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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】防火戸
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20241004BHJP
   E05F 15/63 20150101ALI20241004BHJP
   E06B 1/16 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
E06B5/16
E05F15/63
E06B1/16 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021017116
(22)【出願日】2021-02-05
(65)【公開番号】P2022120304
(43)【公開日】2022-08-18
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】599070259
【氏名又は名称】株式会社日鋼サッシュ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】弁理士法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三野 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】清家 昭宏
(72)【発明者】
【氏名】谷本 龍
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-104935(JP,A)
【文献】特開2017-57581(JP,A)
【文献】特開2009-180036(JP,A)
【文献】特開2002-327584(JP,A)
【文献】特表2007-509256(JP,A)
【文献】特開2009-133077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-11/08
E05F 1/00-17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に固定されたドア取付枠と、該ドア取付枠に開閉自在に取付けられたドアとからなる防火戸であって
前記ドア取付枠および前記ドアの間にドアクローザが取付けられており、
前記ドアクローザは、電気モータと主材料が合成樹脂である電気基盤を備える自動開閉型であり、
前記ドアクローザのクローザ本体と火災発生時の加熱源との間に位置する前記ドアまたは前記ドア取付枠の上枠に断熱材が配置され、
かつ前記ドアクローザのレール取付部と火災発生時の加熱源との間に位置する前記ドア取付枠の上枠または前記ドアに断熱材が配置されている
ことを特徴とする防火戸。
【請求項2】
前記断熱材が、前記ドア取付枠の上枠の内部に充填されており、かつ前記ドアにおける上端部の内部空間に充填されている
ことを特徴とする請求項1記載の防火戸。
【請求項3】
断熱材が、前記クローザ本体または前記レール取付部と前記ドア取付枠との間、かつ前記レール取付部または前記クローザ本体と前記ドアとの間に、それぞれ配置されている
ことを特徴とする請求項1記載の防火戸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防火戸に関する。さらに詳しくは、本発明は、ドアクローザの高熱による損傷を防止する防火戸に関する。
【背景技術】
【0002】
国内で利用される開きドア型の防火戸には、防火性能を確保する目的で自閉が要求されるために、ドアクローザが用いられるが、一般的に人力での扉の開放が必要である。一方、近年バリアフリー対応や感染症拡大防止のため、手で扉に触れることなく非接触スイッチを用いたり、近接センサを用いて、自動で開閉可能な防火扉のニーズが高まっている。海外を中心に現在でも、自動で開閉できるドアクローザはあるが、電気基盤や樹脂等の可燃物を用いているため、火災時にドアクローザ自体が発火する可能性が高い。
【0003】
ところで、防火戸の従来技術として、特許文献1と特許文献2の技術がある。
特許文献1のドアクローザは、火災時にドアクローザ内部の作動油が漏れ出したとき、高温となったドアに付着することを防止するもので、つぎのように構成されている。ドアクローザは、取付板を介して扉の内部に設置され作動油が充填される密閉空間を備えるハウジングを備え、ハウジングが高温となった際に密閉空間から作動油を排出する為の作動油排出路と、作動油排出路からハウジングの外部に排出された作動油を貯留する収容タンクとが設けられている。ドアクローザから作動油が漏れ出したとき、その作動油は収容タンクに貯留されるので、作動油が火に移って火災が大きくなることを防止できる。
