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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】画像処理装置および画像処理方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/01 20060101AFI20241004BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H04N7/01 270
H04N7/01 400
H04N7/01 120
G09G3/20 650J
G09G3/20 641R
G09G3/20 660W
G09G3/20 642D
G09G3/20 642F
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021530643
(86)(22)【出願日】2020-07-01
(86)【国際出願番号】 JP2020025822
(87)【国際公開番号】W WO2021006146
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2019128042
(32)【優先日】2019-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316009762
【氏名又は名称】サターン ライセンシング エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Saturn Licensing LLC
【住所又は居所原語表記】25 Madison Avenue New York, NY 10010-8601, USA
(74)【代理人】
【識別番号】100093241
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101801
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 英治
(74)【代理人】
【識別番号】100095496
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 榮二
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】110000763
【氏名又は名称】弁理士法人大同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小倉 敏之
(72)【発明者】
【氏名】江藤 博昭
【審査官】益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-093012(JP,A)
【文献】国際公開第2010/067519(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/01
G09G 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のフレームレートの画像ストリームの各フレームについて、輝度および動き量に応じて対象オブジェクト検出する対象オブジェクト検出部と、
上記第1のフレームレートの画像ストリームの連続するフレームの間に、上記対象オブジェクトの動き補償を行って所定フレーム数の補間画像を挿入して、上記第1のフレームレートよりも大きな第2のフレームレートの画像ストリームを得る補間画像挿入部を備え
上記補間画像挿入部は、上記対象オブジェクトの動き量で決まる最大動き量を持つ上記所定フレーム数の補間画像における上記対象オブジェクトの動き量を、上記対象オブジェクトの輝度および動き量に応じて変化させ
画像処理装置。
【請求項2】
上記補間画像挿入部は、上記所定フレーム数の補間画像における上記対象オブジェクトの移動量を、上記対象オブジェクトの輝度に対応した輝度パラメータと上記対象オブジェクトの動き量に対応した動き量パラメータとの乗算値に応じて変化させる
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
上記対象オブジェクト検出部は、上記第1のフレームレートの画像ストリームの各フレームについて、上記第1のフレームレートの画像ストリームにおいてジャダーが気にならないオブジェクトの輝度の最大値である輝度閾値に従って上記対象オブジェクトを検出す
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
