(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ヘルメット
(51)【国際特許分類】
A42B 3/06 20060101AFI20241004BHJP
A42B 3/12 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
A42B3/06
A42B3/12
(21)【出願番号】P 2021571878
(86)(22)【出願日】2020-06-05
(86)【国際出願番号】 GB2020051378
(87)【国際公開番号】W WO2020245609
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-04-20
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521527945
【氏名又は名称】ヘクサー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クック、ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン、ヘンリー
【審査官】横山 綾子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/177791(WO,A1)
【文献】特表2004-534161(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0115686(US,A1)
【文献】国際公開第2018/108940(WO,A1)
【文献】特開2016-196727(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/60251(US,A1)
【文献】米国特許第5718004(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B 3/00-3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘルメットであって、前記ヘルメットは、
衝撃吸収層と;
前記衝撃吸収層
の外側表面の上に装着されている外側シェルと;
前記外側シェルを前記衝撃吸収層の上に保つために前記外側シェルを前記衝撃吸収層に接続するコネクターと
を含み、
前記コネクターは、前記ヘルメットが衝撃にさらされるときに、前記外側シェルが前記衝撃吸収層から分離することを可能にするように配置されて
おり、
前記コネクターは、プラグを含み、前記プラグは、前記外側シェルと前記衝撃吸収層との間に延在しており、前記外側シェルは、前記プラグを受け入れるためのアパーチャーを含み、前記プラグは、前記アパーチャーを通って延在しており、前記衝撃吸収層に取り付けられており、前記プラグが前記外側シェルの外側からアクセス可能であるようになっている、ヘルメット。
【請求項2】
前記衝撃吸収層は、中空のセル構造体を含む、請求項1に記載のヘルメット。
【請求項3】
前記外側シェルは、剛体材料から形成されている、請求項1または2に記載のヘルメット。
【請求項4】
前記外側シェルは、6mm未満の厚さ、4mm未満の厚さ
、2mm未満の厚さ
、0.5mm未満の厚さ
のうちの1つを有している、請求項1から3のいずれか一項に記載のヘルメット。
【請求項5】
前記コネクターは、前記ヘルメットが特定の力を有する衝撃にさらされるときに、前記外側シェルが前記衝撃吸収層から分離することを可能にするように配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のヘルメット。
【請求項6】
前記コネクターは、前記ヘルメットの
中心対称軸線に沿って
延在している、請求項1から5のいずれか一項に記載のヘルメット。
【請求項7】
前記コネクターは、前記ヘルメットのフロントに位置付けされている、請求項1から6のいずれか一項に記載のヘルメット。
【請求項8】
前記コネクターは、前記外側シェルおよび前記衝撃吸収層から別々のコンポーネントを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のヘルメット。
【請求項9】
前記コネクターの少なくとも一部分は、前記ヘルメットが衝撃にさらされるときに、前記衝撃吸収層および/または前記外側シェルから外れるように配置されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のヘルメット。
【請求項10】
前記コネクターは、前記コネクターの前記プラグを受け入れるためのソケットを含む、請求項
1に記載のヘルメット。
【請求項11】
前記ソケットは、前記衝撃吸収層の前記外側表面の上に形成されているか、または、前記衝撃吸収層の前記外側表面に取り付けられている、請求項
10に記載のヘルメット。
【請求項12】
前記プラグおよび前記ソケットは、押し込み嵌めを介して取り付けられる、請求項
10または
11に記載のヘルメット。
【請求項13】
前記プラグは、前記アパーチャーの対応する寸法よりも大きい寸法を有する外側ヘッドを含む、請求項
1から
12のいずれか一項に記載のヘルメット。
【請求項14】
前記コネクターは、突起部を含み、前記突起部は、前記衝撃吸収層と一体的になっている、請求項1から
7のいずれか一項に記載のヘルメット。
【請求項15】
前記突起部は、可撓性の部分によって前記衝撃吸収層
の主本体部に取り付けられている、請求項
14に記載のヘルメット。
【請求項16】
前記衝撃吸収層は、前記突起部を受け入れるように配置されているキャビティーを含む、請求項
14または
15に記載のヘルメット。
【請求項17】
前記外側シェルは、前記突起部を受け入れるためのアパーチャーを含む、請求項
14から
16のいずれか一項に記載のヘルメット。
【請求項18】
前記衝撃吸収層は、前記衝撃吸収層の中に形成された少なくとも1つの溝部を含み、前記外側シェルは、少なくとも1つの内向きに突き出ているリッジ部を含み、前記少なくとも1つのリッジ部は、前記外側シェルが前記衝撃吸収層の上に装着されているときに、前記少なくとも1つの溝部と係合するように配置されている、請求項1から
17のいずれか一項に記載のヘルメット。
【請求項19】
前記少なくとも1つのリッジ部および前記少なくとも1つの溝部は、前記少なくとも1つの溝部から前記少なくとも1つのリッジ部を除去するために特定の力が必要とされるように配置されている、請求項