【0004】
特許文献2の防火ドアは、コンシールド型ドアクローザを備えた防火ドアにおいて、ドアクローザから扉体内部に排出された作動油を、高温下において発炎することがない状態で、扉体内部で回収するもので、つぎのように構成されている。作動油が充填されたハウジングを有するコンシールド型ドアクローザにおいて、ハウジングは扉体内部に位置して設けてあり、扉体内部には、ハウジングの側面及び下面を覆うように囲繞部材が設けてある。囲繞部材の内面の少なくとも部分には熱膨張耐火部材が設けてあり、熱膨張耐火部材が火災時の高温で囲繞部材の内部空間内で膨張すると、ハウジングから排出された作動油を内部空間内に閉じ込める。このため、作動油が火に移って火災が大きくなることはない。
【0005】
しかるに、特許文献1、2の従来技術は、いずれもドアクローザが高温に熱せられたときの被害の拡大を防止するものである。
したがって、ドアクローザ自体の損傷や発火を防止することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-95215号公報
【文献】特開2016-79779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、ドアクローザが高熱にさらされても、損傷や発火を防止できる防火戸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明の防火戸は、建物に固定されたドア取付枠と、該ドア取付枠に開閉自在に取付けられたドアとからなる防火戸であって、前記ドア取付枠および前記ドアの間にドアクローザが取付けられており、前記ドアクローザは、電気モータと主材料が合成樹脂である電気基盤を備える自動開閉型であり、前記ドアクローザのクローザ本体と火災発生時の加熱源との間に位置する前記ドアまたは前記ドア取付枠の上枠に断熱材が配置され、かつ前記ドアクローザのレール取付部と火災発生時の加熱源との間に位置する前記ドア取付枠の上枠または前記ドアに断熱材が配置されていることを特徴とする。
第2発明の防火戸は、第1発明において、前記断熱材が、前記ドア取付枠の上枠の内部に充填されており、かつ前記ドアにおける上端部の内部空間に充填されていることを特徴とする。
第3発明の防火戸は、第発明において、断熱材が、前記クローザ本体または前記レール取付部と前記ドア取付枠との間、かつ前記レール取付部または前記クローザ本体と前記ドアとの間に、それぞれ配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
発明によれば、火災発生時の熱源と、ドアクローザのクローザ本体やレール取付部との間の断熱材が、ドアクローザに伝わる熱量を低減する。このため、熱に弱い電気モータや電気基盤を備える自動開閉型のドアクローザの温度上昇が抑制されドアクローザからの損傷や発火を防止できる。
第2発明によれば、ドア取付枠の上枠内に充填された断熱材、およびドアにおける上端部の内部空間に充填されている断熱材が、火炎熱源からドアクローザに伝わる熱量を低減するので、ドアクローザの温度上昇が抑制されドアクローザからの損傷や発火を防止できる。
第3発明によれば、クローザ本体またはレール取付部とドア取付枠との間、かつレール取付部またはクローザ本体とドアとの間に、それぞれ配置されている断熱材が、火炎熱源からドアクローザに伝わる熱量を低減するので、ドアクローザの温度上昇が抑制されドアクローザからの損傷や発火を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る防火戸の断面図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る防火戸の断面図である。
図3】本発明の第3実施形態に係る防火戸の断面図である。
図4】本発明の第4実施形態に係る防火戸の断面図である。
図5】本発明の第5実施形態に係る防火戸の断面図である。
図6】本発明の第6実施形態に係る防火戸の断面図である。
図7】本発明の第7実施形態に係る防火戸の断面図である。
図8】本発明の第8実施形態に係る防火戸の断面図である。
図9】本発明が適用される防火戸の一例の正面図である。
図10図9に示す防火戸の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
(防火戸の基本構成)
まず、防火戸の基本構成を図9および図10に基づき説明する。
防火戸Dは、建物の構造材に固定されるドア取付枠Aと、扉Bと扉Bを開閉するドアクローザCとからなる。