上記対象オブジェクト検出部は、上記第1のフレームレートの画像ストリームの各フレームについて、上記第1のフレームレートの画像においてジャダーが気にならないオブジェクトの動き量の最大値である動き量閾値に従って上記対象オブジェクトを検出す
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
上記対象オブジェクト検出部は、上記第1のフレームレートの画像ストリームの各フレームについて、環境に応じて変化する変数である輝度閾値および動き量閾値のそれぞれに従って上記対象オブジェクトを検出す
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
上記第1のフレームレートの画像ストリームは、24Hzの映画コンテンツの画像ストリームである
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
上記第2のフレームレートの画像ストリームは、120Hzの画像ストリームである
請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
上記第2のフレームレートの画像ストリームを表示する表示パネルをさらに備える
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
上記表示パネルは、4Kサイズまたは8Kサイズの表示パネルである
請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
上記第1のフレームレートの画像ストリームは、放送信号を受信することで得られる、ストレージから再生されて得られる、または通信により得られる
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項11】
上記対象オブジェクト検出部、輝度閾値を超える輝度および/または動き量閾値を越える動き量を持つと共にさらにサイズ閾値を越えるサイズを持つオブジェクトを、上記対象オブジェクトとして検出する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項12】
第1のフレームレートの画像ストリームの各フレームについて、輝度および動き量に応じて対象オブジェクト検出する手順と、
上記第1のフレームレートの画像ストリームの連続するフレームの間に、上記対象オブジェクトの動き補償を行って所定フレーム数の補間画像を挿入して、上記第1のフレームレートよりも大きな第2のフレームレートの画像ストリームを得る手順を有し、
上記第2のフレームレートの画像ストリームを得る手順では、上記対象オブジェクトの動き量で決まる最大動き量を持つ上記所定フレーム数の補間画像における上記対象オブジェクトの動き量を、上記対象オブジェクトの輝度および動き量に応じて変化させ
画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、画像処理装置および画像処理方法に関し、詳しくは、フレームレート変換を伴う画像処理装置および画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、60Hzのフレームレートの連続する2フレームの画像の間に、中間フレーム画像を挿入して120Hzのフレームレートの画像とすることで動画を滑らかに表示すること、が記載されている。また、この特許文献1には、その中間フレーム画像の部分に黒画像フレームを挿入することで、映画コンテンツ(フィルム画像)に特有の切れの良い画質を実現すること、が記載されている。中間フレーム画像として黒画像フレームを挿入する場合には、全体の輝度が低下するという不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-058785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本技術の目的は、高輝度・高コントラストのテレビで例えば低フレームレートコンテンツの画像表示を良好に行い得るようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本技術の概念は、
第1のフレームレートの画像に基づいて、フレーム毎に、輝度閾値を超える輝度および/または動き量閾値を越える動き量を持つオブジェクトを対象オブジェクトとして検出する対象オブジェクト検出処理部と、
上記第1のフレームレートの連続する2フレームの画像の間に、上記対象オブジェクトを順次移動する動き補償を行って得られた所定フレーム数の補間画像を挿入して、上記第1のフレームレートより大きな第2のフレームレートの画像を得る補間画像挿入処理部を備える