18に記載のヘルメット。
【請求項20】
前記コネクターは、前記衝撃吸収層に対して半径方向に延在している、請求項1から
19のいずれか一項に記載のヘルメット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘルメットに関し、とりわけ、取り外し可能な外側シェルを有するヘルメットに関する。
【背景技術】
【0002】
頭部損傷は、スポーツ(たとえば、サイクリング、乗馬、またはロッククライミングなど)に参加した結果として受ける可能性があり、頭部損傷は、深刻な脳損傷の一般的な原因である。したがって、衝撃保護は、頭部への衝撃の結果としての脳損傷を防止する際に重要である。頭部保護(ヘルメットの形態での頭部保護)は、衝撃の間にユーザーの頭部によって経験される力を低減させるように設計されている。典型的に、ヘルメットは、少なくとも1つの衝撃吸収層を含み、少なくとも1つの衝撃吸収層は、衝撃の間にヘルメットが受ける力の一部分を吸収するように設計されている。
【0003】
しかし、ヘルメットは、ヘルメットを大きな接線方向の力にさらす斜めの衝撃の間に、十分な保護を提供しないことが多い。斜めの衝撃が一般的である。その理由は、衝撃が、他の方向への追加的な成分のない状態で、ヘルメットの外側表面に対して法線方向に沿って直接的に起こるということは稀であるからである。接線方向の力は、脳の回転加速を結果として生じさせ、それは、架橋静脈破裂と関連してきた。そして、これは、硬膜下血腫およびびまん性軸索損傷の原因となる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、改善されたヘルメットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様から見られたときに、本発明は、ヘルメットであって、ヘルメットは、
衝撃吸収層と;
衝撃吸収層の外側表面の上に装着されている外側シェルと;
外側シェルを衝撃吸収層の上に保つために外側シェルを衝撃吸収層に接続するコネクターと
を含み、
コネクターは、ヘルメットが衝撃にさらされるときに、外側シェルが衝撃吸収層から分離することを可能にするように配置されている、ヘルメットを提供する。
【0006】
本発明は、衝撃吸収層および外側シェルを含むヘルメットに関し、衝撃吸収層および外側シェルは、コネクターによって一緒に接続されており、たとえば、通常使用の間に衝撃吸収層の上に外側シェルを保つ。ヘルメットが衝撃にさらされているときに(したがって、外力がヘルメットに作用する)、コネクターは、外側シェルが衝撃吸収層から分離すること(すなわち、外側シェルが衝撃吸収層の上に装着されており、コネクターがそれらを接続している位置から、異なる位置へ移動させられること)を可能にするように配置されている。たとえば、外側シェルは、コネクターによって衝撃吸収層に接続されていないときに、それが衝撃吸収層の周りに回転することができるように構成され得る。
【0007】
外側シェルがコネクターを介して衝撃吸収層に取り外し可能に接続されている方式に起因して、外側シェルが衝撃吸収層から分離されたときに(コネクターによって適切な場所にもはや保持されていないということに起因する)、外側シェルは、衝撃吸収層の外側表面の周りに移動する(および、たとえば、回転する)ことができるということを当業者が認識することとなる。したがって、ヘルメットが、少なくとも接線方向成分(すなわち、それは、ヘルメットの外側表面に対して法線方向のみに沿っていない)を含む衝撃にさらされるときには、衝撃によって作り出される接線方向の力の少なくとも一部分が、外側シェルを回転させるように作用することが可能である。これは、ユーザーの頭部の回転を低減させること、したがって、衝撃からの接線方向の力の伝達を低減させることを助ける。これは、ユーザーの頭部(たとえば、衝撃吸収層が依然としてそれに取り付けられた状態で)が、接線方向の力自身にさらされる代わりに、外側シェルの中で並進する(たとえば、スライドまたは回転する)ことができるからである。
【0008】
頭部によって経験される接線方向の力が低減されるときに(したがって、頭部によって経験される回転加速度を低減させる)、架橋静脈破裂などのような損傷のリスクが減少させられる。ユーザーの頭部によって経験される接線方向の力を低減させることは、首に対する頭部の過度の回転によって引き起こされる首損傷のリスクをさらに低減させる。
【0009】
少なくとも好適な実施形態において、衝撃吸収層は、衝撃時に働かされるバルク力に対するある程度の保護をユーザーの頭部に提供するように設計されている。したがって、好ましくは、衝撃吸収層は、衝撃の間にヘルメットに働かされる力の通常の成分の少なくとも一部分を吸収するように配置されている。
【0010】
衝撃吸収層は、任意の適切なおよび所望の材料(たとえば、発泡ポリスチレンなど)から形成され得る。好適なセットの実施形態において、衝撃吸収層は、中空のセル構造体を含み、たとえば、(断面が)複数の六角形のセルを含む。好ましくは、少なくとも複数のセルは、互いにテッセレートしている(tessellate)。たとえば、衝撃吸収層構造体は、マイクロトラス格子または面外ハニカム(out-of-plane honeycomb)を含むことが可能である。衝撃吸収層は、たとえば、中空のセル構造体の(下方の)縁部の周りに、リム部をさらに含むことが可能である。
【0011】
典型的に、外側シェルを含む従来のヘルメットでは、外側シェルは、主に、ヘルメットの外観を改善するために使用される審美的な特徴として提供され得る。そのような外側シェルは、典型的に、ヘルメットの別個の別々のパーツとして接続されていない(したがって、本発明の外側シェルと対照的である)。その代わりに、従来のヘルメットは、モールドの中で製造され得り、衝撃吸収層を形成する材料は、モールドの中へ注入される。本発明において、本出願人は、ヘルメットが衝撃にさらされるときに、外側シェルが、ユーザーの頭部の回転を低減させることを助けることも可能であるということを認識した。好ましくは、外側シェルは、剛体材料、たとえば、熱可塑性プラスチック(たとえば、ポリカーボネート)もしくは炭素繊維、または、複合材料などから形成されている。しかし、それは、任意の適切なおよび所望の材料から作製され得る。外側シェルを形成するために好ましい材料は、高い重量に対する強度の比を有している。
【0012】