【0012】
ドア取付枠Aは、左右の縦枠1と上枠2および下枠3とからなる鋼材製の部材である。このドア取付枠Aは、建物内において内外を仕切る壁や出入口に設けられる。建物内の仕切りには防火区画の仕切りと通常区画の仕切りの両方が含まれる。また、出入口は建物の内外の境に設けられる出入口と、建物内の境界に設けられる出入口が含まれる。
扉Bは、ドア取付枠Aに開閉可能に取付けられる。図示の扉Bは観音開き式のドア5,5からなる。ドア5,5はそれぞれが開閉金具で縦枠1,1に取付けられる。本発明でいう開閉金具には、1本の支軸に2枚の取付板を開閉自在に取付けた蝶番のほか、ピボットを用いたヒンジなど、各種の金具が含まれる。
【0013】
扉Bには、図示以外の各種のものがとくに制限なく用いられる。たとえば、開閉形式では、開き戸形式が含まれ、開き戸には片開きも両開きも含まれる。用途では、人の出入り用も荷物の出入り用も含まれ、さらに点検用など人や物の出入りがないものも含まれる。大きさでは用途に合わせ、大きなものから小さなものまで様々なものが含まれる。
【0014】
本発明の防火戸Dには各種のタイプが含まれる。たとえば、常時閉鎖型も随時閉鎖型も含まれる。防火戸Dが常時閉鎖型防火戸である場合には、ドアクローザCは、防火戸Dを常時閉鎖させ、開けた後で自動的に防火戸Dを閉鎖する。防火戸Dが随時閉鎖型防火戸である場合には、ドアクローザCは、常時は防火戸Dを全開させた状態で維持して通路を開放し、火災時には防火戸Dを閉鎖して延焼を防止する。さらに、人の出入りの都度開閉する場所を含め様々な場所に本発明の防火戸を用いることができる。
【0015】
ドア5,5の上縁とドア取付枠Aの上枠2との間には、ドア5,5の開閉を制御するドアクローザCが取付けられている。
本明細書でいうドアクローザCには、公知の露出型のドアクローザの全てが含まれる。したがって、手動のドアクローザも電動のドアクローザも含まれる。ドアクローザの起動手段には、スイッチを押しボタンで起動するものの他、顔認証など各種の認証により起動するものが含まれる。スイッチを起動させる操作者には、人のほかロボットなども含まれる。
【0016】
ドアクローザCの筐体はアルミニウムや鉄で形成されている。筐体内には、防火戸Dを開閉する機構が組み込まれている。この機構は、例えば、ドアクローザCのクローザ本体、クローザ本体をドアとドア取付枠とに連結するリンクまたはアーム、リンクまたはアームを伸展するバネなどの付勢手段と、開閉速度を制御する速度制御器などからなる。
なお、速度制御器には、作動油を内部に封入するために、合成ゴム製のOリングなどのパッキンが組み込まれていたり、速度調節弁は合成樹脂で形成されている。ドアクローザCのうち自動開閉するものは、電動モータなどのアクチュエータと電気基盤を備えており、電気基盤は主に合成樹脂で作成されている。これらパッキン、速度調節弁および電気基盤は、高熱に曝されると損傷しやすいという性質がある。
【0017】
以下に、第1実施形態から第8実施形態を説明する。
各実施形態のドアクローザは、それぞれ符号C1~C8を用いるが、全てのドアクローザを包括的に示す場合は符号Cを用いることとする。
(第1実施形態)
第1実施形態の防火戸Dを図1に基づき説明する。
ドア取付枠Aの上枠2は鋼板製の形材であり、外板21と内板22とが下板23で連結された略断面U形構造の部材である。ドア5,5は公知の鋼板製ドアと同様に外側鋼板と内側鋼板とを数cmの間隔をあけて配置し、周囲を形枠で閉じた密閉構造のものである。
【0018】
ドアクローザC1は、クローザ本体31と、クローザ本体31の底面から下方に突出して取付けられたアーム32と、レール取付部33とからなる。クローザ本体31の内部には、アーム32の付勢手段や速度制御器が収納されている。レール取付部33には、アーム32の旋回動作を案内するレールが設けられている。
クローザ本体31は上枠2の外板21に取付けられ、レール取付部33はドア5の上端部分に取付けられている。クローザ本体31とレール取付部33との間は、アーム32が連結されている。クローザ本体31内の付勢手段や速度制御器によりアーム32を旋回させると、ドア5,5が開閉される。
【0019】
本実施形態の防火戸Dでは、上枠2の内部に断熱材6が充填されている。断熱材6としては、公知のグラスルール、ロックウール、ケイカル板、加熱発泡材などのうち任意のものを、特に制限なく用いることができる。
図1において、防火戸Dの右側が内部側で加熱側となる。左側が外部側で室内側となる。つまり、加熱側とドアクローザC1のクローザ本体31との間に断熱材6が存在することになる。
【0020】