画像処理装置にある。
【0006】
本技術において、対象オブジェクト検出処理部により、第1のフレームレートの画像に基づいて、フレーム毎に、輝度閾値を超える輝度および/または動き量閾値を越える動き量を持つオブジェクトが対象オブジェクトとして検出される。例えば、輝度閾値は、第1のフレームレートの画像においてジャダー(ストロビング)が気にならないオブジェクトの輝度の最大値である、ようにされてもよい。また、例えば、動き量閾値は、第1のフレームレートの画像においてジャダー(ストロビング)が気にならないオブジェクトの動き量の最大値である、ようにされてもよい。また、例えば、輝度閾値および動き量閾値は、環境に応じて変化する変数である、ようにされてもよい。
【0007】
補間画像挿入処理部により、第1のフレームレートの連続する2フレームの画像の間に、対象オブジェクトを順次移動する動き補償を行って得られた所定フレーム数の補間画像が挿入されて、第1のフレームレートより大きな第2のフレームレートの画像が得られる。例えば、補間画像挿入処理部は、所定数の補間画像における対象オブジェクトの移動量を、この対象オブジェクトの輝度および/または動き量に応じて変化させる、ようにされてもよい。
【0008】
また、例えば、第1のフレームレートの画像は、24Hzの映画コンテンツの画像である、ようにされてもよい。この場合、例えば、第2のフレームレートは、120Hzの画像である、ようにされてもよい。
【0009】
このように本技術においては、第1のフレームレートの連続する2フレームの画像の間に、輝度閾値を超える輝度および/または動き量閾値を越える動き量を持つオブジェクトである対象オブジェクトを順次移動する動き補償を行って得られた所定フレーム数の補間画像を挿入して、第1のフレームレートより大きな第2のフレームレートの画像を得るものである。そのため、高輝度・高コントラストのテレビであっても、例えば、映画コンテンツの画像を、ジャダーが目立つことがなく、映画らしさを残した状態で良好に表示できる。
【0010】
なお、本技術において、例えば、第2のフレームレートの画像を表示する表示パネルをさらに備える、ようにされてもよい。この場合、例えば、4Kサイズまたは8Kサイズの表示パネルである、ようにされてもよい。また、本技術において、例えば、第1のフレームレートの画像は、放送信号を受信することで得られる、ストレージから再生されて得られる、または通信により得られる、ようにされてもよい。また、本技術において、対象オブジェクト検出処理部は、輝度閾値を超える輝度および/または動き量閾値を越える動き量を持つと共にさらにサイズ閾値を越えるサイズを持つオブジェクトを、対象オブジェクトとして検出する、ようにされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】従来技術に係る、24Hz(24P)の映画コンテンツの画像を120Hz(120P)の画像に変換するフレームレート変換の一例を示す図である。
図2】本技術に係る、24Hz(24P)の映画コンテンツの画像を120Hz(120P)の画像に変換するフレームレート変換の一例を示す図である。
図3】24Hz(24P)から120Hz(120P)へのフレームレート変換の一例を説明するための図である。
図4】補間画像の生成の一例を概略的に示す図である。
図5】補間画像の生成の他の一例を概略的に示す図である。
図6】オブジェクトの輝度と輝度パラメータとの対応関係、オブジェクトの動き量と動き量パラメータとの対応関係、および各パラメータと動き補償の関係の一例を示す図である。
図7】オブジェクトの輝度と輝度パラメータとの対応関係、オブジェクトの動き量と動き量パラメータとの対応関係、および各パラメータと動き補償の関係の他の一例を示す図である。
図8】動き補償効果の変化の一例を示す図である。
図9】実施の形態としてテレビ受信機の構成例を示すブロック図である。
図10】フレームレート変換部の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」とする)について説明する。なお、説明を以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
【0013】
<1.実施の形態>
[本技術の基本説明]
図1は、従来技術に係る、24Hz(24P)の映画コンテンツの画像を120Hz(120P)の画像に変換するフレームレート変換の一例を示している。24Pの画像表示では、動き量が大きくジャダーが目立つものとなる。120Pの画像は、24Pのフレームレートの連続する2フレームの画像の間に、画像全体に順次移動する動き補償を行った4フレームの補間画像を挿入することで得られたものである。この場合、補間によりフレーム間の動き量が少なくなるので、ジャダーは目立たなくなるが、映画らしい動きではなくなる。