好適なセットの実施形態において、外側シェルは、衝撃吸収層の厚さよりも大幅に小さい厚さを有している。したがって、外側シェルは、膜を含むことが可能であり、たとえば、衝撃吸収層を少なくとも部分的にカバーする膜を含むことが可能である。したがって、外側シェルは、衝撃にさらされるときに衝撃吸収層から外れるように設計されているが、外側シェル自身は、衝撃の力を吸収するように設計されていなくてもよい。好ましくは、外側シェルは、6mm未満の(たとえば、法線方向の)厚さ、たとえば、4mm未満の厚さ、たとえば、2mm未満の厚さ、たとえば、0.5mm未満の厚さを有している。異なる外側シェル厚さは、異なるタイプのヘルメットに対して有利である可能性があり、たとえば、オートバイ運転者ヘルメットは、好ましくは、より厚い外側シェル(たとえば、6mm)を有することが可能であるが、一方では、自転車ヘルメットは、より薄い外側シェル(たとえば、4mm未満)を有することが可能である。
【0013】
好ましくは、衝撃吸収層は、10mmから50mmの間の(たとえば、法線方向の)厚さ、たとえば、20mmから30mmの間の厚さを有している。異なる衝撃吸収層厚さが、異なるタイプのヘルメットに適当である可能性があり、たとえば、オートバイ運転者ヘルメットは、好ましくは、より厚い衝撃吸収層(たとえば、20mmから50mmの間)を有することが可能であり、一方では、自転車ヘルメットは、より薄い衝撃吸収層(たとえば、10mmから30mmの間)を有することが可能である。
【0014】
好適なセットの実施形態において、外側シェルは、衝撃吸収層の外側表面の表面積の少なくとも60%、たとえば、少なくとも70%、たとえば、少なくとも80%をカバーしている。外側シェルは、好ましくは、衝撃を経験する可能性があるヘルメットの上の1つまたは複数の(たとえば、すべての)部位において、衝撃吸収層をカバーしている。外側シェルは、1つまたは複数のベントアパーチャーを含み、空気が流れることを可能にすることができる。外側シェルは、(提供されているときには)衝撃吸収層のリム部の上に延在していなくてもよい。したがって、たとえば、外側シェルは、中空のセル構造体の外側表面の上にのみ延在することが可能である。しかし、他の例では、シェルは、リム部の上に少なくとも部分的に延在している。
【0015】
1セットの実施形態において、外側シェルは、滑らかな外側表面を有しており、たとえば、外側表面の中には、衝撃吸収層が、複数のセルから形成されている。1セットの実施形態において、外側シェルの内側表面は、滑らかになっている。そのような実施形態は、有利である可能性がある。その理由は、滑らかな表面を提供することが、衝撃のときに最小化された抵抗を伴って外側シェルが衝撃吸収層の上を回転することを可能にするからである。
【0016】
コネクターは、(たとえば、通常使用の間に)衝撃吸収層の上に外側シェルを保つように設計されており、衝撃の間に外側シェルが衝撃吸収層から分離することを可能にするように設計されている。これは、外側シェルが衝撃吸収層の外側表面の周りで移動する(たとえば、回転する)ことを可能にすることができる。これは、任意の適切なまたは所望の方式で実現され得る。たとえば、コネクターは、(たとえば、通常使用において予期されることとなるように)より弱い力がヘルメットに作用するときに、衝撃吸収層の上の適切な位置に外側シェルを保つように配置され得り、(たとえば、衝撃の結果として)より大きい力がヘルメットに作用するときに、外側シェルが外側シェルから分離することを可能にするように配置され得る。好ましくは、コネクターは、衝撃吸収層の表面に対して半径方向に(たとえば、垂直に)(たとえば、複数のセルの壁部に対して平行に)延在しており、および/または、外側シェルの表面に対して垂直に延在している。
【0017】
1セットの実施形態において、コネクターは、ヘルメット(たとえば、ヘルメットの外側シェル)が特定の(たとえば、所定の)力(たとえば、斜めの力)を有する衝撃にさらされるときに、外側シェルが衝撃吸収層から分離することを可能にするように配置されている。これは、通常使用の間に衝撃吸収層の上に外側シェルを保つこと、および、衝撃にさらされるときに衝撃吸収層から分離することを助ける。外側シェルが衝撃吸収層から分離することを可能にするためにコネクターに必要とされる特定の力は、任意の適切なおよび所望の値を有するように選ばれ得る(たとえば、外側シェルが、十分に大きい衝撃の結果としてのみ、衝撃吸収層から分離するようになっている)。1つの実施形態では、特定の(たとえば、所定の)力は、10Nから100Nの間にあり、たとえば、30Nから70Nの間にあり、たとえば、おおよそ50Nである。特定の力は、たとえば、損傷を引き起こす可能性がある、ヘルメットに作用する力の最低の範囲を反映するように選ばれ得る。
【0018】
コネクターは、ヘルメットの上の任意の適切なおよび所望の位置に位置付けされ得る。しかし、好ましくは、コネクターは、ヘルメットの対称軸線に沿って位置付けされており、たとえば、ヘルメットのフロントから後方へ延在するヘルメットの中央平面に沿って位置付けされている。1セットの実施形態において、コネクターは、ヘルメットのフロントに位置付けされている。ヘルメットのフロントにコネクターを位置決めすることは、斜めの衝撃において、とりわけ、中心対称軸線(ひいては、ヘルメットのフロント)からオフセットされた衝撃に関して、外側シェルの取り外しを補助する際に、とりわけ有用である可能性がある。
【0019】
コネクターは、任意の適切なおよび所望の形態を有することが可能であり、たとえば、ヘルメットが(たとえば、特定の値(たとえば、おおよそ50N)よりも大きい力を有する)衝撃にさらされるときに、それは、外側シェルが衝撃吸収層から分離することを可能にするように配置されるようになっている。1セットの実施形態において、コネクターは、外側シェルおよび衝撃吸収層から別々のコンポーネントを含む。したがって、コネクターの好ましくは少なくとも一部分(たとえば、別々のコンポーネント)は、ヘルメットが衝撃にさらされるときに、衝撃吸収層および/または外側シェルから外れるように配置されており、たとえば、コネクターの少なくとも一部分(たとえば、別々のコンポーネント)が、もはやヘルメットの残りの部分と接触していないようになっており、したがって、外側シェルが衝撃吸収層から分離されることを可能にする。
【0020】