図1の実施形態の場合、加熱源とドアクローザC1との間に断熱材6が存在することで、熱がクローザ本体31に伝わる量が低減し、ドアクローザC1の温度上昇が抑えられ、損傷や発火を防止できる。
【0021】
本実施形態において、ドア5,5の上端部分の内部空間に、さらに断熱材9を内蔵させてもよい。断熱材9の内蔵部位は、ドアクローザC1のレール取付部33に対応する部分で足りる。
この断熱構造を付け加えると、加熱源とレール取付部33との間に断熱材9が存在することで、熱がレール取付部33およびアーム32を経由することでクローザ本体31に伝わる量が低減し、ドアクローザC1の温度上昇が抑えられ、損傷や発火を防止できる。
【0022】
(第2実施形態)
第2実施形態の防火戸を図2に基づき説明する。
ドアクローザC2は、クローザ本体31と、ブラケット34と、リンク35とからなる。リンク35は本体側アーム36とドア側アーム37をピンで連結したものである。クローザ本体31とブラケット34の間は、本体側アーム36とドア側アーム37からなるリンク35で連結されている。クローザ本体31内の付勢手段や速度制御器によりリンク35を開閉動作すると、ドア5,5が開閉される。
クローザ本体31は上枠2の外板21に取付けられ、ブラケット34はドア5,5の上端部分に取付けられる。
【0023】
本実施形態において、断熱材6が上枠2の内部に充填される。これに加えて、さらに断熱材9がドア5,5の上端部分の内側に内蔵されたものも本実施形態に含まれる。
本実施形態においても、加熱源とドアクローザC2との間に断熱材6,9が存在することで、熱がクローザ本体31に伝わる量が低減し、ドアクローザC2の温度上昇が抑えられ、損傷や発火を防止できる。
【0024】
(第3実施形態)
第3実施形態の防火戸を図3に基づき説明する。
ドアクローザC3は、クローザ本体31と、ブラケット34と、リンク35とからなる。リンク35は本体側アーム36とドア側アーム37をピンで連結したものである。クローザ本体31とブラケット34の間は、本体側アーム36とドア側アーム37からなるリンク35で連結されている。
【0025】
クローザ本体31はドア5,5の上端部分に取付けられ、ブラケット34は上枠2の外板21に取付けられている。クローザ本体31内の付勢手段や速度制御器によりリンク35を開閉動作すると、ドア5,5が開閉される。
【0026】
本実施形態において、断熱材6が上枠2の内部に充填される。これに加えて、断熱材9がドア5,5の上端部分の内部空間にも充填される。
本実施形態においても、加熱源とドアクローザC3との間に断熱材6,9が存在することで、熱がクローザ本体31に伝わる量が低減し、ドアクローザC3の温度上昇が抑えられ、損傷や発火を防止できる。
【0027】
(第4実施形態)
第4実施形態の防火戸を図4に基づき説明する。
ドアクローザC4は、クローザ本体31と、レール取付部33と、アーム32とからなる。クローザ本体31の内部には、アーム32の付勢手段や速度制御器が収納されている。レール取付部33には、アーム32の旋回動作を案内するレールが設けられている。クローザ本体31とレール取付部33との間は、アーム32が連結されている。クローザ本体31内の付勢手段や速度制御器によりアーム32を旋回させると、ドア5,5が開閉される。
クローザ本体31はドア5,5の上端部分に取付けられ、レール取付部33は上枠2の外板21に取付けられている。
【0028】
本実施形態において、断熱材6が上枠2の内部に充填される。これに加えて、さらに断熱材9がドア5,5の上端部分の内部空間にも充填されている。
本実施形態においても、加熱源とドアクローザC4との間に断熱材6,9が存在することで、熱がクローザ本体31に伝わる量が低減し、ドアクローザC4の温度上昇が抑えられ、損傷や発火を防止できる。
【0029】
(第5実施形態)
つぎに、第5実施形態の防火戸を図5に基づき説明する。
ドアクローザC5は、クローザ本体31と、レール取付部33と、アーム32とからなる。クローザ本体31の内部には、アーム32の付勢手段や速度制御器が収納されている。レール取付部33には、アーム32の旋回動作を案内するレールが設けられている。クローザ本体31とレール取付部33との間は、アーム32が連結されている。
クローザ本体31内の付勢手段や速度制御器によりアーム32を旋回させると、ドア5,5が開閉される。
【0030】
クローザ本体31は上枠2の外板21に取付けられ、レール取付部33はドア5,5の上端部分に取付けられている。
本実施形態では、ドアクローザC5のクローザ本体31とドア取付枠Aの上枠2における外板21との間に断熱材7が挟んで取付けられ、ドアクローザC5のレール取付部33とドア5,5の外板51との間に断熱材8が挟んで取付けられている。
【0031】