【0014】
図2は、本技術に係る、24Hz(24P)の映画コンテンツの画像を120Hz(120P)の画像に変換するフレームレート変換の一例を示している。この例では、第1のフレーレートは24Hzであり、第2のフレームレートは120Hzである。120Pの画像は、24Pのフレームレートの連続する2フレームの画像の間に、ジャダーが目立つ、輝度が高くかつ動き量が大きい対象オブジェクトだけに順次移動する動き補償を行った4フレームの補間画像を挿入することで得られたものである。この場合、ジャダーが目立つオブジェクト部分だけ動き補償がされたので、ジャダーは目立たなくなり、かつ映画らしい動きを保つことが可能となる。
【0015】
図3(a)は、24Pの画像のnフレームと(n+1)フレームの連続する2フレームを示し、図3(b)は、それに対応した120Pの画像を示している。この場合、5n~(5n+4)の5フレームは24Pの画像のnフレームに対応しており、5nフレームの画像はnフレームの画像と同じ画像であり、(5n+1)~(5n+4)の4フレームの画像は対象オブジェクトだけが動き補償された補間画像である。
【0016】
また、同様に、5(n+1)~(5(n+1)+4)の5フレームは24Pの画像の(n+1)フレームに対応しており、5(n+1)フレームの画像は(n+1)フレームの画像と同じ画像であり、(5(n+1)+1)~(5(n+1)+4)の4フレームの画像は対象オブジェクトだけが動き補償された補間画像である。
【0017】
図4は、補間画像の生成の一例を概略的に示している。この例は、24Pの画像に、動き量の大きな、高輝度オブジェクトと低輝度オブジェクトが存在している場合の例である。なお、高輝度オブジェクトは、その一部が高輝度であればよく、その全体が高輝度でなくともよい。このことは、以下においても同様である。
【0018】
高輝度オブジェクトは、動き量も大きいので、対象オブジェクトとして検出され、(5n+1)~(5n+4)の4フレームの補間画像においては、この高輝度オブジェクトが動き補償されて順次移動した位置に置かれる。これに対して、低輝度オブジェクトは、動き量は大きいが低輝度であるので、動き補償はされず、(5n+1)~(5n+4)の4フレームの補間画像において、5nフレームの画像と同じ位置に置かれる。
【0019】
図5は、補間画像の生成の他の一例を概略的に示している。この例は、24Pの画像に、動き量の大きな高輝度オブジェクトと、動き量の小さな高輝度オブジェクトが存在している場合の例である。
【0020】
動き量の大きな高輝度オブジェクトは、対象オブジェクトとして検出され、(5n+1)~(5n+4)の4フレームの補間画像においては、この高輝度オブジェクトが動き補償されて順次移動した位置に置かれる。これに対して、動き量の小さな高輝度オブジェクトは、動き補償はされず、(5n+1)~(5n+4)の4フレームの補間画像において、5nフレームの画像と同じ位置に置かれる。
【0021】
補間画像において動き補償の対象となる対象オブジェクトは、上述したように輝度が高く、かつ動き量が大きなオブジェクトである。図6(a)は、オブジェクトの輝度と輝度パラメータとの対応関係を示している。輝度閾値Lobj0は、24Pの画像において、ジャダーが気にならないオブジェクトの輝度の最大値である。この輝度閾値Lobj0は、周囲(画像を見る環境)の明るさによって変化する環境パラメータ(変数)である。オブジェクトの輝度が、輝度閾値Lobj0を超えて大きくなるにつれて、輝度パラメータは0から線形的に大きくなっていく。なお、この輝度パラメータを非線形的に変化させていくことも考えられる。
【0022】
図6(b)は、オブジェクトの動き量と動き量パラメータとの対応関係を示している。動き量閾値Mobj0は、24Pの画像において、ジャダーが気にならないオブジェクトの動き量の最大値である。この動き量閾値Mobj0は、表示パネルのサイズ、視距離によって変化する環境パラメータ(変数)である。オブジェクトの動き量が、動き量閾値Mobj0を超えて大きくなるにつれて、動き量パラメータは0から線形的に大きくなっていく。なお、この動き量パラメータを非線形的に変化させていくことも考えられる。
【0023】
本技術において、輝度パラメータと動き量パラメータを掛けた値が、0より大きくなるオブジェクトは、動き補償の対象となる対象オブジェクトとして検出される。この場合、図6(c)に示すように、輝度パラメータと動き量パラメータを掛けた値が0であるオブジェクトに関しては、動き補償はオフ、つまり動き補償はされない。一方、輝度パラメータと動き量パラメータを掛けた値が0を超えるオブジェクトに関しては、動き補償はオン、つまり動き補償がされる。