1つのセットの実施形態において、コネクターは、プラグを含み、プラグは、外側シェルと衝撃吸収層との間に延在している(たとえば、外側シェルおよび衝撃吸収層の両方に取り付けられている)。好ましくは、外側シェルは、プラグを受け入れるためのアパーチャーを含む。したがって、たとえば、プラグは、アパーチャーを通って延在しており、衝撃吸収層(たとえば、衝撃吸収層のソケット)に取り付けられる。したがって、プラグは、外側シェルの外側からアクセス可能であり得る。これは、プラグが容易に除去されることを可能にし、プラグおよび/または外側シェルを相互交換することが可能である。プラグまたは外側シェルを相互交換することは、いずれかが事故的に損傷される場合に、または、審美的な理由のために、特に有利である。
【0021】
好ましくは、プラグは、アパーチャーの対応する寸法よりも大きい寸法を有する外側ヘッドを含む。したがって、プラグの外側ヘッドは、外側シェルの外側の一部分をカバーする(たとえば、包む)ことが可能である。これは、プラグのより容易な除去をさらに補助し、プラグおよび/または外側シェルを相互交換することが可能である。
【0022】
プラグは、任意の適切なおよび所望の方式で、衝撃吸収層に取り付けられ得る。プラグは、衝撃吸収層に直接的に取り付けられ得る。たとえば、衝撃吸収層が中空のセル構造体(たとえば、複数のセルを含む)を含む実施形態では、プラグは、衝撃吸収層の中空のセル構造体のセルの中へ直接的に取り付けられ得る。
【0023】
好適なセットの実施形態において、コネクターは、コネクターのプラグを受け入れるためのソケット(たとえば、クリップ)を含む。好ましくは、ソケットは、衝撃吸収層の外側表面の上に形成されているか、または、衝撃吸収層の外側表面に取り付けられている。したがって、外側シェルが衝撃吸収層の上に装着されて保たれているときには、プラグは、ソケットの中に位置付けされている。好ましくは、ヘルメットが衝撃にさらされるときには、プラグは、ソケットから除去されるように配置されており、これが、外側シェルが衝撃吸収層から分離することを可能にするようになっている。
【0024】
1つのセットの実施形態において、コネクターは、ヘルメットの(たとえば、外側シェルおよび/または衝撃吸収層の)一体的に形成されたパーツである。たとえば、外側シェルおよび衝撃吸収層は、相補的な(たとえば、オス型のおよびメス型の)パーツを含むことが可能であり、相補的なパーツは、(たとえば、一緒にフィットして)コネクターを形成する。したがって、たとえば、外側シェルは、メス型の(または、オス型の)部材を含むことが可能であり、衝撃吸収層は、対応するオス型の(または、メス型の)部材を含むことが可能であり、それらは、一緒に接続し、外側シェルを衝撃吸収層に取り付ける。上記に概説されているように、たとえば、オス型の部材は、プラグを含むことが可能であり、メス型の部材は、相補的なソケットを含むことが可能である。
【0025】
1セットの実施形態において、コネクターは、(たとえば、ヒンジ式の)突起部(たとえば、突き出ているラッチ)を含む。好ましくは、突起部は、衝撃吸収層と一体的になっている(衝撃吸収層の一部を含む)。好ましくは、突起部は、可撓性の(たとえば、ヒンジ式の)部分によって、衝撃吸収層の主本体部に取り付けられている(たとえば、衝撃吸収層の主本体部と一体的になっている)。好ましくは、可撓性の部分は、衝撃吸収層と同じ材料から形成されている(たとえば、衝撃吸収層と一体的になっている)。
【0026】
可撓性の(たとえば、ヒンジ式の)部分は、周囲の材料(たとえば、衝撃吸収層および/または突起部の材料)よりも薄い材料の一部分(たとえば、「リビングヒンジ」)によって形成され得る。可撓性の部分は、力が印加されるときに、たとえば、突起部または(可撓性の部分を介した)衝撃吸収層の主本体部へのその取り付けを破砕および/または破裂させることなく、突起部が(たとえば、衝撃吸収層に対して)曲がるおよび/または変形することを可能にする。
【0027】
1セットの実施形態において、衝撃吸収層は、キャビティーを含み、キャビティーは、たとえば、突起部が(たとえば、可撓性の部分を介して)衝撃吸収層の主本体部に対して曲がるかまたは変形するときに、突起部を受け入れるように配置されている。これは、たとえば、力が(たとえば、外側シェルを介して)突起部に印加されるときに起こる可能性がある。好ましくは、突起部は、衝撃吸収層の主本体部に対して曲がるおよび/または変形するように配置されており、ヘルメットが衝撃にさらされるときに、外側シェルが衝撃吸収層から分離することを可能にする。したがって、好ましくは、ヘルメットの通常使用時に、キャビティーは、空になっており、突起部は、キャビティーの中へ実質的に突出していない。
【0028】
好ましくは、外側シェルは、(たとえば、ラッチの様式で)突起部を受け入れるためのアパーチャーを含む。突起部およびアパーチャーは、好ましくは、たとえば、力が突起部に印加されていないときに、突起部がアパーチャーを通って延在するように配置されている。好ましくは、突起部およびアパーチャーは、衝撃吸収層の上に外側シェルを保つように配置されている。
【0029】
好ましくは、突起部およびアパーチャーは、力が(たとえば、力が外側シェルに印加される結果として)突起部に印加されるときに、突起部およびアパーチャーが(たとえば、互いから離れるように)互いに対して移動するように配置されており、外側シェルが衝撃吸収層に対して移動することを可能にする。これは、突起部がキャビティーの中へ押し込まれたためであるか、または、外側シェルが突起部から離れるように屈曲したためである可能性がある。好ましくは、これは、突起部がもはや外側シェルの中のアパーチャーを通って延在しないということを結果として生じさせる。
【0030】
この配置は、突起部が衝撃吸収層の中のキャビティーの中へ移動させられたときに(たとえば、事故の間に、または、衝撃吸収層から外側シェルを除去するなどのような、ユーザーによる意図的な手段によって、力が突起部に印加されることに起因する)、衝撃吸収層の上での外側シェルの(たとえば、並進)移動を可能にしながら、通常使用の間に衝撃吸収構造体の上の所望の位置に外側シェルを保つことを助けることが可能である。
【0031】
本明細書で説明されている実施形態のいずれかにおいて、コネクターのコンポーネントは、任意の適切なまたは所望の方式で、互いに(および/または、外側シェルおよび/または衝撃吸収層に)取り付けられ、たとえば、特定の分離力(たとえば、上記に概説されているように衝撃吸収層から外側シェルを分離するために必要とされる特定の力)を必要とする取り付けをそれらに提供することが可能である。