本実施形態の場合、加熱源とドアクローザC5との間に断熱材7,8が存在することで、クローザ本体31に伝わる熱量が低減し、ドアクローザC5の温度上昇が抑えられ、損傷や発火を防止できる。
【0032】
本実施形態のドアクローザC5はドア取付枠Aと扉Bの外面に取付けられており、ドア取付枠Aの内部に内蔵できる構造でなく、本来的に熱の影響を受けやすいが、熱源とドアクローザC5との間に断熱材を置く構造としたことで、ドアクローザC5の損傷や発火を防止できる。
【0033】
そして、断熱材7は上枠2の外面に配置され、断熱材8はドア5,5の外面に取付けられているので、断熱材を保持するための特別の部材は必要とされない。
断熱材7は上枠2によって火炎とさえぎられ、直接に火炎と接することはない。
また、断熱材8はドア5,5によって火炎とさえぎられ、直接に火炎と接することはない。よって、断熱材7,8の耐火時間が長くなる。
【0034】
本実施形態の防火戸Dによると、ドアクローザC5と火災熱源との間に断熱材7,8があるので、火炎からドアクローザC5に伝わる熱量が低減し、ドアクローザC5の温度上昇が抑制されドアクローザC5からの損傷や発火を防止できる。
【0035】
(第6実施形態)
第6実施形態の防火戸を図6に基づき説明する。
ドアクローザC6は、クローザ本体31と、ブラケット34と、リンク35とからなる。リンク35は本体側アーム36とドア側アーム37をピンで連結したものである。クローザ本体31とブラケット34の間は、本体側アーム36とドア側アーム37からなるリンク35で連結されている。
クローザ本体31は上枠2の外板21に取付けられ、ブラケット34はドア5,5の上端部分に取付けられている。
【0036】
本実施形態では、ドアクローザC6のクローザ本体31とドア取付枠Aの上枠2における外板21との間に断熱材7が挟んで取付けられ、ドアクローザC6のブラケット34とドア5,5の外板51との間に断熱材8が挟んで取付けられている。
本実施形態においても、加熱源とドアクローザC6との間に断熱材7,8が存在することで、熱がクローザ本体31に伝わる量が低減し、ドアクローザC6の温度上昇が抑えられ、損傷や発火を防止できる。
【0037】
(第7実施形態)
第7実施形態の防火戸を図7に基づき説明する。
ドアクローザC7は、クローザ本体31と、ブラケット34とリンク35とからなる。リンク35は本体側アーム36とドア側アーム37をピンで連結したものである。クローザ本体31とブラケット34の間は、本体側アーム36とドア側アーム37からなるリンク35で連結されている。クローザ本体31内の付勢手段や速度制御器によりリンク35を開閉動作すると、ドア5,5が開閉される。
クローザ本体31はドア5,5の上端部分に取付けられ、レール取付部33は上枠2の外板21に取付けられている。
【0038】
本実施形態では、ドアクローザC7のブラケット34とドア取付枠Aの上枠2における外板21との間に断熱材7が挟んで取付けられ、ドアクローザC7のクローザ本体31とドア5,5の外板51との間に断熱材8が挟んで取付けられている。
本実施形態においても、加熱源とドアクローザC7との間に断熱材7,8が存在することで、熱がクローザ本体31に伝わる量が低減し、ドアクローザC7の温度上昇が抑えられ、損傷や発火を防止できる。
【0039】
(第8実施形態)
第8実施形態の防火戸を図8に基づき説明する。
ドアクローザC8は、クローザ本体31と、レール取付部33と、アーム32とからなる。クローザ本体31とレール取付部33との間は、アーム32が連結されている。クローザ本体31内の付勢手段や速度制御器によりアーム32を旋回させると、ドア5,5が開閉される。
クローザ本体31はドア5,5の上端部分に取付けられ、レール取付部33は上枠2の外板21に取付けられている。
【0040】
本実施形態では、ドアクローザC8のクローザ本体31とドア5,5の外板51との間に断熱材8が挟んで取付けられ、ドアクローザC8のレール取付部33とドア取付枠Aの上枠2における外板21との間に断熱材7が挟んで取付けられている。
本実施形態においても、加熱源とドアクローザC8との間に断熱材7,8が存在することで、熱がクローザ本体31に伝わる量が低減し、ドアクローザC8の温度上昇が抑えられ、損傷や発火を防止できる。
【符号の説明】
【0041】
A ドア取付枠
B 扉
C ドアクローザ
D 防火戸
1 縦枠
2 上枠
3 下枠
5 ドア
6 断熱材
7 断熱材
8 断熱材
9 断熱材
31 クローザ本体
32 アーム
33 レール取付部
34 ブラケット
35 リンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10