここで、上記したような押し出しバネ機構37による押し出し力を変更するための調整と、エアシリンダ32による押し出し力を変更するための調整の両方を行うようにすると、押し出しバネ機構37による押し出し力とエアシリンダ32による押し出し力の複数のパターンの組み合わせが生じ、調整が複雑化する傾向にある。しかしながら、押し出しバネ機構37による押し出し力を変更するための調整を行わずに(つまり押し出しバネ37aの初期圧縮量を一定にする)、エアシリンダ32による押し出し力を変更するための調整のみを行うようにすれば、調整を簡素化することができる。
【0083】
また、本実施形態によれば、押し出しバネ機構37の押し出しバネ37aは筐体37b内に収容され、この押し出しバネ37aの両端が固定されている。こうすると、押し出しバネ37aが筐体37b内において、重力方向下向きに偏って配置されることがない。よって、押し出しバネ37aが、幅方向WDの伸縮に伴って、筐体37b内部の底面との間で摩擦してしまうことを防止できる。
なお、押し出しバネ37aの両端を固定することに限定はされず、他の例では、押し出しバネ37aの一端のみを固定してもよい。これによっても、上記したような押し出しバネ37aと筐体37b内部の底面との摩擦を防止することができる。
【0084】
また、本実施形態によれば、第2折り曲げ板30は、下フレーム2bのリブ31と係合し、且つ、当該第2折り曲げ板30が幅方向に移動可能なように、リブ31に対して摺動するガイド部材33を備える。これにより、第2折り曲げ板30は、そのガイド部材33が下フレーム2bのリブ31と係合した状態で幅方向に移動するので、進行方向(ほぼ水平方向)の移動精度を確保することができる。また、本実施形態によれば、リブ31と係合するガイド部材33の面(換言すると当接面、摺動面)が、リブ31の材料よりも軟質な材料により構成されているので、ガイド部材33のみを摩耗させることで、リブ31の摩耗を抑制できる。よって、大型部品である下フレーム2bを交換する必要がなく、ガイド部材33のみを交換すればよい。したがって、交換作業の手間を軽減することができると共に、交換作業の費用を安価に抑えることができる。
【0085】
また、本実施形態によれば、ガイド部材33は、給油による潤滑を必要としない部材(所謂スライドプレート)により構成されている。これにより、リブ31と係合するガイド部材33の面に、給油を定期的に行う手間を省くことができる。
【0086】
なお、本実施形態の変形例では、上記のようなガイド部材33を用いる代わりに、下フレーム2bのリブ31と係合し、且つ、第2折り曲げ板30が幅方向に移動可能なように、リブ31に対して転動する転動部を含むガイド部材を用いてもよい。図20を参照して、本実施形態の変形例によるガイド部材について説明する。図20は、図10、11と同様の方向から見たフォルダグルアの拡大断面図である。図20に示すように、変形例に係るガイド部材33xは、端部が第2折り曲げ板30に固定され、幅方向に延びるベース部33xaと、このベース部33xaに取り付けられたベアリング(転がり軸受)としての転動部33xbと、を有する。具体的には、この転動部33xbは、ベース部33xaに取り付けられ、搬送方向PDに延びる軸33xcと、軸33xcに固定された内輪33xdと、内輪33xdの外側に位置し、環状に並べられた複数の転動体(玉)33xeと、複数の転動体33xeの外側に位置し、リブ31の表面に当接して当該リブ31に対して転動する外輪33xf(矢印A2参照)と、を有する。このような転動部33xbを含むガイド部材33xは、一対で用いられ、この一対のガイド部材33xは、リブ31を上下方向において挟み込むように配置される。
上記の変形例によっても、第2折り曲げ板30は、ガイド部材33xが下フレーム2bのリブ31と係合した状態で幅方向に移動するので、進行方向(ほぼ水平方向)の移動精度を確保することができる。また、この変形例によれば、第2折り曲げ板30による幅方向の移動時にガイド部材33xの転動部33xbがリブ31に対して転動するので、リブ31の摩耗を抑制できる。よって、大型部品である下フレーム2bを交換する必要がなく、ガイド部材33xのみ(特に転動部33xbのみ)を交換すればよい。したがって、交換作業の手間を軽減することができると共に、交換作業の費用を安価に抑えることができる。
更なる変形例では、ガイド部材の転動部として、360度自由に回転可能な1つ以上のボールと、この1つ以上のボールをリブ31の表面に当接させるようにこれらを回転可能に保持する保持部(ボール受け)と、を含み、1つ以上のボールをリブ31に対して転動させる所謂フリーボールベアリング(換言するとボールキャスター)を用いてもよい。
【0087】
また、本実施形態によれば、第2折り曲げ板30は、その先端30aを含む先端部分30bが本体部分30cから取り外せるように構成されている。これにより、摩耗しやすい先端30aを含む先端部分30bのみを交換することができる。このため、先端30aが摩耗しても、大型部品である第2折り曲げ板30全体を交換する必要がないので、交換作業の手間を軽減することができると共に、交換作業の費用を安価に抑えることができる。
【符号の説明】
【0088】
1 フォルダグルア
2 フレーム
2b 下フレーム
4 搬送装置
8 第1折り曲げステーション
10 第2折り曲げステーション
20 折り曲げバー(第1折り曲げ部材)
28 第1折り曲げ板
30 第2折り曲げ板(第2折り曲げ部材)
31 リブ(支持部材)
32 エアシリンダ(押し出し装置)
33、33x ガイド部材
33xb 転動部
34 戻しバネ機構
36 ストッパ機構
37 押し出しバネ機構(押し出し装置)
37a 押し出しバネ
37b 筐体
P1~P4 第1~第4パネル
PD 搬送方向
SS 段ボールシート
WD 幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23