【0032】
たとえば、プラグおよび衝撃吸収層(たとえば、衝撃吸収層のソケット)は、押し込み(たとえば、摩擦)嵌めを介して一緒に取り付けられ得る。押し込み嵌めは、プラグ(および、たとえば、ソケット)の寸法によって(たとえば、単独で)決定され得る。しかし、1つの実施形態では、プラグおよび/またはソケットは、1つもしくは複数のグリップ、リッジ部、またはラッチを含む。グリップ、リッジ部、またはラッチは、それらの間の摩擦を制御する(たとえば、増加させる)ことを助けることが可能であり、したがって、ヘルメットが衝撃にさらされるときに、外側シェルが衝撃吸収層から分離することを可能にするために、コネクターに働かされる必要のある力を制御する(たとえば、増加させる)ことを助けることが可能である。
【0033】
コネクターは、任意の適切なおよび所望の材料から形成され得る。好ましくは、コネクター(たとえば、プラグおよび/またはソケット)は、プラスチック、たとえば、熱可塑性プラスチック、たとえば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、または、ポリアミド(ナイロン)、たとえば、レーザー焼結ポリアミド11、またはアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)などのような、剛体材料から形成されている。コネクター(たとえば、プラグおよび/またはソケット)は、必要に応じて、異なる材料から製作され得る複数のパーツから形成され得る。たとえば、上記に概説されているように、コネクターの少なくとも一部は、衝撃吸収層と一体的に形成され得る(したがって、好ましくは、衝撃吸収層と同じ材料から形成されている)。
【0034】
いくつかの実施形態において、コネクターは、衝撃を受けたときに変形してエネルギーを吸収するというよりもむしろ、ヘルメットが衝撃を受けたときに別々のパーツへと分離するかまたは破壊するように配置されている。好ましくは、プラグは、外側シェルよりも弱くなっており、衝撃の間にシェルが破砕する前に、コネクターが外れることができるようになっている。
【0035】
コネクターは、任意の適切なおよび所望の方式で、衝撃の結果として外側シェルが衝撃吸収層から分離することを可能にするように配置され得る。そのうえ、外側シェルおよび衝撃吸収層は、任意の適切なおよび所望の方式で、互いから分離するように配置され得る。好適な実施形態において、たとえば、ヘルメットが斜めの衝撃にさらされるときに(接線方向のおよび半径方向の力がヘルメットに働かされるようになっている)、外側シェルは、衝撃吸収層に対して変位させられる(たとえば、衝撃吸収層の周りに回転させられる)ように配置されている。好ましくは、外側シェルの変位は、たとえば、剪断力に起因して、コネクターが切り離れること(たとえば、プラグが取り外されること)を引き起こす。
【0036】
外側シェルは、任意の適切なおよび所望の方式で、衝撃吸収層に対して変位させられ得る。好ましくは、外側シェルは、ヘルメットが衝撃にさらされるときに、衝撃吸収層に対して並進する(たとえば、スライドまたは回転する)ように配置されている。したがって、好ましくは、コネクター(および、たとえば、衝撃吸収層に対して外側シェルを位置付けすることを助ける(たとえば、本明細書で概説されているような)任意のさらなる特徴)は別として、外側シェルは、衝撃吸収層に固定されていない(たとえば、コネクターによって恒久的に接着されておらず、テープ留めされておらず、または取り付けられていない)。これは、コネクターがもはや外側シェルを衝撃吸収層に接続していないときに、外側シェルが衝撃吸収層から分離されることを可能にする。したがって、好ましくは、外側シェル(たとえば、外側シェルの内側表面)と一体的になっている(たとえば、外側シェルの周囲から離れている)部分は、衝撃吸収層に取り付けられていない。
【0037】
外側シェルが衝撃吸収層から分離することを引き起こす衝撃にさらされるときに、好ましくは、コネクターは、衝撃の5ms以内に外側シェルが衝撃吸収層から分離することを可能にするように配置されている。好ましくは、外側シェルおよび衝撃吸収層は、衝撃にさらされるときに(たとえば、外側シェルが衝撃吸収層から分離されたあとに)、10msから15msの間の時間に互いに対して移動する(たとえば、回転する)ように配置されている。
【0038】
ヘルメットは、1つのコネクターのみを含むことが可能であるが、1セットの実施形態において、ヘルメットは、外側シェルを衝撃吸収層に接続する複数のコネクターを含む。複数のコネクターは、同一であってもよくまたは異なっていてもよい。好ましくは、複数のコネクターは、ヘルメットが特定の(たとえば、所定の)力を受けるときに、外側シェルが衝撃吸収層から分離することを可能にするように(一緒に)配置されている(たとえば、一緒に)。好ましくは、複数のコネクターは、ヘルメットの上のそれぞれの異なる位置に位置付けされている。たとえば、コネクターは、外側シェルのベースの周りに特定の角度で位置付けされ得り、たとえば、互いから均一に間隔を置いて配置され得る。
【0039】
コネクターは、好ましくは、外側シェルを衝撃吸収層に接続して衝撃吸収層の上に外側シェルを保つ主要な接続を提供するが、ヘルメットは、衝撃吸収層の上での外側シェルの(正しい)位置決めおよび保持を補助する1つまたは複数の追加的な特徴を含むことが可能である。衝撃吸収層(たとえば、衝撃吸収層のリム部)は、その中に形成された少なくとも1つの溝部または突起部を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、外側シェルは、少なくとも1つの内向きに突き出ているリッジ部(たとえば、クリップ)を含むことが可能である。
【0040】
好ましくは、少なくとも1つのリッジ部は、(たとえば、場所および寸法の観点から)衝撃吸収層(たとえば、衝撃吸収層のリム部)の中の少なくとも1つの溝部(または、突起部)に対応しており(たとえば、適切な場所で)、および、それと係合しており、外側シェルが衝撃吸収層の上に装着されるときに、リッジ部が溝部の中に(または、突起部の上に)位置付けされるようになっている。したがって、少なくとも1つのリッジ部は、(外側シェルが衝撃吸収層の上に装着されるときに)少なくとも1つの溝部の中に位置付けされ得り、コネクターだけでなく、外側シェルと衝撃吸収層との間に追加的な取り付けポイントが存在するようになっている。相互接続するリッジ部および溝部(または、突起部)は、一般的な使用の間に適切な位置に外側シェルを保つことを助ける。