【0024】
なお、動き補償の効果を、オフ(Off)とオン(On)の2段階で制御するのではなく、輝度パラメータと動き量パラメータを掛けた値に応じて変化させることも考えられる。図7(c)は、輝度パラメータと動き量パラメータを掛けた値に応じて、対象オブジェクトに対する動き補償効果を線形的に変化させることを示している。なお、詳細説明は省略するが、図7(a),(b)は、図6(a),(b)と同じものである。なお、動き補償効果を非線形的に変化させることも考えられる。
【0025】
ここで、動き補償効果の最大は、図6(c)における動き補償オン(On)の状態と同じとなる。上述の図4図5の例に示した動き補償は、動き補償効果が最大とされた場合を示している。また、輝度パラメータと動き量パラメータを掛けた値が0であるときが、動き補償効果が最低、つまり図6(c)における動き補償オフ(Off)の状態と同じとなる。
【0026】
図8は、動き補償効果の変化の一例を示している。図8(a)は、動き補償効果が最大の場合を示している。この場合、5nフレームの画像における対象オブジェクトの位置をR0と5(n+1)フレームの画像における対象オブジェクトの位置をR1とするとき、R1とR0の間の距離を例えば5等分して、(5n+1)~(5n+4)の4フレームの補間画像における対象オブジェクトの位置とする。
【0027】
図8(b)は、図8(a)の場合より動き補償効果が小さくなった場合を示している。この場合、R1よりR0側に少し寄った位置をR2とし、R2とR0の間の距離を例えば4等分して、(5n+1)~(5n+4)の4フレームの補間画像における対象オブジェクトの位置とする。また、図8(c)は、図8(b)の場合より動き補償効果が小さくなった場合を示している。この場合、R2よりさらにR0側に少し寄った位置をR3とし、R3とR0の間の距離を例えば4等分して、(5n+1)~(5n+4)の4フレームの補間画像における対象オブジェクトの位置とする。
【0028】
[テレビ受信機]
図9は、実施の形態としてテレビ受信機100の構成例を示している。このテレビ受信機100は、映像入力部101と、画質調整部102と、フレームレート変換部103と、パネル駆動回路104と、表示パネル105を有している。
【0029】
映像入力部101は、放送信号の受信、通信、あるいはストレージ(ディスク)再生により、映像信号を取得する。ここでは、この映像信号は、映画コンテンツに係る24Hzの画像に対応したものであるとする。放送信号の場合、映画コンテンツに係る24Hzの映像信号は、放送局側で例えば2-3プルダウン方式で60Hz(60P)の映像信号に変換されて送られてくる。映像入力部101では、この60Hzの映像信号を受信し、この60Hzの映像信号から元の映画コンテンツに係る24Hzの映像信号の各フレームを抽出して、映画コンテンツに係る24Hzの映像信号を再構成する。
【0030】
画質調整部102は、映像入力部101で取得される映像信号に対して、明るさ、コントラスト、シャープネス等の画質調整処理をする。フレームレート変換部103は、画質調整部102から出力される映像信号SVaに対して、フレームレートを24Hzから120Hzに変換する処理を行って、120Hzの画像に対応した映像信号SVbを出力する。
【0031】
図10は、フレームレート変換部103の構成例を示している。このフレームレート変換部103は、輝度比較処理部131と、動き量比較処理部132と、対象オブジェクト検出処理部133と、補間画像挿入処理部134を有している。
【0032】
輝度比較処理部131には、映画コンテンツに係る24Hzの画像に対応した映像信号SVaが入力される。輝度比較処理部131は、フレーム毎に、所定単位、例えばマクロブロック単位で輝度を検出し、各単位部分の輝度を輝度閾値Lobj0(図6(a)、図7(a)参照)と比較し、画像内で輝度閾値Lobj0を超える単位部分の情報を得る。この単位部分の情報には、位置情報の他に輝度パラメータ(図6(a)、図7(a)参照)の情報が含まれる。
【0033】
動き量比較処理部132には、上述した映画コンテンツに係る24Hzの画像に対応した映像信号SVaが入力される。動き量比較処理部132は、フレーム毎に、所定単位、例えばマクロブロック単位で動きベクトルを検出し、各単位部分の動き量を動き量閾値Mobj0(図6(b)、図7(b)参照)と比較し、画像内で動き量閾値Mobj0を超える単位部分の情報を得る。この単位部分の情報には、動きベクトル、動き量(動きベクトルの大きさ)の他に動きパラメータ(図6(b)、図7(b)参照)の情報が含まれる。