【0041】
好ましくは、相互接続するリッジ部および溝部(または、突起部)は、コネクターによって提供されるものよりも弱い接続を外側シェルと衝撃吸収層との間に提供する。衝撃の間に、コネクターが衝撃吸収層から外側シェルを切り離すときに、少なくとも1つのリッジ部が、その対応する溝部(または、突起部)から、所定の位置から押し出され、外側シェルが衝撃吸収層から分離することができるようになっている。
【0042】
したがって、1つの実施形態では、リッジ部および溝部(または、突起部)は、対応する相補的な溝部(または、突起部)からリッジ部を除去するために、特定の(たとえば、所定の)力が必要とされるように配置されている(たとえば、外側シェルが衝撃吸収層の上に装着されるときに相互接続されている)。好ましくは、この特定の(たとえば、所定の)力は、ヘルメットが衝撃にさらされるときに外側シェルが衝撃吸収層から分離することを可能にするためにコネクターに必要とされる特定の(たとえば、所定の)力よりも小さい。これは、衝撃の力が、外側シェルと衝撃吸収層との間のコネクターを切り離すのに十分になり、衝撃吸収層から外側シェルを切り離すと、リッジ部および溝部(または、突起部)が、好ましくは、互いから外れることとなり(または、すでに外れている)、また、好ましくは、衝撃吸収層の上に外側シェルを保つ際にさらなる抵抗を提供するように作用しないこととなるということを保証することを助ける。
【0043】
いくつかの実施形態において、衝撃吸収層(たとえば、衝撃吸収層のリム部)は、少なくとも1つのリッジ部を含み、外側シェルは、少なくとも1つの溝部(または、突起部)を含み、すなわち、衝撃吸収層および外側シェルの上にリッジ部および溝部を位置決めすることは、上記に説明されている配置と比較して逆さまになっている。本明細書で概説されているリッジ部および溝部(または、突起部)の特徴は、この実施形態に等しく適用することが可能である。
【0044】
1つまたは複数の溝部(または、突起部)およびリッジ部は、衝撃吸収層および外側シェル(たとえば、そのリム部)の周りに、任意の適切なおよび所望の位置に位置付けされ得る。1セットの実施形態において、溝部(または、突起部)は、衝撃吸収層(たとえば、衝撃吸収層のリム部)の辺りに等しく間隔を置いて配置されている。1つまたは複数のリッジ部は、好ましくは、外側シェルの底部縁部(たとえば、リム部)に向けて(たとえば、において)、対応して位置付けされている。たとえば、相補的な溝部(または、突起部)およびリッジ部は、ヘルメットの側部および後方に位置付けされ得る。複数の相互接続する溝部(または、突起部)およびリッジ部を提供することは、外側シェルが通常使用の間に衝撃吸収層の上に装着されるときに、衝撃吸収層の上の適切な位置に、シェルがよりしっかりと保持されることを可能にする。
【0045】
1つの実施形態では、たとえば、上記に概説されているリッジ部および溝部(または、突起部)に加えて、通常使用の間に衝撃吸収層の上の適切な位置に外側シェルを保つことを助けるために、衝撃吸収層は、その外側表面の上に少なくとも1つの突出部を含むことが可能である。衝撃吸収層が複数の突出部を含むときには、好ましくは、突出部は、衝撃吸収層の外側表面の周りに均一に間隔を置いて配置されている。この実施形態では、好ましくは、外側シェルは、衝撃吸収層の少なくとも1つの突出部に対応する(および、それに相補的な)少なくとも1つの凹部を含む。したがって、外側シェルが衝撃吸収層の外側表面の上に位置付けされているときには、衝撃吸収層の上の少なくとも1つの突出部が、少なくとも1つの対応する凹部と相互接続する。
【0046】
好ましくは、相補的な突出部および凹部は、衝撃吸収層の上のその正しい位置に外側シェルを位置付けすることを助けるため(のみ)に提供されている。したがって、好ましくは、相補的な突出部および凹部は、コネクターによって(および、たとえば、相補的な溝部(または、突起部)およびリッジ部によって)提供されるものよりも(たとえば、著しく)弱い接続を、外側シェルと衝撃吸収層との間に提供する。衝撃の間に、コネクターが衝撃吸収層から外側シェルを切り離すときに、突出部および凹部は、互いから離れるように移動し、外側シェルが衝撃吸収層から分離することができるようになっている。
【0047】
したがって、1つの実施形態では、相補的な突出部および凹部は、特定の(たとえば、所定の)力が相補的な凹部から突出部を変位させるために必要とされるように配置されている。好ましくは、この特定の(たとえば、所定の)力は、ヘルメットが衝撃にさらされるときに外側シェルが衝撃吸収層から分離することを可能にするためにコネクターに必要とされる特定の(たとえば、所定の)力よりも(たとえば、著しく)小さい。これは、衝撃の力が、外側シェルと衝撃吸収層との間のコネクターを切り離すのに十分になり、衝撃吸収層から外側シェルを切り離すと、相補的な突出部および凹部が、また、好ましくは、互いから変位させられることとなり(または、すでに変位させられている)、また、好ましくは、衝撃吸収層の上に外側シェルを保つ際にさらなる抵抗を提供するように作用しないこととなるということを保証することを助ける。
【0048】
ここで、本発明の実施形態が、添付の図面を参照して、単なる例として説明されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】本発明の実施形態によるヘルメットの正面分解図である。
【
図2】
図1に示されているヘルメットの後方分解図である。
【
図3】
図1および
図2に示されているヘルメットの正面図である。
【
図5】斜めの衝撃の間の
図1から
図4に示されているヘルメットの正面図である。
【
図6A】ヘルメットの中での使用のためのプラグのさまざまな図である。
【
図6B】ヘルメットの中での使用のためのプラグのさまざまな図である。
【
図6C】ヘルメットの中での使用のためのプラグのさまざまな図である。
【
図7】本発明の別の実施形態によるヘルメットの一部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