【0034】
対象オブジェクト検出処理部133には、フレーム毎に、輝度比較処理部131で得られる画像内で輝度閾値Lobj0を超える単位部分の情報が供給されると共に、動き量比較処理部132で得られる画像内で動き量閾値Mobj0を超える単位部分の情報が供給される。対象オブジェクト検出処理部133は、上述のように供給される情報に基づいて、フレーム毎に、画像内に存在する、輝度閾値Lobj0を超える輝度を持つと共に動き量閾値Mobj0を超える動き量を持つオブジェクト(図4図5の例では動き量の大きな高輝度オブジェクトに相当する)を、対象オブジェクトとして検出する。なお、オブジェクト検出の手法は、詳細説明は省略するが、例えば従来周知のいずれの手法を用いてもよい。
【0035】
補間画像挿入処理部134には、対象オブジェクト検出処理部133で検出された各対象オブジェクトの情報が供給される。この情報には、対象オブジェクトの位置情報、動きベクトル、輝度パラメータ、動きパラメータの情報が含まれる。また、この補間画像挿入処理部134には、上述した映画コンテンツに係る24Hzの画像に対応した映像信号SVaも入力される。
【0036】
補間画像挿入処理部134は、24Hzのフレームレートの連続する2フレームの間に、4フレームの補間画像を挿入して、120Hzの画像を得、この120Hzの画像に対応した映像信号SVbを出力する。この場合、補間画像挿入処理部134は、各対象オブジェクトの情報に基づいて、4フレームの補間画像においては、対象オブジェクトだけを順次移動する動き補償を行う(図4図5参照)。
【0037】
また、この場合、補間画像挿入処理部134は、例えば、予めの設定により、図6(c)に示す動き補償、または図7(c)に示すような動き補償をする。図6(c)に示すような動き補償では、対象オブジェクトに対して、輝度パラメータと動き量パラメータを掛けた値の大小によらず、常に最大の移動量となる動き補償がされる(図8(a)参照)。これに対して、図7(c)に示す動き補償では、輝度パラメータと動き量パラメータを掛けた値が大きくなるにつれて移動量が大きくなっていく動き補償がされる(図8(c)→(b)→(a)参照)。
【0038】
なお、フレームレート変換部103の各部の処理の一部または全部を、コンピュータによるソフトウェア処理で行うこともできる。
【0039】
図9に戻って、パネル駆動部104は、フレームレート変換部103で得られる120Hzの画像に対応した映像信号SVbに基づいて表示パネル105を駆動し、表示パネル105
に、120Hzの画像を表示させる。表示パネル105は、液晶表示パネル、有機EL表示パネル、CLED(Crystal LED)パネル等である。この表示パネル105は、例えば、4Kサイズあるいは8Kサイズ等の表示パネルである。
【0040】
図9に示すテレビ受信機100の動作を簡単に説明する。映像入力部101では、放送信号の受信、通信、あるいはストレージ(ディスク)再生により、映画コンテンツに係る24Hzの画像に対応した映像信号が取得されて、画質調整部102に供給される。画質調整部102では、24Hzの画像に対応した映像信号に対して、明るさ、コントラスト、シャープネス等の画質調整処理が行われる。画質調整処理が行われた後の映像信号SVaは、フレームレート変換部103に供給される。
【0041】
フレームレート変換部103では、画質調整部102から出力される映像信号SVaに対して、フレームレートを24Hzから120Hzに変換する処理が行われて、120Hzの画像に対応した映像信号SVbが得られる。この場合、24Hzのフレームレートの連続する2フレームの間に、4フレームの補間画像を挿入して、120Hzの画像が得られる。ここで、4フレームの補間画像においては、輝度閾値Lobj0を超える輝度を持つと共に動き量閾値Mobj0を超える動き量を持つ対象オブジェクトだけ、順次移動する動き補償が行われる。
【0042】
フレームレート変換部103で得られる120Hzの画像に対応した映像信号SVbは、パネル駆動回路104に供給される。パネル駆動部104では、映像信号SVbに基づいて表示パネル105を駆動することが行われ、表示パネル105に、映画コンテンツに係る120Hzの画像が表示される。
【0043】
上述したように、図9に示すテレビ受信機100において、フレームレート変換部103では、24Hzの連続する2フレームの画像の間に、輝度閾値を超える輝度および動き量閾値を越える動き量を持つオブジェクトである対象オブジェクトだけを順次移動する動き補償を行って得られた4フレームの補間画像を挿入して、120Hzの画像を得るものである。そのため、高輝度・高コントラストのテレビであっても、映画コンテンツの画像を、ジャダーが目立つことがなく、適切なジャダーを残した状態で良好に表示できる。