ヘルメットは、衝撃からのエネルギーを吸収することによって、ユーザーの頭部を損傷から保護するように作用する。斜めの衝撃(それは、一般的なタイプの衝撃である)は、ヘルメットを大きな接線方向の力にさらす可能性がある。そのような力は、ユーザーの脳の回転加速を引き起こす可能性を有しており、それは、深刻な脳損傷を引き起こす可能性がある。本発明の実施形態は、そのような斜めの衝撃の影響を軽減しようとする改善されたヘルメットを提供することを目標とする。
【0051】
図1から
図5は、本発明の実施形態によるヘルメット100の異なる図を示している。
図1および
図2の両方は、ヘルメット100の異なるコンポーネントを明確に示すために、ヘルメットの分解図を示している。
図1は、ヘルメット100のフロントに向けられた図を示している。
図2は、ヘルメット100のバックに向けられた図を示している。ヘルメット100は、以下の主要なコンポーネント:衝撃吸収層102、外側シェル104、およびプラグ106を有している。
【0052】
衝撃吸収層102は、主に面外ハニカム構造体から形成されている。衝撃吸収層102は、ヘルメット100のベースの周りに、リム部108をさらに含む。リム部108は、中空のセルから形成されている面外ハニカム構造体102とは対照的に、発泡ポリスチレンなどのような中実の(たとえば、非中空の)材料から形成されており、テッセレーティングセル(tessellating cell)は、六角形の断面を有している。
【0053】
衝撃吸収層102のリム部108は、1セットの溝部116をさらに含み、(
図2において見ることができるように)外側シェル104の下側縁部の上のリッジ部118が、1セットの溝部116の中へフィットする。これらのインターロッキング溝部116およびリッジ部118は、通常使用の間に衝撃吸収層102の上の適切な位置に外側シェル104を保つことを助ける。また、
図2は、ヘルメットの後方に装着されている、衝撃吸収層102の上の追加的な突出部124を示している。突出部124は、外側シェル104の上の対応する凹部126と相互接続し、通常使用の間に衝撃吸収層102の上の適切な位置に外側シェル104を保つことをさらに助ける。
【0054】
図1から見ることができるように、ソケット114が、衝撃吸収層102の外側表面に取り付けられており、プラグ106が、その中へフィットする。プラグ106およびソケット114は、押し込み(たとえば、摩擦)嵌めを介して一緒にフィットする。一緒に、プラグ106およびソケット114は、コネクターを形成しており、コネクターは、衝撃吸収層102および外側シェル104を一緒に接続し、通常使用の間に衝撃吸収層102の上に外側シェル104を保つ。
【0055】
外側シェル104は、ヘルメットのフロントにアパーチャー110を含み、プラグ106は、外側シェル104が衝撃吸収層102の上に位置決めされているときに、アパーチャー110を通して挿入され得る。プラグ106、外側シェル104、および衝撃吸収層102を一緒にフィットさせるために、外側シェル104が、最初に、衝撃吸収層102の上に位置決めされる。これは、側部の溝部116および対応する相補的なリッジ部118をインターロックすること、ならびに、後方突出部124および相互接続する凹部126をインターロックすることを必要とする。
【0056】
外側シェル104が衝撃吸収層102の上に正しく位置決めされているときには、外側シェル104の中のアパーチャー110は、ソケット114と整合させられている。次いで、プラグ106が、アパーチャー110を通してソケット114の中へ挿入され得る。プラグ106が挿入されており、外側シェル104を適切な位置に保持している状態の、ヘルメット100の正面図が、
図3に示されている。
図4は、ヘルメット100の中心対称軸線に沿った平面の中のヘルメット100の断面図を示しており、
図4は、適切な位置にあるプラグ106を示しており、プラグ106は、外側シェル104を通して衝撃吸収層102の上のソケット114の中へ延在している。
【0057】
また、
図3は、外側シェル104の内側表面の両側にある凹部122を示している。
図5において、衝撃吸収層102の外側表面の上の対応する突出部120が見られ、同様に、外側シェル104の中の凹部122も見られる。外側シェル104が衝撃吸収層102の上に正しく位置決めされているときには、突出部120が、凹部122の中へフィットしており、衝撃吸収層102の上に外側シェル104を位置付けして保つことを助けるように作用する。
【0058】
図5は、斜めの衝撃において、
図1から
図4に示されているヘルメット100の反応を示している。
図5において、下向きに落下しているユーザーの頭部に取り付けられているヘルメット100が、障害物502との衝突を受けている。衝突の間にヘルメット100が接触する障害物502の縁部は、傾斜しており、ヘルメット100の中心からオフセットされている位置において、ヘルメット100に接触し、それは、大きな接線方向成分を有する衝撃から、ヘルメットに働かされる力を結果として生じさせる。
【0059】
図5に示されている衝撃において、衝撃の間にヘルメット100に働かされる力は、ソケット114からプラグ106を取り外すために必要とされる特定の力よりも大きく、外側シェルが衝撃吸収層102から分離することを可能にするようになっている。したがって、障害物502との衝撃のときに、プラグ106は、ヘルメット100から排出され、具体的には、衝撃吸収層102の上のソケット114から排出される。
図5において見られるように、プラグ106は、ヘルメット100から完全に分離している。しかし、示されていない他の実施形態が存在することも可能であり、そこでは、プラグ106は、外側シェル104が衝撃吸収層102から分離することを依然として可能にしながら、ヘルメット100の少なくとも一部と接触した状態のままになっている。
【0060】
障害物502との衝撃のときに、相互接続している凹部122および突出部120、相互接続している溝部116およびリッジ部118、ならびに、相互接続している突出部124および凹部126も、互いから切り離される。したがって、外側シェル104を衝撃吸収層102に接続する残りの特徴は存在していない。次いで、外側シェル104は、衝撃吸収層102の上で回転することができる。この回転は、障害物502との衝撃のときにヘルメット100に働かされる力の接線方向成分によって引き起こされる。衝撃吸収層102(および、最終的には、ユーザーの頭部)から独立して回転する外側シェル104は、ユーザーの頭部の回転を低減させ、それは、衝撃から受ける損傷を低減させることが可能である。
【0061】
本出願人は、本発明の実施形態によるヘルメットが、従来のフォームヘルメットと比較して、(回転加速度で)おおよそ25%および(回転速度で)おおよそ45%だけ、ユーザーの頭部によって経験される回転加速度および回転速度を低減させることが可能であるということを見出した。
【0062】
図6A、
図6B、および
図6Cは、プラグ106のさまざまな図を示している。これらの図において見ることができるように、プラグ106は、外側ヘッド602を含む。外側ヘッド602は、プラグがその中にフィットするアパーチャー110の面積よりも大きい面積を有している。アパーチャー110を通してソケット114の中へプラグ106を挿入した後に、外側ヘッド602は、
図3において見られるように、外側シェル104の外側に座る。
【0063】
プラグ106は、ネック部604をさらに含み、ネック部604は、外側ヘッド602に接続されている。プラグ106およびソケット114が押し込み(たとえば、摩擦)嵌めを介して一緒にフィットする例では、ネック部602は、変形可能なプラスチックから作製され得り、プラグ106のネック部602が、ソケット114の中へ挿入され得るようになっている。ネック部604は、リッジ部606を有しており、リッジ部606は、ソケット114の中の適切な位置にプラグ106を保持するように作用する。ソケットは、対応する溝部を含むことが可能であり、対応する溝部は、プラグ106がソケットの中へ挿入されているときに、プラグ106のリッジ部606と嵌合する。
【0064】
図7は、本発明の別の実施形態による、ヘルメット700の一部分の断面図を示している。ヘルメット700は、以下の主要なコンポーネント:衝撃吸収層702、外側シェル704、およびラッチ706を有している。ラッチ706は、以前の図に示されているプラグと同様の場所に位置決めされ得る。
【0065】
ラッチ706は、衝撃吸収層702と一体的になっている(たとえば、衝撃吸収層702と同じ材料から形成されている)。ラッチ706は、可撓性の部分708を含み、可撓性の部分708は、衝撃吸収層702の主本体部にラッチ706を取り付けている。可撓性の部分は、リビングヒンジとして作用し、ラッチ706の位置が衝撃吸収層702の主本体部および外側シェル704に対して変化することを可能にする。また、ラッチ706は、ブロック先端部707を含む。
【0066】
衝撃吸収層702は、追加的に、キャビティー714を含む。力がラッチ706に印加されているときには、可撓性の部分708が曲がり、それは、ラッチ706をキャビティー714の中へ移動させることが可能である。
【0067】
外側シェル704は、アパーチャー705を含む。通常使用の間に(たとえば、事故の間ではない)、ラッチ706は、アパーチャー705を通って延在している。ラッチ706のブロック先端部707は、アパーチャー705の縁部と相互作用することによって、通常使用の間に衝撃吸収層702の上の適切な位置に外側シェル704を維持することを助け、衝撃吸収層702に対する外側シェル704の並進移動を防止する。
【0068】
障害物との衝撃のときに(たとえば、
図5に見られるものと同様)、衝撃の力は、ラッチ706の可撓性の部分708に作用し、可撓性の部分708が曲がることを引き起こす。可撓性の部分708が曲げられる方向は、衝撃のときにヘルメットに作用する接線方向の力の方向に依存することが可能である。
【0069】
接線方向の力が矢印730によって示されている方向に作用する衝撃では(すなわち、衝撃力が下向きに作用する)、外側シェル704が下向きに回転するときに、外側シェル704がラッチ706の上方を移動し、ラッチ706がキャビティー714の中へ押し込まれる。これは、外側シェル704が衝撃吸収層702から外れることおよび衝撃吸収層702の上方を移動することを可能にし、ユーザーの頭部に伝達される接線方向の力を低減させることを助ける。
【0070】
接線方向の力が矢印740によって示されている方向に作用する衝撃では(すなわち、衝撃力が上向きに作用する)、外側シェル704が回転するときに、外側シェル704のアパーチャー705の縁部が、ラッチ706のブロック先端部707に係合する。ラッチ706に働かされる力は、キャビティー714の中へラッチ706を移動させるか、または、キャビティー714から離れるようにラッチ706を回転させてそれ自身の上に戻すかのいずれかである。ラッチ706のこれらの移動のいずれかは、外側シェル704が衝撃吸収層702から外れることおよび/または衝撃吸収層702の上方で妨害物を自由に移動させることを可能にし、ユーザーの頭部に伝達される接線方向の力を低減させることを助ける。
【0071】
矢印730、740によって示されているものとは別の方向に接線方向の力が作用する衝撃では、外側シェル704および衝撃吸収層702の分離を可能にするために、上述のメカニズムの両方が、(たとえば、少なくとも部分的に)起こることが可能である。
【0072】
一般的に、
図7に示されているラッチ706は、衝撃の後に、その機能性を維持することができる。たとえば、外側シェル704が衝撃吸収構造体702の上で自由に移動することができるように、ラッチ706が単にキャビティー714の中へ圧縮している衝撃では、衝撃の後に、オリジナルの(または、新しい)外側シェル704が、衝撃吸収構造体702の上に再位置決めされ得る。
【0073】
また、ラッチ706は、ユーザーによってキャビティー714の中へ手動で圧縮され、たとえば、外側シェル704の容易な意図的な除去を可能にすることができる。これは、たとえば、審美的な目的のために、外側シェル704が相互交換可能になることを可能にすることができる。
【0074】
したがって、本発明の実施形態によるヘルメットでは、2つの独立した層(外側シェルおよび衝撃吸収層)がコネクターによって接続されており、コネクターは、ヘルメットが衝撃にさらされるときに層が分離することを可能にし、本発明の実施形態によるヘルメットは、斜めの衝撃からユーザーの頭部に伝達され得る接線方向の力を低減させることを助けるということが当業者によって認識されることとなる。これは、たとえば、脳損傷を低減させることを助ける際に、公知のヘルメットを上回る重大な利益を提供することが可能である。しかし、本明細書で説明されている特定の配置の多くの変形例が、本発明の範囲の中で可能であるということがさらに認識されることとなる。たとえば、(プラグおよびソケットおよび配置とは対照的に)異なるタイプのコネクターが、外側シェルを衝撃吸収層に接続するために提供され得る。