【0044】
<2.変形例>
なお、上述実施の形態においては、輝度閾値を超える輝度および動き量閾値を越える動き量を持つオブジェクトを、動き補償を行う対象オブジェクトとしているが、輝度閾値を超える輝度を持つオブジェクト、あるいは動き量閾値を越える動き量を持つオブジェクトを、動き補償を行う対象オブジェクトとすることも考えられる。
【0045】
また、上述実施の形態においては、オブジェクトとのサイズを考慮せずに、動き補償を行う対象オブジェクトを決定するものであったが、サイズ閾値を越えるサイズを持つオブジェクトのみを動き補償を行う対象オブジェクトとすることも考えられる。
【0046】
また、上述していないが、ユーザが画質モードの設定で映画モードを設定した場合、または自動モードで映画コンテンツを検出した場合に、上述した本技術におけるフレームレート変換が適用可能である。
【0047】
また、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0048】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0049】
また、本技術は、以下のような構成を取ることもできる。
(1)第1のフレームレートの画像に基づいて、フレーム毎に、輝度閾値を超える輝度および/または動き量閾値を越える動き量を持つオブジェクトを対象オブジェクトとして検出する対象オブジェクト検出処理部と、
上記第1のフレームレートの連続する2フレームの画像の間に、上記対象オブジェクトを順次移動する動き補償を行って得られた所定フレーム数の補間画像を挿入して、上記第1のフレームレートより大きな第2のフレームレートの画像を得る補間画像挿入処理部を備える
画像処理装置。
(2)上記輝度閾値は、上記第1のフレームレートの画像においてジャダーが気にならないオブジェクトの輝度の最大値である
前記(1)に記載の画像処理装置。
(3)上記動き量閾値は、上記第1のフレームレートの画像においてジャダーが気にならないオブジェクトの動き量の最大値である
前記(1)または(2)に記載の画像処理装置。
(4)上記輝度閾値および上記動き量閾値は、環境に応じて変化する変数である
前記(1)から(3)のいずれかに記載の画像処理装置。
(5)上記補間画像挿入処理部は、上記所定数の補間画像における上記対象オブジェクトの移動量を、上記対象オブジェクトの輝度および/または動き量に応じて変化させる
前記(1)から(4)のいずれかに記載の画像処理装置。
(6)上記第1のフレームレートの画像は、24Hzの映画コンテンツの画像である
前記(1)から(5)のいずれかに記載の画像処理装置。
(7)上記第2のフレームレートは、120Hzの画像である
前記(6)に記載の画像処理装置。
(8)上記第2のフレームレートの画像を表示する表示パネルをさらに備える
前記(1)から(7)のいずれかに記載の画像処理装置。
(9)上記表示パネルは、4Kサイズまたは8Kサイズの表示パネルである
前記(8)に記載の画像処理装置。
(10)上記第1のフレームレートの画像は、放送信号を受信することで得られる、ストレージから再生されて得られる、または通信により得られる
前記(1)から(9)のいずれかに記載の画像処理装置。
(11)上記対象オブジェクト検出処理部は、上記輝度閾値を超える輝度および/または動き量閾値を越える動き量を持つと共にさらにサイズ閾値を越えるサイズを持つオブジェクトを、上記対象オブジェクトとして検出する
前記(1)から(10)のいずれかに記載の画像処理装置。
(12)第1のフレームレートの画像に基づいて、フレーム毎に、輝度閾値を超える輝度および/または動き量閾値を越える動き量を持つオブジェクトを対象オブジェクトとして検出する手順と、
上記第1のフレームレートの連続する2フレームの画像の間に、上記対象オブジェクトを順次移動する動き補償を行って得られた所定フレーム数の補間画像を挿入して、上記第1のフレームレートより大きな第2のフレームレートの画像を得る手順を有する
画像処理方法。
【符号の説明】
【0050】
100・・・テレビ受信機
101・・・映像入力部
102・・・画質調整部
103・・・フレームレート変換部
104・・・パネル駆動部
105・・・表示パネル
131・・・輝度比較処理部
132・・・動き量比較処理部
133・・・対象オブジェクト検出処理部
134・・・補間画像挿入処理部
図1
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図10